JP6761178B2 - ジフルオロリン酸リチウムの製造方法 - Google Patents

ジフルオロリン酸リチウムの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、非水電解液電池に使用される工業的、経済的に優れたジフルオロリン酸リチウムの製造方法及びこの方法で製造されたジフルオロリン酸リチウムを含有する非水電解液電池用電解液の製造方法に関するものである。
近年、情報関連機器、通信機器、即ちパソコン、ビデオカメラ、デジタルスチールカメラ、携帯電話等の小型、高エネルギー密度用途向けの蓄電システムや電気自動車、ハイブリッド車、燃料電池車補助電源、電力貯蔵等の大型、パワー用途向けの蓄電システムが注目を集めている。その一つの候補としてリチウムイオン電池、リチウム電池、リチウムイオンキャパシタ等の非水電解液電池が盛んに開発されている。
これらの非水電解液電池は既に実用化されているものも多いが、耐久性に於いて種々の用途で満足できるものではなく、特に45℃以上のときの劣化が大きいため自動車用など長期間、温度の高い場所で使用する用途では問題がある。
一般にこれらの非水電解液電池では非水電解液もしくはゲル化剤により擬固体化された非水電解液がイオン伝導体として用いられている。その構成は次のようなもので、溶媒として、非プロトン性のエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等から選ばれる1種類もしくは数種類の混合溶媒が使用され、溶質としてリチウム塩、即ちLiPF、LiBF、(CFSONLi、(CSONLi等が使用されている。
これまで非水電解液二次電池のサイクル特性、高温保存性等、耐久性を改善するための手段として、正極や負極の活物質をはじめとする様々な電池構成要素の最適化が検討されてきた。非水電解液関連技術もその例外ではなく、活性な正極や負極の表面で電解液が分解することによる劣化を種々の添加剤で抑制することが提案されている。
特許文献1では、電解液にジフルオロリン酸リチウムを添加すると電極界面に形成される皮膜の効果で、非水電解液二次電池の高温サイクル特性が向上することが記載されている。しかしながらこの添加剤として使用されるジフルオロリン酸リチウムは合成が難しく工業生産に供することのできる製造方法が検討されている。
例えば、特許文献2ではヘキサフルオロリン酸リチウムと二酸化ケイ素を反応させることにより製造されることが記載されているが、50℃の反応温度にて反応終了まで3日間という非常に長時間を要する。反応速度向上のために反応温度を上げる方法も考えられるが60℃を越えた場合、ヘキサフルオロリン酸リチウムの分解が起こり始め電解液の劣化を招くため、これも問題がある。
また、特許文献3では、フッ化物以外のハロゲン化物とLiPFと水とを非水溶媒中で反応させることにより、非水電解液中にジフルオロリン酸リチウムを生成させる方法が開示されている。特許文献3に記載の方法では、LiPFと水との反応によりジフルオロリン酸リチウムを得ると同時に、副生するフッ化水素をハロゲン化物と反応させて除去している。
特開平11−67270号公報 特開2005−219994号公報 特開2008−222484号公報
しかし、特許文献3に記載の方法では、ハロゲン化物に塩化リチウムを使用した場合は、塩化リチウムとフッ化水素が反応して生成したフッ化リチウムを濾過により分離する必要があるが、工業規模ではコスト高となるという問題点があった。一方、ハロゲン化物に四塩化ケイ素を使用した場合は、四塩化ケイ素とフッ化水素が反応生成した四フッ化シランを脱気処理により除去することができるが、生成物中に四塩化ケイ素に由来する塩素が残存するという問題点があった。塩素が電解液中に混入すると電池性能に悪影響があるため、電解液の添加剤用のジフルオロリン酸リチウムには、塩素等の不純物の混入をできるだけ減らす必要がある。また、特許文献3の実施例3では、少量のジフルオロリン酸リチウムが生成してLiPFが残るように、少量の四塩化ケイ素を加えているために問題なく取り扱うことができたが、LiPFを全てジフルオロリン酸リチウムに変換する際には、多量に添加した四塩化ケイ素の反応が激しく進行し、反応液のロスが生じることや、モノフルオロリン酸リチウムが多量に副成してしまうこと、水と四塩化ケイ素の反応により生成したシロキサンにより反応液の粘度が上昇するという問題点もあった。
本発明の目的は、非水電解液電池の性能向上に有効な添加剤であるジフルオロリン酸リチウムを、不純物の混入を減らしながら、工業的に製造する方法を提供することである。
本発明者らは、かかる問題に鑑み鋭意検討の結果、ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPFとも記載する)を非水溶媒中で水とハロゲン化有機シランと反応させてジフルオロリン酸リチウムを生成させた後に、フッ化水素を添加することで、副生物であるハロゲン化シロキサン化合物を分解し、分解生成物を脱気処理により除去することで、安価で、工業的に高純度のジフルオロリン酸リチウムを製造する方法を見出し、本発明に至った。
すなわち本発明は、LiPFと、水と、以下の一般式(1)で表されるハロゲン化物とを非水溶媒中で反応させる反応工程と、反応工程後の溶液に、フッ化水素を添加する添加工程と、添加工程後の溶液を脱気処理する脱気工程と、を備えることを特徴とするジフルオロリン酸リチウムの製造方法を提供するものである。
SiX (1)
(一般式(1)中、Rは、それぞれ独立して、炭素数1〜10のヘテロ原子やハロゲン原子を有していてもよい炭化水素基(炭素数が3以上の場合にあっては、分岐鎖又は環状構造のものも使用できる)である。Xは、それぞれ独立して、Cl、Br、及びIからなる群から選ばれるいずれか1つである。pは1〜3の整数、qは1〜3の整数をそれぞれ表し、p+q=4である)
本発明により、非水電解液電池の性能向上に有効な添加剤であるジフルオロリン酸リチウムを、不純物の混入を減らしながら、工業的に有利な方法により製造する方法を提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のジフルオロリン酸リチウムの製造方法は、LiPFと、水と、一般式(1)で表されるハロゲン化物とを非水溶媒中で反応させる反応工程と、反応工程後の溶液に、フッ化水素を添加する添加工程と、添加工程後の溶液を脱気処理する脱気工程と、を備えることを特徴とする。
一例として、ハロゲン化物としてジメチルジクロロシランを使用した場合の反応を説明する。
反応工程では、LiPFと水が反応し、ジフルオロリン酸が生成する。
LiPF+2HO+2MeSiCl → LiPO+4HCl+2MeSiF
次の添加工程では、反応工程で水とジメチルジクロロシランが反応して副生した含塩素シロキサン化合物を、添加したフッ化水素と反応させる。以下の式は、含塩素シロキサン化合物の一つの例に対する反応式である。
MeClSi−O−SiClMe+4HF → 2MeSiF+2HCl+H
次の脱気工程にて、塩化水素とジメチルジフルオロシランを脱気処理により除去する。
それにより、塩素成分の少ない高純度のジフルオロリン酸リチウムを得ることができる。
(反応工程)
本発明のハロゲン化物は、以下の一般式(1)で表される、フッ化物以外のハロゲン化有機シランである。
SiX (1)
(一般式(1)中、Rは、それぞれ独立して、炭素数1〜10のヘテロ原子やハロゲン原子を有していてもよい炭化水素基(炭素数が3以上の場合にあっては、分岐鎖又は環状構造のものも使用できる)である。Xは、それぞれ独立して、Cl、Br、及びIからなる群から選ばれるいずれか1つである。pは1〜3の整数、qは1〜3の整数をそれぞれ表し、p+q=4である)
本発明のハロゲン化有機シランの具体例としては、ジメチルジクロロシラン(MeSiCl)、ジメチルジブロモシラン(MeSiBr)、ジエチルジクロロシラン(EtSiCl)、ジエチルジブロモシラン(EtSiBr)などを挙げることができる。特に、生成したハロゲン化水素と、フッ化有機シランの沸点が低くなるため、ジメチルジクロロシランを使用することが好ましい。また、本発明に用いるハロゲン化物は、一種類を単独で用いても良く、二種類以上を用途に合わせて任意の組合せ、任意の比率で混合して用いても良い。
本発明のジフルオロリン酸リチウムの製造方法に用いる非水溶媒は環状カーボネート、鎖状カーボネート、環状エステル、鎖状エステルからなる群から選ばれた少なくとも一種類の溶媒であり、具体例としては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート等の環状カーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート等の鎖状カーボネート、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等の環状エステル、酢酸メチル、プロピオン酸メチル等の鎖状エステルを挙げることができる。また、本発明に用いる非水溶媒は、一種類を単独で用いても良く、二種類以上を用途に合わせて任意の組合せ、任意の比率で混合して用いても良い。
本発明の反応工程に使用する非水溶媒中のLiPFの濃度は、特に限定されず任意の濃度とすることができるが、下限は好ましくは0.01mol/L、より好ましくは0.1mol/Lであり、また、上限は好ましくは3.0mol/L、より好ましくは2.5mol/Lの範囲である。0.01mol/Lを下回るとこれを全量反応させ、ジフルオロリン酸リチウムに変換しても、希薄なためジフルオロリン酸リチウムを単離する際、濃縮、晶析に長時間を要するために経済的ではない。一方、3.0mol/Lを超えると溶液の粘度が上昇することにより反応をスムーズに行うことができない上に副反応による溶媒の分解が起こりやすくなるため、好ましくない。特に、本発明では、ジフルオロリン酸リチウムを効率的に生産するために、LiPFの濃度を1mol/L以上とすることが好ましい。
添加する水の量は特に限定されず、任意の量とすることができるが、LiPFと水の反応は定量的に進行して、非水電解液電池の性能向上に有効な添加剤となりうる高純度なジフルオロリン酸リチウムを得るためには、LiPFと水のモル比を1:1.5以上2以下の範囲にすることが好ましい。1:2よりも水のモル比が高い場合は、過剰分の水が残り、非水電解液電池を製造する際に電解質と反応してHF等を生成する恐れがあるため、好ましくない。一方、1:1.5よりも水のモル比が低い場合は、得られるジフルオロリン酸リチウムの量が少なくなり、ジフルオロリン酸リチウムの製造効率に劣る結果となる。
添加するハロゲン化物の量は特に限定されず、任意の量とすることができるが、LiPFとハロゲン化物の反応は定量的に進行するため、非水電解液電池の性能向上に有効な添加剤となりうる高純度なジフルオロリン酸リチウムを得るためには、LiPFと、ハロゲン化物中に含まれるハロゲン元素のモル比を1:3以上4以下の範囲にすることが好ましい。1:4よりもハロゲン元素のモル比が高い場合は、過剰分のハロゲン化水素を除去する必要が生じるため、好ましくない。一方、1:3よりもハロゲン元素のモル比が低い場合は、溶液中にフッ化水素が多量に残存してしまい、非水電解液電池の性能に影響を与えてしまう。
特に、本発明では、LiPFと水のモル比を1:1.8以上1.95以下の範囲にし、LiPFと、ハロゲン化物中に含まれるハロゲン元素のモル比を1:3.6以上3.9以下の範囲にすることがさらに好ましい。水とハロゲン化物の量を上記の範囲にすることで、反応工程後の溶液中にLiPFが残存するため、後の添加工程においてフッ化水素を添加した際に副生した水を、残存したLiPFと反応させて除去することができる。
また、反応工程においては、LiPFとハロゲン化物を含む非水溶媒に、水を添加して反応させる操作を行うことが好ましい。このような簡易な操作は、工業的に有利な方法である上に、事前に水とハロゲン化物を混合した際に水とハロゲン化物が反応してしまうことや、事前にLiPFを含む非水溶媒と水を混合した際に、水とLiPFの反応により生成したフッ化水素がLiPFと反応してしまうことを抑制できる点でも好ましい。
反応工程における反応温度、反応時間などの反応条件は特に限定するものではなく、状況に合わせた任意の条件で実施すればよいが、反応温度の上限は好ましくは70℃、より好ましくは60℃以下であり、また、下限は好ましくは−20℃、より好ましくは0℃以上の範囲である。70℃を超えるとLiPFの分解が起こり、PFを発生して溶媒を分解するため好ましくなく、−20℃より低い温度では反応の進行が遅いため経済的ではない。反応時間については、反応の進行をモニターしながら水が消費された時点まで、反応時間を確保することが望ましい。通常、3時間程度で反応が終了する。
LiPFと水の反応によりジフルオロリン酸リチウムを製造する際にフッ化水素、ヘキサフルオロリン酸、ジフルオロリン酸等の酸が副生するが、これらの酸は非水溶媒との相互作用が強く、蒸留や脱気処理等という蒸気圧を利用した精製が困難であり、また一般の中和などの化学反応を利用した精製方法は、副生物として発生した水によりさらに酸が発生してしまい、好ましくない。また、この副生するフッ化水素を除去しなければ、平衡的に反応が進行し難くなり、反応時間が長くなるという問題点がある。本発明では、これらの酸は、本発明において添加するハロゲン化物と反応し、蒸気圧の高い塩化水素、臭化水素、ヨウ化水素等の酸に変換した後、その後の精製(脱気処理)において、変換した酸を脱気処理により除去し、酸の含有量の低いジフルオロリン酸リチウムを含有する非水電解液を得ることができる。
(添加工程)
添加工程においては、溶液にフッ化水素を添加し、反応工程においてハロゲン化有機シランと水が反応して副生したハロゲン化有機シロキサンと反応させ、ハロゲン化水素とフッ化有機シランに変換する。なお、ハロゲン化水素やフッ化有機シランは、フッ化水素と反応しないため、反応工程で生成したハロゲン化水素が残存しても問題ない。
フッ化水素が添加される直前の溶液に含まれる、ハロゲン化水素以外のハロゲン原子の量と、添加するフッ化水素の量のモル比が、1:1以上5以下であることが好ましい。1:5よりもフッ化水素のモル比が高い場合は、過剰分のフッ化水素がジフルオロリン酸リチウムと反応し、LiFが生成してしまい、ろ過時にLiFが目詰まりを生じることや、過剰のフッ化水素が残って電池に悪影響を与えることがあり、好ましくない。一方、1:1よりもフッ化水素のモル比が低い場合は、ハロゲン化有機シロキサンが残ってしまうことがあり、ジフルオロリン酸リチウムの純度が悪化してしまい、好ましくない。なお、ハロゲン化水素以外のハロゲン原子の量は、実際に溶液を分析して測定してもよいし、反応工程における原材料から予測してもよい。
(脱気工程)
脱気工程においては、反応工程や添加工程で生成した、塩化水素などのハロゲン化水素と、フッ化有機シランなどを、蒸気圧差を利用する方法により除去するが、具体的には、減圧下で脱気処理する方法や、不活性ガスを溶液中に導入して不活性ガスとともに追い出す方法などにより除去される。この際に、非水溶媒も除去されることで、固体のジフルオロリン酸リチウムが選択的に析出することがある。
減圧には、真空ポンプ、アスピレータなどを用いることができる。減圧は、反応器を密閉状態としてから、系内を大気圧以下の圧力に保持することにより行う。この際、非水溶媒の一部も留去されるため、溶質は濃縮される。系内の圧力は、精製対象の溶液の非水溶媒の温度と蒸気圧によって変わるため、一概には言えないが、減圧は、槽内の真空度が、絶対圧で80kPa以下に保持することが好ましい。保持する圧力が80kPa超では、対象を所望の濃度以下になるまで排除することができない、又は、所望の濃度以下になるまで排除するのに長時間を要するため、好ましくない。また、保持する圧力が50kPa以下であると、対象を低濃度まで排除できるため、さらに好ましい。なお、装置の負担を考えると、絶対圧を20kPa以上とすることが好ましい。
不活性ガスの溶液への導入は、窒素ガス、ヘリウムガス、ネオンガス、アルゴンガス、クリプトンガス、キセノンガスで溶液をバブリングすることで行われる。なお、反応系の減圧と溶液中への不活性ガスの導入は、同時に行ってもよい。
減圧及び/又は不活性ガスの導入時には、溶液を20℃〜50℃に加熱してもよい。
(予備脱気工程)
反応工程と添加工程の間に、反応工程後の溶液を脱気処理する予備脱気工程を行ってもよい。予備脱気工程を行うことで、反応工程で生じたハロゲン化水素とフッ化有機シランを除去できるため、溶液中に含まれるハロゲン化水素以外のハロゲン原子の量を測定することが容易である。予備脱気工程は、脱気工程と同様の操作を行うことができる。
なお、ジフルオロリン酸リチウムは、濃厚溶液やスラリーの状態で、次工程に使用してもよいし、脱気工程などにより析出した固体をろ別して、粉末状のジフルオロリン酸リチウムとしてから次工程に使用してもよい。
本発明で得られたジフルオロリン酸リチウムは、塩素などのフッ素以外のハロゲン原子や遊離酸、水などの不純物の量が少ないことを特徴とする。塩素などのフッ素以外のハロゲン原子は、電解液中で電池に悪影響を与えるため、ジフルオロリン酸リチウムに対して、10000質量ppm以下であることが好ましく、1000質量ppm以下であることがより好ましく、100質量ppm以下であることがさらに好ましい。また、遊離酸は、ジフルオロリン酸リチウムに対して、10000質量ppm以下であることが好ましく、5000質量ppm以下であることがより好ましく、1000質量ppm以下であることがさらに好ましい。また、水分は、電解液中でLiPFなどの電解質と反応してHFを生成することがあるので、ジフルオロリン酸リチウムに対して、2000質量ppm以下であることが好ましく、1000質量ppm以下であることがより好ましく、100質量ppm以下であることがさらに好ましい。
(非水電解液電池用電解液の製造方法)
上記の方法で得られたジフルオロリン酸リチウムを、電解質を含む非水溶媒に加えることで、非水電解液電池用電解液を製造することができる。非水電解液電池用電解液調製の方法については特に限定するものではないが、ジフルオロリン酸リチウムが後述する所定の濃度になるように、非水溶媒、溶質、またはその他の添加剤を添加することで成分調整を行うことができる。この際、ジフルオロリン酸リチウムを濃厚溶液又はスラリーの状態で使用できれば、粉体投入に比べて工業的に容易であるため、好ましい。
非水電解液電池用電解液中のジフルオロリン酸リチウムの濃度の上限は、好ましくは5.0質量%、より好ましくは3.0質量%、さらに好ましくは2.0質量%であり、また下限は好ましくは0.01質量%、より好ましくは0.1質量%、さらに好ましくは0.2質量%の範囲である。上記範囲の0.01質量%を下回るとジフルオロリン酸リチウムによる非水電解液電池のサイクル特性、高温保存性等、耐久性が低下し、ガス発生を抑制する効果が十分に得られない恐れがある。一方、非水電解液電池用電解液中のジフルオロリン酸リチウムの濃度が5.0重量%を超えると電解液のイオン伝導が低下し、内部抵抗が増加する恐れがある。
本発明の製造方法により得られる非水電解液電池用電解液を非水電解液電池に用いる場合、溶質として任意にリチウム塩を添加することもできる。具体例としては、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、LiSbF、LiCFSO、LiN(SOCF、LiN(SO、LiN(SOCF)(SO)、LiC(SOCF、LiPF(C、LiB(CF、LiBF(C)、LiBF(C)、LiPF(C)、LiPF(C、LiN(SOF)、LiB(C、LiP(C等に代表される電解質リチウム塩が挙げられる。これらの溶質は、一種類を単独で用いても良く、二種類以上を用途に合わせて任意の組合せ、任意の比率で混合して用いても良い。中でも、電池としてのエネルギー密度、出力特性、寿命等から考えるとLiPF、LiBF、(CFSONLi、(CSONLiが好ましい。
これら溶質の総和の濃度については特に制限はないが、下限は好ましくは0.5mol/L、より好ましくは0.7mol/L、さらに好ましくは0.9mol/Lであり、また、上限は好ましくは2.5mol/L、より好ましくは2.2mol/L、さらに好ましくは2.0mol/Lの範囲である。0.5mol/Lを下回るとイオン伝導度が低下することにより非水電解液電池のサイクル特性、出力特性が低下する恐れがあり、一方、2.5mol/Lを超えると電解液の粘度が上昇することによりイオン伝導は低下し、非水電池のサイクル特性、出力特性が低下する恐れがある。
本発明の効果を損なわない限りにおいて、本発明の製造方法により得られる非水電解液電池用電解液に一般に用いられるその他の添加剤を任意の比率で添加しても良い。具体例としては、シクロヘキシルベンゼン、ビフェニル、t−ブチルベンゼン、ビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、ジフルオロアニソール、フルオロエチレンカーボネート、プロパンサルトン、ジメチルビニレンカーボネート等の過充電防止効果、負極皮膜形成効果、正極保護効果を有する化合物が挙げられる。また、リチウムポリマー電池と呼ばれる非水電解液電池に使用される場合のように非水電解液電池用電解液をゲル化剤や架橋ポリマーにより擬固体化して使用することも可能である。
(非水電解液電池)
次に本発明の非水電解液電池の構成について説明する。本発明の非水電解液電池は、上記の本発明の製造方法により得られる非水電解液電池用電解液を用いることが特徴であり、その他の構成部材には一般の非水電解液電池に使用されているものが用いられる。即ち、リチウムの吸蔵及び放出が可能な正極及び負極、集電体、セパレータ、容器等から成る。
負極材料としては、特に限定されないが、リチウムを吸蔵・放出できるリチウム金属、リチウムと他の金属との合金及び金属間化合物や種々のカーボン材料、人造黒鉛、天然黒鉛、金属酸化物、金属窒化物、活性炭、導電性ポリマー等が用いられる。
正極材料としては、特に限定されないが、リチウム電池及びリチウムイオン電池の場合、例えば、LiCoO、LiNiO、LiMnO、LiMn等のリチウム含有遷移金属複合酸化物、それらのリチウム含有遷移金属複合酸化物の遷移金属が複数混合したもの、それらのリチウム含有遷移金属複合酸化物の遷移金属の一部が他の金属に置換されたもの、TiO、V、MoO等の酸化物、TiS、FeS等の硫化物、あるいはポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリアニリン、およびポリピロール等の導電性高分子、活性炭、ラジカルを発生するポリマー、黒鉛、カーボン材料等が使用される。
正極や負極材料には導電材としてアセチレンブラック、ケッチェンブラック、炭素繊維、黒鉛、結着剤としてポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、SBR樹脂等が加えられ、シート状に成型されることにより電極シートにする。
正極と負極の接触を防ぐためのセパレータとしては、ポリプロピレン、ポリエチレン、紙、ガラス繊維、等で作られた不織布や多孔質シートが使用される。
以上の各要素からコイン状、円筒状、角形、アルミラミネートシート型等の形状の非水電池が組み立てられる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する
(実施例1)
530gのエチルメチルカーボネートに152g(1mol)のLiPFと258.1g(2mol)のジメチルジクロロシランを溶解し0℃に冷却した。次に、36g(2mol)の水を2時間かけて添加し、その後、25℃に昇温して、1時間攪拌した。このようにして得られた反応液を19F−NMR及び31P−NMRにより解析したところ、この反応液は、ジフルオロリン酸リチウムを108g(1mol)含有しており、ほぼ定量的に反応が進んでいることが確認された。
次に、予備脱気工程を行い、この反応液を30℃、絶対圧30kPaの減圧条件で生成した塩化水素とジメチルジフルオロシランを除去した。脱気処理後の溶液に含まれる塩素の量は、比濁法にて分析したところ、反応溶液量に対して3100ppmであった。脱気処理により塩化水素はほぼ完全に除去できるため、溶液に含有される塩素は、ほぼ全量が塩化水素以外の塩素であり、主に塩素含有ポリシロキサンに由来する塩素であったと推測される。
この溶液に、フッ化水素を1.0g(溶液中の塩素原子の量に対して1.1当量)を添加し、30℃で30分攪拌した。
その後、脱気工程を行い、30℃、絶対圧30Paの減圧条件で生成した塩化水素とジメチルジフルオロシランを除去した。この溶液に含まれる塩素の量は、比濁法にて分析したところ、ジフルオロリン酸リチウムの量に対して6000ppmであった。この溶液の水分をカールフィッシャー法にて分析したところ、ジフルオロリン酸リチウムの量に対して300ppmであった。また、遊離酸を滴定法にて分析したところ、HFに換算してジフルオロリン酸リチウムの量に対して960ppmであった。
さらに脱気処理を進めて析出したジフルオロリン酸リチウムの粉末をろ別して、19F−NMR及び31P−NMRにて分析したところ、LiPFやLiPOFなどがほとんど含まれない、F、P純度99質量%以上の高純度なジフルオロリン酸リチウムの粉末であった。実施例2〜6においても同様に純度99質量%以上の高純度なジフルオロリン酸リチウムの粉末が得られた。なお、実施例4と5において、LiPFは溶解度が高いため、溶液に残存し、析出物中に混入しなかった。
(実施例2、3)
予備脱気工程後の溶液に、フッ化水素を、溶液中の塩素原子の量に対して3当量又は5当量を添加する以外は、実施例1と同様にして行った。
(実施例4)
530gのエチルメチルカーボネートに152g(1mol)のLiPFと245.2g(1.9mol)のジメチルジクロロシランを溶解し0℃に冷却した。次に、34g(1.9mol)の水を2時間かけて添加し、その後、25℃に昇温して、1時間攪拌した。このようにして得られた反応液を19F−NMR及び31P−NMRにより解析したところ、この反応液はLiPFを7.6g(0.05mol)とジフルオロリン酸リチウムを102.5g(0.95mol)含有しており、ほぼ定量的に反応が進んでいることが確認された。
次に、予備脱気工程を行い、この反応液を30℃、絶対圧30kPaの減圧条件で生成した塩化水素とジメチルジフルオロシランを除去した。脱気処理後の溶液に含まれる塩素の量は、比濁法にて分析したところ、反応溶液量に対して2700ppmであった。脱気処理により塩化水素はほぼ完全に除去できるため、溶液に含有される塩素は、ほぼ全量が塩化水素以外の塩素であり、主に塩素含有ポリシロキサンに由来する塩素であったと推測される。
この溶液に、フッ化水素を1.3g(溶液中の塩素原子の量に対して1.2当量)を添加し、30℃で30分攪拌した。
その後、脱気工程を行い、30℃、絶対圧30kPaの減圧条件で生成した塩化水素とジメチルジフルオロシランを除去した。この溶液に含まれる塩素の量は、比濁法にて分析したところ、ジフルオロリン酸リチウムの量に対して30ppmであった。この溶液の水分をカールフィッシャー法にて分析したところ、ジフルオロリン酸リチウムの量に対して40ppmであった。また、遊離酸を滴定法にて分析したところ、HFに換算してジフルオロリン酸リチウムの量に対して700ppmであった。
(実施例5)
反応工程に使用するジメチルジクロロシランと水の量をそれぞれ1.8molにし、添加工程におけるフッ化水素の添加量を溶液中の塩素原子の量に対して1当量とする以外は、実施例4と同様にして行った。
(実施例6)
ジメチルクロロシランに代えて、ジエチルジブロモシランを用い、添加工程におけるフッ化水素の添加量を溶液中の塩素原子の量に対して1当量とする以外は、実施例1と同様にして行った。
(比較例1)
530gのエチルメチルカーボネートに152g(1mol)のLiPFと169.9g(1mol)のテトラクロロシランを溶解し0℃に冷却した。次に、36g(2mol)の水を5時間かけて添加したが、気体成分の発生による発泡が激しく、反応液の一部を窒素ライン上にロスした。その後、25℃に昇温して、1時間攪拌した。このようにして得られた反応液を19F−NMR及び31P−NMRにより解析したところ、この反応液は、ジフルオロリン酸リチウムを54g(0.5mol)、副生成物であるモノフルオロリン酸リチウム(LiPOF)を3.4g(0.03mol)含有していることが確認された。また、水とテトラクロロシランとの反応により生成したシロキサンによると思われる、反応液の粘度上昇が起きた。
反応液のロスが生じたこと、モノフルオロリン酸リチウムが多量に副生したこと、さらに粘度が上昇して取り扱いが困難になったことから、これ以上の操作を行わなかった。
(比較例2)
530gのエチルメチルカーボネートに152g(1mol)のLiPFと258.1g(2mol)のジメチルジクロロシランを溶解し0℃に冷却した。次に、36g(2mol)の水を2時間かけて添加し、その後、25℃に昇温して、1時間攪拌した。このようにして得られた反応液を19F−NMR及び31P−NMRにより解析したところ、この反応液は、ジフルオロリン酸リチウムを108g(1mol)含有しており、ほぼ定量的に反応が進んでいることが確認された。
その後、脱気工程を行い、30℃、絶対圧30Paの減圧条件で生成した塩化水素とジメチルジフルオロシランを除去した。この溶液に含まれる塩素の量は、比濁法にて分析したところ、ジフルオロリン酸リチウムの量に対して19600ppmであった。この溶液の水分をカールフィッシャー法にて分析したところ、ジフルオロリン酸リチウムの量に対して30ppmであった。また、遊離酸を滴定法にて分析したところ、HFに換算してジフルオロリン酸リチウムの量に対して490ppmであった。
ハロゲン化物として四塩化ケイ素を利用した比較例1において、非常に激しく反応が進み、反応液をロスしたこと、モノフルオロリン酸リチウムが多量に副生したこと、粘度の上昇により反応液の操作が困難となった。このことから、四塩化ケイ素は、特許文献3の実施例3のようにLiPFの一部をジフルオロリン酸リチウムに変換する方法では使用できても、高純度のジフルオロリン酸リチウムの生産を目的とする方法では不適当であることが分かった。
比較例2では、ジフルオロリン酸リチウムが得られたが、得られたジフルオロリン酸リチウムの溶液には、反応工程に使用したジメチルジクロロシランに由来する塩素が、ジフルオロリン酸リチウム基準で1万質量ppm以上含まれていた。一方で、フッ化水素を添加して生じた塩化水素を脱気処理して除去した実施例1では、塩素の量がジフルオロリン酸リチウム基準で6000質量ppmまで減らすことができた。フッ化水素の量を増やした実施例2と3では、次第に塩素の量が減る一方で、過剰なフッ化水素に由来する遊離酸の濃度や、含塩素シロキサン化合物とフッ化水素との反応で生成した水の濃度が上昇している。
そこで、反応工程におけるジメチルジクロロシランと水の量を減らした実施例4と5では、塩素と遊離酸と水が非常に少ない、非常に高品質なジフルオロリン酸リチウムの溶液が得られた。この溶液を、濃厚溶液の状態、又は、ジフルオロリン酸リチウムが析出したスラリーの状態で、電解質を含む非水溶媒に加えることで、非水電解液電池用電解液を得ることもできるし、この溶液から析出したジフルオロリン酸リチウムの粉末を、電解質を含む非水溶媒に加えることで、非水電解液電池用電解液を得ることもできる。これは、少量のLiPFが残存しているため、含塩素シロキサン化合物とフッ化水素との反応で生成した水をLiPFと反応させて除去することができたためと考えられる。
なお、実施例6より、ハロゲン化物として、ジエチルジブロモシランを用いた場合でも、ジメチルジクロロシランを用いる場合と同様に、ジフルオロリン酸リチウムが得られることが分かった。

Claims (11)

  1. LiPFと、水と、以下の一般式(1)で表されるハロゲン化物とを非水溶媒中で反応させる反応工程と、
    反応工程後の溶液に、フッ化水素を添加する添加工程と、
    添加工程後の溶液を脱気処理する脱気工程と、
    を備えることを特徴とするジフルオロリン酸リチウムの製造方法。
    SiX (1)
    (一般式(1)中、Rは、それぞれ独立して、炭素数1〜10のヘテロ原子やハロゲン原子を有していてもよい炭化水素基(炭素数が3以上の場合にあっては、分岐鎖又は環状構造のものも使用できる)である。Xは、それぞれ独立して、Cl、Br、及びIからなる群から選ばれるいずれか1つである。pは1〜3の整数、qは1〜3の整数をそれぞれ表し、p+q=4である)
  2. 前記反応工程において、
    反応前の非水溶媒中のLiPFの濃度が、1mol/L以上3mol/L以下であり、
    反応前の非水溶媒中のLiPFと水のモル比が1:1.5以上2以下の範囲であり、
    反応前の非水溶媒中のLiPFと、前記ハロゲン化物中に含まれるハロゲン元素のモル比が、1:3以上4以下の範囲であることを特徴とする、請求項1に記載のジフルオロリン酸リチウムの製造方法。
  3. 反応前の非水溶媒中のLiPFと水のモル比が1:1.8以上1.95以下の範囲であり、
    反応前の非水溶媒中のLiPFと、前記ハロゲン化物中に含まれるハロゲン元素のモル比が、1:3.6以上3.9以下の範囲であることを特徴とする、請求項2に記載のジフルオロリン酸リチウムの製造方法。
  4. 前記反応工程において、LiPFと前記ハロゲン化物を含む非水溶媒に、水を添加して反応させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のジフルオロリン酸リチウムの製造方法。
  5. 前記脱気工程が、溶液を1気圧未満の環境に置くことであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のジフルオロリン酸リチウムの製造方法。
  6. 前記反応工程と前記添加工程の間に、反応工程後の溶液を脱気処理する予備脱気工程を行うことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のジフルオロリン酸リチウムの製造方法。
  7. 前記添加工程において、溶液に含まれるハロゲン化水素以外のハロゲン原子(フッ素原子以外)の量と、添加するフッ化水素の量のモル比が、1:1以上5以下であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載のジフルオロリン酸リチウムの製造方法。
  8. 非水溶媒が環状カーボネート、鎖状カーボネート、環状エステル、及び鎖状エステルからなる群から選ばれた少なくとも一種類以上の溶媒であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のジフルオロリン酸リチウムの製造方法。
  9. ハロゲン化物が、ジメチルジクロロシラン、ジメチルジブロモシラン、ジエチルジクロロシラン、及びジエチルジブロモシランからなる群から選ばれる少なくとも一種類であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のジフルオロリン酸リチウムの製造方法。
  10. LiPFと、水と、MeSiClとを、モル比で1:1.8〜1.95:1.8〜1.95の割合で、非水溶媒中で反応させる反応工程と、
    反応工程後の溶液に、前記溶液に含まれる塩化水素以外の塩素原子の量と、添加するフッ化水素の量のモル比が1:1以上5以下となるようにフッ化水素を添加する添加工程と、
    添加工程後の溶液を脱気処理する脱気工程と、
    を備えることを特徴とする、請求項1に記載のジフルオロリン酸リチウムの製造方法。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法により、非水溶媒中にジフルオロリン酸リチウムを含む溶液を製造する工程と、
    前記溶液を、電解質を含む非水溶媒に加える工程と、
    を含む、非水電解液電池用電解液の製造方法。
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