JP6790919B2 - 全固体電池の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、全固体電池の製造方法に関する。
全固体電池を製造するに際しては、全固定電池積層体のプレスが行われる。
例えば特許文献1には、第2の集電体層、第2の電極活物質層、固体電解質層、第1の電極活物質層、第1の集電体層、第1の電極活物質層、固体電解質層、第2の電極活物質層、及び第2の集電体層を含む積層体をプレスして電池ユニットを作製する工程を含む、全固体電池の製造方法が開示されている。
特許文献2には、正極層と負極層のうちの面積の狭い方の層を第1プレス圧でプレスする工程と、正極層と負極層のうちの面積の広い方の層を第2プレス圧でプレスする工程と、正極層、固体電解質層、及び負極層の積層体を、第2プレス圧よりも低い第3プレス圧でプレスする工程を含む、全固体電池の製造方法が開示されている。
特開2015−125872号公報 特開2014−207104号公報
特許文献1は、全固体電池積層体の反りを抑制するために必要な工程を減らすための技術に関し、積層体の各層同士を密着させ且つ各層を緻密化するために、所定のプレスを行うことを開示する。特許文献1の技術において、正極活物質層を緻密化するためにプレス圧を高圧にすると、全固体電池積層体に割れが生じるおそれがある。
特許文献2の技術は、正極層及び負極層をそれぞれプレスしたうえ、これらと固体電解質層との積層体を更にプレスするため、工程数が多い。従って、反り抑制のための工程を減らすことを目的とする特許文献1とは、相容れない技術思想に立脚する。
本発明は、従来技術における以上の状況を考慮したうえでなされたものである。本発明の目的は、正極活物質層を緻密化するために高圧のプレスを行っても、積層体の割れが抑制された全固体電池の製造方法を提供することである。
本発明は、
正極集電体層の両面にそれぞれ正極活物質層を形成し、そして第1のプレス圧にてプレスして正極積層体を得ること、
負極集電体層の片面に負極活物質層を形成し、そしてプレスを行わずに、又は第2のプレス圧におけるプレスを行って、負極積層体を得ること、
前記正極積層体の両面に、それぞれ、前記負極積層体を積層して全固体電池積層体を得ること、及び
前記全固体電池積層体を第3のプレス圧にてプレスすること
を含み、
前記正極積層体及び前記負極積層体のうちの少なくとも一方は、固体電解質層を更に有し、
前記全固体電池積層体が、負極集電体層、負極活物質層、固体電解質層、正極活物質層、正極集電体層、正極活物質層、固体電解質層、負極活物質層、及び負極集電体層をこの順に有し、
前記第3のプレス圧が前記第1のプレス圧よりも小さく、且つ
前記第2のプレス圧が前記第3のプレス圧よりも小さい、
全固体電池の製造方法に関する。
本発明によると、正極活物質層を緻密化するために高圧のプレスを行ったときの積層体の割れが抑制される、全固体電池の製造方法が提供される。
本発明の方法によると、正極積層体の面積が負極積層体の面積よりも小さい場合であっても、所期する効果が発現される。特に、全固体電池積層体を形成するときの積層の位置合わせがずれて、負極積層体を介して隣接する2つの正極積層体が、積層方向で互いに重複しない領域を有する場合であっても、積層体の割れが抑制される利点を有する。
図1は、本発明の方法によって製造される全固体電池における全固体電池積層体の層構成を説明するための概略断面図である。 図2は、本発明の全固体電池の製造方法のうちの、正極積層体形成工程の一例を説明するための概略図である。 図3は、本発明の全固体電池の製造方法のうちの、負極積層体形成工程の一例を説明するための概略図である。 図4は、本発明の全固体電池の製造方法のうちの、全固体電池積層体形成工程及び第3プレス工程それぞれの一例を説明するための概略図である。
本発明の全固体電池の製造方法は、
正極集電体層の両面にそれぞれ正極活物質層を形成し、そして第1のプレス圧にてプレスして正極積層体を得る、正極積層体形成工程、
負極集電体層の片面に負極活物質層を形成し、そしてプレスを行わずに、又は第2のプレス圧におけるプレスを行って、負極積層体を得る、負極積層体形成工程、
正極積層体の両面に、それぞれ、負極積層体を積層して全固体電池積層体を得る、全固体電池積層体形成工程、及び
全固体電池積層体を第3のプレス圧にてプレスする、第3プレス工程
を含み、
第3のプレス圧が第1のプレス圧よりも小さく、且つ
第2のプレス圧が第3のプレス圧よりも小さい
ことを特徴とする。
本発明の全固体電池の製造方法によると、正極活物質層は、正極積層体形成工程中のプレス工程において、緻密化に十分な程度に強度の高い、第1のプレス圧でプレスされる。従って、全固体電池積層体の形成前に、正極活物質層は既に十分に緻密化される。従って、全固体電池積層体の形成後の第3プレス工程における第3のプレス圧を低く設定しても、得られる全固体電池は所期の性能を発揮することができるのである。
以下、本発明の全固体電池の製造方法につき、その好ましい実施形態を例として説明する。
<正極積層体形成工程>
正極積層体形成工程にて形成される正極積層体は、正極集電体層の両面にそれぞれ正極活物質層を有する。正極積層体は、両面それぞれの正極活物質層上に、固体電解質層を更に有していてよい。ただし、後述の負極積層体が固体電解質層を有するときには、この正極積層体が固体電解質層を有する必要はない。しかし、負極積層体が固体電解質層を有するときであっても、正極積層体は固体電解質層を有していてもよい。
正極積層体形成工程では、正極集電体層の両面に、それぞれ、正極活物質層、及び任意的に固体電解質層を形成し、そして第1のプレス圧にてプレスして、正極積層体を得る。この第1のプレス圧におけるプレス工程を、本明細書中では以下「第1プレス工程」として参照する。
第1プレス工程により、正極活物質層が緻密化される。得られる正極活物質層を、十分に緻密化して所望の性能を発揮させるために、第1プレス工程は、高いプレス圧で行われてよく、加熱下に行われてもよい。
第1プレス工程に使用するプレス機は、例えば、ロールプレス機であってよい。この場合のプレス圧は、例えば、30kN/cm以上、35kN/cm以上、40kN/cm以上、又は45kN/cm以上であってよく、例えば、60kN/cm以下、55kN/cm以下、50kN/cm以下、又は45kN/cm以下であってよい。ロールプレスの加工速度は、例えば、2m/分程度であってよい。
第1プレス工程におけるプレス時の温度は、例えば、20℃以上、50℃以上、100℃以上、120℃以上、又は150℃以上であってよく、例えば、200℃以下、195℃以下、190℃以下、185℃以下、又は180℃以下であってよい。
[正極集電体層]
正極集電体層を構成する材料としては、例えば、SUS、Ni、Cr、Au、Pt、Al、Fe、Ti、Zn等から成る箔を使用することができる。
[正極活物質層]
正極活物質層は、少なくとも正極活物質を含み、更に、固体電解質、バインダー、導電材等を含有していてよい。
正極活物質として、例えば、コバルト酸リチウム等公知の正極活物質を適宜用いてよい。固体電解質としては、硫化物系固体電解質を好適に使用してよく、具体的には例えば、LiSとPとの混合物(混合質量比LiS:P=50:50〜100:0、特に好ましくはLiS:P=70:30)であってよい。バインダーとしては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)に代表されるフッ素原子含有樹脂等を使用してよい。導電材としては、カーボンナノファイバー(例えば昭和電工(株)製のVGCF等)、アセチレンブラック等の公知の導電材を使用してよい。
正極集電体層の面上に正極活物質層を形成するには、例えば、上記の正極活物質、固体電解質、バインダー、導電材等を含有する正極合剤を塗布する方法によってよい。
[固体活物質層]
固体電解質層は、固体電解質を含み、任意的にバインダー等を更に含んでいてよい。
固体電解質層における固体電解質及びバインダーは、それぞれ、正極活物質層における固体電解質及びバインダーとして上記に例示したものの中から、適宜に選択して使用してよい。
第1の積層体が固体電解質層を有する場合、この固体電解質層は、正極集電体層の両面上に形成された正極活物質層の面上に、例えば、上記の固体電解質、バインダー等を含有する合剤を塗布する方法によってよい。
<負極積層体形成工程>
負極積層体形成工程では、負極集電体層の片面に負極活物質層を形成して負極積層体を得る。負極積層体は、負極活物質層上に、固体電解質層を更に有していてよい。ただし、上記正極積層体が固体電解質層を有するときには、負極積層体が固体電解質層を有する必要はない。しかし、正極積層体が固体電解質層を有するときであっても、負極積層体は固体電解質層を有していてよい。
負極積層体に対しては、プレスを行わなくてよい。しかし、第2のプレス圧におけるプレスであれば、所望により行ってもよい。この第2のプレス圧におけるプレス工程を、本明細書中では以下「第2プレス工程」として参照する。第2プレス工程における第2のプレス圧は、後述する第3プレス工程における第3のプレス圧よりも低い。第2のプレス圧と第3のプレス圧との定量的な関係については後述する。
[負極集電体層]
負極集電体層は、例えば、ステンレス(SUS)、Cu、Ni、Fe、Ti、Co、Zn等から成る箔であってよい。
[負極活物質層]
負極活物質層は、少なくとも負極活物質を含み、更に、固体電解質、バインダー、導電材等を含有していてよい。
負極活物質層における負極活物質としては、例えば、グラファイト等の公知の負極活物質を適宜に選択して試用してよい。負極活物質層における固体電解質、バインダー、及び導電材については、正極活物質層における固体電解質、バインダー、及び導電材としてそれぞれ上記に例示したものの中から、適宜に選択して使用してよい。
負極集電体層の面上に負極活物質層を形成するには、例えば、上記の負極活物質、固体電解質、バインダー、導電材等を含有する負極合剤を塗布する方法によってよい。
[固体活物質層]
負極積層体が固体電解質層を有する場合、この固体電解質層は、負極集電体層の面上に形成された負極活物質層の面上に形成されてよい。この場合の固体電解質層については、正極積層体が固体電解質層を有する場合に準じて理解してよい。
<全固体電池積層体形成工程>
全固体電池積層体形成工程では、正極積層体の両面に、それぞれ、負極積層体を積層して全固体電池積層体を得る。ここで、正極積層体及び負極積層体のうちの少なくとも一方は、正極活物質層上又は負極活物質層上に、固体電解質層を更に有する。従って、本工程で得られる全固体電池積層体は、負極集電体層、負極活物質層、固体電解質層、正極活物質層、正極集電体層、正極活物質層、固体電解質層、負極活物質層、及び負極集電体層をこの順に有するものとなる。正極積層体及び負極積層体の双方が固体電解質層を有するときには、2つの固体電解質層が隣接し、一体として機能することになる。
図1に、全固体電池積層体の層構成の一例を説明するための概略断面図を示した。
図1の全固体電池積層体30は、正極積層体10の両面に、それぞれ、負極積層体20を有する。正極積層体10は、正極集電体層1の両面に、それぞれ、正極活物質層2を有する。負極積層体20は、負極集電体層5の片面に、負極活物質層4及び固体電解質層3をこの順に有する。負極積層体20は、正極積層体10の両面に、それぞれ、固体電解質層3が正極活物質層2に接するように積層されている。この全固体電池積層体30は、負極集電体層5、負極活物質層4、固体電解質層3、正極活物質層2、正極集電体層1、正極活物質層2、固体電解質層3、負極活物質層4、及び負極集電体層5をこの順に有する。
図1の全固体電池積層体30において、負極積層体20の面積は正極積層体10の面積よりも大きく形成されている。しかしながら、本発明はこの場合に限られない。
<第3プレス工程>
第3プレス工程において、上記の全固体電池積層体を第3のプレス圧にてプレスする。第3プレス工程は、加熱下に行われてもよい。
[第3のプレス圧と第1のプレス圧との関係]
第3プレス工程における第3のプレス圧を、上述の第1のプレス圧よりも小さく設定することが、本発明の特徴である。第3プレス工程における第3のプレス圧は、第1プレス工程における第1のプレス圧よりも低ければよい。
第3のプレス圧は、第1のプレス圧に対して、例えば、80%以下、70%以下、60%以下、50%以下、又は40%以下であってよい。第3のプレス圧の下限は、全固体電池積層体の各層を十分に密着させるとの観点から、適宜に設定されてよい。
[第3プレス工程のプレス条件]
第3プレス工程に使用するプレス機は、例えば、ロールプレス機、平面プレス機等であってよい。ロールプレス機を使用する場合のプレス圧は、例えば、50kN/cm以下、45kN/cm以下、40kN/cm以下、又は35kN/cm以下であってよく、例えば、20kN/cm以上、25kN/cm以上、30kN/cm以上、又は35kN/cm以上であってよい。ロールプレスの加工速度は、例えば、2m/分程度であってよい。平面プレス機を使用する場合のプレス圧は、例えば、500MPa以下、400MPa以下、又は300MPa以下であってよい。
第3プレス工程におけるプレス時の温度は、例えば、20℃以上、50℃以上、100℃以上、120℃以上、又は150℃以上であってよく、例えば、200℃以下、195℃以下、190℃以下、185℃以下、又は180℃以下であってよい。
[第3のプレス圧と第2のプレス圧との関係]
負極積層体形成工程において、第2プレス工程を行う場合の第2のプレス圧は、第3のプレス圧より低い。本発明においては、負極積層体に対するプレスが行われず、又は負極積層体にプレスを行う場合の第2のプレス圧が相対的に低く設定される。従って、第3プレス工程を行うときに、負極積層体が過度に硬くなっていない。このことにより、第1のプレス圧よりも低い第3のプレス圧における第3プレス工程によっても、各層を十分に密着させることができる。
第2のプレス圧は、第3のプレス圧に対して、例えば、80%以下、70%以下、60%以下、50%以下、40%以下、30%以下、20%以下、又は10%以下であってよい。上述のとおり、第2プレス工程を行わなくてもかまわない。
<具体的態様>
[全固体電池の製造方法]
本発明の全固体電池の製造方法の一例を図2〜4に示した。
(正極積層体形成工程)
図2に、正極積層体形成方法の一例を示した。正極積層体形成工程では、正極集電体層1の両面にそれぞれ正極活物質層2を形成する。正極活物質層2は、正極集電体層1の両面のそれぞれ全面に形成してもよい。しかし、正極集電体層1の両面のそれぞれ一部の領域に正極活物質層2を形成し、発生する電力を集電し、外部へ取り出すための正極集電タブ1aとなる部分を残してもよい。
(第1プレス工程)
次に、第1プレス工程において、正極集電体層1の両面にそれぞれ正極活物質層2を形成して得られた積層体を、例えばロールプレスにより、第1のプレス圧にてプレスする。第1プレス工程のプレス条件は、例えば、第1のプレス圧を50kN/cmとし、170℃において加工速度2m/分で行ってよい。
(裁断)
第1プレス工程後の正極積層体10は、所望のサイズに裁断される。このとき、正極集電体層1の一部が正極集電タブ1aとなるように成形してもよい。
(絶縁処理)
正極積層体は、更に必要に応じて正極集電タブ1aに絶縁処理を施してよい。絶縁処理は、正極集電タブ1aのうち、全固体電池積層体となったときに負極積層体と重なる領域に、絶縁部材6を形成する処理である。絶縁部材6の形成は、例えば、ポリイミドテープ等の絶縁性テープの貼付、絶縁材の塗布等によってよい。
(負極積層体形成工程)
一方、図3に示した一例のように、負極積層体形成工程では、負極集電体層5の片面に、負極活物質層4及び固体電解質層3を順次に形成して、負極積層体20を得る。負極活物質層4及び固体電解質層3は負極集電体層5の全面に形成してもよい。しかし、負極集電体層5の一部の領域に負極活物質層4及び固体電解質層3を形成し、発生する電力を集電し、外部へ取り出すための負極集電タブ5aとなる部分を残してもよい。
(裁断)
負極積層体20は、次いで所望のサイズに裁断される。このとき、負極集電体層5の一部が負極集電タブ5aとなるように成形してもよい。
(第2プレス工程)
負極積層体20は、所望により、第3のプレス圧よりも低い第2のプレス圧にて、第2プレス工程(図示せず)を施してもよい。
(全固体電池積層体形成工程)
図4に、全固体電池積層体形成工程、及び第3プレス工程の一例を示した。全固体電池積層体形成工程では、正極積層体10の両面に、負極20を、固体電解質層3が正極活物質層2に接するようにそれぞれ積層して、全固体電池積層体30を得る。積層は、公知の方法によってよい。
(第3プレス工程)
得られた全固体電池積層体30を、例えばロールプレスにより、第3のプレス圧にてプレスする。第3プレス工程のプレス条件は、例えば、第3のプレス圧を20kN/cmとし、130℃において加工速度2m/分で行ってよい。
1 正極集電体層
1a 正極集電タブ
2 正極活物質層
3 固体電解質層
4 負極活物質層
5 負極集電体層
5a 負極集電タブ
6 絶縁部材
10 正極積層体
20 負極積層体
30 全固体電池積層体

Claims (1)

  1. 正極集電体層の両面にそれぞれ正極活物質層を形成し、そして第1のプレス圧にてプレスして正極積層体を得ること、
    負極集電体層の片面に負極活物質層を形成し、そしてプレスを行わずに、又は第2のプレス圧におけるプレスを行って、負極積層体を得ること、
    前記正極積層体の両面に、それぞれ、前記負極積層体を積層して全固体電池積層体を得ること、及び
    前記全固体電池積層体を第3のプレス圧にてプレスすること
    を含み、
    前記正極積層体及び前記負極積層体のうちの少なくとも一方は、固体電解質層を更に有し、
    前記全固体電池積層体が、負極集電体層、負極活物質層、固体電解質層、正極活物質層、正極集電体層、正極活物質層、固体電解質層、負極活物質層、及び負極集電体層をこの順に有し、
    前記第3のプレス圧が前記第1のプレス圧よりも小さく、且つ
    前記第2のプレス圧が前記第3のプレス圧よりも小さい、
    全固体電池の製造方法。
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