(第1実施形態)
以下、産業車両用遠隔操作システムの第1実施形態について説明する。
図1に示すように、産業車両用遠隔操作システム10は、産業車両としてのフォークリフト20と、フォークリフト20を遠隔操作するのに用いられる遠隔操作装置30と、を備えている。
フォークリフト20は、車輪21と、荷物の積み上げ又は積み降ろしを行う荷役装置としてのフォーク22と、を備えている。本実施形態のフォークリフト20は、運転者が着座して操縦することが可能に構成されている。フォーク22は、リフト動作、リーチ動作及びチルト動作が可能に構成されている。
なお、フォークリフト20は、例えばエンジンが搭載されたエンジンタイプであってもよいし、蓄電装置及び電動モータが搭載されたEVタイプであってもよいし、燃料電池及び電動モータが搭載されたFCVタイプであってもよい。また、フォークリフト20は、例えばエンジンと蓄電装置と電動モータとを有するHVタイプでもよい。
図2に示すように、フォークリフト20は、走行アクチュエータ23と、荷役アクチュエータ24と、これら走行アクチュエータ23及び荷役アクチュエータ24を制御する車両CPU25と、車両メモリ26と、車両状態検知部27と、を備えている。
走行駆動部としての走行アクチュエータ23は、フォークリフト20の走行に用いられるものであり、具体的には車輪21を回転駆動させるとともに、操舵角(進行方向)を変更する。なお、例えばフォークリフト20がエンジンタイプであれば、走行アクチュエータ23はエンジン及びステアリング装置等であり、例えばフォークリフト20がEVタイプであれば、走行アクチュエータ23は車輪21を回転駆動させる電動モータ及びステアリング装置等である。
荷役アクチュエータ24は、走行とは異なる動作に用いられるものであり、詳細にはフォーク22を駆動させるものである。例えば、荷役アクチュエータ24は、フォーク22を上下方向に移動させるリフト動作を行うリフト駆動部24aと、フォーク22を前後方向に移動させるリーチ動作を行うリーチ駆動部24bと、フォーク22を傾けるチルト動作を行うチルト駆動部24cと、を有している。
なお、フォーク22が、走行とは異なる動作を行う動作対象とも言え、フォーク22の動作が「走行とは異なる動作」とも言え、荷役アクチュエータ24が走行とは異なる動作に用いられる「動作駆動部」とも言える。
車両状態検知部27は、フォークリフト20の状態を検知するものである。車両状態検知部27は、例えば現在のフォークリフト20の走行態様及びフォーク22の動作態様を検知するとともに、フォークリフト20の異常の有無を検知し、その検知結果である走行情報、動作情報及び異常情報が設定された検知信号を車両CPU25に向けて出力する。
なお、走行情報は、例えばフォークリフト20の走行速度、加速度及び操舵角に関する情報を含む。換言すれば、本実施形態の車両状態検知部27は、フォークリフト20の走行態様として、少なくともフォークリフト20の走行速度、加速度及び操舵角を検知している。また、動作情報は、上下方向におけるフォーク22の位置(リフト位置)及びリフト動作中の場合にはその動作速度に関する情報と、前後方向におけるフォーク22の位置(リーチ位置)及びリーチ動作中の場合にはその動作速度に関する情報と、鉛直方向に対するフォーク22の傾斜角度及びチルト動作中の場合にはその動作速度に関する情報とを含む。換言すれば、本実施形態における車両状態検知部27が検知するフォークリフト20の動作態様には、リフト動作、リーチ動作及びチルト動作が含まれている。
また、フォークリフト20の異常とは、例えば、走行アクチュエータ23又は荷役アクチュエータ24の異常や、車輪21の異常等がある。但し、フォークリフト20の異常は、これに限られず任意であり、例えばフォークリフト20が蓄電装置を有する構成においては、蓄電装置の異常等を含んでもよい。
車両CPU25は、フォークリフト20に設けられているステアリング装置や各種操作レバーが操作されることに基づいて、車両メモリ26に記憶されている各種プログラムを読み出し実行することによって、走行アクチュエータ23及び荷役アクチュエータ24を制御する。つまり、本実施形態のフォークリフト20は、遠隔操作装置30を用いずに、フォークリフト20に設けられているステアリング装置や各種操作レバーにより運転することも可能となっている。また、車両CPU25は、車両状態検知部27から入力される検知信号に基づいて、フォークリフト20の現在の状態を把握する。車両CPU25は、車両ECUとも車両MPUとも言える。
遠隔操作装置30は、通信機能を有する操作端末である。遠隔操作装置30は、例えばスマートフォン又はタブレット端末といった汎用品である。但し、これに限られず、遠隔操作装置30は、携帯電話やヴァーチャルリアリティ端末などでもよいし、遠隔操作のための専用品であってもよい。
図1に示すように、本実施形態では、遠隔操作装置30は、一方を長手方向とし他方を短手方向とする矩形板状である。遠隔操作装置30は、遠隔操作を行う場合、当該遠隔操作装置30の長手方向の両端部のうち一方の端部が右手によって把持され、他方の端部が左手によって把持された状態で用いられる。つまり、遠隔操作装置30は遠隔操作を行う際には横向きに両手で把持されることを想定している。
図2に示すように、遠隔操作装置30は、タッチパネル31と、タッチセンサ32と、リモートCPU33と、リモートメモリ34と、姿勢検知部35と、を備えている。
図1に示すように、タッチパネル31は、遠隔操作装置30の一方の板面に形成されている。タッチパネル31は長手方向及び短手方向を有する矩形状であり、タッチパネル31の長手方向は遠隔操作装置30の長手方向と一致している。タッチパネル31は、所望の画像を表示させることが可能に構成されている。
ちなみに、遠隔操作装置30が横向きに把持された場合、タッチパネル31の短手方向は操作者から見て上下方向又は前後方向であり、タッチパネル31の長手方向は操作者から見て左右方向である。
なお、以降の説明において、タッチパネル31を視認できるように遠隔操作装置30が横向きに把持された場合において、操作者から見てタッチパネル31の上端側(図5及び図6における紙面上方向)を上方とし、操作者から見て下端側(図5及び図6における紙面下方向)を下方とする。
タッチセンサ32は、遠隔操作装置30に対する操作の一種である、タッチパネル31に対する入力操作(詳細にはタッチ操作やスライド操作)を検知するものである。詳細には、タッチセンサ32は、タッチパネル31に対して指が接触しているか否かを検知するとともに、指の接触が検知された場合にはその位置を検知する。そして、タッチセンサ32は、検知結果をリモートCPU33に出力する。これにより、リモートCPU33は、タッチパネル31に対する入力操作を把握できる。なお、タッチセンサ32の具体的な構成は任意であるが、例えば静電容量の変化に基づいて検出する静電容量式センサや圧力センサ等がある。
ちなみに、本実施形態のタッチセンサ32は、タッチパネル31に対して複数の入力操作が行われている場合には、各入力操作をそれぞれ個別に検知する。例えば、タッチパネル31に対して左手の指と右手の指の双方が接触している場合には、左手の指の接触位置及び右手の指の接触位置の双方を個別に検知し、その検知結果をリモートCPU33に出力する。
姿勢検知部35は、遠隔操作装置30の姿勢を検知するものである。姿勢検知部35は、例えば3軸の加速度センサと3軸のジャイロセンサとを含み、これらのセンサから得られる情報に基づいて、遠隔操作装置30の向き及びその変化を検知する。
例えば、図1に示すように、遠隔操作装置30の長手方向の両端部が操作者によって把持されている場合においては、姿勢検知部35は、遠隔操作装置30の中心を通り当該遠隔操作装置30の厚さ方向に延びた第1中心線M1を回転軸とする回転操作(以降、単に「第1回転操作」という。)を検知する。更に姿勢検知部35は、遠隔操作装置30の中心を通り当該遠隔操作装置30の長手方向に延びた第2中心線M2を回転軸とする回転操作(以降、単に「第2回転操作」という。)を検知する。
第1回転操作方向は、遠隔操作装置30の厚さ方向を回転軸とする遠隔操作装置30の回転方向であり、第2回転操作方向は、遠隔操作装置30の長手方向を回転軸とする遠隔操作装置30の回転方向である。換言すれば、姿勢検知部35は、第1回転操作方向における遠隔操作装置30の回転位置の変化、及び、第2回転操作方向における遠隔操作装置30の回転位置の変化を検知するものである。
姿勢検知部35は、第1回転操作及び第2回転操作の少なくとも一方が行われているか否か、及び、両回転操作の少なくとも一方が行われている場合には当該回転操作の態様を検知し、その検知結果をリモートCPU33に出力する。これにより、リモートCPU33は、遠隔操作装置30に対する操作の一種である第1回転操作及び第2回転操作を把握できる。
なお、回転操作の態様とは、例えば回転操作の角速度の変化具合である。詳細には、姿勢検知部35は、回転操作の態様として角加速度を検知する。これにより、遠隔操作装置30(詳細にはリモートCPU33)は、回転操作の有無に加えて角加速度も把握できる。
リモートCPU33は、リモートメモリ34に記憶されている各種プログラムを用いて各種処理を実行するものである。詳細には、リモートメモリ34には、タッチパネル31の画像制御に関するプログラムが記憶されており、リモートCPU33は、当該プログラムを読み出し実行することによってタッチパネル31の表示制御を行う。また、リモートCPU33は、タッチセンサ32及び姿勢検知部35から入力される信号に基づいて、遠隔操作装置30に対する各種操作を把握する。本実施形態では、リモートCPU33が「表示制御部」に対応する。
図2に示すように、フォークリフト20と遠隔操作装置30とは通信可能に構成されている。詳細には、フォークリフト20は、車両通信部28を有しており、遠隔操作装置30は、車両通信部28と通信可能なリモート通信部36を有している。
車両通信部28及びリモート通信部36は、例えば無線通信を行う通信インターフェースである。リモート通信部36は、通信範囲内にペアリング(登録)済みのフォークリフト20が存在する場合には、当該フォークリフト20の車両通信部28との通信接続を確立する。これにより、遠隔操作装置30とフォークリフト20との間で信号のやり取りが可能となる。
本実施形態では、車両通信部28及びリモート通信部36間の通信形式は、Wi−Fi(換言すればIEEE802.11規格の無線LAN)である。両通信部28,36は、パケット通信によって信号の送受信を行う。
なお、Wi−Fiには、IEEE802.11aやIEEE802.11ac等といった複数の規格が存在するが、車両通信部28及びリモート通信部36間の通信形式は、上記複数の規格のうちいずれでもよい。また、両通信部28,36の信号の送受信は、パケット通信に限られず任意である。
更に、車両通信部28とリモート通信部36との間の通信形式については、Wi−Fiに限られず、任意であり、例えばBluetooth(登録商標)及びZigbee(登録商標)等であってもよい。
リモートCPU33は、リモート通信部36と電気的に接続されている。リモートCPU33は、リモート通信部36を用いて、遠隔操作に関する各種情報が設定された遠隔操作信号SG1を車両通信部28に向けて送信することにより、フォークリフト20を遠隔操作する。遠隔操作信号SG1は、無線通信用の規格に対応する信号であり、本実施形態ではWi−Fi規格に対応したパケット通信信号である。
フォークリフト20は、遠隔操作信号SG1を、車内通信用規格に対応した制御信号SGaに変換する信号変換部29を備えている。信号変換部29は、車両通信部28及び車両CPU25に電気的に接続されており、車両通信部28によって受信された遠隔操作信号SG1を、車両CPU25が認識可能な制御信号SGaに変換し、当該制御信号SGaを車両CPU25に向けて出力する。
なお、本実施形態では、フォークリフト20の具体的な車内通信用規格はCAN規格である。すなわち、本実施形態では、制御信号SGaはCAN信号である。但し、これに限られず、具体的な車内通信用規格は任意である。
図3に示すように、遠隔操作信号SG1の規格と制御信号SGaの規格とが異なっていることに起因して、遠隔操作信号SG1及び制御信号SGaの信号形式(換言すれば信号形態)が異なっている一方、遠隔操作信号SG1及び制御信号SGaに設定されている情報(換言すれば内容)は同一である。換言すれば、信号変換部29は、遠隔操作に関する情報が設定された無線通信用規格の遠隔操作信号SG1から、当該遠隔操作に関する情報を保持しつつ車両CPU25が認識可能な制御信号SGaに変換するものであるといえる。
遠隔操作信号SG1及び制御信号SGaは、遠隔操作に関する情報として、走行操作に関する走行操作情報D1と、荷役操作に関する荷役操作情報D2とを含む。
走行操作情報D1は、例えばフォークリフト20の走行速度が設定された走行速度情報Dvと、フォークリフト20の加速度が設定された加速度情報Dαと、フォークリフト20の操舵角が設定された操舵角情報Dθと、を有している。
荷役操作情報D2は、例えばリフト動作のストローク量が設定されたリフト情報Dfaと、リーチ動作のストローク量が設定されたリーチ情報Dfbと、チルト動作の傾斜角度が設定されたチルト情報Dfcと、を有している。
車両CPU25は、信号変換部29から制御信号SGaが入力された場合には、車両メモリ26に記憶されている車両遠隔操作プログラム26aを読み出し且つ当該車両遠隔操作プログラム26aを実行することにより、当該制御信号SGaに対応した態様でフォークリフト20(詳細には両アクチュエータ23,24)を駆動させる。
例えば、走行操作情報D1の各情報Dv,Dα,Dθが「0」以外の数値であり且つ荷役操作情報D2の各情報Dfa,Dfb,Dfcが「0」又は「null」である制御信号SGaが車両CPU25に入力されたとする。この場合、車両CPU25は、走行アクチュエータ23を制御することにより、走行速度情報Dvに設定されている走行速度となるように加速度情報Dαに設定されている加速度で加減速を行うとともに、操舵角情報Dθに設定されている操舵角となるようにフォークリフト20の操舵角を変更する。
また、例えばリフト情報Dfaが「0」以外の数値であり且つその他の情報が「0」又は「null」である制御信号SGaが車両CPU25に入力された場合には、車両CPU25は、リフト情報Dfaに設定されている数値のストローク量だけフォーク22が上下方向に移動するように荷役アクチュエータ24を制御する。
なお、リフト情報Dfaは、例えば正(+)又は負(−)の値を取り得る数値情報である。車両CPU25は、リフト情報Dfaが正の値である場合には、荷役アクチュエータ24(詳細にはリフト駆動部24a)を制御してリフト情報Dfaに設定されている数値のストローク量だけフォーク22を上方へ移動させる。一方、車両CPU25は、リフト情報Dfaが負の値である場合には、荷役アクチュエータ24(詳細にはリフト駆動部24a)を制御してリフト情報Dfaに設定されている数値のストローク量だけフォーク22を下方へ移動させる。
同様に、リーチ情報Dfbは、正(+)又は負(−)の値を取り得る数値情報である。車両CPU25は、リーチ情報Dfbが正の値である場合には荷役アクチュエータ24(詳細にはリーチ駆動部24b)を制御してリーチ情報Dfbに設定されている数値のストローク量だけフォーク22を前方へ移動させる。一方、車両CPU25は、リーチ情報Dfbが負の値である場合には荷役アクチュエータ24(詳細にはリーチ駆動部24b)を制御してリーチ情報Dfbに設定されている数値のストローク量だけフォーク22を後方へ移動させる。
チルト情報Dfcは、正(+)又は負(−)の値を取り得る数値情報である。車両CPU25は、チルト情報Dfcが正の値である場合には荷役アクチュエータ24(詳細にはチルト駆動部24c)を制御してチルト情報Dfcに設定されている数値の傾斜角度だけフォーク22を前方へ傾斜させる。一方、車両CPU25は、チルト情報Dfcが負の値である場合には荷役アクチュエータ24(詳細にはチルト駆動部24c)を制御してチルト情報Dfcに設定されている数値の傾斜角度だけフォーク22を後方へ傾斜させる。
すなわち、車両通信部28が少なくとも走行速度情報Dvに「0」以外の数値が設定されている遠隔操作信号SG1を受信した場合には、車両CPU25は走行アクチュエータ23を制御する。一方、車両通信部28が荷役操作情報D2の少なくとも1つに「0」以外の数値が設定されている遠隔操作信号SG1を受信した場合には、車両CPU25は荷役アクチュエータ24を制御する。
以上のことから、遠隔操作装置30及びフォークリフト20(詳細には両通信部28,36)が通信可能な範囲内に配置されている場合には、リモート通信部36から送信される遠隔操作信号SG1に基づいて、フォークリフト20の遠隔操作が行われる。
次に、遠隔操作装置30を用いたフォークリフト20の遠隔操作制御に係る構成について説明する。
図2に示すように、リモートメモリ34には、遠隔操作信号SG1の送信処理を含むフォークリフト20の遠隔操作に関する各種処理を実行するためのリモート遠隔操作プログラム40が記憶されている。リモート遠隔操作プログラム40は、フォークリフト20の遠隔操作を行うためのアプリケーションプログラムである。リモート遠隔操作プログラム40は、遠隔操作を制御する遠隔操作制御処理を実行するための遠隔操作制御処理実行プログラム41を含む。リモート遠隔操作プログラム40が「産業車両用遠隔操作プログラム」に対応する。
リモートCPU33は、遠隔操作起動条件が成立した場合には、リモート遠隔操作プログラム40(遠隔操作アプリケーション)を起動させる。
本実施形態では、遠隔操作起動条件は遠隔操作装置30に対して起動操作が行われることである。起動操作とは、例えばタッチパネル31に遠隔操作アイコンが表示されている構成においては、当該遠隔操作アイコンに対する入力操作(タッチ操作)である。
但し、遠隔操作起動条件は、これに限られず任意であり、例えば遠隔操作装置30のリモート通信部36とフォークリフト20の車両通信部28との通信接続が確立したことでもよいし、両通信部28,36間の通信接続が確立した条件下において起動操作が行われることでもよい。すなわち、遠隔操作起動条件において、操作者の操作は必須ではない。
リモートCPU33は、リモート遠隔操作プログラム40の起動に伴い、まずリモート通信部36と通信可能な範囲内に通信接続が可能なフォークリフト20をサーチし、当該フォークリフト20が存在する場合には当該フォークリフト20の車両通信部28と通信接続を確立する。
その後、リモートCPU33は、タッチパネル31に操作画像G10を表示させる。操作画像G10は、リモート遠隔操作プログラム40に記憶されている。リモートCPU33は、基本的には、リモート遠隔操作プログラム40の起動中、常時操作画像G10を表示させる。
続いて、リモートCPU33は、遠隔操作制御処理実行プログラム41を読み出し、遠隔操作制御処理をリモート遠隔操作プログラム40の起動中に定期的に実行することにより、遠隔操作装置30に対する操作者の操作に対応した遠隔操作信号SG1の送信制御を行う。これにより、遠隔操作装置30を用いたフォークリフト20の遠隔操作が制御される。遠隔操作制御処理を実行するリモートCPU33が「遠隔操作制御部」に対応する。
ここで、図4に示すように、遠隔操作制御処理では、遠隔操作の制御モードとして、操作モードと、強制停止モードと、停止中モードとが設定されている。すなわち、遠隔操作装置30(詳細にはリモートCPU33)は、遠隔操作の制御モードとして、操作モード、強制停止モード及び停止中モードを有している。
遠隔操作制御処理の詳細な説明の前に、各モードについて簡単に説明する。
操作モードは、遠隔操作装置30に対する操作に応じてフォークリフト20の遠隔操作を行う制御モードである。操作モード時には、遠隔操作装置30に対する操作に対応した動作が行われるようにフォークリフト20の制御が行われる。
操作モードは複数のモードを有しており、詳細には走行アクチュエータ23を操作対象(制御対象)とする走行モードと、荷役アクチュエータ24を操作対象(制御対象)とするリフトモード、リーチモード及びチルトモードとを有している。
走行モードは、フォークリフト20の走行に関する遠隔操作を行う操作モードである。リフトモードは、フォーク22のリフト動作に関する遠隔操作を行う操作モードである。リーチモードは、フォーク22のリーチ動作に関する遠隔操作を行う操作モードである。チルトモードは、フォーク22のチルト動作に関する遠隔操作を行う操作モードである。すなわち、本実施形態では、種類が異なる動作ごとに操作モードがそれぞれ設定されている。なお、以降の説明においては、リフトモード、リーチモード及びチルトモードをまとめて荷役モードとも言う。
強制停止モードは、フォークリフト20を強制的に停止させる制御モードである。すなわち、本実施形態の遠隔操作装置30は、フォークリフト20を強制停止させる機能を有している。強制停止モード時は、遠隔操作装置30による遠隔操作が停止される。
本実施形態では、強制停止モードは、フォークリフト20において各種動作が行われている場合には当該動作を強制的に停止させる制御モードである。各種動作とは任意であるが、例えば走行及びフォーク22の動作の少なくとも一方である。
停止中モードは、例えばフォークリフト20が強制停止してから再度遠隔操作が行われるまでの間に設定される制御モードである。停止中モード時は、遠隔操作装置30による遠隔操作が停止される。
ちなみに、遠隔操作装置30による遠隔操作が停止される状態とは、遠隔操作装置30に対する各種操作が行われた場合であっても、フォークリフト20において各種操作に対応する動作が行われない状態を意味する。換言すれば、強制停止モード及び停止中モードは、遠隔操作装置30に対する操作に対応した動作が行われないようにフォークリフト20の遠隔操作が制限されている制御モードとも言える。
リモートCPU33は、遠隔操作制御処理では、遠隔操作装置30に対する各種操作の有無等、詳細には操作画像G10が表示されているタッチパネル31に対する入力操作の有無等に基づいて、操作モード、強制停止モード、停止中モードのいずれかに移行する。これにより、遠隔操作装置30を用いたフォークリフト20の遠隔操作が行われたり、当該遠隔操作が停止したりする。なお、操作モードは、遠隔操作が許可(許容)された制御モードである一方、強制停止モード及び停止中モードは、遠隔操作が禁止された制御モードであるとも言える。
ちなみに、既に説明したとおり、制御モードには、遠隔操作が停止するモードが含まれている。そして、リモート遠隔操作プログラム40の起動時において設定される制御モード(すなわち初期制御モード)は、停止中モードである。このため、リモート遠隔操作プログラム40が起動することに伴って、直ちに遠隔操作装置30を用いたフォークリフト20の遠隔操作が開始されるわけではない。
すなわち、リモート遠隔操作プログラム40の起動/終了と、実際のフォークリフト20の遠隔操作の開始/停止とは完全に同期しているわけではなく、リモート遠隔操作プログラム40の起動中に、操作者の操作に応じて、遠隔操作の開始/停止が繰り返し行われ得る。
また、本実施形態では、操作モードにおいて、動作種別ごとにそれぞれ専用のモードが設定されており、リモートCPU33は、操作モードにおいては、走行モード、リフトモード、リーチモード及びチルトモードのうち予め選択されているモードでフォークリフト20の遠隔操作を行う。これにより、同時に2種類以上の動作を行うことが回避されている。
次に、リモート遠隔操作プログラム40の起動に伴いタッチパネル31に表示される操作画像G10について図5及び図6を用いて説明する。
図5及び図6に示すように、操作画像G10はタッチパネル31の全面に表示されている。タッチパネル31が長手方向及び短手方向を有する形状(詳細には矩形状)であることに対応させて、操作画像G10は、長手方向及び短手方向を有する形状(詳細には矩形状)である。
操作画像G10は、それぞれ区画された複数の領域A1〜A4を有している。詳細には、操作画像G10は、特定領域としての第1領域A1と、第1領域A1とは異なる位置に設けられた第2領域A2と、走行モード設定領域(走行モードアイコン)A3と、動作モード設定領域としての荷役モード設定領域(荷役モードアイコン)A4とを有している。これら各領域A1〜A4は、互いに離間して配置されている。なお、各領域A1〜A4は、操作者による入力操作が行われることを想定しているものである。この点を考慮すれば、各領域A1〜A4は操作アイコンとも言える。
第1領域A1は、操作画像G10における長手方向の両端部のうち第1端部側に配置されている。第1領域A1は、両手で遠隔操作装置30を把持した場合に、左手の指(例えば親指)が自然と配置される位置に設けられている。第1領域A1内には、フォークリフト20の動作に関する画像が表示されているとともに、中央線Lが表示されている。
第2領域A2は、操作画像G10における長手方向の両端部のうち第1端部とは反対側の第2端部側に配置されている。第1領域A1と第2領域A2とは、タッチパネル31(換言すれば操作画像G10)の長手方向に離間して対向配置されている。第2領域A2は、両手で遠隔操作装置30を把持した場合に、右手の指(例えば親指)が自然と配置される位置に設けられている。第2領域A2内には、指を接触させることを促す画像が表示されている。
かかる構成によれば、両手で遠隔操作装置30を把持した場合、自ずと左手の親指が第1領域A1内に配置され、右手の親指が第2領域A2内に配置されることが想定される。これにより、操作者としては、第1領域A1内に対する入力操作及び第2領域A2内に対する入力操作を同時且つ容易に行うことができる。
走行モード設定領域A3は、操作画像G10内において、第1領域A1に対して遠隔操作装置30の短手方向に離間した位置に設けられている。すなわち、走行モード設定領域A3と第1領域A1とは短手方向に配列されている。走行モード設定領域A3内には、走行モードであることを示す画像、本実施形態では「走行」という文字が表示されている。
荷役モード設定領域A4は、第1領域A1と第2領域A2との間に配置されている。荷役モード設定領域A4は、リフトモードに設定するのに用いられるリフトモード設定領域A4aと、リーチモードに設定するのに用いられるリーチモード設定領域A4bと、チルトモードに設定するのに用いられるチルトモード設定領域A4cとを有している。リフトモード設定領域A4a、リーチモード設定領域A4b及びチルトモード設定領域A4cは、短手方向に配列されている。リフトモード設定領域A4a、リーチモード設定領域A4b及びチルトモード設定領域A4cはそれぞれリフトモードアイコン、リーチモードアイコン及びチルトモードアイコンとも言える。
リフトモード設定領域A4a内には、リフトモードであることを示す画像、本実施形態では「リフト」という文字が表示されている。リーチモード設定領域A4b内には、リーチモードであることを示す画像、本実施形態では「リーチ」という文字が表示されている。チルトモード設定領域A4c内には、チルトモードであることを示す画像、本実施形態では「チルト」という文字が表示されている。
なお、各モード設定領域A3,A4a〜A4c内にて表示される画像は、対応するモードが認識可能であれば任意であり、例えば文字に代えて、各モードに対応する動作を模式的に示す画像等が表示される構成でもよい。
本実施形態では、第1領域A1及び第2領域A2は、各モード設定領域A3,A4a〜A4cよりも広い。これにより、第1領域A1及び第2領域A2は、他のモード設定領域A3,A4a〜A4cと比較して、タッチし易い。また、走行モード設定領域A3は、各モード設定領域A4a〜A4cよりも狭い。
タッチセンサ32は、各領域A1〜A4に対する入力操作を検知するものであり、その検知結果をリモートCPU33に出力する。これにより、リモートCPU33は、各領域A1〜A4に対する入力操作を把握できる。
ここで、本実施形態では、操作モードが複数設定されていることに対応させて、複数の操作画像G10が設定されている。詳細には、操作画像G10は、走行モードに対応した走行モード画像G11と、リフトモードに対応したリフトモード画像G12と、リーチモードに対応したリーチモード画像と、チルトモードに対応したチルトモード画像とを含む。リモートCPU33は、操作モードに対応した操作画像G10を表示させるように構成されている。
走行モード画像G11とリフトモード画像G12とは、基本的なレイアウトが共通している一方、第1領域A1に表示されている画像及び強調表示される箇所が異なっている。
詳細には、図5に示すように、走行モード画像G11では、第1領域A1にフォークリフト20の画像と、フォークリフト20の進行方向を示唆する短手方向に延びた矢印の画像とが表示されている。これらの画像から、操作者としては、指などを用いて前進を示唆する側(詳細には走行モード設定領域A3側)へ向けてスライド操作することによりフォークリフト20が前進し、それとは反対側(詳細には後退を示唆する側)へスライド操作することによりフォークリフト20が後退することを直感的に理解できる。また、走行モード画像G11では、走行モード設定領域A3が強調表示されている。
なお、スライド操作とは、タッチパネル31に対して入力操作(換言すればタッチ操作)が行われている状態を維持しつつ当該入力操作が行われる位置が移動する一連の入力操作である。換言すれば、スライド操作は、入力操作位置が連続的に変化するタッチパネル31に対する入力操作である。
図6に示すように、リフトモード画像G12では、第1領域A1にフォーク22のリフト動作を示唆する画像が表示されている。詳細には、下降動作を示すフォークリフト20の画像と、上昇動作を示すフォークリフト20の画像とが短手方向に並んで表示されている。そして、リフトモード画像G12では、リフトモード設定領域A4aが強調表示されている。
すなわち、走行モード画像G11における第1領域A1には、フォークリフト20の走行に関する画像が表示される一方、リフトモード画像G12における第1領域A1には、フォーク22の動作(詳細にはリフト動作)に関する画像が表示される。
なお、リーチモード画像及びチルトモード画像は、第1領域A1の画像と強調表示される箇所が異なる点を除き、リフトモード画像G12と同様であるため、図示及び詳細な説明を省略する。
リモートCPU33は、遠隔操作制御処理にて、上記操作画像G10に対する入力操作を把握し、その把握結果に基づいて遠隔操作の制御、詳細には各モードへの移行や遠隔操作信号SG1の送信等を行う。以下、遠隔操作制御処理について図7〜図11を用いて説明する。
図7に示すように、リモートCPU33は、まずステップS101にて、現在の制御モードが停止中モードであるか否かを判定する。
詳細には、リモート遠隔操作プログラム40には、遠隔操作装置30(リモートCPU33)の現在の制御モードを特定するための制御モード特定情報が設定された制御モード記憶部42が設けられている(図2参照)。リモートCPU33は、ステップS101では、制御モード記憶部42に記憶されている制御モード特定情報を参照して、現在の制御モードを把握し、当該現在の制御モードが停止中モードであるか否かを判定する。なお、既に説明したとおり、本実施形態では、リモート遠隔操作プログラム40の起動時における制御モードは停止中モードである。
図7に示すように、リモートCPU33は、現在の制御モードが停止中モードであると判定した場合には、ステップS102〜S111にて、停止中モードから操作モードへ移行するか否かを判定したり、切替操作に基づく操作モードの切り替えを行ったりする。
リモートCPU33は、まずステップS102及びステップS103にて、遠隔操作開始条件が成立しているか否かを判定する。詳細には、リモートCPU33は、ステップS102にて、第1開始操作が行われているか否かを判定する。本実施形態において、第1開始操作とは、第1領域A1内に対する入力操作である。リモートCPU33は、タッチセンサ32の検知結果に基づいて、第1領域A1内への入力操作が行われているか否かを判定する。
リモートCPU33は、第1開始操作が行われていないと判定した場合にはステップS109に進む一方、第1開始操作が行われていると判定した場合にはステップS103に進む。
ステップS103では、リモートCPU33は、第1開始操作とは異なる第2開始操作が行われているか否かを判定する。すなわち、本実施形態の遠隔操作開始条件は、第1開始操作及び第2開始操作の双方が行われていることである。また、本実施形態では、第1開始操作及び第2開始操作の双方を行うことが「開始操作」に対応する。
本実施形態において、第2開始操作とは、第2領域A2内に対する入力操作である。リモートCPU33は、タッチセンサ32の検知結果に基づいて、第2領域A2内への入力操作が行われているか否かを判定する。
なお、念のため説明すると、第1開始操作と第2開始操作とは、タッチパネル31に対する入力操作という点では共通する一方、当該入力操作が行われる位置が異なっている。このため、両開始操作は互いに異なる操作である。
リモートCPU33は、第2開始操作が行われていないと判定した場合にはステップS109に進む一方、第2開始操作が行われていると判定した場合にはステップS104に進む。
ステップS104では、リモートCPU33は、制御モードを停止中モードから操作モードへ移行させる。詳細には、リモートCPU33は、制御モード特定情報を操作モードに対応する情報に更新する。
すなわち、リモートCPU33は、第1開始操作及び第2開始操作の両開始操作が行われていると把握されたことに基づいて、制御モードを停止中モードから操作モードへ移行させる。これにより、遠隔操作装置30を用いたフォークリフト20の遠隔操作が開始される。換言すれば、本実施形態における遠隔操作の開始条件は、両開始操作が行われることである。なお、以降の説明においては、第1開始操作及び第2開始操作を両開始操作といもいう。
ここで、本実施形態では操作モードとして走行モード、リフトモード、リーチモード及びチルトモードの4つの操作モードが存在する。ステップS104では、リモートCPU33は、4つの操作モードのうちいずれかに移行する。
詳細には、リモート遠隔操作プログラム40には、操作モードを特定するための操作モード特定情報が記憶された操作モード記憶部43が設けられている(図2参照)。リモートCPU33は、制御モードが操作モードに移行することに伴い、操作モード特定情報に基づいて現在設定されている操作モードを特定し、当該操作モードに移行する。例えば、操作モードとして走行モードが設定されている場合には、リモートCPU33は、ステップS104では、停止中モードから走行モードに移行する。
続くステップS105では、リモートCPU33は、遠隔操作が開始されたときの第1開始操作が行われた位置である第1開始位置P10をリモートメモリ34に記憶させる。具体的には、リモートCPU33は、リモート遠隔操作プログラム40に設けられた開始位置記憶部44(図2参照)に、今回の遠隔操作制御処理において検知された第1領域A1内に対する入力操作の位置を記憶させる。なお、位置とは座標とも言え、第1開始位置P10は第1開始座標とも言える。
ここで、第1開始位置P10は、両開始操作が行われたとき、換言すれば遠隔操作の開始条件が成立したときにおける第1開始操作の位置である。このため、仮に第1開始操作が行われた後に第2開始操作が行われた場合には、第1開始位置P10は、第2開始操作が行われた時点における第1開始操作の位置である。一方、仮に第2開始操作が行われた後に第1開始操作が行われた場合には、第1開始位置P10は、最初に第1領域A1内に入力操作が行われた位置、すなわち第1開始操作の初期位置である。
その後、リモートCPU33は、ステップS106にて、第1継続操作が行われている位置である第1継続操作位置の追跡を開始する。詳細には、リモートCPU33は、リモート遠隔操作プログラム40に設けられた追跡用記憶部45に、第1継続操作位置の初期位置(初期座標)として第1開始位置P10を記憶させる。そして、リモートCPU33は、操作画像G10における指のスライド操作等に伴って第1継続操作位置が初期位置(第1開始位置P10)から連続的に変化する場合には、当該第1継続操作位置を追跡するとともに、第1継続操作が行われていると認識する。
なお、第1継続操作位置の追跡に係る具体的な処理内容については、任意であるが、本実施形態では追跡用記憶部45を用いる。これについては後述するステップS201にて説明する。また、第1継続操作位置とは、第1継続操作の現在位置とも言えるし、現在タッチ操作が行われている位置とも言える。
続くステップS107では、リモートCPU33は、遠隔操作装置30に対する操作に関わらず、遠隔操作信号SG1に停止用情報を設定する。停止用情報とは、フォークリフト20の遠隔操作が停止している状態を維持するための情報であり、具体的には走行操作情報D1及び荷役操作情報D2の全てに「0」が設定された情報である。なお、ステップS107の処理は、停止用情報が設定された遠隔操作信号SG1を生成する処理とも言える。なお、以降の説明においては、停止用情報が設定された遠隔操作信号SG1を単に停止中遠隔操作信号SG11という。
その後、ステップS108にて、リモートCPU33は、リモート通信部36を用いて停止中遠隔操作信号SG11を送信する。フォークリフト20は、車両通信部28によって停止中遠隔操作信号SG11が受信された場合には、フォークリフト20の走行及びフォーク22の駆動の双方を停止する。すなわち、停止中遠隔操作信号SG11が送信されている状況においては、フォークリフト20の遠隔操作は停止している。
なお、実際には、停止中モードにおいてフォークリフト20の遠隔操作は停止しているため、停止中遠隔操作信号SG11を受信したフォークリフト20としては、遠隔操作の停止状態を維持していると言える。
一方、第1開始操作及び第2開始操作の少なくとも一方が行われていない場合、リモートCPU33は、ステップS109にて、操作モードの切替条件である操作モード切替条件が成立したか否かを判定する。
本実施形態では、操作モード切替条件とは、遠隔操作装置30に対して切替操作が行われることである。切替操作とは、例えば各モード設定領域A3,A4a〜A4cのうちいずれか1つに対して入力操作が行われることである。リモートCPU33は、タッチセンサ32の検知結果に基づいて、これら各モード設定領域A3,A4a〜A4cに対する入力操作の有無を判定する。
リモートCPU33は、各モード設定領域A3,A4a〜A4cに対する入力操作がないと判定した場合にはステップS107に進む。一方、リモートCPU33は、各モード設定領域A3,A4a〜A4cに対する入力操作があると判定した場合には、操作モード切替条件が成立したとして、ステップS110にて操作モードを切り替える操作モード切替処理を実行する。
ステップS110では、リモートCPU33は、切替操作に対応する操作モードに切り替える。詳細には、リモートCPU33は、タッチセンサ32の検知結果に基づいて、入力操作が行われたモード設定領域を特定し、操作モードを、その特定されたモード設定領域に対応するモードに設定する。
例えば、操作モードが走行モードである状況においてリフトモード設定領域A4aに対する入力操作が検知された場合、リモートCPU33は、操作モードを走行モードからリフトモードに切り替える。同様に、操作モードがリーチモードである状況においてチルトモード設定領域A4cに対する入力操作が検知された場合、リモートCPU33は、操作モードをリーチモードからチルトモードに切り替える。すなわち、本実施形態における操作モードの切り替えは、走行モードと荷役モードとの間の切り替えと、荷役モード内の切り替えとを含む。
なお、既に説明したとおり、リモートCPU33は、操作モード記憶部43に記憶されている操作モード特定情報に基づいて、操作モードを特定するように構成されている。このため、ステップS110では、リモートCPU33は、操作モード特定情報を、切替操作に対応する情報に更新する。これにより、リモートCPU33は、操作モードの切り替えを把握できる。
なお、念のために説明すると、操作モードの切り替えと、制御モードの切り替えとは別々の処理である。このため、操作モード切替処理が行われた場合であっても制御モードは停止中モードのままである。
続くステップS111では、リモートCPU33は、ステップS110にて切り替えられた操作モードに対応した操作画像G10を表示させて、ステップS107に進む。例えば、ステップS110にて操作モードが走行モードからリフトモードに切り替えられた場合には、リモートCPU33は、操作画像G10として、走行モード画像G11に代えてリフトモード画像G12を表示させる。すなわち、リモートCPU33は、ステップS111では、操作モードに応じて操作画像G10を切り替える。
かかる構成によれば、停止中モードにおいて遠隔操作装置30に対して第1開始操作及び第2開始操作の双方が行われている場合には、制御モードが、停止中モードから操作モードへ移行して、フォークリフト20の遠隔操作が開始される。一方、遠隔操作装置30に対して第1開始操作及び第2開始操作の少なくとも一方が行われていない場合には、遠隔操作は開始されない。
また、停止中モードにおいて第1開始操作及び第2開始操作の少なくとも一方が行われておらず、且つ、切替操作が行われた場合には、操作モードが切り替わる。これにより、停止中モード時において切替操作を行うことによって、遠隔操作が開始されたときの操作モードを所望のモードにしておくことができる。
ちなみに、操作モード切替処理は、遠隔操作が停止している停止中モード時において実行される。このため、操作モードの切り替えは、遠隔操作が停止している場合にのみに行われる。すなわち、操作モードが停止中モードであることは、操作モード切替条件の一部であるとも言える。換言すれば、操作モード切替条件は、操作モードが停止中モードである状況において切替操作が行われることと言える。
特に、両開始操作と切替操作との双方が実行された場合には、操作モードの切り替えよりも、停止中モードから操作モードへの制御モードの移行が優先されて、操作モードの切り替えは行われない。
図7に示すように、リモートCPU33は、現在の制御モードが停止中モードではない場合には、ステップS101を否定判定し、ステップS112に進み、現在の制御モードが操作モードであるか否かを判定する。
リモートCPU33は、現在の制御モードが操作モードである場合には、ステップS113に進み、操作モードに対応した操作モード処理を実行して本遠隔操作制御処理を終了する。
なお、例えば、所定の遠隔操作制御処理において、制御モードが停止中モードから操作モードに移行した場合には、当該所定の遠隔操作制御処理に対して次に実行される遠隔操作制御処理では、操作モード処理が実行されることとなる。
図8を用いて操作モード処理について説明する。
図8に示すように、リモートCPU33は、まずステップS201にて第1継続操作の有無を把握する。本実施形態では、リモートCPU33は、タッチセンサ32の検知結果と追跡用記憶部45に記憶されている位置とに基づいて第1継続操作の有無を判断する。
詳細には、リモートCPU33は、まずタッチセンサ32によってタッチパネル31に対する入力操作の有無を判定する。
リモートCPU33は、タッチパネル31に対する入力操作が検知されている場合には、今回検知されている入力操作の位置と追跡用記憶部45に記憶されている位置とが連続しているか否かを判定する。例えば、リモートCPU33は、今回検知されている入力操作の位置と追跡用記憶部45に記憶されている位置とを比較し、両者が規定範囲内にある場合には連続していると判定する一方、両者が規定範囲外にある場合には連続していないと判定する。換言すれば、リモートCPU33は、タッチパネル31に対して指が接触しているかを判定するとともに、指が接触している場合には今回検知された指の接触位置と前回検知された接触位置とに基づいて、接触位置が連続しているか否かを判定する。
なお、タッチパネル31に対して複数箇所の入力操作が検知された場合には、リモートCPU33は、上記複数箇所のうち追跡用記憶部45に記憶されている位置に最も近い箇所の入力操作の位置を判定対象とし、当該位置と追跡用記憶部45に記憶されている位置とが連続しているか否かを判定する。
そして、リモートCPU33は、今回検知された入力操作の位置と追跡用記憶部45に記憶されている位置とが連続していると判定する場合には、追跡用記憶部45に今回検知されている入力操作の位置が設定されるように追跡用記憶部45に記憶されている位置を更新して、ステップS202に進む。これにより、追跡用記憶部45に記憶されている位置は、指の動きに追従して更新される。このため、追跡用記憶部45には、最新の第1継続操作位置が記憶されている。なお、第1継続操作位置とは、第1継続操作が行われていると判定する契機(根拠)となったタッチパネル31に対する入力操作に係る現在位置(座標)とも言える。
一方、リモートCPU33は、タッチパネル31に対する入力操作が検知されなかった場合又は入力操作が検知された場合であっても今回検知された入力操作の位置と追跡用記憶部45に記憶されている位置との間で連続性を満たしていない場合には、第1継続操作が行われていないと判定する。この場合、リモートCPU33は、ステップS201を否定判定して、ステップS210に進む。
すなわち、リモートCPU33は、追跡用記憶部45に記憶されている位置に対して比較的近い箇所への入力操作が行われていることに基づいて、第1継続操作が行われていると判定する。
ちなみに、遠隔操作制御処理が周期的に実行されていることに着目すれば、本実施形態では、リモートCPU33は、遠隔操作制御処理の実行周期よりも長い期間に亘ってタッチパネル31への入力操作が行われなかった場合には、第1継続操作が行われていないと判定するものといえる。また、リモートCPU33は、タッチパネル31に対する入力操作が行われている場合であっても今回検知された入力操作の位置と前回の遠隔操作制御処理にて検知された入力操作の位置とが乖離している場合には第1継続操作が行われていないと判定する。
つまり、本実施形態の第1継続操作とは、(A)タッチパネル31に対する入力操作があること、(B)今回検知された入力操作の位置と前回検知された第1継続操作位置とが規定範囲内にあること、(C)前回の第1継続操作の検知タイミングから今回の入力操作の検知タイミングまでの期間が特定期間以内であること、の3条件を満たす操作である。換言すれば、本実施形態の第1継続操作は、遠隔操作が開始されたときの第1開始操作から継続して行われ、且つ、入力操作位置が、遠隔操作が開始されたときの第1開始操作の位置から連続している操作である。
ちなみに、第1継続操作の条件には、今回検知された入力操作の位置が第1領域A1内にあることは含まれていない。このため、例えば図5に示すように、第1継続操作は、第1開始位置P10から第1領域A1内の第1所定位置P11まで指がスライド移動した場合も含むとともに、第1開始位置P10から第1領域A1外の第2所定位置P12まで指がスライド移動した場合も含む。
また、本実施形態では、上記特定期間は遠隔操作制御処理の実行周期であるが、これに限られず、これよりも長くてもよい。例えば、遠隔操作制御処理が周期的に実行される構成において、リモートCPU33は、2回続けてタッチパネル31への入力操作が検知されなかった場合に第1継続操作が行われていないと判定してもよい。この場合、上記特定期間は、遠隔操作制御処理の実行周期の2倍である。
図8に示すように、ステップS202では、リモートCPU33は、第2継続操作の有無を把握する。詳細には、リモートCPU33は、タッチセンサ32の検知結果に基づいて、第2領域A2内への入力操作が行われているか否かを判定する。リモートCPU33は、第2領域A2内への入力操作が検知されていない場合には第2継続操作が行われていないとしてステップS210に進む。一方、リモートCPU33は、第2領域A2内への入力操作が検知されている場合には第2継続操作が行われているとしてステップS202を肯定判定する。
すなわち、本実施形態における第2継続操作とは、遠隔操作が開始されたときの第2開始操作から継続して行われる第2領域A2内への入力操作である。このため、例えば図5に示すように、指のスライド操作によって、第2継続操作が行われている位置が、第2開始操作が行われた位置である第2開始位置P20から第2領域A2内の所定位置P21まで移動した場合であっても、リモートCPU33は第2継続操作が行われていると判定する。一方、指のスライド操作によって第2継続操作が行われている位置が第2開始位置P20から第2領域A2外の所定位置P22まで移動した場合には、リモートCPU33は、第2継続操作が行われていないと判定する。
ちなみに、遠隔操作制御処理が周期的に実行されていることに着目すれば、本実施形態では、リモートCPU33は、遠隔操作制御処理の実行周期よりも長い期間に亘って第2領域A2内への入力操作が行われなかった場合には、第2継続操作が行われていないと判定するものといえる。
換言すれば、本実施形態における第2継続操作とは、(D)第2領域A2内への入力操作があること、及び、(E)前回の第2領域A2内に対する入力操作が検知されたタイミングから今回の第2領域A2内に対する入力操作が検知されたタイミングまでの期間が特定期間以内であることの2つの条件を満たす操作である。
なお、本実施形態の第2継続操作は、遠隔操作が開始されたときの第2開始操作から継続して行われる第2領域A2内に対する入力操作であればよく、入力操作位置の連続性は問わない。
また、本実施形態では、上記特定期間は遠隔操作制御処理の実行周期であるが、これに限られず、これよりも長くてもよい。例えば、遠隔操作制御処理が周期的に実行される構成において、リモートCPU33は、2回続けて第2領域A2内への入力操作が検知されなかった場合に第2継続操作が行われていないと判定してもよい。この場合、上記特定期間は、遠隔操作制御処理の実行周期の2倍である。
図8に示すように、リモートCPU33は、第1継続操作及び第2継続操作の双方が行われていると把握された場合(ステップS201:YES且つステップS202:YES)、ステップS203〜S208にて、遠隔操作装置30に対する操作の操作態様及び操作モードに対応した遠隔操作信号SG1を送信するための処理を実行する。なお、以降の説明において、遠隔操作装置30に対する操作の操作態様及び操作モードに対応した遠隔操作信号SG1を通常遠隔操作信号SG12という。また、第1継続操作及び第2継続操作を両継続操作ともいう。
詳細には、リモートCPU33は、ステップS203にて、開始位置記憶部44と追跡用記憶部45とに基づいて、第1開始位置P10と第1継続操作位置との相対位置を導出する。換言すれば、リモートCPU33は、遠隔操作が開始されたときの開始操作から連続して行われている一連の入力操作において、最初に入力操作が行われた初期位置と現在入力操作が行われている位置との相対位置を導出しているとも言える。
続くステップS204では、リモートCPU33は、操作モード特定情報に基づいて、現在の操作モードを把握する。
その後、リモートCPU33は、ステップS205にて、現在の操作モードが走行モードであるか否かを判定する。リモートCPU33は、現在の操作モードが走行モードではない場合には、ステップS207に進む。
一方、リモートCPU33は、現在の操作モードが走行モードである場合には、ステップS206にて、第1回転操作の操作態様である第1回転操作の操作角度を把握してステップS207に進む。詳細には、リモートCPU33は、遠隔操作の開始時(停止モードから操作モードへの制御モードの移行時)に、姿勢検知部35の検知結果に基づいて、遠隔操作装置30の第1回転操作方向の回転位置を記憶しておく。そして、リモートCPU33は、姿勢検知部35の検知結果に基づいて、現在の遠隔操作装置30の第1回転操作方向の回転位置を把握し、第1回転操作方向における現在の回転位置と遠隔操作開始時の回転位置との変化量である操作角度を把握する。
例えば、図5に示す姿勢(回転位置)にて遠隔操作が開始されたとする。その後、図9に示すように、操作者から見て、遠隔操作の開始時を基準として左回りに第1角度θ1だけ第1回転操作が行われた場合には、リモートCPU33は、正の値であって絶対値が第1角度θ1の操作角度を把握する。
一方、図10に示すように、操作者から見て、遠隔操作の開始時を基準として右回りに第2角度θ2だけ第1回転操作が行われた場合には、リモートCPU33は、負の値であって絶対値が第2角度θ2の操作角度を把握する。これにより、操作角度の正負に基づいて回転方向を特定でき、操作角度の絶対値に基づいて回転量を特定できる。
図8に示すように、リモートCPU33は、ステップS207では、少なくとも相対位置と現在の操作モードとに対応した情報を遠隔操作信号SG1に設定する。詳細には、リモートCPU33は、操作モードに対応する情報に対して、上記相対位置等に対応した数値を設定する。
操作モードが走行モードである場合のステップS207の処理について説明する。
例えば、第1継続操作位置が第1開始位置P10に対してタッチパネル31の短手方向にずれている場合には、リモートCPU33は、走行操作情報D1の走行速度情報Dv及び加速度情報Dαに対して「0」以外の数値を設定し且つ荷役操作情報D2に対して「0」を設定する。
また、本実施形態では、リモートCPU33は、タッチパネル31の短手方向における第1開始位置P10と第1継続操作位置との距離が大きくなるほど、フォークリフト20の走行速度が大きくなるように走行速度情報Dvの数値を設定し、走行速度情報Dvに設定される走行速度に対応させて加速度情報Dαの数値を設定する。
例えば、図5に示すように、第2所定位置P12は、第1所定位置P11よりも第1開始位置P10に対してタッチパネル31の短手方向に離れている。かかる構成においては、第1継続操作位置が第2所定位置P12である場合の走行速度情報Dvの絶対値は、第1継続操作位置が第1所定位置P11である場合の走行速度情報Dvの絶対値よりも高く設定される。
また、操作モードが走行モードである状況において第1継続操作位置が第1開始位置P10よりも上方、詳細にはタッチパネル31の短手方向の一端側(走行モード設定領域A3側)に配置されている場合、リモートCPU33は、走行速度情報Dvに、前進に対応した値(例えば正の数値)を設定する。一方、リモートCPU33は、第1継続操作位置が第1開始位置P10よりも下方、詳細にはタッチパネル31の短手方向の他端側に配置されている場合には、走行速度情報Dvに後退に対応した値、例えば負の数値を設定する。つまり、リモートCPU33は、第1開始位置P10からのスライド操作方向に基づいて前進か後退かを決定する。
なお、リモートCPU33は、第1継続操作位置が第1開始位置P10に対してタッチパネル31の短手方向にずれていない場合には、走行速度情報Dv及び加速度情報Dαの双方に、停止に係る数値情報である「0」を設定する。
更に、リモートCPU33は、操作モードが走行モードである場合には、操作角度に対応した数値を操舵角情報Dθに設定する。例えば、リモートCPU33は、操作角度が正である場合には、操舵角情報Dθに左旋回に対応した値を設定する一方、操作角度が負である場合には、操舵角情報Dθに右旋回に対応した値を設定する。また、リモートCPU33は、操作角度の絶対値が大きくなるほど、操舵角情報Dθに大きな操舵角に対応した値を設定する。また、リモートCPU33は、第1回転操作が検知されていない場合、すなわち操作角度が「0」である場合には、操舵角情報Dθに、ニュートラルの操舵角に対応する「0」を設定する。
次に、操作モードがリフトモードである場合のステップS207の処理について説明する。
例えば、操作モードがリフトモードである状況において第1継続操作位置が第1開始位置P10よりも上方、詳細には下降動作を示すフォークリフト20の画像側に配置されている場合、リモートCPU33は、リフト情報Dfaに、下降動作に対応した値(例えば負の数値)を設定する。一方、リモートCPU33は、第1継続操作位置が第1開始位置P10よりも下方、詳細には上昇動作を示すフォークリフト20の画像側に配置されている場合には、リフト情報Dfaに、上昇動作に対応した値(例えば正の数値)を設定する。また、リモートCPU33は、タッチパネル31の短手方向における両位置の差が大きくなるほどリフト情報Dfaに大きな数値を設定する。リーチモード及びチルトモードについても、対応する動作が異なる点を除き、同様である。
すなわち、リモートCPU33は、現在の操作モードに対応した情報に対して、第1開始位置P10と第1継続操作位置との相対位置(走行モード時においては当該相対位置に加えて第1回転操作の操作態様)に対応した数値を設定する。そして、リモートCPU33は、現在の操作モードに対応した情報に上記数値が設定され且つその他の情報には「0」が設定された通常遠隔操作信号SG12を生成する。
なお、走行モードに対応した情報とは走行速度情報Dv、加速度情報Dα及び操舵角情報Dθである。リフトモードに対応した情報とはリフト情報Dfaであり、リーチモードに対応した情報とはリーチ情報Dfbであり、チルトモードに対応した情報とはチルト情報Dfcである。
これにより、フォークリフト20において、現在の操作モードに対応した動作が行われる一方、それ以外の動作が行われないように禁止(換言すれば規制)される。すなわち、リモートCPU33は、現在の操作モードに対応する動作の遠隔操作を許容する一方、現在の操作モードとは異なる操作モードに対応する動作の遠隔操作を禁止する。この点に着目すれば、走行モードは、走行に関する遠隔操作を行う一方、フォーク22に関する遠隔操作が禁止された操作モードであると言えるし、荷役モードは、フォーク22に関する遠隔操作を行う一方、走行に関する遠隔操作が禁止された操作モードであると言える。
また、ステップS207の処理は、第1開始位置P10及び第1継続操作位置の相対位置と操作角度との少なくとも一方に対応させてフォークリフト20の遠隔操作態様を決定(換言すれば制御)している処理とも言える。
本実施形態では、通常遠隔操作信号SG12に設定されている情報は、第1継続操作の操作態様(第1継続操作位置)に応じて変化する一方、第2継続操作の操作態様には依存しない。つまり、第2継続操作は、遠隔操作を行うための条件ではあるが、遠隔操作の具体的な操作態様を決定付ける要素に含まれていない。
その後、リモートCPU33は、ステップS208にて、通常遠隔操作信号SG12を送信する。通常遠隔操作信号SG12は、車両通信部28にて受信され、信号変換部29によって制御信号SGaに変換され、当該制御信号SGaが車両CPU25に入力される。車両CPU25は、制御信号SGaに基づいて両アクチュエータ23,24のいずれか一方を制御する。これにより、フォークリフト20において、現在の操作モード及び第1継続操作位置等に対応した動作が行われる。
そして、リモートCPU33は、ステップS209にて操舵角記憶部46の情報を更新して、本操作モード処理を終了する。詳細には、図2に示すように、操舵角記憶部46は、リモート遠隔操作プログラム40に設けられている。リモートCPU33は、ステップS209では、操舵角記憶部46の記憶情報を、ステップS208にて送信された通常遠隔操作信号SG12に設定されている操舵角情報Dθに更新する。
すなわち、制御モードが操作モードである状況では、リモート通信部36は第1回転操作の操作態様に対応した操舵角が設定された通常遠隔操作信号SG12を定期的に送信する。そして、リモートCPU33は、通常遠隔操作信号SG12が送信される度に、操舵角記憶部46に記憶されている操舵角を、通常遠隔操作信号SG12に設定されている操舵角(操舵角情報Dθ)に更新する。これにより、リモートCPU33は、操舵角記憶部46の記憶情報を読み出すことにより、最新の操舵角を把握できる。
ここで、既に説明したとおり、フォークリフト20は通常遠隔操作信号SG12に設定されている情報に基づいて走行するため、フォークリフト20の実際の操舵角は、操舵角記憶部46に記憶されている操舵角と一致していることが想定される。このため、リモートCPU33は、操舵角記憶部46の記憶情報を読み出すことにより、フォークリフト20の現在の操舵角を把握できる。
リモートCPU33は、第1継続操作及び第2継続操作の少なくとも一方が行われていない場合には、ステップS210にて、開始位置記憶部44に記憶されている第1開始位置P10に関する情報を消去するとともに追跡用記憶部45に記憶されている第1継続操作位置に関する情報を消去する。
その後、リモートCPU33は、ステップS211にて、制御モードを操作モードから強制停止モードへ移行させる。詳細には、リモートCPU33は、制御モード特定情報を強制停止モードに対応する情報に更新する。
そして、リモートCPU33は、ステップS212,S213にて、フォークリフト20を強制停止させる強制停止制御を行う。すなわち、本実施形態において強制停止制御の実行条件である強制停止条件は、第1継続操作及び第2継続操作の少なくとも一方が行われなくなることである。
詳細には、リモートCPU33は、ステップS212にて、遠隔操作装置30に対する操作に関わらず、遠隔操作信号SG1に、フォークリフト20の動作を強制停止させるための強制停止情報を設定する。
詳細には、リモートCPU33は、現在の操作モードが走行モードである場合には、加速度情報Dαに強制停止用減速度を設定し、操舵角情報Dθに操舵角記憶部46に記憶されている操舵角を設定し、その他の情報には「0」を設定する。すなわち、走行モード時における強制停止情報は、加速度情報Dαに強制停止用減速度が設定され、操舵角情報Dθに操舵角記憶部46に記憶されている操舵角が設定され、それ以外の情報には「0」が設定された情報である。
また、リモートCPU33は、現在の操作モードが荷役モードである場合には、走行操作情報D1及び荷役操作情報D2の双方に「0」が設定された強制停止情報を遠隔操作信号SG1に設定する。
そして、リモートCPU33は、ステップS213にて、リモート通信部36を用いて、強制停止情報が設定された遠隔操作信号SG1である強制停止遠隔操作信号SG13を送信する。強制停止遠隔操作信号SG13は、遠隔操作装置30に対する操作の影響を受けない遠隔操作信号SG1である。
強制停止遠隔操作信号SG13を受信したフォークリフト20は強制停止する。具体的には、フォークリフト20は、走行中である場合には、現状の操舵角を維持した状態で強制停止用減速度にて減速して停止する一方、フォーク22の動作中である場合には当該フォーク22の動作を直ちに停止する。すなわち、リモートCPU33は、遠隔操作装置30を用いてフォークリフト20の走行の遠隔操作が行われている状況において両継続操作の少なくとも一方が行われなくなったことに基づいて、両継続操作の少なくとも一方が行われなくなったタイミングでの操舵角を維持しつつフォークリフト20を減速させて強制停止させる。
なお、実際には、操舵角記憶部46に記憶されている操舵角は、強制停止条件の成立時に係る遠隔操作制御処理に対して前回の遠隔操作制御処理にて設定されている値である。但し、操作者の操作態様に対して遠隔操作制御処理の実行周期は十分に短いため、操舵角記憶部46に記憶されている操舵角は、強制停止条件の成立時のフォークリフト20の操舵角と言える。
かかる構成によれば、停止中モードから操作モードへの移行後(すなわち遠隔操作の開始後)は、両継続操作の双方が把握されている場合に遠隔操作が継続される一方、両継続操作の少なくとも一方が行われていないことが把握されることに基づいて、フォークリフト20の強制停止と遠隔操作装置30を用いた遠隔操作の停止とが行われる。
なお、既に説明したとおり、遠隔操作が停止している状態とは、遠隔操作装置30に対する各種操作が行われた場合であっても、フォークリフト20において各種操作に対応する動作が行われない状態を意味している。このため、遠隔操作装置30に対する各種操作に関わらず、強制停止遠隔操作信号SG13又は停止中遠隔操作信号SG11が送信され、これらの信号に基づいてフォークリフト20が強制停止又は停止状態を維持する状態も、遠隔操作装置30による遠隔操作が停止されている状態と言える。
ここで、第1開始操作及び第1継続操作を含む一連の入力操作を第1操作とし、第2開始操作及び第2継続操作を含む一連の入力操作を第2操作とする。第1操作は、遠隔操作が開始されるまでは第1領域A1内に制限され、遠隔操作が開始されてからは第1領域A1内に制限されないタッチパネル31に対する一連の入力操作である。第2操作は、遠隔操作の開始前後に関わらず、第2領域A2内に対する一連の入力操作である。
この場合、リモートCPU33は、第1操作及び第2操作の双方が行われている場合に遠隔操作を行う一方、第1操作及び第2操作の少なくとも一方が行われなくなることに基づいて遠隔操作を停止するとともに強制停止制御を行うと言える。
図7に示すように、リモートCPU33は、現在の制御モードが操作モードでない場合には、ステップS114に進み、強制停止モードに対応した強制停止処理を実行して本遠隔操作制御処理を終了する。強制停止処理は、フォークリフト20の強制停止が完了するまで強制停止制御を継続し、当該強制停止が完了後に制御モードを停止中モードに移行させる処理である。
図11を用いて強制停止処理について説明する。
図11に示すように、リモートCPU33は、ステップS301にて、フォークリフト20の強制停止が完了したか否かを判定する。詳細には、車両CPU25は、車両状態検知部27の検知結果に基づいて、フォークリフト20の走行状況及びフォーク22の動作状況を把握し、その把握結果が設定された動作状況信号を、車両通信部28を用いてリモート通信部36に向けて定期的に送信している。そして、リモートCPU33は、リモート通信部36にて受信される動作状況信号に基づいて、フォークリフト20の走行状況及びフォーク22の動作状況を把握できるように構成されている。かかる構成において、リモートCPU33は、ステップS301では、フォークリフト20の走行及びフォーク22の動作の双方が停止しているか否かを判定する。
リモートCPU33は、強制停止が完了していないと判定した場合には、強制停止制御を継続する。詳細には、リモートCPU33は、ステップS302及びステップS303にて、強制停止遠隔操作信号SG13の送信に係る処理を実行する。例えば、操作モードが走行モードである場合には、リモートCPU33は、加速度情報Dαに強制停止用減速度が設定され、操舵角情報Dθに操舵角記憶部46に記憶されている操舵角が設定され、それ以外の情報には「0」が設定された強制停止遠隔操作信号SG13を送信する。
その後、リモートCPU33は、ステップS304にて、両開始操作が行われているか否かを判定する。リモートCPU33は、両開始操作が行われていないと判定する場合には、そのまま強制停止処理を終了する一方、両開始操作が行われていると判定する場合には、ステップS305に進む。ステップS304の処理を実行するリモートCPU33が「判定部」に対応する。
ステップS305では、リモートCPU33は、両開始操作が行われたことを示す開始操作済みフラグをセットする。当該開始操作済みフラグは、例えばリモート遠隔操作プログラム40の所定の記憶領域にセットされる。
その後、リモートCPU33は、ステップS306の処理を実行して、本強制停止処理を終了する。ステップS306の処理は、ステップS105の処理と同一である。
一方、リモートCPU33は、強制停止が完了したと判定した場合には、ステップS301を肯定判定してステップS307に進み、開始操作済みフラグがセットされているか否かを判定する。
リモートCPU33は、開始操作済みフラグがセットされている場合には、ステップS308にて、制御モードを強制停止モードから操作モードに移行させる。
そして、リモートCPU33は、ステップS309にて、強制停止制御中に行われた両開始操作に基づく遠隔操作を開始するための各種設定を行う。詳細には、リモートCPU33は、開始操作済みフラグを消去する。そして、リモートCPU33は、両開始操作が行われているとみなすとともに、ステップS306にて記憶された第1開始位置P10に係る第1開始操作を、遠隔操作が開始されたときの第1開始操作とみなして、追跡を開始する。なお、この場合における第1継続操作及び第2継続操作とは、ステップS309にてみなされた第1開始操作及び第2開始操作から継続される操作である。
その後、リモートCPU33は、ステップS113の操作モード処理を実行して、本強制停止処理を終了する。
一方、リモートCPU33は、開始操作済みフラグがセットされていない場合には、ステップS310にて、制御モードを、強制停止モードから停止中モードへ移行させる。詳細には、リモートCPU33は、制御モード特定情報を停止中モードに対応する情報に更新する。そして、リモートCPU33は、ステップS311及びステップS312の処理を実行して、本強制停止処理を終了する。ステップS311及びステップS312の処理は、ステップS107及びステップS108の処理と同一である。
本実施形態では、ステップS212,S213,S302,S303の処理が「強制停止制御」又は「強制停止制御ステップ」に対応し、これらの処理を実行するリモートCPU33が「強制停止制御部」に対応する。
かかる構成によれば、強制停止制御は、強制停止が完了するまで、詳細にはフォークリフト20の動作(走行又はフォーク22の動作)が終了するまで継続される。強制停止制御中は、制御モードが操作モードへ移行しないため、操作者の操作に基づく遠隔操作は停止している。
また、強制停止制御中に両開始操作が行われた場合には、強制停止制御後に制御モードが操作モードに移行する。これにより、フォークリフト20の強制停止後、操作者の操作に基づく遠隔操作が直ちに再開される。
なお、本実施形態では、強制停止制御中に両開始操作が行われたことに基づく遠隔操作の再開時には、両開始操作が行われたときの第1開始操作の位置が第1開始位置P10として設定されるが、これに限られず、遠隔操作が再開(開始)されたときの第1開始操作の位置が第1開始位置P10として設定されてもよい。
一方、強制停止制御中に両開始操作が行われていない場合には、強制停止制御後に制御モードが停止中モードに移行する。これにより、フォークリフト20の強制停止後も、操作者の操作に基づく遠隔操作が停止された状態が継続される。
次に本実施形態の作用について図12〜図15を用いて説明する。
図12に示すように、走行モード時に第2継続操作が行われている状況において、第1開始位置P10から第3所定位置P13へのスライド操作が行われ且つ操作者から見て遠隔操作の開始時に対して右回りに第3角度θ3だけ第1回転操作が行われたとする。この場合、図13に示すように、フォークリフト20は、第1開始位置P10と第3所定位置P13との相対位置に対応した走行速度vであって、第3角度θ3に対応した操舵角(図13におけるθs)で右旋回するように遠隔操作される。これにより、フォークリフト20において、遠隔操作装置30に対する操作(第1継続操作及び第1回転操作)に対応した走行が行われる。この場合、遠隔操作装置30の姿勢が維持されると、フォークリフト20は上記第3角度θ3に対応した操舵角(θs)に対応する軌跡Trで走行することが想定される。
かかる状況、すなわちフォークリフト20が曲がっている途中(旋回中)において、図14に示すように、遠隔操作装置30において第2継続操作が行われなくなったとする。すると、フォークリフト20の強制停止制御が開始される。例えば、図15におけるポイントPxにて強制停止制御が開始されたとする。
この場合、仮に、操舵角がニュートラルに設定された状態で強制停止制御が行われると、図15の二点鎖線に示すように、フォークリフト20は、操作者が想定していた軌跡Trからずれて走行し、その後停止する。
一方、本実施形態では、フォークリフト20は、第1回転操作の操作態様に関わらず、強制停止条件成立時の操舵角を維持しつつ、強制停止用減速度で減速して停止する。これにより、フォークリフト20は、操作者が想定していた上記軌跡Trで強制停止に対応した制動距離だけ走行して停止することとなる。したがって、強制停止時に操作者の意に反した方向にフォークリフト20が走行することが回避されている。
以上詳述した本実施形態によれば以下の効果を奏する。
(1)産業車両用遠隔操作システム10は、車両通信部28を有するフォークリフト20と、車両通信部28と無線通信を行うリモート通信部36を有する遠隔操作装置30と、を備えている。遠隔操作装置30は、遠隔操作装置30を用いてフォークリフト20の走行の遠隔操作が行われている状況において強制停止条件が成立した場合には、当該強制停止条件の成立時のフォークリフト20の操舵角を維持した状態で減速させてフォークリフト20の走行を強制停止させる強制停止制御を行うリモートCPU33を備えている。換言すれば、本実施形態におけるフォークリフト20の遠隔操作方法(産業車両用遠隔操作方法)は、強制停止制御を行う処理を有している。
かかる構成によれば、フォークリフト20の走行中に強制停止条件が成立した場合には、フォークリフト20が強制停止する。これにより、遠隔操作装置30を両手で把持していない等といった遠隔操作に不適切な状況下でフォークリフト20の走行が継続されることを抑制できるため、安全性の向上を図ることができる。
ここで、強制停止を開始してから強制停止が完了するまで、フォークリフト20は制動距離だけ走行する。この場合、操作者の意図しない方向に進むと、安全性や操作性の低下が懸念される。
これに対して、本実施形態によれば、フォークリフト20は、強制停止条件の成立時のフォークリフト20の操舵角を維持したまま減速して強制停止される。これにより、強制停止制御中であっても操作者が想定した軌跡Trに沿ってフォークリフト20が走行することが期待される。したがって、フォークリフト20の走行が強制停止される際に操作者の意図しない方向に進むことを抑制できる。
特に、強制停止制御は、強制停止用減速度にて停止させる制御である。このため、操作者としては、フォークリフト20の位置決め等の際に停止させたい場合には、意識的に強制停止条件を成立させる場合があり得る。このような意識的に強制停止条件を成立させる場合に、操作者の想定した軌跡Trから外れて停止することは好ましくない。
これに対して、本実施形態では、フォークリフト20は、強制停止制御中、操作者の想定した軌跡Trに沿って走行することが想定されるため、意識的に強制停止条件を成立させることにより、フォークリフト20を所望の位置に停止させることが可能となる。したがって、操作性の向上を図ることができる。
(2)リモートCPU33は、強制停止制御中に遠隔操作装置30に対する操作に対応した遠隔操作が行われないように制限している。詳細には、リモートCPU33は、強制停止制御が行われる強制停止モードでは、遠隔操作装置30に対する操作に対応した通常遠隔操作信号SG12ではなく、遠隔操作装置30に対する操作の影響を受けない強制停止遠隔操作信号SG13を送信することにより、フォークリフト20を強制停止させる。
かかる構成によれば、強制停止制御中はフォークリフト20の遠隔操作が行われないため、強制停止制御中に再度遠隔操作が行われることに起因する不都合を抑制できる。
詳述すると、例えば両継続操作中に一旦指をタッチパネル31から離すことによって強制停止制御が行われ、その後直ちにタッチパネル31に対する入力操作を再度行うことにより強制停止制御中に両開始操作が行われたとする。この場合、強制停止制御を中止して、制御モードを強制停止モードから操作モードに移行させることも考えられる。しかしながら、強制停止制御を中止して遠隔操作が行われると、フォークリフト20の挙動が不安定になり易い。
これに対して、本実施形態によれば、強制停止制御中は遠隔操作が行われない。これにより、強制停止制御が途中で止まって遠隔操作が再度行われることを回避でき、フォークリフト20の挙動が不安定になることを抑制できる。
(3)リモートCPU33は、強制停止制御中に両開始操作が行われているか否かを判定するステップS304の処理を実行する。そして、リモートCPU33は、強制停止制御中に両開始操作が行われた場合には、強制停止制御の終了後に、制御モードを操作モードに移行させる一方、強制停止制御中に両開始操作が行われなかった場合には、強制停止制御の終了後に、制御モードを停止中モードに移行させる。操作モードは、遠隔操作装置30に対する操作に対応した遠隔操作が行われるようにする制御モードであり、停止中モードは、遠隔操作装置30に対する操作に対応した遠隔操作が行われないようにする制御モードである。
かかる構成によれば、強制停止制御中に両開始操作が行われた場合には、強制停止制御の終了後に遠隔操作が可能となる。一方、強制停止制御中に両開始操作が行われなかった場合には、強制停止制御の終了後には遠隔操作が不能となる。これにより、不適切な状況下で遠隔操作が再開されることを抑制しつつ、強制停止制御中に両開始操作が行われたのにも関わらず、遠隔操作が行われないという不都合を回避できる。
(4)リモートCPU33は、停止中モードにおいて遠隔操作開始条件の成否(詳細には両開始操作の有無)を判定するステップS102及びステップS103の処理を実行する。そして、リモートCPU33は、停止中モードにおいて両開始操作が行われたと判定した場合には、制御モードを、停止中モードから操作モードに移行させる。これにより、強制停止後に両開始操作を行うことによって遠隔操作を再開できる。したがって、必要に応じて、強制停止させたり、遠隔操作を再開させたりすることができる。
(5)遠隔操作装置30に設けられているリモートCPU33は、強制停止制御では、リモート通信部36を用いて強制停止遠隔操作信号SG13を送信する。強制停止遠隔操作信号SG13には、強制停止条件成立時のフォークリフト20の操舵角と強制停止用減速度とが設定されている。フォークリフト20は、車両通信部28によって強制停止遠隔操作信号SG13が受信された場合に、強制停止遠隔操作信号SG13に設定されている操舵角と強制停止用減速度に基づいて強制停止する。かかる構成によれば、フォークリフト20の車両CPU25としては、操舵角を維持しつつ強制停止するための特別な処理を実行する必要がない。これにより、フォークリフト20の車両メモリ26等に対して、上記特別な処理を実行するための更新などを行う必要がなく、汎用性の向上を図ることができる。
(6)遠隔操作装置30は、強制停止条件の成立時のフォークリフト20の操舵角を記憶している操舵角記憶部46を備えており、リモートCPU33は、強制停止制御において、操舵角記憶部46に記憶されている操舵角が設定された強制停止遠隔操作信号SG13を送信するものである。かかる構成によれば、強制停止制御を行う前に、フォークリフト20から現在の操舵角に関する情報が送信されるのを待つ必要がないため、強制停止条件の成立後、強制停止制御を早期に実行できる。これにより、強制停止条件の成立からフォークリフト20が強制停止するまでの期間の短縮化を図ることができる。
(7)リモートCPU33は、遠隔操作装置30(詳細にはタッチパネル31)に対して第1操作及び第2操作が行われている場合に、少なくとも第1操作の操作態様(詳細には第1操作の操作態様及び第1回転操作の操作態様)に基づいてフォークリフト20の走行の遠隔操作を行う。強制停止条件は、第1操作及び第2操作の少なくとも一方が行われなくなることである。
かかる構成によれば、第1操作及び第2操作が行われている場合に遠隔操作が行われ、第1操作及び第2操作の少なくとも一方が行われなくなることに基づいて、強制停止制御が行われる。これにより、誤って第1操作及び第2操作の少なくとも一方が行われなくなると、フォークリフト20が強制停止するため、安全性の向上を図ることができる。また、例えば意識的に第1操作及び第2操作の少なくとも一方を行わないことにより、フォークリフト20を意識的に強制停止させることができる。これにより、強制停止を容易に行うことができ、操作性の向上を図ることができる。
(8)遠隔操作装置30は、タッチパネル31と、タッチパネル31に対する入力操作を検知するタッチセンサ32とを備えている。リモートCPU33は、タッチパネル31に操作画像G10を表示させる。操作画像G10は、互いに異なる位置に配置された第1領域A1及び第2領域A2を有している。第1操作は、第1領域A1内に対する入力操作である第1開始操作と、遠隔操作が開始されたときの第1開始操作から継続されるタッチパネル31への入力操作である第1継続操作とを含む一連の入力操作である。第2操作は、第2領域A2内に対する入力操作である第2開始操作と、遠隔操作が開始されたときの第2開始操作から継続される第2領域A2への入力操作である第2継続操作とを含む一連の入力操作である。
かかる構成によれば、遠隔操作を開始させるためには、タッチパネル31のうち互いに異なる位置に配置された両領域A1,A2という狙った場所に対して入力操作を行う必要がある。これにより、操作者としては、2つの異なる位置に対して入力操作を行うために、両手で遠隔操作装置30を把持することが想定される。したがって、片手での遠隔操作を抑制でき、それを通じて遠隔操作と他の作業とが同時に行われることを抑制できる。
また、本構成によれば、例えば指等をタッチパネル31から離すだけで強制停止制御が行われる。これにより、例えば遠隔操作中に他の作業を行おうとして指をタッチパネル31から離すとフォークリフト20が強制停止するため、遠隔操作中に他の作業を行うことを抑制できる。また、指をタッチパネル31から離すだけで強制停止が行われるため、意識的な強制停止を容易且つ迅速に行うことができる。
(9)リモートCPU33は、遠隔操作中(詳細には両継続操作の双方が行われている場合)、第2継続操作の操作態様ではなく、第1継続操作の操作態様に基づいてフォークリフト20の遠隔操作を行う。かかる構成によれば、第1継続操作の操作態様は、フォークリフト20の遠隔操作に影響を与える一方、第2継続操作の操作態様は、フォークリフト20の遠隔操作に影響を与えない。これにより、操作者としては、第1継続操作の操作態様に集中すればよく、操作の容易化を図ることができる。したがって、フォークリフト20の誤操作を抑制できる。
(10)リモートCPU33は、遠隔操作が開始されたときの第1開始操作が行われた位置である第1開始位置P10と第1継続操作が行われている位置である第1継続操作位置との相対位置に基づいて、フォークリフト20の遠隔操作態様を制御するものである。かかる構成によれば、指等のスライド操作によって、フォークリフト20に対して所望の動作を行わせることができる。
特に、本実施形態によれば、第1継続操作の操作態様として、第1開始位置P10と第1継続操作位置との相対位置が採用され、当該相対位置に応じて遠隔操作態様が制御される一方、両位置の絶対値自体は遠隔操作態様に対して影響を与えない。これにより、操作の自由度を高めることができ、操作性の向上を図ることができる。
詳述すると、仮に第1開始位置P10又は第1継続操作位置の絶対値が遠隔操作態様に対して影響を与える場合、所望の遠隔操作を行うためには、第1開始操作及び第1継続操作において、タッチする位置を厳密に調整する必要がある。すると、操作性が低下する。また、操作者としてはフォークリフト20ではなく操作画像G10を見ながら操作を行うことになり易く、安全性の低下が懸念される。
これに対して、本実施形態によれば、遠隔操作が開始されたときの第1開始操作から継続される一連の入力操作(詳細にはスライド操作)によってフォークリフト20の遠隔操作態様を制御することができるため、タッチする位置を厳密に狙う必要がなく、操作性を高めることができる。
また、仮に第1開始位置P10ではなく、予め定められた規定位置と第1継続操作位置との相対位置に基づいて遠隔操作態様が決まる場合、スライド操作ができる範囲が制限されてしまうため、遠隔操作態様が制限される場合があり得る。
これに対して、本実施形態によれば、第1開始位置P10を調整することにより、スライド操作ができる範囲を調整できる。例えば、図12に示すように、第1開始位置P10を中央線Lよりも下方にすることにより、上方にスライド操作できる範囲が広くなる。これにより、上方へのスライド操作に起因する動作(走行モードである場合には前進)を、より精密に調整したり、設定可能な速度幅をより大きくしたりすることが可能となる。
(11)第1継続操作は、第1領域A1の内外に関わらず、遠隔操作が開始されたときの第1開始操作から継続されるタッチパネル31への入力操作であり、第2継続操作は、遠隔操作が開始されたときの第2開始操作から継続される第2領域A2内に対する入力操作である。
かかる構成によれば、第1継続操作について、第1領域A1外にはみ出すようなスライド操作が可能となっているため、第1継続操作の自由度を高くすることができる。また、所望の遠隔操作態様としようとするあまり、第1継続操作位置が第1領域A1外にはみ出した場合であっても、遠隔操作は継続される。これにより、操作性及び利便性の向上を図ることができる。
一方、第2継続操作は、第2領域A2内に対する入力操作となっているため、第2領域A2から指が離れたり、指がスライドして第2領域A2外をタッチしていたりする場合には、強制停止が行われる。これにより、遠隔操作中の他の作業を抑制でき、安全性の向上を図ることができる。
ここで、第2継続操作は、フォークリフト20の遠隔操作を継続する上で必要な操作である一方、遠隔操作態様には寄与しない。このため、第2継続操作位置を変更する等といった操作は必要ない。したがって、上記のように第2継続操作を第2領域A2内に対する入力操作に限定したとしても、操作性の低下といった不都合が生じにくい。
(12)フォークリフト20は、フォークリフト20の走行に用いられる走行アクチュエータ23と、走行とは異なる動作であるフォーク22の動作に用いられる荷役アクチュエータ24とを備えている。リモートCPU33は、操作モードとして、走行アクチュエータ23を操作対象とする走行モードと、荷役アクチュエータ24を操作対象とする荷役モード(リフトモード、リーチモード又はチルトモード)とを有している。リモートCPU33は、走行モードである場合には第1継続操作の操作態様に基づいて走行アクチュエータ23を制御する一方、荷役モードである場合には第1継続操作の操作態様に基づいて荷役アクチュエータ24を制御する。
かかる構成によれば、操作モードとして、走行モードと荷役モードとが別々に設定されているため、フォークリフト20の走行に関する遠隔操作と、フォーク22の動作に関する遠隔操作とが同時に行われることを抑制でき、誤操作を抑制できる。
また、走行モード及び荷役モードの双方とも第1継続操作(第1操作)の操作態様に基づいて両アクチュエータ23,24の制御が行われる。これにより、操作モードに関わらず、共通の操作でフォークリフト20を遠隔操作できるため、操作の簡略化を図ることができる。
(13)リモートCPU33は、操作モード切替条件が成立した場合には、操作モードを切り替える処理(ステップS110)を実行する。操作モード切替条件は、遠隔操作装置30に対して切替操作が行われることを含む。
かかる構成によれば、切替操作を含む操作モード切替条件の成立に基づいて操作モードの切り替えが行われる。これにより、操作者としては、必要に応じて切替操作を行うことにより、操作モードを切り替えることができ、所望の遠隔操作を行うことができる。
(14)操作モード切替条件は、停止中モードである状況において切替操作が行われることである。かかる構成によれば、遠隔操作が停止している状況下において切替操作が行われることによって操作モードが切り替わる一方、遠隔操作が行われている場合には切替操作が行われた場合であっても操作モードは切り替わらない。これにより、遠隔操作中に操作モードが切り替わることに起因してフォークリフト20が意図しない動作をすることを抑制できる。
(15)操作画像G10には、走行モードに設定するための走行モード設定領域A3と、荷役モードに設定するための荷役モード設定領域A4とが表示されている。切替操作は、走行モード設定領域A3に対する入力操作又は荷役モード設定領域A4に対する入力操作である。かかる構成によれば、タッチパネル31に対する入力操作によって操作モードの切り替えを行うことができる。
ここで、切替操作として、両領域A1,A2とは別に設けられたモード設定領域A3,A4に対する入力操作が設定されているため、両開始操作又は両継続操作を行っている操作者が切替操作を行うためには、一旦右手又は左手をタッチパネル31から離すことが想定される。これにより、自ずと開始操作又は継続操作が行われなくなり、遠隔操作が停止し、遠隔操作が停止した状態で切替操作が行われることになる。したがって、操作者としては、特に制御モードを停止中モードにすることを意識することなく、円滑に操作モードの切り替えを行うことができる。よって、安全性と利便性との両立を図ることができる。
(16)第1領域A1と第2領域A2とは離間して配置されており、両モード設定領域A3,A4の少なくとも一部、本実施形態では荷役モード設定領域A4の各モード設定領域A4a〜A4cは、第1領域A1と第2領域A2との間に配置されている。
かかる構成によれば、各モード設定領域A4a〜A4cが第1領域A1と第2領域A2との間に配置されているため、右手及び左手のどちらでも各モード設定領域A4a〜A4cに対して入力操作を行うことができる。これにより、切替操作の容易化を図ることができる。
また、荷役モード設定領域A4が第1領域A1と第2領域A2との間に配置されているため、誤って荷役モード設定領域A4に対して入力操作が行われる事態が生じにくい。これにより、誤操作の抑制を図ることができる。
(17)リモートCPU33は、操作モードが走行モードである場合には、第1領域A1に走行に関する画像を表示させる一方、操作モードが荷役モードである場合には、フォーク22の動作に関する画像を表示させる。かかる構成によれば、操作者が現在の操作モード(操作対象)を容易に確認できる。
特に、本実施形態では、操作モードに関わらず、共通の操作(具体的には第1操作)によって、フォークリフト20の遠隔操作態様が決定される。このため、タッチパネル31に対する操作が同一であっても操作モードが異なると、フォークリフト20が異なる動作を行うため、操作モードを正確に把握する必要がある。この点、本実施形態では、第1領域A1内に表示される画像が操作モードに応じて異なるため、第1領域A1内に表示される画像に基づいて操作モードを容易に確認できる。
また、本実施形態では、第1領域A1内への入力操作を契機とする第1操作の操作態様によってフォークリフト20の遠隔操作態様が決定されるため、第1領域A1内は、第2領域A2周辺等と比較して、操作者が特に注目し易い箇所であると言える。このような操作者が注目し易い箇所に操作モードを示唆する画像が表示されているため、操作者の見落としを抑制できる。
(18)タッチパネル31は長手方向及び短手方向を有する形状であり、両領域A1,A2は、タッチパネル31の長手方向に対向配置されている。かかる構成によれば、両領域A1,A2がタッチパネル31の長手方向に対向配置されているため、片手で両領域A1,A2内に対する入力操作を行うことが困難である。これにより、遠隔操作装置30を両手で把持させることを促すことができる。また、誤って片手の複数の指がタッチパネル31に接触したとしても、両領域A1,A2の双方に対して入力操作が行われる事態は生じにくい。これにより、安全性の向上を図ることができる。
(19)遠隔操作装置30は、スマートフォン又はタブレット端末である。かかる構成によれば、既存の汎用品を用いてフォークリフト20の遠隔操作を実現できる。
(20)遠隔操作装置30を用いてフォークリフト20を遠隔操作するためのリモート遠隔操作プログラム40は、リモートCPU33にて遠隔操作制御処理を実行させる遠隔操作制御処理実行プログラム41を含む。遠隔操作制御処理は、強制停止制御を含む処理である。これにより、(1)等の効果を奏する。
(第2実施形態)
本実施形態では、強制停止に係る処理構成等が第1実施形態と異なっている。その異なる点について以下に詳細に説明する。
本実施形態における制御モードは、遠隔操作が可能な操作モードと遠隔操作が停止している停止中モードとの2種類であり、強制停止モードを有していない。このため、本実施形態では、図16に示すように、リモートCPU33は、ステップS101を否定判定した場合には、制御モードは操作モードであるとしてステップS401の操作モード処理を実行する。
また、本実施形態では、リモートCPU33は、ステップS106の実行後は、ステップS402にて、遠隔操作を開始することを指示する開始信号SG3を送信する。
開始信号SG3は、遠隔操作信号SG1と同様に、両通信部28,36間でやり取り可能な通信形式の信号である。開始信号SG3には、開始信号SG3であることを示す識別情報が設定されている一方、走行操作情報D1及び荷役操作情報D2は設定されていない。なお、開始信号SG3は、遠隔操作装置30を用いた遠隔操作の停止状態を解除することを指示する解除信号とも言える。
また、リモートCPU33は、ステップS109を否定判定する場合、又は、ステップS111の処理の実行後は、そのまま本遠隔操作制御処理を終了する。
本実施形態の操作モード処理について図17を用いて説明する。
図17に示すように、本実施形態の操作モード処理では、リモートCPU33は、ステップS207の処理の実行後、ステップS208にて通常遠隔操作信号SG12を送信する。当該通常遠隔操作信号SG12には、操作モードと第1継続操作の操作態様(走行モード時には第1継続操作の操作態様及び第1回転操作の操作態様)とに対応した走行操作情報D1及び荷役操作情報D2に加えて、遠隔操作信号SG1であることを示す識別情報が含まれている。
なお、本実施形態では、リモート遠隔操作プログラム40には、操舵角記憶部46が設けられておらず、ステップS209の処理は省略されている。
リモートCPU33は、ステップS210の処理の実行後は、ステップS501にて、制御モードを操作モードから停止中モードに移行させる。そして、リモートCPU33は、ステップS502にて、強制停止を行うことを指示するための強制停止信号SG2を送信する処理を実行して、本操作モード処理を終了する。
ここで、強制停止信号SG2とは、遠隔操作信号SG1と同様に、両通信部28,36間でやり取り可能な通信形式の信号である。強制停止信号SG2には、強制停止信号SG2であることを示す識別情報が設定されている一方、走行操作情報D1及び荷役操作情報D2は設定されていない。
なお、信号に設定されている識別情報が異なる点に着目すれば、遠隔操作信号SG1、強制停止信号SG2及び開始信号SG3とはそれぞれ、種類が異なる信号であるとも言える。
次に本実施形態の車両CPU25によるフォークリフト20の制御について説明する。
本実施形態において、フォークリフト20を制御する車両CPU25は、フォークリフト20を制御する車両制御モードとして、遠隔可動モード及び遠隔停止モードを有している。
遠隔可動モードは、リモート通信部36から送信された遠隔操作信号SG1が車両通信部28によって受信されたことに基づいて、遠隔操作信号SG1に対応させてフォークリフト20を制御する車両制御モードである。
遠隔停止モードは、リモート通信部36から送信された遠隔操作信号SG1が車両通信部28によって受信された場合であっても、遠隔操作信号SG1に対応したフォークリフト20の制御を行わない車両制御モードである。
車両通信部28がリモート通信部36からの信号を受信した場合、信号変換部29は受信信号を制御信号SGaに変換する。そして、車両CPU25には、信号変換部29によって変換された制御信号SGaが入力される。
ちなみに、信号変換部29は、受信信号に設定されている識別情報を制御信号SGaに対しても設定する。これにより、車両CPU25は、制御信号SGaに基づいて受信信号の種類を特定できる。
車両CPU25は、制御信号SGaが入力されることに基づいて、車両通信部28が受信した受信信号の種類を特定し、受信信号と車両制御モードとに対応させて遠隔操作の制御を行う車両制御処理を実行する。つまり、車両制御処理は、リモート通信部36から信号を受信する度に実行される。
なお、車両メモリ26の車両遠隔操作プログラム26aには、車両制御処理を実行するためのプログラムが記憶されている。車両CPU25は、上記プログラムを読み出すことにより、車両制御処理を実行する。本実施形態では、車両メモリ26の車両遠隔操作プログラム26aが「産業車両用遠隔操作プログラム」に対応する。
車両制御処理について図18を用いて説明する。なお、説明の便宜上、以下の説明では、制御信号SGaではなく、両通信部28,36間でやり取りされる信号に基づいて説明する。
図18に示すように、車両CPU25は、まずステップS601にて、現在の車両制御モードが遠隔可動モードであるか否かを判定する。車両CPU25は、現在の車両制御モードが遠隔可動モードである場合にはステップS602に進む。
ステップS602では、車両CPU25は、今回の車両制御処理の実行契機となった受信信号が遠隔操作信号SG1(詳細には通常遠隔操作信号SG12)であるか否かを判定する。車両CPU25は、今回の受信信号が遠隔操作信号SG1である場合には、ステップS603にて、遠隔操作信号SG1(詳細には当該遠隔操作信号SG1を変換して得られる制御信号SGa)に設定されている走行操作情報D1及び荷役操作情報D2を把握する。
続くステップS604では、車両CPU25は、ステップS603にて把握された走行操作情報D1と荷役操作情報D2とに基づいて各アクチュエータ23,24を制御して、本車両制御処理を終了する。
一方、今回の受信信号が遠隔操作信号SG1でない場合には、車両CPU25は、ステップS605にて、今回の受信信号が強制停止信号SG2であるか否かを判定する。
車両CPU25は、受信信号が強制停止信号SG2でない場合には、そのまま本車両制御処理を終了する。
一方、受信信号が強制停止信号SG2である場合には、車両CPU25は、ステップS606にて、フォークリフト20の動作を強制停止させる強制停止制御を行う。すなわち、本実施形態の強制停止条件は、車両通信部28が強制停止信号SG2を受信することである。
詳細には、車両CPU25は、まずフォークリフト20の走行の遠隔操作中であるか否かを判定する。車両CPU25は、走行の遠隔操作中である場合には、車両状態検知部27の検知結果に基づいて、現在の操舵角を把握する。そして、車両CPU25は、現在の操舵角を維持した状態で強制停止用減速度にて減速して停止するように走行アクチュエータ23を制御する。
車両CPU25は、走行の遠隔操作中ではない場合には、フォーク22の遠隔操作中であるか否かを判定する。車両CPU25は、フォーク22の遠隔操作中である場合には、フォーク22の動作を直ちに停止するように荷役アクチュエータ24を制御する。
車両CPU25は、フォークリフト20の動作が停止するまで強制停止制御を行う。このため、仮に強制停止制御中に車両通信部28が通常遠隔操作信号SG12を受信したとしても、強制停止制御は継続される。すなわち、車両CPU25は、強制停止制御中に遠隔操作信号SG1に基づく遠隔操作が行われないように構成されている。
車両CPU25は、強制停止制御の終了後(すなわちフォークリフト20の動作が停止した後)、ステップS607にて、車両制御モードを、遠隔可動モードから遠隔停止モードに移行させて本車両制御処理を終了する。
すなわち、車両制御モードが遠隔可動モードである状況において車両通信部28が強制停止信号SG2を受信した場合には、車両CPU25は、フォークリフト20を強制停止させるとともに、車両制御モードを遠隔可動モードから遠隔停止モードに移行させる。
車両CPU25は、車両制御モードが遠隔停止モードである場合、遠隔操作開始条件が成立しているか否かを判定し、遠隔操作開始条件が成立している場合には、車両制御モードを、遠隔停止モードから遠隔可動モードに移行させる。
詳細には、図18に示すように、車両CPU25は、車両制御モードが遠隔停止モードである場合にはステップS601を否定判定してステップS608に進み、今回の受信信号が開始信号SG3であるか否かを判定する。本実施形態の遠隔操作開始条件は、車両通信部28が開始信号SG3を受信することである。
車両CPU25は、今回の受信信号が開始信号SG3でない場合には、そのまま本車両制御処理を終了する。一方、車両CPU25は、今回の受信信号が開始信号SG3である場合には、ステップS609にて、車両制御モードを、遠隔停止モードから遠隔可動モードに移行させて、本車両制御処理を終了する。これにより、遠隔操作装置30を用いた遠隔操作が可能となる。
すなわち、車両CPU25は、強制停止制御後であって車両制御モードが遠隔停止モードである状況において車両通信部28が開始信号SG3を受信したことに基づいて、車両制御モードを遠隔停止モードから遠隔可動モードに移行させる。換言すれば、車両CPU25は、強制停止が行われた後は開始信号SG3を受信するまで遠隔操作が停止された状態を維持する。
かかる構成によれば、車両通信部28が強制停止信号SG2を受信したことに基づいて、フォークリフト20の強制停止が行われるため、何らかの原因で強制停止信号SG2の受信後にリモート通信部36からの信号が途絶えたとしても、フォークリフト20を強制停止させることができる。
ちなみに、本実施形態では、遠隔停止モード中に遠隔操作信号SG1が受信された場合、ステップS603及びステップS604の処理が実行されることなく、本車両制御処理が終了する。このため、強制停止制御中に遠隔操作信号SG1に対応した遠隔操作は実行されない。すなわち、本実施形態のフォークリフト20は、車両制御モードが遠隔停止モードである場合には、遠隔操作信号SG1が受信された場合であっても当該遠隔操作信号SG1に対応した遠隔操作が行われないように規制されている。
なお、本実施形態では、車両CPU25は、強制停止制御中に開始信号SG3を受信した場合には、当該強制停止制御を行った車両制御処理の終了後に、開始信号SG3の受信に基づく車両制御処理を実行する。これにより、強制停止制御中に開始信号SG3を受信した場合には、当該強制停止制御終了後に、再度遠隔操作が可能となる。
ステップS606の処理が「強制停止制御」又は「強制停止制御ステップ」に対応し、これらの処理を実行する車両CPU25が「強制停止制御部」に対応する。
以上詳述した本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
(21)フォークリフト20の車両CPU25は、遠隔操作装置30を用いてフォークリフト20の走行の遠隔操作が行われている状況において強制停止条件が成立した場合には、強制停止条件の成立時のフォークリフト20の操舵角を維持した状態で減速させてフォークリフト20の走行を強制停止させる強制停止制御を行う。かかる構成によれば、(1)等の効果を奏する。
特に、本実施形態によれば、強制停止条件の成立後に、リモート通信部36から車両通信部28への定期的な信号の送信を行うことなく、フォークリフト20が強制停止する。これにより、強制停止条件の成立後(本実施形態では強制停止信号SG2の受信後)に通信障害が発生したとしても、フォークリフト20を強制停止させることができる。
(22)車両CPU25は、強制停止条件が成立したことに基づいて、現在の操舵角を維持した状態で減速させてフォークリフト20の走行を強制停止させる。かかる構成によれば、実際の操舵角を維持した状態でフォークリフト20を強制停止させることができる。
なお、上記各実施形態は以下のように変更してもよい。
○ 第1実施形態では、リモートCPU33は、ステップS212にて、操舵角情報Dθに操舵角記憶部46に記憶されている操舵角を設定していたが、これに限られない。例えば、車両通信部28がフォークリフト20の操舵角に関する情報が設定された動作状況信号を定期的に送信し、リモート通信部36が上記動作状況信号を受信する構成においては、リモートCPU33は、最新の動作状況信号に設定されている操舵角を、操舵角情報Dθに設定してもよい。すなわち、リモートCPU33は、リモート通信部36を用いて、実際に現在設定されているフォークリフト20の操舵角を取得する取得部を備え、強制停止条件が成立時には、取得部によって取得された操舵角が設定された強制停止遠隔操作信号SG13を送信するように構成されてもよい。なお、この場合、リモート遠隔操作プログラム40には、取得部によって取得された操舵角を記憶させておく記憶部が設けられているとよく、操舵角記憶部46を省略してもよい。
○ 操舵角を決定するための操作は、第1回転操作に限られず、任意である。例えば、リモートCPU33は、操作画像G10に操舵角に対応する領域を表示し、当該領域に対する入力操作の操作態様に基づいて操舵角を決定してもよいし、第2回転操作の操作態様に基づいて操舵角を決定してもよい。
○ 第1実施形態において、ステップS304〜S306、ステップS307〜S309及びステップS309の実行後のステップS113を省略してもよい。この場合、リモートCPU33は、ステップS301を肯定判定した後はステップS310に進むとよい。
○ 第1開始操作及び第2開始操作の少なくとも一方は、タッチパネル31に対する入力操作以外の操作であってもよい。
例えば、遠隔操作装置30に操作ボタンが設けられている場合には第2開始操作は、操作ボタンを操作することでもよい。この場合、遠隔操作装置30は、操作把握部として、操作ボタンの操作の有無を検知する検知部を有しているとよい。遠隔操作が開始されたときの第2開始操作から継続される第2継続操作とは、遠隔操作が開始されたときから引き続き上記操作ボタンを操作し続けることである。また、遠隔操作装置30の裏面に指を検知する指検知センサが設けられている構成においては、第2開始操作は、当該指検知センサを触ることでもよい。なお、操作ボタンは、開始操作及び継続操作のために用いられる専用ボタンでもよいし、他の用途にも用いられるボタンでもよい。
○ 上記のように、第2開始操作としてタッチパネル31に対する入力操作以外の操作が採用されている場合には、第1開始操作は、タッチパネル31全体のうちいずれかに対する入力操作であってもよい。すなわち、「特定領域」とは、タッチパネル31の全体を含む。また、かかる別例においては、第1継続操作は、(A)及び(C)の条件を満たす操作であってもよい。
○ 第1継続操作は、第1領域A1内に対する入力操作に限定してもよい。詳細には、リモートCPU33は、第1継続操作位置が第1領域A1外である場合に第1継続操作が行われていないと判定してもよい。
○ 第1継続操作の操作態様として、第1開始位置P10と第1継続操作位置との相対位置に代えて、第1継続操作位置そのものを採用してもよい。例えば、リモートCPU33は、走行モード時において、中央線Lよりも上方に対して入力操作が行われている場合には前進に対応した走行操作情報D1を設定する一方、中央線Lよりも下方に対して入力操作が行われている場合には後退に対応した走行操作情報D1を設定してもよい。
また、リモートCPU33は、第1開始位置P10ではなく、タッチパネル31内の規定位置と第1継続操作位置との相対位置に基づいて遠隔操作態様を制御してもよい。例えば、リモートCPU33は、走行モード時において、中央線Lから第1継続操作位置までの距離に基づいて、走行速度を決定してもよい。また、リモートCPU33は、最初に第1領域A1内への入力操作が行われ、その後第2領域A2内への入力操作が行われて遠隔操作が開始された場合、遠隔操作の開始時の入力操作位置である第1開始位置P10ではなく、最初に第1領域A1内への入力操作が行われた位置と第1継続操作位置とに基づいて遠隔操作態様を制御してもよい。
○ 操作画像G10の具体的なレイアウトについては任意であり、必要に応じて適宜変更してもよい。
例えば、第1領域A1と第2領域A2とを入れ替えてもよい。この場合、第1実施形態においては、右手の操作によってフォークリフト20に所望の動作を行わせることができる。
また、第1領域A1と第2領域A2とは短手方向に離間して配置されていてもよいし、両者が離間することなく連続していてもよい。但し、両手で操作させることを促す観点に着目すれば、両者は離間していた方が好ましい。
また、第1領域A1内に表示される画像は、操作モードに関わらず同一であってもよい。
○ 第2継続操作は、第2領域A2の内外に関わらず、遠隔操作が開始されたときの第2開始操作(第2領域A2内に対する入力操作)から継続されるタッチパネル31に対する入力操作でもよい。換言すれば、第2操作は、遠隔操作が開始されるまでは第2領域A2内に制限され、遠隔操作が開始されてからは第2領域A2内に制限されないタッチパネル31に対する一連の入力操作でもよい。
○ 各実施形態では、タッチパネル31の短手方向における第1開始位置P10と第1継続操作位置との距離が大きくなるほど、走行速度、ストローク量又は傾斜角度が大きくなる構成であったが、これに限られない。フォークリフト20の遠隔操作態様は、第1開始位置P10と第1継続操作位置との相対位置に応じて制御されればよく、その具体的な設定態様については任意である。
○ 第1実施形態において、リモートCPU33は、タッチパネル31の長手方向における第1開始位置P10からのスライド操作方向及び当該長手方向における第1開始位置P10と第1継続操作位置との距離に基づいて操舵角を決定してもよい。この場合、リモートCPU33は、第1回転操作に基づいて操舵角を決定しなくてもよい。
○ 操作モード切替条件は、停止中モードである状況において切替操作が行われることであったが、これに限られない。例えば、操作モード切替条件は、制御モードに関わらず切替操作が行われることでもよい。
○ また、切替操作は、各モード設定領域A3,A4に対する入力操作に限られず任意であり、例えば遠隔操作装置30に操作モードの切替用ボタンが設けられている場合には当該切替用ボタンを操作することでもよいし、第2回転操作でもよい。
○ リモートCPU33は、両開始操作と切替操作との双方が行われたと把握した場合には、誤操作が行われていると判断して、操作モードの切り替え、及び、停止中モードから操作モードへの制御モードの移行の双方を禁止してもよい。
○ 遠隔操作信号SG1では、操作対象以外の情報については「0」が設定される構成であったが、これに限られず、例えば「null」であってもよい。
○ 第2実施形態では、強制停止制御後に車両制御モードが遠隔可動モードから遠隔停止モードに移行する構成であったが、これに限られず、車両制御モードの移行後に強制停止制御が行われてもよい。要は、フォークリフト20は、強制停止制御中において遠隔操作装置30を用いた遠隔操作が禁止(無効)となるように構成されていればよい。
○ 強制停止条件は、両継続操作の少なくとも一方が行われなくなることに限られず、任意である。例えば、強制停止条件は、両通信部28,36間で通信障害が発生した場合や、車両状態検知部27によってフォークリフト20の異常が検知された場合などでもよい。また、フォークリフト20に衝突センサや人検知センサ等が設けられている場合には、これらのセンサが作動した場合であってもよい。
○ 第2実施形態において、遠隔操作開始条件は、開始信号SG3の受信であったが、これに限られず、任意である。例えば、両通信部28,36間で通信可能な状態でフォークリフト20に設けられた遠隔操作開始スイッチが操作された場合等でもよい。
また、遠隔操作開始条件は、第1開始操作又は第2開始操作のいずれか一方が行われることでもよい。つまり、「開始操作」とは第1開始操作又は第2開始操作の少なくとも一方である。
同様に、遠隔操作が継続される条件は、第1継続操作又は第2継続操作のいずれか一方が行われることでもよい。また、遠隔操作開始条件は、遠隔操作装置30に対して操作が行われることに限られず、例えば両通信部28,36間で通信が確立すること等でもよい。
○ 例えばフォークリフト20内の異常に基づいて強制停止制御が行われた場合には、車両CPU25は、車両通信部28にて開始信号SG3が受信された場合であっても車両制御モードを遠隔停止モードに維持する構成でもよい。
○ 第1実施形態において、リモートCPU33は、強制停止制御中に両開始操作が行われることに基づいて、強制停止制御を中止して遠隔操作を再開してもよい。同様に、第2実施形態において、車両CPU25は、強制停止制御中に開始信号SG3が受信されたことに基づいて、強制停止制御を中止して遠隔操作を再開してもよい。
○ 産業車両用遠隔操作システム10において遠隔操作装置30による遠隔操作を停止するための具体的な処理構成は任意である。例えば、第1実施形態のように、遠隔操作装置30が当該遠隔操作装置30に対する操作に関わらず強制停止遠隔操作信号SG13を送信する構成でもよいし、第2実施形態のように、フォークリフト20が遠隔操作信号SG1に基づく動作を行わないように構成されていてもよいし、それ以外でもよい。
○ 産業車両は、フォークリフト20に限られず任意であり、例えば無人搬送車などであってもよい。また、走行以外の駆動対象物を有しない産業車両であってもよい。すなわち、走行とは異なる動作に用いられる動作駆動部は必須ではない。
○ 両通信部28,36間の通信方式は、無線通信に限られず有線通信であってもよい。
○ 姿勢検知部35は、遠隔操作装置30の厚さ方向が鉛直方向と交差又は直交している状態において第1回転操作を検知する一方、遠隔操作装置30の厚さ方向が鉛直方向と一致している状態では第1回転操作を検知しないものであってもよい。通常、タッチパネル31を視認するべく両手で遠隔操作装置30を把持した場合には、自ずと遠隔操作装置30の厚さ方向が鉛直方向と交差又は直交している状態となり易い。このため、遠隔操作装置30の厚さ方向が鉛直方向と一致している状態において第1回転操作が検知されなくても、問題が生じにくい。
○ リモートCPU33が、タッチパネル31の表示制御と、フォークリフト20の遠隔操作制御との双方を実行する構成であったが、これに限られず、リモートCPU33とは別に、タッチパネル31の表示制御を行う別の制御部(CPU)が設けられていてもよい。要は、遠隔操作装置30が全体として表示制御と遠隔操作制御とを実行するように構成されていればよい。
○ 産業車両用遠隔操作システム10は、リモート遠隔操作プログラム40の起動中、常時遠隔操作が可能な状態となっていてもよいし、両継続操作の少なくとも一方が行われなくなったことに基づいて強制停止制御を実行しなくてもよい。すなわち、停止中モード及び強制停止モードを省略してもよく、「強制停止制御部」及び「遠隔操作制御部」は必須ではない。
○ リモート遠隔操作プログラム40は、車両メモリ26に記憶されていてもよい。この場合、リモートCPU33は、遠隔操作装置30に対する各種操作に関する情報(例えば遠隔操作装置30の姿勢やタッチパネル31に対する入力操作位置に関する情報)が設定された操作信号を車両通信部28に向けて定期的に送信する。車両CPU25は、上記操作信号に基づいて遠隔操作制御処理を実行することにより、遠隔操作態様及び制御モードを決定し、各アクチュエータ23,24を制御したり、決定された制御モード情報が設定された信号を遠隔操作装置30に向けて送信することにより遠隔操作装置30を制御したりしてもよい。かかる構成においては、車両CPU25が「遠隔操作制御部」に対応する。なお、上記操作信号に基づいて遠隔操作態様及び制御モードを決定する具体的な構成は、第1実施形態等で説明したとおりである。
○ 産業車両用遠隔操作システム10は、走行に係る強制停止制御が行われている状況において、走行に関する遠隔操作が禁止される一方、フォーク22に関する遠隔操作が許容されるように構成されていてもよい。
○ 強制停止遠隔操作信号SG13には、強制停止条件成立時のフォークリフト20の操舵角と強制停止用速度とが設定されていてもよく、フォークリフト20は、当該強制停止遠隔操作信号SG13に基づいて強制停止を行ってもよい。強制停止用速度とは、例えば「0」である。要は、強制停止遠隔操作信号SG13は、フォークリフト20の走行又はフォーク22の動作を停止させるための遠隔操作信号SG1であれば、その具体的な構成は任意である。
○ 各実施形態と各別例とを適宜組み合わせてもよい。
次に、上記各実施形態及び各別例から把握できる技術的思想又は好適な一例について以下に記載する。
(イ)遠隔操作制御部は、強制停止制御中に遠隔操作開始条件が成立しているか否かを判定する判定部を備え、強制停止制御中に判定部により遠隔操作開始条件が成立したと判定された場合には、強制停止制御を中止して、遠隔操作装置に対する操作に対応した遠隔操作が行われるようにするとよい。