JP6785142B2 - 電線 - Google Patents

電線 Download PDF

Info

Publication number
JP6785142B2
JP6785142B2 JP2016239426A JP2016239426A JP6785142B2 JP 6785142 B2 JP6785142 B2 JP 6785142B2 JP 2016239426 A JP2016239426 A JP 2016239426A JP 2016239426 A JP2016239426 A JP 2016239426A JP 6785142 B2 JP6785142 B2 JP 6785142B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
electric wire
forming
lubricant
conductor
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2016239426A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2018097967A (ja
Inventor
山田 圭一
圭一 山田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Yazaki Energy System Corp
Original Assignee
Yazaki Energy System Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Yazaki Energy System Corp filed Critical Yazaki Energy System Corp
Priority to JP2016239426A priority Critical patent/JP6785142B2/ja
Publication of JP2018097967A publication Critical patent/JP2018097967A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6785142B2 publication Critical patent/JP6785142B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Insulated Conductors (AREA)
  • Lubricants (AREA)

Description

本発明は、電線に関する。
高圧受電設備や配電盤などの幹線設備に用いられる電線は、複数の素線により構成され、例えば家庭用電子機器に用いられるACコードなどと比較して大きな許容電流値が設定されている。大きな許容電流値が設定されている電線は、高圧の電流が流れることを可能とするため、電線内部に備える導体の直径が大きくなる。その結果、上記電線は、直径が大きな電線となる(特許文献1〜3)。
特開2015−103478号公報 特開2000−133071号公報 特開2008−218061号公報
大きな許容電流値が設定されている電線は、例えば、ビルディングの主配電盤において、主配電盤と各電力供給対象箇所との間に配索される場合がある。このとき、上記の電線は、ビルディングにおける電線の配索経路に応じて、曲げて配索されることとなる。特に、電線の配索領域が狭小な場合においては、作業員が直径の大きな電線を曲げながら配索作業を行うこととなり、配索作業における負担となる。したがって、上記の電線は、より高い可撓性が望まれる。
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、可撓性を向上することができる電線を提供することを目的とする。
上記目的を達成する為、本発明に係る電線は、可撓性および導電性を有する導体と、前記導体の半径方向外側を被覆し、絶縁性および可撓性を有する絶縁体と、を備え、前記導体は、中心に位置する中心素線と、前記中心素線の半径方向外側に配置される複数の層形成素線と、を有し、複数の前記層形成素線は、半径方向内側に前記中心素線が位置した状態で、同心円状に配置され、かつ前記中心素線の延在方向に撚り合わされて同一層を形成し、前記導体は、前記中心素線の半径方向外側に、少なくとも1層以上複数の前記層形成素線が配置され、少なくとも前記導体の最外周を形成する複数の前記層形成素線と前記絶縁体との間には、潤滑剤が介在し、前記潤滑剤は、25℃における動粘度の値が、6.0〜20[mm/s]の範囲である、ことを特徴とする。
また、上記電線において、前記潤滑剤が介在する潤滑剤介在領域の半径方向内側に、前記潤滑剤が介在しない潤滑剤非介在領域が形成され、前記潤滑剤介在領域と前記潤滑剤非介在領域との境界は、前記導体の最外周を形成する層の外周から、前記中心素線と半径方向において隣り合う前記層の外周までの範囲に形成される、ことが好ましい。
また、上記電線において、前記中心素線および前記層形成素線は、それぞれ1mm以上の直径を有する、ことが好ましい。
また、上記電線において、前記潤滑剤は、25℃における動粘度の値が、10[mm/s]であるシリコーンオイルである、ことが好ましい。
本発明に係る電線は、少なくとも導体の最外周を形成する複数の層形成素線と絶縁体との間に、25℃における動粘度の値が、6.0〜20[mm/s]の範囲である潤滑剤が介在することにより、電線を曲げた際に、複数の層形成素線の外周面と絶縁体の内周面の摩擦抵抗が抑制されるので、可撓性を向上することができる。
図1は、実施形態に係る電線の説明図である。 図2は、実施形態に係る電線の断面図である。 図3は、実施形態に係る電線の製造方法の説明図である。 図4は、実施形態に係る電線の製造方法のフローチャートを示す図である。 図5は、実施形態に係る電線の試験方法の説明図である。 図6は、実施形態に係る電線の試験方法の説明図である。
以下に、本発明に係る電線の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。また、下記の実施形態における構成要素は、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。
[実施形態]
まず、実施形態における電線について説明する。図1は、実施形態に係る電線の説明図である。図2は、実施形態に係る電線の断面図である。図2は、図1におけるT−T断面図である。各図面(図3、図5、図6も同様)のX方向は、電線1の延在方向であり軸方向である。各図面のR方向は電線1の周方向である。
電線1は、例えば離間して配置された配電盤と電源との間に接続され、配電盤に供給された電力を電源に供給するものである。電線1は、図1および図2に示すように導体2と、絶縁体3と、潤滑剤4とを備える。
導体2は、電線1の接続対象物である配電盤と電源とを電気的に接続するものである。導体2は、可撓性および導電性を有し、本実施形態では、常温時、すなわち非加熱時においても可撓性を有する。導体2は、中心素線21と、複数の層形成素線22とを有する。
中心素線21および層形成素線22は、可撓性および導電性を有し、本実施形態では、常温時、すなわち非加熱時においても可撓性を有し、例えば銅やアルミなどの金属製の同一形状の素線である。
中心素線21は、電線1の軸方向視において、導体2の中心に位置するものである。
複数の層形成素線22は、中心素線21を中心として、中心素線21の半径方向外側に配置するものである。複数の層形成素線22は、軸方向視において、半径方向内側に中心素線21が位置した状態で、同心円状に配置されることで、同一層を形成する。同一層の複数の層形成素線22は、中心素線21の延在方向に撚り合わされ、本実施形態ではS字撚りに撚り合わされる。ここで、導体2は、中心素線21の半径方向外側に、少なくとも1層以上複数の層形成素線22が配置される。本実施形態における導体2においては、中心素線21から半径方向外側に向かって4つの層S1〜S4が同心円状に形成される。なお、同一層の複数の層形成素線22は、軸方向視において、半径方向内側において隣り合う中心素線21、あるいは半径方向内側において隣り合う同一層を形成する複数の層形成素線22の半径方向外側の全周を覆うように配置される。つまり、導体2は、複数の素線21,22を有し、軸方向視において、撚り合わせた複数の素線22が同一層を形成し、かつ層状に積層されて成る、撚り線構造を構成する。ここで、中心素線21および層形成素線22は、1mm以上の直径を有する。つまり、電線1は、導体2が1mm以上の直径を有する複数の素線21,22により撚り線構造を構成するため、導体2が1mm未満の直径を有数する複数の素線21,22により撚り線構造を構成した場合と比較して、後述する潤滑剤4を有さない場合に、電線1としての可撓性が高くない電線1である。
第1層S1は、中心素線21の半径方向外側において中心素線21の外周と隣接して形成される。第1層S1は、中心素線21を中心として、中心素線21の外周の周方向に位置する複数本の層形成素線22が撚り合わされて形成される。第2層S2は、第1層S1の半径方向外側において、第1層S1を形成する複数の層形成素線22の外周と隣接して形成される。第2層S2は、中心素線21を中心として、第1層S1を形成する複数の層形成素線22の外周の周方向に位置する複数本(第1層S1を形成する層形成素線22の数よりも多い)の層形成素線22が撚り合わされて形成される。第3層S3は、中心素線21を中心として、第2層S2を形成する複数の層形成素線22の外周の周方向に位置する複数本(第2層S2を形成する層形成素線22の数よりも多い)の層形成素線22が撚り合わされて形成される。第4層S4は、中心素線21を中心として、第3層S3を形成する複数の層形成素線22の外周の周方向に位置する複数本(第3層S3を形成する層形成素線22の数よりも多い)の層形成素線22が撚り合わされて形成される。第4層S4を形成する複数の層形成素線22は、導体2の最外周を形成する素線である。
絶縁体3は、絶縁性を有し、導体2の半径方向外側を被覆して、導体2と電線1の外部とを絶縁するものである。絶縁体3は、可撓性を有し、本実施形態では、常温時、すなわち非加熱時においても可撓性を有する。つまり、絶縁体3は、可撓性を有する導体2が曲がった場合に、追従して曲がることができるものである。本実施形態における絶縁体3は、熱可塑性樹脂であるポリエチレンにより構成される。
潤滑剤4は、電線1を外力により曲げた際、絶縁体3に対して導体2が曲がることにより、曲がった箇所における層形成素線22同士、および層形成素線22と絶縁体3との接触により生じる摩擦抵抗を抑制するものである。ここで、電線1には、潤滑剤介在領域R1と潤滑剤非介在領域R2とが形成される。潤滑剤介在領域R1は、潤滑剤4が介在する領域であり、少なくとも導体2の最外周を形成する複数の層形成素線22を含む領域である。潤滑剤非介在領域R2は、潤滑剤4が介在しない領域であり、軸方向視において、潤滑剤介在領域R1よりも半径方向内側に位置するものである。潤滑剤介在領域R1と潤滑剤非介在領域R2との境界rは、導体2の最外周を形成する複数の層形成素線22の外周から、中心素線21と半径方向において隣り合う層を形成する複数の層形成素線22の外周までの範囲に形成される。本実施形態における境界rは、第1層S1の外周、すなわち第1層S1を形成する複数の層形成素線22と第2層S2を形成する複数の層形成素線22との間である。従って、潤滑剤介在領域R1は、第4層S4の外周、すなわち第4層S4を形成する複数の層形成素線22と絶縁体3との間から第1層S1と第2層S2との間までとなる。ここで、潤滑剤介在領域R1における潤滑剤は、複数の層形成素線22が形成する同一層において、周方向に隣り合う層形成素線22の間にも介在する。
潤滑剤4は、25℃における動粘度の値が、6.0〜20[mm/s]の範囲にあるものである。動粘度がこの範囲にあると、潤滑剤4として好ましい摩擦抵抗を抑制する効果が得られる。潤滑剤4は、絶縁体3に対し、潤滑剤4が絶縁体3に接触することで絶縁体3に影響を与えないものである。潤滑剤4は、例えば、常温にて絶縁体3を潤滑剤4に48時間漬潰し、48時間経過後の絶縁体3の質量変化率を測定する耐久試験に基づき、絶縁体3の質量変化率が30%未満のものである。潤滑剤4は、導体2に対して絶縁体3を被覆する際に発生する熱(170℃〜180℃)に対して耐熱性を有するものである。本実施形態における潤滑剤4は、シリコーンオイルである。
次に、電線1の製造方法について説明する。図3は、実施形態に係る電線の製造方法の説明図である。図3は、導体形成工程における説明図である。図4は、実施形態に係る電線の製造方法のフローチャートを示す図である。電線1の製造は、図4に示すように、導体形成工程(ステップST1)と、塗布工程(ステップST2)と、絶縁体被覆工程(ステップST3)とを含む。導体形成工程は、中心素線21が半径方向内側に位置した状態で、複数の層形成素線22を同心円状に、かつ中心素線21の延在方向に撚り合わせた層を少なくとも1層以上形成することで導体を形成するものである。塗布工程は、潤滑剤4を導体2の最外周を形成する複数の層形成素線22に塗布するものである。絶縁体被覆工程は、潤滑剤4を外周に塗布した導体2の半径方向外側を、絶縁体3により被覆するものである。
電線1は、図3に示すように、電線製造装置100により製造される。電線製造装置100は、中心素線21および複数の層形成素線22を送り出す不図示の素線送り出し部と、導体形成工程および塗付工程を行う導体形成部と、絶縁体被覆工程を行う不図示の絶縁体被覆部と、不図示の電線巻き取り部とを備える。電線製造装置100は、電線巻き取り部が不図示の動力部により稼働し、形成された電線1を巻き取ることで、中心素線21および層形成素線22が引っ張られて、電線製造装置100内部を電線1の延在方向に移動することで、電線1が製造されることとなる。
導体形成部は、複数の層形成素線22を撚り合わせる素線撚り合わせ部101と、潤滑剤4を噴き付けて複数の層形成素線22に塗布する潤滑剤塗布部102とを備える。本実施形態における素線撚り合わせ部101は、各層S1〜S4にそれぞれ対応するように、各素線撚り合わせ部101a〜101dを備える。第1層素線撚り合わせ部101aは、中心に中心素線21が貫通するための貫通孔を有する不図示の円板が、延在方向に対して垂直に、かつ軸方向視において円形形状の端面が軸方向に対向するように設置される。上記円板は、貫通孔を中心に一定方向に回転する。上記円板の対向する円形形状の端面のうち、中心素線21が排出される側、すなわち第2層素線撚り合わせ部101b側に、各層形成素線22を巻き付けた不図示の複数のボビンが、円周に沿って等間隔に取り付けられる。上記ボビンからはそれぞれ層形成素線22が引き出されており、上記円板の中心軸上、すなわち円板を貫通する中心素線21に向かって1つに集結される。
第1層素線撚り合わせ部101aと同様に、第2層素線撚り合わせ部101b、第3層素線撚り合わせ部101c、第4層素線撚り合わせ部101dにもそれぞれ円板が設置される。各円板には、それぞれ第1層素線撚り合わせ部101aの円板と同様に、複数の層形成素線22を巻き付けたボビンが取り付けられる。それぞれのボビンからは、層形成素線22が引き出されており、各円板の中心軸上、すなわち円板を貫通する中心素線21に向かって1つに集結される。
本実施形態における潤滑剤塗布部102は、各層S1〜S4にそれぞれ対応するように、各層塗布部102a〜102dと、最外層塗布部102eとを備える。第1層塗布部102aは、ボビンから引き出された複数の層形成素線22が1つに集結する箇所に隣接し、かつ集結する箇所よりも円板側に設置される。第1層塗布部102aは、第1層S1を形成する複数の層形成素線22が撚り合わされる直前に潤滑剤4を塗布するものである。第1層塗布部102aと同様に、第2層塗布部102b、第3層塗布部102c、第4層塗布部102dも、それぞれ、同一層S2〜S4を形成する複数の層形成素線22が撚り合わされる直前に潤滑剤4を塗布するものである。最外層塗布部102eは、導体2の外周と絶縁体3との間に潤滑剤4を介在させるため、導体2の最外周を形成する複数の層形成素線22に対して、撚り合わされた後に潤滑剤4を塗布するものである。本実施形態における最外層塗布部102eは、導体2の最外周を予め潤滑剤4が染み込んだ布などで覆うことで、潤滑剤4を導体2の最外周に塗布する。ここで、潤滑剤塗布部102による潤滑剤4の噴付量は、電線製造装置100を移動する導体2のスピードにより適宜設定される。本実施形態においては、潤滑剤4の噴付量は、10±5ml/minであり、潤滑剤4の滴下量としては2〜3滴/秒程度とした。
絶縁体被覆部は、導体2の半径方向外側に絶縁体3を被覆するものである。絶縁体被覆部は、不図示の押し出し成型機を備える。押し出し成形機には、絶縁体3の原料が充填されており、押し出し成形機が稼働することで絶縁体3が加熱され、導体2が押し出し成形機の内部を通過する際に導体2の半径方向外側に被覆する。
次に、電線1の製造について、説明する。作業者は、電線製造装置100を稼働させることで、中心素線21および各層形成素線22の移動が開始し、素線撚り合わせ部101の各円板がそれぞれ同方向に回転し、潤滑剤塗布部102による潤滑剤4の塗布が開始される。第1層S1を形成する複数の層形成素線22は、第1層塗布部102aにより潤滑剤4が塗布された直後、第1層素線撚り合わせ部101aにより、中心素線21の周囲にて撚り合わされ、中心素線21の半径方向外側に第1層S1が形成される。次に、第2層S2を形成する複数の層形成素線22は、第2層塗布部102bにより潤滑剤4が塗布された直後、第2層素線撚り合わせ部101bにより、第1層S1の周囲にて撚り合わされ、第1層S1の半径方向外側に第2層S2が形成される。次に、第3層S3を形成する複数の層形成素線22は、第3層塗布部102cにより潤滑剤4が塗布された直後、第3層素線撚り合わせ部101cにより、第2層S2の周囲にて撚り合わされ、第2層S2の半径方向外側に第3層S3が形成される。次に、第4層S4を形成する複数の層形成素線22は、第4層塗布部102dにより潤滑剤4が塗布された直後、第4層素線撚り合わせ部101dにより、第3層S3の周囲にて撚り合わされ、第3層S3の半径方向外側に第4層S4が形成される。次に、導体2は、最外層塗布部102eにより導体2の外周面に潤滑剤4が塗布される。潤滑剤4が最外周に塗布された導体2は、絶縁体3が被覆され、電線1が製造される。
以上のように、本実施形態における電線1は、導体2の最外層を形成する複数の層形成素線22と絶縁体3との間に、25℃における動粘度の値が6.0〜20[mm/s]の範囲である潤滑剤4が介在する。電線1を曲げた場合、導体2および絶縁体3も曲がる。このとき、曲がった箇所において、導体2の最外周を形成する複数の層形成素線22および絶縁体3は、導体2の半径方向内側に存在する複数の層形成素線22や中心素線21に対して曲がる際の変化量が大きくなるため、導体2の最外周を形成する複数の層形成素線22の外周面と絶縁体3の内周面との間に摩擦抵抗が発生し、曲げに対する負荷が掛かることとなる。電線1は、潤滑剤4により、導体2の最外周を形成する複数の層形成素線22の外周面と絶縁体3の内周面との間の摩擦抵抗を抑制することができるので、曲がった箇所において導体2の最外周を形成する複数の層形成素線22が絶縁体3に対して移動、いわゆる逃げることができる。したがって、電線1は、曲がる箇所における摩擦抵抗を抑制することができるので、可撓性を向上することができる。
また、電線1は、複数の層形成素線22を撚り合わせて複数の同一層を形成し、かつ中心素線21を中心として同心円状に積層して成る、撚り線構造を構成する。例えば層形成素線22を撚り合わせずに束ねた電線1は、曲げた後、電線1が自重によりさらに撓んでしまうが、電線1は複数の層形成素線22が撚り合わされていることにより剛性を向上することができるので、曲げた状態で電線1の形状を保持することができる。
また、電線1は、可撓性を向上することができ、さらに曲げた状態で形状を保持することができるので、配索時などにおける取扱い性を向上させることができる。例えば、作業員が電線1の配索作業を行う場合、狭小な領域に配索する場合においても電線1を屈曲させることを容易に行うことができる。また、電線1を必要な長さに切断する場合においても、切断時の負荷による電線1の跳ね返りが少ないため、作業者が安全に切断作業を行うことができる。また、電線1の端子台などへの取り付けにおいても、電線1を端子台の形状に合わせることができ、より確実に締め付けて端子台に取り付けることができる。
また、電線1は、地震対策としての免震工法(オフセット寸法設定)の施工も容易にすることができる。すなわち、免震工法(オフセット寸法設定)とは、電線1の端部における外部接続部材との接続部付近に、たわみを持たせたオフセット部を形成した状態で、外部接続部材と接続する方法である。これにより、例えば地震発生時、地震の揺れにより外部接続部材が設置位置から離間する方向に振幅を有して揺れた場合においても、電線1に形成されたオフセット部により電線1と外部接続部材との接続部に掛かる負担を軽減させることができるので、外部接続部材に対して電線1の接続が切断されることを防止することができる。
また、本実施形態における潤滑剤4は、潤滑剤4が介在する領域の半径方向内側が、中心素線21と半径方向外側に隣り合う層の外周に形成される。つまり、潤滑剤4は電線1において半径方向外側の領域に介在している。電線1を曲げた際に、曲げによる摩擦抵抗、すなわち負荷が大きく掛かる領域は、曲げによる変形が大きい半径方向外側の領域である。したがって、電線1は、曲げによる負荷が大きな領域に対し選択的に潤滑剤4を介在させるので、電線1の製造工程における塗布工程を軽減することができ、製造効率を向上させることができる。
本実施形態における絶縁体3は、ポリエチレンとしたが、導体2と電線1の外部とを絶縁するものであれば、これに限定されるものではない。例えば、ポリ塩化ビニルなどのビニル樹脂、ポリプロピレンなどの熱可塑性樹脂、架橋反応により熱硬化性樹脂のような構造を有する、架橋ポリエチレン樹脂などであってもよい。
本実施形態における導体2は、複数の層形成素線22が積層し、各同一層がS字状に撚り合わされて撚り線構造により構成されるとしたが、これに限定されるものではない。例えば、S字状の撚り方向と反対の撚り方向であるZ字状に撚り合わされたものでもよいし、各層ごとにS字撚りとZ字撚りを混合させたものであってもよい。さらには、導体2が撚り線構造を形成した後に半径方向内側に対して圧縮する、円形圧縮撚り線構造としてもよい。
また、本実施形態における潤滑剤4は、シリコーンオイルとしたが、25℃における動粘度の値が、6.0〜20[mm/s]の範囲であればこれに限定されるものではなく、例えばグリセリンであってもよい。
[実施例]
次に、本実施形態における電線1の可撓性について試験を行った。図5は、実施形態に係る電線の試験方法の説明図である。図6は、実施形態に係る電線の試験方法の説明図である。図5のZ方向は鉛直方向である。実施例(1)〜(3)として、導体2が直径1mmの銅線により構成される中心素線21および層形成素線22を有し、中心素線21と複数の層形成素線22により層が3層形成され、断面積が325mmであり、絶縁体3がポリエチレン、潤滑剤4が25℃における動粘度が10[mm/s]であり、ジメチルポリシロキサン構造を有するシリコーンオイル(信越シリコーン製、KF−96−10cs)であり、境界rが第1層S1の外周、すなわち第1層S1を形成する複数の層形成素線22と第2層S2を形成する複数の層形成素線22との間であり、全長1000mmの電線1を用いた。一方、比較例(1)〜(3)として、導体2、絶縁体3が上記実施例(1)〜(3)と同一で、潤滑剤4が存在しない同一形状の電線を用いた。なお、実施例(1)〜(3)の電線1および比較例(1)〜(3)の電線は、例えば、一本の電線を同一長さに切断したものである。
試験方法は、図5に示すように、試験装置200を用いて、たわみ量Pおよび変位量Qの評価試験を行った。
試験装置200は、基台201と、電線保持部202と、負荷としての重り203と、不図示の測定部とを備える。基台201は、地面などの基台201を設置する面に対し、評価試験で用いる電線1よりも長い距離を面からの距離が高く設定されている。電線保持部202は、基台201に載置され、電線1の一方の端部を保持するものである。電線1は、電線保持部202を支点とし、他方の端部までの距離Lが700mmとなる部分で保持されている。電線1の他方の端部には、80Nの荷重を与える重り203が設けられる。ここで、電線1は、十分な真直性を有するもの、すなわち巻癖が除去されたものである。電線1は、試験温度23±5℃の密室に24時間以上保管されたものである。
試験装置200を用いた試験方法は、図5に示すように、まず、電線1に対し、負荷を与えていない状態を初期状態(K0)として、電線1に重り203を取り付け、電線1が重り203の荷重により曲がった状態(K1)において30秒放置する。30秒経過後、鉛直方向に対し、初期状態(K0)における電線1の他方の端部が位置する地点を基準とし、曲がった状態(K1)における電線1の他方の端部が位置する地点までの距離を測定することで、電線1のたわみ量(P)を測定する。また、図6に示すように、曲がった状態(K1)の電線1から重り203を取り外し、電線1を負荷から解放する。負荷から解放された電線1は、復元力により初期状態(K0)の状態に戻る方向に変形する。電線1の変形が止まった状態、つまり復元状態(K2)において電線1を30秒放置する。30秒経過後、鉛直方向に対し、初期状態(K0)における電線1の他方の端部が位置する地点を基準とし、復元状態(K2)における電線1の他方の端部が位置する地点までの距離を測定することで、電線1の変位量(Q)を測定する。
さらに、たわみ量(P)と変位量(Q)の合計をF値として算出し、得られたF値によって電線1の「柔らかさ」の指標を判断する。
Figure 0006785142
上記表1に示すように、実施例(1)〜(3)およびその平均値のたわみ量(P)は、比較例(1)〜(3)およびその平均値のたわみ量(P)よりも多い。従って、本実施形態における電線1は、可撓性を向上することができる。また、実施例(1)〜(3)およびその平均値の変位量(Q)は、比較例(1)〜(3)およびその平均値の変位量(Q)よりも多い。従って、本実施形態における電線1は、曲げた状態で電線1の形状を保持することができる。実施例(1)〜(3)およびその平均値のF値(P+Q)は、比較例(1)〜(3)およびその平均値のF値(P+Q)よりも多い。従って、本実施形態における電線1は、柔らかさを向上することができる。
1 電線
2 導体
21 中心素線
22 層形成素線
3 絶縁体
4 潤滑剤
100 電線製造装置
200 試験装置
R1 潤滑剤介在領域
R2 潤滑剤非介在領域
r 境界
S1〜S4 層

Claims (4)

  1. 可撓性および導電性を有する導体と、
    前記導体の半径方向外側を被覆し、絶縁性および可撓性を有する絶縁体と、
    を備え、
    前記導体は、中心に位置する中心素線と、前記中心素線の半径方向外側に配置される複数の層形成素線と、を有し、
    複数の前記層形成素線は、半径方向内側に前記中心素線が位置した状態で、同心円状に配置され、かつ前記中心素線の延在方向に撚り合わされて同一層を形成し、
    前記導体は、前記中心素線の半径方向外側に、少なくとも1層以上複数の前記層形成素線が配置され、
    少なくとも前記導体の最外周を形成する複数の前記層形成素線と前記絶縁体との間には、潤滑剤が介在し、
    前記潤滑剤は、25℃における動粘度の値が、6.0〜20[mm2/s]の範囲である、
    ことを特徴とする電線。
  2. 前記潤滑剤が介在する潤滑剤介在領域の半径方向内側に、前記潤滑剤が介在しない潤滑剤非介在領域が形成され、
    前記潤滑剤介在領域と前記潤滑剤非介在領域との境界は、
    前記導体の最外周を形成する層の外周から、前記中心素線と半径方向において隣り合う前記層の外周までの範囲に形成される、
    請求項1に記載の電線。
  3. 前記中心素線および前記層形成素線は、
    それぞれ1mm以上の直径を有する、
    請求項1または請求項2に記載の電線。
  4. 前記潤滑剤は、
    25℃における動粘度の値が、10[mm2/s]であるシリコーンオイルである、
    請求項1〜3のいずれかに記載の電線。
JP2016239426A 2016-12-09 2016-12-09 電線 Active JP6785142B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016239426A JP6785142B2 (ja) 2016-12-09 2016-12-09 電線

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016239426A JP6785142B2 (ja) 2016-12-09 2016-12-09 電線

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018097967A JP2018097967A (ja) 2018-06-21
JP6785142B2 true JP6785142B2 (ja) 2020-11-18

Family

ID=62633575

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016239426A Active JP6785142B2 (ja) 2016-12-09 2016-12-09 電線

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6785142B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20200066330A (ko) * 2017-10-05 2020-06-09 도판 인사츠 가부시키가이샤 형광체 보호 필름, 파장 변환 시트 및 발광 유닛
JP7181153B2 (ja) * 2019-05-20 2022-11-30 タツタ電線株式会社 電線

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000133071A (ja) * 1998-10-30 2000-05-12 Furukawa Electric Co Ltd:The 電気コード及びその製造方法
JP2009149771A (ja) * 2007-12-20 2009-07-09 Cosmo Oil Lubricants Co Ltd コントロールケーブル用のグリース組成物およびコントロールケーブル
JP2011192533A (ja) * 2010-03-15 2011-09-29 Hitachi Cable Ltd 耐屈曲ケーブル
JP5675479B2 (ja) * 2011-04-22 2015-02-25 矢崎エナジーシステム株式会社 撚り線導体及び撚り線導体の製造方法
JP6207252B2 (ja) * 2013-06-24 2017-10-04 矢崎総業株式会社 高屈曲電線
JP2015187956A (ja) * 2014-03-27 2015-10-29 株式会社フジクラ ケーブル

Also Published As

Publication number Publication date
JP2018097967A (ja) 2018-06-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5953764B2 (ja) 多心ケーブルとその製造方法
JP6380873B1 (ja) 編組シールド付ケーブル
KR101929582B1 (ko) 압축도체, 이를 포함하는 케이블 및 그 제조방법
JP6785142B2 (ja) 電線
JP2019096628A (ja) 同軸ケーブル
JP6730111B2 (ja) ケーブル
JP5810618B2 (ja) ケーブル及びその製造方法
JP2014096282A (ja) シールドケーブル
JP6403098B2 (ja) 可動部配線用フラットケーブル
US10269468B1 (en) Cable with braided shield
US2298748A (en) Method of making electric cables
WO2018043392A1 (ja) ケーブル
JP6798112B2 (ja) 可動部配線用ケーブル及び可動部配線用フラットケーブル
JP2018022633A (ja) 車両用の多芯ケーブル
JP5792120B2 (ja) 高周波電流用電線
JP2020009717A (ja) 電線及び電線の製造方法
JP6713712B2 (ja) 多芯ケーブル
JP2017010717A (ja) 可動部配線用フラットケーブル
CN110580975A (zh) 一种耐水绕组线及其制造方法
JP2019129104A (ja) 絶縁電線
JP6766928B1 (ja) 可動部用ケーブル
US2231606A (en) Electrical cable
RU72092U1 (ru) Электрический кабель
US11011286B2 (en) Cable
JP7240316B2 (ja) 細径絶縁電線

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20191119

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20200806

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200825

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20201005

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20201020

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20201026

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6785142

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250