JP6787910B2 - 紙製品のコーティングのための、炭化水素ワックスおよびジアルキルエーテルを含むワックス水性分散体 - Google Patents

Description

本発明は、炭化水素ワックスおよびジアルキルエーテルを含む、紙製品のコーティングためのワックス水性分散体と、その使用と、それで紙製品をコーティングする方法と、コーティングされた印刷紙製品とに関する。

紙製品は、滑りをよくするためそして摩耗および摩擦を減らすため、印刷後にコーティングされるかまたはワニスを塗布される。こうした処理の結果、さらなる取り扱いから印刷紙表面に起こり得る何らかの好ましくない影響を低下させるのに役立つオーバープリントワニスが得られる。この処理は、紙の全体的な光沢を向上させるのにも使用される。

オーバープリントワニス組成物は特に、オフセット印刷技術で作られるパンフレット、広告印刷またはパッケージの製造に利用される。オーバープリントワニスの目的は、印刷後に処理中の印刷表面を保護し、光沢レベルの付加によりその外観を高めることである。

印刷紙を仕上げて印刷紙の状態を調整するのに使用されるオーバープリントワニスは、油性でもあるいは水性でもよく、ＵＶ架橋ポリマー、ラッカーまたはワックスをベースとしてもよい。

１９７０年代の水性インクの開発以来、水性オーバープリントワニスは、オフセット印刷器での印刷プロセス後にますます利用されるようになってきた。水性オーバープリントワニスは現在までなお一般に使用されている。

特許文献１には、水性紙コーティングにおけるワックスの使用が記載される。この開示によれば、紙コーティング添加剤は、８０℃超の融点および５０μｍ未満の粒度を有するハードワックス、特にフィッシャートロプシュワックスの使用により得ることができる。このワックスは、潤滑剤として一般に使用されているステアリン酸カルシウムの代替物として、印刷紙の光沢および鮮明度を向上させるため提案される。

さらに、この数年間にオフセット印刷機の導入技術が発達し、水性インクおよびオーバープリントワニスを利用するように適合された。２ロール方式からワイプオフチャンバーマシンへの変化により、ワニスの拡散がより均一になり、ワニスの供給量精度が向上し、追加の顔料が利用可能になった（たとえばパール顔料またはメタリック顔料）。

特許文献２には、オーバープリントワニスとして紙上に１０〜３０％のシリコーンエマルジョン、シリコーンワックスエマルジョンまたはワックスエマルジョンを拡散させるための特殊なアニロックロールの使用が教示されており、これにより紙の均一かつ十分なコーティングが可能になり、モットリングが見られず、ワックス付着物の形成が減少する。

多くの場合、水性オーバープリントワニスに関連する最も大きな欠点は、低い耐熱性、表面の残留色素の撥油性による不均一なコーティングのほか、多層間の不十分な接着である。

シリコーン油性エマルジョンなどの代替製品は高価であり、信頼性の高い光沢を放たないうえ、印刷器のアプリケーターロールをブロックし得る高い付着傾向を有することで、時間のかかる洗浄作業が必要となる。

したがって、本発明の目的は、上記の不十分な点を克服し、特性の向上した紙製品および印刷製品の表面処理（ｓｕｒｆａｃｅ ｃｕｒｉｎｇ）のための水性ワックス配合物を提供することである。

驚くべきことに、ジアルキルエーテルを含む水性ワックス配合物がこれらの必要性を満たし得ることが見出された。

従来技術ではジアルキルエーテル、特にサソール（Ｓａｓｏｌ）のＮＡＣＯＬ（登録商標）−ｅｔｈｅｒ（ジヘキシル（Ｃ６）、ジオクチル（Ｃ８）およびジデシル（Ｃ１０））は、離型剤、消泡薬および広範囲に及ぶ他の用途のための添加剤として言及される（特許文献３）。

特許文献４には、金属表面処理における鉱油の代替物としてジアルキエーテル、特にジオクチルエーテルが記載される。調製された５％水性エマルジョンの油相は、５０ｗｔ．％超のジアルキルエーテルおよび他の成分（たとえば脂肪アルコールエトキシラート）を含んでいた。このエマルジョンは、金属の耐食コーティングに使用され、ゴムガスケットとの優れた材料適合性を有する。

特許文献５には、２〜３重量部のジアルキエーテルを用いて金型からコンクリートを分離させるための離型エマルジョンが開示される。例示的組成物は、１４５部の水、３５部のパーム核脂肪酸−ブチルエステル、１３部のジ−ヘキシルエーテル、９部のラウリルアルコールおよび１部のココナツ脂肪酸−ジエタノールアミドからなる。

特許文献６には、粉末材料組成物（モルタル、パテ、接合部接着剤等）における長鎖（Ｃ８〜Ｃ５０）ジアルキエーテルの使用が記載される。組成物中のエーテルは、有効性、安定性および強度などの他の特性に好ましくない影響を与えることなく、ダストバインダーとして働く。

特許文献７には、消泡剤としてシリコーンに加えてジアルキルエーテル（Ｃ６〜Ｃ２２）も含む固体洗浄剤のための消泡剤顆粒が特許請求されており、ジアルキルエーテルの有利なダスト結合特性、および粘着性のようなシリコーンコーティングの欠点を最小限に抑える能力が言及される。

特許文献８には、化粧品の基剤としてだけでなく、衛生布紙の含浸および濡れにも使用できるワックスをベースとした組成物が記載される。この配合物はワックス成分に加えて、油相の構成要素としてのジアルキエーテルおよび１０ｗｔ．％未満の水を含む。好ましい実施形態は、
１〜５０ｗｔ．％の少なくとも１種のジアルキルエーテル、
０．１〜５ｗｔ．％の少なくとも１種の活性物質、
１〜１０ｗｔ．％の少なくとも１種の油、
０．１〜１０ｗｔ．％の少なくとも１種の乳化剤、
５〜９０ｗｔ．％のワックス成分および
０〜５ｗｔ．％の水
からなる。

特許文献９には、化粧用途の固体ジアルキルエーテルおよび／またはジアルキカルボネートを含む油中水型エマルジョンが記載される。油成分およびワックス成分は、エマルジョンの連続相である液体油相の一部として言及される。この参考文献による好ましいジアルキルエーテルは、飽和直鎖Ｃ１２〜Ｃ２２ジアルキエーテル、たとえばジステアリルエーテル（Ｃ_１８Ｈ_３７−Ｏ−Ｃ_１８Ｈ_３７）である。ジアルキルエーテルは、エマルジョンの粘度を増加させるのに使用される。

引用した従来技術文書で、均一な紙コーティングを得るための、ワックスエマルジョンまたは分散体におけるジアルキルエーテルの使用を記載または提案する文書はない。

したがって、現在のオフセット印刷機などにより紙表面にスムーズに適用することができ、紙製品の印刷表面に塗布すると表面に優れた光沢および保護を与える均一な紙コーティングが得られるワックス分散体を提供することが、本発明の目的である。

米国特許第３９８５９３２号 欧州特許第０９３０１６１（Ｂ１）号 独国特許第１０２００４０５６７８６号 独国特許出願公開第４２３７５０１（Ａ１）号 欧州特許出願公開第０６３５３４２（Ａ１）号 国際公開第２０１００１８０１７（Ａ２）号 独国特許出願公開第１９８５４５３１（Ａ１）号 独国特許出願公開第１０１３３３９９（Ａ１）号 独国特許出願公開第１０２００５００５１７６（Ａ１）号

下記ａ）〜ｃ）を含むワックス分散体は、
ａ）下記を含む分散相：
−少なくとも１種の炭化水素ワックスおよび
−少なくとも１種のジアルキルエーテル、
ｂ）ワックス分散体の総重量に対して５０ｗｔ．％超の水を含む連続相、ならびに
ｃ）少なくとも１種の界面活性剤
紙製品、特に印刷紙製品の表面処理において有利な特性を有することが見出された。

本発明による紙製品は、湿った繊維、典型的には木、ぼろまたは草から得られるセルロースパルプを集めるステップ、およびそれらを最終形状に乾燥させるステップを含むプロセスで製造される材料である。紙製品は、記述および／または印刷に使用することができる。さらに紙製品は包装材料として広く使用され、厚紙および段ボールを含む。

とりわけ上記のワックス分散体は、紙製品の湿潤性を向上させ、泡立ち傾向が低いうえ、印刷機のロール上の付着物を減少させる。

本発明のワックス分散体でコーティングされた印刷紙製品は、摩耗安定性の向上およびより高い光沢を示す。

好ましい実施形態ではワックス分散体は、ワックス分散体の総重量に対して５０〜９５ｗｔ．％の水、一層好ましくは６５〜７５ｗｔ．％の水を含む。

本発明による炭化水素ワックスは、好ましくは４０℃またはそれを超える凝固点を有する組成物と物理的に定義され、典型的には分解することなく５０と９０℃との間で、例外的な場合には最大２００℃で溶融する。

本発明による炭化水素ワックスは、水素および炭素原子を９９％超含む、好ましくは水素および炭素原子を９９．８％超含む、最も好ましくは水素および炭素原子のみからなるワックスである。

本炭化水素ワックスは、ワックス分散体の総重量に対して５〜３０ｗｔ．％、好ましくは１５〜２０ｗｔ．％の濃度で存在してもよく、石油系パラフィンワックスでも、フィッシャートロプシュ合成ワックスでもまたはポリオレフィンワックスでもあるいはそれらの混合物でもよく、それらに関係なく好ましくはＤＩＮ ＩＳＯ ２２０７による凝固点が４０〜１１０℃、一層好ましくは４０〜９０℃、最も好ましくは５０〜７０℃である。

ワックス分散体の炭化水素ワックス含有量が比較的低いと、水によるその希釈性が向上する。

本分散体は、非イオン性もしくはカチオン性界面活性剤またはそれらの両方を含んでもよい。

非イオン性界面活性剤は、ワックス分散体の総重量に対して２〜１０ｗｔ．％、好ましくは６〜８ｗｔ．％の濃度で存在してもよく、好ましくはアルコールエトキシラートもしくはアルコールプロポキシレートまたはそれらの両方、一層好ましくはオキソアルコールエトキシラートである。それに関係なく、好ましくはアルコール基は、８〜２４個の炭素原子、一層好ましくは１０〜１８個の炭素原子を含み、エトキシル化の程度は２〜２０、一層好ましくは４〜１２である。

非イオン界面活性剤は、ロールおよび紙上のワックス分散体のその後の拡散性を向上させ、エマルジョンの粒度を小さくする。低粒度は均一で薄いコーティングを促進し、紙塗布前の水によるさらなる希釈を可能にする。

カチオン性界面活性剤は、ワックス分散体の総重量に対して１〜３ｗｔ．％、好ましくは１．５〜２ｗｔ．％の濃度で存在してもよく、好ましくはプロトン化Ｎ−アルキル−ジアミンまたは少なくとも１つのアルキル基を有する第四級アンモニウム化合物、一層好ましくはアルキル基が６〜２４個、好ましくは１０〜１８個の炭素原子を含むプロトン化Ｎ−アルキル−プロピレン−ジアミンである。

カチオン性界面活性剤は、主に紙繊維の表面負電荷に対するワックス分散体の親和性を増加させることで、優れた濡れ特性および拡散特性を示す。さらにこうしたワックス分散体は、紙表面に帯電防止作用を生じさせる。

ジアルキルエーテルは、ワックス分散体の総重量に対して１〜１０ｗｔ．％、好ましくは４〜６ｗｔ．％の濃度で存在してもよく、以下の式Ｒ^１−Ｏ−Ｒ^２を有し、Ｒ^１およびＲ^２は互いに独立に、それぞれ６〜３２個の炭素原子、好ましくは６〜１２個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素残基、環状脂肪族炭化水素残基または芳香族炭化水素残基、好ましくは直鎖または分岐脂肪族炭化水素残基である。

好ましくはＲ^１はＲ^２と等しく、ヘキシル残基、オクチル残基またはデシル残基の群から選択され、一層好ましくはＲ^１およびＲ^２はオクチル残基である。

この理論に拘泥するわけではないが、エーテルは水相の表面に移動し、拡散能のほか、ロールおよび紙に対する分散体の親和性を向上させると想定される。エーテルはロール上でワックス離型剤として働き、その結果高光沢を有する均一で安定なコーティングが生じる。高光沢は、表面を研磨することによりさらに増加させることができる。エーテルはさらに、印刷用インクの剥離の低減によりロール上のワックス付着物の形成を明確に低減させる。

従来のシリコーンまたはワックスのエマルジョンおよび分散体では、紙の均一かつ一定なコーティングが得られない。それに次いで、従来のシリコーンまたはワックスのエマルジョンおよび分散体は研磨できずにロール上に付着物が生じやすく、それらと共にインク顔料を運搬することによりロールをブロックする。

炭化水素ワックスとジアルキルエーテルの重量比は、２：１〜４：１、好ましくは２．８：１〜３．４：１に及んでもよい。

さらなる実施形態によれば、本ワックス分散体は、レーザー回折および／または光散乱により決定される粒子および液滴の平均粒度ｄ_９０（数平均）が３００μｍ未満であることを特徴とする。小粒子の結果、比表面積が大きくなり、コーティングプロセスにおけるワックス分散体の性能および拡散を向上させる。

ワックス分散体は好ましくはさらに、３０〜４０ｍＮ・ｍ^−１、一層好ましくは３５〜３６ｍＮ・ｍ^−１の表面張力を特徴とする。表面張力は、Ｗｉｌｈｅｌｍｙプレート法を用いて決定される。前述の範囲の表面張力は、ロールおよび紙上に分散体の優れた分布を与える。

カチオン性界面活性剤が利用される場合、ワックス分散体は、６〜９、好ましくは７．５〜８．５のｐＨ値を有し、ｐＨ値は、有機酸もしくは鉱酸および／またはアミン、好ましくは酢酸および／またはジシクロヘキシルアミンを加えることにより調整してもよい。

本発明のさらなる実施形態によれば、ワックス分散体は濃縮物であり、すぐに使えるワックス分散体は、１（ワックス分散体）：１（水）〜１：５の比率で水にて希釈することにより濃縮物から得ることができる。

本発明のさらなる態様によれば、上記のワックス分散体を紙製品の表面、好ましくは紙のウェブに塗布することを含む、紙製品をコーティングする方法が提供される。ワックス分散体は、コーティングの前に１：１〜１：５の比率にて水で希釈してもよく、あるいは代わりにワックス分散体の総重量に対して３．５〜１２ｗｔ．％、好ましくは８〜１１ｗｔ．％という、炭化水素ワックスおよびジアルキルエーテルの合計の濃度が得られるまで分散体を希釈する。

好ましくは紙製品表面は、印刷紙製品表面である。本方法は任意に、コーティング後に乾燥ステップもしくは研磨ステップまたはそれらの両方を含む。

紙製品に塗布される炭化水素ワックスおよびジアルキルエーテルの合計の量は、０．２〜１ｇ・ｍ^−２、好ましくは０．４〜０．９ｇ・ｍ^−２に及んでもよい。

本発明はさらに、印刷紙製品上にコーティングを得るための、本明細書に記載するようなワックス分散体の使用であって、得られる印刷紙製品は摩耗安定性の向上もしくは光沢の向上またはそれらの両方を有する使用に関する。

本発明についてはさらに例により説明するが、それに限定されるものではない。

６８．１２ｗｔ．％の水
１６．１９ｗｔ．％の炭化水素ワックス（サソールワックス社（Ｓａｓｏｌ Ｗａｘ ＧｍｂＨ）製のＳａｓｏｌｗａｘ Ｍ５）
８．００ｗｔ．％の非イオン界面活性剤（ＢＡＳＦ製のＬｕｔｅｎｓｏｌ ＴＯ ８）
５．００ｗｔ．％のジアルキルエーテル（サソールジャーマニー社（Ｓａｓｏｌ Ｇｅｒｍａｎｙ ＧｍｂＨ）製のＮＡＣＯＬ−８−Ｅｔｈｅｒ）
１．７０ｗｔ．％のカチオン性界面活性剤（セカ（Ｃｅｃａ）製のＤｉｎｏｒａｍ ４２Ｅ）
０．７４ｗｔ．％の６０％酢酸（ＢＣＤケミー社（ＢＣＤ Ｃｈｅｍｉｅ ＧｍｂＨ）製）
０．２５ｗｔ．％のジシクロヘキシルアミン（オーバラック（Ｏｖｅｒｌａｃｋ）製）
からなる本発明によるワックス分散体Ａを製造し、以下の特性
ｐＨ値：８．１
表面張力：３６ｍＮ・ｍ^−１
を有した。

表面張力は、Ｗｉｌｈｅｌｍｙプレート法にてＫｒｕｅｓｓ Ｔｅｎｓｉｏｍｅｔｅｒ Ｋ１００を用いて測定した。

上記ワックス分散体に使用したワックスは、ＤＩＮ ＩＳＯ ２２０７に従い測定された５８℃の凝固点を有するフィッシャートロプシュワックスである。

非イオン界面活性剤は、８のエトキシル化度を有するＣ１３−オキソアルコールエトキシラートである。

ジアルキルエーテルはジ−ｎ−オクチルエーテルであり、カチオン性界面活性剤はＮ−アルキル−プロピレン−ジアミンである。

非イオン界面活性剤を有するワックス分散体は典型的には、激しい泡形成を示す。１０００ｍｌガラスビーカー中で１００ｍｌの分散体に１２０秒間空気を通気後には、少なくとも９００ｍｌの泡が形成される。本発明によるワックス分散体は、同じ試験において泡形成を示さず、結果として紙コーティングプロセスにおいて塗布を向上させる。

上記のワックス分散体の平均粒度は、ｄ_１０＝０．０７２μｍ、ｄ_５０＝０．１２５μｍおよびｄ_９０＝０．２１０μｍであった。これらから、ワックス濃度と、粒子が球状であるとの仮定とに基づき５２ｍ^２・ｍｌ^−１の比表面積が算出される。これは、２０ｍ^２・ｍｌ^−１の比表面積しか算出され得ない、ｄ_５０＝０．４００μｍの従来のシリコーンまたはワックスのエマルジョンよりかなり低い。

平均粒度は、蒸留水３０ｍｌで希釈した５滴の分散体を用い、ベックマン・コールター（Ｂｅｃｋｍａｎ Ｃｏｕｌｔｅｒ）製の装置（ＬＳ１３３２０）でレーザー回折および光散乱により測定した。

上記のワックス分散体は、インク量が多いＬＷＣ１３０またはＳＣ紙（８０ｇ・ｍ^−２）を用いてオフセット印刷手順でオーバープリントワニスとして使用した。ワックス分散体を、スチール回転棒によって印刷紙に塗布する前にさらに水で１：２希釈した。コーティングされた紙の重量再計量によれば、塗布されたワックス分散体の量は、０．４〜０．９ｇ・ｍ^−２であった。

上記のワックス分散体Ａでコーティングされた印刷紙の摩耗安定性およびグリット安定性は、プリューフバウ（Ｐｒｕｆｂａｕ）製の「Ｑｕａｒｔａｎｔ Ｓｃｈｅｕｅｒｔｅｓｔｅｒ」で決定した。印刷紙サンプルおよびワックス分散体Ａでコーティングされた印刷紙のサンプルを、非印刷紙に対して標準圧力で規定数のハブで磨いた。非印刷サンプルに何らかの色が移るあるいはサンプルの印刷を損なうのに必要なハブの数が摩耗安定性の度合いとなる。これは、非コーティング紙と比較して、上記のワックス分散体でコーティングされた印刷紙で常に高かった。

摩耗安定性を迅速に試験するためのもう１つの可能性は、手のひらまたは親指で摩耗を判定するものである。実験室規模では、３０ｃｍ定規への圧力で摩擦振動させ、それが印刷を損なうのにどれくらい必要とするかを点検することにより、コーティングされた紙の摩耗安定性を試験した。

コーティングされた印刷紙の光沢は、ビックガードナー（ＢＹＫ−Ｇａｒｄｎｅｒ）製のＭｉｃｒｏ−ＴＲＩ−ｇｌｏｓｓアナライザーを用いてＤＩＮ ６７５３０に従い２０°、６０°および８５°（高、中、低光沢）の角度で決定した。本発明のワックスコーティングの研磨性により、非研磨コーティングまたはシリコーンコーティングと比較してかなり高い高および中光沢を得ることができる。

ＨｙｄｒｏＷａｘ １７０は、６４ｗｔ．％の水、２．０ｗｔ．％のポリビニルアルコール（０．５ｗｔ−％ＫＯＨで加水分解）および０．５ｗｔ．％のアニオン性ナフタレンスルホネート界面活性剤ならびに３３ｗｔ．％のワックス相（６３〜６５℃の凝固点を有する２８ｗｔ．％の炭化水素ワックス、３．３ｗｔ．％のカルナウバワックスおよびエクソンモービル（Ｅｘｘｏｎ Ｍｏｂｉｌｅ）製の１．７ｗｔ．％の脂肪族炭化水素樹脂Ｅｓｃｏｒｅｚ １１０２ Ｆ）からなる、ジアルキルエーテルを含まないワックス分散体である。

本発明によるワックス分散体は、通常オーバープリントワニスとして使用される非イオン性および／またはカチオン性タイプの他の分散体およびエマルジョンとの適合性があり、それらと交換可能に使用され得る。それは、別の分散体またはエマルジョンをそれぞれ使用しているあるいは使用する予定である場合に、本発明によるワックス分散体の使用の前後に洗浄が必要でないことを意味する。それによりさらに、適切であるまたは必要である場合、シリコーンエマルジョンと本発明のワックス分散体の混合も可能になる。

Claims (22)

1. ワックス分散体であって、
   ａ） −ＤＩＮ ＩＳＯ ２２０７による４０〜１１０℃の凝固点を有する、少なくとも１種の炭化水素ワックスおよび
   −少なくとも１種のジアルキルエーテル
   を含み、前記ジアルキルエーテルに対する前記炭化水素ワックスの重量比は２：１〜４：１であって、前記ジアルキルエーテルは次式 Ｒ ^１ −Ｏ−Ｒ ^２ を有し、Ｒ ^１ およびＲ ^２ は互いに独立に、６〜１２個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素残基若しくは環状脂肪族炭化水素残基である
   分散相と、
   ｂ）前記ワックス分散体の総重量に対して５０ｗｔ．％超の水を含む連続相と、
   ｃ）少なくとも１種の界面活性剤と、
   を含むワックス分散体。
2. 以下の特徴
   −前記ワックス分散体は５〜３０ｗｔ．％の前記炭化水素ワックス、好ましくは１５〜２０ｗｔ．％の前記炭化水素ワックスを含むこと、
   −前記ワックス分散体は１〜１０ｗｔ．％の前記ジアルキルエーテル、好ましくは４〜６ｗｔ．％の前記ジアルキルエーテルを含むこと、
   −前記ワックス分散体は５０〜９５ｗｔ．％の水、好ましくは６５〜７５ｗｔ．％の水を含むこと、
   −前記ワックス分散体は２〜１０ｗｔ．％の前記界面活性剤、好ましくは６〜８ｗｔ．％の前記界面活性剤を含むこと、
   の１つまたは複数をさらに特徴とし、
   すべての重量比は前記ワックス分散体の総重量に対するものである
   請求項１に記載のワックス分散体。
3. 互いに独立して
   ａ）前記ジアルキルエーテルに対する前記炭化水素ワックスの重量比は２．８：１〜３．４：１であり、
   ｂ）前記炭化水素ワックスおよび前記ジアルキルエーテルは合わせて、前記ワックス分散体の総重量の１０〜５０ｗｔ．％、好ましくは１５〜３０ｗｔ．％を含む
   請求項１または２に記載のワックス分散体。
4. 前記炭化水素ワックスは、石油系パラフィンワックス、合成フィッシャートロプシュワックス、ポリオレフィンワックスおよびこれらの組み合わせからなる群の１つまたは複数の要素から選択される、請求項１〜３のいずれか一項に記載のワックス分散体。
5. 前記炭化水素ワックスは４０〜９０℃、一層好ましくは５０〜７０℃のＤＩＮ ＩＳＯ ２２０７による凝固点を有する、請求項１〜４のいずれか一項に記載のワックス分散体。
6. Ｒ ^１ およびＲ^２は互いに独立に、６〜１２個の炭素原子を有する直鎖または分岐脂肪族炭化水素残基であり、それらに関係なく好ましくはＲ^１はＲ^２と等しく、ヘキシル残基、オクチル残基またはデシル残基の群から選択され、一層好ましくはＲ^１およびＲ^２はオクチル残基である、請求項１〜５のいずれか一項に記載のワックス分散体。
7. 前記分散相は２３℃で固体粒子を含み、好ましくは前記個々の粒子は各々前記少なくとも１種のジアルキルエーテルと前記少なくとも１種の炭化水素ワックスとの混合物を含む、請求項１〜６のいずれか一項に記載のワックス分散体。
8. 前記界面活性剤は少なくとも１種の非イオン界面活性剤もしくは少なくとも１種のカチオン性界面活性剤またはそれらの両方である、請求項１〜７のいずれか一項に記載のワックス分散体。
9. 前記非イオン界面活性剤はアルコールエトキシラートもしくはアルコールプロポキシレートまたはそれらの両方、好ましくはオキソアルコールエトキシラートである、請求項８に記載のワックス分散体。
10. １〜３ｗｔ．％の前記カチオン性界面活性剤、好ましくは１．５〜２ｗｔ．％の前記カチオン性界面活性剤を含む、請求項８に記載のワックス分散体。
11. 前記カチオン性界面活性剤は少なくとも１種のプロトン化Ｎ−アルキル−ジアミンまたは第四級アンモニウム化合物、好ましくはプロトン化Ｎ−アルキル−プロピレン−ジアミンである、請求項８または１０のいずれかに記載のワックス分散体。
12. ２５℃で測定された６〜９のｐＨ値、好ましくは７．８〜８．５のｐＨを有する、請求項１〜１１のいずれか一項に記載のワックス分散体であって、前記ｐＨ値は好ましくは、有機酸もしくは鉱酸および／またはアミン、好ましくは酢酸および／またはジシクロヘキシルアミンを加えることにより調整される、ワックス分散体。
13. 前記ワックス分散体は３０〜４０ｍＮ・ｍ^−１、好ましくは３５〜３６ｍＮ・ｍ^−１の表面張力を有する、請求項１〜１２のいずれか一項に記載のワックス分散体。
14. 前記粒子は３００μｍ未満の平均粒度ｄ_９０（数平均）を有する、請求項１〜１３のいずれか一項に記載のワックス分散体。
15. 請求項１〜１４のいずれか一項に記載のワックス分散体が１：１〜１：５の重量比にて水で希釈される、希釈ワックス分散体。
16. 下記ａ）、ｂ）、ｃ）を含むワックス分散体を
    ａ）下記を含む分散相、
    少なくとも１種の炭化水素ワックスおよび
    少なくとも１種のジアルキルエーテル、
    ｂ）前記ワックス分散体の総重量に対して５０ｗｔ．％超の水を含む連続相、ならびに
    ｃ）少なくとも１種の界面活性剤、
    紙製品の表面、好ましくは紙のウェブに塗布することを含む紙をコーティングする方法であって、前記紙製品の前記表面は印刷紙製品表面であり、任意に前記ワックス分散体を塗布する前記ステップ後に乾燥ステップもしくは研磨ステップまたはそれらの両方をさらに含む方法。
17. 請求項１〜１５のいずれか一項に記載のワックス分散体を塗布する、請求項１６に記載の方法。
18. 請求項１〜１４に記載のワックス分散体を紙製品の表面、好ましくは紙のウェブに塗布することを含む、紙製品をコーティングする方法であって、前記ワックス分散体は前記紙表面をコーティングする前に１：１〜１：５の重量比にて水で希釈される、あるいは代わりに３．５〜１２ｗｔ．％、好ましくは８〜１１ｗｔ．％という、前記炭化水素ワックスおよび前記ジアルキルエーテルの合計の濃度が得られるまで前記分散体を希釈し、かつ前記紙製品の前記表面は印刷紙製品表面であり、任意に前記ワックス分散体を塗布する前記ステップ後に乾燥ステップもしくは研磨ステップまたはそれらの両方をさらに含む方法。
19. 前記炭化水素ワックスおよび前記ジアルキルエーテルは、前記紙製品の前記コーティングされた表面に対して０．２〜１ｇ・ｍ^−２、好ましくは０．４〜０．９ｇ・ｍ^−２のコーティング重量で前記紙製品に塗布されている、請求項１６、１７または１８に記載の方法。
20. ａ）請求項１６〜１９に記載の方法により得ることができるコーティング、または
    ｂ）前記少なくとも１種の炭化水素ワックスおよび前記少なくとも１種のジアルキルエーテルを含むコーティングであって、前記ジアルキルエーテルに対する前記炭化水素ワックスの重量比は、２：１〜４：１、好ましくは２．８：１〜３．４：１であり、一層好ましくは前記紙製品に塗布される前記炭化水素ワックスおよび前記ジアルキルエーテルの合計の量は前記印刷紙製品の前記表面に対して０．２〜１ｇ・ｍ^−２、好ましくは０．４〜０．９ｇ・ｍ^−２であるコーティング
    を有する印刷紙製品。
21. コーティングされた紙製品、好ましくはコーティングされた印刷紙製品の摩耗安定性を向上させるためのもしくは光沢を向上させるためのまたはそれら両方のための、請求項１〜１５のいずれか一項に記載のワックス分散体により得られる前記コーティングの使用。
22. 表面をコーティングするための、請求項１〜１５に記載のワックス分散体の使用であって、前記表面は好ましくは紙製品の表面である使用。