JP2004181795A - テープ印刷装置およびその印刷制御方法、プログラム並びに記憶媒体 - Google Patents
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Abstract
【課題】印刷画像の内容および印刷速度に応じて、印刷ヘッドへの印加エネルギーを調整して印刷画像の画質低下を防止できるテープ印刷装置およびその印刷制御方法、プログラム並びに記憶媒体を提供する。
【解決手段】テープTの幅方向にドットが並ぶドット列をドットラインと定義し、印刷すべきドットが含まれるドットラインを印刷ライン(BL)と定義し、印刷すべきドットが含まれないドットラインを空白ライン(WL)と定義した場合に、印刷画像G0の各ドットラインについて印刷ラインか空白ラインかを分析し(S12〜S13)、空白ラインにより連続的に印刷を行わない空白連続時間kを検出し(S33〜S34)、空白連続時間kと印刷ラインの連続数nとに基づいて(S35、S17、S18)、各印刷ラインを印刷するために印刷ヘッド7に印加する印加エネルギーを調整する(S19)ことを特徴とする。
【選択図】 図14
【解決手段】テープTの幅方向にドットが並ぶドット列をドットラインと定義し、印刷すべきドットが含まれるドットラインを印刷ライン(BL)と定義し、印刷すべきドットが含まれないドットラインを空白ライン(WL)と定義した場合に、印刷画像G0の各ドットラインについて印刷ラインか空白ラインかを分析し(S12〜S13)、空白ラインにより連続的に印刷を行わない空白連続時間kを検出し(S33〜S34)、空白連続時間kと印刷ラインの連続数nとに基づいて(S35、S17、S18)、各印刷ラインを印刷するために印刷ヘッド7に印加する印加エネルギーを調整する(S19)ことを特徴とする。
【選択図】 図14
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、サーマル方式の印刷ヘッドにより印刷対象物となるテープに印刷画像を印刷するテープ印刷装置およびその印刷制御方法、プログラム並びに記憶媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
原理的に、サーマル方式の印刷ヘッド(サーマルヘッド)の蓄熱量は、前回印刷からの経過時間に応じた放熱により変化(低下)するが、印刷画像のテープ幅方向にドットが並ぶドット列(ドットライン)の間隔は一定なので、従来のテープ印刷装置では、各ドットラインを印刷するための蓄熱量が所定範囲となるように、言い換えればドットライン間での放熱が一定量となるように、相対移動速度に応じた発熱制御(印刷制御)を行う(例えば、上記の原理も含め特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−268360号公報(段落[0100]〜[0144]、図9〜23)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ただし、上記の原理では、印刷画像の内容による相違が考慮されていない。すなわち、最低1ドットでも印刷(発熱)すべきドットを含むドットライン(印刷ライン)を印刷するときには、その発熱により所定の蓄熱量を維持し得るが、例えば印刷画像内の段落間や文字間等の空白など、印刷すべきドットが含まれないドットライン(空白ライン)が連続すると、印刷速度に応じたその時間(空白連続時間)の間に、印刷ヘッドが周囲温度近傍まで冷えてしまい、その後の印刷ラインの印刷のために標準のストローブ信号を印加しても、画像の各画素(各ドット)を印刷する熱量(印加エネルギー)が不足して、小さなドットになってしまい、画質が損なわれる。
【0005】
本発明は、印刷画像の内容および印刷速度に応じて、印刷ヘッドへの印加エネルギーを調整して印刷画像の画質低下を防止できるテープ印刷装置およびその印刷制御方法、プログラム並びに記憶媒体を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1のテープ印刷装置は、サーマルヘッドに対しテープをその長手方向に且つ相対的に移動させながら、印刷画像の前記テープの幅方向にドットが並ぶドットラインに対応して列設した前記サーマルヘッドの複数の発熱素子を発熱駆動して、前記テープに1ドットラインずつ前記印刷画像の印刷を行うテープ印刷装置であって、印刷に供するドットを含んだドットラインである印刷ラインと前記印刷に供するドットを含まないドットラインである空白ラインとが混在する前記印刷画像の各ドットラインについて前記印刷ラインか前記空白ラインかを分析して、ライン分析結果とするドットライン分析手段と、前記ライン分析結果に基づいて、前記移動中において前記テープの長手方向に連続する空白ラインにより連続的に印刷を行わない空白連続時間を検出する空白連続時間検出手段と、前記空白連続時間と前記ライン分析結果による前記印刷ラインの連続数とに基づいて、各印刷ラインを印刷するための前記印刷ヘッドへの印加エネルギーを調整する印加エネルギー調整手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、請求項9の印刷制御方法は、サーマルヘッドに対しテープをその長手方向に且つ相対的に移動させながら、印刷画像の前記テープの幅方向にドットが並ぶドットラインに対応して列設した前記サーマルヘッドの複数の発熱素子を発熱駆動して、前記テープに1ドットラインずつ前記印刷画像の印刷を行うテープ印刷装置の印刷制御方法であって、印刷に供するドットを含んだドットラインである印刷ラインと前記印刷に供するドットを含まないドットラインである空白ラインとが混在する前記印刷画像の各ドットラインについて前記印刷ラインか前記空白ラインかを分析して、ライン分析結果とするドットライン分析工程と、前記ライン分析結果に基づいて、前記移動中において前記テープの長手方向に連続する空白ラインにより連続的に印刷を行わない空白連続時間を検出する空白連続時間検出工程と、前記空白連続時間と前記ライン分析結果による前記印刷ラインの連続数とに基づいて、各印刷ラインを印刷するための前記印刷ヘッドへの印加エネルギーを調整する印加エネルギー調整工程と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
このテープ印刷装置およびその印刷制御方法では、印刷画像の各ドットラインについて印刷ラインか空白ラインかを分析してライン分析結果とし、印刷画像を印刷するための相対移動中の空白ラインにより連続的に印刷を行わない空白連続時間を検出し、空白連続時間と印刷ラインの連続数とに基づいて、各印刷ラインを印刷するために印刷ヘッドに印加する印加エネルギーを調整する。すなわち、空白連続時間が所定時間以上継続した場合には、放熱により印刷ヘッドの蓄熱量が不十分となるので、印加エネルギーを増加する方向に調整し、印刷ラインが所定数以上連続した場合には、蓄熱量が十分になるので、それに合わせた印加エネルギーにする。この場合、印刷画像の内容(に基づくライン分析結果)の他、印刷速度により経過時間が異なってくるので、印刷画像の内容および印刷速度に応じて、印刷ヘッドへの印加エネルギーを調整して印刷画像の画質低下を防止できる。
【0009】
また、上述のテープ印刷装置において、前記印加エネルギー調整手段は、前記空白連続時間が所定の設定空白時間以上になった後の印刷ラインを印刷するときに、前記印加エネルギーの値を増大させる印加エネルギー増加手段を有することが好ましい。
【0010】
このテープ印刷装置では、空白連続時間が所定の設定空白時間以上になった後の印刷ラインを印刷するときに、印加エネルギーの値を増大させるので、空白連続時間の継続による放熱により蓄熱量が不十分な印刷ヘッドに十分な熱量を供給できる。
【0011】
また、上述のテープ印刷装置において、前記空白連続時間検出手段は、前記印刷画像の印刷開始時に、前記空白連続時間の初期値を所定値以上とする空白連続時間初期化手段を有することが好ましい。
【0012】
このテープ印刷装置では、空白連続時間の初期値を所定値以上とすることにより、印刷画像の印刷開始後、空白ラインが連続しなくてもあるいは少し連続しただけで、空白連続時間が大きな値となる。これにより、印刷開始前の放熱を空白連続時間の継続による放熱として扱うことができ、印刷開始後の最初の印刷ラインを印刷するときに、印加エネルギーを増加させるなど、印刷開始時の蓄熱量が不十分な印刷ヘッドに十分な熱量を供給できる。
【0013】
また、上述の設定空白時間経過後の印加エネルギーの値を増大させる各テープ印刷装置において、前記印加エネルギー調整手段は、前記設定空白時間以上経過した場合であって、その後の前記印刷ラインが所定の設定印刷ライン数以上連続した後の印刷ラインを印刷するときに、増大された前記印加エネルギーの値を元に戻す印加エネルギー復帰手段を有することが好ましい。
【0014】
このテープ印刷装置では、設定空白時間以上経過した場合であって、その後の印刷ラインが所定の設定印刷ライン数以上連続した後の印刷ラインを印刷するときには、増大させた印加エネルギーの供給により印刷ヘッドが十分な蓄熱量になっているものとして、印刷ヘッドに印加する印加エネルギーの値を元に戻すので、過度の加熱およびそれによる画質低下を防止できる。
【0015】
また、上述した各テープ印刷装置において、前記印加エネルギーの調整は、前記印刷ヘッドに印加するストローブパルスのストローブ幅を調整することによって行われることが好ましい。
【0016】
このテープ印刷装置では、印加エネルギーの調整は、印刷ヘッドに印加するストローブパルスのストローブ幅を調整することによって行われる。すなわちストローブ幅の調整(幅を拡げるまたは狭める)によって、ストローブパルスの印加時間を調整できるので、単位時間に供給される印加電圧や印加電流が同じであっても、印加エネルギーを調整できる。
【0017】
また、上述の印加エネルギーを調整する各テープ印刷装置において、前記印加エネルギーの調整は、前記印刷ヘッドに印加する印加電圧を調整することによって行われることが好ましい。
【0018】
このテープ印刷装置では、印加エネルギーの調整は、印刷ヘッドに印加する印加電圧を調整することによって行われる。すなわち、印刷ヘッドで発生する熱はいわゆるジュール熱なので、印加電流や印加時間などの他の条件を同じにしても、印加電圧の調整によって供給する印加エネルギーを調整できる。
【0019】
また、上述の印加エネルギーを調整する各テープ印刷装置において、前記印加エネルギーの調整は、前記印刷ヘッドに供給する印加電流の制限値を調整することによって行われることが好ましい。
【0020】
このテープ印刷装置では、印加エネルギーの調整は、印刷ヘッドに供給する印加電流の制限値を調整することによって行われる。すなわち、印加電圧や印加時間などの他の条件を同じにしても、印加電流の調整によって供給する印加エネルギーを調整できる。
【0021】
また、上述した各テープ印刷装置において、前記印加エネルギーの調整は、基準となる値に所定の係数を乗ずることにより行われることが好ましい。
【0022】
このテープ印刷装置では、印加エネルギーの調整は、基準となる値(基準値、標準値)に所定の係数を乗ずることにより行われる。すなわち、所定の係数をテーブル等に用意(記憶)しておき、それを読み出して基準値に乗ずることにより、例えば標準ストローブ幅に係数を乗じて拡幅または狭幅したり、標準印加電圧や標準印加電流を係数分だけ増減させることができ、これらにより、印加エネルギーを調整できる。
【0023】
また、請求項10のプログラムは、プログラム処理可能なテープ印刷装置によって処理されることにより、請求項1ないし8のいずれかに記載のテープ印刷装置の各手段の機能を実行可能なことを特徴とする。
【0024】
また、請求項11のプログラムは、プログラム処理可能なテープ印刷装置によって処理されることにより、請求項9に記載のテープ印刷装置の印刷制御方法を実行可能なことを特徴とする。
【0025】
これらのプログラムは、プログラム処理可能なテープ印刷装置によって処理されることにより、印刷画像の内容および印刷速度に応じて、印刷ヘッドへの印加エネルギーを調整して印刷画像の画質低下を防止できる。
【0026】
また、請求項12の記憶媒体は、プログラム処理可能なテープ印刷装置によって読み出されて処理されることにより請求項1ないし8のいずれかに記載のテープ印刷装置の各手段の機能を実行可能なプログラムを、記憶することを特徴とする。
【0027】
また、請求項13の記憶媒体は、プログラム処理可能なテープ印刷装置によって読み出されて処理されることにより請求項9に記載のテープ印刷装置の印刷制御方法を実行可能なプログラムを、記憶することを特徴とする。
【0028】
プログラム処理可能なテープ印刷装置において、これらの記憶媒体に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、印刷画像の内容および印刷速度に応じて、印刷ヘッドへの印加エネルギーを調整して印刷画像の画質低下を防止できる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態に係るテープ印刷装置について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
【0030】
図1および図2に示すように、このテープ印刷装置1は、装置ケース(装置本体)2により外殻が形成され、装置ケース2の前部上面には各種入力キーから成るキーボード3を備えている。また、後部上面には、その左部に開閉蓋21が取り付けられ、その右部にはディスプレイ4が配設されている。また、装置ケース2の左側部には、ポケット(テープ装着部)6と装置外部とを連通するスリット状のテープ排出口22が形成され、テープ排出口22には、送りだした印刷用テープ(以下単に「テープ」)Tを切断するテープカッタ132が臨んでいる。
【0031】
また、図3に示すように、基本的な構成として、キーボード3やディスプレイ4を有してユーザとのインタフェースを行う操作部11と、印刷ヘッド(サーマルヘッド)7やテープ送り部120を有してポケット6内に装着したテープカートリッジCのテープTに印刷を行う印刷部12と、印刷後のテープTの切断を行う切断部13と、各種センサを有して各種検出を行う検出部14と、各種ドライバを有して各部回路を駆動する駆動部270と、テープ印刷装置1内の各部を制御する制御部200と、を備えている。
【0032】
このため、装置ケース2の内部には、印刷部12、切断部13、検出部14などの他、図外の回路基板が収納されている。この回路基板には、電源ユニットの他、駆動部270や制御部200の各回路などが搭載され、図外のACアダプタ接続口や外部から着脱可能なニッカド電池等の電池に接続されている。
【0033】
テープ印刷装置1では、ユーザが、ポケット6にテープカートリッジCを装着した後、ディスプレイ4により入力・編集結果を確認しながらキーボード3により所望の文字など(文字、数字、記号、簡易図形等のキャラクタ)の印刷情報を入力して、印刷を指示すると、テープ送り部120によりテープカートリッジCからテープTを繰り出して、印刷ヘッド7によりテープTに所望の印刷を行い、印刷済み部分はテープ排出口22から随時外部に送り出される。所望の印刷が完了すると、テープ送り部120は、余白分を含むテープ長さの位置までテープTの送りを行った後、その送りを停止する。
【0034】
図2および図3に示すように、印刷部12には、開閉蓋21の内側に、テープカートリッジCを装着するためのポケット6が設けられていて、テープカートリッジCはこの開閉蓋21を開放した状態でポケット6に対して着脱される。また、テープカートリッジCの裏面には、相異なる幅等のテープTの種別を識別できるように小さな複数の孔(図示せず)が設けられ、ポケット6には、この孔の有無を検出するマイクロスイッチなどのテープ識別センサ142が設けられていて、テープTの有無(正確にはテープカートリッジCが装着されているか否か)およびテープTの種別(正確にはテープカートリッジCの種別)を検出できるようになっている。
【0035】
テープカートリッジCには、カートリッジケース51の内部に一定の幅(4.5mm〜48mm程度)のテープTとインクリボンRとが収容されており、印刷ヘッド7が臨む貫通開口55が形成されている。テープTは、裏面に粘着面が形成され、それが剥離紙によって覆われた構成になっている。また、テープTとインクリボンRとが重なる部分には、ヘッドユニット61に内蔵された印刷ヘッド7に対応して、プラテンローラ(プラテン)56が収納されている。テープカートリッジCが装着された状態で、印刷ヘッド7が貫通開口55から露出しているインクリボンRの裏面に当たり、発熱駆動されて所望の文字などがテープTの表面に印刷される。
【0036】
ポケット6には、DCモータから成る送りモータ121を駆動源として、プラテン56に係合してこれを回転させるプラテン駆動軸62と、同様にリボン巻取りリール54に係合してこれを回転させる巻取り駆動軸63と、位置決めピン64とが、それぞれ立設されている。
【0037】
テープカートリッジCがポケット6に装着されると、ヘッドユニット61にテ貫通開口55が、位置決めピン64にテープリール52が、プラテン駆動軸62にプラテン56が、巻取り駆動軸63にリボン巻取りリール54が、それぞれ差し込まれ、この状態で開閉蓋21が閉塞されると、テープTおよびインクリボンRを挟み込んで印刷ヘッド7がプラテン56に当接して、テープTおよびインクリボンRが貫通開口55の位置で相互に重なり合った状態で走行するとともに、これらに同期して印刷ヘッド7が駆動されることで、印刷が行われる。その後、インクリボンRは内部で巻き取られながら、テープTのみがテープ繰出口59からテープカートリッジCの外部に排出され、プラテン56の回転(リボン巻取りリール54も同期回転する)が所定時間続行することで、テープTのテープ送りが続行され、テープ排出口22を介して装置外部に送り出され、テープT上の所定の切断位置がテープカッタ132の位置まで送られる。
【0038】
テープ送り部120は、ポケット6の側方から下方に亘る空間に配設され、ポケット6の側方に配設された送りモータ121を動力(駆動)源として、上記のプラテン駆動軸62および巻取り駆動軸63を回転させるものであり、送りモータ121と、プラテン駆動軸62と、巻取り駆動軸63と、送りモータ121の動力を各駆動軸に伝達する図外の減速歯車列と、送りモータ121の回転数を検出するための図外のエンコーダと、を備えている。このエンコーダは、送りモータ121の主軸に固定されたウォームの同軸上の先端に固着され、円盤状の周方向の4箇所に検出開口が形成されている。
【0039】
検出部14の回転速度センサ141は、上記のエンコーダの検出開口に臨むように発光素子と受光素子とが対向配置されたフォトセンサを備え、発光素子の光が回転する検出開口を通過して受光素子に受光され、受光された光の明滅が光電変換され、パルス信号として制御部200に出力され、そのパルス数より回転数が検出される。
【0040】
検出部14は、上記の回転速度センサ141と、前述のテープ識別センサ142と、を備えている。なお、実状に合わせて、これらを省略した構成とすることもできる。
【0041】
切断部13は、テープカッタ132と、これを切断動作させるカッタモータ131と、任意長印刷などの場合に手動(マニュアル)によりテープカッタを切断動作させるカットボタン133と、を備えている。また、定長印刷などの場合には自動(オート)でカッタモータ132を駆動する。また、モード設定によって、自動/手動を切り替えられるようにしている。
【0042】
駆動部270は、ディスプレイドライバ271と、ヘッドドライバ272と、モータドライバ273と、を備えている。ディスプレイドライバ271は、制御部200から出力される制御信号に基づき、その指示にしたがって、操作部11のディスプレイ4を駆動する。同様に、ヘッドドライバ272は、制御部200の指示にしたがって、印刷部12の印刷ヘッド7を駆動する。また、モータドライバ273は、印刷部12の送りモータ121を駆動する送りモータドライバ273dと、切断部13のカッタモータ131を駆動するカッタモータドライバ273cとを有し、同様に、各モータを駆動する。
【0043】
操作部11は、キーボード3とディスプレイ4とを備えている。ディスプレイ4は、横方向(X方向)約6cm×縦方向(Y方向)4cmの長方形の形状の内側に、96ドット×64ドットの表示画像データを表示可能な表示画面41を有し、ユーザがキーボード3からデータを入力して、キャラクタ列画像データなどの印刷画像データを作成・編集したり、その結果等を視認したり、キーボード3から各種指令・選択指示等を入力したりする際などに用いられる。
【0044】
キーボード3には、アルファベットキー群、数字キー群、平仮名や片仮名等の仮名キー群、および外字を呼び出して選択するための外字キー群等を含む文字キー群31の他、各種の動作モードなどを指定するための機能キー群32などが配列されている。機能キー群32には、電源キー、印刷動作を指示するための印刷キー、テキスト入力時のデータ確定や改行および選択画面における各種モードの選択指示のための選択キー、並びに、それぞれ上下左右の方向へのカーソル移動や表示画面41の表示範囲を移動させるための4個のカーソルキーなどが含まれる。なお、これらは、各キー入力毎に個別にキーを設けて入力しても良いし、シフトキー等と組み合わせてより少ない数のキーを用いて入力しても良い。
【0045】
キーボード3は、種々の指令およびデータを制御部200に入力する。制御部200は、CPU210、ROM220、キャラクタジェネレータROM(CG−ROM)230、RAM240、周辺制御回路(P−CON)250を備え、互いに内部バス260により接続されている。
【0046】
ROM220は、CPU210で処理する制御プログラムを記憶する制御プログラム領域221の他、色変換テーブル、文字修飾テーブル、後述のストローブ幅係数テーブルなどを含む制御データを記憶する制御データ領域222を有している。CG−ROM230は、テープ印刷装置1に用意されている文字等(数字、記号、図形等を含む)のフォントデータを記憶していて、文字等を特定するコードデータが与えられたときに、対応するフォントデータを出力する。
【0047】
RAM240は、電源オフ時のバックアップがされていて、各種フラグ・レジスタ群241、テキストデータ領域242、表示画像データ領域243、印刷画像データ領域244、描画登録画像データ領域245、外字登録画像データ領域246、文字展開バッファ、印刷バッファなどの各種バッファ領域247などの領域を有し、制御処理のための作業領域として使用される。
【0048】
P−CON250には、CPU210の機能を補うとともに周辺回路とのインタフェース信号を取り扱うための論理回路が、ゲートアレイやカスタムLSIなどにより構成されて組み込まれている。例えば、種々の計時を行うタイマ251などもP−CON250内の機能として組み込まれている。このため、P−CON250は、検出部14の各種センサやキーボード3と接続され、検出部14からの前述した各種検出信号およびキーボード3からの各種指令や入力データなどをそのままあるいは加工して内部バス260に取り込むとともに、CPU210と連動して、CPU210等から内部バス260に出力されたデータや制御信号を、そのままあるいは加工して駆動部270に出力する。
【0049】
そして、CPU210は、上記の構成により、ROM220内の制御プログラムにしたがって、P−CON250を介して各種検出信号、各種指令、各種データ等を入力し、CG−ROM230からのフォントデータ、RAM240内の各種データ等を処理し、P−CON250を介して駆動部270に制御信号を出力することにより、印刷の位置制御や表示画面41の表示制御等を行うとともに、印刷ヘッド7を制御して所定の印刷条件でテープTに印刷するなど、テープ印刷装置1全体を制御している。
【0050】
次に、テープ印刷装置1の制御全体の処理フローについて、図4を参照して説明する。電源キーを押すこと(電源オン)により処理が開始すると、同図に示すように、まず、前回の電源オフ時の状態に戻すために、退避していた各制御フラグを復旧するなどの初期設定を行い(S1)、次に、前回の表示画面を初期画面として表示する(S2)。
【0051】
同図のその後の処理、すなわちキー入力か否かの判断分岐(S3)および各種割込処理(S4)は、概念的に示した処理である。実際には、テープ印刷装置1では、初期画面表示(S2)が終了すると、キー入力その他による割込を許可し、何らかの割込が発生するまでは、そのままの状態を維持し(S3:No)、何らかの割込が発生すると(S3:Yes)、それぞれの割込処理に移行して(S4)、その割込処理が終了すると、再度、その状態を維持する(S3:No)。
【0052】
上述のように、テープ印刷装置1では、主な処理を割込処理により行うので、印刷画像作成などの準備ができていれば、ユーザが任意の時点で印刷キーを押すことにより、印刷処理割込が発生して、印刷処理が起動され、印刷画像データに基づいて印刷画像の印刷ができる。すなわち、印刷に至るまでの操作手順は、ユーザが任意に選択できる。
【0053】
例えば図5に示すように、カーソルKまでの1行目の文字(キャラクタ)列「ABCDE」を入力後のテキスト編集画面表示の状態で(画面D10)、ユーザにより印刷キーが押されると、「印刷中」のメッセージの表示とともに文字列「ABCDE」の文字列画像を印刷画像G0(図7〜図11参照)として印刷し(D11)、印刷が終了すると、元のテキスト編集画面に戻る(D12:D10と同じ)。なお、テープ印刷装置1では、ユーザは、キー入力による各種指示を取消キーにより取り消すことができ、上述の状態(D11)から取消キーを押すことにより、元のテキスト編集画面の表示状態(D10)に戻すことができる。
【0054】
以下、上記の印刷処理について、さらに詳細に説明する。なお、以下では、上記の印刷画像G0を例に挙げて説明する。ユーザにより印刷キーが押されると、印刷処理割込が発生して、「印刷中」のメッセージ表示(D11)とともに、図6に示すように、印刷処理(S10)が起動されるが、この印刷処理(印刷制御、発熱制御)の詳細を説明する前に、その概要を原理的に説明しておく。
【0055】
まず、印刷ヘッド7の発熱素子により同時に印刷されるドットから成るドット列、すなわち、テープ幅方向に並ぶドット列をドットラインと定義する。例えば上述の「ABCDE」の印刷画像G0を印刷する場合、図7〜図10に示すように、図7の太矢印「←」の方向(テープTの長手方向:相対移動方向)にテープ送りしながら、印刷ヘッド7の発熱素子列によってドットライン毎に印刷を行うので、「A」等を構成するドットマトリクスの各ドットラインを順に印刷することになる。
【0056】
なお、分解能が高い場合(高印刷密度の場合)などにおいて、印刷画像データとしては1ドットラインに相当するものを分割印刷することもあるが、そのような場合、ここでは、分割数分のドットラインが有るものとする。例えば1列256ドットを64ドット×4回で印刷する場合、「同時に印刷されるドットから成るドット列をドットラインとする」という意味で、その1列256ドットは4ドットラインとして扱うものとし、1列256ドットを一挙に(同時に)印刷する場合には、1ドットラインとして扱う。
【0057】
また、この印刷画像G0の先頭からキャラクタ「A」の先頭位置P1までのLa個のドットライン(ライン数Laのドットライン)のように、印刷すべきドット(すなわち印刷ヘッド7の各発熱素子の各発熱により印刷すべきドット:印刷すべき画素:図示の黒ドット)が含まれないドットラインを「空白ライン」(または白ライン:WL)と定義する。逆に、「A」の先頭位置P1から末尾位置P5までのドットラインのように、印刷すべきドット(図示の黒ドット)が含まれるドットラインを「印刷ライン」(または黒ライン:BL)と定義する。また、この印刷画像G0における最初の空白ライン数La≧10とする。
【0058】
ここで、図13に示すように、これから印刷ラインを印刷する直前の印刷ヘッド7が、周囲温度(環境温度)T0より十分に高い温度(印刷開始に必要な下限温度:印刷開始下限温度)Tdまで十分に暖められている(十分な蓄熱がある)場合、標準(基準)のストローブ幅のストローブ(STB)信号Vdを印加すれば、印刷に必要な下限温度(印刷下限温度)Tp以上の部分の蓄熱量(ジュール熱による印刷エネルギー)として十分な熱量Hdが得られる。
【0059】
これに対し、例えばしばらく放置された後あるいは空白ラインが所定以上に連続した後などの場合、すなわち、図15に示すように、これから印刷ラインを印刷する直前の印刷ヘッド7が、周囲温度T0近傍まで冷えている場合、同様の標準ストローブ幅のストローブ(STB)信号Vdを印加しても、印刷に十分な熱量が得られず、供給される熱量は例えば図示の熱量HA、HB、HC等のようになる。このため、例えば図11(a)に示すように印刷したくても、画像の各画素(各黒ドット)を印刷する熱量(印刷エネルギー)が不足して、同図(b)のように小さなドットになってしまい、画質が損なわれる。
【0060】
このため、図6に示す本実施形態の印刷処理(S10)では、印刷ラインを印刷する場合であって(S13:Yes)、設定空白ライン数M以上の後の印刷(M≦m)と判別され(S16:Yes)、且つ、その印刷が設定印刷ライン数N以上続いていない(N≦n)ときには(S18:Yes)、すなわち、印刷ラインの印刷直前の印刷ヘッド7が周囲温度T0近傍まで冷えた状態から印刷が開始され、且つ、十分な熱量まで回復するための印刷がなされていないときには(S16、S18共にYes)、次に、ストローブ幅を調整することにより、印加エネルギーを調整した後(S19)、印刷対象の1ライン(印刷ライン)を印刷する(S20)。
【0061】
より具体的には、標準ストローブ幅に乗ずる係数等をROM220内の係数テーブル等に記憶させておき、それを読み出して標準ストローブ幅に乗じて特殊ストローブ幅とし、例えば図12に示すように、標準ストローブ幅のストローブ信号Vdを図示Ea、Eb、Ecの分まで拡幅したストローブ信号Va、Vb、Vcを印加するように調整する(S19)。この場合、拡幅しない場合の熱量Ha、Hb、Hcに拡幅Ea、Eb、Ecの分の熱量ha、hb、hcを付加することになり、これにより、蓄熱量(印加エネルギー)を調整して印刷に必要な熱量を確保できる。なお、この場合の各幅Ea、Eb、Ecの値(または乗ずる係数の値)は、同一(Ea=Eb=Ec)としても良いし、例えば徐々に小さい値(Ea>Eb>Ec)としても良い(ここではEa≧Eb≧Ecとしておく)。
【0062】
以下、処理フローに沿って詳細に説明する。図6に示すように、印刷処理(S10)が起動されると、まず、空白ライン(WL)の連続数mを(m=0と)初期化し、また、印刷ライン(BL)の連続数nを(n=0と)初期化する(S11)。なお、以下では、印刷ヘッド7が放熱により冷え込むまでの空白ライン(WL)の連続数mのしきい値(設定空白ライン数)MをM=10とし、印刷ヘッド7の蓄熱量が印刷により定常状態まで復帰(回復)するまでの印刷ライン(BL)の連続数nのしきい値(設定印刷ライン数)Nを、上記図12に合わせてN=3とする。もちろん、これらの値は、実績データ等に基づいて任意に定めることができる。
【0063】
上記の各初期化が終了すると(S11)、次に、印刷画像データを検索し、最初のドットライン(以下、適宜「ライン」と略称する)を分析して印刷の準備をし(S12)、準備したラインが「印刷ライン」か否かを判別する(S13)。印刷画像G0の例では、最初のラインは「空白ライン」なので(S13:No)、次に、印刷ライン(BL)の連続数nをクリア(n←0)してから(S14:このクリアの意味は後述)、空白ライン(WL)の連続数mをカウント(m←m+1)するが、上記のように初期状態ではm=0とすると、ここではm←m+1=1から、m=1となる(S15)。
【0064】
続いて、印刷画像データを検索し、次のラインを分析して印刷の準備をし(S12)、同様に印刷ラインか否かを判別し(S13)、同様に、「空白ライン」なので(S13:No)、BLの連続数nをクリア後(S14)、WLの連続数mをカウントし、m←m+1=2から、m=2となる(S15)。同様にして、La番目までのラインを分析して(図7〜図10参照)、空白ラインであることを判別(S13;No)すると、空白ライン(WL)の連続数m=Laとなり(S15)、この時点で、1〜La番目までの(位置P1までの)La個のライン分析が終了する。
【0065】
続いて、印刷画像データを検索してライン分析・準備をし(S12)、同様に印刷ラインか否かを判別すると(S13)、次のライン(位置P1の直後のライン:La+1番目のライン)は、印刷ラインなので(S13:Yes)、次に、これから印刷する印刷ラインの印刷が設定空白ライン数M以上が存在した後の印刷か否か(すなわちM≦mか否か)を判別し(S16)、ここでは、m=La≧10(=M)なので、設定空白ライン数M以上の後の印刷(M≦m)となる(S16:Yes)。
【0066】
設定空白ライン数M以上の後の印刷(M≦m)と判別されると(S16:Yes)、次に、印刷ライン(BL)の連続数nをカウント(n←n+1)するが、上記のように初期状態ではn=0なので、ここではn←n+1=1から、n=1となる(S17)。次に、これから印刷する印刷ラインの印刷が設定印刷ライン数N以上続いていないか否か(すなわちN≦nか否か)を判別し(S18)、ここでは、n(=1)≦N(=3)なので、設定印刷ライン数N以内(N≧n)となる(S18:Yes)。このため、ストローブ幅(印加エネルギー)を調整して(S19)、ストローブ信号Va(図12参照)の印加によりLa+1番目のラインについての1ライン印刷が終了すると(S20)、次に、印刷終了か否か、すなわち印刷画像G0等の最後のラインの処理を終了したか否かを判別する(S21)。
【0067】
ここでは、まだ終了していないので(S20:No)、次の印刷画像データを検索してライン分析・準備をし(S12)、次のライン(La+2番目のライン)も印刷ラインで、設定空白ライン数M以上の後の印刷(M≦m)なので、BLの連続数nをカウントしてn=2となり、n(=2)≦N(=3)なので、設定印刷ライン数N以内(N≧n)となり(S13〜S16〜S17〜S18)、ストローブ幅調整により印加エネルギーを調整して(S19)、ストローブ信号Vbの印加によりLa+2番目のラインについての1ライン印刷を終了し(S20)、次に、印刷終了か否かを判別する(S21)。
【0068】
次のライン(La+3番目のライン)についても同様にして、n=3となり、n(=3)≦N(=3)なので(S13〜S16〜S17〜S18:Yes)、ストローブ幅(印加エネルギー)を調整して(S19)、ストローブ信号Vcの印加によりLa+3番目のラインについての1ライン印刷を終了し(S20)、次に、印刷終了か否かを判別する(S21)。
【0069】
次のライン(La+4番目のライン)についても同様に、印刷ラインで(S13:Yes)、設定空白ライン数M以上の後の印刷(M≦m)なので(S16:Yes)、BLの連続数nをカウントしてn=4となる(S17)。
【0070】
ただし、ここでは、n(=4)>N(=3)なので、設定印刷ライン数N以内ではなくなり(S18:No)、次に、BLの連続数nをクリア(n←0)し(S23)、続いて、WLの連続数mをクリア(m←0)してから(S24)、調整のないストローブ幅(すなわち標準ストローブ幅)のストローブ信号Vdの印加によりLa+4番目のラインについての1ライン印刷を終了し(S20)、次に、印刷終了か否かを判別する(S21)。
【0071】
印刷画像G0の場合、印刷終了ではないので(S21:No)、次のライン(La+5番目のライン)についても同様にライン分析し(S12)、印刷ラインと判別するが(S13:Yes)、ここでは、WLの連続数mがクリアされて(m=0となって)いて、設定空白ライン数M以上の後の印刷(M≦m)ではないと判別し(S16:No)、続いて、再度、WLの連続数mをクリア(m←0)してから(S24:この再度のクリアの意味は後述)、標準ストローブ幅のストローブ信号Vdの印加によりLa+5番目の1ライン印刷を終了し(S20)、印刷終了か否かを判別する(S21)。
【0072】
続いて、次のライン(La+6番目のライン)以降についても、La+5番目と同様に処理する(S12〜S13〜S16〜S24〜S20〜S21〜S12のループ処理をする)。すなわち、位置P1までのLa個のラインは空白ライン(WL)なので印刷せず、位置P1〜P2のLb(=N=)3個のラインについては、ストローブ幅(印加エネルギー)調整を伴うストローブ信号Va、Vb、Vcによる印刷を行い、位置P1〜P5のラインについては、調整無しの標準ストローブ幅のストローブ信号Vdによる印刷を行う。この時点で、印刷画像G0の「ABCDE」のキャラクタ画像のうちの「A」の印刷を終了する。
【0073】
続いて、印刷画像G0の位置P5までの1ライン印刷の終了時点では、印刷終了ではないので(S21:No)、次のラインについても同様にライン分析し(S12)、位置P5〜P6の間は空白ライン(WL)なので印刷せず、その間の処理(S12〜S13〜S14〜S15〜S12のループ処理)によって、M≦m(=Lc)となり、設定空白ライン数M以上の後の印刷(M≦m)なので(S16:Yes)、位置P6〜P7のLd(=N=)3個のラインについては、印加エネルギー調整を伴うストローブ信号Va、Vb、Vcによる印刷を行い、以降、標準ストローブ幅のストローブ信号Vdによる印刷に移行し、同様の処理を続けることにより、印刷画像G0の「ABCDE」の全てのキャラクタ画像の印刷を終了すると(S21;Yes)、印刷処理(S10)を終了し(S22)、元のテキスト編集画面に戻る(図5のD12)。
【0074】
上述のように、本実施形態のテープ印刷装置1では、テープTの長手方向に連続する空白ライン(WL)の連続数mおよび印刷ライン(BL)の連続数nに基づいて、各印刷ラインを印刷するために印刷ヘッド7に印加する印加エネルギーを調整するので、印刷画像の内容に応じて、印刷画像の画質低下を防止できる。また、本実施形態では、印加エネルギーの調整は、印刷ヘッド7に印加するストローブ信号(ストローブパルス)のストローブ幅を調整することによって行われ、ストローブ幅の調整によって印加時間を調整できるので、単位時間に供給される印加電圧や印加電流が同じであっても、印加エネルギーを調整できる。
【0075】
また、より具体的には、WLが設定空白ライン数M以上連続した場合であって、その後の印刷ラインを印刷するときに、印加エネルギーを基準値より増加させるので、空白ラインの連続による放熱により蓄熱量が不十分な印刷ヘッド7に十分な熱量を供給でき、これにより、熱量不足による画質低下を防止できる。また、その後の印刷ラインが設定印刷ライン数N以上連続した後の印刷ラインを印刷するときには、増加させた印加エネルギーの供給により印刷ヘッド7が十分な蓄熱量になっているものとして、印刷ヘッド7に印加する印加エネルギーを基準値に戻すので、過度の加熱およびそれによる画質低下を防止できる。
【0076】
なお、上述の印刷画像G0の例の場合、例えばLa+1番目〜La+4番目のラインが印刷ラインとして連続したので、ここまでに十分に蓄熱されたものとして、La+4番目の印刷ラインではn=4により印加エネルギーの調整を省略したが、上述の実施形態の印刷処理(S10)では、例えばLa+2番目やLa+3番目やLa+4番目に空白ラインが存在した場合には、再度、カウントし直すものとしている。すなわち、このような空白ラインが存在したときには(S13:No)、次に、印刷ライン(BL)の連続数nをクリア(n←0)する(S14)。
【0077】
ただし、上記の場合、一旦、印刷ラインの印刷が1〜3ライン(=1〜Nライン)分だけ実行され、この印刷(加熱)による蓄熱分があり、純粋に空白ラインが連続して放熱した場合とは異なるので、この分の蓄熱を加味し、印刷ライン(BL)の連続数nを0までダウンカウントしてからクリアするように、すなわち[n←n−1(但しn≧1の場合)およびn←0(但しn≦0の場合)](S14’)のようにしても良い。この場合、3ライン中の1ラインのみ空白ラインの場合は1だけカウントアップされるので、例えばLa+2番目〜La+4番目の3ライン中の1ラインのみ空白ラインで、その他のラインとLa+1番目とLa+5番目とLa+6番目のラインが印刷ラインであれば、La+6番目のラインのときに、n=4(S18:No)となる。
【0078】
また、設定空白ライン数M以上の後の印刷(M≦m)ではない(S16:No)と判別した場合の、再度の連続数mのクリア処理(S24)は、印刷ラインが連続する中に、空白ラインが飛び飛びに含まれる場合に、連続数mのカウントアップ処理(S15)によって総計がM以上になり、調整用の処理(S17〜S19)を行ってしまうのを防ぐ処理であるが、空白ラインが含まれる場合にはそれによる放熱があることを加味して、連続数mを0までダウンカウントしてからクリアするように、点線で図示の[m←m−1(但しm≧1の場合)およびm←0(但しm≦0の場合)](S25)のようにしても良い。この場合、連続数mのカウントアップ処理(S15)の方がカウントダウン処理(S25)より多数回実行された(すなわち空白ラインの数の方が多い)ときに、その差がM以上になると(S16がYesとなり)、調整用の処理(S17〜S19)が実行されることになる。
【0079】
なお、上述の実施形態の場合、テープ幅方向に並ぶドット列を一括して1ドットライン(1ライン)として扱うため、図示の位置P3〜P4の間も印刷ライン(BL)として扱ったが、印刷ヘッド7の発熱素子(ドット)をテープ幅方向の複数に分割して(印加エネルギーを)制御できる場合、例えば図8に図示の上部領域Ru、中央部領域Rm、下部領域Rdのように分割制御できる場合、図示の位置P3〜P4の間を空白ライン(WL)として扱うこともできる。
【0080】
また、上述の実施形態では、定常状態のストローブ信号Vdのストローブ幅を基準(すなわち標準ストローブ幅)とし、それに係数(この場合1以上)を乗じて拡幅して、図12のようにストローブ信号Va〜Vc等としたが、広幅のストローブ信号(例えばストローブ信号Va)を基準として、1以下の係数を乗じて狭幅のストローブ信号(例えばストローブ信号Vd)等としても良い。この狭幅とする場合のストローブ幅(印加エネルギー)調整の処理は、図6の処理(S24)の後に挿入すれば良い。また、印刷ヘッドで発生する熱はいわゆるジュール熱なので、ストローブ幅(印加時間)の調整だけでなく、印加電圧の調整によっても、あるいは印加電流の調整によっても、供給する印加エネルギーを調整でき、いずれかの方法の単独あるいはこれらの複合によって、任意に調整できる。
【0081】
また、WLの連続数mの初期値0(m=0)としたが、連続数mについては前回の印刷終了時のカウント値を保存したり、前回印刷から今回印刷開始までの待機時間等を連続数mとして換算した値に初期化することもできる。また、連続数mの初期値を所定値以上とするなどの工夫により、印刷画像の印刷開始時を、設定空白ライン数M以上連続した場合と同等に扱うこともでき、この場合、印刷開始前の放熱を空白ラインが連続した場合の放熱と同等に扱うことによって、印刷開始後の最初の印刷ラインを印刷するときに、印加エネルギーを基準値より増加させることになり、印刷開始時の蓄熱量が不十分な印刷ヘッド7に十分な熱量を供給できる。すなわち、上述の印刷画像G0の例では最初の空白ライン数La≧10としたが、mの初期値を例えばm=7としておけば(S11)、空白ライン数La≧3で、m≧7+3=10となり、設定空白ライン数M以上の後の印刷(M≦m)となって(S16:Yes)、印加エネルギーを増加させる(S19)ことになるし、初期値をm=0にしておけば、最初の空白ラインLa=0でも、同様に処理する(S19)ことになる。
【0082】
なお、上述の印刷処理(S10)は、プログラム処理可能なテープ印刷装置によって処理されるプログラムとして適用でき、その種のプログラムを記憶するための例えばCD等の記憶媒体にも適用でき、この種のプログラムを記憶しておいて、あるいは記憶媒体等から読み出して、実行することにより、印刷画像の内容に応じて、印刷ヘッドへの印加エネルギーを調整して印刷画像の画質低下を防止できる。もちろん、その他、要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更も可能である。
【0083】
ところで、上述の実施形態では、ストローブ幅調整の条件を、「空白ライン(WL)が設定空白ライン数M以上続いた後の印刷ラインの印刷であって(M≦m)、且つ、設定印刷ライン数N以上続いていない(N≦n)とき」としているが、MやNの値を適宜変更できるほか、条件の前半の「空白ライン(WL)が設定空白ライン数M以上続いた後」を、「印刷をしていない時間(空白ラインが続く時間)が設定空白時間K以上続いた後」と変更することもできる。ただし、この場合、高速印刷か低速印刷かにより空白ラインが続く時間(空白連続時間)は異なるので、印刷速度をも加味した印刷制御となる。この場合を、第2実施形態として、以下に説明する。
【0084】
この(第2)実施形態のテープ印刷装置1では、ユーザにより印刷キーが押されると、印刷処理割込が発生して、「印刷中」のメッセージ表示(図5のD11)とともに、図14に示すように、印刷処理(S30)が起動され、まず、空白ライン(WL)の連続時間kを(k=0と)初期化し、また、印刷ライン(BL)の連続数nを(n=0と)初期化し、タイマ251の値(タイマ値TIM:以下単に「タイマTIM」)を(TIM=0と)初期化し、そのタイマ値の退避(一字保存)用のタイマ値TIM2を(TIM2=0と)初期化する(S31)。
【0085】
なお、以下では、設定空白時間K=10×(1ライン分のテープ送り時間:印刷速度に相当)とし、第1実施形態と同様に、設定印刷ライン数N=3とし、最初の空白ライン数La≧10とする。また、第1実施形態による図6の印刷処理(S10)と同じ処理は同一参照符号であり、図示の括弧()内は、印刷処理(S10)における同等の処理の参照符号を示す。また、第1実施形態と同様に図7〜図11に示す印刷画像G0を例示して説明する。
【0086】
上記の各初期化が終了すると(S31)、次に、その時点からの計時(すなわちタイマTIMのカウント)を開始し(S32)、続いて、印刷画像データを検索し、最初のラインを分析して印刷の準備をし(S12)、次に、準備したラインが「印刷ライン」か否かを判別し(S13)、印刷画像G0では、最初のラインは「空白ライン」なので(S13:No)、次に、BLの連続数nをクリア(n←0)する(S14)。
【0087】
ここで、本処理(S30)では、空白ライン(WL)が連続する時間の累積を得るため、WLの連続時間kを[k←k+TIM−TIM2]により更新する(S33)。ここでは、初期状態でk=0、TIM=0、TIM2=0だったので、タイマTIMスタート処理(S32)からの経過時間がTIMとなっていて、k←k+TIM−TIM2により、k=TIM(=タイマTIMスタート処理(S32)からの経過時間)となり(S33)、続いて、現在の(現時点での)タイマTIMの値を、タイマ値TIM2として[TIM2←TIM]により保存(退避)する(S34)。
【0088】
続いて、印刷画像データを検索し、次のライン分析・準備をし(S12)、印刷ラインか否かを判別し(S13)、印刷画像G0では同様に「空白ライン」なので(S13:No)、BLの連続数nをクリア後(S14)、WLの連続時間kを[k←k+TIM−TIM2]により更新する(S33)。ここでは、現在のタイマ値TIMから前回更新時のタイム値TIM2を減算した分、すなわち前回更新時からの経過時間TIM−TIM2分だけ、WLの連続時間kに累積して更新する(S33)。続いて、現時点でのタイマTIMの値を、タイマ値TIM2として保存(すなわち更新)する(S34)。
【0089】
同様にして、La番目までのラインを分析して(図7〜図10参照)、空白ラインであることを判別(S13;No)すると、空白ライン(WL)の連続時間kは約La×(1ライン分のテープ送り時間)となり、印刷画像G0の最初の空白ライン数La≧10なので、k≧K(=10×(1ライン分のテープ送り時間:印刷速度に相当))となり、この時点で、1〜La番目までの(位置P1までの)La個のライン分析が終了する。
【0090】
続いて、印刷画像データを検索してライン分析・準備をし(S12)、同様に印刷ラインか否かを判別すると(S13)、次のライン(位置P1の直後のライン:La+1番目のライン)は、印刷ラインなので(S13:Yes)、次に、これから印刷する印刷ラインの印刷が、設定空白時間K以上経過後の印刷か否か(すなわちK≦kか否か)を判別し(S35)、ここでは、k≧Kなので、設定空白時間K以上経過後の印刷(K≦k)となる(S35:Yes)。
【0091】
設定空白時間K以上経過後の印刷(K≦k)と判別されると(S35:Yes)、以下、第1実施形態の図6と同様に、ストローブ幅(印加エネルギー)調整後のストローブ信号Vaの印加によりLa+1番目のラインについての1ライン印刷を行い(S17〜S18〜S19〜S20)、それが終了すると、次に、印刷終了か否かを判別し(S21)、ここでは、まだ終了していないので(S21:No)、次に、現時点でのタイマTIMの値を、タイマ値TIM2として保存する(S34)。この場合、WLの連続時間kの更新(S33)を行わずに、すなわち前回更新時からの経過時間TIM−TIM2分だけの累積をしないで、現時点のタイム値TIM2を保存(更新)しているので、連続時間kの累積を一時停止(省略)する意味をもつ(S34)。
【0092】
続いて、次の印刷画像データを検索してライン分析・準備をし(S12)、次のライン(La+2番目のライン)も印刷ラインなので(S13:Yes)、同様に、設定空白時間K以上経過後の印刷(K≦k)と判別し(S35:Yes)、ストローブ幅(印加エネルギー)調整後のストローブ信号Vbの印加によりLa+2番目の1ライン印刷を行い(S17〜S18〜S19〜S20)、印刷終了でないと判別し(S21:No)、現時点のタイマ値TIM2を保存(更新)する(S34)。
【0093】
次のライン(La+3番目のライン)についても同様に、印刷ラインとして、設定空白時間K以上経過後であると判別して調整後のストローブ信号Vcの印加によりLa+3番目の1ライン印刷を行い(S12〜S13〜S35〜S17〜S18〜S19〜S20)、印刷終了でないと判別し(S21:No)、現時点のタイマ値TIM2を更新する(S34)。この時点で、BLの連続数n=3となっている。
【0094】
次のライン(La+4番目のライン)についても同様に、印刷ラインで(S13:Yes)、印刷ラインで(S13:Yes)、設定空白時間K以上経過後の印刷(K≦k)と判別し(S35:Yes)、BLの連続数nをカウントしてn=4となる(S17)。ただし、ここでは、n(=4)>N(=3)なので、設定印刷ライン数N以内ではなくなり(S18:No)、次に、BLの連続数nをクリア(n←0)し(S23)、続いて、WLの連続時間kをクリア(k←0)してから(S36)、調整のない標準ストローブ幅のストローブ信号Vdの印加によりLa+4番目のラインについての1ライン印刷を終了し(S20)、印刷終了でないので(S21:No)、現時点のタイマ値TIM2を更新する(S34)。
【0095】
次のライン(La+5番目のライン)についても同様にライン分析し(S12)、印刷ラインと判別するが(S13:Yes)、ここでは、WLの連続時間kがクリアされて(k=0となって)いて、設定空白時間K以上経過後の印刷(K≦k)ではないと判別し(S35:No)、続いて、再度、WLの連続時間kをクリア(k←0)してから(S36:この再度のクリアの意味は後述)、標準ストローブ幅のストローブ信号Vdの印加によりLa+5番目の1ライン印刷を終了し(S20)、印刷終了でないので(S21:No)、現時点のタイマ値TIM2を更新する(S34)。
【0096】
続いて、次のライン(La+6番目のライン)以降についても、La+5番目と同様に処理する(S12〜S13〜S35〜S36〜S20〜S21〜S34〜S12のループ処理をする)。すなわち、図6の印刷処理(S10)で処理した場合と同様に、位置P1までのLa個のラインは空白ライン(WL)なので印刷せず、位置P1〜P2のLb(=N=)3個のラインについては、ストローブ幅(印加エネルギー)調整を伴うストローブ信号Va、Vb、Vcによる印刷を行い、位置P1〜P5のラインについては、調整無しの標準ストローブ幅のストローブ信号Vdによる印刷を行う。この時点で、印刷画像G0の「ABCDE」のキャラクタ画像のうちの「A」の印刷を終了する。
【0097】
続いて、印刷画像G0の位置P5までの1ライン印刷の終了時点では、印刷終了ではないので(S21:No)、次のラインについても同様にライン分析し(S12)、位置P5〜P6の間は空白ライン(WL)なので印刷せず、その間の処理(S12〜S13〜S14〜S33〜S34〜S12のループ処理)によって、K≦k(=約Lc×(1ライン分のテープ送り時間))となり、設定空白時間K以上経過後の印刷(K≦k)なので(S35:Yes)、位置P6〜P7のLd(=N=)3個のラインについては、印加エネルギー調整を伴うストローブ信号Va、Vb、Vcによる印刷を行い、以降、標準ストローブ幅のストローブ信号Vdによる印刷に移行し、同様の処理を続けることにより、印刷画像G0の「ABCDE」の全てのキャラクタ画像の印刷を終了し(S21:Yes)、印刷処理(S30)を終了して(S22)、元のテキスト編集画面に戻る(図5のD12)。
【0098】
上述のように、本実施形態のテープ印刷装置1では、印刷ライン(BL)か空白ライン(WL)かを分析してライン分析結果とし、空白ラインにより連続的に印刷を行わない空白連続時間kを、印刷中(正確には印刷画像を印刷するための相対移動中:テープT送り中)に検出し、空白連続時間kとBLの連続数nとに基づいて、各印刷ラインを印刷するために印刷ヘッド7に印加する印加エネルギーを調整する。印加エネルギーの調整方法、それらを係数等により求める方法およびそれらのバリエーションについては第1実施形態と同様なので、説明は省略する。
【0099】
また、より具体的には、空白連続時間kが所定の設定空白時間K以上になった後の印刷ラインを印刷するときに、印加エネルギーを基準値より増加させるので、空白連続時間kの継続による放熱により蓄熱量が不十分な印刷ヘッド7に十分な熱量を供給でき、これにより、熱量不足による画質低下を防止できる。また、その後の設定印刷ライン数N以上連続した後の印刷ラインについては第1実施形態と同様に設定(調整)を戻して、過度の加熱およびそれによる画質低下を防止できる。また、空白連続時間kの初期値の工夫により、印刷画像の印刷開始時を、設定空白時間以上経過した場合あるいはもうじき設定空白時間以上経過となる場合として扱うこともできる。これらの場合、印刷開始前の放熱を空白連続時間kによる放熱として扱うことにより、印刷開始後の最初の印刷ラインを印刷するときに、印加エネルギーを基準値より増加させることになり、印刷開始時の蓄熱量が不十分な印刷ヘッド7に十分な熱量を供給できる。
【0100】
なお、設定空白時間K以上経過後の印刷(K≦k)ではない(S35:No)と判別した場合の、再度の連続時間kのクリア処理(S36)は、印刷ラインが連続する中に、空白ラインが飛び飛びに含まれる場合に、連続時間kの更新(SS33)によって総計がK以上になり、調整用の処理(S17〜S19)を行ってしまうのを防ぐ処理であるが、空白ラインが含まれる場合の放熱を加味して(点線で示す仮にS37とするフローに従って)省略しても良い。この場合、印刷ラインの分は、現時点のタイマ値TIM2の更新(S34)により、連続時間kの累積にはならないが、空白ラインの分は飛び飛びであっても累積する(S33)ので、その累積時間がK以上になったときに(S35がYesとなり)、調整用の処理(S17〜S19)が実行されることになる。また、このように空白ラインが飛び飛びに含まれる場合には、第1実施形態の図6のS25に相当する処理、すなわち所定時間分だけダウンカウントする(計時を戻す)処理、を行うようにしても良い。
【0101】
また、上述の実施形態においても、第1実施形態と同様に、テープ幅方向の複数に分割して制御でき、例えば図8の上部領域Ru、中央部領域Rm、下部領域Rdのように分割制御できる場合、図示の位置P3〜P4の間を空白ライン(WL)として扱うこともできる。
【0102】
また、連続時間kの初期値は0(k=0)としたが、前回印刷終了時の計時結果や前回印刷〜今回印刷開始の待機時間等を連続時間kの初期値として初期化することもできる。また、この代わりに同様の時間をタイマTIMの初期値としても良い。また、上述の例では、空白ライン数La≧10のときに、設定空白時間K以上経過となるように、TIM、TIM2等の初期値を0(TIM=0、TIM2=0)としたが(S31)、これらの初期値を調整すれば、第1実施形態と同様に、より小さな値(例えば空白ライン数La≧3等)で、設定空白時間K以上経過後の印刷(K≦k)となる(S35:Yes)ようにすることもできる。
【0103】
また、上述の印刷処理(S30)なども、プログラム処理可能なテープ印刷装置によって処理されるプログラムとして適用でき、その種のプログラムを記憶するための例えばCD等の記憶媒体にも適用でき、この種のプログラムを記憶しておいて、あるいは記憶媒体等から読み出して、実行することにより、印刷画像の内容および印刷速度に応じて、印刷ヘッドへの印加エネルギーを調整して印刷画像の画質低下を防止できる。もちろん、その他、要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更も可能である。
【0104】
【発明の効果】
上述のように、本発明のテープ印刷装置およびその印刷制御方法、プログラム並びに記憶媒体によれば、印刷画像の内容および印刷速度に応じて、印刷ヘッドへの印加エネルギーを調整して印刷画像の画質低下を防止できる、などの効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るテープ印刷装置の外観斜視図である。
【図2】図1のテープ印刷装置の、蓋を開けた状態の斜視図である。
【図3】図1のテープ印刷装置の制御系を示す概略ブロック図である。
【図4】テープ印刷装置の制御全体の概略処理を示すフローチャートである。
【図5】印刷をするときの一例を示す、表示画面およびその表示画面上での典型的な操作の説明図である。
【図6】印刷処理の一例を示すフローチャートである。
【図7】印刷結果の印刷画像の一例を示す説明図である。
【図8】図7の最初のキャラクタ「A」の近傍を拡大して示す説明図である。
【図9】図8のさらに一部の領域を拡大して示す説明図である。
【図10】図9の領域の1をさらに拡大して示す説明図である。
【図11】空白ラインが連続した後の印刷ラインの印刷についての理想イメージと従来の問題点のイメージを示す説明図である。
【図12】図11(a)に対応して、空白ラインが連続した後のストローブ幅調整後のストローブ信号とそれによる蓄熱制御のイメージを示す説明図である。
【図13】定常状態における標準ストローブ幅のストローブ信号とそれによる蓄熱制御のイメージを示す説明図である。
【図14】第2実施形態における印刷処理の一例を示すフローチャートである。
【図15】図11(b)に対応して、空白ラインが連続した後の標準ストローブ幅のストローブ信号とそれによる蓄熱制御の問題点のイメージを示す説明図である。
【符号の説明】
1 テープ印刷装置
2 装置ケース
3 キーボード
4 ディスプレイ
7 印刷ヘッド
11 操作部
12 印刷部
13 切断部
14 検出部
200 制御部
270 駆動部
C テープカートリッジ
G0 印刷画像
La、Lb、Lc、Ld …… ライン数
P1〜P7 …… 位置
R インクリボン
R1〜R3、Ru、Rm、Rd …… 領域
T テープ
【発明の属する技術分野】
本発明は、サーマル方式の印刷ヘッドにより印刷対象物となるテープに印刷画像を印刷するテープ印刷装置およびその印刷制御方法、プログラム並びに記憶媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
原理的に、サーマル方式の印刷ヘッド(サーマルヘッド)の蓄熱量は、前回印刷からの経過時間に応じた放熱により変化(低下)するが、印刷画像のテープ幅方向にドットが並ぶドット列(ドットライン)の間隔は一定なので、従来のテープ印刷装置では、各ドットラインを印刷するための蓄熱量が所定範囲となるように、言い換えればドットライン間での放熱が一定量となるように、相対移動速度に応じた発熱制御(印刷制御)を行う(例えば、上記の原理も含め特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−268360号公報(段落[0100]〜[0144]、図9〜23)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ただし、上記の原理では、印刷画像の内容による相違が考慮されていない。すなわち、最低1ドットでも印刷(発熱)すべきドットを含むドットライン(印刷ライン)を印刷するときには、その発熱により所定の蓄熱量を維持し得るが、例えば印刷画像内の段落間や文字間等の空白など、印刷すべきドットが含まれないドットライン(空白ライン)が連続すると、印刷速度に応じたその時間(空白連続時間)の間に、印刷ヘッドが周囲温度近傍まで冷えてしまい、その後の印刷ラインの印刷のために標準のストローブ信号を印加しても、画像の各画素(各ドット)を印刷する熱量(印加エネルギー)が不足して、小さなドットになってしまい、画質が損なわれる。
【0005】
本発明は、印刷画像の内容および印刷速度に応じて、印刷ヘッドへの印加エネルギーを調整して印刷画像の画質低下を防止できるテープ印刷装置およびその印刷制御方法、プログラム並びに記憶媒体を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1のテープ印刷装置は、サーマルヘッドに対しテープをその長手方向に且つ相対的に移動させながら、印刷画像の前記テープの幅方向にドットが並ぶドットラインに対応して列設した前記サーマルヘッドの複数の発熱素子を発熱駆動して、前記テープに1ドットラインずつ前記印刷画像の印刷を行うテープ印刷装置であって、印刷に供するドットを含んだドットラインである印刷ラインと前記印刷に供するドットを含まないドットラインである空白ラインとが混在する前記印刷画像の各ドットラインについて前記印刷ラインか前記空白ラインかを分析して、ライン分析結果とするドットライン分析手段と、前記ライン分析結果に基づいて、前記移動中において前記テープの長手方向に連続する空白ラインにより連続的に印刷を行わない空白連続時間を検出する空白連続時間検出手段と、前記空白連続時間と前記ライン分析結果による前記印刷ラインの連続数とに基づいて、各印刷ラインを印刷するための前記印刷ヘッドへの印加エネルギーを調整する印加エネルギー調整手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、請求項9の印刷制御方法は、サーマルヘッドに対しテープをその長手方向に且つ相対的に移動させながら、印刷画像の前記テープの幅方向にドットが並ぶドットラインに対応して列設した前記サーマルヘッドの複数の発熱素子を発熱駆動して、前記テープに1ドットラインずつ前記印刷画像の印刷を行うテープ印刷装置の印刷制御方法であって、印刷に供するドットを含んだドットラインである印刷ラインと前記印刷に供するドットを含まないドットラインである空白ラインとが混在する前記印刷画像の各ドットラインについて前記印刷ラインか前記空白ラインかを分析して、ライン分析結果とするドットライン分析工程と、前記ライン分析結果に基づいて、前記移動中において前記テープの長手方向に連続する空白ラインにより連続的に印刷を行わない空白連続時間を検出する空白連続時間検出工程と、前記空白連続時間と前記ライン分析結果による前記印刷ラインの連続数とに基づいて、各印刷ラインを印刷するための前記印刷ヘッドへの印加エネルギーを調整する印加エネルギー調整工程と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
このテープ印刷装置およびその印刷制御方法では、印刷画像の各ドットラインについて印刷ラインか空白ラインかを分析してライン分析結果とし、印刷画像を印刷するための相対移動中の空白ラインにより連続的に印刷を行わない空白連続時間を検出し、空白連続時間と印刷ラインの連続数とに基づいて、各印刷ラインを印刷するために印刷ヘッドに印加する印加エネルギーを調整する。すなわち、空白連続時間が所定時間以上継続した場合には、放熱により印刷ヘッドの蓄熱量が不十分となるので、印加エネルギーを増加する方向に調整し、印刷ラインが所定数以上連続した場合には、蓄熱量が十分になるので、それに合わせた印加エネルギーにする。この場合、印刷画像の内容(に基づくライン分析結果)の他、印刷速度により経過時間が異なってくるので、印刷画像の内容および印刷速度に応じて、印刷ヘッドへの印加エネルギーを調整して印刷画像の画質低下を防止できる。
【0009】
また、上述のテープ印刷装置において、前記印加エネルギー調整手段は、前記空白連続時間が所定の設定空白時間以上になった後の印刷ラインを印刷するときに、前記印加エネルギーの値を増大させる印加エネルギー増加手段を有することが好ましい。
【0010】
このテープ印刷装置では、空白連続時間が所定の設定空白時間以上になった後の印刷ラインを印刷するときに、印加エネルギーの値を増大させるので、空白連続時間の継続による放熱により蓄熱量が不十分な印刷ヘッドに十分な熱量を供給できる。
【0011】
また、上述のテープ印刷装置において、前記空白連続時間検出手段は、前記印刷画像の印刷開始時に、前記空白連続時間の初期値を所定値以上とする空白連続時間初期化手段を有することが好ましい。
【0012】
このテープ印刷装置では、空白連続時間の初期値を所定値以上とすることにより、印刷画像の印刷開始後、空白ラインが連続しなくてもあるいは少し連続しただけで、空白連続時間が大きな値となる。これにより、印刷開始前の放熱を空白連続時間の継続による放熱として扱うことができ、印刷開始後の最初の印刷ラインを印刷するときに、印加エネルギーを増加させるなど、印刷開始時の蓄熱量が不十分な印刷ヘッドに十分な熱量を供給できる。
【0013】
また、上述の設定空白時間経過後の印加エネルギーの値を増大させる各テープ印刷装置において、前記印加エネルギー調整手段は、前記設定空白時間以上経過した場合であって、その後の前記印刷ラインが所定の設定印刷ライン数以上連続した後の印刷ラインを印刷するときに、増大された前記印加エネルギーの値を元に戻す印加エネルギー復帰手段を有することが好ましい。
【0014】
このテープ印刷装置では、設定空白時間以上経過した場合であって、その後の印刷ラインが所定の設定印刷ライン数以上連続した後の印刷ラインを印刷するときには、増大させた印加エネルギーの供給により印刷ヘッドが十分な蓄熱量になっているものとして、印刷ヘッドに印加する印加エネルギーの値を元に戻すので、過度の加熱およびそれによる画質低下を防止できる。
【0015】
また、上述した各テープ印刷装置において、前記印加エネルギーの調整は、前記印刷ヘッドに印加するストローブパルスのストローブ幅を調整することによって行われることが好ましい。
【0016】
このテープ印刷装置では、印加エネルギーの調整は、印刷ヘッドに印加するストローブパルスのストローブ幅を調整することによって行われる。すなわちストローブ幅の調整(幅を拡げるまたは狭める)によって、ストローブパルスの印加時間を調整できるので、単位時間に供給される印加電圧や印加電流が同じであっても、印加エネルギーを調整できる。
【0017】
また、上述の印加エネルギーを調整する各テープ印刷装置において、前記印加エネルギーの調整は、前記印刷ヘッドに印加する印加電圧を調整することによって行われることが好ましい。
【0018】
このテープ印刷装置では、印加エネルギーの調整は、印刷ヘッドに印加する印加電圧を調整することによって行われる。すなわち、印刷ヘッドで発生する熱はいわゆるジュール熱なので、印加電流や印加時間などの他の条件を同じにしても、印加電圧の調整によって供給する印加エネルギーを調整できる。
【0019】
また、上述の印加エネルギーを調整する各テープ印刷装置において、前記印加エネルギーの調整は、前記印刷ヘッドに供給する印加電流の制限値を調整することによって行われることが好ましい。
【0020】
このテープ印刷装置では、印加エネルギーの調整は、印刷ヘッドに供給する印加電流の制限値を調整することによって行われる。すなわち、印加電圧や印加時間などの他の条件を同じにしても、印加電流の調整によって供給する印加エネルギーを調整できる。
【0021】
また、上述した各テープ印刷装置において、前記印加エネルギーの調整は、基準となる値に所定の係数を乗ずることにより行われることが好ましい。
【0022】
このテープ印刷装置では、印加エネルギーの調整は、基準となる値(基準値、標準値)に所定の係数を乗ずることにより行われる。すなわち、所定の係数をテーブル等に用意(記憶)しておき、それを読み出して基準値に乗ずることにより、例えば標準ストローブ幅に係数を乗じて拡幅または狭幅したり、標準印加電圧や標準印加電流を係数分だけ増減させることができ、これらにより、印加エネルギーを調整できる。
【0023】
また、請求項10のプログラムは、プログラム処理可能なテープ印刷装置によって処理されることにより、請求項1ないし8のいずれかに記載のテープ印刷装置の各手段の機能を実行可能なことを特徴とする。
【0024】
また、請求項11のプログラムは、プログラム処理可能なテープ印刷装置によって処理されることにより、請求項9に記載のテープ印刷装置の印刷制御方法を実行可能なことを特徴とする。
【0025】
これらのプログラムは、プログラム処理可能なテープ印刷装置によって処理されることにより、印刷画像の内容および印刷速度に応じて、印刷ヘッドへの印加エネルギーを調整して印刷画像の画質低下を防止できる。
【0026】
また、請求項12の記憶媒体は、プログラム処理可能なテープ印刷装置によって読み出されて処理されることにより請求項1ないし8のいずれかに記載のテープ印刷装置の各手段の機能を実行可能なプログラムを、記憶することを特徴とする。
【0027】
また、請求項13の記憶媒体は、プログラム処理可能なテープ印刷装置によって読み出されて処理されることにより請求項9に記載のテープ印刷装置の印刷制御方法を実行可能なプログラムを、記憶することを特徴とする。
【0028】
プログラム処理可能なテープ印刷装置において、これらの記憶媒体に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、印刷画像の内容および印刷速度に応じて、印刷ヘッドへの印加エネルギーを調整して印刷画像の画質低下を防止できる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態に係るテープ印刷装置について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
【0030】
図1および図2に示すように、このテープ印刷装置1は、装置ケース(装置本体)2により外殻が形成され、装置ケース2の前部上面には各種入力キーから成るキーボード3を備えている。また、後部上面には、その左部に開閉蓋21が取り付けられ、その右部にはディスプレイ4が配設されている。また、装置ケース2の左側部には、ポケット(テープ装着部)6と装置外部とを連通するスリット状のテープ排出口22が形成され、テープ排出口22には、送りだした印刷用テープ(以下単に「テープ」)Tを切断するテープカッタ132が臨んでいる。
【0031】
また、図3に示すように、基本的な構成として、キーボード3やディスプレイ4を有してユーザとのインタフェースを行う操作部11と、印刷ヘッド(サーマルヘッド)7やテープ送り部120を有してポケット6内に装着したテープカートリッジCのテープTに印刷を行う印刷部12と、印刷後のテープTの切断を行う切断部13と、各種センサを有して各種検出を行う検出部14と、各種ドライバを有して各部回路を駆動する駆動部270と、テープ印刷装置1内の各部を制御する制御部200と、を備えている。
【0032】
このため、装置ケース2の内部には、印刷部12、切断部13、検出部14などの他、図外の回路基板が収納されている。この回路基板には、電源ユニットの他、駆動部270や制御部200の各回路などが搭載され、図外のACアダプタ接続口や外部から着脱可能なニッカド電池等の電池に接続されている。
【0033】
テープ印刷装置1では、ユーザが、ポケット6にテープカートリッジCを装着した後、ディスプレイ4により入力・編集結果を確認しながらキーボード3により所望の文字など(文字、数字、記号、簡易図形等のキャラクタ)の印刷情報を入力して、印刷を指示すると、テープ送り部120によりテープカートリッジCからテープTを繰り出して、印刷ヘッド7によりテープTに所望の印刷を行い、印刷済み部分はテープ排出口22から随時外部に送り出される。所望の印刷が完了すると、テープ送り部120は、余白分を含むテープ長さの位置までテープTの送りを行った後、その送りを停止する。
【0034】
図2および図3に示すように、印刷部12には、開閉蓋21の内側に、テープカートリッジCを装着するためのポケット6が設けられていて、テープカートリッジCはこの開閉蓋21を開放した状態でポケット6に対して着脱される。また、テープカートリッジCの裏面には、相異なる幅等のテープTの種別を識別できるように小さな複数の孔(図示せず)が設けられ、ポケット6には、この孔の有無を検出するマイクロスイッチなどのテープ識別センサ142が設けられていて、テープTの有無(正確にはテープカートリッジCが装着されているか否か)およびテープTの種別(正確にはテープカートリッジCの種別)を検出できるようになっている。
【0035】
テープカートリッジCには、カートリッジケース51の内部に一定の幅(4.5mm〜48mm程度)のテープTとインクリボンRとが収容されており、印刷ヘッド7が臨む貫通開口55が形成されている。テープTは、裏面に粘着面が形成され、それが剥離紙によって覆われた構成になっている。また、テープTとインクリボンRとが重なる部分には、ヘッドユニット61に内蔵された印刷ヘッド7に対応して、プラテンローラ(プラテン)56が収納されている。テープカートリッジCが装着された状態で、印刷ヘッド7が貫通開口55から露出しているインクリボンRの裏面に当たり、発熱駆動されて所望の文字などがテープTの表面に印刷される。
【0036】
ポケット6には、DCモータから成る送りモータ121を駆動源として、プラテン56に係合してこれを回転させるプラテン駆動軸62と、同様にリボン巻取りリール54に係合してこれを回転させる巻取り駆動軸63と、位置決めピン64とが、それぞれ立設されている。
【0037】
テープカートリッジCがポケット6に装着されると、ヘッドユニット61にテ貫通開口55が、位置決めピン64にテープリール52が、プラテン駆動軸62にプラテン56が、巻取り駆動軸63にリボン巻取りリール54が、それぞれ差し込まれ、この状態で開閉蓋21が閉塞されると、テープTおよびインクリボンRを挟み込んで印刷ヘッド7がプラテン56に当接して、テープTおよびインクリボンRが貫通開口55の位置で相互に重なり合った状態で走行するとともに、これらに同期して印刷ヘッド7が駆動されることで、印刷が行われる。その後、インクリボンRは内部で巻き取られながら、テープTのみがテープ繰出口59からテープカートリッジCの外部に排出され、プラテン56の回転(リボン巻取りリール54も同期回転する)が所定時間続行することで、テープTのテープ送りが続行され、テープ排出口22を介して装置外部に送り出され、テープT上の所定の切断位置がテープカッタ132の位置まで送られる。
【0038】
テープ送り部120は、ポケット6の側方から下方に亘る空間に配設され、ポケット6の側方に配設された送りモータ121を動力(駆動)源として、上記のプラテン駆動軸62および巻取り駆動軸63を回転させるものであり、送りモータ121と、プラテン駆動軸62と、巻取り駆動軸63と、送りモータ121の動力を各駆動軸に伝達する図外の減速歯車列と、送りモータ121の回転数を検出するための図外のエンコーダと、を備えている。このエンコーダは、送りモータ121の主軸に固定されたウォームの同軸上の先端に固着され、円盤状の周方向の4箇所に検出開口が形成されている。
【0039】
検出部14の回転速度センサ141は、上記のエンコーダの検出開口に臨むように発光素子と受光素子とが対向配置されたフォトセンサを備え、発光素子の光が回転する検出開口を通過して受光素子に受光され、受光された光の明滅が光電変換され、パルス信号として制御部200に出力され、そのパルス数より回転数が検出される。
【0040】
検出部14は、上記の回転速度センサ141と、前述のテープ識別センサ142と、を備えている。なお、実状に合わせて、これらを省略した構成とすることもできる。
【0041】
切断部13は、テープカッタ132と、これを切断動作させるカッタモータ131と、任意長印刷などの場合に手動(マニュアル)によりテープカッタを切断動作させるカットボタン133と、を備えている。また、定長印刷などの場合には自動(オート)でカッタモータ132を駆動する。また、モード設定によって、自動/手動を切り替えられるようにしている。
【0042】
駆動部270は、ディスプレイドライバ271と、ヘッドドライバ272と、モータドライバ273と、を備えている。ディスプレイドライバ271は、制御部200から出力される制御信号に基づき、その指示にしたがって、操作部11のディスプレイ4を駆動する。同様に、ヘッドドライバ272は、制御部200の指示にしたがって、印刷部12の印刷ヘッド7を駆動する。また、モータドライバ273は、印刷部12の送りモータ121を駆動する送りモータドライバ273dと、切断部13のカッタモータ131を駆動するカッタモータドライバ273cとを有し、同様に、各モータを駆動する。
【0043】
操作部11は、キーボード3とディスプレイ4とを備えている。ディスプレイ4は、横方向(X方向)約6cm×縦方向(Y方向)4cmの長方形の形状の内側に、96ドット×64ドットの表示画像データを表示可能な表示画面41を有し、ユーザがキーボード3からデータを入力して、キャラクタ列画像データなどの印刷画像データを作成・編集したり、その結果等を視認したり、キーボード3から各種指令・選択指示等を入力したりする際などに用いられる。
【0044】
キーボード3には、アルファベットキー群、数字キー群、平仮名や片仮名等の仮名キー群、および外字を呼び出して選択するための外字キー群等を含む文字キー群31の他、各種の動作モードなどを指定するための機能キー群32などが配列されている。機能キー群32には、電源キー、印刷動作を指示するための印刷キー、テキスト入力時のデータ確定や改行および選択画面における各種モードの選択指示のための選択キー、並びに、それぞれ上下左右の方向へのカーソル移動や表示画面41の表示範囲を移動させるための4個のカーソルキーなどが含まれる。なお、これらは、各キー入力毎に個別にキーを設けて入力しても良いし、シフトキー等と組み合わせてより少ない数のキーを用いて入力しても良い。
【0045】
キーボード3は、種々の指令およびデータを制御部200に入力する。制御部200は、CPU210、ROM220、キャラクタジェネレータROM(CG−ROM)230、RAM240、周辺制御回路(P−CON)250を備え、互いに内部バス260により接続されている。
【0046】
ROM220は、CPU210で処理する制御プログラムを記憶する制御プログラム領域221の他、色変換テーブル、文字修飾テーブル、後述のストローブ幅係数テーブルなどを含む制御データを記憶する制御データ領域222を有している。CG−ROM230は、テープ印刷装置1に用意されている文字等(数字、記号、図形等を含む)のフォントデータを記憶していて、文字等を特定するコードデータが与えられたときに、対応するフォントデータを出力する。
【0047】
RAM240は、電源オフ時のバックアップがされていて、各種フラグ・レジスタ群241、テキストデータ領域242、表示画像データ領域243、印刷画像データ領域244、描画登録画像データ領域245、外字登録画像データ領域246、文字展開バッファ、印刷バッファなどの各種バッファ領域247などの領域を有し、制御処理のための作業領域として使用される。
【0048】
P−CON250には、CPU210の機能を補うとともに周辺回路とのインタフェース信号を取り扱うための論理回路が、ゲートアレイやカスタムLSIなどにより構成されて組み込まれている。例えば、種々の計時を行うタイマ251などもP−CON250内の機能として組み込まれている。このため、P−CON250は、検出部14の各種センサやキーボード3と接続され、検出部14からの前述した各種検出信号およびキーボード3からの各種指令や入力データなどをそのままあるいは加工して内部バス260に取り込むとともに、CPU210と連動して、CPU210等から内部バス260に出力されたデータや制御信号を、そのままあるいは加工して駆動部270に出力する。
【0049】
そして、CPU210は、上記の構成により、ROM220内の制御プログラムにしたがって、P−CON250を介して各種検出信号、各種指令、各種データ等を入力し、CG−ROM230からのフォントデータ、RAM240内の各種データ等を処理し、P−CON250を介して駆動部270に制御信号を出力することにより、印刷の位置制御や表示画面41の表示制御等を行うとともに、印刷ヘッド7を制御して所定の印刷条件でテープTに印刷するなど、テープ印刷装置1全体を制御している。
【0050】
次に、テープ印刷装置1の制御全体の処理フローについて、図4を参照して説明する。電源キーを押すこと(電源オン)により処理が開始すると、同図に示すように、まず、前回の電源オフ時の状態に戻すために、退避していた各制御フラグを復旧するなどの初期設定を行い(S1)、次に、前回の表示画面を初期画面として表示する(S2)。
【0051】
同図のその後の処理、すなわちキー入力か否かの判断分岐(S3)および各種割込処理(S4)は、概念的に示した処理である。実際には、テープ印刷装置1では、初期画面表示(S2)が終了すると、キー入力その他による割込を許可し、何らかの割込が発生するまでは、そのままの状態を維持し(S3:No)、何らかの割込が発生すると(S3:Yes)、それぞれの割込処理に移行して(S4)、その割込処理が終了すると、再度、その状態を維持する(S3:No)。
【0052】
上述のように、テープ印刷装置1では、主な処理を割込処理により行うので、印刷画像作成などの準備ができていれば、ユーザが任意の時点で印刷キーを押すことにより、印刷処理割込が発生して、印刷処理が起動され、印刷画像データに基づいて印刷画像の印刷ができる。すなわち、印刷に至るまでの操作手順は、ユーザが任意に選択できる。
【0053】
例えば図5に示すように、カーソルKまでの1行目の文字(キャラクタ)列「ABCDE」を入力後のテキスト編集画面表示の状態で(画面D10)、ユーザにより印刷キーが押されると、「印刷中」のメッセージの表示とともに文字列「ABCDE」の文字列画像を印刷画像G0(図7〜図11参照)として印刷し(D11)、印刷が終了すると、元のテキスト編集画面に戻る(D12:D10と同じ)。なお、テープ印刷装置1では、ユーザは、キー入力による各種指示を取消キーにより取り消すことができ、上述の状態(D11)から取消キーを押すことにより、元のテキスト編集画面の表示状態(D10)に戻すことができる。
【0054】
以下、上記の印刷処理について、さらに詳細に説明する。なお、以下では、上記の印刷画像G0を例に挙げて説明する。ユーザにより印刷キーが押されると、印刷処理割込が発生して、「印刷中」のメッセージ表示(D11)とともに、図6に示すように、印刷処理(S10)が起動されるが、この印刷処理(印刷制御、発熱制御)の詳細を説明する前に、その概要を原理的に説明しておく。
【0055】
まず、印刷ヘッド7の発熱素子により同時に印刷されるドットから成るドット列、すなわち、テープ幅方向に並ぶドット列をドットラインと定義する。例えば上述の「ABCDE」の印刷画像G0を印刷する場合、図7〜図10に示すように、図7の太矢印「←」の方向(テープTの長手方向:相対移動方向)にテープ送りしながら、印刷ヘッド7の発熱素子列によってドットライン毎に印刷を行うので、「A」等を構成するドットマトリクスの各ドットラインを順に印刷することになる。
【0056】
なお、分解能が高い場合(高印刷密度の場合)などにおいて、印刷画像データとしては1ドットラインに相当するものを分割印刷することもあるが、そのような場合、ここでは、分割数分のドットラインが有るものとする。例えば1列256ドットを64ドット×4回で印刷する場合、「同時に印刷されるドットから成るドット列をドットラインとする」という意味で、その1列256ドットは4ドットラインとして扱うものとし、1列256ドットを一挙に(同時に)印刷する場合には、1ドットラインとして扱う。
【0057】
また、この印刷画像G0の先頭からキャラクタ「A」の先頭位置P1までのLa個のドットライン(ライン数Laのドットライン)のように、印刷すべきドット(すなわち印刷ヘッド7の各発熱素子の各発熱により印刷すべきドット:印刷すべき画素:図示の黒ドット)が含まれないドットラインを「空白ライン」(または白ライン:WL)と定義する。逆に、「A」の先頭位置P1から末尾位置P5までのドットラインのように、印刷すべきドット(図示の黒ドット)が含まれるドットラインを「印刷ライン」(または黒ライン:BL)と定義する。また、この印刷画像G0における最初の空白ライン数La≧10とする。
【0058】
ここで、図13に示すように、これから印刷ラインを印刷する直前の印刷ヘッド7が、周囲温度(環境温度)T0より十分に高い温度(印刷開始に必要な下限温度:印刷開始下限温度)Tdまで十分に暖められている(十分な蓄熱がある)場合、標準(基準)のストローブ幅のストローブ(STB)信号Vdを印加すれば、印刷に必要な下限温度(印刷下限温度)Tp以上の部分の蓄熱量(ジュール熱による印刷エネルギー)として十分な熱量Hdが得られる。
【0059】
これに対し、例えばしばらく放置された後あるいは空白ラインが所定以上に連続した後などの場合、すなわち、図15に示すように、これから印刷ラインを印刷する直前の印刷ヘッド7が、周囲温度T0近傍まで冷えている場合、同様の標準ストローブ幅のストローブ(STB)信号Vdを印加しても、印刷に十分な熱量が得られず、供給される熱量は例えば図示の熱量HA、HB、HC等のようになる。このため、例えば図11(a)に示すように印刷したくても、画像の各画素(各黒ドット)を印刷する熱量(印刷エネルギー)が不足して、同図(b)のように小さなドットになってしまい、画質が損なわれる。
【0060】
このため、図6に示す本実施形態の印刷処理(S10)では、印刷ラインを印刷する場合であって(S13:Yes)、設定空白ライン数M以上の後の印刷(M≦m)と判別され(S16:Yes)、且つ、その印刷が設定印刷ライン数N以上続いていない(N≦n)ときには(S18:Yes)、すなわち、印刷ラインの印刷直前の印刷ヘッド7が周囲温度T0近傍まで冷えた状態から印刷が開始され、且つ、十分な熱量まで回復するための印刷がなされていないときには(S16、S18共にYes)、次に、ストローブ幅を調整することにより、印加エネルギーを調整した後(S19)、印刷対象の1ライン(印刷ライン)を印刷する(S20)。
【0061】
より具体的には、標準ストローブ幅に乗ずる係数等をROM220内の係数テーブル等に記憶させておき、それを読み出して標準ストローブ幅に乗じて特殊ストローブ幅とし、例えば図12に示すように、標準ストローブ幅のストローブ信号Vdを図示Ea、Eb、Ecの分まで拡幅したストローブ信号Va、Vb、Vcを印加するように調整する(S19)。この場合、拡幅しない場合の熱量Ha、Hb、Hcに拡幅Ea、Eb、Ecの分の熱量ha、hb、hcを付加することになり、これにより、蓄熱量(印加エネルギー)を調整して印刷に必要な熱量を確保できる。なお、この場合の各幅Ea、Eb、Ecの値(または乗ずる係数の値)は、同一(Ea=Eb=Ec)としても良いし、例えば徐々に小さい値(Ea>Eb>Ec)としても良い(ここではEa≧Eb≧Ecとしておく)。
【0062】
以下、処理フローに沿って詳細に説明する。図6に示すように、印刷処理(S10)が起動されると、まず、空白ライン(WL)の連続数mを(m=0と)初期化し、また、印刷ライン(BL)の連続数nを(n=0と)初期化する(S11)。なお、以下では、印刷ヘッド7が放熱により冷え込むまでの空白ライン(WL)の連続数mのしきい値(設定空白ライン数)MをM=10とし、印刷ヘッド7の蓄熱量が印刷により定常状態まで復帰(回復)するまでの印刷ライン(BL)の連続数nのしきい値(設定印刷ライン数)Nを、上記図12に合わせてN=3とする。もちろん、これらの値は、実績データ等に基づいて任意に定めることができる。
【0063】
上記の各初期化が終了すると(S11)、次に、印刷画像データを検索し、最初のドットライン(以下、適宜「ライン」と略称する)を分析して印刷の準備をし(S12)、準備したラインが「印刷ライン」か否かを判別する(S13)。印刷画像G0の例では、最初のラインは「空白ライン」なので(S13:No)、次に、印刷ライン(BL)の連続数nをクリア(n←0)してから(S14:このクリアの意味は後述)、空白ライン(WL)の連続数mをカウント(m←m+1)するが、上記のように初期状態ではm=0とすると、ここではm←m+1=1から、m=1となる(S15)。
【0064】
続いて、印刷画像データを検索し、次のラインを分析して印刷の準備をし(S12)、同様に印刷ラインか否かを判別し(S13)、同様に、「空白ライン」なので(S13:No)、BLの連続数nをクリア後(S14)、WLの連続数mをカウントし、m←m+1=2から、m=2となる(S15)。同様にして、La番目までのラインを分析して(図7〜図10参照)、空白ラインであることを判別(S13;No)すると、空白ライン(WL)の連続数m=Laとなり(S15)、この時点で、1〜La番目までの(位置P1までの)La個のライン分析が終了する。
【0065】
続いて、印刷画像データを検索してライン分析・準備をし(S12)、同様に印刷ラインか否かを判別すると(S13)、次のライン(位置P1の直後のライン:La+1番目のライン)は、印刷ラインなので(S13:Yes)、次に、これから印刷する印刷ラインの印刷が設定空白ライン数M以上が存在した後の印刷か否か(すなわちM≦mか否か)を判別し(S16)、ここでは、m=La≧10(=M)なので、設定空白ライン数M以上の後の印刷(M≦m)となる(S16:Yes)。
【0066】
設定空白ライン数M以上の後の印刷(M≦m)と判別されると(S16:Yes)、次に、印刷ライン(BL)の連続数nをカウント(n←n+1)するが、上記のように初期状態ではn=0なので、ここではn←n+1=1から、n=1となる(S17)。次に、これから印刷する印刷ラインの印刷が設定印刷ライン数N以上続いていないか否か(すなわちN≦nか否か)を判別し(S18)、ここでは、n(=1)≦N(=3)なので、設定印刷ライン数N以内(N≧n)となる(S18:Yes)。このため、ストローブ幅(印加エネルギー)を調整して(S19)、ストローブ信号Va(図12参照)の印加によりLa+1番目のラインについての1ライン印刷が終了すると(S20)、次に、印刷終了か否か、すなわち印刷画像G0等の最後のラインの処理を終了したか否かを判別する(S21)。
【0067】
ここでは、まだ終了していないので(S20:No)、次の印刷画像データを検索してライン分析・準備をし(S12)、次のライン(La+2番目のライン)も印刷ラインで、設定空白ライン数M以上の後の印刷(M≦m)なので、BLの連続数nをカウントしてn=2となり、n(=2)≦N(=3)なので、設定印刷ライン数N以内(N≧n)となり(S13〜S16〜S17〜S18)、ストローブ幅調整により印加エネルギーを調整して(S19)、ストローブ信号Vbの印加によりLa+2番目のラインについての1ライン印刷を終了し(S20)、次に、印刷終了か否かを判別する(S21)。
【0068】
次のライン(La+3番目のライン)についても同様にして、n=3となり、n(=3)≦N(=3)なので(S13〜S16〜S17〜S18:Yes)、ストローブ幅(印加エネルギー)を調整して(S19)、ストローブ信号Vcの印加によりLa+3番目のラインについての1ライン印刷を終了し(S20)、次に、印刷終了か否かを判別する(S21)。
【0069】
次のライン(La+4番目のライン)についても同様に、印刷ラインで(S13:Yes)、設定空白ライン数M以上の後の印刷(M≦m)なので(S16:Yes)、BLの連続数nをカウントしてn=4となる(S17)。
【0070】
ただし、ここでは、n(=4)>N(=3)なので、設定印刷ライン数N以内ではなくなり(S18:No)、次に、BLの連続数nをクリア(n←0)し(S23)、続いて、WLの連続数mをクリア(m←0)してから(S24)、調整のないストローブ幅(すなわち標準ストローブ幅)のストローブ信号Vdの印加によりLa+4番目のラインについての1ライン印刷を終了し(S20)、次に、印刷終了か否かを判別する(S21)。
【0071】
印刷画像G0の場合、印刷終了ではないので(S21:No)、次のライン(La+5番目のライン)についても同様にライン分析し(S12)、印刷ラインと判別するが(S13:Yes)、ここでは、WLの連続数mがクリアされて(m=0となって)いて、設定空白ライン数M以上の後の印刷(M≦m)ではないと判別し(S16:No)、続いて、再度、WLの連続数mをクリア(m←0)してから(S24:この再度のクリアの意味は後述)、標準ストローブ幅のストローブ信号Vdの印加によりLa+5番目の1ライン印刷を終了し(S20)、印刷終了か否かを判別する(S21)。
【0072】
続いて、次のライン(La+6番目のライン)以降についても、La+5番目と同様に処理する(S12〜S13〜S16〜S24〜S20〜S21〜S12のループ処理をする)。すなわち、位置P1までのLa個のラインは空白ライン(WL)なので印刷せず、位置P1〜P2のLb(=N=)3個のラインについては、ストローブ幅(印加エネルギー)調整を伴うストローブ信号Va、Vb、Vcによる印刷を行い、位置P1〜P5のラインについては、調整無しの標準ストローブ幅のストローブ信号Vdによる印刷を行う。この時点で、印刷画像G0の「ABCDE」のキャラクタ画像のうちの「A」の印刷を終了する。
【0073】
続いて、印刷画像G0の位置P5までの1ライン印刷の終了時点では、印刷終了ではないので(S21:No)、次のラインについても同様にライン分析し(S12)、位置P5〜P6の間は空白ライン(WL)なので印刷せず、その間の処理(S12〜S13〜S14〜S15〜S12のループ処理)によって、M≦m(=Lc)となり、設定空白ライン数M以上の後の印刷(M≦m)なので(S16:Yes)、位置P6〜P7のLd(=N=)3個のラインについては、印加エネルギー調整を伴うストローブ信号Va、Vb、Vcによる印刷を行い、以降、標準ストローブ幅のストローブ信号Vdによる印刷に移行し、同様の処理を続けることにより、印刷画像G0の「ABCDE」の全てのキャラクタ画像の印刷を終了すると(S21;Yes)、印刷処理(S10)を終了し(S22)、元のテキスト編集画面に戻る(図5のD12)。
【0074】
上述のように、本実施形態のテープ印刷装置1では、テープTの長手方向に連続する空白ライン(WL)の連続数mおよび印刷ライン(BL)の連続数nに基づいて、各印刷ラインを印刷するために印刷ヘッド7に印加する印加エネルギーを調整するので、印刷画像の内容に応じて、印刷画像の画質低下を防止できる。また、本実施形態では、印加エネルギーの調整は、印刷ヘッド7に印加するストローブ信号(ストローブパルス)のストローブ幅を調整することによって行われ、ストローブ幅の調整によって印加時間を調整できるので、単位時間に供給される印加電圧や印加電流が同じであっても、印加エネルギーを調整できる。
【0075】
また、より具体的には、WLが設定空白ライン数M以上連続した場合であって、その後の印刷ラインを印刷するときに、印加エネルギーを基準値より増加させるので、空白ラインの連続による放熱により蓄熱量が不十分な印刷ヘッド7に十分な熱量を供給でき、これにより、熱量不足による画質低下を防止できる。また、その後の印刷ラインが設定印刷ライン数N以上連続した後の印刷ラインを印刷するときには、増加させた印加エネルギーの供給により印刷ヘッド7が十分な蓄熱量になっているものとして、印刷ヘッド7に印加する印加エネルギーを基準値に戻すので、過度の加熱およびそれによる画質低下を防止できる。
【0076】
なお、上述の印刷画像G0の例の場合、例えばLa+1番目〜La+4番目のラインが印刷ラインとして連続したので、ここまでに十分に蓄熱されたものとして、La+4番目の印刷ラインではn=4により印加エネルギーの調整を省略したが、上述の実施形態の印刷処理(S10)では、例えばLa+2番目やLa+3番目やLa+4番目に空白ラインが存在した場合には、再度、カウントし直すものとしている。すなわち、このような空白ラインが存在したときには(S13:No)、次に、印刷ライン(BL)の連続数nをクリア(n←0)する(S14)。
【0077】
ただし、上記の場合、一旦、印刷ラインの印刷が1〜3ライン(=1〜Nライン)分だけ実行され、この印刷(加熱)による蓄熱分があり、純粋に空白ラインが連続して放熱した場合とは異なるので、この分の蓄熱を加味し、印刷ライン(BL)の連続数nを0までダウンカウントしてからクリアするように、すなわち[n←n−1(但しn≧1の場合)およびn←0(但しn≦0の場合)](S14’)のようにしても良い。この場合、3ライン中の1ラインのみ空白ラインの場合は1だけカウントアップされるので、例えばLa+2番目〜La+4番目の3ライン中の1ラインのみ空白ラインで、その他のラインとLa+1番目とLa+5番目とLa+6番目のラインが印刷ラインであれば、La+6番目のラインのときに、n=4(S18:No)となる。
【0078】
また、設定空白ライン数M以上の後の印刷(M≦m)ではない(S16:No)と判別した場合の、再度の連続数mのクリア処理(S24)は、印刷ラインが連続する中に、空白ラインが飛び飛びに含まれる場合に、連続数mのカウントアップ処理(S15)によって総計がM以上になり、調整用の処理(S17〜S19)を行ってしまうのを防ぐ処理であるが、空白ラインが含まれる場合にはそれによる放熱があることを加味して、連続数mを0までダウンカウントしてからクリアするように、点線で図示の[m←m−1(但しm≧1の場合)およびm←0(但しm≦0の場合)](S25)のようにしても良い。この場合、連続数mのカウントアップ処理(S15)の方がカウントダウン処理(S25)より多数回実行された(すなわち空白ラインの数の方が多い)ときに、その差がM以上になると(S16がYesとなり)、調整用の処理(S17〜S19)が実行されることになる。
【0079】
なお、上述の実施形態の場合、テープ幅方向に並ぶドット列を一括して1ドットライン(1ライン)として扱うため、図示の位置P3〜P4の間も印刷ライン(BL)として扱ったが、印刷ヘッド7の発熱素子(ドット)をテープ幅方向の複数に分割して(印加エネルギーを)制御できる場合、例えば図8に図示の上部領域Ru、中央部領域Rm、下部領域Rdのように分割制御できる場合、図示の位置P3〜P4の間を空白ライン(WL)として扱うこともできる。
【0080】
また、上述の実施形態では、定常状態のストローブ信号Vdのストローブ幅を基準(すなわち標準ストローブ幅)とし、それに係数(この場合1以上)を乗じて拡幅して、図12のようにストローブ信号Va〜Vc等としたが、広幅のストローブ信号(例えばストローブ信号Va)を基準として、1以下の係数を乗じて狭幅のストローブ信号(例えばストローブ信号Vd)等としても良い。この狭幅とする場合のストローブ幅(印加エネルギー)調整の処理は、図6の処理(S24)の後に挿入すれば良い。また、印刷ヘッドで発生する熱はいわゆるジュール熱なので、ストローブ幅(印加時間)の調整だけでなく、印加電圧の調整によっても、あるいは印加電流の調整によっても、供給する印加エネルギーを調整でき、いずれかの方法の単独あるいはこれらの複合によって、任意に調整できる。
【0081】
また、WLの連続数mの初期値0(m=0)としたが、連続数mについては前回の印刷終了時のカウント値を保存したり、前回印刷から今回印刷開始までの待機時間等を連続数mとして換算した値に初期化することもできる。また、連続数mの初期値を所定値以上とするなどの工夫により、印刷画像の印刷開始時を、設定空白ライン数M以上連続した場合と同等に扱うこともでき、この場合、印刷開始前の放熱を空白ラインが連続した場合の放熱と同等に扱うことによって、印刷開始後の最初の印刷ラインを印刷するときに、印加エネルギーを基準値より増加させることになり、印刷開始時の蓄熱量が不十分な印刷ヘッド7に十分な熱量を供給できる。すなわち、上述の印刷画像G0の例では最初の空白ライン数La≧10としたが、mの初期値を例えばm=7としておけば(S11)、空白ライン数La≧3で、m≧7+3=10となり、設定空白ライン数M以上の後の印刷(M≦m)となって(S16:Yes)、印加エネルギーを増加させる(S19)ことになるし、初期値をm=0にしておけば、最初の空白ラインLa=0でも、同様に処理する(S19)ことになる。
【0082】
なお、上述の印刷処理(S10)は、プログラム処理可能なテープ印刷装置によって処理されるプログラムとして適用でき、その種のプログラムを記憶するための例えばCD等の記憶媒体にも適用でき、この種のプログラムを記憶しておいて、あるいは記憶媒体等から読み出して、実行することにより、印刷画像の内容に応じて、印刷ヘッドへの印加エネルギーを調整して印刷画像の画質低下を防止できる。もちろん、その他、要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更も可能である。
【0083】
ところで、上述の実施形態では、ストローブ幅調整の条件を、「空白ライン(WL)が設定空白ライン数M以上続いた後の印刷ラインの印刷であって(M≦m)、且つ、設定印刷ライン数N以上続いていない(N≦n)とき」としているが、MやNの値を適宜変更できるほか、条件の前半の「空白ライン(WL)が設定空白ライン数M以上続いた後」を、「印刷をしていない時間(空白ラインが続く時間)が設定空白時間K以上続いた後」と変更することもできる。ただし、この場合、高速印刷か低速印刷かにより空白ラインが続く時間(空白連続時間)は異なるので、印刷速度をも加味した印刷制御となる。この場合を、第2実施形態として、以下に説明する。
【0084】
この(第2)実施形態のテープ印刷装置1では、ユーザにより印刷キーが押されると、印刷処理割込が発生して、「印刷中」のメッセージ表示(図5のD11)とともに、図14に示すように、印刷処理(S30)が起動され、まず、空白ライン(WL)の連続時間kを(k=0と)初期化し、また、印刷ライン(BL)の連続数nを(n=0と)初期化し、タイマ251の値(タイマ値TIM:以下単に「タイマTIM」)を(TIM=0と)初期化し、そのタイマ値の退避(一字保存)用のタイマ値TIM2を(TIM2=0と)初期化する(S31)。
【0085】
なお、以下では、設定空白時間K=10×(1ライン分のテープ送り時間:印刷速度に相当)とし、第1実施形態と同様に、設定印刷ライン数N=3とし、最初の空白ライン数La≧10とする。また、第1実施形態による図6の印刷処理(S10)と同じ処理は同一参照符号であり、図示の括弧()内は、印刷処理(S10)における同等の処理の参照符号を示す。また、第1実施形態と同様に図7〜図11に示す印刷画像G0を例示して説明する。
【0086】
上記の各初期化が終了すると(S31)、次に、その時点からの計時(すなわちタイマTIMのカウント)を開始し(S32)、続いて、印刷画像データを検索し、最初のラインを分析して印刷の準備をし(S12)、次に、準備したラインが「印刷ライン」か否かを判別し(S13)、印刷画像G0では、最初のラインは「空白ライン」なので(S13:No)、次に、BLの連続数nをクリア(n←0)する(S14)。
【0087】
ここで、本処理(S30)では、空白ライン(WL)が連続する時間の累積を得るため、WLの連続時間kを[k←k+TIM−TIM2]により更新する(S33)。ここでは、初期状態でk=0、TIM=0、TIM2=0だったので、タイマTIMスタート処理(S32)からの経過時間がTIMとなっていて、k←k+TIM−TIM2により、k=TIM(=タイマTIMスタート処理(S32)からの経過時間)となり(S33)、続いて、現在の(現時点での)タイマTIMの値を、タイマ値TIM2として[TIM2←TIM]により保存(退避)する(S34)。
【0088】
続いて、印刷画像データを検索し、次のライン分析・準備をし(S12)、印刷ラインか否かを判別し(S13)、印刷画像G0では同様に「空白ライン」なので(S13:No)、BLの連続数nをクリア後(S14)、WLの連続時間kを[k←k+TIM−TIM2]により更新する(S33)。ここでは、現在のタイマ値TIMから前回更新時のタイム値TIM2を減算した分、すなわち前回更新時からの経過時間TIM−TIM2分だけ、WLの連続時間kに累積して更新する(S33)。続いて、現時点でのタイマTIMの値を、タイマ値TIM2として保存(すなわち更新)する(S34)。
【0089】
同様にして、La番目までのラインを分析して(図7〜図10参照)、空白ラインであることを判別(S13;No)すると、空白ライン(WL)の連続時間kは約La×(1ライン分のテープ送り時間)となり、印刷画像G0の最初の空白ライン数La≧10なので、k≧K(=10×(1ライン分のテープ送り時間:印刷速度に相当))となり、この時点で、1〜La番目までの(位置P1までの)La個のライン分析が終了する。
【0090】
続いて、印刷画像データを検索してライン分析・準備をし(S12)、同様に印刷ラインか否かを判別すると(S13)、次のライン(位置P1の直後のライン:La+1番目のライン)は、印刷ラインなので(S13:Yes)、次に、これから印刷する印刷ラインの印刷が、設定空白時間K以上経過後の印刷か否か(すなわちK≦kか否か)を判別し(S35)、ここでは、k≧Kなので、設定空白時間K以上経過後の印刷(K≦k)となる(S35:Yes)。
【0091】
設定空白時間K以上経過後の印刷(K≦k)と判別されると(S35:Yes)、以下、第1実施形態の図6と同様に、ストローブ幅(印加エネルギー)調整後のストローブ信号Vaの印加によりLa+1番目のラインについての1ライン印刷を行い(S17〜S18〜S19〜S20)、それが終了すると、次に、印刷終了か否かを判別し(S21)、ここでは、まだ終了していないので(S21:No)、次に、現時点でのタイマTIMの値を、タイマ値TIM2として保存する(S34)。この場合、WLの連続時間kの更新(S33)を行わずに、すなわち前回更新時からの経過時間TIM−TIM2分だけの累積をしないで、現時点のタイム値TIM2を保存(更新)しているので、連続時間kの累積を一時停止(省略)する意味をもつ(S34)。
【0092】
続いて、次の印刷画像データを検索してライン分析・準備をし(S12)、次のライン(La+2番目のライン)も印刷ラインなので(S13:Yes)、同様に、設定空白時間K以上経過後の印刷(K≦k)と判別し(S35:Yes)、ストローブ幅(印加エネルギー)調整後のストローブ信号Vbの印加によりLa+2番目の1ライン印刷を行い(S17〜S18〜S19〜S20)、印刷終了でないと判別し(S21:No)、現時点のタイマ値TIM2を保存(更新)する(S34)。
【0093】
次のライン(La+3番目のライン)についても同様に、印刷ラインとして、設定空白時間K以上経過後であると判別して調整後のストローブ信号Vcの印加によりLa+3番目の1ライン印刷を行い(S12〜S13〜S35〜S17〜S18〜S19〜S20)、印刷終了でないと判別し(S21:No)、現時点のタイマ値TIM2を更新する(S34)。この時点で、BLの連続数n=3となっている。
【0094】
次のライン(La+4番目のライン)についても同様に、印刷ラインで(S13:Yes)、印刷ラインで(S13:Yes)、設定空白時間K以上経過後の印刷(K≦k)と判別し(S35:Yes)、BLの連続数nをカウントしてn=4となる(S17)。ただし、ここでは、n(=4)>N(=3)なので、設定印刷ライン数N以内ではなくなり(S18:No)、次に、BLの連続数nをクリア(n←0)し(S23)、続いて、WLの連続時間kをクリア(k←0)してから(S36)、調整のない標準ストローブ幅のストローブ信号Vdの印加によりLa+4番目のラインについての1ライン印刷を終了し(S20)、印刷終了でないので(S21:No)、現時点のタイマ値TIM2を更新する(S34)。
【0095】
次のライン(La+5番目のライン)についても同様にライン分析し(S12)、印刷ラインと判別するが(S13:Yes)、ここでは、WLの連続時間kがクリアされて(k=0となって)いて、設定空白時間K以上経過後の印刷(K≦k)ではないと判別し(S35:No)、続いて、再度、WLの連続時間kをクリア(k←0)してから(S36:この再度のクリアの意味は後述)、標準ストローブ幅のストローブ信号Vdの印加によりLa+5番目の1ライン印刷を終了し(S20)、印刷終了でないので(S21:No)、現時点のタイマ値TIM2を更新する(S34)。
【0096】
続いて、次のライン(La+6番目のライン)以降についても、La+5番目と同様に処理する(S12〜S13〜S35〜S36〜S20〜S21〜S34〜S12のループ処理をする)。すなわち、図6の印刷処理(S10)で処理した場合と同様に、位置P1までのLa個のラインは空白ライン(WL)なので印刷せず、位置P1〜P2のLb(=N=)3個のラインについては、ストローブ幅(印加エネルギー)調整を伴うストローブ信号Va、Vb、Vcによる印刷を行い、位置P1〜P5のラインについては、調整無しの標準ストローブ幅のストローブ信号Vdによる印刷を行う。この時点で、印刷画像G0の「ABCDE」のキャラクタ画像のうちの「A」の印刷を終了する。
【0097】
続いて、印刷画像G0の位置P5までの1ライン印刷の終了時点では、印刷終了ではないので(S21:No)、次のラインについても同様にライン分析し(S12)、位置P5〜P6の間は空白ライン(WL)なので印刷せず、その間の処理(S12〜S13〜S14〜S33〜S34〜S12のループ処理)によって、K≦k(=約Lc×(1ライン分のテープ送り時間))となり、設定空白時間K以上経過後の印刷(K≦k)なので(S35:Yes)、位置P6〜P7のLd(=N=)3個のラインについては、印加エネルギー調整を伴うストローブ信号Va、Vb、Vcによる印刷を行い、以降、標準ストローブ幅のストローブ信号Vdによる印刷に移行し、同様の処理を続けることにより、印刷画像G0の「ABCDE」の全てのキャラクタ画像の印刷を終了し(S21:Yes)、印刷処理(S30)を終了して(S22)、元のテキスト編集画面に戻る(図5のD12)。
【0098】
上述のように、本実施形態のテープ印刷装置1では、印刷ライン(BL)か空白ライン(WL)かを分析してライン分析結果とし、空白ラインにより連続的に印刷を行わない空白連続時間kを、印刷中(正確には印刷画像を印刷するための相対移動中:テープT送り中)に検出し、空白連続時間kとBLの連続数nとに基づいて、各印刷ラインを印刷するために印刷ヘッド7に印加する印加エネルギーを調整する。印加エネルギーの調整方法、それらを係数等により求める方法およびそれらのバリエーションについては第1実施形態と同様なので、説明は省略する。
【0099】
また、より具体的には、空白連続時間kが所定の設定空白時間K以上になった後の印刷ラインを印刷するときに、印加エネルギーを基準値より増加させるので、空白連続時間kの継続による放熱により蓄熱量が不十分な印刷ヘッド7に十分な熱量を供給でき、これにより、熱量不足による画質低下を防止できる。また、その後の設定印刷ライン数N以上連続した後の印刷ラインについては第1実施形態と同様に設定(調整)を戻して、過度の加熱およびそれによる画質低下を防止できる。また、空白連続時間kの初期値の工夫により、印刷画像の印刷開始時を、設定空白時間以上経過した場合あるいはもうじき設定空白時間以上経過となる場合として扱うこともできる。これらの場合、印刷開始前の放熱を空白連続時間kによる放熱として扱うことにより、印刷開始後の最初の印刷ラインを印刷するときに、印加エネルギーを基準値より増加させることになり、印刷開始時の蓄熱量が不十分な印刷ヘッド7に十分な熱量を供給できる。
【0100】
なお、設定空白時間K以上経過後の印刷(K≦k)ではない(S35:No)と判別した場合の、再度の連続時間kのクリア処理(S36)は、印刷ラインが連続する中に、空白ラインが飛び飛びに含まれる場合に、連続時間kの更新(SS33)によって総計がK以上になり、調整用の処理(S17〜S19)を行ってしまうのを防ぐ処理であるが、空白ラインが含まれる場合の放熱を加味して(点線で示す仮にS37とするフローに従って)省略しても良い。この場合、印刷ラインの分は、現時点のタイマ値TIM2の更新(S34)により、連続時間kの累積にはならないが、空白ラインの分は飛び飛びであっても累積する(S33)ので、その累積時間がK以上になったときに(S35がYesとなり)、調整用の処理(S17〜S19)が実行されることになる。また、このように空白ラインが飛び飛びに含まれる場合には、第1実施形態の図6のS25に相当する処理、すなわち所定時間分だけダウンカウントする(計時を戻す)処理、を行うようにしても良い。
【0101】
また、上述の実施形態においても、第1実施形態と同様に、テープ幅方向の複数に分割して制御でき、例えば図8の上部領域Ru、中央部領域Rm、下部領域Rdのように分割制御できる場合、図示の位置P3〜P4の間を空白ライン(WL)として扱うこともできる。
【0102】
また、連続時間kの初期値は0(k=0)としたが、前回印刷終了時の計時結果や前回印刷〜今回印刷開始の待機時間等を連続時間kの初期値として初期化することもできる。また、この代わりに同様の時間をタイマTIMの初期値としても良い。また、上述の例では、空白ライン数La≧10のときに、設定空白時間K以上経過となるように、TIM、TIM2等の初期値を0(TIM=0、TIM2=0)としたが(S31)、これらの初期値を調整すれば、第1実施形態と同様に、より小さな値(例えば空白ライン数La≧3等)で、設定空白時間K以上経過後の印刷(K≦k)となる(S35:Yes)ようにすることもできる。
【0103】
また、上述の印刷処理(S30)なども、プログラム処理可能なテープ印刷装置によって処理されるプログラムとして適用でき、その種のプログラムを記憶するための例えばCD等の記憶媒体にも適用でき、この種のプログラムを記憶しておいて、あるいは記憶媒体等から読み出して、実行することにより、印刷画像の内容および印刷速度に応じて、印刷ヘッドへの印加エネルギーを調整して印刷画像の画質低下を防止できる。もちろん、その他、要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更も可能である。
【0104】
【発明の効果】
上述のように、本発明のテープ印刷装置およびその印刷制御方法、プログラム並びに記憶媒体によれば、印刷画像の内容および印刷速度に応じて、印刷ヘッドへの印加エネルギーを調整して印刷画像の画質低下を防止できる、などの効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るテープ印刷装置の外観斜視図である。
【図2】図1のテープ印刷装置の、蓋を開けた状態の斜視図である。
【図3】図1のテープ印刷装置の制御系を示す概略ブロック図である。
【図4】テープ印刷装置の制御全体の概略処理を示すフローチャートである。
【図5】印刷をするときの一例を示す、表示画面およびその表示画面上での典型的な操作の説明図である。
【図6】印刷処理の一例を示すフローチャートである。
【図7】印刷結果の印刷画像の一例を示す説明図である。
【図8】図7の最初のキャラクタ「A」の近傍を拡大して示す説明図である。
【図9】図8のさらに一部の領域を拡大して示す説明図である。
【図10】図9の領域の1をさらに拡大して示す説明図である。
【図11】空白ラインが連続した後の印刷ラインの印刷についての理想イメージと従来の問題点のイメージを示す説明図である。
【図12】図11(a)に対応して、空白ラインが連続した後のストローブ幅調整後のストローブ信号とそれによる蓄熱制御のイメージを示す説明図である。
【図13】定常状態における標準ストローブ幅のストローブ信号とそれによる蓄熱制御のイメージを示す説明図である。
【図14】第2実施形態における印刷処理の一例を示すフローチャートである。
【図15】図11(b)に対応して、空白ラインが連続した後の標準ストローブ幅のストローブ信号とそれによる蓄熱制御の問題点のイメージを示す説明図である。
【符号の説明】
1 テープ印刷装置
2 装置ケース
3 キーボード
4 ディスプレイ
7 印刷ヘッド
11 操作部
12 印刷部
13 切断部
14 検出部
200 制御部
270 駆動部
C テープカートリッジ
G0 印刷画像
La、Lb、Lc、Ld …… ライン数
P1〜P7 …… 位置
R インクリボン
R1〜R3、Ru、Rm、Rd …… 領域
T テープ
Claims (13)
- サーマルヘッドに対しテープをその長手方向に且つ相対的に移動させながら、印刷画像の前記テープの幅方向にドットが並ぶドットラインに対応して列設した前記サーマルヘッドの複数の発熱素子を発熱駆動して、前記テープに1ドットラインずつ前記印刷画像の印刷を行うテープ印刷装置であって、印刷に供するドットを含んだドットラインである印刷ラインと前記印刷に供するドットを含まないドットラインである空白ラインとが混在する前記印刷画像の各ドットラインについて前記印刷ラインか前記空白ラインかを分析して、ライン分析結果とするドットライン分析手段と、
前記ライン分析結果に基づいて、前記移動中において前記テープの長手方向に連続する空白ラインにより連続的に印刷を行わない空白連続時間を検出する空白連続時間検出手段と、
前記空白連続時間と前記ライン分析結果による前記印刷ラインの連続数とに基づいて、各印刷ラインを印刷するための前記印刷ヘッドへの印加エネルギーを調整する印加エネルギー調整手段と、
を備えたことを特徴とするテープ印刷装置。 - 前記印加エネルギー調整手段は、前記空白連続時間が所定の設定空白時間以上になった後の印刷ラインを印刷するときに、前記印加エネルギーの値を増大させる印加エネルギー増加手段を有することを特徴とする、請求項1に記載のテープ印刷装置。
- 前記空白連続時間検出手段は、前記印刷画像の印刷開始時に、前記空白連続時間の初期値を所定値以上とする空白連続時間初期化手段を有することを特徴とする、請求項2に記載のテープ印刷装置。
- 前記印加エネルギー調整手段は、前記設定空白時間以上経過した場合であって、その後の前記印刷ラインが所定の設定印刷ライン数以上連続した後の印刷ラインを印刷するときに、増大された前記印加エネルギーの値を元に戻す印加エネルギー復帰手段を有することを特徴とする、請求項2または3に記載のテープ印刷装置。
- 前記印加エネルギーの調整は、前記印刷ヘッドに印加するストローブパルスのストローブ幅を調整することによって行われることを特徴とする、請求項1ないし4のいずれかに記載のテープ印刷装置。
- 前記印加エネルギーの調整は、前記印刷ヘッドに印加する印加電圧を調整することによって行われることを特徴とする、請求項1ないし4のいずれかに記載のテープ印刷装置。
- 前記印加エネルギーの調整は、前記印刷ヘッドに供給する印加電流の制限値を調整することによって行われることを特徴とする、請求項1ないし4のいずれかに記載のテープ印刷装置。
- 前記印加エネルギーの調整は、基準となる値に所定の係数を乗ずることにより行われることを特徴とする、請求項1ないし7のいずれかに記載のテープ印刷装置。
- サーマルヘッドに対しテープをその長手方向に且つ相対的に移動させながら、印刷画像の前記テープの幅方向にドットが並ぶドットラインに対応して列設した前記サーマルヘッドの複数の発熱素子を発熱駆動して、前記テープに1ドットラインずつ前記印刷画像の印刷を行うテープ印刷装置の印刷制御方法であって、
印刷に供するドットを含んだドットラインである印刷ラインと前記印刷に供するドットを含まないドットラインである空白ラインとが混在する前記印刷画像の各ドットラインについて前記印刷ラインか前記空白ラインかを分析して、ライン分析結果とするドットライン分析工程と、
前記ライン分析結果に基づいて、前記移動中において前記テープの長手方向に連続する空白ラインにより連続的に印刷を行わない空白連続時間を検出する空白連続時間検出工程と、
前記空白連続時間と前記ライン分析結果による前記印刷ラインの連続数とに基づいて、各印刷ラインを印刷するための前記印刷ヘッドへの印加エネルギーを調整する印加エネルギー調整工程と、
を備えたことを特徴とするテープ印刷装置の印刷制御方法。 - プログラム処理可能なテープ印刷装置によって処理されることにより、請求項1ないし8のいずれかに記載のテープ印刷装置の各手段の機能を実行可能なことを特徴とするプログラム。
- プログラム処理可能なテープ印刷装置によって処理されることにより、請求項9に記載のテープ印刷装置の印刷制御方法を実行可能なことを特徴とするプログラム。
- プログラム処理可能なテープ印刷装置によって読み出されて処理されることにより請求項1ないし8のいずれかに記載のテープ印刷装置の各手段の機能を実行可能なプログラムを、記憶することを特徴とする記憶媒体。
- プログラム処理可能なテープ印刷装置によって読み出されて処理されることにより請求項9に記載のテープ印刷装置の印刷制御方法を実行可能なプログラムを、記憶することを特徴とする記憶媒体。
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2002
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