JP2012009227A - リチウムイオン二次電池の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】正極活物質層形成用ペーストにおけるカーボン微粒子の分散を向上させると共に電極の製造工程における有機溶剤の使用量を少なくし得るリチウムイオン二次電池の製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明によると、少なくとも正極活物質と導電材とを含む正極を備えるリチウムイオン二次電池の製造方法が提供される。この方法は、導電材としてのカーボン微粒子と、分散材とを第1の溶媒に分散させてなる導電材分散体を用意すること;該分散体に湿式粉砕処理を行うこと;該処理後の分散体に含まれる第1の溶媒の少なくとも一部を蒸発させて導電材処理物を生成すること;少なくとも上記生成された導電材処理物と、上記正極活物質と、結着材とを第2の溶媒に分散させてなる正極活物質層形成用ペーストを調製すること;を包含する製造方法により得られた正極を使用する。
【選択図】図1

Description

本発明は、リチウムイオン二次電池の製造方法に関する。より詳細には該電池の正極の製造技術に関する。
リチウムイオンが正極と負極との間を行き来することにより充電および放電するリチウムイオン二次電池は、軽量で高エネルギー密度が得られることからパソコン及び携帯端末の電源、特に車両搭載用電源に好ましく用いられるものとして重要性が高まっている。
この種のリチウムイオン二次電池の典型的な正極は、リチウムイオンを可逆的に吸蔵および放出しうる正極活物質を主成分とする正極活物質層が正極集電体の上に形成された構成である。かかる構成を有する正極を製造するにあたって、例えば正極活物質と、高導電性材料の粉末(導電材)と、バインダ(結着材)等を適当な溶媒中で混合して得られた正極活物質層形成用のペースト状組成物(ペースト状組成物にはスラリー状組成物やインク状組成物が包含される。以下、「ペースト」という。)を調製しておき、該組成物を正極集電体に塗布、乾燥することにより正極活物質層が形成される。
一般に、導電材は正極の導電性を向上させるために混合している。かかる導電材としては、カーボンブラック(例えばアセチレンブラック、ファーネスブラック、ケッチェンブラック)、グラファイト、活性炭等の導電性粉末が挙げられる。
ところで、カーボンブラックは、比表面積が大きく粒子間の凝集力が強いため数珠つなぎに多数の粒子が凝集した構造になりやすく、且つ分散しにくい性質を備えている。このため、該カーボンブラックを含むペーストを乾燥させてなる正極活物質層(正極)364は、図7のように正極活物質350の周辺にカーボンブラック310の凝集が残り分散状態が悪いため電池性能を低下させる虞がある。ペーストの調製工程において、溶媒を多く用いることでカーボンブラックの分散を高めることは可能であるが、その後のペースト(塗布物)の乾燥工程における溶媒の除去量が増大して該溶媒を除去するのにより大きな乾燥炉や熱量を必要とするため製造コストが高くなる虞がある。
上記正極の製造方法に関する従来技術として、特許文献1,2が挙げられる。例えば、特許文献1には、分散剤とカーボンブラックとを高圧ジェットミルにより有機溶剤に分散させてカーボンブラックの微分散を実現し得る分散液を用いて、高容量でサイクル特性に優れたリチウム二次電用の正極を製造し得る技術が記載されている。
特開2004−281096号公報 特開2007−154097号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術では、カーボンブラックの分散を向上させることができるものの、そのために要する有機溶剤の使用量を減少させる工夫がなく、環境的に好ましい技術ではない。
そこで、本発明は、上述した従来の課題を解決すべく創出されたものであり、その目的は、正極活物質層形成用ペーストにおけるカーボン微粒子の分散を向上させると共に電極の製造工程における有機溶剤の使用量を少なくして工程全体における環境負荷の低減を実現し得るリチウムイオン二次電池の製造方法を提供することである。
上記目的を実現するべく、本発明により、少なくとも正極活物質と、導電材とを含む正極と、少なくとも負極活物質を含む負極とを備えるリチウムイオン二次電池を製造する方法が提供される。即ち、ここで開示されるリチウムイオン二次電池の製造方法は、(1)上記導電材としてのカーボン微粒子(典型的には、アセチレンブラック等を含むカーボンブラック)と分散材とを第1の溶媒に分散させてなる導電材分散体を用意すること;(2)上記導電材分散体に湿式粉砕処理を行うこと;(3)上記湿式粉砕処理後の導電材分散体に含まれる上記第1の溶媒の少なくとも一部を蒸発させることにより、上記第1の溶媒の量を減少させた濃縮導電材処理物若しくは上記第1の溶媒を消失させた乾燥導電材処理物を生成すること;(4)少なくとも上記生成された導電材処理物と、上記正極活物質と、結着材とを第2の溶媒に分散させてなる正極活物質層形成用ペーストを調製すること;(5)上記調製したペーストを正極集電体の表面に塗布して正極活物質層を形成すること;を包含する製造方法により得られた正極を使用してリチウムイオン二次電池を構築することを特徴とする。
本発明によって提供されるリチウムイオン二次電池の製造方法では、導電材としてのカーボン微粒子と分散材とを第1の溶媒に分散させてなる導電材分散体に湿式粉砕処理を行い、該処理後の導電材分散体に含まれる第1の溶媒の少なくとも一部を蒸発させることにより、濃縮導電材処理物若しくは乾燥導電材処理物を生成して、該導電材処理物を含む正極活物質層形成用ペーストを調製している。
このように、予め導電材分散体に湿式粉砕処理を行うことで、凝集しているカーボン微粒子を解砕しペースト調製時の溶媒に分散しやすい大きさのカーボン微粒子の集合体が得られる。上記集合体の表面には分散材が付着しているため、カーボン微粒子の再凝集を効果的に防止することができ、正極活物質層形成用ペースト調製時にカーボン微粒子は第2の溶媒中に容易に分散することができる。さらに、上記粉砕処理後に第1の溶媒の少なくとも一部を予め蒸発させることで、正極活物質層形成用ペーストの調製時に使用する第2の溶媒の使用量を従来の製造方法と比較して少なくすることができる。これにより、ペーストを乾燥させて正極活物質層を形成する際の乾燥工程の短縮(即ち乾燥時間の短縮及び付与熱量の減少)が実現されるため、より小規模な乾燥炉を用いることができ乾燥コストの削減が実現される。
従って、本発明によると、正極の製造工程における有機溶剤の使用量を少なくして工程全体における環境負荷の低減を実現すると共に、従来の正極よりも導電性に優れる正極を備えるリチウムイオン二次電池を提供することができる。
ここで開示される製造方法の好適な一態様では、上記導電材処理物として、上記乾燥導電材処理物を用いる。
かかる構成によると、乾燥導電材処理物は、分散材を表面に備えるカーボン微粒子が集合した造粒物(集合体)であるため、正極活物質層形成用ペーストを調製するときに速やかに第2の溶媒に好ましい態様で分散させることができる。また、乾燥導電材処理物は第2の溶媒に容易に分散するため、溶媒の使用量は従来の製造方法と比較して少なくすることができる。
ここで開示される製造方法の好適な一態様では、上記第1の溶媒は水である。
溶媒を水とすることにより、有機溶剤を使用して上記処理物を生成する場合と比較して環境負荷の低減及び製造コストの削減を実現することができる。
ここで開示される製造方法の好適な一態様では、上記乾燥導電材処理物は、上記湿式粉砕処理後の導電材分散体を噴霧乾燥法(典型的にはスプレードライヤーを用いる)により乾燥させて生成される。
かかる構成によると、従来公知の方法を用いて乾燥導電材処理物を容易かつ大量に生成することができる。
ここで開示される製造方法の好適な一態様では、上記乾燥導電材処理物として、粒子径が実質的に50μm〜500μmの範囲内にある(例えば、90個数%以上の乾燥導電材処理物の粒子径が50μm〜500μmの範囲内にある)乾燥導電材処理物を使用する。
かかる構成の乾燥導電材処理物は、カーボン微粒子と比較してペースト調製時に飛散しにくく(発塵が発生しにくい)、取扱性に優れているため、集塵設備(集塵装置)が小規模なものとなり製造コストの削減を実現することができる。
ここで開示される製造方法の好適な一態様では、上記湿式粉砕処理は、上記導電材分散体の粘度が200mPa・s〜2000mPa・sの範囲内となるように行う。
かかる構成によると、分散材を表面に備えるカーボン微粒子が第1の溶媒に好ましく分散されているため、ペースト調製時に第2の溶媒に容易に分散する導電性処理物を生成することができる。
ここで開示される製造方法の好適な一態様では、上記カーボン微粒子として平均粒径が10nm〜50nmであるカーボンブラックを使用する。
本発明によると、上記範囲のような平均粒径のカーボンブラックを良好に分散させて導電性に優れる正極を備えるリチウムイオン二次電池を製造することができる。
また、本発明によると、ここで開示されるいずれかの方法により製造されたリチウムイオン二次電池が提供される。このようなリチウムイオン二次電池は、ハイブリッド自動車、電気自動車、燃料電池自動車のような電動機を備える自動車等の車両に搭載されるモーター(電動機)用の電源として好適に使用され得る。
一実施形態に係るリチウムイオン二次電池の正極の製造方法を説明するためのフローチャートである。 他の一実施形態に係るリチウムイオン二次電池の正極の製造方法を説明するためのフローチャートである。 一実施形態に係る湿式粉砕処理後のカーボン微粒子の状態を模式的に示す図である。 一実施形態に係るカーボン微粒子に分散材が付着している状態を模式的に示す図である。 一実施形態に係るリチウムイオン二次電池の外形を模式的に示す斜視図である。 図4におけるV−V線断面図である。 一実施形態に係るリチウムイオン二次電池の正極の構造を模式的に示す断面図である。 従来のリチウムイオン二次電池の正極の構造を模式的に示す断面図である。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事項は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識に基づいて実施することができる。
本発明によって提供されるリチウムイオン二次電池の製造方法は、上述の通りカーボン微粒子と分散材とを第1の溶媒に分散させてなる導電材分散体を用意し、該用意した分散体に湿式粉砕処理を行い、湿式粉砕処理後の導電材分散体に含まれる溶媒の少なくとも一部若しくは全部を蒸発させることにより得られた導電材処理物を含む正極活物質層形成用ペーストを用いて正極を形成することによって特徴づけられる。
まず、ここで開示されるリチウムイオン二次電池の製造方法について詳細に説明するが、上述のとおり本製造方法は、正極の製造に用いられるペーストの製造工程に特徴を有する方法である。以下、かかるペーストを用いたリチウムイオン二次電池用の正極の製造方法の好ましい態様について図1を参照しつつ詳細に説明する。
図1に示すように、本実施形態に係るリチウムイオン二次電池用の正極の製造方法は、(1)導電材としてのカーボン微粒子と、分散材とを第1の溶媒に分散させてなる導電材分散体を用意すること(導電材分散体調製工程S10)、(2)該導電材分散体に湿式粉砕処理を行うこと(湿式粉砕処理工程S20)、(3)上記湿式粉砕処理後の導電材分散体に含まれる上記第1の溶媒を消失させた乾燥導電材処理物を生成すること(乾燥造粒工程S30)、(4)少なくとも上記生成された乾燥導電材処理物と、上記正極活物質と、結着材とを第2の溶媒に分散させてなる正極活物質層形成用ペーストを調製すること(正極活物質層形成用ペースト調製工程S40)、(5)該調製したペーストを正極集電体の表面に塗布して正極活物質層を形成すること(正極活物質層形成工程S50)を包含する。
まず、導電材としてのカーボン微粒子と、分散材とを第1の溶媒に添加して混練することにより導電材分散体を用意する(導電材分散体調製工程S10)。
ここで開示される製造方法で用いられる導電材としては、カーボン微粒子等のカーボン材料が挙げられる。カーボン微粒子としては、例えば、種々のカーボンブラック(例えば、アセチレンブラック、ファーネスブラック、ケッチェンブラック)、グラファイト粉末、等のカーボン粉末を用いることができる。これらのうち一種又は二種以上を併用してもよい。上記カーボン微粒子としては、例えば平均粒子径(典型的には電子顕微鏡若しくは光散乱法に基づいて得られる平均粒子径)が1nm〜100nmのものを好ましく使用することができる。より好ましくは10nm〜50nmである。
また、ここで開示される製造方法で用いられる分散材としては、従来この種のリチウムイオン二次電池で用いられているものであればよく、特定の分散材に限定されない。例えば、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロースおよびヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース系ポリマー、ならびにこれらのアンモニウム塩またはアルカリ金属塩;ポリ(メタ)アクリル酸ナトリウムなどのポリ(メタ)アクリル酸塩;ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド;ポリビニルピロリドン、ポリカルボン酸、酸化スターチ、リン酸スターチ、カゼイン、各種変性デンプン、キチン、キトサン誘導体などが挙げられる。これらのうち一種又は二種以上を併用してもよい。例えば、ポリビニルピロリドンを好ましく用いることができる。
導電材分散体に含まれる分散材の量は適宜決定されるが、導電材100質量部に対して0.1質量部〜20質量部程度の使用が好ましい。さらに好ましくは、0.5質量部〜10質量部程度である。
上記第1の溶媒としては、水系溶媒或いは有機溶剤が挙げられる。好ましくは水系溶媒(水または水を主体とする混合溶媒)を使用することである。上記混合溶媒を構成する水以外の溶媒成分としては、水と均一に混合し得る有機溶剤(低級アルコール、低級ケトン等)の一種または二種以上であり得る。例えば、該水系溶媒の凡そ80質量%以上(好ましくは90質量%以上)が水である水系溶媒の使用が好ましい。特に好ましい例として、実質的に水からなる水系溶媒が挙げられる。水系溶媒(例えば水)を使用して導電材分散体を調製することにより、有機溶剤を使用する場合と比較して環境負荷の低減と製造コストの削減を実現し得る。
導電材分散体に含まれる上記第1の溶媒の量は適宜決定されるが、導電材100質量部に対して500質量部〜2000質量部程度の使用が好ましい。さらに好ましくは、1000質量部〜1500質量部程度である。
さらに、ここで開示される製造方法では、上記導電材分散体に湿式粉砕処理を行う(湿式粉砕処理工程S20)。湿式粉砕処理は、従来公知の方法と同様の技法を適宜採用することができる。例えば、ビーズミル、ボールミル、ロッドミル等の適当な装置を使用することにより、図3Aに示すように、導電材分散体に含まれるカーボン微粒子110の凝集体を解砕して、後述するペースト調製工程において第2の溶媒に分散しやすい大きさのカーボン微粒子110の集合体120を得る。図3Bに示すように、湿式粉砕処理後のカーボン微粒子110の集合体120の表面には分散材130が付着しているため、カーボン微粒子110の再凝集を効果的に防止することができるとともに、ペースト調製工程においてカーボン微粒子110は第2の溶媒に容易に分散する。
湿式粉砕処理は、上記導電材分散体の粘度が200mPa・S〜2000mPa・S(好ましくは300mPa・S〜1000mPa・S)の範囲内となるように行う。導電材分散体の粘度が200mPa・Sよりも小さすぎると、カーボン微粒子の凝集体の解砕が進みすぎてカーボン微粒子の表面に過剰な分散材が付着してしまう。これにより、電池を構築した際に分散材による抵抗が上昇して導電性が低下してしまう虞がある。また、導電材分散体の粘度が2000mPa・Sよりも大きすぎると、カーボン微粒子の凝集体の解砕が十分に行われていない虞がある。
そして、上記湿式粉砕処理後の導電材分散体に含まれる第1の溶媒を消失させて乾燥導電材処理物(造粒物)を生成する(乾燥造粒工程S30)。乾燥導電材処理物は、分散材を表面に備えるカーボン微粒子が集合した造粒物であって噴霧乾燥法により好ましく生成することができる。噴霧乾燥法には、従来公知の方法と同様の技法を適宜採用することができる。例えば、スプレードライヤー、ミストドライヤー等の適当な装置を使用することにより、導電材分散体から乾燥導電材処理物を生成することができる。乾燥導電材処理物の粒子径は、凡そ50μm〜500μm(より好ましくは100μm〜250μm)の範囲内のものが好ましい。また、嵩密度については、凡そ0.4g/cc以上(典型的には、0.4〜0.6g/cc)の範囲内のものが好ましい。上記粒子径及び嵩密度を有する乾燥導電材処理物は飛散しにくいため、後述する正極活物質層形成用ペースト調製工程において発塵の発生を抑えることができ、より小規模な集塵装置を使用することができる。噴霧乾燥法で乾燥導電材処理物を生成する場合には、該処理物の粒子径は、噴霧形式、加圧気体の供給速度、導電材分散体の供給速度、乾燥温度等を適宜選択することによって制御することができる。導電材処理物の粒子径が50μmよりも小さすぎると、正極活物質層形成用ペースト調製工程において、該導電材処理物が飛散しやすくなるため取扱性に劣ると共に、集塵装置が大型化してしまう虞がある。
また、正極活物質層形成用ペースト調製工程において噴霧乾燥法により生成された乾燥導電材処理物として上記範囲内の粒子径のものを使用するために、予め振動ふるい等を用いて、粒子径が500μmより大きい粗大粒子(異物を含む)や、50μmより小さい微粉を除去し、生成された導電材処理物を分級することが好ましい。
次に、少なくとも上記生成した乾燥導電材処理物と、正極活物質と、結着材とを第2の溶媒に分散させてなる正極活物質層形成用ペーストを調製する(正極活物質層形成用ペースト調製工程S40)。
ここで開示される製造方法で用いられる正極活物質としては、リチウムを吸蔵および放出可能な材料であればよく、典型的な正極活物質として、リチウムおよび少なくとも1種の遷移金属元素を含む複合酸化物が挙げられる。例えば、コバルトリチウム複合酸化物(LiCoO)、ニッケルリチウム複合酸化物(LiNiO)、マンガンリチウム複合酸化物(LiMn)、あるいは、ニッケル・コバルト系のLiNiCo1−x(0<x<1)、コバルト・マンガン系のLiCoMn1−x(0<x<1)、ニッケル・マンガン系のLiNiMn1−x(0<x<1)やLiNiMn2−x(0<x<2)で表わされるような、遷移金属元素を2種含むいわゆる二元系リチウム含有複合酸化物、或いは、遷移金属元素を3種含むニッケル・コバルト・マンガン系のような三元系リチウム含有複合酸化物でもよい。
また、一般式がLiMPO(MはCo、Ni、Mn、Feのうちの少なくとも一種以上の元素;例えばLiFePO、LiMnPO)で表記されるオリビン型リン酸リチウムを上記正極活物質として用いてもよい。
また、ここで開示される製造方法で用いられるバインダ(結着材)としては、例えば、上記正極活物質層を形成する組成物として溶剤系の液状組成物(正極活物質層形成用ペースト)を用いる場合には、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)等の、有機溶剤に溶解するポリマー材料を用いることができる。なお、上記で例示したポリマー材料は、結着材として用いられる他に、上記組成物の増粘剤その他の添加剤として使用されることもあり得る。
ここで、「溶剤系の液状組成物」とは、活物質の分散媒が主として有機溶剤である組成物を指す概念である。有機溶剤としては、例えば、N‐メチルピロリドン(NMP)等を用いることができる。
上記ペーストに含まれる固形分を100質量%としたとき、固形分全体に占める正極活物質の割合は凡そ88〜96質量%であることが好ましい。また、固形分全体に占めるバインダの割合は凡そ1〜3質量%であることが好ましい。また、固形分全体に占める乾燥導電材処理物の割合は凡そ1〜10質量%であることが好ましい。
上記第2の溶媒としては、例えば、NMP、ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルスルフォキシド、ヘキサメチルフォスフォアミド等の有機溶剤(極性の溶媒)等を用いることができる。上記生成された乾燥導電材処理物は、表面に分散材が付着したカーボン微粒子の造粒物(集合体)であるため、従来と比べてより少ない有機溶剤(第2の溶媒)を用いても、カーボン微粒子が好ましく分散しているペーストを調製することができる。上記ペーストを調製する際に用いられる第2の溶媒の量は適宜決定されるが、上記固形分全体に対して凡そ40〜100質量%となる量が適当であり、40〜75質量%となる量が特に好ましい。これにより正極活物質層形成用ペーストの固形分率は、凡そ50%〜70%(好ましくは55%〜65%、さらに好ましくは55%〜60%)となる。従来と比べてペーストの固形分率が高くなるので、後述するペースト(塗布物)を乾燥するのに必要な総熱量が少なくて済み乾燥に要する時間が短縮される。この結果、従来よりも小規模な乾燥設備(例えば乾燥炉)を用いることができる。
次に、上記調製した正極活物質層形成用ペーストを正極集電体の表面に塗布(塗工)し、ペースト(塗布物)中の第2の溶媒を揮発させて乾燥させた後、必要に応じて圧縮(プレス)する(正極活物質層形成工程S50)。上記正極集電体としては、従来のリチウムイオン二次電池の正極に用いられている集電体と同様、導電性の良好な金属からなる導電性部材が好ましく用いられる。例えば、アルミニウムやアルミニウムを主体とする合金材を用いることができる。正極集電体の形状は、リチウムイオン二次電池の形状等に応じて異なり得るため、特に制限はなく、棒状、板状、シート状、箔状、メッシュ状等の種々の形態であり得る。典型的にはシート状のアルミニウム製の正極集電体が用いられる。
また、正極集電体に上記正極活物質層形成用ペーストを塗布する方法としては、従来公知の方法と同様の技法を適宜採用することができる。例えば、スリットコーター、ダイコーター、グラビアコーター等の適当な塗布装置を使用することにより、正極集電体に該ペーストを好適に塗布することができる。また、溶媒を乾燥するにあたっては、自然乾燥、熱風、低湿風、真空、赤外線、遠赤外線、および電子線を、単独または組み合わせにて用いることにより良好に乾燥し得る。さらに、圧縮方法としては、従来公知のロールプレス法、平板プレス法等の圧縮方法を採用することができる。
以上より、正極活物質層が正極集電体表面に形成(保持)されたリチウムイオン二次電池の正極(例えばシート状の正極)が得られる。図6は、本実施形態に係るリチウムイオン二次電池の正極の構造を模式的に示す断面図である。図6に示すように、上記製造方法により作製された正極66の正極活物質層64において、カーボン微粒子110は正極活物質65の近傍において好ましく分散している。これにより導電性に優れた正極66が得られる。
以上、ここで開示されるリチウムイオン二次電池の製造方法の特徴部分である正極の製造方法を詳細に説明した。次に、このようにして得られた正極を用いてリチウムイオン二次電池を製造する方法について詳細に説明する。
まず、ここで開示されるリチウムイオン二次電池の製造方法で用いられる負極の各構成要素について説明する。ここで開示されるリチウムイオン二次電池用の負極は、従来と同様の構成をとり得る。かかる負極を構成する負極集電体としては、例えば、銅材やニッケル材或いはそれらを主体とする合金材を用いることが好ましい。負極集電体の形状は、正極の形状と同様であり得る。
ここで開示される製造方法で用いられる負極に形成される負極活物質層に含まれる負極活物質としては、リチウムを吸蔵および放出可能な材料であればよく、例えば、黒鉛(グラファイト)等の炭素材料、リチウム・チタン酸化物(LiTi12)等の酸化物材料、スズ、アルミニウム(Al)、亜鉛(Zn)、ケイ素(Si)等の金属若しくはこれらの金属元素を主体とする金属合金からなる金属材料、等が挙げられる。典型例として、黒鉛等から成る粉末状の炭素材量が挙げられる。
ここで開示される製造方法で用いられる負極活物質層には、上記負極活物質の他に、上記正極活物質層に配合され得る一種または二種以上の材料を必要に応じて含有させることができる。そのような材料として、上記の正極活物質層の構成材料として列挙したような結着材として機能し得る各種の材料を同様に使用し得る。
上記負極は、負極活物質と結着材等とを従来と同様の適当な溶媒(水、有機溶媒等)に分散させてなるペースト状の組成物(以下、負極活物質層形成用ペーストという)を調製する。調製した該負極活物質層形成用ペーストを負極集電体に塗布し、乾燥させた後、圧縮(プレス)することによって、負極集電体と該負極集電体上に形成された負極活物質層とを備える負極(例えばシート状の負極)を作製することができる。
また、上記正極と上記負極と共に使用されるセパレータとしては、従来と同様のセパレータを使用することができる。例えば、樹脂からなる多孔性シート(微多孔質樹脂シート)を好ましく用いることができる。
電解質としては、従来からリチウムイオン二次電池に用いられる非水系の電解質(典型的には電解液)と同様のものを特に限定なく使用することができる。例えば、適当量(例えば濃度1M)のLiPF等のリチウム塩をジエチルカーボネートとエチレンカーボネートとの混合溶媒(例えば質量比1:1)に溶解してなる非水電解液を使用することができる。
上記作製した正極及び負極を2枚のセパレータと共に積重ね合わせて捲回し、得られた捲回電極体を電池ケース内に収容するとともに上記電解液を注入した後、ケース開口部に蓋体を装着し封止することによってリチウムイオン二次電池を構築することができる。
なお、電池ケースの構造、大きさ、材料(例えば金属製またはラミネートフィルム製であり得る)、および正負極を主構成要素とする電極体の構造(例えば捲回構造や積層構造)等について特に制限はない。
以下、上記製造方法により作成された正極を備えるリチウムイオン二次電池の一形態を図面を参照しつつ説明するが、本発明をかかる実施形態に限定することを意図したものではない。即ち、本実施形態に係る正極が採用される限りにおいて、構築されるリチウムイオン二次電池の形状(外形やサイズ)には特に制限はない。以下の実施形態では角型形状の電池について説明する。
なお、以下の図面において、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は省略することがある。また、各図における寸法関係(長さ、幅、厚さ等)は、必ずしも実際の寸法関係を反映するものではない。
図4は、一実施形態に係るリチウムイオン二次電池を模式的に示す斜視図である。図5は、図4中のV−V線に沿う縦断面図である。
図4および図5に示すように、本実施形態に係るリチウムイオン二次電池10は、上記のリチウムイオン二次電池構成材料(正負極それぞれの活物質、正負極それぞれの集電体、セパレータ等)を具備する電極体50と、該電極体50および適当な非水系の電解質(典型的には電解液)を収容する角型形状(典型的には扁平な直方体形状)の電池ケース15とを備える。
ケース15は、上記扁平な直方体形状における幅狭面の一つが開口部20となっている箱型のケース本体30と、その開口部20に取り付けられて(例えば溶接されて)該開口部20を塞ぐ蓋体25とを備えている。蓋体25は、ケース本体30の開口部20の形状に適合する長方形状に形成されている。さらに、蓋体25には、外部接続用の正極端子60と負極端子80とがそれぞれ設けられており、これらの端子60,80の一部は蓋体25からケース15の外方に向けて突出するように形成されている。また、従来のリチウムイオン二次電池のケースと同様に、蓋体25には、電池異常の際にケース15内部で発生したガスをケース15の外部に排出するための安全弁40が設けられている。
図5に示すように、リチウムイオン二次電池10は、通常のリチウムイオン二次電池と同様に捲回電極体50を備えている。電極体50は、捲回軸が横倒しとなる姿勢(すなわち、上記開口部20が捲回軸に対して横方向に位置する向き)でケース本体30に収容されている。電極体50は、長尺シート状の正極集電体62の表面に正極活物質層64が形成された正極シート(正極)66と、長尺シート状の負極集電体82の表面に負極活物質層84が形成された負極シート(負極)86とを2枚の長尺状のセパレータシート100と共に重ね合わせて捲回し、得られた電極体50を側面方向から押しつぶして拉げさせることによって扁平形状に形成されている。
また、捲回される正極シート66において、その長手方向に沿う一方の端部には正極活物質層64が形成されずに正極集電体62が露出しており、一方、捲回される負極シート86においても、その長手方向に沿う一方の端部は負極活物質層84が形成されずに負極集電体82が露出している。そして、正極集電体62の上記露出している端部に正極端子60が接合され、上記扁平形状に形成された捲回電極体50の正極シート66と電気的に接続されている。同様に、負極集電体82の上記露出している端部に負極端子80が接合され、負極シート86と電気的に接続されている。なお、正負極端子60,80と正負極集電体62,82とは、例えば、超音波溶接、抵抗溶接等によりそれぞれ接合され得る。
上記構成の捲回電極体50を構成する正極シート66以外の構成要素は、従来のリチウムイオン二次電池の電極体と同様でよく特に制限はない。正極シート66および負極シート86は、上述したようにして作製される。
上記作製した正極シート66および負極シート86を2枚のセパレータ(例えば多孔質ポリオレフィン樹脂)100と共に積み重ね合わせて捲回し、得られた捲回電極体50をケース本体30内に捲回軸が横倒しとなるように収容するとともに、適当な支持塩(例えばLiPF等のリチウム塩)を適当量(例えば濃度1M)含むECとDMCとの混合溶媒(例えば質量比1:1)のような非水電解液を注入した後、開口部20に蓋体25を装着し封止する(例えばレーザ溶接)ことによって本実施形態のリチウムイオン二次電池10を構築することができる。
上述したリチウムイオン二次電池の製造方法(第1実施形態)では、湿式粉砕処理後の導電材分散体に含まれる第1の溶媒を消失させた乾燥導電材処理物を使用したが、かかる方法に限定されない。以下、他の実施形態(第2実施形態)に係るリチウムイオン二次電池の製造方法について説明する。本実施形態に係る製造方法は、正極の製造に用いられるペーストの製造工程に特徴を有する方法であるため、かかるペーストを用いたリチウムイオン二次電池用の正極の製造方法の好ましい態様について図2を参照しつつ説明する。
図2に示すように、本実施形態に係るリチウムイオン二次電池用の正極の製造方法は、(1)導電材としてのカーボン微粒子と、分散材とを第1の溶媒に分散させてなる導電材分散体を用意すること(導電材分散体調製工程S110)、(2)該導電材分散体に湿式粉砕処理を行うこと(湿式粉砕処理工程S120)、(3)上記湿式粉砕処理後の導電材分散体に含まれる上記第1の溶媒の量を減少させた濃縮導電材処理物を生成すること(濃縮工程S130)、(4)少なくとも上記生成された濃縮導電材処理物と、上記正極活物質と、結着材とを第2の溶媒に分散させてなる正極活物質層形成用ペーストを調製すること(正極活物質層形成用ペースト調製工程S140)、(5)該調製したペーストを正極集電体の表面に塗布して正極活物質層を形成すること(正極活物質層形成工程S150)を包含する。
まず、導電材としてのカーボン微粒子(例えばカーボンブラック)と、分散材(例えばポリビニルピロリドン)とを第1の溶媒に添加して混練することにより導電材分散体を用意する(導電材分散体調製工程S110)。このとき、上記第1の溶媒としては、NMP等の有機溶剤が挙げられる。導電材分散体に含まれる上記第1の溶媒の量は適宜決定されるが、導電材100質量部に対して500質量部〜2000質量部程度の使用が好ましい。さらに好ましくは、1000質量部〜1500質量部程度である。
さらに、ここで開示される製造方法では、上記導電材分散体に湿式粉砕処理を行う(湿式粉砕処理工程S120)。上記湿式粉砕処理は、上記導電材分散体の粘度が200mPa・S〜2000mPa・S(好ましくは300mPa・S〜1000mPa・S)の範囲内となるように行う。なお、上記湿式粉砕処理は上記第1実施形態に係る製造方法と同様であるので、詳しい説明を省略する。
そして、上記湿式粉砕処理後の導電材分散体に含まれる第1の溶媒の量を減少させて濃縮導電材処理物を生成する(濃縮工程S130)。濃縮導電材処理物は、導電材分散体に含まれる第1の溶媒の量を減少させることを実現する限りにおいて種々の態様で生成することが可能であるが、典型的には、減圧濃縮装置(例えばロータリーエバポレータ、フラッシュエバポレータ等)を用いて生成することができる。濃縮工程において、第1の溶媒を減少させる量は適宜決定されるが、濃縮導電材処理物に含まれる固形分(カーボン微粒子及び分散材)の割合が濃縮前の導電材分散体に含まれる固形分の割合の2倍〜5倍程度(好ましくは2.5倍〜4倍程度)となるように第1の溶媒を減少させることが好ましい。濃縮導電材処理物を生成することにより、後述するペースト調製工程において使用する第2の溶媒の量を少なくすることができる。
次に、少なくとも上記生成した濃縮導電材処理物と、正極活物質と、結着材とを第2の溶媒に分散させてなる正極活物質層形成用ペーストを調製する(正極活物質層形成用ペースト調製工程S140)。上記ペーストに含まれる固形分を100質量%としたとき、固形分全体に占める正極活物質の割合は凡そ88〜96質量%であることが好ましい。また、固形分全体に占めるバインダの割合は凡そ1〜3質量%であることが好ましい。また、固形分全体に占める濃縮導電材処理物(第1の溶媒を除く)の割合は凡そ1〜10質量%であることが好ましい。第2の溶媒は、第1の溶媒と同じものを使用する(NMP等の有機溶剤)。上記生成された濃縮導電材処理物は、表面に分散材が付着した(分散材層が形成された)カーボン微粒子が有機溶剤(第1の溶媒)中に分散しているため、従来と比べてより少量の有機溶剤(第2の溶媒)を用いて、カーボン微粒子が好ましく分散しているペーストを調製することができる。
上記ペーストを調製する際に用いられる第2の溶媒の量は適宜決定されるが、第2の溶媒と濃縮導電材処理物中の第1の溶媒との合計量が上記固形分全体に対して凡そ40〜100質量%となるように第2の溶媒を上記固形分全体に対して凡そ5〜35質量%を用いるのが適当である。より好ましくは、上記合計量が上記固形分全体に対して40〜75質量%となるように第2の溶媒を上記固形分全体に対して凡そ5〜15質量%を用いる。これにより正極活物質層形成用ペーストの固形分率は凡そ50%〜70%(好ましくは55%〜65%、さらに好ましくは55%〜60%)となる。従来と比べてペーストの固形分率が高くなるので、後述するペースト(塗布物)を乾燥する際により小規模な乾燥設備(例えば乾燥炉)を用いることができ、総熱量も少なくて済む。また、ペーストを調製する際にカーボン微粒子が有機溶剤に分散している濃縮導電材処理物を使用するため、発塵の発生の虞がなく集塵装置も不要となる。
次に、上記調製した正極活物質層形成用ペーストを正極集電体の表面に塗布(塗工)し、ペースト(塗布物)中の溶媒(第1の溶媒及び第2の溶媒)を揮発させて乾燥させた後、必要に応じて圧縮(プレス)する(正極活物質層形成工程S150)。これにより正極活物質層が正極集電体表面に形成(保持)されたリチウムイオン二次電池の正極が得られる。なお、本実施形態により得られる正極を用いる他は、上述の第1実施形態に係る製造方法と同様にして本実施形態に係るリチウムイオン二次電池を製造することができる。
なお、上記乾燥造粒工程において生成された乾燥導電材処理物、或いは上記濃縮工程において生成された濃縮導電材処理物を事前に(例えば、予備実験等を行うことにより)生成しておき、その生成した処理物を用いて上記正極を製造することができる。即ち、本発明の実施にあたって、その都度上記処理物を生成することを必要とするものではない。
以下、本発明に関するいくつかの実施例を説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。
<実施例1>
(1)乾燥導電材処理物の生成
導電材としてのアセチレンブラック(電気化学工業製、商品名「デンカブラック粉状品」)と、分散材としてのポリビニルピロリドン(日本触媒製、商品名「K−30」)と、溶媒(第1の溶媒)としてのイオン交換水とを質量比6.2:0.6:93.2となるように混合して導電材分散体を調製した。
そして、市販のビーズミルを用いて上記調製した導電材分散体に湿式粉砕処理を行い、導電材分散体の粘度が500mPa・Sとなるまでアセチレンブラックの解砕を行った。
次いで、上記粉砕処理後の導電材分散体を市販のスプレードライヤーを用いて乾燥導電材処理物を乾燥造粒(生成)して、市販の振動ふるい器を用いて50μm〜500μmの範囲内の粒径を有する乾燥導電材処理物を得た。得られた乾燥導電材処理物の嵩密度は0.4g/cc以上であった。
(2)正極の作製
正極活物質としてのLiNi1/3Co1/3Mn1/3と、導電材としての上記乾燥導電材処理物と結着材としてのPVDFとの質量比が88:10:2となるように秤量し、これら材料(固形分全体)に対して72.4質量%の溶媒NMPに分散させて最終的な固形分率が58%の正極活物質層形成用ペーストを調製した。このとき、平均粒径(D50)が4μmのLiNi1/3Co1/3Mn1/3粉末を使用した。該ペーストを厚さ50μmのPETフィルムに、塗布量が5.6mg/cm(固形分基準)、ペーストの厚み40μmとなるように塗布して乾燥して実施例1に係る正極を作製した。
<実施例2>
(1)濃縮導電材処理物の生成
導電材としてのアセチレンブラック(電気化学工業製、商品名「デンカブラック粉状品」)と、分散材としてのポリビニルピロリドン(日本触媒製、商品名「K−30」)と、溶媒(第1の溶媒)としてのNMPとを質量比6.2:0.6:93.2となるように混合して導電材分散体を調製した。
そして、市販のビーズミルを用いて上記調製した導電材分散体に湿式粉砕処理を行い、導電材分散体の粘度が550mPa・Sとなるまでアセチレンブラックの解砕を行った。
次いで、市販のエバポレーターを用いて上記粉砕処理後の導電材分散体の溶媒(NMP)を減圧濃縮して(溶媒の一部を除去して)濃縮導電材処理物を得た。このとき、アセチレンブラックと、ポリビニルピロリドンと、NMPとの質量比が20:2:78となるまでNMPを除去して上記粉砕処理後の導電材分散体を濃縮した。
(2)正極の作製
正極活物質としてのLiNi1/3Co1/3Mn1/3と、導電材としての上記濃縮導電材処理物(NMPを除く)と結着材としてのPVDFとの質量比が88:10:2となるように秤量し、これら材料(固形分全体)に対して72.4質量%の溶媒NMPに上記正極活物質と濃縮導電材処理物と結着材とを分散させて最終的な固形分率が58%の正極活物質層形成用ペーストを調製した。実施例2に係る正極活物質層形成用ペーストを用いた他は実施例1と同様にして、実施例2に係る正極を作製した。
<比較例>
(1)正極の作製
正極活物質としてのLiNi1/3Co1/3Mn1/3と、導電材としてのアセチレンブラックと結着材としてのPVDFとの質量比が88:10:2となるように秤量し、これら材料(固形分全体)に対して100質量%の溶媒NMPに分散させて最終的な固形分率が50%の正極活物質層形成用ペーストを調製した。比較例に係る正極活物質層形成用ペーストを用いた他は実施例1と同様にして、比較例に係る正極を作製した。
<電極導電率測定試験>
上記作製した実施例1,2および比較例に係る電極の導電率(mS/cm)を抵抗率計(三菱化学アナリテック社製、商品名「ロレスタGP MCP−T610型」)を用い、ESPプローブを使用して測定した。得られた結果を表1に示す。
Figure 2012009227
表1に示すように、電極導電率測定試験の結果によると、実施例1に係る正極及び実施例2に係る正極は、導電材処理物を生成せずに作製した比較例1に係る正極と比較して電極の導電率が高いことが確認できた。以上より、実施例1及び実施例2に係る正極は、導電材としてのアセチレンブラックが正極活物質層において良好に分散していることが示された。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、請求の範囲を限定するものではない。請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
本発明に係る方法により製造されたリチウムイオン二次電池は、電極の製造工程における有機溶剤の使用量を少なくして工程全体における環境負荷の低減を実現すると共に、正極活物質層形成用ペーストにおけるカーボン微粒子の分散を向上させて正極の導電性を向上させた高品質の正極となり得る。かかる特性により、本発明に係るリチウムイオン二次電池は、特に自動車等の車両に搭載されるモーター(電動機)用電源として好適に使用し得る。従って、本発明によると、かかるリチウムイオン二次電池(当該電池を複数個直列に接続して形成される組電池の形態であり得る。)を電源として備える車両(典型的には自動車、特にハイブリッド自動車、電気自動車のような電動機を備える自動車)を提供することができる。
10 リチウムイオン二次電池
15 電池ケース
20 開口部
25 蓋体
30 ケース本体
40 安全弁
50 捲回電極体
60 正極端子
62 正極集電体
64 正極活物質層
65 正極活物質
66 正極シート(正極)
80 負極端子
82 負極集電体
84 負極活物質層
86 負極シート
100 セパレータシート
110 カーボン微粒子
120 集合体
130 分散材
310 カーボンブラック
350 正極活物質
364 正極活物質層

Claims (8)

  1. 少なくとも正極活物質と導電材とを含む正極と、少なくとも負極活物質を含む負極とを備えるリチウムイオン二次電池の製造方法であって、
    (1)前記導電材としてのカーボン微粒子と、分散材とを第1の溶媒に分散させてなる導電材分散体を用意すること;
    (2)前記導電材分散体に湿式粉砕処理を行うこと;
    (3)前記湿式粉砕処理後の導電材分散体に含まれる前記第1の溶媒の少なくとも一部を蒸発させることにより、前記第1の溶媒の量を減少させた濃縮導電材処理物若しくは前記第1の溶媒を消失させた乾燥導電材処理物を生成すること;
    (4)少なくとも前記生成された導電材処理物と、前記正極活物質と、結着材とを第2の溶媒に分散させてなる正極活物質層形成用ペーストを調製すること;
    (5)前記調製したペーストを正極集電体の表面に塗布して正極活物質層を形成すること;を包含する製造方法により得られた正極を使用してリチウムイオン二次電池を構築することを特徴とするリチウムイオン二次電池の製造方法。
  2. 前記導電材処理物として、前記乾燥導電材処理物を用いる、請求項1に記載のリチウムイオン二次電池の製造方法。
  3. 前記第1の溶媒は水である、請求項2に記載のリチウムイオン二次電池の製造方法。
  4. 前記乾燥導電材処理物は、前記湿式粉砕処理後の導電材分散体を噴霧乾燥法により乾燥させて生成される、請求項2または3に記載のリチウムイオン二次電池の製造方法。
  5. 前記乾燥導電材処理物として、粒子径が実質的に50μm〜500μmの範囲内にある乾燥導電材処理物を使用する、請求項2から4のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池の製造方法。
  6. 前記湿式粉砕処理は、前記導電材分散体の粘度が200mPa・s〜2000mPa・sの範囲内となるように行う、請求項1から5のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池の製造方法。
  7. 前記カーボン微粒子として平均粒径が10nm〜50nmであるカーボンブラックを使用する、請求項1から6のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池の製造方法。
  8. 請求項1から7のいずれかに記載の製造方法により得られたリチウムイオン二次電池。

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