JP6791117B2 - 交通指標生成装置、交通指標生成方法及びコンピュータプログラム - Google Patents
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Description
かかる交通管制システムでは、管轄エリアの適所に配置した車両感知器の感知信号などから所定の交通指標を算出し、算出した交通指標に基づいて、複数の交差点について最適な信号灯色の切り替えタイミングを設定するなどの交通感応制御が行われる。
また、上記のデータを収集する別の車両感知器として、比較的長い道路区間が撮影範囲に含まれており、撮影した車両の画像をデジタル解析して速度などを計測する、画像式車両感知器(テレビカメラ)も知られている(例えば、特許文献3参照)。
また、設置した超音波式車両感知器の感知地点を調整する場合には、建柱工事をやり直す必要があるので、感知地点の調整が困難であるという問題もある。
本発明は、かかる従来の問題点に鑑み、車両感知器を実際に設置しなくても、車両感知器を設置する場合と同種の交通指標を生成できるようにして、交通指標を低コストで収集することを目的とする。
以下、本発明の実施形態の概要を列記して説明する。
(1) 本実施形態の交通指標生成装置は、交通信号制御に用いる交通指標を生成する装置であって、道路に車両感知器を設置したと仮定した場合の感知領域を構成する座標上の領域情報を記憶する記憶部と、走行中の車両の車両位置と時刻情報を含むプローブ情報を受信する通信部と、前記領域情報と前記プローブ情報に基づいて、前記交通指標を生成する制御部と、を備える。
このため、流入路ごと又は制御種別ごとに車両感知器を設置しなくても、所望の交通信号制御に必要な交通指標が得られる。
このため、生成された交通指標を外部装置(中央装置及び交通信号制御機など)に送信することにより、1つの交通指標生成装置を設置するだけで、外部装置が複数の流入路の交通指標(例えば、交通量など)を取得することができる。
従って、非画像式車両感知器が生成する交通指標を用いて交通信号制御を実行する路側装置(例えば、中央装置)が、制御プログラムを変更しなくても、交通指標生成装置が生成する交通指標を用いて同じ交通信号制御を実行できるという利点がある。
このため、生成された交通指標を交通信号制御機に送信することにより、1つの交通指標生成装置を設置するだけで、交通信号制御機が端末感応制御の種別ごとに必要となる交通指標(例えば、感知パルス信号など)を取得することができる。
この場合、交通信号制御機が、交通指標生成装置が出力する感知パルス信号や車両速度を、ギャップ感応制御、ジレンマ感応制御及び高速感応制御などの端末感応制御に利用することができる。
この場合、交通指標生成装置が出力する交通指標を、バス感応制御やVIP感応制御などの車両種別が必要な端末感応制御に利用することができる。
このようにすれば、車両方位と道路の方位との角度差が所定値を超える、例えば対向車線を走行すると推定されるプローブ車両の交通指標が、誤って生成されるのを未然に防止することができる。
その理由は、座標上の領域が1次元の線分の場合は、実際の車両を、車両位置を含む車長分の線分よりなる仮想移動体に変換したり、今回と前回の車両位置を繋ぐ線分よりなる仮想移動体に変換したりするなどの、特別な処理が必要となるからである。すなわち、2次元又は3次元の広がりを有する座標上の領域を採用すれば、上記の処理を実行しなくても、車両通過を検出でき、交通指標生成装置の処理負荷を軽減できるからである。
このため、例えば、直上の高架道路と重複する一般道路の道路区間に設定した仮想空間を用いて、高架道路及び一般道路のうちの少なくとも一方の交通指標を生成できるという利点がある。
このようにすれば、外部装置(例えば、端末装置)を用いた遠隔操作により、領域情報を交通指標生成装置に設定することができ、領域情報の設定作業が容易になる。
このようにすれば、外部装置(例えば、端末装置)を用いた遠隔操作により、交通指標生成装置に設定された領域情報を更新することができ、領域情報の更新作業が容易になる。
このようにすれば、更新前後の領域情報を受信する外部装置(例えば、端末装置)の表示部に更新前後の領域情報を表示することにより、領域情報の更新の妥当性を交通技術者が判断できるようになる。
このようにすれば、所定領域に対する車両の進入時刻と退出時刻をより正確に算出できるようになるので、例えば、感知パルス信号及び占有率の精度を向上することができる。
このようにすれば、生成した全種別の交通指標を一律に送信対象とする場合に比べて、通信回線の逼迫するのを抑制することができる。
このようにすれば、外部装置(例えば、中央装置及び交通信号制御機)が実行する交通信号制御に必要な交通指標のみを送信できるので、通信回線が逼迫するのを抑制することができる。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態の詳細を説明する。なお、以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
本実施形態の詳細を説明するに当たり、まず、本実施形態で用いる用語の定義を行う。
「車両」:道路を通行可能な車両全般、例えば、道路交通法上の車両のことをいう。道路交通法上の車両には、自動車、原動機付自転車、軽車両及びトロリーバスが含まれる。
なお、本実施形態では、車載通信機の搭載率が比較的高く、車両の大半がプローブ情報を外部に送信する車載通信機を搭載したプローブ車両であるとする。
「交通信号制御機」:交差点の信号灯器が点灯及び消灯するタイミングを制御する制御機のことをいう。
「車両感知器」:道路を通行する車両の通過などをセンシングする路側センサのことをいう。車両感知器には、後述の非画像式車両感知器及び画像式車両感知器などがある。
例えば、直下を通行する車両を超音波で感知する超音波式の車両感知器、車両通過時の温度変化から車両の通過を感知する温度式の車両感知器、及び、インダクタンス変化で車両を感知する道路に埋め込まれたループコイルなどがこれに該当する。
交通管制システムに用いられる画像式車両感知器は、デジタル化された撮影画像に対して所定の画像処理を施すことにより、計測エリア内を走行する車両の交通量、車両速度及び車種の計測などを行う他に、計測エリア内の車両の存否を判定することができる。
「感知パルス信号」:道路に設置された非画像式車両感知器が、所定の感知領域において1台の車両を検出した時に出力するパルス信号のことをいう。従って、複数台の車両が感知領域を通過した場合には、各車両に対応するパルス信号が時系列に出力される。
仮想領域は、2次元の広がりを有する仮想エリアや、3次元の広がりを有する仮想空間として定義してもよいし、道路を横切る線分(1次元)として定義してもよい。本実施形態では、2次元の広がりを有する仮想エリアを、交通指標生成装置(例えば、路側中継装置)に設定する場合を想定する。
従って、複数台のプローブ車両が仮想領域を通過した場合には、各プローブ車両に対応する仮想パルス信号が時系列に出力される。
プローブ情報には、例えば、情報発信元である車両の車両ID、時刻情報、車両位置(例えば、緯度、経度及び高度)、車両速度、車両方位、前後加速度などが含まれる。車両種別や車長などのデータが含まれることもある。
車両感知器を含む交通管制システムでは、感知パルス信号や撮影画像などから算出する交通量(車両台数)、占有率、速度及び旅行時間などが交通指標に該当する。本実施形態では、感知領域をエミュレートした仮想領域(図5の仮想エリアAなど)とプローブ車両の車両位置から算出するそれらのパラメータが交通指標に該当する。
「通信フレーム」:無線通信に用いるPDU(Protocol Data Unit)と、路側装置間の有線通信に用いるPDUの総称である。
「車載通信機」:車両に恒久的又は一時的に搭載された無線通信機のことをいう。路側装置との無線通信が可能であれば、搭乗者が車両に持ち込んだ携帯電話機やスマートフォンなどの携帯端末も車載通信機に該当する。
図1は、本発明の実施形態に係る交通管制システムの構成例を示す斜視図である。
図1では、道路構造の一例として、南北方向と東西方向の複数の道路が互いに交差した碁盤目構造を想定しているが、これに限定されるものではない。また、交通管制システムは日本国以外にあってもよく、車両5が右側通行する道路であってもよい。
交通信号機1及び路側中継装置2は、中央装置4の管轄エリアに含まれる交差点Ji(図1では、i=1〜12)にそれぞれ設置されており、通信回線7を介してルータ9に接続されている。
中央装置4は、交通管制センターの内部に設置されている。中央装置4は、自身の管轄エリアに含まれる交差点Jiの交通信号機1及び路側中継装置2とLAN(Local Area Network)を構成している。
信号制御指令S1は、交通信号機1における灯色切り替えタイミングを表す情報(例えば、サイクル開始時刻及びステップ実行秒数など)であり、交通信号制御機11(図2参照)に宛てて送信される。交通管制情報S2は、例えば、渋滞情報や交通規制情報などであり、路側中継装置2に宛てて送信される。
信号制御実行情報(以下、「実行情報」という。)S3は、交通信号制御機11が前回サイクルにおいて実際に行った信号制御の実績を示す情報である。従って、実行情報S3の生成元は交通信号制御機11である。
本実施形態の路側中継装置2は、車両感知器の感知領域をエミュレートした仮想領域(例えば、図5の仮想エリアA)を用いて交通指標4を生成するので、図1の交通管制システムには、車両感知器が含まれていない。もっとも、中央装置4の管轄エリアに含まれる一部の道路に、車両感知器が設置されていてもよい。
図2は、交差点Ji周囲の路側装置の構成例を示す平面図である。
図2に示すように、交通信号機1は、交差点Jiの各流入路に通行権の有無を表示する複数の信号灯器10と、信号灯器10が点灯及び消灯するタイミングを制御する交通信号制御機11とを備える。信号灯器10は、所定の信号制御線12を介して交通信号制御機11に接続されている。
交通信号制御機11は、通信回線7を介して路側中継装置2と通信可能に接続されている。なお、交通信号制御機11は、路側中継装置2を介さずにルータ9に接続される場合もある。
路側中継装置2は、車載通信機3から受信したプローブ情報S5から交通指標S4を生成すると、その交通指標S4を中央装置4にアップリンク送信する。また、路側中継装置2は、生成した交通指標S4を端末装置6などに無線送信することもできる。
路側中継装置2は、中央装置4からのダウンリンク情報に交通管制情報S2が含まれる場合には、受信した交通管制情報S2を車両5に提供するために、交通管制情報S2をブロードキャストで無線送信する。
なお、交通信号制御機11とルータ9を通信回線7により接続し、信号制御指令S1のダウンリンク受信と実行情報S3のアップリンク送信を、交通信号制御機11が路側中継装置2を経由させずに中央装置4と直接行うことにしてもよい。
中央装置4は、ワークステーション(WS)やパーソナルコンピュータ(PC)などよりなる制御装置を有する。この制御装置は、管轄エリア内の路側装置からアップリンク送信される各種の情報S3,S4の収集・処理・記録と、それらの情報S3,S4に基づく信号制御及び情報提供などを統括的に行う。
中央装置4は、通信回線7を用いて通信する通信装置を有する。中央装置4の通信装置は、信号制御指令S1及び交通管制情報S2のダウンリンク送信と、実行情報S3及び交通データS4のアップリンク受信とを実行する。
また、中央装置4の制御装置は、系統制御などの演算周期(例えば2.5分)ごとに信号制御指令S1をダウンリンク送信するとともに、所定周期(例えば5分)ごとに交通管制情報S2をダウンリンク送信する。
図3は、無線通信システムの通信主体の組み合わせと無線通信機の内部構成を示すブロック図である。
図3に示すように、本実施形態の交通管制システムには、交差点Jiの近傍に設置された路側中継装置2と、道路を通行する車両5に搭載された車載通信機3とを有する無線通信システムが含まれる。
図3では図示を省略しているが、隣接する2つの交差点Ji間の距離が路側中継装置2の電波到達距離以内である場合には、路側中継装置2同士が無線通信する路路間通信(図示せず)が含まれる場合もある。
もっとも、路側中継装置2と車載通信機3との間の無線通信の通信方式は、上記標準規格のマルチアクセス方式に限定されるものではない。
また、路側中継装置2は、車載通信機3とネゴシエーションせずに車車間通信の送信電波を受信することにより、車車間通信で車両5同士が送受信するプローブ情報S5を取得することができる。
「時刻情報」には、通信フレームに格納すべきデータ内容を車両5が確定した時点の時刻値が格納される。「車両位置」は、上記時点の時刻値に対応する緯度、経度及び高度などの値が格納される。
車載通信機3は、車車間通信の通信フレームを所定時間(例えば0.1秒)ごとにブロードキャスト送信している。従って、車車間通信を行う車両5同士は、上記の各情報を含む通信相手のプローブ情報S5をほぼリアルタイムで察知することができる。
図3に示すように、路側中継装置2は、無線通信のためのアンテナ20が接続された無線通信部21と、中央装置4や交通信号制御機11などと通信する有線通信部22と、それらの通信制御を行うCPU(CPU:Central Processing Unit)等のプロセッサよりなる制御部23と、制御部23に接続されたROMやRAM等の記憶装置よりなる記憶部24とを備える。
路側中継装置2の制御部23は、上記コンピュータプログラムを実行することで達成される機能部として、各通信部21,22に対する中継処理を行うデータ中継部23Aと、プローブ情報S5を用いた交通指標S4の算出処理や、この算出処理に必要な仮想エリア(例えば、図5の仮想エリアA)の設定処理などを行う情報処理部23Bとを有する。
このコンピュータプログラムは、CD−ROMやDVD−ROMなどの周知の記録媒体に記録した状態で譲渡することもできるし、サーバコンピュータなどのコンピュータ装置からの情報伝送(ダウンロード)によって譲渡することもできる。
データ中継部23Aは、有線通信部22が中央装置4から交通管制情報S2を受信すると、受信した交通管制情報S2を、プローブ車両5に提供するために無線通信部21にブロードキャスト送信させる。
データ中継部23Aは、無線通信部21が車載通信機3からプローブ情報S5を受信すると、受信したプローブ情報S5を記憶部24に記憶させる。情報処理部23Bは、プローブ情報S5から交通指標S4を生成して記憶部24に記憶させる。データ中継部23Aは、記憶された交通指標S4を中央装置4に向けて有線通信部22に送信させる。
従って、路側中継装置2のデータ中継部23Aは、情報処理部23Bが生成した交通指標S4を端末装置6宛てに送信することもできる。
図3に示すように、車載通信機3は、無線通信のためのアンテナ30が接続された通信部31と、通信部31に対する通信制御を行うプロセッサ等よりなる制御部32と、制御部32に接続されたROMやRAM等の記憶装置よりなる記憶部33とを備える。
車載通信機3の記憶部33は、制御部32が実行する通信制御のためのコンピュータプログラムや、他の無線通信機から受信した各種データなどを記憶している。
従って、車載通信機3の通信部31は、所定の搬送波周波数の受信レベルを常時感知しており、その値がある閾値以上である場合は無線送信を行わず、当該閾値未満になった場合にのみ無線送信を行うようになっている。
なお、車載通信機3の通信部31は、自車両の車両位置や絶対時刻などをGPS(Global Positioning System)衛星から受信するGPS機能も有している。
図4は、端末装置6の構成例を示すブロック図である。
図4では、交通技術者が携帯して現場に持ち込む端末装置6の一例として、タブレット型コンピュータが例示されている。もっとも、端末装置6は、交通技術者が携帯可能でかつ路側中継装置2と通信可能な情報処理装置であればよく、例えば、スマートフォン、ノートPC又は折り畳み式の携帯電話機などであってもよい。
通信部62は、通信キャリアの基地局装置を介した電話及びデータ通信が可能な通信インタフェースと、無線LAN及びBluetoothなどの所定の通信プロトコルにて路側中継装置2と無線通信する通信インタフェースとを有する。
記憶部63は、ハードディスクや不揮発性のメモリなどより構成されており、各種のコンピュータプログラムやデータを記憶する。
このアプリケーションには、路側中継装置2との通信制御、路側中継装置2が生成した交通指標S4の表示、及び、路側中継装置2に送信する仮想領域の入力受付と仮想領域の位置情報の送信などを行うためのアプリケーションが含まれる。
例えば、表示部64は、提供情報に含まれる交通指標S4や仮想領域の現在位置などを、所定の表示ウィンドウに表示させる。表示部64には、交差点Jiの平面図又は鳥瞰図などよりなる画像データを一緒に表示させることにしてもよい。
操作部66は、表示部64の画面タッチに応じて操作信号を生成するタッチインタフェース、押しボタン操作に応じて操作信号を生成する操作インタフェース、及び、マイクへの音声入力に応じて操作信号を生成する音声インタフェースなどよりなる。
図5は、情報処理部23Bが交通量の算出処理に用いる仮想エリアAの一例を示す説明図である。図6は、情報処理部23Bが実行する交通量の算出処理の一例を示すフローチャートである。図5に示すように、プローブ車両5の車両方位の座標は、北方向を原点(0°)として右回り方向をプラス方向と定義する。
この仮想エリアAは、交差点Jiに流入する4つの流入路のうち、西向きの流入路を通行するプローブ車両5の交通量を算出するための仮想領域である。従って、仮想エリアAは、交差点Jiの東側に位置する4つの頂点a1〜a4を有する長方形で囲まれたエリアよりなる。
仮想エリアAの4つの頂点a1〜a4の座標値(領域情報)は、例えば、下記の条件X1〜X3を満たすように選定されている。
条件X1:頂点a1及び頂点a2の緯度は、東向きの流出路よりも北側にある。
条件X2:頂点a3及び頂点a4の緯度は、西向きの流入路よりも南側にある。
上記の条件X1,X2により、仮想エリアAの幅寸法(南北方向長さ)は、交差点Jiに繋がる東西方向の道路幅よりも大きい寸法となる。
上記の判定処理は、例えば、車両IDを所定時間(例えば、10秒)だけ登録するメモリ領域を記憶部24に設け、新たに受信したプローブ情報S5の車両IDが、登録済みの車両IDに該当するか否かによって行うことができる。
ステップST11の判定結果が否定的である場合は、情報処理部23Bは、更に、受信したプローブ情報S5に含まれるプローブ車両5の車両方位が、所定の方位範囲以内であるか否かを判定する(ステップST12)。
ステップST12の判定結果が肯定的である場合は、情報処理部23Bは、更に、受信したプローブ情報S5に含まれるプローブ車両5の車両位置が、仮想エリアAの内部にあるか否かを判定する(ステップST13)。
頂点a1及び頂点a2の緯度値≦緯度値x≦頂点a3及び頂点a4の緯度値
頂点a1及び頂点a4の経度値≦経度値y≦頂点a2及び頂点a3の緯度値
ステップST13の判定結果が肯定的である場合は、情報処理部23Bは、通過台数(交通量)を1台カウントアップするとともに(ステップST14)、受信したプローブ情報S5に含まれる車両IDを通過済み車両のメモリ領域に登録して(ステップST15)、処理をステップST10の前に戻す。
従って、仮想エリアAを西向きに通過して交差点Jiに流入するプローブ車両5の交通量を算出することができる。
そして、記憶させた流入方向ごとの仮想エリアを用いて、図6と同様の算出処理を実行すればよい。
補正に用いる搭載率は、交通管制官が予め入力する定数であってもよいし、道路に実際に設置された車両感知器の感知信号から求めた交通量と、路側中継装置2により求めた交通量との比率であってもよい。
図7は、情報処理部23Bが旅行時間の算出処理に用いる仮想エリアB1,B2の一例を示す説明図である。
仮想エリアB1,B2は、道路に非画像式車両感知器を2つ設置したと仮定した場合の、当該車両感知器の感知領域に対応する仮想エリアである。
従って、仮想エリアB1,B2は、それぞれ、交差点Jiの東側に位置する4つの頂点b1〜b4を有する長方形で囲まれたエリアと、このエリアから更に東側に位置する4つの頂点b5〜b8を有する長方形で囲まれたエリアとからなる。
なお、仮想エリアB1,B2の4つの頂点b1〜b4,b5〜b8の座標値(領域情報)を選定する場合の条件は、図6の仮想エリアAの条件X1〜X3と同様である。
その結果、特定の車両IDのプローブ車両5が上流側の仮想エリアB2を通過したと判定すると、情報処理部23Bは、プローブ車両5が仮想エリアB2を通過した時刻(車両位置が仮想エリアB2内に存在した時刻)を記憶部24に記憶させる。
そして、情報処理部23Bは、仮想エリアB1の通過時刻から仮想エリアB2の通過時刻の差分を取ることによりプローブ車両5の旅行時間を算出する。
また、2つの仮想エリアB1,B2の間に交差点Jiが位置するように、それらの座標値を選定してもよい。この場合、交差点Jiでの信号待ち時間を含むプローブ車両5の旅行時間を算出することができる。
図8は、情報処理部23Bが速度の算出処理に用いる仮想エリアC,Dの一例を示す説明図である。
仮想エリアCは、道路に非画像式車両感知器を1つ設置したと仮定した場合の、当該車両感知器の感知領域に対応する仮想エリアである。仮想エリアDは、道路に画像式車両感知器を1つ設置したと仮定した場合の、当該車両感知器の感知領域(テレビカメラで撮影可能な範囲に含まれる道路区間)に対応する仮想エリアである。
従って、仮想エリアCは、交差点Jiの東側に位置する4つの頂点c1〜c4を有する長方形で囲まれたエリアよりなる。
仮想エリアCの4つの頂点c1〜c4の座標値(領域情報)は、例えば、下記の条件Z1〜Z3を満たすように選定されている。
条件Z1:頂点c1及び頂点c2の緯度は、東向きの流出路よりも北側にある。
条件Z2:頂点c3及び頂点c4の緯度は、西向きの流入路よりも南側にある。
すなわち、仮想エリアCの車両進行方向の長さは、仮想エリアA(図5)の同方向長さよりも小さく、その約半分程度の長さである。
その結果、特定の車両IDのプローブ車両5が仮想エリアCを通過したと判定すると、情報処理部23Bは、仮想エリアCの通過位置(仮想エリアC内に存在する車両位置)に対応するプローブ車両5の車両速度をプローブ情報S5から抽出し、抽出した車両速度をプローブ車両5の瞬間速度とする。
その結果、特定の車両IDのプローブ車両5が仮想エリアCを通過したと判定すると、情報処理部23Bは、仮想エリアCを通過したプローブ車両5の車両IDを含み、時刻情報が所定時間(例えば5秒)内である複数のプローブ情報S5を記憶部24から抽出し、抽出したプローブ情報S5の車両速度の平均値をプローブ車両5の平均速度とする。
また、情報処理部23Bは、プローブ車両5の所定時間における平均速度だけでなく、所定時間における速度の中央値などの他の統計値を算出することにしてもよい。
従って、仮想エリアDは、交差点Jiの東側に位置する4つの頂点d1〜d4を有する長方形で囲まれたエリアよりなる。
仮想エリアDの4つの頂点d1〜d4の座標値(領域情報)は、例えば、下記の条件W1〜W3を満たすように選定されている。
条件W1:頂点d1及び頂点d2の緯度は、東向きの流出路よりも北側にある。
条件W2:頂点d3及び頂点d4の緯度は、西向きの流入路よりも南側にある。
すなわち、仮想エリアDの車両進行方向の長さは、仮想エリアA(図5)の同方向長さに比べて非常に大きく、所定距離における平均速度を算出するのに十分な大きさに設定されている。
その結果、特定の車両IDのプローブ車両5が仮想エリアDに進入したと判定すると、情報処理部23Bは、車両位置が仮想エリアDに含まれる当該車両IDの複数のプローブ情報S5を記憶部24から抽出し、抽出したプローブ情報S5の車両速度の平均値をプローブ車両5の平均速度とする。
また、情報処理部23Bは、プローブ車両5の所定距離における平均速度だけでなく、所定距離における速度の中央値などの他の統計値を算出することにしてもよい。
図9(a)は、非画像式車両感知器の感知パルス信号の説明図である。図9(b)は、仮想エリアAに対するプローブ車両5の進入及び退出タイミングを示す説明図である。図10は、情報処理部23Bが実行する仮想パルス信号の生成処理の一例を示すフローチャートである。
オン信号の立ち上がりは、車両5の感知領域への進入により発生し、オン信号の立ち下がり(オフ信号の開始)は、車両5の感知領域からの退出により発生する。占有率は、所定の計測期間T0(例えば2分)に含まれるオン信号の総時間が計測期間T0に占める割合である。
図10は、上記の進入時刻Tinと退出時刻Toutを算出することにより、仮想エリアAを用いて仮想パルス信号を生成する処理を示している。
上記の判定処理は、例えば、車両IDを所定時間(例えば、10秒)だけ登録するメモリ領域を記憶部24に設け、新たに受信したプローブ情報S5の車両IDが、登録済みの車両IDに該当するか否かによって行うことができる。
ステップST21の判定結果が否定的である場合は、情報処理部23Bは、更に、受信したプローブ情報S5に含まれるプローブ車両5の車両方位が、所定の方位範囲以内であるか否かを判定する(ステップST22)。
ステップST22の判定結果が肯定的である場合は、情報処理部23Bは、更に、受信したプローブ情報S5に含まれるプローブ車両5の車両位置が、仮想エリアAの内部にあるか否かを判定する(ステップST23)。
頂点a1及び頂点a2の緯度値≦緯度値x≦頂点a3及び頂点a4の緯度値
頂点a1及び頂点a4の経度値≦経度値y≦頂点a2及び頂点a3の緯度値
ステップST23の判定結果が肯定的である場合は、情報処理部23Bは、受信したプローブ情報S5に含まれる車両IDについての、直近の時刻情報を仮想エリアAの進入時刻Tinとし、この進入時刻Tin以後の仮想パルス信号の状態をオンに設定する(ステップST24)。
一方、ステップST26の判定処理においても、情報処理部23Bは、受信したプローブ情報S5に含まれるプローブ車両5の車両位置が、仮想エリアAの内部にあるか否かを判定する(ステップST26)。
ステップST26の判定結果が否定的である場合は、情報処理部23Bは、受信したプローブ情報S5に含まれる車両IDについての、直近の時刻情報を仮想エリアAの退出時刻Toutとし、この退出時刻Tout以後の仮想パルス信号の状態をオフに設定する(ステップST27)。
従って、計測期間T0における仮想パルス信号の総時間を計測期間T0の時間長で除することにより、仮想エリアAを西向きに通過して交差点Jiに流入するプローブ車両5の占有率を算出することができる。
そして、記憶した流入方向ごとの仮想エリアを用いて図10と同様の生成処理を実行することにより、流入方向ごとの仮想パルス信号を生成し、生成した仮想パルス信号から流入方向ごとの占有率を算出すればよい。
図11は、車両5の前端補正長Rf及び後端補正長Rbの説明図である。図11(a)は普通車両5Aの場合を示し、図11(b)は大型車両5Bの場合を示す。
車両感知器の感知パルス信号は、通常、車両5の前端部が感知領域に進入した時点でオン信号となり、車両5の後端部が感知領域から退出した時点でオフ信号となる。すなわち、1つのオン信号の時間長は、車両5の「前端部」が感知領域に進入した時点から、車両5の「後端部」が感知領域から退出した時点までの時間である。
従って、図9(b)の進入時刻Tin及び退出時刻Toutは、正確には、GPS受信機が仮想エリアAに対して進入及び退出した時刻であり、仮想エリアAに対するプローブ車両5の前端部の進入時刻及び後端部の退出時刻ではない。
また、情報処理部23Bは、仮想エリアAに対するプローブ車両5の退出を判定する場合(図10のステップST26の場合)には、プローブ情報S5に含まれる車両位置に所定の後端補正長Rbを減じた座標値を採用すればよい。
このため、上記の補正長Rf,Rbを考慮しない場合に比べて、仮想エリアAに対する進入時刻Tin及び退出時刻Toutが正確となり、仮想パルス信号をより正確に生成することができる。
このように、プローブ車両5の車両種別5A,5Bにより、プローブ車両5に適用すべき前端補正長Rfと後端補正長Rbの値が異なる。
このため、仮想エリアAに対する進入時刻Tin及び退出時刻Toutが更に正確となり、仮想パルス信号をより正確に生成することができる。
図12は、情報処理部23Bが実行する分岐率の算出処理に用いる仮想エリアAの一例を示す説明図である。図12の仮想エリアAは、図5の仮想エリアAと同様である。
1つの仮想エリアAを用いてプローブ車両5の分岐率を算出する場合には、情報処理部23Bは、仮想エリアAについて図6の算出処理を実行する。
具体的には、情報処理部23Bは、所定時間内に仮想エリアAを通過したプローブ車両5の交差点Jiにおける流出方向を分類し、その分類結果に基づいて流入方向ごとの車両台数を蓄積する。
なお、図12では、図5と同様の仮想エリアAを例示しているが、これよりも短い仮想エリアC(図8参照)或いはそれよりも長い仮想エリアD(図8参照)を用いて、分岐率を算出することにしてもよい。
そして、記憶させた流入方向ごとの仮想エリアを用いて、上記と同様の算出処理を実行すればよい。
図13は、端末装置6を用いて路側中継装置2に仮想エリアA〜Dを設定する場合の、端末装置6と路側中継装置2との通信手順の一例を示すシーケンス図である。
図13では、「端末装置6」と「路側中継装置2」が処理主体となっているが、実際の処理主体は、端末装置6の制御部61と路側中継装置2の情報処理部23Bである。
エリア調整モードは、仮想エリアA〜Dの位置情報(例えば、頂点の座標値)の変更を許容する動作モードである。通常出力モードは、仮想エリアA〜Dの位置情報の変更を許容せず、記憶中の位置情報に基づいて交通指標を生成する動作モードである。
路側中継装置2は、上記の通信フレームを受信すると、自装置の動作モードをエリア調整モードに切り替えたあと(ステップST31)、モード切替応答の通信フレームを端末装置6に返信する(ステップST32)。この通信フレームには、路側中継装置2が記憶している仮想エリアA〜Dの位置情報が含まれる。
具体的には、端末装置6は、受信フレームに含まれる位置情報を用いて、交差点Jiを含む道路地図に仮想エリアA〜Dを重ね合わせ、仮想エリアA〜Dを含む道路地図(例えば、図5及び図7のような道路地図)を表示部64に表示させる。
仮想エリアA〜Dの位置情報の入力は、例えば、利用者がキーボード操作によって頂点の座標値を入力したり、操作部66への所定のタッチ操作により、仮想エリアA〜Dの図形を移動、拡大又は縮小したりすることによって行うことができる。
路側中継装置2は、上記の通信フレームを受信すると、受信フレームに含まれる位置情報を用いて、仮想エリアA〜Dを変更する処理を実行する(ステップST36)。具体的には、路側中継装置2は、仮想エリアA〜Dの位置情報を取得した位置情報に更新する。
また、路側中継装置2は、自装置の動作モードを通常出力モードに切り替えたあと、端末装置6との通信手順を終了する。
また、図13の例では、端末装置6を用いて路側中継装置2に仮想エリアA〜Dを設定する場合を例示しているが、中央装置4と路側中継装置2とが同様の通信手順を行うことにより、中央装置4から仮想エリアA〜Dの設定を行うことにしてもよい。
図14は、路側中継装置2による送信対象の判定処理の一例を示す説明図である。
図14では、「路側中継装置2」が処理主体となっているが、実際の処理主体は、路側中継装置2のデータ中継部23Aである。
図14に示すように、路側中継装置2は、交通指標の種別ごとに送信対象とするか否かを判定可能であり、送信先の外部装置の種別ごとに送信対象を判定可能である。
その理由は、交通信号制御機11は、仮想パルス信号から流入路の交通量を算出し、その交通量に基づいて端末感応制御(例えば、右折感応制御など)を実行できるが、速度や旅行時間などを用いた交通感応制御を実行しない場合が多いからである。
その理由は、中央装置4は、上述の系統制御及び面制御などの、複数の交差点Jiを対象とする交通感応制御を実行できるからである。すなわち、中央装置4が行う交通感応制御では、道路区間の旅行時間や交差点の分岐率などを必要とすることが多いため、中央装置4に対しては、全種別の交通指標を送信することが好ましいからである。
この場合、路側中継装置2が中央装置4に送信する情報量が少なくなるので、通信回線7の逼迫を抑制できる効果がある。
その理由は、路側中継装置2が生成する交通指標の全種別を端末装置6に送信すれば、端末装置6の利用者である交通技術者が、端末装置6に表示された交通指標の全種別の妥当性をチェックできるからである。
その理由は、仮想エリアA〜Dを調整中の段階では、正確な交通指標が未だ得られていない状態であるから、交通信号制御機11及び中央装置4に対して交通指標を送信すべきではないからである。
その理由は、通常出力モード及びエリア調整モードの双方において、交通指標を端末装置6に送信すれば、交通技術者が、仮想エリアA〜Dの調整前及び調整後の交通指標をチェックできすることができ、仮想エリアA〜Dの変更の妥当性を判断できるからである。
本実施形態の路側中継装置2によれば、情報処理部23Bが、記憶部24が記憶する仮想エリアA〜Dの位置情報(領域情報)と、無線通信部21が受信するプローブ情報S5とに基づいて交通指標を生成する(図5〜図12参照)。
従って、車両感知器を実際に設置しなくても、車両感知器を設置する場合と同種の交通指標を生成することができ、交通指標を低コストで収集することができる。
従って、非画像式車両感知器が生成する交通指標を用いて交通信号制御を実行する中央装置4が、これまで使用してきた制御プログラムを変更しなくても、路側中継装置2が生成する交通指標を用いて同じ交通信号制御を実行することができる。
従って、車両方位と道路の方位との角度差が所定値を超える、例えば対向車線を走行すると推定されるプローブ車両5の交通指標が、誤って生成されるのを未然に防止することができる。
このため、端末装置6を用いた遠隔操作により、仮想エリアA〜Dの位置情報を路側中継装置2に設定でき、仮想エリアA〜Dの位置情報の設定作業が容易である。
このため、端末装置6を用いた遠隔操作により、路側中継装置2に設定された仮想エリアA〜Dの位置情報を更新でき、仮想エリアA〜Dの位置情報の更新作業が容易である。
上述の実施形態では、仮想エリアA〜Dが道路幅を内部に含む幅寸法に設定されているが、GPSによる測位精度に応じて、仮想エリアA〜Dを流入路ごとに個別に設定してもよいし、車線ごとに個別に設定してもよい。
なお、仮想エリアA〜Dを流入路或いは車線ごとに設定する場合は、車両方位に基づく流入方向の判定(例えば、図6のステップST12)は不要となる。
上述の実施形態では、長方形の仮想エリアA〜Dを例示したが、仮想エリアA〜Dの形状は、長方形以外の多角形であってもよいし、円形又は楕円形などの曲線を含む形状であってもよい。
円形又は楕円形の仮想エリアの場合には、仮想エリアの領域情報は、中心点の座標値と、半径又は長径及び短径の値とから定義することができ、これら領域情報によって仮想エリアの位置及び大きさを設定することができる。
かかる仮想空間は、例えば、高度の座標値を更に加えることにより路側中継装置2に設定することができる。仮想空間を採用すれば、高速道路などの高架道路と平地の一般道路とを区別できるようになる。このため、例えば、直上の高架道路と重複する一般道路の道路区間に設定した仮想空間を用いて、高架道路及び一般道路のうちの少なくとも一方の交通指標を生成できるという利点がある。
かかる仮想線分を用いる場合には、各々のプローブ車両5を、点ではなく、例えば車両位置を含む車長分の線分よりなる仮想移動体に変換したり、今回の車両位置と前回の車両位置を繋ぐ線分よりなる仮想移動体に変換したりして、仮想移動体と仮想線分との交差により車両通過を検出するなどの、特別な処理が必要となる。
このため、1次元の仮想線分を採用する場合に比べて、交通指標を生成する路側中継装置2の処理負荷を軽減できるという利点がある。
図15は、交差点Jiの交通信号制御機11が実行可能な端末感応制御の種別に対応する仮想エリアQ〜Zの一例を示す説明図である。
図14に示す路側中継装置2は、交通信号制御機11に仮想パルス信号のみを送信しているが、図15に示す路側中継装置2は、車両速度や車両種別などの仮想パルス信号以外の情報を交通信号制御機11に送信可能である。
交通信号制御機11が実行可能な端末感応制御の種別には、例えば、ギャップ感応制御、ジレンマ感応制御、リコール制御、高速感応制御、バス感応制御及びVIP感応制御などがある。
右折専用車線が設けられた交差点に車両感知器を設置し、右折車両の交通需要に見合うだけの青矢時間を提供する感応制御である「右折感応制御」も、ギャップ感応制御の一種である。
1)黄信号、全赤時間を車両の接近速度に応じて可変制御する方式。
2)標準青時間に対する短縮/延長の感応範囲内で、ジレンマゾーン内に1台も車両が存在しないときに、青信号を打ち切って黄信号に切り替える方式。
「高速感応制御」とは、夜間等に高速で走行する車両に対し、交差点の交通信号制御機において青短縮又は赤延長を行うことにより、高速走行車両の速度抑制を図る感応制御のことをいう。
「VIP感応制御」とは、バス感応制御において識別対象をVIP(Very Important Person)車両に変更した場合に相当し、VIP車両の感知に応じて青信号の延長又は赤時間の短縮を行って、VIP車両の信号待ち時間を軽減させる感応制御のことをいう。
路側中継装置2の制御部23は、複数の領域情報とプローブ情報S5に基づいて、端末感応制御の種別ごとに必要な交通指標を生成し、路側中継装置2の有線通信部22は、生成された端末感応制御の種別ごとの交通指標を交通信号制御機11に送信する。
交通信号制御機11がギャップ感応制御を実行する場合は、路側中継装置2に記憶させる仮想エリアQとして、ギャップ感応制御に用いる画像式車両感知器の計測エリアの道路長(例えば、30〜75m)に対応する仮想エリアDを採用することが好ましい。
路側中継装置2の有線通信部22は、生成された仮想パルス信号を交通信号制御機11に送信し、交通信号制御機11は、受信した仮想パルス信号を用いてギャップ感応制御を実行する。
この場合、停止線から所定距離だけ離れた地点Pqを含む非画像車両感知器の感知領域に対応する仮想エリアA又はCの領域情報を、ギャップ感応用の仮想エリアQの領域情報として記憶部24に記憶させればよい。
路側中継装置2の有線通信部22は、生成された仮想パルス信号を交通信号制御機11に送信し、交通信号制御機11は、受信した仮想パルス信号を用いてギャップ感応制御を実行する。
交通信号制御機11がジレンマ感応制御を実行する場合は、路側中継装置2に記憶させる仮想エリアRとして、ジレンマ感応制御に用いる画像式車両感知器の計測エリアの道路長(例えば、30〜50m)に対応する仮想エリアDを採用することが好ましい。
路側中継装置2の有線通信部22は、算出された地点Prの車両速度を交通信号制御機11に送信し、交通信号制御機11は、受信した車両速度を用いてジレンマ感応制御を実行する。
この場合、停止線から約150m離れた地点Prを内部に含む非画像車両感知器の感知領域に対応する仮想エリアCの領域情報を、ジレンマ感応用の仮想エリアRの領域情報として記憶部24に記憶させればよい。
路側中継装置2の有線通信部22は、算出された地点Prの車両速度を交通信号制御機11に送信し、交通信号制御機11は、受信した車両速度を用いてジレンマ感応制御を実行する。
なお、パラレル通信(パルス)によって車両速度を送信する場合の、車両速度V(km/h)の範囲ごとのパルス長(秒)の値は次の通りである。
1)V<4の場合は、パルス長を1.75とする。
2)4≦V<120の場合は、パルス長を1.75−(V/4)×0.05とする。
3)V≧120の場合は、パルス長を0.25とする。
交通信号制御機11がリコール制御を実行する場合は、路側中継装置2に記憶させる仮想エリアXとして、リコール制御に用いる画像式車両感知器の計測エリアの道路長(例えば、10〜20m)に対応する仮想エリアDを採用することが好ましい。
路側中継装置2の有線通信部22は、生成された仮想パルス信号を交通信号制御機11に送信し、交通信号制御機11は、受信した仮想パルス信号を用いてリコール制御を実行する。
この場合、従道路である流入路の停止線から概ね3〜5m離れた地点Pxを含む非画像式車両感知器の感知領域に対応する仮想エリアA又はCの領域情報を、リコール制御用の仮想エリアXの領域情報として記憶部24に記憶させればよい。
路側中継装置2の有線通信部22は、生成された仮想パルス信号を交通信号制御機11に送信し、交通信号制御機11は、受信した仮想パルス信号を用いてリコール制御を実行する。
交通信号制御機11が高速感応制御を実行する場合は、路側中継装置2に記憶させる仮想エリアYとして、高速感応制御に用いる画像式車両感知器の計測エリアの道路長(例えば、30〜50m)に対応する仮想エリアDを採用することが好ましい。
路側中継装置2の有線通信部22は、算出された地点Pyの車両速度を交通信号制御機11に送信し、交通信号制御機11は、受信した車両速度を用いて高速感応制御を実行する。
この場合、停止線から所定距離(例えば、400〜600m)だけ離れた地点Pyを内部に含む非画像車両感知器の感知領域に対応する仮想エリアCの領域情報を、高速感応用の仮想エリアYの領域情報として記憶部24に記憶させればよい。
路側中継装置2の有線通信部22は、算出された地点Pyの車両速度を交通信号制御機11に送信し、交通信号制御機11は、受信した車両速度を用いて高速感応制御を実行する。
交通信号制御機11が、非画像式車両感知器が出力する感知パルス信号を用いてバス感応制御又はVIP感応制御を実行する場合には、非画像式車両感知器は、流入路の停止線から所定距離(例えば、100〜150m)だけ離れた所定地点に設置される。
路側中継装置2は、仮想エリアZ(=A又はC)をプローブ車両5が通過するごとに仮想パルス信号を生成し、生成した仮想パルス信号を交通信号制御機11に送信する。交通信号制御機11は、受信した仮想パルス信号を用いてバス感応制御及びVIP感応制御のうちの少なくとも1つを実行する。
なお、交通信号制御機11が、画像式車両感知器からの出力信号を用いてバス感応制御及びVIP感応制御のうちの少なくとも1つを実行する場合には、仮想エリアZとして、当該画像式車両感知器の計測エリア(例えば、道路長が30〜50m)に対応する仮想エリアDを採用することにしてもよい。
この場合、交通信号制御機11は、路側中継装置2から受信する仮想パルス信号と車両種別に基づいて、仮想エリアZへの緊急車両の進入を検出した場合に、青時間の延長などを行って緊急車両の交差点通行を優先させる。
このため、1つの路側中継装置2を設置するだけで、交通信号制御機11が複数種類の端末感応制御にそれぞれ必要な交通指標を取得することができる。従って、端末感応制御の種別に適した場所に車両感知器を設置しなくても、交通信号制御機11が複数種類の端末感応制御を実行できるようになる。
すなわち、仮想エリアQ〜Zは、交通信号制御機11が実行する端末感応制御の制御対象となる方向の流入路に設定すればよい。
図16は、1つの交差点Jiに流入する複数の流入路にそれぞれ設定された仮想エリアL1〜L4の一例を示す説明図である。
仮想エリアL1は、東向きの流入路に設置される車両感知器の感知領域に対応する仮想エリアであり、仮想エリアL2は、西向きの流入路に設置される車両感知器の感知領域に対応する仮想エリアである。
路側中継装置2の記憶部24は、1つの交差点Jiに繋がる複数の流入路に車両感知器をそれぞれ設置する場合の感知領域に対応する、図15に示す複数の仮想エリアL1〜L4のうちの少なくとも2つの仮想エリアの領域情報(座標値など)を記憶している。
このため、1つの路側中継装置2を設置するだけで、中央装置4などの外部装置が流入路ごとの交通指標(例えば、交通量など)を取得することができる。従って、流入路ごとに車両感知器を設置しなくても、流入路ごとの交通指標(例えば、交通量)を必要とする交通信号制御を中央装置4などが実行できるようになる。
例えば、中央装置4が交差点Jiを含む所定の道路区間に関する中央感応制御を行うために、交差点Jiに流入するすべての流入路の交通量が必要である場合には、仮想エリアL1〜L4として、図5に例示する交通量算出用の仮想エリアAを採用すればよい。
図17(a)は、交通信号制御機11と車両感知器30A〜30Cの接続方式の概略図であり、図17(b)は、交通信号制御機11と路側中継装置2の接続方式の概略図である。
端子台102は、絶縁電線などよりなる単線ケーブル104が接続される複数の受信ポートR1と、フラットケーブルなどよりなる集線ケーブル105のコネクタが接続される複数の受信ポートR2とを備える。
また、上から7番目及び8番目の受信ポートR1がジレンマ感応制御に用いる感知パルス信号の受信ポートとなっており、左側の受信ポートR2が高速感応制御に用いる車両速度の受信ポートとなっている。
また、高速感応用の画像式車両感知器30Cは、集線ケーブル105によって左側の受信ポートR2に接続されている。
路側中継装置2の端子台202には、交通信号制御機11の端子台102と同じハードウェアインタフェースが採用されており、絶縁電線などよりなる単線ケーブル104が接続される複数の送信ポートT1と、フラットケーブルなどよりなる集線ケーブル105のコネクタが接続される複数の送信ポートT2とを備える。
また、上から7番目及び8番目の送信ポートT1がジレンマ感応制御に用いる感知パルス信号の送信ポートとなっており、右側の送信ポートT2が高速感応制御に用いる車両速度の送信ポートとなっている。
また、高速感応用の送信ポートT2は、集線ケーブル105によって同じ用途の受信ポートR2(左側の受信ポートR2)に接続されている。
具体的には、CPUは、送信する交通指標がギャップ感応用の仮想エリアQを用いて生成した車両速度である場合には、当該車両速度をギャップ感応用の送信ポートT1(上から1番目及び2番目の送信ポートT1)から送出する。
また、CPUは、送信する交通指標が高速感応用の仮想エリアYを用いて生成した車両速度である場合には、当該車両速度を高速感応用の送信ポートT2(右側の送信ポートT2)から送出する。
図18の接続方式では、交通信号制御機11と路側中継装置2との有線通信に関する接続方式として、例えばイーサネット(「イーサネット」は登録商標である。)に則ったLANの接続方式が採用されている。
受信ユニット110は、LANケーブル111が接続される1つのLANポートP1を備え、LANケーブル111を介してL3スイッチ等を含むスイッチングハブ120に接続されている。
路側中継装置2の送信ユニット210は、LANケーブル111が接続される1つのLANポートP2を備え、LANケーブル111を介してL3スイッチ等を含むスイッチングハブ120に接続されている。
具体的には、CPUは、送信する交通指標がギャップ感応用の仮想エリアQを用いて生成した仮想パルス信号である場合には、当該仮想パルス信号を含むイーサネットフレームの送信先を交通信号制御機11に設定する。
また、CPUは、送信する交通指標が高速感応用の仮想エリアYを用いて生成した車両速度である場合にも、当該車両速度を含むイーサネットフレームの送信先を交通信号制御機11に設定する。
「感知器エミュレーション(図19)」とは、路側中継装置2がプローブ情報から生成した疑似パルス信号を交通信号制御機11に入力し、車両感知器が設置された交差点Jkと同様の信号制御を交通信号制御機11に実行させることをいう。
感知器エミュレーションに用いる入力情報は、交差点Jkの現時点の信号灯色の切り替えタイミング及びプローブ情報などである。感知器エミュレーションの出力情報は、疑似パルス信号であり、出力先は、交通信号制御機11である。
図19では、感知領域にて車両を感知する車両感知器よりなる路側センサが未だ交差点Jkに設置されていないものとする。また、図中の参照符号Psは、路側中継装置2が生成可能な疑似パルス信号である。
交通信号制御機11が、パターン制御と端末感応制御との切り替えが可能であっても、端末感応制御を実現するには、車両感知器などの路側センサを交差点Jkの流入路に設置する必要がある。
また、設置した車両感知器の感知地点を調整する場合には、建柱工事をやり直す必要があるので、感知地点の調整が困難であるという問題もある。
そして、路側中継装置2は、割り当てた青時間となるように、複数の疑似パルス信号Psを生成し、生成した疑似パルス信号Psを交通信号制御機11に送信する。
今回開示した実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の権利範囲は、上述の実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲に記載された構成と均等の範囲内でのすべての変更が含まれる。
また、管轄エリア内のプローブ情報S5を中央装置4が収集し、中央装置4が本実施形態の交通指標算出装置としての機能を備えていてもよい。
2 路側中継装置(交通指標生成装置)
3 車載通信機
4 中央装置
5 車両(プローブ車両)
5A 普通車両
5B 大型車両
6 端末装置
7 通信回線
9 ルータ
10 信号灯器
11 交通信号制御機
12 信号制御線
20 アンテナ
21 無線通信部
22 有線通信部
23 制御部
23A データ中継部
23B 情報処理部
24 記憶部
30 アンテナ
31 通信部
32 制御部
33 記憶部
61 制御部
62 通信部
63 記憶部
64 表示部
65 スピーカ
66 操作部
101 制御基板
102 端子台
103 フラットケーブル
104 単線ケーブル
105 集線ケーブル
110 受信ユニット
111 LANケーブル
120 スイッチングハブ
201 制御基板
202 端子台
203 フラットケーブル
210 送信ユニット
Claims (20)
- 交通信号制御に用いる交通指標を生成する装置であって、
道路に車両感知器を設置したと仮定した場合の感知領域を構成する座標上の領域情報を記憶する記憶部と、
走行中の車両の車両位置と時刻情報を含むプローブ情報を受信する通信部と、
前記領域情報と前記プローブ情報に基づいて、前記交通指標を生成する制御部と、を備える交通指標生成装置。 - 前記記憶部は、前記道路上の位置が異なる複数の前記感知領域をそれぞれ構成する複数の前記領域情報を記憶し、前記制御部は、記憶された複数の前記領域情報ごとに前記交通指標を生成する請求項1に記載の交通指標生成装置。
- 前記記憶部は、1つの交差点に繋がる複数の流入路上の前記感知領域をそれぞれ構成する、複数の前記領域情報を記憶する請求項1に記載の交通指標生成装置。
- 前記制御部が生成する前記交通指標には、前記感知領域における前記車両の交通量、占有率及び感知パルス信号のうちの少なくとも1つが含まれる請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の交通指標生成装置。
- 前記記憶部は、端末感応制御の種別に対応する複数の前記感知領域をそれぞれ構成する、複数の前記領域情報を記憶する請求項2に記載の交通指標生成装置。
- 前記制御部が生成する前記交通指標には、前記感知領域における感知パルス信号と、前記感知領域における車両速度のうちの少なくとも1つが含まれる請求項5に記載の交通指標生成装置。
- 前記プローブ情報は、前記車両の車両種別を含み、
前記制御部は、前記プローブ情報に含まれる前記車両種別を交通信号制御機に宛てて前記通信部に送信させる請求項5又は請求項6に記載の交通指標生成装置。 - 前記プローブ情報は、前記車両の車両方位を含み、
前記制御部は、前記車両方位と前記道路の方位との角度差が所定値を超える場合は前記交通指標を生成せず、前記所定値以下である場合に前記交通指標を生成する請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の交通指標生成装置。 - 前記領域情報により特定される座標上の領域は、2次元又は3次元の広がりを有する請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の交通指標生成装置。
- 前記通信部は、前記領域情報を外部装置から受信可能であり、
前記制御部は、前記通信部が受信した前記領域情報を前記記憶部に記憶させる請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の交通指標生成装置。 - 前記通信部は、前記領域情報を外部装置から受信可能であり、
前記制御部は、前記記憶部が記憶する前記領域情報を前記通信部が受信した前記領域情報に更新する請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載の交通指標生成装置。 - 前記制御部は、更新前の前記領域情報と、更新後の前記領域情報とを前記通信部に送信させる請求項11に記載の交通指標生成装置。
- 前記プローブ情報は、前記車両の車長及び車両種別の少なくとも1つの情報を含み、
前記制御部は、前記情報を用いて、前記車両の車両位置を当該車両の前端位置及び後端位置の少なくとも一方に補正する処理を実行する請求項1〜請求項12のいずれか1項に記載の交通指標生成装置。 - 前記制御部は、複数の種別の前記交通指標を生成した場合には、前記交通指標を前記通信部に送信させるか否かを、当該交通指標の種別ごとに判定する請求項1〜請求項13のいずれか1項に記載の交通指標生成装置。
- 前記制御部は、複数の種別の前記交通指標を生成した場合には、前記交通指標を前記通信部に送信させる前記交通指標の種別を、前記送信先の外部装置の種別ごとに判定する請求項1〜請求項14のいずれか1項に記載の交通指標生成装置。
- 道路に設置されている車両感知器が感知可能な領域と前記感知領域とは重複しない請求項1に記載の交通指標生成装置。
- 前記感知領域は、交通信号制御の対象となる交差点に流入する道路のうち車両感知器の感知対象ではない道路区間に車両感知器を設置したと仮定した場合の感知領域である請求項1に記載の交通指標生成装置。
- 前記感知領域は、車両感知器の感知対象ではない道路区間であって互いに隣接する交通信号制御対象の交差点に挟まれた道路区間に車両感知器を設置したと仮定した場合の感知領域である請求項1に記載の交通指標生成装置。
- 交通信号制御に用いる交通指標を生成する装置としてコンピュータを機能させるためのコンピュータプログラムであって、
交通指標生成装置の記憶部が、道路に車両感知器を設置したと仮定した場合の感知領域を構成する座標上の領域情報を記憶するステップと、
前記交通指標生成装置の通信部が、走行中の車両の車両位置と時刻情報を含むプローブ情報を受信するステップと、
前記交通指標生成装置の制御部が、前記領域情報と前記プローブ情報に基づいて、前記交通指標を生成するステップと、を含むコンピュータプログラム。 - 交通信号制御に用いる交通指標を生成する装置が実行する交通指標生成方法であって、
交通指標生成装置の記憶部が、道路に車両感知器を設置したと仮定した場合の感知領域を構成する座標上の領域情報を記憶するステップと、
前記交通指標生成装置の通信部が、走行中の車両の車両位置と時刻情報を含むプローブ情報を受信するステップと、
前記交通指標生成装置の制御部が、前記領域情報と前記プローブ情報に基づいて、前記交通指標を生成するステップと、を含む交通指標生成方法。
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