JP7074081B2 - 電極シート製造装置 - Google Patents

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Description

本発明は、電池を構成する電極シートを製造するための装置(電極シート製造装置)に関する。詳細には、集電箔の表面上に電極合材層を形成した構造の電極シートを製造するための装置に関する。
従来、電極シートとして、集電箔の表面上に電極合材層を形成した構造の電極シートが知られている。このような構造の電極シートの製造方法としては、例えば、特許文献1,2に開示されている方法が知られている。具体的には、まず、電極活物質粒子と結着材と溶媒とを混合して造粒した複数の湿潤造粒体からなる電極合材を作製する。次いで、この電極合材を対向する一対のロールの間隙に通すことによって、電極合材を圧縮しつつ膜状にし、膜状にした電極合材を前記集電箔の表面上に付着させて、集電箔の表面上に膜状電極合材を有する膜状電極合材付き集電箔を作製する。
特開2013-77560号公報 特開2015-201318号公報
より具体的には、集電箔に電極合材を転写するための第2ロールと、これに対向する第1ロールと、からなる一対のロールの間隙に電極合材を通すことによって、電極合材を圧縮しつつ膜状にすると共に、膜状にした電極合材を第2ロールに付着させる。その後、第2ロールに付着している膜状の電極合材を、集電箔の表面上に転写する(付着させる)。その後、集電箔の表面上に付着している膜状の電極合材を乾燥させることで、集電箔の表面上に電極合材層を形成する。
ところで、上述の製造方法では、電極活物質粒子と結着材と溶媒とを混合して造粒した複数の湿潤造粒体からなる電極合材を用いているため、電極合材を乾燥させて溶媒を除去する乾燥工程を設ける必要があった。このため、上述の製造方法では、製造時間が長くなり、コストが高くなっていた。また、溶媒は、最終的には、電極シートの電極合材層に不要なものである。このため、溶媒を用いることなく、適切に、電極シートを製造できる装置が求められていた。
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであって、溶媒を用いることなく、適切に、集電箔の表面上に電極合材層を形成することができる電極シート製造装置を提供することを目的とする。
本発明の一態様は、電極活物質と熱可塑性のバインダとを有する電極合材層を集電箔の表面上に備える電極シートを製造する、電極シート製造装置において、回転するAロールと、前記Aロールとの間に間隙を空けて前記Aロールに対向して回転するBロールであって、前記集電箔を前記間隙に通すようにして前記集電箔を搬送するBロールと、を備え、前記Aロールと、前記Bロールによって搬送される前記集電箔との間に、電位差を生じさせた状態で、溶媒を含むことなく前記電極活物質の粉体と前記バインダの粉体とが混合された混合粉体を、前記Aロールの外周面に連続的に供給して、前記Aロールの前記外周面に供給された前記混合粉体と、前記集電箔との間に電位差を生じさせ、前記混合粉体と前記集電箔との間に働く静電気力によって、前記混合粉体を、前記Aロールから前記集電箔の前記表面へ移動させて、前記Bロールによって搬送される前記集電箔の前記表面に前記混合粉体を連続的に配置する電極シート製造装置であって、間隙を空けて対向して回転する第1ホットロールと第2ホットロールであって、前記混合粉体が配置された前記集電箔を前記間隙に通すことによって、前記混合粉体に含まれる前記バインダを軟化または溶融させつつ、前記混合粉体と前記集電箔とを圧接することで、前記電極活物質と前記バインダとを有する前記電極合材層を前記集電箔の前記表面に接着させる第1ホットロール及び第2ホットロールと、前記集電箔の搬送方向について、前記Bロールよりも下流側で、且つ、前記第1ホットロールと前記第2ホットロールとの前記間隙よりも上流側の位置で、前記第1ホットロールとの間に間隙を空けて前記第1ホットロールに対向して配置されたニップロールと、を備え、前記混合粉体が配置された前記集電箔を、前記第1ホットロールと前記ニップロールとの前記間隙に通すことによって、前記集電箔の前記表面に配置されている前記混合粉体を均し、その後、前記集電箔の前記表面に配置されている前記混合粉体を前記第1ホットロールの外周面に接触させつつ、前記混合粉体が配置された前記集電箔を、前記第1ホットロールと前記ニップロールとの前記間隙から前記第1ホットロールと前記第2ホットロールとの前記間隙まで、前記第1ホットロールの前記外周面に沿って搬送する構成を有し、さらに、前記電極シート製造装置は、前記ニップロールを前記第1ホットロールの周方向に移動させて、前記第1ホットロールのうち前記間隙を挟んで前記ニップロールと対向する位置から、前記第1ホットロールのうち前記間隙を挟んで前記第2ホットロールと対向する位置までの、前記第1ホットロールの前記外周面に沿った周方向距離を変更する移動機構を備える電極シート製造装置である。
上述の電極シート製造装置は、電極活物質と熱可塑性のバインダとを有する電極合材層を集電箔の表面上に備える電極シート、を製造するための装置である。この電極シート製造装置は、間隙を空けて対向(互いの外周面が径方向に対向)して回転するAロールとBロールを備える。このうち、Bロールは、Aロールの外周面との間に間隙を空けてAロールに対向して(径方向に対向して)回転するロールであり、集電箔を、Aロールとの間隙に通すようにして搬送する。
さらに、上述の電極シート製造装置は、Aロールと、Bロールによって搬送される集電箔との間に、電位差を生じさせた状態で、溶媒を含むことなく電極活物質の粉体と熱可塑性のバインダの粉体とが混合された混合粉体を、Aロールの外周面に連続的に供給して、Aロールの外周面に供給された混合粉体と、搬送される集電箔との間に電位差を生じさせ、混合粉体と集電箔との間に働く静電気力によって、混合粉体を、Aロールから集電箔の表面へ移動(飛翔)させて、Bロールによって搬送される集電箔の表面に混合粉体を連続的に配置する構成を有する。
さらに、上述の製造装置は、間隙を空けて対向(互いの外周面が径方向に対向)して回転する第1ホットロールと第2ホットロールを備える。第1ホットロールと第2ホットロールは、混合粉体が配置された集電箔を両者の間隙に通すことによって、混合粉体に含まれるバインダを軟化または溶融させつつ、混合粉体と集電箔とを圧接することで、電極活物質とバインダとを有する電極合材層を集電箔の表面に接着させる。
従って、上述の製造装置によれば、溶媒を使用することなく、電極活物質とバインダとを有する電極合材層を、集電箔の表面上に形成することが可能となる。
さらに、上述の製造装置は、集電箔(混合粉体が配置された集電箔)の搬送方向について、Bロールよりも下流側で、且つ、第1ホットロールと第2ホットロールとの間隙よりも上流側の位置で、第1ホットロールの外周面との間に間隙を空けて第1ホットロールの外周面に対向して(径方向に対向して)配置されたニップロールを備える。
さらに、上述の製造装置は、混合粉体が配置された集電箔を、第1ホットロールとニップロールとの間隙に通すことによって、集電箔の表面に配置されている混合粉体を均し、その後、集電箔の表面に配置されている混合粉体を第1ホットロールの外周面に接触させつつ、混合粉体が配置された集電箔を、第1ホットロールとニップロールとの間隙から第1ホットロールと第2ホットロールとの間隙まで第1ホットロールの外周面に沿って搬送する構成を有する。
ところで、このような製造装置では、集電箔(混合粉体が配置された集電箔)の搬送速度を変更したい場合がある。ところが、集電箔(混合粉体が配置された集電箔)の搬送速度を変更すると、集電箔の表面に配置されている混合粉体が、第1ホットロールの外周面に接触しつつ第1ホットロールと第2ホットロールとの間隙まで搬送されるのに要する時間が変わってしまう。これにより、第1ホットロールから混合粉体に供給される熱量が変わってしまい、混合粉体に含まれるバインダ等の状態が変わってしまう虞があった。
例えば、搬送速度を遅くした場合は、集電箔の表面に配置されている混合粉体が、第1ホットロールの外周面に接触しつつ第1ホットロールと第2ホットロールとの間隙まで搬送されるのに要する時間が長くなり、混合粉体に供給される熱量が増大する。混合粉体に供給される熱量が多くなりすぎると、混合粉体に含まれるバインダ等が変性する虞があった。
また、このような製造装置では、集電箔の表面に配置される混合粉体の厚み(集電箔の表面からの高さ)が変化(変動)することがある。集電箔の表面に配置されている混合粉体の厚みが変わると、集電箔の表面の単位面積当たりにかかる混合粉体の体積が変わるので、集電箔の表面に配置されている混合粉体が、第1ホットロールとニップロールとの間隙から、第1ホットロールの外周面に接触しつつ第1ホットロールと第2ホットロールとの間隙に搬送されるまでの間に、第1ホットロールから混合粉体に供給される、混合粉体の単位体積当たりの熱量が変わってしまう。その結果、混合粉体に含まれるバインダ等の状態が変わってしまう虞があった。
例えば、集電箔の表面に配置される混合粉体の厚みが薄くなった場合は、集電箔の表面に配置されている混合粉体が、第1ホットロールとニップロールとの間隙から、第1ホットロールの外周面に接触しつつ第1ホットロールと第2ホットロールとの間隙に搬送されるまでの間に、第1ホットロールから混合粉体に供給される、混合粉体の単位体積当たりの熱量が増大する。混合粉体に供給される熱量が多くなりすぎると、混合粉体に含まれるバインダ等が変性する虞があった。
これに対し、上述の製造装置は、ニップロールを第1ホットロールの周方向に移動させて、第1ホットロールのうち(第1ホットロールの周方向位置のうち)間隙を挟んでニップロールと対向する位置から、第1ホットロールのうち(第1ホットロールの周方向位置のうち)間隙を挟んで第2ホットロールと対向する位置までの、第1ホットロールの外周面に沿った周方向距離(第1周方向距離とする)を変更する移動機構を備える。従って、上述の製造装置では、集電箔の表面に配置されている混合粉体が、第1ホットロールとニップロールとの間隙から、第1ホットロールの外周面に接触しつつ第1ホットロールと第2ホットロールとの間隙に搬送されるまでの距離(第1ホットロールの外周面に沿った周方向距離)を変更することができる。
このため、集電箔(混合粉体が配置された集電箔)の搬送速度を変更する場合でも、例えば、設定する搬送速度に応じて、移動機構によって、第1ホットロールの周方向にかかるニップロールの位置を変更(調整)して、前述の第1周方向距離を変更(調整)することで、「集電箔の表面に配置されている混合粉体が、第1ホットロールとニップロールとの間隙から、第1ホットロールの外周面に接触しつつ第1ホットロールと第2ホットロールとの間隙に搬送されるまでの間に、第1ホットロールから混合粉体に供給される熱量」について、集電箔の搬送速度の違いによって生じる差を小さくすることができる。
具体的には、集電箔の搬送速度を遅くする場合に、移動機構によって、ニップロールを、第1ホットロールと第2ホットロールとの間隙に近づけて、第1周方向距離を短くすることで、第1ホットロールから混合粉体に供給される熱量が増大するのを抑制することができる。これにより、「混合粉体に過剰な熱量が供給されることによって、混合粉体に含まれるバインダ等が変性する不具合」を抑制することができる。
なお、「集電箔の表面に配置されている混合粉体が、第1ホットロールとニップロールとの間隙から、第1ホットロールの外周面に接触しつつ第1ホットロールと第2ホットロールとの間隙まで搬送されるのに要する時間(すなわち、第1周方向距離を移動するのに要する時間)」が一定になるように、集電箔の搬送速度に応じて、第1ホットロールの周方向にかかるニップロールの位置を変更(調整)することで、集電箔の搬送速度に拘わらず、第1ホットロールから混合粉体に供給される熱量を略一定にすることができる。
また、集電箔の表面に配置される混合粉体の厚みが変動する場合でも、混合粉体の厚みに応じて、移動機構によって、第1ホットロールの周方向にかかるニップロールの位置を変更(調整)して、前述の第1周方向距離を変更(調整)することで、「集電箔の表面に配置されている混合粉体が、第1ホットロールとニップロールとの間隙から、第1ホットロールの外周面に接触しつつ第1ホットロールと第2ホットロールとの間隙に搬送されるまでの間に、第1ホットロールから混合粉体に供給される、混合粉体の単位体積当たりの熱量」について、混合粉体の厚みの違いによって生じる差を小さくすることができる。
具体的には、例えば、集電箔の表面に配置される混合粉体の厚みが薄くなった場合は、移動機構によって、ニップロールを、第1ホットロールと第2ホットロールとの間隙に近づけて、第1周方向距離を短くすることで、第1ホットロールから混合粉体に供給される単位体積当たりの熱量が増大するのを抑制することができる。これにより、「混合粉体に過剰な熱量が供給されることによって、混合粉体に含まれるバインダ等が変性する不具合」を抑制することができる。
なお、集電箔の表面に配置される混合粉体の厚みは、例えば、公知のレーザ変位計を用いて測定することが可能である。
実施形態及び変形形態にかかる電極シート製造装置の概略図である。 図1のE部拡大図である。 図1のF部拡大図であって、電極シートの側面視拡大図である。 実施形態にかかる電極シート製造装置の移動機構の説明図である。 実施形態にかかる電極シート製造装置の他の概略図である。 実施形態にかかるニップロールの位置調整方法の流れを示すフローチャートである。 変形形態にかかる電極シート製造装置の移動機構の説明図である。 他の形態にかかるAロール(グラビアロール)の外周面の拡大図である。 図8のB-B断面拡大図である。
(実施形態)
以下、本発明を具体化した実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。本実施形態は、リチウムイオン二次電池の負極シートの製造に、本発明を適用したものである。すなわち、本実施形態では、電極シート製造装置として、負極シートの製造装置を例示する。本実施形態では、集電箔110と、この集電箔110の表面(第1表面110b)上に形成された負極合材層120(電極合材層)と、を有する負極シート100(電極シート)を製造する(図3参照)。
ここで、本実施形態にかかる電極シート製造装置1について説明する。本実施形態では、電極シート製造装置1を用いて、負極シート100(電極シート)を製造する。図1は、実施形態にかかる電極シート製造装置1の側面視概略図である。電極シート製造装置1は、図1に示すように、対向して回転するAロール10及びBロール20(バックアップロール)と、混合粉体供給装置30と、対向して回転する第1ホットロール40及び第2ホットロール50(一対のホットロール)と、ニップロール70とを有する。なお、本実施形態では、Aロール10として、マグネットロールを用いている。このマグネットロール(Aロール10)は、例えば、円柱形状のマグネットからなる中心軸に外嵌されて、この中心軸の周りに回転する金属(磁性体)からなる円筒形状のスリーブにより構成される。なお、図1等では、Aロール10を簡略化して図示している。
Aロール10とBロール20とは水平方向(図1において左右方向)に対向して配置されている。なお、Aロール10とBロール20とは、間隔を置いて対面している。また、Aロール10とBロール20とは、図1に矢印で示すように、2つのロールの回転方向が同一方向(図1において時計回り)となるようにして、中心軸(図示省略)の周りに回転する。本実施形態の電極シート製造装置1では、集電箔110を、Aロール10とBロール20との間隙に通すようにして、Bロール20等によって、集電箔110を搬送方向DMに搬送する(図1参照)。なお、搬送方向DMは、集電箔110の長さ方向DL(図3参照)に一致する。
具体的には、Bロール20の外周面20bには、集電箔110が掛け渡されている。集電箔110は、金属箔(銅箔)であり、Bロール20の回転と共に、Aロール10とBロール20との対面箇所の間隙を通って、Bロール20の右下から右上へと搬送される。なお、Aロール10とBロール20との対面箇所には、集電箔110が通されている状態で、さらにAロール10と集電箔110との間に隙間があるようにされている。すなわち、Aロール10とBロール20との間の隙間(集電箔110が存在していない状態での隙間)は、集電箔110の厚さより広い。
また、混合粉体供給装置30は、Aロール10の外周面10bに混合粉体123を連続的に供給する装置である。なお、混合粉体供給装置30の先端側には、ドクターブレード31が設けられている。混合粉体供給装置30は、このドクターブレード31によって、Aロール10の外周面10bに過剰に供給(配置)された混合粉体123を掻き取りつつ、適切に、Aロール10の外周面10bに、混合粉体123を供給してゆく。本実施形態では、混合粉体123として、溶媒を含むことなく、負極活物質121(電極活物質)の粉体と熱可塑性のバインダ122の粉体とが混合された混合粉体123を用いている。
なお、本実施形態では、予め、ハイスピードミキサ(アーステクニカ製)を用いて、負極活物質121の粉体と熱可塑性のバインダ122の粉体とを混合して、負極活物質121の粒子とバインダ122の粒子とが複合化された複合粒子(負極活物質121の粒子の表面にバインダ122の粒子が結合した態様の複合粒子)からなる混合粉体123を作製している。すなわち、本実施形態では、混合粉体123として、多数の複合粒子を有する混合粉体123を用いている。なお、本実施形態では、ハイスピードミキサの回転数を4000rpmに設定し、混合時間を1分間として、混合粉体123を作製している。
また、本実施形態では、負極活物質121の粉体として、黒鉛の粉体を用いている。また、熱可塑性のバインダ122の粉体として、PVdFの粉体を用いている。また、本実施形態では、負極活物質121の粉体とバインダ122の粉体とを、重量比で95:5の割合で混合して、混合粉体123としている。
但し、本実施形態では、上述の混合粉体123に、磁性体124の粉体を添加して、これらを混合した磁性体含有混合粉体125を、混合粉体供給装置30によって、Aロール10の外周面10bに連続的に供給する。より具体的には、混合粉体供給装置30内において、混合粉体123と磁性体124の粉体とを混合して、磁性体含有混合粉体125とした後、この磁性体含有混合粉体125を、混合粉体供給装置30から、Aロール10の外周面10bに連続的に供給する。
従って、本実施形態では、混合粉体123と磁性体124の粉体とが混合された磁性体含有混合粉体125を、Aロール10の外周面10bに連続的に供給する態様で、混合粉体123(負極活物質121の粉体とバインダ122の粉体とからなる混合粉体)がAロール10の外周面10bに連続的に供給される。換言すれば、混合粉体123を含む磁性体含有混合粉体125を、Aロール10の外周面10bに連続的に供給する態様で、混合粉体123がAロール10の外周面10bに連続的に供給される。Aロール10(マグネットロール)の外周面10bに供給された磁性体含有混合粉体125は、これに含まれる磁性体124の粉体が、磁力によって、マグネットロールであるAロール10の外周面10bに引きつけられることによって、Aロール10の外周面10bに付着する。従って、混合粉体123は、磁性体124の粉体と共に、Aロール10の外周面10bに配置される。
さらに、本実施形態の電極シート製造装置1では、電源65を有する電気回路60(図1参照)によって、Aロール10とBロール20との間に電位差を生じさせる。これにより、Aロール10の外周面10bに配置されている混合粉体123(磁性体含有混合粉体125)と、Bロール20の外周面20bに接触して搬送される集電箔110との間に、電位差が生じるため、混合粉体123と集電箔110との間に静電気力が働くことになる。従って、電気回路60は、Aロール10(さらには、その外周面10bに配置されている混合粉体123)とBロール20(さらには、これによって搬送される集電箔110)との間に、電位差を発生させる電位差発生装置として機能する。
ところで、集電箔110は、Bロール20、ニップロール70、第1ホットロール40、及び、第2ホットロール50等によって、集電箔110の長さ方向DL(搬送方向DMに一致する方向)に張力が付与された状態で保持されている。一方、混合粉体123は、磁性体124の粉体と共に、Aロール10の外周面10bに配置されている。このため、混合粉体123と集電箔110との間に働く静電気力によって、混合粉体123が、Aロール10の外周面10bから集電箔110の表面(第1表面110b)に向かって移動(飛翔)する。
なお、磁性体124の粉体は、磁力によってAロール10の外周面10bに引きつけられているので、集電箔110の表面(第1表面110b)に向かって移動(飛翔)することなく、Aロール10の外周面10bに止まることになる。従って、混合粉体供給装置30から、Aロール10の外周面10bに磁性体含有混合粉体125を供給して、静電気力によって、磁性体含有混合粉体125に含まれている混合粉体123が、Aロール10の外周面10bから集電箔110の表面(第1表面110b)に向かって移動(飛翔)した後、磁性体124の粉体がAロール10の外周面10bに残存する。残存した磁性体124の粉体(図示省略)は、図示しない回収装置によってAロール10の外周面10bから回収された後、混合粉体供給装置30内に戻される。
従って、本実施形態では、Aロール10と、Bロール20によって搬送される集電箔110との間に、電位差を生じさせた状態で、Aロール10の外周面10bに、混合粉体123と磁性体124の粉体(磁性体含有混合粉体125)を連続的に供給して、Aロール10の外周面10bに供給された混合粉体123と、集電箔110との間に電位差を生じさせることで、混合粉体123と集電箔110との間に働く静電気力によって、混合粉体123を、Aロール10の外周面10bから集電箔110の表面(第1表面110b)へ移動(飛翔)させて、Bロール20によって搬送される集電箔110の表面(第1表面110b)に混合粉体123を連続的に配置することができる。これにより、Bロール20によって搬送される集電箔110の表面(第1表面110b)に、混合粉体123の層が連続的に形成されてゆく。
また、ニップロール70は、耐熱性を有するニップロール70であり、集電箔110の搬送方向DMについてBロール20よりも下流側の位置で、且つ、第1ホットロール40と第2ホットロール50との対面位置における間隙G2(第1ホットロール40と第2ホットロール50とによって混合粉体123が配置された集電箔110が挟まれて圧接される位置)よりも上流側の位置で、第1ホットロール40と対向して配置されている(図1参照)。より具体的には、ニップロール70の外周面70bと第1ホットロール40の外周面40bとが、径方向について間隔G1を空けて対面(対向)している。ニップロール70の外周面70bと第1ホットロール40の外周面40bとの対面箇所の間隙G1には、混合粉体123の層が配置された集電箔110が通されている。
なお、ニップロール70と第1ホットロール40との対面箇所の間隙G1の寸法は、集電箔110の厚みよりも大きく、且つ、集電箔110の厚みと集電箔110の第1表面110bに配置された混合粉体123の層の厚み(最大厚み)との和よりも小さくされている。これにより、混合粉体123の層が配置された集電箔110が、ニップロール70と第1ホットロール40との対面箇所の間隙G1を通過することで、混合粉体123の層が、集電箔110の第1表面110b上において均されて、略一定の厚みを有する層(混合粉体層127とする)になる。従って、混合粉体123の層が配置された集電箔110が、ニップロール70と第1ホットロール40との対面箇所の間隙G1を通過することで、図2に示すように、集電箔110の第1表面110bに、混合粉体123からなる混合粉体層127(略一定の厚みを有する混合粉体層127)が形成される。なお、図2は、図1のE部拡大図である。
混合粉体123の層が配置された集電箔110は、ニップロール70と第1ホットロール40との間隙G1を通過した後、集電箔110の第1表面110bに配置されている混合粉体層127(混合粉体123)が第1ホットロール40の外周面40bに接触する態様で、第1ホットロール40とニップロール70との間隙G1から、第1ホットロール40と第2ホットロール50との間隙G2に至るまで、第1ホットロール40の外周面40bに沿って搬送される。
第1ホットロール40と第2ホットロール50とは、集電箔110の搬送方向DMについてニップロール70よりも下流側の位置で、垂直方向(図1において上下方向)に対向して配置されている。より具体的には、第1ホットロール40の外周面40bと第2ホットロール50の外周面50bとが、径方向について間隔G2を空けて対面(対向)している。また、第1ホットロール40と第2ホットロール50とは、図1に矢印で示すように、2つのロールの回転方向が互いに逆方向となるように、すなわち、対面する2つのロールが互いに順方向回転となるように設定されている。
第1ホットロール40と第2ホットロール50との対面箇所の間隙G2には、混合粉体層127(混合粉体123)が第1表面110bに配置された集電箔110が通されている。なお、第1ホットロール40と第2ホットロール50との対面箇所の間隙G2の寸法は、集電箔110の厚みT1と混合粉体層127の厚みT2との和(T1+T2、図2参照)よりも小さくされている。また、第1ホットロール40の外周面40b及び第2ホットロール50の外周面50bの温度は、混合粉体層127に含まれる熱可塑性のバインダ122が軟化または溶融する温度に設定されている。
従って、混合粉体層127が配置された集電箔110は、第1ホットロール40と第2ホットロール50との対面箇所の間隙G2を通過することで、その厚み方向にホットプレスされる。より具体的には、混合粉体層127が配置された集電箔110が、第1ホットロール40と第2ホットロール50との対面箇所の間隙G2を通過することで、混合粉体層127と集電箔110が厚み方向に圧接される(混合粉体層127が集電箔110の第1表面110bに向けて加圧されて、混合粉体層127が集電箔110の第1表面110bに圧接する)と共に、混合粉体層127に含まれるバインダ122が加熱されて軟化または溶融する(これにより、混合粉体層127が負極合材層120となる)。
これにより、混合粉体層127に含まれる負極活物質121同士がバインダ122を介して接合すると共に、負極活物質121とバインダ122とからなる負極合材層120が、バインダ122を介して集電箔110の表面(第1表面110b)に接着される。これにより、溶媒を有することなく負極活物質121(電極活物質)とバインダ122とからなる負極合材層120(電極合材層)が集電箔110の表面(第1表面110b)に接着された負極シート100(電極シート)が製造される。
以上説明したように、本実施形態の電極シート製造装置1によれば、溶媒を使用することなく、負極活物質121(電極活物質)とバインダ122とを有する負極合材層120(電極合材層)を、集電箔110の表面(第1表面110b)上に形成することが可能となる。なお、上述のようにして製造された負極シート100は、その後、正極シート及びセパレータと組み合わされて、電極体を形成する。次いで、この電極体に端子部材を取り付けた後、電池ケース内に電極体及び電解液を収容する。これにより、リチウムイオン二次電池が完成する。
ところで、このような電極シート製造装置では、集電箔110の表面(第1表面110b)に配置される混合粉体123の厚み(集電箔110の表面からの高さ)が変化(変動)することがある。集電箔110の第1表面110bに配置されている混合粉体123の厚みが変わると、集電箔110の第1表面110bの単位面積当たりにかかる混合粉体123の体積が変わる。このため、集電箔110の第1表面110bに配置されている混合粉体123が、第1ホットロール40とニップロール70との間隙G1から、第1ホットロール40の外周面40bに接触しつつ第1ホットロール40と第2ホットロール50との間隙G2に搬送されるまでの間に、第1ホットロール40から混合粉体123に供給される、混合粉体123の単位体積当たりの熱量が変わってしまう。その結果、混合粉体123に含まれるバインダ122等の状態が変わってしまう虞があった。
例えば、集電箔110の第1表面110bに配置される混合粉体123の層の厚みが薄くなった場合は、「集電箔110の第1表面110bに配置されている混合粉体123が、第1ホットロール40とニップロール70との間隙G1から、第1ホットロール40の外周面40bに接触しつつ第1ホットロール40と第2ホットロール50との間隙G2に搬送されるまで」の間に、第1ホットロール40から混合粉体123に供給される、混合粉体123の単位体積当たりの熱量が増大する。混合粉体123に供給される熱量が多くなりすぎると、混合粉体123に含まれるバインダ122等が変性する虞があった。
これに対し、本実施形態の電極シート製造装置1は、図4に示すように、ニップロール70を第1ホットロール40の周方向に移動させる移動機構90を備える。移動機構90は、混合粉体123の層の厚みに応じて、ニップロール70を第1ホットロール40の周方向に移動させることで、第1ホットロール40のうち(第1ホットロール40の周方向位置のうち)間隙G1を挟んでニップロール70と対向する位置P1から、第1ホットロール40のうち(第1ホットロール40の周方向位置のうち)間隙G2を挟んで第2ホットロール50と対向する位置P2までの、第1ホットロール40の外周面40bに沿った周方向距離(第1周方向距離L1とする、図1参照)を変更する。なお、図4は、図1のH部拡大図であり、電極シート製造装置1の移動機構90の概略図である。但し、図1では、移動機構90の図示を省略している。
従って、本実施形態の電極シート製造装置1では、集電箔110の第1表面110bに配置されている混合粉体123が、第1ホットロール40とニップロール70との間隙G1から、第1ホットロール40の外周面40bに接触しつつ第1ホットロール40と第2ホットロール50との間隙G2に搬送されるまでの距離(第1ホットロール40の外周面40bに沿った周方向距離)を変更することができる。
このため、集電箔110の第1表面110bに配置される混合粉体123の層の厚みが変動する場合でも、混合粉体123の層の厚みに応じて、移動機構90によって、第1ホットロール40の周方向にかかるニップロールの位置を変更(調整)して、第1周方向距離L1(図1参照)を変更(調整)することで、「集電箔110の第1表面110bに配置されている混合粉体123が、第1ホットロール40とニップロール70との間隙G1から、第1ホットロール40の外周面40bに接触しつつ第1ホットロール40と第2ホットロール50との間隙G2に搬送されるまでの間に、第1ホットロール40から混合粉体123に供給される、混合粉体123の単位体積当たりの熱量」について、混合粉体123の層の厚みの違いによって生じる差を小さくすることができる。
ここで、本実施形態の移動機構90について詳細に説明する。移動機構90は、図4に示すように、サーボモータ91と、第1ホットロール40の中心軸に対して同軸に設けられた円柱状の保持部92と、サーボモータ91の回転軸91bと保持部92とに掛けられた環状のベルト95とを備える。なお、保持部92は、第1ホットロール40とは独立して第1ホットロール40の中心軸の周りに回転可能に設けられている。従って、移動機構90では、サーボモータ91の駆動により、サーボモータ91の回転軸91bを回転させると、回転軸91bの回転に伴ってベルト95がその周方向に移動し、ベルト95の周方向への移動に伴って、保持部92が第1ホットロール40の中心軸の周りに回転する。
さらに、移動機構90は、図4に示すように、ニップロール70の中心軸に対して同軸に設けられた円柱状の支持部93と、保持部92と支持部93とを連結する連結部94とを備える。連結部94は、第1ホットロール40の径方向に延びる棒状をなし、その一方端部が保持部92に固定され、その他方端部が支持部93に固定されている。従って、移動機構90では、前述のように、サーボモータ91の駆動により、保持部92が第1ホットロール40の中心軸の周りに回転すると、この保持部92の回転に伴って、連結部94が、第1ホットロール40の中心軸を回転軸として、第1ホットロール40の周方向に回転し、この連結部94の回転に伴って、支持部93及びこれに固定されているニップロール70が、第1ホットロール40の周方向に移動する。これにより、第1周方向距離L1(図1参照)が変更(調整)される。
さらに、移動機構90は、図4に示すように、制御装置97と、集電箔110の第1表面110bに配置された混合粉体123の層の厚みを測定する測定装置96とを備える。なお、測定装置96は、混合粉体123が配置された集電箔110が、Bロール20の外周面20b上を移動しているときに、集電箔110の第1表面110bに配置されている混合粉体123の層の厚み(例えば、所定長さにおける平均厚み)を測定する。測定装置96としては、例えば、公知のレーザ変位計を用いることができる。
制御装置97は、測定装置96によって測定された混合粉体123の層の厚み(測定値とする)を取得し、取得した測定値に基づいて、サーボモータ91を駆動させる。具体的には、制御装置97は、測定値が第1閾値以上であるか否かを判断し、第1閾値以上である場合は、ニップロール70が第1位置P11(図1に示す位置)に配置された状態にする。従って、ニップロール70が第1位置P11(図1に示す位置)に配置されていない場合、制御装置97は、サーボモータ91の駆動により、ニップロール70を第1ホットロール40の周方向に移動させて、ニップロール70を第1位置P11(図1に示す位置)に配置させる。
また、制御装置97は、測定装置96の測定値が第1閾値未満である場合は、測定値が第2閾値以上であるか否かを判断し、第2閾値以上である場合は、ニップロール70が第2位置P12(図5に実線で示す位置)に配置された状態にする。従って、ニップロール70が第2位置P12に配置されていない場合、制御装置97は、サーボモータ91の駆動により、ニップロール70を第1ホットロール40の周方向に移動させて、ニップロール70を第2位置P12(図5に示す位置)に配置させる。なお、図5では、第2位置P12に配置されているニップロール70を実線で示し、第1位置P11に配置されていたニップロール70を二点鎖線で示している。
なお、第2閾値は、第1閾値よりも小さい値であり、例えば、第1閾値の90%の値に設定される。また、第2位置P12は、第1ホットロール40の周方向について、第1位置P11よりも、第1ホットロール40と第2ホットロール50との間隙G2に近い位置である。第2位置P12は、例えば、「ニップロール70が第2位置P12に配置されているときの第1周方向距離L1(第1周方向距離L12とする)が、ニップロール70が第1位置P11に配置されているときの第1周方向距離L1(第1周方向距離L11とする)の90%の値となる位置」に設定される。また、制御装置97は、測定装置96の測定値が第2閾値未満である場合は、異常であると判定し、電極シート製造装置1の駆動を停止して、負極シート100(電極シート)の製造を停止する。
以上説明したように、本実施形態では、集電箔110の第1表面110bに配置された混合粉体123の層の厚みが薄くなった場合(第1閾値を下回った場合)には、移動機構90によって、ニップロール70を、第1ホットロール40と第2ホットロール50との間隙G2に近づけて、第1周方向距離L1を短くすることで、第1ホットロール40から混合粉体123に供給される単位体積当たりの熱量が増大するのを抑制することができる。これにより、「混合粉体123に過剰な熱量が供給されることによって、混合粉体123に含まれるバインダ122等が変性する不具合」を抑制することができる。
次に、本実施形態にかかるニップロール70の位置調整方法について説明する。
電極シート製造装置1の運転が開始されて、Aロール10とBロール20との対面箇所の間隙において、Aロール10の外周面10bに配置されている混合粉体123が、Aロール10の外周面10bから集電箔110の表面(第1表面110b)へ移動(飛翔)することで、Bロール20によって搬送される集電箔110の表面(第1表面110b)に連続的に配置されてゆくと、図6に示すように、ステップS1において、測定装置96によって、集電箔110の第1表面110bに配置されている混合粉体123の厚みを測定する。なお、ステップS1の処理は、電極シート製造装置1が駆動した後、一定時間毎に、繰り返し行われる。
次いで、ステップS2において、制御装置97は、測定装置96によって測定された混合粉体123の厚み(測定値)を取得し、測定値が第1閾値以上であるか否かを判定する。測定値が第1閾値以上である(YES)と判定した場合は、ステップS3に進み、ニップロール70を第1位置P11(図1に示す位置)に配置する。具体的には、ニップロール70が第1位置P11(図1に示す位置)に配置されていない場合には、制御装置97は、サーボモータ91の駆動により、ニップロール70を第1ホットロール40の周方向に移動させて、ニップロール70を第1位置P11(図1に示す位置)に配置させる。ステップS3の処理を行った後は、ステップS1に戻る。
一方、ステップS2において、測定装置96の測定値が第1閾値以上でない(NO)と判定された場合は、ステップS4に進み、当該測定値が第2閾値以上であるか否かを判定する。ステップS4において、第2閾値以上である(YES)と判定した場合は、ステップS5に進み、ニップロール70を第2位置P12(図5に実線で示す位置)に配置する。具体的には、ニップロール70が第2位置P12に配置されていない場合は、制御装置97は、移動機構90のサーボモータ91の駆動により、ニップロール70を第1ホットロール40の周方向に移動させて、ニップロール70を第2位置P12に配置させる。ステップS5の処理を行った後は、ステップS1に戻る。一方、ステップS4において、測定装置96の測定値が第2閾値以上でない(NO)と判定された場合は、ステップS6に進み、制御装置97は、異常であると判定し、電極シート製造装置1の運転を停止して、負極シート100(電極シート)の製造を停止する。
(変形形態)
次に、変形形態にかかる電極シート製造装置201(図1参照)について説明する。本変形形態にかかる電極シート製造装置201は、実施形態にかかる電極シート製造装置1と比較して、ニップロール70の位置を調整する移動機構の構成が異なり、その他は同様である。従って、ここでは、実施形態と異なる点を中心に説明し、同様な点については説明を省略または簡略化する。
ところで、実施形態のようにして負極シート100(電極シート)を製造する場合において、集電箔110(混合粉体123が配置された集電箔110)の搬送速度を変更したい場合がある。ところが、集電箔110(混合粉体123が配置された集電箔110)の搬送速度を変更すると、「集電箔110の表面(第1表面110b)に配置されている混合粉体123が、第1ホットロール40の外周面40bに接触しつつ第1ホットロール40と第2ホットロール50との間隙G2まで搬送されるのに要する時間」が変わってしまう。これにより、第1ホットロール40から混合粉体123に供給される熱量が変わってしまい、混合粉体123に含まれるバインダ122等の状態が変わってしまう虞がある。
例えば、集電箔110(混合粉体123が配置された集電箔110)の搬送速度を遅くした場合は、「集電箔110の表面(第1表面110b)に配置されている混合粉体123が、第1ホットロール40とニップロール70との間隙G1から、第1ホットロール40の外周面40bに接触しつつ第1ホットロール40と第2ホットロール50との間隙G2まで搬送されるのに要する時間」が長くなり、混合粉体123に供給される熱量が増大する。混合粉体123に供給される熱量が多くなりすぎると、混合粉体123に含まれるバインダ122等が変性する虞があった。
これに対し、本変形形態の電極シート製造装置201は、図7に示すように、ニップロール70を第1ホットロール40の周方向に移動させる移動機構290を備える。移動機構290は、集電箔110(混合粉体123が配置された集電箔110)の搬送速度に応じて、ニップロール70を第1ホットロール40の周方向に移動させることで、第1ホットロール40のうち(第1ホットロール40の周方向位置のうち)間隙G1を挟んでニップロール70と対向する位置P1から、第1ホットロール40のうち(第1ホットロール40の周方向位置のうち)間隙G2を挟んで第2ホットロール50と対向する位置P2までの、第1ホットロール40の外周面40bに沿った周方向距離(第1周方向距離L1、図1参照)を変更する。なお、図7は、図1のH部拡大図であり、電極シート製造装置201の移動機構290の概略図である。但し、図1では、移動機構290の図示を省略している。
従って、本変形形態の電極シート製造装置201では、集電箔110(混合粉体123が配置された集電箔110)の搬送速度に応じて、「集電箔110の第1表面110bに配置されている混合粉体123が、第1ホットロール40とニップロール70との間隙G1から、第1ホットロール40の外周面40bに接触しつつ第1ホットロール40と第2ホットロール50との間隙G2に搬送されるまでの距離(第1ホットロール40の外周面40bに沿った周方向距離)」を変更することができる。
このため、本変形形態の電極シート製造装置201では、集電箔110(混合粉体123が配置された集電箔110)の搬送速度を変更する場合でも、設定する搬送速度に応じて、移動機構290によって、第1ホットロール40の周方向にかかるニップロール70の位置を変更(調整)して、前述の第1周方向距離L1を変更(調整)することで、「集電箔110の第1表面110bに配置されている混合粉体123が、第1ホットロール40とニップロール70との間隙G1から、第1ホットロール40の外周面40bに接触しつつ第1ホットロール40と第2ホットロール50との間隙G2まで搬送されるまでの間に、第1ホットロール40から混合粉体123に供給される熱量」について、集電箔110の搬送速度の違いによって生じる差を小さくすることができる。
具体的には、集電箔110の搬送速度を遅くする場合に、移動機構290によって、ニップロール70を、第1ホットロール40と第2ホットロール50との間隙G2に近づけて、第1周方向距離L1を短くすることで、第1ホットロール40から混合粉体123に供給される熱量が増大するのを抑制することができる。これにより、「混合粉体123に過剰な熱量が供給されることによって、混合粉体123に含まれるバインダ122等が変性する不具合」を抑制することができる。
なお、本変形形態の電極シート製造装置201では、「集電箔110の第1表面110bに配置されている混合粉体123が、第1ホットロール40とニップロール70との間隙G1から、第1ホットロール40の外周面40bに接触しつつ第1ホットロール40と第2ホットロール50との間隙G2まで搬送されるのに要する時間(すなわち、第1周方向距離L1を移動するのに要する時間)」が一定になるように、集電箔110の搬送速度に応じて、第1ホットロール40の周方向にかかるニップロール70の位置を変更(調整)する。これにより、集電箔110の搬送速度に拘わらず、第1ホットロール40から混合粉体123に供給される熱量を略一定にすることができる。
ここで、本変形形態の移動機構290の構成について説明する。本変形形態の移動機構290は、図7に示すように、実施形態の移動機構90と同様に、サーボモータ91と、保持部92と、ベルト95と、支持部93と、連結部94とを備える。さらに、本変形形態の移動機構290は、実施形態の移動機構90とは異なり、制御装置297を備える。
制御装置297は、設定された集電箔110(混合粉体123が配置された集電箔110)の搬送速度V1を検出し、「混合粉体123が配置されている集電箔110が、第1ホットロール40とニップロール70との間隙G1から、第1ホットロール40と第2ホットロール50との間隙G2まで搬送されるのに要する時間(すなわち、第1周方向距離L1を移動するのに要する時間)」が、予め設定した一定時間Tcになるように、第1ホットロール40の周方向にかかるニップロール70の位置を決定する。すなわち、制御装置297は、搬送速度V1に基づいて、(搬送速度V1)×(第1周方向距離L1)=(一定時間Tc)となるように、第1ホットロール40の周方向にかかるニップロール70の位置を決定する。
さらに、制御装置297は、決定した位置にニップロール70を配置させる。具体的には、決定した位置にニップロール70が配置されていない場合は、制御装置97は、サーボモータ91の駆動により、ニップロール70を第1ホットロール40の周方向に移動させて、ニップロール70を決定した位置に配置させる。このようにして、「混合粉体123が配置されている集電箔110が、第1ホットロール40とニップロール70との間隙G1から、第1ホットロール40と第2ホットロール50との間隙G2まで搬送されるのに要する時間(すなわち、第1周方向距離L1を移動するのに要する時間)」を、集電箔110の搬送速度に拘わらず一定にする。
従って、本変形形態では、集電箔110の搬送速度に拘わらず、第1ホットロール40から混合粉体123に供給される熱量を略一定にすることができる。これにより、集電箔110の搬送速度の変更(具体的には、搬送速度の低減)に伴って、「混合粉体123に過剰な熱量が供給されることによって、混合粉体123に含まれるバインダ122等が変性する不具合」を抑制することができる。
以上において、本発明を実施形態及び変形形態に即して説明したが、本発明は前記実施形態等に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できることはいうまでもない。
例えば、実施形態等では、電極シート製造装置1,201を、負極シート100の製造に使用した例を示した。しかしながら、電極シート製造装置1,201を、正極シートの製造に使用するようにしても良い。すなわち、本発明の電極シート製造装置は、負極シートを製造する装置のみならず、正極シートを製造する装置にも適用することができる。
また、実施形態等では、Aロール10としてマグネットロールを用いたが、図8及び図9に示すように、Aロール310として、凹凸形状である外周面310bを有するグラビアロールを用いても良い。Aロール310の外周面310bには、ディンプル形状の凹部311が多数形成されている。なお、図8は、Aロール310の外周面310bの部分拡大図である。図8におけるAX1は、Aロール310の中心軸線である。また、図9は、図8のB-B断面図であり、Aロール310の拡大断面図(中心軸線AX1を通る位置でAロール310を径方向に切断した断面図)である。Aロール310(グラビアロール)を用いる場合は、実施形態等と異なり、混合粉体123に磁性体124の粉体を添加することなく、混合粉体123のみを、混合粉体供給装置30によってAロール310の外周面310bに連続的に供給する。より具体的には、混合粉体供給装置30は、Aロール310の外周面310bの凹部311内に混合粉体123を充填するようにして、Aロール310の外周面310bの凹部311内に、連続的に混合粉体123を供給する。
また、実施形態等では、電極シート製造装置1,201を用いて、負極合材層120を、集電箔110の片面(第1表面110b)のみに形成する例を示したが、集電箔110の両面(第1表面110bと第2表面110c)に形成するようにしても良い。集電箔110の両面(第1表面110bと第2表面110c)に負極合材層120を形成する場合は、前述のようにして、電極シート製造装置1,201を用いて、集電箔110の片面(第1表面110b)に負極合材層120を形成した後、集電箔110のうち負極合材層120を形成していない第2表面110cに対し、同様の処理を行うようにすれば良い。
また、実施形態では、混合粉体123の厚みに応じて、移動機構90によって、第1ホットロール40の周方向にかかるニップロールの位置を変更(調整)して、第1周方向距離L1(図1参照)を変更(調整)するようにした。しかしながら、混合粉体123の厚みに加えて、集電箔110の搬送速度も考慮して、第1ホットロール40の周方向にかかるニップロールの位置を変更(調整)して、第1周方向距離L1を変更(調整)するようにしても良い。
1,201 電極シート製造装置
10,310 Aロール
10b 外周面
20 Bロール
30 混合粉体供給装置
40 第1ホットロール
50 第2ホットロール
60 電気回路
65 電源
70 ニップロール
90,290 移動機構
100 負極シート(電極シート)
110 集電箔
110b 第1表面
120 負極合材層(電極合材層)
121 負極活物質(電極活物質)
122 バインダ
123 混合粉体
127 混合粉体層
DL 集電箔の長さ方向
DM 搬送方向
L1 第1周方向距離

Claims (1)

  1. 電極活物質と熱可塑性のバインダとを有する電極合材層を集電箔の表面上に備える電極シートを製造する、電極シート製造装置において、
    回転するAロールと、
    前記Aロールとの間に間隙を空けて前記Aロールに対向して回転するBロールであって、前記集電箔を前記間隙に通すようにして前記集電箔を搬送するBロールと、を備え、
    前記Aロールと、前記Bロールによって搬送される前記集電箔との間に、電位差を生じさせた状態で、溶媒を含むことなく前記電極活物質の粉体と前記バインダの粉体とが混合された混合粉体を、前記Aロールの外周面に連続的に供給して、前記Aロールの前記外周面に供給された前記混合粉体と、前記集電箔との間に電位差を生じさせ、前記混合粉体と前記集電箔との間に働く静電気力によって、前記混合粉体を、前記Aロールから前記集電箔の前記表面へ移動させて、前記Bロールによって搬送される前記集電箔の前記表面に前記混合粉体を連続的に配置する
    電極シート製造装置であって、
    間隙を空けて対向して回転する第1ホットロールと第2ホットロールであって、前記混合粉体が配置された前記集電箔を前記間隙に通すことによって、前記混合粉体に含まれる前記バインダを軟化または溶融させつつ、前記混合粉体と前記集電箔とを圧接することで、前記電極活物質と前記バインダとを有する前記電極合材層を前記集電箔の前記表面に接着させる第1ホットロール及び第2ホットロールと、
    前記集電箔の搬送方向について、前記Bロールよりも下流側で、且つ、前記第1ホットロールと前記第2ホットロールとの前記間隙よりも上流側の位置で、前記第1ホットロールとの間に間隙を空けて前記第1ホットロールに対向して配置されたニップロールと、を備え、
    前記混合粉体が配置された前記集電箔を、前記第1ホットロールと前記ニップロールとの前記間隙に通すことによって、前記集電箔の前記表面に配置されている前記混合粉体を均し、その後、前記集電箔の前記表面に配置されている前記混合粉体を前記第1ホットロールの外周面に接触させつつ、前記混合粉体が配置された前記集電箔を、前記第1ホットロールと前記ニップロールとの前記間隙から前記第1ホットロールと前記第2ホットロールとの前記間隙まで、前記第1ホットロールの前記外周面に沿って搬送する構成を有し、
    さらに、前記電極シート製造装置は、
    前記ニップロールを前記第1ホットロールの周方向に移動させて、前記第1ホットロールのうち前記間隙を挟んで前記ニップロールと対向する位置から、前記第1ホットロールのうち前記間隙を挟んで前記第2ホットロールと対向する位置までの、前記第1ホットロールの前記外周面に沿った周方向距離を変更する移動機構を備える
    電極シート製造装置。
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