JPWO2006132238A1 - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

本発明はガスバリア性、機械強度および弾性に優れ、更に、高温条件下においても自重による変形が小さく、低汚染性を示す樹脂組成物を提供することを目的とする。本発明は数平均分子量および重量平均分子量が、それぞれ2万から20万であって、分子量が1万未満の成分の含有量が5重量%未満であるイソブチレン系重合体(A)を含有することを特徴とする熱可塑性樹脂組成物に関する。

Description

本発明は、イソブチレン系重合体からなる熱可塑性樹脂組成物およびそれを用いたシーリング材等に関する。
シーリング材は、水密性や気密性を得るために目地に充填する材料として、自動車や建材などに幅広く使用されている。シーリング材においては、高い気密性が求められ、その他要求特性は、使用する用途により異なるものの、多くの用途で、高弾性や高機械的強度などの特性を有することが求められる。
シーリング材の使用例の一つとして、複層ガラスへの使用が挙げられる。複層ガラスとは、一般的に2枚以上のガラスパネルからなり、その間にスペーサーを挟んで間隔が保たれるようにしたガラスである。複層ガラスでは、スペーサーとガラスの間等にシーリング材が施工され、ガラスパネル間は、乾燥空気、窒素、アルゴンや六フッ化硫黄といった気体で満たされており、これにより、断熱性、遮音性、結露防止などの効果が得られることとなる。
複層ガラスの構造はさまざまであり、その構造に応じて、種々のシーリング材がさまざまな方法で施工される。このようなシーリング材としては、例えばホットメルト接着剤が挙げられる。またスペーサーとしてホットメルトスペーサーを用いる場合もある。ホットメルト材を使用した複層ガラスの例としては、塩化ビニル樹脂や、イソブチレン系重合体を主成分として構成されたホットメルトブチルなどの熱可塑性樹脂に乾燥剤を練り込んだ材料をスペーサーとした複層ガラスが知られている(特許文献1)。
このイソブチレン系重合体を主成分として構成されたホットメルトブチルは、気密性や水密性を保持できるガスバリア性、耐候性、粘着性などの特性をもつことから複層ガラス用シーリング材によく使用される。具体的には、内部に乾燥剤を充填したアルミスペーサーを用いる構造の複層ガラスの場合には、そのアルミスペーサーとガラスとの間の固定用の一次シール剤としてホットメルト塗布されて使われたり、そのアルミスペーサーの外部に二次シール剤としてホットメルト塗布されたりする例が挙げられる。また最近では、このホットメルトブチルに乾燥剤を練り込んだ材料が、そのまま複層ガラスの片側の端部にホットメルト塗布され、熱可塑樹脂製スペーサーとして用いられている例もある。いずれの構成においても、ホットメルトブチルの担うべき役割は、ガラスとの接着による気密性保持にあり、長期使用中に破壊や変形剥離しないことが求められている。
また、ホットメルトブチルの高温条件下での耐熱性を改善する目的で、スチレン系熱可塑性エラストマーや熱可塑性樹脂を添加する方法が知られている(特許文献2)。
特開平7−17748号公報 米国特許出願公開第2003/0195287号明細書
上記のように、ホットメルトブチルは、シーリング材として広く用いられているが、ホットメルトブチルの使用環境によっては、それらの性能が維持出来ずに、気密性が失われるケースがある。特に高温条件下での自重による変形(自重変形性)や、弾性や機械的強度の不足が問題となることがある。さらに、これらの樹脂組成物に用いられる材料の中から何らかの成分の染み出しにより、該樹脂組成物に接触する他のシーリング材料やフィルムが変質、変色、剥離を起こすという問題が生じる場合があることを本発明者らは見出した。
また、ホットメルトブチルの高温条件下での耐熱性を改善する目的で、スチレン系熱可塑性エラストマーや熱可塑性樹脂を添加した場合、イソブチレン系ではないスチレン系熱可塑性エラストマーや熱可塑性樹脂を用いた場合には、その添加量が増加するに従ってガスバリア性が低下するという問題があることを本発明者らは確認した。従って、高いガスバリア性を維持しつつ、高い弾性と強い機械的強度を併せ持つような材料が必要である。
本発明の課題は、シーリング材、特に複層ガラス用ホットメルトシーリング材、および複層ガラス用ホットメルトスペーサーとして使用することが可能な熱可塑性樹脂組成物であって、ガスバリア性、機械的強度および弾性に優れ、更に、高温条件下においても自重による変形が小さく、低汚染性を示す熱可塑性樹脂組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を積み重ねた結果、特定の分子量範囲で構成されるイソブチレン系重合体からなる熱可塑性樹脂組成物により前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、数平均分子量および重量平均分子量が、それぞれ2万から20万であって、分子量が1万未満の成分の含有量が5重量%未満であるイソブチレン系重合体(A)を含有することを特徴とする熱可塑性樹脂組成物に関する。
上記分子量が1万未満の成分の含有量は、3重量%未満であるのが好ましく、2重量%未満であるのがより好ましい。
上記熱可塑性樹脂組成物は、芳香族ビニル系化合物を構成単量体とする重合体ブロックとイソブチレンを構成単量体とする重合体ブロックとからなるイソブチレン系ブロック共重合体(B)をさらに含有するものが好ましい。
また、イソブチレン系ブロック共重合体(B)の数平均分子量および重量平均分子量が、それぞれ3万から30万であって、そのブロック化率が90%以上であるものが好ましい。
また、イソブチレン系ブロック共重合体(B)において、イソブチレンを構成単量体とする重合体ブロックと芳香族ビニル系化合物を構成単量体とする重合体ブロックの重量比が、(イソブチレンを構成単量体とする重合体ブロック)/(芳香族ビニル系化合物を構成単量体とする重合体ブロック)=95/5〜60/40であるのが好ましい。
上記イソブチレン系ブロック共重合体(B)は、スチレン−イソブチレンジブロック共重合体、及び/又は、スチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体であるのが好ましい。
上記熱可塑性樹脂組成物は、さらに充填材(C)として、炭酸カルシウムおよびカーボンブラックからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有するのが好ましい。
上記熱可塑性樹脂組成物は、さらに吸湿性化合物(D)を含有するのが好ましい。
上記吸湿性化合物(D)は、シリカゲル、アルミナおよびゼオライトからなる群より選ばれる少なくとも1種であるのが好ましい。
上記熱可塑性樹脂組成物は、さらに(B)成分以外の芳香族ビニル系熱可塑性エラストマーを含むものが好ましい。
さらに本発明は、上記熱可塑性樹脂組成物からなるシーリング材に関する。
さらに本発明は、上記熱可塑性樹脂組成物からなる複層ガラス用ホットメルトシーリング材に関する。
さらに本発明は、上記熱可塑性樹脂組成物からなる複層ガラス用ホットメルトスペーサーに関する。
さらに本発明は、上記熱可塑性樹脂組成物からなるホットメルト押出しシートに関する。
さらに本発明は、上記熱可塑性樹脂組成物からなる合わせガラス用フィルムに関する。
以下に本発明を詳述する。
本発明に係る熱可塑性樹脂組成物は、数平均分子量および重量平均分子量が、それぞれ2万から20万であって、分子量が1万未満の成分の含有量が5重量%未満であるイソブチレン系重合体(A)を含有するものである。本発明に係る熱可塑性樹脂組成物においては、イソブチレン系重合体(A)により、ホットメルト接着性が付与される。
ポリイソブチレン、ポリブテン等として通常市販されている多くの商品、具体的にはEXXON製ビスタネックス(LM−MS、MH、HまたはMML−80、100、120、140等)、新日本石油製テトラックス(3T、4T、5T、6T等)、ポリブテン(HV)ハイモール(4H、5H、6H等)、およびBASF製グリソパールやオパノール(B10、B12、B15、B50、B80、B100、B120、B150、B220等)などは、いずれもその分子量範囲、およびその製品中に含まれる低分子成分の含有量の多さにより、本発明に係るイソブチレン系重合体(A)には該当しない。ただし、これらの商品の中で重量平均分子量が10万を超えるような高分子量側のものを、本発明の熱可塑性樹脂組成物において、粘度調整材や機械特性調整材等として、その成型性・加工性を大きく低下させない範囲で単独でブレンドして用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
本発明に係る熱可塑性樹脂組成物においては、イソブチレン系重合体(A)は、いわゆるリビングカチオン重合法により製造される高度に重合が制御され、得られるポリマーの分子量分布が狭いものであることが好ましい。
具体的には、本発明においては、イソブチレン系重合体(A)のポリマー全体の数平均分子量および重量平均分子量は、それぞれ2万から20万のものを用いる。さらには2万から15万が成型性・加工性と物性バランスの点でより好ましい。ポリマー全体の数平均分子量および重量平均分子量が2万より小さいと、含まれる分子量1万未満の成分が多くなるため汚染性が悪くなり、一方ポリマー全体の数平均分子量および重量平均分子量が20万より大きいと、その成型性・加工性が悪くなる。
本発明における数平均分子量および重量平均分子量は例えばWaters社製GPCシステム(カラム:昭和電工(株)製Shodex K−804(ポリスチレンゲル)、移動相:クロロホルム)を使用し、ポリスチレン換算として求めることができる。
また、本発明では、分子量1万未満の成分の含有量が5重量%未満のイソブチレン系重合体(A)を用いる。好ましくは、3重量%未満、さらには2重量%未満のものを用いるのがより好ましく、ゼロに近いほど好ましい。また、当然、分子量1万未満だけでなく、より小さい5千未満、千未満、5百未満の低分子量体の含有量が少ないほど好ましい。なお、「分子量1万未満の成分の含有量が5重量%未満」とは2種以上のイソブチレン系重合体を混合する場合にあっては、熱可塑性樹脂組成物全体で分子量1万未満の成分が5重量%未満であることを意味する。すなわち、混合すべき一成分として、分子量1万未満の成分の含有量が混合前において5重量%未満であるイソブチレン系重合体成分を用いた場合であっても、その混合後の熱可塑性樹脂組成物全体中の当該成分の含有量が5重量%以上であるものは本発明の対象ではない。
本発明において、分子量1万未満の成分の含有量は、GPCのRIの検出器によるクロマトグラムを測定し、分子量1万に相当する保持時間よりあとに溶出するポリマー成分が示すクロマトグラム上の面積が全体の面積に対して占める割合を算出することにより求めることができる。GPCには上記Waters社製GPCシステム(カラム:昭和電工(株)製Shodex K−804(ポリスチレンゲル)、移動相:クロロホルム)を使用することができる。ここで分子量1万に相当する保持時間は、重量平均分子量の異なる7種のPSt標準物質(Mw=390,000、200,000、65,000、30,000、11,300、3,350、1,270)を測定し、それぞれの溶出時間(保持時間)より、分子量−溶出時間の関係式を導くことにより(検量)、決定した。
なお、イソブチレン系重合体(A)を構成する単量体成分は、イソブチレン以外の単量体成分を含んでいても含んでいなくても良い。イソブチレン以外の単量体成分としては、カチオン重合可能な単量体であれば特に制限はない。
イソブチレン系重合体(A)の製造方法については特に制限はなく、例えば、下記一般式(1)で表される化合物の存在下に、イソブチレンを主成分とする単量体を重合させることにより得ることができる。
(CRX) (1)
[式中Xはハロゲン原子、または、炭素数1〜6のアルコキシル基若しくは炭素数1〜6のアシロキシル基から選ばれる置換基、R、Rはそれぞれ水素原子または炭素数1〜6の1価の炭化水素基でR、Rは同一であっても異なっていても良く、Rは一価若しくは多価芳香族炭化水素基または一価若しくは多価脂肪族炭化水素基であり、nは1〜6の自然数を示す。]
上記ハロゲン原子としては、塩素、フッ素、臭素、ヨウ素等が挙げられる。上記炭素数1〜6のアルコキシル基としては特に限定されず、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−又はイソ−プロポキシ基等が挙げられる。上記炭素数1〜6のアシロキシル基としては特に限定されず、例えば、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基等が挙げられる。上記脂肪族炭化水素基としては特に限定されず、例えば、メチル基、エチル基、n−又はイソ−プロピル基等が挙げられる。上記芳香族炭化水素基としては特に限定されず、例えば、フェニル基、メチルフェニル基等が挙げられる。
上記一般式(1)で表わされる化合物は開始剤となるもので、ルイス酸等の存在下炭素陽イオンを生成し、カチオン重合の開始点になると考えられる。本発明で用いられる一般式(1)の化合物の例としては、次のような化合物等が挙げられる。
(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼン[CC(CHCl]、1,4−ビス(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼン[1,4−Cl(CHCCC(CHCl]、1,3−ビス(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼン[1,3−Cl(CHCCC(CHCl]、1,3,5−トリス(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼン[1,3,5−(ClC(CH]、1,3−ビス(1−クロル−1−メチルエチル)−5−(tert−ブチル)ベンゼン[1,3−(C(CHCl)−5−(C(CH)C]。
これらの中でも特に好ましいのは(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼン[CC(CHCl]、ビス(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼン[C(C(CHCl)]、トリス(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼン[(ClC(CH]である。[なおビス(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼンは、ビス(α−クロロイソプロピル)ベンゼン、ビス(2−クロロ−2−プロピル)ベンゼンあるいはジクミルクロライドとも呼ばれ、トリス(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼンは、トリス(α−クロロイソプロピル)ベンゼン、トリス(2−クロロ−2−プロピル)ベンゼンあるいはトリクミルクロライドとも呼ばれる。]
イソブチレン系重合体(A)の重合に際し、さらにルイス酸触媒を共存させることもできる。このようなルイス酸としてはカチオン重合に使用できるものであれば良く、TiCl、TiBr、BCl、BF、BF・OEt、SnCl、SbCl、SbF、WCl、TaCl、VCl、FeCl、ZnBr、AlCl、AlBr等の金属ハロゲン化物;EtAlCl、EtAlCl等の有機金属ハロゲン化物を好適に使用することができる。中でも触媒としての能力、工業的な入手の容易さを考えた場合、TiCl、BF・OEt、SnClが好ましい。ルイス酸の使用量は、特に限定されないが、使用する単量体の重合特性あるいは重合濃度等を鑑みて設定することができる。通常は一般式(1)で表される化合物に対して0.1〜100モル当量使用することができ、好ましくは1〜50モル当量の範囲である。
イソブチレン系重合体(A)の重合に際しては、さらに必要に応じて電子供与体成分を共存させることもできる。この電子供与体成分は、カチオン重合に際して、成長炭素カチオンを安定化させる効果があるものと考えられており、電子供与体の添加によって分子量分布の狭い構造が制御された重合体が生成する。使用可能な電子供与体成分としては特に限定されないが、例えば、ピリジン類、アミン類、アミド類、スルホキシド類、エステル類、または金属原子に結合した酸素原子を有する金属化合物等を挙げることができる。
イソブチレン系重合体(A)の重合は、必要に応じて有機溶媒中で行うことができ、有機溶媒としてはカチオン重合を本質的に阻害しなければ特に制約なく使用することができる。具体的には、塩化メチル、ジクロロメタン、クロロホルム、塩化エチル、ジクロロエタン、n−プロピルクロライド、n−ブチルクロライド、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、ブチルベンゼン等のアルキルベンゼン類;エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン等の直鎖式脂肪族炭化水素類;2−メチルプロパン、2−メチルブタン、2,3,3−トリメチルペンタン、2,2,5−トリメチルヘキサン等の分岐式脂肪族炭化水素類;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素類、イソブチレンモノマーを含むC4留分等を挙げることができる。
これらの溶媒は、重合体を構成する単量体の重合特性及び生成する重合体の溶解性等のバランスを考慮して、単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
上記溶媒の使用量は、得られる重合体溶液の粘度や除熱の容易さを考慮して、重合体の濃度が、重合体溶液全量の1〜50重量%、好ましくは5〜35重量%となるように決定される。
実際の重合を行うに当たっては、各成分を冷却下、例えば−100℃以上0℃未満の温度で混合する。エネルギーコストと重合の安定性を釣り合わせるために、特に好ましい温度範囲は−30℃〜−80℃である。
また、こうして得られるイソブチレン系重合体(A)の末端基の構造については、特に制限はなく、その重合条件、触媒として用いるルイス酸の種類、後処理条件等により適宜選択される。例えば、クロル末端や、このクロル末端を脱塩酸処理して得られるイソプロペニルオレフィン末端若しくは内部オレフィン末端、又は、クロル末端を特定の試薬と反応させることにより得られるアリルオレフィン末端、水酸基末端、フェノール末端若しくは酸無水物末端などが挙げられる。ただし、クロル末端は特定用途において周辺の金属を腐食し好ましくない場合がある。その場合には、そのクロル末端を、加熱などによる脱塩酸反応などを経由してイソプロペニルオレフィン末端若しくは内部オレフィン末端に変換するか、又は、アリルトリメチルシラン等との置換反応によりアリルオレフィン末端にするのが好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、上記(A)成分に加え、さらに芳香族ビニル系化合物を構成単量体とする重合体ブロックとイソブチレンを構成単量体とする重合体ブロックとからなるイソブチレン系ブロック共重合体(B)を含有するものが好ましい。イソブチレン系ブロック重合体(B)は、イソブチレンブロックに由来する高いガスバリア性と、芳香族ビニル系化合物ブロックに由来する剛性を有していることが特徴であり、他の熱可塑性エラストマーを用いた場合と比較して、組成物の水密性や気密性を損なわない一方で、高温条件下で自重により変形しにくいという利点があり、これにより高いガスバリア性と低自重変形性が付与される。
イソブチレン系ブロック共重合体(B)中の重合体ブロックを構成する芳香族ビニル系化合物としては、特に限定されないが、例えば、スチレン、o−、m−又はp−メチルスチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、2,6−ジメチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、α−メチル−o−メチルスチレン、α−メチル−m−メチルスチレン、α−メチル−p−メチルスチレン、β−メチル−o−メチルスチレン、β−メチル−m−メチルスチレン、β−メチル−p−メチルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン、α−メチル−2,6−ジメチルスチレン、α−メチル−2,4−ジメチルスチレン、β−メチル−2,6−ジメチルスチレン、β−メチル−2,4−ジメチルスチレン、o−、m−又はp−クロロスチレン、2,6−ジクロロスチレン、2,4−ジクロロスチレン、α−クロロ−o−クロロスチレン、α−クロロ−m−クロロスチレン、α−クロロ−p−クロロスチレン、β−クロロ−o−クロロスチレン、β−クロロ−m−クロロスチレン、β−クロロ−p−クロロスチレン、2,4,6−トリクロロスチレン、α−クロロ−2,6−ジクロロスチレン、α−クロロ−2,4−ジクロロスチレン、β−クロロ−2,6−ジクロロスチレン、β−クロロ−2,4−ジクロロスチレン、o−、m−又はp−t−ブチルスチレン、o−、m−又はp−メトキシスチレン、o−、m−又はp−クロロメチルスチレン、o−、m−又はp−ブロモメチルスチレン、シリル基で置換されたスチレン誘導体、インデン、ビニルナフタレン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
芳香族ビニル系化合物を構成単量体とする重合体ブロックは、芳香族ビニル系化合物以外の単量体を含んでいても、含んでいなくてもよい。芳香族ビニル系化合物以外の単量体を含む場合には、当該重合体ブロック全体のなかで芳香族ビニル系化合物の単量体が60重量%以上を占めることが好ましく、さらに、80重量%以上を占めることが好ましい。重合体ブロック全体のなかで芳香族ビニル系化合物由来の単量体単位が60重量%未満の場合、重合体ブロックの凝集力が低下するため好ましくない。芳香族ビニル化合物以外の単量体としては、芳香族ビニル化合物とカチオン重合可能な単量体であれば特に限定されないが、例えば、イソブチレン、上記の脂肪族オレフィン類、脂環式アルケン類、ジエン類、ビニルエーテル類、β−ピネン等の単量体が例示できる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
イソブチレン系ブロック共重合体(B)を構成するイソブチレンを構成単量体とする重合体ブロックは、イソブチレン以外の単量体を含んでいてもよいし含んでいなくてもよい。イソブチレン以外の単量体を含む場合には、重合体ブロック全体のなかでイソブチレンが60重量%以上を占めることが好ましく、さらに、80重量%以上を占めることがより好ましい。重合体ブロック中のイソブチレン以外の単量体としては、イソブチレンとカチオン重合可能な単量体であれば特に限定されないが、例えば、上述の芳香族ビニル化合物、脂肪族オレフィン類、脂環式アルケン類、ジエン類、ビニルエーテル類、β−ピネン等の単量体が例示できる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
イソブチレン系ブロック共重合体(B)の組成におけるイソブチレンを構成単量体とする重合体ブロックと芳香族ビニル系化合物を構成単量体とする重合体ブロックとの重量比率は、特に制限はないが、(イソブチレンを構成単量体とする重合体ブロック)/(芳香族ビニル系化合物を構成単量体とする重合体ブロック)=95/5〜60/40が好ましい。特に、高温条件下における自重変形性から、85/15〜65/35が好ましい。
イソブチレン系ブロック共重合体(B)の数平均分子量および重量平均分子量は、特に制限はないが、汚染性およびホットメルト作業性の観点から30000〜300000であるのが好ましい。特に、高温条件下における自重変形性とホットメルト作業性から、50000〜150000が好ましい。また、イソブチレン系ブロック共重合体(B)のブロック化率は90%以上であることが好ましく、さらには95%以上であることが好ましく、98%以上であることが特に好ましい。ブロック化率が90%未満になると、ホモスチレンポリマーの含有量が高くなり、本発明の熱可塑性樹脂組成物全体の機械物性が大幅に低下し、さらに汚染性も低下するので好ましくない。なお「ブロック化率」とはイソブチレン系ブロック共重合体(B)の重合後の混合物中に占めるイソブチレン系ブロック共重合体(B)の割合をいう。ブロック化率は、例えば上記混合物の初期重量を測定し、次に混合物からイソブチレンのホモポリマー及び芳香族ビニル系化合物のホモポリマーを除去した後に得られる固形物の重量を求めた後、
(得られた固形物の重量)/(混合物の初期重量)×100
の値を算出することにより求めることができる。
本発明に係る熱可塑性樹脂組成物におけるイソブチレン系ブロック共重合体(B)の割合としては、特に制限はないが、イソブチレン系重合体(A)100重量部に対し、好ましくは1〜30重量部であり、さらに好ましくは5〜20重量部である。イソブチレン系ブロック共重合体(B)の割合が少ないと、高温条件下において自重により変形する傾向があり、多すぎると硬くなりすぎて、ホットメルトでのシール部の剥離が起こるなど粘着性が悪くなる。
イソブチレン系ブロック重合体(B)の構造は、特に制限されないが、例えば、直鎖状、分岐状、星状等の構造を有するブロック共重合体、ジブロック共重合体、トリブロック共重合体、マルチブロック共重合体のいずれでも良い。
イソブチレン系ブロック共重合体(B)としては、特に、スチレンおよびイソブチレンからなるブロック共重合体が好ましい。さらに、高温条件下における自重変形性や、弾性、強度といった観点から、スチレン−イソブチレンジブロック共重合体(SIB)及びスチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体(SIBS)がより好ましい。
イソブチレン系ブロック共重合体(B)の製造方法としては、特に限定されず、公知の重合方法を用いることができるが、構造の制御されたブロック共重合体を得るためには、イソブチレン系重合体(A)同様、上記一般式(1)で表される化合物の存在下に、イソブチレンを主成分とする単量体成分を重合することが好ましい。イソブチレン系ブロック共重合体(B)を製造する際には、その後さらに芳香族ビニル化合物を主成分とする単量体成分を添加し、重合することができる。一般式(1)で表される化合物としては、イソブチレン系重合体(A)の項で記載したのと同様の化合物を用いることができる。
イソブチレン系ブロック共重合体(B)を重合により製造する際には、さらにルイス酸触媒を共存させることもできる。このようなルイス酸としてはカチオン重合に使用できるものであれば良く、TiCl、TiBr、BCl、BF、BF・OEt、SnCl、SbCl、SbF、WCl、TaCl、VCl、FeCl、ZnBr、AlCl、AlBr等の金属ハロゲン化物;EtAlCl、EtAlCl等の有機金属ハロゲン化物を好適に使用することができる。中でも、触媒としての能力、工業的な入手の容易さを考えた場合、TiCl、BCl、SnClが好ましい。ルイス酸の使用量は、特に限定されないが、使用する単量体の重合特性あるいは重合濃度等を鑑みて設定することができる。通常は一般式(1)で表される化合物に対して0.1〜100モル当量使用することができ、好ましくは1〜50モル当量の範囲である。
イソブチレン系ブロック共重合体(B)の重合に際しては、さらに必要に応じて電子供与体成分を共存させることもできる。この電子供与体成分は、カチオン重合に際して、成長炭素カチオンを安定化させる効果があるものと考えられており、電子供与体の添加によって分子量分布の狭い構造が制御された重合体が生成する。使用可能な電子供与体成分としては特に限定されないが、例えば、ピリジン類、アミン類、アミド類、スルホキシド類、エステル類、または金属原子に結合した酸素原子を有する金属化合物等を挙げることができる。
イソブチレン系ブロック共重合体(B)の重合は必要に応じて有機溶媒中で行うことができ、有機溶媒としてはカチオン重合を本質的に阻害しなければ特に制約なく使用することができる。具体的には、塩化メチル、ジクロロメタン、クロロホルム、塩化エチル、ジクロロエタン、n−プロピルクロライド、n−ブチルクロライド、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、ブチルベンゼン等のアルキルベンゼン類;エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン等の直鎖式脂肪族炭化水素類;2−メチルプロパン、2−メチルブタン、2,3,3−トリメチルペンタン、2,2,5−トリメチルヘキサン等の分岐式脂肪族炭化水素類;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素類等を挙げることができる。
これらの溶媒は、本発明に係るイソブチレン系ブロック共重合体(B)を構成する単量体の重合特性及び生成する重合体の溶解性等のバランスを考慮して単独又は2種以上を組み合わせて使用する。上記溶媒の使用量は、得られる重合体溶液の粘度や除熱の容易さを考慮して、重合体の濃度が重合体溶液全量の1〜50wt%、好ましくは5〜35wt%となるように決定される。
実際の重合を行うに当たっては、各成分を、冷却下、例えば−100℃以上0℃未満の温度で混合する。エネルギーコストと重合の安定性を釣り合わせるために、特に好ましい温度範囲は−30℃〜−80℃である。上記重合反応は、バッチ式(回分式又は半回分式)で行ってもよいし、重合反応に必要な各成分を連続的に重合容器内に加える連続式で行ってもよい。
本発明に係る熱可塑性樹脂組成物は、更に充填材(C)を含有していてもよい。充填材(C)は、本発明の熱可塑性樹脂組成物の剛性を向上させる効果があり、また、使用温度域での形状維持性を向上させ、またホットメルト時の垂れを抑制する効果を有する。充填材(C)としては、特に制限はなく従来公知のものを使用することができる。例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、熔融シリカ、結晶シリカ、珪藻土、クレー、タルク、雲母、カオリン、酸化チタン、酸化亜鉛、カーボンブラック、ベントナイト、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム等よりなる群から選択される少なくとも1種を使用することができる。これらのうちで、炭酸カルシウムおよびカーボンブラックからなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく、少量で剛性を向上させる効果を有するカーボンブラックが特に好ましい。
充填材(C)の配合量は、特に制限はないが、イソブチレン系重合体(A)100重量部に対し、1〜300重量部とするのが好ましく、より好ましくは50〜150重量部である。
本発明に係る熱可塑性樹脂組成物は、更に吸湿性化合物(D)を含有していてもよい。吸湿性化合物(D)としては、ゼオライト、シリカゲル、アルミナ等が例示され、これらのいずれも使用することができる。これらは2種以上を組み合わせて用いてもよい。このような吸湿性化合物は、本発明に係る熱可塑性樹脂組成物の水蒸気透過率を減少させ、複層ガラスのガラス板に挟まれた空隙部が湿気によって曇るのを防ぐことができる。このような目的を効果的に達成するためには、吸湿性化合物(D)の配合量はイソブチレン系重合体(A)100重量部に対して1〜100重量部であることが好ましい。
また、本発明に係る熱可塑性樹脂組成物は、加工助剤として、更に(B)成分以外の芳香族ビニル系熱可塑性エラストマーを含有してもよい。ここでいう芳香族ビニル系熱可塑性エラストマーとは、芳香族ビニル系化合物を構成単量体とするブロックとブタジエン及び/又はイソプレンブロックよりなるブロック共重合体やその水素添加物が挙げられる。例えば、SBS(スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体)、SIS(スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体)、SEBS(スチレン−エチレンブチレン−スチレンブロック共重合体)SEPS(スチレン−エチレンプロピレン−スチレンブロック共重合体)などが挙げられる。これらは成形性を改善する効果があり、ガスバリア性を損なわない程度で配合することができる。
また、本発明に係る熱可塑性樹脂組成物には、物性を損なわない範囲で、さらに酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、顔料、界面活性剤、難燃剤等を適宜配合することができる。公知のブロッキング防止剤、帯電防止剤、着色剤、無機ないし有機抗菌剤、滑剤なども配合することができる。
本発明に係る熱可塑性樹脂組成物の製造方法は、特に限定されるものではなく、例えば、ロール、バンバリーミキサー、ニーダー、攪拌機を備えた溶融釜又は一軸若しくは二軸の押出機を用いて機械的に混合する方法を用いることができる。このときに、必要に応じて加熱してもよい。また、均一溶液とし、溶剤を留去する方法も用いることができる。
混練条件としては、使用する重合体成分、特にイソブチレン系ブロック共重合体(B)を使用する場合においてはその(B)成分が溶融する温度以上であればよく、260℃以下が好ましい。
本発明に係る熱可塑性樹脂組成物は、さらに必要に応じ、熱可塑性樹脂組成物に対して一般に採用される成形方法及び成形装置を用いて成形でき、例えば、押出成形、射出成形、プレス成形、ブロー成形等によって成形することできる。
以上のようにして得られる熱可塑性樹脂組成物は、優れたガスバリア性、高い弾性および機械的強度を有し、高温条件下でほとんど自重変形しない。一方で、ガラスに対する施工、つまり、アプリケーターのような塗布機を想定した場合、剪断力が発生し、容易に流動することから、シーリング材、特に、複層ガラス用ホットメルトシーリング材や複層ガラス用ホットメルトスペーサーとして好適に使用することが出来る。
本発明に係る熱可塑性樹脂組成物は、高温条件下においても低い自重変形性と低汚染性を示し、また、従来の組成物と比較して、高い弾性および機械的強度を有し、更には、ガスバリア性に優れる。従って、本発明に係る熱可塑性樹脂組成物は、高い弾性や機械的強度、ガスバリア、低汚染性等が要求されるシーリング材として、特に、複層ガラス用ホットメルトシーリング材や複層ガラス用ホットメルトスペーサーとして好適に用いることができる。さらに、その高い機械強度、高い耐熱耐候性、低汚染性、ホットメルト成型性等が要求されるホットメルト押出しシートや、合わせガラス用フィルムとして好適に用いることができる。
以下に、実施例に基づき本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限られるものではない。
[分子量の分析方法]
本実施例に示すイソブチレン系重合体の分子量は以下に示す方法で測定した。
Waters社製GPCシステム(カラム:昭和電工(株)製Shodex K−804(ポリスチレンゲル)、移動相:クロロホルム)を使用。数平均分子量および重量平均分子量はポリスチレン換算で表記。GPCのRIの検出器によるクロマトグラムを測定し、分子量1万に相当する保持時間よりあとに溶出するポリマー成分が示すクロマトグラム上の面積が全体の面積に対して占める割合(モル比を表す)を算出した後、これを重量%に換算し、分子量1万以下のものの含有量を重量%として表記した。
[ブロック化率の測定方法]
得られたイソブチレン系ブロック共重合体(B)1gを、メチルエチルケトン(MEK)100mlに浸漬し、1日間放置した。固形物と溶液をデカンテーションで分離し、得られた固形物を100℃で2時間乾燥させた(ホモポリスチレンの除去操作)。更に乾燥させた固形物をヘキサン/エタノール=85/15(vol/vol)の溶液100mlに浸漬し、1日間放置した。固形物と溶液をデカンテーションで分離し、得られた固形物を100℃で2時間乾燥させた(ホモポリイソブチレンの除去操作)。最終的に得られた固形物の重量の、初期のブロック共重合体の重量に対する割合をブロック化率とし、百分率にて表記した。
(製造例1)[イソブチレン系重合体(A)の製造方法](以下、PIB1と略す)
500mLのセパラブルフラスコの重合容器内を窒素置換した後、注射器を用いて、n−ヘキサン(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)97.6mL及び塩化ブチル(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)140.5mLを加え、重合容器を−70℃のドライアイス/メタノールバス中につけて冷却した後、イソブチレンモノマー47.7mL(505.3mmol)が入っている三方コック付耐圧ガラス製液化採取管にテフロン(登録商標)製の送液チューブを接続し、重合容器内にイソブチレンモノマーを窒素圧により送液した。p−ジクミルクロライド(以下、p−DCCと略す)0.078g(0.34mmol)及びN,N−ジメチルアセトアミド0.059g(0.84mmol)を加えた。次にさらに四塩化チタン0.37mL(3.4mmol)を加えて重合を開始した。重合開始から120分撹拌を行った後に、大量の水に加えて反応を終了させた。
反応溶液を2回水洗し、溶媒を加熱蒸発させ、さらに得られた重合体を130℃で24時間真空乾燥することにより目的のイソブチレン系重合体を得た。得られた重合体のGPC分析を行ったところ、数平均分子量は約85,000、重量平均分子量は約97,000であり、その分子量1万未満の含有量は0.1重量%未満であった。さらに、H−NMRおよび元素分析により求めたポリマー末端の構造は、イソプロペニルオレフィン含量1.0(個/1分子)、内部オレフィン0.6(個/1分子)、クロル基0.4(個/1分子)であった(なおこれらの個数はポリマー1分子あたりの平均値である)。このイソブチレン系重合体の分析結果を表1に示す。
(製造例2〜5)[イソブチレン系重合体(A)の製造方法](以下、PIB2〜5と略す)
製造例2〜4では、表1に示したようにp−DCCの量を変更し、N,N−ジメチルアセトアミドと四塩化チタンの使用量をp−DCCの量に比例して増減させて、製造例1と同様に120分間重合を行った。その後、使用したp−DCCの3倍molのアリルトリメチルシランを追加し、さらに60分間攪拌を行った。その後製造例1と同様にしてイソブチレン系重合体(A)を得た。製造例5では、表1に示したように、p−DCCの量を変更し、N,N−ジメチルアセトアミドと四塩化チタンの使用量をp−DCCの量に比例して増減させた以外は、製造例1と同様にしてイソブチレン系重合体(A)を得た。これらのイソブチレン系重合体の分析結果を表1に示す。
(製造例6〜10)[イソブチレン系重合体(A)の製造方法](以下、PIB6〜10と略す)
製造例1のp−DCCを、α−メチルスチレンと塩酸ガスで反応させ製造したモノクミルクロライド(以下、MCCと略す)に変更し、更にその使用量を表1に示した量に変更し、その増減量に比例するようにN,N−ジメチルアセトアミドと四塩化チタンの量を増減させた以外は、製造例1〜5と同様にしてイソブチレン系重合体(A)を得た。このイソブチレン系重合体の分析結果を表1に示す。
Figure 2006132238
(市販品)イソブチレン系重合体(以下、PIB11〜14と略す)
市販されている中分子量体域のポリイソブチレンの分析を、製造例1〜10と同様にして行った。分析結果を表2に示す。
Figure 2006132238
(製造例11)[スチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体(SIBS11)の製造]
2Lのセパラブルフラスコの重合容器内を窒素置換した後、注射器を用いて、n−ヘキサン(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)300mL及び塩化ブチル(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)432mLを加え、重合容器を−70℃のドライアイス/メタノールバス中につけて冷却した後、イソブチレンモノマー153mL(1619mmol)が入った三方コック付耐圧ガラス製液化採取管にテフロン(登録商標)製の送液チューブを接続し、重合容器内にイソブチレンモノマーを窒素圧により送液した。p−ジクミルクロライド0.50g(2.2mmol)及びN,N−ジメチルアセトアミド0.94g(10.8mmol)を加えた。次にさらに四塩化チタン6.6mL(61mmol)を加えて重合を開始した。重合開始から90分間同じ温度で撹拌を行った後、あらかじめ−70℃に冷却しておいたスチレンモノマー43g(415mmol)、n−ヘキサン20mLおよび塩化ブチル30mLの混合溶液を重合容器内に添加した。該混合溶液を添加してから45分後に、約40mLのメタノールを加えて反応を終了させた。
反応溶液を2回水洗し、溶媒を加熱蒸発させ、さらに得られた重合体を130℃で24時間真空乾燥することにより目的のイソブチレン系ブロック共重合体(以下、SIBS11と称する)を得た。尚、スチレン重合後のブロック共重合体の数平均分子量は59,000、重量平均分子量は72,000、スチレンブロック含量は30%であった。また、ブロック化率は97%であった。
分析結果を表3に示す。
(製造例12)[SIBS12の製造]
2Lのセパラブルフラスコの重合容器内を窒素置換した後、注射器を用いて、n−ヘキサン(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)302mL及び塩化ブチル(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)435mLを加え、重合容器を−70℃のドライアイス/メタノールバス中につけて冷却した後、イソブチレンモノマー153mL(1619mmol)が入った三方コック付耐圧ガラス製液化採取管にテフロン(登録商標)製の送液チューブを接続し、重合容器内にイソブチレンモノマーを窒素圧により送液した。p−ジクミルクロライド0.25g(1.1mmol)及びN,N−ジメチルアセトアミド0.47g(5.4mmol)を加えた。次にさらに四塩化チタン4.2mL(38mmol)を加えて重合を開始した。重合開始から90分間同じ温度で撹拌を行った後、あらかじめ−70℃に冷却しておいたスチレンモノマー43g(415mmol)、n−ヘキサン20mLおよび塩化ブチル30mLの混合溶液を重合容器内に添加した。該混合溶液を添加してから45分後に、約40mLのメタノールを加えて反応を終了させた。
反応溶液を2回水洗し、溶媒を加熱蒸発させ、さらに得られた重合体を130℃で24時間真空乾燥することにより目的のイソブチレン系ブロック共重合体(SIBS12)を得た。尚、スチレン重合後のブロック共重合体の数平均分子量は115,000、重量平均分子量は135,000、スチレンブロック含量は30%であった。また、ブロック化率は98%であった。分析結果を表3に示す。
(製造例13)[SIBS13の製造]
2Lのセパラブルフラスコの重合容器内を窒素置換した後、注射器を用いて、n−ヘキサン(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)297mL及び塩化ブチル(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)427mLを加え、重合容器を−70℃のドライアイス/メタノールバス中につけて冷却した後、イソブチレンモノマー190mL(2012mmol)が入った三方コック付耐圧ガラス製液化採取管にテフロン(登録商標)製の送液チューブを接続し、重合容器内にイソブチレンモノマーを窒素圧により送液した。p−ジクミルクロライド0.25g(1.1mmol)及びN,N−ジメチルアセトアミド0.47g(5.4mmol)を加えた。次にさらに四塩化チタン4.2mL(38mmol)を加えて重合を開始した。重合開始から90分間同じ温度で撹拌を行った後、あらかじめ−70℃に冷却しておいたスチレンモノマー19g(180mmol)、n−ヘキサン20mLおよび塩化ブチル30mLの混合溶液を重合容器内に添加した。該混合溶液を添加してから45分後に、約40mLのメタノールを加えて反応を終了させた。
反応溶液を2回水洗し、溶媒を加熱蒸発させ、さらに得られた重合体を130℃で24時間真空乾燥することにより目的のイソブチレン系ブロック共重合体(SIBS13)を得た。尚、スチレン重合後のブロック共重合体の数平均分子量は118,000、重量平均分子量は132,000、スチレンブロック含量は13%であった。また、ブロック化率は98%であった。分析結果を表3に示す。
(製造例14)[スチレン−イソブチレン−ジブロック共重合体(SIB)の製造]
500mLのセパラブルフラスコの重合容器内を窒素置換した後、注射器を用いて、n−ヘキサン(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)84.9mL及び塩化ブチル(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)122.2mLを加え、重合容器を−70℃のドライアイス/メタノールバス中につけて冷却した後、イソブチレンモノマー78.3mL(828.8mmol)が入った三方コック付耐圧ガラス製液化採取管にテフロン(登録商標)製の送液チューブを接続し、重合容器内にイソブチレンモノマーを窒素圧により送液した。α−メチルスチレンと塩酸ガスで反応させ製造したクミルクロライド0.217g(1.4mmol)及びN,N−ジメチルアセトアミド0.12g(1.4mmol)を加えた。次にさらに四塩化チタン1.54mL(14.0mmol)を加えて重合を開始した。重合開始から120分間同じ温度で撹拌を行った後、あらかじめ−70℃に冷却しておいたスチレンモノマー9.48g(91.0mmol)、n−ヘキサン20mLおよび塩化ブチル30mLの混合溶液を重合容器内に添加した。該混合溶液を添加してから45分後に、大量の水に加えて反応を終了させた。
反応溶液を2回水洗し、溶媒を加熱蒸発させ、さらに得られた重合体を130℃で24時間真空乾燥することにより目的のイソブチレン系ブロック共重合体(SIB14)を得た。尚、スチレン重合後のブロック共重合体の数平均分子量は48,000、重量平均分子量は58,000、スチレンブロック含量は14%であった。また、ブロック化率は97%であった。
分析結果を表3に示す。
(製造例15)[SIBS15の製造]
2Lのセパラブルフラスコの重合容器内を窒素置換した後、注射器を用いて、n−ヘキサン(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)300mL及び塩化ブチル(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)432mLを加え、重合容器を−70℃のドライアイス/メタノールバス中につけて冷却した後、イソブチレンモノマー153mL(1619mmol)が入った三方コック付耐圧ガラス製液化採取管にテフロン(登録商標)製の送液チューブを接続し、重合容器内にイソブチレンモノマーを窒素圧により送液した。p−ジクミルクロライド0.50g(2.2mmol)及びN,N−ジメチルアセトアミド0.94g(10.8mmol)を加えた。次にさらに四塩化チタン6.6mL(61mmol)を加えて重合を開始した。重合開始から150分間同じ温度で撹拌を行った後、あらかじめ−70℃に冷却しておいたスチレンモノマー43g(415mmol)、n−ヘキサン20mLおよび塩化ブチル30mLの混合溶液を重合容器内に添加した。該混合溶液を添加してから60分後に、約40mLのメタノールを加えて反応を終了させた。
反応溶液を2回水洗し、溶媒を加熱蒸発させ、さらに得られた重合体を130℃で24時間真空乾燥することにより目的のイソブチレン系ブロック共重合体(SIBS15)を得た。尚、スチレン重合後のブロック共重合体の数平均分子量は53,000、重量平均分子量は73,000、スチレンブロック含量は30%であった。また、ブロック化率は78%であった。
分析結果を表3に示す。
(製造例16)[SIBS16の製造]
2Lのセパラブルフラスコの重合容器内を窒素置換した後、注射器を用いて、n−ヘキサン(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)300mL及び塩化ブチル(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)432mLを加え、重合容器を−70℃のドライアイス/メタノールバス中につけて冷却した後、イソブチレンモノマー153mL(1619mmol)が入った三方コック付耐圧ガラス製液化採取管にテフロン(登録商標)製の送液チューブを接続し、重合容器内にイソブチレンモノマーを窒素圧により送液した。p−ジクミルクロライド0.50g(2.2mmol)及びN,N−ジメチルアセトアミド0.94g(10.8mmol)を加えた。次にさらに四塩化チタン6.6mL(61mmol)を加えて重合を開始した。重合開始から120分間同じ温度で撹拌を行った後、あらかじめ−70℃に冷却しておいたスチレンモノマー43g(415mmol)、n−ヘキサン20mLおよび塩化ブチル30mLの混合溶液を重合容器内に添加した。該混合溶液を添加してから60分後に、約40mLのメタノールを加えて反応を終了させた。
反応溶液を2回水洗し、溶媒を加熱蒸発させ、さらに得られた重合体を130℃で24時間真空乾燥することにより目的のイソブチレン系ブロック共重合体(SIBS16)を得た。尚、スチレン重合後のブロック共重合体の数平均分子量は55,000、重量平均分子量は71,000、スチレンブロック含量は30%であった。また、ブロック化率は91%であった。
分析結果を表3に示す。
Figure 2006132238
(実施例1〜10、比較例1〜5)
表1及び表2に示したイソブチレン系重合体を用いて、表4、表5に示した割合で、各種配合剤をプラストミル((株)東洋精機製作所製)を用いて10分間溶融混練した。
得られた組成物を用いて、種々の評価を行った。
(評価1:コールドフロー性、および、評価2:汚染性)
表4、表5に従って配合・混練した組成物を、金型とプレス成形機(設定温度180℃)を用いて、直径約25mm、高さ約15mmの円筒状に成型し、EVAフィルム(厚み約0.3mm、片面シボ有り)の上に置き、80℃オーブン中に1週間静置後、その円筒状サンプルの横方向への広がり(コールドフロー性)を測定し、初期からの変化量を評価した。また、同様に1週間後に円筒状サンプルを置いたEVAフィルムの裏側から観察し、EVAフィルムの変質の程度を観察、評価した。これらの結果を表4、5に示す。なお、汚染性は変化の少ない順に、「無し<微<小<中」とし、汚染性を観察する角度によりかろうじて変質を判別できるものを「微」、観察する角度により明らかに変質を確認できるものを「小」とし、観察角度に関係なく明らかに変質を判別できるものを「中」とした。
Figure 2006132238
Figure 2006132238
(実施例11〜15、比較例6〜8)
(評価3:硬度)
表6に従って配合・混練した組成物を、まず、金型とプレス成形機(設定温度180℃)を用いて、直径約25mm、高さ約15mmの円筒状に成型し、常温まで冷却後、JIS A硬度を測定した。
(評価4:溶融粘度)
表6に従って配合・混練した組成物を用いて、株式会社東洋精機製作所のキャピログラフにて、その120℃における溶融粘度を測定し組成物の成型性を評価した。
(評価6:耐熱変形性)
表6に従って配合・混練した熱可塑性樹脂組成物を金型とプレス成形機(設定温度180℃)を用いて、幅20mm×長さ40mm×厚み6mmのシートに成形した。幅50mm×長さ50mm×厚み0.5mmのガラス板を準備し、そのガラス板の一辺から10mmのところに、上記シートをガラス面に対し垂直に圧着させた。シートを圧着させたガラス板を、地面に対し垂直に固定して、120℃の熱風乾燥機中で12時間放置した。初期地面に対し水平であったシートの12時間後の耐熱変形性を、その垂下距離(図1参照)を測定することで評価した。
Figure 2006132238
(評価結果)
実施例1〜10と比較例1〜5を比較してわかるように、イソブチレン系重合体のポリマー末端構造に関係なく、分子量1万未満の重合体の含量が少ないと、コールドフロー性および汚染性が大幅に改善されることがわかる。
また、実施例11〜15と比較例6〜8を比較してわかるように、吸湿性化合物を含む組成物においても、実施例の方がその垂下距離が非常に小さく、曝露環境下の高温状態における形状安定性に優れることがわかる。特に、使用しているイソブチレン系重合体の数平均分子量がほぼ同一である実施例12と比較例6、実施例13と比較例7を比較すると、その溶融特性が類似であるにも拘わらず、その垂下距離が大きく異なり、実施例の方が形状安定性に優れていることがわかる。さらに、一般的にポリマーおよび配合物の粘度に大きく影響を与えると言われている重量平均分子量がほぼ同一である実施例12と比較例7を比較すると、比較例7の方が重量平均分子量がわずかに高いにも拘わらず、その垂下距離が大きい。
以上のことから、本発明にかかる熱可塑性樹脂組成物は、特に、コールドフロー性や耐熱形状安定性に優れることがわかる。
(実施例16)
製造例1で得られたイソブチレン系重合体(A)PIB1 90重量部、製造例11で得られたイソブチレン系ブロック共重合体(B)SIBS11 10重量部、炭酸カルシウム(ソフトン3200、白石カルシウム社製)40重量部、カーボンブラック(旭カーボン#60HN、旭カーボン社製)50重量部、シリカゲル(ニップジェルCX200、東ソーシリカ社製)10重量部をラボプラストミル(東洋精機製作所社製)にて、設定温度170℃の条件下で10分間溶融混練し、熱可塑性樹脂組成物を得た。この組成物を用いて、上記の方法で各種物性評価を行った。その結果を表7に示す。
(実施例17〜29)
イソブチレン系重合体(A)およびイソブチレン系ブロック重合体(B)をそれぞれ表7に記載の割合に変更した以外は実施例16と同様にして、熱可塑性樹脂組成物を得た。この組成物を用いて、上記の方法で各種物性評価を行った。その結果を表7に示す。
(比較例9〜17、および参考実施例1)
イソブチレン系重合体(A)、イソブチレン系重合体相当成分およびイソブチレン系ブロック重合体(B)をそれぞれ表8に記載の割合に変更した以外は実施例1と同様にして、熱可塑性樹脂組成物を得た。この組成物を用いて、上記の方法で各種物性評価を行った。その結果を表8に示す。
[評価1:コールドフロー性、および、評価2:汚染性]
実施例16〜29、比較例9〜17および参考実施例1で得られた組成物を、金型とプレス成形機(設定温度180℃)を用いて、直径約25mm 高さ約15mmの円筒状に成型し、PVBフィルム(厚み約0.3mm、片面シボ有り)の上に置き、80℃オーブン中に1週間静置後、その円筒状サンプルの横方向への広がり(コールドフロー性)を測定し、初期からの変化量を評価した。また、同様に1週間後に円筒状サンプルを置いたPVBフィルムの裏側から観察し、PVBフィルムの変質の程度を観察、評価した。これらの結果を表7、8に示す。なお、汚染性は変化の少ない順に、「無<微<小<中」と表し、汚染性を観察する角度によりかろうじて変質を判別できるものを「微」、観察する角度により明らかに変質を確認できるものを「小」とし、観察角度に関係なく明らかに変質を判別できるものを「中」とした。
[評価3:硬度、評価4:溶融粘度、および、評価5:耐熱自重変形性]
上述の方法にて硬度、溶融粘度および耐熱自重変形性(垂下距離)を評価した。
[評価6:水蒸気透過性(透湿度)試験]
得られた組成物を180℃の条件下で加熱プレスし、0.9mm厚のシートを作製した。作製したシートをJIS Z 0208に従い、40℃、90%RHでの組成物の透湿度を測定し、次の水準で判定した。
○:測定した透湿度の値が、1g/m・day未満である。
×:測定した透湿度の値が、1g/m・day以上である。
Figure 2006132238
Figure 2006132238
実施例16〜27では、評価1〜5のいずれについても、良好な結果が得られており、評価6については、十分低い透湿度(優れたガスバリア性)を有することが確認できた。また、機械強度および弾性に優れ、更に、高温条件下においても自重による変形が小さく、低汚染性を示す熱可塑性樹脂組成物が得られていることがわかる。
また、実施例28、29では、評価1、評価3の結果について参考実施例1と対比してわかるように、自重変形性がかなり改善されていることがわかる。ただし、実施例16の評価3と対比してわかるように、ブロック化率の高低により、機械特性に影響が生じていることがわかる。
一方、比較例9〜13、比較例16、17からわかるように、PIBの分子量が1万未満の成分の含有量が5%を超えるものについては、明らかに汚染性が悪くなっていた。また、比較例14および参考実施例1からわかるように、イソブチレン系ブロック共重合体(B)を含まない熱可塑性樹脂組成物においては、高温条件下での自重変形が見られ、特に比較例14では、非常に分子量の高いイソブチレン系重合体を選択しているにもかかわらず、自重変形性を十分には改善出来ていない。また、比較例15からわかるように、イソブチレン系重合体(A)を含まない熱可塑性樹脂組成物においては、その成型・加工性が大幅に低下しており、熱可塑性樹脂組成物の取り扱い上好ましくない。
以上のことから、本発明に係る熱可塑性樹脂組成物は、ガスバリア性、機械強度および弾性に優れ、更に、高温条件下においても自重による変形が小さく、低汚染性を示す熱可塑性樹脂組成物であることが示された。この熱可塑性樹脂組成物は、シーリング材、特に複層ガラス用ホットメルトシーリング材、複層ガラス用ホットメルトスペーサーに好適に使用でき、また、ホットメルト押出しシートや、合わせガラス用フィルムとしても好適に使用できる。
本発明により得られる熱可塑性樹脂組成物は、柔軟性、緩衝性、制振性、防音性、保温性、ガスバリア性、耐候性、熱的安定性等に優れるため、熱可塑性シーリング材、複層ガラス用熱可塑性シーリング材、吸湿性化合物を含有した複層ガラス用熱可塑性樹脂スペーサー、自動車内装用途、家電用部材用途、食品用包装材用途、日用雑貨用途、玩具・運動用具用途、衣料用途、土木シート・防水シート・ガスケット・成型シール材・複層ガラス用成型スペーサー等の土木・建築用途等に利用可能である。
耐熱自重変形性試験用試験体の概略構成図。

Claims (17)

  1. 数平均分子量および重量平均分子量が、それぞれ2万から20万であって、分子量が1万未満の成分の含有量が5重量%未満であるイソブチレン系重合体(A)を含有することを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
  2. 前記分子量が1万未満の成分の含有量が3重量%未満である請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. 前記分子量が1万未満の成分の含有量が2重量%未満である請求項2記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. 芳香族ビニル系化合物を構成単量体とする重合体ブロックとイソブチレンを構成単量体とする重合体ブロックとからなるイソブチレン系ブロック共重合体(B)をさらに含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  5. イソブチレン系ブロック共重合体(B)の数平均分子量および重量平均分子量が、それぞれ3万から30万であって、そのブロック化率が90%以上であることを特徴とする請求項4記載の熱可塑性樹脂組成物。
  6. イソブチレン系ブロック共重合体(B)において、イソブチレンを構成単量体とする重合体ブロックと芳香族ビニル系化合物を構成単量体とする重合体ブロックの重量比が、(イソブチレンを構成単量体とする重合体ブロック)/(芳香族ビニル系化合物を構成単量体とする重合体ブロック)=95/5〜60/40であることを特徴とする請求項4または5記載の熱可塑性樹脂組成物。
  7. イソブチレン系ブロック共重合体(B)が、スチレン−イソブチレンジブロック共重合体であることを特徴とする請求項4〜6のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  8. イソブチレン系ブロック共重合体(B)が、スチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体であることを特徴とする請求項4〜6のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  9. さらに充填材(C)として、炭酸カルシウムおよびカーボンブラックからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  10. さらに吸湿性化合物(D)を含有することを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  11. 前記吸湿性化合物(D)が、シリカゲル、アルミナおよびゼオライトからなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項10に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  12. さらに(B)成分以外の芳香族ビニル系熱可塑性エラストマーを含むことを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  13. 請求項1〜12のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物からなる、シーリング材。
  14. 請求項1〜12のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物からなる、複層ガラス用ホットメルトシーリング材。
  15. 請求項1〜12のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物からなる、複層ガラス用ホットメルトスペーサー。
  16. 請求項1〜12のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物からなる、ホットメルト押出しシート。
  17. 請求項1〜12のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物からなる、合わせガラス用フィルム。
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