JP4387088B2 - ウエットグリップ性の改良されたゴム組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、動的に架橋された組成物を含むゴム組成物に関するものであり、特に湿潤路面における操縦安定性や制動性(ウエットグリップ性)に優れたタイヤ用ゴム組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、自動車の低燃費化、特にタイヤの転がり抵抗低減の要請が強くなるとともに、安全面からは湿潤路面でのグリップ性、すなわちウエットグリップ性の高いタイヤを提供可能なトレッド用ゴム組成物が求められている。
【0003】
ウエットグリップ性は、トレッドゴムのヒステリシスロス(tanδ)に関連しており、周波数10Hzにおける、0℃のtanδが大きいほどウエットグリップ性が高いという関係が知られている。
【0004】
このような自動車分野における空気入りタイヤに用いられるトレッド用ゴム組成物として、特開平11−80433号公報では、ポリイソブチレン/p−メチルスチレン共重合体の臭素化物とゴム成分からなるトレッド用ゴム組成物が開示されている。しかし、ベースゴムとして使用されるスチレン−ブタジエンゴム(SBR)やブタジエンゴム(BR)、天然ゴム(NR)との加硫速度が大きく異なるため、加工性、生産性が悪くなるという問題があった。また、特開平11−315171号公報では、ゴム成分にスチレン−イソブチレン共重合体を含有してなるゴム組成物が開示されているが、これは、スチレン−イソブチレン系ランダム共重合体を可塑剤成分として添加するというもので、ゴム組成物の弾性率を低下させることでウェットグリップ性を改良している。しかし、可塑剤成分の添加は、ゴム成分の選択によりウェットグリップ性を改良するのと異なり、硬度の低下を伴うという問題があった。前記公報には、ブロック共重合体についての記載はない。
【0005】
これまでに芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックと共役ジエン系化合物を主体とし、3,4結合及び1,2結合の含有量の和が30%以上である重合体ブロックとから構成されるブロック共重合体を用いたタイヤトレッド用ゴム組成物のウエットグリップ性改良材としての出願が行われているが、タイヤの加工性や破壊強度を損なうことなく、ウエットグリップ性を向上させるという記載はあるものの、タイヤトレッド部の摩耗性に関しては何らの記載もなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
すなわち、本発明が解決しようとする課題は、タイヤの加工性、破壊強度を保持し、かつトレッド部の耐摩耗性も損なうことなく、ウエットグリップ性を向上させるタイヤ用ゴム組成物を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明者らは鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。すなわち本発明は、芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロック(a1)と、共役ジエン系化合物を主体とし、3,4結合および1,2結合の含有量の和が30%以上である重合体ブロック(a2)とから構成されるブロック共重合体(A)と、熱可塑性樹脂(B)とを溶融混練時に、該ブロック共重合体(A)を動的に架橋して組成物を得た後、該組成物と、天然ゴム、ジエン系重合体ゴム及びオレフィン系重合体ゴムよりなる群から選択される少なくとも1種のゴム成分(C)とを混合し、該ゴム成分(C)を架橋することを特徴とするゴム組成物に関する。
【0008】
好ましい実施態様としては、前記ブロック共重合体(A)中の共役ジエン系化合物を主体とするブロック(a2)が、少なくとも部分的に水添されているゴム組成物に関する。
【0009】
好ましい実施態様としては、ブロック共重合体(A)と熱可塑性樹脂(B)とを溶融混練する際に、ヒドロシリル化反応を利用して、該ブロック共重合体(A)を動的に架橋することを特徴とするゴム組成物に関する。
【0010】
好ましい実施態様としては、ブロック共重合体(A)と熱可塑性樹脂(B)とを溶融混練する際に、該ブロック共重合体(A)を有機過酸化物または硫黄を用いたラジカル反応を利用して動的に架橋することを特徴とするゴム組成物に関する。
【0011】
好ましい実施態様としては、ブロック共重合体(A)と、熱可塑性樹脂(B)とからなる組成物の10Hz、引張モードの動的粘弾性測定により得られる損失正接(tanδ)が、0℃において0.5以上であることを特徴とするゴム組成物に関する。
【0012】
好ましい実施態様としては、ブロック共重合体(A)と、熱可塑性樹脂(B)とからなる組成物の含有量が、ゴム成分(C)100重量部対して、1〜30重量部あることを特徴とするゴム組成物に関する。
【0014】
さらには、上記記載のゴム組成物を用いてなる空気入りタイヤトレッドに関する。
【0015】
さらには、上記記載のゴム組成物からなる靴底に関する。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明のゴム組成物は、芳香族ビニル化合物を単量体とする重合体ブロック(a1)と、共役ジエン系化合物を単量体とし、3,4結合および1,2結合の含有量の和が30%以上である重合体ブロック(a2)とから構成されるブロック共重合体(A)と、熱可塑性樹脂(B)とを溶融混練時に、該ブロック共重合体(A)を動的に架橋して組成物を得た後、該組成物と、天然ゴム、ジエン系重合体ゴム及びオレフィン系重合体ゴムよりなる群から選択される少なくとも1種のゴム成分(C)とを混合し、該成分(C)を架橋することを特徴とするゴム組成物である。
【0017】
本発明で使用しうる、ブロック共重合体(A)は、芳香物ビニル化合物を主体とする重合体ブロック(a1)と、共役ジエン系化合物を主体とし、3,4結合および1,2結合の含有量の和が30%以上である重合体ブロック(a2)とから構成されるブロック共重合体という構造を有しているものであれば特に制限はなく、例えば、直鎖状、分岐状、星状等の構造を有するブロック共重合体、ジブロック共重合体、トリブロック共重合体、マルチブロック共重合体等のいずれも選択可能であり、機械特性と加工性の要求に見合うものを選択すればよい。
【0018】
重合体ブロック(a1)を構成する芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−エチルスチレン、p−プロピルスチレン、p−t−ブチルスチレン、p−シクロヘキシルスチレン、p−ドデシルスチレン、2−エチル−4−ベンジルスチレン、p−(フェニルブチル)スチレン、2,4,6−トリメチルスチレン、メトキシスチレン等のスチレン系化合物;1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン等のビニルナフタレン系化合物などを挙げることができる。中でも、重合体ブロック(a1)がスチレンよりなっているのが最も好ましい。また、重合体ブロック(a1)は数平均分子量が2500〜400000の範囲内であることが好ましく、5000〜200000の範囲内であることがより好ましい。重合体ブロック(a1)の数平均分子量が2500以上、とりわけ5000以上の場合は、ブロック共重合体の機械的特性が良好となり、熱可塑性樹脂(B)、もしくはゴム成分(C)との組成物においてもやはり機械的特性が良好となる。一方、数平均分子量が400000以下、とりわけ200000以下であると、ブロック共重合体の溶融粘度の上昇が抑えられるので、熱可塑性樹脂(B)、もしくはゴム成分(C)との混合が容易であり、また熱可塑性樹脂(B)、もしくはゴム成分(C)との組成物において溶融混練性が良好となる。
【0019】
重合体ブロック(a2)を構成する成分である共役ジエン系モノマーとしては、イソプレン、ブタジエン等を使用することができるが、イソプレン単独またはそれとブタジエンとの混合物が好ましく、イソプレン単独またはイソプレン/ブタジエンの重量比が40/60もしくはそれ以上のイソプレンとブタジエンとの混合物がより好ましく、イソプレン単独が特に好ましい。イソプレンとブタジエンの混合物を用いる場合、重合体ブロック(a2)中におけるモノマー単位の配列はランダム、ブロックおよびテーパードブロックのいずれでもよい。また、重合体ブロック(a2)は、数平均分子量が10000〜400000の範囲内であることが好ましい。重合体ブロック(a2)の数平均分子量が10000以上の場合は、ブロック共重合体(A)の弾性的性質が特に良好となり、ゴム成分(C)との組成物におけるウェットグリップ性が一段と良好となる。一方、数平均分子量が400000以下であるとブロック共重合体(A)の流動性が良好となり、熱可塑性樹脂(B)、もしくはゴム成分(C)との組成物において成形性や加工性が良好となる。さらに重合体ブロック(a2)は、少なくとも部分的に水添されていることが好ましい。重合体ブロック(a2)中の共役ジエン系モノマーの結合様式としては、1,4結合、1,2結合および該モノマーの化学構造によっては3,4結合が可能である。例えば、ブタジエンからは、1,4結合によって式−CH2CH=CHCH2−で示される単位(その後に水添された場合には式−CH2CH2CH2CH2−で示される単位)が形成され、1,2結合によって式−CH2CH(CH=CH2)−で示される単位(その後に水添された場合には式−CH2CH(CH2CH3)−で示される単位)が形成され得る。またイソプレンからは、1,4結合によって式−CH2C(CH3)=CHCH2−で示される単位(その後に水添された場合には式−CH2CH(CH3)CH2CH2−で示される単位)が形成され、1,2結合によって式−CH2C(CH3)(CH=CH2)−で示される単位(その後に水添された場合には式−CH2C(CH3)(CH2CH3)−で示される単位)が形成され、3,4結合によって式−CH[C(CH3)=CH2]CH2−で示される単位(その後に水添された場合には式−CH[CH(CH3)2]CH2−で示される単位)が形成され得る。本発明においては、該ブロックにおける3,4結合の含有量と1,2結合の含有量との和(以下、これを「ビニル結合含有量」と称する)が30%以上であることが必要である。ビニル結合含有量が30%より少ない場合には、十分なウェットグリップ性が得られず好ましくない。ウェットグリップ性が特に良好となる点から、ビニル結合含有量は70%以上であることが好ましい。
【0020】
重合体ブロック(a1)と重合体ブロック(a2)からなるブロック共重合体(A)は、数平均分子量が20000〜500000の範囲内であることが好ましく、30000〜400000の範囲内であることがより好ましい。ブロック共重合体(A)の数平均分子量が20000以上、とりわけ30000以上の場合は、ブロック共重合体(A)、ひいてはそれを含有する組成物の強度や伸度などの機械的特性が良好となる。一方、500000以下、とりわけ400000以下であると、ブロック共重合体(A)の流動性が良好となり、それを含有する組成物の成形性や加工性が良好となる。
【0021】
ブロック共重合体(A)における重合体ブロック(a1)と重合体ブロック(a2)の割合は、ブロック共重合体(A)、重合体ブロック(a1)および重合体ブロック(a2)の数平均分子量などに依存する面があるが、一般にブロック共重合体(A)の重量に基づいて、重合体ブロック(a1)の重量の和が5〜80重量%、重合体ブロック(a2)の重量の和が95〜20重量%であるのが好ましく、重合体ブロック(a1)の重量の和が10〜75重量%、重合体ブロック(a2)の重量の和が90〜25重量%であるのがより好ましい。重合体ブロック(a1)の割合が5重量%以上、とりわけ10重量%以上の場合、ブロック共重合体(A)、ひいてはそれを含有する組成物の強度等の機械的特性が良好となる。一方、重合体ブロック(a1)の割合が80重量%以下、とりわけ75重量%以下の場合は、溶融粘度の上昇が抑えられ、(B)成分との混練組成物の成形性や加工性が良好となる。
【0022】
また、ブロック共重合体(A)としては、式X−(Y−X)nまたは式(X−Y)nで示されるブロック構成を有するものが好適である。ここで、Xは重合体ブロック(a1)を示し、Yは重合体ブロック(a2)を示し、nは1以上の整数である。中でも、特に式X−Y−Xで示されるブロック構成を有するものが好ましい。
【0023】
ブロック共重合体(A)の製造方法は特に限定されないが、例えば、アルキルリチウム化合物を重合開始剤に用いてビニル芳香族モノマーを重合させることにより重合体ブロック(a1)を形成させ、続いて共役ジエン系モノマーを重合させることにより該重合体ブロック(a1)の末端に重合体ブロック(a2)を形成させ、必要に応じて、さらに前記各モノマーの重合を逐次行う方法、アルキルリチウム化合物を重合開始剤に用いてビニル芳香族モノマーを重合させることにより重合体ブロック(a1)を形成させた後、共役ジエン系モノマーを重合させることにより該重合体ブロック(a1)の末端に重合体ブロック(a2)を形成させ、このようにして得られたジブロック型共重合体の2分子をカップリング剤を用いてカップリングさせる方法、ジリチウム化合物を重合開始剤に用いて共役ジエン系モノマーを重合させることにより重合体ブロック(a2)を形成させ、続いてビニル芳香族モノマーを重合させることにより該重合体ブロック(a2)の両端にそれぞれ重合体ブロック(a1)を形成させ、必要に応じて、さらに前記各モノマーの重合を逐次行う方法などが挙げられる。
【0024】
アルキルリチウム化合物の例としては、アルキル基の炭素数が1〜10のアルキルリチウム化合物が挙げられ、特にメチルリチウム、エチルリチウム、プロピルリチウム、ブチルリチウム、ペンチルリチウム等が好ましい。カップリング剤としては塩化メチレン、臭化メチレン、ジクロロエタン、ジブロモエタン、ジブロモベンゼンなどのジハロゲン化炭化水素化合物が好ましく用いられる。ジリチウム化合物の例としては、ナフタレンジリチウムなどが挙げられる。
【0025】
重合体ブロック(a2)の共役ジエン系モノマーから誘導される構成単位において、ビニル結合含有量が30%以上というミクロ構造を有するようにするために、共役ジエン系モノマーの重合時に共触媒としてルイス塩基を用いるのが好適である。ルイス塩基の例としては、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類;エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどのグリコールエーテル類;トリエチルアミン、N,N,N',N'−テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)、N−メチルモルホリンなどのアミン系化合物などが挙げられる。これらのルイス塩基の使用量は、一般的に、重合開始剤中のリチウム原子のモル数に対して概ね0.1〜1000倍のモル数である。
【0026】
少なくとも部分的に水添された重合体ブロック(a2)を有するブロック共重合体(A)は、例えば、上記の重合方法により得られた未水添のブロック共重合体(A)の炭素−炭素二重結合の少なくとも一部を公知の方法に従って水添することによって製造することができる。水添反応では、水添触媒の存在下、ブロック共重合体を反応に不活性な溶媒に溶解した状態で水素ガスと反応させる方法が好ましく用いられる。水添触媒としては公知のものが使用可能であり、ラネーニッケルのほか、白金、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、ニッケルなどの金属をカーボン、アルミナ、硅藻土などの担体に担持させた不均一系触媒;有機遷移金属化合物とアルキルアルミニウム化合物、アルキルリチウム化合物などの金属アルキル化物との組み合わせからなるチーグラー系触媒などが例示される。上記の水添反応は、通常、常圧ないし200kg/cm2の水素圧、常温ないし250℃の反応温度、0.1〜100時間の反応時間にて行われる。水添反応で得られた反応混合液を、例えば、必要に応じて触媒を濾別した後、溶媒を留出させて除去し、次いで加熱もしくは減圧下に乾燥することにより、少なくとも部分的に水添された重合体ブロック(a2)を有するブロック共重合体(A)を得ることができる。この溶媒の留出法として、反応混合液を沸騰水中に注ぎ、溶媒を共沸させる方法を採用することもできる。水添ブロック共重合体(A)の水添率は要求される物性のレベルにより任意に決定し得るが、耐熱性および耐候性を重視する場合、重合体ブロック(a2)中の炭素−炭素二重結合における水添率を50%以上、好ましくは70%以上にするのがよい。
【0027】
次に、本発明に用いられている熱可塑性樹脂(B)としては、特に制限はないが、ブロック共重合体(A)の架橋反応に比較的不活性であることが必要であり、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリフェニレンエーテル、ポリスチレン、耐衝撃性ポリスチレン、ABS樹脂、MS樹脂、塩化ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリブテン、ポリイソブチレン、ポリアミド、ポリエステルなどを挙げることができ、これら、2種以上の熱可塑性樹脂を組み合わせて使用しても良い。さらには、ブロック重合体(A)との相溶性のある成分が好ましく、このようなことから、スチレン系樹脂、スチレン系エラストマー、オレフィン系樹脂であることが好ましい。スチレン系樹脂としては、ポリスチレン、ハイインパクトポリスチレン、メチルメタクリレート−スチレン樹脂、ABS樹脂が例示される。スチレン系エラストマーとしては、スチレン−イソブチレン−スチレン共重合体(SIBS)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)やスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、またそれらを水素添加したスチレン−エチレンブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)やスチレン−エチレンプロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)が例示される。オレフィン系樹脂としては、各種密度のポリエチレン、ポリプロピレン単独重合体、ポリプロピレンランダム共重合体、インパクトポリプロピレン、ポリメチルペンテンが例示される。
【0028】
なお、熱可塑性樹脂(B)は、ブロック共重合体(A)の架橋時に架橋しないことが好ましいことから、熱可塑性樹脂(B)は、ブロック共重合体(A)の架橋系に応じて選択される。
【0029】
ゴム成分(C)としては、天然ゴム、ジエン系重合体ゴム、オレフィン系重合体ゴムが例示される。ジエン系重合体ゴムとしては、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、1,2−ポリブタジエン、スチレン−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴムが例示される。オレフィン系ゴムとしては、ブチルゴム、塩素化ブチルゴム、臭素化ブチルゴム、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴムが例示される。この中でジエン化合物の単独重合体またはジエン化合物と芳香族ビニル化合物の共重合体であることが特に好ましい。
【0030】
本発明のゴム組成物では、ゴム成分(C)は架橋される。通常、ゴム業界で用いられている、架橋剤、架橋促進剤を、適宜配合することで、架橋することができる。架橋剤としては、硫黄、フェノール樹脂、金属酸化物、過酸化物等が例示される。これらは、通常、ゴム成分100重量部に対し、約0.5〜10部使用される。架橋促進剤としては、2,2−ジチオビスベンゾチアゾール、1,3−ジフェニルグアニジン、テトラメチルチウラムジスルフィド、亜鉛ジメチルチオカルバメート、メルカプトベンゾチアジルジスルフィドが例示される。これらは、通常、ゴム成分100重量部に対し、約0.2〜5部使用される。
【0031】
ウェットグリップ性は、タイヤの表面近傍の変形に依存している考えられている。この表面近傍の変形は、非常に高い周波数の振動であることがわかっており、温度周波数換算を用いると、ウェットグリップ性は、10Hzにおいて、0℃のtanδで表される。
【0032】
本発明のゴム組成物は、ブロック共重合体(A)と熱可塑性樹脂(B)よりなる組成物の10Hz、引張りモードでの動的粘弾性測定により得られる損失正接(tanδ)のピーク点が0℃付近であることから、ゴム成分(C)へより少ない添加量で、ウェットグリップ性改良効果が発現する。このため、ゴム組成物の破壊特性及び耐摩耗性の低下も少なくなる。
【0033】
本発明の目的を達成するには、ブロック共重合体(A)と熱可塑性樹脂(B)とからなる組成物の、10Hz、0℃におけるtanδが0.5以上であることが好ましく、0.7以上であることがより好ましい。ブロック共重合体(A)中の重合体ブロック(a2)に由来するtanδのピーク温度は、3,4結合および1,2結合の含有量の和に依存する。この3,4結合および1,2結合の含有量の和が30%以上であれば、重合体ブロック(a2)に由来するtanδのピーク温度は、10Hzにおいて、0℃以上となる。この重合体ブロック(a2)に由来するtanδのピーク温度が0℃〜10℃の範囲であれば、ブロック共重合体(A)は、0℃におけるtanδが0.5以上となる。このようなブロック共重合体(A)の例としては、市販品であるハイブラーHVS−3(株式会社クラレ製)があげられる。
【0034】
熱可塑性樹脂(B)については、ブロック共重合体(A)が、前記熱可塑性樹脂(B)との溶融混練時に架橋されてなることを特徴とする組成物の一部として、当然のことながら、0℃におけるtanδに影響をもつものであるが、基本的にはブロック共重合体(A)と熱可塑性樹脂(B)により出来うる組成物の0℃、tanδが0.5以上、好ましくは0.7以上を発現できる熱可塑性樹脂であれば、特に制限されるものではない。
【0035】
ブロック共重合体(A)は、ゴム成分(C)、例えばスチレン−ブタジエンゴムと溶融混練した場合には、非架橋成分として介在する傾向を持つため、耐摩耗性の低下を生じる場合がある。従って、ブロック共重合体(A)は、ゴム成分(C)と溶融混練する前に、架橋体にし、耐摩耗性に優位な形態をとっておく必要がある。よって、ブロック共重合体(A)は、架橋粒子状態であることが好ましく、適度な架橋粒子状態を得るために、熱可塑性樹脂(B)中でブロック共重合体(A)を動的に架橋しておくことが必要である。
【0036】
ブロック共重合体(A)を架橋する手段としては、ヒドロシリル架橋を行うことができる。
【0037】
本発明のブロック共重合体(A)の架橋物を得るための架橋剤として、例えば有機過酸化物を使用するラジカル架橋の場合、有機過酸化物に起因するラジカルによりポリマー鎖の切断が起こり機械的強度の低下も見られると言う欠点を有しているが、ヒドロシリル架橋の場合、ブロック共重合体(A)の架橋のみを優先的に進める完全架橋の形態をとることが可能であるため、熱可塑性樹脂(B)への架橋に関与しないヒドロシリル架橋が好ましい。ヒドロシリル架橋の場合には、ヒドロシリル基含有化合物を架橋剤として使用するが、ヒドロシリル基含有化合物としては特に制限はなく、各種のものを用いることができる。すなわち、一般式(I)または(II)で表される鎖状ポリシロキサン;
R1 3SiO−[Si(R1)2O]a−[Si(H)(R2)O]A−[Si(R2)(R3)O]B−SiR1 3 (I)
HR1 2SiO−[Si(R1)2O]a−[Si(H)(R2)O]A−[Si(R2)(R3)O]B−SiR1 2H (II)
(式中、R1およびR2は炭素数1〜6のアルキル基、または、フェニル基、R3は炭素数1〜10のアルキル基またはアラルキル基を示す。aは0≦a≦100、Aは2≦A≦100、Bは0≦B≦100を満たす整数を示す。)
一般式(III)で表される環状シロキサン;
【0038】
【化1】
(式中、R4およびR5は炭素数1〜6のアルキル基、または、フェニル基、R6は炭素数1〜10のアルキル基またはアラルキル基を示す。dは0≦d≦8、eは2≦e≦10、fは0≦f≦8の整数を表し、かつ3≦d+e+f≦10を満たす。)
等の化合物を用いることができる。さらに上記のヒドロシリル基(Si−H基)を有する化合物のうち、(A)成分との相溶性が良いという点から、特に下記の一般式(IV)で表されるものが好ましい。
【0039】
【化2】
(式中、g、hは整数であり2≦g+h≦50、2≦g、0≦hである。R7は水素原子またはメチル基を表し、R8は炭素数2〜20の炭化水素基で1つ以上の芳香環を有していても良い。iは0≦i≦5の整数である。)
ブロック共重合体(A)とヒドロシリル基含有化合物である架橋剤は任意の割合で混合することができるが、硬化性の面から、ブロック共重合体(A)に含まれる架橋性官能基とヒドロシリル基のモル比が0.2〜5の範囲にあることが好ましく、さらに、0.4〜2.5であることが特に好ましい。モル比が5以上になると架橋が不十分で十分に強度がある組成物得られず、また、0.2より小さいと、架橋後も組成物中に活性なヒドロシリル基が大量に残るので、均一で強度のある組成物が得られない。
【0040】
ブロック共重合体(A)とヒドロシリル基含有化合物である架橋剤との架橋反応は、2成分を混合して加熱することにより進行するが、反応をより迅速に進めるために、ヒドロシリル化触媒を添加することができる。このようなヒドロシリル化触媒としては特に限定されず、例えば、有機過酸化物やアゾ化合物等のラジカル開始剤、および遷移金属触媒が挙げられる。
【0041】
ラジカル開始剤としては特に限定されず、例えば、ジ−t−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)−3−ヘキシン、ジクミルペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシド、α,α'−ビス(t−ブチルペルオキシ)イソプロピルベンゼンのようなジアルキルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、p−クロロベンゾイルペルオキシド、m−クロロベンゾイルペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシドのようなジアシルペルオキシド、過安息香酸−t−ブチルのような過酸エステル、過ジ炭酸ジイソプロピル、過ジ炭酸ジ−2−エチルヘキシルのようなペルオキシジカーボネート、1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンのようなペルオキシケタール等を挙げることができる。
【0042】
また、遷移金属触媒としても特に限定されず、例えば、白金単体、アルミナ、シリカ、カーボンブラック等の担体に白金固体を分散させたもの、塩化白金酸、塩化白金酸とアルコール、アルデヒド、ケトン等との錯体、白金−オレフィン錯体、白金(0)−ジアリルテトラメチルジシロキサン錯体が挙げられる。白金化合物以外の触媒の例としては、RhCl(PPh3)3,RhCl3,RuCl3,IrCl3,FeCl3,AlCl3,PdCl2・H2O,NiCl2,TiCl4等が挙げられる。これらの触媒は単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもかまわない。触媒量としては特に制限はないが、(A)成分のビニル基1molに対し、10-1〜10-8molの範囲で用いるのが良く、好ましくは10-3〜10-6molの範囲で用いるのがよい。10-8molより少ないと架橋が十分に進行しない。またヒドロシリル化触媒は高価であるので10-1mol以上用いないのが好ましい。これらのうち、相溶性、架橋効率、スコーチ安定性の点で、白金ビニルシロキサンが最も好ましい。
【0050】
本発明のゴム組成物は、上記の他に、通常、ゴム業界で用いられている、充填剤、可塑剤、粘着付与剤等の配合剤をその目的、用途に合わせ、適宜配合することができる。
【0051】
充填剤としては、カーボン・ブラック、シリカ、フィラー、炭酸カルシウム、マイカ、フレークグラファイト等が例示される。
【0052】
可塑剤としては、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイルなどの石油系プロセスオイル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジオクチル、アジピン酸ジブチルなどの二塩基酸ジアルキル、液状ポリブテン、液状ポリイソプレンなどの低分子量液状ポリマーが例示され、なかでも、ゴム成分との相溶性から、液状ポリブテン、液状ポリイソプレン、芳香族系プロセスオイルが好ましい。
【0053】
粘着付与樹脂としては、ロジン及びロジン誘導体、ポリテルペン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂及びそれらの水素化物、テルペンフェノール樹脂、クマロン・インデン樹脂、脂肪族系石油樹脂、脂環族系石油樹脂及びその水素化物、芳香族系石油樹脂及びその水素化物、脂肪族芳香族共重合系石油樹脂及びその水素化物、ジシクロペンタジエン系石油樹脂及びその水素化物、スチレンまたは置換スチレンの低分子量重合体などがあげられる。
【0054】
また本発明のゴム組成物は、各用途に合わせた要求特性に応じて、物性を損なわない範囲で、通常、プラスチック業界で用いられている、ヒンダードフェノール系やヒンダードアミン系の酸化防止剤や紫外線吸収剤、光安定剤、老化防止剤、反応遅延剤、界面活性剤、顔料、補強剤、難燃剤等を適宜配合することができる。
【0055】
本発明に使用される、ブロック共重合体(A)と熱可塑性樹脂(B)からなる組成物の配合量は、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができるが、例えばタイヤ用ゴム組成物に用いる場合、ゴム成分(C)100重量部に対し、ブロック共重合体(A)と熱可塑性樹脂(B)とからなる組成物を1〜30重量部配合することが好ましい。1重量部よりも少ない場合、ウエットグリップ性の改善効果が得にくくなり、30重量部を超えるとゴム組成物の破壊強度が低下し、タイヤトレッドの耐摩耗性を損なう傾向があるため好ましくない。また、ブロック共重合体(A)と熱可塑性樹脂(B)との配合比率については、ブロック共重合体(A)が多いほどtanδの改良効果が大きく好ましいが、熱可塑性樹脂(B)が少なすぎると動的架橋時において、適度な大きさのブロック共重合体(A)の架橋粒子が得られにくく、またゴム成分(C)への分散性も低下する。従って、重量比で(A)/(B)=99/1〜20/80が好ましく、95/5〜30/70がさらに好ましい。
【0056】
本発明では、芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロック(a1)と、共役ジエン系化合物を主体とし、3,4結合および1,2結合の含有量の和が30%以上である重合体ブロック(a2)とから構成されるブロック共重合体(A)と、熱可塑性樹脂(B)とを溶融混練時に、該ブロック共重合体(A)を動的に架橋する工程(1)と、工程(1)で得られた組成物を、天然ゴム、ジエン系重合体ゴム、オレフィン系重合体ゴム、のうち少なくとも1種のゴム成分(C)とを溶融混練してゴム組成物を得る工程(2)、工程(2)で得られたゴム組成物を架橋して、該ゴム成分(C)を架橋する工程(3)から、グリップ性の改良されたゴム組成物が製造される。
【0057】
工程(1)を、例えば、ラボプラストミル、ブラベンダー、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール等のような密閉式混練装置またはバッチ式混練装置を用いて行う場合は、架橋剤及び架橋助剤、架橋触媒以外の全ての成分を予め混合し均一になるまで溶融混練し、次いでそれに架橋剤及び架橋助剤、架橋触媒を添加して架橋反応が十分に溶融混練を停止する方法を採用することができる。
【0058】
また、単軸押出機、二軸押出機等のように連続式の溶融混練装置を用いて行う場合は、架橋剤及び架橋助剤、架橋触媒以外の全ての成分を予め押出機などの溶融混練装置によって均一になるまで溶融混練した後ペレット化し、そのペレットに架橋剤及び架橋助剤、架橋触媒をドライブレンドした後更に押出機などの溶融混練装置で溶融混練して、ブロック共重合体(A)を動的に架橋する方法、もしくは、架橋剤及び架橋助剤、架橋触媒以外のすべての成分を押出機などの溶融混練装置によって溶融混練し、そこに押出機のシリンダーの途中から架橋剤及び架橋助剤、架橋触媒を添加して更に溶融混練し、ブロック共重合体(A)を動的に架橋する方法などを採用することができる。
【0059】
溶融混練と同時に動的架橋を行う上記の方法を行うに当たっては、150〜210℃温度が好ましい。またこの場合、熱可塑性樹脂(B)は架橋反応を起こさず、ブロック共重合体(A)のみを架橋することができる。
【0060】
工程(2)、(3)では、従来ゴム業界で行われている方法を採用すればよく、例えば、先ず、ブロック共重合体(A)と熱可塑性樹脂(B)からなる組成物、ゴム成分(C)、および架橋剤、架橋助剤以外の各種配合剤を、タンブラー、ヘンシェルミキサー、リボブレンダー等で混合した後、押出機、バンパリー、ロール等で混練する。このとき、混練温度は、ブロック共重合体(A)、熱可塑性樹脂(B)、ゴム成分(C)の配合比によって、室温〜200℃で適宜変更することが望ましい。ゴム成分(C)を架橋させるには、混練後、架橋剤及び架橋助剤を加えてさらに上記の装置を用いて混練する。このとき、混練温度は、架橋剤の反応を抑制する目的で80℃〜120℃で行うことが望ましい。さらに、必要に応じ、プレス機や射出成型機等を用いて該ゴム組成物を成型および架橋することができる。
【0061】
本発明のゴム組成物を用いてなるタイヤの構造、サイズは特に限定されず、必要に応じて選択することができる。本発明の目的であるウェットグリップ性が最も要求されるのは、乗用車用のタイヤであり、これに用いることが望ましい。タイヤトレッドが多層構造を有する場合、少なくとも、その最外層に本発明のゴム組成物を用いることが好ましい。また本発明ゴム組成物は湿潤路面でのグリップ性が良い事から、一般履き物用の靴底部にも用いることが有用である。
【0062】
【実施例】
以下実施例により本発明をさらに具体的に説明する。尚、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更実施可能である。
尚、実施例に先立ち各種測定法、評価法、実施例について説明する。
【0063】
(動的粘弾性測定)
動的粘弾性特性は、熱プレス成形によりシート化し、得られたシートを、JIS K−6394(加硫ゴム及び熱可塑性ゴムの動的性質試験方法)に準じて、40mm×5mm×2mmの試験片を1枚切り出して用い、周波数10Hz、歪み0.1%の条件で、引張モードで測定した。用いた装置は、動的粘弾性測定装置DVA−200(アイティー計測制御株式会社製)である。このとき、周波数は、10Hzである必要があるが、これはウェットグリップ性が、粘弾性の時間温度換算則を利用すると、10Hz、0℃におけるtanδ値と相関しているためであり、その数値が大きいほど、ウェットグリップ性が良好であることが知られている。
【0064】
(硬度測定)
硬度は、熱プレス成形によりシート化し、得られたシートを、JIS K−6253(加硫ゴムの硬さ試験方法)に準じて、タイプAデュロメータを用いて測定した。
【0065】
(引張試験)
引張特性は、熱プレス成形によりシート化し、得られたシートを、JIS K−6251(加硫ゴムの引張試験方法)に準じて、ダンベル状1号形の試験片を3本打ち抜いて用い、23℃、500mm/minの条件で測定した。用いた装置は、オートグラフAG−10TB(株式会社島津製作所製)である。
【0066】
(摩耗試験)
アクロン摩耗試験機(株式会社上島製作所製)を用いて、回転数75rpm(試験片)、負荷荷重27.0N、角度15度、予備試験500回、本試験500回で摩耗試験を実施した。結果を、比較例1を100として指数で示した。指数小さいほど耐摩耗性に優れる。
【0067】
(製造例)熱可塑性樹脂(スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体)の製造
2Lのセパラブルフラスコの重合容器内を窒素置換した後、注射器を用いて、n−ヘキサン(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)456.4mL及び塩化ブチル(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)656.3mLを加え、重合容器を−70℃のドライアイス/メタノールバス中につけて冷却した後、イソブチレンモノマー232mL(2871mmol)が入っている三方コック付耐圧ガラス製液化採取管にテフロン(登録商標)製の送液チューブを接続し、重合容器内にイソブチレンモノマーを窒素圧により送液した。p− ジクミルクロライド0.647g(2.8mmol)及びN,N−ジメチルアセトアミド1.22g(14mmol)を加えた。次にさらに四塩化チタン8.67mL(79.1mmol)を加えて重合を開始した。重合開始から2.5時間同じ温度で撹拌を行った後、重合溶液からサンプリング用として重合溶液約1mLを抜き取った。続いて、あらかじめ−70℃に冷却しておいたスチレンモノマー77.9g(748mmol)、n−ヘキサン14.1mLおよび塩化ブチル20.4mLの混合溶液を重合容器内に添加した。該混合溶液を添加してから2時間後に、大量の水に加えて反応を終了させた。
【0068】
反応溶液を2回水洗し、溶媒を蒸発させ、得られた重合体を60℃で24時間真空乾燥することにより目的のブロック共重合体を得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により得られた重合体の分子量を測定した。ブロック共重合体のMwが101,000である熱可塑性樹脂が得られた。(以下、SIBSと略す)。
【0069】
(実施例1)
ビニル結合含有量が30%以上であるブロック共重合体(A)HVS−3(150重量部)、製造例に示した熱可塑性樹脂(B)SIBS(100重量部)を、170℃に設定したラボプラストミル(東洋精機社製)を用いて5分間溶融混練し、次いで架橋剤(分子中に平均5個のヒドロシリル基と平均5個のα−メチルスチレン基を含有する鎖状シロキサン、10重量部)を添加し、5分間引き続き混練した。架橋触媒(0価白金の1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジアリルジシロキサン錯体、3%キシレン溶液20μl)を投入し、さらに溶融混練し動的架橋を行い組成物を得た。
【0070】
ゴム成分(C)として、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(JSR SL552、JSR社製、以下SBR と略す。)、ブタジエンゴム(JSR BR01、JSR社製、以下BRと略す。)、上で製造したブロック共重合体(A)と熱可塑性樹脂(B)の動的架橋組成物、および、充填剤、可塑剤、加硫剤、加硫促進剤、老化防止剤等の配合剤を、表1に示した。混練には、ラボプラストミル(東洋精機社製)を用い、まず、加硫剤および加硫促進剤以外の配合剤を、120℃設定、100rpmで混練し、剪断発熱による温度上昇で、150℃になったところで排出した。次に、架橋剤および架橋促進剤を追加し、30℃設定、80rpmで混練し、剪断発熱による温度上昇で、90℃になったところで排出した。このようにして得られたゴム組成物を150℃で25分間圧縮成形し、ゴム成分(C)を架橋してシートを作製した。成形性は極めて良好であった。得られたシートを用いて、動的粘弾性特性、硬度、引張特性を評価した。結果を表2に示す。
(実施例2)
ビニル結合含有量が30%以上であるブロック共重合体(A)HVS−3(100重量部)、製造例に示したSIBS(150重量部)を、実施例1と同様にして溶融混練し動的架橋を行った。さらに上記動的架橋組成物とゴム成分(C)を実施例1と同様に混練した後に、圧縮成型し、シートを作成評価した。配合を表1に、評価結果を表2に示す。
【0071】
(比較例1〜4)
表1に示した配合で、実施例1と同様に混練した後に、圧縮成形し、シートを作成評価した。評価結果を表2に示す。
【0072】
【表1】
(表中の略号)
HVS−3:商品名;ハイブラー(株式会社クラレ製);スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体の部分水添物
SIBS:製造例で合成されたスチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体
ニップシールAQ:日本シリカ製
Si−69:デグサ製
ステアリン酸:日本油脂株式会社製
酸化亜鉛:三井金属鉱業株式会社製
ワックス:サンノックN、大内新興化学株式会社製
IPPD:ノクラック810NA、大内新興化学株式会社製
DPG:ノックセラーD、大内新興化学株式会社製
硫黄:川越化学株式会社製
TBBS:ノックセターNS、大内新興化学株式会社製
CB:旭#78、旭カーボン株式会社製
アロマックス3:富士興産株式会社製
【0073】
【表2】
本発明のゴム組成物である実施例1および2では、ブランクである比較例1と比較して、引張強さや破断伸びの低下を最小限に抑えて、ウェットグリップ性及び耐摩耗性を向上することが可能であることがわかる。また、従来の技術である比較例2、3と比較して、耐摩耗性の効果が非常に高いこともわかる。さらに、従来の技術で、ブロック共重合体の添加量を増加して、同等のウェットグリップ性を得た場合には、機械強度及び耐摩耗性の低下が著しく、硬度も上がってしまうことがわかる。
【0074】
【発明の効果】
本発明のゴム組成物は、従来タイヤに用いられてきたゴム成分に、動的に架橋してなる特定のゴム組成物を配合することにより、ウェットグリップ性とタイヤの破壊強度といった相反する特性のバランスを保ち、かつ耐摩耗性に優れた空気入りタイヤとして使用できる。
Claims (9)
- 芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロック(a1)と、共役ジエン系化合物を主体とし、1,4結合の含有量が70%以下である重合体ブロック(a2)とから構成されるブロック共重合体(A)と、熱可塑性樹脂(B)とを溶融混練時に、該ブロック共重合体(A)を動的に架橋して組成物を得た後、
該組成物と、天然ゴム、ジエン系重合体ゴム及びオレフィン系重合体ゴムよりなる群から選択される少なくとも1種のゴム成分(C)とを混合し、該ゴム成分(C)を架橋することにより得られ、
前記熱可塑性樹脂(B)は、ブロック共重合体(A)の架橋時に架橋しない樹脂であり、
ブロック共重合体(A)と熱可塑性樹脂(B)とを溶融混練する際に、ヒドロシリル化反応を利用して、該ブロック共重合体(A)を動的に架橋することを特徴とするゴム組成物。 - 芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロック(a1)と、共役ジエン系化合物を主体とし、3,4結合および1,2結合の含有量の和が30%以上である重合体ブロック(a2)とから構成されるブロック共重合体(A)と、熱可塑性樹脂(B)とを溶融混練時に、該ブロック共重合体(A)を動的に架橋して組成物を得た後、
該組成物と、天然ゴム、ジエン系重合体ゴム及びオレフィン系重合体ゴムよりなる群から選択される少なくとも1種のゴム成分(C)とを混合し、該ゴム成分(C)を架橋することにより得られ、
前記共役ジエン系化合物は少なくともイソプレンを含み、
前記熱可塑性樹脂(B)は、ブロック共重合体(A)の架橋時に架橋しない樹脂であり、
ブロック共重合体(A)と熱可塑性樹脂(B)とを溶融混練する際に、ヒドロシリル化反応を利用して、該ブロック共重合体(A)を動的に架橋することを特徴とするゴム組成物。 - 芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロック(a1)と、共役ジエン系化合物を主体とし、1,2結合の含有量が30%以上である重合体ブロック(a2)とから構成されるブロック共重合体(A)と、熱可塑性樹脂(B)とを溶融混練時に、該ブロック共重合体(A)を動的に架橋して組成物を得た後、
該組成物と、天然ゴム、ジエン系重合体ゴム及びオレフィン系重合体ゴムよりなる群から選択される少なくとも1種のゴム成分(C)とを混合し、該ゴム成分(C)を架橋することにより得られ、
前記共役ジエン系化合物はブタジエンからなり、
前記熱可塑性樹脂(B)は、ブロック共重合体(A)の架橋時に架橋しない樹脂であり、
ブロック共重合体(A)と熱可塑性樹脂(B)とを溶融混練する際に、ヒドロシリル化反応を利用して、該ブロック共重合体(A)を動的に架橋することを特徴とするゴム組成物。 - 前記ブロック共重合体(A)中の共役ジエン系化合物を主体とするブロック(a2)が、少なくとも部分的に水添されている請求項1〜3のいずれかに記載のゴム組成物。
- 熱可塑性樹脂(B)は、スチレン系樹脂、スチレン系エラストマー、オレフィン系樹脂、ポリフェニレンエーテル、塩化ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリアミド、ポリエステルからなる群から選択される少なくとも1種である請求項1〜4のいずれかに記載のゴム組成物。
- ブロック共重合体(A)と、熱可塑性樹脂(B)とからなる組成物の含有量が、ゴム成分(C)100重量部に対して、1〜30重量部であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のゴム組成物。
- 請求項1〜6のいずれかに記載のゴム組成物の製造方法。
- 請求項1〜6のいずれかに記載のゴム組成物を用いてなる空気入りタイヤトレッド。
- 請求項1〜6のいずれかに記載のゴム組成物からなる靴底。
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