JP6760882B2 - リチウムイオン二次電池用電極の製造方法 - Google Patents
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Description
1.集電体を用意する工程
2.活物質粒子とバインダとを含む造粒粒子を用意する工程
3.集電体の上に造粒粒子を供給する工程
4.集電体の上に供給された造粒粒子を均す工程
5.均された造粒粒子をプレスする工程
ここで、造粒粒子を供給する工程において集電体の上に供給された造粒粒子の平均粒径(D50)と、プレスする工程後に形成された活物質粒子の層の厚さtとの比(t/D50)が、(t/D50)<1であるとよい。これによって、形成される活物質粒子の層の剥離強度が高いリチウムイオン二次電池用電極が安定して得られる。
図1は、ここで提案されるリチウムイオン二次電池用電極の製造方法を具現化する製造装置10を示す模式図である。ここで、製造装置10は、図1に示すように、搬送装置21と、塗布装置22と、供給装置24と、スキージ25と、プレスローラ26,27とを備えている。図中の矢印Fは、適宜、搬送方向を示している。ここで、搬送装置21は集電体11を搬送する装置である。塗布装置22は、バインダ液12を塗布する装置である。供給装置24は、造粒粒子13a(図2参照)を供給する装置である。製造装置10を構成するこれらの装置については、後述する。ここで、図2は、造粒粒子13aを模式的に示す図である。
ここで提案されるリチウムイオン二次電池用電極の製造方法は、以下の工程1〜5を含んでいる。
1.集電体11を用意する工程
2.活物質粒子とバインダとを含む造粒粒子13aを用意する工程
3.集電体11の上に造粒粒子13aを供給する工程
4.集電体11の上に供給された造粒粒子13aを均す工程
5.均された造粒粒子13aをプレスする工程
工程1では、集電体11が用意される。ここで用意される集電体11は、電極において電気が取り出される部材である。例えば、リチウムイオン二次電池に用いられる集電体11には、電子伝導性に優れ、電池内部で安定に存在する材料が用いられる。また、軽量化や所要の機械強度や加工のしやすさなどが求められる。例えば、リチウムイオン二次電池の正極には、集電体11としてアルミニウム箔が用いられる。また、負極には、集電体11として銅箔が用いられる。図1に示す例では、集電箔として、帯状の金属箔(具体的には、アルミニウム箔(厚さ15μm)または銅箔(厚さ10μm))が用意されている。ここでは、集電箔としての帯状の金属箔は、図示は省略するが、巻芯に巻かれた状態で用意されているとよい。
工程2では、造粒粒子13aが用意される。ここで用意される造粒粒子13aは、図2に示すように、活物質粒子13a1と、バインダ13a2(第1バインダ)とを少なくとも含んでいるとよい。かかる造粒粒子13aは、例えば、活物質粒子13a1とバインダ13a2とを溶媒に混ぜ合わせた合剤(懸濁液)を、スプレードライ製法で造粒することによって得られる。スプレードライ製法では、合剤が乾燥雰囲気中に噴霧される。この際、噴霧される液滴に含まれる粒子が概ね1つの塊になって造粒される。このため、液滴の大きさによって、造粒粒子13aに含まれる固形分量が変わり、造粒粒子13aの大きさや質量などが変わる。
ここで提案される電極の製造方法は、種々の電極に適用できる。例えば、リチウムイオン二次電池では、正極用の電極および負極用の電極の何れにも適用できる。造粒粒子13aに含まれる活物質粒子13a1は、作製される電極によって異なる。例えば、活物質粒子13a1には、リチウムイオン二次電池の正極用の電極を製造する場合には、当該正極に用いられる活物質粒子が用いられる。また、リチウムイオン二次電池の負極用の電極を製造する場合には、当該負極に用いられる活物質粒子が用いられる。
ここでは、リチウムイオン二次電池を例に挙げる。リチウムイオン二次電池の正極に用いられる活物質粒子13a1の好適例として、リチウムニッケル酸化物(例えばLiNiO2)、リチウムコバルト酸化物(例えばLiCoO2)、リチウムマンガン酸化物(例えばLiMn2O4)等のリチウムと遷移金属元素とを構成金属元素として含む酸化物(リチウム遷移金属酸化物)や、リン酸マンガンリチウム(LiMnPO4)、リン酸鉄リチウム(LiFePO4)等のリチウムと遷移金属元素とを構成金属元素として含むリン酸塩などが、挙げられる。これらは、粒子形態で使用され、適宜に、正極活物質粒子と称される。正極活物質粒子は、一種または二種以上を用いてもよい。これらの正極活物質粒子は導電性が低いので、正極活物質層には導電性を高めるために導電材が含まれている。この場合、導電材は、スプレードライで噴霧される液滴中に含められているとよい。
リチウムイオン二次電池の負極に用いられる活物質粒子の好適例としては、グラファイトカーボン、アモルファスカーボン等の炭素系材料、リチウム遷移金属酸化物、リチウム遷移金属窒化物などが挙げられる。これらは、粒子形態で使用され、適宜に、負極活物質粒子と称される。負極活物質粒子は、一種または二種以上を用いてもよい。負極活物質層には、導電性を高めるために導電材が含まれていてもよく、この場合、導電材は、スプレードライで噴霧される液滴中に含められているとよい。
導電材としては、例えば、カーボン粉末、カーボンファイバーなどのカーボン材料が例示される。このような導電材から選択される一種を単独で用いてもよく二種以上を併用してもよい。カーボン粉末としては、例えば、アセチレンブラック、オイルファーネスブラック、黒鉛化カーボンブラック、カーボンブラック、ケッチェンブラック、グラファイトなどの粉末を用いることができる。かかる導電材は、活物質粒子13a1と集電箔11との導電パスを形成する上で、導電性が乏しい活物質粒子13a1を用いる場合に好適に添加される。
次に、造粒粒子13aを用意する工程において、造粒粒子13aに含ませるバインダ13a2を説明する。ここで造粒粒子13aは、好適には、スプレードライ製法で造粒される。このため、造粒粒子13aに含ませるバインダ13a2には、溶媒に溶解または分散可能なポリマーが用いられる。水性溶媒に溶解または分散可能なポリマーとしては、例えば、ゴム類(スチレンブタジエン共重合体(SBR)、アクリル酸変性SBR樹脂(SBR系ラテックス)など)、酢酸ビニル共重合体、アクリレート重合体などが挙げられる。また、非水溶媒に溶解または分散可能なポリマーとしては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)が挙げられる。また、造粒粒子13aに含ませるバインダ13a2として、セルロース系ポリマー、フッ素系樹脂(例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE))などを用いてもよい。なお、ここでは、造粒粒子13aに含ませるバインダ13a2を例示しているが、造粒粒子13aに含ませるバインダ13a2は、ここに例示されるものに限定されない。
工程3では、集電箔11の上に造粒粒子13aが供給される。この実施形態では、図1に示すように、造粒粒子13aが供給される前に、集電体11の上にバインダ液12が塗布される。
ここで用意されるバインダ液12は、溶媒にバインダを混ぜた液である。バインダ液12の溶媒としては、環境負荷を軽減するとの観点において、いわゆる水系の溶媒が好適に用いられる。この場合、水または水を主体とする混合溶媒が用いられる。また、バインダ液12の溶媒は、いわゆる水系の溶媒に限定されず、いわゆる有機溶剤系であってもよい。有機溶剤系のものとしては、例えばN−メチルピロリドン(NMP)などが挙げられる。
バインダ液12は、例えば、予め定められたパターンで集電体11に塗布されるとよい。ここでは、集電体11に予め定められた領域にバインダ液12が塗られる。バインダ液12は、例えば、1〜20μm程度に薄く塗られているとよく、グラビア印刷などで塗布されるとよい。例えば、塗布装置22には、ダイレクトグラビアロールコーター(direct gravure roll coater)が用いられうる。かかる塗布装置22では、微細なパターンが表面に彫刻されたグラビアロール22aを用いたダイレクトグラビアによって、バインダ液12が集電体11に転写される。グラビアロール22aは、例えば、版の深さが凡そ10μm〜30μm(例えば、20μm)、回転軸に対して傾いた斜線に沿った幅が50μm、ピッチが200μmの複数の溝を有しているとよい。また、グラビアロール22aに形成される溝のパターンは、横縞状、格子状でもよい。図示は省略するが、格子状は、例えば、斜線を格子状に組み合わせたパターンでもよい。また、横縞状は、帯状の集電体11の幅方向に沿って、また長さ方向に予め定められた間隔でバインダ液12が塗布されているとよい。グラビアロール22aの溝の幅やピッチは、種々変更してもよい。
造粒粒子13aは、供給装置24によって集電箔11の上に供給される。ここでは、供給装置24は、造粒粒子13aを貯留するホッパー24aを備えている。ホッパー24aは、図示は省略するが、造粒粒子13aを供給する量を調整する調整装置を備えているとよい。この場合、ホッパー24aは、例えば、集電箔11の搬送速度などに応じて造粒粒子13aの供給量を調整し、適当な量の造粒粒子13aを集電箔11の上に供給するとよい。ここでは、造粒粒子13aは、複数の造粒粒子13aが集まった集合体(粉体13)として供給される。
工程4では、集電箔11の上に供給された造粒粒子13aが均される。かかる工程では、例えば、集電箔11に供給された造粒粒子13aの厚さ(つまり、造粒粒子13aの粉体13の厚さ)が均一に整えられる。この実施形態では、供給装置24の下流側(集電箔の搬送経路における下流側)にスキージ25が設けられている。スキージ25は、集電箔11の上に供給された造粒粒子13aの厚さを調整する。例えば、スキージ25と搬送される集電箔11との間には間隙があり、かかる間隙に応じて通過する造粒粒子13aの厚さが調整される。この実施形態では、スキージ25は、集電箔11の上に供給された造粒粒子13aを、厚さ方向に挟むように配置されたローラスキージ25aと、バックロール25bとで構成されている。なお、ここでは、スキージ25は、ロール状の部材であるが、ブレード状の部材でもよい。スキージ25と搬送される集電箔11との間隙は、造粒粒子13aの粒径および目付量(設計目付量)にもよるが、例えば、凡そ100μm〜300μm程度(好適例としては、凡そ150μm〜250μm程度)に調整するとよい。
工程5では、均された造粒粒子13aがプレスされ、集電箔11に押し付けられる。この実施形態では、プレスローラ26,27は、帯状の集電箔11が搬送される搬送経路において、造粒粒子13aと集電箔11とを挟む部材である。この場合、集電箔11に堆積させる造粒粒子13aの厚さを考慮して、プレスローラ26,27の間隙を調整するとよい。これによって、適当な強さで造粒粒子13aが集電箔11に押し付けられる。かかる工程によって、造粒粒子13aが崩されつつ、活物質粒子13a1および集電体11に対するバインダ13a2の接触箇所が増え、活物質粒子13a1の層14が形成される。
11 集電体(集電箔)
12 バインダ液
13 粉体
13a 造粒粒子
13a1 活物質粒子
13a2 バインダ
14 プレス後の活物質粒子13a1の層
21 搬送装置
21a 搬送ローラ
22 塗布装置
22a グラビアロール
22b 貯留槽
22c バックロール
24 供給装置
24a ホッパー
25 スキージ
26,27 プレスローラ
201 アルミニウム箔(集電体)
202 バインダ液
203 マスク
203a 開口
204a 造粒粒子
205 プレス後の活物質粒子の層
206、207 プレスローラ
F 搬送方向
t プレス後の活物質粒子の層の厚さ
Claims (1)
- 巻芯に巻かれた帯状の金属箔からなる集電体を用意する工程と、
少なくとも活物質粒子とバインダとを溶媒に混ぜ合わせた合剤を用意する工程と、
前記合剤を噴霧乾燥させて得られる一塊の粒子からなる造粒粒子の粉体を用意する工程と、
溶媒にバインダを混ぜたバインダ液を用意する工程と、
前記帯状の集電体を予め定められた搬送経路に沿って搬送しつつ、前記集電体の上に、外周面に溝パターンを有するグラビアロールを用いたグラビア印刷によって前記バインダ液を塗布する工程と、
前記帯状の集電体を予め定められた搬送経路に沿って搬送しつつ、前記造粒粒子の粉体を貯留したホッパーから前記集電体の搬送速度に応じて調整された供給量にて、前記バインダ液が塗布された前記集電体の上に前記造粒粒子の粉体を供給する工程と、
前記帯状の集電体を予め定められた搬送経路に沿って搬送しつつ、前記集電体の上に供給された前記造粒粒子の粉体をスキージによって均す工程と、
前記帯状の集電体を予め定められた搬送経路に沿って搬送しつつ、均された前記造粒粒子の粉体および前記集電体を所定の間隙で配置されたプレスローラによって挟み、プレスすることによって、前記造粒粒子の粒子形態を崩しつつ、前記集電体の上に前記活物質粒子の層を形成する工程と、
を含み、
ここで、前記造粒粒子の粉体を供給する工程において、前記集電体の上に供給された前記造粒粒子の粉体の平均粒径(D50)と、前記プレスする工程後に形成された活物質粒子の層の厚さtとの比(t/D50)が、0.5<(t/D50)<1である、リチウムイオン二次電池用電極の製造方法。
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