JP6827919B2 - 熱可塑性エラストマーの製造方法及び熱可塑性エラストマー - Google Patents

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Description

本発明は、アルキルスチレン及びイソオレフィン系単量体を主成分とする重合体のブロックと芳香族ビニル単量体を主成分とする重合体のブロックとからなる熱可塑性エラストマーの製造方法及び熱可塑性エラストマーに関する。
イソブチレンに代表されるイソオレフィン系単量体を主成分とする重合体はガスバリア性が高いことから各種シール部材として広く使用されている。例えば、スチレン−b−イソブチレン−b−スチレンのブロック共重合体(SIBS)、イソブチレン/イソプレン重合体、塩素又は臭素によってハロゲン化されたイソブチレン/イソプレン重合体、及び塩素又は臭素によってハロゲン化されたイソブチレン/p−メチルスチレン重合体が知られている。
SIBSは、中間ブロックであるイソブチレンの重合体で構成された低Tgブロックと、両端ブロックであるスチレンの重合体で構成された高Tgブロックとで成り立っており、この構造に由来して、室温下ではゴム弾性を示し、100℃以上の高温下では液状化するという熱可塑性エラストマーの特性が発揮される。特に室温下では柔軟性と強度とを併せ持つ優れた力学物性を発揮することが知られている。
先行文献1には、イソブチレンを主成分とするブロックと芳香族ビニル単量体を主成分とするブロックとを有するブロック共重合体の製造方法が開示されている。当該文献には、更にイソブチレンを主成分とするブロック中には40重量%以下の範囲で、他のカチオン重合可能な単量体が含まれていてもよいことが開示されている。しかしながら、それら単量体を共重合させたときにも、引張強度等の力学物性をブロック共重合体に維持させる方法については開示されていない。
ハロゲン化されたイソブチレン重合体の一つである、臭素化イソブチレン/p−メチルスチレン共重合体は、カチオン重合によりイソブチレン/p−メチルスチレン共重合体を得た後、ハロゲン存在下、光又はラジカル発生剤を作用させることによりp−メチル基をハロゲン化して製造されている(先行文献2)。ハロゲン化されたイソブチレン重合体は高いガスバリア性を維持しつつも、ハロゲン基という官能基を持つことから、イソオレフィン系樹脂の中でも幅広い用途に用いられている。例えば、ハロゲン基のような極性基を低極性のイソオレフィン系重合体中に導入することにより他の組成物に対して接着性が飛躍的に向上することが期待できる。また、ハロゲン化されたp−ハロゲン化メチル基は非プロトン性極性溶媒中で求核試薬と容易に置換反応し得るため、ハロゲン基以外にも様々な官能基を導入することも可能である。例えば、先行文献3では、ハロゲン化したイソブチレン/p−メチルスチレン共重合体にアクリル酸化合物を作用させ、ラジカル反応性の官能基であるアクリロイル基を導入することが報告されている。
これらの前躯体であるイソオレフィン/p−アルキルスチレン共重合体の製造方法が先行文献2及び4に開示されている。しかしながら製造された共重合体の分子量分布は約2程度と広域にわたっており、引き続いて生長反応できる活性末端を維持できる重合方法は開示されていない。
前記のようなハロゲン基又はアクリロイル基といった官能基を持つ熱可塑性エラストマーは、接着性及び反応性を有するため、他の材料と複合して使用される場合が多い。その際、他の材料の可塑化温度又は硬化温度での熱可塑性エラストマーの形状保持性、すなわち、耐熱性が求められる。例えば、UV硬化可能なアクリロイル基を有する熱可塑性エラストマーと加硫ゴムとの複合材料では、加硫させる200℃前後の温度でも熱可塑性エラストマーの形状が保持できれば、成型方法のバリエーションが広がる。
先行文献5には、イソオレフィンとアルキルスチレンとを先に混合して共重合を開始させ、ある程度それらモノマーが消費された重合の中盤にイソオレフィンを追加し、更にその後芳香族ビニル単量体を追加して製造された、アルキルスチレン及びイソオレフィン重合体ブロックと芳香族ビニル重合体ブロックとを有するトリブロック共重合体の製造方法が開示されている。しかしながらアルキルスチレンの濃度、及びその効果については報告されていない。
また、先行文献5には、イソブチレンの重合中にp−メチルスチレンを数回に分けて添加し、イソブチレン重合体中にp−メチルスチレンがランダムに導入され、尚且つ分子量分布も狭い共重合体の製造例が開示されている。しかし、それに引き続いて芳香族ビニル単量体を重合しトリブロック共重合体を製造することは報告されていない。
日本国公開特許公報「特開平11−189630号」 日本国公開特許公報「特開平2−150408号」 日本国公開特許公報「特表2000−504358号」 日本国公開特許公報「特表2013−527304号」 日本国公開特許公報「特表2002−534543号」
イソオレフィン系単量体とアルキルスチレンとを共重合させている途中に、イソオレフィン系単量体を追加して中間ブロックを合成し、引き続いて芳香族ビニル単量体を重合させて両端ブロックを合成することにより得られるブロック共重合体は熱可塑性エラストマーの優れた機械強度を維持できる(先行文献5)。しかしながら、イソブチレンに代表されるイソオレフィン系単量体の沸点は低いため、重合途中に追加するためには予め、低温に冷却された溶媒中にイソオレフィン系単量体を溶解させておく必要がある。そのため冷凍機付きの貯蔵タンクが必要になり、設備が大掛かりになる。またリビングカチオン重合は約−90〜−70℃の超低温条件下で実施される。そのため、追加用のイソオレフィン系単量体を貯蔵しておくタンクも同様に超低温を保たなければならないため、設備だけでなく、ユーティリティーコストにも課題があった。更に、イソオレフィン系単量体を追加する際のモノマー転化率によって重合体の構造が変化してしまうため、安定生産が難しいという課題もあった。
また、重合中にアルキルスチレンを数回に分けてショット添加することによりイソオレフィン系重合体中にアルキルスチレンをランダムに導入することができる(先行文献5)。しかしながら、引き続いて芳香族系ビニル単量体を両末端に重合して得られるブロック共重合体は引張強度等の機械物性が低下してしまう。
更に、ハロゲンを導入してハロゲン化された熱可塑性エラストマーにおいて、ハロゲン基を末端の芳香族ブロックに導入した場合には接着性が発揮されず、一方イソブチレンブロック中に導入した場合には耐熱性が低下してしまい、接着性と耐熱性の両方を持たせることができないという課題があった。
本発明者は、前記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、以下の構成によれば前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明に係る熱可塑性エラストマーの製造方法は、前記課題を解決するために、炭素数4〜7のイソオレフィン系単量体(A)と下記一般式(1)で表されるアルキルスチレン(B)と
Figure 0006827919
(式中、R及びRは、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜5の一価のアルキル基、及び炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基から成る群から選択され、R及びRはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。)
を主成分とするブロック(a)と、芳香族ビニル単量体(C)を主成分とするブロック(b)と、から成る熱可塑性エラストマーの製造方法において、
下記一般式(2)で表される化合物を重合開始剤とし、
Figure 0006827919
(式中、複数のRは、同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は炭素数1〜6の1価の炭化水素基を示す。Rは、1価若しくは多価の芳香族炭化水素基又は1価若しくは多価の脂肪族炭化水素基を示す。Xは、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシル基、又は、炭素数1〜6のアシロキシル基を示す。nは、1〜6の整数を示す。Xが複数存在するとき、それらは、同一であっても異なっていてもよい。)
ブロック(a)の重合中に存在する未反応のアルキルスチレン(B)の物質量をイソオレフィン系単量体(A)の総物質量に対して、モル比で、1/90以下に保つことを特徴とする。
本発明に係る熱可塑性エラストマーの製造方法では、前記一般式(1)のR及びRは、同一であっても異なっていてもよく、水素原子、又は炭素数1〜5のアルキル基であることがより好ましい。
本発明に係る熱可塑性エラストマーの製造方法では、前記アルキルスチレン(B)の物質量が前記一般式(2)で表される重合開始剤の物質量に対して、モル比で1〜100倍であることがより好ましい。
本発明に係る熱可塑性エラストマーの製造方法では、前記熱可塑性エラストマーは、ブロック(a)が中間ブロックであって、ブロック(b)が両端ブロックである、トリブロック構造であることがより好ましい。
本発明に係る熱可塑性エラストマーの製造方法では、前記炭素数4〜7のイソオレフィン系単量体(A)がイソブチレンであることがより好ましい。
本発明に係る熱可塑性エラストマーの製造方法では、前記アルキルスチレン(B)がp−メチルスチレンであり、前記芳香族ビニル単量体(C)がスチレンであることがより好ましい。
本発明に係る熱可塑性エラストマーの製造方法では、前記ブロック(a)が、前記炭素数4〜7のイソオレフィン系単量体(A)に由来するユニットとアルキルスチレン(B)に由来するユニットとがランダムに連なった重合体ブロックであることがより好ましい。
本発明に係る熱可塑性エラストマーの製造方法では、前記ブロック(a)及びブロック(b)から成るブロック構造重合体の重量平均分子量が5,000〜1,000,000であることがより好ましい。
本発明に係る熱可塑性エラストマーの製造方法では、前記ブロック(a)の重量平均分子量がブロック構造重合体全体の重量平均分子量に対して60〜95%を占めることがより好ましい。
本発明に係る熱可塑性エラストマーの製造方法では、前記ブロック(a)の分子量分布が1.7以下であることがより好ましい。
本発明に係る熱可塑性エラストマーの製造方法では、前記ブロック(a)の全重合時間のうちの10%以上の時間を使用して、アルキルスチレン(B)を滴下投入することがより好ましい。
本発明に係る熱可塑性エラストマーの製造方法は、更に、前記熱可塑性エラストマーにハロゲン基を導入する工程を含むことがより好ましい。
本発明に係る熱可塑性エラストマーの製造方法は、更に、前記熱可塑性エラストマーのハロゲン基を官能化剤と反応させてハロゲン基以外の官能基を導入する工程を含むことがさらに好ましい。
また、本発明に係る熱可塑性エラストマーは、前記課題を解決するために、前記製造方法により得られる熱可塑性エラストマーであることを特徴とする。
更に、本発明に係る熱可塑性エラストマーは、イソブチレン由来のユニットと下記一般式(3)で表されるハロゲン基を有するユニットと
Figure 0006827919
(式中、Rは水素原子、又は炭素数1〜5のアルキル基を示し、Rが複数存在するときは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。Xはハロゲン原子を示し、aは1〜3の整数を示す。)
を主成分とするブロック(a)と、スチレン由来のユニットを主成分とするブロック(b)と、から成り、ブロック(a)が中間ブロックであって、ブロック(b)が両端ブロックである、トリブロック構造が主成分である熱可塑性エラストマーであって、該ハロゲン基を有するユニット数が1分子中、12〜45ユニットであり、該熱可塑性エラストマーの数平均分子量が70,000〜200,000であることを特徴とする熱可塑性エラストマーであってもよい。
本発明によれば、アルキルスチレンに由来するユニットがイソオレフィン系重合体中にランダムに導入されており、尚且つ高い機械物性を持つスチレン系熱可塑性エラストマーが簡易的な設備で、より安価に、そしてより安定的に製造可能になる。更にはこの重合体のイソオレフィン系重合体中にランダムに導入されたアルキルスチレンに由来するユニットのアルキル基にはハロゲン等様々な官能基を導入することが可能であり、それら官能基を有するために、優れた接着性及び耐熱性を有しつつ、尚且つ高い機械物性を持つスチレン系熱可塑性エラストマーが製造可能になる。
本発明の一実施形態について以下に説明する。但し、本発明は、以下に説明する各構成に限定されるものではなく、請求の範囲に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態や実施例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態や実施例についても本発明の技術的範囲に含まれる。また、本明細書中に記載された学術文献及び特許文献の全てが、本明細書中において参考文献として援用される。また、本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「A〜B」は、「A以上(Aを含み且つAより大きい)B以下(Bを含み且つBより小さい)」を意味する。
また、本明細書において、「物質量」とは、molを単位として表される物質量を意味する。
また、本明細書において、「ユニット」とは、重合体に含まれる、重合体合成に用いたモノマーに由来する構成単位を意味する。また、「ユニット数」とは、重合体1分子中に含まれる前記ユニットの数を意味する。
また、本明細書において、「機械物性」とは「力学物性」とも称する場合があり、強度及び柔軟性が含まれる。また、本明細書において、強度は「破断強度:Tb」(すなわち引張強度)によって評価し、柔軟性は「破断伸び:Eb」によって評価する。なお、Tb及びEbの定義または測定方法は、実施例において説明する。
本発明に係る熱可塑性エラストマーの製造方法では、炭素数4〜7のイソオレフィン系単量体(A)と下記一般式(1)で表されるアルキルスチレン(B)と
Figure 0006827919
(式中、R及びRは、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜5のアルキル基、及びアルキル基、又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基から成る群から選択され、R及びRは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。)
を主成分とするブロック(a)と、芳香族ビニル単量体(C)を主成分とするブロック(b)と、から成る熱可塑性エラストマーの製造方法において、
下記一般式(2)で表される化合物を重合開始剤とし、
Figure 0006827919
(式中、複数のRは、同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は炭素数1〜6の1価の炭化水素基を示す。Rは、1価若しくは多価の芳香族炭化水素基又は1価若しくは多価の脂肪族炭化水素基を示す。Xは、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシル基、又は、炭素数1〜6のアシロキシル基を示す。nは、1〜6の整数を示す。Xが複数存在するとき、それらは、同一であっても異なっていてもよい。)
ブロック(a)の重合中に存在する未反応のアルキルスチレン(B)の物質量をイソオレフィン系単量体(A)の総物質量に対して、モル比で、1/90以下に保つ。
<<単量体>>
<イソオレフィン系単量体(A)>
イソオレフィン系単量体(A)は炭素数4〜7のイソオレフィン化合物である以外は限定されない。イソオレフィン系単量体(A)としては、より具体的には、例えば、イソブチレン(イソブテン)、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、2−メチル−2−ブテン、1−ブテン、2−ブテン、メチルビニルエーテル、インデン、ビニルトリメチルシラン、ヘキセン、及び4−メチル−1−ペンテンが挙げられ、これらを単独で用いても、又は2種類以上を併用してもよい。中でも、製造された熱可塑性エラストマーが、ガスバリア性、及び湿分バリア性に優れたものになることから、イソブチレンの単量体を用いることが、実用面でより好ましい。
<アルキルスチレン(B)>
アルキルスチレン(B)は下記一般式(1)で表される化合物である。
Figure 0006827919
(式中、R及びRは、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜5のアルキル基、及び炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基から成る群から選択され、R及びRは、同一であっても異なっていてもよい。)なお、本明細書において、ハロゲン原子には、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子が含まれる。
及びRは、重合反応に対する影響の観点から、水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基であることがより好ましく、この場合、R及びRは、同一であっても異なっていてもよい。
前記アルキルスチレン(B)としては、前記一般式(1)で表される化合物の中でも、o−メチルスチレン、o−フッ化メチルスチレン、o−クロロメチルスチレン、o−ブロモメチルスチレン、m−メチルスチレン、m−フッ化メチルスチレン、m−クロロメチルスチレン、m−ブロモメチルスチレン、p−メチルスチレン、p−フッ化メチルスチレン、p−クロロメチルスチレン、及びp−ブロモメチルスチレンが反応性の点でより好ましく、p−メチルスチレン及びp−クロロメチルスチレンが入手性及び重合反応性の点で更に好ましく、p−メチルスチレンが特に好ましい。
<芳香族ビニル単量体(C)>
芳香族ビニル単量体(C)としては、スチレン、o−、m−又はp−メチルスチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、2,6−ジメチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、α−メチル−o−メチルスチレン、α−メチル−m−メチルスチレン、α−メチル−p−メチルスチレン、β−メチル−o−メチルスチレン、β−メチル−m−メチルスチレン、β−メチル−p−メチルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン、α−メチル−2,6−ジメチルスチレン、α−メチル−2,4−ジメチルスチレン、β−メチル−2,6−ジメチルスチレン、β−メチル−2,4−ジメチルスチレン、o−、m−又はp−クロロスチレン、2,6−ジクロロスチレン、2,4−ジクロロスチレン、α−クロロ−o−クロロスチレン、α−クロロ−m−クロロスチレン、α−クロロ−p−クロロスチレン、β−クロロ−o−クロロスチレン、β−クロロ−m−クロロスチレン、β−クロロ−p−クロロスチレン、2,4,6−トリクロロスチレン、α−クロロ−2,6−ジクロロスチレン、α−クロロ−2,4−ジクロロスチレン、β−クロロ−2,6−ジクロロスチレン、β−クロロ−2,4−ジクロロスチレン、o−、m−又はp−t−ブチルスチレン、o−、m−又はp−メトキシスチレン、o−、m−又はp−クロロメチルスチレン、o−、m−又はp−ブロモメチルスチレン、シリル基で置換されたスチレン誘導体、インデン、ビニルナフタレン等が挙げられ、これらを単独で用いても、併用してもよい。中でも、工業的な入手性や価格、ガラス転移温度の点から、スチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、もしくはインデンか、又は、これらの2種類以上の混合物がより好ましく、特に入手性が良好である点でスチレンが更に好ましい。
<<重合開始剤>>
本発明で用いる重合開始剤は、下記一般式(2)で表される化合物である。
Figure 0006827919
(式中、複数のRは、同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は炭素数1〜6の1価の炭化水素基を示す。Rは、1価若しくは多価の芳香族炭化水素基又は1価若しくは多価の脂肪族炭化水素基を示す。Xは、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシル基、又は、炭素数1〜6のアシロキシル基を示す。nは、1〜6の整数を示す。Xが複数存在するとき、それらは、同一であっても異なっていてもよい。)
前記重合開始剤は、ルイス酸等の存在下で炭素陽イオン(カルボカチオン)を生成し、カチオン重合の開始点になると考えられる。

本発明で用いられる一般式(2)で表される化合物の例としては、次のような化合物等が挙げられる。(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼン[CC(CHCl]、1,4−ビス(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼン[1,4−Cl(CHCCC(CHCl]、1,3−ビス(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼン[1,3−Cl(CHCCC(CHCl]、1,3,5−トリス(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼン[1,3,5−(ClC(CH]、及び、1,3−ビス(1−クロル−1−メチルエチル)−5−(tert−ブチル)ベンゼン[1,3−(C(CHCl)−5−(C(CH)C]。
これらの中でより好ましい化合物は、1−クロル−1−メチルエチルベンゼン[CC(CHCl]、ビス(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼン[C(C(CHCl)]、及び、トリス(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼン[(ClC(CH]である。なお、1−クロル−1−メチルエチルベンゼンは、α−クロロイソプロピルベンゼン、2−クロロ−2−プロピルベンゼン又はクミルクロライドとも呼ばれる。ビス(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼンは、ビス(α−クロロイソプロピル)ベンゼン、ビス(2−クロロ−2−プロピル)ベンゼン又はジクミルクロライドとも呼ばれる。トリス(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼンは、トリス(α−クロロイソプロピル)ベンゼン、トリス(2−クロロ−2−プロピル)ベンゼン又はトリクミルクロライドとも呼ばれる。
<<ブロック>>
<ブロック(a)>
ブロック(a)はイソオレフィン系単量体(A)とアルキルスチレン(B)とを主成分とする重合体のブロックであればよい。ここで、「主成分とする」とは、ブロック(a)の総重量に対して、イソオレフィン系単量体(A)に由来するユニットとアルキルスチレン(B)に由来するユニットとの合計重量が、好ましくは60重量%以上、より好ましくは80重量%以上、さらに好ましくは90重量%以上であることをいう。得られる共重合体、すなわち最終的に得られる熱可塑性エラストマーのエラストマーとしての力学物性が優れていることから、ブロック(a)は、その総重量に対して、イソオレフィン系単量体(A)に由来するユニットがより好ましくは60重量%以上、更に好ましくは80重量%以上となるように構成される。
また、得られる共重合体、すなわち最終的に得られる熱可塑性エラストマーのエラストマーとしての力学物性が優れていることから、アルキルスチレン(B)に由来するユニットがイソオレフィン系単量体(A)に由来するユニットに対して、0.1〜10.0mol%であることが好ましく、0.4〜3.0mol%であることがより好ましく、0.5〜3.0mol%であることが更に好ましい。更に、アルキルスチレン(B)が有する官能基の効果が発揮されることから、アルキルスチレン(B)に由来するユニットの物質量が一般式(2)で表される重合開始剤の物質量に対して、モル比で1〜100倍であることが好ましく、10〜50倍であることがより好ましく、15〜40倍であることが更に好ましい。アルキルスチレン(B)の重合開始剤に対する物質量が前記範囲内である場合、重合制御の点で好ましく、最終的に得られる熱可塑性エラストマーの力学物性、及び耐熱性が向上する。
ブロック(a)には、イソブチレン由来のユニットと下記一般式(3)で表されるハロゲン基を有するユニットと
Figure 0006827919
(式中、Rは水素原子、又は炭素数1〜5のアルキル基を示し、Rが複数存在するときは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。Xはハロゲン原子を示し、aは1〜3の整数を示す。)
を主成分とする重合体ブロックも含まれる。
更に、一般式(3)で表されるハロゲン基を有するユニットの数がブロック(a)1分子中、5〜60ユニットであることが好ましく、10〜50ユニットであることがより好ましく、12〜45ユニットであることが更に好ましい。
更に、ハロゲン化後のブロック(a)中の、一般式(3)で表されるハロゲン基を有するユニットの含有割合(mol%)は、ハロゲン化後のブロック(a)中のイソブチレン由来のユニット、アルキルスチレン由来のユニット、及び一般式(3)で表されるハロゲン基を有するユニットの合計を100mol%としたとき、0.2mol%〜4.0mol%であることが好ましく、0.4mol%〜3.0mol%であることがより好ましく、0.45mol%〜2.3mol%であることが更に好ましい。更に、耐熱性の点からは前記一般式(3)で表されるハロゲン基を有するユニットの含有割合(mol%)は前記0.45mol%〜2.0mol%であることが更に好ましく、0.45mol%〜1.4mol%であることが更に好ましい。
更に、ハロゲン化後のブロック(a)の数平均分子量は特に制限がないがゲルパーミエーションクロマトグラムで測定したポリスチレン換算分子量において、5,000〜1,000,000であることが好ましく、50,000〜500,000であることがより好ましい。前記ハロゲン化後のブロック(a)の数平均分子量が5,000以上である場合、機械的な特性が十分に発現されるため好ましい。また1,000,000以下である場合、流動性、加工性、成形性の低下がなく、製造時の取扱いが容易であるため好ましい。また耐熱性の点からは前記ハロゲン化後のブロック(a)の数平均分子量は、70,000〜250,000であることが好ましく、90,000〜200,000であることがより好ましい。
前記ブロック(a)にハロゲン基を導入する方法としては、重合工程時にハロゲン基を有する単量体を共重合することによってハロゲン基を導入してもよく、又はハロゲン基を導入できる官能基を有する単量体を共重合させた後に、当該官能基をハロゲン化することによってハロゲン基を導入してもよい。
共重合させた後に、官能基にハロゲン基を導入する場合、ハロゲン基を導入されることが可能な官能基を有する単量体は特に限定されないが、例えばo−、m−、又はp−メチルスチレン、o−、m−、又はp−エチルスチレン、2,3−、2,4−、2,5−ジメチルスチレン等が挙げられる。
また、ブロック(a)はイソオレフィン系単量体(A)とアルキルスチレン(B)とがランダムに連なった重合体のブロックでもある。ここで言う「ランダム」とは、前記2成分が順不同で連なることである。一般的にイオン重合では、電子状態の近いもの同士が連続して重合していく傾向があるので、2成分を混合したときには、一方の成分が優先的に重合で消費されるため、ブロック状、或いはグラジエント状に2成分が連なり、ランダムではなくなる。本発明のイソオレフィン系単量体(A)とアルキルスチレン(B)も例外では無く、その電子状態の違いから反応性が異なるために、重合開始前に混合させておいた場合には、ブロック構造或いはグラジエント構造の重合体を形成してしまう。具体的には、例えば、イソブチレンとp−メチルスチレンとの組み合わせの場合、p−メチルスチレンの方が重合反応性が高く、先に消費されるので、グラジエント状の構造の重合体を形成する。そのため、反応性のより高い一方の成分を消費されつくさないように添加し続けることが好ましい。本発明では、前記ブロック(a)を製造する際に、反応性のより高い成分であるアルキルスチレン(B)を、イソオレフィン系単量体(A)と比較して低い物質量に保ちながら、アルキルスチレン(B)を少量ずつ滴下することにより、イソオレフィン系単量体(A)とアルキルスチレン(B)とがランダムに連なった重合体のブロックであるブロック(a)を得ることができた。
本発明では、ブロック(a)の重合中に存在する前記未反応のアルキルスチレン(B)の物質量は、イソオレフィン系単量体(A)の総物質量に対して、モル比で、1/90以下に保たれる。この比は、1/100以下に保たれることがより好ましく、1/120以下に保たれることが更に好ましい。前記アルキルスチレン(B)の物質量が、イソオレフィン系単量体(A)の総物質量に対して、モル比で、1/90以下であれば、最終的に得られる熱可塑性エラストマーにおいて、機械強度の低下や官能基の機能低下が起こらないため好ましい。本発明において、ブロック(a)の重合中に存在する前記未反応のアルキルスチレン(B)の物質量を上記範囲に保つ方法としては、例えば、イソオレフィン系単量体(A)にアルキルスチレン(B)を少量ずつ滴下し、重合中の反応溶液中の未反応のアルキルスチレン(B)の物質量を随時モニターし、未反応のアルキルスチレン(B)の物質量を、イソオレフィン系単量体(A)の総物質量に対して一定の濃度以下に保つ方法を挙げることができる。また、重合中の反応溶液中の未反応のアルキルスチレン(B)の物質量を随時モニターする方法も特に限定されるものではないが、アルキルスチレン(B)を少量ずつ滴下し、重合中の反応溶液を随時抜き出して、未反応のアルキルスチレン(B)の物質量をガスクロマトグラフィー、NMR等の方法で測定する方法を挙げることができる。
本発明においては、ブロック(a)の重合中に存在する前記未反応のアルキルスチレン(B)の物質量を上記範囲に保つために、アルキルスチレン(B)を、イソオレフィン系単量体(A)に、重合開始前に添加しないことが好ましい。また、ブロック(a)の重合中に存在する前記未反応のアルキルスチレン(B)の物質量を上記範囲に保つために、イソオレフィン系単量体(A)の添加は、アルキルスチレン(B)の添加が完了する前に完了していることが好ましく、重合開始前にイソオレフィン系単量体(A)の全量を添加することがより好ましい。
前記製造方法において、アルキルスチレン(B)を滴下するための方法としては、フィードポンプ等を使った連続導入方法、又は一定間隔をあけて投入するショット導入方法等が挙げられる。ショット導入方法は系中のアルキルスチレン(B)の濃度が局所的に高くなりやすいために、前記濃度範囲にコントロールすることが困難になるため好ましくなく、できるだけ連続的に導入される方がより好ましい。また、ブロック(a)中にアルキルスチレン(B)由来のユニットが一様に分散するように、ブロック(a)の全重合時間のうちの10%以上の時間を使用してアルキルスチレン(B)を滴下投入することがより好ましく、20%以上の時間を使用してアルキルスチレン(B)を滴下投入することが更に好ましく、25%以上の時間を使用してアルキルスチレン(B)を滴下投入することが特に好ましい。前記滴下投入に要する時間が、ブロック(a)の全重合時間のうちの10%以上の時間であれば、アルキルスチレン(B)由来のユニットがグラジエント状に配列されることなくランダムに配列された重合体として、ブロック(a)が製造される。それゆえ、最終的に製造される熱可塑性エラストマーの力学物性が優れ、及びアルキルスチレン(B)由来の官能基から発現される接着性等の望まれる機能が変化しないため好ましい。
ブロック(a)中にランダム状に存在するアルキルスチレンのアルキル基は重合後に官能基が導入されてもよく、具体的には先行文献2のようにハロゲン化することが可能であり、更には先行文献3のようにハロゲン化されてなるハロゲン化アルキル基に対し、求核反応により、アクリロイル基を含む様々な官能基を導入してもよい。導入される官能基の種類は特に限定されないが、アルケニル基(−C=C−)、アルキニル基(−C≡C)、ハロゲン基(−F,−Cl,−Br,−I)、ヒドロキシ基(−OH)、アミノ基(−N−)、イミノ基(=N−)、N−オキシド基(−N→O)、N−ヒドロキシ基(−N−OH)、ニトロ基(−NO)、ニトロソ基(−NO)、アゾ基(−N=N−)、ジアゾ基(−N≡N)、アジド基(−N)、オキシ基(−O−)、オキソ基(=O)、カルボニル基(−CO−)、フェニル基、ホスフィノ基、チオ基(−S−)、S−オキシド基(S→O)、チオキシ基(=S)等が挙げられる。前記ハロゲン基及びカルボニル基のような極性基は、低極性ゆえに接着性に乏しいイソオレフィン系重合体に導入させることで、様々な物質に対しての接着性を付与できるためより好ましい。さらにイソオレフィン系重合体ブロックは熱可塑性エラストマー中では低Tgで、室温下で柔軟性を有するため、他の物質と接触した際に界面で相互作用をとり易い。そのため、例えば、ハロゲン基又はカルボニル基のような極性基である官能基がランダムに配置されていることにより、他の物質との接着性の機能がより効果的に発揮されるため、ブロック(a)中にランダムで導入されていることが好ましい。合成の視点から、ハロゲン基はアルキルスチレンのアルキル基に容易に導入できることから好ましい。また前記官能基を導入した重合体を中間体とし、更に前記官能基を導入してもよい。中でもハロゲン基は求核試薬で容易に置換でき、様々な官能基を導入できることから、中間体として導入するのにも好ましい。また、前記ハロゲン基の中でも、求核反応性、物質安定性、及び接着性の観点から臭素がより好ましい。
ブロック(a)の分子量分布は1.7以下であることが好ましく、1.5以下であることがより好ましく、1.4以下であることが更に好ましく、1.25であることが特に好ましい。分子量分布が1.7以下であれば、重合中に起こった副反応の割合が低く、重合体末端から、引き続いて芳香族ビニル単量体(C)を十分に重合させることができるため好ましい。
<ブロック(b)>
ブロック(b)は、芳香族ビニル単量体(C)を主成分とする重合体ブロックであればよい。ここで、「主成分とする」とは、ブロック(b)の総重量に対して、芳香族ビニル単量体(C)に由来するユニットの合計重量が、好ましくは60重量%以上、より好ましくは80重量%以上、さらに好ましくは90重量%以上であることをいう。最終的に得られる熱可塑性エラストマーのエラストマーとしての力学物性が優れていることから、ブロック(b)は、芳香族ビニル系化合物(C)に由来するユニットが、ブロック(b)の総重量に対して、60重量%以上、好ましくは80重量%以上から構成される重合体ブロックであることがより好ましい。
<<ブロック構造重合体>>
本発明で製造される熱可塑性エラストマーは、ブロック構造重合体である。この本発明で製造されるブロック構造重合体は、イソオレフィン系単量体(A)とアルキルスチレン(B)とを主成分とする重合体ブロック(a)と、芳香族ビニル系単量体(C)を主成分とする重合体ブロック(b)とから成る。
前記ブロック構造重合体において、これら2種類のブロックが形成する構造は、(a)−(b)のようなジブロック構造であってもよいし、(b)−(a)−(b)の様なトリブロック構造であってもよいし、又は(a)−(b)m(mは3〜20の整数を示す)のようなスターブロック構造であってもよく、或いは、これら構造の混合物であってもよい。最終的に得られる熱可塑性エラストマーとしての力学物性が優れていることから、前記ブロック構造重合体は、トリブロック構造又はスターブロック構造がそれぞれ単体、或いは主成分であることが好ましく、開始剤の入手性の点からトリブロック構造単体、或いは主成分であることがより好ましい。すなわち、前記熱可塑性エラストマーは、ブロック(a)が中間ブロックであって、ブロック(b)が両端ブロックである、トリブロック構造であるか、又は、かかるトリブロック構造が主成分であることがより好ましい。なお、ここで、「主成分である」とは、ブロック構造重合体全体の重量に対して、該当するブロック構造の重量が、好ましくは60重量%以上、より好ましくは80重量%以上であることをいう。
なお、前記ブロック構造重合体は、ブロック(a)のみで構成される重合体、及びブロック(b)のみで構成される重合体の少なくともいずれかを含んでいてもよいが、得られる熱可塑性エラストマーとしての力学物性の点から、それら重合体は少ないほうが好ましい。
ブロック(a)とブロック(b)との組成比は、強度、柔軟性等の力学物性の点から、重量比で、(a)/(b)=60〜95/5〜40であることが好ましく、(a)/(b)=70〜90/10〜30であることがより好ましい。(b)の組成比が前記範囲内である場合、硬度が高くなりすぎないため成形が容易になり、更にエラストマーとしての柔軟性も失われないため好ましい。一方、(a)の組成比が記範囲内である場合、常温でのタックが強くならないため成形性が良く、更にエラストマーとしての機械強度も失われないため好ましい。
前記ブロック構造重合体すなわち本発明の熱可塑性エラストマーの重量平均分子量は特に制限がないがゲルパーミエーションクロマトグラムで測定したポリスチレン換算分子量において、5,000〜1,000,000であることが好ましく、50,000〜500,000であることがより好ましい。前記ブロック構造重合体の重量平均分子量が5,000以上である場合、機械的な特性が十分に発現され、エラストマー材料としての性能に優れるため好ましい。また前記ブロック構造重合体の重量平均分子量が1,000,000以下である場合、流動性、加工性、成形性の低下がなく、製造時の取扱いが容易であるため好ましい。
また耐熱性の点からは、前記ブロック構造重合体の重量平均分子は、100,000〜250,000であることが好ましく、150,000〜220,000であることがより好ましい。
また、ブロック(a)の重量平均分子量は、ブロック構造重合体全体の重量平均分子量に対して60〜95%であることが好ましく、70〜93%であることがより好ましく、87〜92%であることがさらに好ましい。
前記ブロック構造重合体すなわち本発明の熱可塑性エラストマーの数平均分子量は特に制限がないがゲルパーミエーションクロマトグラムで測定したポリスチレン換算分子量において、5,000〜1,000,000であることが好ましく、50,000〜500,000であることがより好ましい。前記ブロック構造重合体の数平均分子量が5,000以上である場合、機械的な特性が十分に発現され、エラストマー材料としての性能に優れるため好ましい。また1,000,000以下である場合、流動性、加工性、成形性の低下がなく、製造時の取扱いが容易であるため好ましい。また耐熱性の点からは前記ブロック構造重合体の数平均分子量は、70,000〜200,000であることが好ましく、90,000〜200,000であることがより好ましい。
前記ブロック構造重合体すなわち本発明の熱可塑性エラストマーの分子量分布(重量平均分子量Mと数平均分子量Mの比(M/M)で表される数値)は、1.0〜3.0であることが好ましく、1.0〜2.0であることがより好ましい。前記分子量分布が3.0以下である場合は、分子量の均一性が高く、溶融状態での粘度が低くなり過ぎたり又は高くなり過ぎたりしないので、加工安定性の点で好ましく、作業性が良いため好ましい。そのため、特に、樹脂の溶融粘度を低粘度化できることから、前記分子量分布は2.0以下であることがより好ましい。
前記ブロック構造重合体は、上述したブロック(a)とブロック(b)とを含むブロック構造重合体であれば特に限定されるものではないが、好ましい一例として、イソブチレン由来のユニットと下記一般式(3)で表されるハロゲン基を有するユニットと
Figure 0006827919
(式中、Rは水素原子、又は炭素数1〜5のアルキル基を示し、Rが複数存在するときは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。Xはハロゲン原子を示し、aは1〜3の整数を示す。)
を主成分とするブロック(a)と、スチレン由来のユニットを主成分とするブロック(b)と、から成り、ブロック(a)が中間ブロックであって、ブロック(b)が両端ブロックである、トリブロック構造が主成分である熱可塑性エラストマーを挙げることができる。
一般式(3)で表されるハロゲン基を有するユニットは熱可塑性エラストマーの1分子中に5〜60ユニット存在することが好ましく、10〜50ユニット存在することがより好ましく、12〜45ユニット存在することが更に好ましい。熱可塑性エラストマーの1分子中に存在するハロゲン基を有するユニットの数が5以上であれば、得られる熱可塑性エラストマーは接着性に優れ、60以下であれば耐熱性に優れるため好ましい。
更に、熱可塑性エラストマー中の、一般式(3)で表されるハロゲン基を有するユニットの含有割合(mol%)は、ハロゲン化後の熱可塑性エラストマー中のイソブチレン由来のユニット、アルキルスチレン由来のユニット、及び一般式(3)で表されるハロゲン基を有するユニットの合計を100mol%としたとき、0.2mol%〜4.0mol%であることが好ましく、0.4mol%〜3.0mol%であることがより好ましく、0.45mol%〜2.3mol%であることが更に好ましい。更に、耐熱性の点からは前記一般式(3)で表されるハロゲン基を有するユニットの含有割合(mol%)は前記0.45mol%〜2.0mol%であることが更に好ましく、0.45mol%〜1.4mol%であることが更に好ましい。
更に、ハロゲン化後の熱可塑性エラストマーの数平均分子量は特に制限がないがゲルパーミエーションクロマトグラムで測定したポリスチレン換算分子量において、5,000〜1,000,000であることが好ましく、50,000〜500,000であることがより好ましい。前記ハロゲン化後の熱可塑性エラストマーの数平均分子量が5,000以上である場合、機械的な特性が十分に発現され、エラストマー材料としての性能に優れるため好ましい。また1,000,000以下である場合、流動性、加工性、成形性の低下がなく、製造時の取扱いが容易であるため好ましい。また耐熱性の点からは前記ハロゲン化後の熱可塑性エラストマーの数平均分子量は、70,000〜200,000であることが好ましく、90,000〜200,000であることがより好ましい。
中でも、ハロゲン化後の熱可塑性エラストマーの接着性と耐熱性の両方に特に優れるという観点から、ハロゲン基を有するユニット数が1分子中、12〜45ユニットであり、且つ該熱可塑性エラストマーの数平均分子量が92,000〜200,000であることが特に好ましい。
またハロゲン基を有するユニットは、前記ブロック(a)中に、イソブチレン由来のユニットに対してランダムに存在していることが、接着性を発揮するために好ましい。一方で、ハロゲン基を有するユニットが、ブロック(b)中に存在すること、又はハロゲン基を有するユニットが重合体中に連続して、もしくは密集して存在していることは、接着性が低下するため好ましくない。
本発明の熱可塑性エラストマーには官能基を導入してもよく、その官能基の種類は特に限定されないが、かかる官能基の一例として、アルケニル基(−C=C−)、アルキニル基(−C≡C)、ハロゲン基(−F,−Cl,−Br,−I)、ヒドロキシ基(−OH)、アミノ基(−N−)、イミノ基(=N−)、N−オキシド基(−N→O)、N−ヒドロキシ基(−N−OH)、ニトロ基(−NO)、ニトロソ基(−NO)、アゾ基(−N=N−)、ジアゾ基(−N≡N)、アジド基(−N)、オキシ基(−O−)、オキソ基(=O)、カルボニル基(−CO−)、フェニル基、ホスフィノ基、チオ基(−S−)、S−オキシド基(S→O)、チオキシ基(=S)等が挙げられる。中でもハロゲン基はアルキルスチレンのアルキル基に容易に導入できることから好ましい。また前記官能基を導入した重合体を中間体とし、更に前記官能基を導入してもよい。中でもハロゲン基は求核試薬で容易に置換でき、様々な官能基を導入できることから、中間体として導入するのに好ましい。
<<製造方法>>
本発明の熱可塑性エラストマーは、上述したように、イソオレフィン系単量体(A)中にアルキルスチレン(B)を、重合液中の未反応のアルキルスチレン(B)の濃度を一定の濃度以下に保ちつつ、連続的に滴下しながら重合してブロック(a)を構成させ、引き続き芳香族ビニル単量体を重合してブロック(b)を構成させて製造される。
<重合方法>
本発明の重合方法はカルボカチオンを生長種とするカチオン重合法である。
重合開始剤は下記一般式(2)で表される化合物であり、
Figure 0006827919
(式中、複数のRは、同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は炭素数1〜6の1価の炭化水素基を示す。Rは、1価若しくは多価の芳香族炭化水素基又は1価若しくは多価の脂肪族炭化水素基を示す。Xは、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシル基、又は、炭素数1〜6のアシロキシル基を示す。nは、1〜6の整数を示す。Xが複数存在するとき、それらは、同一であっても異なっていてもよい。)
ルイス酸等の存在下でカルボカチオンを生成し、カチオン重合の開始点になると考えられる。
前記重合反応においては、更にルイス酸触媒を共存させることができる。このようなルイス酸触媒としてはカチオン重合に使用できるものであれば特に限定されず、例えば、TiCl、TiBr、BCl、BF、BF・OEt、SnCl、SbCl、SbF、WCl、TaCl、VCl、FeCl、FeBr、ZnCl、ZnBr、AlCl、AlBr等の金属ハロゲン化物;TiCl(OiPr)、TiCl(OiPr)、TiCl(OiPr)等の金属上にハロゲン原子及びアルコキシド基の両方を有する金属化合物;EtAlCl、EtAlCl、MeAlCl、MeAlCl等の有機金属ハロゲン化物等が挙げられる。また、前記ルイス酸触媒は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用可能である。
中でも、触媒としての能力、及び工業的な入手の容易さを考えた場合、前記ルイス酸触媒として、TiCl、BCl、又はSnClを用いることがより好ましい。前記ルイス酸触媒の使用量としては特に限定されず、使用する単量体の重合特性、重合濃度、所望する重合時間及び系中の発熱挙動等を鑑みて任意に設定することができる。前記ルイス酸触媒は、好ましくは、前記一般式(2)で表される開始剤に対して、0.1〜200倍モルの範囲で用いられ、より好ましくは0.2〜100倍モルの範囲で用いられる。
前記重合反応においては、更に必要に応じて電子供与体成分を共存させることもできる。前記電子供与体成分は、カチオン重合に際して、成長末端の炭素カチオンを安定化させる効果があるものと考えられており、分子量分布が狭く且つ構造が制御された重合体を得ることができる。前記電子供与体成分としては特に限定されず、例えば、ピリジン類、アミン類、アミド類、スルホキシド類、エステル類、金属原子に結合した酸素原子を有する金属化合物等が挙げられる。
前記電子供与体成分としては、種々の化合物の電子供与体(エレクトロンドナー)としての強さを表すパラメーターとして定義されるドナー数が15〜60であるものとして、通常、具体的には、2,6−ジ−t−ブチルピリジン、2−t−ブチルピリジン、2,4,6−トリメチルピリジン、2,6−ジメチルピリジン、2−メチルピリジン、ピリジン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジエチルエーテル、酢酸メチル、酢酸エチル、リン酸トリメチル、ヘキサメチルリン酸トリアミド;チタン(III)メトキシド、チタン(IV)メトキシド、チタン(IV)イソプロポキシド、チタン(IV)ブトキシド等のチタンアルコキシド;アルミニウムトリエトキシド、アルミニウムトリブトキシド等のアルミニウムアルコキシド等が使用できるが、より好ましいものとして、2,6−ジ−t−ブチルピリジン、2,6−ジメチルピリジン、2−メチルピリジン、ピリジン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、チタン(IV)イソプロポキシド、チタン(IV)ブトキシド等が挙げられる。前記種々の物質のドナー数については、「ドナーとアクセプター」、グードマン著、大瀧、岡田訳、学会出版センター(1983)に示されている。これらの中でも、添加効果が顕著である2−メチルピリジン、反応系が均一となるチタン(IV)イソプロポキシド、又は、水分の影響を受け難いトリエチルアミンが特に好ましい。前記電子供与体成分は、1種又は2種以上を組み合わせて使用可能である。
前記電子供与体成分は、通常、前記重合開始剤に対して0.01〜100倍モル用いられ、より好ましくは0.1〜50倍モルの範囲で用いられる。
本発明における重合反応は必要に応じて有機溶媒中で行うことができる。そのような有機溶媒としては、カチオン重合で一般的に使用される溶媒であれば特に限定されず、ハロゲン化炭化水素からなる溶媒、脂肪族炭化水素及び芳香族炭化水素等の非ハロゲン系の溶媒、又はこれらの混合物を用いることができる。
前記ハロゲン化炭化水素としては、特に限定されず、塩化メチル、塩化メチレン、クロロエタン、ジクロロエタン、1−クロロプロパン、1−クロロ−2−メチルプロパン、1−クロロブタン、1−クロロ−2−メチルブタン、1−クロロ−3−メチルブタン、1−クロロ−2,2−ジメチルブタン、1−クロロ−3,3−ジメチルブタン、1−クロロ−2,3−ジメチルブタン、1−クロロペンタン、1−クロロ−2−メチルペンタン、1−クロロ−3−メチルペンタン、1−クロロ−4−メチルペンタン、1−クロロヘキサン、1−クロロ−2−メチルヘキサン、1−クロロ−3−メチルヘキサン、1−クロロ−4−メチルヘキサン、1−クロロ−5−メチルヘキサン、1−クロロヘプタン、1−クロロオクタン、2−クロロプロパン、2−クロロブタン、2−クロロペンタン、2−クロロヘキサン、2−クロロヘプタン、2−クロロオクタン、クロロベンゼン等が使用でき、これらは1種又は2種以上を組み合わせて使用できる。本発明で使用できる脂肪族及び/又は芳香族系炭化水素としては、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、2−メチルプロパン、2−メチルブタン、2,3,3−トリメチルペンタン、2,2,5−トリメチルヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、パラフィン油、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、ブチルベンゼン等が挙げられ、これらは1種又は2種以上を組み合わせて使用可能である。
中でも、炭素数3〜5のモノハロゲン化炭化水素と脂肪族炭化水素との混合溶媒を用いることが、イソブチレン系ブロック共重合体の溶解性及び経済性の点から好ましく、1−クロロプロパン、1−クロロブタン、及び1−クロロペンタンから成る群から選択される1種以上の溶媒と、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、及びエチルシクロヘキサンから成る群から選択される1種以上の溶媒との組み合わせが溶解性、経済性、反応性、及び、後処理工程での蒸留のしやすさの点から最適である。
前記有機溶媒は、本発明のブロック(a)とブロック(b)とから成るブロック構造重合体溶液の粘度及び除熱の容易さを考慮して、得られるブロック構造重合体の濃度が1〜50重量%となるように設定するのが好ましく、3〜35重量%となるように設定するのがより好ましい。
一般に、上述したカチオン重合は水分の混入によって重合が阻害されることが知られている。そのため、重合に使用する前に溶剤中の水分は除いておくことが望ましい。水分の脱水方法としては、一般的な脱水剤である塩化カルシウム又はモレキュラーシーブス等の添加及び接触により水分を除去する方法を用いることが可能である。
重合に使用される溶媒をより高度に精製する方法としては、蒸留による方法が挙げられる。蒸留であれば、沸点に差異のある不純物はほぼ除去することが可能である。蒸留はバッチ蒸留でもよいし、連続蒸留でもよい。
例えば、バッチ蒸留の場合には、蒸留初期の塔頂留出液を抜き出すことにより低沸点不純物を除去し、且つ蒸留後の塔底残存液を抜き出すことにより高沸点不純物を除去することができる。連続蒸留の場合には、除去対象不純物の種類によって、1本又は複数本の蒸留塔により、不純物が除去可能である。
重合反応を行うにあたっては、冷却下、例えば、−100℃以上0℃未満の温度で各成分を混合し、重合させる。エネルギーコストと重合反応の安定性から、より好ましい温度範囲は、−80℃〜−30℃である。
本発明において、イソオレフィン単量体(A)及びアルキルスチレン(B)を主成分とするブロック(a)重合体溶液を製造する場合、並びに、ブロック(a)重合体溶液の製造に続いて、ブロック(a)とブロック(b)とから成るブロック構造重合体溶液を製造する場合、ルイス酸触媒、重合開始剤、電子供与体成分、各単量体成分等の添加方法及び添加順序等は特に限定されるものではないが、好ましい方法としては次の例が挙げられる。重合容器に重合溶媒を添加し、十分冷却した後、単量体の中でより反応性の低い単量体成分(イソオレフィン単量体(A))を添加する。その後、少量ゆえに系中の温度変化が僅かな重合開始剤、及び電子供与体成分を随時添加し、最後にルイス酸触媒を添加することで、重合開始剤からの開始反応を一斉に行うことが、分子量制御の観点から好ましい。その後さらに、反応性のより高い単量体成分(アルキルスチレン(B))と溶媒とを含む混合液を少量ずつ滴下し、ブロック(a)重合体溶液を製造することが、イソオレフィン系単量体(A)とアルキルスチレン(B)とがランダムに連なったブロック(a)を得るために、好ましい。ブロック(a)重合体溶液の製造に続いて、ブロック(a)とブロック(b)とから成るブロック構造重合体溶液を製造する場合、アルキルスチレン(B)の略全量(例えば99重量%)がブロック(a)を得るために消費された後、ブロック(b)を添加することが好ましい。
<<官能化方法>>
<ハロゲン化反応>
本発明の熱可塑性エラストマーは、触媒存在下に各モノマーを重合した後、該重合体をハロゲン化反応させ、アルキルスチレン由来のアルキル基にハロゲンを導入してもよい。すなわち、触媒存在下に各モノマーを重合して、ブロック(a)とブロック(b)とから成るブロック構造重合体を得た後、得られたブロック構造重合体をハロゲン化反応させ、アルキルスチレン由来のアルキル基にハロゲンを導入してもよい。
言い換えれば、本発明に係る熱可塑性エラストマーの製造方法は、イソオレフィン系単量体(A)中にアルキルスチレン(B)を、重合液中に存在する未反応のアルキルスチレン(B)の物質量を一定の濃度以下に保ちつつ、連続的に滴下しながら重合してブロック(a)を構成させ、引き続き芳香族ビニル単量体を重合してブロック(b)を構成させて前記熱可塑性エラストマーを製造するブロック構造重合体合成工程に加えて、更に前記熱可塑性エラストマーにハロゲン基を導入するハロゲン基導入工程を含んでいてもよい。
ハロゲン源としては、分子状ハロゲン(X)やN−クロロスクシンイミド、又はN−ブロモスクシンイミド等の従来公知のハロゲン源が好適に使用できるが、入手性、経済性、及び取扱い易さの点で分子状ハロゲン(X)がより好ましい。前記分子状ハロゲンとしては、塩素、臭素、又はヨウ素を好適に用いることができ、物資安定性の観点から塩素又は臭素をより好適に用いることができ、接着性の観点から臭素をより好適に用いることができる。
ハロゲン化方法は、熱、又は光によってラジカルを発生させるラジカル開始剤からのラジカルを利用してハロゲン反応を行ってもよい。また、適当な波長の光を当てることでハロゲンを励起させて、ハロゲン反応を行ってもよい。
用いる分子状ハロゲン(X)の量としては、熱可塑性エラストマー中に結合している、メチルスチレン等のアルキルスチレン(B)のモル数に対して、0.1〜50当量であることが好ましく、0.2〜20当量であることがより好ましく、0.3〜5当量であることが更に好ましい。
本発明での分子状ハロゲン(X)の投入方法としては、分子状ハロゲン(X)をそのまま系中に投入してもよいし、ハロゲン化時に使用する溶媒等で任意の濃度に希釈して投入してもよい。
本発明のハロゲン化反応は塊状又は溶液中で行うことができるが、ブロック(a)とブロック(b)とから成るブロック構造重合体を、脂肪族炭化水素系溶媒、脂環式炭化水素系溶媒、又はハロゲン化炭化水素系溶媒等を用いて溶液中でハロゲン化することがより好ましい。
好ましい前記炭化水素系溶媒としては、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、2−メチルプロパン、2−メチルブタン、2,3,3−トリメチルペンタン、2,2,5−トリメチルヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、パラフィン油、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、ブチルベンゼン等が挙げられる。
好ましい前記ハロゲン化炭化水素系溶媒としては、塩化メチル、塩化メチレン、クロロエタン、ジクロロエタン、1−クロロプロパン、1−クロロ−2−メチルプロパン、1−クロロブタン、1−クロロ−2−メチルブタン、1−クロロ−3−メチルブタン、1−クロロ−2,2−ジメチルブタン、1−クロロ−3,3−ジメチルブタン、1−クロロ−2,3−ジメチルブタン、1−クロロペンタン、1−クロロ−2−メチルペンタン、1−クロロ−3−メチルペンタン、1−クロロ−4−メチルペンタン、1−クロロヘキサン、1−クロロ−2−メチルヘキサン、1−クロロ−3−メチルヘキサン、1−クロロ−4−メチルヘキサン、1−クロロ−5−メチルヘキサン、1−クロロヘプタン、1−クロロオクタン、2−クロロプロパン、2−クロロブタン、2−クロロペンタン、2−クロロヘキサン、2−クロロヘプタン、2−クロロオクタン、クロロベンゼン等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を組み合わせて使用できる。
本発明におけるハロゲン化反応では、1−クロロプロパン、1−クロロブタン、及び1−クロロペンタンから成る群から選択される1種以上の溶媒と、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、及びエチルシクロヘキサンから成る群から選択される1種以上の溶媒との組み合わせが溶解性、経済性、反応性、及び後処理工程での蒸留のしやすさの点から最適である。これらの中でも、特に重合時に用いた溶媒をハロゲン化反応においても再度使用することが好ましい。
前記有機溶媒は、ハロゲン化反応時の粘度及び除熱の容易さを考慮して、ハロゲン化される前の前記ブロック構造重合体の濃度が1〜50重量%となるように設定するのが好ましく、3〜35重量%となるように設定するのがより好ましい。
本発明のハロゲン化反応での前記ブロック構造重合体の溶液の温度は、反応の効率、重合体の安定性、及び溶媒の沸点等の観点から調節される。効率的なハロゲン化反応を実現するために、ハロゲン化反応は、0℃〜100℃の溶液温度で行うことが好ましく、10℃〜80℃の間で溶液温度を維持して行うことがより好ましい。前記ブロック構造重合体の溶液の温度が0℃以上の場合、冷却が別途必要にならないので、経済的に好ましい。100℃以下の場合も加熱が必要にならないために、経済的に好ましい。
本発明の光励起によるハロゲン化反応においては、100nm〜800nmの波長をもつ光を照射することが好ましく、200nm〜700nmの波長をもつ光を照射することがより好ましい。100nm以上の波長をもつ光はハロゲン化反応に利用される上に、ポリマー主鎖骨格へのダメージともなりうる副反応を引き起こす恐れがなく、所望の重合体を効率よく得られるため好ましい。800nm以下の波長をもつ光もまた、ハロゲン化反応を効率よく進行させることができるため好ましい。中でも、前記ハロゲン化反応により導入されるハロゲン基としては、可視光領域に吸収領域を持つため、ポリマーにダメージを負わせずに製造できる観点から臭素を導入することがより好ましい。臭素が導入される場合の、ハロゲン化反応の光の波長は400〜800nmであることが好ましく、460〜750nmであることがより好ましい。
<ハロゲン以外の官能基導入反応>
本発明の熱可塑性エラストマーは、触媒存在下に各モノマーを重合した後、前記方法によってハロゲン基を導入した後、更に官能化剤と反応させて、ハロゲン基以外の官能基を導入してもよい。
言い換えれば、本発明に係る熱可塑性エラストマーの製造方法は、前記ブロック構造重合体合成工程、及び前記ハロゲン基導入工程に加えて、更に、ハロゲン基を導入した前記熱可塑性エラストマーのハロゲン基を官能化剤と反応させてハロゲン基以外の官能基を導入する工程を含んでいてもよい。
反応の方法としては、グリニャール試薬化させてからの反応、求核置換反応(S1及びS2反応)、脱ハロゲン化水素反応(E1及びE2反応)等が挙げられる。反応条件は各種反応により異なるが、例えばS2反応は非プロトン性極性溶媒中での反応が好ましく、E2反応は強塩基存在下の反応が好ましい。
導入される官能基の種類は特に限定されないが、アルケニル基(−C=C−)、アルキニル基(−C≡C)、ハロゲン基(−F,−Cl,−Br,−I)、ヒドロキシ基(−OH)、アミノ基(−N−)、イミノ基(=N−)、N−オキシド基(−N→O)、N−ヒドロキシ基(−N−OH)、ニトロ基(−NO)、ニトロソ基(−NO)、アゾ基(−N=N−)、ジアゾ基(−N≡N)、アジド基(−N)、オキシ基(−O−)、オキソ基(=O)、カルボニル基(−CO−)、フェニル基、ホスフィノ基、チオ基(−S−)、S−オキシド基(S→O)、チオキシ基(=S)等が挙げられる。
<<樹脂組成物>>
本発明の熱可塑性エラストマーには、製造及び成型工程での外的要因により物性を変化させない目的で、安定剤及び安定化助剤を配合してもよい。
前記安定剤としては、ヒンダードフェノール系、リン酸エステル系、アミン系、硫黄系等の酸化防止剤;ベンソチアゾール系、ベンゾフェノン系等の紫外線吸収剤;及びヒンダードアミン系等の光安定剤が挙げられる。
前記安定化助剤としてはホスファイト類、エポキシ化合物、β−ジケトン等の有機安定化助剤、及び過塩素酸金属塩、ハイドロタルサイト等の無機系安定化助剤が挙げられる。
前記安定剤及び安定化助剤の推奨される配合量は本発明における熱可塑性エラストマー100重量部に対して、それぞれ、好ましくは0.000001〜50重量部であり、より好ましくは0.00001〜10重量部である。
前記安定化剤及び安定化助剤は、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
<<用途>>
本発明の熱可塑性エラストマーは、ガスバリア性、及び柔軟性に富み、成形加工性、ゴム的特性、機械的強度、及び圧縮永久歪み特性に優れている。したがって、以下のような用途に利用可能である。
(1)改質剤:樹脂改質剤(熱可塑性樹脂の耐衝撃性改質剤、制振性改質剤、ガスバリヤー性改質剤、軟化剤等;熱硬化性樹脂の耐衝撃性改質剤、低応力化剤等)、アスファルト改質剤(道路用アスファルト改質剤、防水シート用アスファルト改質剤、橋梁床版用防水材)、タイヤ改質剤(タイヤのウェットグリップ性向上剤)、及びゴム改質剤。
(2)接着剤又は粘着剤:ホットメルト系接着剤、水系接着剤、溶剤系接着剤、及び粘着剤。
(3)粘度調整剤:オイル、潤滑油等に添加する粘度調整剤。
(4)コーティング剤:塗料等に利用するベースレジン、及びシーラント。
(5)PVC代替等に使用される材料:ケーブル、コネクター及びプラグ等の電線被覆材;人形等の玩具;養生用テープ;ロゴマーク(スポーツウェア及びスポーツシューズ用);キャリーバック;衣料用包装材;トラックの幌;農業用フィルム(ハウス栽培用);消しゴム;業務用エプロン(ターポリン);床材及び天井材等の建物の内装材;レインコート、雨傘、ショッピングバッグ、椅子及びソファー等の表皮材;ベルトや鞄等の表皮材;ガーデンホース、冷蔵庫のガスケット(パッキング)、洗濯機又は掃除機のフレキシブルホース;並びに自動車用内装材。
(6)制振材、防振材、又は緩衝材:制振材(とくにアルミ又は鋼板とともに多層に張り合わせた制振材)、防振材、緩衝材(建築用途、自動車用途、フロアー制振用途、フローリング用途、遊戯器具用途、精密機器用途、及び電子機器用途に使用)、靴底、文具及び玩具用品のグリップ、日用雑貨及び大工用品のグリップ、ゴルフクラブ及びバット等のグリップ、ゴルフクラブ及びバット等の心材、テニスラケット及び卓球ラケット等のラバー、並びに、テニスラケット及び卓球ラケット等のグリップ。
(7)防音材、又は吸音材:自動車内外装材、自動車天井材、鉄道車両用材、及び配管用材。
(8)シール材:ガスケット、建築用ガスケット、栓体、合わせガラス用及び複層ガラス用のガラスシール材、包装材、シート、多層シート、容器及び多層容器等のガスバリヤー用材、土木シート、防水シート、包装輸送資材、シーラント、医療用薬栓、並びにシリンジガスケット。
(9)チューブ:医療用チューブ、インク用チューブ、食品用チューブ、及びタイヤ用チューブ。
(10)発泡体:ビーズ発泡、徐圧発泡又は押出発泡による発泡体(配管被覆材、合成木材、木粉系発泡体等)、並びに、化学発泡又は物理発泡における発泡剤のキャリヤー。
(11)その他:衣料用途;難燃剤用途;閉がい具;キャップ;バッグ;ガスケット;ホース;シューズ;運動用具類;発泡性耐火シート、エアバックカバー、バンパー、内装部品(インパネの表皮材、シフトノブ等の表皮材等)、ウェザーストリップ、ルーフモール、ドア下モール、タイヤ用インナーライナー等の自動車用部材;電子レンジ用食品トレー、ポーション用食品容器、食品容器用ラミネートフィルム、食品容器用ポリスチレンシート(刺身容器、鶏卵パック等)、カップラーメン容器、ポリスチレン系網目状発泡体、冷菓カップ、透明飲料カップ等の食品用容器;ICトレー;CD−ROMシャーシ;ホイールキャップ;弾性糸;不織布;ワイヤーハーネス;紙おむつのバックシート;2色成形用コンパウンド材;水中ゴーグル;パソコン用マウス;クッション;及びストッパー。
以下、実施例にて本発明をさらに詳しく説明するが、これらの実施例によって本発明は何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例において、「p−メチルスチレン」を「pMSt」と、「pMSt由来のユニット」を「pMSt基」と称することがある。また、以下の実施例において、「イソブチレン」を、「IB」と称することがある。
(分子量測定)
下記実施例中、ブロック(a)、並びに、ハロゲン化前及びハロゲン化後の、ブロック(a)とブロック(b)とから成るブロック構造重合体の、「数平均分子量(Mn)」、「重量平均分子量(Mw)」及び「分子量分布(重量平均分子量と数平均分子量の比)」を、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を用いた標準ポリスチレン換算法により算出した。測定装置としては、Waters社製510型GPCシステムを用いて、クロロホルムを移動相とし、カラム温度35℃の条件下にて、ポリマー濃度が4mg/mlである試料溶液をGPCに注入することで測定した。ポリスチレンを標準試料として用いた。
(p−メチルスチレン(pMSt)基の数及びハロゲン化されたpMSt基の数)
下記実施例中、ハロゲン化前の熱可塑性エラストマー1分子中のpMSt基の数、及びハロゲン化後の熱可塑性エラストマー1分子中のハロゲン化されたpMSt基の数を、以下の方法で算出した。
具体的には、ハロゲン化前の熱可塑性エラストマー1分子中のpMSt基の数は以下の方法により決定した。ブロック(a)中のpMSt由来のユニットの含有割合(mol%)を、H NMRを用いてIB由来のプロトンとpMSt由来のプロトンとを測定し、それらの比率により決定した。ブロック(a)中のpMSt由来のユニットの含有割合(mol%)、上述した方法により測定されたブロック(a)の重量平均分子量、イソブチレンの分子量(56.11)及びpMStの分子量(118.18)から、ブロック(a)1分子中、すなわち、熱可塑性エラストマー1分子中に含まれるpMSt基の数を、以下の連立方程式を解くことによって算出した。
式1:
ブロック(a)のM=56.11×IBユニット+118.18×pMSユニット
式2:
ブロック(a)中のpMSt由来のユニットの含有割合(mol%)/100=
pMSユニット/(pMSユニット+IBユニット)
(式1及び式2中、「IBユニット」はブロック(a)中のイソブチレン由来のユニットの数を示し、「pMSユニット」はブロック(a)中のpMSt由来のユニットの数を示す。
また、ハロゲン化後の熱可塑性エラストマー1分子中のハロゲン化されたpMSt基の数は以下の方法により決定した。ハロゲン化後のブロック(a)中のハロゲン化されたpMSt由来のユニットの含有割合(mol%)を、H NMRを用いてIB由来のプロトン、ハロゲン化されたpMSt由来のプロトン、及びハロゲン化されなかったpMSt由来のプロトンを測定し、それらの比率により決定した。ハロゲン化後のブロック(a)中のハロゲン化されたpMSt由来のユニットの含有割合(mol%)、すなわちハロゲン化後の熱可塑性エラストマー中のハロゲン化されたpMSt由来のユニットの含有割合(mol%)は、以下の式3により表される。
式3:
ブロック(a)中のハロゲン化されたpMSt由来のユニットの含有割合(mol%)/100=
ハロゲン化pMSユニット/(ハロゲン化pMSユニット+pMSユニット+IBユニット)
(式3中、「ハロゲンpMSユニット」はブロック(a)中のハロゲン化されたpMSt由来のユニットの数を示し、「IBユニット」はブロック(a)中のイソブチレン由来のユニットの数を示し、「pMSユニット」はブロック(a)中のpMSt由来のユニットの数を示す。
式3において、(ハロゲン化pMSユニット+pMSユニット+IBユニット)は、ハロゲン化前の(pMSユニット+IBユニット)と同じであるので、上記式1と2との連立方程式を解くことによって求められた(pMSユニット+IBユニット)を、用いて式3を解くことにより、ブロック(a)中のハロゲン化されたpMSt由来のユニットの数、すなわち、熱可塑性エラストマー1分子中に含まれるハロゲン化されたpMSt基の数を決定した。なお、ここで言うハロゲン化されたpMSt由来のユニットとはハロゲン(例えばBr)の一置換体及びハロゲン(例えばBr)の二置換体の合計を示す。
(pMSt基の位置)
pMStは未反応のイソオレフィン系単量体との混合状態で重合されるため、イソオレフィン系重合体中にランダムに配列される。特に下記実施例中、重合反応中に随時、反応溶液を抜き取り、ガスクロマトグラフィー(島津製作所製、型番GC−17A)を用いて、未反応のイソブチレン、及び未反応のp−メチルスチレンの濃度を測定し、イソブチレンとp−メチルスチレンが共に一定の割合で消費されていくことを確認した。
(最大pMSt濃度)
下記実施例中、重合反応中随時、反応溶液を抜き取り、ガスクロマトグラフィー(島津製作所製、型番GC−17A)を用いて、未反応のp−メチルスチレンの濃度を測定した。重合反応に用いたイソブチレンの総質量(mol)に対する、測定された未反応のp−メチルスチレンの質量(mol)を算出し、重合反応中、最も比率の高い時の値を、最大pMSt濃度とした。
(破断強度:Tb)
JIS K 6251に準拠し、試験片として(製造例1)に示す2.0mm厚にプレスした評価用シートをダンベルで7号型に打抜いたものを用意し、これを測定に使用した。引張速度は200mm/分とした。
(破断伸び:Eb)
JIS K 6251に準拠し、試験片として(製造例1)に示す2.0mm厚にプレスした評価用シートをダンベルで7号型に打抜いたものを用意し、これを測定に使用した。引張速度は200mm/分とした。
(接着性)
イソプレンゴムとの接着性を評価した。(製造例2)に示す0.5mm厚にプレスしたハロゲン化された熱可塑性エラストマーのシート(接着剤層)の片方の離型紙を剥し、露出したハロゲン化された熱可塑性エラストマーの面に、(製造例3)で示す支持層からなる試験片のナイロンメッシュ側の面を貼り合わせた。次に、前記(接着剤層)の他方の離型紙を剥し、露出したハロゲン化された熱可塑性エラストマーの面に、(製造例4)で示すイソプレンゴムの2mm厚未加硫シート(基材層)を貼り合わせ、150℃、50MPaで40分加熱加圧加硫を行った後、幅2cm×6cmに切り出した。その後、180°剥離試験を行った際の応力を測定した。試験速度は200mm/minで行い、試験応力の平均値(N)を採用した。
得られた結果に基づき、以下の基準で接着性を評価した。
評価4:75N以上。
評価3:50N以上75N未満。
評価2:30N以上50N未満。
評価1:30N未満。
(耐熱性)
JIS K−6394に準拠し、試験片として(製造例1)に示す2.0mm厚にプレスした評価用シートを5mm×6mmに切り出したものを用意し、剪断モード、周波数10Hz、歪み0.05%にて、−80℃〜250℃の範囲で4℃/分で昇温しながら、動的粘弾性の測定を行った。23℃の貯蔵弾性率(Pa)に対する200℃の貯蔵弾性率(Pa)の値の割合(%;(200℃の貯蔵弾性率(Pa)/23℃の貯蔵弾性率(Pa))×100)を耐熱性の指標として用いた。
得られた結果に基づき、以下の基準で耐熱性を評価した。
評価5:19%以上。
評価4:16%以上19%未満。
評価3:13%以上16%未満。
評価2:10%以上13%未満。
評価1:7%以上10%未満。
(製造例1)評価用シートの作製
得られた熱可塑性エラストマー100重量部に対して、安定化助剤としてDHT−4V(登録商標、協和化学工業社製)5重量部と酸化防止剤としてADK STAB AO−50(ADEKA社製)0.5重量部とを加えて、170℃、50rpmで3分間混錬し、その後1分間減圧脱泡させ、更に170℃に予熱したプレス機で加圧して、2mm圧のシートを得た。
(製造例2)接着剤層(ハロゲン化された熱可塑性エラストマー)の作製
ハロゲン化された熱可塑性エラストマー15gを離型紙で挟みこみ、170℃で8分プレスすることで0.5mm厚のシート状サンプルを得た。
(製造例3)支持層の作製
SIBSTAR(登録商標)102T(株式会社カネカ社製)のペレット40gを200℃で8分間プレスすることで、2mm厚シート状のサンプル片を得た。次に、このサンプル片上にナイロンメッシュを置き、再度200℃で8分間プレスすることで、ナイロンメッシュとSIBSTAR 102Tが圧着された支持層サンプルを得た。
(製造例4)基材層(イソプレンゴムシート)の作製
イソプレンゴム(株式会社JSR社製 商品名「IR2200」)400gと、カーボンブラック(旭カーボン株式会社製、旭♯50)200gとを40℃に設定した1Lニーダー(株式会社モリヤマ社製)に投入し50rpmで5分間混練した。その後、前記ニーダーに、硫黄6g、N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾルスルフェンアミド8g、酸化亜鉛8g、及びステアリン酸8gを投入し2分間混練した。その後ニーダーから混練された混合物を排出し、この混合物を80℃で加熱プレス(神藤金属社製)にて2mm厚のシート状に成形した。
(実施例1)
2Lのセパラブルフラスコの容器内を窒素置換した後、注射器を用いて、塩化ブチル(蒸留後、モレキュラーシーブスで乾燥したもの)274.5mL及びヘキサン(蒸留後、モレキュラーシーブスで乾燥したもの)117.6mLを加えた。重合容器を−80℃のドライアイス/エタノール中に浸して冷却した後、イソブチレンモノマー93.9mL(1.016mol)を加えた。次に、p−ジクミルクロライド0.160g(0.69mmol)及びトリエチルアミン0.210g(2.1mmol)を加えた。次に、チタン(IV)イソプロポキシド2.05ml(0.691mmol)を加え、系中を−70℃まで冷却した。四塩化チタン5.30mL(0.0484mol)を加えて重合を開始した。四塩化チタンを投入してから間もなく、p−メチルスチレン3.265g(0.0276mol)と塩化ブチル5.78g、ヘキサン1.84gの混合溶液を0.363g/minの流速でシリンジポンプを使い30分かけて全量を滴下した。pMStの1分間当たりの投入速度は、pMSt滴下終了時の反応溶液の容量に対して、1.8mM/minであった。反応中随時反応溶液を抜き取り、イソブチレン及びp−メチルスチレンの濃度を測定したところ、p−メチルスチレン滴下終了時に、未反応のp−メチルスチレン濃度が最も高く、その時のp−メチルスチレンの物質量(mol)は総イソブチレンの物質量、すなわちイソブチレンモノマーの仕込み量(mol)に対して1/128(mol/mol)であること、並びに、イソブチレン及びp−メチルスチレンが共に一定の割合で消費されていることを確認した。四塩化チタンを投入してから76分後に、イソブチレン及びp−メチルスチレンの99重量%が消費されていることをガスクロマトグラフィーにより確認した。この時点でのイソブチレンとp−メチルスチレンのランダム共重合体(重合体ブロック(a))の重量平均分子量は99,000、数平均分子量は70,000であり、分子量分布は1.41であった。四塩化チタンの投入後91分後にスチレンモノマー13.85ml(0.12mol)を投入した。スチレンモノマー投入後58分後に投入したスチレンモノマーの90重量%が消費されたことをガスクロマトグラフィーにより確認した。次いで、反応溶液全体を、70℃に加熱している2.8重量%水酸化ナトリウム水溶液0.3Lに注ぎ込み、60分間メカニカルスターラーを使用して激しく撹拌することで、重合を停止させた。次に、純水0.3Lで洗浄を2回繰り返した。その後、加熱下に溶剤等の揮発分を留去し、乾燥させることにより、ポリスチレンブロック(重合体ブロック(b))とメチルスチレン−イソブチレン共重合体(重合体ブロック(a))とから成る熱可塑性エラストマーを70g得た。得られた熱可塑性エラストマーの重量平均分子量は117,000、数平均分子量は76,000であり、分子量分布は1.53であった。熱可塑性エラストマーの各種物性結果はTb:3.19MPa、及びEb:1357%であった。結果を表1に示す。
(実施例2)
2Lのセパラブルフラスコの容器内を窒素置換した後、注射器を用いて、塩化ブチル(蒸留後、モレキュラーシーブスで乾燥したもの)274.5mL及びヘキサン(蒸留後、モレキュラーシーブスで乾燥したもの)117.6mLを加えた。重合容器を−80℃のドライアイス/エタノール中に浸して冷却した後、イソブチレンモノマー93.9mL(1.016mol)を加えた。次に、p−ジクミルクロライド0.160g(0.69mmol)及びトリエチルアミン0.210g(2.1mmol)を加えた。次に、チタンテトライソプロポキシド2.05ml(0.691mmol)を加え、系中を−70℃まで冷却した。四塩化チタン5.30mL(0.0484mol)を加えて重合を開始した。四塩化チタンを投入してから間もなく、p−メチルスチレン3.265g(0.0276mol)と塩化ブチル5.78g、ヘキサン1.84gの混合溶液を0.1814g/minの流速でシリンジポンプを使い60分かけて全量を滴下した。pMStの1分間当たりの投入速度は、pMSt滴下終了時の反応溶液の容量に対して、0.9mM/minであった。反応中随時反応溶液を抜き取り、イソブチレン及びp−メチルスチレンの濃度を測定したところ、p−メチルスチレン滴下終了時に、未反応のp−メチルスチレン濃度が最も高く、その時のp−メチルスチレンの物質量(mol)は総イソブチレンの物質量、すなわちイソブチレンモノマーの仕込み量(mol)に対して1/208(mol/mol)であること、並びに、イソブチレン及びp−メチルスチレンが共に一定の割合で消費されていることを確認した。四塩化チタンを投入してから128分後に、イソブチレン及びp−メチルスチレンの99重量%が消費されていることをガスクロマトグラフィーにより確認した。この時点でのイソブチレンとp−メチルスチレンのランダム共重合体(重合体ブロック(a))の重量平均分子量は108,000、数平均分子量は101,000であり、分子量分布は1.07であった。四塩化チタンの投入後140分後にスチレンモノマー13.85ml(0.12mol)を投入した。スチレンモノマー投入後113分後に投入したスチレンモノマーの85重量%が消費されたことをガスクロマトグラフィーにより確認した。次いで、反応溶液全体を、70℃に加熱している2.8重量%水酸化ナトリウム水溶液0.3Lに注ぎ込み、60分間メカニカルスターラーを使用して激しく撹拌することで、重合を停止させた。次に、純水0.3Lで洗浄を2回繰り返した。その後、加熱下に溶剤等の揮発分を留去し、乾燥させることにより、ポリスチレンブロック(重合体ブロック(b))とメチルスチレン−イソブチレン共重合体(重合体ブロック(a))とから成る熱可塑性エラストマーを70g得た。得られた熱可塑性エラストマーの重量平均分子量は115,000、数平均分子量は58,000であり、分子量分布は1.99であった。熱可塑性エラストマーの各種物性結果はTb:3.42MPa、及びEb:1178%であった。結果を表1に示す。
(実施例3)
200LのSUS製重合機の容器内を窒素置換した後、配管を通して、塩化ブチル(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)74.334L及びヘキサン(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)23.731Lを加えた。重合機のジャケットに−80℃のブラインを通して重合機を冷却した後、イソブチレンモノマー29.329L(310.49mol)を加えた。次に、p−ジクミルクロライド48.805g(0.211mol)及びトリエチルアミン64.09g(0.63mol)を加えた。次に、チタンテトライソプロポキシド625ml(2.11mol)を加え、系中を−70℃まで冷却した。四塩化チタン1.621L(14.78mol)を加えて重合を開始した。四塩化チタンを投入してから間もなく、p−メチルスチレン1.113kg(9.42mol)と塩化ブチル2.903kg、ヘキサン0.927kgの混合溶液を164.76g/minの流速で滴下設備を使い30分かけて全量を滴下した。pMStの1分間当たりの投入速度は、pMSt滴下終了時の反応溶液の容量に対して、1.8mM/minであった。反応中随時反応溶液を抜き取り、イソブチレン及びp−メチルスチレンの濃度を測定したところ、p−メチルスチレン滴下終了時に、未反応のp−メチルスチレン濃度が最も高く、その時のp−メチルスチレンの物質量(mol)は総イソブチレンの物質量、すなわちイソブチレンモノマーの仕込み量(mol)に対して1/196(mol/mol)であること、並びに、イソブチレン及びp−メチルスチレンが共に一定の割合で消費されていることを確認した。四塩化チタンを投入してから104分後に、イソブチレン及びp−メチルスチレンの99重量%が消費されていることをガスクロマトグラフィーにより確認した。この時点でのイソブチレンとp−メチルスチレンのランダム共重合体(重合体ブロック(a))の重量平均分子量は100,000、数平均分子量は74,000であり、分子量分布は1.35であった。四塩化チタンの投入後120分後にスチレンモノマー4.235L(36.78mol)を投入した。スチレンモノマー投入後120分後に投入したスチレンモノマーの80重量%が消費されたことをガスクロマトグラフィーにより確認した。次いで、反応溶液全体を、70℃に加熱している2.8重量%水酸化ナトリウム水溶液125Lに注ぎ込み、60分間激しく撹拌することで、重合を停止させた。次に、純水125Lで洗浄を2回繰り返した。その後、加熱下に溶剤等の揮発分を留去し、乾燥させることにより、ポリスチレンブロック(重合体ブロック(b))とメチルスチレン−イソブチレン共重合体(重合体ブロック(a))とから成る熱可塑性エラストマーを21.3kg得た。得られたポリマーの重量平均分子量は119,000、数平均分子量は78,000であり、分子量分布は1.52であった。熱可塑性エラストマーの各種物性結果はTb:3.28MPa、及びEb:1249%であった。
前記方法で得られた熱可塑性エラストマー2025.9gを1−クロロブタン7715.2g、及びn−ヘキサン2463.1gに20Lフラスコ中で溶解させた。得られた溶液に窒素バブリングを60分間行い、その後はフラスコ内を窒素フローに切り替えた。更に臭素(Br)192.3gを極力光に曝さないよう遮光した状態で前記溶液に投入した。十分攪拌して溶液の色が均一になったのを確認して、家庭用可視光LEDランプ(10W)4機を使ってフラスコ外部から光を照射し、臭素化反応を行った。光照射から95分後に光照射を止め、9重量%NaSO水溶液1639.2gを反応溶液へ投入し、褐色が消えるまで攪拌し、その後90分間静置分離して水相を払出した。水相を払出した溶液に更に水1000.0gを追加して、攪拌、静置をして分離した水相を払出した。水相を払出した溶液に硫酸マグネシウム2257.6gを加えて脱水した後、ろ過したろ液を80℃真空条件下で一晩乾燥させて臭素が導入された熱可塑性エラストマーを得た。臭素が導入された熱可塑性エラストマーのH NMRを測定したところ、p−メチルスチレンのメチル基の積分値が臭素化反応前の8%まで減少しており、p−メチルスチレンのメチル基に臭素が1つ置換したモノブロモメチル基を示唆するシグナル、及び臭素が2つ置換したジブロモメチル基を示唆するシグナルが発生しているのを確認した。これらのシグナルの積分値からモノブロモメチル基は臭素化反応前のメチル基に対して78.9%、ジブロモメチル基は臭素化反応前のメチル基に対して4.4%生じていることが算出された。p−メチルスチレンのメチル基に臭素が3つ置換したトリブロモメチル基の有無はプロトンがないため確認できなかった。得られた臭素が導入された熱可塑性エラストマーの重量平均分子量は119,000、数平均分子量は73,000であり、分子量分布は1.63であった。また、その各種物性結果は、Tb:3.3MPa、Eb:965%、接着性:65N、及び耐熱性:7.5%であった。結果を表1に示す。
(実施例4)
2Lのセパラブルフラスコの容器内を窒素置換した後、注射器を用いて、塩化ブチル(蒸留後、モレキュラーシーブスで乾燥したもの)944mL及びヘキサン(蒸留後、モレキュラーシーブスで乾燥したもの)404mLを加えた。重合容器を−72℃のドライアイス/エタノール中に浸して冷却した後、イソブチレンモノマー331mL(3.499mol)を加えた。次に、p−ジクミルクロライド0.55g(2.38mmol)及びトリエチルアミン0.72g(7.1mmol)を加えた。次に、チタンテトライソプロポキシド6ml(20mmol)を加え、系中を−70℃まで冷却した。四塩化チタン16mL(0.143mol)を加えて重合を開始した。四塩化チタンを投入してから間もなく、p−メチルスチレン11.2g(95mmol)を0.373g/minの流速でシリンジポンプを使い15分かけて全量を滴下した。pMStの1分間当たりの投入速度は、pMSt滴下終了時の反応溶液の容量に対して、3.6mM/minであった。反応中随時反応溶液を抜き取り、イソブチレン及びp−メチルスチレンの濃度を測定したところ、p−メチルスチレン滴下終了時に、未反応のp−メチルスチレン濃度が最も高く、その時のp−メチルスチレンの物質量(mol)は総イソブチレンの物質量、すなわちイソブチレンモノマーの仕込み量(mol)に対して1/118(mol/mol)であること、並びに、イソブチレン及びp−メチルスチレンが共に一定の割合で消費されていることを確認した。四塩化チタンを投入してから104分後に、イソブチレン及びp−メチルスチレンの99重量%が消費されていることをガスクロマトグラフィーにより確認した。この時点でのイソブチレンとp−メチルスチレンのランダム共重合体(重合体ブロック(a))の重量平均分子量は101,000、数平均分子量は94,000であり、分子量分布は1.08であった。四塩化チタンの投入後106分後にスチレンモノマー48ml(0.41mol)を投入した。スチレンモノマー投入後122分後に投入したスチレンモノマーの82重量%が消費されたことをガスクロマトグラフィーにより確認した。次いで、反応溶液全体を、50℃に加熱している2.8重量%水酸化ナトリウム水溶液0.3Lに注ぎ込み、60分間メカニカルスターラーを使用して激しく撹拌することで、重合を停止させた。次に、純水0.3Lで洗浄を2回繰り返した。その後、加熱下に溶剤等の揮発分を留去し、乾燥させることにより、ポリスチレンブロック(重合体ブロック(b))とメチルスチレン−イソブチレン共重合体(重合体ブロック(a))とから成る熱可塑性エラストマーを240g得た。得られた熱可塑性エラストマーの重量平均分子量は125,000、数平均分子量は99,000であり、分子量分布は1.26であった。熱可塑性エラストマーの各種物性結果は、Tb:6.83MPa、Eb:1187%であった。結果を表1に示す。
前記方法で得られた熱可塑性エラストマー220gを1−クロロブタン851.4g、及びn−ヘキサン94.6gに5Lフラスコ中で溶解させた。得られた溶液に窒素バブリングを60分間行い、その後はフラスコ内を窒素フローに切り替え、95℃に加熱されたオイルバスにフラスコを浸して、溶媒を還流させた。更に臭素(Br)14.2g(89mmol)及びアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.3gを極力光に曝さないよう遮光した状態で前記溶液に投入して加熱攪拌した。臭素投入から20分後に水1000gを反応溶液へ投入し、褐色が消えるまで攪拌し、その後90分間静置分離して水相を払出した。水相を払出した溶液に更に水1000gを追加して、攪拌、静置、水相払出しを繰り返してpHが中性になったことを確認した後、有機相を80℃真空条件下で一晩乾燥させて臭素が導入された熱可塑性エラストマーを得た。臭素が導入された熱可塑性エラストマーのH NMRを測定したところ、p−メチルスチレンのメチル基に臭素が1つ置換したモノブロモメチル基を示唆するシグナルが発生しているのを確認した。これらのシグナルの積分値からモノブロモメチル基は臭素化反応前のメチル基に対して60%生じていることが算出された。
得られた臭素が導入された熱可塑性エラストマーの重量平均分子量は124,000、数平均分子量は86,000であり、分子量分布は1.44であった。また、その各種物性結果は、Tb:7.0MPa、Eb:1133%、接着性:53N、及び耐熱性:8.6%であった。結果を表1に示す。
(実施例5)
2Lのセパラブルフラスコの容器内を窒素置換した後、注射器を用いて、塩化ブチル(蒸留後、モレキュラーシーブスで乾燥したもの)1202mL及びヘキサン(蒸留後、モレキュラーシーブスで乾燥したもの)515mLを加えた。重合容器を−72℃のドライアイス/エタノール中に浸して冷却した後、イソブチレンモノマー421mL(4.45mol)を加えた。次に、p−ジクミルクロライド0.7g(3.03mmol)及びトリエチルアミン0.92g(9.1mmol)を加えた。次に、チタンテトライソプロポキシド9.0ml(30mmol)を加え、系中を−70℃まで冷却した。四塩化チタン23mL(0.21mol)を加えて重合を開始した。四塩化チタンを投入してから間もなく、p−メチルスチレン9.0g(76mmol)を0.30g/minの流速でシリンジポンプを使い30分かけて全量を滴下した。pMStの1分間当たりの投入速度は、pMSt滴下終了時の反応溶液の容量に対して、1.1mM/minであった。反応中随時反応溶液を抜き取り、イソブチレン及びp−メチルスチレンの濃度を測定したところ、p−メチルスチレン滴下終了時に、未反応のp−メチルスチレン濃度が最も高く、その時のp−メチルスチレンの物質量(mol)は総イソブチレンの物質量、すなわちイソブチレンモノマーの仕込み量(mol)に対して1/227(mol/mol)であること、並びに、イソブチレン及びp−メチルスチレンが共に一定の割合で消費されていることを確認した。四塩化チタンを投入してから76分後に、イソブチレン及びp−メチルスチレンの99重量%が消費されていることをガスクロマトグラフィーにより確認した。この時点でのイソブチレンとp−メチルスチレンのランダム共重合体(重合体ブロック(a))の重量平均分子量は106,000、数平均分子量は94,000であり、分子量分布は1.13であった。四塩化チタンの投入後100分後にスチレンモノマー61ml(0.53mol)を投入した。スチレンモノマー投入後145分後に投入したスチレンモノマーの86重量%が消費されたことをガスクロマトグラフィーにより確認した。次いで、反応溶液全体を、50℃に加熱している2.8重量%水酸化ナトリウム水溶液0.3Lに注ぎ込み、60分間メカニカルスターラーを使用して激しく撹拌することで、重合を停止させた。次に、純水0.3Lで洗浄を2回繰り返した。その後、加熱下に溶剤等の揮発分を留去し、乾燥させることにより、ポリスチレンブロック(重合体ブロック(b))とメチルスチレン−イソブチレン共重合体(重合体ブロック(a))とから成る熱可塑性エラストマーを302g得た。得られた熱可塑性エラストマーの重量平均分子量は138,000、数平均分子量は112,000であり、分子量分布は1.24であった。結果を表1に示す。
前記方法で得られた熱可塑性エラストマー300gを1−クロロブタン1174gに5Lフラスコ中で溶解させた。得られた溶液に窒素バブリングを60分間行い、その後はフラスコ内を窒素フローに切り替えた。更に臭素(Br)28.5g(0.18mmol)を極力光に曝さないよう遮光した状態で前記溶液に投入して室温で攪拌した。臭素投入から120分後に7重量%NaSO水溶液300gを反応溶液へ投入し、褐色が消えるまで攪拌し、その後30分間静置分離して水相を払出した。水相を払出した溶液に更に水300gを追加して、攪拌、静置、水相払出しを繰り返してpHが中性になったことを確認した後、有機相を80℃真空条件下で一晩乾燥させて臭素が導入された熱可塑性エラストマーを得た。臭素化反応前のメチル基は反応後に86%がモノブロモメチル基に、11%がジブロモメチル基に変換されていた。
得られた臭素が導入された熱可塑性エラストマーの重量平均分子量は130,000、数平均分子量は66,000であり、分子量分布は1.96であった。また、その各種結果は、Mw:130,088、分子量分布:1.96、Tb:5.7MPa、Eb:1018%、接着性:85N、及び耐熱性:12.4%であった。結果を表1に示す。
(実施例6)
200LのSUS製重合機の容器内を窒素置換した後、配管を通して、塩化ブチル(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)89.6L及びヘキサン(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)38.4Lを加えた。重合機のジャケットに−80℃のブラインを通して重合機を冷却した後、イソブチレンモノマー25.3L(268mol)を加えた。次に、p−ジクミルクロライド21.06g(0.091mol)及びトリエチルアミン55.3g(0.4mol)を加えた。次に、チタンテトライソプロポキシド694ml(2.34mol)を加え、系中を−70℃まで冷却した。四塩化チタン1.8L(16.4mol)を加えて重合を開始した。四塩化チタンを投入してから間もなく、p−メチルスチレン215g(1.82mol)と塩化ブチル925g、ヘキサン295gの混合溶液を47.8g/minの流速で滴下設備を使い30分かけて全量を滴下した。pMStの1分間当たりの投入速度は、pMSt滴下終了時の反応溶液の容量に対して、0.4mM/minであった。反応中随時反応溶液を抜き取り、イソブチレン及びp−メチルスチレンの濃度を測定したところ、p−メチルスチレン滴下終了時に、未反応のp−メチルスチレン濃度が最も高く、その時のp−メチルスチレンの物質量は総イソブチレンの物質量、すなわちイソブチレンモノマーの仕込み量に対して1/528(mol/mol)であること、並びに、イソブチレン及びp−メチルスチレンが共に一定の割合で消費されていることを確認した。四塩化チタンを投入してから109分後に、イソブチレン及びp−メチルスチレンの99重量%が消費されていることをガスクロマトグラフィーにより確認した。この時点でのイソブチレンとp−メチルスチレンのランダム共重合体(重合体ブロック(a))の重量平均分子量は173,000、数平均分子量は98,000であり、分子量分布は1.77であった。四塩化チタンの投入後120分後にスチレンモノマー3.655L(31.7mol)を投入した。スチレンモノマー投入後176分後に投入したスチレンモノマーの81重量%が消費されたことをガスクロマトグラフィーにより確認した。次いで、反応溶液全体を、70℃に加熱している2.8重量%水酸化ナトリウム水溶液125Lに注ぎ込み、60分間激しく撹拌することで、重合を停止させた。次に、純水125Lで洗浄を2回繰り返した。その後、加熱下に溶剤等の揮発分を留去し、乾燥させることにより、ポリスチレンブロック(重合体ブロック(b))とメチルスチレン−イソブチレン共重合体(重合体ブロック(a))とから成る熱可塑性エラストマーを18.0kg得た。得られた熱可塑性エラストマーの重量平均分子量は188,000、数平均分子量は116,000であり、分子量分布は1.61であった。熱可塑性エラストマーの各種物性結果はTb:5.57MPa、及びEb:1089%であった。結果を表1に示す。
前記方法で得られた熱可塑性エラストマー800gを1−クロロブタン4187g、及びn−ヘキサン346gに8Lフラスコ中で溶解させた。得られた溶液に窒素バブリングを60分間行い、その後はフラスコ内を窒素フローに切り替えた。更に臭素(Br)26gを極力光に曝さないよう遮光した状態で前記溶液に投入した。十分攪拌して溶液の色が均一になったのを確認して、家庭用可視光LEDランプ(10W)4機を使ってフラスコ外部から光を照射し、臭素化反応を行った。光照射から105分後に光照射を止め、3重量%NaSO水溶液1125gを反応溶液へ投入し、褐色が消えるまで攪拌し、その後90分間静置分離して水相を払出した。水相を払出した溶液に更に水1000.0gを追加して、攪拌、静置をして分離した水相を払出した。水相を払出した溶液に硫酸マグネシウムを加えて脱水した後、ろ過したろ液を80℃真空条件下で一晩乾燥させて臭素が導入された熱可塑性エラストマーを得た。臭素化反応前のp−メチルスチレンのメチル基は反応後に87%がモノブロモメチル基に、5%がジブロモメチル基に変換されていた。
得られた臭素が導入された熱可塑性エラストマーの重量平均分子量は175,000、数平均分子量は77,000であり、分子量分布は2.28であった。また、その各種結果は、Tb:4.3MPa、Eb:877%、接着性:48N、及び耐熱性:20.0%であった。結果を表1に示す。
(実施例7)
2Lのセパラブルフラスコの容器内を窒素置換した後、注射器を用いて、塩化ブチル(蒸留後、モレキュラーシーブスで乾燥したもの)1202mL及びヘキサン(蒸留後、モレキュラーシーブスで乾燥したもの)515mLを加えた。重合容器を−72℃のドライアイス/エタノール中に浸して冷却した後、イソブチレンモノマー421mL(4.45mol)を加えた。次に、p−ジクミルクロライド0.7g(3.03mmol)及びトリエチルアミン3.1g(22mmol)を加えた。次に、チタンテトライソプロポキシド9.0ml(30mmol)を加え、系中を−70℃まで冷却した。四塩化チタン23mL(0.21mol)を加えて重合を開始した。四塩化チタンを投入してから間もなく、p−メチルスチレン7.2g(61mmol)と塩化ブチル4.6g、ヘキサン2.0gの混合溶液を0.46g/minの流速でシリンジポンプを使い30分かけて全量を滴下した。pMStの1分間当たりの投入速度は、pMSt滴下終了時の反応溶液の容量に対して、0.9mM/minであった。反応中随時反応溶液を抜き取り、イソブチレン及びp−メチルスチレンの濃度を測定したところ、p−メチルスチレン滴下終了時に、未反応のp−メチルスチレン濃度が最も高く、その時のp−メチルスチレンの物質量(mol)は総イソブチレンの物質量、すなわちイソブチレンモノマーの仕込み量(mol)に対して1/183(mol/mol)であること、並びに、イソブチレン及びp−メチルスチレンが共に一定の割合で消費されていることを確認した。四塩化チタンを投入してから115分後に、イソブチレン及びp−メチルスチレンの99重量%が消費されていることをガスクロマトグラフィーにより確認した。この時点でのイソブチレンとp−メチルスチレンのランダム共重合体(重合体ブロック(a))の重量平均分子量は113,000、数平均分子量は96,000であり、分子量分布は1.17であった。四塩化チタンの投入後135分後にスチレンモノマー61ml(0.53mol)を投入した。スチレンモノマー投入後95分後に投入したスチレンモノマーの82重量%が消費されたことをガスクロマトグラフィーにより確認した。次いで、反応溶液全体を、50℃に加熱している2.8重量%水酸化ナトリウム水溶液0.3Lに注ぎ込み、60分間メカニカルスターラーを使用して激しく撹拌することで、重合を停止させた。次に、純水0.3Lで洗浄を2回繰り返した。その後、加熱下に溶剤等の揮発分を留去し、乾燥させることにより、ポリスチレンブロック(重合体ブロック(b))とメチルスチレン−イソブチレン共重合体(重合体ブロック(a))とから成る熱可塑性エラストマーを307g得た。得られた熱可塑性エラストマーの重量平均分子量は142,000、数平均分子量は104,000であり、分子量分布は1.36であった。結果を表1に示す。
前記方法で得られた熱可塑性エラストマー307gを1−クロロブタン1228gに5Lフラスコ中で溶解させた。得られた溶液に窒素バブリングを60分間行い、その後はフラスコ内を窒素フローに切り替えた。更に臭素(Br)18.2g(0.11mmol)を極力光に曝さないよう遮光した状態で前記溶液に投入して室温で攪拌した。臭素投入から270分後にNaHCO23.9gを添加して30分間攪拌した後、NaHSO11.9gを反応溶液へ添加し、褐色が消えポリマー溶液のpHが中性になるまで室温下で攪拌した。ポリマー溶液を目開き1μのフィルターでろ過し、ろ液を80℃真空条件下で一晩乾燥させて臭素が導入された熱可塑性エラストマーを得た。臭素化反応前のp−メチルスチレンのメチル基は反応後に97%がモノブロモメチル基に、4%がジブロモメチル基に変換されていた。
得られた臭素が導入された熱可塑性エラストマーの重量平均分子量は138,000、数平均分子量は93,000であり、分子量分布は1.49であった。また、その各種結果は、Tb:4.8MPa、Eb:1060%、接着性:72N、及び耐熱性:13.9%であった。結果を表1に示す。
(実施例8)
p−ジクミルクロライドを0.47g(2.03mmol)にした以外は実施例7と同様の操作を行い、熱可塑性エラストマーを得た。イソブチレンとp−メチルスチレンのランダム共重合体(重合体ブロック(a))の重量平均分子量は160,000、数平均分子量は131,000であり、分子量分布は1.22であった。また、ポリスチレンブロック(重合体ブロック(b))とメチルスチレン−イソブチレン共重合体(重合体ブロック(a))とから成る熱可塑性エラストマーの重量平均分子量は179,000、数平均分子量は36,000であり、分子量分布は1.31であった。pMStの1分間当たりの投入速度は、pMSt滴下終了時の反応溶液の容量に対して、0.9mM/minであった。重合中のp−メチルスチレンの最大物質量(mol)は総イソブチレンの物質量、すなわちイソブチレンモノマーの仕込み量(mol)に対して1/128(mol/mol)であり、並びに、イソブチレン及びp−メチルスチレンは共に一定の割合で消費されていた。
更に実施例7と同様に臭素(Br)との反応を行い、臭素が導入された熱可塑性エラストマーを得た。臭素化反応前のp−メチルスチレンのメチル基は反応後に87%がモノブロモメチル基に、3%がジブロモメチル基に変換されていた。得られた臭素が導入された熱可塑性エラストマーの重量平均分子量は169,000、数平均分子量は109,000であり、分子量分布は1.55であった。また、その各種結果は、Tb:4.9MPa、Eb:1050%、接着性:74N、及び耐熱性:19.8%であった。結果を表1に示す。
(実施例9)
p−ジクミルクロライドを0.35g(1.52mmol)、チタンテトライソプロポキシドを11.6ml(39mmol)、四塩化チタン30mL(0.27mol)にした以外は実施例7と同様の操作を行い、熱可塑性エラストマーを得た。イソブチレンとp−メチルスチレンのランダム共重合体(重合体ブロック(a))の重量平均分子量は189,000、数平均分子量は158,000であり、分子量分布は1.20であった。また、ポリスチレンブロック(重合体ブロック(b))とメチルスチレン−イソブチレン共重合体(重合体ブロック(a))とから成る熱可塑性エラストマーの重量平均分子量は211,000、数平均分子量は180,000であり、分子量分布は1.17であった。pMStの1分間当たりの投入速度は、pMSt滴下終了時の反応溶液の容量に対して、0.9mM/minであった。重合中のp−メチルスチレンの最大物質量(mol)は総イソブチレンの物質量、すなわちイソブチレンモノマーの仕込み量(mol)に対して1/151(mol/mol)であり、並びに、イソブチレン及びp−メチルスチレンは共に一定の割合で消費されていた。
更に実施例7と同様に臭素(Br)との反応を行い、臭素が導入された熱可塑性エラストマーを得た。臭素化反応前のメチル基は反応後に100%がモノブロモメチル基に、0%がジブロモメチル基に変換されていた。得られた臭素が導入された熱可塑性エラストマーの重量平均分子量は181,000、数平均分子量は93,000であり、分子量分布は1.94であった。また、その各種結果はTb:3.8MPa、Eb:1064%、接着性:100N、及び耐熱性:19.1%であった。結果を表2に示す。
(実施例10)
p−ジクミルクロライドを0.28g(1.22mmol)、チタンテトライソプロポキシドを13.5ml(46mmol)、四塩化チタン35mL(0.32mol)にした以外は実施例7と同様の操作を行い、熱可塑性エラストマーを得た。イソブチレンとp−メチルスチレンのランダム共重合体(重合体ブロック(a))の重量平均分子量は204,000、数平均分子量は135,000であり、分子量分布は1.51であった。また、ポリスチレンブロック(重合体ブロック(b))とメチルスチレン−イソブチレン共重合体(重合体ブロック(a))とから成る熱可塑性エラストマーの重量平均分子量は190,000、数平均分子量は93,000であり、分子量分布は1.93であった。pMStの1分間当たりの投入速度は、pMSt滴下終了時の反応溶液の容量に対して、0.9mM/minであった。重合中のp−メチルスチレンの最大物質量(mol)は総イソブチレンの物質量、すなわちイソブチレンモノマーの仕込み量(mol)に対して1/146(mol/mol)であり、並びに、イソブチレン及びp−メチルスチレンは共に一定の割合で消費されていた。
更に実施例7と同様に臭素(Br)との反応を行い、臭素が導入された熱可塑性エラストマーを得た。臭素化反応前のp−メチルスチレンのメチル基は反応後に80%がモノブロモメチル基に、0%がジブロモメチル基に変換されていた。得られた臭素が導入された熱可塑性エラストマーの重量平均分子量は179,000、数平均分子量は74,000であり、分子量分布は2.43であった。また、その各種結果は、Tb:0.4MPa、Eb:2500%、接着性:77N、及び耐熱性:12.3%であった。結果を表2に示す。
(実施例11)
p−メチルスチレン3.6g(30mmol)と塩化ブチル2.3g、ヘキサン1.0gの混合溶液を0.23g/minの流速を滴下投入した以外は実施例7と同様の操作を行い、熱可塑性エラストマーを得た。イソブチレンとp−メチルスチレンのランダム共重合体(重合体ブロック(a))の重量平均分子量は117,000、数平均分子量は103,000であり、分子量分布は1.14であった。また、ポリスチレンブロック(重合体ブロック(b))とメチルスチレン−イソブチレン共重合体(重合体ブロック(a))とから成る熱可塑性エラストマーの重量平均分子量は148,000、数平均分子量は129,000であり、分子量分布は1.15であった。pMStの1分間当たりの投入速度は、反応溶液の最終容量に対して、0.5mM/minであった。重合中のp−メチルスチレンの最大物質量(mol)は総イソブチレンの物質量、すなわちイソブチレンモノマーの仕込み量(mol)に対して1/459(mol/mol)であり、並びに、イソブチレン及びp−メチルスチレンは共に一定の割合で消費されていた。
更に実施例7と同様に臭素(Br)との反応を行い、臭素が導入された熱可塑性エラストマーを得た。臭素化反応前のp−メチルスチレンのメチル基は反応後に100%がモノブロモメチル基に、0%がジブロモメチル基に変換されていた。得られた臭素が導入された熱可塑性エラストマーの各種結果は、Tb:8.5MPa、Eb:1075%、接着性:34N、及び耐熱性:17.2%であった。結果を表2に示す。
(実施例12)
p−ジクミルクロライドを0.47g(2.03mmol)にした以外は実施例11と同様の操作を行い、熱可塑性エラストマーを得た。イソブチレンとp−メチルスチレンのランダム共重合体(重合体ブロック(a))の重量平均分子量は154,000、数平均分子量は126,000であり、分子量分布は1.23であった。また、ポリスチレンブロック(重合体ブロック(b))とメチルスチレン−イソブチレン共重合体(重合体ブロック(a))とから成る熱可塑性エラストマーの重量平均分子量は176,000、数平均分子量は101,000であり、分子量分布は1.74であった。pMStの1分間当たりの投入速度は、反応溶液の最終容量に対して、0.5mM/minであった。重合中のp−メチルスチレンの最大物質量(mol)は総イソブチレンの物質量、すなわちイソブチレンモノマーの仕込み量(mol)に対して1/370(mol/mol)であり、並びに、イソブチレン及びp−メチルスチレンは共に一定の割合で消費されていた。
更に実施例11と同様に臭素(Br)との反応を行い、臭素が導入された熱可塑性エラストマーを得た。臭素化反応前のp−メチルスチレンのメチル基は反応後に97%がモノブロモメチル基に、0%がジブロモメチル基に変換されていた。得られた臭素が導入された熱可塑性エラストマーの各種結果は、Tb:8.7MPa、Eb:965%、接着性:52N、及び耐熱性:26.4%であった。結果を表2に示す。
(実施例13)
p−メチルスチレンと一緒にp−クロロメチルスチレン0.84g(5.5mmol)を滴下投入した以外は実施例5と同様の操作を行い、熱可塑性エラストマーを得た。イソブチレン、p−メチルスチレン、及びp−クロロメチルスチレンのランダム共重合体(重合体ブロック(a))の重量平均分子量は101,000、数平均分子量は81,000であり、分子量分布は1.24であった。また、ポリスチレンブロック(重合体ブロック(b))とクロロメチルスチレン−メチルスチレン−イソブチレン共重合体(重合体ブロック(a))とから成る熱可塑性エラストマーの重量平均分子量は125,000、数平均分子量は88,000であり、分子量分布は1.42であった。得られた熱可塑性エラストマーの各種結果は、Tb:4.76MPa、Eb:1160%であった。pMStの1分間当たりの投入速度は、pMSt滴下終了時の反応溶液の容量に対して、1.1mM/minであった。重合中のp−メチルスチレンの最大物質量(mol)は総イソブチレンの物質量、すなわちイソブチレンモノマーの仕込み量(mol)に対して1/200(mol/mol)であり、並びに、イソブチレン及びp−メチルスチレンは共に一定の割合で消費されていた。結果を表2に示す。
(実施例14)
実施例3で得られた臭素化された熱可塑性エラストマー20.0gをトルエン96.3gに溶解させ、更にアクリル酸カリウム16.6g、テトラブチルアンモニウム1.46g、キョーワード700(登録商標、協和化学工業社製)0.08g、及びH−TEMPO(デグサ社製)0.002gを投入して90℃で加熱攪拌した。90℃到達から1時間後、大過剰量のメタノールへ反応溶液を投入し、アクリロイル基が導入された熱可塑性エラストマーを析出させた。メタノールを数回入れ替えて不純物を除いた後、析出物を80℃真空条件下で一晩乾燥させ、アクリロイル基が導入された熱可塑性エラストマーを得た。アクリロイル基が導入された熱可塑性エラストマーのH NMRを測定したところ、モノブロモメチル基を示唆するシグナルが完全に消失し、アクリロイル基を示唆するシグナルが発生しているのを確認した。アクリロイル基のシグナルの積分値から、アクリロイル基は反応前のモノブロモメチル基に対して97%が導入されたことが算出された。アクリロイル化後の熱可塑性エラストマーの各種結果はTb:4.50MPa、Eb:1205%であった。
(比較例1)
2Lのセパラブルフラスコの容器内を窒素置換した後、注射器を用いて、塩化ブチル(蒸留後、モレキュラーシーブスで乾燥したもの)274.5mL及びヘキサン(蒸留後、モレキュラーシーブスで乾燥したもの)117.6mLを加えた。重合容器を−80℃のドライアイス/エタノール中に浸して冷却した後、イソブチレンモノマー93.9mL(1.016mol)を加えた。次に、p−ジクミルクロライド0.160g(0.69mmol)及びトリエチルアミン0.210g(2.1mmol)を加えた。次に、チタンテトライソプロポキシド2.05ml(0.691mmol)を加え、系中を−70℃まで冷却した。四塩化チタン5.30mL(0.0484mol)を加えて重合を開始した。四塩化チタンを投入してから間もなく、p−メチルスチレン3.265g(0.0276mol)と塩化ブチル5.78g、ヘキサン1.84gの混合溶液0.363gを1分毎にシリンジを使って30分間かけて全量をショット投入した。pMStの1ショットあたりの投入量は、反応溶液の最終容量に対して、1.8mM/shotであった。反応中随時反応溶液を抜き取りp−メチルスチレンの濃度を測定したところ、p−メチルスチレン投入終了時が未反応のp−メチルスチレン濃度が最も高く、その時のp−メチルスチレンの物質量(mol)は総イソブチレンの物質量、すなわちイソブチレンモノマーの仕込み量(mol)に対して1/83(mol/mol)であった。四塩化チタンを投入してから102分後に、イソブチレン及びp−メチルスチレンの99重量%が消費されていることをガスクロマトグラフィーにより確認した。この時点でのイソブチレンとp−メチルスチレンのランダム共重合体(重合体ブロック(a))の重量平均分子量は95,000、数平均分子量は44,000であり、分子量分布は2.19であった。四塩化チタンの投入後125分後にスチレンモノマー13.85ml(0.12mol)を投入した。スチレンモノマー投入後94分後に投入したスチレンモノマーの80重量%が消費されたことをガスクロマトグラフィーにより確認した。次いで、反応溶液全体を、70℃に加熱している2.8重量%水酸化ナトリウム水溶液0.3Lに注ぎ込み、60分間メカニカルスターラーを使用して激しく撹拌することで、重合を停止させた。次に、純水0.3Lで洗浄を2回繰り返した。その後、加熱下に溶剤等の揮発分を留去し、乾燥させることにより、ポリスチレンブロック(重合体ブロック(b))とメチルスチレン−イソブチレン共重合体(重合体ブロック(a))とから成る熱可塑性エラストマーを70g得た。得られた熱可塑性エラストマーの重量平均分子量は107,000、数平均分子量は59,000であり、分子量分布は1.80であった。熱可塑性エラストマーの物性結果はTb:2.56MPa、及びEb:1506%であった。結果を表2に示す。
(比較例2)
200LのSUS製重合機の容器内を窒素置換した後、配管を通して、塩化ブチル(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)66.37L及びヘキサン(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)21.189mLを加えた。重合機のジャケットに−80℃のブラインを通して重合機を冷却した後、イソブチレンモノマー26.187L(277.223mol)を加えた。次に、p−ジクミルクロライド43.576g(0.189mol)及びトリエチルアミン57.23g(0.57mol)を加えた。次に、チタンテトライソプロポキシド558ml(1.89mol)を加え、系中を−70℃まで冷却した。四塩化チタン1.447L(13.20mol)を加えて重合を開始した。四塩化チタンを投入してから間もなく、p−メチルスチレン0.891kg(7.54mol)と塩化ブチル1.576kg、ヘキサン0.503kgの混合溶液0.520gを10分毎に圧入して30分間かけて全量をショット投入した。pMStの1ショットあたりの投入量は、反応溶液の最終容量に対して、13.8mM/shotであった。反応中随時反応溶液を抜き取りp−メチルスチレンの濃度を測定したところ、p−メチルスチレン滴下終了時に、未反応のp−メチルスチレン濃度が最も高く、その時のp−メチルスチレンの物質量(mol)は総イソブチレンの物質量、すなわちイソブチレンモノマーの仕込み量(mol)に対して1/88(mol/mol)であった。四塩化チタンを投入してから100分後に、イソブチレン及びp−メチルスチレンの99重量%が消費されていることをガスクロマトグラフィーにより確認した。この時点でのイソブチレンとp−メチルスチレンのランダム共重合体(重合体ブロック(a))の重量平均分子量は97,000、数平均分子量は55,000であり、分子量分布は1.75であった。四塩化チタンの投入後120分後にスチレンモノマー3.42L(32.84mol)を投入した。スチレンモノマー投入後64分後に投入したスチレンモノマーの78重量%が消費されたことをガスクロマトグラフィーにより確認した。次いで、反応溶液全体を、70℃に加熱している2.8重量%水酸化ナトリウム水溶液125Lに注ぎ込み、60分間メカニカルスターラーを使用して激しく撹拌することで、重合を停止させた。次に、純水125Lで洗浄を2回繰り返した。その後、加熱下に溶剤等の揮発分を留去し、乾燥させることにより、ポリスチレンブロック(重合体ブロック(b))とメチルスチレン−イソブチレン共重合体(重合体ブロック(a))とから成る熱可塑性エラストマーを19.05kg得た。得られた熱可塑性エラストマーの重量平均分子量は111,000、数平均分子量は53,000であり、分子量分布は2.10であった。熱可塑性エラストマーの物性試験である、破断強度:Tb及び破断伸び:Ebの各試験は、得られた熱可塑性エラストマーの強度が低すぎて、測定不能であった。結果を表2に示す。
(比較例3)
2Lのセパラブルフラスコの容器内を窒素置換した後、注射器を用いて、塩化ブチル(蒸留後、モレキュラーシーブスで乾燥したもの)367mL及びヘキサン(蒸留後、モレキュラーシーブスで乾燥したもの)157mLを加えた。重合容器を−72℃のドライアイス/エタノール中に浸して冷却した後、イソブチレンモノマー128mL(1.36mol)、及びp−メチルスチレン4.4g(37mmol)を加えた。次に、p−ジクミルクロライド0.21g(0.92mmol)及びトリエチルアミン0.93g(6.7mmol)を加えた。次に、チタンテトライソプロポキシド2.7ml(9.2mmol)を加え、系中を−70℃まで冷却した。四塩化チタン7.1mL(0.06mol)を加えて重合を開始した。p−メチルスチレン濃度は重合開始時が最も高く、その時のp−メチルスチレンの物質量(mol)は総イソブチレンの物質量、すなわちイソブチレンモノマーの仕込み量(mol)に対して1/37(mol/mol)であった。四塩化チタンを投入してから55分後に、イソブチレン及びp−メチルスチレンの99重量%が消費されていることをガスクロマトグラフィーにより確認した。この時点でのイソブチレンとp−メチルスチレンの共重合体(重合体ブロック(a))の重量平均分子量は116,000、数平均分子量は91,000であり、分子量分布は1.28であった。四塩化チタンの投入後72分後にスチレンモノマー19ml(0.16mol)を投入した。スチレンモノマー投入100分後に投入したスチレンモノマーの83重量%が消費されたことをガスクロマトグラフィーにより確認した。次いで、反応溶液全体を、50℃に加熱している2.8重量%水酸化ナトリウム水溶液0.3Lに注ぎ込み、60分間メカニカルスターラーを使用して激しく撹拌することで、重合を停止させた。次に、純水0.3Lで洗浄を2回繰り返した。その後、加熱下に溶剤等の揮発分を留去し、乾燥させることにより、ポリスチレンブロック(重合体ブロック(b))とメチルスチレン−イソブチレン共重合体(重合体ブロック(a))とから成る熱可塑性エラストマーを93g得た。得られた熱可塑性エラストマーの重量平均分子量は136,000、数平均分子量は90,000であり、分子量分布は1.51であった。熱可塑性エラストマーの各種物性評価結果はTb:1.17MPa、及びEb:1094%であった。
前記方法で得られた熱可塑性エラストマー63gを1−クロロブタン271g、及びn−ヘキサン86gに1Lフラスコ中で溶解させた。得られた溶液に窒素バブリングを60分間行い、その後はフラスコ内を窒素フローに切り替えた。更に臭素(Br)6.0g(0.037mmol)を極力光に曝さないよう遮光した状態で前記溶液に投入して室温で攪拌した。臭素投入から120分後にNaHCO7.9gを添加して30分間攪拌した後、NaHSO3.9gを反応溶液へ添加し、褐色が消えポリマー溶液のpHが中性になるまで室温下で攪拌した。ポリマー溶液を目開き1μのフィルターでろ過し、ろ液を80℃真空条件下で一晩乾燥させて臭素が導入された熱可塑性エラストマーを得た。臭素化反応前のp−メチルスチレンのメチル基は反応後に99%がモノブロモメチル基に変換されていた。得られた臭素が導入された熱可塑性エラストマーの各種結果は、Tb:1.0MPa、Eb:1056%、接着性:48N、及び耐熱性:8.4%であった。結果を表2に示す。
(比較例4)
2Lのセパラブルフラスコの容器内を窒素置換した後、注射器を用いて、塩化ブチル(蒸留後、モレキュラーシーブスで乾燥したもの)1151mL及びヘキサン(蒸留後、モレキュラーシーブスで乾燥したもの)128mLを加えた。重合容器を−72℃のドライアイス/エタノール中に浸して冷却した後、イソブチレンモノマー400mL(4.23mol)を加えた。次に、p−ジクミルクロライド0.67g(2.88mmol)及びα−ピコリン0.55g(5.9mmol)を加え、系中を−70℃まで冷却した。四塩化チタン4.5mL(0.04mol)を加えて重合を開始した。四塩化チタンを投入してから55分後に、イソブチレンの99重量%が消費されていることをガスクロマトグラフィーにより確認した。この時点でのイソブチレン単独重合体の重量平均分子量は92,000、数平均分子量は82,000であり、分子量分布は1.12であった。四塩化チタンの投入後73分後にスチレンモノマー46ml(0.4mol)を投入した。その後まもなくp−メチルスチレン11.9g(0.1mol)を投入した。スチレンモノマー投入100分後に投入したスチレンモノマーの84重量%が消費されたことをガスクロマトグラフィーにより確認した。次いで、反応溶液全体を、50℃に加熱している2.8重量%水酸化ナトリウム水溶液0.3Lに注ぎ込み、60分間メカニカルスターラーを使用して激しく撹拌することで、重合を停止させた。次に、純水0.3Lで洗浄を2回繰り返した。その後、加熱下に溶剤等の揮発分を留去し、乾燥させることにより、ポリスチレン−p−メチルスチレンブロックを有するイソブチレン重合体を281g得た。得られたポリマーの重量平均分子量は117,000、数平均分子量は95,000であり、分子量分布は1.23であった。ポリマーの各種物性評価結果はTb:14.6MPa、及びEb:933%であった。
更に実施例4と同様に臭素(Br)との反応を行い、臭素が導入されたポリマーを得た。臭素化反応前のp−メチルスチレンのメチル基は反応後に50%がモノブロモメチル基に変換されていた。得られた臭素が導入されたポリマーの重量平均分子量は118,000、数平均分子量は97,000であり、分子量分布は1.22であった。また、その各種結果は、Tb:12.1MPa、Eb:807%、接着性:19N、及び耐熱性:10.4%であった。結果を表2に示す。
(まとめ)
表1及び2に示されたように、ブロック(a)の重合中に存在する未反応アルキルスチレン(B)の物質量を総イソオレフィン系単量体の物質量に対して1/90以下に保った実施例1〜13は比較例1〜3に比べてTbが高く熱可塑性エラストマー特有の優れた機械強度を示すとともに、優れた接着性及び耐熱性を併せ持っているといえる。なお、表1及び2では、接着性評価と耐熱性評価との合計を、これらの総合評価として示している。
更に、ハロゲン化されたポリイソブチレン系熱可塑性エラストマーにおいて、ハロゲン基を有するユニット数が12〜45ユニットであり、且つ数平均分子量が70,000〜200,000である実施例6,8,9及び12は高い接着性と耐熱性の両方を持ち合わせるといえる。
Figure 0006827919
Figure 0006827919

Claims (14)

  1. 炭素数4〜7のイソオレフィン系単量体(A)と下記一般式(1)で表されるアルキルスチレン(B)と
    Figure 0006827919
    (式中、R及びRは、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜5のアルキル基、及び炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基から成る群から選択され、R及びRはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。)
    を主成分とするブロック(a)と、芳香族ビニル単量体(C)を主成分とするブロック(b)と、から成る熱可塑性エラストマーの製造方法において、
    下記一般式(2)で表される化合物を重合開始剤とし、
    Figure 0006827919
    (式中、複数のRは、同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は炭素数1〜6の1価の炭化水素基を示す。Rは、1価若しくは多価の芳香族炭化水素基又は1価若しくは多価の脂肪族炭化水素基を示す。Xは、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシル基、又は、炭素数1〜6のアシロキシル基を示す。nは、1〜6の整数を示す。Xが複数存在するとき、それらは、同一であっても異なっていてもよい。)
    ブロック(a)の重合中に存在する未反応のアルキルスチレン(B)の物質量をイソオレフィン系単量体(A)の総物質量に対して、モル比で、1/90以下に保つことを特徴とする熱可塑性エラストマーの製造方法。
  2. 前記一般式(1)のR及びRは、同一であっても異なっていてもよく、水素原子、又は炭素数1〜5のアルキル基であることを特徴とする請求項1記載の熱可塑性エラストマーの製造方法。
  3. 前記一般式(1)で表されるアルキルスチレン(B)の物質量が前記一般式(2)で表される重合開始剤の物質量に対して、モル比で1〜100倍であることを特徴とする請求項1又は2記載の熱可塑性エラストマーの製造方法。
  4. 前記熱可塑性エラストマーは、ブロック(a)が中間ブロックであって、ブロック(b)が両端ブロックである、トリブロック構造であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマーの製造方法。
  5. 前記炭素数4〜7のイソオレフィン系単量体(A)がイソブチレンであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマーの製造方法。
  6. 前記アルキルスチレン(B)がp−メチルスチレンであり、前記芳香族ビニル単量体(C)がスチレンであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマーの製造方法。
  7. 前記ブロック(a)が、前記炭素数4〜7のイソオレフィン系単量体(A)に由来するユニットと前記アルキルスチレン(B)に由来するユニットとがランダムに連なった重合体ブロックであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマーの製造方法。
  8. 前記ブロック(a)及びブロック(b)から成るブロック構造重合体の重量平均分子量が5,000〜1,000,000であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマーの製造方法。
  9. 前記ブロック(a)の重量平均分子量がブロック構造重合体全体の重量平均分子量に対して60〜95%を占めることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマーの製造方法。
  10. 前記ブロック(a)の分子量分布が1.7以下であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマーの製造方法。
  11. 前記ブロック(a)の全重合時間のうちの10%以上の時間を使用して、アルキルスチレン(B)を滴下投入することを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマーの製造方法。
  12. さらに、前記熱可塑性エラストマーにハロゲン基を導入する工程を含むことを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマーの製造方法。
  13. さらに、前記熱可塑性エラストマーのハロゲン基を官能化剤と反応させてハロゲン基以外の官能基を導入する工程を含むことを特徴とする請求項12記載の熱可塑性エラストマーの製造方法。
  14. 請求項1〜13のいずれか1項に記載の製造方法により得られる熱可塑性エラストマー。
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