JP6769352B2 - 印刷装置、印刷システム、印刷制御方法、及び、プログラム - Google Patents

Description

本発明は、印刷装置、印刷システム、印刷制御方法、及び、プログラムに関する。

従来から、サーマルヘッドに設けられた発熱素子に対する通電を制御することで、インクリボンに塗布されたインクを被印刷媒体に転写して印刷を行う印刷装置が知られている。

熱転写方式を採用した上記のような印刷装置では、サーマルヘッドにおいて高温から低温への急激な温度変化が生じたときにサーマルヘッドにインクリボンが張り付いてしまうスティッキングと呼ばれる現象が生じることがある。スティッキングが発生すると、印刷が正常に行われず部分的に印刷が行われない領域が生じるため、印刷品位が著しく低下してしまう。

特許文献１には、チョッパ制御によりスティッキングの発生を防止するサーマルプリンタが記載されている。チョッパ制御は、サーマルヘッドへの通電／非通電の切換を頻繁に行う技術であり、チョッパ制御を行うことでサーマルヘッドの急激な温度変化を防止することができる。

特開２０１３−０５２５３９号公報

ところで、印刷装置にチョッパ制御のための回路を追加することは、製品製造におけるコストアップにつながるため、望ましくない。一方で、ソフトウェアでチョッパ制御を実現するためには、制御プログラムの複雑化、大規模化が避けられない。このため、印刷装置では、スティッキングの発生を抑制することが可能であって、チョッパ制御よりも簡単な制御が望まれている。

以上のような実情を踏まえ、本発明の一側面に係る目的は、簡単な制御でスティッキングの発生を抑制することである。

本発明の一態様に係る印刷装置は、複数の発熱素子を有し、被印刷媒体に複数のラインを印刷するサーマルヘッドと、制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記複数のラインをそれぞれ印刷させるための複数のラインデータを含む印刷データに基づいて前記複数のラインにおけるスティッキングが発生する可能性があると推定されるラインが印刷される前に印刷される少なくとも一つの調整対象ラインの各々での前記複数の発熱素子に対する通電時間を、前記サーマルヘッドの温度に基づいて当該調整対象ラインに設定されている基準通電時間よりも短い時間に調整する。

本発明の別の態様に係る印刷装置は、複数の発熱素子を有し、被印刷媒体に複数のラインを印刷するサーマルヘッドと、制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記複数のラインのうちの、スティッキングが発生する可能性があると推定されているラインが印刷される前に印刷される少なくとも一つの調整対象ラインの各々での前記複数の発熱素子に対する通電時間を、前記サーマルヘッドの温度に基づいて当該調整対象ラインに設定されている基準通電時間よりも短い時間に調整する。

本発明の一態様に係る印刷システムは、上記の態様の印刷装置と、コンピュータと、を備え、前記コンピュータは、前記複数のラインをそれぞれ印刷させるための複数のラインデータを含む印刷データに基づいて、前記複数のラインにおける前記スティッキングが発生する可能性があると推定されるラインをスティッキング発生推定ラインとして決定し、
前記複数のラインにおける前記スティッキング発生推定ラインを特定するスティッキング発生推定ラインデータを前記印刷装置へ出力し、前記制御装置は、前記複数のラインにおける前記スティッキングが発生する可能性があると推定されるラインが印刷される前に印刷される２以上の所定の数のラインを前記調整対象ラインに設定し、前記調整対象ラインの前記所定の数のラインの各々における前記通電時間を、前記スティッキングが発生すると推定されるラインに近い程、前記基準通電時間に対する差が大きくなるように調整し、前記スティッキング発生推定ラインデータに基づいて前記調整対象ラインを設定する。

本発明の別の態様に係る印刷システムは、上記の態様の印刷装置と、コンピュータと、を備え、前記コンピュータは、前記複数のラインをそれぞれ印刷させるための複数のラインデータを含む印刷データに基づいて、前記複数のラインにおける前記スティッキングが発生する可能性があると推定されるラインをスティッキング発生推定ラインとして決定し、前記複数のラインにおける前記スティッキング発生推定ラインが印刷される前に印刷される２以上の所定の数のラインを前記調整対象ラインに設定するための調整用データを生成し、前記調整用データを前記印刷装置へ出力し、前記制御装置は、前記調整用データに基づいて、前記調整対象ライン及び前記通電時間を設定する。

本発明の一態様に係る印刷制御方法は、印刷装置のサーマルヘッドにより被印刷媒体に複数のラインのそれぞれを印刷させるための複数のラインデータを含む印刷データに基づいて、前記複数のラインにおけるスティッキングが発生する可能性があると推定されるラインが印刷される前に印刷される少なくとも一つの調整対象ラインの各々での前記サーマルヘッドの発熱素子に対する通電時間を、前記サーマルヘッドの温度に基づいて当該調整対象ラインに設定されている基準通電時間よりも短い時間に調整する。

本発明の一態様に係るプログラムは、印刷装置が備えるコンピュータに、印刷装置のサーマルヘッドにより被印刷媒体に複数のラインをそれぞれ印刷させるための複数のラインデータを含む印刷データに基づいて、前記複数のラインにおけるスティッキングが発生する可能性があると推定されるラインが印刷される前に印刷される少なくとも一つの調整対象ラインの各々での前記サーマルヘッドの発熱素子に対する通電時間を、前記サーマルヘッドの温度に基づいて当該調整対象ラインに設定されている基準通電時間よりも短い時間に調整させる。

上記の態様によれば、簡単な制御でスティッキングの発生を抑制することができる。

印刷装置１の斜視図である。 印刷装置１に収納されるテープカセット３０の斜視図である。 印刷装置１のカセット収納部１９の斜視図である。 印刷装置１の断面図である。 印刷装置１のハードウェア構造を示したブロック図である。 印刷装置１の機能的構造を示したブロック図である。 印刷処理のフローチャートである。 前処理のフローチャートである。 調整用データを例示した図である。 ライン印刷処理のフローチャートである。 通電テーブルを例示した図である。 制御信号について説明する図である。 通電期間の時間の調整例を示した図である。 スティッキング発生推定ラインの６ライン前から３％ずつ通電時間を短縮した場合の印刷例を示した図である。 通電時間を短縮しなかった場合の印刷例を示した図である。 印刷システム１００のハードウェア構造を例示した図である。 印刷システム２００のハードウェア構造を例示した図である。

［第１の実施形態］
図１は、第１の実施形態に係る印刷装置１の斜視図である。印刷装置１は、被印刷媒体に印刷を行うサーマルヘッドを備える印刷装置であり、例えば、長尺状の被印刷媒体Ｍに、シングルパス方式で印刷を行うラベルプリンタである。以降では、インクリボンを使用する熱転写方式のラベルプリンタを例にして説明するが、印刷方式は特に限定されない。スティッキングが発生し得る印刷方式であればよく、例えば、感熱紙を使用する感熱方式であってもよい。被印刷媒体Ｍは、例えば、接着層を有する基材と、接着層を覆うように剥離可能に基材に貼付された剥離紙と、を有するテープ部材である。被印刷媒体Ｍは、離型紙なしのテープ部材であってもよい。

印刷装置１は、図１に示すように、装置筐体２と、入力部３と、表示装置４と、開閉蓋１８と、カセット収納部１９を備える。装置筐体２の上面には、入力部３、表示装置４、及び開閉蓋１８が配置されている。また、図示しないが、装置筐体２には、電源コード接続端子、外部機器接続端子、記憶媒体挿入口等が設けられている。

入力部３は、入力キー、十字キー、変換キー、決定キーなどの種々のキーを備える。表示装置４は、例えば液晶表示パネルであり、入力部３からの入力に対応する文字等、各種設定のための選択メニュー、各種処理に関するメッセージ等を表示する。また、印刷中には、被印刷媒体Ｍへの印刷が指示された文字や図形等の内容（以降、印刷内容と記す）が表示され、印刷処理の進捗状況が表示されてもよい。なお、表示装置４にはタッチパネルユニットが設けられていてもよく、その場合、表示装置４を入力部３の一部として看做してもよい。

開閉蓋１８は、カセット収納部１９の上部に開閉可能に配置されている。開閉蓋１８は、ボタン１８ａを押下されることにより開放される。開閉蓋１８には、この開閉蓋１８が閉じた状態でもカセット収納部１９にテープカセット３０（図２参照）が収納されているか否かを目視で確認可能とするために、窓１８ｂが形成されている。また、装置筐体２の側面には、排出口２ａが形成されている。印刷装置１内で印刷が行われた被印刷媒体Ｍは、排出口２ａから装置外へ排出される。

図２は、印刷装置１に収納されるテープカセット３０の斜視図である。図３は、印刷装置１のカセット収納部１９の斜視図である。図４は、印刷装置１の断面図である。図２に示すテープカセット３０は、図３に示すカセット収納部１９に着脱自在に収納される。図４には、テープカセット３０がカセット収納部１９に収納された状態が示されている。

テープカセット３０は、図２に示すように、サーマルヘッド被挿入部３６及び係合部３７が形成された、被印刷媒体ＭとインクリボンＲを収容するカセットケース３１を有する。カセットケース３１には、テープコア３２とインクリボン供給コア３４とインクリボン巻取りコア３５が設けられている。被印刷媒体Ｍは、カセットケース３１内部のテープコア３２にロール状に巻かれている。また、熱転写用のインクリボンＲは、その先端がインクリボン巻取りコア３５に巻きつけられた状態で、カセットケース３１内部のインクリボン供給コア３４にロール状に巻かれている。

装置筐体２のカセット収納部１９には、図３に示すように、テープカセット３０を所定の位置に支持するための複数のカセット受け部２０が設けられている。また、カセット受け部２０には、テープカセット３０が収容するテープ（被印刷媒体Ｍ）の幅を検出するためのテープ幅検出スイッチ２４が設けられている。テープ幅検出スイッチ２４は、カセットの形状に基づいて被印刷媒体Ｍの幅を検出する検出部である。

カセット収納部１９には、さらに、被印刷媒体Ｍに印刷を行う複数の発熱素子を有するサーマルヘッド１０と、被印刷媒体Ｍを搬送する搬送部であるプラテンローラ２１と、テープコア係合軸２２と、インクリボン巻取り駆動軸２３が設けられている。さらに、サーマルヘッド１０には、サーミスタ１３が埋め込まれている。サーミスタ１３は、サーマルヘッド１０の温度を測定するヘッド温度測定部である。

テープカセット３０がカセット収納部１９に収納された状態では、図４に示すように、カセットケース３１に設けられた係合部３７がカセット収納部１９に設けられたカセット受け部２０に支持されて、サーマルヘッド１０がカセットケース３１に形成されたサーマルヘッド被挿入部３６に挿入される。また、テープコア係合軸２２には、テープカセット３０のテープコア３２が係合し、さらに、インクリボン巻取り駆動軸２３には、インクリボン巻取りコア３５が係合する。

印刷装置１に印刷指示が入力されると、被印刷媒体Ｍは、プラテンローラ２１の回転によりテープコア３２から繰り出される。この際、インクリボン巻取り駆動軸２３がプラテンローラ２１に同調して回転することで、被印刷媒体ＭとともにインクリボンＲがインクリボン供給コア３４から繰り出される。これにより、被印刷媒体ＭとインクリボンＲは重なった状態で搬送される。そして、サーマルヘッド１０とプラテンローラ２１の間を通過する際にインクリボンＲがサーマルヘッド１０によって加熱されることで、インクが被印刷媒体Ｍに転写され、印刷が行われる。

サーマルヘッド１０とプラテンローラ２１の間を通過した使用済みのインクリボンＲは、インクリボン巻取りコア３５に巻き取られる。一方、サーマルヘッド１０とプラテンローラ２１の間を通過した印刷済みの被印刷媒体Ｍは、ハーフカット装置１６及びフルカット装置１７で切断され、排出口２ａから排出される。

図５は、印刷装置１のハードウェア構造を示したブロック図である。印刷装置１は、上述の入力部３、表示装置４、サーマルヘッド１０、サーミスタ１３、ハーフカット装置１６、フルカット装置１７、プラテンローラ２１、テープ幅検出スイッチ２４に加えて、制御装置５、ＲＯＭ（Read Only Memory）６、ＲＡＭ（Random Access Memory）７、表示装置駆動回路８、ヘッド駆動回路９、搬送用モータ駆動回路１１、ステッピングモータ１２、カッターモータ駆動回路１４、及び、カッターモータ１５、温度センサ２５を備える。なお、少なくとも制御装置５、ＲＯＭ６、及びＲＡＭ７は、印刷装置１のコンピュータを形成している。

制御装置５は、例えばＣＰＵ（Central Processing Unit）などのプロセッサ５ａを含む。制御装置５は、ＲＯＭ６に記憶されているプログラムをＲＡＭ７に展開し実行することで、印刷装置１の各部の動作を制御する。

制御装置５は、印刷データに基づいてスティッキングが発生する可能性が比較的高いラインを推定する推定部として機能する。なお、制御装置５は、印刷データに基づいて少なくともスティッキングが発生する可能性があるラインを推定する推定部として機能してもよい。また、制御装置５は、ヘッド駆動回路９を介してサーマルヘッド１０を制御するヘッド制御部としても機能し、少なくともストローブ信号と印刷データをヘッド駆動回路９へ供給する。また、制御装置５は、通電期間の時間を調整する調整対象ラインを設定するための調整用データを生成するデータ生成部としても機能する。より詳細には、制御装置５は、スティッキングが発生すると推定されるラインが印刷される前に印刷される２以上の所定の数のラインを調整対象ラインに設定するための調整用データを生成し、調整用データに基づいて調整された制御信号であるストローブ信号をヘッド駆動回路９に供給してもよい。また、制御装置５は、プラテンローラ２１を制御する搬送制御部としても機能する。さらに、制御装置５は、カット装置を制御するカット制御部としても機能する。

ＲＯＭ６は、被印刷媒体Ｍに印刷を行う印刷プログラム、印刷プログラムの実行に必要な各種データ（例えば、フォント、通電テーブル等）を記憶する。ＲＯＭ６は、制御装置５によって読取り可能なプログラムが記憶された記憶媒体としても機能する。ＲＡＭ７は、印刷内容のパターンを示すデータ（以降、印刷データと記す）を記憶する印刷データ記憶部を含む。さらに、ＲＡＭ７は、表示データを記憶する表示データ記憶部を含む。

表示装置駆動回路８は、ＲＡＭ７に記憶された表示データに基づいて表示装置４を制御する。表示装置４は、表示装置駆動回路８の制御下で、例えば、印刷処理の進捗状況が認識可能な態様で印刷内容を表示してもよい。

ヘッド駆動回路９は、制御装置５から供給される制御信号であるストローブ信号と印刷データとに基づいてサーマルヘッド１０を駆動するヘッド駆動部である。より詳細には、ストローブ信号（制御信号）がＯＮである期間（以降、通電期間と記す）中に、印刷データに基づいて複数の発熱素子１０ａへ供給する電流の通電又は非通電を行う。サーマルヘッド１０は、主走査方向に配列された複数の発熱素子１０ａを有する印刷ヘッドである。ヘッド駆動回路９が、制御装置５から供給されたストローブ信号の通電期間中に、印刷データに応じて発熱素子１０ａへ供給する電流を選択的に通電することで、発熱素子１０ａが発熱してインクリボンＲを加熱する。これにより、サーマルヘッド１０は、熱転写により被印刷媒体Ｍに複数のラインを１ラインずつ印刷する。

搬送用モータ駆動回路１１は、ステッピングモータ１２を駆動する。ステッピングモータ１２は、プラテンローラ２１を回転させる。プラテンローラ２１は、ステッピングモータ１２の動力によって回転し、被印刷媒体Ｍの長手方向（副走査方向）に被印刷媒体Ｍを搬送する搬送部である。

カッターモータ駆動回路１４は、カッターモータ１５を駆動する。ハーフカット装置１６及びフルカット装置１７は、カッターモータ１５の動力によって動作し、被印刷媒体Ｍをハーフカット又はフルカットする。フルカットとは、被印刷媒体Ｍの基材を剥離紙とともに幅方向に沿って切断する動作のことであり、ハーフカットは、基材のみを幅方向に沿って切断する動作のことである。

温度センサ２５は、印刷装置１の周囲の温度を環境温度として測定する環境温度測定装置である。

図６は、印刷装置１の機能的構造を示したブロック図である。図６には、主に、印刷装置１に含まれる制御装置５の機能的構造が示されている。制御装置５は、推定部４０と、データ生成部５０と、ヘッド制御装置６０を備えている。

推定部４０は、印刷する複数のラインのそれぞれに対応する、サーマルヘッド１０により複数のラインをそれぞれ印刷させるための、複数のラインデータを含む印刷データに基づいて、スティッキングが発生する可能性が比較的高いラインをスティッキング発生推定ラインとして推定する。推定部４０は、印刷データに基づいて、サーマルヘッド１０の温度が急激に低下する可能性があるラインを特定することで、スティッキング発生推定ラインを推定する。なお、推定部４０が使用する印刷データは、ＲＡＭ７の印刷データ記憶部７ａから読み出される。

推定部４０は、より詳細には、比較部４１と決定部４２を備える。比較部４１は、印刷データに含まれる複数のラインデータのうちの、互いに隣接して印刷される二つのラインのそれぞれに対応する二つのラインデータを比較する。決定部４２は、比較部４１による比較結果に基づいて、スティッキングが発生する可能性が比較的高いラインを決定する。即ち、推定部４０は、互いに隣接して印刷される二つのラインのそれぞれに対応する二つのラインデータの比較結果に基づいて、スティッキング発生推定ラインを推定する。互いに隣接して印刷される二つのラインのそれぞれに対応する二つのラインデータを比較することで、互いに隣接して印刷される二つのライン間で生じる急激な温度変化を予想することができるからである。

比較部４１は、例えば、互いに隣接して印刷される二つのラインのそれぞれに対応する二つのラインデータの一方に基づいて特定される、サーマルヘッド１０の発熱素子１０ａを発熱させて被印刷媒体Ｍに印刷が行われるように設定されている印刷ドットの数と、互いに隣接して印刷される二つのラインのそれぞれに対応する二つのラインデータの他方に基づいて特定される印刷ドットの数と、を比較してもよい。印刷ドットの数を比較することで、サーマルヘッド１０の温度の低下を予想することができるからである。

また、比較部４１は、例えば、互いに隣接して印刷される二つのラインのそれぞれに対応する二つのラインデータの一方に基づいて特定される所定数連続して並んでいる印刷ドットである印刷ドット群の数と、互いに隣接して印刷される二つのラインのそれぞれに対応する二つのラインデータの他方に基づいて特定される印刷ドット群の数と、を比較してもよい。印刷ドットが複数集まることで、１つずつばらばらに存在するよりもサーマルヘッド１０の温度へ与える影響が大きくなり得る。このため、複数の印刷ドットの集合である印刷ドット群の数を比較することで、サーマルヘッド１０の温度の低下をより高精度に予想することができるからである。

決定部４２は、例えば、印刷ドットの数又は印刷ドット群の数の比に対して閾値を設定してもよく、印刷ドットの数又は印刷ドット群の数の減少数に対して閾値を設定してもよい。決定部４２は、比または減少数が閾値以上又は閾値を上回っている場合に、スティッキングが発生する可能性が比較的高いと決定してもよい。

なお、閾値は、予め設定された値であってもよく、例えば、温度センサ２５で測定された環境温度に基づいて設定されてもよい。環境温度が低いほど一般にスティッキングが発生しやすいことから、環境温度に基づいて設定する場合には、環境温度が低いほど閾値を下げることが望ましい。これにより、スティッキングの発生を更に抑制することができる。また、閾値は、テープ幅検出スイッチ２４で検出された被印刷媒体Ｍの幅に基づいて設定してもよい。

推定部４０は、推定されたスティッキング発生推定ラインを特定するデータ（以降、スティッキング発生推定ラインデータ）をデータ生成部５０へ出力する。

データ生成部５０は、通電期間の時間を調整する調整対象ラインを設定するための調整用データを生成する。データ生成部５０は、推定部４０から入力されたスティッキング発生推定ラインデータに基づいて、スティッキング発生推定ラインを特定し、調整対象ラインを設定するための調整用データを生成する。なお、調整対象ラインは、スティッキング発生推定ラインでのサーマルヘッド１０の急激な温度低下を抑制するために通電期間の時間を調整するラインのことである。また、通電期間の時間的な長さを通電時間と記す。

データ生成部５０は、少なくともスティッキング発生推定ラインが印刷される前（例えば直前）に印刷が行われる少なくとも１つのラインを調整対象ラインに設定する。データ生成部５０は、例えば、スティッキング発生推定ラインよりも前に印刷される、スティッキング発生推定ラインの直前に印刷されるスティッキング直前ラインを含む、所定数連続した複数のラインを調整対象ラインに設定する。

データ生成部５０は、印刷データに基づいて調整対象ラインの数を設定してもよい。スティッキング発生推定ラインよりも前（上流）に、印刷ドットの数または印刷ドット群の数が大きいラインが連続しているほど、スティッキング直前ラインにおけるサーマルヘッド１０の温度が高くなることが予想される。このため、データ生成部５０は、例えば、印刷ドットの数または印刷ドット群の数が閾値以上又は閾値を上回っているラインがスティッキング発生推定ライン前に何ライン連続して存在するかをカウントし、その連続ライン数に基づいて調整対象ラインの数を設定してもよい。

また、データ生成部５０は、温度センサ２５で測定された環境温度に基づいて調整対象ラインの数を設定してもよい。スティッキング直前ラインにおけるサーマルヘッド１０の温度が高くなりすぎないようにするために、環境温度が低いほど調整対象ラインの数を大きくすることが望ましい。また、データ生成部５０は、環境温度と印刷データの両方に基づいて調整対象ラインの数を設定してもよい。

データ生成部５０は、調整用データをヘッド制御装置６０へ出力する。なお、調整用データは、調整対象ラインを設定する対象情報に加えて、通時時間の調整量を設定する調整情報を含んでも良い。調整情報は、例えば、基準となる通電時間（以降、基準通電時間と記す）に対する調整後の通電時間の割合（％）であってもよく、調整後の通電時間を算出するために基準通電時間から差し引かれる時間（例えば、μｓ）であってもよい。なお、基準通電時間は、例えば、サーマルヘッド１０の温度に基づいて設定される通電時間であって、サーマルヘッド１０により印刷を行うのに適正な時間として設定される時間であり、ライン毎に算出される。調整用データが調整情報を含むことで通電時間を状況（環境、印刷データ）に応じて調整することができる。

調整用データは、全調整対象ラインに共通する調整情報を含んでもよく、調整対象ライン毎に調整情報を含んでも良い。調整対象ライン毎に調整情報を含む場合には、通電時間の調整量がスティッキング発生推定ラインに近づくにつれて段階的に大きくなるように、即ち、調整後の通電時間が段階的に小さくなるように、調整情報を生成されることが望ましい。これにより、スティッキングが発生すると推定されるラインに近い程、通電時間の基準通電時間に対する差が大きくなるように調整量が設定されて、その結果として、通電時間の調整によって生じる印刷濃度の低下を目立たなくすることができる。

ヘッド制御装置６０は、少なくともスティッキング直前ラインに対応する通電時間がサーマルヘッド１０の温度に基づいて設定される時間（基準通電時間）よりも短くなるように調整された制御信号であるストローブ信号を生成する。具体的には、ヘッド制御装置６０は、データ生成部５０で生成された調整用データに基づいて、調整対象ラインに対応する通電時間が基準通電時間よりも短くなるように調整されたストローブ信号を生成する。

より詳細には、ヘッド制御装置６０は、ＲＯＭ６の通電テーブル記憶部６ａから読み出した通電時間データとサーミスタ１３で測定したヘッド温度に基づいて基準通電時間を算出する。ヘッド制御装置６０は、さらに、算出した基準通電時間と調整用データとに基づいて調整後の通電時間を算出する。そして、印刷データ（ラインデータ）と調整後の通電時間に応じたストローブ信号（制御信号）とをヘッド駆動回路９へ出力する。

以上のように構成された制御装置５は、複数のラインをそれぞれ印刷させるための複数のラインデータを含む印刷データに基づいて複数のラインにおけるスティッキングが発生する可能性があると推定されるラインが印刷される前に印刷される少なくとも一つの調整対象ラインの各々での複数の発熱素子に対する通電時間を、サーマルヘッド１０の温度に基づいて当該調整対象ラインに設定されている基準通電時間よりも短い時間に調整する。

図７は、印刷処理のフローチャートである。図８は、前処理のフローチャートである。図９は、調整用データを例示した図である。図１０は、ライン印刷処理のフローチャートである。図１１は、通電テーブルを例示した図である。図１２は、制御信号について説明する図である。図１３は、通電期間の時間の調整例を示した図である。図１４は、スティッキング発生推定ラインの６ライン前から３％ずつ通電時間を短縮した場合の印刷例を示した図である。図１５は、通電時間を短縮しなかった場合の印刷例を示した図である。以下、図７から図１５を参照しながら、印刷装置１が行う印刷処理について具体的に説明する。

印刷装置１は、印刷データが入力され、図７に示す印刷処理が開始されると、まず、印刷データに基づいて前処理を行い（ステップＳ１０）、その後、印刷データに含まれる各ラインデータに基づいてライン印刷処理を行う（ステップＳ２０）。

前処理では、図８に示すように、印刷装置１は、まず、印刷装置１の周囲の環境温度を取得する（ステップＳ１１）。ここでは、制御装置５は、温度センサ２５から出力される環境温度のデータを取得する。

次に、印刷装置１は、印刷データのうちの先頭ラインのラインデータと次ラインのラインデータを取得する（ステップＳ１２、ステップＳ１３）。ここでは、制御装置５がＲＡＭ７から先頭ラインのラインデータと次ラインのラインデータを読み出す。

その後、印刷装置１は、互いに隣接して印刷される二つのラインのそれぞれに対応する二つのラインデータを比較する（ステップＳ１４）。ここでは、制御装置５（比較部４１）が、ステップＳ１３で取得した次ラインのラインデータとその１ライン前のラインのラインデータ（以降、前ラインデータと記す。例えば、先頭ラインのラインデータ）を比較する。具体的には、例えば、前ラインのラインデータと次ラインのラインデータの各々に含まれる８ドット連続した印刷ドットを示すデータ“0xff”の数をカウントし、その比（先頭ラインの0xff数／次ラインの0xff数）を算出する。

印刷装置１は、比較結果に基づいて次ラインがスティッキング発生推定ラインか否かを判定する（ステップＳ１５）。ここでは、制御装置５（決定部４２）が前ラインのラインデータと次ラインのラインデータとの比較結果に基づいて、次ラインでスティッキングが発生する可能性が比較的高いか否かを判定する。具体的には、例えば、ステップＳ１４で算出した比（前ラインの0xff数／次ラインの0xff数）が１．５を上回っている場合には、スティッキングが発生する可能性が比較的高いと判定し、１．５以下である場合には、スティッキングが発生する可能性が比較的低いと判定する。

スティッキングが発生する可能性が比較的低いと判定されると、ステップＳ１６及びステップＳ１７の処理はスキップされる。一方、スティッキングが発生する可能性が比較的高いと判定されると、印刷装置１は、スティッキング発生推定ラインを決定する（ステップＳ１６）。ここでは、制御装置５（決定部４２）は、次ラインをスティッキング発生推定ラインに決定する。

スティッキング発生推定ラインが決定されると、印刷装置１は、調整用データを生成する（ステップＳ１７）。ここでは、制御装置５（データ生成部５０）は、ステップＳ１６で決定されたスティッキング発生推定ラインに基づいて調整対象ラインを設定するための調整用データを生成する。具体的には、例えば、ステップＳ１１で取得した環境温度に基づいて調整対象ライン数を設定する。さらに、ステップＳ１６で決定したスティッキング発生推定ラインの前に存在する調整対象ライン数分のラインを調整対象ラインに設定する調整用データを生成する。

その後、印刷装置１は、印刷データに基づいてステップＳ１３でラインデータを取得した次ラインが最終ラインか否かを判定し（ステップＳ１８）、最終ラインであれば前処理を終了する。一方、最終ラインでなければ、ステップＳ１８で最終ラインであると判定されるまで、ステップＳ１３からＳ１８を繰り返す。

以上により、例えば、図９（ａ）に示す調整用データＤ１、図９（ｂ）に示す調整用データＤ２、または、図９（ｃ）に示す調整用データＤ３が生成される。

なお、図９に示す調整用データＤ１からＤ３は、いずれも、第３０ライン目がスティッキング発生推定ラインに決定され、調整対象ライン数が６ラインである場合に生成されるデータである。調整用データＤ１は、調整対象ラインを設定する対象情報のみを含む場合の調整用データである。調整用データＤ２及びＤ３は、調整対象ラインを設定する対象情報と、通電期間の調整量を設定する調整情報とを含む場合の調整用データである。調整用データＤ２は、調整対象ラインの全部に共通の調整情報を含む場合の調整用データであり、調整用データＤ３は、調整対象ライン毎に調整情報を含む場合の調整用データである。また、調整用データＤ３は、１調整対象ライン毎に３％ずつ通電時間を短縮する場合に生成されるデータである。

図８に示す前処理が終了すると、印刷装置１は、図１０に示すライン印刷処理を開始する。ライン印刷処理では、印刷装置１は、まず、サーマルヘッド１０のヘッド温度を取得する（ステップＳ２１）。ここでは、制御装置５（ヘッド制御装置６０）は、サーミスタ１３から出力されるヘッド温度のデータを取得する。

次に、印刷装置１は、ＲＯＭ６の通電テーブル記憶部６ａから通電時間を取得する（ステップＳ２２）。ここでは、制御装置５（ヘッド制御装置６０）は、通電テーブル記憶部６ａに格納されている通電テーブルを参照して、ヘッド温度に応じた通電時間を取得する。具体的には、例えば、図１１に示す通電テーブルＴ１に対して、ステップＳ２１で取得したヘッド温度をキーに検索処理を実行し、そのヘッド温度に対応するレコードから本通電時間と履歴通電時間を取得する。

通電時間を取得すると、印刷装置１は、ＲＡＭ７の印刷データ記憶部７ａからラインデータ（以降、本通電用のラインデータと記す）を取得し（ステップＳ２３）、履歴通電用のラインデータを生成する（ステップＳ２４）。ここでは、制御装置５（ヘッド制御装置６０）が本通電用のラインデータに基づいて履歴通電用のラインデータを生成する。

なお、本通電用のラインデータとは、その通電期間中に印刷対象となるラインに形成する印刷パターンを示すラインデータである。また、履歴通電データとは、印刷されるラインよりも時間的に先に印刷が行われる先行ライン（例えば、印刷されるラインよりも１ライン前のラインなど）のラインデータに基づいて生成されるラインデータである。

その後、印刷装置１は、ステップＳ２３でラインデータを取得したラインが調整対象ラインか否かを判定する（ステップＳ２５）。ここでは、制御装置５（ヘッド制御装置６０）が調整用データに基づいて判定する。具体的には、制御装置５は、調整用データの対象情報を参照して、調整対象ラインか否かを判定する。

調整対象ラインでないと判定されると、ステップＳ２６の処理はスキップされる。一方、調整対象ラインであると判定されると、印刷装置１は、通電時間を算出する（ステップＳ２６）。ここでは、制御装置５（ヘッド制御装置６０）は、ステップＳ２２で取得した通電時間よりも短い通電時間を算出する。具体的には、制御装置５は、前処理において図９（ｂ）に示す調整用データＤ２が生成された場合であれば、ステップＳ２２で取得した本通電時間と調整情報（通電時間９０％）とに基づいて調整後の本通電時間を算出する。

その後、印刷装置１は、制御信号とラインデータをヘッド駆動回路９へ出力する（ステップＳ２７）。ここでは、制御装置５（ヘッド制御装置６０）は、制御信号であるストローブ信号と、ステップＳ２３で取得した本通電用のラインデータと、ステップＳ２４で生成した履歴通電用のラインデータをヘッド駆動回路９へ出力する。具体的には、制御装置５は、ステップＳ２５でＮＯと判定されている場合であれば、ステップＳ２２で取得した本通電時間と履歴通電時間に応じたストローブ信号を生成し、ヘッド駆動回路９へ出力する。一方、制御装置５は、ステップＳ２５でＹＥＳと判定されている場合であれば、ステップＳ２６で算出した本通電時間とステップＳ２２で取得した履歴通電時間とに応じたストローブ信号を生成し、ヘッド駆動回路９へ出力する。これにより、図１２に示すように通電時間が短縮され非通電時間が延長されたストローブ信号ＳＳがヘッド駆動回路９へ出力される。なお、ストローブ信号ＳＳに合わせてラッチ信号ＬＳのタイミングも変更される。

最後に、印刷装置１は、ステップＳ２３でラインデータを取得したラインが最終ラインか否かを判定し（ステップＳ２８）、最終ラインであればライン印刷処理を終了する。一方、最終ラインでなければ、ステップＳ２８で最終ラインであると判定されるまで、ステップＳ２１からＳ２８を繰り返す。

以上により、図１３に示すように、スティッキング発生推定ラインの前の調整対象ラインでは、少なくともサーマルヘッド１０の温度に基づいて算出される基準通電時間よりも短縮された通電時間だけ発熱素子１０ａが加熱される。これにより、スティッキング発生推定ラインの手前でのサーマルヘッド１０の温度上昇が抑制されるため、スティッキング発生推定ラインでの温度の急激な低下を緩和することができる。従って、印刷装置１によれば、上述した簡単な制御により、スティッキングの発生を抑制することができる。また、図１３に例示するように通電時間を段階的に短縮することで、印刷品位を損なうことなくスティッキングを抑制することができる。

図１４は、通電時間を調整する上述した制御を行った場合の印刷例であり、図１５は、通電時間を調整する上述した制御を行わなかった場合の印刷例である。いずれも同じ内容を３回連続で印刷したものである。図１４及び図１５に示すように、通電時間を調整しない場合にはスティッキングが発生しているのに対して、通電時間を調整した場合にはスティッキングの発生が回避されている。

［第２の実施形態］
図１６は、本実施形態に係る印刷システム１００のハードウェア構造を例示した図である。印刷システム１００は、コンピュータ７０と、印刷装置１ａを備えている。コンピュータ７０は、例えば、標準的なコンピュータであり、プロセッサ、メモリ、ストレージ等を備えている。印刷システム１００は、第１の実施形態に係る印刷装置１の一部の処理がコンピュータ７０で行われる点が、印刷装置１とは異なる。

コンピュータ７０は、プロセッサがプログラムを実行することで、印刷装置１の推定部４０と同様に機能する推定部７１を備えている。推定部７１は、印刷装置１の比較部４１と同様に機能する比較部７２と、決定部４２と同様に機能する決定部７３を備えている。即ち、コンピュータ７０は、印刷データに基づいてスティッキング発生推定ラインを推定し、スティッキング発生推定ラインデータを印刷装置１ａへ出力する構造となっている。コンピュータ７０から印刷装置１ａに出力されたスティッキング発生推定ラインデータはスティッキング発生推定ライン記憶部７ｂに格納される。

印刷装置１ａは、制御装置５の代わりに制御装置１１０を備える点が印刷装置１とは異なる。制御装置１１０は、データ生成部５０とヘッド制御装置６０を備えているが、推定部４０を備えていない。このため、印刷装置１ａでは、データ生成部５０は、コンピュータ７０から出力されてスティッキング発生推定ライン記憶部７ｂに格納されたスティッキング発生推定ラインデータを読み出して調整用データを生成する。

本実施形態に係る印刷システム１００によっても、印刷装置１と同様に、簡単な制御により、スティッキングの発生を抑制することができる。

［第３の実施形態］
図１７は、本実施形態に係る印刷システム２００のハードウェア構造を例示した図である。印刷システム２００は、コンピュータ８０と、印刷装置１ｂを備えている。コンピュータ８０は、例えば、標準的なコンピュータであり、プロセッサ、メモリ、ストレージ等を備えている。印刷システム２００は、第１の実施形態に係る印刷装置１の一部の処理がコンピュータ８０で行われる点が、印刷装置１とは異なる。

コンピュータ８０は、プロセッサがプログラムを実行することで、印刷装置１の推定部４０と同様に機能する推定部８１を備えている。推定部８１は、印刷装置１の比較部４１と同様に機能する比較部８２と、印刷装置１の決定部４２と同様に機能する決定部８３と、印刷装置１のデータ生成部５０と同様に機能するデータ生成部８４を備えている。即ち、コンピュータ８０は、印刷データに基づいてスティッキング発生推定ラインを推定し、調整対象ラインを設定するための調整用データを生成し、調整用データを印刷装置１ｂへ出力する構造となっている。コンピュータ７０から印刷装置１ａに出力された調整用データは調整用データ記憶部７ｃに格納される。

印刷装置１ｂは、制御装置５の代わりに制御装置２１０を備える点が印刷装置１とは異なる。制御装置２１０は、ヘッド制御装置６０を備えているが、推定部４０とデータ生成部５０を備えていない。このため、印刷装置１ｂでは、ヘッド制御装置６０は、コンピュータ８０から出力されて調整用データ記憶部７ｃに格納された調整用データを読み出してストローブ信号を生成する。

本実施形態に係る印刷システム２００によっても、印刷装置１と同様に、簡単な制御により、スティッキングの発生を抑制することができる。

上述した実施形態は、発明の理解を容易にするために具体例を示したものであり、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。印刷装置、印刷システム、印刷制御方法、及び、プログラムは、特許請求の範囲の記載を逸脱しない範囲において、さまざまな変形、変更が可能である。

以下、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
［付記１］
複数の発熱素子を有し、被印刷媒体に複数のラインを印刷するサーマルヘッドと、
制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、
前記複数のラインをそれぞれ印刷させるための複数のラインデータを含む印刷データに基づいて前記複数のラインにおけるスティッキングが発生する可能性があると推定されるラインが印刷される前に印刷される少なくとも一つの調整対象ラインの各々での前記複数の発熱素子に対する通電時間を、前記サーマルヘッドの温度に基づいて当該調整対象ラインに設定されている基準通電時間よりも短い時間に調整する、
ことを特徴とする印刷装置。
［付記２］
付記１に記載の印刷装置において、
前記制御装置は、前記複数のラインのうちの互いに隣接する二つのラインに対応する前記複数のラインデータのうちの二つのラインデータを比較した結果に基づいて、前記スティッキングが発生する可能性があると推定されるラインをスティッキング発生推定ラインとして決定する、
ことを特徴とする印刷装置。
［付記３］
付記２に記載の印刷装置において、
前記制御装置は、前記二つのラインデータの一方に基づいて特定される印刷ドットの数と、前記二つのラインデータの他方に基づいて特定される印刷ドットの数と、を比較して、当該比較の結果に基づいて、前記スティッキング発生推定ラインを決定する、
ことを特徴とする印刷装置。
［付記４］
付記２に記載の印刷装置において、
前記制御装置は、前記二つのラインデータの一方に基づいて特定される所定数連続して並んでいる印刷ドットである印刷ドット群の数と、前記他方二つのラインデータの他方に基づいて特定される印刷ドット群の数と、を比較して、当該比較の結果に基づいて、前記スティッキング発生推定ラインを決定する、
ことを特徴とする印刷装置。
［付記５］
付記１乃至付記４のいずれかに記載の印刷装置は、
前記サーマルヘッドを駆動するヘッド駆動回路を備え、
前記制御装置は、前記複数のラインにおける前記スティッキングが発生すると推定されるラインが印刷される前に印刷される２以上の所定の数のラインを前記調整対象ラインに設定するための調整用データを生成し、前記調整用データに基づいて調整された制御信号を前記ヘッド駆動回路に供給する、
ことを特徴とする印刷装置。
［付記６］
付記５に記載の印刷装置は、
前記印刷装置の周囲の温度を環境温度として測定する環境温度測定部、を備え、
前記制御装置は、前記環境温度に基づいて前記調整対象ラインに設定する前記ラインの数を設定する、
ことを特徴とする印刷装置。
［付記７］
付記５又は付記６に記載の印刷装置において、
前記制御装置は、前記印刷データに基づいて前記調整対象ラインの数を設定する、
ことを特徴とする印刷装置。
［付記８］
付記５乃至付記７のいずれかに記載の印刷装置において、さらに、
前記調整用データは、
前記調整対象ラインを設定する対象情報と、
前記調整対象ラインの前記所定の数のラインの各々における前記通電時間の調整量を設定する調整情報と、を含み、
前記所定の数のラインの各々における前記通電時間の前記調整量は、前記スティッキングが発生すると推定されるラインに近い程、前記通電時間の前記基準通電時間に対する差が大きくなるように設定されている、
ことを特徴とする印刷装置。
［付記９］
付記８に記載の印刷装置において、
前記調整用データは、前記調整対象ラインの前記所定の数のラインの各々に対して前記調整情報を有する、
ことを特徴とする印刷装置。
［付記１０］
複数の発熱素子を有し、被印刷媒体に複数のラインを印刷するサーマルヘッドと、
制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、前記複数のラインのうちの、スティッキングが発生する可能性があると推定されているラインが印刷される前に印刷される少なくとも一つの調整対象ラインの各々での前記複数の発熱素子に対する通電時間を、前記サーマルヘッドの温度に基づいて当該調整対象ラインに設定されている基準通電時間よりも短い時間に調整する、
ことを特徴とする印刷装置。
［付記１１］
付記１０に記載の印刷装置において、
前記制御装置は、
前記複数のラインにおける前記スティッキングが発生する可能性があると推定されるラインが印刷される前に印刷される２以上の所定の数のラインを前記調整対象ラインに設定し、
前記調整対象ラインの前記所定の数のラインの各々における前記通電時間を、前記スティッキングが発生すると推定されるラインに近い程、前記基準通電時間に対する差が大きくなるように調整する、
ことを特徴とする印刷装置。
［付記１２］
付記１１に記載の印刷装置と、
コンピュータと、を備え、
前記コンピュータは、
前記複数のラインをそれぞれ印刷させるための複数のラインデータを含む印刷データに基づいて、前記複数のラインにおける前記スティッキングが発生する可能性があると推定されるラインをスティッキング発生推定ラインとして決定し、
前記複数のラインにおける前記スティッキング発生推定ラインを特定するスティッキング発生推定ラインデータを前記印刷装置へ出力し、
前記制御装置は、前記スティッキング発生推定ラインデータに基づいて前記調整対象ラインを設定する、
ことを特徴とする印刷システム。
［付記１３］
付記１０に記載の印刷装置と、
コンピュータと、を備え、
前記コンピュータは、
前記複数のラインをそれぞれ印刷させるための複数のラインデータを含む印刷データに基づいて、前記複数のラインにおける前記スティッキングが発生する可能性があると推定されるラインをスティッキング発生推定ラインとして決定し、
前記複数のラインにおける前記スティッキング発生推定ラインが印刷される前に印刷される２以上の所定の数のラインを前記調整対象ラインに設定するための調整用データを生成し、
前記調整用データを前記印刷装置へ出力し、
前記制御装置は、前記調整用データに基づいて、前記調整対象ライン及び前記通電時間を設定する、
ことを特徴とする印刷システム。
［付記１４］
印刷装置のサーマルヘッドにより被印刷媒体に複数のラインのそれぞれを印刷させるための複数のラインデータを含む印刷データに基づいて、前記複数のラインにおけるスティッキングが発生する可能性があると推定されるラインが印刷される前に印刷される少なくとも一つの調整対象ラインの各々での前記サーマルヘッドの発熱素子に対する通電時間を、前記サーマルヘッドの温度に基づいて当該調整対象ラインに設定されている基準通電時間よりも短い時間に調整する、
ことを特徴とする印刷制御方法。
［付記１５］
印刷装置が備えるコンピュータに、
印刷装置のサーマルヘッドにより被印刷媒体に複数のラインをそれぞれ印刷させるための複数のラインデータを含む印刷データに基づいて、前記複数のラインにおけるスティッキングが発生する可能性があると推定されるラインが印刷される前に印刷される少なくとも一つの調整対象ラインの各々での前記サーマルヘッドの発熱素子に対する通電時間を、前記サーマルヘッドの温度に基づいて当該調整対象ラインに設定されている基準通電時間よりも短い時間に調整させる、
ことを特徴とするプログラム。

１、１ａ、１ｂ・・・印刷装置、２・・・装置筐体、２ａ・・・排出口、３・・・入力部、４・・・表示装置、５、１１０、２１０・・・制御装置、５ａ・・・プロセッサ、６・・・ＲＯＭ、６ａ・・・通電テーブル記憶部、７・・・ＲＡＭ、７ａ・・・印刷データ記憶部、７ｂ・・・スティッキング発生推定ライン記憶部、７ｃ・・・調整用データ記憶部、８・・・表示装置駆動回路、９・・・ヘッド駆動回路、１０・・・サーマルヘッド、１０ａ・・・発熱素子、１１・・・搬送用モータ駆動回路、１２・・・ステッピングモータ、１３・・・サーミスタ、１４・・・カッターモータ駆動回路、１５・・・カッターモータ、１６・・・ハーフカット装置、１７・・・フルカット装置、１８・・・開閉蓋、１８ａ・・・ボタン、１８ｂ・・・窓、１９・・・カセット収納部、２０・・・カセット受け部、２１・・・プラテンローラ、２２・・・テープコア係合軸、２３・・・インクリボン巻取り駆動軸、２４・・・テープ幅検出スイッチ、２５・・・温度センサ、３０・・・テープカセット、３１・・・カセットケース、３２・・・テープコア、３４・・・インクリボン供給コア、３５・・・インクリボン巻取りコア、３６・・・サーマルヘッド被挿入部、３７・・・係合部、４０、７１、８１・・・推定部、４１、７２、８２・・・比較部、４２、７３、８３・・・決定部、５０、８４・・・データ生成部、６０・・・ヘッド制御装置、７０、８０・・・コンピュータ、１００、２００・・・印刷システム、Ｍ・・・被印刷媒体、Ｒ・・・インクリボン、Ｄ１、Ｄ２、Ｄ３・・・調整用データ、Ｔ１・・・通電テーブル、ＳＳ・・・ストローブ信号、ＬＳ・・・ラッチ信号

Claims (11)

1. 複数の発熱素子を有し、被印刷媒体に複数のラインを印刷するサーマルヘッドと、
   制御装置と、を備え、
   前記制御装置は、
   前記複数のラインをそれぞれ印刷させるための複数のラインデータを含む印刷データに基づいて前記複数のラインにおけるスティッキングが発生する可能性があると推定されるラインが印刷される前に印刷される少なくとも一つの調整対象ラインの各々での前記複数の発熱素子に対する通電時間を、前記サーマルヘッドの温度に基づいて当該調整対象ラインに設定されている基準通電時間よりも短い時間に調整し、
   前記複数のラインのうちの互いに隣接する二つのラインに対応する前記複数のラインデータのうちの二つのラインデータを比較した結果に基づいて、前記スティッキングが発生する可能性があると推定されるラインをスティッキング発生推定ラインとして決定する、
   ことを特徴とする印刷装置。
2. 請求項１に記載の印刷装置において、
   前記制御装置は、前記二つのラインデータの一方に基づいて特定される印刷ドットの数と、前記二つのラインデータの他方に基づいて特定される印刷ドットの数と、を比較して、当該比較の結果に基づいて、前記スティッキング発生推定ラインを決定する、
   ことを特徴とする印刷装置。
3. 請求項１に記載の印刷装置において、
   前記制御装置は、前記二つのラインデータの一方に基づいて特定される所定数連続して並んでいる印刷ドットである印刷ドット群の数と、前記二つのラインデータの他方に基づいて特定される印刷ドット群の数と、を比較して、当該比較の結果に基づいて、前記スティッキング発生推定ラインを決定する、
   ことを特徴とする印刷装置。
4. 請求項１乃至請求項３のいずれか１項に記載の印刷装置は、
   前記サーマルヘッドを駆動するヘッド駆動回路を備え、
   前記制御装置は、前記複数のラインにおける前記スティッキングが発生すると推定されるラインが印刷される前に印刷される２以上の所定の数のラインを前記調整対象ラインに設定するための調整用データを生成し、前記調整用データに基づいて調整された制御信号を前記ヘッド駆動回路に供給する、
   ことを特徴とする印刷装置。
5. 請求項４に記載の印刷装置は、
   前記印刷装置の周囲の温度を環境温度として測定する環境温度測定部、を備え、
   前記制御装置は、前記環境温度に基づいて前記調整対象ラインに設定する前記ラインの数を設定する、
   ことを特徴とする印刷装置。
6. 請求項４又は請求項５に記載の印刷装置において、
   前記制御装置は、前記印刷データに基づいて前記調整対象ラインの数を設定する、
   ことを特徴とする印刷装置。
7. 請求項４乃至請求項６のいずれか１項に記載の印刷装置において、さらに、
   前記調整用データは、
   前記調整対象ラインを設定する対象情報と、
   前記調整対象ラインの前記所定の数のラインの各々における前記通電時間の調整量を設定する調整情報と、を含み、
   前記所定の数のラインの各々における前記通電時間の前記調整量は、前記スティッキングが発生すると推定されるラインに近い程、前記通電時間の前記基準通電時間に対する差が大きくなるように設定されている、
   ことを特徴とする印刷装置。
8. 請求項７に記載の印刷装置において、
   前記調整用データは、前記調整対象ラインの前記所定の数のラインの各々に対して前記調整情報を有する、
   ことを特徴とする印刷装置。
9. 複数の発熱素子を有し、被印刷媒体に複数のラインを印刷するサーマルヘッドと、制御装置と、を備える印刷装置と、
   コンピュータと、を備え、
   前記コンピュータは、
   前記複数のラインをそれぞれ印刷させるための複数のラインデータを含む印刷データに基づいて、前記複数のラインにおけるスティッキングが発生する可能性があると推定されるラインが印刷される前に印刷される少なくとも一つの調整対象ラインの各々での前記複数の発熱素子に対する通電時間を、前記サーマルヘッドの温度に基づいて当該調整対象ラインに設定されている基準通電時間よりも短い時間に調整し、
   前記複数のラインのうちの互いに隣接する二つのラインに対応する前記複数のラインデータのうちの二つのラインデータを比較した結果に基づいて、前記スティッキングが発生する可能性があると推定されるラインをスティッキング発生推定ラインとして決定し、
   前記複数のラインにおける前記スティッキング発生推定ラインを特定するスティッキング発生推定ラインデータを前記印刷装置へ出力し、
   前記印刷装置の前記制御装置は、前記スティッキング発生推定ラインデータに基づいて前記調整対象ラインを設定する、
   ことを特徴とする印刷システム。
10. 印刷装置のサーマルヘッドにより被印刷媒体に複数のラインのそれぞれを印刷させるための複数のラインデータを含む印刷データに基づいて、前記複数のラインにおけるスティッキングが発生する可能性があると推定されるラインが印刷される前に印刷される少なくとも一つの調整対象ラインの各々での前記サーマルヘッドの発熱素子に対する通電時間を、前記サーマルヘッドの温度に基づいて当該調整対象ラインに設定されている基準通電時間よりも短い時間に調整し、
    前記複数のラインのうちの互いに隣接する二つのラインに対応する前記複数のラインデータのうちの二つのラインデータを比較した結果に基づいて、前記スティッキングが発生する可能性があると推定されるラインをスティッキング発生推定ラインとして決定する、
    ことを特徴とする印刷制御方法。
11. 印刷装置が備えるコンピュータに、
    印刷装置のサーマルヘッドにより被印刷媒体に複数のラインをそれぞれ印刷させるための複数のラインデータを含む印刷データに基づいて、前記複数のラインにおけるスティッキングが発生する可能性があると推定されるラインが印刷される前に印刷される少なくとも一つの調整対象ラインの各々での前記サーマルヘッドの発熱素子に対する通電時間を、前記サーマルヘッドの温度に基づいて当該調整対象ラインに設定されている基準通電時間よりも短い時間に調整させる、
    前記複数のラインのうちの互いに隣接する二つのラインに対応する前記複数のラインデータのうちの二つのラインデータを比較した結果に基づいて、前記スティッキングが発生する可能性があると推定されるラインをスティッキング発生推定ラインとして決定させる、
    ことを特徴とするプログラム。

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