JP2020152739A - 臭素化ポリイソブチレン系重合体および製造方法 - Google Patents

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    • C08F8/18Introducing halogen atoms or halogen-containing groups
    • C08F8/20Halogenation

Abstract

【課題】 従来公知の重合体よりも高い臭素官能基量を有し、優れた加硫反応性を示し、かつゴム強度およびガスバリア性のバランスに優れた臭素化ポリイソブチレン系重合体およびその製造方法を提供すること。【解決手段】 メチルスチレン基が臭素化されたモノマー単位を含む臭素化ポリイソブチレン系重合体であって、メチルスチレン基のうち65モル%以上が臭素化されており、かつ、構成モノマー単位に占めるブロモメチルスチレン基の割合が1.0モル%以上であることを特徴とする臭素化ポリイソブチレン系重合体により達成される。【選択図】なし

Description

本発明は、臭素化ポリイソブチレン系重合体および製造方法に関し、より詳しくは、臭素含有量の高いポリイソブチレン系重合体とその製造方法に関する。
イソブチレンを主成分として含むポリイソブチレン系重合体は優れた柔軟性やガスバリア性を活かして、各種シール部材として広く使用されている。その様な重合体としては、例えば、イソブチレン−イソプレン重合体や、ハロゲン化イソブチレン−イソプレン重合体の他、イソブチレン−メチルスチレン重合体や、ハロゲン化されたイソブチレン−メチルスチレン重合体が知られている。
一般的に、ハロゲン基を持たない重合体よりも、塩素基や臭素基を有する重合体はこの順に加硫反応性が高まる傾向が認められ、生産性が向上するので、各種ゴム部材として好適に使用される。
一例として、臭素化されたイソブチレン−メチルスチレン重合体、臭素化方法、およびその使用については、特許文献1〜3に開示されている。しかしながら、公知のブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、ハロゲン化されたイソブチレン−アルキルスチレン共重合体は、それ自体は架橋点を持たないため、グリーン強度が低く、また、ベール状で提供されるため、取り扱いが困難であるという課題があった。
他のイソブチレン系重合体として、イソブチレン−スチレン系ブロック共重合体が知られている。上述したイソブチレン−イソプレン重合体や、イソブチレン−メチルスチレン重合体は未架橋時には塑性変形を示すのに対し(グリーン強度が低い)、イソブチレン−スチレン系ブロック共重合体は、それ自体が適度な強度を有し、ペレット形状で提供されるため、取り扱いやすいという利点がある。
しかしながら、官能基を持たないイソブチレン−スチレン系ブロック共重合体は、加硫反応性を示さず、ゴム部材として求められる諸物性を満たさない場合がるという課題があった。
特許文献4には、イソブチレン−スチレン系ブロック共重合体を構成するモノマーとしてクロロメチルスチレンやブロモメチルスチレンの使用が開示されているが、特に臭素基の導入に関しては具体的に検討されていなかった。更には、臭素官能基量と加硫反応性の関係や、高臭素基含有イソブチレン系ブロック共重合体の製造方法に関する開示もなされていなかった。更には、クロメチルスチレンやブロモメチルスチレンといった取り扱い難い原料を使用する必要があった。
特許文献5には、イソブチレンセグメントに臭素化メチルスチレン基を含有するスチレン−イソブチレン系ブロック共重合体が開示されている。しかしながら、ゴム部材としての特性には改善の余地があった。
特開平2−150408号公報 特表2010−531386号公報 特表2002−544357号公報 特開2012−087201号公報 WO2000−040631号公報
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、従来公知の重合体よりも高い臭素官能基量を有し、優れた加硫反応性を示し、かつゴム強度およびガスバリア性のバランスに優れた臭素化ポリイソブチレン系重合体および製造方法を提供することにある。
本発明者は、メチルスチレン基のうち65モル%以上が臭素化され、構成モノマー単位に占めるブロモメチルスチレン基の割合が1.0モル%以上である臭素化ポリイソブチレン系重合体により上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、
(1)メチルスチレン基が臭素化されたモノマー単位を含む臭素化ポリイソブチレン系重合体であって、メチルスチレン基のうち65モル%以上が臭素化されており、かつ、構成モノマー単位に占めるブロモメチルスチレン基の割合が1.0モル%以上であることを特徴とする臭素化ポリイソブチレン系重合体に関する。
(2)前記メチルスチレン基が、p−メチルスチレン(4−メチルスチレン)基であることを特徴とする臭素化ポリイソブチレン系重合体に関する。
(3)前記臭素化ポリイソブチレン系重合体が、イソブチレンを主体とするブロック(a)と芳香族ビニル系化合物を主体とするブロック(b)とからなるブロック共重合体であることを特徴とする臭素化ポリイソブチレン系重合体に関する。
(4)前記イソブチレンを主体とするブロック(a)と芳香族ビニル系化合物を主体とするブロック(b)とからなるブロック共重合体中に共重合されるメチルスチレンのうち、50重量%以上がイソブチレンを主体とするブロック(a)中に含有されることを特徴とする臭素化ポリイソブチレン系重合体に関する。
(5)JIS K−7126によって測定された酸素透過係数が0〜10.0x10−16(mol・m/(m・sec・Pa))であり、かつ、JIS K−6251によって測定された引張強度が5.0〜30.0MPaであることを特徴とする臭素化ポリイソブチレン系重合体に関する。
(6)メチルスチレン基を有するモノマー単位を含むイソブチレン系重合体と臭素(Br)を含んでなる反応混合物に、350nm〜600nmの波長をもち、かつ、300nm以下の波長の光を含有しない光を照射することで、メチルスチレン部位を臭素化することを特徴とする臭素化ポリイソブチレン系重合体の製造方法に関する。
(7)光の光源がLED(発光ダイオード)であることを特徴とする臭素化ポリイソブチレン系重合体の製造方法に関する。
(8)前記反応混合物において、溶液中に残存するスチレンと臭素のモル数の比((スチレンのモル数)/(臭素のモル数)で表される値)が0.35より小さいことを特徴とする臭素化ポリイソブチレン系重合体の製造方法に関する。
(9)前記反応混合物において、溶液中に存在するハロゲン化金属化合物と臭素のモル数の比((ハロゲン化金属化合物のモル数)/(臭素のモル数)で表される値)が1.5より小さいことを特徴とする臭素化ポリイソブチレン系重合体の製造方法に関する。
本発明によれば、従来公知の重合体よりも高い臭素官能基量を有し、優れた加硫反応性を示し、かつゴム強度およびガスバリア性のバランスに優れた臭素化ポリイソブチレン系重合体および製造方法が提供される。
<<臭素化ポリイソブチレン系重合体>>
本発明の臭素化ポリイソブチレン系重合体とは、主鎖にイソブチレン単位とメチルスチレン単位を含み、導入されたメチルスチレン基の65モル%以上が臭素化されているものを指す。
ブロモメチルスチレン基の構造を有していればどのような重合体組成のものでも使用することができるが、イソブチレン単位を50重量%以上含有するものが良好なガスバリア性、柔軟性、耐熱性を発現できる点から好ましい。逆に、50重量%以下では、ガスバリア性に劣る場合があるため好ましくない。
重合体の構造は、ランダム共重合体であっても、ブロック共重合体であってもよいが、グリーン強度に優れる熱可塑性エラストマーが製造できる点で、ブロック共重合体であることが好ましい。
これらは、架橋工程を経ずとも、ゴム弾性を発現できるだけでなく、ペレット形状にすることができるため、押出機等での取り扱いが容易であり、かつ、一旦成型した後でも再加工可能な材料であることから、低環境負荷である点で好ましい。
<<臭素化ポリイソブチレン系ブロック共重合体>>
本発明の臭素化ポリイソブチレン系重合体は、イソブチレンを主体とする重合体ブロック(a)と、芳香族ビニル系化合物を主体とする重合体ブロック(b)を含む臭素化ポリイソブチレン系ブロック共重合体であるのが好ましい。
本発明の臭素化ポリイソブチレン系ブロック共重合体は、イソブチレンを主体とする重合体ブロック(a)と芳香族ビニル系化合物を主体とする重合体ブロック(b)から構成されている限り、その構造には特に制限はなく、例えば、直鎖状、分岐状、星型状等の構造を有するブロック共重合体、ジブロック共重合体、トリブロック共重合体、マルチブロック共重合体、およびこれらの群から任意に選ばれた2種以上の構造の混合物のいずれも選択可能である。
物性バランスや成形加工性の観点から好ましい構造としては、両末端に芳香族ビニル系化合物を主体とする重合体ブロック(b)を有し、その間にイソブチレンを主体とする重合体ブロック(a)を有する(b)−(a)−(b)型トリブロック共重合体や、芳香族ビニル系化合物を主体とする重合体ブロックとイソブチレンを主体とする重合体ブロックが結合した(a)−(b)型ジブロック共重合体が挙げられる。
臭素化ポリイソブチレン系ブロック共重合体の全重量に占めるイソブチレンを主体とする重合体ブロック(a)の含有量としては、好ましくは20〜95重量%、より好ましくは50〜90重量%である。95%を上回ると、ペレットとしての取り扱いが困難になり、共重合体がベール状となる為に、加工時の取り扱い性が悪化する点で好ましくない。また、20%を下回ると共重合体の硬度が高くなり過ぎ、柔軟性が乏しくなり、エラストマー材料としての性能を十分に発揮できない。
本発明の臭素化ポリイソブチレン系重合体の数平均分子量は特に制限がないがゲルパーミエーションクロマトグラムで測定したポリスチレン換算分子量において、5,000から1,000,000が好ましく、10,000から500,000が特に好ましい。5,000未満の場合、機械的な特性が十分に発現されず、エラストマー材料としての性能に劣る場合がある。また1,000,000を超える場合、流動性、加工性、成形性の低下が顕著になり、製造時の取扱いが困難になる場合がある。
本発明の臭素化ポリイソブチレン系重合体の分子量分布(重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnの比(Mw/Mn)で表される数値)は、1.0〜3.0が好ましく、1.0〜2.0の範囲にあるものがより好ましい。3.0を超える場合は、分子量の均一性が低く、溶融状態での粘度が低くなり過ぎるかまたは高くなり過ぎる場合があり、加工安定性の点で好ましくなく、作業性が悪化する場合がある。そのため、特に、樹脂の溶融粘度を低粘度化できることから2.0より小さいことが好ましい。
本発明の臭素化ポリイソブチレン系重合体のガスバリア性は、JIS K−7126によって測定された酸素透過係数を求めることで、評価可能である。酸素透過係数が0〜10.0x10−16(mol・m/(m・sec・Pa))であれば、公知のブチルゴムと同様のガスバリア性が期待できるため好ましい。10.0x10−16(mol・m/(m・sec・Pa))以上の場合、ガスバリア性に劣り、一般的なブチルゴムに求められる水準を下回るため好ましくない。
本発明の臭素化ポリイソブチレン系重合体の引張強度は、JIS K−6251によって測定された引張強度が5.0〜30.0MPaであることが好ましい。5.0MPaを下回る場合、グリーン強度が不足し、生産性が低下する場合があるため好ましくない。また、30.0MPaを超える場合、成型時の溶融粘度が高すぎることで、成型物表面に凹凸が見られ、意匠性が低下する場合があるため好ましくない。
<芳香族ビニル系化合物を主体とする重合体ブロック>
芳香族ビニル系化合物を主体とする重合体ブロックは、芳香族ビニル系化合物に由来するユニットが60重量%以上、好ましくは80重量%以上から構成される重合体ブロックである。
芳香族ビニル系化合物としては、スチレン、o−、m−又はp−メチルスチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、2,6−ジメチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、α−メチル−o−メチルスチレン、α−メチル−m−メチルスチレン、α−メチル−p−メチルスチレン、β−メチル−o−メチルスチレン、β−メチル−m−メチルスチレン、β−メチル−p−メチルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン、α−メチル−2,6−ジメチルスチレン、α−メチル−2,4−ジメチルスチレン、β−メチル−2,6−ジメチルスチレン、β−メチル−2,4−ジメチルスチレン、o−、m−又はp−クロロスチレン、2,6−ジクロロスチレン、2,4−ジクロロスチレン、α−クロロ−o−クロロスチレン、α−クロロ−m−クロロスチレン、α−クロロ−p−クロロスチレン、β−クロロ−o−クロロスチレン、β−クロロ−m−クロロスチレン、β−クロロ−p−クロロスチレン、2,4,6−トリクロロスチレン、α−クロロ−2,6−ジクロロスチレン、α−クロロ−2,4−ジクロロスチレン、β−クロロ−2,6−ジクロロスチレン、β−クロロ−2,4−ジクロロスチレン、o−、m−又はp−t−ブチルスチレン、o−、m−又はp−メトキシスチレン、o−、m−又はp−クロロメチルスチレン、o−、m−又はp−ブロモメチルスチレン、シリル基で置換されたスチレン誘導体、インデン、ビニルナフタレン等が挙げられる。これらの中でも、工業的な入手性や価格、ガラス転移温度の点から、スチレン、メチルスチレン(o−体、m−体又はp−体)、α−メチルスチレン、インデンか、または、これらの混合物が好ましく、特に入手性が良好である点でスチレンが好ましい。
<イソブチレンを主体とする重合体ブロック>
イソブチレンを主成分とする重合体ブロックは、得られる共重合体のエラストマーとしての力学物性が優れていることから、イソブチレンに由来するユニットが50重量%以上、好ましくは80重量%以上から構成される重合体ブロックである。50重量%を下回ると、ガスバリア性に劣る場合があるため好ましくない。
また、本質的にイソブチレンのみからなる重合体ブロックであってもよいし、本発明の効果を損なわない範囲であれば、イソブチレン以外のモノマーを含有していてもよい。
イソブチレン以外のモノマーとしては、イソブチレンとカチオン重合可能なモノマーであれば特に制限はないが、例えば、脂肪族オレフィン類、芳香族ビニル化合物、ジエン類、ビニルエーテル類、シラン類、ビニルカルバゾール、β−ピネン、アセナフチレン等の単量体が例示できる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、上記いずれの重合体ブロックも、共重合成分として、相互の単量体を使用することができるほか、その他のカチオン重合可能な単量体成分を使用することができる。このような単量体成分としては、脂肪族オレフィン類、ジエン類、ビニルエーテル類、シラン類、ビニルカルバゾール、アセナフチレン等の単量体が例示できる。これらはそれぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
<メチルスチレン>
本発明で使用しうるメチルスチレンとしてはo−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレンが挙げられるが、p−メチルスチレンが入手性および反応性、ゴム物性の点で好ましい。
<ブロモメチルスチレン基>
本発明における臭素化ポリイソブチレン系重合体は、下記一般式(1)の構造を有するイソブチレン系重合体を臭素化することによって得られる。
Figure 2020152739
一般式(1)のメチル基の位置はオルト位、メタ位、パラ位のいずれでも構わないが、原料の入手性や反応性の点から、メタ位かまたはパラ位に置換基を有することが好ましい。
イソブチレンを主体とする単量体との共重合条件によっては、m−メチルスチレンよりもp−メチルスチレンの方が共重合性が高く、機械物性に優れる重合体が得られる点で、パラ位に置換基を有することが最も好ましい。従って、p−メチルスチレンを原料として使用することが最も好ましい。
一般式(1)で表される構造は、イソブチレン系重合体を構成する全モノマーに対して1.0〜50.0モル%であることが好ましく、より好ましくは1.5〜30.0モル%である。1.0モル%を下回ると、ブロモメチルスチレン基の含有量が低下し、加硫反応性や異種ゴム部材との反応性が十分でない場合がある為好ましくない。50.0モル%を上回ると、臭素化ポリイソブチレン系重合体の柔軟性、屈曲疲労性、低温特性等が損なわれる他、経済的にも利点が減少する場合がある為好ましくない。
本発明における臭素化ポリイソブチレン系重合体は、上記一般式(1)の構造を有するイソブチレン系重合体を臭素化することによって得られる。臭素化方法は特に制限はないが、特に特定波長の光照射下に臭素と反応させることにより、下記一般式(2)を有する臭素化ポリイソブチレン系重合体に誘導することにより得ることが好ましい。
Figure 2020152739
特許文献1、2に開示されている重合体は、その主鎖中に導入されたメチルスチレン基のうち60モル%以下が臭素化されたものである。一方、本発明における臭素化ポリイソブチレン系重合体は、導入されたメチルスチレンユニットのうち、65モル%以上がブロモメチルスチレン基へと置換された構造を有する。65モル%未満の変換効率の場合、加硫反応性や異種ゴム部材に対する反応性が所望の水準に達しない場合があるため好ましくない。さらには、臭素化ポリイソブチレン系重合体の構成モノマー単位に占めるブロモメチルスチレン基の割合が1.0モル%以上であることが好ましい。
ブロモメチルスチレン基の含有量を高める方法としては、例えば、メチルスチレン基を多数導入することが考えられる。しかしながら、この方法では、重合体のガラス転移温度が高くなり、ゴム部材としての優れた柔軟性、屈曲疲労性、低温特性等が損なわれるため、好ましくない。従って、メチルスチレン基をブロモメチルスチレン基へと変換する効率そのものを高める方法が必要とされている。
特許文献5に開示された臭素化方法は、強力ランプによる臭素化であり、パラメチルスチレン基の32%が臭素化されるというものである。この場合、残りのパラメチルスチレン基は加硫に対する活性を持たず、上記のような諸課題を引き起こす場合があるため好ましくない。
一般式(2)で表される構造は、臭素化ポリイソブチレン系重合体を構成する全モノマーに対して1.0モル%以上であることが好ましく、1.5モル%以上であることがより好ましい。1.0モル%を下回ると、加硫反応性や異種ゴム部材との反応性が乏しい場合があるため好ましくない。
本発明で製造される臭素化ポリイソブチレン系重合体が、イソブチレンを主体とする重合体ブロック(a)と、芳香族ビニル系化合物を主体とする重合体ブロック(b)を含むポリイソブチレン系ブロック共重合体である場合、一般式(2)で表される構造が導入される位置としては、イソブチレンを主体とする重合体ブロック(a)に導入してもよいし、芳香族ビニル系化合物を主体とする重合体ブロック(b)に導入してもよいし、またはその両方のブロック中に導入されていてもよい。
ただし、満足な加硫反応性および異種ゴム部材への反応性を発現するには、一般式(2)で表される構造はイソブチレンを主体とする重合体ブロック(a)に50重量%以上導入されていることが好ましく、70重量%以上導入されていることがより好ましく、90重量%以上導入されていることが最も好ましい。イソブチレンを主体とする重合体ブロック中のメチルスチレンの割合が50重量%を下回る場合、これらの特性に劣る場合があるため好ましくない。
<<製造方法>>
本発明の臭素化ポリイソブチレン系ブロック共重合体は、イソブチレンとアルキルスチレン、および/または他のモノマーとの共重合体を得、これを次の段階において特定波長の光照射下に臭素と反応させることにより得られる。
<重合方法>
本発明の臭素化ポリイソブチレン系ブロック共重合体を製造するための重合方法としては特に限定されず、例えば、下記一般式(3)で表される化合物の存在下で、イソブチレンを主成分とする単量体成分及びイソブチレンを主成分としない単量体成分を共重合させる方法等が挙げられる。
(CR12 X)nY (3)
式中、Xはハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシ基及び炭素数1〜6のアシロキシル基からなる群より選択される置換基を表す。R1 及びR2 は、それぞれ、水素原子又は炭素数1〜6の1価の炭化水素基を表す。R1 及びR2 は、同一であっても異なっていてもよい。また、複数存在するR1 及びR2 は、それぞれ、同一であっても異なっていてもよい。Yは、n個の置換基(CR12X)を有することができる多価の芳香族炭化水素基又は多価の脂肪族炭化水素基を表す。nは、1〜6の自然数を表す。
上記ハロゲン原子としては、塩素、臭素が挙げられる。上記炭素数1〜6のアルコキシル基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基等が挙げられる。上記炭素数1〜6のアシロキシ基としては、例えば、アセチルオキシ基が挙げられる。上記炭素数1〜6の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−又はイソプロピル基等が挙げられる。
上記一般式(3)で表わされる化合物は重合開始剤となるもので、ルイス酸等の存在下で炭素陽イオンを生成し、カチオン重合の開始点になると考えられる。
本発明で用いられる一般式(3)の化合物の例としては、次のような化合物等が挙げられる。(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼン、1,4−ビス(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼン、1,3−ビス(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼン、1,3,5−トリス(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼン、及び、1,3−ビス(1−クロル−1−メチルエチル)−5−(tert−ブチル)ベンゼン。
これらの中でより好ましいものは、1−クロル−1−メチルエチルベンゼン、ビス(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼン、及び、トリス(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼンである。
上記重合反応においては、一般にルイス酸触媒を共存させる。このようなルイス酸触媒としてはカチオン重合に使用できるものであれば特に限定されず、例えば、TiCl、TiBr、BCl、BF、BF ・OEt、SnCl、AlCl 、AlBr等の金属ハロゲン化物;または、TiCl(OiPr)、TiCl(OiPr)、TiCl(OiPr)等の金属上にハロゲン原子とアルコキシド基の両方を有する金属化合物;EtAlCl、EtAlCl、MeAlCl、MeAlCl、Et1.5AlCl1.5、Me1.5AlCl1.5等の有機金属ハロゲン化物等が挙げられる。
なかでも、触媒能や入手の容易さを考えた場合、TiCl、BCl 、SnCl、TiCl(OiPr)、TiCl(OiPr)、TiCl(OiPr)が好ましい。
上記ルイス酸触媒の使用量としては特に限定されず、使用する単量体の重合特性、重合濃度、所望する重合時間や系中の発熱挙動等を鑑みて任意に設定することができる。好ましくは、上記(I)式で表される化合物に対して、0.1〜200倍モルの範囲で用いられ、より好ましくは0.2〜100倍モルの範囲である。
重合反応において、更に必要に応じて、ピリジン類、アミン類、アミド類、スルホキシド類、エステル類、金属原子に結合した酸素原子を有する金属化合物等の電子供与体成分を共存させることもできる。電子供与体成分は、成長末端の炭素カチオンを安定化させたり、ルイス酸に配位することでルイス酸性を調整したりする効果があるものと考えられており、分子量分布の狭くかつ構造が制御された重合体を得ることができる。
上記電子供与体成分としては、種々の化合物の電子供与体(エレクトロンドナー)としての強さを表すパラメーターとして定義されるドナー数が15〜60であるものとして、例えば、2,6−ジメチルピリジン、2−メチルピリジン、ピリジン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジメチルアミノピリジン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチアセトアミド、酢酸エチル、チタン(IV)テトラメトキシド、チタン(IV)テトライソプロポキシド、チタン(IV)ブトキシド等が使用できる。
この内、2,6−ジメチルピリジン、2−メチルピリジン、トリエチルアミン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、チタン(IV)イソプロポキシドが、添加効果、入手性の面で好適に使用できる。
上記電子供与体成分は、通常、上記重合開始剤に対して0.01〜100倍モル用いられ、0.1〜50倍モルの範囲で用いられるのが好ましい。
本発明における重合反応は必要に応じて有機溶媒中で行うことができる。そのような重合溶媒としては、カチオン重合で一般的に使用される溶媒であれば特に限定されず、ハロゲン化炭化水素からなる溶媒、脂肪族炭化水素や芳香族炭化水素等の非ハロゲン系の溶媒又はこれらの混合物を用いることができる。
上記ハロゲン化炭化水素としては、例えば、塩化メチル、クロロエタン、1−クロロブタン、1−クロロペンタン、1−クロロヘキサン等が挙げられる。
上記脂肪族及び/又は芳香族系炭化水素としては、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、トルエン等が挙げられる。
これらは1種又は2種以上を組み合わせて使用可能であるが、溶解性、経済性の点から、1−クロロブタンとヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサンの組み合わせが溶解性、経済性、反応性、後処理工程での蒸留のしやすさの点から好適に使用できる。
溶液の粘度や除熱の容易さを考慮して、得られる重合体の溶液濃度が1〜50重量%となるように設定するのが好ましく、より好ましくは、3〜35重量%である。
重合反応は、例えば、−100℃以上0℃未満の温度で各成分を混合し、重合させる。エネルギーコストと重合反応の安定性から、より好ましい温度範囲は、−80℃〜−30℃である。
本発明において、イソブチレン系共重合体を製造する場合、ルイス酸、重合開始剤、電子供与体成分、単量体成分等の添加方法及び添加順序等は特に限定されるものではないが、好ましい方法としては次の例が挙げられる。
メチルスチレンをイソブチレンを主体とする重合体ブロック(a)中に共重合させる場合;
(1)重合開始剤、電子供与体、イソブチレン、メチルスチレンを反応容器に予め添加しておき、所定の温度下でルイス酸成分を添加することで重合を開始させる。各単量体成分が所定の転化率に達するまで重合反応を継続し、イソブチレン−メチルスチレン共重合体を得る方法。
(2)重合開始剤、電子供与体、イソブチレンを反応容器に予め添加しておき、所定の温度下でルイス酸成分を添加することで重合を開始させる。重合反応が開始された後でメチルスチレンの連続的な添加を開始したり、また所定の時期において一括でメチルスチレンを添加したりして、各単量体成分が所定の転化率に達するまで重合反応を継続してイソブチレン−メチルスチレン共重合体を得る方法。
上記(1)および(2)の反応例においては、イソブチレンを主体とする単量体成分と、メチルスチレンが消費された後で、例えば芳香族ビニル系化合物を主体とする単量体成分を更に追加して重合反応を継続することで、メチルスチレンがポリイソブチレンブロックに導入されたイソブチレン−芳香族ビニル系化合物ブロック共重合体を得る事ができる。
メチルスチレンをイソブチレン−芳香族ビニル系化合物ブロック共重合体の芳香族ビニル系化合物ブロックに共重合させる場合;
(3)重合開始剤、電子供与体、イソブチレンを反応容器に予め添加しておき、所定の温度下でルイス酸成分を添加することで重合を開始させる。イソブチレンの重合反応が終了した段階で、芳香族ビニル系化合物成分とメチルスチレンを同時に添加して所定の転化率に達するまで重合反応を行うか、芳香族ビニル系化合物成分を先に添加し、次にメチルスチレンの連続的な添加を開始したり、または一括でメチルスチレンを添加したりして、各単量体成分が所定の転化率に達するまで重合反応を継続してイソブチレン−メチルスチレン共重合体を得る方法。
<臭素化反応>
本発明の臭素化ポリイソブチレン系重合体は、イソブチレン系重合体を得た後で、臭素化反応を行うことで製造できる。
臭素化反応は従来、溶液中において、臭素と、熱ラジカル開始剤、光ラジカル開始剤、化学ラジカル開始剤、または高圧水銀灯やタングステンランプを用いた光照射下に行われてきた。これらの臭素化技術を使用することもできるが、本発明では、臭素源の共存下に、特定波長の光を照射することで、臭素化率をさらに上げることができることを見出した。すなわち、350nm〜600nmの波長をもち、かつ、300nm以下の波長の光を含有しない光を照射することによってメチルスチレン部位を臭素化することが好ましい。これは、臭素化に必要な350nm〜600nmの長波長の光照射とすることで、反応を穏やかにし、結果として臭素化の選択性を高めているものと推察される。したがって、光の光源としてはLED(発光ダイオード)であることが好ましい。一方、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)等のラジカル発生剤による臭素化や、高圧水銀灯などの300nm以下の波長を含む光照射による臭素化では反応が激しく起こることで選択性を落としているものと考えられる。
特定波長の光を照射する場合、上記ラジカル開始剤を必要としない為、従来公知のラジカル的臭素化技術よりも温和な条件で臭素化反応を行うことができる。
臭素源としては、分子状臭素(Br)やN−ブロモスクシンイミド等の従来公知のものが好適に使用できるが、入手性、経済性、取扱い易さの点で分子状臭素(Br)が好ましい。
用いる分子状臭素(Br)の量としては、イソブチレン系共重合体中のメチルスチレンのモル数に対して、0.65〜50当量であることが好ましく、0.70〜20当量であることがより好ましく、0.70〜5当量であることが最も好ましい。50当量を超えて用いても、余剰な臭素が残存し不経済であるだけでなく、その後の精製が困難になる場合があるため好ましくない。また、0.65当量より少ない場合、本発明の高い臭素化率を達成できない場合があるため好ましくない。
本発明での分子状臭素(Br)の投入方法としては、分子状臭素(Br)をそのまま系中に投入してもよいし、臭素化時に使用する溶媒等で任意の濃度に希釈して投入してもよい。
本発明の臭素化反応は塊状または溶液中で行うことができるが、イソブチレン−メチルスチレン共重合体を脂肪族炭化水素系溶媒、脂環式炭化水素系溶媒、またはハロゲン化炭化水素系溶溶媒に溶解させて、溶液中で行うことが好ましい。
好まし炭化水素系溶媒としては、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、2−メチルプロパン、2−メチルブタン、2,3,3−トリメチルペンタン、2,2,5−トリメチルヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、パラフィン油、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、ブチルベンゼン等が挙げられる。
好ましいハロゲン化炭化水素系溶媒としては、塩化メチル、塩化メチレン、クロロエタン、ジクロロエタン、1−クロロプロパン、1−クロロ−2−メチルプロパン、1−クロロブタン、1−クロロ−2−メチルブタン、1−クロロ−3−メチルブタン、1−クロロ−2,2−ジメチルブタン、1−クロロ−3,3−ジメチルブタン、1−クロロ−2,3−ジメチルブタン、1−クロロペンタン、1−クロロ−2−メチルペンタン、1−クロロ−3−メチルペンタン、1−クロロ−4−メチルペンタン、1−クロロヘキサン、1−クロロ−2−メチルヘキサン、1−クロロ−3−メチルヘキサン、1−クロロ−4−メチルヘキサン、1−クロロ−5−メチルヘキサン、1−クロロヘプタン、1−クロロオクタン、2−クロロプロパン、2−クロロブタン、2−クロロペンタン、2−クロロヘキサン、2−クロロヘプタン、2−クロロオクタン、クロロベンゼン等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を組み合わせて使用できる。
本発明における臭素化反応では、1−クロロプロパン、1−クロロブタン、1−クロロペンタンからなる群から選ばれる1種以上の溶媒とペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサンからなる群から選ばれる1種以上の溶媒の組み合わせが溶解性、経済性、反応性、後処理工程での蒸留のしやすさの点から最適である。これらの中でも、特に重合時に用いた溶媒を臭素化反応においても再度使用することが好ましい。
前記有機溶媒は、臭素化反応時の粘度や除熱の容易さを考慮して、濃度が1〜50重量%となるように設定するのが好ましく、より好ましくは、3〜35重量%である。
本発明の臭素化反応でのポリマー溶液の温度は、反応の効率、重合体の安定性、溶媒の沸点などの観点から調節される。効率的な臭素化反応を実現するために、0℃〜100℃で行うことが好ましく、10℃〜80℃の間で維持することがより好ましい。0℃以下の場合、冷却が必要になる場合があり、経済的に好ましくない。100℃以上の場合も加熱が必要になるために、経済的に好ましくない。
本発明における臭素化反応のトリガーである光照射においては、350nm〜600nmの波長をもち、かつ、300nm以下の波長の光を含有しない光を照射することが好ましい。
より好ましくは、375nm〜600nmの波長をもち、かつ、300nm以下の波長の光を含有しない光を照射することがより好ましい。350nm以下の波長を持つ光のうち、特に300nm以下の波長をもつ光は、望まないラジカル反応を引き起こすことで、ポリマー骨格の分解などの副反応を引き起こす恐れがあり、所望の重合体を効率よく得られなくなる為に好ましくない。600nm以上の波長をもつ光も臭素化反応を効率よく進行させることができない為に好ましくない。
本発明においては上述した範囲の波長を有する光照射を行うことで、効率的に臭素ラジカル分子を発生させることができ、ひいては、臭素化効率を高めているものと考えられる。
本発明の臭素化においては、スチレンおよびハロゲン化金属化合物を実質的に含まないか、できるだけ少ない条件で行うことが好ましい。
スチレンが共存している条件で臭素化を行うと、臭素がスチレンへ付加する反応が進行し、副生成物の生成および望まない反応による臭素の消費が起こる為に好ましくない。本発明の臭素化反応は、スチレンのモル数と臭素のモル数の比((スチレンのモル数)/(臭素のモル数)で表される値)が0.35より小さい条件で行うことが好ましく、0.1より小さい条件で行うことがより好ましく、0.001より小さい条件で行うことが更に好ましい。0.35より大きい条件では、臭素化反応で浪費される臭素分子が増えるため、正反応に利用できる臭素の減少および、樹脂中に残る不純物量が増加するため好ましくない。
ハロゲン化金属化合物を含有した状態で臭素化を行うと、臭素化反応活性が低下する事が見出された。従って、本発明の臭素化反応は、ハロゲン化金属化合物のモルと臭素のモル数の比((ハロゲン化金属化合物のモル数)/(臭素のモル数)で表される値)が1.5より小さい条件で行うことが好ましく、0.1より小さい条件で行うことがより好ましく、0.01より小さい条件で行うことが更に好ましい。1.5より大きい条件では、臭素化反応の進行が著しく遅くなるため好ましくない。
臭素化反応の終了後は、従来公知技術で知られるように、希苛性アルカリ水溶液による中和や純水洗浄、残留臭素の還元的処理、スチームストリッピングによる溶媒の除去によってポリマーを回収することができ、必要に応じてこの後更に乾燥される。
<樹脂組成物>
さらに本発明の効果を損なわない範囲であれば、本発明の臭素化ポリイソブチレン系重合体には、物性改良あるいは経済上の利点から充填材および補強材を配合することができる。
好適な充填材、補強材としては、有機系または無機系中空フィラー、各種発泡剤、各種クレイ、珪藻土、ケイ砂、軽石粉、スレート粉、乾式または湿式シリカ、無定形シリカ、ウォラスナイト、合成または天然ゼオライト、タルク、硫酸バリウム、リトポン、軽質または重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸アルミニウム、二硫化モリブデン、水酸化マグネシウム、ケイ酸カルシウム、アルミナ、酸化チタン、その他の金属酸化物、マイカ、グラファイト、水酸化アルミニウムなどの麟片状無機充填材、各種の金属粉、木片、ガラス粉、セラミックス粉、カーボンブラック、粒状ないし粉末ポリマーなどの粒状ないし粉末状固体充填材、その他の各種の天然または人工の短繊維、長繊維などが例示できる。
これら充填材は、本発明の効果を損なわないものであれば何でも良く、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
上記充填材の配合量は、臭素化ポリイソブチレン系重合体100重量部に対して、0〜500重量部である。500重量部を超えると、得られる樹脂組成物の物性低下が著しい場合があるため好ましくない。好ましくは0〜100重量部である。
本発明の効果を損なわない範囲であれば、本発明の臭素化ポリイソブチレン系重合体組成物には、必要に応じて、ヒンダードフェノール系、リン酸エステル系、アミン系、硫黄系などの酸化防止剤、および/またはベンソチアゾール系、ベンソトリアゾール系、ベンゾフェノン系などの紫外線吸収剤、および光安定剤を配合することができる。
前記酸化防止剤や紫外線吸収剤、光安定剤の推奨される配合量は臭素化ポリイソブチレン系重合体100重量部に対して、0.001〜10重量部、好ましくは0.01〜5重量部である。
本発明の臭素化ポリイソブチレン系重合体組成物には、発明の効果を損なわない範囲であれば可塑剤や軟化剤を添加することができる。
可塑剤や軟化剤の例としては、フタル酸エステル、アジピン酸エステル、リン酸エステル、トリメリット酸エステル、エポキシ化合物類、パラフィン系オイル、ナフテン系オイル、および芳香族系の高沸点石油成分、ひまし油、綿実油、あまに油、なたね油、大豆油、パーム油、やし油、落花生油、木ろう、パインオイル、オリーブ油、ポリブテン、水添ポリブテン、液状ポリブタジエン、水添液状ポリブタジエン、液状ポリα−オレフィン類等が挙げられる。
これらの可塑剤や軟化剤は、2種以上を組み合わせて使用することも可能であるが、中でも、相溶性、ガスバリア性の点でポリブテンオイル、または水添ポリブテンオイルが好ましい。特に、数平均分子量が20000以上のポリブテンまたは水添ポリブテンオイルを用いるとブリードアウトが極めて低く好ましい。
これらの可塑剤や軟化剤の配合量は、臭素化ポリイソブチレン系重合体100重量部に対し、1〜300重量部であることが好ましい。配合量が300重量部をこえると、べとつきが生じたり、機械的強度の低下が起こる傾向がある。
本発明の臭素化ポリイソブチレン系重合体組成物には、発明の効果を損なわない範囲であれば、粘着付与樹脂を添加することができる。粘着付与樹脂としては、脂環族系石油樹脂およびその水素化物、脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂の水素化物、ポリテルペン樹脂、ロジン系樹脂などがあげられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を同時に用いてもよい。
粘着付与剤の配合量は、臭素化ポリイソブチレン系重合体100重量部に対して好ましくは1〜100重量部である。1重量部以下では、粘着付与効果が得られにくい場合がある為好ましくなく、100重両部を越えると組成物の硬度が高くなりすぎる場合がある為好ましくない。
他の添加剤として難燃剤、抗菌剤、着色剤、流動性改良剤、滑剤、ブロッキング防止剤、帯電防止剤、架橋剤、架橋助剤、改質剤、顔料、染料、導電性フィラー、各種の化学発泡剤、物理発泡剤などを添加することができ、これらは1種または2種以上を組み合わせて使用可能である。
本発明の組成物にはガスバリア性の向上の観点からさらにエチレン−ビニルアルコール共重合体を含有しても良い。エチレン−ビニルアルコール共重合体は、エチレン含有量は20〜70モル%であることが好ましい。エチレン含有量が20モル%を下回ると水分バリア性と柔軟性に劣り耐屈曲性に劣る恐れがある上熱成形性に劣る恐れがある。また、70モル%を上回るとガスバリア性が不足する恐れがある。
エチレン−ビニルアルコール共重合体の配合量は臭素化ポリイソブチレン系重合体100重量部に対して1〜400重量部であることが好ましく、10〜400重量部含有することがより好ましい。エチレン−ビニルアルコール共重合体の配合量が400重量部を超えると柔軟性が失われ長期での屈曲疲労特性に劣る可能性がある。
本発明の臭素化ポリイソブチレン系重合体組成物には、更に架橋剤と架橋助剤を添加しても良い。架橋剤は硫黄S、テトラメチルチウラムジスルフィド、4,4−ジチオビスモルホリン、有機過酸化物、フェノールホルムアルデヒド樹脂、ハロメチルフェノールが例示される。これらの中でも好ましいのは単体硫黄、テトラメチルチウラムジスルフィド、4,4−ジチオビスモルホリンである。架橋助剤は例えば、スルフェンアミド、ベンゾチアゾール、グアニジン、ジチオカルバミン酸、酸化亜鉛などの金属酸化物、ステアリン酸などの脂肪酸、含窒素化合物、トリアリルイソシアヌレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパンメタクリレートが挙げられる。これらの中でも好ましいのはスルフェンアミド、ベンゾチアゾール、グアニジン、ジチオカルバミン酸、酸化亜鉛などの金属酸化物、ステアリン酸などの脂肪酸である。
架橋剤と架橋助剤の配合量としては、臭素化ポリイソブチレン系重合体100重量部に対して、それぞれ0.5〜5重量部であることが好ましい。
本発明の臭素化ポリイソブチレン系重合体組成物は、以下に例示する方法によって製造することができる。たとえば、ラボプラストミル、ブラベンダー、バンバリーミキサー、ニーダー、ロールなどのような密閉型または開放型のバッチ式混練装置を用いて製造する場合は、あらかじめ混合した架橋剤以外の全ての成分を混練装置に投入し、均一になるまで溶融混練し、次いで必要に応じて架橋剤を添加して架橋反応が充分に進行したのち、溶融混練を停止する方法があげられる。
また、単軸押出機、二軸押出機などのように連続式の溶融混練装置を用いて製造することもできる。
溶融混練を行なうに当たっては、100〜270℃の温度範囲が好ましく、130〜230℃の温度範囲がさらに好ましい。溶融混練温度が100℃よりも低いと、樹脂成分が溶融せず、混合が不十分になる場合があるため好ましくなく、270℃よりも高い場合は臭素化ポリイソブチレン系重合体が分解し、種々の物性低下につながる場合があるため好ましくない。
本発明の臭素化ポリイソブチレン系重合体は、柔軟性、ガスバリア性および加硫反応性、異種ゴム部材との反応性に優れるため、以下のような用途に好適に利用できる。
(1)シール材:ガスケット、建築用ガスケット、栓体、複層ガラス用のガラスシール材、包装材、シート、多層シート、容器、多層容器、多層積層体などのガスバリア用材、土木シート、防水シート、包装輸送資材、シーラント、医療用薬栓、シリンジガスケット等。
(3)チューブ:医療用チューブ、インク用チューブ、食品用チューブ等。
(4)その他:樹脂またはアスファルト改質剤(熱可塑性または熱硬化性樹脂の耐衝撃性改質剤、制振性改質剤、ガスバリア性改質剤、道路用・橋梁床版用または防水シート用アスファルト改質剤)、接着剤または粘着剤(ホットメルト系接着剤、水系接着剤、溶剤系接着剤、粘着剤)、粘度調整剤、塗料のベースレジン、制振材、防振材、緩衝材、防音材、吸音材、発泡体、PVC代替材料等。
以下、実施例にて本発明をさらに詳しく説明するが、これらの実施例によって本発明は何ら限定されるものではない。
(分子量の測定)
下記実施例中、「数平均分子量」、「重量平均分子量」および「分子量分布(重量平均分子量と数平均分子量の比)」は、サイズ浸透クロマトグラフィー(SEC)を用いた標準ポリスチレン換算法により算出した。測定装置としては、Waters社製510型GPCシステムを用いて、クロロホルムを移動相とし、カラム温度35℃の条件下にて、ポリマー濃度が4mg/mlである試料溶液をGPCに注入することで測定した。ポリスチレンを標準試料として用いた。
(製造例1) 臭素化ポリイソブチレン系重合体試験片の作成
臭素化ポリイソブチレン系重合体40gに対し、老化防止剤(製品名:AO−50、株式会社アデカ社製)0.08g、および無機塩受酸剤(製品名:アルカマイザー1、協和化学工業社製)0.2gを測り取り、ラボプラストミル(東洋精機製作所製)で170度、50rpmの条件下で9分間混練し、次の1分間で170度/真空下に脱泡した。その後、得られた樹脂組成物を離型紙で挟み、170度で8分プレスすることで0.5mm厚または2.0mm厚のシート状サンプルを得た。
(酸素透過係数の測定)
JIS K−7126に準拠し、0.5mm厚のプレスシートを用い、差圧法により酸素透過係数を測定した。
(引張強度の測定)
JIS K 6251に準拠し、試験片として2.0mm厚シートをダンベルで3号型に打抜いたものを用意し、これを測定に使用した。引張速度は200mm/分とした。
(加硫反応性)
加硫反応性を検証するために、イソプレンゴムとの反応性を次のように評価した。すなわち、(製造例1)に示す2.0mm厚にプレスした臭素化ポリイソブチレン系共重合体の試験片を、(製造例2)で示す支持層と、(製造例3)で示すイソプレンゴムの試験片で挟むように貼り合わせ、150℃、50MPaで40分加熱加圧加硫を行った後、幅2.5cm×6cmに切り出した。その後、180°剥離試験を行った際の応力を測定した。試験速度は200mm/minで、3回測定した試験応力の平均値を採用した。
(製造例2) 支持層の作成
本支持層は、加硫反応性試験中に臭素化ポリイソブチレン層が破断して正確な評価が困難になるのを防ぐために作成するものである。スチレン−イソブチレン系ブロック共重合体:SIBSTAR 102T(株式会社カネカ社製)のペレット40gを200度で8分間プレスすることで、2mm厚の試験片を得た。次に、このサンプル片上にナイロンメッシュを置き、再度200度で8分間プレスすることで、ナイロンメッシュとSIBSTAR 102Tが圧着された支持層試験片を作成した。
(製造例3) ポリイソプレンゴム試験片の作製
ポリイソプレンゴム(株式会社JSR社製 商品名「IR2200」)を400g、カーボンブラック(旭カーボン旭♯50)200gを40℃に設定した1Lニーダー(株式会社モリヤマ社製)に投入し50rpmで5分間混練した後、硫黄6g、N-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾルスルフェンアミド8g、酸化亜鉛8g、ステアリン酸8gを投入し2分間混練した後排出し、80℃で加熱プレス(神藤金属社製)にて2mm厚の試験片を成形した。
(製造例4) ブチルゴム試験片の作製
Butyl268(JSR株式会社製、100重量部)、硫黄(和光純薬製、2重量部)、ノクセラーDM−P(大内新興化学工業株式会社製、0.5重量部)、ノクセラーTT−P(大内新興化学工業株式会社製、1重量部)、酸化亜鉛(和光純薬製、5重量部)、ステアリン酸(和光純薬製、1重量部)をこの割合で、40℃に設定した1Lニーダー(株式会社モリヤマ社製)に投入し50rpmで2分間混練した後排出し、150℃で加熱プレス(神藤金属社製)にて0.5mm厚のシート状に成形した。次に、酸素透過係数を測定し、3.4x10−16(mol・m/(m・sec・Pa))であった。
(比較例1)臭素化ポリイソブチレン系重合体P−1の合成
500mLのセパラブルフラスコの容器内を窒素置換した後、注射器を用いて、塩化ブチル(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)247mL及びヘキサン(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)27.4mLを加えた。重合容器を−80℃のドライアイス/アセトンバス中に浸して冷却した後、イソブチレンモノマー85mL(0.899mol)を加えた。次に、p−ジクミルクロライド0.1412g(0.61mmol)及びα−ピコリン0.12mL(1.25mmol)を加えた。系中を−70度まで冷却した。四塩化チタン0.96mL(0.0087mol)を加えて重合を開始した。ガスクロマトグラフィーにより、残存イソブチレンモノマーの量を測定しながら重合を追跡し、99.5%のイソブチレンが消費された段階でイソブチレンの重合は終了したと判断し、次にスチレンを9.8mL(0.085mol)を加えた。2分後に、パラメチルスチレン2.80mL(0.0213mol)を加えた。その後、ガスクロマトグラフィーにより、残存スチレンモノマーの量を測定しながら重合を追跡し、80%のスチレンモノマーが消費された段階でスチレンの重合を終了した。このとき、パラメチルスチレンは95%消費されていた。次に、得られた反応混合物を、70度に加熱している純水1Lに注ぎ込み、60分間メカニカルスターラーを使用して激しく撹拌することで、重合を停止させた。次に、純水1Lで洗浄を3回繰り返した。その後、加熱下に溶剤等の揮発分を留去し、乾燥させることで、イソブチレン−メチルスチレン共重合体R−1を得た。
得られたイソブチレン−メチルスチレン共重合体R−1の数平均分子量は91,805、分子量分布は1.17であった。H NMRから、重合体一分子中に導入されたメチルスチレン基の個数は33個であった。
次に、得られたイソブチレン−メチルスチレン共重合体R−1を1g、臭素(Br)18.5μL、アゾイソブチロニトリル(AIBN)0.0022gを四塩化炭素5mLに溶解させ、1時間還流した。その後、反応混合物をアセトンから再沈殿することで、臭素化ポリイソブチレン系重合体P−1を得た。H NMRから、ブロモメチル基は0.67モル%であり、反応率は33モル%であった。
(比較例2)臭素化ポリイソブチレン系重合体P−2の合成
臭素(Br)を37μL使用したこと以外は比較例1と同じようにして臭素化ポリイソブチレン系重合体P−2を合成した。H NMRから、ブロモメチル基は0.61モル%であり、反応率は30モル%であった。
(比較例3)臭素化ポリイソブチレン系重合体P−3の合成
アゾイソブチロニトリル(AIBN)を0.0043g使用したこと以外は比較例1と同じようにして臭素化ポリイソブチレン系重合体P−3を合成した。H NMRから、ブロモメチル基は0.55モル%であり、反応率は27モル%であった。
(比較例4)臭素化ポリイソブチレン系重合体P−4の合成
臭素(Br)の代わりに、N−ブロモスクシンイミドを0.128g使用したこと以外は比較例1と同じようにして臭素化ポリイソブチレン系重合体P−4を合成した。H NMRから、ブロモメチル基は0.79モル%であり、反応率は39モル%であった。
(比較例5)臭素化ポリイソブチレン系重合体P−5の合成
臭素(Br)の代わりに、N−ブロモスクシンイミドを0.064g使用し、反応時間を3時間としたこと以外は比較例4と同じようにして臭素化ポリイソブチレン系重合体P−5を合成した。H NMRから、ブロモメチル基は0.73モル%であり、反応率は36モル%であった。
(比較例6)臭素化ポリイソブチレン系重合体P−6の合成
2Lのセパラブルフラスコの容器内を窒素置換した後、注射器を用いて、塩化ブチル(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)944mL及びヘキサン(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)404mLを加えた。重合容器を−80℃のドライアイス/アセトンバス中に浸して冷却した後、イソブチレンモノマー331mL(3.50mol)を加えた。次に、p−ジクミルクロライド0.550g(2.38mmol)及びα−ピコリン0.71mL(7.14mmol)を加えた。系中を−70度まで冷却した。四塩化チタン9.13mL(0.0833mol)を加えて重合を開始した。3分経過後、パラメチルスチレン12.5mL(0.0952mol)の滴下を開始し、28分かけて全量を滴下した。その後、ガスクロマトグラフィーにより、残存イソブチレンモノマーの量を測定しながら重合を追跡し、99.5%のイソブチレンが消費された段階でイソブチレンの重合は終了したと判断した。その際、パラメチルスチレンは99.9%消費されていた。次にスチレンを47.7mL(0.414mol)を加えた。その後、ガスクロマトグラフィーにより、残存スチレンモノマーの量を測定しながら重合を追跡し、80%のスチレンモノマーが消費された段階でスチレンの重合を終了した。得られた反応混合物を、70度に加熱している純水3Lに注ぎ込み、60分間メカニカルスターラーを使用して激しく撹拌することで、重合を停止させた。次に、純水3Lで洗浄を3回繰り返した。その後、加熱下に溶剤等の揮発分を留去し、乾燥させることで、イソブチレン−メチルスチレン共重合体R−2を得た。
得られたイソブチレン−メチルスチレン共重合体R−2の数平均分子量は96,890、分子量分布は1.24であった。H NMRから、重合体一分子中に導入されたメチルスチレン基の個数は40個であった。
次に、得られたイソブチレン−メチルスチレン共重合体R−2を100g、臭素(Br)6.6g、アゾイソブチロニトリル(AIBN)0.020gを四塩化炭素500mLに溶解させ、1時間還流した。その後、反応混合物をアセトンから再沈殿することで、臭素化ポリイソブチレン系重合体P−6を得た。H NMRから、ブロモメチル基は0.89モル%であり、反応率は38モル%であった。
(実施例1)臭素化ポリイソブチレン系重合体Q−1の合成
8Lのセパラブルフラスコの容器内を窒素置換した後、注射器を用いて、塩化ブチル(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)3774mL及びヘキサン(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)1618mLを加えた。重合容器を−80℃のドライアイス/アセトンバス中に浸して冷却した後、イソブチレンモノマー1322mL(14.0mol)を加えた。次に、p−ジクミルクロライド2.20g(9.52mmol)及びトリエチルアミン3.98mL(0.0286mol)を加えた。系中を−70度まで冷却した。チタンテトライソプロポキシド24.2mL(0.0816mol)を加えて5分攪拌した後、四塩化チタン62.6mL(0.571mol)を加えて重合を開始した。3分経過後、パラメチルスチレン50.2mL(0.381mol)の滴下を開始し、37分かけて全量を滴下した。その後、ガスクロマトグラフィーにより、残存イソブチレンモノマーの量を測定しながら重合を追跡し、99.0%のイソブチレンが消費されたことを確認した段階でイソブチレンの重合は終了したと判断した。その際、パラメチルスチレンは99.3%消費されていた。次にスチレン191mL(1.66mol)を加えた。その後、ガスクロマトグラフィーにより、残存スチレンモノマーの量を測定しながら重合を追跡し、スチレンの添加から15分後にスチレンモノマーが41%消費された段階で、四塩化チタンを30mL添加した。その後、15分後にスチレンモノマーの消費率が81%に到達したことを確認して、スチレンの重合を終了した。得られた反応混合物を、70度に加熱している純水15Lに注ぎ込み、60分間メカニカルスターラーを使用して激しく撹拌することで、重合を停止させた。次に、純水15Lで洗浄を3回繰り返した。その後、加熱下に溶剤等の揮発分を留去し、乾燥させることで、イソブチレン−メチルスチレン共重合体R−3を得た。
得られたイソブチレン−メチルスチレン共重合体R−3の数平均分子量は103,065、分子量分布は1.31であった。H NMRから、重合体一分子中に導入されたメチルスチレン基の個数は39個であった。
次に、得られたイソブチレン−メチルスチレン共重合体R−3(40g)と臭素(Br)0.8mLを塩化ブチル180mLとn−ヘキサン20mLの混合溶媒に室温で溶解させた。次に、波長395nmの単波長LED光源を反応混合物に室温で90分照射した。その後反応混合物から臭素特有の暗褐色が薄くなり、オレンジ色を呈していたため反応が終了したと判断した。反応混合物をアセトンから再沈殿することで、臭素化ポリイソブチレン系重合体Q−1を得た。H NMRから、ブロモメチル基は1.69モル%であり、反応率は69モル%であった。
臭素化ポリイソブチレン系重合体Q−1のポリイソプレンゴムに対する接着性を評価したところ、94N/25mmであった。また、酸素透過係数を測定し、3.2x10−16(mol・m/(m・sec・Pa))であった。更に、引張強度は7.0MPaであった。
(実施例2)臭素化ポリイソブチレン系重合体Q−2の合成
臭素(Br)1.6mLを用いたこと以外は実施例1と同様に製造することで、臭素化ポリイソブチレン系重合体Q−2を得た。H NMRから、ブロモメチル基は1.69モル%であり、反応率は69モル%であった。
(比較例7)臭素化ポリイソブチレン系重合体P−7の合成
実施例1で得られたイソブチレン−メチルスチレン共重合体R−3(134g)と、臭素(Br)3.4mLを、塩化ブチル600mLとn−ヘキサン66.6mLの混合溶媒に室温で溶解させた。次に、アゾイソブチロニトリル(AIBN)0.178gを加え、15分還流した。その後、溶液中の臭素の暗褐色が消えたため、反応が終了したと判断した。得られた反応混合物をアセトンから再沈殿することで、臭素化ポリイソブチレン系重合体P−7を得た。H NMRから、ブロモメチル基は0.94モル%であり、反応率は38モル%であった。
臭素化ポリイソブチレン系重合体P−7のポリイソプレンゴムに対する加硫反応性を評価したところ、63N/25mmであった。
(比較例8)臭素化ポリイソブチレン系重合体P−8の合成
実施例1で得られたイソブチレン−メチルスチレン共重合体R−3(40g)と臭素(Br)1.0mLを塩化ブチル180mLとn−ヘキサン20mLの混合溶媒に室温で溶解させた。次に、波長365nmに極大波長を有する高圧水銀灯光源を反応混合物に室温で90分照射した。次に、反応混合物をアセトンから再沈殿することで、臭素化ポリイソブチレン系重合体P−8を得た。H NMRから、ブロモメチル基は0.88モル%であり、反応率は36モル%であった。
臭素化ポリイソブチレン系共重合体P−8のポリイソプレンゴムに対する加硫反応性を評価したところ、62N/25mmであった。
(比較例9)臭素化ポリイソブチレン系重合体P−9の合成
500mLのセパラブルフラスコの容器内を窒素置換した後、注射器を用いて、塩化ブチル(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)247mL及びヘキサン(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)27mLを加えた。重合容器を−80℃のドライアイス/アセトンバス中に浸して冷却した後、イソブチレンモノマー85mL(0.899mol)を加えた。次に、p−ジクミルクロライド0.1412g(0.61mmol)及びα−ピコリン0.12mL(1.25mmol)を加えた。系中を−70度まで冷却した。四塩化チタン0.96mL(0.0087mol)を加えて重合を開始した。ガスクロマトグラフィーにより、残存イソブチレンモノマーの量を測定しながら重合を追跡し、99.8%のイソブチレンが消費された段階でイソブチレンの重合は終了したと判断し、次にスチレンを9.8mL(0.085mol)を加えた。2分後に、パラメチルスチレン3.22mL(0.0244mol)を加えた。その後、ガスクロマトグラフィーにより、残存スチレンモノマーの量を測定しながら重合を追跡し、85%のスチレンモノマーが消費された段階でスチレンの重合を終了した。このとき、パラメチルスチレンは95%消費されていた。
次に、得られた反応混合物を、70度に加熱している純水1Lに注ぎ込み、60分間メカニカルスターラーを使用して激しく撹拌することで、重合を停止させた。次に、純水1Lで洗浄を3回繰り返した。その後、加熱下に溶剤等の揮発分を留去し、乾燥させることで、イソブチレン−メチルスチレン共重合体R−4を得た。
得られたイソブチレン−メチルスチレン共重合体R−4の数平均分子量は91,005、分子量分布は1.15であった。H NMRから、重合体一分子中に導入されたメチルスチレン基の個数は38個であった。
次に、得られたイソブチレン−メチルスチレン共重合体R−4(40g)と臭素(Br)0.8mLを塩化ブチル180mLとn−ヘキサン20mLの混合溶媒に室温で溶解させた。次に、波長395nmの単波長LED光源を反応混合物に室温で90分照射した。その後反応混合物から臭素特有の暗褐色が薄くなり、オレンジ色を呈していたため反応が終了したと判断した。反応混合物をアセトンから再沈殿することで、臭素化ポリイソブチレン系重合体P−9を得た。H NMRから、ブロモメチル基は1.39モル%であり、反応率は60モル%であった。
臭素化ポリイソブチレン系重合体P−9のポリイソプレンゴムに対する加硫反応性評価したところ、41N/25mmであった。
以上の結果より、比較例7および8のようにメチルスチレン基の臭素化率が低く、構成モノマー単位に占めるブロモメチルスチレン基の割合が低い臭素化ポリイソブチレン系重合体に比べると、本願発明の臭素化ポリイソブチレン系重合体は、ポリイソプレンゴム等の異種ゴム部材との加硫反応性に優れることがわかる。
また、比較例9より、臭素化率が65モル%を下回る場合、ゴム部材への加硫反応性は低下する傾向があることが分かる。
また、実施例1に示すように、この酸素透過係数は、製造例4に示す汎用のブチルゴムと同様に良好な値を示しており、本発明の臭素化ポリイソブチレン系重合体が良好なガスバリア性を有していることが分かる。
更に、実施例1で得られた臭素化ポリイソブチレン系重合体は、7.0MPaの引張強度であり、弾性変形を示すものであった。この特徴から、グリーン強度に優れることが分かり、種々の形状への成型性に優れることが分かる。
このことは、実施例1における酸素透過性が良好な結果からも示唆され、薄膜状に成型した場合でも、ピンホールや破れが生じにくいことがわかる。
次に、臭素化反応時の反応系中に存在するモノマー種の影響について検討した。ここでは、(スチレンのモル数)/(臭素のモル数)で表される値が0.896である条件を検討した。
(比較例10)スチレンモノマー共存下での臭素化反応
実施例1で得られたイソブチレン−メチルスチレン共重合体R−3(40g)、臭素(Br)0.8mL(0.0155mol)、スチレンモノマー1.6mL(0.0134mol)を塩化ブチル180mLとn−ヘキサン20mLの混合溶媒に室温で溶解させた。波長395nmの単波長LED光源を反応混合物に室温で90分照射した。反応混合物をアセトンから再沈殿することで、臭素化ポリイソブチレン系重合体P−10を得た。H NMRから、ブロモメチル基は0.2モル%であり、反応率は8モル%であった。
また、反応混合物のH NMRから、残存スチレンモノマー由来のピークは確認できず、代わりに4.2ppm付近および5.3ppm付近に新たなピークが確認できた。反応様式から考察するに、これらの2つのピークはスチレンジブロミド(スチレンの臭素付加体)に帰属される。この結果から、臭素分子のスチレンへの付加反応は非常に速く、また定量的に進行することがわかる。本願発明においては制限されるべき副反応であり、65モル%以上の臭素化率を得るためには、(スチレンのモル数)/(臭素のモル数)で表される値が0.35より小さいことが好ましく、樹脂中に残存する不純物を低減する観点から0.1より小さい条件とすることが好ましい。
次に、臭素化反応時の反応系中に存在する触媒種の影響について検討した。ここでは、(ハロゲン化金属化合物のモル数)/(臭素のモル数)で表される値が1.6である条件を検討した。
(比較例11)ハロゲン化金属化合物触媒共存下での臭素化反応
実施例1で得られたメチルスチレン−イソブチレン共重合体R−3(4g)、臭素(Br)0.1mL(0.0194mol)、TiCl3.5(OiPr)0.50.634g(0.00314mol)を塩化ブチル18mLとn−ヘキサン2mLの混合溶媒に室温で溶解させた。波長395nmの単波長LED光源を反応混合物に室温で60分照射したところ、反応混合物が臭素の暗褐色を呈していたので、更に2時間反応を続けた。その後、反応混合物をアセトンから再沈殿することで、臭素化ポリイソブチレン系重合体P−11を得た。
H NMRから、ブロモメチル基は0.45モル%であり、反応率は18モル%であった。実施例1と比較すると、ハロゲン化金属化合物は臭素化反応を阻害することが明らかである。詳細な反応メカニズムは不明であるものの、ハロゲン化金属化合物の共存によって、光照射による臭素(Br)からのラジカル種の発生が妨げられることが示唆され、これにより反応速度を遅くしているものと考えられる。

Claims (9)

  1. メチルスチレン基が臭素化されたモノマー単位を含む臭素化ポリイソブチレン系重合体であって、メチルスチレン基のうち65モル%以上が臭素化されており、かつ、構成モノマー単位に占めるブロモメチルスチレン基の割合が1.0モル%以上であることを特徴とする臭素化ポリイソブチレン系重合体。
  2. 前記メチルスチレン基が、p−メチルスチレン(4−メチルスチレン)基であることを特徴とする請求項1に記載の臭素化ポリイソブチレン系重合体。
  3. 前記臭素化ポリイソブチレン系重合体が、イソブチレンを主体とするブロック(a)と芳香族ビニル系化合物を主体とするブロック(b)とからなるブロック共重合体であることを特徴とする請求項1または2に記載の臭素化ポリイソブチレン系重合体。
  4. 前記イソブチレンを主体とするブロック(a)と芳香族ビニル系化合物を主体とするブロック(b)とからなるブロック共重合体中に共重合されるメチルスチレンのうち、50重量%以上がイソブチレンを主体とするブロック(a)中に含有されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の臭素化ポリイソブチレン系重合体。
  5. JIS K−7126によって測定された酸素透過係数が0〜10.0x10−16(mol・m/(m・sec・Pa))であり、かつ、JIS K−6251によって測定された引張強度が5.0〜30.0MPaであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の臭素化ポリイソブチレン系重合体。
  6. メチルスチレン基を有するモノマー単位を含むイソブチレン系重合体と臭素(Br)を含んでなる反応混合物に、350nm〜600nmの波長をもち、かつ、300nm以下の波長の光を含有しない光を照射することで、メチルスチレン部位を臭素化することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の臭素化ポリイソブチレン系重合体の製造方法。
  7. 光の光源がLED(発光ダイオード)であることを特徴とする請求項6に記載の臭素化ポリイソブチレン系重合体の製造方法。
  8. 前記反応混合物において、溶液中に残存するスチレンと臭素のモル数の比((スチレンのモル数)/(臭素のモル数)で表される値)が0.35より小さいことを特徴とする請求項6または7に記載の臭素化ポリイソブチレン系重合体の製造方法。
  9. 前記反応混合物において、溶液中に存在するハロゲン化金属化合物と臭素のモル数の比((ハロゲン化金属化合物のモル数)/(臭素のモル数)で表される値)が1.5より小さいことを特徴とする請求項6〜8のいずれか一項に記載の臭素化ポリイソブチレン系重合体の製造方法。
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