JP2016119261A - リチウムイオン二次電池用電極の製造方法および製造装置 - Google Patents

リチウムイオン二次電池用電極の製造方法および製造装置 Download PDF

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Koichi Tanihara
功一 谷原
坂下 康広
Yasuhiro Sakashita
康広 坂下
祐二 柴田
Yuji Shibata
祐二 柴田
裕幸 関根
Hiroyuki Sekine
裕幸 関根
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Abstract

【課題】目付精度が向上したリチウムイオン二次電池用電極の製造方法を提供する。【解決手段】ここで提案されるリチウムイオン二次電池用電極の製造方法は、集電体12の上にバインダと溶媒とを含むバインダ液21aを塗工してバインダコート層16を形成する工程と、バインダコート層16を乾燥することなく湿潤状態を保ったままの状態で該バインダコート層16の上に、活物質粒子とバインダとを含む造粒粒子32を供給する工程と、湿潤状態のバインダコート層16の上に供給された造粒粒子32の集積物30をスキージ部材25で均す工程と、均された造粒粒子32の集積物30を加熱しながらプレスする工程とを包含する。【選択図】図1

Description

本発明は、リチウムイオン二次電池用電極の製造方法および製造装置に関する。
リチウムイオン二次電池に用いられる電極は、典型的には、集電体上に活物質を含む活物質層を備えている。活物質層は、一般に、活物質を液状媒体に分散させたスラリー状組成物を集電体の表面に塗布して乾燥した後、プレスすることで製造されている。また、液状媒体を使用することなく、粉体成型によって電極を製造する方法も知られている。例えば、特許文献1には、集電体上に結着材(バインダ)塗液をパターン塗工して結着材塗布部と結着材非塗布部を形成し、結着材塗布部を乾燥した後、その上に活物質粒子と結着材を造粒した造粒粒子の粉体を堆積し、プレスすることで、電極を製造することが記載されている。
特開2014−078497号公報
ところで、かかる造粒粒子を用いた電極の製造方法において、造粒粒子の粉体を堆積させて成型する場合に、目付量を均一にする目的でロール状またはブレード状のスキージ部材で粉体を均すことがある。かかる均し工程では、典型的には、集電体の上に供給された造粒粒子の粉体が、集電体とスキージ部材との隙間に向けて案内され、このスキージ部材で平坦化される。このスキージ部材による均しの際に、堆積した粉体が集電体とスキージ部材との隙間に適切に入っていかず、供給量(ひいては目付量)にバラツキが生じる事態が起こり得る。特に、生産性を向上する目的で成型速度を上げた場合には、目付ムラが生じやすく、塗工面にスジが発生する要因になり得る。本発明は上記課題を解決するものである。
ここで提案されるリチウムイオン二次電池用電極の製造方法は、集電体の上にバインダと溶媒とを含むバインダ液を塗工してバインダコート層を形成する工程と、前記バインダコート層を乾燥することなく湿潤状態を保ったままの状態で該バインダコート層の上に、活物質粒子とバインダとを含む造粒粒子を供給する工程と、前記湿潤状態のバインダコート層の上に供給された前記造粒粒子の集積物をスキージ部材で均す工程と、前記均された造粒粒子の集積物を加熱しながらプレスする工程とを包含する。かかる製造方法によると、上記溶媒による集電体の腐食を抑えつつ、造粒粒子の集積物を均一に均すことが可能になり、目付ムラが低く抑えられやすい。
ここで開示される製造方法の好ましい一態様では、前記バインダコート層は、前記バインダ液が塗工されてなる帯状の塗工部と、前記バインダ液が塗工されていない帯状の未塗工部とが交互に隣接するように、前記集電体の上に間欠的に形成される。このようにすれば、未塗工部を介して造粒粒子と集電体とが直接接触する。そのため、造粒粒子と集電体間の導電性を向上させることができる。
また、本発明は、他の側面としてリチウムイオン二次電池用電極の製造装置を提供する。この製造装置は、集電体を搬送する搬送部と、前記搬送部で搬送される集電体の上にバインダと溶媒とを含むバインダ液を塗工してバインダコート層を形成するバインダ液塗工部と、前記バインダコート層を乾燥することなく湿潤状態を保ったままの状態で該バインダコート層の上に、活物質粒子とバインダとを含む造粒粒子を供給する造粒粒子供給部と、前記湿潤状態のバインダコート層の上に供給された前記造粒粒子の集積物を均すスキージ部材と、前記均された造粒粒子の集積物を加熱しながらプレスする圧延ローラとを備えている。ここで前記搬送部は、前記集電体の搬送経路において前記バインダ液塗工部よりも下流側かつ前記圧延ローラよりも上流側の位置に設けられた搬送ローラを有している。そして、前記搬送ローラは、前記湿潤状態のバインダコート層と接触する部位に撥液処理が施されている。かかる構成によると、バインダ液塗工部よりも下流側かつ圧延ローラよりも上流側の位置に設けられた搬送ローラにおいて、湿潤状態のバインダコート層と接触する部位に撥液処理が施されているので、湿潤状態のバインダコート層が搬送ローラに付着することを回避して、電極を安定して製造することが可能になる。
ここで開示される製造装置の好ましい一態様では、前記圧延ローラは、電磁誘導加熱手段を備えている。このようにすれば、電磁誘導を利用して圧延ローラを発熱させることで、造粒粒子の集積物を効果的に加熱することができる。
図1は、一実施形態に係るリチウムイオン二次電池用電極の製造装置を示す模式図である。 図2は、一実施形態に係る造粒粒子を模式的に示す図である。 図3は、一実施形態に係る均し工程を模式的に示す断面図である。 図4は、一実施形態に係る集電体上に堆積したバインダコート層と造粒粒子の集積物とを示す平面図である。 図5は、一実施形態に係るリチウムイオン二次電池を模式的に示す図である。 図6は、一実施形態に係る捲回電極体を説明するための図である。 図7は、実施例に係る正極シートの写像である。 図8は、比較例に係る正極シートの写像である。
以下、ここで提案されるリチウムイオン二次電池用電極の製造方法についての一実施形態を説明する。ここで説明される実施形態は、当然ながら特に本発明を限定することを意図したものではない。また、各図は模式的に描かれており、例えば、各図における寸法関係(長さ、幅、厚さ等)は実際の寸法関係を反映するものではない。
なお、本明細書において「二次電池」とは、繰り返し充電可能な電池一般をいう。「リチウムイオン二次電池」は、電解質イオンとしてリチウムイオンを利用し、正負極間におけるリチウムイオンに伴う電荷の移動により充放電が実現される二次電池をいう。
図1は、本発明の一実施形態に係る電極(正極および負極)の製造工程を具現化する製造装置10を示す模式図である。かかる製造装置10は、正極形成工程および負極形成工程の双方に利用され得る。ここで、製造装置10は、図1に示すように、搬送部22と、バインダ液塗工部21と、造粒粒子供給部24と、スキージ部材25と、圧延ローラ26,27とを備えている。ここで、搬送部22は集電体12を搬送する装置である。バインダ液塗工部21は、バインダ液21aを塗工する装置である。造粒粒子供給部24は、造粒粒子32を供給する装置である。製造装置10を構成するこれらの装置については、後述する。図2は、造粒粒子32を模式的に示す図である。
ここで提案される正極形成工程および負極形成工程は、以下の工程(a)〜(d)を含んでいる。
(a)バインダコート層の形成工程
(b)造粒粒子の供給工程
(c)均し工程
(d)プレス工程
<a.バインダコート層の形成工程>
工程aでは、集電体12の上にバインダと溶媒とを含むバインダ液21aを塗工してバインダコート層16を形成する。
集電体12は、電極(正極および負極)において電気が取り出される部材である。例えば、リチウムイオン二次電池に用いられる集電体12には、電子伝導性に優れ、電池内部で安定に存在する材料が用いられる。また、軽量化や所要の機械強度や加工のしやすさなどが求められる。例えば、図1に示す例では、集電体12として、帯状の金属箔が用意されている。ここでは、集電箔としての帯状の金属箔は、巻芯に巻かれた状態で用意されている。
リチウムイオン二次電池の正極を形成する場合、例えば、正極集電体としてアルミニウムまたはアルミニウム合金が用いられる。正極集電体の厚みは特に限定されないが、高強度および低抵抗の観点から、概ね5μm〜30μmが適当であり、好ましくは10μm〜20μm(例えば15μm)である。リチウムイオン二次電池の負極を形成する場合、例えば、負極集電体として銅または銅合金が用いられる。負極集電体の厚みとしては、特に限定されないが、高強度および低抵抗の観点から、概ね6μm〜20μmが適当であり、好ましくは8μm〜15μm(例えば10μm)である。
図1に示された製造装置10は、上述した帯状の集電体12を長さ方向に沿って搬送する。ここでは、帯状の集電体(金属箔)12が、搬送部22によって、予め定められた搬送経路に沿って搬送される。図中の矢印Fは、搬送方向を示している。この実施形態では、搬送部22は、複数の搬送ローラ22を備えている。帯状の集電体12は、図1に示すように、ロールtoロールによって、巻き出し部28aから巻き出され、複数の搬送ローラ22で搬送されつつ所定の処理が施され、巻き取り部28bに巻き取られる。
バインダ液21aは、溶媒にバインダを分散または溶解させた液である。バインダ液21aの溶媒としては、環境負荷を軽減するとの観点において、いわゆる水系の溶媒が好適に用いられる。この場合、水または水を主体とする混合溶媒が用いられる。かかる混合溶媒を構成する水以外の溶媒成分としては、水と均一に混合し得る有機溶媒(低級アルコール、低級ケトン等)の一種または二種以上を適宜選択して用いることができる。例えば、該水系溶媒の80質量%以上(より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上)が水である水系溶媒の使用が好ましい。特に好ましい例として、実質的に水からなる水系溶媒が挙げられる。また、バインダ液21aの溶媒は、いわゆる水系の溶媒に限定されず、いわゆる有機溶剤系であってもよい。有機溶剤系のものとしては、例えばN−メチルピロリドン(NMP)などが挙げられる。
また、バインダ液21aに含まれるバインダとしては、使用する溶媒に分散または溶解し得るポリマー材料を用いることが好ましい。かかるバインダ(第1バインダ)は、例えば造粒粒子32の作製に用いるものと同じであってもよく、異なっていてもよい。一例として、例えば溶媒が水系の場合、例えば、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリアクリル酸(PAA)などの使用が好ましい。また、溶媒として有機溶剤系のものを用いる場合、バインダとして、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリアクリル酸(PAA)などを好ましく用いることができる。バインダ液21aの好適例としては、例えば、リチウムイオン二次電池の正極では、水を溶媒とし、バインダとしてのSBRやアクリル樹脂(例えば、ポリメタクリル酸エステル樹脂)を混ぜるとよい。また、リチウムイオン二次電池の負極では、水を溶媒とし、バインダとしてのSBRを混ぜるとよい。
バインダ液21aの固形分率としては、取扱性や塗工性を高める観点から、概ね20質量%〜60質量%、好ましくは30質量%〜50質量%であるとよい。
この実施形態では、バインダ液21aは、例えば、予め定められた塗工パターンで集電体12に塗工される。ここでは、集電体12に予め定められた領域にバインダ液21aが塗られる。バインダ液21aは、例えば、グラビア印刷などで塗工されるとよい。例えば、バインダ液塗工部21には、ダイレクトグラビアロールコーター(direct gravure roll coater)が用いられうる。かかるバインダ液塗工部21では、所定のパターン形状が表面に彫刻されたグラビアロール21bを用いたダイレクトグラビアによって、バインダ液21aが集電体12に転写される。図1に示す例では、搬送部22において、バインダ液21aが塗工される処理面(活物質層が形成される面)を下に向けて、帯状の集電体12を搬送し、当該集電体12にグラビアロール21bを当てる。グラビアロール21bの下側は、貯留槽21cに貯められたバインダ液21aに浸かっている。また、グラビアロール21bが集電体12に当たる面の裏側にはバックローラ21dが当てられている。これにより、貯留槽21cに貯められたバインダ液21aは、グラビアロール21bを通じて集電体12に連続して転写される。かかる転写によって、集電体12上にグラビアロール21bのパターン形状に対応するバインダコート層16が形成される。
この実施形態では、バインダコート層16は、図3および図4に示すように、バインダ液21aが塗工されてなる帯状の塗工部16aと、バインダ液21aが塗工されていない帯状の未塗工部16bとが交互に隣接するように、集電体12の上に間欠的に形成される。好ましい一態様では、帯状の塗工部16aは、集電体12を斜めに横切る複数の線(仮想線)L1に沿って形成されている。
かかるバインダコート層16は、集電体12の表面のうち活物質層14が形成される領域に形成されるとよい。集電体12の表面のうち活物質層14が形成される領域の面積を100%とした場合、上記バインダコート層16の塗工パターンにおける集電体12の露出面積比率は、集電体12と活物質層14との接着性を高める観点から、概ね5%以上、好ましくは10%以上であるとよい。また、抵抗を低減する観点から、概ね95%以下、好ましくは90%以下であるとよい。
バインダコート層16の厚み(湿潤状態での厚み)は、集電体12と活物質層14との接着性を高める観点から、例えば1μm以上、好ましくは2μm以上の厚みとするとよい。また、抵抗を低減する観点からは、例えば10μm以下、好ましくは5μm以下の厚みとするとよい。
バインダコート層16の目付量(固形分換算)は、少なくとも0.04mg/cm(好ましくは0.06mg/cm以上)となるように設定されているとよい。また、バインダコート層16の目付量は、例えば2mg/cm以下(好ましくは1mg/cm以下)である。このようなバインダコート層16の目付量の範囲内であると、抵抗を過度に増大させることなく、集電体12と活物質層との接着性を高めることができる。
<b.造粒粒子の供給工程>
工程bでは、バインダコート層16を乾燥することなく湿潤状態を保ったままの状態で該バインダコート層16の上に造粒粒子32を供給する。なお、ここでいう「湿潤状態」とは、バインダコート層16を意図的に乾燥していない状態をいい、例えば塗工時のバインダ液21aの固形分率をX%とした場合に、バインダコート層16の固形分率が1.5×X%を上回らない状態(典型的には塗工時のバインダ液21aの固形分率をそのまま維持している状態)をいう。
図1に示す例では、集電体12は、搬送ローラ22a、22b、22cに沿って転回され、湿潤状態のバインダコート層16が形成された面を上に向けて造粒粒子供給部24まで搬送される。この造粒粒子供給部24により、造粒粒子32が供給される。
ここで、搬送ローラ22a、22b、22cは、集電体12の搬送経路においてバインダ液塗工部21よりも下流側かつ圧延ローラ26,27よりも上流側の位置に設けられている。このうち、搬送ローラ22cは、湿潤状態のバインダコート層16と直接接触する位置に設けられている。かかる搬送ローラ22cは、湿潤状態のバインダコート層16と接触する部位に撥液処理(すなわちバインダコート層16中の溶媒をはじく処理)が施されているとよい。搬送ローラ22cの撥液処理としては、例えばシリコン系材料やフッ素系材料などの撥液性材料を塗布、あるいは撥液性材料からなる薄膜を貼り付ける処理などが例示される。撥液性材料の塗布領域としては、少なくともバインダコート層16と接触する部位を含む領域であればよく、例えば搬送ローラ22cの表面全域に塗布してもよい。このように湿潤状態のバインダコート層16と接触する部位に撥液処理(例えば撥水処理)を施すことにより、湿潤状態のバインダコート層16が搬送ローラ22cに付着することを回避して、電極を安定して製造することが可能になる。
ここで供給される造粒粒子32は、図2に示すように、活物質粒子34と、バインダ36(第2バインダ)とを少なくとも含んでいる。かかる造粒粒子32は、個々の活物質粒子34の表面にバインダ36が付着し、さらにその活物質粒子34がバインダ36によって互いに結合された態様であり得る。好適な一態様では、バインダ36が活物質粒子34の内部および外表面に局所的に偏在することなく略均一に分散されて配置されている。造粒粒子32は、活物質粒子34およびバインダ36以外の材料が含まれていてもよく、例えば、導電材や増粘材が含まれていてもよい。
造粒粒子の性状としては、例えば、平均粒径Rが凡そ50μm以上であるとよい。均質な活物質層を形成する観点から、造粒粒子の平均粒径Rは、好ましくは60μm以上、より好ましくは70μm以上、さらに好ましくは75μm以上である。また、造粒粒子の平均粒径Rは、概ね120μm以下、例えば100μm以下である。ここで開示される技術は、例えば、造粒粒子の平均粒径が50μm以上120μm以下である態様で好ましく実施され得る。
なお、本明細書中において「平均粒径」とは、特記しない限り、レーザ散乱・回折法に基づく粒度分布測定装置に基づいて測定した粒度分布における積算値50%での粒径、すなわち50%体積平均粒子径を意味するものとする。ここで、積算値50%での粒径、すなわち50%体積平均粒子径を適宜に「D50」と称する。より具体的には、レーザ回析・散乱式粒度分布測定装置(例えば、「マイクロトラックMT−3200II」、日機装株式会社製)を用い、圧縮空気による粒子の分散は行わず、乾式測定した50%体積平均粒子径である。
かかる造粒粒子32は、例えば、活物質粒子34とバインダ36とを所定の割合で混合して、造粒、分級等を行うことで用意することができる。造粒の手法としては特に制限はなく、例えば、転動造粒法、流動層造粒法、撹拌造粒法、圧縮造粒法、押出造粒法、破砕造粒法、スプレードライ法(噴霧造粒法)等を採用することができる。一好適例では、活物質粒子34とバインダ36とを溶媒に混ぜ合わせた合剤(懸濁液)を、スプレードライ法で造粒する。スプレードライ法では、合剤が乾燥雰囲気中に噴霧される。この際、噴霧される液滴に含まれる粒子が概ね1つの塊になって造粒される。このため、液滴の大きさによって、造粒粒子32に含まれる固形分量が変わり、造粒粒子32の大きさや質量などが変わる。噴霧される液滴には、活物質粒子34とバインダ36とが少なくとも含まれているとよい。また噴霧される液滴には、例えば、導電材や増粘材が含まれていてもよい。
リチウムイオン二次電池の正極を形成する場合、正極活物質粒子としては、従来からリチウムイオン二次電池の正極活物質として用いられている各種の材料を特に限定なく使用することができる。好適例として、リチウムニッケル酸化物(例えばLiNiO)、リチウムコバルト酸化物(例えばLiCoO)、リチウムマンガン酸化物(例えばLiMn)等のリチウムと遷移金属元素とを構成金属元素として含む酸化物(リチウム遷移金属酸化物)や、リン酸マンガンリチウム(LiMnPO)、リン酸鉄リチウム(LiFePO)等のリチウムと遷移金属元素とを構成金属元素として含むリン酸塩などが、挙げられる。正極活物質粒子の平均粒径(D50)は特に限定されないが、概ね1μm〜10μm程度が適当であり、好ましくは4μm〜6μmである。
リチウムイオン二次電池の負極を形成する場合、負極活物質粒子としては、従来からリチウムイオン二次電池の負極活物質として用いられている各種の材料を特に限定なく使用することができる。好適例として、グラファイトカーボン、アモルファスカーボン等の炭素系材料、チタン酸リチウム等のリチウム遷移金属酸化物、リチウム遷移金属窒化物、シリコン化合物などが挙げられる。負極活物質粒子の平均粒径(D50)は特に限定されないが、概ね10μm〜30μm程度が適当であり、好ましくは15μm〜25μmである。
造粒粒子32に含ませるバインダ36としては、活物質の結合を実現し得る各種の材料のなかから採用する造粒方法に適した材料を選択・使用するとよい。一例として、湿式の造粒方法(例えば前記スプレードライ法)を採用する場合には、溶媒に溶解または分散可能なポリマーが用いられる。水性溶媒に溶解または分散可能なポリマーとしては、例えば、アクリレート重合体、ゴム類(スチレンブタジエン共重合体(SBR)、アクリル酸変性SBR樹脂(SBR系ラテックス)など)、酢酸ビニル共重合体、などが挙げられる。また、非水溶媒に溶解または分散可能なポリマーとしては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)が挙げられる。また、造粒粒子32に含ませるバインダ36として、セルロース系ポリマー、フッ素系樹脂(例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE))などを用いてもよい。
また、導電材を含む構成においては、導電材として、例えば、カーボン粉末、カーボンファイバーなどのカーボン材料が例示される。このような導電材から選択される一種を単独で用いてもよく二種以上を併用してもよい。カーボン粉末としては、例えば、アセチレンブラック(AB)、オイルファーネスブラック、黒鉛化カーボンブラック、カーボンブラック、ケッチェンブラック、グラファイトなどの粉末を用いることができる。かかる導電材は、活物質粒子34と集電体12との導電パスを形成するうえで、導電性が乏しい活物質粒子34を用いる場合に好適に添加される。
また、増粘剤を含む構成においては、増粘剤として、例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)、CMCのナトリウム塩(CMC−Na)、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレン‐ビニルアルコール共重合体(EVOH)などの材料が例示される。このような増粘剤から選択される一種を単独で用いてもよく二種以上を併用してもよい。
造粒粒子供給部24は、搬送部22によって搬送される集電体12上に形成されたバインダコート層の上に造粒粒子32を供給する。ここでは、造粒粒子供給部24は、造粒粒子32を貯留するホッパを備えている。ホッパは、図示は省略するが、造粒粒子32を供給する量を調整する調整装置を備えているとよい。この場合、ホッパは、例えば、集電体12の搬送速度などに応じて造粒粒子32の供給量を調整し、適当な量の造粒粒子32を湿潤状態のバインダコート層16の上に供給するとよい。ここでは、造粒粒子32は、複数の造粒粒子32が集まった集積物(粉体)30として供給される。
<c.造粒粒子の均し工程>
工程cでは、図1および図3に示すように、湿潤状態のバインダコート層16の上に供給された造粒粒子32にスキージ部材25を当てて均す。かかる工程では、例えば、湿潤状態のバインダコート層16の上に供給された造粒粒子32の厚さ(つまり、造粒粒子32の集積物30の厚さ)が均一に整えられる。この実施形態では、造粒粒子供給部24の下流側(集電体の搬送経路における下流側)にスキージ部材25が設けられている。スキージ部材25は、湿潤状態のバインダコート層16の上に供給された造粒粒子32の厚さを調整する。例えば、スキージ部材25と搬送される集電体12との間には間隙があり、かかる間隙に応じて通過する造粒粒子32の厚さが調整される。この実施形態では、スキージ部材25は、集電体12の上に供給された造粒粒子32を、厚さ方向に挟むように配置されたローラスキージ25aと、バックローラ27(圧延ローラ27としても機能する。)とで構成されている。なお、ここでは、ローラスキージ25aは、ロール状の部材であるが、ブレード状の部材でもよい。ローラスキージ25aと集電体12との間隙は、造粒粒子32の粒径および目付量にもよるが、例えば、凡そ100μm〜300μm程度(好適例としては、凡そ150μm〜250μm程度)に調整するとよい。
かかる造粒粒子32の均し工程では、集電体12の上に供給された造粒粒子32の集積物30は、集電体12とローラスキージ25aとの隙間に向けて案内され、このローラスキージ25aで平坦化される。この際、乾燥状態のバインダコート層上に供給された造粒粒子32の集積物30を均すという従来の態様では、該集積物30の搬送力が弱く、該集積物30が集電体12の動きに追従できない(典型的には集電体12の上で滑る)ことで、造粒粒子32が集電体12とローラスキージ25aとの隙間に適切に入っていかず、供給量(ひいては目付量)にバラツキが生じることが起こり得た。特に、生産性を向上する目的で集電体12の搬送速度を上げた場合(例えば搬送速度を10m/分以上、典型的には30m/分以上に設定した場合)は、目付ムラが生じやすく、塗工面にスジが発生する要因になり得る。
これに対し、ここで開示される製造方法では、集電体12の上にバインダコート層16を形成した後、該バインダコート層16を乾燥することなく湿潤状態を保ったままの状態で該バインダコート層16の上に造粒粒子32を供給する。そして、湿潤状態のバインダコート層16の上に供給された造粒粒子32の集積物30をスキージ部材25で均す。湿潤状態のバインダコート層16は、乾燥状態のバインダコート層に比べて粘着力が高いため、上記態様によると、湿潤状態のバインダコート層16を介して造粒粒子32の集積物30が集電体12に強く接着する。そのため、該集積物30が集電体12の動きに追従できるようになり、造粒粒子32が集電体12とスキージ部材25との隙間に適切に入りやすい。このことによって、集電体12上で造粒粒子32の供給をより一層均質化することができる。また、過剰に供給された造粒粒子32を、供給の少ない部位へと均すことができ、集電体12上に均質な目付量(単位面積当たりの造粒粒子32の質量)の活物質層14を形成することができる。
<d.プレス工程>
工程dでは、湿潤状態のバインダコート層16の上に供給した造粒粒子32をプレス(圧延)することで、集電体12上に活物質層14を形成する。この実施形態では、圧延ローラ26,27は、帯状の集電体12が搬送される搬送経路において、造粒粒子32と集電体12とを挟む部材である。この場合、集電体12に堆積させる造粒粒子32の厚さを考慮して、圧延ローラ26,27の間隙を調整するとよい。これによって、適当な強さで造粒粒子32が集電体12に押し付けられ、集電体12上に固着される。同時に、造粒粒子32中でバインダ36の接触箇所が増え、造粒粒子32同士が相互に密着される。これにより、集電体12の表面に活物質粒子34を含む層(活物質層14)が略一定の厚みで成形される。圧延ローラ26,27の間隔は、例えば形成する活物質層14が所望の性状(例えば厚みや空隙率)となるよう調整するとよい。
また、圧延ローラ26,27は、均された造粒粒子32の集積物30を加熱しながらプレスするように構成するとよい。すなわち、プレス工程は、圧延ローラ26,27を利用して造粒粒子32の集積物30を加熱することが好ましい。湿潤状態のバインダコート層16を自然乾燥すると、バインダコート層16に含まれる溶媒によって集電体12が腐食する(ひいては電池抵抗が増大する)虞がある。特にリチウムイオン二次電池の正極を形成する場合、正極活物質(例えばリチウム遷移金属酸化物)を構成するリチウムイオンが上記溶媒に溶出することでアルカリ性を呈するものとなり、集電体12が腐食されやすい。これに対し、上記態様によれば、加熱状態でプレスを行うことにより、湿潤状態のバインダコート層16を高速で乾燥することができ、上記溶媒による集電体12の腐食(ひいては電池抵抗の増大)を抑制することが可能になる。
圧延ローラ26の加熱手段としては、一般的な加熱方法として常套的に使用されているものから任意に選択することができる。好ましい一態様では、圧延ローラ26は、高周波コイル等の電磁誘導加熱手段26aを備えている。このようにすれば、電磁誘導を利用して圧延ローラ26を発熱させることで、造粒粒子32の集積物30を効果的に加熱することができる。このように、圧延ローラ26を利用して造粒粒子32の集積物30(ひいては下層のバインダコート層16)を加熱すると、加えられた熱と、圧延ローラ26から集電体12と活物質層14の界面に加えられる物理的な圧力との相乗効果によって、湿潤状態のバインダコート層16を効率よく乾燥することができる。ローラの加熱温度としては、概ね100℃〜180℃に設定することが適当であり、好ましくは100℃〜150℃である。また、加熱時間としては、概ね0.1秒〜1秒程度であり、好ましくは0.3秒〜0.6秒である。このような加熱温度および加熱時間の範囲内であると、湿潤状態のバインダコート層16を適切に乾燥することができる。
このようにして、集電体12の上に活物質層14が保持されたリチウムイオン二次電池用電極を製造することができる。かかるリチウムイオン二次電池用電極は、湿潤状態のバインダコート層16の上に供給された造粒粒子32の集積物30をスキージ部材25で均すことによって形成されているので、従来に比して、目付ムラが少ない均質な活物質層14を有するものであり得る。また、その均された造粒粒子32の集積物30を加熱しながらプレスすることによって形成されているので、溶媒による集電体12の腐食(ひいては電池抵抗の増大)が抑制されたものとなり得る。
<リチウムイオン二次電池>
以下、上述した製造装置10を用いて形成された負極(負極シート)および正極(正極シート)を用いて構築されるリチウムイオン二次電池の一実施形態につき、図5および図6に示す模式図を参照しつつ説明する。図5は本発明の一実施形態に係るリチウムイオン二次電池100の断面図である。図6は、当該リチウムイオン二次電池100に内装される電極体40を示す図である。このリチウムイオン二次電池100は、正極(正極シート)50として、上述した製造装置10を用いて製造された正極(正極シート)50が用いられている。また、負極(負極シート)60として、上述した製造装置10を用いて製造された負極(負極シート)60が用いられている。
本発明の一実施形態に係るリチウムイオン二次電池100は、図5に示すような扁平な角形の電池ケース(即ち外装容器)80に構成されている。リチウムイオン二次電池100は、図5および図6に示すように、扁平形状の捲回電極体40が、液状電解質(電解液)85とともに、電池ケース80に収容されている。
電池ケース80は、一端(電池100の通常の使用状態における上端部に相当する。)に開口部を有する箱形(すなわち有底直方体状)のケース本体81と、その開口部に取り付けられて該開口部を塞ぐ矩形状プレート部材からなる蓋体(封口板)82とから構成される。電池ケース80の材質は、従来のリチウムイオン二次電池で使用されるものと同じであればよく、特に制限はない。軽量で熱伝導性の良い金属材料を主体に構成された電池ケース80が好ましく、このような金属製材料としてアルミニウム等が例示される。
図5に示すように、蓋体82には外部接続用の正極端子83および負極端子84が形成されている。蓋体82の両端子83、84の間には、電池ケース80の内圧が所定レベル以上に上昇した場合に該内圧を開放するように構成された薄肉の安全弁90と、注液口92が形成されている。なお、図5では、当該注液口92が注液後に封止材93によって封止されている。
捲回電極体40は、図6に示すように、長尺なシート状正極(正極シート50)と、該正極シート50と同様の長尺シート状負極(負極シート60)とを計二枚の長尺シート状セパレータ(セパレータ72、74)とを備えている。
正極シート50は、図6に示すように、帯状の正極集電体52と正極活物質層53とを備えている。正極集電体52の幅方向片側の縁部に沿って正極活物質層非形成部51が設定されている。図示例では、正極活物質層53は、正極集電体52に設定された正極活物質層非形成部51を除いて、正極集電体52の両面に保持されている。なお、正極活物質層53を正極集電体52の両面に形成する場合、正極集電体52の一方の面に前述した製造方法にて正極活物質層53を形成した後、正極集電体52の他方の面に前述した製造方法にて正極活物質層53を形成するとよい。
負極シート60は、帯状の負極集電体62と負極活物質層63とを備えている。負極集電体62の幅方向片側には、縁部に沿って負極活物質層非形成部61が設定されている。負極活物質層63は、負極集電体62に設定された負極活物質層非形成部61を除いて、負極集電体62の両面に保持されている。なお、負極活物質層63を負極集電体62の両面に形成する場合、負極集電体62の一方の面に前述した製造方法にて負極活物質層63を形成した後、負極集電体62の他方の面に前述した製造方法にて負極活物質層63を形成するとよい。
セパレータ72、74は、図6に示すように、正極シート50と負極シート60とを隔てる部材である。この例では、セパレータ72、74は、微小な孔を複数有する所定幅の帯状のシート材で構成されている。セパレータ72、74には、例えば、多孔質ポリオレフィン系樹脂で構成された単層構造のセパレータ或いは積層構造のセパレータを用いることができる。また、かかる樹脂で構成されたシート材の表面に、絶縁性を有する粒子の層をさらに形成してもよい。ここで、絶縁性を有する粒子としては、絶縁性を有する無機フィラー(例えば、金属酸化物、金属水酸化物などのフィラー)、或いは、絶縁性を有する樹脂粒子(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの粒子)で構成してもよい。この例では、図6に示すように、負極活物質層63の幅b1は、正極活物質層53の幅a1よりも少し広い。さらにセパレータ72、74の幅c1、c2は、負極活物質層63の幅b1よりも少し広い(c1、c2>b1>a1)。
捲回電極体40を作製するに際しては、正極シート50と負極シート60とがセパレータ72、74を介して積層される。このとき、正極シート50の正極活物質層非形成部51と負極シート60の負極活物質層非形成部61とがセパレータ72、74の幅方向の両側からそれぞれはみ出すように重ね合わせる。このように重ね合わせた積層体を捲回し、次いで得られた捲回体を側面方向から押しつぶして拉げさせることによって扁平状の捲回電極体40が作製され得る。この実施形態では、捲回電極体40は、図6に示すように、捲回軸WLに直交する一の方向において扁平に押し曲げられている。図6に示す例では、正極シート50の正極活物質層非形成部51と負極シート60の負極活物質層非形成部61は、それぞれセパレータ72、74の両側においてらせん状に露出している。この実施形態では、図5に示すように、正極活物質層非形成部51の中間部分は、寄せ集められ、電池ケース80の内部に配置された電極端子(内部端子)の集電タブ87、86に溶接される。図5中の87a、86aは当該溶接個所を示している。
電解液(非水電解液)85としては、従来からリチウムイオン二次電池に用いられる非水電解液と同様のものを特に限定なく使用することができる。かかる非水電解液は、典型的には、適当な非水溶媒に支持塩を含有させた組成を有する。上記非水溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン等からなる群から選択された一種または二種以上を用いることができる。また、上記支持塩としては、例えば、LiPF,LiBF,LiAsF,LiCFSO,LiCSO,LiN(CFSO,LiC(CFSO等のリチウム塩を用いることができる。
ケース80の封止プロセスや電解液の配置(注液)プロセスは、従来のリチウムイオン二次電池の製造で行われている手法と同様でよく、本発明を特徴付けるものではない。
このようにして構築されたリチウムイオン二次電池100は、正極集電体52および負極集電体62の上に造粒粒子が均一に供給され、目付品質の高い正極活物質層53および負極活物質層63を有する正極50および負極60を備えていることから、優れた電池性能を示すものであり得る。例えば、かかるリチウムイオン二次電池100は、ハイレートサイクル特性に優れる、入出力特性に優れる、熱的安定性に優れる、のうちの少なくとも一つ(好ましくは全部)を満たすものであり得る。
以下、本発明に関するいくつかの実施例を説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。ここでは、リチウムイオン二次電池用の正極シートを作製し、正極活物質層の目付ムラの有無を確認した。
<実施例>
正極シートは、以下のようにして作製した。正極活物質としてのLiNi1/3Co1/3Mn1/3粉末(平均粒径:4μm〜5μm)と、導電材としてのABと、バインダとしてのアクリレート重合体と、増粘剤としてのCMC−Naと、界面活性剤としてのレオコール(登録商標:ライオン株式会社製)とを水とともにプラネタリーディスパーに投入して均一に混合することで、正極造粒粒子形成用の調製液を用意した。そしてこの調製液を噴霧し、液滴状態で溶媒を除去し、乾燥することで、平均粒径が75μmの正極造粒粒子の粉体を得た。
次に、バインダとしてのSBRを水に分散させたバインダ液(固形分率40質量%)を用意し、図1に示すような製造装置を用いて、該バインダ液を正極集電体(厚み15μmのアルミニウム箔を使用した。)の片面にグラビア印刷によりパターン塗工してバインダコート層を形成した。ここで、上記バインダコート層は、図3および図4に示すように、バインダ液が塗工されてなる帯状の塗工部16aと、バインダ液が塗工されていない帯状の未塗工部16bとが交互に隣接するように、正極集電体の上に間欠的に形成した。バインダコート層の厚みは1μmとした。バインダコート層の目付量(固形分基準)は0.04mg/cmとした。
次いで、上記バインダコート層を乾燥することなく湿潤状態を保ったままの状態で該バインダコート層の上に正極造粒粒子を目付量が19mg/cmとなるように供給した。そして、ローラスキージを当てて均した後、正極造粒粒子の集積物を加熱しながらプレスすることで、正極活物質層を形成した。このようにして、正極集電体の片面に正極活物質層が保持された正極シートを得た。
<比較例>
比較のために、集電体の上にバインダ液をパターン塗工した後、乾燥炉で乾燥して乾燥状態のバインダコート層を形成した。そして、乾燥状態のバインダコート層の上に正極造粒粒子を供給し、ローラスキージを当てて均した後、正極造粒粒子の集積物をプレスすることで、正極活物質層を形成した。乾燥状態のバインダコート層の上に正極造粒粒子を供給したこと以外は、実施例と同様の手順で正極シートを得た。
実施例および比較例の正極シートについて、正極活物質層の目付ムラを目視にて観察した。結果を図7および図8に示す。図7は実施例に係る正極シートの正極活物質層を上方から写した写像であり、図8は比較例に係る正極シートの正極活物質層を上方から写した写像である。
図8に示すように、比較例に係る正極シートは、正極活物質層の目付ムラが大きく、下地のアルミニウムが露出した部分(白い斑点部分)が散見された。また、塗工面にスジが認められた。これに対し、図7に示すように、実施例に係る正極シートは、下地のアルミニウムが露出した部分がなく、スジの発生も認められなかった。この結果から、湿潤状態のバインダコート層の上に造粒粒子を供給し、スキージ部材を当てて均すことにより、均質な目付量で活物質層を形成し得ることが確認された。
以上、ここで提案されるリチウムイオン二次電池用電極の製造方法を説明したが、特に言及されない限りにおいて、本発明に係るリチウムイオン二次電池用電極の製造方法は上述した実施形態に限定されない。
例えば、図3および図4の例では、バインダコート層16の塗工部16aは、集電体12を斜めに横切る複数の線(仮想線)L1に沿って形成されている。バインダコート層16の塗工パターンはこれに限定されるものではない。例えば、塗工部16aは、集電体12の長手方向に伸びる複数の線に沿って形成されてもよい。あるいは、集電体12をジグザグに横切る線に沿って形成されてもよい。このような場合であっても、上述の効果を得ることができる。
また、上述した実施形態におけるバインダコート層16は、集電体12の上に間欠的に形成されているが、これに限定されない。バインダコート層16は、集電体12の全面(典型的には活物質層が形成される領域の全面)に形成することもできる。この場合、バインダコート層16は、さらに導電材を含んでいるとよい。このような場合でも、湿潤状態のバインダコート層16の上に造粒粒子を供給し、スキージ部材を当てて均すことにより、造粒粒子の集積物を均一に均すことができる。ただし、上述した実施形態の如く、バインダコート層16を間欠的に形成した方が、電池抵抗を下げる観点からは好適である。
ここで提案される製造方法によって製造された電極を備えるリチウムイオン二次電池は、活物質層の目付精度が高く、安定した品質の電極を備えている。このため、安定した性能が要求される用途で好ましく用いられる。かかる用途としては、例えば、車両に搭載されるモーター用の動力源(駆動用電源)が挙げられる。車両の種類は特に限定されないが、例えば、プラグインハイブリッド自動車(PHV)、ハイブリッド自動車(HV)、電気自動車(EV)、電気トラック、原動機付自転車、電動アシスト自転車、電動車いす、電気鉄道等が挙げられる。なお、かかるリチウムイオン二次電池は、それらの複数個を直列および/または並列に接続してなる組電池の形態で使用されてもよい。
10 製造装置
12 集電体
14 活物質層
16 バインダコート層
16a 塗工部
16b 未塗工部
21 バインダ液塗工部
22 搬送部
24 造粒粒子供給部
25 スキージ部材
26,27 圧延ローラ
26a 電磁誘導加熱手段
30 集積物
32 造粒粒子
34 活物質粒子
36 バインダ
100 リチウムイオン二次電池

Claims (4)

  1. 集電体の上にバインダと溶媒とを含むバインダ液を塗工してバインダコート層を形成する工程と、
    前記バインダコート層を乾燥することなく湿潤状態を保ったままの状態で該バインダコート層の上に、活物質粒子とバインダとを含む造粒粒子を供給する工程と、
    前記湿潤状態のバインダコート層の上に供給された前記造粒粒子の集積物をスキージ部材で均す工程と、
    前記均された造粒粒子の集積物を加熱しながらプレスする工程と
    を包含する、リチウムイオン二次電池用電極の製造方法。
  2. 前記バインダコート層は、前記バインダ液が塗工されてなる帯状の塗工部と、前記バインダ液が塗工されていない帯状の未塗工部とが交互に隣接するように、前記集電体の上に間欠的に形成される、請求項1に記載の製造方法。
  3. 集電体を搬送する搬送部と、
    前記搬送部で搬送される集電体の上にバインダと溶媒とを含むバインダ液を塗工してバインダコート層を形成するバインダ液塗工部と、
    前記バインダコート層を乾燥することなく湿潤状態を保ったままの状態で該バインダコート層の上に、活物質粒子とバインダとを含む造粒粒子を供給する造粒粒子供給部と、
    前記湿潤状態のバインダコート層の上に供給された前記造粒粒子の集積物を均すスキージ部材と、
    前記均された造粒粒子の集積物を加熱しながらプレスする圧延ローラと
    を備え、
    ここで前記搬送部は、前記集電体の搬送経路において前記バインダ液塗工部よりも下流側かつ前記圧延ローラよりも上流側の位置に設けられた搬送ローラを有しており、
    前記搬送ローラは、前記湿潤状態のバインダコート層と接触する部位に撥液処理が施されている、リチウムイオン二次電池用電極の製造装置。
  4. 前記圧延ローラは、電磁誘導加熱手段を備える、請求項3に記載の製造装置。
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