JP2015162353A - 全固体電池の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】負極の面積を正極の面積よりも大きくした全固体電池であって電池端部における破損を防止乃至抑制し得る全固体電池の製造方法を提供する。【解決手段】正極と、正極よりも大きい面積を有する負極とが固体電解質層を介して積層されてなる全固体電池の製造方法であって、正極の外周部における負極との間に形成される空隙部の一部に、正極の厚み以下の厚みを有する絶縁体を、正極と絶縁体との間に隙間を設けて配置し、絶縁体を含む正極と負極との間に固体電解質層を介在させて両面から加圧する、前記製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、全固体電池の製造方法に関し、さらに詳しくは特定の構成を有することによって電池端部における破損を防止乃至抑制し得る全固体電池の製造方法に関する。
近年、高電圧および高エネルギー密度を有する電池としてリチウム電池が実用化されている。リチウム電池の用途が広い分野に拡大していることおよび高性能の要求から、リチウム電池の更なる性能向上のために様々な研究が行われている。
その中で、従来用いられてきた液体電解質系のリチウム電池に比べて電解液を用いないため、電解液を用いる場合の安全性向上のために必要なシステムを簡略化し得て構造の自由度が増し補器の数を減らすことができる等の多くの利点を有し得ることから、電解質層として固体電解質層を備えた全固体電池の実用化が期待されている。
しかし、全固体電池の実用化が実現するためには様々な改良が必要である。
その1つとして、加圧工程を有する全固体電池の製造工程における電池端部における破損を防止乃至抑制し得る技術の開発が挙げられる。
一方、電池の製造工程における電池端部における破損を抑制する技術に適用し得ると推測される技術が提案されている。
例えば、特許文献1には、正極材料粉末層と、同じ面積の負極材料粉末層と、固体電解質材料粉末層とが積層された構造体と、この両側に配置した耐熱性絶縁部材とを2枚の導電性基板で挟み、加熱圧縮した後、導電性基板ごと切断して耐熱性絶縁部材を除去する固体電池の製造方法が記載されている。
さらに、特許文献2には、基板上に活物質層を形成する工程と、活物質層上に圧縮により接触部となる圧縮前接触部を形成すると共にその周囲に圧縮により周囲部となる圧縮前周囲部を形成する圧縮前電解質層形成工程と、介在部材を活物質層の周囲で基板と圧縮前周囲部との間に配置した状態で、圧縮前電解質層の圧縮前接触部および圧縮前周囲部を基板に向けて圧縮する圧縮工程と、を備える固体電解質電池の製造方法が記載されており、具体例として固体電解質層に周囲部を設け、正極活物質層と接して硫化物固体電解質からなる介在部材あるいは未硬化の熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂を硬化させた樹脂からなる介在部材を設けた固体電池の製造方法が示されている。
しかし、前記特許文献に記載の技術は正極の面積と負極の面積とを同等とし、外部の少なくとも一部を絶縁樹脂等で覆うものである。また、これらの技術を、リチウム二次電池におけるLi析出対策としての負極の面積を正極の面積よりも大きくした固体電池の製造方法に適用すると、加圧時に電極の流動が生じて電池外周部に力が掛かり、電解質等を破損させ得るため、電池端部における破損を防止乃至抑制することが困難である。
国際公開第2010/131321号 特開2010−272368号公報
従って、本発明の目的は、負極の面積を正極の面積よりも大きくした全固体電池であって電池端部における破損を防止乃至抑制し得る全固体電池の製造方法を提供することである。
本発明は、正極と、正極よりも大きい面積を有する負極とが固体電解質層を介して積層されてなる全固体電池の製造方法であって、
正極の外周部における負極との間に形成される空隙部の一部に、正極の厚み以下の厚みを有する絶縁体を、正極と絶縁体との間に隙間を設けて配置し、
絶縁体を含む正極と負極との間に固体電解質層を介在させて両面から加圧する、前記製造方法に関する。
本明細書において、正極および負極の面積とは、固体電解質層と接する側の平面の面積をいう。
本発明によれば、負極の面積を正極の面積よりも大きくした全固体電池であって電池端部における破損を防止乃至抑制し得る全固体電池を得ることができる。
図1は、本発明の実施態様の全固体電池の製造方法を説明するための断面模式図である。 図2は、本発明の実施態様による全固体電池の製造方法を説明するための部分拡大断面模式図である。 図3は、従来技術による全固体電池の製造方法を説明するための断面模式図である。 図4は、他の従来法による全固体電池の製造方法を説明するための断面模式図である。 図5は、他の従来法による全固体電池の製造方法を説明するための断面模式図である。 図6は、本発明の実施態様の全固体電池の製造方法における加圧時の状態を説明するための全体断面模式図である。 図7は、本発明の実施態様の全固体電池の製造方法における加圧時の状態を説明するための部分拡大断面模式図である。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳説する。
本発明の実施態様によれば、図1に示すように、全固体電池1は、正極活物質層2と正極集電体3とを備えた正極4と、正極4よりも大きい面積を有する、負極活物質層5と負極集電体6とを備えた負極7とが、固体電解質層8を介して積層されてなる全固体電池において、正極4の外周部における負極7との間に形成される空隙部の一部に、正極4の厚み以下の厚みを有する絶縁体8を、正極と絶縁体との間に隙間9を設けて配置し、絶縁体8を含む正極4と負極5との間に固体電解質層10を介在させて両面から加圧する、ことによって得ることができる。
また、本発明の実施態様においては、図1および図2に示すように、加圧前の正極4の厚さをAとし、加圧後の正極4の厚さをBとし、加圧前の隙間9の間隔をC(mm)としたときに、下記の条件を満足することが望ましい。
1)C>0、好適にはC:0.1〜1(mm)
2)A≦B、好適にはAとBとが略等しい、例えばA/B=0.95〜0.99
本発明の実施態様においては、前記条件が満足されることによって、前記の加圧時に正極の外周方向への流動を隙間Cで防止し、加圧による積層一体化が可能となる。
これに対して、従来技術においては、図3に示すように、Li2次電池においてはLi析出対策として負極の面積を正極の面積よりも大きくしていて、全固体電池の作製時に正極と電解質および負極と電解質との接合を確保するために、例えば100〜600MPaの大きな圧力で加圧している。このような圧力では負極が変形し、図3に示すように正極外周部で電解質膜を破損させ、製造中に電池としての機能が失われ得る。
また、他の従来技術において、正極の面積と負極の面積とを同等とし、外部を絶縁樹脂等で覆う構造によると、非対称形状には適用できない。
あるいは、従来技術において、図4に示すように、樹脂を外周に電極と接して配置すると、加圧時に電極の流動が生じ、電池外周部に力が掛かり樹脂等が外部に押され、電解質膜等を破損させ得る。
さらに、従来技術において、図5に示すように、正極と負極層間外周に絶縁フィルムを挿入すると、絶縁フィルム厚さにより電池中央部よりも電池端部の方が全体の厚さが厚くなり、外部拘束の際に電極に拘束圧を掛けにくい。
本発明の実施態様においては、前記のように正極、負極および固体電解質層に加えて、正極の外周部における負極との間に形成される空隙部の一部に、正極の厚み以下の厚みを有する絶縁体を、正極と絶縁体との間に隙間を設けて配置し、絶縁体を含む正極と負極との間に固体電解質層を介在させて両面から加圧するので、電池を両面から加圧し電池外周端部の絶縁樹脂と固体電解質と正極活物質とが押し合い、隙間を無くして固体電解質の割れを防止し得ると考えられる。
前記の正極は、正極用の集電体の少なくとも片面に正極層を備え得る。
前記の正極用の集電体として金属箔、例えばSUS箔、Al箔を、前記の負極用の集電体として金属箔、例えばSUS箔、Cu箔を用い得る。
前記の正極を構成する正極活物質層に含有される正極活物質としては、Liを離脱、挿入することができる材料、例えばコバルト酸リチウムやLiNOなどの公知の正極活物質を適宜用い得る。また、正極活物質層に含有される固体電解質としては任意の硫化物固体電解質、例えばLiS:P=50:50〜100:0(質量比)となるようにLiSおよびPを混合して得られる硫化物固体電解質、あるいは酸化物電解質など任意の固体電解質を用い得る。
また、正極活物質層は結着用バインダー、例えばポリフッ化ビニリデンなどのフッ素含有樹脂や導電材、例えばアセチレンブラックなどを含有し得る。
前記正極活物質層の厚みは、特に制限されないが、例えば0.1〜1000μmの範囲であり得る。
前記の負極は、正極よりも大きい面積を有し負極用の集電体の少なくとも片面に負極活物質層を備え得る。
前記の負極を構成する負極活物質層に含有される負極活物質としては、Liを挿入、離脱することができる材料、例えばグラファイトなどの公知のカーボン系負極合材を用い得る。また、負極活物質層に含有される固体電解質としては正極活物質層に適用され得る硫化物固体電解質あるいは酸化物固体電解質などを用い得る。
また、負極活物質層は結着用バインダー、例えばポリフッ化ビニリデンなどのフッ素含有樹脂や導電材、例えばアセチレンブラックなどを含有し得る。
前記負極活物質層の厚みは、特に制限されないが例えば0.1〜1000μmの範囲であり得る。
前記の固体電解質層に用いられる固体電解質としては、特に限定されず前記の正極活物質層および負極活物質層に適用され得る硫化物固体電解質あるいは酸化物固体電解質を用い得る。
前記固体電解質層の厚みは、電解質の種類や電池の構成などによって異なるが、例えば0.3〜1000μm、中でも0.3〜300μm程度であり得る。
本発明の実施態様において、絶縁体としては、耐熱性樹脂材料、例えばナイロン6、ナイロン46、ナイロン66等の脂肪族ポリアミド、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリエーテルエーテルケトン等のスーパーエンジニアリングプラスチックなどが挙げられる。
前記の正極集電体および負極集電体は、外部に通ずる正極端子および負極端子までの間を、集電タブを用いて接続し得る。
本発明の実施態様の全固体電池は、アルミニウムやステンレスなどの金属を基材とするラミネートパックや、SUSなどの缶のような外装、さらには既知のLiイオン電池、Li電池で用いられる一般的な外装体で保護してもよい。
本発明の実施態様によれば、負極の面積を正極の面積よりも大きくした全固体電池であって電池端部における破損を防止乃至抑制し得る全固体電池を得ることができる。
以下、本発明の実施例を示す。
以下の実施例は単に説明するためのものであり、本発明を限定するものではない。
実施例1
下記の工程で全固体電池を作製する。
1.正極(正極活物質層/正極集電体/正極活物質層)/固体電解質層/負極(負極活物質層/負極集電体)の層、固体電解質層/負極(負極活物質層/負極集電体)の層を作製する。各層の形成は塗工又は粉末材料を重ね合わせた後にプレスにより行う。
2.正極の周囲に絶縁樹脂を、絶縁樹脂と正極との間に隙間を確保して配置する。
3.絶縁体を含む正極と負極との間に固体電解質層を介在させて、最終プレス圧にて、電池を両面からプレスを行う。
この加圧で、電池外周端部の絶縁樹脂と固体電解質と正極活物質とが押し合い、隙間を無くし固体電解質の割れを防止し得る。
電池の加圧前の状態を図6に、図6における部分Sにおける加圧の工程の間の変化を示す部分拡大図を図7に示す。
図7から、加圧工程における工程(c)において部分(1)が強化され、工程(d)における部分(2)および工程(e)における部分(2)により電池中心から外部方向への圧力を吸収し、工程(e)における部分(4)により正極材と絶縁材の押し合いで破損防止と外部への流動による破損防止が達成され得る。
本発明によって、電池の製造工程における歩留りを向上して全固体電池を得ることができる。
1 全固体電池
2 正極活物質層
3 正極集電体
4 正極
5 負極活物質層
6 負極集電体
7 負極
8 絶縁体
9 隙間
10 固体電解質層

Claims (1)

  1. 正極と、正極よりも大きい面積を有する負極とが固体電解質層を介して積層されてなる全固体電池の製造方法であって、
    正極の外周部における負極との間に形成される空隙部の一部に、正極の厚み以下の厚みを有する絶縁体を、正極と絶縁体との間に隙間を設けて配置し、
    絶縁体を含む正極と負極との間に固体電解質層を介在させて両面から加圧する、前記製造方法。
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