JP2018022633A - 車両用の多芯ケーブル - Google Patents

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孝哉 小堀
Takaya Kobori
孝哉 小堀
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Abstract

【課題】4芯以上の線を有し、耐屈曲性の高いケーブルを提供する。【解決手段】車両用の多芯ケーブル1は、2本の電力線10と、2本の信号線21と、2本の電線31と、外被40と、を備える。信号線21は、2本一組で撚り合わされて対撚信号線20として構成されている。2本の電力線10と対撚信号線20が一体に撚り合わされている。2本の電力線の間に糸50が設けられている。【選択図】図1

Description

本発明は、車両用の多芯ケーブルに関するものである。
特許文献1は、車両の電動パーキングブレーキに電力を供給するケーブルと、車輪速センサをECUに接続するケーブルを一体化したケーブルを開示している。
特開2014−220043号公報
しかしながら、この多芯ケーブルについて屈曲性試験をしたところ、太い第一ケーブルが細い第二ケーブルよりも先に断線してしまい、多芯ケーブルの耐屈曲性を高めるために改善の余地があることを見出した。
そこで本発明は、耐屈曲性の高い車両用の多芯ケーブルを提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明の車両用の多芯ケーブルは、
第一導体と、前記第一導体を覆う第一絶縁層と、をそれぞれ含む2本の電力線と、
前記第一導体より細い第二導体と、前記第二導体を覆う第二絶縁層と、をそれぞれ有する、2本の信号線と、
2本の電力線および2本の前記信号線を覆う外被と、を備え、
前記信号線は、2本一組で撚り合わされて1本の対撚信号線として構成されており、
2本の前記電力線の間に糸(ヤーン)が設けられている。
本発明によれば、耐屈曲性の高い車両用の多芯ケーブルが提供される。
本発明の第一実施形態に係る車両用の多芯ケーブルを示す断面図である。 多芯ケーブルの分岐部と止水部材を示す図である。 本発明の第二実施形態に係る車両用の多芯ケーブルを示す断面図である。 本発明の第三実施形態に係る車両用の多芯ケーブルを示す断面図である。
<本発明の実施形態の概要>
最初に本発明の実施形態の概要を説明する。
(1)車両用の多芯ケーブルは、
第一導体と、前記第一導体を覆う第一絶縁層と、をそれぞれ含む2本の電力線と、
前記第一導体より細い第二導体と、前記第二導体を覆う第二絶縁層と、をそれぞれ有する2本の信号線と、
2本の電力線および2本の前記信号線を覆う外被と、を備え、
前記信号線は、2本一組で撚り合わされて1本の対撚信号線を構成しており、
2本の前記電力線の間に糸(ヤーン)が設けられている。
上記構成の車両用の多芯ケーブルによれば、多芯ケーブルを屈曲させた場合に電力線が糸の上を滑るので、電力線どうしが接触することで生じる相手の電力線を引っ張る力が小さい。このため、電力線が切れることが抑制され、多芯ケーブルの耐屈曲性が高められている。
(2)また、上記(1)多芯ケーブルにおいて、
前記糸が、前記電力線と前記対撚信号線の間にも設けられている。
上記構成の多芯ケーブルによれば、電力線が対撚信号線に対しても滑りやすくなり、より耐屈曲性が高められている。
(3)また、上記(1)または(2)の多芯ケーブルにおいて、
前記電力線の外径が、前記対撚信号線の外径の75%以上135%以下であり、
前記電力線と前記対撚信号線とが一体に撚り合わされている。
上記構成の多芯ケーブルによれば、電力線と対撚信号線の外径がほぼ同径に揃えられているため、電力線と対撚信号線とを一体に撚り合わせた場合に、多芯ケーブルの真円度がよい。また、外被に止水部品を取り付けた場合の多芯ケーブルの止水効果が良い。
(4)また、上記(1)〜(3)のいずれかの多芯ケーブルにおいて、
前記第一導体より細い第三導体と、前記第三導体を覆う第三絶縁層と、をそれぞれ含む、2本の電線が撚り合わされた対撚電線をさらに含む。
対撚電線を含む複数本の線が設けられた多芯ケーブルにおいては、線同士がこすれあって耐屈曲性が低下するおそれがある。しかし、上記構成の多芯ケーブルによれば、多芯ケーブルを屈曲させた場合に電力線が糸の上を滑るので、電力線どうしや電力線と対撚信号線、あるいは、電力線と対撚電線とが接触してひっかかって生じる力が小さい。このため、多芯ケーブルの耐屈曲性が高められている。
(5)また、上記(1)〜(3)のいずれかの多芯ケーブルにおいて、
一体に撚り合された前記電力線および前記対撚信号線を覆う抑え巻を有し、
前記外被が前記抑え巻を覆っている。
上記構成の多芯ケーブルによれば、電力線および対撚信号線の集合された形状が安定している。また、多芯ケーブルの端末で外被を除去して電力線や対撚信号線を取り出す際に、電力線や対撚信号線を取り出しやすい。
(6)また、上記(4)の多芯ケーブルにおいて、
一体に撚り合された前記電力線、前記対撚信号線および前記対撚電線とを覆う抑え巻を有し、
前記外被が前記抑え巻を覆っている。
上記構成の多芯ケーブルによれば、抑え巻により電力線と対撚信号線と対撚電線の集合された形状が安定している。また、多芯ケーブルの端末で外被を除去して電力線や対撚信号線や対撚電線を取り出す際に、各線を取り出しやすい。
(7)また、上記(1)〜(6)のいずれかの多芯ケーブルにおいて、
前記外被は、内層と、前記内層の外側に位置する外層とを有する。
上記構成の多芯ケーブルにおいて、外層は多芯ケーブルの耐摩耗性を高めるために設けられる。外層は、例えばポリウレタンで構成することができる。
内層は、電力線や対撚信号線が撚られた状態を安定的に維持するために設けられる。また、内層は、電力線や対撚電線が撚られた状態の撚り波を出さないために設けられる。例えば、内層は、その効果を奏する限り、ポリウレタンより安価なポリエチレンなどで構成することができる。
(8)また、上記(4)〜(7)のいずれかの多芯ケーブルにおいて、
前記多芯ケーブルの長手方向に垂直な断面において、2本の前記電力線が点対称に配置され、かつ、偶数本の前記対撚信号線が点対称に配置されている。
上記構成の多芯ケーブルによれば、多芯ケーブルを曲げた時に、多芯ケーブルの曲げ方向に係る力がバランスし、それぞれの電力線にかかる負荷が軽減される。これにより、耐屈曲性の高い多芯ケーブルが得られる。
(9)また、上記(1)〜(8)のいずれかの多芯ケーブルにおいて、
前記多芯ケーブルの長手方向に垂直な断面において、径方向の中央部に、前記糸が設けられている。
(10)また、上記(1)〜(9)のいずれかの多芯ケーブルにおいて、
前記多芯ケーブルの長手方向に垂直な断面において、長さあたりの前記糸の重さW[g/10km]、前記外被の内径をD[mm]、前記電力線、前記信号線、を含む全ての線の導体断面積をS[mm]としたときに、指標W/(πD/4−S)が1500以上8000以下である。
上記構成の多芯ケーブルによれば、耐屈曲性の高い多芯ケーブルが得られる。
<本発明の実施形態の詳細>
以下、本発明に係る多芯ケーブルの実施形態の一例について、図面を参照して詳細に説明する。
<第1の実施形態>
多芯ケーブル1は、例えば、車両に搭載されたECU(Electric Control Unit)と、車輪の周囲に設けられた電動パーキングブレーキや車輪速センサなどを接続するために用いられる。車輪は、車体に対して、アクスル回りに回転可能に支持されている。また、車輪は、懸架装置や操舵装置を介して支持されている場合もある。つまり、車輪は、車体に変位可能に支持されている。本実施形態の多芯ケーブル1は、車体に固定されたECUと、車体に変位可能に支持された車輪に取り付けられる部品とを接続するために好適に用いられる。
多芯ケーブル1には、車輪が収容されるタイヤハウスの中を小さい空間で配索することが求められ、車輪の変位を妨げないように曲げやすいことや、繰り返し作用する曲げに対する高い耐久性などが求められる。
図1は、本発明の第1実施形態に係る多芯ケーブル1を示す断面図である。図1は、多芯ケーブル1の長手方向に直交する断面を示している。図1に示すように、多芯ケーブル1は、2本の電力線10と、2本の信号線21と、2本の電線31と、外被40とを有している。本実施形態の多芯ケーブル1の外径は、7mm以上18mm以下、好ましくは、7.5mm以上13mm以下とすることができる。
(電力線)
2本の電力線10はそれぞれ、第一導体12と、第一導体12を覆う第一絶縁層13と、をそれぞれ含んでいる。2本の電力線10は互いに大きさおよび材料が同じである。
2本の電力線10は、電動パーキングブレーキとECUとを接続するために用いることができる。電動パーキングブレーキは、ブレーキキャリパーを駆動するモータを有している。例えば、一方の電力線10はこのモータへ電力を供給する給電線として用い、他方の電力線10は該モータのアース線として用いることができる。
第一導体12は、複数本の導体が撚り合わされて構成されている。導体は、銅または銅合金から構成された線である。導体は、銅や銅合金の他に、錫めっき軟銅線や軟銅線等のような所定の導電性と柔軟性を有する材料で構成することができる。第一導体12の断面積は、1.5mm以上3mm以下とすることができる。
第一絶縁層13は、難燃性のポリオレフィン系樹脂で形成されている。第一絶縁層13は、例えば、難燃剤が配合されることで難燃性が付与された架橋ポリエチレンで形成することができる。第一絶縁層13を構成する材料としては、難燃性のポリオレフィン系樹脂に限られず、架橋フッ素系樹脂等の他の材料で形成しても良い。第一絶縁層13の外径は、2mm以上4mm以下とすることができる。
(信号線)
2本の信号線21はそれぞれ、第一導体12より細い第二導体22と、第二導体22を覆う第二絶縁層23と、を含んでいる。撚り合わされる2本の信号線21は、互いに大きさおよび材料が同じである。信号線21は2本一組で撚り合わされて対撚信号線20として構成されている。対撚信号線20の撚りピッチは、対撚信号線20の撚り径(対撚信号線20の外径)の10〜15倍とすることができる。
対撚信号線20の外径は、電力線10の外径とほぼ同じ大きさとすることができる。電力線10の外径は、対撚信号線20の外径の75%以上135%以下であることが好ましい。電力線10の外径は、対撚信号線20の外径の90%〜115%であることがさらに好ましい。
信号線21は、センサからの信号を伝送するために用いることもできるし、ECUからの制御信号を伝送するために用いることもできる。2本の信号線21は、例えばABS(Anti-lock Brake System)の配線に用いることができる。2本の信号線21はそれぞれ、例えば、差動式の車輪速センサと車両のECUとを接続する線として用いることができる。
第二導体22は、図示したように1本の導体から構成してもよいし、電力線10と同様に複数本の導体を撚り合わせて構成してもよい。第二導体22は、第一導体12を構成する導体と同じ材料で構成してもよいし、異なる材料を用いてもよい。第二導体22の断面積は、0.13mm以上0.5mm以下とすることができる。
第二絶縁層23は、第一絶縁層13と同じ材料を用いることができるし、異なる材料を用いてもよい。第二絶縁層23の外径は、1.0mm以上2.2mm以下とすることができる。
(電線)
2本の電線31はそれぞれ、第一導体12より細い第三導体32と、第三導体32を覆う第三絶縁層33と、を含んでいる。2本の電線31は、2本一組で撚り合わされて対撚電線30として構成されている。撚り合わされる2本の電線31は、大きさおよび材料が同じである。電線31は、大きさおよび材料が信号線21と同じであってもよい。対撚電線30は、対撚信号線20と同じ方向に撚られていることが好ましい。対撚電線30は、対撚信号線20と撚りピッチが等しいことが好ましい。
対撚電線30の外径は、対撚信号線20の外径とほぼ同じ大きさとすることができる。対撚電線30の外径は、電力線10の外径とほぼ同じ大きさとすることができる。電力線10の外径は、対撚電線30の外径の73%以上134%以下であることが好ましい。電力線10の外径は、対撚電線30の外径の90%〜115%であることがさらに好ましい。
電線31は、センサからの信号を伝送するために用いることもできるし、ECUからの制御信号を伝送するために用いることもできるし、電子機器へ電力を供給する給電線としても用いることができる。電線31は、例えば、サスペンションの油圧特性を変更するアクティブサスペンションシステムに用いる給電線や制御線、センサワイヤとして用いることができる。あるいは、電線31は、例えば、車両ネットワーク用の配線に用いることができる。
第三導体32は、図示したように1本の導体から構成してもよいし、電力線10と同様に複数本の導体を撚り合わせて構成してもよい。第三導体32は、第一導体12や第二導体22を構成する導体と同じ材料で構成してもよいし、異なる材料を用いてもよい。第三導体32の断面積は、0.13mm以上0.5mm以下とすることができる。
第三絶縁層33は、第二絶縁層23と同じ材料を用いることができるし、異なる材料を用いてもよい。第三絶縁層33の外径は、1.0mm以上2.2mm以下とすることができる。
(外被)
外被40は、2本の電力線10と、2本の信号線21と、2本の電線31と、を含む全ての線を覆っている。2本の電力線10、1本の対撚信号線20および1本の対撚電線30が一体に撚り合わされている。外被40は、一体に撚り合わされた状態の2本の電力線10、1本の対撚信号線20および1本の対撚電線30を覆っている。
外被40は、内側外被41と、内側外被41よりも外側に位置する外側外被42を有している。
内側外被41は、2本の電力線10と、2本の信号線21と、2本の電線31と、を含む全ての線の撚られた形状を維持する。内側外被41は、2本の電力線10と、2本の信号線21と、2本の電線31の外周に押出被覆されて形成される。内側外被41は、外側外被42と同じ材料で構成してもよいし、外側外被42と異なる樹脂で構成してもよい。内側外被41は、例えば、ポリエチレンやエチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)等のポリオレフィン系樹脂、ポリウレタンエラストマー、ポリエステルエラストマー、またはこれらの少なくとも2種を混合して形成される架橋ポリエチレンで形成することができる。
外側外被42は、2本の電力線10と、2本の信号線21と、2本の電線31と、を含む全ての線を外部から保護するために設けられる。外側外被42は、内側外被41の外周に押出被覆されて形成される。外側外被42は、耐摩耗性に優れた架橋/非架橋ポリウレタン(TPU)で構成することができる。耐熱性に優れることから、外側外被42は架橋ポリウレタンで構成することが好ましい。
外被40の外径は、7.5mm以上11mm以下とすることができる。
例えば、外側外被42を耐摩耗性に優れたポリウレタンで構成し、内側外被41は、その効果を奏する限り、外側外被42を構成するポリウレタンより安価なポリエチレンなどで構成することができる。
(撚り方向、撚りピッチ)
2本の電力線10、対撚信号線20、対撚電線30は、一体に撚り合わされている。一体に撚り合わされたこれらの線の全体の撚り径は、5.5mm以上9mm以下とすることができる。
2本の電力線10、対撚信号線20、対撚電線30の全体の撚りピッチは、2本の電力線10、対撚信号線20、対撚電線30の全体の撚り径の12〜17倍とすることができる。撚りピッチが撚り径の12倍未満では、撚りがきつすぎて、2本の電力線10、対撚信号線20、対撚電線30が曲げにくくなり、耐屈曲性が低下してしまう。また、撚りピッチが撚り径の17倍より大きいと、撚りがゆるくなりすぎて2本の電力線10が局所的にこすれあい、耐屈曲性が低下してしまう。
なお、全体の撚りピッチの全体の撚り径に対する比率は、対撚信号線20の撚りピッチの対撚信号線20の撚り径に対する比率より大きいことが好ましい。全体の撚り方向は、対撚信号線20および対撚電線30の撚り方向と逆方向であることが好ましい。
(糸)
多芯ケーブル1は、糸(ヤーン)50を有している。糸50は、外被40の内側に設けられている。糸50は、2本の電力線10の間に設けられている。2本の電力線10を電力線10間に配置して、電線10、対撚信号線20、対撚電線30を、糸50とともに撚り合わせることにより、2本の電力線10の間に糸50を配置することができる。
糸50は、スフ糸やナイロン糸などの繊維で構成することができる。糸50は、電力線10に対して滑りの良い繊維で構成することが好ましい。スフ糸やナイロン糸は電力線10の変位に対して緩衝作用を有するので、糸50をスフ糸やナイロン糸で構成することが好ましい。糸50は、抗張力繊維で構成した糸でもよい。糸50は、外被40と同じ材料で構成した糸でもよいし、外被40と異なる材料で構成した糸でもよい。糸50は、例えばポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)で構成した糸としてもよい。
糸50は、多芯ケーブル1を曲げた時に2本の電力線10が互いに向かって変位する経路上に設けられることが好ましい。糸50は少なくとも、2本の電力線10のそれぞれの中心点を結ぶ仮想的な線の上に設けられていることが好ましい。糸50は、2本の電力線10のもっとも近接する部位同士の間に設けられていることが好ましい。多芯ケーブル1の断面において、糸50は、電力線10と対撚信号線20と対撚電線30とで囲まれた領域に設けられていることが好ましい。
多芯ケーブル1の断面において、糸50は、径方向の中央部に設けられていることが好ましい。
多芯ケーブル1の断面において、
多芯ケーブル1の半径の1/2の半径を有する仮想円の内側の中央部と、
該仮想円の外側の外周部と、に仮想的に区分けしたときの、中央部に糸50が設けられていることが好ましい。
多芯ケーブル1の断面において、
多芯ケーブル1の半径の1/3の半径を有する第一の仮想円の内側の中央部と、
該第一の仮想円の外側かつ多芯ケーブル1の半径の2/3の半径を有する第二の仮想円の内側の中間部と、
該第二の仮想円の外側の外周部と、に仮想的に区分けしたときの、中央部に糸50が設けられていることがより好ましい。
(抑え巻)
多芯ケーブル1は、抑え巻51を有していてもよい。抑え巻51は、2本の電力線10、1本の対撚信号線20および1本の対撚電線30を覆っている。抑え巻51は、これらの線の撚り合わされた形状を安定的に維持する。抑え巻51は、外被40の内側に設けられている。
抑え巻51として、例えば、紙テープや不織布、ポリエステルなどの樹脂製のテープや不織紙を用いることができる。また、抑え巻51は、2本の電力線10、1本の対撚信号線20および1本の対撚電線30に螺旋状に巻き付けてもよいし、縦添えであっても良い。巻き方向は、Z巻きでもS巻きでも良い。巻き方向は、対撚信号線20や対撚電線30の対撚り方向と同じ方向に巻いてもよいし、反対方向に巻いてもよい。もっとも、抑え巻51の巻き方向と対撚信号線20および対撚電線30の対撚り方向とを反対にすると、抑え巻51の表面に凹凸が生じにくく、多芯ケーブル1の外径形状が安定し易いので好ましい。
なお、抑え巻51が、緩衝作用を有し屈曲性を高める糸50や、外部からの保護機能を奏する外被40としての機能も有することから、抑え巻51を設けた場合には糸50の量を少なくしたり、外被40の層を薄く構成できる。このように抑え巻51を設けることにより、さらに曲げやすくかつ耐摩耗性に優れた多芯ケーブル1を提供できる。
また、押出被覆で樹脂製の外被40を設ける場合には、該樹脂が2本の電力線10に付着して、多芯ケーブル1の端末において2本の電力線10を分離しにくくなる場合がある。そこで、抑え巻51を設けることにより、該樹脂が2本の電力線10に付着することを防止し、端末で2本の電力線10を取り出しやすくすることができる。
(シールド層)
多芯ケーブル1は、外部に放射されるノイズを抑制するシールド層52を有していてもよい。シールド層52は、金属テープを電力線10、対撚信号線20、対撚電線30に巻き付けることにより構成できる。シールド層52は、多数本の金属細線をこれらの線に螺旋状に巻き付けることによっても構成できる。あるいは、シールド層52は、金属細線で編組することによっても構成できる。シールド層52を抑え巻51の外に設けることができる。
このような多芯ケーブル1によれば、2本の電力線10と、対撚信号線20と、対撚電線30とを一度に配索でき、別々に配索する場合と比べて、配索工数が少ない。また、2本の電力線10と、対撚信号線20と、対撚電線30とが単一の多芯ケーブル1としてまとめられているので、2本の電力線10と、対撚信号線20と、対撚電線30とを別々に配索する場合に比べて、配索に要するスペースが小さい。
(効果)
太い電力線と細い対撚電線を含むケーブルに屈曲性試験を行うと、太い電力線が細い対撚電線よりも先に切れることが分かった。
本実施形態に係る車両用の多芯ケーブル1によれば、2本の電力線10の間に糸(ヤーン)が設けられている。このため、多芯ケーブル1を曲げる際に、太い電力線10が糸50の上を滑り、電力線10同士がひっかからないので、電力線10に引っ張り力や収縮させる力が生じにくい。このため、本実施形態に係る車両用の多芯ケーブル1は、多数回屈曲させた場合にも電力線が切れず耐屈曲性が高い。
上記構成の多芯ケーブル1において、糸50が電力線10と対撚信号線20の間にも設けられている。このため、電力線10が対撚信号線20に対しても滑りやすくなり、より耐屈曲性が高められている。
さらに、本実施形態に係る車両用の多芯ケーブル1は、止水性も高い。
図2は、多芯ケーブル1と止水部材200との結合部を示す図である。図2の(a)は分解斜視図、図2の(b)は長手方向に沿った断面を示す図である。
図2の(a)に示すように、多芯ケーブル1の端末または途中に分岐部を設けて、電力線10を、対撚信号線20や対撚電線30から分岐させる場合がある。このときに、分岐部で外被40が開口してしまう。該開口から外被40の内側に水が侵入してしまうと、毛細管現象によって多芯ケーブル1の他方に接続された電子機器まで水が到達してしまうことがある。
そこで、図2に示した止水部材200を多芯ケーブル1の分岐部に設けて止水する。図2の(a)に示すように、止水部材200は、電力線10、信号線21、電線31に対応する複数の穴が設けられている。それぞれの穴の大きさは、電力線10、信号線21、電線31とほぼ同じかそれより小さい。それぞれの穴に電力線10、信号線21、電線31が挿通されている。それぞれの穴の内周面と電力線10、信号線21、電線31の外周面とは密着されている。
図2の(b)に示すように、止水部材200の内周壁には、周方向に延びる複数の凸部222が設けられている。止水部材200の最小内径(凸部222の頂部)は外被40の外径よりも小さい。止水部材200の最大内径(凸部222の裾部)は外被40の外径よりも大きい。外被40を弾性変形させながら止水部材200の内部の空間に押し込むことにより、凸部222と外被40とが密着し、水密性が確保されている。
本実施形態に係る多芯ケーブル1によれば、2本の電力線10の間に糸50が設けられている。糸50で電線間の空間が充填されることにより、電力線10と対撚信号線20を撚り合わせたときに、各電線の相対位置の形状が長さ方向に一定にならず撚り合わせた集合体の真円度が高くなる。外被40は真円度の高い集合体の外側に設けられるため、外被40の真円度も高くなる。外被40の表面の真円度が低いと止水部材200との間に微小な隙間が空いて止水性が悪くなることがあるが、本実施形態に係る多芯ケーブル1は、外被40の表面の真円度が高いので、止水部材200等を取り付けた場合に止水性が高い。
電力線10と対撚信号線20とを一つの円周上に位置するように撚り合わせ、その円の中心を多芯ケーブルの中心とする。これにより外被40の真円度が高まる。この場合に、糸50は多芯ケーブル1の断面の中央部に配置される。
上記構成の多芯ケーブル1において、電力線10の外径は、対撚信号線20の外径の75%以上135%以下であることが好ましい。電力線10の外径は、対撚信号線20の外径の90%以上115%以下であることがさらに好ましい。なお、電力線10の外径とは、第一絶縁層13の外径である。対撚信号線20の外径とは、一対の信号線21が外接する仮想外接円の直径のことである。例えば、対撚信号線20の外径は、撚り合わされた2本の信号線21をマイクロメータで挟み込んで測定することができる。
本実施形態に係る多芯ケーブル1によれば、2本の電力線10と、対撚信号線20との大きさが揃っているため、撚り合わせた形状を維持しやすく、多芯ケーブル1の直径を長手方向に沿って一定にしやすい。
また、多芯ケーブル1の長手方向に直交する断面において、2本の電力線10と対撚信号線20とがバランスよく配置されるため、撚り合わせた形状が真円に近くなる。このため、外被40の断面形状を真円に近い形状としやすく、外被40と止水部材200間で隙間が生じにくく、さらに止水性が高まっている。
また、対撚信号線20と対撚電線30との大きさが揃っていることがさらに好ましい。
上記構成の多芯ケーブル1は、第一導体12より細い第三導体32と、第三導体32を覆う第三絶縁層33と、をそれぞれ含む、2本の電線31が撚り合わされた対撚電線30をさらに含む。
対撚電線を含む複数本の線が設けられた多芯ケーブルにおいては、線同士がこすれあって耐屈曲性が低下するおそれがある。しかし、本実施形態に係る多芯ケーブル1によれば、多芯ケーブル1を屈曲させた場合に線10,20,30が糸50の上を滑るので、電力線10同士の接触、電力線10と対撚信号線20との接触、電力線10と対撚電線30との接触に起因して生じる力が小さい。このため、多芯ケーブル1の耐屈曲性が高められている。
各線の位置関係を一定にするためにそれらの間の空間がスフなどの糸で充填されている。スフ等の糸は曲げ剛性が低いので、糸が充填されていても多芯ケーブルの曲げ剛性を高めることがない。糸の有無以外は同じ構成のケーブルの曲げ剛性を比較すると、糸を入れることで曲げ剛性が少し小さくなる。上記構成の多芯ケーブルによれば、電力線10同士の摩擦力、電力線10と対撚信号線20との摩擦力、あるいは、電力線10と対撚電線30との摩擦力が小さくなるので、多芯ケーブル1を曲げた時に線がひっかかりにくく、高い耐屈曲性を有する多芯ケーブル1が得られる。
上記構成の多芯ケーブル1において、多芯ケーブル1の長手方向に垂直な断面において、径方向の中央部に糸50が設けられている。前述したのと同様に、多芯ケーブル1の外形形状を円状に保ちやすいので、外被40に止水部品200を取り付けた場合の多芯ケーブル1の止水効果が良い。
上記実施形態の多芯ケーブル1において、糸50は、長さあたりの糸50の重さW[g/10km=dT]、多芯ケーブル1の外被40(内側外被41)の内径をD[mm]、電力線10、信号線21、全ての電線の断面積の和をS[mm]としたときに、下記式(1)が成立していることが好ましい。
1500 ≦ W/(πD/4−S) ≦ 8000 ・・・(1)
好ましくは、3000 ≦ W/(πD/4−S) ≦ 6000 である。
糸50を多芯ケーブル1に充填した効果(耐屈曲性が高い)を得るためには一定量以上の糸50を入れることが好ましい。有意な効果が安定的に得られるときの糸50の量を多芯ケーブル1中で糸50を入れることができる隙間部分の断面積で除した値(W/(πD/4−S))が1500である。W/(πD/4−S)が3000以上であると耐屈曲性の点でさらに好ましい。多芯ケーブル1中に糸50を入れられる量は自ずと限度があり、あまりに多量の糸50を充填すると多芯ケーブル1の製造効率が悪化する。多芯ケーブル1の製造効率の点でW/(πD/4−S)が8000以下が好ましく、6000以下がさらに好ましい。
図1に示すように、多芯ケーブル1の長手方向に直交する断面において、2本の電力線10の中心C1と対撚信号線20の中心C2と対撚電線30の中心C3は仮想的な四角形の頂点に位置しており、2本の電力線10は該四角形の対角の位置に設けられている。
本実施形態に係る多芯ケーブル1によれば、2本の電力線10と対撚信号線20と対撚電線30を撚り合わせた形状が安定し、多芯ケーブル1の断面形状を長手方向に沿って一定にしやすい。
上記構成に係る多芯ケーブル1によれば、電力線10と対撚信号線20と対撚電線30の曲げ方向にかかる力がバランスされて、最も太い電力線10にかかる負荷が軽減され、電力線10が切れにくくなる。
なお、仮想的な四角形は正方形であることが好ましい。撚り合わせた形状がより安定しやすく、かつ、多芯ケーブル1を曲げた時に負荷が電力線10に集中しにくい。
また、糸50の少なくとも一部は、この仮想的な四角形の領域に設けられていることが好ましい。
<第二実施形態>
図3は、本発明の第二実施形態に係る車両用の多芯ケーブル101の断面図である。
上述した第一実施形態において2本の電力線10、2本の信号線21、2本の電線31を有する多芯ケーブル1を説明したが、本発明はこれに限られない。例えば、図3に示すように、多芯ケーブル101は、2本の電力線10、2本の信号線21、2本の電線31の他に、4本の電線61,71を有してもよい。
本実施形態に係る多芯ケーブル101は、2本の電力線10と、2本の信号線21からなる1本の対撚信号線20と、2本の電線31からなる1本の対撚電線30と、2本の電線61からなる1本の第二対撚電線60と、2本の電線71からなる1本の第三対撚電線70と、を有している。これら、2本の電力線10と、1本の対撚信号線20と、1本の対撚電線30と、1本の第二対撚電線60と、1本の第三対撚電線70は一体に撚り合わされて外被40で覆われている。
第二対撚電線60は2本の電線61が2本一組で撚り合わされて構成されている。これら2本の電線61はそれぞれ、第一導体12より細い第四導体62と、第四導体62を覆う第四絶縁層63と、を含んでいる。これら2本の電線61は、互いに大きさおよび材料が同じである。
第三対撚電線70は2本の電線71が2本一組で撚り合わされて構成されている。これら2本の電線71はそれぞれ、第一導体12より細い第五導体72と、第五導体72を覆う第五絶縁層73と、を含んでいる。これら2本の電線71は、互いに大きさおよび材料が同じである。
電力線10は、例えば、電動パーキングブレーキのモータとECUとを接続するために用いることができる。対撚信号線20は、例えば、ABSの配線に用いることができる。対撚電線30は、例えば、アクティブサスペンションシステムの配線に用いることができる。第二対撚電線60と第三対撚電線70は、例えば、車載ネットワークの配線に用いることができる。
図3に示したように、多芯ケーブル101の長手方向に直交する断面において、2本の電力線10が隙間を空けて配置され、該隙間が糸50で埋められている。2本の電力線10、2本の信号線21、2本の電線31、4本の電線61,71に囲まれた中心部に糸50が設けられていることが好ましい。糸50により、太い電力線10同士がより直接接触しにくくなり、耐屈曲性が高められている。
また、上記構成の多芯ケーブル101によれば、多芯ケーブル101の長手方向に垂直な断面において、2本の電力線10が点対称に配置され、かつ、偶数本の対撚信号線20が点対称に配置されている。
この多芯ケーブルによれば、多芯ケーブル101を曲げた時に、多芯ケーブル101の曲げ方向に係る力がバランスし、それぞれの電力線10にかかる負荷が軽減される。これにより、耐屈曲性の高い多芯ケーブル101が得られる。
<第三実施形態>
図4は、本発明の第三実施形態に係る車両用の多芯ケーブル301の断面図である。
上述した第一実施形態および第二実施形態において電力線10、信号線21、電線31,61,71が一体に撚り合わされた多芯ケーブル1,101を説明したが、本発明はこれに限られない。例えば、図4に示すように、多芯ケーブル301は、複数本の線が一体に撚り合わされて形成された複数のサブユニット81,82を含んでいてもよい。
図4に示した多芯ケーブル301は、2本の電力線10と1本の対撚信号線20が一体に撚り合わされた第一サブユニット81と、1本の対撚電線30と1本の第二対撚電線60と1本の第三対撚電線70とが撚り合わされた第二サブユニット82とを有する。第一サブユニット81および第二サブユニット82のそれぞれには、抑え巻511,512が巻かれていることが好ましい。線の撚り合わされた状態を安定的に維持しやすい。
これら第一サブユニット81と第二サブユニット82は一体に撚り合わされておらず、互いに平行に沿わされている。
本実施形態に係る多芯ケーブル301においても、第一サブユニット81において、2本の電力線10の間に糸50が設けられている。このため、多芯ケーブル301を屈曲させたときに電力線10が糸50の上を滑るので、電力線10どうしが接触してひっかかって生じる力が小さい。このため、多芯ケーブル301の耐屈曲性が高められている。
<実施例>
次に、本発明の実施例1〜3および比較例1〜4について、表1〜3を用いて説明する。
(実施例1)
下記の表1の2本の電力線(EPB)、1本の対撚信号線(ABS)、1本の対撚電線(ABS)を用いて、実施例1の車両用の多芯ケーブルを作製した。
直径0.08mmの銅合金線を72本撚り合わせた線を7本まとめて撚り合わせ、断面積が2.5mmの第一導体を得た。この第一導体を、第一絶縁層として3.0mmの外径となるように架橋難燃ポリエチレンで被覆し、電動パーキングブレーキ用の2本の電力線を得た。
直径0.08mmの銅合金線を16本撚り合わせた線を3本まとめて撚り合わせ、断面積が0.25mmの第二導体を得た。この第二導体を、第二絶縁層として1.4mmの外径となるように架橋難燃ポリエチレンで被覆し、2本の信号線を得た。2本一組で信号線を撚り合わせて、ABS用の1本の対撚信号線を得た。
直径0.08mmの銅合金線を16本撚り合わせた線を3本まとめて撚り合わせ、断面積が0.25mmの第三導体を得た。この第三導体を、第三絶縁層として1.4mmの外径となるように架橋難燃ポリエチレンで被覆し、2本の電線を得た。2本一組で電線を撚り合わせて、ABS用の1本の対撚電線を得た。
本実施例において、対撚信号線と対撚電線は、大きさおよび材料が同じであり、また用途も同じである。
2本の電力線、1本の対撚信号線、1本の対撚電線を、糸とともに撚り合わせた。糸が2本の電力線の間に位置するようにして、電力線、対撚信号線、対撚電線、糸を撚り合わせた。糸には、スフ糸を用いた。多芯ケーブルの中心に590デシテックス[dT]のスフ糸を20本入れた。電力線と対撚信号線の間または電力線と対撚電線の間(4箇所)には590dTのスフ糸を36本入れた。全部で約96800dTのスフ糸を多芯ケーブルに入れたことになる。多芯ケーブルの中心に入れたスフ糸の密度(断面積当たりのスフ糸の量)は約5300dTであった。撚り合わせた集合体の外径は7mmであった。この撚り合わせた集合体をポリエステル製の不織紙(抑え巻)で巻いた。
抑え巻の外側に、架橋ポリエチレンの内側外被を設けた。内側外被の直径を7.8mmとした。介在樹脂を架橋難燃ポリウレタン製の外側外被で覆った。外被の外径を9.0mmとした。このようにして、実施例1に係る車両用の多芯ケーブルを作製した。実施例に係る多芯ケーブルを使って、ECUと、電動パーキングブレーキ、ABS用の車輪速センサとを接続した。
(比較例1)
表1に示すように、実施例1において作製した、電動パーキングブレーキ用の2本の電力線、ABS用の1本の対撚信号線と1本の対撚電線を、糸を設けずに撚り合わせた以外は、実施例1と同様にして比較例1の多芯ケーブルを作製した。
(実施例2)
下記の表2のように構成した実施例2の車両用の多芯ケーブルを作製した。
上述した実施例1の電力線と対撚信号線および対撚電線に加えて、以下のように車載ネットワーク用の対撚電線と、ダンパー制御システム用の対撚電線を含む実施例2の多芯ケーブルを作製した。
直径0.08mmの銅合金線を16本撚り合わせた線を3本まとめて撚り合わせ、断面積が0.25mmの第四導体を得た。この第四導体を、第四絶縁層として1.4mmの外径となるように架橋難燃ポリエチレンで被覆し、2本の電線を得た。2本一組で電線を撚り合わせて、車載ネットワーク用の第二対撚電線を得た。
直径0.08mmの銅合金線を15本撚り合わせた線を7本まとめて撚り合わせ、断面積が0.5mmの第五導体を得た。この第五導体を、第五絶縁層として1.7mmの外径となるように架橋難燃ポリエチレンで被覆し、2本の電線を得た。2本一組で電線を撚り合わせて、ダンパー制御システム用の第三対撚電線を得た。
実施例1で作製した2本の電力線、対撚信号線、対撚電線に加えて、上記第二対撚電線、第三対撚電線とともに、スフ糸を撚り合わせた。糸がこれらの線の間に位置するように、2本の電力線、対撚信号線、対撚電線、第二対撚電線、第三対撚電線がケーブルの長さ方向に垂直な断面において一つの円周上に配置されるように、糸を撚り合わせた。糸には、スフ糸を用いた。多芯ケーブルの中心に590dTのスフ糸を90本入れた。電力線、対撚信号線、対撚電線、第二対撚電線または第三対撚電線の間(6箇所)には590dTのスフ糸を48本入れた。全部で223000dTのスフ糸を多芯ケーブルに入れたことになる。多芯ケーブルの空隙に入れられたスフ糸の密度(断面積当たりのスフ糸の量)は約4300dT/mmであった。撚り合わせた線の集合体の外径は10mmであった。この集合体をポリエステル製の不織紙(抑え巻)で巻いた。
抑え巻の外側に、架橋ポリエチレンの内側外被を設けた。内側外被の直径を10.8mmとした。介在樹脂を架橋難燃ポリウレタン製の外被で覆った。外被の外径を12mmとした。このようにして、実施例2に係る車両用の多芯ケーブルを作製した。実施例2に係る多芯ケーブルを使って、ECUと、電動パーキングブレーキ、ABS用の車輪速センサ、アクティブサスペンションシステム用のサスペンション装置とを接続した。
(比較例2)
表2に示すように、実施例2において作製した、電動パーキングブレーキ用の2本の電力線、ABS用の対撚信号線と対撚電線、車載ネットワーク用の第二対撚電線、アクティブサスペンションシステム用の第三対撚電線を、糸を設けずに撚り合わせた以外は実施例2と同様にして比較例2の多芯ケーブルを作製した。
(比較例3)
表2に示すように、実施例2において作製した、電動パーキングブレーキ用の2本の電力線、ABS用の対撚信号線と対撚電線、車載ネットワーク用の第二対撚電線、アクティブサスペンションシステム用の第三対撚電線を、糸の代わりに設けたポリエチレン製の丸棒に巻き付けて撚り合わせた。多芯ケーブルの断面において、各線のそれぞれの中心が一つの円周上に位置するように、それぞれの線が配列されており、それらの線の中央に丸棒を配置する。このようにして比較例3の多芯ケーブルを作製した。
(実施例3)
表3に示すように、上述した実施例2において作成した、電動パーキングブレーキ用の2本の電力線、ABS用の対撚信号線と対撚電線、車載ネットワーク用の第二対撚電線、アクティブサスペンションシステム用の第三対撚電線を用いて図4に示す二つのサブユニットからなる形状である実施例3の多芯ケーブルを作製した。
本実施例においては、図4に示した例のように、2本の電力線と1本のABS用の対撚信号線とスフ糸を撚り合わせて第一サブユニットを作製した。また、1本のABS用の対撚信号線と車載ネットワーク用の第二対撚電線とアクティブサスペンションシステム用の第三対撚電線を撚り合わせて第二サブユニットを作製した。実施例3においては第二サブユニットもスフ糸を含む点が、図4に示した例と異なる。第一サブユニットと第二サブユニットをそれぞれ薄紙製の抑え巻で巻いた。第一サブユニットと第二サブユニットを覆う外被を設けて、実施例3の多芯ケーブルを作製した。
第一サブユニットの中心には590dTのスフ糸を4本入れた。第一サブユニットの電力線間には590dTのスフ糸を38本入れた。第一サブユニットの電力線と対撚電線の間には590dTのスフ糸を56本入れた。第一サブユニットには全部で約90900dTのスフ糸を入れたことになる。第一サブユニットの空隙に入れられたスフ糸の密度(断面積当たりのスフ糸の量)は約4400dT/mmであった。
第二サブユニットの中心には590dTのスフ糸を4本入れた。第二サブユニットの対撚電線と第二対撚電線の間、第二対撚電線と第三対撚電線の間および対撚電線と第三対撚電線の間には590dTのスフ糸を56本入れた。第二サブユニットには全部で約101500dTのスフ糸を入れたことになる。第二サブユニットの空隙に入れられたスフ糸の密度(断面積当たりのスフ糸の量)は約4300dT/mmであった。
(比較例4)
表3に示すように、第一サブユニットにおいて2本の電力線の間に糸を設けない以外は実施例3の多芯ケーブルと同様にして、比較例4の多芯ケーブルを作製した。
Figure 2018022633
Figure 2018022633
Figure 2018022633
(実施例と比較例の比較)
上述のようにして得られた実施例1〜3および比較例1〜4の多芯ケーブルの耐屈曲性および止水性を次の試験により評価した。
(繰り返し曲げ試験)
ISO 14572:2011(E)5.9に規定される繰り返し曲げ試験に従って多芯ケーブルの耐屈曲性を評価した。この繰り返し曲げ試験においては、多芯ケーブルに−90°から+90°となるような曲げを繰り返し作用させた。150,000回曲げた後の電力線の初期抵抗値からの抵抗値の減少量が5%以上であった場合は、電力線が切れたものと判断した。初期抵抗値からの電力線の抵抗値の減少量が5%未満であった場合を合格とした。
上記実施例1〜3に係る多芯ケーブルは、150,000回曲げた後の電力線の抵抗値の減少量が5%未満であり、合格であった。しかし、比較例1,2,4に係る多芯ケーブルは、150,000回曲げた後の電力線の抵抗値の減少量が50%以上であり、不合格であった。比較例3に係る多芯ケーブルは、曲げ剛性が大きすぎて繰り返し曲げ試験では屈曲させることができず、評価できなかった。
(U字曲げ試験)
公益社団法人 日本自動車技術会の定める自動車規格JASO C467-97 7.16 センサーハーネス屈曲試験に従って評価した。この試験においては、多芯ケーブルに直線状からU字状になるような曲げを繰り返し作用させた。−30°で300,000回曲げた後、続いて、常温で1200,000回曲げた。試験後に、割れやヒビなどの外観の異常がなく、かつ、電力線の初期抵抗値からの抵抗値の減少量が5%未満であった場合を合格とした。
上記実施例1〜3に係る多芯ケーブルは、−30°で300,000回曲げた後常温で1200,000回曲げた後も、外観の異常がなく、かつ、電力線の抵抗値の減少量が5%未満であり、合格であった。しかし、比較例1,2,4に係る多芯ケーブルは、電力線の抵抗値の減少量が5%以上であり、不合格であった。比較例3に係る多芯ケーブルは、曲げ剛性が大きすぎてU字曲げ試験では屈曲させることができず、評価できなかった。
(止水性試験)
多芯ケーブルの分岐部に止水部材を圧着した後、圧着部分を水につけて多芯ケーブルの他端側から外被内に5気圧で空気を送り込んだ。外被内の隙間を通ってきた空気が圧着部分から漏れることが観察された場合には不合格、空気の漏れが観察されなかった場合を合格とした。
実施例1〜3および比較例3は、空気の漏れが観察されず、合格であった。しかし、比較例1,2,4は、空気の漏れが観察されて不合格であった。
(曲げ剛性)
IEC60794−1−2 Method17cに準拠して、固定面とその固定面に平行になるように配置した板の間にケーブルを置いて180°曲げ、ケーブルの端を固定部材によって固定する。板上にロードセルを置き、曲げ半径が50mmになるまでケーブルに外力を加えたときの荷重を測定して曲げ剛性(N・mm)を求める。試験は常温で行う。
実施例1の曲げ剛性は比較例1の曲げ剛性より低くなった。実施例2の曲げ剛性は比較例2の曲げ剛性より低くなった。実施例3の曲げ剛性は比較例4の曲げ剛性より低くなった。
1,101,301 多芯ケーブル
10 電力線
12 第一導体
13 第一絶縁層
20 対撚信号線
21 信号線
22 第二導体
23 第二絶縁層
30 対撚電線
31 電線
32 第三導体
33 第三絶縁層
40 外被
41 内側外被
42 外側外被
50 糸
51,511,512 抑え巻
52 シールド層
53 介在樹脂
60 第二対撚電線
61 電線
62 第四導体
63 第四絶縁層
70 第三対撚電線
71 電線
72 第五導体
73 第五絶縁層
81 第一サブユニット
82 第二サブユニット
200 止水部材
210 中駒
220 中栓
221 筒部
222 溝
223 溝
230 外栓
231 凹凸

Claims (10)

  1. 第一導体と、前記第一導体を覆う第一絶縁層と、をそれぞれ含む2本の電力線と、
    前記第一導体より細い第二導体と、前記第二導体を覆う第二絶縁層と、をそれぞれ有する2本の信号線と、
    2本の電力線および2本の前記信号線を覆う外被と、を備え、
    前記信号線は、2本一組で撚り合わされて1本の対撚信号線を構成しており、
    2本の前記電力線の間に糸が設けられている、車両用の多芯ケーブル。
  2. 前記糸が、前記電力線と前記対撚信号線の間にも設けられている、請求項1に記載の多芯ケーブル。
  3. 前記電力線の外径が、前記対撚信号線の外径の73%以上134%以下であり、
    前記電力線と前記対撚信号線とが一体に撚り合わされている、請求項1または請求項2に記載の多芯ケーブル。
  4. 前記第一導体より細い第三導体と、前記第三導体を覆う第三絶縁層と、をそれぞれ含む、2本の電線が撚り合わされた対撚電線をさらに含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の多芯ケーブル。
  5. 一体に撚り合された前記電力線および前記対撚信号線を覆う抑え巻を有し、
    前記外被が前記抑え巻を覆っている、請求項1から3のいずれか一項に記載の多芯ケーブル。
  6. 一体に撚り合された前記電力線、前記対撚信号線および前記対撚電線とを覆う抑え巻を有し、
    前記外被が前記抑え巻を覆っている、請求項4に記載の多芯ケーブル。
  7. 前記外被は、内層と、前記内層の外側に位置する外層とを有する、請求項1から6のいずれか一項に記載の多芯ケーブル。
  8. 前記多芯ケーブルの長手方向に垂直な断面において、2本の前記電力線が点対称に配置され、かつ、偶数本の前記対撚信号線が点対称に配置されている、請求項1から7のいずれか一項に記載の多芯ケーブル。
  9. 前記多芯ケーブルの長手方向に垂直な断面において、径方向の中央部に、前記糸が設けられている請求項1から8のいずれか一項に記載の多芯ケーブル。
  10. 前記多芯ケーブルの長手方向に垂直な断面において、単位長さあたりの前記糸の重さW[g/mm]、前記外被の内径をD[mm]、前記電力線、前記信号線、を含む全ての線の導体断面積をS[mm]としたときに、指標W/(πD/4−S)が1500以上8000以下である、請求項1から9のいずれか一項に記載の多芯ケーブル。
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