JP6772929B2 - 梱包材 - Google Patents

Description

本発明は、例えば電子機器等のような重量の大きい製品を梱包する梱包材に関するものである。

従来、大型で重量の大きい製品を梱包して運搬する梱包材として木枠梱包が用いられてきた。しかし、木枠梱包は耐久性に優れているものの、重量が重く、廃棄処分に費用がかかるだけでなく、省資源化の観点からも問題がある。また、釘を用いて板を固定するため、梱包作業や開梱作業に時間を要するとともに、作業者が釘や板のささくれにより怪我をするおそれもあった。

そこで、廃棄処分に費用がかからず、公害や環境負荷も少ない段ボール製の梱包材が広く用いられている。例えば特許文献１には、キャスター付きの製品を載せるための折り畳み式スロープがパレットの天面端部に回動可能に連結されたパレット付きの段ボールケースが開示されている。パレット付きの段ボールケースでは、製品が梱包された段ボールケースを、さらにパレットに載せる必要がないため、特に大型の製品等の梱包及び運搬が容易となる。

上記のような段ボールケースは、粘着テープ等で梱包されるため、一度開梱した後はしわや破れにより外観が劣化し、繰り返し使用することができないという問題点があった。また、段ボールケースを積載、運搬する場合、スペースを有効利用して積載効率を上げるために、段ボールケースの上に段ボールケースを積載する、いわゆる段積みが行われる。しかし、段ボールケースは木枠梱包に比べて強度が低いため、輸送中や保管中に天板が沈み込んでしまい製品を安定して載置できないという問題点もあった。

そこで、物品を効率的に保管、輸送するとともに、繰り返し使用可能な物品積載装置が提案されており、例えば特許文献２には、物品を載置する物品載置部材と、物品載置部材に取り付け可能な複数の支柱と、該支柱を連結する連結部材とを有する物品積載装置（輸送用ラック）が開示されており、支柱を折り畳み可能とする方法も開示されている。

特開２００６−３４１８９６号公報 特開２００１−１７１６６６号公報

しかしながら、特許文献２の方法では、支柱を連結部材と共に折り畳むため、支柱と連結部材との接合部分の構成が複雑になっていた。また、物品のサイズや形態に応じて物品載置部材を選択する構成のため、複数の物品載置部材を用意しておく必要があり、輸送用ラックのコストが上昇してしまうという問題点があった。

本発明は、上記問題点に鑑み、被梱包物を確実に保護するとともに、木材の使用量が少なく、且つ梱包作業および開梱作業を簡単に行うことのできる梱包材を提供することを目的とする。

上記目的を達成するために本発明の第１の構成は、パレットと、スリーブと、天板と、複数の結束ベルトと、を有する梱包材である。パレットは平面視矩形状であり、底板と、底板と所定の間隔を隔てて対向配置される支持板と、支持板と底板とに固定される複数の桁部材と、を有する。スリーブは段ボールシート製で角筒状であり、パレットの上面に被せることにより支持板上に載置された被梱包物の側面を被覆する。天板は矩形状であり、スリーブの上端部に載置される。結束ベルトは、パレットと被梱包物、並びにパレットとスリーブおよび天板とをそれぞれ結束する。

本発明の第１の構成によれば、パレットによりスリーブの下端部が支持されるとともに、スリーブの上端部に天板を配置したので、パレットと天板とでスリーブを挟み込む構成となっている。そのため、結束ベルトを切断してパレットとスリーブおよび天板との固定、およびパレットと被梱包物との固定を解除するだけで梱包材を開梱することができる。従って、従来の木枠梱包のように釘を打って板を固定したり、釘を抜いて板を取り外したりする必要がなく、梱包作業時間および開梱作業時間を大幅に短縮できる。また、粘着テープや釘を使用しないため、一度開梱した後も外観が劣化せず、梱包材を繰り返し使用することができる。さらに、釘や木材のささくれによって作業者が怪我をするおそれもなくなる。

本発明の一実施形態に係る梱包材１００を用いて被梱包物５を梱包した状態を示す正面断面図 本実施形態の梱包材１００を用いて被梱包物５を梱包した状態を示す側面断面図 本実施形態の梱包材１００を構成するパレット１の第１の構成例を示す平面図 本実施形態の梱包材１００を構成する天板３を裏面側から見た平面図 本実施形態の梱包材１００による梱包工程を示す側面断面図であって、パレット１の支持板１７上に被梱包物５を載置した状態を示す図 本実施形態の梱包材１００による梱包工程を示す側面断面図であって、支持板１７上に載置された被梱包物５の上方からスリーブ２を被せた状態を示す図 パレット１にスリーブ２を被せた状態でのパレット１とスリーブ２の接触部分の拡大図 本実施形態の梱包材１００による梱包工程を示す側面断面図であって、スリーブ２の上端部２ｂに天板３を載置した状態を示す図 本実施形態の梱包材１００に用いられるパレット１の第２の構成例を示す平面図 本実施形態の梱包材１００に用いられるパレット１の第３の構成例を示す平面図 本実施形態の梱包材１００に用いられるパレット１の第３の構成例を図１０の下方から見た側面図

以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。図１は、本発明の一実施形態に係る梱包材１００を用いて被梱包物５を梱包した状態を示す正面断面図、図２は、本実施形態の梱包材１００を用いて被梱包物５を梱包した状態を示す側面断面図（図１のＡＡ′矢視断面図）、図３は、本実施形態の梱包材１００を構成するパレット１の第１の構成例を示す平面図、図４は、本実施形態の梱包材１００を構成する天板３を裏面側から見た平面図である。なお、図３ではパレット１から支持板１７を取り外した状態を示している。

梱包材１００は、画像形成装置等の製品を段ボールケース等で包装した被梱包物５を梱包してフォークリフトやハンドパレット等で運搬可能にするものであり、パレット１と、スリーブ２と、天板３と、第１結束ベルト４ａ、４ｂおよび第２結束ベルト４ｃ、４ｄとを含む。

パレット１は木製であり、設置面に当接する３枚の底板１０ａ〜１０ｃと、底板１０ａ〜１０ｃの上面に底板１０ａ〜１０ｃと垂直に固定される３本の脚桁１１ａ〜１１ｃと、脚桁１１ａ〜１１ｃと垂直に固定される３本の横桁１３ａ〜１３ｃと、脚桁１１ａ〜１１ｃの両端部に橋渡し状に固定され、横桁１３ａ、１３ｃの下方に重なる一対の平面板１５ａ、１５ｂと、横桁１３ａ〜１３ｃの上面に固定される支持板１７とを有する。支持板１７は、横桁１３ａ〜１３ｃの外周縁を結んだ矩形と同一形状である。パレット１の側面には、底板１０ａ〜１０ｃ、脚桁１１ａ〜１１ｃ、横桁１３ａ〜１３ｃで囲まれたアーム挿入穴１９が形成されている。

スリーブ２は段ボールシートにより角筒状に形成されており、パレット１の上部に被せることで被梱包物５の側面を包装する。スリーブ２の内周長（図４の点線Ｌ）は、横桁１３ａ〜１３ｃの外周縁を結んだ矩形の外周長よりも僅かに大きい。また、スリーブ２を形成する段ボールシートは、スリーブ２の上下方向が縦目方向（平板と波板により形成される細管の長手方向）となっている。

天板３は木製であり、スリーブ２の上端部２ｂ（図６参照）に載置される。図４に示すように、天板３の裏面側には係合片３ａが固定されている。係合片３ａは、矩形状の天板３の四隅の端縁よりもやや内側寄りに固定されており、天板３がスリーブ２の上端部２ｂに載置されたときスリーブ２の内周縁に係合する。第１結束ベルト４ａ、４ｂはパレット１と被梱包物５とを結束し、第２結束ベルト４ｃ、４ｄはパレット１とスリーブ２および天板３とを結束する。第１結束ベルト４ａ、４ｂ、第２結束ベルト４ｃ、４ｄとしては、例えば厚さ１ｍｍのポリエチレンテレフタレート製の梱包用ベルトが用いられる。

次に、梱包材１００を用いた梱包方法について説明する。先ず、図５に示すようにパレット１の支持板１７上に被梱包物５を載置する。そして、パレット１の脚桁１１ａ〜１１ｃと支持板１７との隙間ｄに第１結束ベルト４ａ、４ｂを挿入し、被梱包物５の上部に掛け回した後、各第１結束ベルト４ａ、４ｂを環状に締結する。これにより、被梱包物５がパレット１に固定される。第１結束ベルト４ａ、４ｂの締結方法は、例えば市販のベルト結束機器を用いて、ベルトに所定のテンション（張力）を掛けた状態で金属製のカシメ部材によりベルトの両端部を重ねてカシメ固定した後、ベルト端部の余剰部分を切断する。

次に、図６に示すように被梱包物５の上方からスリーブ２を被せる。図７は、パレット１にスリーブ２を被せた状態でのパレット１とスリーブ２の接触部分（図６の円内）の拡大図である。なお、図７では図６の右側（平面板１５ａ側）の構成のみを図示しているが、左側（平面板１５ｂ側）の構成も全く同様である。図７に示すように、パレット１の平面板１５ａ、１５ｂは支持板１７の端縁からスリーブ２の下端部２ａの下方に重なる位置まで突出しており、スリーブ２の下端部２ａはパレット１の平面板１５ａ、１５ｂに支持される。また、スリーブ２の内周縁が横桁１３ａ、１３ｃ、支持板１７によって形成される段差部２０に係合する。これにより、パレット１に対するスリーブ２の位置決めを容易に行うことができる。

次に、図８に示すようにスリーブ２の上端部２ｂ（図６参照）に天板３を載置する。天板３の裏面側に固定された係合片３ａをスリーブ２の内周縁に係合させることで、スリーブ２に対する天板３の位置決めを容易に行うことができる。最後に、パレット１のアーム挿入穴１９に第２結束ベルト４ｃ、４ｄを挿入し、天板３の上部に掛け回した後、各第２結束ベルト４ｃ、４ｄを環状に締結する。これにより、スリーブ２および天板３がパレット１に固定される。第２結束ベルト４ｃ、４ｄの締結方法は第１結束ベルト４ａ、４ｂと同様である。

このとき、図７に示したようにスリーブ２の対向する下端部２ａが平面板１５ａ、１５ｂによって支持されるため、スリーブ２および天板３を結束ベルト４ｃ、４ｄでパレット１に締結する際にスリーブ２の下端部２ａが脚桁１１ａ〜１１ｃや横桁１３ａ〜１３ｃに食い込むおそれがない。従って、下端部２ａの食い込みによるスリーブ２の変形や第２結束ベルト４ｃ、４ｄの弛みを防止することができる。

被梱包物５を梱包した梱包材１００を運搬する際は、パレット１に形成されたアーム挿入穴１９にフォークリフトやハンドパレットのアームを挿入し、梱包材１００を持ち上げて運搬する。このような梱包材１００を用いることにより、製品を段ボールケース等で梱包して被梱包物５とした後、更に被梱包物５をパレット１に載せる必要がないため、特に大型の製品等の梱包及び運搬が容易となる。

また、パレット１によりスリーブ２の下端部２ａが支持されるとともに、スリーブ２の上端部２ｂに天板３を配置したので、パレット１と天板３とでスリーブ２を挟み込む構成となっている。スリーブ２は段ボールシートの縦目方向が上下方向と平行であり、上下方向の圧縮強度が高くなっている。そのため、天板３上にさらに別の梱包材１００を積載する段積みを行ってもスリーブ２が座屈するおそれはない。スリーブ２には、多層構造にして圧縮強度を高めた段ボールシートを使用することも可能である。また、複数のスリーブ２を入れ子にして重ね合わせて使用することで、圧縮強度を高めることも可能である。

梱包材１００を開梱する際は、第２結束ベルト４ｃ、４ｄを切断してパレット１とスリーブ２および天板３との固定を解除し、天板３およびスリーブ２を取り外した後、第１結束ベルト４ａ、４ｂを切断してパレット１と被梱包物５との固定を解除する。従って、ハサミやカッターで結束ベルト４ａ〜４ｄを切断するだけで開梱可能であるため、従来の木枠梱包のように釘を抜いて板を取り外す必要がなく、開梱作業時間が大幅に短縮できる。また、釘や木材のささくれによって作業者が怪我をするおそれもなくなる。

また、パレット１、スリーブ２、および天板３は結束ベルト４ａ〜４ｄのみで固定され、粘着テープや釘を使用しないため、パレット１および天板３を簡単に分離することができる。従って、一度開梱した後もしわや破れにより外観が劣化しないため、梱包材１００を繰り返し使用することができる。さらに、廃棄時における木製のパレット１及び天板３と紙製のスリーブ２との分別が容易でありリサイクル性も向上する。

図９は、本実施形態の梱包材１００を構成するパレット１の第２の構成例を示す平面図である。なお、図９および後述する図１０では、図３と同様にパレット１から支持板１７を取り外した状態を示している。図９に示す第２の構成例では、平面板１５ａ、１５ｂの長手方向の両端部を支持板１７の対向する端縁（図９の上下方向の端縁）からスリーブ２の下端部２ａの下方に重なる位置まで突出させている。

第２の構成例によれば、スリーブ２の対向する二辺（図９の左右方向の二辺）の下端部２ａに加えて、それと直交する二辺（図９の上下方向の二辺）の下端部２ａも平面板１５ａ、１５ｂによって支持される。従って、第１の構成例に比べて下端部２ａの食い込みによるスリーブ２の変形や第２結束ベルト４ｃ、４ｄの弛みをより効果的に防止することができる。また、パレット１の四辺に段差部２０が形成されるため、第１の構成例に比べてパレット１に対するスリーブ２の位置決めも容易となる。

図１０は、本実施形態の梱包材１００を構成するパレット１の第３の構成例を示す平面図であり、図１１は、パレット１の第３の構成例を図１０の下方から見た側面図である。図１０および図１１に示す第３の構成例では、脚桁１１ａ〜１１ｃの中央部に平面板１５ｃを橋渡し状に固定するとともに、平面板１５ｃの長手方向の両端部を支持板１７の対向する端縁（図１０の上下方向の端縁）からスリーブ２の下端部２ａの下方に重なる位置まで突出させている。

第３の構成例によれば、スリーブ２の対向する二辺（図１０の左右方向の二辺）の下端部２ａに加えて、それと直交する二辺（図１０の上下方向の二辺）の下端部２ａも平面板１５ａ、１５ｂ、および１５ｃによって両端部と中央部の三箇所で支持される。従って、第２の構成例に比べて下端部２ａの食い込みによるスリーブ２の変形や第２結束ベルト４ｃ、４ｄの弛みを一層効果的に防止することができる。また、第２の構成例と同様にパレット１の四辺に段差部２０が形成されるため、パレット１に対するスリーブ２の位置決めも容易となる。

その他、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態においては木製のパレット１、天板３を用いたが、木製に限らず、金属製や合成樹脂製のパレット１、天板３を用いることもできる。パレット１や天板３を金属や樹脂により成形する場合、例えばパレット１に平面板１５ａ〜Ｓ１５ｃや段差部２０を一体形成することも可能であり、天板３に係合片３ａを一体形成することも可能である。

本発明は、大型で重量の大きい被梱包物を梱包する梱包材に利用可能である。本発明の利用により、被梱包物を確実に保護するとともに、木材の使用量が少なく、且つ梱包作業および開梱作業を簡単に行うことのできる梱包材を提供することができる。

１ パレット
２ スリーブ
２ａ 下端部
２ｂ 上端部
３ 天板
３ａ 係合片
４ａ、４ｂ 第１結束ベルト
４ｃ、４ｄ 第２結束ベルト
５ 被梱包物
１０ａ〜１０ｃ 底板
１１ａ〜１１ｃ 脚桁（桁部材）
１３ａ〜１３ｃ 横桁（桁部材）
１５ａ〜１５ｃ 平面板（平面部）
１７ 支持板
１９ アーム挿入穴
２０ 段差部
１００ 梱包材

Claims (5)

1. 底板と、該底板と所定の間隔を隔てて対向配置される支持板と、該支持板と前記底板とに固定される複数の桁部材と、を有する平面視矩形状のパレットと、
   該パレットの上面に被せることにより前記支持板上に載置された被梱包物の側面を被覆する段ボールシート製の角筒状のスリーブと、
   該スリーブの上端部に載置される矩形状の天板と、
   前記パレットと前記被梱包物、並びに前記パレットと前記スリーブおよび前記天板とをそれぞれ結束する複数の結束ベルトと、
   を有し、
   前記パレットの上面の少なくとも対向する二辺に沿って、前記スリーブの下端部よりも外側に突出する平面部が設けられ、
   前記パレットには、前記平面部から立ち上がり前記スリーブの内周縁に係合する段差部が形成され、
   前記桁部材は、前記底板に互いに平行に配置される複数の脚桁と、該脚桁の上面に前記脚桁と直交する方向に橋渡し状に配置される複数の横桁と、で格子状に形成されており、
   前記平面部は、前記脚桁の両端部に橋渡し状に固定され、前記支持板の端縁に沿って前記スリーブの下端部よりも外側に突出する平面板であり、前記平面板の上面に固定される前記横桁によって前記段差部が形成され、
   前記横桁および前記平面板によって前記支持板と前記脚桁との間に前記横桁に沿って延びる隙間が形成されており、
   前記パレットの側面には、前記底板、前記脚桁、および前記横桁で囲まれた前記脚桁に沿って延びるアーム挿入穴が形成されており、
   前記結束ベルトは、前記隙間を通過して前記パレットと前記被梱包物を結束する第１結束ベルトと、前記第１結束ベルトと直交し、前記アーム挿入穴を通過して前記パレットと前記スリーブおよび前記天板とを結束する第２結束ベルトから成る梱包材。
2. 前記平面板は、長手方向の両端部が前記支持板の対向する端縁から前記スリーブの下端部よりも外側に突出することを特徴とする請求項１に記載の梱包材。
3. 前記平面板は、前記脚桁の両端部および中央部を含む三箇所以上に橋渡し状に固定されており、
   前記各平面板の両端部が前記支持板の対向する端縁から前記スリーブの下端部よりも外側に突出することを特徴とする請求項２に記載の梱包材。
4. 前記天板の裏面側には、前記スリーブの内周縁に係合する係合片が設けられることを特徴とする請求項１乃至請求項３のいずれかに記載の梱包材。
5. 前記スリーブを形成する前記段ボールシートは、縦目方向が前記スリーブの上下方向と平行であることを特徴とする請求項１乃至請求項４のいずれかに記載の梱包材。

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