JP2016181443A - リチウムイオン二次電池用電極の製造方法 - Google Patents

リチウムイオン二次電池用電極の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】捲回型電極体において活物質の脱落が抑制されるリチウムイオン二次電池用電極の製造方法の提供。【解決手段】集電体110上に集電体110の長手方向に沿ってバインダと溶媒とを含むバインダ液21を塗工してバインダコート層120を形成する工程;及び、バインダコート層120の上に、活物質粒子とバインダとを含む造粒粒子32を供給して押圧することで活物質層130を形成する工程;を包含し、扁平型捲回電極体は、電極100が略平面である平面部と、電極100が湾曲された捲回曲部とから構成され、バインダコート層120は、多量コート領域と少量コート領域とが長手方向で交互に設けられており、多量コート領域が単位面積当たりのバインダ液の塗工量が相対的に多く、少量コート領域が単位面積当たりの前記バインダ液の塗工量が相対的に少なく、少量コート領域が捲回曲部に相当する位置の少なくとも一部に設けられる電池の製造法。【選択図】図1A

Description

本発明は、扁平型捲回電極体を備えるリチウムイオン二次電池用電極の製造方法に関する。
リチウムイオン二次電池に用いられる電極は、典型的には、集電体上に活物質を含む活物質層を備えている。活物質層は、一般に、活物質を液状媒体に分散させたスラリー状組成物を集電体の表面に塗布して乾燥した後、押圧することで製造されている。また、液状媒体を使用することなく、乾燥工程を省略して、省エネルギーかつ低コストに製造する方法も知られている。例えば、特許文献1には、集電体の表面にバインダ液を塗工し、その上に活物質粒子とバインダとを造粒した造粒粒子を供給し、加熱しながら圧延ロールで押圧することで、電極を製造することが開示されている。
特開2014−078497号公報 特開2011−014238号公報
しかしながら、特許文献1に記載されるような造粒粒子を用いた電極の製造方法では、造粒粒子同士の接点および結合力が十分に得られ難い。そのため、スラリー状組成物を用いて形成した電極に比べて活物質層の強度が相対的に低くなり、ストレスがかかる部位では活物質層に割れが生じたり剥離したり、活物質が脱落(粉落ち)したりし易くなるという問題が生じ得た。また、脱落した活物質が異物として電解液中に浮遊することで、電池内に短絡が生じる虞があり得る。このような問題は、長尺の電極を扁平形状に倦回することで構築した扁平型捲回電極体を備える電池において、特に顕著に起こり得た。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、扁平型捲回電極体を構築した場合における活物質層の割れや剥がれおよび活物質の脱落(粉落ち)が抑制されたリチウムイオン二次電池用電極の製造方法を提供することである。
ここで提案される技術は、長尺の集電体上に活物質層を備えた長尺の電極が断面略長円形に捲回されてなる扁平型捲回電極体を構築するために用いられる電極の製造方法を提供する。この製造方法は、上記集電体上に該集電体の長手方向に沿ってバインダと溶媒とを含むバインダ液を塗工してバインダコート層を形成する工程;および、上記バインダコート層の上に、活物質粒子とバインダとを含む造粒粒子を供給して押圧することで活物質層を形成する工程;を包含する。ここで上記扁平型捲回電極体は、上記電極が略平面である平面部と、上記電極が湾曲された捲回曲部とから構成される。また、上記バインダコート層は、多量コート領域と少量コート領域とが長手方向で交互に設けられている。ここで多量コート領域は、単位面積当たりのバインダ液の塗工量が相対的に多く、少量コート領域は、単位面積当たりの前記バインダ液の塗工量が相対的に少ない。そして、少量コート領域は、捲回曲部に相当する位置の少なくとも一部に設けられることにより特徴づけられる。
この製造方法によると、バインダコート層の塗工量を制御することで、その上に形成される活物質層の密度を調整し得る。これにより、上記問題の起こり易い電極の捲回曲部において、活物質層に作用するストレスを緩和し、活物質層の割れや剥離が生じたり活物質が脱落(粉落ち)したりする事象を抑制することができる。
なお、特許文献2には、扁平型捲回電極体(電極群)の長径方向の端部の折り曲げ部において、集電体上に活物質層を形成せず、集電体を露出させることが開示されている。かかる構成では、折り曲げ部に活物質層が存在しないため、活物質層の剥がれ等の問題自体が起り得ない。しかしながら、折り曲げ部に活物質層を全く設けない構成は単位体積あたりの容量の低下を意味するために好ましくない。ここに提案される電極は、容量の低下を抑えつつ、活物質層の剥がれ等の問題を抑制し得る点において優れた技術と言える。
ここで開示される製造方法の好ましい一態様において、上記少量コート領域は、上記扁平型捲回電極体の巻き始めから少なくとも5周目までの上記捲回曲部に相当する位置に設けられることを特徴としている。このような構成によって、上記の活物質層の剥離や活物質の脱落をより効果的に抑制することができる。
ここで開示される製造方法の好ましい一態様において、上記少量コート領域は、上記集電体の少なくとも一方の面であって、上記扁平型捲回電極体の上記捲回曲部に相当する位置に設けられることを特徴としている。これにより、より簡便かつ容量低下を抑制して、上記の活物質層の剥離や活物質の脱落をより効果的に抑制することができる。
ここで開示される製造方法の好ましい一態様において、上記少量コート領域における単位面積当たりのバインダ量は、上記多量コート領域における単位面積当たりのバインダ量を100質量部としたとき、75質量部以上95質量部以下であることを特徴としている。これにより、電極の容量と活物質層および活物質の脱落防止効果とをバランスよく両立することができる。
ここで開示される製造方法の好ましい一態様において、上記バインダコート層は、グラビア印刷法により形成することを特徴としている。このような構成によると、バインダ液を高速で塗工することができ、電極の製造速度も高速化することができる。
ここで開示される製造方法の好ましい一態様において、上記多量コート領域および上記少量コート領域は、それぞれ、上記バインダ液が幅の狭い帯状に塗工されてなる塗工部と、上記バインダ液が塗工されていない幅の狭い帯状の非塗工部とが、交互に配置された縞状に形成されており、
上記多量コート領域および上記少量コート領域とで、上記塗工部と上記非塗工部との面積比および上記塗工部における単位面積当たりの上記バインダ液の塗工量の少なくとも一つを異ならしめることを特徴としている。このようにバインダコート層を縞状に形成することで、塗工量の調整が容易になるとともに、非塗工部において造粒粒子と集電体とが直接接触し、造粒粒子と集電体との間の導電性を向上させることができる。
図1Aは、一実施形態に係るリチウムイオン二次電池用電極の製造装置を示す模式図である。 図1Bは、他の実施形態に係るリチウムイオン二次電池用電極の製造装置を示す模式図である。 図2は、一実施形態に係る造粒粒子を模式的に示す図である。 図3は、一実施形態に係るバインダコート層の塗工パターンを模式的に示す図である。 図4は、一実施形態に係るリチウムイオン二次電池を模式的に示す図である。 図5は、一実施形態に係る捲回電極体の構成を説明するための図である。 図6は、一実施形態に係る捲回電極体の断面模式図である。 図7は、各例の電極で捲回電極体を構築した場合に捲回内周側の活物質層に割れが確認できるターン数を示したグラフある。 図8は、各例の電極で捲回電極体を構築した場合に捲回外周側の活物質層に割れが確認できるターン数を示したグラフある。 図9Aは、電極の屈曲性試験の様子を説明する図である。 図9Bは、各例の電極の屈曲性試験の結果を例示したグラフである。 図10は、各例の電極を用いて作製した電池の自己放電の様子を示すグラフである。
以下、ここで提案されるリチウムイオン二次電池用電極の製造方法について、適宜図面を参照しつつ、好適な一実施形態をもとに詳細に説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄(例えば、リチウムイオン二次電池の電極構成材料の詳細や電池の動作方法等の一般的事項等)は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。また、各図は模式的に描かれており、例えば、各図における寸法関係(長さ、幅、厚さ等)は必ずしも実際の寸法関係を反映するものではない。本明細書において「二次電池」とは、繰り返し充電可能な電池一般をいう。「リチウムイオン二次電池」は、電解質イオンとしてリチウムイオンを利用し、正負極間におけるリチウムイオンに伴う電荷の移動により充放電が実現される二次電池をいう。
ここで開示される製造方法は、長尺の集電体上に活物質層を備えた長尺の電極(正極および負極)を製造する方法である。より詳しくは、扁平型捲回電極体を構築するために用いられる電極を製造する方法である。図6は、扁平捲回電極体200の捲回軸方向に直交する断面を例示した模式図である。この扁平捲回電極体200は、典型的には、正極230および負極240がセパレータ250を介して重ね合わされた状態で、断面略長円形に捲回されることで構成されている。ここで、「長円形」とは、概ね、円形を一の直径で分割した2つの半円の間に、該直径と同一の寸法の一対の対辺を有する方形(正方形または長方形)を挟みこんだような形状を意味し、いわゆるレーストラック形状などとも呼ばれる形状である。なお、断面が略長円形を有する扁平捲回電極体200は、本明細書において、上記の半円部分に相当する捲回曲部Rと、上記方形部分に相当する平面部Fとに区分することができる。
<第1実施形態>
本実施形態に係る電極製造工程は、本質的に、以下の工程(a)〜(c)を含んでいる。
(a)バインダコート層の形成工程
(b)造粒粒子の供給工程
(c)押圧工程
図1Aは、本発明の一実施形態に係る電極の製造工程を具現化する製造装置1を示す模式図である。この製造装置1は、リチウムイオン二次電池の正極用の電極(正極)および負極用の電極(負極)の何れの製造にも適用することができる。ここで、製造装置1は、図1Aに示すように、搬送部10と、バインダ液塗工部20と、造粒粒子供給部30と、圧延ロール40とを備えている。これらは予め定められた搬送経路に沿って順に設置されている。ここで、搬送部10は搬送経路に沿って集電体110を搬送する装置である。バインダ液塗工部20は、バインダ液21を塗工する装置である。造粒粒子供給部30は、造粒粒子32を供給する装置である。圧延ロール40は、供給された造粒粒子を押圧する装置である。製造装置1を構成するこれらの構成部材については、後述する。図2は、造粒粒子32の構成を模式的に示す図である。
図1Aに示された製造装置1は、典型的には、長尺の集電体110を長手方向に沿って搬送しながら、この集電体110上に、バインダコート層120、活物質層130を順次形成して電極100を製造する。ここでは、長尺状の集電体110が、搬送部10によって、予め定められた搬送経路に沿って搬送される。図中の矢印は、搬送方向を示している。この実施形態では、搬送部10は、複数の搬送ローラおよびガイドロール等により構成されている。長尺の集電体110は、例えば、ロール状に巻き取られた形態のものが、この搬送部10により引き出され、所定の工程を経た後、製造された電極100として巻き取られる。
a.バインダコート層の形成工程
工程aでは、例えばバインダ液塗工部20において、搬送されてきた長尺の集電体110の上に該集電体110の長手方向に沿ってバインダと溶媒とを含むバインダ液21を塗工してバインダコート層120を形成する。このバインダコート層120は、本質的に、後述の造粒粒子32の集電体110上での滑りを抑制し、造粒粒子32の集電体110への結着性を高める役割を担っている。
集電体110は、電極(正極および負極)において電気が取り出される部材である。例えば、リチウムイオン二次電池に用いられる集電体110には、電子伝導性に優れ、電池内部で安定に存在する材料が用いられる。また、軽量化や所要の機械強度や加工のしやすさなどが求められる。例えば、図1Aに示す例では、集電体110として、帯状の金属箔が用意されている。ここでは、集電箔としての帯状の金属箔は、巻芯に巻かれた状態で用意されている。
リチウムイオン二次電池の正極を形成する場合、例えば、正極集電体としてアルミニウムまたはアルミニウム合金が用いられる。正極集電体の厚みは特に限定されないが、高強度および低抵抗の観点から、概ね5μm〜30μmが適当であり、好ましくは10μm〜20μm(例えば15μm)である。リチウムイオン二次電池の負極を形成する場合、例えば、負極集電体として銅または銅合金が用いられる。負極集電体の厚みとしては、特に限定されないが、高強度および低抵抗の観点から、概ね6μm〜20μmが適当であり、好ましくは8μm〜15μm(例えば10μm)である。
バインダ液21は、溶媒にバインダを分散または溶解させた液である。バインダ液21の溶媒としては、環境負荷を軽減するとの観点において、いわゆる水系の溶媒が好適に用いられる。この場合、水または水を主体とする混合溶媒を用いることができる。かかる混合溶媒を構成する水以外の溶媒成分としては、水と均一に混合し得る有機溶媒(低級アルコール、低級ケトン等)の一種または二種以上を適宜選択して用いることができる。例えば、該水系溶媒の80質量%以上(より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上)が水である水系溶媒の使用が好ましい。特に好ましい例として、実質的に水からなる水系溶媒が挙げられる。また、バインダ液21の溶媒は、いわゆる水系の溶媒に限定されず、いわゆる有機溶剤系であってもよい。有機溶剤系溶媒としては、例えばN−メチルピロリドン(NMP)などが挙げられる。
また、バインダ液21に含まれるバインダとしては、後述の造粒粒子の結合を実現し得る各種の材料のなかから、使用する溶媒に分散または溶解し得る材料を用いることが好ましい。かかるバインダは、典型的にはポリマー材料であって、例えば後述の造粒粒子32の作製に用いるものと同じであってもよく、異なっていてもよい。一例として、例えば溶媒が水系の場合、例えば、スチレンブタジエン共重合体(SBR)、アクリル酸変性SBR樹脂(SBR系ラテックス)等のゴム類、ポリアクリル酸(PAA)などの等のアクリル系樹脂の使用が好ましい。また、溶媒として有機溶剤系のものを用いる場合、バインダとして、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等のハロゲン化ビニル樹脂、アクリル酸エステルあるいはメタクリル酸エステルの重合体等のアクリル系樹脂などを好ましく用いることができる。バインダ液21の好適例としては、例えば、リチウムイオン二次電池の正極では、水を溶媒とし、バインダとしてのSBRやアクリル樹脂(例えば、ポリメタクリル酸エステル樹脂)を混ぜるとよい。また、リチウムイオン二次電池の負極では、水を溶媒とし、バインダとしてのSBRを混ぜるとよい。
バインダ液21の固形分率としては、取扱性や塗工性を高める観点から、概ね20質量%以上60質量%以下、好ましくは30質量%以上50質量%以下であるとよい。また、バインダ液21の粘度は、特に制限されるものではないが、B型粘度計を用いて、25℃、60rpmの条件で測定した粘度が、5mPa・s以上30mPa・s以下であることが好適であり、好ましくは5mPa・s以上20mPa・s以下、より好ましくは6mPa・s以上7mPa・s以下である。さらに、バインダ液の表面張力は、Wilhelmy法(プレート法等ともいう)による25±2℃での静的表面張力として、好ましくは15mN/m以上40mN/m以下、より好ましくは17mN/m以上38mN/m以下、さらに好ましくは20mN/m以上35mN/m以下である。
この実施形態では、バインダ液21は、例えば、長尺状の集電体110の長手方向に沿って予め定められた塗工パターンで集電体110に塗工している。ここでは、集電体110に予め定められた領域にバインダ液21を塗工する。バインダ液21は、例えば、グラビア印刷法を利用して塗工すると、比較的高速でのバインダコート層の形成が可能となるために好ましい。例えば、バインダ液塗工部20には、ダイレクトグラビアロールコーター(direct gravure roll coater)を用いることができる。このバインダ液塗工部20では、所定のパターン形状が表面に彫刻されたグラビアロールを用いたダイレクトグラビアによって、バインダ液21を集電体110に転写する。図1Aに示す例では、搬送部10において、バインダ液21が塗工される処理面(すなわちバインダコート層120が形成される面)を下に向けて、帯状の集電体110を搬送し、当該集電体110にグラビアロールに当接させている。グラビアロールの下側は、貯留槽に貯められたバインダ液21に浸漬されている。そして、集電体110はグラビアロールの上側でインプレッションロールによりグラビアロールに押し当てられている。これにより、貯留槽に貯められたバインダ液21は、グラビアロールに設けられた彫刻溝を介して集電体110に連続して転写される。かかる転写によって、集電体110上にグラビアロールのパターン形状に対応するバインダコート層120が形成される。
なお、バインダ液塗工部20としては、上記のグラビアロールコーターに制限されない。例えば、グラビアロールコーター等の各種の凹版印刷機、スリットコーター、コンマコーター、キャップコーター(Capillary Coater:CAPコーター)等のダイコーター、リップコーター等の各種の塗布装置を使用することができる。なお、バインダ液21は、集電体110上にベタ塗りしてもよく、あるいは所定のパターン(例えば、縦・斜め等の縞状、波線状、ドット状等)に供給することもできる。
ここで、図3は、集電体110上に形成されたバインダコート層120を模式的に示している。この実施形態では、バインダコート層120は、集電体110の長手方向に直交する幅方向の両端部に帯状の集電部113を残して、集電部113以外の領域に設けられている。この集電部113以外の領域は、後述の活物質層130の形成領域に相当する。
バインダコート層120には、単位面積当たりのバインダ液21の塗工量が相対的に多い多量コート領域D1と、相対的に少ない少量コート領域D2とが、集電体110の長手方向で交互に設けられている。多量コート領域D1は、集電体110の長手方向に直交する幅方向でバインダコート層120の全幅に亘って設けられている。また、少量コート領域D2も、集電体110の幅方向に亘って(すなわち全幅に)設けられている。
本発明者らによると、造粒粒子を用いた電極100の形成において、バインダコート層120における単位面積当たりのバインダ液21の塗工量(以下、単位面積当たりの塗工量を、単に、目付量等という場合がある)は、活物質層130の目付量に影響を与え得ることが知見された。かかる知見に基づき、ここに提案される製造方法においては、バインダコート層120に目付量の少ない少量コート領域D2を設けることで、活物質層130の状態を調整するようにしている。具体的には、多量コート領域D1中に、バインダコートの目付量の相対的に少ない少量コート領域D2を設けることで、この少量コート領域D2のバインダコート層120上に形成される活物質層130の密度を他の部分よりも低減させるようにしている。
そして、当該電極を用いて扁平型捲回電極体200を構築した場合に、比較的ストレスの発生しやすい捲回曲部Rに相当する位置の少なくとも一部に、この少量コート領域D2および活物質層130の低密度部分が位置し得るよう、多量コート領域D1と少量コート領域D2とを設定するようにしている。このような構成により、捲回曲部Rで発生したストレスを、少量コート領域D2の上に形成される低密度の活物質層130によって緩和することができる。また、多量コート領域D1によって、後述の造粒粒子の供給工程において集電体110上で造粒粒子が滑るのを抑制し、また、プレス工程において形成された活物質層130が集電体110から剥離したりするのをより確実に防止することができる。
多量コート領域D1と少量コート領域D2との寸法は、製造される電極100を用いて構築する扁平捲回電極体200の形態に応じて適宜設定することができる。すなわち、扁平捲回電極体200を構成する電極100を展開したとき、電極100は、平捲回電極体200の捲回曲部Rに相当する部位と、平面部Fに相当する部位と、が長手方向に交互に配置することとなる。そして、少量コート領域D2は、上記のとおり、捲回により湾曲されてストレスが発生し得る捲回曲部Rに相当する部位の少なくとも一部に設ける。このとき、少量コート領域D2は、電極100の捲回曲部Rに相当する部位の全てに設けるようにしても良いし、一部に設けるようにしても良い。また、電極100の両面に活物質層130が設けられる場合、少量コート領域D2は電極100の両面に設けるようにしても良いし、いずれか一方の面にのみ設けるようにしても良い。
なお、扁平捲回電極体200を構築した場合、特にストレスが発生しやすい活物質層130の部位は、電極100の捲き始めの比較的曲率の高い位置に存在する捲回曲部Rである。したがって、必ずしもこれに制限されるものではないが、少量コート領域D2は、典型的には、扁平型捲回電極体200の巻き始めから少なくとも1周目まで(好ましくは2周目まで、より好ましくは3周目まで、特に好ましくは5周目まで、例えば7周目まで)の捲回曲部Rに相当する位置を占めるように設けることが好適である。
また、電極100の捲回曲部Rの両面に活物質層130が設けられている場合、集電体110よりも捲回内周側に位置する活物質層130に対しては、集電体の表面と平行な方向(周方向)に圧縮の応力が発生する。また、集電体110よりも捲回外周側に位置する活物質層130に対しては、集電体の表面と平行な方向(周方向)で引張の応力が発生する。そして、捲回外周側に位置する活物質層130については割れが発生しやすい状態となり得る。捲回曲部Rの捲回内周側に少量コート領域D2を設定することで、この捲回外周側に位置する活物質層130の割れを好適に抑制することができる。
以上のことから、ここに提案される技術において、少量コート領域D2は、典型的には、扁平型捲回電極体200の巻き始めから少なくとも1周目まで(好ましくは2周目まで、特に好ましくは3周目まで、例えば5周目まで)の捲回曲部Rに相当する位置であって、集電体110の捲回内周側の表面に設けることが、特に好適な態様であり得る。
なお、捲回内周側に相当する位置に少量コート領域D2を形成することで、当該位置に形成される活物質層130の密度は低下される。すると、この電極を用いて扁平捲回電極体200を構築したときに、捲回内周側に位置する活物質130は圧縮応力により圧密されて見かけの体積が収縮する。また、これに伴い、捲回曲部Rに位置する集電体は、捲回内周側に入り込むことができ、捲回外周側に位置する活物質130に発生する引張応力を緩和することができる。
なお、多量コート領域D1と少量コート領域D2との寸法は、一の電極100において一定の値に定めても良いし、任意に変化させても良い。
例えば、具体的には、扁平捲回電極体200を構築したときに、扁平型捲回電極体200の巻き始めから少なくとも1周目まで(好ましくは2周目まで、より好ましくは3周目まで、特に好ましくは5周目まで)の捲回曲部Rに相当する位置と、少量コート領域D2とがほぼ完全に対応するように、多量コート領域D1と少量コート領域D2との寸法をそれぞれ変化させて設定してもよい。具体的には、多量コート領域D1の寸法は平坦部Fに合わせて一定とし、少量コート領域D2の寸法を、捲回曲部Rの長さに合わせて(すなわち捲き始めでは短く、2周目以降はより長く)設定するようにしても良い。このようにすることで、活物質層130に作用するストレスを緩和する必要のある部位にのみ少量コート領域D2を設けることができ、電極の容量低下を最低限に抑えることができて好ましい。
あるいは、例えば、扁平捲回電極体200を構築したときに、少量コート領域D2の寸法を、扁平型捲回電極体200の巻き始めから所定のターン数(例えば2周目、好ましくは3周目、特に好ましくは5周目)の捲回曲部Rの長さに合わせた一定の寸法に設定し、多量コート領域D1の寸法は、捲き始めから該所定ターン数までの捲回曲部が少量コート領域D2で覆われるように決定される一定の寸法に設定して、多量コート領域D1と少量コート領域D2との寸法をそれぞれ一定の値に固定してもよい。さらには、例えば、扁平捲回電極体200を構築したときに、実際には捲回曲部Rの中心(捲回電極体の長軸上)に最も応力が集中しやすいことを考慮して、巻き始めから所定のターン数までの捲回曲部Rの全体ではなく、捲回曲部Rの中心近傍の全てが、少量コート領域D2に含まれるよう、多量コート領域D1と少量コート領域D2との寸法をそれぞれ所定の値に設定してもよい。この場合、バインダコート層120に占める少量コート領域D2の割合を減らすことができ、電極容量を高く維持することができる。このように、多量コート領域D1と少量コート領域D2との寸法をそれぞれ所定の値に設定することで、例えばバインダコート層120の形成にグラビアロール等に代表される彫刻ロールを用いた塗布法を採用することができるために好ましい。
バインダコート層120の目付量は、以下の構成により、造粒粒子の結着性を良好に確保しつつ、好適に調整することができる。すなわち、バインダコート層120において、多量コート領域D1および少量コート領域D2のそれぞれを、バインダ液21が幅の狭い帯状に塗工されてなる塗工部L1と、バインダ液21が塗工されていない幅の狭い帯状の非塗工部L2とが、長手方向に沿って交互に配置された縞状に形成するものである。図3に示す例では、塗工部L1は、集電体110の長手向に対して傾斜した複数の線として表現されている。そして非塗工部L2は、塗工部L1を示す複数の線の間に形成された空白として表現されている。
そして塗工部L1と非塗工部L2との合計に占める塗工部L1の割合を調整することにより、多量コート領域D1および少量コート領域D2の目付量を其々調節することができる。
例えば、多量コート領域D1の目付量としては、凡そ0.04mg/cm以上(例えば0.04mg/cm〜0.2mg/cm)にすることが適当であり、好ましくは0.1mg/cm以上(例えば0.1mg/cm〜0.2mg/cm)である。このような多量コート領域D1の目付量の範囲内であると、集電体110上での造粒粒子の滑りを抑制できる。また、電極100の抵抗を過度に増大させることなく、集電体110と活物質層130との接着性を高めることができる。
また、少量コート領域D2の目付量としては、多量コート領域D1の塗工量よりも少なければよい。例えば、少量コート領域D2の目付量としては、凡そ0.04mg/cm未満(例えば0.02mg/cm〜0.04mg/cm)にすることが適当であり、好ましくは0.03mg/cm以下(例えば0.02mg/cm〜0.03mg/cm)である。このような少量コート領域D2の目付量の範囲内であると、後述の活物質層130の目付量を確保しつつ、その密度を低減させることができる。すなわち、電極110としての容量を確保しつつ、活物質層130の捲回曲部Rに発生するストレスを緩和することができる。例えば、多量コート領域D1の目付量を100質量部としたとき、少量コート領域D2の目付量は、凡そ75質量部以上95質量部以下とすることが好ましく、80質量部以上90質量部以下とすることがさらに好ましい。
また、多量コート領域D1および少量コート領域D2の目付量は、例えば、塗工部L1および非塗工部L2のライン幅や、塗工部L1の厚み(高さ)を変えることで適宜調整することができる。なお、ライン幅は、概ね塗布技術により制限される値であるが、より線幅を細く、厚みを高く、塗工することができれば好ましい。
塗工部L1の厚み(すなわち、多量コート領域D1および少量コート領域D2の厚み)としては、特に限定されないが、集電体110と活物質層130との接着性を高める観点から、例えば0.5μm以上、好ましくは1μm以上の厚みとするとよい。また、電極抵抗を低減する観点からは、例えば10μm以下、好ましくは5μm以下の厚みとするとよい。また塗工部L1のライン幅としては、特に限定されないが、造粒粒子の補足性を高める観点から、例えば10μm以上、好ましくは20μm以上、例えば50μm以上の幅とするとよい。また、電極抵抗を低減する観点からは、例えば200μm以下、好ましくは150μm以下、例えば120μm以下の幅とするとよい。
この実施形態では、多量コート領域D1は、少量コート領域D2よりも非塗工部L2の幅(塗工部L1間のピッチ)が狭い。換言すれば、多量コート領域D1は、少量コート領域D2よりも集電体110の露出面積率が小さい。露出面積率とは、多量コート領域D1または少量コート領域D2の全面積に占める非塗工部L2の面積の割合(%)である。好ましい一態様では、多量コート領域D1における集電体110の露出面積率は、概ね15%以上(好ましくは20%以上、例えば20%〜60%)であり得る。また、少量コート領域D2における集電体110の露出面積率は、概ね30%以上(好ましくは35%以上、例えば30%〜70%)であり得る。
<b.造粒粒子の供給工程>
工程bでは、図1Aに示すように、上記バインダコート層120(非塗工部L2を含む任意のパターン状であり得る。)の上に造粒粒子32を供給する。図1Aに示す例では、集電体110は、搬送ローラ22に沿って転回され、バインダコート層120が形成された面を上に向けて造粒粒子供給部30まで搬送される。この造粒粒子供給部30により、造粒粒子32が供給される。
ここで供給される造粒粒子32は、図2に示すように、活物質粒子34と、バインダ36とを少なくとも含んでいる。かかる造粒粒子32は、個々の活物質粒子34の表面にバインダ36が付着し、さらにその活物質粒子34がバインダ36によって互いに結合された態様であり得る。好適な一態様では、バインダ36が活物質粒子34の内部および外表面に局所的に偏在することなく略均一に分散されて配置されている。造粒粒子32は、活物質粒子34およびバインダ36以外の材料が含まれていてもよく、例えば、導電材38や増粘剤(図示せず)等が含まれていてもよい。
造粒粒子32の性状は特に限定されないが、生産効率を高める観点やより均質な活物質層を形成する観点等から、例えば粒径範囲はおよそ10μm以上200μm以下、好ましくは30μm以上180μm以下、例えば45μm以上150μm以下であるとよい。また、平均粒子径は、20μm以上100μm以下、好ましくは30μm以上90μm以下、例えば50μm以上80μm以下であるとよい。なお、本明細書中において「粒径」「平均粒子径」とは、レーザ散乱・回折法に基づく粒度分布測定装置に基づいて測定した値であり、「平均粒子径」は、その粒度分布における積算値50%での粒径、すなわち50%体積平均粒子径(D50)をいう。より具体的には、レーザ回析・散乱式粒度分布測定装置(例えば、「マイクロトラックMT−3200II」、日機装株式会社製)を用い、圧縮空気による粒子の分散は行わず、乾式測定した50%体積平均粒子径である。この造粒粒子32は、例えば原料等から調製して入手しても良いし、材料メーカー等から製品を購入するなどして入手してもよい。
かかる造粒粒子32は、例えば、活物質粒子34とバインダ36とを所定の割合で混合して、造粒、分級等を行うことで用意することができる。造粒の手法としては特に制限はなく、例えば、転動造粒法、流動層造粒法、撹拌造粒法、圧縮造粒法、押出造粒法、破砕造粒法、スプレードライ法(噴霧造粒法)等を採用することができる。一好適例では、活物質粒子34とバインダ36とを溶媒に混ぜ合わせた合剤(懸濁液)を、スプレードライ法で造粒する。スプレードライ法では、合剤が乾燥雰囲気中に噴霧される。この際、噴霧される液滴に含まれる粒子が概ね1つの塊になって造粒される。このため、液滴の大きさによって、造粒粒子32に含まれる固形分量が変わり、造粒粒子32の大きさや質量などを調整し得る。噴霧される液滴には、活物質粒子34とバインダ36とが少なくとも含まれているとよい。また噴霧される液滴には、例えば、導電材や増粘材が含まれていてもよい。
リチウムイオン二次電池の正極を形成する場合、正極活物質粒子としては、従来からリチウムイオン二次電池の正極活物質として用いられている各種の材料を特に限定なく使用することができる。好適例として、リチウムニッケル酸化物(例えばLiNiO)、リチウムコバルト酸化物(例えばLiCoO)、リチウムマンガン酸化物(例えばLiMn)等のリチウムと遷移金属元素とを構成金属元素として含む酸化物(リチウム遷移金属酸化物)や、リン酸マンガンリチウム(LiMnPO)、リン酸鉄リチウム(LiFePO)等のリチウムと遷移金属元素とを構成金属元素として含むリン酸塩などが、挙げられる。正極活物質粒子の平均粒子径(D50)は特に限定されないが、概ね1μm〜10μm程度が適当であり、好ましくは4μm〜6μmである。
リチウムイオン二次電池の負極を形成する場合、負極活物質粒子としては、従来からリチウムイオン二次電池の負極活物質として用いられている各種の材料を特に限定なく使用することができる。好適例として、グラファイトカーボン、アモルファスカーボン等の炭素系材料、チタン酸リチウム等のリチウム遷移金属酸化物、リチウム遷移金属窒化物、シリコン化合物などが挙げられる。負極活物質粒子の平均粒子径(D50)は特に限定されないが、概ね10μm〜30μm程度が適当であり、好ましくは15μm〜25μmである。
造粒粒子32に含ませるバインダ36としては、活物質の結合を実現し得る各種の材料のなかから採用する造粒方法に適した材料を選択・使用するとよい。例えば、上記のバインダコート層120を形成する際に用いたのと同じバインダを使用することができる。このバインダ36の一例として、湿式の造粒方法(例えば上記スプレードライ法)を採用する場合には、溶媒に溶解または分散可能なポリマーが用いられる。水性溶媒に溶解または分散可能なポリマーとしては、例えば、スチレンブタジエン共重合体(SBR)、アクリル酸変性SBR樹脂(SBR系ラテックス)等のゴム類、カルボキシメチルセルロース(CMC)等のセルロース系ポリマー、メタクリル酸エステルの重合体等のアクリル系樹脂、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)等のハロゲン化ビニル樹脂等が挙げられる。また、非水溶媒に溶解または分散可能なポリマーとしては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)が挙げられる。
また、導電材38を含む構成においては、例えば、カーボン粉末、カーボンファイバーなどのカーボン材料が例示される。このような導電材から選択される一種を単独で用いてもよく二種以上を併用してもよい。カーボン粉末としては、例えば、アセチレンブラック(AB)、オイルファーネスブラック、黒鉛化カーボンブラック、カーボンブラック、ケッチェンブラック、グラファイトなどの粉末を用いることができる。かかる導電材は、活物質粒子34と集電体110との導電パスを形成するうえで、導電性が乏しい活物質粒子34を用いる場合に好適に添加される。
また、増粘剤を含む構成においては、増粘剤として、例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)、CMCのナトリウム塩(CMC−Na)、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレン‐ビニルアルコール共重合体(EVOH)などの材料が例示される。このような増粘剤から選択される一種を単独で用いてもよく二種以上を併用してもよい。
なお、上記造粒粒子32における各構成成分の配合比は、例えば、リチウムイオン二次電池の用途や所望の特性等に応じて決定することができる。例えば、車両駆動用途で用いられるリチウムイオン二次電池のための電極の製造に用いる造粒粒子32は、下記の活物質層の構成を実現し得るよう、各構成成分の配合を決定することが好ましい。
(正極)
正極活物質(活物質粒子34)は、正極活物質層全体に占める割合が約50質量%以上、典型的には70質量%以上99質量%以下となるよう配合することが適当であり、通常はおよそ87質量%以上95質量%以下であることが好ましい。導電材38が含まれる構成では、正極活物質層全体に占める割合が、例えば約1質量%〜15質量%とすることができ、例えば2質量%以上10質量%以下、典型的には3質量%以上8質量%以下とすることが好ましい。造粒粒子32に含まれるバインダ36は、正極活物質層全体に占める割合が、例えば約0.5質量%以上15質量%以下とすることができ、例えば1質量%以上10質量%以下、典型的には2質量%以上5質量%以下とすることが好ましい。
(負極)
負極活物質(活物質粒子34)は、負極活物質層全体に占める割合が約70質量%以上、典型的には90質量%以上99質量%以下とすることが適当であり、通常はおよそ95質量%以上99質量%以下であることが好ましい。造粒粒子32に含まれるバインダ36は、負極活物質層全体に占める割合が、例えば0.01質量%以上10質量%以下とすることができ、通常はおよそ0.1質量%以上7質量%以下程度、より好ましくは0.5質量%以上5質量%以下程度とすることができる。
造粒粒子供給部30は、搬送部10によって搬送される集電体110上に形成されたバインダコート層120の上に造粒粒子32を供給する。ここでは、造粒粒子供給部30は、造粒粒子32を貯留するホッパを備えている。ホッパは、図示は省略するが、造粒粒子32を供給する量を調整する調整装置を備えているとよい。この場合、ホッパは、例えば、集電体110の搬送速度などに応じて造粒粒子32の供給量を調整し、適切な量の造粒粒子32を湿潤状態ないしは乾燥状態のバインダコート層120の上に供給することができる。ここでは、造粒粒子32は、複数の造粒粒子32が集まった集積物(粉体)の形態で供給される。
このとき、バインダコート層120に設けられた多量コート領域D1では、単位面積当たりのバインダ液21の目付量が相対的に多いため、バインダコート層120上に造粒粒子32がより多量に付着し得る。換言すると、より多くの造粒粒子32がバインダコート層120上に捕捉される。また、少量コート領域D2では、単位面積当たりのバインダ液21の目付量が相対的に少ないため、バインダコート層120上に付着する造粒粒子32の量が比較的少なくなり得る。造粒粒子32は搬送される集電体110上に供給された場合に集電体110の表面を滑り得る。そのため、ここに提案される技術においては、バインダ液21の目付量により造粒粒子32の目付量が微調整され得る。
<c.押圧工程>
工程cでは、バインダコート層120の上に供給した造粒粒子32を押圧(プレス)することで、集電体110上に活物質層1300を形成する。この実施形態において、圧延ロール40は、帯状の集電体110が搬送される搬送経路において、造粒粒子32と集電体110とを互いに反対方向に回転している一対の圧延ロールで挟み込んむことで押圧する。この場合、所望の目付量および密度を備える活物質層130が得られるよう、圧延ロール40の間隙(ギャップ)を調整するとよい。これによって、適切な強さで造粒粒子32がバインダコート層120を介して集電体110に押し付けられ、集電体110上に固着される。同時に、隣接する造粒粒子32が互いにバインダ36を介して固着される。また、造粒粒子32自体も変形する等してバインダ36の接触箇所が増え、活物質粒子34同士が相互に密着して固着し得る。これにより、集電体110の表面に活物質粒子34およびバインダ36を含む層(活物質層130)が略一定の厚みで成形される。
なお、上記のとおり、多量コート領域D1では、バインダ液21の目付量が比較的多い分、造粒粒子の目付量も多くなっていた。また、少量コート領域D2では、バインダ液21の目付量が比較的少ない分、造粒粒子の目付量も少なくなっていた。そして両領域を通じで活物質層130の厚みは略均一となり得る。したがって、多量コート領域D1上に形成される活物質層130は、相対的に高密度に形成される。また、少量コート領域D2上に形成される活物質層130は、相対的に低密度に形成される。そのため、多量コート領域D1上に形成された活物質層130においては、造粒粒子32同士が強く固着しており、活物質層の剥離や活物質の脱落が抑制され得る。また、少量コート領域D2上に形成された活物質層130においては、造粒粒子32同士が間隙を多く持って固着しており、圧縮応力等のストレスが発生した場合には、かかる活物質層の高密度化により、圧縮応力等のストレスを緩和することができる。
一例として、電池容量が20Ah以上という比較的高容量タイプの電池に用いられる電極では、以下のロール圧延条件を参考にして押圧工程を実施することができる。
(正極)
圧延ロール40の間隔:正極の厚みと同等(例えば30〜120μm)
ロール線圧 :1〜2t/cm
圧延温度 :25℃(例えば60〜180℃程度まで加熱しても良い)
正極活物質層密度:1.5g/cm以上(2g/cm以上)で4.5g/cm以下(典型的には4.0g/cm以下)
(負極)
圧延ロール40の間隔:負極の厚みと同等(例えば20〜130μm)
ロール線圧 :1〜2t/cm
圧延温度 :25℃(例えば60〜180℃程度まで加熱しても良い)
負極活物質層密度:1.0g/cm以上(2g/cm以上)で3.5g/cm以下(典型的には3.0g/cm以下)
これにより、集電体の片面に活物質層を備えた電極を製造することができる。なお、集電体の両側に活物質層を備えた電極を製造する場合には、作製された電極について、活物質層が形成されていない側の集電体の表面(裏面)をバインダコート層形成面として、上記工程(a)〜(c)を再び実施すればよい。このとき、片面に活物質層が形成された電極は、図1Aおよび図1Bに示すように、一旦、ロール状に巻き取ってから、再度引き出して裏面に活物質層を形成しても良い。あるいは、片面に活物質層が形成された電極をロール状に巻き取ることなく、連続的に、工程(a)〜(c)を実施して裏面に活物質層を形成しても良い。
<第2実施形態>
他の実施形態に係る電極製造工程は、以下の工程(a)〜(d)を含んでいる。なお、ここで、下記の工程(b1)は、上記第1実施形態における工程(b)である。すなわち、本実施形態では、上記第1実施形態における工程(a)〜(c)に、任意工程としての均し工程(b2)および切断工程(d)が加えられたものである。以下、均し工程(b2)および切断工程(d)について説明する。なお、その他の工程については、第1実施形態と同様であるため、重複した説明は省略する。
(a)バインダコート層の形成工程
(b1)造粒粒子の供給工程
(b2)均し工程
(c)押圧工程
(d)切断工程
<b2.均し工程>
工程b2では、図1Bに示すように、バインダコート層120の上に供給された造粒粒子32にスキージ部材50を当接させて、造粒粒子32を略均一に均すようにしている。この実施形態において、スキージ部材50としては、ロール状のスキージロールを採用している。なおスキージ部材50としては、スキージロールに限定されることなく、棒状または板状等のスキージ等であって良い。このスキージロールは、全工程の供給工程(b1)で使用する造粒粒子供給部30よりも搬送方向下流側であって、次工程の押圧工程(c)で使用する圧延ロール40よりも搬送方向上流側に配置されている。そして、スキージロールは、その下端が搬送される集電体110と所定の隙間を開けて配置されている。
スキージロールは、集電体110の搬送経路に最も近い側のロール表面が、搬送経路とは所定の間隔を保ちつつ、搬送方向とは逆向きに移動するように回転している。そして、上記隙間を集電体110と造粒粒子32とが通過する際に、造粒粒子32の嵩高さを均一に均す役割を担っている。換言すると、造粒粒子供給部30より集電体110(およびバインダコート層120)上に供給された造粒粒子32の供給量にばらつきがあった場合に、このスキージロールによりそのばらつきを解消することができる。
なお、この均し工程は、本質的には造粒粒子32の嵩高さを均一化するものである。したがって、多量コート領域D1と少量コート領域D2との目付量を均一化するものではなく、多量コート領域D1と少量コート領域D2とのそれぞれにおける膜厚を均質化することができる。
スキージロールと搬送される集電体110との隙間(垂直方向のギャップ、換言すれば造粒粒子の供給厚み)は特に制限されないものの、一例として、高エネルギー密度や高出力密度の要求され得る電池用の正極を作製する場合には、約90〜200μm程度、例えば、約100〜150μm程度に、同負極を作製する場合には約100〜300μm程度、例えば、約150〜250μm程度に調整することが好適な例として示される。このように均し工程を行うことで、造粒粒子32の目付精度を高めることができる。
均し工程を経て目付量が均一化された造粒粒子32を載せた集電体110(およびバインダコート層120)は、ひきつづき搬送経路に沿って上記の(c)押圧工程に送られ、活物質層130の形成が行われる。
<d.切断工程>
工程dでは、活物質層130を形成した後、図示しない切断装置により集電体110および活物質層130を幅方向の中央部で長手方向に沿って切断することで、2枚の電極シートに分割する。ここで図3中の点線Lcは、集電体110および活物質層130の切断が予定されている箇所(すなわちスリットを行う位置)を示している。このように、一の集電体110に複数枚分(図3では2枚分)の活物質層130を形成しておき、1枚分に切り分けることで、複数枚の電極100を手間を省いて同時に製造することができる。
<リチウムイオン二次電池>
以下、上述した製造装置1を用いて形成された負極(負極シート)および正極(正極シート)を用いて構築されるリチウムイオン二次電池の一実施形態につき、図4〜図6に示す模式図を参照しつつ説明する。図4は本発明の一実施形態に係るリチウムイオン二次電池300の断面図である。図5は、当該リチウムイオン二次電池300に内装される扁平型捲回電極体200の構成を説明する図である。図6は、扁平型捲回電極体200の断面構造を示す模式図である。なお、図4および図6においては、外観に表出し難いバインダコート層120については図示を省略している。このリチウムイオン二次電池300は、扁平型捲回電極体200を有している。この扁平型捲回電極体200には、正極(正極シート)230として、上述した製造方法により製造された電極100が用いられている。また、負極(負極シート)240として、上述した製造方法により製造された電極100が用いられている。
正極シート230は、図5に示すように、帯状の正極集電体232と正極活物質層234とを備えている。正極集電体232の幅方向片側の縁部に沿って正極活物質層非形成部233が設定されている。図示例では、正極活物質層234は、正極集電体232に設定された正極活物質層非形成部233を除いて、正極集電体232の全面に保持されている。また、正極活物質層234は、正極集電体232の両面に形成されている。なお、正極活物質層234を正極集電体232の両面に形成する場合、正極集電体232の一方の面に前述した製造方法にて正極活物質層234を形成した後、正極集電体232の他方の面に前述した製造方法にて正極活物質層234を形成するとよい。
負極シート240は、帯状の負極集電体242と負極活物質層244とを備えている。負極集電体242の幅方向片側には、縁部に沿って負極活物質層非形成部243が設定されている。負極活物質層244は、負極集電体242に設定された負極活物質層非形成部243を除いて、負極集電体242の全面に保持されている。また、負極活物質層244は、負極集電体242の両面に形成されている。なお、負極活物質層244を負極集電体242の両面に形成する場合、負極集電体242の一方の面に前述した製造方法にて負極活物質層244を形成した後、負極集電体242の他方の面に前述した製造方法にて負極活物質層244を形成するとよい。
セパレータ250は、正極シート230と負極シート240とを絶縁する部材である。この例では、セパレータ250は、微小な孔を複数有する所定幅の帯状のシート材で構成されており、電解質イオンの移動を可能とするとともに、電解質イオンを保持する機能を有している。セパレータ250には、例えば、多孔質ポリオレフィン系樹脂で構成された単層構造のセパレータ或いは積層構造のセパレータを用いることができる。また、かかる樹脂で構成されたシート材の表面に、絶縁性を有する粒子の層をさらに形成してもよい。ここで、絶縁性を有する粒子としては、絶縁性を有する無機フィラー(例えば、金属酸化物、金属水酸化物などのフィラー)、或いは、絶縁性を有する樹脂粒子(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの粒子)で構成してもよい。この例では、図5に示すように、負極活物質層244の幅は、正極活物質層234の幅よりも少し広い。さらにセパレータ250の幅は、負極活物質層244の幅よりも少し広い。
捲回電極体40を作製するに際しては、正極シート230と負極シート240とがセパレータ250を介して積層される。このとき、正極シート230の正極活物質層非形成部233と負極シート240の負極活物質層非形成部243とがセパレータ250の幅方向の両側からそれぞれはみ出すように重ね合わせる。そしてこのように重ね合わせた積層体を捲回し、次いで得られた捲回体を側面方向から押しつぶして拉げさせることによって扁平型捲回電極体200を作製することができる。このとき、図5に示すように、バインダコート層120の少量コート領域D2に相当する位置は、正極活物質層230および負極活物質層240の密度が相対的に低く形成されている。したがって、かかる少量コート領域D2に相当する位置が、少量コート領域D2に相当する位置が扁平型捲回電極体200の捲回曲部Rの少なくとも一部に含まれるよう、積層体を捲回する。この実施形態では、捲回電極体200は、図5に示すように、捲回軸Wに直交する一の方向において扁平に押し曲げられている。そして正極シート230の正極活物質層非形成部233と負極シート240の負極活物質層非形成部243は、それぞれセパレータ250の両側において渦巻状に突出している。この実施形態では、正極活物質層非形成部233の中間部分は寄せ集められ、図4に示すように、電池ケース210の内部に配置された電極端子(内部端子)の集電タブ262,272に溶接されている。
電解液(図示せず)としては、従来からリチウムイオン二次電池に用いられる非水電解液と同様のものを特に限定なく使用することができる。かかる非水電解液は、典型的には、適当な非水溶媒に支持塩を含有させた組成を有する。上記非水溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン等からなる群から選択された一種または二種以上を用いることができる。また、上記支持塩としては、例えば、LiPF,LiBF,LiAsF,LiCFSO,LiCSO,LiN(CFSO,LiC(CFSO等のリチウム塩を用いることができる。
ケース210の封止プロセスや電解液の配置(注液)プロセスは、従来のリチウムイオン二次電池の製造で行われている手法と同様でよく、本発明を特徴付けるものではない。
このようにして構築されたリチウムイオン二次電池300は、扁平型捲回電極体の捲回曲部においても、活物質層に割れが生じ難く、活物質層130の剥離が活物質粒子の粉落ちがしにくい正極230および負極240を備えている。これにより、微小短絡の発生が抑えられ、安全性および耐久性に優れたものとなり得る。また、電池の充放電反応に伴い活物質層130が膨張および収縮を繰り返した場合にも、そこで発生する応力は緩和され得る。したがって、このリチウムイオン二次電池300は、優れた電池性能およびサイクル特性を示すものであり得る。例えば、かかるリチウムイオン二次電池300は、サイクル特性に優れる、入出力特性に優れる、生産安定性に優れる、のうちの少なくとも一つ(好ましくは全部)を満たすものであり得る。また、このような構成は、扁平型捲回電極体200を備えている比較的大きな容量(例えば電池容量が20Ah以上の、典型的には25Ah以上の、例えば30Ah以上)が求められる電池にも、好ましく適用することができる。
[リチウムイオン二次電池用電極の用途]
以上のような電極を備えた電池は、例えば車両を駆動するモーター等の駆動源用の電源として特に好適に利用することができる。車両の種類は特に限定されないが、例えば、プラグインハイブリッド自動車(PHV)、ハイブリッド自動車(HV)、電気自動車(EV)、電気トラック、電動スクーター、電動アシスト自転車、電動車いす、電気鉄道等が挙げられる。なお、かかるリチウムイオン二次電池は、それらの複数個を直列および/または並列に接続してなる組電池の形態で使用されてもよい。
以下、本発明に関するいくつかの実施例を説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。ここでは、以下に示すA〜Cの3通りの方法でリチウムイオン二次電池用の正極シートを作製し、電極特性等を評価した。
[方法A]
正極シートAは、ここに開示される電極の製造方法に従って作製した。すなわち、正極活物質としてのLiNi1/3Co1/3Mn1/3粉末(平均粒子径:4μm〜5μm)と、導電材としてのABと、バインダとしてのアクリレート重合体と、増粘剤としてのCMC−Naと、界面活性剤としてのレオコール(登録商標:ライオン株式会社製)とを用意し、正極活物質、導電材、バインダおよび増粘剤を、質量比が93.5:4:1.5:1となるようにそれぞれ秤量した。そしてプラネタリーディスパーに、まず導電材およびバインダ投入して混合した後、正極活物質と分散媒としてのイオン交換水および界面活性剤を加え、更に均一に混合することで造粒粉末形成用の調製液を用意した。なお、界面活性剤は、調製液中に正極活物質等が均一に分散し得るよう適量を添加した。そしてこの調製液を大川原化工機(株)製のスプレードライヤにて噴霧し、液滴状態で溶媒を除去し、乾燥させることで、平均粒子径が約40μmの造粒粉末(正極造粒粒子からなる集合体)を得た。
正極集電体として、厚み15μm、幅約200mmの長尺のアルミニウム箔を用意した。また、上記造粒粉末に使用したのと同じアクリレート重合体をイオン交換水に分散させることでバインダ液を用意した。このバインダ液の性状は、固形分濃度が30質量%で、粘度が6.7mPa・s(25±2℃、60rpm)、表面張力が32mN/m(Wilhelmy法)であった。そして、図1に示すような電極製造装置を用い、正極集電体を搬送しながら、正極集電体の片面にバインダコート層を形成した。なお、正極集電体の幅方向の両端部には、集電用の集電体露出部を帯状に確保した。
ここで、バインダコート層は、図3に例示したように、単位面積当たりのバインダ液の塗工量(すなわち目付量)が相対的に多い多量コート領域D1と、相対的に少ない少量コート領域D2とが、集電体の長手方向で交互に連続して形成されるように、グラビア印刷法によりパターン塗工した。具体的には、集電体の長手方向に、50mm幅の多量コート領域D1と、20mm幅の少量コート領域D2とを繰り返し交互に連なるように印刷(塗工)した。
なお、多量コート領域D1の目付量(片面)は約0.040mg/cm、少量コート領域D2の目付量(片面)は約0.035mg/cmとし、これらはバインダ液の性状や各領域の塗工パターン等を制御することにより調整した。具体的には、領域D1,D2は共に、バインダ液が塗工された塗工部と、バインダ液が塗工されていない非塗工部とが、それぞれ100μm程度の幅の線状に交互に繰り返された縞状パターンにて形成されている。そしてこの塗工部の幅と非塗工部の幅、および塗工部のバインダ液塗布量等を互いに調整することで目付量を調整した。なお、本実施形態では、この縞状パターンを、縞状のラインの傾斜が集電体の長手方向に対し15°の角度となるように(すなわち斜めストライプ状に)形成した。
次いで、上記バインダコート層の上に正極造粒粉末を供給し、ローラスキージを当てて粉末を均した後、正極造粒粉末の集積物を圧延ロールでプレスすることで、正極活物質層を形成した。正極造粒粉末は、正極の片面当たりの目付量が、全体として約17.8mg/cm程度となる供給量を目安として一定条件で供給した。このようにして形成された正極活物質層は、片面あたりの厚みが約60μmであった。
また、形成された正極活物質層について、多量コート領域D1と少量コート領域D2における目付量(片面)と密度とをそれぞれ測定した。その結果、正極造粒粉末の目付量は、多量コート領域D1で約18.35mg/cmであり、少量コート領域D2で約16.35mg/cmであった。また、正極活物質層の密度は、多量コート領域D1で約2.8g/cm、少量コート領域D2で約2.6g/cmであった。多量コート領域D1および少量コート領域D2の構成について、下記表1にまとめた。
Figure 2016181443
次いで、正極集電体の他方の面に、上記と同様にして、多量コート領域D1と少量コート領域D2とからなるバインダコート層と、正極活物質層とを設けた。このとき、バインダコート層および正極活物質層は、集電体の両面で対応する位置に形成されるよう、バインダ液の塗工位置および正極造粒粉末の供給位置を調整した。これにより、2倍幅の正極シートを得た。
そして、2倍幅の正極シートを、図3の線Lcで示した切断線に沿って、正極活物質層の幅方向の中央で切断することで、幅約100mmの2枚の正極シートに分割した。これにより正極シートAを得た。なお、この正極シートAは、概ね10m/分以上の速度で安定的に製造することができた。
[方法B]
正極シートBは、比較のために、従来の造粒粒子を用いた電極の製造方法に従って作製した。すなわち、バインダコート層に多量コート領域D1と少量コート領域D2とを設けることなく、全ての領域が多量コート領域D1と同条件となるように、正極集電体の両面にバインダコート層および正極活物質層を形成した。なお、その他の条件は方法Aと同様にした。これにより、正極シートBを得た。なお、この正極シートBについても、概ね10m/分以上の速度で安定的に製造することができた。
[方法C]
正極シートCは、いわゆる従来の塗布電極とよばれるものであり、造粒粉末ではなく、スラリー状組成物の形態の電極材料を用いて作製した。すなわち、電極材料としては、方法Aで正極造粒粉末の原料として用いたのと同じ正極活物質、導電材、バインダおよび増粘剤を、同様の配合で使用した。そしてプラネタリーディスパーに、まず導電材およびバインダ投入して混合した後、正極活物質と分散媒としてのイオン交換水および界面活性剤を加え、更に均一に混合することでスラリー状の電極形成用組成物を用意した。
正極集電体は方法Aで使用したのと同じものを用い、バインダコート層は設けなかった。そして、このバインダコート層の上に、スラリー状の電極形成用組成物を供給し、乾燥(乾燥温度100℃、5分間)させた後、プレスすることで、正極活物質層を形成した。なお、スラリー状の電極形成用組成物の供給量は20mmや50mmといったピッチで変更させることは不可能であったため、正極活物質層は全て多量コート領域D1と同条件となるように形成した。正極集電体の他方の面についても同様の条件で正極活物質層を形成した。これにより、正極シートCを得た。なお、この方法Cは、スラリー状の電極形成用組成物の乾燥が律則となるため、製造速度は概ね1m/分程度であった。
[負極の用意]
負極は、上記方法Cと同様に、造粒粉末の形態の電極材料を用いず、スラリー状組成物を用いて製造した。すなわち、負極活物質としての黒鉛(C、平均粒子径20μm、比表面積2.3m/g)と、バインダとしてのスチレンブタジエンゴム(SBR)と、増粘剤としてのカルボキシメチルセルロース(CMC)とを、これらの質量比がC:SBR:CMC=98:1:1となるように秤量し、イオン交換水を加えて混練することで、負極活物質層形成用のスラリー状組成物を調製した。このスラリーを、負極集電体としての厚み10μm、幅110mmの長尺の銅箔の一方の面に、片面当たりの目付量が9.3mg/cmとなるよう帯状に塗布し、乾燥(乾燥温度100℃、5分間)することで、負極活物質層を形成した。次いで、他方の面にも同様に負極活物質層を形成し、集電体の両面に負極活物質層を備える負極シートを得た。そして、これを圧延プレスして、負極活物質層の密度が約1.3g/cmとなるように調整した。このようにして得られた負極活物質層の厚みは片面当たり約65μmであった。なお、負極シートの長手方向の一方の端部には、負極活物質層の形成されていない集電体露出部が設定されている。
[リチウムイオン二次電池の構築]
上記で用意した正極シートA〜Cと、負極シートとを、セパレータを介して重ね合わせ、捲回することで、扁平型捲回電極体A〜Cをそれぞれ構築した。セパレータとしては、幅が105mmで、総厚みが平均25μmの、ポリエチレン(PE)の両面をポリプロピレン(PP)で挟んだ形態の3層構造(PP/PE/PP)の長尺の微多孔質シートを用いた。重ね合わせに際しては、負極活物質層が幅方向で正極活物質層を覆うとともに、正極集電体の露出部と負極集電体の露出部とが幅方向で異なる側で突出するように、正極と負極とを配置させた。また、セパレータは、正負の活物質層を絶縁するように配置した。捲回電極体の捲回数は約38ターンであった。
また、捲回電極体は、まずは円筒形状に捲回したものを、常温(25℃)にて4kN/cmの圧力で2分間平板プレスし、断面長円形状に拉げさせて成形することで、扁平型に成形した。なお、扁平型捲回電極体Aは、捲き始めから5周目までの捲回曲部がすべて少量コート領域D2によって占められるように、円筒形捲回電極体をプレスする方向を調整した。得られた扁平型捲回電極体の形状は、断面長円形の凡その寸法は、短径(すなわち厚み)が24mm、長径が80mmであり、平面部の長径方向の寸法Lが57mm、平面部の両端側に位置する捲回曲部の長径方向の寸法Lがそれぞれ11.5mmであった。
[活物質層の割れの確認]
用意した扁平型捲回電極体A〜Cを解体(展開)して、正極シートA〜Cの正極活物質層に割れ(クラック)が発生しているかどうかを目視で確認した。そして正極活物質層に割れが認められた場合には、割れが発生している位置を、正極活物質層の巻き始めからの捲回数により示した。その結果を、正極集電体の捲回内周側に設けられた正極活物質層については図7に、捲回外周側に設けられた正極活物質層については図8に示した。
図7および図8から解るように、ここで提供される製造方法により作製された正極シートAについては、扁平型捲回電極体を構築したとき、正極活物質層の両面ともに割れは確認されなかった。
一方で、従来のスラリー状組成物からなる電極材料を塗布して得られた正極シートCについては、平面部に相当する位置には割れは見られなかったものの、捲回曲部に相当する位置において正極活物質層の両面に割れが確認された。この割れは、活物質層をくっきりと分割するほど明瞭であり、比較的湾曲率の高い捲き始めから3周目までの捲回曲部において、捲回外周側と内周側との両方に確認された。捲回曲部の捲回外周側に見られる割れは、捲回状態にある正極活物質層の周方向(すなわち正極シートの長手方向)に引張応力が発生し、この応力が集中した断面の長軸に相当する位置付近で正極活物質層に亀裂が生じたものと考えられた。また、捲回内周側に見られる割れは、捲回状態にある正極活物質層の周方向に圧縮応力が発生し、捲回曲部において正極活物質層が緻密化されたものの、電極体の展開時に正極活物質層が元の状態に戻ることができず、展開の結果として亀裂が生じたものと考えられた。
従来の造粒粉末の加圧成形により作製した正極シートBについては、やはり平面部に相当する位置には割れは見られなかったものの、捲回曲部に相当する位置において正極活物質層の割れが確認された。しかしながら、正極シートBの正極活物質層の割れは、捲回内周側と外周側とで違いが見られ、捲回内周側では捲き始めから2周目までに割れが見られたのに対し、捲回外周側では捲き始めから5周目までの広範囲にわたって割れが確認された。造粒粉末からなる活物質層は、一つの造粒粒子を構成する活物質粒子同士の結合状態は比較的強固となり得るものの、異なる造粒粒子を構成していた活物質粒子同士の結合状態は比較的緩かったり強固であったりとばらつきが生じ得る。活物質粒子同士の結合が緩い部位は引張応力により容易に割れが発生してクラックが進展し得る。そのため、引張応力が作用する捲回外周側において正極活物質層の割れが正極シートCと比較して顕著となったものと考えられる。換言すると、巻き始めよりも湾曲率がより緩やかで引張応力がより緩和された捲回位置(5周目)においても、割れが発生し易い状態であったと考えられる。なお、捲回内周側においては正極シートCと比較して割れが抑制されていた。これは、捲回時に発生する圧縮応力により活物質粒子同士の結合状態のばらつきが解消されたと同時に、造粒粒子に見られる特有の変形対応力により、電極体の展開時の正極活物質層の割れの発生が緩和されたものと考えられる。
これに対し、正極シートAは、捲き始めから5週目までの捲回曲部に少量コート領域D2が位置するよう構成されていた。少量コート領域D2では、多量コート領域D1と比較して正極活物質層の密度が小さい。そのため、捲回による圧縮応力が最も高い捲き始めの捲回曲部の捲回内周側では、正極活物質層が圧縮されることで圧縮応力が緩和され、これに伴い捲回外周側に発生する引張応力も緩和される。したがって、正極シートAには、扁平型捲回電極体を構築した場合に活物質層に割れが生じなかったものと考えられる。
以上の結果から、少量コート領域D2が形成されている正極シートAを用いることで、扁平型捲回電極体を作製した場合の活物質層の割れを抑制できることが確認された。
[電極シートの屈曲性評価]
そこで、上記で用意した正極シートA〜Cについて、以下の曲げ試験を行うことで屈曲性を評価した。先ず、直径Dが1mm〜10mmまで1mmごとに異なる軸棒を用意した。そして図9Aに示したように、正極シートA〜Cをこの軸棒の周囲に当接させ(巻き付け)ながら180°逆方向へ湾曲させた(屈曲させた)。なお、正極シートAについては、少量コート領域D2に相当する位置が軸棒に当接するように位置を調整した。そして湾曲後の正極活物質層の両面で割れが発生しているかどうかを、目視にて確認した。この曲げ試験を、最初は直径Dの大きい(φ10mm)軸棒を用いて行い、順に直径の小さい軸棒に換えて繰り返し行うようにし、最初に活物質層に割れが発生したときの軸棒の直径を記録した。そしてこのときの軸棒の直径を、電極シートの屈曲性を示す指標として、図9Bに示した。
この曲げ試験においてはプレスを伴わないため、扁平型捲回電極体の成形のときと異なり、正極シートの屈曲性をより客観的に評価することができる。図9Bに示すように、正極シートA、C、Bの順に屈曲性の高いことが確認できた。なお、正極シートAおよびBは、基本的に同じ材料(バインダ液および造粒粉末)を用いて、同様の製造工程で製造したものであり、異なるのはバインダ液の塗工に用いたグラビアロールの印刷パターンのみである。しかしながら、正極シートAと正極シートBとでは、柔軟性に非常に大きな違いがみられた。すなわち、正極シートBの屈曲性が求められる部位に、適切に少量コート領域D2を導入することで、目付(容量)の低下を抑えつつ電極シートに屈曲性を付与し得ることが確認できた。なお、正極シートAおよびBは、正極シートCと比較して、より簡便かつ高速で製造されたものである。したがって、ここで提供される電極製造方法によると、容量と屈曲性とを両立できる電極シートを簡便かつ高速で製造できることがわかった。
[電池の自己放電量の確認]
上記と同様に作製した扁平型捲回電極体AおよびBを用いてリチウムイオン二次電池AおよびBを構築した。具体的には、電池ケースとして、アルミニウム製で上方に開口を有する薄い角型(幅150mm×高さ90mm×厚み26mm)の電池ケース本体と、この電池ケース本体の開口を封する封口体とからなるものを用意した。そして、封口体に正極端子および負極端子を取り付け、これらの端子を、集電端子を介して、扁平型捲回電極体から突出している正極集電体露出部と負極集電体露出部にそれぞれ溶接した。そして、封口体と連結された捲回電極体を、電池ケース本体の開口部からその内部に収容し、開口部と封口体とを溶接(密閉)した。すなわち、扁平型捲回電極体は、電池ケースを水平面においたときに捲回軸が水平となる配置で電池ケース内に収容されている。
非水電解液としては、エチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とをEC:DMC:EMC=3:4:3の体積比で含む混合溶媒に、支持塩としてのLiPFを1.0mol/Lの濃度で溶解させたものを用意した。そして、上記電池ケースの封口体に設けられた注液口から非水電解液を注入することで、リチウムイオン二次電池(組立体)AおよびBを構築した。これらの電池の理論容量は、いずれも34Ahである。
上記のように作製したリチウムイオン二次電池AおよびBについて、適切な初期充放電処理を施した後、温度25℃で、正負極の端子間電圧が4.0Vとなるまで0.1Cの充電レートでCC充電し、引き続き総充電時間が2時間となるまで4.0Vで一定のCV充電を行った。これらの二次電池を、25℃の環境に一週間静置し、端子間電圧を測定することで自己放電量を調べた。試験は、N=2として行った。その結果を図10に示した。リチウムイオン二次電池Aは、一週間経過後の総電圧降下量が5mV程度であり、自己放電量が少ないことが確認された。なお、図10において、電池Aに関する2つの結果は重なっている。一方のリチウムイオン二次電池Bは、時間の経過とともに電池電圧が低下してゆき、自己放電量は一日当たりの平均で6.5mV程度と多かった。これは、電池Bにおいては扁平型捲回電極体の捲回曲部において活物質層の割れや剥離が発生し、これにより脱落した活物質等が捲回型電極体の端部に付着するなどして微小短絡を招いたことによるものと考えられる。つまり、ここで提案される製造方法により製造された電極は、自己放電が抑制された高品質なリチウムイオン二次電池を製造し得ることが確認された。
以上、ここで提案されるリチウムイオン二次電池用電極の製造方法を説明したが、特に言及されない限りにおいて、本発明に係るリチウムイオン二次電池用電極の製造方法は上述した実施形態に限定されない。
例えば、上述した実施形態におけるバインダコート層は、集電体の上にストライプ状に形成されているが、これに限定されない。バインダコート層は、集電体の全面(典型的には活物質層が形成される領域の全面)にベタ塗り状に形成することもできる。この場合、多量コート領域および少量コート領域の目付量は、それぞれバインダコート層の厚み等を変えて調整するとよい。例えば、多量コート領域の方が、少量コート領域よりも厚くなるように、バインダコート層の厚みを決定すればよい。このような構成であっても、上述した効果を得ることができる。バインダコート層を全面塗工する場合、バインダコート層は、さらに導電材(例えばカーボンブラック)を含んでいるとよい。ただし、上述した実施形態の如く、バインダコート層を間欠的に形成した方が、電池抵抗を下げる観点からは好適である。
また、図3に示した例では、バインダコート層は、集電体を斜めに延びる複数の帯状の塗工領域により斜めストライプ模様を呈している。バインダコート層の塗工パターンはこれに限定されるものではない。例えば、塗工部は、集電体の長手方向に直線的に伸びる複数の線に沿って縦ストライプ状に形成されてもよい。あるいは、集電体の搬送方向中心に向かって尖ったV字パターン状に形成されてもよい。このような場合であっても、上述の効果を得ることができる。ここで、上述した実施形態の如く、集電体上に形成される複数の帯状の塗工部は、幅が約200μm以下(例えば、70μm〜150μm)程度の細線により構成すると、目付精度を高め得る点で好適である。
また、本実施形態では、スキージロールによる均し工程を採用しているが、かかる均し工程は省略しても構わない。さらに、本実施形態における電極製造方法は、2倍幅の電極を切断する工程を有しているが、かかる切断工程は省略しても構わない。例えば、負極の製造で例示したように、1枚分の幅の帯状集電体を用いて、最初から所望の寸法の電極を作成するようにしてもよい。
ここで提案される製造方法によって製造された電極を備えるリチウムイオン二次電池は、捲回曲部における活物質層の割れが抑制されて、活物質が脱落し難く、安定した高品質の扁平型捲回電極体を備えることができる。このため、安定した高性能が要求される用途で好ましく用いられる。かかる用途としては、例えば、車両に搭載されるモーター用の動力源(駆動用電源)が挙げられる。車両の種類は特に限定されないが、例えば、プラグインハイブリッド自動車(PHV)、ハイブリッド自動車(HV)、電気自動車(EV)、電気トラック、原動機付自転車、電動アシスト自転車、電動車いす、電気鉄道等が挙げられる。なお、かかるリチウムイオン二次電池は、それらの複数個を直列および/または並列に接続してなる組電池の形態で使用されてもよい。
1 電極製造装置
10 搬送部
20 バインダ液塗工部
30 造粒粒子供給部
40 圧延ロール
50 スキージ部材
100 電極
110 集電体
120 バインダコート層
130 活物質層

Claims (6)

  1. 長尺の集電体上に活物質層を備えた長尺の電極が断面略長円形に捲回されてなる扁平型捲回電極体を構築するために用いられる電極の製造方法であって:
    前記集電体上に該集電体の長手方向に沿ってバインダと溶媒とを含むバインダ液を塗工してバインダコート層を形成する工程、
    ここで前記扁平型捲回電極体は、前記電極が略平面である平面部と、前記電極が湾曲された捲回曲部とから構成され、
    前記バインダコート層は、多量コート領域と少量コート領域とが前記長手方向で交互に設けられており、
    前記多量コート領域は、単位面積当たりの前記バインダ液の塗工量が相対的に多く、
    前記少量コート領域は、単位面積当たりの前記バインダ液の塗工量が相対的に少なく、かつ、前記捲回曲部に相当する位置の少なくとも一部に設けられる;
    前記バインダコート層の上に、活物質粒子とバインダとを含む造粒粒子を供給して押圧することで活物質層を形成する工程;
    を包含する、リチウムイオン二次電池用電極の製造方法。
  2. 前記少量コート領域は、前記扁平型捲回電極体の巻き始めから少なくとも5周目までの前記捲回曲部に相当する位置に設けられる、請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用電極の製造方法。
  3. 前記少量コート領域は、前記集電体の少なくとも一方の面であって、前記扁平型捲回電極体の前記捲回曲部に相当する位置に設けられる、請求項1または2に記載のリチウムイオン二次電池用電極の製造方法。
  4. 前記少量コート領域における単位面積当たりのバインダ量は、前記多量コート領域における単位面積当たりのバインダ量を100質量部としたとき、75質量部以上95質量部以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用電極の製造方法。
  5. 前記バインダコート層は、グラビア印刷法により形成する、請求項1〜4のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用電極の製造方法。
  6. 前記多量コート領域および前記少量コート領域は、それぞれ、前記バインダ液が幅の狭い帯状に塗工されてなる塗工部と、前記バインダ液が塗工されていない幅の狭い帯状の非塗工部とが、交互に配置された縞状に形成されており、
    前記多量コート領域および前記少量コート領域とで、前記塗工部と前記非塗工部との面積比および前記塗工部における単位面積当たりの前記バインダ液の塗工量の少なくとも一つを異ならしめる、請求項1〜5のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用電極の製造方法。
JP2015061671A 2015-03-24 2015-03-24 リチウムイオン二次電池用電極の製造方法 Pending JP2016181443A (ja)

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