JP6252552B2 - 紙製パレット、及び紙製パレットを備える包装ケース - Google Patents

Description

本発明は、画像形成装置などの荷物を支持可能なパレット、及び被包装物を包装するための包装ケースに関する。

画像形成装置や情報処理装置などの荷物を運搬する際に、パレットが使用される。パレットに荷物を載せた状態で、フォークリフトなどの運搬機によってパレットとともに荷物が運搬される。前記パレットとして、段ボールシートで構成された紙製パレットが知られている。紙製パレットは、軽量であり輸送コストが低く、また、リサイクル及び廃棄が容易であるため、近年、広く利用されている。

紙製パレットは、その材質が段ボールシートなどの紙であるため、一般に、樹脂パレットや木製パレットに比べて強度及び剛性が低い。これに対して、鉛直方向の強度を向上させるために、ハニカム構造体を用いた紙製パレットが提案されている（特許文献１及び２参照）。

特開平６−２３９３４７号公報 特開平７−５２９４８号公報

しかしながら、従来の紙製パレットのハニカム構造体は、鉛直方向に延びる空洞を有するため、鉛直方向の強度は向上するが、横方向の強度は低い。このため、脚桁に横方向の外力が加えられると、脚桁が撓んだり、凹んだり、座屈する（以下、座屈等という）という問題がある。

本発明の目的は、鉛直方向及び水平方向それぞれに対して高い強度を実現しつつ、重量を軽量化することが可能な紙製パレット、及び紙製パレットを備える包装ケースを提供することにある。

本発明の一の局面に係る紙製パレットは、断面が矩形状に形成され、一方向に長尺な複数の脚桁を有する。前記複数の脚桁のうちの少なくとも一つの脚桁は、紙製シート状の複数枚の芯材が前記脚桁の長手方向に直交する幅方向に積層され、内部に空洞が形成された積層構造体と、前記積層構造体の前記空洞に嵌め入れられ、前記幅方向へ延びる複数の筒状セルを有するハニカム構造体とにより構成されている。

本発明の他の局面に係る包装ケースは、前記紙製パレットと、トレーと、外ケースと、を備える。前記トレーは、荷物を支持するためのものであり、前記紙製パレットの上面に底部が接合されている。前記外ケースは、下面が開放されており、前記トレーに下部が装着される。当該包装ケースは、前記トレーと前記外ケースとにより囲まれた内部空間に被包装物を包装可能である。

本発明によれば、鉛直方向及び水平方向それぞれに対して高い強度を実現しつつ、重量を軽量化することが可能である。

図１は、本発明の実施形態に係る包装ケースの斜視図である。 図２は、図１に示す包装ケースに画像形成装置が収容された状態を示す図である。 図３は、本発明の実施形態に係る紙製パレットの構成を示す斜視図である。 図４は、図３の紙製パレットの構成を示す図であり、（Ａ）は紙製パレットの脚桁の幅方向の中央で切断した場合の長手方向の断面図、（Ｂ）は脚桁を上下方向の中央で切断した場合の水平方向の断面図、（Ｃ）は脚桁の長手方向の中央で切断したときの幅方向の断面図である。

以下、適宜図面を参照して本発明の実施形態について説明する。以下に説明される実施形態は本発明を具体化した一例にすぎず、本発明の技術的範囲を限定するものではない。なお、説明の便宜上、本実施形態に係る紙製パレット１０及びこれを備える包装ケース１１が平面に設置された設置状態（図１に示される状態）において、図１に示すように上下方向、前後方向、左右方向を定義する。

［包装ケース１１］
まず、図１を参照して、本発明の実施形態に係る包装ケース１１の構成について説明する。包装ケース１１は、被包装物１００（図３参照）を包装するためのものである。包装ケース１１は、被包装物１００を運搬したり、輸送したり、保管したりする場合に、被包装物１００を保護するために用いられる。包装ケース１１によって包装される被包装物１００の一例は、複写機や複合機、プリンターなどの画像形成装置であり、特に、自立型の大型で重量のある画像形成装置である。このような画像形成装置に対して、包装ケース１１は好適に用いられる。もちろん、被包装物１００は、画像形成装置に限られず、運搬時に受ける衝撃や保管時の環境変化（温度変化や湿度変化など）の要因から包装ケース１１によって保護しなければならない様々な製品が該当する。

図１及び図２に示されるように、包装ケース１１は、トレー１２と、外ケース１４と、中枠１６（図２参照）と、支持部材２１（図２参照）と、支持部材２３〜２６（図２参照）と、紙製パレット１０と、を備えている。

［トレー１２］
図２に示されるように、トレー１２は、上面が開放されており、被包装物１００の底部を支持する。トレー１２は、矩形状に形成されている。トレー１２は、包装ケース１１の最下部に位置する紙製パレット１０の上面に固定されている。トレー１２は、紙製パレット１０の上面に接着剤などによって容易に離れないように接合されている。

トレー１２は、その底面を構成する底板３１によって被包装物１００の底部を支持する。本実施形態では、トレー１２は、底板３１に設けられた支持部材２１を介して被包装物１００の底部を支持している。トレー１２は、矩形状の底板３１と、底板３１の４つの縁辺から立設された４つの側板３２とを有する。４つの側板３２それぞれによって、トレー１２の４つの側面が構成されている。トレー１２は、例えば、段ボールシートで構成されている。

支持部材２１は、例えば、古紙などをリサイクルしたパルプ原料を成型して得られるパルプモールド（緩衝部材）によって構成されている。もちろん、支持部材２１は、パルプモールドに限られず、発泡樹脂製の緩衝部材などで構成されてもよい。支持部材２１は、トレー１２の底板３１に敷設されており、図２（Ａ）に示されるように、その支持部材２１の上部に被包装物１００の底部が載置される。

［外ケース１４］
図１に示されるように、外ケース１４は、長方体形状に形成されており、下面が開放されている。外ケース１４は、その外周面である４つの側面を構成する４つの側板４２を有している。各側板４２の上端には、フラップ４１が連接されており、これら４つのフラップ４１が内側に折り曲げられて、更に、接着テープなどの締結具によって各フラップ４１が連結されることによって、外ケース１４の上面が封止される。外ケース１４の下部はトレー１２に装着される。詳細には、トレー１２の各側板３２の内側に外ケース１４の下部が挿入され、トレー１２と外ケース１４とが重ね合わさった部分がジョイント金具などの締結具（不図示）によって互いに締結される。このようにトレー１２と外ケース１４とが締結されることによって、トレー１２と外ケース１４との間に内部空間が形成され、その内部空間に被包装物１００が包装可能となる。なお、トレー１２の各側板３２及び外ケース１４それぞれには、トレー１２に外ケース１４が挿入されたときに重なる締結用の貫通孔（不図示）が形成されており、この貫通孔に前記締結具が嵌入される。これにより、外ケース１４がトレー１２に固定される。外ケース１４は、例えば、段ボールシートで構成されている。

［中枠１６］
図２（Ｂ）に示されるように、中枠１６は、断面が矩形状の筒形状に形成されており、上面及び下面の両方が開放されている。中枠１６は、トレー１２に支持された被包装物１００と外ケース１４との間に設けられる。中枠１６は、被包装物１００の外周面を覆うようにして被包装物１００に取り付けられる。中枠１６の下端は、被包装物１００の外周を中枠１６で覆った状態で、トレー１２の支持部材２１によって支持される。中枠１６は、例えば、段ボールシートで構成されている。

［支持部材２３〜２６］
図２（Ｂ）に示されるように、支持部材２３〜２６は、中枠１６の上端の角部に取り付けられる。中枠１６の上端には、図示しない切り欠きが形成されており、支持部材２３〜２６が中枠１６に装着されたときに、前記切り欠きは、支持部材２３〜２６をずれないように位置決めする。支持部材２３〜２６には、中枠１６の上端の角部が挿入される直角の溝７８が形成されており、この溝７８に中枠１６の角部の上端が挿入される。これにより、支持部材２３〜２６が中枠１６の角部に装着される。

支持部材２３〜２６において、溝７８よりも外側には、緩衝部８９が設けられている。中枠１６の上端に支持部材２３〜２６が装着されることによって、外ケース１４の側板４２と中枠１６との間に、緩衝部８９が配置される。

［紙製パレット１０］
以下、図３を参照して、紙製パレット１０の構成について説明する。

紙製パレット１０は、上側にトレー１２等とともに被包装物１００を支持するものである。被包装物１００などの荷物を運搬する際に、被包装物１００が紙製パレット１０の上面に載置された状態で、フォークリフトなどの運搬機によって紙製パレット１０とともに被包装物１００が運搬される。図３に示されるように、紙製パレット１０は、３つの脚桁５１（５１Ａ〜５１Ｃ）と、各脚桁５１を連接する連接部材５２とを有する。

３つの脚桁５１のうち、２つの脚桁５１Ａ，５１Ｂは、紙製パレット１０の左右方向の両端それぞれに配置されている。また、脚桁５１Ｃは、脚桁５１Ａと脚桁５１Ｂとの中間位置に配置されている。各脚桁５１は、断面が矩形状に形成されており、前後方向に延びる長尺な部材である。なお、本実施形態では、３つの脚桁５１を備える紙製パレット１０を例示するが、紙製パレット１０は、少なくとも２つの脚桁５１Ａ，５１Ｂを有するものであればよい。

連接部材５２は、各脚桁５１の前端部及び後端部それぞれに設けられている。連接部材５２は、左右方向に離れた各脚桁５１を均等間隔で連接している。連接部材５２によって各脚桁５１が連接されることにより、各脚桁５１間に、フォークリフトなどの運搬機のフォークが挿入可能な２つの挿入空間５３が形成される。挿入空間５３の前端側又は後端側の開口は、運搬機のフォークが挿入される差込口５３Ａであり、この差込口５３Ａへ向けて運搬機のフォークが差し込まれる。

なお、連接部材５２は、各脚桁５１の前後方向の両端部だけでなく、各脚桁５１の前後方向の中央部にも設けられていてもよい。もちろん、各脚桁５１において、複数の連接部材５２が前後方向に連続して並設されていてもよい。

連接部材５２は、３つの脚桁５１を左右方向に巻回する外側板紙５６を有する。外側板紙５６は、比較的厚くて丈夫に形成されている。外側板紙５６は、例えば、クラフト紙や古紙を主体にした積層紙である。外側板紙５６が３つの脚桁５１を巻回した状態で、その長手方向の各端部は、中央の脚桁５１Ｃの上面で付き合わされている。外側板紙５６が３つの脚桁５１を巻回したときに各脚桁５１に接触する接触部には、接着剤などが塗布されており、外側板紙５６と各脚桁５１の接触面とが強固に固定されている。

また、連接部材５２は、隣接する脚桁５１間に設けられた環状の内側板紙５７を有する。内側板紙５７は、外側板紙５６と同様に、比較的厚くて丈夫に形成されており、クラフト紙や古紙を主体にした積層紙で構成されている。内側板紙５７は、外側板紙５６において挿入空間５３を臨む内側面、及び各脚桁５１において挿入空間５３を臨む内側面それぞれに、接着剤などによって強固に接合されている。内側板紙５７は、１枚の板紙を屈曲させて環状に形成したものであってもよく、或いは、１枚の板紙を長手方向に２箇所屈曲させたものに１枚の板紙を連結して環状に形成したものであってもよい。

［脚桁５１の構成］
以下、図４を参照して、脚桁５１の構成について説明する。

図４に示されるように、脚桁５１は、積層構造体６１と、ハニカム構造体６２とによって構成されている。積層構造体６１は、紙製シート状の複数枚の芯材が左右方向（脚桁５１の幅方向）に積層されたものであり、具体的には、複数枚の段ボールシートが互いに接触剤によって接合された構造となっている。

従来の脚桁は、撥水加工がなされたクラフト紙などの外装シート６３が積層構造体６１に巻き付けられた構成であった。つまり、従来の脚桁は、主として、積層構造体６１で構成されていた。しかしながら、従来の脚桁は、段ボールシートが積層された構成であるため、積層方向に直交する方向（上下方向及び前後方向）の強度は高いが、積層方向（左右方向）の強度は低い。このため、例えば、差込口５３Ａに差し込まれたフォークが脚桁の内側面に押し付けられた場合に、脚桁が座屈等する場合がある。このような問題を解消するために、本実施形態の脚桁５１では、積層構造体６１だけでなく、ハニカム構造体６２が設けられている。

具体的には、図４（Ａ）、（Ｂ）に示されるように、積層構造体６１の中央部に空洞６１Ａが形成されている。空洞６１Ａは、積層構造体６１を上下方向の貫通している。その空洞６１Ａにハニカム構造体６２が設けられている。本実施形態では、ハニカム構造体６２は、空洞６１Ａに隙間無く充填されている。なお、空洞６１Ａから脚桁５１の側面５４（図４（Ｂ）参照）までの間には、所定厚みの積層構造体６１が設けられている。

ハニカム構造体６２は、一方向へ延びる筒状セルを多数有している。各筒状セルは、断面形状が正六角形の正六角柱であり、ハニカム構造体６２は、この筒状セルが隙間無く並べられた構造となっている。ハニカム構造体６２の筒状セルの内径は、１枚の段ボールシートの空隙寸法よりも大きく形成されている。そのため、本実施形態のハニカム構造体６２の単位体積あたりの重量は、積層構造体６１の単位体積あたりの重量よりも軽い。本実施形態では、図４（Ｂ）に示されるように、前記筒状セルの延出方向が脚桁５１の左右方向に一致するように、ハニカム構造体６２が空洞６１Ａに設けられている。空洞６１Ａの内面とハニカム構造体６２との接触部には、接着剤などが塗布されており、これにより、ハニカム構造体６２と積層構造体６１とが強固に接合される。なお、前記筒状セルの形状は、正六角柱に限られず、正六角柱以外の形状の多数の筒状セルが隙間無く並べられた構造であってもよい。

図４（Ｂ）、（Ｃ）に示されるように、脚桁５１は、幅サイズＬ３よりも高さサイズＬ２の方が長く形成されている。また、脚桁５１のうち、脚桁５１の前後方向（長手方向）の両端それぞれから空洞６１Ａの前記方向の両端に至る端部６７は、その前後方向（長手方向）のサイズＬ１が幅サイズＬ３よりも長く形成されている。なお、サイズＬ１，Ｌ２，Ｌ３は、外装シート６３の厚みを除くサイズである。

［実施形態の効果］
このように、紙製パレット１０が構成されているため、脚桁５１における上下方向の強度は積層構造体６１によって確保され、左右方向の強度はハニカム構造体６２によって確保される。これにより、紙製パレット１０に重量物が載置された場合は、積層構造体６１によって脚桁５１が押しつぶされることはなく、また、差込口５３Ａに挿入されたフォークに脚桁５１の内側面が押圧された場合は、ハニカム構造体６２によって脚桁５１の座屈等が防止される。

また、脚桁５１における前後方向の端部６７は、積層構造体６１のみによって構成されており、しかも、前後方向のサイズＬ１が幅サイズＬ３よりも長く形成されている。そのため、運搬機の作業者が端部６７をフォークで押圧して紙製パレット１０の向きを変えたり、紙製パレット１０を移動したりしても、端部６７の前後方向の強度が十分確保されているため、端部６７が凹んだり損壊することが防止される。

また、積層構造体６１よりもハニカム構造体６２が軽量に構成されているため、脚桁５１は、積層構造体６１のみで構成された従来の脚桁よりも軽量であるため、保管や取り扱いが容易である。

なお、上述の実施形態では、空洞６１Ａにハニカム構造体６２が隙間無く充填された例について説明したが、例えば、本発明は、脚桁５１の長手方向に複数の短尺な空洞が所定間隔で区画形成されており、その各空洞それぞれにハニカム構造体６２が充填された構成であってもよい。

１０：紙製パレット
１１：包装ケース
１２：トレー
１４：外ケース
１６：中枠
２１：支持部材
５１：脚桁
６１：積層構造体
６２：ハニカム構造体

Claims (6)

1. 断面が矩形状に形成され、一方向に長尺な複数の脚桁を有し、
   前記複数の脚桁のうちの少なくとも一つの脚桁が、
   紙製シート状の複数枚の芯材が前記脚桁の長手方向に直交する幅方向に積層され、内部に空洞が形成された積層構造体と、
   前記積層構造体の前記空洞に嵌め入れられ、前記幅方向へ延びる複数の筒状セルを有するハニカム構造体とからなる紙製パレット。
2. 前記ハニカム構造体は、前記空洞に充填されている請求項１に記載の紙製パレット。
3. 前記脚桁の長手方向の両端それぞれから前記空洞に至る長さは、前記幅方向の長さよりも長く形成されている請求項１又は２に記載の紙製パレット。
4. 前記ハニカム構造体は、前記積層構造体に比べて単位体積あたりの重量が軽い請求項１から３のいずれかに記載の紙製パレット。
5. 前記芯材は、段ボールシートであり、筒状セルは、断面正六角形状に形成されている請求項１から４のいずれかに記載の紙製パレット。
6. 請求項１〜５のいずれかに記載の紙製パレットと、
   前記紙製パレットの上面に底部が接合され、荷物を支持するためのトレーと、
   下面が開放されており、前記トレーに下部が装着される外ケースと、を備え、前記トレーと前記外ケースとにより囲まれた内部空間に被包装物を包装可能な包装ケース。

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