JP2016181445A - リチウムイオン二次電池用電極の製造方法 - Google Patents

リチウムイオン二次電池用電極の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】造粒粒子を使用して、活物質層の目付量がより均一で高品質なリチウムイオン二次電池用電極の製造方法の提供。【解決手段】長尺の集電体上に該集電体の長手方向に沿ってバインダと溶媒とを含むバインダ液を塗工してバインダコート層を形成する工程であって、バインダコート層120は、バインダ液が長手方向に沿って細線状に塗工される塗工部Lnが、長手方向に直交する幅方向に複数本配列され、縞状パターンを形成し、前記塗工部Lnは、長手方向に延びる中心線Snに直交する幅方向に振幅2Aで蛇行する波線を呈し、隣り合う塗工部Ln及びLn+1は互いに接することなく、両者の間に前記長手方向に沿って伸びる非塗工部Lmが形成されており、前記塗工部Lnは直線部分を含まず、前記バインダコート層120の上に活物質粒とバインダとを含む造粒粒子を供給し、供給された前記造粒粒子を押圧し、活物質層と形成する電極の製造方法。【選択図】図3A

Description

本発明は、造粒粒子を使用して活物質層を形成するリチウムイオン二次電池用電極の製造方法に関する。
リチウムイオン二次電池に用いられる電極は、典型的には、集電体上に活物質を含む活物質層を備えている。活物質層は、一般に、活物質を液状媒体に分散させたスラリー状組成物を集電体の表面に塗布して乾燥した後、押圧することで製造されている。また、液状媒体を使用することなく、乾燥工程を省略して、省エネルギーかつ低コストに製造する方法も知られている。例えば、特許文献1には、集電体の表面にバインダ液をパターン塗工し、その上に活物質粒子とバインダとを造粒した造粒粒子の粉体を供給し、押圧することで、電極を製造することが開示されている。
特開2014−078497号公報
ところで、リチウムイオン二次電池については、より高性能の電池を安定して低コストに製造することが求められている。とりわけ、造粒粒子を用いて作製するリチウムイオン二次電池用電極については、スラリー状組成物を用いて作製する電極と比較して、活物質層の目付量の均一性や集電体との結着性が低下しがちであり得る。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、造粒粒子を使用した場合であっても、活物質層の目付量がより均一で高品質なリチウムイオン二次電池用電極の製造方法を提供することである。
本発明者らは、リチウムイオン二次電池用電極の更なる品質の向上を実現するべく鋭意研究を重ねており、例えば、造粒粒子を用いて活物質層を形成する場合には、目付量をより均一にすることで、容量維持率等の電極性能をより一層高め得ることを知見している。ところで、近年のインラインでの電極製造においては、生産性の向上の観点から、従来と比べて集電体の搬送速度が高速化されてきており、また今後より一層の高速化が求められている。しかしながら、搬送速度が高速化するにつれ、供給された造粒粒子が集電体上に均一に留まらず、搬送方向下流に流される現象が見られた。本出願は、例えば、このように造粒粒子を用いて高速で電極を製造する場合であっても、造粒粒子の目付品質を高めることができるようにしたものである。
すなわち、ここで提案される技術は、リチウムイオン二次電池用電極の製造方法を提供する。この製造方法は、長尺の集電体上に該集電体の長手方向に沿ってバインダと溶媒とを含むバインダ液を塗工してバインダコート層を形成する工程;このバインダコート層の上に、活物質粒子とバインダとを含む造粒粒子を供給する工程;供給された前記造粒粒子を押圧することで活物質層を形成する工程;を包含する。ここで上記バインダコート層は、上記バインダ液が上記長手方向に沿って細線状に塗工されてなる塗工部Lnが、上記長手方向に直交する幅方向に複数本配列されてなる縞状パターンを形成している。そして、上記塗工部Lnは、上記長手方向に延びる中心線Snに直交する幅方向に振幅2A(2×Aである。)で蛇行する波線を呈するとともに、隣り合う上記塗工部LnおよびLn+1は互いに接することなく、両者の間に上記長手方向に沿って伸びる非塗工部Lmが形成されている。そして、上記塗工部Lnは直線部分を含まないことにより特徴づけられる。
本発明者らは、造粒粒子の目付量は、バインダコート層を集電体上によりムラなく供給(塗布)することによって一層の均一化を図り得ることを見出した。また、電極をインラインで製造する場合は、バインダ液についても、慣性力や空気抵抗等により搬送方向下流に流され、バインダコート層に意図しないムラが生じ得ることを知見した。上記のような製造方法によると、塗工部に直線部分がないため、集電体の搬送速度が速い(例えば、およそ20m/分以上)場合であっても、搬送に起因するバインダコート層の塗工量のムラの発生を抑制することができる。延いては、このバインダコート層の上に形成される活物質層の目付量をより均一化することができる。
ここで開示される製造方法の好ましい一態様において、上記縞状パターンにおいて、隣り合う上記塗工部LnおよびLn+1に関するそれぞれの上記中心線SnおよびSn+1の距離をXとし、上記造粒粒子の平均粒子径をDとしたとき、次式:X<2A+D;を満たすことを特徴としている。より好ましくは、上記距離Xは、次式:X≦2A;を満たすことを特徴としている。これにより、集電体上で造粒粒子が滑るなどして目付量にばらつきが生じることを効果的に抑制することができる。
ここで開示される製造方法の好ましい一態様において、上記塗工部Lnの振幅2Aと、上記造粒粒子の平均粒子径Dとは、次式:2×D≦2A≦15×D;を満たすことを特徴としている。集電体は長尺方向に搬送されることから、このように塗工部Lnが十分に蛇行することにより、集電体上で造粒粒子が滑ることを効果的に抑制することができる。
ここで開示される製造方法の好ましい一態様において、上記塗工部Lnは一定の周期Tでの蛇行を繰り返しており、上記周期Tと、上記造粒粒子の平均粒子径Dとは、次式:10×D≦T≦30×D;を満たすことを特徴としている。これにより、塗工部Lnの蛇行の緩急をより適切とすることができ、集電体上で造粒粒子が滑ることを効果的に抑制することができる。
ここで開示される製造方法の好ましい一態様において、上記塗工部Lnは、上記非塗工部Lmとの境界である輪郭が上記波線よりもさらに細かい微細波線を呈していることを特徴としている。このようにバインダコート層の塗工部Lnの縁を波線状とすることで、搬送によるバインダコート層のムラの発生をより一層抑制することができる。
ここで開示される製造方法の好ましい一態様において、上記バインダコート層は、グラビア印刷法により形成することを特徴としている。このような構成によると、バインダ液を高速で集電体上に供給(塗工)することができ、電極の製造速度を高速化することができる。
図1Aは、一実施形態に係るリチウムイオン二次電池用電極の製造装置を示す模式図である。 図1Bは、他の実施形態に係るリチウムイオン二次電池用電極の製造装置を示す模式図である。 図2は、一実施形態に係る造粒粒子を模式的に示す図である。 図3Aは、一実施形態に係るバインダコート層の塗工パターンを模式的に示す図である。 図3Bは、他の実施形態に係るバインダコート層の塗工パターンを模式的に示す図である。 図4は、リチウムイオン二次電池を模式的に示す図である。 図5は、捲回電極体の構成を説明するための図である。
以下、ここで提案されるリチウムイオン二次電池用電極の製造方法について、適宜図面を参照しつつ、好適な一実施形態をもとに詳細に説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄(例えば、リチウムイオン二次電池の電極構成材料の詳細や電池の動作方法等の一般的事項等)は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。また、各図は模式的に描かれており、例えば、各図における寸法関係(長さ、幅、厚さ等)は必ずしも実際の寸法関係を反映するものではない。本明細書において「二次電池」とは、繰り返し充電可能な電池一般をいう。「リチウムイオン二次電池」は、電解質イオンとしてリチウムイオンを利用し、正負極間におけるリチウムイオンに伴う電荷の移動により充放電が実現される二次電池をいう。
ここで開示される製造方法は、長尺の集電体上に活物質層を備えた長尺の電極(正極および負極)を製造する方法である。
<第1実施形態>
本実施形態に係る電極製造工程は、本質的に、以下の工程(a)〜(c)を含んでいる。
(a)バインダコート層の形成工程
(b)造粒粒子の供給工程
(c)押圧工程
図1Aは、本発明の一実施形態に係る電極の製造工程を具現化する製造装置100を示す模式図である。この製造装置1は、リチウムイオン二次電池の正極用の電極(正極)および負極用の電極(負極)の何れの製造にも適用することができる。ここで、製造装置1は、図1Aに示すように、搬送部10と、バインダ液塗工部20と、造粒粒子供給部30と、圧延ロール40とを備えている。これらは予め定められた搬送経路に沿って順に設置されている。ここで、搬送部10は搬送経路に沿って集電体110を搬送する装置である。バインダ液塗工部20は、バインダ液21を塗工する装置である。造粒粒子供給部30は、造粒粒子32を供給する装置である。圧延ロール40は、供給された造粒粒子を押圧する装置である。製造装置1を構成するこれらの構成部材については、後述する。図2は、造粒粒子32の構成を模式的に示す図である。
図1Aに示された製造装置1は、典型的には、長尺の集電体110を長手方向に沿って搬送しながら、この集電体110上に、バインダコート層120、活物質層130を順次形成して電極100を製造する。ここでは、長尺状の集電体110が、搬送部10によって、予め定められた搬送経路に沿って搬送される。図中の矢印は、搬送方向を示している。この実施形態では、搬送部10は、複数の搬送ローラおよびガイドロール等により構成されている。長尺の集電体110は、例えば、ロール状に巻き取られた形態のものが、この搬送部10により引き出され、所定の工程を経た後、製造された電極100として巻き取られる。
a.バインダコート層の形成工程
工程aでは、長尺の集電体110の上に該集電体110の長手方向に沿ってバインダと溶媒とを含むバインダ液21を塗工してバインダコート層120を形成する。このバインダコート層120は、本質的に、後述の造粒粒子の集電体110上での滑りを抑制し、所望の供給位置に留めることで、造粒粒子の集電体110への結着性を高める役割を担っている。つまり、集電体の造粒粒子に対する搬送力(摩擦力)を高め得るものである。
集電体110は、電極(正極および負極)において電気が取り出される部材である。例えば、リチウムイオン二次電池に用いられる集電体110には、電子伝導性に優れ、電池内部で安定に存在する材料が用いられる。また、軽量化や所要の機械強度や加工のしやすさなどが求められる。例えば、図1Aに示す例では、集電体110として、帯状の金属箔が用意されている。ここでは、集電箔としての帯状の金属箔は、巻芯に巻かれた状態で用意されている。
リチウムイオン二次電池の正極を形成する場合、例えば、正極集電体としてアルミニウムまたはアルミニウム合金や、各種のステンレス鋼が用いられる。正極集電体の厚みは特に限定されないが、高強度および低抵抗の観点から、概ね5μm〜30μmが適当であり、好ましくは10μm〜20μm(例えば15μm)である。リチウムイオン二次電池の負極を形成する場合、例えば、負極集電体として銅または銅合金が用いられる。この銅材は、圧延銅箔であっても良いし、電解銅箔であっても良い。負極集電体の厚みとしては、特に限定されないが、高強度および低抵抗の観点から、概ね5μm〜20μmが適当であり、好ましくは8μm〜15μm(例えば10μm)である。これらの集電体は、表面に凹凸を有しているものであっても良いが、平滑表面を有しているものであることで、本発明の効果がより明瞭に顕われ得る点において好ましい。また、これらの集電体には、無機、有機あるいはその他の防錆処理を施しても良い。また、加熱処理、コロナ処理、プラズマ処理などを施すことにより、表面の不純物(例えば圧延油)を除去して濡れ性を向上させるようにしても良い。
バインダ液21は、溶媒にバインダを分散または溶解させた液である。バインダ液21の溶媒としては、環境負荷を軽減するとの観点において、いわゆる水系の溶媒が好適に用いられる。この場合、水または水を主体とする混合溶媒を用いることができる。かかる混合溶媒を構成する水以外の溶媒成分としては、水と均一に混合し得る有機溶媒(低級アルコール、低級ケトン等)の一種または二種以上を適宜選択して用いることができる。例えば、該水系溶媒の80質量%以上(より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上)が水である水系溶媒の使用が好ましい。特に好ましい例として、実質的に水からなる水系溶媒が挙げられる。また、バインダ液21の溶媒は、いわゆる水系の溶媒に限定されず、いわゆる有機溶剤系であってもよい。有機溶剤系溶媒としては、例えばN−メチルピロリドン(NMP)などが挙げられる。
また、バインダ液21に含まれるバインダとしては、後述の造粒粒子の結合を実現し得る各種の材料のなかから、使用する溶媒に分散または溶解し得る材料を用いることが好ましい。かかるバインダは、典型的にはポリマー材料であって、例えば後述の造粒粒子32の作製に用いるものと同じであってもよく、異なっていてもよい。一例として、例えば溶媒が水系の場合、例えば、スチレンブタジエン共重合体(SBR)、アクリル酸変性SBR樹脂(SBR系ラテックス)等のゴム類、水系ポリアクリル酸(PAA)などの等のアクリル系樹脂の使用が好ましい。また、溶媒として有機溶剤系のものを用いる場合、バインダとして、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等のハロゲン化ビニル樹脂、アクリル酸エステルあるいはメタクリル酸エステルの重合体等のアクリル系樹脂などを好ましく用いることができる。
バインダ液21の好適例としては、例えば、リチウムイオン二次電池の正極では、水を溶媒とし、バインダとしてのSBRやアクリル樹脂(例えば、ポリメタクリル酸エステル樹脂)を混ぜるとよい。また、リチウムイオン二次電池の負極では、水を溶媒とし、バインダとしてのSBRを混ぜるとよい。なお、SBRについては、これに限定されるものではないが、ガラス転移温度が−50℃〜30℃程度のものを好適に用いることができる。
バインダ液21の固形分率としては特に制限されない。例えば、取扱性や塗工性を高める観点からは、概ね5質量%以上60質量%以下、好ましくは10質量%以上50質量%以下、例えば10質量%以上45質量%以下であるとよい。
なお、バインダ液21は、本発明の効果を妨げない限り、集電体110に対する濡れ性を改善する目的などで、公知の増粘剤や界面活性剤などの添加剤を1種または2種以上含むことができる。
この実施形態では、バインダ液21は、例えば、長尺状の集電体110の長手方向に沿って予め定められた塗工パターンで集電体110に塗工している。ここでは、集電体110に予め定められた領域にバインダ液21を塗工している。例えば、集電体110の長手方向に直交する幅方向の一方の端部に沿って、後述する集電体露出部を帯状に確保しておき、その他の領域にパターン塗工することで、バインダコート層120を形成することができる。集電体露出部の他の領域は、後述の活物質層を形成する領域に一致する。
なお、バインダ液塗工部20としては特に制限されず、各種の塗工機や印刷機等を用いることができる。例えば、具体的には、グラビアロールコーター等の各種の凹版印刷機、スリットコーター、コンマコーター、キャップコーター(Capillary Coater:CAPコーター)等のダイコーター、リップコーター等の各種の塗布装置を使用することができる。なかでも、グラビア印刷法を利用して塗工すると、比較的高速でのバインダコート層の形成が可能となるために好ましい。例えば、バインダ液塗工部20には、ダイレクトグラビアロールコーター(direct gravure roll coater)を好適に採用することができる。このバインダ液塗工部20では、所定のパターン形状が表面に彫刻されたグラビアロールを用いたダイレクトグラビアによって、バインダ液21を集電体110に転写する。
図1Aに示す例では、搬送部10において、バインダ液21が塗工される処理面(すなわちバインダコート層120が形成される面)を下に向けて、帯状の集電体110を搬送し、当該集電体110をグラビアロールに当接させている。グラビアロールの下側は、貯留槽に貯められたバインダ液21に浸漬されており、グラビアロールが回転することでグラビアロールに設けられた彫刻溝に入り込んだ所定量のバインダ液21をロールの上側にまで搬送している。そして、集電体110はグラビアロールの上側でインプレッションロールによりロール表面に押し当てられている。これにより、貯留槽に貯められたバインダ液21は、彫刻溝を介して集電体110に連続的に転写される。かかる転写によって、集電体110上にグラビアロールのパターン形状に対応するバインダコート層120が形成される。
ここで、図3Aおよび図3Bは、集電体110上に形成されたバインダコート層120の塗工パターンを模式的に例示している。例えば図3Aに示すように、バインダコート層120においては、バインダ液21が集電体110の長手方向に沿って細線状に塗工されてなる塗工部Lnが、長手方向に直交する幅方向に複数本配列されることで、縞状パターンを形成している。本明細書において、塗工部の「Ln」は、バインダコート層120中に複数本形成されている塗工部のうちの任意の塗工部を示している。したがって、「Ln+1」は、当該Lnに隣接する他の塗工部を示している。ここで、隣り合う塗工部LnとLn+1とは、互いに接することなく、両者の間には長手方向に沿って伸びる非塗工部Lm(ここで「Lm」は上記Lnに準じる。)が形成されている。換言すると、バインダコート層120は、塗工部Lnと非塗工部Lmとが、交互に配置されている。塗工部Lnと非塗工部Lmとは、典型的には長手方向の全長に亘って交互に配置され得る。また、塗工部Lnは、長手方向に延びる中心線Snに直交する幅方向に、振幅2Aで蛇行する波線を呈している。そして、この塗工部Lnの波線形態が直線部分を含まないことを特徴としている。
なお、本明細書において、「直線部分を含まない」とは、波線の蛇行の様子を、例えば、振幅2Aおよび周期Tで振動する波形としてとらえたとき、かかる波形の接線の傾きが長手方向に沿って常に変化している状態を意味する。塗工部Lnが直線部分を含むか含まないかは、例えば、この塗工部Lnの波線の形態を適切な波形解析ソフトにて形態解析を行うことで確認することができる。このとき、解析精度は、例えば、当該波形の振幅2Aおよび周期Tについて、誤差率が5%以内(例えば3%以内)となるように実施することが好適である。
本発明者らによると、造粒粒子を用いた電極100の形成において、バインダコート層120における単位面積当たりのバインダ液21の塗工量(固形分換算の値であり、以下、単に、目付量等という場合がある。)は、活物質層130の目付量に影響を与え得ることが知見された。より具体的には、バインダ液21の性状にもよるため一概には言えないが、バインダコート層120上に供給される造粒粒子32を搬送方向下流へ持って行かれることなく、塗工部Ln上により確実に留まらせるためには、バインダコート層120の厚みは0.4μm以上(より好適には1.0μm以上)であることが好ましいことを知見している。なお、バインダコート層120の厚みが厚すぎると電極の貫通抵抗が過度に増大するため、バインダコート層120の厚みは、例えば0.4μm以上1.3μm以下程度とするのが好ましい。
このとき、バインダ液21の性状にもよるが、集電体110上に形成されたバインダコート層120のバインダ液21も、未乾燥の状態では、集電体110の搬送速度が速くなればなるほど搬送方向下流側に移動される傾向がある。したがって、従来では、同じ一の塗工部Lnであっても、集電体110の搬送に伴ってその厚みに意図しないムラが生じ、厚みの薄い部分や厚い部分が発生し得ていた。例えば、一の塗工部Lnにおいて、より下流側に厚みの厚い部分が生じることがあった。また、塗工部Lnの厚みの厚い部分にさらにバインダ液21が流れ込むと、バインダ液21が塗工パターンからはみ出してダレを形成し、結果として塗工部Lnの面積を増大させるとともに、当該部分の厚みをより薄くしてしまっていた。このようなバインダ液21のダレは、塗工部Lnが屈曲する点において特に顕著に見られた。
一方で、塗工部Lnの厚みムラやダレの形成を防止するためにバインダ液21の粘度を増大することも考えることができる。しかしながら、バインダ液21の過度な粘度の増大は、バインダ液21の供給性の悪化や、塗工機等の目詰まり、および版離れの悪化を招き、微細な塗工パターンでの高速塗工が困難になるという背反があった。
そこで本発明においては、上記のとおり、塗工部Lnを波線状に蛇行させて搬送方向でのバインダ液21の移動に対する抵抗を高めるようにしている。また、波線状の塗工部Lnに直線部を設けないことで、搬送方向でのバインダ液21の移動に対する抑止力が作用するようにしている。つまり、塗工部Lnに直線部を設けないことで、塗工部Lnの各位置に作用する搬送方向下流側への力(慣性力など)に対し、常に抵抗成分が作用するように構成している。また、必然的に、直線部を設けないことで、塗工パターンに屈曲部(折れ曲がり部)が形成されることも避けられる。これにより、バインダ液21に作用する搬送方向下流側への力が加速されるのを抑制し、塗工部Lnの厚みムラおよびダレの形成を好適に抑制可能としている。
なお、例えば特許文献1には、従来のバインダコート層120の塗工パターンでも、細線状の塗工部を縦方向(すなわち縦ストライプ状)に設けるだけでなく、斜め方向(すなわち斜めストライプ状)に設けてよいこと等が開示されている。また、このような縦ストライプや斜めストライプに、曲線を組み合わせ得ることも記載されている。しかしながら、縦ストライプや斜めストライプのいずれであっても、塗工パターンに少しでも直線部分が含まれることで、かかる直線部分においてバインダ液21の搬送方向下流側への移動が加速され得る。したがって、集電体の搬送速度のより一層の高速化を考慮した場合、従来技術の構成では、バインダ液21の厚みムラおよびダレの形成を防止するのは困難であることがわかる。
なお、ここで、隣り合う塗工部LnおよびLn+1が互いに接する(又は交わる)と、かかる接点においてバインダ液21の液だまりや、一方の塗工部Ln又はLn+1から、他方の塗工部Ln+1又はLnへのバインダ液21の移動が生じ得る。かかる液だまりやバインダ液の移動は、塗工部の厚みのムラを著しく増大させ得るために好ましくない。塗工部Lnは、例えば搬送方向に沿った一筆書きのように、他のいずれの塗工部とも交わらないことが重要であり得る。
塗工部Lnの波線形態、換言すると蛇行の様子は厳密には制限されない。例えば、図3Aに示すように、塗工部Lnは、集電体110の長手方向に中心線Snを引いたとき、この中心線Snに直交する幅方向にそれぞれ幅Aずつ振れて湾曲する振幅2Aの波線として把握することができる。このとき、中心線Snは、長手方向に延びる直線であっても良いし、直線でなくても良い。そして、隣り合う塗工部LnおよびLn+1の中心線SnおよびSn+1の間の距離をXとし、造粒粒子32の平均粒子径をDとしたとき、これらは次式:X<2A+D;を満たしていることが好ましい。
すなわち、塗工部LnとLn+1とは、互いに交わらないために離れているが、塗工部LnとLn+1との間に造粒粒子32が容易に通り抜けられる間隔が形成されていないことが好ましい。例えば図3Aの例では、塗工部Lnの占める帯状領域と、塗工部Ln+1の占める帯状領域との間の距離δdが、平均粒子径Dよりも狭いことが好ましい。また、X≦2A+1/2×Dであって、隣り合う塗工部の間は1/2×D以下とほぼ隙間がないことが好ましい。さらには、X≦2Aであって、長手方向で隙間がないか、塗工部LnとLn+1とが交わることなく曲線として嵌まり合っていること(例えば図3B参照)が特に好ましい。これにより、万一塗工部Ln上に供給された造粒粒子32が搬送方向下流に移動したとしても、次の湾曲部分によりその移動を抑制することができる。また、非塗工部Lm上に供給された造粒粒子32が、搬送方向下流に移動されるのをより確実に抑制することができる。以下、図3Bに示すように、X≦2Aであって、塗工部Lnの占める帯状領域と、塗工部Ln+1の占める帯状領域とが重なっている様子を、塗工部Lnと塗工部Ln+1とが「嵌まり合っている」のように表現する場合がある。
なお、ここで、塗工部Lnの振幅2Aと、造粒粒子32の平均粒子径Dとについては、次式:2×D≦2A≦15×D;を満たしていることが好ましい。すなわち、振幅2Aが平均粒子径Dに比べて小さすぎると、かかる波線状の塗工部Lnにて造粒粒子32を安定的に保持することが困難となったり、塗工部Lnのうち搬送方向に対して90°に近い部分の割合が相対的に少なくなったりし得るために好ましくない。かかる観点から、3×D≦2Aであることが好ましく、4×D≦2Aであることがより好ましい。一方で、振幅2Aが平均粒子径Dに比べて過度に大きくなると、バインダコート層120に占める塗工部Lnの割合が少なくなりがちなために好ましくない。したがって、2A≦10×Dであることが適切であり、2A≦8×Dであることが好ましく、2A≦6×Dであることがより好ましい。
また、搬送方向下流側へのバインダ液21の移動を好適に抑制するとの観点からは、上記のような蛇行が搬送方向に対して90°に近い部分をより多く含むことが好ましい。換言すると、蛇行の周期(ピッチ)Tが比較的短い(狭い)ことが好ましい。かかる周期Tは厳密には制限されず、例えば搬送速度や上記振幅とのバランスを考慮する等して決定することができる。しかしながら、造粒粒子32の移動をより効果的に抑制し得る形態として、周期Tと造粒粒子32の平均粒子径Dとは、次式:10×D≦T≦30×D;の関係を満たすことが好ましい。周期Tと平均粒子径Dとは、12×D≦Tであることが好ましく、14×D≦Tであることが特に好ましい。また、T≦28×Dであることが好ましく、T≦26×Dであることが特に好ましい。
また塗工部Lnは、例えば、グラビア印刷法により形成される場合、主としてグラビアロールに設けられた彫刻溝によりその寸法(典型的には線幅)が決定され得る。バインダコート層120全体としてバインダ液の目付量のバラつきを抑えるためには、塗工部Lnをより細い細線(線幅)で構成するとともに、より多数本の塗工部Lnによりバインダコート層120を形成することが好ましい。このような塗工部Lnの線幅は、グラビアロールへの彫刻技術により制約され得ることや、造粒粒子32の性状(例えば平均粒子径)などにもよるため厳密には規定できないものの、例えば、造粒粒子の補足性を高めるとの観点から、10μm以上であることが好ましく、20μm以上であることがより好ましく、例えば50μm以上であることが特に好ましい。しかしながら、塗工部Lnの線幅が太すぎるとバインダ液21の移動を抑制し難くなるとともに電極の貫通抵抗が高くなり得るために好ましくない。したがって、塗工部Lnの線幅は、おおよその目安として300μm以下であることが好ましく、280μm以下であることがより好ましく、250μm以下であることが特に好ましい。
また、グラビアロールへの彫刻技術にもよるが、塗工部Lnの線幅は一定にしても良いし、微細な範囲で変動させても良い。例えば、塗工部Lnの輪郭、すなわち塗工部Lnと非塗工部Lmとの境界が、微細な波線(微細波線)を呈していてもよい。このように塗工部Lnの輪郭を蛇行させるなどして複雑化することでも、バインダ液21の搬送方向下流側への移動をさらに抑制することができる。なお、かかる微細波線の蛇行の振幅は、塗工部Lnの線幅の1/2以下であることが好ましく、1/4以下であることが好ましく、例えば1/10〜1/2程度とすることが好適である。
そしてバインダコート層120全体としては、以上のような塗工部Lnの特徴を備えつつ、所定の目付量および集電体露出率を好適に整え得るよう、その詳細な形態を調整することができる。例えば、複数の塗工部Lnの幅方向の間隔(塗工部Lnの本数であり得る)または嵌まり合いの程度や、蛇行の形態を調整することができる。
バインダコート層120の目付量(固形分換算)は厳密には制限されないが、全体として、おおよそ0.001mg/cm以上20mg/cm以下の範囲で設定することができる。なかでも、バインダコート層120の目付量は、0.005mg/cm以上(例えば0.005mg/cm〜10mg/cm)にすることが適当であり、好ましくは0.02mg/cm以上(例えば0.02mg/cm〜2mg/cm)である。このような目付量の範囲内であると、集電体110上での造粒粒子の滑りを好適に抑制できる。また、電極100の抵抗を過度に増大させることなく、集電体110と活物質層130との接着性を高めることができる。
バインダコート層120の集電体110の露出率(面積率)は、厳密には制限されないものの、全体として5%以上95%の範囲となるように設計することができる。より具体的には、露出率は、概ね20%以上、好ましくは25%以上、例えば20%以上70%以下程度であることが好ましい。なお、この露出率は、露出面積率は、バインダコート層120の全体の面積(すなわち、塗工部Lnと非塗工部Lmとの面積の合計)に占める、非塗工部Lmの面積の割合(%)として算出することができる。
なおかかる露出率は、例えば、バインダコート層120を形成した状態の集電体110の表面を電子顕微鏡(例えば走査型電子顕微鏡(SEM))等により観察し、その観察像を画像解析処理することで簡便に算出することができる。
<b.造粒粒子の供給工程>
工程bでは、図1Aに示すように、上記バインダコート層120(非塗工部Lmを含む波線からなる縞状パターンであり得る。)の上に造粒粒子32を供給する。図1Aに示す例では、集電体110は、搬送ローラ22に沿って転回され、バインダコート層120が形成された面を上に向けて造粒粒子供給部30まで搬送される。この造粒粒子供給部30により、造粒粒子32が供給される。
ここに開示される技術によると、この集電体の搬送速度が比較的早い場合であっても、造粒粒子供給部30に搬送されたときに、一の塗工部Lnでのバインダ液21の厚みのムラは抑制されている。またバインダ液21のダレの発生も抑制されている。搬送速度は、例えば、10m/分以上(例えば10m/分以上80m/分以下)とすることができる。ここに開示される技術においては、搬送速度をより高速とした、20m/分以上、例えば50m/分以上、特に60m/分以上の場合にここに開示される技術の効果がより明瞭となり、電極製造の高速化が実現できるために好ましい。
ここで供給される造粒粒子32は、図2に示すように、活物質粒子34と、バインダ36とを少なくとも含んでいる。かかる造粒粒子32は、個々の活物質粒子34の表面にバインダ36が付着し、さらにその活物質粒子34がバインダ36によって互いに結合された態様であり得る。好適な一態様では、バインダ36が活物質粒子34の内部および外表面に局所的に偏在することなく略均一に分散されて配置されている。造粒粒子32は、活物質粒子34およびバインダ36以外の材料が含まれていてもよく、例えば、導電材38や増粘剤(図示せず)等が含まれていてもよい。
造粒粒子32の性状は特に限定されず、生産効率を高める観点やより均質な活物質層を形成する観点等から、例えば粒径範囲は0.1μm以上1000μm以下の範囲で設定することができる。なかでも、およそ10μm以上300μm以下、好ましくは30μm以上200μm以下、例えば45μm以上150μm以下であるとよい。また、平均粒子径は、20μm以上120μm以下、好ましくは30μm以上100μm以下、例えば50μm以上90μm以下であるとよい。なお、本明細書中において「粒径」「平均粒子径」とは、レーザ散乱・回折法に基づく粒度分布測定装置に基づいて測定した値であり、「平均粒子径」は、その粒度分布における積算値50%での粒径、すなわち50%体積平均粒子径(D50)をいう。より具体的には、レーザ回析・散乱式粒度分布測定装置(例えば、「マイクロトラックMT−3200II」、日機装株式会社製)を用い、圧縮空気による粒子の分散は行わず、乾式測定した50%体積平均粒子径である。この造粒粒子32は、例えば原料等から調製して入手しても良いし、材料メーカー等から製品を購入するなどして入手してもよい。
かかる造粒粒子32は、例えば、活物質粒子34とバインダ36とを所定の割合で混合して、造粒、分級等を行うことで用意することができる。造粒の手法としては特に制限はなく、例えば、転動造粒法、流動層造粒法、撹拌造粒法、圧縮造粒法、押出造粒法、破砕造粒法、スプレードライ法(噴霧造粒法)等を採用することができる。一好適例では、活物質粒子34とバインダ36とを溶媒に混ぜ合わせた合剤(懸濁液)を、スプレードライ法で造粒する。スプレードライ法では、合剤が乾燥雰囲気中に噴霧される。この際、噴霧される液滴に含まれる粒子が概ね1つの塊になって造粒される。このため、液滴の大きさによって、造粒粒子32に含まれる固形分量が変わり、造粒粒子32の大きさや質量などを調整し得る。噴霧される液滴には、活物質粒子34とバインダ36とが少なくとも含まれているとよい。また噴霧される液滴には、例えば、導電材38や増粘材が含まれていてもよい。
リチウムイオン二次電池の正極を形成する場合、正極活物質粒子としては、従来からリチウムイオン二次電池の正極活物質として用いられている各種の材料を特に限定なく使用することができる。好適例として、リチウムニッケル酸化物(例えばLiNiO)、リチウムコバルト酸化物(例えばLiCoO)、リチウムマンガン酸化物(例えばLiMn)等のリチウムと遷移金属元素とを構成金属元素として含む酸化物(リチウム遷移金属酸化物)や、リン酸マンガンリチウム(LiMnPO)、リン酸鉄リチウム(LiFePO)等のリチウムと遷移金属元素とを構成金属元素として含むリン酸塩などが、挙げられる。これらはいずれか1種のみを用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。正極活物質粒子の平均粒子径(D50;レーザ回折・光散乱法により測定される体積基準の累積50%粒径)は特に限定されないが、概ね1μm〜10μm程度が適当であり、好ましくは1μm〜7μmである。特に、平均粒子径D50が2μm〜6μmの範囲にあり、かつ正極活物質粒子の80質量%以上がこの範囲に含まれていることが好ましい。
リチウムイオン二次電池の負極を形成する場合、負極活物質粒子としては、従来からリチウムイオン二次電池の負極活物質として用いられている各種の材料を特に限定なく使用することができる。好適例として、グラファイトカーボン、アモルファスカーボン等の炭素系材料、チタン酸リチウム等のリチウム遷移金属酸化物、リチウム遷移金属窒化物、スズやシリコン等の合金などが挙げられる。負極活物質粒子の平均粒子径(D50)は特に限定されないが、概ね10μm〜30μm程度が適当であり、好ましくは15μm〜25μmである。特に、平均粒子径D50が18μm〜25μmの範囲にあり、かつ負極活物質粒子の90質量%以上がこの範囲に含まれていることが好ましい。
以上の活物質粒子の平均粒子径D50は、例えば、造粒粒子32における一次粒子径のように理解することもできる。
造粒粒子32に含ませるバインダ36としては、活物質の結合を実現し得る各種の材料のなかから採用する造粒方法に適した材料を選択・使用するとよい。例えば、上記のバインダコート層120を形成する際に用いたのと同じバインダを使用することができる。このバインダ36の一例として、湿式の造粒方法(例えば上記スプレードライ法)を採用する場合には、溶媒に溶解または分散可能なポリマーが用いられる。必ずしもこれに限定されるものではないが、溶媒としては、イオン交換水等の水またはこれを主体とする水系溶媒であるのが好ましい。水系溶媒に溶解または分散可能なポリマーとしては、例えば、スチレンブタジエン共重合体(SBR)、アクリル酸変性SBR樹脂(SBR系ラテックス)等のゴム類、カルボキシメチルセルロース(CMC)等のセルロース系ポリマー、メタクリル酸エステルの重合体等のアクリル系樹脂、シリコン系重合体、共益ジエン系重合体、ポリイミド,ポリアミド等のアミド・イミド系樹脂、ポリウレタン等のウレタン系樹脂、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)等のハロゲン化ビニル樹脂等が挙げられる。また、非水系溶媒(有機溶媒)に溶解または分散可能なポリマーとしては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)が挙げられる。
また、導電材38を含む構成においては、例えば、カーボン粉末、カーボンファイバーなどのカーボン材料が例示される。このような導電材から選択される一種を単独で用いてもよく二種以上を併用してもよい。カーボン粉末としては、例えば、アセチレンブラック(AB)、オイルファーネスブラック、黒鉛化カーボンブラック、カーボンブラック、ケッチェンブラック、グラファイトなどの粉末を用いることができる。かかる導電材は、活物質粒子34と集電体110との導電パスを形成するうえで、導電性が乏しい活物質粒子34を用いる場合に好適に添加される。
また、増粘剤を含む構成においては、増粘剤として、例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)、CMCのナトリウム塩(CMC−Na)、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレン‐ビニルアルコール共重合体(EVOH)などの材料が例示される。このような増粘剤から選択される一種を単独で用いてもよく二種以上を併用してもよい。
なお、上記造粒粒子32における各構成成分の配合比は、例えば、リチウムイオン二次電池の用途や所望の特性等に応じて決定することができる。例えば、車両駆動用途で用いられるリチウムイオン二次電池のための電極の製造に用いる造粒粒子32は、下記の活物質層の構成を実現し得るよう、各構成成分の配合を決定することが好ましい。
(正極)
正極活物質(活物質粒子34)は、正極活物質層全体に占める割合が約50質量%以上、典型的には70質量%以上99質量%以下となるよう配合することが適当であり、通常はおよそ87質量%以上95質量%以下であることが好ましい。導電材38が含まれる構成では、正極活物質層全体に占める割合が、例えば約1質量%〜15質量%とすることができ、例えば2質量%以上10質量%以下、典型的には3質量%以上8質量%以下とすることが好ましい。造粒粒子32に含まれるバインダ36は、正極活物質層全体に占める割合が、例えば約0.5質量%以上15質量%以下とすることができ、例えば1質量%以上10質量%以下、典型的には2質量%以上5質量%以下とすることが好ましい。
(負極)
負極活物質(活物質粒子34)は、負極活物質層全体に占める割合が約70質量%以上、典型的には90質量%以上99質量%以下とすることが適当であり、通常はおよそ95質量%以上99質量%以下であることが好ましい。造粒粒子32に含まれるバインダ36は、負極活物質層全体に占める割合が、例えば0.01質量%以上10質量%以下とすることができ、通常はおよそ0.1質量%以上7質量%以下程度、より好ましくは0.5質量%以上5質量%以下程度とすることができる。
造粒粒子供給部30は、搬送部10によって搬送される集電体110上に形成されたバインダコート層120の上に造粒粒子32を供給する。ここでは、造粒粒子供給部30は、造粒粒子32を貯留するホッパを備えている。ホッパは、図示は省略するが、造粒粒子32を供給する量を調整する調整装置を備えているとよい。この場合、ホッパは、例えば、集電体110の搬送速度などに応じて造粒粒子32の供給量を調整し、適切な量の造粒粒子32を湿潤状態ないしは乾燥状態のバインダコート層120の上に供給することができる。ここでは、造粒粒子32は、複数の造粒粒子32が集まった集積物(粉体)の形態で供給される。
なお、バインダコート層120の塗工部Lnのバインダ液量が適量かつ均一であることにより、かかるバインダコート層120上に造粒粒子32が均一に供給され得る。換言すると、バインダコート層120の塗工部Ln上に供給された造粒粒子32がより確実に捕捉されることにより、造粒粒子32が全体として供給位置に留まり、搬送方向下流側へ流され難くなっている。これにより、造粒粒子32をより均一な目付量で集電体110上に供給することが可能となる。
<c.押圧工程>
工程cでは、バインダコート層120の上に供給した造粒粒子32を押圧(プレス)することで、集電体110上に活物質層130を形成する。この実施形態において、圧延ロール40は、帯状の集電体110が搬送される搬送経路において、造粒粒子32と集電体110とを互いに反対方向に回転している一対の圧延ロールで挟み込んで押圧する。この場合、所望の目付量および密度の活物質層130が得られるよう、圧延ロール40の間隙(ギャップ)を調整するとよい。これによって、適切な強さで造粒粒子32がバインダコート層120を介して集電体110に押し付けられ、集電体110上に固着される。同時に、隣接する造粒粒子32が互いにバインダ36を介して固着される。また、造粒粒子32自体も変形する等してバインダ36の接触箇所が増え、活物質粒子34同士が相互に密着して固着し得る。これにより、集電体110の表面に活物質粒子34およびバインダ36を含む層(活物質層130)が略一定の厚みで成形される。これにより、造粒粒子32を用いて形成された活物質層130を備える電極を製造することができる。
一例として、電池容量が20Ah以上という比較的高容量タイプの電池に用いられる電極では、以下のロール圧延条件を参考にして押圧工程を実施することができる。
(正極)
圧延ロール40の間隔:正極の厚みと同等(例えば30〜120μm)
ロール線圧 :1〜2t/cm
圧延温度 :25℃(例えば60〜180℃程度まで加熱しても良い)
正極活物質層密度:1.5g/cm以上(2g/cm以上)で4.5g/cm以下(典型的には4.0g/cm以下)
(負極)
圧延ロール40の間隔:負極の厚みと同等(例えば20〜130μm)
ロール線圧 :1〜2t/cm
圧延温度 :25℃(例えば60〜180℃程度まで加熱しても良い)
負極活物質層密度:1.0g/cm以上(2g/cm以上)で3.5g/cm以下(典型的には3.0g/cm以下)
<第2実施形態>
本実施形態に係る電極製造工程は、以下の工程(a)〜(d)を含んでいる。なお、ここで、下記の工程(b1)は、上記第1実施形態における工程(b)である。すなわち、本実施形態では、上記第1実施形態における工程(a)〜(c)に、任意工程としての均し工程(b2)および切断工程(d)が加えられたものである。以下、均し工程(b2)および切断工程(d)について説明する。なお、その他の工程については、第1実施形態と同様であるため、重複した説明は省略する。
(a)バインダコート層の形成工程
(b1)造粒粒子の供給工程
(b2)均し工程
(c)押圧工程
(d)切断工程
<b2.均し工程>
工程b2では、図1Bに示すように、バインダコート層120の上に供給された造粒粒子32にスキージ部材50を当接させて、造粒粒子32を略均一に均すようにしている。この実施形態において、スキージ部材50としては、ロール状のスキージロールを採用している。なおスキージ部材50としては、スキージロールに限定されることなく、棒状または板状等のスキージ等であって良い。このスキージロールは、全工程の供給工程(b1)で使用する造粒粒子供給部30よりも搬送方向下流側であって、次工程の押圧工程(c)で使用する圧延ロール40よりも搬送方向上流側に配置されている。そして、スキージロールは、その下端が搬送される集電体110と所定の隙間を開けて配置されている。
スキージロールは、集電体110の搬送経路に最も近い側のロール表面が、搬送経路とは所定の間隔を保ちつつ、搬送方向とは逆向きに移動するように回転している。そして、上記隙間を集電体110と造粒粒子32とが通過する際に、造粒粒子32の嵩高さを均一に均す役割を担っている。換言すると、造粒粒子供給部30より集電体110(およびバインダコート層120)上に供給された造粒粒子32の供給量にばらつきがあった場合に、このスキージロールによりそのばらつきを解消する効果を得ることができる。
スキージロールと搬送される集電体110との隙間(垂直方向のギャップ、換言すれば造粒粒子の供給厚み)は特に制限されないものの、一例として、高エネルギー密度や高出力密度の要求され得る電池用の正極を作製する場合には、約90〜200μm程度、例えば、約100〜150μm程度に、同負極を作製する場合には約100〜300μm程度、例えば、約150〜250μm程度に調整することが好適な例として示される。このように均し工程を行うことでも、造粒粒子32の目付精度をより一層高めることができる。
均し工程を経て目付量が均一化された造粒粒子32を載せた集電体110(およびバインダコート層120)は、ひきつづき搬送経路に沿って上記の(c)押圧工程に送られ、活物質層130の形成が行われる。
<d.切断工程>
工程dでは、活物質層130を形成した後、図示しない切断装置により集電体110および活物質層130を幅方向の中央部で長手方向に沿って切断することで、2枚の電極シートに分割する。ここで図3中の点線は、集電体110および活物質層130の切断が予定されている箇所(すなわちスリットを形成する位置)を示している。このように、一の集電体110に複数枚分(図3では2枚分)の活物質層130を形成しておき、1枚分に切り分けることで、複数枚の電極100を手間を省いて同時に製造することができる。
<リチウムイオン二次電池>
以下、上述した製造装置1を用いて形成された負極(負極シート)および正極(正極シート)を用いて構築されるリチウムイオン二次電池の一実施形態につき、図4および図5に示す模式図を参照しつつ説明する。図4は本発明の一実施形態に係るリチウムイオン二次電池300の断面図である。図5は、当該リチウムイオン二次電池300に内装される電極体200の構成を説明する図である。このリチウムイオン二次電池300は、正極(正極シート)230として、上述した製造装置1を用いて製造された正極(正極シート)230が用いられている。また、負極(負極シート)240として、上述した製造装置1を用いて製造された負極(負極シート)240が用いられている。
正極シート230は、図5に示すように、帯状の正極集電体232と正極活物質層234とを備えている。正極集電体232の幅方向片側の縁部に沿って正極活物質層露出部233が設定されている。図示例では、正極活物質層234は、正極集電体232に設定された正極活物質層露出部233を除いて、正極集電体232の両面に保持されている。なお、正極活物質層234を正極集電体232の両面に形成する場合、正極集電体232の一方の面に前述した製造方法にて正極活物質層234を形成した後、正極集電体232の他方の面に前述した製造方法にて正極活物質層234を形成するとよい。
負極シート240は、帯状の負極集電体242と負極活物質層244とを備えている。負極集電体242の幅方向片側には、縁部に沿って負極活物質層露出部243が設定されている。負極活物質層244は、負極集電体242に設定された負極活物質層露出部243を除いて、負極集電体242の両面に保持されている。なお、負極活物質層244を負極集電体242の両面に形成する場合、負極集電体242の一方の面に前述した製造方法にて負極活物質層244を形成した後、負極集電体242の他方の面に前述した製造方法にて負極活物質層244を形成するとよい。
セパレータ250は、図5に示すように、正極シート230と負極シート240とを絶縁する部材である。この例では、セパレータ250は、微小な孔を複数有する所定幅の帯状のシート材で構成されており、電解質イオンの移動を可能にするとともに電解質イオンを保持する機能を有している。セパレータ250には、例えば、多孔質ポリオレフィン系樹脂で構成された単層構造のセパレータ或いは積層構造のセパレータを用いることができる。また、かかる樹脂で構成されたシート材の表面に、絶縁性を有する粒子の層をさらに形成してもよい。ここで、絶縁性を有する粒子としては、絶縁性を有する無機フィラー(例えば、金属酸化物、金属水酸化物などのフィラー)、或いは、絶縁性を有する樹脂粒子(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの粒子)で構成してもよい。この例では、図5に示すように、負極活物質層244の幅は、正極活物質層234の幅よりも少し広い。さらにセパレータ250の幅は、負極活物質層244の幅よりも少し広い。
捲回電極体40を作製するに際しては、正極シート230と負極シート240とがセパレータ250を介して積層される。このとき、正極シート230の正極活物質層露出部233と負極シート240の負極活物質層露出部243とがセパレータ250の幅方向の両側からそれぞれはみ出すように重ね合わせる。このように重ね合わせた積層体を捲回し、次いで得られた捲回電極体200を側面方向から押しつぶして拉げさせることによって扁平型捲回電極体体200が作製され得る。なお、積層体を最初から扁平に捲回することで扁平型捲回電極体を構築するようにしても良い。この実施形態において、捲回電極体200は、図5に示すように、捲回軸Wに直交する一の方向において扁平に押し曲げられている。図5に示す例では、正極シート230の集電体露出部233と負極シート240の集電体露出部243とは、それぞれセパレータ250の両側において渦巻状に突出している。この実施形態では、集電体露出部233,243の真ん中付近を寄せ集め、図4に示すように、電池ケース210の内部に配置された電極端子(内部端子)262,272に溶接されている。
電解液(図示せず)としては、従来からリチウムイオン二次電池に用いられる非水電解液と同様のものを特に限定なく使用することができる。かかる非水電解液は、典型的には、適当な非水溶媒に支持塩を含有させた組成を有する。上記非水溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン等からなる群から選択された一種または二種以上を用いることができる。また、上記支持塩としては、例えば、LiPF,LiBF,LiAsF,LiCFSO,LiCSO,LiN(CFSO,LiC(CFSO等のリチウム塩を用いることができる。
ケース80の封止プロセスや電解液の配置(注液)プロセスは、従来のリチウムイオン二次電池の製造で行われている手法と同様でよく、本発明を特徴付けるものではない。
このようにして構築されたリチウムイオン二次電池300は、バインダコート層の目付精度が向上されているため、その上に形成される活物質層の目付精度までが均一化され得る。これにより、電極のLiイオンの放出量や受入容量が面内で均一化され、Liイオンの局所的な析出や活物質層を流れる電流村の発生が抑制される。延いては、活物質層の劣化が抑制されて、長期の使用に際しても容量維持率を高く維持することが可能となる。したがって、このリチウムイオン二次電池300は、優れた電池性能およびサイクル特性を示すものであり得る。例えば、かかるリチウムイオン二次電池300は、サイクル特性に優れる、入出力特性に優れる、生産安定性に優れる、のうちの少なくとも一つ(好ましくは全部)を満たすものであり得る。また、このような構成は、扁平型捲回電極体200を備えている比較的大きな容量(例えば電池容量が20Ah以上の、典型的には25Ah以上の、例えば30Ah以上)が求められる電池にも、好ましく適用することができる。
以下、本発明に関するいくつかの実施例を説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。ここでは、正極および負極の両方についてバインダコート層を6通りのパターンで形成し、得られたリチウムイオン二次電池の電池性能を評価した。
先ず、正極シートを、以下の手順で作製した。
正極集電体として、厚み15μm、幅約200mmの長尺のアルミニウム箔を用意した。アクリレート重合体をイオン交換水に分散させることでバインダ液を用意した。そして、図1に示すような電極製造装置を用い、正極集電体を搬送速度30cm/分で搬送しながら、正極集電体の片面に下記の6通りのパターンでバインダコート層を形成した。これにより、例1〜6のバインダコート層付き集電体を用意した。なお、正極集電体の幅方向の両端部には、集電用の集電体露出部を帯状に確保した。
バインダコート層の塗工パターン(塗工部の形状)は、以下のように設定した。
[波線状ストライプ]
半径600μmの半円を波線状(S字状)に組み合わせることで細線状の塗工部とした。そしてこの塗工部を互いに接することが無いよう配列させることで、波線状ストライプの塗工パターンとした。各塗工部の線幅は、250μmで一定とした。また、バインダコート層の露出率が45%,63%,75%となるように、各塗工部の間隔を適切に調整した。これらの塗工パターンを、順に例1,3,5とした。
[縦ストライプ]
線幅が600μmの直線を一つの塗工部とし、この塗工部を互いに接することが無いよう搬送方向と平衡に配列させることで、縦波線状ストライプの塗工パターンとした。また、バインダコート層の露出率が45%,63%,75%となるように各塗工部の間隔を適切に調整し、順に例2,4,6の塗工パターンとした。
なお、上記の塗工パターンは、バインダ液の目付量(固形分換算)が0.04mg/cmとなるようにそれぞれ設定している。
[バインダコート層の目付品質の確認]
上記でバインダ液を塗工した例1〜6のバインダコート層付き集電体について、搬送速度を変えず、造粒粒子供給部まで搬送したところで、バインダの目付精度を確認した。具体的には、例1〜6のバインダコート層付き集電体のうち、造粒粒子供給部に到達した部位から、直径30mmの円形の目付量測定用試験片を各例につき60個づつ(n=60)ランダムに打ち抜いて用意した。そして、試験片の重量(mg)を測定し、これから直径30mmの円形の集電体の重量(mg)を差し引き、試験片の面積(cm)で除することにより、目付量を算出した。そして、各例60個の試験片について得られたバインダコート層の目付量について、工程能力指数(Cpk)を算出した。その結果を表1に示した。ここでは、電極活物質層の目付量が設定値±3%である時に良品と判定するようにした。そして例えば、Cpkが1.33以上のときに、電極製造における目付品質が十分であると判断することができる。
次いで、正極用の造粒粒子を用意した。すなわち、正極活物質としてのLiNi1/3Co1/3Mn1/3粉末(平均粒子径:4μm〜5μm)と、導電材としてのABと、バインダとしてのアクリレート重合体と、増粘剤としてのCMC−Naと、界面活性剤としてのレオコール(登録商標:ライオン株式会社製)とを用意し、正極活物質、導電材、バインダおよび増粘剤を、質量比が93.5:4:1.5:1となるようにそれぞれ秤量した。そしてプラネタリーディスパーに、まず導電材およびバインダ投入して混合した後、正極活物質と分散媒としてのイオン交換水および界面活性剤を加え、更に均一に混合することで造粒粉末形成用の調製液を用意した。なお、界面活性剤は、調製液中に正極活物質等が均一に分散し得るよう適量を添加した。そしてこの調製液を大川原化工機(株)製のスプレードライヤにて噴霧し、液滴状態で溶媒を除去し、乾燥させることで、平均粒子径が約40μmの造粒粉末(正極造粒粒子からなる集合体)を得た。
そして、上記バインダコート層の上に正極造粒粉末を供給し、ローラスキージを当てて粉末を均した後、正極造粒粉末の集積物を圧延ロールでプレスすることで、正極活物質層を形成した。
正極造粒粉末は、正極の片面当たりの目付量が、全体として約17.8mg/cm程度となる供給量を目安として一定条件で供給した。このようにして形成された正極活物質層は、片面あたりの厚みが約50μmであった。
引き続き、正極集電体の上記活物質層を形成していない側の面に、上記と同様のバインダコート層および正極活物質層を形成した。このとき、バインダコート層および正極活物質層は、集電体の両面で対応する位置に形成されるよう、バインダ液の塗工位置および正極造粒粉末の供給位置を調整した。これにより、2倍幅の正極シートを得た。
そして、2倍幅の正極シートを、正極活物質層の幅方向の中央で活物質層から集電体まで切断することで、幅約100mmの2枚の正極シートに分割した。このようにして、例1〜6の正極シートを得た。
[負極の用意]
負極集電体として厚み10μm、幅110mmの長尺の銅箔を用意し、上記正極と同じ条件で、一方の面に6通りのパターンでバインダコート層を形成した。これにより、例1〜6のバインダコート層付き集電体を用意した。なお、負極集電体の幅方向の一方の端部には、集電用の集電体露出部を帯状に確保した。
負極は、造粒粉末の形態の電極材料を用いず、スラリー状組成物を用いて製造した。すなわち、負極活物質としての黒鉛(C、平均粒子径25μm、比表面積2.5m/g)と、バインダとしてのスチレンブタジエンゴム(SBR)と、増粘剤としてのカルボキシメチルセルロース(CMC)とを、これらの質量比がC:SBR:CMC=98:1:1となるように秤量し、イオン交換水を加えて混練することで、負極活物質層形成用のスラリー状組成物を調製した。このスラリーを、負極集電体のバインダコート層の上に、片面当たりの目付量が7.3mg/cmとなるよう帯状に塗布し、乾燥(乾燥温度100℃、5分間)することで、負極活物質層を形成した。次いで、他方の面にも同様にバインダコート層および負極活物質層を形成し、集電体の両面に負極活物質層を備える負極シートを得た。このとき、バインダコート層および負極活物質層は、集電体の両面で対応する位置に形成されるよう、バインダ液の塗工位置およびスラリー状組成物の供給位置を調整した。そして、これを圧延プレスして、負極活物質層の密度が約1.1g/cmとなるように調整した。このようにして得られた負極活物質層の厚みは片面当たり約66μmであった。なお、負極シートの長手方向の一方の端部には、負極活物質層の形成されていない集電体露出部が設定されている。
[リチウムイオン二次電池の構築]
上記で用意した例1〜6の正極シートと、負極シートとを、セパレータを介して重ね合わせ、捲回することで、扁平型捲回電極体1〜6をそれぞれ構築した。セパレータとしては、幅が105mmで、総厚みが平均25μmの、ポリエチレン(PE)の両面をポリプロピレン(PP)で挟んだ形態の3層構造(PP/PE/PP)の長尺の微多孔質シートを用いた。重ね合わせに際しては、負極活物質層が幅方向で正極活物質層を覆うとともに、正極集電体の露出部と負極集電体の露出部とが幅方向で異なる側で突出するように、正極と負極とを配置させた。また、セパレータは、正負の活物質層を絶縁するように配置した。捲回電極体の捲回数は約40ターンであった。
このようにして用意した扁平型捲回電極体を用いてリチウムイオン二次電池を構築した。具体的には、電池ケースとして、アルミニウム製で上方に開口を有する薄い角型(幅150mm×高さ90mm×厚み26mm)の電池ケース本体と、この電池ケース本体の開口を封する封口体とからなるものを用意した。そして、封口体に正極端子および負極端子を取り付け、これらの端子を、集電端子を介して、扁平型捲回電極体から突出している正極集電体露出部と負極集電体露出部にそれぞれ溶接した。そして、封口体と連結された捲回電極体を、電池ケース本体の開口部からその内部に収容し、開口部と封口体とを溶接(密閉)した。すなわち、扁平型捲回電極体は、電池ケースを水平面においたときに捲回軸が水平となる配置で電池ケース内に収容されている。
非水電解液としては、エチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とをEC:DMC:EMC=3:4:3の体積比で含む混合溶媒に、支持塩としてのLiPFを1.0mol/Lの濃度で溶解させたものを用意した。そして、上記電池ケースの封口体に設けられた注液口から非水電解液を注入することで、リチウムイオン二次電池(組立体)を構築した。これらの電池の理論容量は、いずれも30Ahである。
[容量維持率]
上記のように作製したリチウムイオン二次電池1〜6について、適切な初期充放電処理を施した後、以下の手順で、ハイレート充放電後の容量維持率を評価した。
すなわち、まず、25℃の温度条件下、各例の電池に対し、1Cのレートで4.1Vまで定電流(CC)充電した後に5分間休止し、1Cのレートで3.0Vまで定電流(CC)放電した後に5分間休止した。次いで、CCCV充電(4.1V、レート1C、0.1Cカット)を行い10分間休止した後、CCCV放電(3.0V、レート1C,0.1Cカット)を行った。この時の放電容量を測定し、初期容量とした。
次いで、25℃の環境下、各電池のSOCを80%に調整し、100Aで10秒間充電した後放電するハイレートでの矩形波充放電を500サイクル行った。そして500サイクル後の容量を、上記初期容量測定に準じて測定した。そして、初期容量に対するサイクル後の容量として容量維持率(%)を算出し、表1に示した。
Figure 2016181445
表1に示されるように、バインダコート層の塗工パターンを、ここに開示された波線ストライプとした例1,3,5については、Cpkがいずれも1.33を超過し、例えば1.35以上(例3)、1.4以上(例1)、1.5以上(例5)と良好な結果であった。一方の、バインダコート層の塗工パターンを従来の縦ストライプとした例2,4,6では、Cpk=1.1にも満たず、例えば1未満(例2,6)と極めて低い値となった。このことから、ここに開示される技術によると、目付量のバラつきを抑えてバインダコート層を形成し得ることが確認された。
また、バインダコート層の塗工パターンを波線ストライプとした例1,3,5の正極を用いて構築した電池については、いずれも容量維持率が80%以上(80%超過)を達成し得、具体的には90%以上の値が得られることが確認できた。一方のバインダコート層の塗工パターンを立てストライプとした例2,4,6の正極を用いて構築した電池については、容量維持率が80%未満と比較的低い値であることがわかった。つまり、ここで提案される製造方法により製造された電極は、バインダコート層の目付品質が改善されたことに起因して、容量維持率の高い高品質なリチウムイオン二次電池を製造し得ることが確認された。なお、かかるバインダコート層の目付品質の改善は、集電体の露出率を調整することよりも容量維持率の増大に対する影響力が大きいものであることがわかる。
以上、ここで提案されるリチウムイオン二次電池用電極の製造方法を説明したが、特に言及されない限りにおいて、本発明に係るリチウムイオン二次電池用電極の製造方法は上述した実施形態に限定されない。例えば、上述した実施形態におけるバインダコート層は、塗工部が集電体の上に半円を組み合わせたS字状となるように形成したが、これに限定されない。バインダコート層の塗工部は、例えば、正弦波形状やその他の波線形状であっても良い。
また、本実施形態では、スキージロールによる均し工程を採用しているが、かかる均し工程は省略しても構わない。さらに、本実施形態における電極製造方法は、2倍幅の電極を切断する工程を有しているが、かかる切断工程は省略しても構わない。例えば、負極の製造で例示したように、1枚分の幅の帯状集電体を用いて、最初から所望の寸法の電極を作成するようにしてもよい。
ここで提案される製造方法によって製造された電極を備えるリチウムイオン二次電池は、バインダコート層の目付量のばらつき(目付精度)が改良されたことにより、活物質層の目付品質をも改善し、安定した高品質の電極を提供することができる。また、かかる電極は、比較的短時間で製造することが可能とされている。このため、この製造方法により製造される電極は、安定した高性能が要求される用途で好ましく用いられる。かかる用途としては、例えば、車両に搭載されるモーター用の動力源(駆動用電源)が挙げられる。車両の種類は特に限定されないが、例えば、プラグインハイブリッド自動車(PHV)、ハイブリッド自動車(HV)、電気自動車(EV)、電気トラック、原動機付自転車、電動アシスト自転車、電動車いす、電気鉄道等が挙げられる。なお、かかるリチウムイオン二次電池は、それらの複数個を直列および/または並列に接続してなる組電池の形態で使用されてもよい。
1 電極製造装置
10 搬送部
20 バインダ液塗工部
30 造粒粒子供給部
40 圧延ロール
50 スキージ部材
100 電極
110 集電体
120 バインダコート層
130 活物質層

Claims (7)

  1. 長尺の集電体上に該集電体の長手方向に沿ってバインダと溶媒とを含むバインダ液を塗工してバインダコート層を形成する工程、
    ここで前記バインダコート層は、前記バインダ液が前記長手方向に沿って細線状に塗工されてなる塗工部Lnが、前記長手方向に直交する幅方向に複数本配列されてなる縞状パターンを形成し、
    前記塗工部Lnは、前記長手方向に延びる中心線Snに直交する幅方向に振幅2Aで蛇行する波線を呈するとともに、
    隣り合う前記塗工部LnおよびLn+1は互いに接することなく、両者の間に前記長手方向に沿って伸びる非塗工部Lmが形成されており、
    前記塗工部Lnは直線部分を含まない;
    前記バインダコート層の上に、活物質粒子とバインダとを含む造粒粒子を供給する工程;
    供給された前記造粒粒子を押圧することで活物質層を形成する工程;
    を包含する、リチウムイオン二次電池用電極の製造方法。
  2. 前記縞状パターンにおいて、
    隣り合う前記塗工部LnおよびLn+1に関するそれぞれの前記中心線SnおよびSn+1の距離をXとし、
    前記造粒粒子の平均粒子径をDとしたとき、
    次式:X<2A+D;を満たす、請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用電極の製造方法。
  3. 隣り合う前記中心線SnおよびSn+1との前記距離Xは、次式:X≦2A;を満たす、請求項2に記載のリチウムイオン二次電池用電極の製造方法。
  4. 前記塗工部Lnの振幅2Aと、前記造粒粒子の平均粒子径Dとは、次式:2×D≦2A≦15×D;を満たす、請求項1〜3のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用電極の製造方法。
  5. 前記塗工部Lnは一定の周期Tでの蛇行を繰り返しており、
    前記周期Tと、前記造粒粒子の平均粒子径Dとは、次式:10×D≦T≦30×D;を満たす、請求項1〜4のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用電極の製造方法。
  6. 前記塗工部Lnは、前記非塗工部Lmとの境界である輪郭が前記波線よりもさらに細かい微細波線を呈している、請求項1〜5のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用電極の製造方法。
  7. 前記バインダコート層は、グラビア印刷法により形成する、請求項1〜6のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用電極の製造方法。
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