JP4086545B2 - ウェットグリップ性を改良したゴム組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、特に湿潤路面における操縦安定性や制動性(ウェットグリップ性)が向上しうる、ブロック共重合体を含有するタイヤ用ゴム組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、自動車の低燃費化、特にタイヤの転がり抵抗低減の要請が強くなるとともに、安全面からは湿潤路面でのグリップ性、すなわちウェットグリップ性の高いタイヤを提供可能なトレッド用ゴム組成物が求められている。
【0003】
ウェットグリップ性は、トレッドゴムのヒステリシスロス(tanδ)に関連しており、周波数10Hzにおける、0℃のtanδが大きいほどウェットグリップ性が高いという関係が知られている。
【0004】
このような自動車分野における空気入りタイヤに用いられるトレッド用ゴム組成物として、特開平11−80433号公報では、ポリイソブチレン/p−メチルスチレン共重合体の臭素化物とゴム成分からなるトレッド用ゴム組成物が開示されている。しかし、ベースゴムとして使用されるスチレン−ブタジエンゴム(SBR)やブタジエンゴム(BR)、天然ゴム(NR)との加硫速度が大きく異なるため、加工性、生産性が悪くなるという問題があった。また、特開平11−315171号公報では、ゴム成分にスチレン−イソブチレン共重合体を含有してなるゴム組成物が開示されているが、これは、スチレン−イソブチレン系ランダム共重合体を可塑剤成分として添加するというもので、ゴム組成物の弾性率を低下させることでウェットグリップ性を改良している。しかし、可塑剤成分の添加は、ゴム成分の選択によりウェットグリップ性を改良するのと異なり、硬度の低下を伴うという問題があった。また、前記公報には、ブロック共重合体についての記載はない。スチレン−イソブチレン系ブロック共重合体とゴム成分からなるゴム組成物については、特開2001−247722号公報に記載されており、加工性に影響を与えずにウェットグリップ性が改良できることから、タイヤ用ゴム組成物のウェットグリップ性改良剤として適していることが開示されている。しかし、大量に添加しないとウェットグリップ性の改良効果が現れず、破壊特性などの物性を低下させる傾向が見られた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、タイヤの加工性や破壊強度を損なうことなく、ウェットグリップ性を向上させるタイヤ用ゴム組成物を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明者らは鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。すなわち本発明は、下記ブロック共重合体(A)、およびゴム成分(B)からなるゴム組成物である。
(A)スチレン、p−メチルスチレン及びα−メチルスチレンよりなる群から選択される少なくとも1種(a−1)と、イソブチレン(a−2)からなり、(a−1):(a−2)=5:95〜45:55(重量比)である重合体ブロックと、芳香族ビニル化合物を単量体とする重合体ブロックから構成されるブロック共重合体、
(B)天然ゴム、ジエン系重合体ゴム及びオレフィン系重合体ゴムよりなる群から選択される少なくとも1種のゴム成分。
【0007】
好ましい実施態様としては、ゴム成分(B)が架橋されているゴム組成物である。
【0008】
好ましい実施態様としては、ブロック共重合体(A)およびゴム成分(B)の合計100重量%に対し、ブロック共重合体(A)の含量が、1〜30重量%である。
【0009】
好ましい実施態様としては、前記芳香族ビニル化合物がスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、インデンからなる群から選ばれる少なくとも1種の単量体である。
【0010】
好ましい実施態様としては、ブロック共重合体(A)における芳香族ビニル化合物を単量体とする重合体ブロックの含量が、ブロック共重合体(A)100重量%に対して、10〜40重量%である。
【0011】
本発明のゴム組成物は、空気入りタイヤトレッドに好適に使用される。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明のゴム組成物は、下記ブロック重合体(A)、およびゴム成分(B)からなるゴム組成物である。
(A)スチレン、p−メチルスチレン及びα−メチルスチレンよりなる群から選択される少なくとも1種(a−1)と、イソブチレン(a−2)からなり、(a−1):(a−2)=5:95〜45:55(重量比)である重合体ブロックと、芳香族ビニル化合物を単量体とする重合体ブロックから構成されるブロック共重合体、
(B)天然ゴム、ジエン系重合体ゴム及びオレフィン系重合体ゴムよりなる群から選択される少なくとも1種のゴム成分。
【0013】
ウェットグリップ性は、タイヤの表面近傍の変形に依存している考えられている。この表面近傍の変形は、非常に高い周波数の振動であることがわかっており、温度周波数換算を用いると、ウェットグリップ性は、10Hzでの0℃付近のtanδの値に大きく依存し、転がり抵抗は、10Hzでの60℃付近のtanδの値に大きく依存することが知られている。
【0014】
本発明のブロック共重合体(A)は、10Hz、引張りモードでの動的粘弾性測定により得られる損失正接(tanδ)のピーク点が0℃付近にあり、その値が大きく、ウェットグリップ性改良に効果があり、さらに60℃付近のtanδの値が小さく、転がり抵抗を大きく悪化させない。またこの特性に優れた重合体を使用することにより、ゴム成分への配合量を減らすことができ、ゴム組成物の破壊特性の低下も抑えることができる。
【0015】
本発明の目的を達成するには、ブロック共重合体(A)の、10Hz、0℃におけるtanδが0.5以上であることが好ましく、0.7以上であることがより好ましい。
【0016】
ブロック共重合体(A)のtanδのピーク点は、使用するモノマーの種類、量により変化し、通常約−20〜約100℃に現れる。tanδのピーク点が0℃付近に現れるためには、スチレン、p−メチルスチレン及びα−メチルスチレンよりなる群から選択される少なくとも1種(a−1)と、イソブチレン(a−2)からなる重合体ブロックの組成比が、(a−1):(a−2)=5:95〜45:55(重量比)であるのが好ましく、(a−1):(a−2)=15:85〜35:65であるのがさらに好ましい。(a−1)が5より小さいと、tanδのピーク点が低温すぎて、0℃でのtanδが改善されず、(a−1)が45を超えると、tanδのピーク点が高温すぎて、0℃付近でのtanδが改善されない。
【0017】
本発明のブロック共重合体(A)の芳香族ビニル化合物を単量体とする重合体ブロックは、芳香族ビニル化合物以外の単量体を含んでいてもいなくても良く、芳香族ビニル化合物以外の単量体の含有量が30重量%以下であることが好ましく、10重量%以下であることがさらに好ましい。ブロック共重合体(A)における芳香族ビニル化合物を単量体とする重合体ブロックの含量は、ブロック共重合体(A)100重量%に対して、10〜40重量%であることが好ましく、15〜30重量%であることがより好ましい。芳香族ビニル化合物を単量体とする重合体ブロックの含量が40重量%を超えると、高いtanδピークが発現せず、また10重量%に満たないと、機械的特性の低下が顕著となる。芳香族ビニル系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、インデンからなる群から選ばれる少なくとも1種の単量体を使用することが好ましく、コストの面からスチレン、α−メチルスチレン、あるいはこれらの混合物を用いることが特に好ましい。
【0018】
本発明のブロック共重合体(A)は、スチレン、p−メチルスチレン及びα−メチルスチレンよりなる群から選択される少なくとも1種(a−1)と、イソブチレン(a−2)からなり、(a−1):(a−2)=5:95〜45:55(重量比)である重合体ブロックと芳香族ビニル化合物を単量体とする重合体ブロックから構成されるブロック共重合体という構造を有しているものであれば特に制限はなく、例えば、直鎖状、分岐状、星状等の構造を有するブロック共重合体、ジブロック共重合体、トリブロック共重合体、マルチブロック共重合体等のいずれも選択可能であり、機械特性と加工性の要求に見合うものを選択すればよい。
【0019】
ブロック共重合体(A)の数平均分子量は、特に制限はないが、物性および加工性の面から、3,000〜150,000であることが好ましく、5,000〜100,000であることが特に好ましい。ブロック共重合体(A)の数平均分子量が上記範囲よりも低い場合には組成物の物性が十分に発現されず、一方上記範囲を超える場合には加工性の面で不利である。
【0020】
ブロック共重合体(A)の製造方法としては、特に限定されず、公知の重合方法を用いることができるが、構造の制御されたブロック共重合体を得るためには、下記一般式(1)で表される化合物の存在下に、スチレン、p−メチルスチレン及びα−メチルスチレンよりなる群から選択される少なくとも1種(a−1)と、イソブチレン(a−2)からなる単量体成分、および芳香族ビニル化合物を主成分とする単量体成分を重合することが好ましい。
(CR1R2X)nR3 (1)
(式中、Xは、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシル基及び炭素数1〜6のアシロキシル基からなる群から選択される置換基を表す。R1及びR2は、それぞれ、水素原子又は炭素数1〜6の1価の炭化水素基を表す。R1及びR2は、同一であっても異なっていても良い。また、複数存在するR1及びR2は、それぞれ、同一であっても異なっていても良い。R3は、n個の置換基を有することができる多価の芳香族炭化水素基又は多価の脂肪族炭化水素基を表す。nは、1〜6の自然数を表す。)
上記ハロゲン原子としては、塩素、フッ素、臭素、ヨウ素等が挙げられる。上記炭素数1〜6のアルコキシル基としては特に限定されず、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−又はイソプロポキシ基等が挙げられる。上記炭素数1〜6のアシロキシル基としては特に限定されず、例えば、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基等が挙げられる。上記炭素数1〜6の炭化水素基としては特に限定されず、例えば、メチル基、エチル基、n−又はイソプロピル基等が挙げられる。
【0021】
上記一般式(1)で表わされる化合物は開始剤となるものでルイス酸等の存在下炭素陽イオンを生成し、カチオン重合の開始点になると考えられる。本発明で用いられる一般式(1)で表される化合物の例としては、次のような化合物等が挙げられる。
【0022】
(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼン
C6H5C(CH3)2Cl
1,4−ビス(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼン
1,4−Cl(CH3)2CC6H4C(CH3)2Cl
1,3−ビス(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼン
1,3−Cl(CH3)2CC6H4C(CH3)2Cl
1,3,5−トリス(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼン
1,3,5−(ClC(CH3)2)3C6H3
1,3−ビス(1−クロル−1−メチルエチル)−5−(tert−ブチル)ベンゼン 1,3−(C(CH3)2Cl)2-5−(C(CH3)3)C6H3
これらの中でも特に好ましいのは1−クロル−1−メチルエチルベンゼン[C6H5C(CH3)2Cl]、ビス(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼン[C6H4(C(CH3)2Cl)2]、トリス(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼン[(ClC(CH3)2)3C6H3]である。[なお1−クロル−1−メチルエチルベンゼンは、α−クロロイソプロピルベンゼン、2−クロロ−2−プロピルベンゼンあるいはクミルクロライドとも呼ばれ、ビス(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼンは、ビス(α−クロロイソプロピル)ベンゼン、ビス(2−クロロ−2−プロピル)ベンゼンあるいはジクミルクロライドとも呼ばれ、トリス(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼンは、トリス(α−クロロイソプロピル)ベンゼン、トリス(2−クロロ−2−プロピル)ベンゼンあるいはトリクミルクロライドとも呼ばれる]。
【0023】
上記重合反応においては、ルイス酸触媒を共存させることができる。ルイス酸としてはカチオン重合に使用できるものであれば良く、TiCl4、TiBr4、BCl3、BF3、BF3・OEt2、SnCl4、SbCl5、SbF5、WCl6、TaCl5、VCl5、FeCl3、ZnBr2、AlCl3、AlBr3等の金属ハロゲン化物;Et2AlCl、EtAlCl2等の有機金属ハロゲン化物を好適に使用することができる。なかでも触媒としての能力、工業的な入手の容易さを考えた場合、TiCl4、BCl3、SnCl4が好ましい。
【0024】
上記ルイス酸触媒の使用量としては特に限定されず、使用する単量体の重合特性あるいは重合濃度等を鑑みて設定することができる。
【0025】
上記重合反応においては、さらに必要に応じて電子供与体成分を共存させることもできる。この電子供与体成分は、カチオン重合に際して、成長炭素カチオンを安定化させる効果があるものと考えられており、電子供与体の添加によって分子量分布の狭い構造が制御された重合体が生成する。使用可能な電子供与体成分としては特に限定されないが、例えば、ピリジン類、アミン類、アミド類、スルホキシド類、エステル類、または金属原子に結合した酸素原子を有する金属化合物等を挙げることができる。
【0026】
上記重合反応は必要に応じて有機溶媒中で行うことができ、有機溶媒としてはカチオン重合を本質的に阻害しなければ特に制約なく使用することができる。具体的には、塩化メチル、ジクロロメタン、クロロホルム、塩化エチル、ジクロロエタン、n−プロピルクロライド、n−ブチルクロライド、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、ブチルベンゼン等のアルキルベンゼン類;エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン等の直鎖式脂肪族炭化水素類;2−メチルプロパン、2−メチルブタン、2,3,3−トリメチルペンタン、2,2,5−トリメチルヘキサン等の分岐式脂肪族炭化水素類;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の環式脂肪族炭化水素類;石油留分を水添精製したパラフィン油等を挙げることができる。
【0027】
これらの溶媒は、ブロック共重合体を構成する単量体の重合特性及び生成する重合体の溶解性等のバランスを考慮して単独又は2種以上を組み合わせて使用される。
【0028】
上記溶媒の使用量は、得られる重合体溶液の粘度や除熱の容易さを考慮して、重合体の濃度が1〜50wt%、好ましくは3〜35wt%となるように決定される。
【0029】
実際の重合を行うに当たっては、各成分を冷却下例えば−100℃以上0℃未満の温度で混合する。エネルギーコストと重合の安定性を釣り合わせるために、特に好ましい温度範囲は−30℃〜−80℃である。
【0030】
本発明のゴム組成物に使用するゴム成分(B)としては、天然ゴム、ジエン系重合体ゴム、オレフィン系重合体ゴムが例示される。ジエン系重合体ゴムとしては、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、1,2−ポリブタジエン、スチレン−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴムが例示される。オレフィン系ゴムとしては、ブチルゴム、塩素化ブチルゴム、臭素化ブチルゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴムが例示される。この中でジエン化合物の単独重合体またはジエン化合物と芳香族ビニル化合物の共重合体であることが好ましく、具体的にはイソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴムが特に好ましい。
【0031】
本発明のゴム組成物は、ゴム成分(B)が架橋されていることが好ましく、通常、ゴム業界で用いられている、架橋剤、架橋促進剤を、適宜配合することで、架橋することができる。架橋剤としては、硫黄、フェノール樹脂、金属酸化物、過酸化物等が例示される。これらは、通常、ゴム成分100重量部に対し、約0.5〜10部使用される。架橋促進剤としては、2,2−ジチオビスベンゾチアゾール、1,3−ジフェニルグアニジン、テトラメチルチウラムジスルフィド、亜鉛ジメチルチオカルバメート、メルカプトベンゾチアジルジスルフィドが例示される。これらは、通常、ゴム成分100重量部に対し、約0.2〜5部使用される。
【0032】
本発明のゴム組成物は、上記の他に、通常、ゴム業界で用いられている、充填剤、可塑剤、老化防止剤等の配合剤をその目的、用途に合わせ、適宜配合することができる。充填剤としては、カーボン・ブラック、シリカ、フィラー、炭酸カルシウム、マイカ、フレークグラファイト等が例示される。可塑剤としては、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイルなどの石油系プロセスオイル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジオクチル、アジピン酸ジブチルなどの二塩基酸ジアルキル、液状ポリブテン、液状ポリイソプレンなどの低分子量液状ポリマーが例示され、なかでも、ゴム成分との相溶性から、液状ポリブテン、液状ポリイソプレン、芳香族系プロセスオイルが好ましい。
【0033】
本発明のゴム組成物中の、ゴム成分(B)に対するブロック共重合体(A)の含有量としては、ゴム成分(B)およびブロック共重合体(A)の合計100重量%に対し、ブロック共重合体(A)の含量を1〜30重量%とするのが好ましく、5〜15重量%とするのがさらに好ましい。ブロック共重合体の含有量が多くなると、ゴム組成物の破壊強度が低下する傾向がある。
【0034】
本発明のゴム組成物の調製方法は従来、公知の方法を採用すればよく、例えば、先ず、ブロック共重合体(A)、ゴム成分(B)、および、架橋剤、架橋促進剤以外の各種配合剤を、タンブラー、ヘンシェルミキサー、リボブレンダー等で混合した後、押出機、バンパリー、ロール等で混練する。このとき、混練温度は、ブロック共重合体(A)、ゴム成分(B)の組成比によって、室温〜200℃で適宜変更することが望ましい。これは、ブロック共重合体(A)の芳香族ビニル化合物を単量体とする重合体ブロックのガラス転移温度が通常100℃以上であるため、組成物中のブロック共重合体(A)の割合が高い場合、各成分が十分に混り合わないからである。したがって、ブロック共重合体(A)の配合量が高い場合ほど、高い温度で混練することが好ましい。架橋ゴムを得ようとする場合、混練後、架橋剤及び架橋促進剤を加えてさらに上記の装置を用いて混練する。このとき、混練温度は、架橋剤の反応を抑制する目的で80℃〜120℃で行うことが望ましい。さらに、必要に応じ、プレス機や射出成型機等を用いて該ゴム組成物を成型および架橋することができる。
【0035】
本発明のゴム組成物を用いてなるタイヤの構造、サイズは特に限定されず、必要に応じて選択することができる。本発明の目的であるウェットグリップ性が最も要求されるのは、乗用車用のタイヤであり、これに用いることが望ましい。タイヤトレッドが多層構造を有する場合、少なくとも、その最外層に本発明のゴム組成物を用いることが好ましい。また本発明ゴム組成物は湿潤路面でのグリップ性が良い事から、一般履き物用の靴底部にも用いることもできる。
【0036】
【実施例】
以下実施例により本発明をさらに具体的に説明する。尚、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更実施可能である。
尚、実施例に先立ち各種測定法等について説明する。
【0037】
(動的粘弾性測定)
動的粘弾性特性は、熱プレス成形によりシート化し、得られたシートを、JIS K−6394(加硫ゴム及び熱可塑性ゴムの動的性質試験方法)に準じて、40mm×5mm×2mmの試験片を1枚切り出して用い、周波数10Hz、歪み0.1%の条件で、引張モードで測定した。用いた装置は、動的粘弾性測定装置DVA−200(アイティー計測制御株式会社製)である。このとき、周波数は、10Hzである必要があるが、これはウェットグリップ性が、粘弾性の時間温度換算則を利用すると、10Hz、0℃におけるtanδ値と相関しているためであり、その数値が大きいほど、ウェットグリップ性が良好であることが知られている。また、転がり抵抗は、同様にして、10Hz、60℃におけるtanδ値と相関しており、その数値が小さいほど、転がり抵抗が良好であることが知られている。
【0038】
(製造例)[ポリスチレン−ポリ(イソブチレン−co−スチレン)−ポリスチレン−トリブロック共重合体(中間ブロックのイソブチレン:スチレン=90:10(重量比)(A−2)の製造]
攪拌機付き2L反応容器に、メチルシクロヘキサン(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)145mL、n−ブチルクロライド(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)150mL、ジクミルクロライド0.170g、α−ピコリン(2−メチルピリジン)0.15mLを加えた。反応容器を−70℃に冷却した後、イソブチレン47.5mLおよびスチレン7.8mLを添加した。さらに四塩化チタン3.2mLを加えて重合を開始し、−70℃で溶液を攪拌しながら3.0時間反応させた。次いで反応溶液にスチレン9.8mLをさらに添加し、さらに90分間反応を続けた後、大量のメタノールを添加して反応を停止させた。反応溶液から溶剤等を除去した後に、重合体をトルエンに溶解して2回水洗した。このトルエン溶液をメタノール混合物に加えて重合体を沈殿させ、得られた重合体を60℃で24時間真空乾燥することによりブロック共重合体を得た。
【0039】
数平均分子量はWaters社製510型GPCシステム(溶媒としてクロロホルムを使用し、流量は1mL/分とした)により測定し、ポリスチレン換算の値を示した。重合体中のスチレン含量は1H−NMRスペクトルの積分比より算出した。
【0040】
表1に示すその他のブロック体(A−1,A−3〜A−7)についても、イソブチレン、スチレンの仕込み比を換えることで、同様にして合成した。
【0041】
【表1】
(実施例1〜4、比較例1〜4)
ゴム成分(B)として、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(JSR SL552、JSR社製、以下SBR と略す。)、ブタジエンゴム(JSR BR01、JSR社製、以下BRと略す。)を使用し、製造例で作成したブロック共重合体(A−1〜A−7)10重量%と合わせて100重量部とし、充填剤、可塑剤、加硫剤、加硫促進剤、老化防止剤等の配合剤を、表2に示した配合比で混練してタイヤ配合を得た。混練には、ラボプラストミル(東洋精機社製)を用い、まず、加硫剤および加硫促進剤以外の配合剤を、80℃設定、100rpmで混練し、剪断発熱による温度上昇で、150℃になったところで排出した。次に、架橋剤および架橋促進剤を追加し、30℃設定、80rpmで混練し、剪断発熱による温度上昇で、90℃になったところで排出した。このようにして得られたゴム組成物を150℃で圧縮成形し、シートを作製した。成形性は極めて良好であった。得られたシートを用いて、動的粘弾性特性を評価した。結果を表3に示す。
【0042】
【表2】
(表中の略号)
ニップシールAQ:日本シリカ製
Si−69:デグサ製
ステアリン酸:日本油脂株式会社製
酸化亜鉛:三井金属鉱業株式会社製
ワックス:サンノックN、大内新興化学株式会社製
IPPD:ノクラック810NA、大内新興化学株式会社製
DPG:ノックセラーD、大内新興化学株式会社製
硫黄:川越化学株式会社製
TBBS:ノックセターNS、大内新興化学株式会社製
CB:旭#78、旭カーボン株式会社製
アロマックス3:富士興産株式会社製
【0043】
【表3】
実施例1〜4では、スチレン(a−1)と、イソブチレン(a−2)の重量比が、それぞれ(a−1):(a−2)=10:90、20:80、30:70、40:60のブロック共重合体であるが、ブロック共重合体(A)を含まない比較例1と比べ、0℃のtanδが0.019〜0.039高く、ウェットグリップ性が改善されている。また、比較例2は、(a−1):(a−2)=0:100のブロック共重合体であるが、0℃のtanδが0.01改善されているのみで、実施例1〜4と比較してウェットグリップ性改善効果は不十分である。比較例3は、(a−1):(a−2)=50:50のブロック共重合体であるが、0℃のtanδが0.011改善されているのみで、実施例1〜4と比較してウェットグリップ性改善効果は不十分である。また、比較例2、比較例3ともに60℃のtanδが、実施例1〜4と比較して高く、転がり抵抗が悪化している。また、比較例4は、ポリスチレンブロックを持たない単なるスチレン(a−1)とイソブチレン(a−2)の共重合体であり、0℃のtanδが改善されているものの、ブロック体でないため、60℃のtanδが高く、転がり抵抗の悪化が顕著である。
【0044】
【発明の効果】
本発明のゴム組成物は、従来タイヤに用いられてきたゴム成分に、特定のブロック共重合体を配合することにより、ウェットグリップ性と転がり抵抗といった相反する特性のバランスに優れた空気入りタイヤとして使用できる。
Claims (6)
- 下記ブロック共重合体(A)、およびゴム成分(B)からなるゴム組成物。
(A)スチレン、p−メチルスチレン及びα−メチルスチレンよりなる群から選択される少なくとも1種(a−1)と、イソブチレン(a−2)からなり、(a−1):(a−2)=5:95〜45:55(重量比)である重合体ブロックと、芳香族ビニル化合物を単量体とする重合体ブロックから構成されるブロック共重合体、
(B)天然ゴム、ジエン系重合体ゴム及びオレフィン系重合体ゴムよりなる群から選択される少なくとも1種のゴム成分。 - ゴム成分(B)が架橋されていることを特徴とする請求項1記載のゴム組成物。
- ブロック共重合体(A)およびゴム成分(B)の合計100重量%に対し、ブロック共重合体(A)の含量が、1〜30重量%であることを特徴とする請求項1または2のいずれか1項に記載のゴム組成物。
- 前記芳香族ビニル化合物がスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、インデンからなる群から選ばれる少なくとも1種の単量体であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のゴム組成物。
- ブロック共重合体(A)における芳香族ビニル化合物を単量体とする重合体ブロックの含量が、ブロック共重合体(A)100重量%に対して、10〜40重量%であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のゴム組成物。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載のゴム組成物を用いてなる空気入りタイヤトレッド。
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