JP2016025060A - リチウムイオン二次電池用電極シートの製造方法 - Google Patents

リチウムイオン二次電池用電極シートの製造方法 Download PDF

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陽三 内田
涼 中谷
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涼 中谷
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Yuji Shibata
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Abstract

【課題】電極シートの品質向上
【解決手段】
ここで提案されるリチウムイオン二次電池用電極シートの製造方法は、圧延ロール101、102を帯電させる。次に、帯電した圧延ロール101、102の上に、粉体203、204を堆積させる。そして、圧延ロール101、102に堆積した粉体203、204を集電箔201に押し当てることによって、粉体203、204を集電箔201に転写する。
【選択図】図4

Description

本発明は、リチウムイオン二次電池用電極シートの製造方法に関する。ここで、本明細書において「二次電池」とは、繰り返し充電可能な電池一般をいう。「リチウムイオン二次電池」は、電解質イオンとしてリチウムイオンを利用し、正負極間におけるリチウムイオンに伴う電荷の移動により充放電が実現される二次電池である。リチウムイオン二次電池は、電解質塩を溶解した非水溶媒からなる非水電解質が用いられた「非水電解質二次電池」の一種である。
例えば、特開2013−12327号公報には、リチウムイオン二次電池の電極シートを製造する方法が開示されている。ここで開示される製造方法は、集電体の上にバインダ溶液を塗布すること、バインダ溶液を塗布された集電体の上に、活物質とバインダとを含む粉体を堆積させること、および、当該粉体の堆積層を加熱しつつ、厚さ方向にプレスすること、を含んでいる。かかる製造方法によれば、電極シートの生産効率がよく、また、バインダがより好ましい状態で分布した活物質層が得られるとされている。
特開2013−12327号公報
ところで、かかる電極シートの製造方法において、粉体を堆積させて成形する場合に、堆積した粉体をスキージで均したり、圧延ロールを通したりする。この際、堆積した粉体が崩れて、成形された活物質層に凹凸が生じる場合があった。
ここで提案されるリチウムイオン二次電池用電極シートの製造方法は、集電箔を用意すること、活物質粒子とバインダとを含む複合粒子の粉体を用意すること、圧延ロールを帯電させること、帯電した圧延ロールの上に、粉体を堆積させること、および、圧延ロールに堆積した粉体を集電箔に押し当てることによって粉体を集電箔に転写することを含んでいる。かかる電極シートの製造方法によれば、帯電した圧延ロールに粉体を堆積させ、これを集電箔に転写するので、粉体が集電箔に転写される際に、粉体が圧延ロールからずれにくい。このため、品質のよい電極シートが得られうる。
この場合、電極シートの製造方法は、圧延ロールに堆積した粉体を集電箔に押し当てる前に、圧延ロールに堆積した粉体をスキージし、圧延ロールに堆積した粉体を均すことを含んでいてもよい。
また、スキージは、圧延ロールに対して予め定められた隙間を介して配置されたスキージ部材によって行われていてもよい。また、スキージ部材は、ロール部材またはブレード部材であってもよい。
また、圧延ロールは集電箔を挟みうる一対の圧延ロールであってもよい。この場合、帯電させる工程において、当該一対の圧延ロールのうち少なくとも一方の圧延ロールを帯電させるとよい。また、集電箔は帯状であり、押し当てる工程において、一対の圧延ロール間を通るように、帯状の集電箔を搬送するとよい。
また、帯電させる工程において、帯電させる圧延ロールの外周面に帯電部材を当ててもよい。この場合、帯電部材は、ロール状の部材であるとよい。また、帯電させる工程において、帯電する圧延ロールの少なくとも外周面は、帯電性材料で覆われていてもよい。また、帯電させる工程において帯電した圧延ロールの帯電量(V1)と、当該圧延ロールに堆積させる前の粉体の帯電量(V2)との間に、少なくとも2.0kV以上の電位差(|V1−V2|)を有していてもよい。
図1は、リチウムイオン二次電池を示す断面図である。 図2は、リチウムイオン二次電池に内装される電極体を示す図である。 図3は、電極シートの製造装置100の構成例を示す模式図である。 図4は、電極シートの製造装置100Aの構成例を示す模式図である。 図5は、電極シートの製造装置100Bの構成例を示す模式図である。
以下、ここで提案されるリチウムイオン二次電池についての一実施形態を説明する。ここで説明される実施形態は、当然ながら特に本発明を限定することを意図したものではない。また、各図は模式的に描かれており、例えば、各図における寸法関係(長さ、幅、厚さ等)は実際の寸法関係を反映するものではない。また、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は適宜に省略または簡略化する。
ここでは、リチウムイオン二次電池10の構造例を説明しつつ、ここで提案されるリチウムイオン二次電池用電極シートの製造方法を説明する。
《リチウムイオン二次電池10》
図1は、リチウムイオン二次電池10を示す断面図である。図2は、当該リチウムイオン二次電池10に内装される電極体40を示す図である。なお、図1および図2に示されるリチウムイオン二次電池10は、本発明が適用されうるリチウムイオン二次電池の一例を示すものに過ぎず、本発明が適用されうるリチウムイオン二次電池を特段限定するものではない。
リチウムイオン二次電池10は、図1に示すように、電池ケース20と、電極体40(図1では、捲回電極体)とを備えている。
《電池ケース20》
電池ケース20は、ケース本体21と、封口板22とを備えている。ケース本体21は、一端に開口部を有する箱形を有している。ここで、ケース本体21は、リチウムイオン二次電池10の通常の使用状態における上面に相当する一面が開口した有底直方体形状を有している。この実施形態では、ケース本体21には、矩形の開口が形成されている。封口板22は、ケース本体21の開口を塞ぐ部材である。封口板22は凡そ矩形のプレートで構成されている。かかる封口板22がケース本体21の開口周縁に溶接されることによって、略六面体形状の電池ケース20が構成されている。電池ケース20の材質は、例えば、軽量で熱伝導性の良い金属材料を主体に構成された電池ケース20が好ましく用いられうる。このような金属製材料としては、例えば、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケルめっき鋼等が例示される。
図1に示す例では、封口板22に外部接続用の正極端子23(外部端子)および負極端子24(外部端子)が取り付けられている。封口板22には、安全弁30と、注液口32が形成されている。安全弁30は、電池ケース20の内圧が予め定められた圧力(例えば、設定開弁圧0.3MPa〜1.0MPa程度)以上に上昇した場合に該内圧を開放するように構成されている。図1では、電解液80が注入された後で、注液口32が封止材33によって封止された状態が図示されている。かかる電池ケース20には、電極体40が収容されている。
《電極体40(捲回電極体)》
電極体40は、図2に示すように、帯状の正極(正極シート50)と、帯状の負極(負極シート60)と、帯状のセパレータ(セパレータ72,74)とを備えている。
《正極シート50》
正極シート50は、帯状の正極集電箔51と正極活物質層53とを備えている。正極集電箔51には、正極に適する金属箔が好適に使用され得る。正極集電箔51には、例えば、所定の幅を有し、厚さが凡そ15μmの帯状のアルミニウム箔を用いることができる。正極集電箔51の幅方向片側の縁部に沿って露出部52が設定されている。図示例では、正極活物質層53は、正極集電箔51の幅方向片側に設定された露出部52を除いて、正極集電箔51の両面に形成されている。ここで、正極活物質層53には、例えば、正極活物質とバインダが含まれている。
正極活物質には、従来からリチウムイオン電池に用いられる物質の一種または二種以上を特に限定なく使用することができる。好適例として、リチウムニッケル酸化物(例えばLiNiO)、リチウムコバルト酸化物(例えばLiCoO)、リチウムマンガン酸化物(例えばLiMn)等のリチウムと遷移金属元素とを構成金属元素として含む酸化物(リチウム遷移金属酸化物)や、リン酸マンガンリチウム(LiMnPO)、リン酸鉄リチウム(LiFePO)等のリチウムと遷移金属元素とを構成金属元素として含むリン酸塩等が挙げられる。正極活物質は、粒子形態で使用され、適宜に、正極活物質粒子と称されうる。正極活物質層53には、導電性を高めるために導電材が含まれていてもよい。
《負極シート60》
負極シート60は、図2に示すように、帯状の負極集電箔61と、負極活物質層63とを備えている。負極集電箔61には、負極に適する金属箔が好適に使用され得る。この負極集電箔61には、所定の幅を有し、厚さが凡そ10μmの帯状の銅箔が用いられている。負極集電箔61の幅方向片側には、縁部に沿って露出部62が設定されている。負極活物質層63は、負極集電箔61の幅方向片側に設定された露出部62を除いて、負極集電箔61の両面に形成されている。負極活物質層63には、例えば、負極活物質、バインダなどが含まれている。
負極活物質としては、従来からリチウムイオン電池に用いられる物質の一種または二種以上を特に限定なく使用することができる。好適例として、グラファイトカーボン、アモルファスカーボン等の炭素系材料、リチウム遷移金属酸化物、リチウム遷移金属窒化物等が挙げられる。負極活物質は、粒子形態で使用され、適宜に、負極活物質粒子と称されうる。負極活物質層63には、導電性を高めるために導電材が含まれていてもよい。
ここで、正極活物質層53や負極活物質層63には、適宜に導電材やバインダや増粘剤が含まれうる。
〈導電材〉
導電材としては、例えば、カーボン粉末、カーボンファイバーなどのカーボン材料が例示される。このような導電材から選択される一種を単独で用いてもよく二種以上を併用してもよい。カーボン粉末としては、種々のカーボンブラック(例えば、アセチレンブラック、オイルファーネスブラック、黒鉛化カーボンブラック、黒鉛、ケッチェンブラック)、グラファイト粉末などのカーボン粉末を用いることができる。
〈バインダ、増粘剤〉
また、バインダは、正極活物質層53においては、正極活物質層53に含まれる正極活物質と導電材の各粒子を接着させたり、これらの粒子と正極集電箔51とを接着させたりする。また、バインダは、負極活物質層63においては、負極活物質層63に含まれる負極活物質と導電材の各粒子を接着させたり、これらの粒子と負極集電箔61とを接着させたりする。かかるバインダとしては、使用する溶媒に溶解または分散可能なポリマーを用いることができる。例えば、水性溶媒においては、フッ素系樹脂(例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)など)、ゴム類(スチレンブタジエン共重合体(SBR)、アクリル酸変性SBR樹脂(SBR系ラテックス)など)、ポリビニルアルコール(PVA)、酢酸ビニル共重合体、アクリレート重合体などの水溶性または水分散性ポリマーを好ましく採用することができる。また、非水溶媒においては、ポリマー(ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリアクリロニトリル(PAN)など)を好ましく採用することができる。また、増粘剤は、例えば、活物質粒子とバインダとを溶媒に混ぜ合わせた合剤(懸濁液)を得る場合において、合剤に適宜に添加される材料である。かかる増粘剤としては、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)などのセルロース系ポリマーが好適に用いられる。
《セパレータ72、74》
セパレータ72、74は、図2に示すように、正極シート50と負極シート60とを隔てる部材である。この例では、セパレータ72、74は、微小な孔を複数有する所定幅の帯状のシート材で構成されている。セパレータ72、74には、樹脂製の多孔質膜、例えば、多孔質ポリオレフィン系樹脂で構成された単層構造のセパレータ或いは積層構造のセパレータを用いることができる。この例では、図2に示すように、負極活物質層63の幅b1は、正極活物質層53の幅a1よりも少し広い。さらにセパレータ72、74の幅c1、c2は、負極活物質層63の幅b1よりも少し広い(c1、c2>b1>a1)。また、セパレータ72、74は、正極活物質層53と負極活物質層63とを絶縁するとともに、電解質の移動を許容する。図示は省略するが、セパレータ72、74は、プラスチックの多孔質膜からなる基材の表面に耐熱層が形成されていてもよい。耐熱層は、フィラーとバインダとからなる。耐熱層は、HRL(Heat Resistance Layer)とも称される。
《電極体40の取り付け》
この実施形態では、電極体40は、図2に示すように、捲回軸WLを含む一平面に沿って扁平な形状を有している。図2に示す例では、正極集電箔51の露出部52と負極集電箔61の露出部62とは、それぞれセパレータ72、74の両側において、らせん状にはみ出ている。図1に示すように、電極体40は、セパレータ72、74からはみ出た正負の露出部52、62が、正負の電極端子23、24の電池ケース20の内部に配置された先端部23a、24aに溶接されている。
図1に示す形態では、捲回軸WLを含む一平面に沿って扁平な捲回電極体40が電池ケース20に収容されている。電池ケース20には、さらに電解液が注入される。電解液80は、捲回軸WL(図2参照)の軸方向の両側から電極体40の内部に浸入する。
《電解液(液状電解質)》
電解液80としては、従来からリチウムイオン電池に用いられる非水電解液と同様のものを特に限定なく使用することができる。かかる非水電解液は、典型的には、適当な非水溶媒に支持塩を含有させた組成を有する。上記非水溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート(以下、適宜に「EC」という。)、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート(以下、適宜に「DMC」という。)、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート(以下、適宜に「EMC」という。)、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン等からなる群から選択された一種または二種以上を用いることができる。また、上記支持塩としては、例えば、LiPF,LiBF,LiAsF,LiCFSO,LiCSO,LiN(CFSO,LiC(CFSO等のリチウム塩を用いることができる。一例として、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとの混合溶媒(例えば体積比1:1)にLiPFを約1mol/Lの濃度で含有させた非水電解液が挙げられる。
なお、図1は、電池ケース20内に注入される電解液80を模式的に示しており、電池ケース20内に注入される電解液80の量を厳密に示すものではない。また、電池ケース20内に注入された電解液80は、捲回電極体40の内部において、正極活物質層53や負極活物質層63の空隙などに十分に染み渡っている。かかるリチウムイオン二次電池10の正極集電箔51と負極集電箔61は、電池ケース20を貫通した電極端子23、24を通じて外部の装置に電気的に接続される。以下、充電時と放電時のリチウムイオン二次電池10の動作を説明する。
《充電時の動作》
充電時、リチウムイオン二次電池10は、正極シート50と負極シート60との間に、電圧が印加され、正極活物質層53中の正極活物質からリチウムイオン(Li)が電解液に放出され、正極活物質層53から電荷が放出される。負極シート60では電荷が蓄えられるとともに、電解液中のリチウムイオン(Li)が、負極活物質層63中の負極活物質に吸収され、かつ、貯蔵される。これにより、負極シート60と正極シート50とに電位差が生じる。
《放電時の動作》
放電時、リチウムイオン二次電池10は、負極シート60と正極シート50との電位差によって、負極シート60から正極シート50に電荷が送られるとともに、負極活物質層63に貯蔵されたリチウムイオンが電解液に放出される。また、正極では、正極活物質層53中の正極活物質に電解液中のリチウムイオンが取り込まれる。
このようにリチウムイオン二次電池10の充放電において、正極活物質層53中の正極活物質や負極活物質層63中の負極活物質にリチウムイオンが吸蔵されたり、放出されたりする。そして、電解液を介して、正極活物質層53と負極活物質層63との間でリチウムイオンが行き来する。
《粉体成形による電極シートの活物質層を作製する上での問題点》
ところで、本発明者は、このようなリチウムイオン二次電池10の正極シート50の正極活物質層53と、負極シート60の負極活物質層63(図2参照)を、それぞれ粉体成形によって作製することを検討している。
かかる粉体成形は、実験室レベルであれば、例えば、集電箔に粉体を堆積させ、これをプレスすることによって成形できる。しかし、上述したようなリチウムイオン二次電池の電極シートは、極めて薄く長い帯状の集電箔に活物質層を形成する必要がある。この際、集電箔に粉体を堆積させ、これをプレスすることだけでは、品質を安定して高く保ちつつ、高い生産性を確保することは難しい。つまり、リチウムイオン二次電池10の正極シート50の正極活物質層53と、負極シート60の負極活物質層63とを粉体成形によって作製する技術は、十分に確立されていない。
例えば、図3は、本発明者が検討を進めている電極シートの製造方法を具現化した製造装置100の構成例を示している。図3に示された製造装置100は、駆動装置103、104によって回転する圧延ロール101、102の上に、粉体供給装置107、108から粉体203、204を落とし、粉体203、204を堆積させる。次に、圧延ロール101、102に堆積した粉体203、204にスキージ部材109、110を当てて、粉体203、204を均す。そして、圧延ロール101、102に堆積した粉体203、204を、一対の圧延ロール101、102の間隙において搬送された集電箔201に押し当てる。これによって圧延ロール101、102の上に堆積した粉体203、204が集電箔201に転写される。そして、集電箔201に転写される際に、粉体203、204が押し固められることによって、集電箔201の上に活物質層205、206を形成することができる。
かかる製造装置100では、圧延ロール101、102の回転速度および集電箔201の搬送速度を速めることによって、電極シートの生産性が高められる。しかし、圧延ロール101、102の回転速度および集電箔201の搬送速度を速めると、形成された活物質層205、206に凹凸が生じ、電極シートの品質が劣化する事象が見られた。
本発明者は、かかる製造工程を、鋭意観察し、活物質層205、206に生じる凹凸の原因を調べた。その結果、かかる製造装置100において、圧延ロール101、102に堆積した粉体203、204に、スキージ部材109、110が当てられた際や集電箔201に押し当てられる際などに、粉体203、204が型崩れする事象が見出された。かかる型崩れについて、本発明者は、さらに鋭意観察し、圧延ロール101、102に堆積した粉体203、204にスキージ部材109、110が当てられた際や集電箔201に押し当てられる際などで、圧延ロール101、102に対して粉体203、204が滑っているとの知見を得た。このように、本発明者の観察によれば、かかる滑りに伴って、粉体203、204が崩れ、最終的に活物質層205、206に凹凸が生じる原因になっていた。ここでは、かかる知見を基に、品質を安定して高く保ちつつ活物質層を作製しうる、電極シートの新規な製造方法を提案する。
《電極シートの製造装置100A》
図4は、ここで提案される電極シートの製造方法を具現化する製造装置の一実施形態を示している。ここで例示される電極シートの製造装置100Aは、図4に示すように、一対の圧延ロール101、102と、駆動装置103、104と、帯電部材105、106と、粉体供給装置107、108と、スキージ部材109、110と、搬送装置112とを備えている。
ここで図4に例示される製造装置100Aは、粉体供給装置107、108から圧延ロール101、102に粉体203、204を供給し、圧延ロール101、102の間に供給される集電箔201の両面に活物質層205、206を形成している。図4に例示した製造装置100では、集電箔201の両面に一度に活物質層205、206が形成されている。集電箔201の両面に形成された活物質層205、206は、図4において部分的に拡大されている。
図4の製造装置100Aで具現化される電極シートの製造方法は、以下の手順A1〜A6を含んでいる。
ここで、
手順A1では、集電箔201を用意する。
手順A2では、活物質粒子とバインダとを含む複合粒子の粉体203、204を用意する。
手順A3では、圧延ロール101、102を帯電させる。
手順A4では、帯電した圧延ロール101、102の上に、粉体203、204を堆積させる。
手順A5では、圧延ロール101、102に堆積した粉体203、204をスキージし、圧延ロール101、102に堆積した粉体203、204を均す。
手順A6では、圧延ロール101、102に堆積した粉体203、204を集電箔201に押し当てることによって、粉体203、204を集電箔201に転写する。
〈集電箔201、搬送装置112〉
ここで手順A1において用意される集電箔201は、電極シートの基材となる。ここでは、集電箔201は、例えば、帯状の集電箔であり、ロールに巻かれた状態で用意されている。集電箔201を供給する搬送装置112は、予め定められた搬送経路112Aを有する。ここでは、搬送装置112の搬送経路112Aは、一対の圧延ロール101、102の間隙に集電箔201を搬送するように設定されている。搬送経路112Aには、集電箔201を案内する複数のプーリ113が配置されている。集電箔201は、搬送装置112に取り付けられ、プーリ113によって予め定められた搬送経路112Aに沿って案内されている。搬送装置112によって搬送された集電箔201は、一対の圧延ロール101、102の間隙に搬送される。
〈圧延ロール101、102、駆動装置103、104〉
ここで、圧延ロール101、102は、一対の圧延ロール101、102の回転軸を水平に向け、かつ、平行に並べられている。圧延ロール101、102は、集電箔201の両面に活物質層205、206を形成するのに適切な隙間Sを有している。一対の圧延ロール101、102には、駆動装置103、104が取り付けられている。一対の圧延ロール101、102は、駆動装置103、104によって駆動し、回転軸の一方から見て互いに逆方向に回転し得る。つまり、この実施形態では、集電箔201が搬送される一対の圧延ロール101、102の間隙に対して、対向する圧延ロール101、102は、それぞれ上側から下側に向けて回転している。圧延ロール101、102の間隙は、互いに回転するに伴って上側から対向する部位へ向けて間隙が徐々に狭くなっている。なお、駆動装置103、104は、図示は省略するが制御装置によって、回転したり、停止したり、逆回転したり、適宜に制御されるとよい。
〈帯電性材料121、122〉
また、この実施形態では、圧延ロール101、102の外周面は、帯電性材料121、122で覆われている。ここで、帯電性材料121、122としては、帯電する材料のうち、特に帯電性が高い材料が好適に用いられる。帯電性材料121、122に用いられる材料としては、ポリテトラフルオロエチレン(以下、適宜に「PTFE」と称する。)や、ポリエチレンテレフタレート(以下、適宜に「PET」と称する。)や、ポリエチレンナフタレート(以下、適宜に「PEN」と称する。)、シリコン、ビニル、ポリエチレン、ウレタン、セルロイド、ポリエステルなど、帯電する材料が挙げられる。この場合、例えば、帯電性材料121、122は、適宜に易接着処理やサンドマット処理が施されていてもよい。その他、帯電性材料121、122には、帯電する性質が高く、所要の機械強度を有する材料を適宜に採用することができる。
ここで、易接着処理は、表面の密着性を高める処理であり、プラズマ処理、コロナ放電処理などの物理的処理や、シランカップリング剤、プライマー剤などを使用した化学的処理が挙げられる。サンドマット処理は、表面に、粉粒体を吹き付けて表面に凹凸つける処理である。粉粒体としては、ケイ砂、ケイ石などのセラミックスが挙げられる。
かかる帯電性材料121、122は、圧延ロール101、102のうち少なくとも外周面を覆っているとよい。例えば、帯電性材料121、122は、塗料に含ませて、圧延ロール101、102の外周面に塗布、乾燥させて、圧延ロール101、102の外周面をコーティングしてもよい。また、帯電性材料121、122は、フィルム状の材料を用意し、圧延ロール101、102の外周面に貼り付けてもよい。
〈帯電部材105、106〉
帯電部材105、106は、圧延ロール101、102の外周面に押し当てられて、圧延ロール101、102の外周面を帯電させる部材である。この実施形態では、帯電部材105、106は、一対の圧延ロール101、102のそれぞれに押し当てられる。帯電部材としては、押し当てられる圧延ロール101、102を帯電させる部材であればよい。ここでは、押し当てられる帯電部材は、ポリアミド系合成繊維やガラス繊維が挙げられる。例えば、ポリアミド系合成繊維やガラス繊維のブラシ状のロール部材が挙げられる。この実施形態では、圧延ロール101、102の外周面は、帯電性材料121、122で覆われている。かかる圧延ロール101、102の外周面を覆う帯電性材料121、122に、帯電部材105、106が押し当てられることによって静電気が生じ、圧延ロール101、102の外周面が帯電する。
〈粉体供給装置107、108〉
粉体供給装置107、108は、帯電部材105、106によって帯電させられた圧延ロール101、102の上に粉体203、204を供給する装置である。ここでは、粉体供給装置107、108は、一対の圧延ロール101、102に上方に、それぞれ配置されている。この実施形態では、粉体供給装置107、108は、図示は省略するが、予め定め調整された粉体203、204を収容した貯留層と、予め調整された量の粉体を貯留層から供給する供給装置を備えている。粉体供給装置107、108は、貯留層から圧延ロール101、102の上に、予め定められた量の粉体203、204を供給する。
〈粉体203、204〉
ここで手順A2において用意される粉体は、活物質粒子と、バインダとを少なくとも含んだ造粒粒子である。かかる造粒粒子の粉体は、例えば、活物質粒子とバインダとを溶媒に混ぜ合わせた合剤(懸濁液)を、スプレードライ製法で造粒することによって得られる。スプレードライ製法では、合剤が乾燥雰囲気中に噴霧される。この際、噴霧される液滴に含まれる粒子が概ね1つの塊になって造粒される(噴霧造粒)。このため、液滴の大きさによって、造粒粒子に含まれる固形分量が変わり、造粒粒子の大きさや質量などが変わる。噴霧される液滴には、活物質粒子とバインダとが少なくとも含まれているとよい。噴霧される液滴には、活物質粒子とバインダと以外の材料が含まれていてもよく、例えば、導電材が含まれていてもよい。ここで用意される造粒粒子は、例えば、平均粒径が凡そ60μm〜100μmであるとよい。なお、本明細書中において「平均粒径」とは、特記しない限り、レーザ散乱・回折法に基づく粒度分布測定装置に基づいて測定した粒度分布における積算値50%での粒径、すなわち50%体積平均粒子径を意味するものとする。
〈スキージ部材109、110〉
スキージ部材109、110は、図4に示すように、圧延ロール101、102の上方に配置され、圧延ロール101、102の周面上で、粉体供給装置107、108から供給された粉体203、204を均す部材である。ここで、スキージ部材109、110は、例えば、図4に示されたように、ロール状の部材でもよいし、ブレード状(板刃状)の部材でもよい。スキージ部材109、110は、例えば、粉体供給装置107、108から供給された粉体203、204の厚さを整える。この場合、スキージ部材109、110によって、圧延ロール101、102に堆積した粉体203、204の厚さを整えることによって、粉体203、204を定量に調整できる。
《電極シートの製造方法(実施例1)》
以上、電極シートの製造装置100の構成を説明した。かかる製造装置100は、帯電部材105、106によって圧延ロール101、102を帯電させる(手順A3)。帯電した圧延ロール101、102の上に、粉体供給装置107、108から粉体203、204を落とし、粉体203、204を堆積させる(手順A4)。次に、スキージ部材109、110によって圧延ロール101、102に堆積した粉体203、204を均し、圧延ロール101、102に堆積した粉体の形状が整えられる(手順A5)。換言すれば、圧延ロール101、102に堆積した粉体203、204は、スキージ部材109、110によって余分な粉体が取り除かれる。そして、搬送装置112によって、一対の圧延ロール101、102の間隙に搬送された集電箔201に対して、圧延ロール101、102に堆積した粉体203、204を押し当てることによって、粉体203、204を集電箔201に転写する(手順A6)。
ここで提案される電極シートの製造方法によれば、手順A3において、圧延ロール101、102が帯電している。このため、手順A4において圧延ロール101、102に堆積した粉体203、204は、静電気によって圧延ロール101、102に保持される。圧延ロール101、102に堆積した粉体203、204は、手順A5においてスキージ部材109、110が当てられることによって余分な粉体が取り除かれるが、均された粉体203、204は、圧延ロール101、102からずれにくく、型崩れしにくい。さらに、手順A6において圧延ロール101、102に堆積した粉体203、204は、圧延ロール101、102からずれにくく、集電箔201に押し付けられる際にも型崩れしにくい。したがって、集電箔201に転写された粉体203、204に凹凸が生じにくい。このため、ここで提案される電極シートの製造方法によれば、より品質のよい電極シートを製造することができる。
合材ペーストによって電極シートの活物質層を作製する場合には、集電箔を搬送させながら合材ペーストを乾燥させる必要があった。さらに、合剤ペーストを乾燥させる工程では、合剤ペースト中のバインダ成分が電極活物質層の表面側に浮上し、乾燥後の電極活物質層でバインダ分布が表面側に偏る事象(バインダーマイグレーション)が生じていた。かかる事象は、活物質層205、206中のバインダの分布が偏り、活物質層205、206と集電箔201との接着が弱く、活物質層205、206が集電箔201から剥がれる原因となっていた。これに対して、ここで提案されるように粉体成形によって電極シートの活物質層を作製する場合には、乾燥工程が不要になり、製造設備を簡素化できる。また乾燥工程で要する燃料コストが抑えられるので、製造コストを抑えることができる。また、粉体成形では、乾燥工程が不要であるので、電極活物質層中で、バインダ成分をより好ましく均一に分布させることができる。
《電極シートの製造装置の他の実施例(実施例2)》
ここで図5は、他の実施例にかかる電極シートの製造装置100Bを示している。電極シートの製造装置100Bは、図5に示されるように、粉体供給装置108から片側の圧延ロール102に粉体204を供給し、圧延ロール101、102の間に供給される集電箔201の片面に活物質層206を形成している。製造装置100Bは、集電箔201に片面ずつ活物質層206を形成する。製造装置100Bでは、上述した手順A1〜A6によって、集電箔201の片面に活物質層206が形成される。かかる装置では、集電箔201の片面に活物質層206が形成されるが、集電箔201の両面に活物質層を形成する場合には、集電箔201に対して片面ずつ、活物質層206を形成するとよい。このように、ここで提案される電極シートの製造方法は、集電箔201の両面に一度に活物質層205、206を形成することに限定されない。
以上のように、ここで提案される電極シートの製造方法は、圧延ロール101、102を帯電させる(手順A3)。次に、帯電した圧延ロール101、102の上に、粉体203、204を堆積させる(手順A4)。そして、圧延ロール101、102に堆積した粉体203、204を集電箔201に押し当てることによって、粉体203、204を集電箔201に転写する(手順A6)。
かかる電極シートの製造方法によれば、圧延ロール101、102に堆積した粉体203、204が集電箔201に押し当てられることによって、粉体203、204が集電箔201に転写される。この電極シートの製造方法では、帯電した圧延ロール101、102の上に粉体203、204が堆積している(手順A4)。帯電した圧延ロール101、102の上に粉体203、204が堆積しているので、圧延ロール101、102の静電気によって、圧延ロール101、102に対して粉体203、204が滑りにくい。そして、圧延ロール101、102に対して粉体203、204が滑りにくいので、粉体203、204が集電箔201に転写される際に、粉体203、204が形崩れしにくい。このため、より品質のよい電極シートが得られる。
また、ここで提案される電極シートの製造方法は、手順A5を含んでいてもよい。つまり、圧延ロール101、102に堆積した粉体203、204が集電箔201に押し当てられる前に、圧延ロール101、102に堆積した粉体203、204をスキージし、圧延ロール101、102に堆積した粉体203、204の形状を整えてもよい。この場合においても、帯電した圧延ロール101、102の上に粉体203、204が堆積しているので、粉体203、204がスキージされる際に、圧延ロール101、102に対して粉体203、204が滑りにくい。圧延ロール101、102に対して粉体203、204が滑りにくいので、スキージにおいて粉体203、204の形状がより適切に整えられる。スキージにおいて粉体203、204の形状がより適切に整えられるので、より品質のよい電極シートが得られる。
また、ここで、手順5のスキージは、例えば、圧延ロール101、102に対して予め定められた隙間を介して配置されたスキージ部材109、110によって行われてもよい。スキージ部材109、110は、例えば、ロール部材またはブレード部材であってもよい。この場合でも、帯電した圧延ロール101、102の上に粉体203、204が堆積しているので、粉体203、204がスキージされる際に、圧延ロール101、102に対して粉体203、204が滑らず、粉体203、204の形状がより適切に整えられる。
また、圧延ロール101、102は、例えば、図4および図5に示すように、集電箔201を挟みうる一対の圧延ロール101、102であり、帯電させる工程(手順A3)において、当該一対の圧延ロール101、102のうち少なくとも一方の圧延ロール102を帯電させるとよい。また、集電箔201は帯状であり、押し当てる工程において、一対の圧延ロール101、102間を通るように、当該帯状の集電箔201を搬送するとよい。また、帯電させる工程(手順A3)において、帯電させる圧延ロール101、102の外周面に帯電部材105、106を当てるとよい。
ここで、帯電部材105、106は、ロール状の部材であってもよい。この場合、帯電部材105、106をロール状の部材とし、帯電部材105、106を圧延ロール101、102に押し当てた際に帯電部材105、106が回転するように構成してもよい。かかる構成によれば、圧延ロール101、102の抵抗が低く抑えられる。また、ブラシ状のロール部材とし、圧延ロール101、102の回転方向とは逆向きに回転させてもよい。
また、圧延ロール101、102を帯電させる工程において帯電する圧延ロールの少なくとも外周面は、帯電性材料121、122で覆われていてもよい。つまり、圧延ロール101、102の外周面が、帯電性材料121、122で覆われていることによって、圧延ロール101、102の外周面をより強く帯電させることができる。これにより、圧延ロール101、102は、堆積した粉体203、204をより強く保持することができる。
ここで、本発明者は、ステンレス製の圧延ロール101、102を用意した。そして、かかる圧延ロール101、102を帯電性材料121、122で覆わずに電極シートを作製した。また、圧延ロール101、102の外周面を覆う帯電性材料121、122で覆った場合について、さらに圧延ロール101、102の外周面を覆う帯電性材料121、122の種類を変えて、それぞれ電極シートを作製した。さらに、それぞれの場合において、圧延ロール101、102の回転速度および集電箔201の搬送速度(成形速度)を合わせつつ徐々に早くした。そして、活物質層205、206の品質を維持し得る成形速度(最高成形速度)をそれぞれ見出した。ここでは、最高成形速度は、集電箔の搬送速度(m/分)で特定した。
ここでは、圧延ロール101、102の間隙など、他の成形条件はできる限り、同じ条件で試験を行った。つまり、用いた粉体203、204や、帯電部材105、106、スキージ部材109、110などは、同じものとした。
本発明者が行った試験によれば、例えば、ステンレス製の圧延ロール101、102を、帯電性材料121、122で覆わなかった場合には、最高成形速度は、凡そ3.2m/分)であった。これに対して、帯電性材料121、122として、易接着処理を施したPETを用いた場合には、最高成形速度は凡そ32m/分であった。さらに、これに対して、帯電性材料121、122として、PTFEを用いた場合には、最高成形速度は凡そ45m/分であった。このように、圧延ロール101、102の少なくとも外周面は、適当な帯電性材料で覆われていることが望ましい。
さらに、本発明者は、粉体203、204、集電箔201、圧延ロール101、102の外周面を覆うのに用いる帯電性材料121、122について、それぞれ帯電量(kV)を測定した。ここで、帯電量は、株式会社キーエンス製の高精度静電気センサ SKシリ−ズを用いて測定した。
ここで、上記の測定条件において、正極活物質粒子とバインダと非水溶媒とを含む合剤を噴霧造粒して得られた造粒粒子の粉体の帯電量は、凡そ−0.24kVであった。正極活物質粒子とバインダと水性溶媒とを含む合剤を噴霧造粒して得られた造粒粒子の粉体の帯電量は、凡そ+1.23kVであった。正極集電箔に用いられるAl箔は、凡そ0.42kVであった。負極活物質粒子とバインダと水性溶媒とを含む合剤を噴霧造粒して得られた造粒粒子の粉体の帯電量は、凡そ−0.57kVであった。負極集電箔に用いられるCu箔は、凡そ−0.09kVであった。また、圧延ロール101、102を覆う帯電性材料121、122として用いられうる、サンドマット処理が施されたPETは凡そ−2.81kVであった。練りこみ処理が施されたPETは凡そ−0.58kVであった。易接着処理が施されたPETは凡そ−12.7kVであった。易接着処理が施されたPENは凡そ+3.63kVであった。
なお、本発明者の知見によれば、帯電した圧延ロール101、102が粉体203、204を保持する力は、圧延ロール101、102の外周面を覆う帯電性材料121、122の帯電量と、粉体203、204の帯電量との差の絶対値との間に相関関係がある。つまり、圧延ロール101、102の外周面を覆う帯電性材料121、122の帯電量と、粉体203、204の帯電量との差の絶対値が大きいほど、帯電した圧延ロール101、102が粉体203、204を保持する力が強い。また、帯電した圧延ロール101、102が粉体203、204を保持する力が強いほど、圧延ロール101、102に対して粉体203、204が滑りにくい。このため、帯電した圧延ロール101、102が粉体203、204を保持する力が強いほど、圧延ロール101、102の回転速度および集電箔201の搬送速度を早くでき、活物質層205、206の品質を維持できる。
また、本発明者の知見によれば、帯電させる工程において帯電した圧延ロールの帯電量(V1)と、当該圧延ロールに堆積させる前の粉体の帯電量(V2)との間に、少なくとも2.0kV以上の電位差(|V1−V2|)を有しているとよい。かかる電位差(|V1−V2|)が凡そ2.0kV以上である場合には、電極シートの成形速度をある程度早くしても、活物質層205、206の品質を維持されやすい。ここで、かかる電位差(|V1−V2|)は、好ましくは凡そ3.0kV以上であるとよく、より好ましくは凡そ4.0kV以上であるとよく、さらに好ましくは凡そ5.0kV以上であるとよい。また、成形速度は、例えば、30m/分以上に向上させることも可能である。
例えば、図4および図5に示すように、ここで提案される電極シートの製造装置100A、100Bは、圧延ロール101、102と、駆動装置103、104と、帯電部材105、106と、粉体供給装置107、108と、搬送装置112とを備えているとよい。ここで、駆動装置103、104は、一対の圧延ロール101、102を互いに逆方向に回転させる装置である。帯電部材106は、一対の圧延ロール101、102のうち少なくとも一方の圧延ロール102に押し当てられ、当該押し当てられる圧延ロール102を帯電させる部材である。粉体供給装置108は、帯電部材106によって帯電させられる圧延ロール102の上に粉体を供給する装置である。かかる電極シートの製造装置によれば、ここで提案される電極シートの製造方法が具現化され、品質のよい電極シートがより効率よくかつ安定して得られる。
また、電極シートの製造装置100A、100Bは、圧延ロール102の回転方向において、粉体供給装置108が粉体を供給する位置よりも後ろ側に、当該圧延ロール102に対して予め定められた間隙を空けてスキージ部材110が配置されていてもよい。かかるスキージ部材110を備えていることによって、転写される粉体204の形状が整えられるので、品質のよい電極シートがさらに効率よくかつ安定して得られる。
さらに、帯電部材106が押し当てられる圧延ロール102の少なくとも外周面は、帯電性材料121、122で覆われていてもよい。かかる帯電性材料121、122を備えていることによって、圧延ロール102に堆積した粉体204が、圧延ロール102により強く保持される。このため、圧延ロール102に対して粉体204が滑りにくい。このため、品質のよい電極シートがさらに効率よくかつ安定して得られる。
以上、本発明の一実施形態に係るリチウムイオン二次電池用電極シートの製造方法を説明したが、ここで提案されるリチウムイオン二次電池用電極シートの製造方法は、上述した実施形態に限定されない。特に、リチウムイオン二次電池用電極シートの製造方法を具現化する製造装置を例示したが、かかる製造装置は特に言及されない限りにおいて、製造方法を限定するものではない。
また、ここで提案される製造方法によって製造されるリチウムイオン二次電池は、活物質層が低抵抗であり、高い電池性能を有している。したがって、高いエネルギー密度や出力密度が要求される用途で好ましく用いることができる。かかる用途としては、例えば車両に搭載されるモーター用の動力源(駆動用電源)が挙げられる。車両の種類は特に限定されないが、例えばプラグインハイブリッド自動車(PHV)、ハイブリッド自動車(HV)、電気自動車(EV)、電気トラック、原動機付自転車、電動アシスト自転車、電動車いす、電気鉄道等が挙げられる。なお、かかる非水電解液二次電池は、それらの複数個を直列および/または並列に接続してなる組電池の形態で使用されてもよい。
10 リチウムイオン二次電池
20 電池ケース
21 ケース本体
22 封口板
23 正極端子
24 負極端子
30 安全弁
32 注液口
33 封止材
40 捲回電極体
50 正極シート
51 正極集電箔
52 露出部
53 正極活物質層
60 負極シート
61 負極集電箔
62 露出部
63 負極活物質層
72,74 セパレータ
80 電解液
100、100A、100B 電極シートの製造装置
101、102 圧延ロール
103、104 駆動装置
105、106 帯電部材
107、108 粉体供給装置
109、110 スキージ部材
112 搬送装置
112A 搬送経路
113 プーリ
121、122 帯電性材料
201 集電箔
203、204 粉体
205、206 活物質層
WL 捲回軸

Claims (9)

  1. 集電箔を用意すること;
    活物質粒子とバインダとを含む複合粒子の粉体を用意すること;
    圧延ロールを帯電させること;
    帯電した前記圧延ロールの上に、前記粉体を堆積させること;および、
    前記圧延ロールに堆積した前記粉体を前記集電箔に押し当てることによって、前記粉体を前記集電箔に転写すること;
    を含む、リチウムイオン二次電池用電極シートの製造方法。
  2. 前記圧延ロールに堆積した前記粉体を前記集電箔に押し当てる前に、前記圧延ロールに堆積した粉体をスキージし、前記圧延ロールに堆積した粉体を均すこと;を含む、請求項1に記載されたリチウムイオン二次電池用電極シートの製造方法。
  3. 前記スキージは、前記圧延ロールに対して予め定められた隙間を介して配置されたスキージ部材によって行われる、請求項2に記載されたリチウムイオン二次電池用電極シートの製造方法。
  4. 前記スキージ部材は、ロール部材またはブレード部材である、請求項3に記載されたリチウムイオン二次電池用電極シートの製造方法。
  5. 前記圧延ロールは前記集電箔を挟みうる一対の圧延ロールであり、前記帯電させる工程において、当該一対の圧延ロールのうち少なくとも一方の圧延ロールを帯電させ、
    前記集電箔は帯状であり、前記押し当てる工程において、前記一対の圧延ロール間を通るように、当該帯状の集電箔を搬送する、
    請求項1から4までの何れか一項に記載されたリチウムイオン二次電池用電極シートの製造方法。
  6. 前記帯電させる工程において、帯電させる圧延ロールの外周面に帯電部材を当てる、請求項1から5までの何れか一項に記載されたリチウムイオン二次電池用電極シートの製造方法。
  7. 前記帯電部材は、ロール状の部材である、請求項6に記載されたリチウムイオン二次電池用電極シートの製造方法。
  8. 前記帯電させる工程において、帯電する圧延ロールの少なくとも外周面は、帯電性材料で覆われている、請求項1から7までの何れか一項に記載されたリチウムイオン二次電池用電極シートの製造方法。
  9. 前記帯電させる工程において帯電した圧延ロールの帯電量(V1)と、当該圧延ロールに堆積させる前の粉体の帯電量(V2)との間に、少なくとも2.0kV以上の電位差(|V1−V2|)を有する、請求項1から8までの何れか一項に記載されたリチウムイオン二次電池用電極シートの製造方法。
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