JP5785921B2 - コンテナ及びパレット付きコンテナ - Google Patents

Description

本発明は、コンテナ及びパレット付きコンテナに関する。

磁気記録テープやフィルム等のロール状の材料を輸送するためのコンテナとしては、例えば特許文献１、２に示すものがある。特許文献１のコンテナは、堅牢な補強合板からなるパネルを組み立てて収容空間を画成するリターナブル梱包材からなる。コンテナは、この画成された収容空間内に磁気記録テープ等のロール状部材が収容されて輸送先まで搬送される。輸送先では使用後のコンテナが回収され、再度、輸送用コンテナとして使用される。

つまり、図１４に示すように、このコンテナは、保管されたパネルが輸送前に組み立てられ、組み立てたコンテナ内に製品を梱包した後、出荷される。そして、輸送先に入荷された後、コンテナは開梱されて製品の積み換えが行なわれ、製品とコンテナとが分離される。そして、コンテナは各パーツに分解され、小さく折り畳んだ状態で輸送元に返却される。輸送元では返却されたコンテナを洗浄した後、次の使用があるまでコンテナを保管する。
また、特許文献２のコンテナは、補強合板に代えて段ボールを用いて構成されている。これにより、コンテナの製造コストを低減し、軽量化により搬送・保管を容易にしつつ、反復使用を可能にしている。

特許第４１０８２０２号公報 特許第４５１９２９８号公報

しかしながら、特許文献１、２のようなリターナブル方式のコンテナでは、一度使用したコンテナを輸送先にて分解し、輸送元に返却する必要があり、作業が煩雑となる上に返却費用が余分にかかる不利がある。更に、特許文献１のコンテナにおいては、返却後にコンテナの洗浄処理を行うため、コンテナ再利用によるコストダウン分を加味しても、却ってコスト高となる場合がある。

また、特許文献２のコンテナにおいては、コンテナの保管時や輸送時に多段積みする場合、補強部材が必要となる。補強部材は、製品の外側を枠状に囲む形状であるため、コンテナが補強部材によって大型化・重量化し、輸送コストや梱包材のコストが増大する。

そこで本発明は、必要な強度を維持しつつ小型・軽量化でき、しかもディスポーザブル方式であっても輸送コストを低減できるコンテナ及びパレット付きコンテナを提供することを目的とする。

本発明は下記構成からなる。
（１） 芯部を有するロール状部材が収容されるコンテナであって、
底面部、及び該底面部から立設され前記芯部の軸と直交して対面配置される一対の側壁を有するトレイと、
前記一対の側壁に沿って前記底面部上にそれぞれ配置される一対の第１側板と、
前記トレイの底面部に対面する天面部を有し、前記ロール状部材を前記トレイとの間に挟んで配置されるキャップと、
前記一対の第１側板にそれぞれ沿って配置され、その頂辺が前記側壁の側壁頂辺より上方に突出して前記キャップの天面部に当接する一対の第２側板と、
を備え、
前記トレイ、第１側板、第２側板、及びキャップは、それぞれ段ボール材料から成り、
前記トレイの底面部と前記キャップの天面部の対応する位置に、前記トレイ側と前記キャップ側でそれぞれ相互に係合可能な凸部と凹部を有して構成される第１の係合部が設けられ、
前記トレイは、前記一対の側壁のそれぞれに、該側壁の側壁頂辺から側壁底辺へ向かう途中まで形成され、前記ロール状部材の芯部が挿入可能な第１の溝を有し、
前記第１側板は、前記側壁に沿って前記トレイの底面部上に配置された際の前記第１の溝に対応する位置で、前記第１側板の第１側板頂辺から第１側板底辺へ向かう途中まで形成され、前記芯部が支持される第２の溝を有し、
前記第２側板は、前記第１の溝に対応する位置で、該第２側板の第２側板底辺から第２側板頂辺に向かう途中まで形成され、前記ロール状部材が収容された際に前記芯部にその溝上部が当接する第３の溝を有し、
前記第１側板が前記側壁に沿って前記トレイの底面部上に配置された際、前記トレイの底面部から前記側壁における前記第１の溝の溝下部までの高さＨ１と、前記トレイの底面部から前記第１側板における前記第２の溝の溝下部までの高さＨ２との関係が、Ｈ２＞Ｈ１で表され、前記トレイの底面部から前記第１側板頂辺までの高さＨ３と、前記トレイの底面部から前記側壁頂辺までの高さＨ４との関係が、Ｈ３＞Ｈ４で表される、
多段積みが可能なコンテナ。
（２） （１）のコンテナと、
上記コンテナを天面に載置するパレットと、
を備えるパレット付きコンテナ。

本発明のコンテナ及びパレット付きコンテナによれば、必要な強度を維持しつつ小型・軽量化でき、しかもディスポーザブル方式であっても輸送コストを低減できる。

本発明の実施形態を説明するための図で、巻芯に帯状材料を巻き付けたロール状部材を収容するコンテナの斜視図である。 図１に示す１本のロール状部材の斜視図である。 コンテナをパレット上に２段重ねする際の、下段コンテナ、及び上段コンテナの分解斜視図である。 トレイの側壁及び第１側板と、これらをお互いに沿って配置した様子を側面から示す説明図である。 トレイの側壁、第１側板、及び第２側板と、これらをお互いに沿って配置した様子を側面から示す説明図である。 （Ａ）はトレイに第１側板を組み込み、第１側板がロール状部材を支持した状態を示す側面図、（Ｂ）は第２の溝の溝下部が局所的に潰れ、トレイの側壁に形成された第１の溝の最下部の位置まで押し潰された状態を示す側面図である。 （Ａ），（Ｂ）は第１側板が潰れる様子を模式的に示す断面図である。 巻芯が受ける荷重と、第１側板単体又は第２側板及び側壁の変形量との関係を概略的に示すグラフである。 （Ａ），（Ｂ）は、トレイに第１側板、第２側板を組み込み、ロール状部材を支持した状態を示す側面図である。 （Ａ），（Ｂ）は、図９（Ａ），（Ｂ）に対応する断面図である。 本構成のコンテナを多段積みした状態を示す外観斜視図である。 船舶輸送する際の貨物コンテナへの積載状態を模式的に示す斜視図である。 本構成のコンテナを用いた輸送システムのブロック図である。 従来のコンテナを用いた輸送システムのブロック図である。

以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図１は本発明の実施形態を説明するための図で、巻芯に帯状材料を巻き付けたロール状部材を収容するコンテナの斜視図、図２は図１に示す１本のロール状部材の斜視図である。
図１に示すように、コンテナ１００は、並列配置された３本のロール状部材１１を収容する。コンテナ１００は、底面部１３、及び底面部１３から立設される一対の側壁１７，１７を有するトレイ１９と、キャップ２１とを備える。一対の側壁１７，１７は、トレイ１９に収容されるロール状部材１１の巻芯１５の軸と直交して対面配置される。

また、コンテナ１００は、一対の側壁１７，１７に沿って底面部１３上に配置され、詳細を後述する一対の第１側板及び一対の第２側板を更に備える。これらトレイ１９、キャップ２１、第１側板、及び第２側板は、それぞれ複数のライナー層及び中芯層を有する多層構造体の段ボール材料からなる。段ボール材料は、プラスチック素材や金属素材に対し安価な上、軽さを強度、構造に由来する衝撃吸収性、折り畳んでは組み立てられる利便性等を有し、コンテナ材料として適している。また、使用後に古紙としてリサイクルでき、コスト及び環境負荷の低減の点で優れている。また、複数のライナー層及び中芯層を有する多層構造体とすることで、強度をさらに確保することができる。

本構成例におけるロール状部材１１は、図２に示すように、規定の一定幅に裁断した磁気記録テープがハブに巻回されたパンケーキ２５を多数本、芯部である巻芯１５に挿通させて同軸支持した積層体である。巻芯１５は、塩化ビニール等を用いた円管であり、軸方向外側に配置されたパンケーキ２５の端面から側方に突出する部分によって、コンテナ１００に両端支持される。

図３は上記のコンテナ１００をパレット上に２段重ねする際の、下段コンテナ１００Ａ、及び上段コンテナ１００Ｂの分解斜視図である。なお、以下の説明では、共通する部材には同じ符号を付与することで、その説明を簡単化又は省略する。

パレット２７上に載置されるコンテナ１００Ａは、一対の側壁１７，１７を有するトレイ１９Ａと、一対の側壁１７，１７に沿って底面部１３上にそれぞれ配置され、巻芯１５を支持する一対の第１側板２９，２９を備える。更にコンテナ１００Ａは、一対の側壁１７，１７及びこれら側壁１７，１７に沿う一対の第１側板２９，それぞれ第１側板２９に対し沿って配置される一対の第２側板３１，３１を備える。またコンテナ１００Ａは、トレイ１９の底面部１３に対面する天面部２１ａを有し、ロール状部材１１をトレイ１９との間に挟んで配置されるキャップ２１Ａを備える。

このコンテナ１００Ａ上に、コンテナ１００Ｂが積載される。コンテナ１００Ａのキャップ２１Ａの天面の角部４箇所には、それぞれズレ止め突起３３（第１の係合部）が設けてある。また、コンテナ１００Ｂのトレイ１９Ｂの底面部１３Ｂのズレ止め突起３３に対応する角部４箇所には、それぞれ係合穴３５（第１の係合部）が設けてある。

キャップ２１Ａのズレ止め突起３３、及びトレイ１９Ｂの係合穴３５は、凸部である突起３３が凹部である係合穴３５に挿入されることで、積載されたコンテナ１００Ａと１００Ｂとの横ズレを防止し、荷崩れを防止する。この係合穴３５は、トレイ１９Ｂと同様にトレイ１９Ａに対しても設けられている。

また、トレイ１９Ａの係合穴３５（第２の係合部）に対応するパレット２７の天面における角部４箇所には、ズレ止め突起３７（第２の係合部）が設けてある。凸部であるズレ止め突起３７と凹部である係合穴３５は、相互に係合することで、前述同様にコンテナ１００Ａがパレット２７上に積載された際の横ズレを防止し、荷崩れを防止する。パレット２７のズレ止め突起３７は、キャップ２１Ａのズレ止め突起３３と同一形状であり、トレイ１９Ａ，１９Ｂのいずれの係合穴３５にも係合可能となっている。

次に、上記コンテナ１００（１００Ａ，１００Ｂ）によるロール状部材１１の支持構造について詳細に説明する。
図４はトレイ１９の側壁１７及び第１側板２９と、これらをお互いに沿って配置した様子を側面から示す説明図である。
トレイ１９の側壁１７は、図３にも示すように、ロール状部材１１の巻芯１５を挿入して巻芯１５を規定位置で制止させるための巻芯制止溝（第１の溝）４１が形成されている。本構成のコンテナ１００は３本のロール状部材１１を収容するため、巻芯制止溝４１を３箇所に等間隔で形成している。巻芯制止溝４１は、それぞれ鉛直方向に、側壁頂辺４３から側壁底辺４５へ向かう途中まで、Ｕ字状に切り込まれた溝である。Ｕ字状に切り込まれた溝とすることで、溝にかかる荷重を分散することができる。

第１側板２９は、側壁１７の巻芯制止溝４１と同じ位置に、巻芯１５を支持するための巻芯支持溝（第２の溝）４７が形成されている。巻芯支持溝４７は、それぞれ鉛直方向に、第１側板頂辺４９から第１側板底辺５１へ向かう途中まで、Ｕ字状に切り込まれた溝である。第１側板２９は、側壁１７に沿ってトレイ１９の底面部１３上に配置された際、底面部１３から巻芯制止溝４１の溝下部４１ａまでの高さＨ１よりも、底面部１３から巻芯支持溝４７の溝下部４７ａまでの高さＨ２が高くなるように形成されている。即ち、高さＨ１とＨ２との関係は、Ｈ２＞Ｈ１となっている。

また、第１側板２９の底面部１３からの高さＨ３は、側壁１７の底面部１３からの高さＨ４より上方に突出した高さとなっており、高さＨ３とＨ４との関係は、Ｈ３＞Ｈ４となっている。

図５はトレイ１９の側壁１７、第１側板２９、第２側板３１と、及びこれらをお互いに沿って配置した様子を側面から示す説明図である。
図５及び図３に示すように、一対の第２側板３１は、トレイ１９の側壁１７及び第１側板２９に沿って、第１側板２９の互いに対面する内側面２９ａ（図３参照）側にそれぞれ配置される。

図５に示すように、第２側板３１は、側壁１７の巻芯制止溝４１、第１側板２９の巻芯支持溝４７の位置で、ロール状部材１１の巻芯１５を挿入して、その溝上部５３ａから巻芯１５にキャップ２１からの鉛直荷重を伝達するための巻芯押さえ溝（第３の溝）５３が形成されている。この第２側板３１の巻芯押さえ溝５３は、鉛直方向に第２側板底辺５５から第２側板頂辺５７に向かう途中まで、Ｕ字状に切り込まれて形成されている。

第２側板３１は、第２側板頂辺５７がキャップ２１Ａの内面に当接し、巻芯押さえ溝５３の溝上部５３ａは、ロール状部材１１の巻芯１５に当接する。また、第２側板３１の高さＨ５は、図４に示す第１側板２９の高さＨ３より低くなっている。そのため、図５に示すように、溝上部５３ａが巻芯１５に当接した状態では、第２側板３１の第２側板底辺５５とトレイ１９の底面部１３との間に隙間が形成される。

次に、上記構成のコンテナの作用について説明する。
図６（Ａ）はトレイ１９に第１側板２９を組み込み、第１側板２９がロール状部材１１を支持した状態を示す側面図である。この場合、ロール状部材１１の巻芯１５は、第１側板２９の巻芯支持溝４７の溝下部４７ａで支持される。そのため、ロール状部材１１の自重、上下振動により負荷される外力、上段に積載されるコンテナの自重、等の荷重Ｗは、巻芯１５を介して第１側板２９の溝下部４７ａに負荷される。

荷重Ｗが溝下部４７ａに負荷されると、Ｕ字状の底部である溝下部４７ａが弾性的に撓んで巻芯１５を弾性支持する。そして、荷重Ｗが溝下部４７ａの弾性変形領域を超え、塑性変形領域に入ると、図６（Ｂ）に示すように、溝下部４７ａは局所的に潰れ、側壁１７に形成された巻芯制止溝４１の溝下部４１ａの位置まで押し潰される。

図７（Ａ），（Ｂ）にこのときの第１側板２９が潰れる様子を模式的な断面図で示した。図７（Ａ）に示すように、巻芯１５に荷重Ｗが加わると、その荷重Ｗは、巻芯１５の両端に配置された一対の第１側板２９の溝下部４７ａにそれぞれ負荷される。そして、荷重Ｗが、第１側板２９の弾性変形領域を超え、塑性変形領域に入る程度に溝下部４１ａに負荷されると、図７（Ｂ）に示すように、溝下部４１ａは下方に向けて塑性変形し、側壁１７の溝下部４１ａの高さ位置まで潰れる。つまり、第１側板２９は、巻芯支持溝４７の溝下部４７ａから巻芯制止溝４１の溝下部４１ａまでの高さ領域に、巻芯１５からの荷重により塑性変形可能な第１変形領域（δ１の高さ領域）を有し、この領域が局所的に変形する。

このとき、第１側板２９の溝下部４７ａにおける巻芯１５との当接部位は、塑性変形によって押し広げられ、巻芯１５との接触面積が増加する。また、この当接部位は、圧縮により材料密度が増加するので耐圧縮性が向上する。更に、隣接する側壁１７の溝下部４１ａが第１側板２９の上記当接部位に隣接する。これにより、広い面積で巻芯１５を支持する台座部６１（４１ａ，４７ａ）が形成され、巻芯１５を安定して支持する高強度の支持構造体が得られる。

図８は、巻芯１５が受ける荷重と、第１側板２９単体又は第２側板３１及び側壁１７の変形量との関係を概略的に示すグラフである。
第１側板２９は、巻芯１５から荷重Ｗを受ける際、第１側板２９の弾性変形領域では第１側板２９の材料自体の弾性により巻芯１５を支持する。荷重Ｗが第１側板２９の弾性変形領域を超えると、第１側板２９の溝下部４７ａが局所的に塑性変形する。この塑性変形は、巻芯１５が巻芯制止溝４１の溝下部４１ａの深さに到達するまで続く。

巻芯１５が溝下部４１ａの深さに到達した後は、巻芯１５を支持する支持構造体が前述したように高強度となる。そのため、荷重Ｗの増加に対する変形量は少なく、大きな荷重Ｗが負荷されても巻芯１５を安定して支持できる。このように、本構成によれば、ロール状部材１１が大局的に２段階の強度で支持される。

つまり、本構成の支持形態では、巻芯１５が側壁１７の巻芯制止溝４１の溝下部４１ａの高さに到達するまでの柔軟支持域と、溝下部４１ａに到達した後の高強度支持域とを有する。柔軟支持域では、ロール状部材１１に生じる振動や自重による荷重を、クッション性を有して効率良く吸収できる。また、高強度支持域では、ロール状部材１１の巻芯１５に大荷重が負荷された場合でも、この大荷重を少ない変形量で安定して支持できる。よって、ロール状部材１１のパンケーキ２５（図２参照）の外周面が、コンテナ１００の内面に接触することがない。

第１側板２９における巻芯支持溝４７の溝下部４７ａから、側壁１７における巻芯制止溝４１の溝下部４１ａまでの第１側板２９の突出長δ１（Ｈ２−Ｈ１）は、荷重W、輸送時に受ける加速度、側壁１７と第１側板２９の材質及び厚み等を考慮して設定される。一般的には、高さＨ２に対して１％以上、１０％以下とすることが好ましい。突出長δ１が高さＨ２に対して１％未満であると、低荷重領域で巻芯１５が側壁１７の巻芯制止溝４１の溝下部４１ａの高さに到達し側壁１７への荷重負荷が開始される結果、側壁１７の変形も低荷重領域より開始する。このため、ロール状部材１１の巻芯１５に大荷重が負荷された場合に、側壁１７の変形が弾性領域を超えて塑性変形領域に達する危険性も増加する。側壁１７が塑性変形した場合には、輸送後にロール部材１１の損傷の有無を検査する必要が生じる場合があり、好ましくない。また、突出長δ１が高さＨ２に対して１０％を超えると、コンテナが大型化・重量化するため輸送コストや材料費が増大し、好ましくない。本構成例では、Ｈ１＝１９５ｍｍ、Ｈ２＝２００ｍｍ、δ１＝５ｍｍ（Ｈ２の２．５％）としている。

次に、コンテナ１００を多段積みした際に、下段のコンテナが上段のコンテナからの荷重を受ける場合の作用を説明する。
図９（Ａ）、（Ｂ）は、トレイ１９に第１側板２９、第２側板３１を組み込み、ロール状部材１１を支持した状態を示す側面図、図１０（Ａ）、（Ｂ）は、図９（Ａ），（Ｂ）に対応する断面図である。

この場合、多段積みされた上段のコンテナから受ける荷重Ｗは、図９（Ａ）、図１０（Ａ）に示すように、キャップ２１を介して、一対の第１側板２９（第１側板頂辺４９）、及び一対の第２側板３１（第２側板頂辺５７）にそれぞれ負荷される。なお、第１側板頂辺４９は、図９（Ａ）に示すように、巻芯支持溝４７によって櫛歯状に形成され、側壁１７の側壁頂辺４３から上方にδ２だけ突出した突出部２９ｂを複数（図示例では４個）有する。

図１０（Ａ）に示すように、第１側板頂辺４９と第２側板頂辺５７は、キャップ２１の内面に当接して荷重Ｗを受ける。第２側板３１の巻芯押さえ溝５３の溝上部５３ａは巻芯１５に当接し、また、第１側板２９の第１側板底辺５１はトレイ１９の底面部１３に当接する。これにより、荷重Ｗが巻芯１５及び底面部１３に分散しながら伝達される。

キャップ２１に負荷される荷重Ｗが第１側板２９、第２側板３１の弾性変形領域を超えるまでは、第１側板２９，第２側板３１が弾性的に撓んで荷重Ｗを受ける。そして、キャップ２１に負荷される荷重Ｗが、第１側板２９、第２側板３１の弾性変形領域を超え、塑性変形領域に入る程度に負荷されると、第１側板２９と第２側板３１は圧縮力を受けて局所的に塑性変形する。なお、トレイ１９の底面部１３に当接する第1側板２９は、第１側板頂辺４９側が櫛歯状に形成されることで、第１側板底辺５１側より先に第１側板頂辺４９側が変形するようになっている。

図９（Ｂ）、図１０（Ｂ）に示すように、第１側板２９、第２側板３１は局所的に潰れ、トレイ１９の側壁頂辺４３と同じ高さにまで押し潰される。つまり、第１側板２９、第２側板３１は、側壁頂辺４３より上方に突出された高さ領域に、塑性変形可能な第２変形領域、第３変形領域（δ２の高さ領域）をそれぞれ有し、この領域が局所的に変形する。

このとき、第１側板２９と第２側板３１のキャップ２１との当接部位は、変形によって押し広げられ、キャップ２１との接触面積が増加する。また、この当接部位は、圧縮により材料密度が増加するので耐圧縮性が向上する。更に、隣接する側壁１７の側壁頂辺４３が、第１側板２９と第２の側板３１の上記当接部位に隣接する。これにより、広い面積でキャップ２１を支持する台座部６３（４３，４９，５７）が形成され、キャップ２１からの荷重Ｗを安定して支持する高強度の支持構造体が得られる。

荷重Ｗが弾性変形領域を超え、第１側板２９及び第２側板３１における側壁１７からの突出長δ２（Ｈ３−Ｈ４）分が潰されると、前述の図８に示す柔軟支持域から高強度支持域への切り換わりが前述同様に生じる。これにより、第１側板２９及び第２側板３１が高強度の支持構造体となる。

つまり、本支持形態では、第１側板２９、第２側板３１の変形が、側壁１７の側壁頂辺４３の高さに到達するまでの柔軟支持域と、側壁頂辺４３の高さに到達した後の高強度支持域とを有する。柔軟支持域では、キャップ２１に負荷される振動や荷重を、クッション性を有して効率良く吸収できる。また、高強度支持域では、キャップ２１に大荷重が負荷された場合でも、この大荷重を安定して支持でき、ロール状部材１１のパンケーキ２５（図２参照）の外周面が、キャップ２１の内面に接触することがない。なお、第２側板３１の変形はキャップ２１側の他、巻芯１５側にも生じ得る。

側壁１７における側壁頂辺４３から第１側板２９における第１側板頂辺４９までの突出長δ２（Ｈ３−Ｈ４）は、高さＨ３に対して１％以上、１０％以下とすることが好ましい。突出長δ２が高さＨ３に対して１％未満であると、低荷重領域で第１側板２９、第２側板３１の変形が側壁１７の側壁頂辺４３の高さに到達し側壁１７への荷重負荷が開始される結果、側壁１７の変形も低荷重領域より開始する。このため、キャップ２１に大荷重が負荷された場合に、側壁１７の変形が弾性領域を超えて塑性変形領域に達する危険性も増加する。側壁１７が塑性変形した場合には、輸送後にロール部材１１の損傷の有無を検査する必要が生じる場合があり、好ましくない。また、突出長δ２が高さＨ３に対して１０％を超えると、コンテナが大型化・重量化するため輸送コストや材料費が増大し、好ましくない。本構成例では、Ｈ３＝４００ｍｍ、Ｈ４＝３８０ｍｍ、Ｈ５＝２５０ｍｍ、δ２＝２０ｍｍ（Ｈ３の５％）としている。

一般に、ロール状部材１１は、１ロールあたり５０〜５００ｋｇ程度の重量があり、複数のロール状部材１１を集合包装した貨物は５００〜１０００ｋｇにも達する。段ボール製の支持部材でロール状部材１１の巻芯１５を支持すると、段ボール製の支持部材は、ロール状部材１１の自重により若干潰れ、ロール状部材１１の外周面とトレイ１９の底面部１３のクリアランスが小さくなって接触する虞がある。また、コンテナの多段積み時も同様に、上段のコンテナの重さにより下段のコンテナの側壁が若干潰れ、ロール状部材１１の外周面とキャップ２１の内面とのクリアランスが小さくなって接触する虞がある。

しかし、本コンテナの構成によれば、上記した構成にすることで、また、上記した寸法関係にすればなお、輸送中であってもロール状部材１１の外周面と、トレイ１９の底面部１３及びキャップ２１の内面とのクリアランスが常に十分に確保できる。また、巻芯押さえ溝５３の溝上部５３ａが巻芯１５に当接した状態では、第２側板底辺５５とトレイ１９の底面部１３との間に隙間が形成される。この隙間によって、上段コンテナの自重は底面部１３に直接負荷されることなく、巻芯１５の軸に負荷される。そのため、ロール状部材１１は、巻芯１５が上下方向に固定され、輸送時に受ける衝撃によりコンテナ内で浮いてしまうことがなく、常に安定して支持される。

以上より、本構成のコンテナ１００によれば、ロール状部材１１の振動による力や自重、キャップ２１等に負荷される外力等の各種荷重による影響が、ロール状部材１１のパンケーキ２５に及ぶことがない。このため、ロール状部材１１の損傷を確実に防止して、常に安定した状態で支持できる。また、本コンテナ１００は、特に外力に対する補強が必要となる巻芯１５の支持部位に対してのみ、即ち、第１側板２９、第２側板３１のみ補強用として追加することにより、梱包材の使用量を抑え、安価でしかも小型化・軽量化に優れた構成にできる。

また、本構成のコンテナ１００によれば、第１側板２９、第２側板３１が変形し、側壁１７が塑性変形前である弾性支持域（図８参照）においては、コンテナ１００の外側に表出するトレイ１９に外観上の変化はない。また、側壁１７も変形し始める高強度支持域においては、トレイ１９に外観上の変化が現れる。そのため、コンテナ輸送時又は輸送前後においてトレイ１９の表面状態を確認することで、ロール状部材１１の損傷の有無を簡単に検査できる。即ち、少なくともトレイ１９の側壁１７に塑性変形や変形跡が認められなければ、ロール状部材１１は無傷であると判断できる。

次に、上記構成のコンテナ１００による、ロール状部材１１の輸送形態について説明する。
図１１は、本構成のコンテナを多段積みした状態を示す外観斜視図である。コンテナ輸送時においては、パレット２７上に下段のコンテナ１００Ａと上段のコンテナ１００Ｂが積載されたパレット付きコンテナ２００の形態とされる。パレット付きコンテナ２００とすることで、輸送・保管時の荷役作業効率を向上させることができる。パレット付きコンテナ２００は、荷崩れを防止する固定用部材としての梱包バンド６７によって、各コンテナ１００Ａ，１００Ｂ及びパレット２７が相互に締付固定されている。また、固定用部材としてのストレッチフィルム６９がコンテナ１００Ａ，１００Ｂに巻き付けられる。ストレッチフィルム６９は、伸縮性を有するポリエチレン製のフィルムであって、荷崩れ防止の他、水分、塵埃、汚れからコンテナ１００Ａ，１００Ｂを保護する保護部材としても機能する。

コンテナ１００Ａ，１００Ｂは、これら梱包バンド６７、ストレッチフィルム６９によって固定されることで、外力が負荷された場合に、その外力をコンテナ１００Ａ，１００Ｂの全体に分散させることができる。よって、外力がコンテナの一部に局所的に負荷されることがなくなり、ロール状部材１１が損傷を受けることを防止できる。

コンテナを航空輸送する場合、殆どの航空機は、規定サイズの輸送用パレットに上記したコンテナ１００Ａ，１００Ｂを積み付けて運送する。また、船舶輸送する場合も、規格化されたサイズの貨物コンテナで運送される。船舶輸送においては、例えば、４０フィートコンテナ、２０フィートコンテナ等が広く使用されている。

図１２は船舶輸送する際の貨物コンテナへの積載状態を模式的に示す斜視図である。貨物コンテナ３００には、前述のパレット付きコンテナ２００が複数配列して積載される。そのため、一つのコンテナサイズが僅かに小さくなっただけでも、貨物コンテナ３００へのコンテナ積載個数は大きく変化し得る。

よって、コンテナ１００Ａ，１００Ｂを小型化することは、１つの貨物コンテナ３００や輸送用パレットへの積載個数を稼ぐことに繋がり、輸送コストを軽減させる効果が高い。本構成のコンテナによれば、必要最小限の梱包材料でロール状部材の支持構造を補強するため、小型化、軽量化を高効率で達成でき、輸送コストを低減できる。

図１３は本構成のコンテナを用いた輸送システムのブロック図である。本輸送システムにおいては、コンテナをディスポーザブル方式で用いる。製品であるロール状部材は、前述のコンテナに梱包されて輸送元から出荷される。輸送先では、コンテナが入荷されて、開梱され、製品が積み換えられ、製品とコンテナとが分別される。コンテナは、その殆どが段ボール製であるため、輸送先にてコンテナを材料再資源化のリサイクル処理に提供される。

上記の輸送システムによれば、一旦輸送に使用された後のコンテナは、コンテナとして再利用されることなく使い捨てとなるが、コンテナの素材である段ポール材料がリサイクルに供される。そのため、材料費の一部が回収でき、また、使用後のコンテナを輸送元に戻す処理や、コンテナを洗浄する処理が不要になるので、輸送のトータルコストを軽減できる。

本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、実施形態の各構成を相互に組み合わせることや、明細書の記載、並びに周知の技術に基づいて、当業者が変更、応用することも本発明の予定するところであり、保護を求める範囲に含まれる。例えば、本コンテナの材料は段ボール材料として説明しているが、これと同等の性状及び価格を有する材料であれば本コンテナに利用可能である。また、ロール状部材は、磁気記録テープを巻回したものに限らず、他の帯状材料を芯部に巻き付けたもの、芯部に円筒状の部材を装着したもの、芯部自体が拡径部位を有してロール状に形成されたもの等、種々の形態であってもよい。更に、本構成例においては、第１，第２，第３の溝を、それぞれ鉛直方向に設けているが、外力の負荷される方向に沿って溝を形成した構成としてもよい。

以上の通り、本明細書には次の事項が開示されている。
（１） 芯部を有するロール状部材が収容されるコンテナであって、
底面部、及びその底面部から立設され上記芯部の軸と直交して対面配置される一対の側壁を有するトレイと、
上記一対の側壁に沿って上記底面部上にそれぞれ配置される一対の第１側板と、
上記トレイの底面部に対面する天面部を有し、上記ロール状部材を上記トレイとの間に挟んで配置されるキャップと、
を備え、
上記トレイは、上記一対の側壁それぞれに、その側壁の側壁頂辺から側壁底辺へ向かう途中まで形成され、上記ロール状部材の芯部が挿入可能な第１の溝を有し、
上記第１側板は、上記側壁に沿って上記トレイの底面部上に配置された際の上記第１の溝に対応する位置で、上記第1側板の第１側板頂辺から第１側板底辺へ向かう途中まで形成され、上記芯部が支持される第２の溝を有し、
上記第１側板が上記側壁に沿って上記トレイの底面部上に配置された際、上記トレイの底面部から上記側壁における上記第１の溝の溝下部までの高さＨ１と、上記トレイの底面部から上記第１側板における上記第２の溝の溝下部までの高さＨ２との関係が、Ｈ２＞Ｈ１で表されるコンテナ。
（２） （１）のコンテナであって、
上記第１側板が上記側壁に沿って上記底面部上に配置された際、上記トレイの底面部から上記第１側板頂辺までの高さＨ３と、上記トレイの底面部から上記側壁頂辺までの高さＨ４との関係が、Ｈ３＞Ｈ４で表されるコンテナ。
（３） （１）又は（２）のコンテナであって、
上記第１の溝及び上記第２の溝は、互いに対応する位置に複数箇所に形成され、上記複数箇所のそれぞれに、上記ロール状部材が上記芯部を挿入して支持されるコンテナ。
（４） （１）乃至（３）のいずれか一つのコンテナであって、
上記トレイの上記一対の側壁及びその側壁にそれぞれ沿って配置される上記一対の第１側板に対し、それぞれ沿って配置される一対の第２側板を備え、
上記第２側板は、その第２側板の第２側板頂辺が上記側壁の頂辺より上方に突出されて上記キャップの天面部に当接し、
且つ、上記第１の溝に対応する位置で、上記第２側板の第２側板底辺から上記第２側板頂辺に向かう途中まで形成され、上記ロール状部材が収容された際に上記芯部にその溝上部が当接する第３の溝を有するコンテナ。
（５） （４）のコンテナであって、
上記トレイ、上記第１側板、上記第２側板、及び上記キャップは、それぞれ段ボール材料からなるコンテナ。
（６） （５）のコンテナであって、
上記段ボール材料は、複数のライナー層及び中芯層を有する多層構造体であるコンテナ。
（７） （４）乃至（６）のいずれか一つのコンテナであって、
上記第１の溝、上記第２の溝、及び上記第３の溝は、それぞれＵ字状の溝であるコンテナ。
（８） （１）乃至（７）のいずれか一つのコンテナであって、
上記トレイの底面部と上記キャップの天面部の対応する位置にそれぞれ第１の係合部が設けられ、
上記第１の係合部は、上記トレイ側と上記キャップ側でそれぞれ相互に係合可能な凸部と凹部を有して構成されるコンテナ。
（９） （１）乃至（８）のいずれか一つのコンテナであって、
上記ロール状部材は、上記芯部に磁気記録テープを巻回させたロール状部材であるコンテナ。
（１０） （１）乃至（９）のいずれか一つのコンテナと、
上記コンテナを天面に載置するパレットと、
を備えるパレット付きコンテナ。
（１１） （１０）のパレット付きコンテナであって、
上記トレイの底面部と上記パレットの天面部の対応する位置にそれぞれ第２の係合部が設けられ、
上記第２の係合部は、上記トレイ側と上記パレット側でそれぞれ相互に係合可能な凸部と凹部を有して構成されるパレット付きコンテナ。
（１２） （１１）のパレット付きコンテナであって、
上記第１の係合部と上記第２の係合部は、同一形状であるパレット付きコンテナ。
（１３） （１０）乃至（１２）のいずれか一つのパレット付きコンテナであって、
上記コンテナを上記パレットに固定するための固定用部材を備えるパレット付きコンテナ。
（１４） （１３）のパレット付きコンテナであって、
上記固定用部材は、梱包バンド、ストレッチフィルムの少なくともいずれかを含むパレット付きコンテナ。

１１ ロール状部材
１３ 底面部
１５ 巻芯（芯部）
１７ 側壁
１９ トレイ
２１ キャップ
２７ パレット
２９ 第１側板
３１ 第２側板
３３ ズレ止め突起（第１の係合部）
３５ 係合孔（第１の係合部）
４１ 巻芯制止溝（第１の溝）
４１ａ 最下部
４３ 側壁頂辺
４５ 側壁底辺
４７ 巻芯支持溝（第２の溝）
４７ａ 最下部
４９ 第１側板頂辺
５１ 第１側板底辺
５３ 巻芯押さえ溝（第３の溝）
５３ａ 最上部
５５ 第２側板底辺
５７ 第２側板頂辺
６１ 台座部
６３ 台座部
６７ 梱包バンド
６９ ストレッチフィルム
１００ コンテナ
１００Ａ，１００Ｂ コンテナ
２００ パレット付きコンテナ
３００ 貨物コンテナ

Claims (10)

1. 芯部を有するロール状部材が収容されるコンテナであって、
   底面部、及び該底面部から立設され前記芯部の軸と直交して対面配置される一対の側壁を有するトレイと、
   前記一対の側壁に沿って前記底面部上にそれぞれ配置される一対の第１側板と、
   前記トレイの底面部に対面する天面部を有し、前記ロール状部材を前記トレイとの間に挟んで配置されるキャップと、
   前記一対の第１側板にそれぞれ沿って配置され、その頂辺が前記側壁の側壁頂辺より上方に突出して前記キャップの天面部に当接する一対の第２側板と、
   を備え、
   前記トレイ、第１側板、第２側板、及びキャップは、それぞれ段ボール材料から成り、
   前記トレイの底面部と前記キャップの天面部の対応する位置に、前記トレイ側と前記キャップ側でそれぞれ相互に係合可能な凸部と凹部を有して構成される第１の係合部が設けられ、
   前記トレイは、前記一対の側壁のそれぞれに、該側壁の側壁頂辺から側壁底辺へ向かう途中まで形成され、前記ロール状部材の芯部が挿入可能な第１の溝を有し、
   前記第１側板は、前記側壁に沿って前記トレイの底面部上に配置された際の前記第１の溝に対応する位置で、前記第１側板の第１側板頂辺から第１側板底辺へ向かう途中まで形成され、前記芯部が支持される第２の溝を有し、
   前記第２側板は、前記第１の溝に対応する位置で、該第２側板の第２側板底辺から第２側板頂辺に向かう途中まで形成され、前記ロール状部材が収容された際に前記芯部にその溝上部が当接する第３の溝を有し、
   前記第１側板が前記側壁に沿って前記トレイの底面部上に配置された際、前記トレイの底面部から前記側壁における前記第１の溝の溝下部までの高さＨ１と、前記トレイの底面部から前記第１側板における前記第２の溝の溝下部までの高さＨ２との関係が、Ｈ２＞Ｈ１で表され、前記トレイの底面部から前記第１側板頂辺までの高さＨ３と、前記トレイの底面部から前記側壁頂辺までの高さＨ４との関係が、Ｈ３＞Ｈ４で表される、
   多段積みが可能なコンテナ。
2. 請求項１記載のコンテナであって、
   前記第１の溝、前記第２の溝及び前記第３の溝は、互いに対応する位置に複数箇所に形成され、前記複数箇所のそれぞれに、前記ロール状部材が前記芯部を挿入して支持されるコンテナ。
3. 請求項１記載のコンテナであって、
   前記段ボール材料は、複数のライナー層及び中芯層を有する多層構造体であるコンテナ。
4. 請求項１記載のコンテナであって、
   前記第１の溝、前記第２の溝、及び前記第３の溝は、それぞれＵ字状の溝であるコンテナ。
5. 請求項１乃至請求項４のいずれか一項記載のコンテナであって、
   前記ロール状部材は、前記芯部に磁気記録テープを巻回させたロール状部材であるコンテナ。
6. 請求項１乃至請求項５のいずれか一項記載のコンテナと、
   前記コンテナを天面に載置するパレットと、
   を備えるパレット付きコンテナ。
7. 請求項６記載のパレット付きコンテナであって、
   前記トレイの底面部と前記パレットの天面部の対応する位置にそれぞれ第２の係合部が設けられ、
   前記第２の係合部は、前記トレイ側と前記パレット側でそれぞれ相互に係合可能な凸部と凹部を有して構成されるパレット付きコンテナ。
8. 請求項７記載のパレット付きコンテナであって、
   前記第１の係合部と前記第２の係合部は、同一形状であって、対応する位置に設けられているパレット付きコンテナ。
9. 請求項６乃至請求項８のいずれか一項記載のパレット付きコンテナであって、
   前記コンテナを前記パレットに固定するための固定用部材を備えるパレット付きコンテナ。
10. 請求項９記載のパレット付きコンテナであって、
    前記固定用部材は、梱包バンド、ストレッチフィルムの少なくともいずれかを含むパレット付きコンテナ。

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