以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
まず、本実施形態に係る産業車両について、図1を参照しつつ説明する。なお、以下の説明において、図面に付した直交座標系を用いる場合がある。X方向は、フォークリフト1の車幅方向であり、Y方向は、フォークリフト1の車体前後方向である。
図1に示すように、本実施形態の産業車両は、リーチ型のフォークリフト1である。フォークリフト1は、複数の走行モードの中から選択された走行モードで走行する。フォークリフト1は、車体本体部2から前方に突出する左右のアーム部3L,3Rに設けられた左右の前輪4,5と、車体本体部2に設けられた後輪6と、アーム部3L,3Rの間に設けられフォークFを有するマスト装置Mとを備えている。フォークFは、アーム部3L,3Rに沿って移動可能に構成された荷役具である。フォークリフト1は、車体本体部2の右後方に運転スペースSを備えている。運転者(乗員)は、例えば運転スペースSにおいて起立した状態でフォークリフト1を運転する。運転スペースS前方のパネルには、後述するモード切換スイッチ11や、ディスプレイ31等の報知装置30が設置されている。
フォークリフト1の前輪4,5及び後輪6それぞれには、旋回ギヤケース7が設けられている。具体的には、左右の前輪4,5は、それぞれ旋回ギヤケース7A,7Bによって転舵可能にアーム部3L、3R下面に取り付けられている。各前輪4,5は、サーボモータ(図示せず)の駆動によって旋回ギヤケース7A,7Bが旋回されることで、それぞれ個別に転舵角を保持又は変更可能に構成されている。また、後輪6は、旋回ギヤケース7Cによって転舵可能に車体本体部2下面に取り付けられている。後輪6は、ハンドルHの操作またはサーボモータ(図示せず)の駆動によって旋回ギヤケース7Cが旋回されることで、転舵角を保持又は変更可能に構成されている。
後輪6は、駆動モータ(図示せず)によって駆動される。後輪6の駆動力は、運転スペースSに設けられたアクセルレバー8の操作により調節される。後輪6は、ブレーキ装置(図示せず)によって制動される。後輪6の制動力は、運転スペースSに設けられたブレーキペダル9の操作により調節される。
マスト装置Mは、フォークFを昇降させて、フォークF上に積まれた荷物を揚降させる装置である。
図2は、図1の産業車両の制御装置の構成を示すブロック図である。図2に示されるように、フォークリフト1の制御装置10は、モード切換スイッチ(切換要求入力部)11と、車輪角度センサ12と、車輪回転数センサ13と、揚高センサ14と、荷重センサ15と、傾斜センサ16と、ECU[Electronic Control Unit]20と、報知装置30と、を有する。
モード切換スイッチ11は、運転者による走行モードの切換要求を受け付け、受け付けた運転者による走行モードの切換要求をECU20に送信する。本実施形態では、フォークリフト1は、走行モードとして後で詳述する通常走行モード及び特殊走行モードを有し、さらに特殊走行モードは、平行移動モードAと、横移動モードBと、小回りモードCと、旋回モードDとを含んでいる。モード切換スイッチ11は、運転スペースS前方のパネルに配置され、各走行モードに対応する複数の押しボタンスイッチで構成されている。モード切換スイッチ11は、図4に示すように、例えば、運転スペースSの運転者から見て左側から順番にA〜Dの文字が付されて配置されたモード切換スイッチ11A,11B,11C,11Dを有する。
車輪角度センサ12は、前輪4,5及び後輪6の車輪角度を検知するセンサである。車輪角度センサ12は、3つの車輪角度センサ12A,12B,12Cで構成されており、それぞれ旋回ギヤケース7A、7B、7Cに設けられている。車輪角度センサ12は、検出した前輪4,5及び後輪6の車輪角度を含む情報をECU20に送信する。
車輪回転数センサ13は、フォークリフト1の走行速度に相当する前輪4,5及び後輪6の回転数をそれぞれ検知するセンサである。車輪回転数センサ13は、一例として、3つの車輪回転数センサ13A,13B,13Cで構成されており、各車輪の回転軸に設けられている。車輪回転数センサ13は、検出した前輪4,5及び後輪6の回転数を含む情報をECU20に送信する。なお、車輪回転数センサ13は、駆動モータの回転軸に設けられたモータ回転数センサ(不図示)で構成されることで、モータ回転数センサの回転数情報を基に前輪4,5及び後輪6の回転数を算出してもよい。
揚高センサ14は、マスト装置Mに設けられ、マスト装置Mの揚高を検出する。荷重センサ15は、フォークFに設けられ、荷役によってフォークFにかかる荷重を検出する。傾斜センサ16は、車体本体部2に設けられ、車体本体部2の傾斜角を検出する。本実施形態では、揚高センサ14、荷重センサ15、及び傾斜センサ16は、それぞれが第3のセンサに相当し、揚高、荷重、及び傾斜角それぞれがフォークリフト1の走行に関する車両データであって車輪角度とも車輪回転数とも異なる車両データに相当する。揚高、荷重、及び傾斜角それぞれは、フォークリフト1の走行安定性に関する車両データである。揚高センサ14、荷重センサ15、及び傾斜センサ16は、それぞれ、検出した揚高、荷重、及び傾斜角に関する情報をECU20に送信する。
ECU20は、フォークリフト1の各種制御を行う電子制御ユニットであり、CPU[Central Processing Unit]、ROM[Read Only Memory]、RAM[Random Access Memory]を含むコンピュータを主体として構成されている。ECU20は、上述した各センサ12〜16と接続されており、また、報知装置30の各要素とも接続されている。ECU20は、図3に示されるように、機能的構成として、閾値設定部(基準変更部)21と、記憶部22と、判定部23と、切換部24と、走行制御部25と、報知部26と、を有する。
判定部23は、現在の走行モードから当該現在の走行モードとは異なる切換え先の走行モード(以下、単に「別の走行モード」ともいう)への切換可否を判定する。具体的には、判定部23は、後述する閾値設定部21によって設定された閾値に基づいて、現在の走行モードから別の走行モードへの切換可否を判定する。本実施形態では、判定部23は、車輪角度センサ12及び車輪回転数センサ13によって検出された前輪4,5及び後輪6の車輪角度及び前輪4,5及び後輪6の回転数と、閾値設定部21によって設定された角度閾値及び回転数閾値と、に基づいて、現在の走行モードから別の走行モードへの切換可否を判定する。本実施形態のように、フォークリフト1が3以上の走行モードを有する場合には、判定部23は、現在の走行モードから当該現在の走行モードとは異なる複数の走行モードへのそれぞれの切換可否を判定する。
閾値設定部21は、現在の走行モードを取得する。閾値設定部21は、例えば、車輪角度センサ12により検知された前輪4,5及び後輪6の車輪角度、及び、車輪回転数センサ13により検知された前輪4,5及び後輪6の回転数に基づいて、現在の走行モードを取得する。
閾値設定部21は、取得した現在の走行モードに応じて判定部23の判定基準である閾値を設定する。閾値は、一例として、前輪4,5及び後輪6の車輪角度における角度閾値、及び、前輪4,5及び後輪6の回転数における回転数閾値を含む。閾値設定部21は、例えば、後述の記憶部22に記憶された角度閾値及び回転数閾値を、角度閾値及び回転数閾値として設定する。
各走行モードにおいては、後述するように、当該走行モードとして取り得る前輪4,5及び後輪6の車輪角度の値又は範囲と、当該走行モードとして取り得る前輪4,5及び後輪6の回転数の値又は範囲と、が定められている。このことから、一般的には、走行モードが異なれば閾値も異なる。そのため、角度閾値及び回転数閾値は、走行モードに応じて設定される。角度閾値及び回転数閾値は、例えば、現在の走行モード及び別の走行モードの組み合わせごとのマップとして記憶部22に記憶されていてもよいし、現在の走行モード及び別の走行モードの組み合わせごとの設定値として後述の記憶部22に記憶されていてもよい。
角度閾値は、現在の走行モードから別の走行モードへの切換えを安全に行い得るような前輪4,5及び後輪6の車輪角度の閾値である。角度閾値は、例えば、現在の前輪4,5及び後輪6の車輪角度と、別の走行モードへ切換えたと仮定した場合の当該切換え後の前輪4,5及び後輪6の車輪角度と、の差分における前輪4,5及び後輪6の車輪角度の閾値である。つまり、現在の走行モードから別の走行モードへ切換えた場合に当該走行モードの切換えに起因する前輪4,5及び後輪6の車輪角度の変更量が角度閾値以下である場合、走行モードの切換えを安全に行い得ると考えることができる。角度閾値は、前輪4,5及び後輪6のそれぞれに対応させて複数設定されてもよいし、前輪4,5及び後輪6の車輪角度のうち上記差分が最も大きい前輪4,5及び後輪6に対応させて1つ設定されてもよい。
回転数閾値は、例えば、現在の走行モードから別の走行モードへの切換えを安全に行い得るような前輪4,5及び後輪6の回転数の閾値である。回転数閾値は、例えば、現在の前輪4,5及び後輪6の回転数における閾値である。つまり、現在の前輪4,5及び後輪6の回転数が回転数閾値以下である場合、切換え後の走行モードにおいて現在の前輪4,5及び後輪6の回転数で走行することが可能であり、したがって走行モードの切換えを安全に行い得ると考えることができる。回転数閾値は、前輪4,5及び後輪6のそれぞれに対応させて複数設定されてもよいし、前輪4,5及び後輪6の回転数のうち最も大きい回転数の前輪4,5及び後輪6に対応させて1つ設定されてもよい。
閾値設定部21は、例えば、揚高センサ14、荷重センサ15、及び傾斜センサ16によって検出された揚高、荷重、及び傾斜角に基づいて、後述の記憶部22に記憶された角度閾値及び回転数閾値を変更し、変更した角度閾値及び回転数閾値を、角度閾値及び回転数閾値として設定する。
閾値設定部21は、例えば、検出された揚高が所定の揚高閾値以上である場合、現在の走行モードから別の走行モードへの切換えを更に安全に行い得るように、後述の記憶部22に記憶された角度閾値及び回転数閾値の少なくとも一方を変更する。閾値設定部21は、例えば、検出された荷重が所定の荷重閾値以上である場合、現在の走行モードから別の走行モードへの切換えを更に安全に行い得るように、後述の記憶部22に記憶された角度閾値及び回転数閾値の少なくとも一方を変更する。閾値設定部21は、例えば、検出された傾斜が所定の傾斜閾値以上である場合、現在の走行モードから別の走行モードへの切換えを更に安全に行い得るように、後述の記憶部22に記憶された角度閾値及び回転数閾値の少なくとも一方を変更する。
記憶部22は、角度閾値及び回転数閾値を記憶するメモリである。記憶部22は、例えば、予め設定された角度閾値及び回転数閾値を記憶する。記憶部22は、閾値設定部21で角度閾値及び回転数閾値が変更された場合、当該変更された角度閾値及び回転数閾値を記憶する。
切換部24は、走行モードの切換処理を行う。切換部24は、運転者による切換要求がモード切換スイッチ11によって受け付けられた場合、当該切換要求に係る走行モードを取得する。切換部24は、当該切換要求に係る走行モードが、判定部23によって切換可否が「可」であると判定された走行モードである場合、走行モードを当該切換要求に係る走行モードへ切り換える。切換部24は、当該切換要求に係る走行モードが、判定部23によって切換可否が「不可」であると判定された走行モードである場合、走行モードを切り換えない。
走行制御部25は、運転者によるハンドルH、アクセルレバー8及びブレーキペダル9の操作に基づいて、現在の走行モードに応じて前輪4,5及び後輪6の車輪角度及び回転数を制御することで、フォークリフト1の走行を制御する。
報知部26は、報知装置30の作動を制御することにより、判定部23によって判定された切換可否の判定結果をフォークリフト1の運転者に報知する。
報知装置30は、運転者に各種情報を報知する。報知する情報としては、走行モードの切換可否の判定結果の他、現在の走行モード、走行モードの切換可否の判定結果、判定部23が走行モードの切換えを可能と判定する角度閾値及び回転数閾値等である。本実施形態では、報知装置30は、ディスプレイ31と、ランプ32と、スピーカ33とを有する。ディスプレイ31は、運転スペースS前方のパネルに配置された液晶モニタ等の表示部であり、運転スペースSの運転者から見てモード切換スイッチ11の奥側に配置されている。ディスプレイ31は、例えば主ディスプレイ31A,サブディスプレイ31B,31Cを有する。ランプ32は、運転スペースS前方のパネルに配置されている。スピーカ33は、運転スペースS前方のパネルに配置されている。
報知部26は、現在の走行モードを表す第1アイコンを、報知装置30のディスプレイ31に表示させることで現在の走行モードを運転者に報知する。第1アイコンは、図4〜図8に示すように、現在の走行モードを模式的に表現したフォークリフト1の平面図である。
報知部26は、判定部23によって切換可否が「可」と判定された走行モードを表す第2アイコンを、報知装置30のディスプレイ31に表示させることで、走行モードの切換可否の判定結果が「可」であることを運転者に報知する。報知部26は、判定部23によって切換可否が「不可」と判定された走行モードを表す第2アイコンを、報知装置30のディスプレイ31に表示させないことで、走行モードの切換可否の判定結果が「不可」であることを運転者に報知する。第2アイコンは、図4〜図8に示すように、内側に「A」、「B」、「C」及び「D」の文字が付された矩形枠状の図形である。この場合、報知部26は、モード切換スイッチ11における「A」〜「D」の文字の配列に対応する位置のディスプレイ31に、第2アイコンを表示させる。
報知部26は、上述したディスプレイ31に代えて、ランプ32を用いて走行モードの切換可否の判定結果を運転者に報知することもできる。例えば、判定部23によって切換要求に係る走行モードの切換可否が「不可」と判定された場合、ランプ32を点灯させることで走行モードの切換可否の判定結果が「不可」であることを運転者に報知してもよい。報知部26は、ディスプレイ31とランプ32とを併用して、走行モードの切換可否の判定結果を運転者に報知することもできる。
報知部26は、上述したディスプレイ31に代えて、スピーカ33を用いて走行モードの切換可否の判定結果を運転者に報知することもできる。例えば、判定部23によって切換要求に係る走行モードの切換可否が「不可」と判定された場合、スピーカ33から所定の音声を発生させることで走行モードの切換可否の判定結果が「不可」であることを運転者に報知してもよい。報知部26は、ディスプレイ31とスピーカ33とを併用して、走行モードの切換可否の判定結果を運転者に報知することもできる。
報知部26は、報知装置30の作動を制御することにより、判定部23が別の走行モードへの切換えを可能と判定する角度閾値及び回転数閾値を報知する。報知部26は、例えば、判定部23によって走行モードの切換可否が「不可」と判定された場合、走行モードの切換可否が「可」と判定されるための角度閾値及び回転数閾値をサブディスプレイ31B,31Cに表示させることもできる。
ここで、フォークリフト1の走行モードについて、図4〜図8を参照しつつ説明する。上述したとおり、フォークリフト1は、走行モードとして、通常走行モード及び特殊走行モードを有し、特殊走行モードとして、平行移動モードAと、横移動モードBと、小回りモードCと、旋回モードDとを含む。平行移動モードAと、横移動モードBと、小回りモードCと、旋回モードDにおける符号A〜Dは、モード切換スイッチ11に付された文字「A」〜「D」、及び、ディスプレイ31に表示される第2アイコンの文字「A」〜「D」に対応する。
図4に示されるように、通常走行モードは、運転者のハンドルH操作による後輪6の転舵角に応じて、車体本体部2の向きが変化する走行モードである。通常走行モードは、前輪4,5の向きがY方向に沿った状態で固定され、後輪6のみ転舵可能なモードである。図4の例では、当該通常走行モードを表す第1アイコンがディスプレイ31の主ディスプレイ31Aに表示されている。これにより、現在の走行モードが通常走行モードであることが運転者に報知され、運転者に認識され得る。
また、図4の例では、平行移動モードA及び横移動モードBが判定部23によって切換可否が「可」と判定されており、当該平行移動モードA及び横移動モードBを表す第2アイコンがディスプレイ31の主ディスプレイ31Aに表示されている。これにより、平行移動モードA及び横移動モードBへの切換可否の判定結果が「可」であることが運転者に報知され、運転者に認識され得る。また、小回りモードC及び旋回モードDが判定部23によって切換可否が「不可」と判定されており、当該小回りモードC及び旋回モードDを表す第2アイコンはディスプレイ31の主ディスプレイ31Aに表示されていない。これにより、小回りモードC及び旋回モードDへの切換可否の判定結果が「不可」であることが運転者に報知され、運転者に認識され得る。
図5に示されるように、平行移動モードAは、車体本体部2の向きが変化せずに車体本体部2が移動する走行モードである。平行移動モードAでは、前輪4,5及び後輪6の回転軸が互いに略平行な状態であり、前輪4,5及び後輪6が同方向に転動可能とされている。図5の例では、当該平行移動モードAを表す第1アイコンがディスプレイ31の主ディスプレイ31Aに表示されると共に、平行移動モードAを表す第2アイコンが強調された態様で(例えば枠線が太線とされた態様で)ディスプレイ31の主ディスプレイ31Aに表示されている。これにより、現在の走行モードが平行移動モードAであることが運転者に報知され、運転者に認識され得る。
また、図5の例では、横移動モードBが判定部23によって切換可否が「可」と判定されており、当該横移動モードBを表す第2アイコンがディスプレイ31の主ディスプレイ31Aに表示されている。これにより、横移動モードBへの切換可否の判定結果が「可」であることが運転者に報知され、運転者に認識され得る。また、小回りモードC及び旋回モードDが判定部23によって切換可否が「不可」と判定されており、当該小回りモードC及び旋回モードDを表す第2アイコンはディスプレイ31の主ディスプレイ31Aに表示されていない。これにより、小回りモードC及び旋回モードDへの切換可否の判定結果が「不可」であることが運転者に報知され、運転者に認識され得る。
図6に示されるように、横移動モードBは、車体本体部2の向きが変化せずに車体本体部2が横方向(車幅方向)に移動する走行モードである。横移動モードBでは、前輪4,5及び後輪6の向きがX方向に沿った状態で固定され、前輪4,5及び後輪6が転舵不可能とされている。図6の例では、当該横移動モードBを表す第1アイコンがディスプレイ31の主ディスプレイ31Aに表示されると共に、横移動モードBを表す第2アイコンが強調された態様で(例えば枠線が太線とされた態様で)ディスプレイ31の主ディスプレイ31Aに表示されている。これにより、現在の走行モードが横移動モードBであることが運転者に報知され、運転者に認識され得る。
また、図6の例では、平行移動モードA及び小回りモードCが判定部23によって切換可否が「可」と判定されており、当該平行移動モードA及び小回りモードCを表す第2アイコンがディスプレイ31の主ディスプレイ31Aに表示されている。これにより、平行移動モードA及び小回りモードCへの切換可否の判定結果が「可」であることが運転者に報知され、運転者に認識され得る。また、旋回モードDが判定部23によって切換可否が「不可」と判定されており、当該旋回モードDを表す第2アイコンはディスプレイ31の主ディスプレイ31Aに表示されていない。これにより、旋回モードDへの切換可否の判定結果が「不可」であることが運転者に報知され、運転者に認識され得る。
図7に示されるように、小回りモードCは、比較的小さい旋回半径でフォークリフト1を旋回させる走行モードである。小回りモードCでは、前輪4の向きがX方向に沿った状態で固定され、前輪5の向きが略Y方向に沿った状態で固定され、前輪4及び前輪5が転舵不可能とされ、後輪6が転舵可能とされている。図7の例では、当該小回りモードCを表す第1アイコンがディスプレイ31の主ディスプレイ31Aに表示されると共に、小回りモードCを表す第2アイコンが強調された態様で(例えば枠線が太線とされた態様で)ディスプレイ31の主ディスプレイ31Aに表示されている。これにより、現在の走行モードが小回りモードCであることが運転者に報知され、運転者に認識され得る。
また、図7の例では、平行移動モードA、横移動モードB及び旋回モードDが判定部23によって切換可否が「可」と判定されており、当該平行移動モードA、横移動モードB及び旋回モードDを表す第2アイコンがディスプレイ31の主ディスプレイ31Aに表示されている。これにより、平行移動モードA、横移動モードB及び旋回モードDへの切換可否の判定結果が「可」であることが運転者に報知され、運転者に認識され得る。
図8に示されるように、旋回モードDは、フォークリフト1をその場で旋回させる走行モードである。旋回モードDでは、前輪4,5及び後輪6の向きがフォークリフト1の車体本体部2の旋回中心の周回方向に沿った状態で固定され、前輪4,5及び後輪6が転舵不可能とされたモードである。図8の例では、当該旋回モードDを表す第1アイコンがディスプレイ31の主ディスプレイ31Aに表示されると共に、旋回モードDを表す第2アイコンが強調された態様で(例えば枠線が太線とされた態様で)ディスプレイ31の主ディスプレイ31Aに表示されている。これにより、現在の走行モードが旋回モードDであることが運転者に報知され、運転者に認識され得る。
図8の例では、平行移動モードA、横移動モードB及び小回りモードCが判定部23によって切換可否が「可」と判定されており、当該平行移動モードA、横移動モードB及び小回りモードCを表す第2アイコンがディスプレイ31の主ディスプレイ31Aに表示されている。これにより、平行移動モードA、横移動モードB及び小回りモードCへの切換可否の判定結果が「可」であることが運転者に報知され、運転者に認識され得る。
なお、図6に示したように、運転者から受け付けた走行モード(たとえば旋回モードD)への切換可否が「不可」と判定部23により判定された場合には、当該走行モードへの切換えを判定部23が可能と判定する角度閾値(例えば30°)がサブディスプレイ31Bに表示されると共に、当該旋回モードDへの切換えを判定部23が可能と判定する回転数閾値(例えば車速度が1km/h)がサブディスプレイ31Cに表示される態様としてもよい。これにより、旋回モードDへの切換えが可能となる角度閾値及び回転数閾値が運転者に報知され、運転者に認識され得る。
次に、制御装置10の動作について、図9を参照しつつ説明する。図9の処理は、例えば、走行モードが切り換えられた又は走行モードが初めて設定されたときにECU20により開始され、当該走行モードから別の走行モードへ切り換えられたときに終了される。切り換えられた別の走行モードにおいては、図9の処理が再度ECU20により開始される。
図9に示されるように、まず、現在の走行モードの取得が行われる(ステップS1)。この処理では、閾値設定部21により、車輪角度センサ12により検知された前輪4,5及び後輪6の車輪角度、及び、車輪回転数センサ13により検知された前輪4,5及び後輪6の回転数に基づいて、現在の走行モードが取得される。
続いて、車輪角度の取得が行われる(ステップS2)。この処理では、車輪角度センサ12A,12B,12Cにより前輪4,5及び後輪6の車輪角度が検出される。検出された前輪4,5及び後輪6の車輪角度はECU20に送信され、ECU20において前輪4,5及び後輪6の車輪角度が取得される。続いて、車輪回転数の取得が行われる(ステップS3)。この処理では、車輪回転数センサ13A,13B,13Cにより前輪4,5及び後輪6の回転数が検出される。検出された前輪4,5及び後輪6の回転数はECU20に送信され、ECU20において前輪4,5及び後輪6の回転数が車輪回転数として取得される。
続いて、切換可能な走行モードの判定が行われる(ステップS4)。この処理では、まず、閾値設定部21により角度閾値及び回転数閾値が設定される。その後、閾値設定部21によって設定された角度閾値及び回転数閾値を用いて、判定部23により現在の走行モードから別の走行モードへの切換可否が判定される。
続いて、切換可能な走行モードの報知が行われる(ステップS5)。この処理では、報知部26により、報知装置30の作動が制御され、判定部23によって判定された切換可否の判定結果がフォークリフト1の運転者に報知される。
続いて、切換可能な走行モードの報知が行われる(ステップS5)。この処理では、報知部26により、報知装置30の作動が制御され、判定部23によって判定された切換可否の判定結果がフォークリフト1の運転者に報知される。
続いて、モード切換スイッチ11の操作が行われたか否かが切換部24により判定される(ステップS6)。この処理において、モード切換スイッチ11の操作が行われていないと切換部24により判定された場合、上記ステップS2に戻り、ステップS2〜S6の処理が繰り返される。
一方、ステップS6において、モード切換スイッチ11の操作が行われていると切換部24により判定された場合、走行モードの切換要求に係る走行モードが切換可能な走行モードであるか否かが切換部24により判定される(ステップS7)。この処理において、走行モードの切換要求に係る走行モードが切換可能な走行モードではないと切換部24により判定された場合、報知部26により、切換要求に係る走行モードへの変更が不可であることが運転者に報知され(ステップS8)、上記ステップS2に戻り、ステップS2〜S6の処理が繰り返される。
一方、ステップS7において、走行モードの切換要求に係る走行モードが切換可能な走行モードであると切換部24により判定された場合、切換部24により、フォークリフト1の走行モードが切換要求に係る走行モードに切換えられる(ステップS9)。
以上説明したように、フォークリフト1では、車輪角度及び車輪回転数に関する判定基準を、車輪角度及び車輪回転数が満たせば、フォークリフト1が完全に停止した状態でなくても、判定部23により、現在の走行モードから別の走行モードへの切換可能と判定される。そして、その判定の結果が、報知部26により運転者に報知されることで、実際に走行モードの切換えが行われる。このように、上記フォークリフト1によれば、フォークリフト1が完全に停止した状態でなくても走行モードの切換えが可能であるため、作業効率を向上することが可能となる。
フォークリフト1では、判定基準は、車輪角度及び車輪回転数それぞれにおける現在の走行モードに応じた角度閾値及び回転数閾値である。これにより、現在の走行モードに応じた閾値を用いて、判定部23が走行モードの切換可否を容易に判定することができる。
フォークリフト1では、フォークリフト1の走行に関する車両データであって車輪角度とも車輪回転数とも異なる車両データ(例えば揚高、荷重、及び傾斜角)を検出する第3のセンサ(例えば揚高センサ14、荷重センサ15、及び傾斜センサ16)と、第3のセンサによって検出された車両データに基づいて、車輪角度及び車輪回転数それぞれにおける角度閾値及び回転数閾値を変更する閾値設定部21と、を更に備える。判定部23は、閾値設定部21によって変更された閾値に基づいて、現在の走行モードから別の走行モードへの切換可否を判定する。これにより、第3のセンサによって検出された車両データに基づいて閾値設定部21が車両データに基づいて閾値を調整することで、判定部23による判定の最適化を図ることができる。例えば、車両データに基づいて、走行安定性を確保した安全な走行モード切換ができない状況である場合には、車輪角度の閾値をより小さくするとともに、車輪回転数の閾値をより小さくすることができる。
フォークリフト1は、運転者による走行モードの切換要求を受け付けるモード切換スイッチ11を備える。モード切換スイッチ11で受け付けた走行モードが判定部23により切換不可と判定された走行モードである場合に、報知部26は、切換要求に係る走行モードへの変更が不可であることを運転者に報知する。これにより、運転者は、切換要求に係る走行モードへの変更が不可であることを認識できる。
フォークリフト1では、報知部26は、判定部23が別の走行モードへの切換えを可能と判定するための角度閾値及び回転数閾値を運転者に更に報知する。これにより、別の走行モードへの切換えが可能となる角度閾値及び回転数閾値を、運転者が容易に認識することができる。
フォークリフト1では、3以上の走行モードを有し、判定部23は、現在の走行モードから当該現在の走行モードとは異なる複数の走行モードへのそれぞれの切換可否を判定する。3以上の走行モードのうち切換え可能な走行モードを報知部26が報知することができ、切換え可能な走行モードを運転者が認識することができる。
以上、本発明の種々の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲で変形し、又は他のものに適用したものであってもよい。
上記実施形態では、現在の走行モードに応じて設定される判定基準として、角度閾値及び回転数閾値を用いたが、判定基準はこれに限定されるものではない。また、角度閾値及び回転数閾値は、予め設定された閾値及び閾値設定部21によって変更された閾値を例示したが、例えば所定の関数により定義される閾値であってもよい。
上記実施形態では、判定部23が制御装置10に備えられていたが、例えばディスプレイ31の表示を制御するディスプレイコントローラに判定部23が備えられていてもよい。
上記実施形態では、切換部24は、運転者による切換要求に係る走行モードが、判定部23によって切換可否が「不可」であると判定された走行モードである場合、走行モードを切り換えなかったが、切換部24は、運転者による切換要求に係る走行モードが、判定部23によって切換可否が「不可」であると判定された走行モードである場合、その後に判定部23によって切換可否が「可」であると判定されたときに走行モードを当該切換要求に係る走行モードに切り換える予約状態としてもよい。この場合、例えば報知部26がランプ32を点滅表示させることで、予約状態であることを運転者に報知してもよい。また、予約状態において、切換部24は、強制切換を実行してもよい。強制切換では、例えば、切換部24は、報知装置30を介して運転者に強制切換をしてもよいかを問い合わせ、運転者が強制切換を許可した場合に、走行制御部25に一旦フォークリフト1を強制的に停車させると共に、走行モードを当該切換要求に係る走行モードに切り換えてもよい。