(第1実施形態)
以下、産業車両用遠隔操作システムの第1実施形態について説明する。
図1に示すように、産業車両用遠隔操作システム10は、産業車両としてのフォークリフト20と、フォークリフト20を遠隔操作するのに用いられる遠隔操作装置30と、を備えている。
フォークリフト20は、車輪21と、荷物の積み上げ又は積み降ろしを行う荷役装置としてのフォーク22と、を備えている。本実施形態のフォークリフト20は、運転者が着座して操縦することが可能に構成されている。フォーク22は、リフト動作、リーチ動作及びチルト動作が可能に構成されている。
なお、フォークリフト20は、例えばエンジンが搭載されたエンジンタイプであってもよいし、蓄電装置及び電動モータが搭載されたEVタイプであってもよいし、燃料電池及び電動モータが搭載されたFCVタイプであってもよい。また、フォークリフト20は、例えばエンジンと蓄電装置と電動モータとを有するHVタイプでもよい。
図2に示すように、フォークリフト20は、走行アクチュエータ23と、荷役アクチュエータ24と、これら走行アクチュエータ23及び荷役アクチュエータ24を制御する車両CPU25と、車両メモリ26と、車両状態検知部27と、を備えている。
走行アクチュエータ23は、フォークリフト20の走行に用いられるものであり、具体的には車輪21を回転駆動させるとともに、操舵角(進行方向)を変更する。なお、例えばフォークリフト20がエンジンタイプであれば、走行アクチュエータ23はエンジン及びステアリング装置等であり、例えばフォークリフト20がEVタイプであれば、走行アクチュエータ23は車輪21を回転駆動させる電動モータ及びステアリング装置等である。
荷役アクチュエータ24は、走行とは異なる動作に用いられるものであり、詳細にはフォーク22を駆動させるものである。例えば、荷役アクチュエータ24は、フォーク22を上下方向に移動させるリフト動作を行うリフト駆動部24aと、フォーク22を前後方向に移動させるリーチ動作を行うリーチ駆動部24bと、フォーク22を傾けるチルト動作を行うチルト駆動部24cと、を有している。
本実施形態では、フォーク22が、走行とは異なる動作を行う動作対象であり、フォーク22の動作が「走行とは異なる動作」に対応し、荷役アクチュエータ24が走行とは異なる動作に用いられる「動作駆動部」に対応する。そして、走行アクチュエータ23が「走行駆動部」に対応する。
車両状態検知部27は、フォークリフト20の状態を検知するものである。車両状態検知部27は、例えば現在のフォークリフト20の走行態様及びフォーク22の動作態様を検知するとともに、フォークリフト20の異常の有無を検知し、その検知結果である走行情報、動作情報及び異常情報が設定された検知信号を車両CPU25に向けて出力する。
なお、走行情報は、例えばフォークリフト20の走行速度、加速度及び操舵角に関する情報を含む。換言すれば、本実施形態の車両状態検知部27は、フォークリフト20の走行態様として、少なくともフォークリフト20の走行速度、加速度及び操舵角を検知している。また、動作情報は、上下方向におけるフォーク22の位置(リフト位置)及びリフト動作中の場合にはその動作速度に関する情報と、前後方向におけるフォーク22の位置(リーチ位置)及びリーチ動作中の場合にはその動作速度に関する情報と、鉛直方向に対するフォーク22の傾斜角度及びチルト動作中の場合にはその動作速度に関する情報とを含む。換言すれば、本実施形態における車両状態検知部27が検知するフォークリフト20の動作態様には、リフト動作、リーチ動作及びチルト動作が含まれている。
また、フォークリフト20の異常とは、例えば、走行アクチュエータ23又は荷役アクチュエータ24の異常や、車輪21の異常等がある。但し、フォークリフト20の異常は、これに限られず任意であり、例えばフォークリフト20が蓄電装置を有する構成においては、蓄電装置の異常等を含んでもよい。
車両CPU25は、フォークリフト20に設けられているステアリング装置や各種操作レバーが操作されることに基づいて、車両メモリ26に記憶されている各種プログラムを読み出し実行することによって、走行アクチュエータ23及び荷役アクチュエータ24を制御する。つまり、本実施形態のフォークリフト20は、遠隔操作装置30を用いずに、フォークリフト20に設けられているステアリング装置や各種操作レバーにより運転することも可能となっている。また、車両CPU25は、車両状態検知部27から入力される検知信号に基づいて、フォークリフト20の現在の状態を把握する。車両CPU25は、車両ECUとも車両MPUとも言える。
遠隔操作装置30は、通信機能を有する操作端末である。遠隔操作装置30は、例えばスマートフォン又はタブレット端末といった汎用品である。但し、これに限られず、遠隔操作装置30は、携帯電話やヴァーチャルリアリティ端末などでもよいし、遠隔操作のための専用品であってもよい。
図1に示すように、本実施形態では、遠隔操作装置30は、一方を長手方向とし他方を短手方向とする矩形板状である。遠隔操作装置30は、遠隔操作を行う場合、当該遠隔操作装置30の長手方向の両端部のうち一方の端部が右手によって把持され、他方の端部が左手によって把持された状態で用いられる。つまり、遠隔操作装置30は遠隔操作を行う際には横向きに両手で把持されることを想定している。
図2に示すように、遠隔操作装置30は、タッチパネル31と、タッチセンサ32と、リモートCPU33と、リモートメモリ34と、姿勢検知部35と、を備えている。
図1に示すように、タッチパネル31は、遠隔操作装置30の一方の板面に形成されている。タッチパネル31は長手方向及び短手方向を有する矩形状であり、タッチパネル31の長手方向は遠隔操作装置30の長手方向と一致している。タッチパネル31は、所望の画像を表示させることが可能に構成されている。タッチパネル31が「操作部」に対応する。
ちなみに、遠隔操作装置30が横向きに把持された場合、タッチパネル31の短手方向は操作者から見て上下方向又は前後方向であり、タッチパネル31の長手方向は操作者から見て左右方向である。
なお、以降の説明において、タッチパネル31を視認できるように遠隔操作装置30が横向きに把持された場合において、操作者から見てタッチパネル31の上端側(図5〜図8における紙面上方向)を上方とし、操作者から見て下端側(図5〜図8における紙面下方向)を下方とする。
タッチセンサ32は、遠隔操作装置30に対する操作の一種である、タッチパネル31に対する入力操作(詳細にはタッチ操作やスライド操作)を検知するものである。詳細には、タッチセンサ32は、タッチパネル31に対して指が接触しているか否かを検知するとともに、指の接触が検知された場合にはその位置を検知する。そして、タッチセンサ32は、検知結果をリモートCPU33に出力する。これにより、リモートCPU33は、タッチパネル31に対する入力操作を把握できる。なお、タッチセンサ32の具体的な構成は任意であるが、例えば静電容量の変化に基づいて検出する静電容量式センサや圧力センサ等がある。
ちなみに、本実施形態のタッチセンサ32は、タッチパネル31に対して複数の入力操作が行われている場合には、各入力操作をそれぞれ個別に検知する。例えば、タッチパネル31に対して左手の指と右手の指の双方が接触している場合には、左手の指の接触位置及び右手の指の接触位置の双方を個別に検知し、その検知結果をリモートCPU33に出力する。
姿勢検知部35は、遠隔操作装置30の姿勢を検知するものである。姿勢検知部35は、例えば3軸の加速度センサと3軸のジャイロセンサとを含み、これらのセンサから得られる情報に基づいて、遠隔操作装置30の向き及びその変化を検知する。
例えば、図1に示すように、遠隔操作装置30の長手方向の両端部が操作者によって把持されている場合においては、姿勢検知部35は、遠隔操作装置30の中心を通り当該遠隔操作装置30の厚さ方向に延びた第1中心線M1を回転軸とする回転操作(以降、単に「第1回転操作」という。)を検知する。更に姿勢検知部35は、遠隔操作装置30の中心を通り当該遠隔操作装置30の長手方向に延びた第2中心線M2を回転軸とする回転操作(以降、単に「第2回転操作」という。)を検知する。
第1回転操作方向は、遠隔操作装置30の厚さ方向を回転軸とする遠隔操作装置30の回転方向であり、第2回転操作方向は、遠隔操作装置30の長手方向を回転軸とする遠隔操作装置30の回転方向である。換言すれば、姿勢検知部35は、第1回転操作方向における遠隔操作装置30の回転位置の変化、及び、第2回転操作方向における遠隔操作装置30の回転位置の変化を検知するものである。
姿勢検知部35は、第1回転操作及び第2回転操作の少なくとも一方が行われているか否か、及び、両回転操作の少なくとも一方が行われている場合には当該回転操作の態様を検知し、その検知結果をリモートCPU33に出力する。これにより、リモートCPU33は、遠隔操作装置30に対する操作の一種である第1回転操作及び第2回転操作を把握できる。
なお、回転操作の態様とは、例えば回転操作の角速度の変化具合である。詳細には、姿勢検知部35は、回転操作の態様として角加速度を検知する。これにより、遠隔操作装置30(詳細にはリモートCPU33)は、回転操作の有無に加えて角加速度も把握できる。
リモートCPU33は、リモートメモリ34に記憶されている各種プログラムを用いて各種処理を実行するものである。詳細には、リモートメモリ34には、タッチパネル31の画像制御に関するプログラムが記憶されており、リモートCPU33は、当該プログラムを読み出し実行することによってタッチパネル31の表示制御を行う。また、リモートCPU33は、タッチセンサ32及び姿勢検知部35から入力される信号に基づいて、遠隔操作装置30に対する各種操作を把握する。本実施形態では、リモートCPU33が「表示制御部」に対応する。
図2に示すように、フォークリフト20と遠隔操作装置30とは通信可能に構成されている。詳細には、フォークリフト20は、車両通信部28を有しており、遠隔操作装置30は、車両通信部28と通信可能なリモート通信部36を有している。
車両通信部28及びリモート通信部36は、例えば無線通信を行う通信インターフェースである。リモート通信部36は、通信範囲内にペアリング(登録)済みのフォークリフト20が存在する場合には、当該フォークリフト20の車両通信部28との通信接続を確立する。これにより、遠隔操作装置30とフォークリフト20との間で信号のやり取りが可能となる。
本実施形態では、車両通信部28及びリモート通信部36間の通信形式は、Wi−Fi(換言すればIEEE802.11規格の無線LAN)である。両通信部28,36は、パケット通信によって信号の送受信を行う。
なお、Wi−Fiには、IEEE802.11aやIEEE802.11ac等といった複数の規格が存在するが、車両通信部28及びリモート通信部36間の通信形式は、上記複数の規格のうちいずれでもよい。また、両通信部28,36の信号の送受信は、パケット通信に限られず任意である。
更に、車両通信部28とリモート通信部36との間の通信形式については、Wi−Fiに限られず、任意であり、例えばBluetooth(登録商標)及びZigbee(登録商標)等であってもよい。
リモートCPU33は、リモート通信部36と電気的に接続されている。リモートCPU33は、リモート通信部36を用いて、遠隔操作に関する各種情報が設定された遠隔操作信号SG1を車両通信部28に向けて送信することにより、フォークリフト20を遠隔操作する。遠隔操作信号SG1は、無線通信用の規格に対応する信号であり、本実施形態ではWi−Fi規格に対応したパケット通信信号である。
フォークリフト20は、遠隔操作信号SG1を、車内通信用規格に対応した制御信号SGaに変換する信号変換部29を備えている。信号変換部29は、車両通信部28及び車両CPU25に電気的に接続されており、車両通信部28によって受信された遠隔操作信号SG1を、車両CPU25が認識可能な制御信号SGaに変換し、当該制御信号SGaを車両CPU25に向けて出力する。
なお、本実施形態では、フォークリフト20の具体的な車内通信用規格はCAN規格である。すなわち、本実施形態では、制御信号SGaはCAN信号である。但し、これに限られず、具体的な車内通信用規格は任意である。
図3に示すように、遠隔操作信号SG1の規格と制御信号SGaの規格とが異なっていることに起因して、遠隔操作信号SG1及び制御信号SGaの信号形式(換言すれば信号形態)が異なっている一方、遠隔操作信号SG1及び制御信号SGaに設定されている情報(換言すれば内容)は同一である。換言すれば、信号変換部29は、遠隔操作に関する情報が設定された無線通信用規格の遠隔操作信号SG1から、当該遠隔操作に関する情報を保持しつつ車両CPU25が認識可能な制御信号SGaに変換するものであるといえる。
遠隔操作信号SG1及び制御信号SGaは、遠隔操作に関する情報として、走行操作に関する走行操作情報D1と、荷役操作に関する荷役操作情報D2とを含む。
走行操作情報D1は、例えばフォークリフト20の走行速度が設定された走行速度情報Dvと、フォークリフト20の加速度が設定された加速度情報Dαと、フォークリフト20の操舵角が設定された操舵角情報Dθと、を有している。
荷役操作情報D2は、例えばリフト動作のストローク量が設定されたリフト情報Dfaと、リーチ動作のストローク量が設定されたリーチ情報Dfbと、チルト動作の傾斜角度が設定されたチルト情報Dfcと、を有している。
車両CPU25は、信号変換部29から制御信号SGaが入力された場合には、車両メモリ26に記憶されている遠隔操作実行プログラムを読み出し且つ当該遠隔操作実行プログラムを実行することにより、当該制御信号SGaに対応した態様でフォークリフト20(詳細には両アクチュエータ23,24)を駆動させる。
例えば、走行操作情報D1の各情報Dv,Dα,Dθが「0」以外の数値であり且つ荷役操作情報D2の各情報Dfa,Dfb,Dfcが「0」又は「null」である制御信号SGaが車両CPU25に入力されたとする。この場合、車両CPU25は、走行アクチュエータ23を制御することにより、走行速度情報Dvに設定されている走行速度となるように加速度情報Dαに設定されている加速度で加減速を行うとともに、操舵角情報Dθに設定されている操舵角となるようにフォークリフト20の操舵角を変更する。
また、例えばリフト情報Dfaが「0」以外の数値であり且つその他の情報が「0」又は「null」である制御信号SGaが車両CPU25に入力された場合には、車両CPU25は、リフト情報Dfaに設定されている数値のストローク量だけフォーク22が上下方向に移動するように荷役アクチュエータ24を制御する。
なお、リフト情報Dfaは、例えば正(+)又は負(−)の値を取り得る数値情報である。車両CPU25は、リフト情報Dfaが正の値である場合には、荷役アクチュエータ24(詳細にはリフト駆動部24a)を制御してリフト情報Dfaに設定されている数値のストローク量だけフォーク22を上方へ移動させる。一方、車両CPU25は、リフト情報Dfaが負の値である場合には、荷役アクチュエータ24(詳細にはリフト駆動部24a)を制御してリフト情報Dfaに設定されている数値のストローク量だけフォーク22を下方へ移動させる。
同様に、リーチ情報Dfbは、正(+)又は負(−)の値を取り得る数値情報である。車両CPU25は、リーチ情報Dfbが正の値である場合には荷役アクチュエータ24(詳細にはリーチ駆動部24b)を制御してリーチ情報Dfbに設定されている数値のストローク量だけフォーク22を前方へ移動させる。一方、車両CPU25は、リーチ情報Dfbが負の値である場合には荷役アクチュエータ24(詳細にはリーチ駆動部24b)を制御してリーチ情報Dfbに設定されている数値のストローク量だけフォーク22を後方へ移動させる。
チルト情報Dfcは、正(+)又は負(−)の値を取り得る数値情報である。車両CPU25は、チルト情報Dfcが正の値である場合には荷役アクチュエータ24(詳細にはチルト駆動部24c)を制御してチルト情報Dfcに設定されている数値の傾斜角度だけフォーク22を前方へ傾斜させる。一方、車両CPU25は、チルト情報Dfcが負の値である場合には荷役アクチュエータ24(詳細にはチルト駆動部24c)を制御してチルト情報Dfcに設定されている数値の傾斜角度だけフォーク22を後方へ傾斜させる。
すなわち、車両通信部28が少なくとも走行速度情報Dvに「0」以外の数値が設定されている遠隔操作信号SG1を受信した場合には、車両CPU25は走行アクチュエータ23を制御する。一方、車両通信部28が荷役操作情報D2の少なくとも1つに「0」以外の数値が設定されている遠隔操作信号SG1を受信した場合には、車両CPU25は荷役アクチュエータ24を制御する。
以上のことから、遠隔操作装置30及びフォークリフト20(詳細には両通信部28,36)が通信可能な範囲内に配置されている場合には、リモート通信部36から送信される遠隔操作信号SG1に基づいて、フォークリフト20の遠隔操作が行われる。
ここで、遠隔操作装置30を用いてフォークリフト20(産業車両)の遠隔操作が行われる構成においては、操作者がフォークリフト20に乗車する必要がないため、利便性の向上を図ることができる一方、安全性が求められる。例えば、操作者がフォークリフト20に乗車する必要がないため、操作者の行動の自由度が高い。このため、操作者としては、例えば他の作業を行いながら遠隔操作を開始したり、遠隔操作中に遠隔操作装置30から手を離して遠隔操作以外の作業を行ったりする場合もあり得る。この場合、フォークリフト20の誤操作が発生し易い。また、例えば、遠隔操作装置30を用いて遠隔操作を行う構成においては、ハンドル等を用いた通常の運転とは異なる操作体系となるため、誤操作が生じる場合があり得る。
これに対して、本産業車両用遠隔操作システム10は、操作性等を考慮して安全性を高めるように構成されている。以下では、この点を踏まえつつ、遠隔操作装置30を用いたフォークリフト20の遠隔操作制御に係る構成について説明する。
図2に示すように、リモートメモリ34には、遠隔操作信号SG1の送信処理を含むフォークリフト20の遠隔操作に関する各種処理を実行するための遠隔操作プログラム40が記憶されている。遠隔操作プログラム40は、フォークリフト20の遠隔操作を行うためのアプリケーションプログラムである。遠隔操作プログラム40は、遠隔操作を制御する遠隔操作制御処理を実行するための遠隔操作制御処理実行プログラム41を含む。遠隔操作プログラム40が「産業車両用遠隔操作プログラム」に対応する。
リモートCPU33は、遠隔操作起動条件が成立した場合には、遠隔操作プログラム40(遠隔操作アプリケーション)を起動させる。
本実施形態では、遠隔操作起動条件は遠隔操作装置30に対して起動操作が行われることである。起動操作とは、例えばタッチパネル31に遠隔操作アイコンが表示されている構成においては、当該遠隔操作アイコンに対する入力操作(タッチ操作)である。
但し、遠隔操作起動条件は、これに限られず任意であり、例えば遠隔操作装置30のリモート通信部36とフォークリフト20の車両通信部28との通信接続が確立したことでもよいし、両通信部28,36間の通信接続が確立した条件下において起動操作が行われることでもよい。すなわち、遠隔操作起動条件において、操作者の操作は必須ではない。
リモートCPU33は、遠隔操作プログラム40の起動に伴い、まずリモート通信部36と通信可能な範囲内に通信接続が可能なフォークリフト20をサーチし、当該フォークリフト20が存在する場合には当該フォークリフト20の車両通信部28と通信接続を確立する。
その後、リモートCPU33は、タッチパネル31に操作画像G10を表示させる。操作画像G10は、遠隔操作プログラム40に記憶されている。リモートCPU33は、基本的には、遠隔操作プログラム40の起動中、常時操作画像G10を表示させる。
続いて、リモートCPU33は、遠隔操作制御処理実行プログラム41を読み出し、遠隔操作制御処理を遠隔操作プログラム40の起動中に定期的に実行することにより、遠隔操作装置30に対する操作者の操作に対応した遠隔操作信号SG1の送信制御を行う。これにより、遠隔操作装置30を用いたフォークリフト20の遠隔操作が制御される。遠隔操作制御処理を実行するリモートCPU33が「遠隔操作制御部」に対応する。
ここで、図4に示すように、遠隔操作制御処理では、遠隔操作の制御モードとして、操作モードと、強制停止モードと、停止中モードとが設定されている。すなわち、遠隔操作装置30(詳細にはリモートCPU33)は、遠隔操作の制御モードとして、操作モード、強制停止モード及び停止中モードを有している。
遠隔操作制御処理の詳細な説明の前に、各モードについて簡単に説明する。
操作モードは、遠隔操作装置30に対する操作に応じてフォークリフト20の遠隔操作を行う制御モードである。操作モード時には、遠隔操作装置30に対する操作に対応した動作が行われるようにフォークリフト20の制御が行われる。
操作モードは複数のモードを有しており、詳細には走行アクチュエータ23を操作対象(制御対象)とする走行モードと、荷役アクチュエータ24を操作対象(制御対象)とするリフトモード、リーチモード及びチルトモードとを有している。
走行モードは、フォークリフト20の走行に関する遠隔操作を行う操作モードである。リフトモードは、フォーク22のリフト動作に関する遠隔操作を行う操作モードである。リーチモードは、フォーク22のリーチ動作に関する遠隔操作を行う操作モードである。チルトモードは、フォーク22のチルト動作に関する遠隔操作を行う操作モードである。すなわち、本実施形態では、種類が異なる動作ごとに操作モードがそれぞれ設定されている。なお、以降の説明においては、リフトモード、リーチモード及びチルトモードをまとめて荷役モードとも言う。荷役モードが「動作モード」に対応する。
強制停止モードは、フォークリフト20を強制的に停止させる制御モードである。すなわち、本実施形態の遠隔操作装置30は、フォークリフト20を強制停止させる機能を有している。強制停止モード時は、遠隔操作装置30による遠隔操作が停止される。
本実施形態では、強制停止モードは、フォークリフト20において各種動作が行われている場合には当該動作を強制的に停止させる制御モードである。各種動作とは任意であるが、例えば走行及びフォーク22の動作の少なくとも一方である。
停止中モードは、例えばフォークリフト20が強制停止してから再度遠隔操作が行われるまでの間に設定される制御モードである。停止中モード時は、遠隔操作装置30による遠隔操作が停止される。
ちなみに、遠隔操作装置30による遠隔操作が停止される状態とは、遠隔操作装置30に対する各種操作が行われた場合であっても、フォークリフト20において各種操作に対応する動作が行われない状態を意味する。換言すれば、強制停止モード及び停止中モードは、遠隔操作装置30に対する操作に対応した動作が行われないようにフォークリフト20の遠隔操作が制限されている制御モードとも言える。
リモートCPU33は、遠隔操作制御処理では、遠隔操作装置30に対する各種操作の有無等、詳細には操作画像G10が表示されているタッチパネル31に対する入力操作の有無等に基づいて、操作モード、強制停止モード、停止中モードのいずれかに移行する。これにより、遠隔操作装置30を用いたフォークリフト20の遠隔操作が行われたり、当該遠隔操作が停止したりする。なお、操作モードは、遠隔操作が許可(許容)された制御モードである一方、強制停止モード及び停止中モードは、遠隔操作が禁止された制御モードであるとも言える。
ちなみに、既に説明したとおり、制御モードには、遠隔操作が停止するモードが含まれている。そして、遠隔操作プログラム40の起動時において設定される制御モード(すなわち初期制御モード)は、停止中モードである。このため、遠隔操作プログラム40が起動することに伴って、直ちに遠隔操作装置30を用いたフォークリフト20の遠隔操作が開始されるわけではない。
すなわち、遠隔操作プログラム40の起動/終了と、実際のフォークリフト20の遠隔操作の開始/停止とは完全に同期しているわけではなく、遠隔操作プログラム40の起動中に、操作者の操作に応じて、遠隔操作の開始/停止が繰り返し行われ得る。
また、本実施形態では、操作モードにおいて、動作種別ごとにそれぞれ専用のモードが設定されており、リモートCPU33は、操作モードにおいては、走行モード、リフトモード、リーチモード及びチルトモードのうち予め選択されているモードでフォークリフト20の遠隔操作を行う。これにより、同時に2種類以上の動作を行うことが回避されている。
次に、遠隔操作プログラム40の起動に伴いタッチパネル31に表示される操作画像G10について図5〜図8を用いて説明する。
図5〜図8に示すように、操作画像G10はタッチパネル31の全面に表示されている。タッチパネル31が長手方向及び短手方向を有する形状(詳細には矩形状)であることに対応させて、操作画像G10は、長手方向及び短手方向を有する形状(詳細には矩形状)である。
操作画像G10は、それぞれ区画された複数の領域A1〜A4を有している。詳細には、操作画像G10は、特定領域としての第1領域A1と、第1領域A1とは異なる位置に設けられた第2領域A2と、走行モード設定領域(走行モードアイコン)A3と、動作モード設定領域としての荷役モード設定領域(荷役モードアイコン)A4とを有している。これら各領域A1〜A4は、互いに離間して配置されている。なお、各領域A1〜A4は、操作者による入力操作が行われることを想定しているものである。この点を考慮すれば、各領域A1〜A4は操作アイコンとも言える。
第1領域A1は、操作画像G10における長手方向の両端部のうち第1端部側に配置されている。第1領域A1は、両手で遠隔操作装置30を把持した場合に、左手の指(例えば親指)が自然と配置される位置に設けられている。第1領域A1内には、フォークリフト20の動作に関する画像が表示されているとともに、中央線Lが表示されている。
第2領域A2は、操作画像G10における長手方向の両端部のうち第1端部とは反対側の第2端部側に配置されている。第1領域A1と第2領域A2とは、タッチパネル31(換言すれば操作画像G10)の長手方向に離間して対向配置されている。第2領域A2は、両手で遠隔操作装置30を把持した場合に、右手の指(例えば親指)が自然と配置される位置に設けられている。第2領域A2内には、指を接触させることを促す画像が表示されている。
かかる構成によれば、両手で遠隔操作装置30を把持した場合、自ずと左手の親指が第1領域A1内に配置され、右手の親指が第2領域A2内に配置されることが想定される。これにより、操作者としては、第1領域A1内に対する入力操作及び第2領域A2内に対する入力操作を同時且つ容易に行うことができる。
走行モード設定領域A3は、操作画像G10内において、第1領域A1に対して遠隔操作装置30の短手方向に離間した位置に設けられている。すなわち、走行モード設定領域A3と第1領域A1とは短手方向に配列されている。走行モード設定領域A3内には、走行モードであることを示す画像、本実施形態では「走行」という文字が表示されている。
荷役モード設定領域A4は、第1領域A1と第2領域A2との間に配置されている。荷役モード設定領域A4は、リフトモードに設定するのに用いられるリフトモード設定領域A4aと、リーチモードに設定するのに用いられるリーチモード設定領域A4bと、チルトモードに設定するのに用いられるチルトモード設定領域A4cとを有している。リフトモード設定領域A4a、リーチモード設定領域A4b及びチルトモード設定領域A4cは、短手方向に配列されている。リフトモード設定領域A4a、リーチモード設定領域A4b及びチルトモード設定領域A4cはそれぞれリフトモードアイコン、リーチモードアイコン及びチルトモードアイコンとも言える。
リフトモード設定領域A4a内には、リフトモードであることを示す画像、本実施形態では「リフト」という文字が表示されている。リーチモード設定領域A4b内には、リーチモードであることを示す画像、本実施形態では「リーチ」という文字が表示されている。チルトモード設定領域A4c内には、チルトモードであることを示す画像、本実施形態では「チルト」という文字が表示されている。
なお、各モード設定領域A3,A4a〜A4c内にて表示される画像は、対応するモードが認識可能であれば任意であり、例えば文字に代えて、各モードに対応する動作を模式的に示す画像等が表示される構成でもよい。
本実施形態では、第1領域A1及び第2領域A2は、各モード設定領域A3,A4a〜A4cよりも広い。これにより、第1領域A1及び第2領域A2は、他のモード設定領域A3,A4a〜A4cと比較して、タッチし易い。また、走行モード設定領域A3は、各モード設定領域A4a〜A4cよりも狭い。
タッチセンサ32は、各領域A1〜A4に対する入力操作を検知するものであり、その検知結果をリモートCPU33に出力する。これにより、リモートCPU33は、各領域A1〜A4に対する入力操作を把握できる。
ここで、本実施形態では、操作モードが複数設定されていることに対応させて、複数の操作画像G10が設定されている。詳細には、操作画像G10は、走行モードに対応した走行モード画像G11と、リフトモードに対応したリフトモード画像G12と、リーチモードに対応したリーチモード画像G13と、チルトモードに対応したチルトモード画像G14とを含む。リモートCPU33は、操作モードに対応した操作画像G10を表示させるように構成されている。
各モード画像G11〜G14は、基本的なレイアウトが共通している一方、第1領域A1に表示されている画像及び強調表示される箇所が異なっている。
詳細には、図5に示すように、走行モード画像G11では、第1領域A1にフォークリフト20の画像と、フォークリフト20の進行方向を示唆する短手方向に延びた矢印の画像とが表示されている。これらの画像から、操作者としては、指などを用いて前進を示唆する側(詳細には走行モード設定領域A3側)へ向けてスライド操作することによりフォークリフト20が前進し、それとは反対側(詳細には後退を示唆する側)へスライド操作することによりフォークリフト20が後退することを直感的に理解できる。また、走行モード画像G11では、走行モード設定領域A3が強調表示されている。
なお、スライド操作とは、タッチパネル31に対して入力操作(換言すればタッチ操作)が行われている状態を維持しつつ当該入力操作が行われる位置が移動する一連の入力操作である。換言すれば、スライド操作は、入力操作位置が連続的に変化するタッチパネル31に対する入力操作である。
図6に示すように、リフトモード画像G12では、第1領域A1にフォーク22のリフト動作を示唆する画像が表示されている。詳細には、下降動作を示すフォークリフト20の画像と、上昇動作を示すフォークリフト20の画像とが短手方向に並んで表示されている。そして、リフトモード画像G12では、リフトモード設定領域A4aが強調表示されている。
図7に示すように、リーチモード画像G13では、第1領域A1にフォーク22のリーチ動作を示唆する画像が表示されている。詳細には、フォーク22の前方移動を示すフォークリフト20の画像と、フォーク22の後方移動を示すフォークリフト20の画像とが短手方向に並んで表示されている。そして、リーチモード画像G13では、リーチモード設定領域A4bが強調表示されている。
図8に示すように、チルトモード画像G14では、第1領域A1にフォーク22のチルト動作を示唆する画像が表示されている。詳細には、フォーク22の前方傾斜を示すフォークリフト20の画像と、フォーク22の後方傾斜を示すフォークリフト20の画像とが短手方向に並んで表示されている。そして、チルトモード画像G14では、チルトモード設定領域A4cが強調表示されている。
すなわち、走行モード画像G11における第1領域A1には、フォークリフト20の走行に関する画像が表示される。一方、リフトモード画像G12、リーチモード画像G13及びチルトモード画像G14における第1領域A1には、フォーク22の動作に関する画像が表示される。
リモートCPU33は、遠隔操作制御処理にて、上記操作画像G10に対する入力操作を把握し、その把握結果に基づいて遠隔操作の制御、詳細には各モードへの移行や遠隔操作信号SG1の送信等を行う。以下、遠隔操作制御処理について図9〜図11を用いて説明する。
図9に示すように、リモートCPU33は、まずステップS101にて、現在の制御モードが停止中モードであるか否かを判定する。
詳細には、遠隔操作プログラム40には、遠隔操作装置30(リモートCPU33)の現在の制御モードを特定するための制御モード特定情報が設定された制御モード記憶部42が設けられている(図2参照)。リモートCPU33は、ステップS101では、制御モード記憶部42に記憶されている制御モード特定情報を参照して、現在の制御モードを把握し、当該現在の制御モードが停止中モードであるか否かを判定する。なお、既に説明したとおり、本実施形態では、遠隔操作プログラム40の起動時における制御モードは停止中モードである。
図9に示すように、リモートCPU33は、現在の制御モードが停止中モードであると判定した場合には、ステップS102〜S111にて、停止中モードから操作モードへ移行するか否かを判定したり、切替操作に基づく操作モードの切り替えを行ったりする。
詳細には、リモートCPU33は、ステップS102にて、第1開始操作が行われているか否かを判定する。本実施形態において、第1開始操作とは、第1領域A1内に対する入力操作である。リモートCPU33は、タッチセンサ32の検知結果に基づいて、第1領域A1内への入力操作が行われているか否かを判定する。
リモートCPU33は、第1開始操作が行われていないと判定した場合にはステップS109に進む一方、第1開始操作が行われていると判定した場合にはステップS103に進む。
ステップS103では、リモートCPU33は、第1開始操作とは異なる第2開始操作が行われているか否かを判定する。
本実施形態において、第2開始操作とは、第2領域A2内に対する入力操作である。リモートCPU33は、タッチセンサ32の検知結果に基づいて、第2領域A2内への入力操作が行われているか否かを判定する。
なお、念のため説明すると、第1開始操作と第2開始操作とは、タッチパネル31に対する入力操作という点では共通する一方、当該入力操作が行われる位置が異なっている。このため、両開始操作は互いに異なる操作である。
ステップS102及びステップS103の処理が「開始操作把握ステップ」に対応し、タッチセンサ32とステップS102及びステップS103の処理を実行するリモートCPU33とが「開始操作把握部」に対応する。
リモートCPU33は、第2開始操作が行われていないと判定した場合にはステップS109に進む一方、第2開始操作が行われていると判定した場合にはステップS104に進む。
ステップS104では、リモートCPU33は、制御モードを停止中モードから操作モードへ移行させる。詳細には、リモートCPU33は、制御モード特定情報を操作モードに対応する情報に更新する。
すなわち、リモートCPU33は、ステップS102にて第1開始操作の有無を把握し、ステップS103にて第2開始操作の有無を把握し、第1開始操作及び第2開始操作の両開始操作が行われていると把握されたことに基づいて、制御モードを停止中モードから操作モードへ移行させる。これにより、遠隔操作装置30を用いたフォークリフト20の遠隔操作が開始される。換言すれば、本実施形態における遠隔操作の開始条件は、両開始操作が行われることである。なお、以降の説明においては、第1開始操作及び第2開始操作を両開始操作といもいう。
ここで、本実施形態では操作モードとして走行モード、リフトモード、リーチモード及びチルトモードの4つの操作モードが存在する。ステップS104では、リモートCPU33は、4つの操作モードのうちいずれかに移行する。
詳細には、遠隔操作プログラム40には、操作モードを特定するための操作モード特定情報が記憶された操作モード記憶部43が設けられている(図2参照)。リモートCPU33は、制御モードが操作モードに移行することに伴い、操作モード特定情報に基づいて現在設定されている操作モードを特定し、当該操作モードに移行する。例えば、操作モードとして走行モードが設定されている場合には、リモートCPU33は、ステップS104では、停止中モードから走行モードに移行する。
続くステップS105では、リモートCPU33は、遠隔操作が開始されたときの第1開始操作が行われた位置である第1開始位置P10をリモートメモリ34に記憶させる。具体的には、リモートCPU33は、遠隔操作プログラム40に設けられた開始位置記憶部44(図2参照)に、今回の遠隔操作制御処理において検知された第1領域A1内に対する入力操作の位置を記憶させる。なお、位置とは座標とも言え、第1開始位置P10は第1開始座標とも言える。
ここで、第1開始位置P10は、両開始操作が行われたとき、換言すれば遠隔操作の開始条件が成立したときにおける第1開始操作の位置である。このため、仮に第1開始操作が行われた後に第2開始操作が行われた場合には、第1開始位置P10は、第2開始操作が行われた時点における第1開始操作の位置である。一方、仮に第2開始操作が行われた後に第1開始操作が行われた場合には、第1開始位置P10は、最初に第1領域A1内に入力操作が行われた位置、すなわち第1開始操作の初期位置である。
その後、リモートCPU33は、ステップS106にて、第1継続操作が行われている位置である第1継続操作位置の追跡を開始する。第1継続操作とは、遠隔操作が開始されたときの第1開始操作から継続される操作である。
詳細には、リモートCPU33は、遠隔操作プログラム40に設けられた追跡用記憶部45に、第1継続操作位置の初期位置(初期座標)として第1開始位置P10を記憶させる。そして、リモートCPU33は、操作画像G10における指のスライド操作等に伴って第1継続操作位置が初期位置(第1開始位置P10)から連続的に変化する場合には、当該第1継続操作位置を追跡するとともに、第1継続操作が行われていると認識する。
なお、第1継続操作位置の追跡に係る具体的な処理内容については、任意であるが、本実施形態では追跡用記憶部45を用いる。これについては後述するステップS201にて説明する。また、第1継続操作位置とは、第1継続操作の現在位置とも言えるし、現在タッチ操作が行われている位置とも言える。
続くステップS107では、リモートCPU33は、遠隔操作装置30に対する操作に関わらず、遠隔操作信号SG1に停止用情報を設定する。停止用情報とは、フォークリフト20の遠隔操作が停止している状態を維持するための情報であり、具体的には走行操作情報D1及び荷役操作情報D2の全てに「0」が設定された情報である。なお、ステップS107の処理は、停止用情報が設定された遠隔操作信号SG1を生成する処理とも言える。
その後、ステップS108にて、リモートCPU33は、リモート通信部36を用いて停止用情報が設定された遠隔操作信号SG1を送信する。フォークリフト20は、車両通信部28によって当該遠隔操作信号SG1が受信された場合には、フォークリフト20の走行及びフォーク22の駆動の双方を停止する。すなわち、停止用情報が設定された遠隔操作信号SG1が送信されている状況においては、フォークリフト20の遠隔操作は停止している。
なお、実際には、停止中モードにおいてフォークリフト20の遠隔操作は停止しているため、停止用情報が設定された遠隔操作信号SG1を受信したフォークリフト20としては、遠隔操作の停止状態を維持していると言える。
一方、第1開始操作及び第2開始操作の少なくとも一方が行われていない場合、リモートCPU33は、ステップS109にて、操作モードの切替条件である操作モード切替条件が成立したか否かを判定する。
本実施形態では、操作モード切替条件とは、遠隔操作装置30に対して切替操作が行われることである。切替操作とは、例えば各モード設定領域A3,A4a〜A4cのうちいずれか1つに対して入力操作が行われることである。リモートCPU33は、タッチセンサ32の検知結果に基づいて、これら各モード設定領域A3,A4a〜A4cに対する入力操作の有無を判定する。
リモートCPU33は、各モード設定領域A3,A4a〜A4cに対する入力操作がないと判定した場合にはステップS107に進む。一方、リモートCPU33は、各モード設定領域A3,A4a〜A4cに対する入力操作があると判定した場合には、操作モード切替条件が成立したとして、ステップS110にて操作モードを切り替える操作モード切替処理を実行する。
ステップS110では、リモートCPU33は、切替操作に対応する操作モードに切り替える。詳細には、リモートCPU33は、タッチセンサ32の検知結果に基づいて、入力操作が行われたモード設定領域を特定し、操作モードを、その特定されたモード設定領域に対応するモードに設定する。
例えば、操作モードが走行モードである状況においてリフトモード設定領域A4aに対する入力操作が検知された場合、リモートCPU33は、操作モードを走行モードからリフトモードに切り替える。同様に、操作モードがリーチモードである状況においてチルトモード設定領域A4cに対する入力操作が検知された場合、リモートCPU33は、操作モードをリーチモードからチルトモードに切り替える。すなわち、本実施形態における操作モードの切り替えは、走行モードと荷役モードとの間の切り替えと、荷役モード内の切り替えとを含む。
なお、既に説明したとおり、リモートCPU33は、操作モード記憶部43に記憶されている操作モード特定情報に基づいて、操作モードを特定するように構成されている。このため、ステップS110では、リモートCPU33は、操作モード特定情報を、切替操作に対応する情報に更新する。これにより、リモートCPU33は、操作モードの切り替えを把握できる。ステップS110の処理を実行するリモートCPU33が「操作モード切替部」に対応する。
なお、念のために説明すると、操作モードの切り替えと、制御モードの切り替えとは別々の処理である。このため、操作モード切替処理が行われた場合であっても制御モードは停止中モードのままである。
続くステップS111では、リモートCPU33は、ステップS110にて切り替えられた操作モードに対応した操作画像G10を表示させて、ステップS107に進む。例えば、ステップS110にて操作モードが走行モードからリフトモードに切り替えられた場合には、リモートCPU33は、操作画像G10として、走行モード画像G11に代えてリフトモード画像G12を表示させる。すなわち、リモートCPU33は、ステップS111では、操作モードに応じて操作画像G10を切り替える。
かかる構成によれば、停止中モードにおいて遠隔操作装置30に対して第1開始操作及び第2開始操作の双方が行われている場合には、制御モードが、停止中モードから操作モードへ移行して、フォークリフト20の遠隔操作が開始される。一方、遠隔操作装置30に対して第1開始操作及び第2開始操作の少なくとも一方が行われていない場合には、遠隔操作は開始されない。
また、停止中モードにおいて第1開始操作及び第2開始操作の少なくとも一方が行われておらず、且つ、切替操作が行われた場合には、操作モードが切り替わる。これにより、停止中モード時において切替操作を行うことによって、遠隔操作が開始されたときの操作モードを所望のモードにしておくことができる。
ちなみに、操作モード切替処理は、遠隔操作が停止している停止中モード時において実行される。このため、操作モードの切り替えは、遠隔操作が停止している場合にのみに行われる。すなわち、操作モードが停止中モードであることは、操作モード切替条件の一部であるとも言える。換言すれば、操作モード切替条件は、操作モードが停止中モードである状況において切替操作が行われることと言える。
特に、両開始操作と切替操作との双方が実行された場合には、操作モードの切り替えよりも、停止中モードから操作モードへの制御モードの移行が優先されて、操作モードの切り替えは行われない。
図9に示すように、リモートCPU33は、現在の制御モードが停止中モードではない場合には、ステップS101を否定判定し、ステップS112に進み、現在の制御モードが操作モードであるか否かを判定する。
リモートCPU33は、現在の制御モードが操作モードである場合には、ステップS113に進み、操作モードに対応した操作モード処理を実行して本遠隔操作制御処理を終了する。一方、現在の制御モードが操作モードでない場合、現在の制御モードが強制停止モードであることを意味する。この場合、リモートCPU33は、ステップS114に進み、強制停止モードに対応した強制停止処理を実行して本遠隔操作制御処理を終了する。
なお、例えば、所定の遠隔操作制御処理において、制御モードが停止中モードから操作モードに移行した場合には、当該所定の遠隔操作制御処理に対して次に実行される遠隔操作制御処理では、操作モード処理が実行されることとなる。
図10を用いて操作モード処理について説明する。
図10に示すように、リモートCPU33は、まずステップS201にて第1継続操作の有無を把握する。本実施形態では、リモートCPU33は、タッチセンサ32の検知結果と追跡用記憶部45に記憶されている位置とに基づいて第1継続操作の有無を判断する。
詳細には、リモートCPU33は、まずタッチセンサ32によってタッチパネル31に対する入力操作の有無を判定する。
リモートCPU33は、タッチパネル31に対する入力操作が検知されている場合には、今回検知されている入力操作の位置と追跡用記憶部45に記憶されている位置とが連続しているか否かを判定する。例えば、リモートCPU33は、今回検知されている入力操作の位置と追跡用記憶部45に記憶されている位置とを比較し、両者が規定範囲内にある場合には連続していると判定する一方、両者が規定範囲外にある場合には連続していないと判定する。換言すれば、リモートCPU33は、タッチパネル31に対して指が接触しているかを判定するとともに、指が接触している場合には今回検知された指の接触位置と前回検知された接触位置とに基づいて、接触位置が連続しているか否かを判定する。
なお、タッチパネル31に対して複数箇所の入力操作が検知された場合には、リモートCPU33は、上記複数箇所のうち追跡用記憶部45に記憶されている位置に最も近い箇所の入力操作の位置を判定対象とし、当該位置と追跡用記憶部45に記憶されている位置とが連続しているか否かを判定する。
そして、リモートCPU33は、今回検知された入力操作の位置と追跡用記憶部45に記憶されている位置とが連続していると判定する場合には、追跡用記憶部45に今回検知されている入力操作の位置が設定されるように追跡用記憶部45に記憶されている位置を更新して、ステップS202に進む。これにより、追跡用記憶部45に記憶されている位置は、指の動きに追従して更新される。このため、追跡用記憶部45には、最新の第1継続操作位置が記憶されている。なお、第1継続操作位置とは、第1継続操作が行われていると判定する契機(根拠)となったタッチパネル31に対する入力操作に係る現在位置(座標)とも言える。
一方、リモートCPU33は、タッチパネル31に対する入力操作が検知されなかった場合又は入力操作が検知された場合であっても今回検知された入力操作の位置と追跡用記憶部45に記憶されている位置との間で連続性を満たしていない場合には、第1継続操作が行われていないと判定する。この場合、リモートCPU33は、ステップS201を否定判定して、ステップS207に進む。
すなわち、リモートCPU33は、追跡用記憶部45に記憶されている位置に対して比較的近い箇所への入力操作が行われていることに基づいて、第1継続操作が行われていると判定する。
ちなみに、遠隔操作制御処理が周期的に実行されていることに着目すれば、本実施形態では、リモートCPU33は、遠隔操作制御処理の実行周期よりも長い期間に亘ってタッチパネル31への入力操作が行われなかった場合には、第1継続操作が行われていないと判定するものといえる。また、リモートCPU33は、タッチパネル31に対する入力操作が行われている場合であっても今回検知された入力操作の位置と前回の遠隔操作制御処理にて検知された入力操作の位置とが乖離している場合には第1継続操作が行われていないと判定する。
つまり、本実施形態の第1継続操作とは、(A)タッチパネル31に対する入力操作があること、(B)今回検知された入力操作の位置と前回検知された第1継続操作位置とが規定範囲内にあること、(C)前回の第1継続操作の検知タイミングから今回の入力操作の検知タイミングまでの期間が特定期間以内であること、の3条件を満たす操作である。換言すれば、本実施形態の第1継続操作は、遠隔操作が開始されたときの第1開始操作から継続して行われ、且つ、入力操作位置が、遠隔操作が開始されたときの第1開始操作の位置から連続している操作である。
ちなみに、第1継続操作の条件には、今回検知された入力操作の位置が第1領域A1内にあることは含まれていない。このため、例えば図5に示すように、第1継続操作は、第1開始位置P10から第1領域A1内の第1所定位置P11まで指がスライド移動した場合も含むとともに、第1開始位置P10から第1領域A1外の第2所定位置P12まで指がスライド移動した場合も含む。
また、本実施形態では、上記特定期間は遠隔操作制御処理の実行周期であるが、これに限られず、これよりも長くてもよい。例えば、遠隔操作制御処理が周期的に実行される構成において、リモートCPU33は、2回続けてタッチパネル31への入力操作が検知されなかった場合に第1継続操作が行われていないと判定してもよい。この場合、上記特定期間は、遠隔操作制御処理の実行周期の2倍である。
図10に示すように、ステップS202では、リモートCPU33は、第2継続操作の有無を把握する。詳細には、リモートCPU33は、タッチセンサ32の検知結果に基づいて、第2領域A2内への入力操作が行われているか否かを判定する。リモートCPU33は、第2領域A2内への入力操作が検知されていない場合には第2継続操作が行われていないとしてステップS207に進む。一方、リモートCPU33は、第2領域A2内への入力操作が検知されている場合には第2継続操作が行われているとしてステップS202を肯定判定する。
すなわち、本実施形態における第2継続操作とは、遠隔操作が開始されたときの第2開始操作から継続して行われる第2領域A2内への入力操作である。このため、例えば図5に示すように、指のスライド操作によって、第2継続操作が行われている位置が、第2開始操作が行われた位置である第2開始位置P20から第2領域A2内の所定位置P21まで移動した場合であっても、リモートCPU33は第2継続操作が行われていると判定する。一方、指のスライド操作によって第2継続操作が行われている位置が第2開始位置P20から第2領域A2外の所定位置P22まで移動した場合には、リモートCPU33は、第2継続操作が行われていないと判定する。
ちなみに、遠隔操作制御処理が周期的に実行されていることに着目すれば、本実施形態では、リモートCPU33は、遠隔操作制御処理の実行周期よりも長い期間に亘って第2領域A2内への入力操作が行われなかった場合には、第2継続操作が行われていないと判定するものといえる。
換言すれば、本実施形態における第2継続操作とは、(D)第2領域A2内への入力操作があること、及び、(E)前回の第2領域A2内に対する入力操作が検知されたタイミングから今回の第2領域A2内に対する入力操作が検知されたタイミングまでの期間が特定期間以内であることの2つの条件を満たす操作である。
なお、本実施形態の第2継続操作は、遠隔操作が開始されたときの第2開始操作から継続して行われる第2領域A2内に対する入力操作であればよく、入力操作位置の連続性は問わない。
また、本実施形態では、上記特定期間は遠隔操作制御処理の実行周期であるが、これに限られず、これよりも長くてもよい。例えば、遠隔操作制御処理が周期的に実行される構成において、リモートCPU33は、2回続けて第2領域A2内への入力操作が検知されなかった場合に第2継続操作が行われていないと判定してもよい。この場合、上記特定期間は、遠隔操作制御処理の実行周期の2倍である。
ステップS201及びステップS202の処理が「継続操作把握ステップ」に対応し、タッチセンサ32とステップS201及びステップS202の処理を実行するリモートCPU33とが「継続操作把握部」に対応する。
図10に示すように、リモートCPU33は、第1継続操作及び第2継続操作の双方が行われていると把握された場合(ステップS201:YES且つステップS202:YES)、ステップS203〜S206にて、遠隔操作装置30に対する操作態様及び操作モードに対応した遠隔操作信号SG1を送信するための処理を実行する。なお、以降の説明において、第1継続操作及び第2継続操作を両継続操作ともいう。
詳細には、リモートCPU33は、ステップS203にて、開始位置記憶部44と追跡用記憶部45とに基づいて、第1開始位置P10と第1継続操作位置との相対位置を導出する。換言すれば、リモートCPU33は、遠隔操作が開始されたときの開始操作から連続して行われている一連の入力操作において、最初に入力操作が行われた初期位置と現在入力操作が行われている位置との相対位置を導出しているとも言える。
続くステップS204では、リモートCPU33は、操作モード特定情報に基づいて、現在の操作モードを把握する。
その後、リモートCPU33は、ステップS205にて、上記相対位置と現在の操作モードとに対応した情報を遠隔操作信号SG1に設定する。詳細には、リモートCPU33は、操作モードに対応する情報に対して、上記相対位置等に対応した数値を設定する。
例えば、操作モードが走行モードである状況において第1継続操作位置が第1開始位置P10に対してタッチパネル31の短手方向にずれている場合には、リモートCPU33は、走行操作情報D1の走行速度情報Dv及び加速度情報Dαに対して「0」以外の数値を設定し且つ荷役操作情報D2に対して「0」を設定する。
また、本実施形態では、リモートCPU33は、タッチパネル31の短手方向における第1開始位置P10と第1継続操作位置との距離が大きくなるほど、フォークリフト20の走行速度が大きくなるように走行速度情報Dvの数値を設定し、走行速度情報Dvに設定される走行速度に対応させて加速度情報Dαの数値を設定する。
例えば、図5に示すように、第2所定位置P12は、第1所定位置P11よりも第1開始位置P10に対してタッチパネル31の短手方向に離れている。かかる構成においては、第1継続操作位置が第2所定位置P12である場合の走行速度情報Dvの絶対値は、第1継続操作位置が第1所定位置P11である場合の走行速度情報Dvの絶対値よりも高く設定される。
また、操作モードが走行モードである状況において第1継続操作位置が第1開始位置P10よりも上方、詳細にはタッチパネル31の短手方向の一端側(走行モード設定領域A3側)に配置されている場合、リモートCPU33は、走行速度情報Dvに、前進に対応した値(例えば正の数値)を設定する。一方、リモートCPU33は、第1継続操作位置が第1開始位置P10よりも下方、詳細にはタッチパネル31の短手方向の他端側に配置されている場合には、走行速度情報Dvに後退に対応した値、例えば負の数値を設定する。つまり、リモートCPU33は、第1開始位置P10からのスライド操作方向に基づいて前進か後退かを決定する。
なお、リモートCPU33は、第1継続操作位置が第1開始位置P10に対してタッチパネル31の短手方向にずれていない場合には、走行速度情報Dv及び加速度情報Dαの双方に停止に係る数値情報である「0」を設定する。
操作モードがリフトモードである状況において第1継続操作位置が第1開始位置P10よりも上方、詳細には下降動作を示すフォークリフト20の画像側に配置されている場合、リモートCPU33は、リフト情報Dfaに、下降動作に対応した値(例えば負の数値)を設定する。一方、リモートCPU33は、第1継続操作位置が第1開始位置P10よりも下方、詳細には上昇動作を示すフォークリフト20の画像側に配置されている場合には、リフト情報Dfaに、上昇動作に対応した値(例えば正の数値)を設定する。また、リモートCPU33は、タッチパネル31の短手方向における両位置の差が大きくなるほどリフト情報Dfaに大きな数値を設定する。
操作モードがリーチモードである状況において第1継続操作位置が第1開始位置P10よりも上方、詳細には前方移動を示すフォークリフト20の画像側に配置されている場合、リモートCPU33は、リーチ情報Dfbに、前方移動に対応した値(例えば正の数値)を設定する。一方、リモートCPU33は、第1継続操作位置が第1開始位置P10よりも下方、詳細には後方移動を示すフォークリフト20の画像側に配置されている場合には、リーチ情報Dfbに、後方移動に対応した値(例えば負の数値)を設定する。また、リモートCPU33は、タッチパネル31の短手方向における両位置の差が大きくなるほどリーチ情報Dfbに大きな数値を設定する。
操作モードがチルトモードである状況において第1継続操作位置が第1開始位置P10よりも上方、詳細には前方傾斜を示すフォークリフト20の画像側に配置されている場合、リモートCPU33は、チルト情報Dfcに、前方傾斜に対応した値(例えば正の数値)を設定する。一方、リモートCPU33は、第1継続操作位置が第1開始位置P10よりも下方、詳細には後方傾斜を示すフォークリフト20の画像側に配置されている場合には、リーチ情報Dfbに、後方傾斜に対応した値(例えば負の数値)を設定する。また、リモートCPU33は、タッチパネル31の短手方向における両位置の差が大きくなるほどチルト情報Dfcに大きな数値を設定する。
すなわち、リモートCPU33は、現在の操作モードに対応した情報に対して、第1開始位置P10と第1継続操作が行われている位置との相対位置(走行モード時においては当該相対位置に加えて第1回転操作の操作態様)に対応した数値を設定する。そして、リモートCPU33は、現在の操作モードに対応した情報に上記数値が設定され且つその他の情報には「0」が設定された遠隔操作信号SG1を生成する。
なお、走行モードに対応した情報とは走行速度情報Dv、加速度情報Dα及び操舵角情報Dθである。リフトモードに対応した情報とはリフト情報Dfaであり、リーチモードに対応した情報とはリーチ情報Dfbであり、チルトモードに対応した情報とはチルト情報Dfcである。
これにより、フォークリフト20において、現在の操作モードに対応した動作が行われる一方、それ以外の動作が行われないように禁止(換言すれば規制)される。すなわち、リモートCPU33は、現在の操作モードに対応する動作の遠隔操作を許容する一方、現在の操作モードとは異なる操作モードに対応する動作の遠隔操作を禁止する。この点に着目すれば、走行モードは、走行に関する遠隔操作を行う一方、フォーク22に関する遠隔操作が禁止された操作モードであると言えるし、荷役モードは、フォーク22に関する遠隔操作を行う一方、走行に関する遠隔操作が禁止された操作モードであると言える。
また、ステップS205の処理は、第1開始位置P10に対する第1継続操作位置に対応させてフォークリフト20の遠隔操作態様を決定(換言すれば制御)している処理とも言える。ステップS205の処理を実行するリモートCPU33が「決定部」に対応する。
本実施形態では、遠隔操作信号SG1に設定されている情報は、第1継続操作の操作態様(第1継続操作位置)に応じて変化する一方、第2継続操作の操作態様には依存しない。つまり、第2継続操作は、遠隔操作を行うための条件ではあるが、遠隔操作の具体的な操作態様を決定付ける要素に含まれていない。
ちなみに、操作モードが走行モードである場合、リモートCPU33は、ステップS205では、姿勢検知部35の検知結果に基づいて、第1回転操作の操作態様を把握し、その把握結果に対応した操舵角情報Dθに設定する。
例えば、リモートCPU33は、姿勢検知部35が操作者から見て右回りの第1回転操作を検知した場合には、右旋回に対応した操舵角情報Dθを設定し、姿勢検知部35が操作者から見て左回りの第1回転操作を検知した場合には、リモートCPU33は、左旋回に対応した操舵角情報Dθを設定する。また、リモートCPU33は、姿勢検知部35によって第1回転操作が検知されていない場合には、操舵角情報Dθを「0」に設定する。
その後、リモートCPU33は、ステップS206にて、遠隔操作信号SG1を送信して本操作モード処理を終了する。遠隔操作信号SG1は、車両通信部28にて受信され、信号変換部29によって制御信号SGaに変換され、当該制御信号SGaが車両CPU25に入力される。車両CPU25は、制御信号SGaに基づいて両アクチュエータ23,24のいずれか一方を制御する。これにより、フォークリフト20において、現在の操作モード及び第1継続操作位置等に対応した動作が行われる。
リモートCPU33は、第1継続操作及び第2継続操作の少なくとも一方が行われていない場合には、ステップS207〜S210にて、フォークリフト20を強制停止させるとともに遠隔操作を停止するための処理を実行する。
詳細には、リモートCPU33は、まずステップS207にて、開始位置記憶部44に記憶されている第1開始位置P10に関する情報を消去するとともに追跡用記憶部45に記憶されている第1継続操作位置に関する情報を消去する。
続くステップS208では、リモートCPU33は、遠隔操作装置30に対する操作に関わらず、遠隔操作信号SG1に、フォークリフト20の動作を強制停止させるための強制停止情報を設定する。
ここで、強制停止情報は、操作モードに対応させて予め設定されている。例えば、操作モードが走行モードである場合の強制停止情報では、加速度情報Dαに強制停止用減速度が設定され且つ走行速度情報Dv及び操舵角情報Dθを含めてその他の情報には「0」が設定されている。また、操作モードが荷役モード(リフトモード、リーチモード又はチルトモード)である場合における強制停止情報では、走行操作情報D1及び荷役操作情報D2の双方に「0」が設定されている。
リモートCPU33は、ステップS208では、操作モード特定情報に基づいて現在設定されている操作モードを把握し、その操作モードに対応した強制停止情報を遠隔操作信号SG1に設定する。
そして、リモートCPU33は、ステップS209にて、リモート通信部36を用いて、強制停止情報が設定された遠隔操作信号SG1を送信する。強制停止情報が設定された遠隔操作信号SG1を受信したフォークリフト20は強制停止する。具体的には、フォークリフト20は、走行中である場合には強制停止用減速度で減速して停止する一方、フォーク22の動作中である場合には当該フォーク22の動作を直ちに停止する。
その後、リモートCPU33は、ステップS210にて、制御モードを操作モードから強制停止モードへ移行させて、本操作モード処理を終了する。詳細には、リモートCPU33は、制御モード特定情報を強制停止モードに対応する情報に更新する。
かかる構成によれば、停止中モードから操作モードへの移行後(すなわち遠隔操作の開始後)は、両継続操作の双方が把握されている場合に遠隔操作が継続される一方、両継続操作の少なくとも一方が行われていないことが把握されることに基づいて、フォークリフト20の強制停止と遠隔操作装置30を用いた遠隔操作の停止とが行われる。ステップS104〜S114,ステップS203〜S210の処理が「遠隔操作制御ステップ」に対応する。
なお、既に説明したとおり、遠隔操作が停止している状態とは、遠隔操作装置30に対する各種操作が行われた場合であっても、フォークリフト20において各種操作に対応する動作が行われない状態を意味している。このため、遠隔操作装置30に対する各種操作に関わらず、強制停止情報又は停止用情報が設定された遠隔操作信号SG1が送信され、当該遠隔操作信号SG1に基づいてフォークリフト20が強制停止又は停止状態を維持する状態も、遠隔操作装置30による遠隔操作が停止されている状態と言える。
ここで、第1開始操作及び第1継続操作を含む一連の入力操作を第1操作とし、第2開始操作及び第2継続操作を含む一連の入力操作を第2操作とする。第1操作は、遠隔操作が開始されるまでは第1領域A1内に制限され、遠隔操作が開始されてからは第1領域A1内に制限されないタッチパネル31に対する一連の入力操作である。第2操作は、遠隔操作の開始前後に関わらず、第2領域A2内に対する一連の入力操作である。
この場合、リモートCPU33は、第1操作及び第2操作の双方が行われている場合に遠隔操作を行う一方、第1操作及び第2操作の少なくとも一方が行われなくなることに基づいて遠隔操作を停止するとともに強制停止制御を行うと言える。
次に図11を用いて強制停止処理について説明する。
図11に示すように、リモートCPU33は、まずステップS301にてフォークリフト20の強制停止が完了したか否かを判定する。
詳細には、車両CPU25は、車両状態検知部27の検知結果に基づいて、フォークリフト20の走行状況及びフォーク22の動作状況を把握し、その把握結果が設定された動作状況信号を、車両通信部28を用いてリモート通信部36に向けて定期的に送信している。そして、リモートCPU33は、リモート通信部36にて受信される動作状況信号に基づいて、フォークリフト20の走行状況及びフォーク22の動作状況を把握できるように構成されている。かかる構成において、リモートCPU33は、ステップS301では、フォークリフト20の走行及びフォーク22の動作の双方が停止しているか否かを判定する。
リモートCPU33は、強制停止が完了していないと判定した場合には、強制停止に係る指示を継続して実行する。詳細には、リモートCPU33は、ステップS302にて、遠隔操作信号SG1に強制停止情報を設定し、ステップS303にて、当該強制停止情報が設定された遠隔操作信号SG1を送信して、本強制停止処理を終了する。
一方、リモートCPU33は、強制停止が完了したと判定した場合には、ステップS304に進み、遠隔操作信号SG1に遠隔操作の停止状態を維持するための停止用情報を設定する。続くステップS305にて、リモートCPU33は、停止用情報が設定された遠隔操作信号SG1を送信する。
その後、リモートCPU33は、ステップS306にて、制御モードを、強制停止モードから停止中モードへ移行させて、本強制停止処理を終了する。詳細には、リモートCPU33は、制御モード特定情報を停止中モードに対応する情報に更新する。
次に本実施形態の作用について図12〜図14を用いて説明する。なお、説明の便宜上、図12〜図14では、操作モードが走行モードである場合を示す。また、図示の都合上、図12〜図14では、第1所定位置P11及び第2所定位置P12を、図5に示される位置とは異ならせて示す。
図12に示すように、第2開始操作が行われていない場合、すなわち第2領域A2内に対する入力操作が行われていない場合には、第1開始操作が行われているにも関わらず、フォークリフト20の遠隔操作は行われない。このため、操作者としては、遠隔操作を行う場合には、第1開始操作及び第2開始操作の双方を行う必要がある。
ちなみに、遠隔操作装置30を両手で把持した場合に、第1領域A1が左手に対応する位置に配置され、第2領域A2が右手に対応する位置に配置されることを鑑みれば、操作者としては、フォークリフト20の遠隔操作を行うためには、両手で遠隔操作装置30を把持することが想定される。すなわち、第1開始操作及び第2開始操作とは、操作者に対して、遠隔操作装置30を両手で把持する操作とも言える。そして、両開始操作が行われた場合に遠隔操作が可能となる点を考慮すれば、本産業車両用遠隔操作システム10は、フォークリフト20の遠隔操作を行う条件として遠隔操作装置30を両手で把持することが設定されている構成であるとも言える。
図13に示すように、第1継続操作及び第2継続操作が行われている場合には、第1継続操作の操作態様に応じたフォークリフト20の遠隔操作が行われる。詳細には、図13に示すように、第1継続操作位置が第1開始位置P10から上方の第1所定位置P11に移動した場合には、フォークリフト20が前進する。なお、第1継続操作位置が第1開始位置P10から下方に移動した場合には、フォークリフト20は後退する。
更に、図14に示すように、第1継続操作位置が、第1所定位置P11よりも第1開始位置P10から短手方向に離れた第2所定位置P12に移動した場合には、フォークリフト20は、第1継続操作位置が第1所定位置P11である場合よりも速く移動する。
すなわち、本産業車両用遠隔操作システム10は、タッチパネル31に対するスライド操作の態様に基づいてフォークリフト20の走行態様を決定している。詳細には、本産業車両用遠隔操作システム10は、スライド操作が大きいほど、換言すれば短手方向における指の移動距離が大きいほど、フォークリフト20は速く移動するように構成されている。
特に、第2所定位置P12は第1領域A1外である。すなわち、本実施形態では、第1領域A1内に対して指が触れた後、スライド操作によって当該指が第1領域A1外に移動した場合であっても、遠隔操作は継続される。
ちなみに、図13及び図14に示すように、第1開始位置P10が中央線Lよりも下方である場合、上方にスライド操作できる範囲が広くなる。そして、本実施形態では、操作画像G10における第1開始位置P10と第1継続操作位置との距離が大きくなるほど、走行速度が大きく設定される。このため、予め第1開始操作を行う位置を中央線Lよりも下方にすることにより、大きな走行速度を設定することができる。
なお、上記の説明では走行モードについて説明したが、他の操作モードにおいても同様である。
例えば、操作モードがリフトモードである場合には、第1開始位置P10からの第1継続操作位置の移動方向に応じて、フォーク22の垂直方向における移動方向(上昇又は下降)が切り替わり、第1開始位置P10と第1継続操作位置との短手方向の距離に応じてストローク量が変化する。本実施形態では、上記距離が大きくなるほど、ストローク量が大きくなる。
操作モードがリーチモードである場合には、第1開始位置P10からの第1継続操作位置の移動方向に応じて、フォーク22の前後方向における移動方向(前方移動又は後方移動)が切り替わる。また、第1開始位置P10と第1継続操作位置との短手方向の距離に応じてストローク量が変化する。本実施形態では、上記距離が大きくなるほど、ストローク量が大きくなる。
操作モードがチルトモードである場合には、第1開始位置P10からの第1継続操作位置の移動方向に応じて、フォーク22の傾斜方向(前方傾斜又は後方傾斜)が切り替わり、第1開始位置P10と第1継続操作位置との短手方向の距離に応じて傾斜角度が変化する。本実施形態では、上記距離が大きくなるほど、傾斜角度が大きくなる。
以上詳述した本実施形態によれば以下の効果を奏する。
(1)産業車両用遠隔操作システム10は、車両通信部28を有するフォークリフト20と、車両通信部28と無線通信を行うリモート通信部36を有する遠隔操作装置30と、遠隔操作装置30を用いたフォークリフト20の遠隔操作を制御するリモートCPU33とを備えている。
遠隔操作装置30は、タッチパネル31及びタッチセンサ32を有している。リモートCPU33は、タッチセンサ32の検知結果に基づいて、第1開始操作の有無を把握する処理(ステップS102)及び第2開始操作の有無を把握する処理(ステップS103)を実行する。また、リモートCPU33は、タッチセンサ32の検知結果に基づいて、第1継続操作の有無を把握する処理(ステップS201)及び第2継続操作の有無を把握する処理(ステップS202)を実行する。
かかる構成において、リモートCPU33は、両開始操作の双方が行われていると把握されたことに基づいて遠隔操作を開始する。そして、リモートCPU33は、両継続操作の双方が行われていると把握されている場合には遠隔操作を継続する一方、両継続操作の少なくとも一方が行われていないことが把握されたことに基づいて、遠隔操作を停止する。
換言すれば、本実施形態におけるフォークリフト20の遠隔操作方法(産業車両用遠隔操作方法)は、両開始操作の有無を把握するステップS102及びステップS103と、両継続操作の有無を把握するステップS201及びステップS202と、を有している。そして、遠隔操作方法は、両開始操作の双方を把握したことに基づいて遠隔操作を開始し、両継続操作を把握している場合には遠隔操作を継続する一方、両継続操作の少なくとも一方が行われていないことを把握したことに基づいて遠隔操作を停止するステップS104〜S114,ステップS203〜S210を有している。
かかる構成によれば、遠隔操作を開始するためには、第1開始操作及び第2開始操作の双方を行う必要がある。これにより、意図せず遠隔操作が行われることや、他の作業を行いながら遠隔操作が開始されることを抑制できる。そして、遠隔操作の開始後も、遠隔操作を継続するためには両継続操作を行う必要がある。これにより、遠隔操作中に遠隔操作以外の作業を行うことを抑制できる。したがって、安全性の向上を図ることができる。
また、本実施形態によれば、両継続操作の少なくとも一方を終了することによって、遠隔操作を停止させることができる。これにより、操作者としては、遠隔操作を意識的に停止させたり、開始させたりすることを容易にできる。したがって、操作者としては、例えば一時的に遠隔操作を停止して状況の確認等を行い、その後再度遠隔操作を行う等といったことを容易に行うことができ、利便性の向上を図ることができる。
(2)第1開始操作は、タッチパネル31のうちの第1領域A1内に対する入力操作であり、第1継続操作は、遠隔操作が開始されたときの第1領域A1内に対する入力操作から継続されるタッチパネル31への入力操作である。
かかる構成によれば、遠隔操作を開始させるためには、例えば指等を用いて第1領域A1内に対して入力操作を行う必要がある。このような第1領域A1内に対する入力操作は、指を用いてできる操作であることから比較的容易である一方、タッチパネル31のうち狙った場所に対して入力操作を行う必要があるため、相応の注意力を要する。これにより、操作者に対して相応の注意を促しつつ、簡単な操作で遠隔操作を開始させることができる。
また、第1継続操作として、遠隔操作が開始されたときの第1領域A1内に対する入力操作から継続されるタッチパネル31への入力操作が採用されているため、遠隔操作の開始後は、入力操作を解除する(例えば指等をタッチパネル31から離す)だけで遠隔操作が停止する。これにより、例えば遠隔操作中に他の作業を行おうとして指をタッチパネル31から離すと遠隔操作が停止するため、遠隔操作中に他の作業を行うことを抑制できる。また、指をタッチパネル31から離すだけで遠隔操作を停止させることができるため、容易且つ迅速に遠隔操作を意識的に停止させることもできる。
(3)リモートCPU33は、タッチパネル31に、第1領域A1及び第2領域A2を含む操作画像G10を表示させる。第2開始操作は、第2領域A2内に対する入力操作であり、第2継続操作は遠隔操作が開始されたときの第2領域A2内に対する入力操作から継続されるタッチパネル31に対する入力操作である。
かかる構成によれば、遠隔操作を開始させるためには、タッチパネル31のうち少なくとも2つの異なる位置に対して入力操作を行う必要がある。これにより、操作者としては、2つの異なる位置に対して入力操作を行うために、両手で遠隔操作装置30を把持することが想定される。したがって、片手での遠隔操作を抑制でき、それを通じて遠隔操作と他の作業とが同時に行われることを抑制できる。
(4)リモートCPU33は、遠隔操作中(詳細には両継続操作の双方が行われている場合)、第2継続操作の操作態様ではなく、第1継続操作の操作態様に基づいてフォークリフト20の遠隔操作を行う。かかる構成によれば、第1継続操作の操作態様は、フォークリフト20の遠隔操作に影響を与える一方、第2継続操作の操作態様は、フォークリフト20の遠隔操作に影響を与えない。これにより、操作者としては、第1継続操作の操作態様に集中すればよく、操作の容易化を図ることができる。したがって、フォークリフト20の誤操作を抑制できる。
(5)リモートCPU33は、遠隔操作が開始されたときの第1開始操作が行われた位置である第1開始位置P10と第1継続操作が行われている位置である第1継続操作位置との相対位置に基づいて、フォークリフト20の遠隔操作態様を制御するものである。かかる構成によれば、指等のスライド操作によって、フォークリフト20に対して所望の動作を行わせることができる。
特に、本実施形態によれば、第1継続操作の操作態様として、第1開始位置P10と第1継続操作位置との相対位置が採用され、当該相対位置に応じて遠隔操作態様が制御される一方、両位置の絶対値自体は遠隔操作態様に対して影響を与えない。これにより、操作の自由度を高めることができ、操作性の向上を図ることができる。
詳述すると、仮に第1開始位置P10又は第1継続操作位置の絶対値が遠隔操作態様に対して影響を与える場合、所望の遠隔操作を行うためには、第1開始操作及び第1継続操作において、タッチする位置を厳密に調整する必要がある。すると、操作性が低下する。また、操作者としてはフォークリフト20ではなく操作画像G10を見ながら操作を行うことになり易く、安全性の低下が懸念される。
これに対して、本実施形態によれば、遠隔操作が開始されたときの第1開始操作から継続される一連の入力操作(詳細にはスライド操作)によってフォークリフト20の遠隔操作態様を制御することができるため、タッチする位置を厳密に狙う必要がなく、操作性を高めることができる。
また、仮に第1開始位置P10ではなく、予め定められた規定位置と第1継続操作位置との相対位置に基づいて遠隔操作態様が決まる場合、スライド操作ができる範囲が制限されてしまうため、遠隔操作態様が制限される場合があり得る。
これに対して、本実施形態によれば、第1開始位置P10を調整することにより、スライド操作ができる範囲を調整できる。例えば、図13及び図14に示すように、第1開始位置P10を中央線Lよりも下方にすることにより、上方にスライド操作できる範囲が広くなる。これにより、上方へのスライド操作に起因する動作(走行モードである場合には前進)を、より精密に調整したり、設定可能な速度幅をより大きくしたりすることが可能となる。
(6)第1継続操作は、第1領域A1の内外に関わらず、遠隔操作が開始されたときの第1開始操作から継続されるタッチパネル31への入力操作であり、第2継続操作は、遠隔操作が開始されたときの第2開始操作から継続される第2領域A2内に対する入力操作である。
かかる構成によれば、第1継続操作について、第1領域A1外にはみ出すようなスライド操作が可能となっているため、第1継続操作の自由度を高くすることができる。また、所望の遠隔操作態様としようとするあまり、第1継続操作位置が第1領域A1外にはみ出した場合であっても、遠隔操作は継続される。これにより、操作性及び利便性の向上を図ることができる。
一方、第2継続操作は、第2領域A2内に対する入力操作となっているため、第2領域A2から指が離れたり、指がスライドして第2領域A2外をタッチしていたりする場合には、遠隔操作が停止する。これにより、遠隔操作中の他の作業を抑制でき、安全性の向上を図ることができる。
ここで、第2継続操作は、フォークリフト20の遠隔操作を継続する上で必要な操作である一方、遠隔操作態様には寄与しない。このため、第2継続操作位置を変更する等といった操作は必要ない。したがって、上記のように第2継続操作を第2領域A2内に対する入力操作に限定したとしても、操作性の低下といった不都合が生じにくい。
(7)フォークリフト20は、フォークリフト20の走行に用いられる走行アクチュエータ23と、走行とは異なる動作であるフォーク22の動作に用いられる荷役アクチュエータ24とを備えている。リモートCPU33は、操作モードとして、走行アクチュエータ23を操作対象とする走行モードと、荷役アクチュエータ24を操作対象とする荷役モード(リフトモード、リーチモード又はチルトモード)とを有している。リモートCPU33は、走行モードである場合には第1継続操作の操作態様に基づいて走行アクチュエータ23を制御する一方、荷役モードである場合には第1継続操作の操作態様に基づいて荷役アクチュエータ24を制御する。
かかる構成によれば、操作モードとして、走行モードと荷役モードとが別々に設定されているため、フォークリフト20の走行に関する遠隔操作と、フォーク22の動作に関する遠隔操作とが同時に行われることを抑制でき、誤操作を抑制できる。
また、走行モード及び荷役モードの双方とも第1継続操作(第1操作)の操作態様に基づいて両アクチュエータ23,24の制御が行われる。これにより、操作モードに関わらず、共通の操作でフォークリフト20を遠隔操作できるため、操作の簡略化を図ることができる。
(8)リモートCPU33は、操作モード切替条件が成立した場合には、操作モードを切り替える処理(ステップS110)を実行する。操作モード切替条件は、遠隔操作装置30に対して切替操作が行われることを含む。
かかる構成によれば、切替操作を含む操作モード切替条件の成立に基づいて操作モードの切り替えが行われる。これにより、操作者としては、必要に応じて切替操作を行うことにより、操作モードを切り替えることができ、所望の遠隔操作を行うことができる。
(9)操作モード切替条件は、停止中モードである状況において切替操作が行われることである。かかる構成によれば、遠隔操作が停止している状況下において切替操作が行われることによって操作モードが切り替わる一方、遠隔操作が行われている場合には切替操作が行われた場合であっても操作モードは切り替わらない。これにより、遠隔操作中に操作モードが切り替わることに起因してフォークリフト20が意図しない動作をすることを抑制できる。
(10)リモートCPU33は、停止中モードにおいて両開始操作と切替操作との双方が行われたことを把握した場合には、操作モード切替処理を実行することなく、制御モードを停止中モードから操作モードへ移行させる処理を実行する。
両開始操作と切替操作との双方が行われる場合とは、誤って切替操作が行われた蓋然性が高い。このような場合に操作モードの切り替えが行われ、その状態で遠隔操作が開始されると、フォークリフト20が意図しない動作をする蓋然性が高い。
この点、本実施形態では、両開始操作と切替操作との双方が行われたことが把握された場合には、操作モードの切り替えが行われることなく、遠隔操作が開始される。これにより、意図しない操作モードの切り替えが行われた状態で遠隔操作が開始されることを抑制できる。
(11)操作画像G10には、走行モードに設定するための走行モード設定領域A3と、荷役モードに設定するための荷役モード設定領域A4とが表示されている。切替操作は、走行モード設定領域A3に対する入力操作又は荷役モード設定領域A4に対する入力操作である。かかる構成によれば、タッチパネル31に対する入力操作によって操作モードの切り替えを行うことができる。
ここで、切替操作として、両領域A1,A2とは別に設けられたモード設定領域A3,A4に対する入力操作が設定されているため、両開始操作又は両継続操作を行っている操作者が切替操作を行うためには、一旦右手又は左手をタッチパネル31から離すことが想定される。これにより、自ずと開始操作又は継続操作が行われなくなり、遠隔操作が停止し、遠隔操作が停止した状態で切替操作が行われることになる。したがって、操作者としては、特に制御モードを停止中モードにすることを意識することなく、円滑に操作モードの切り替えを行うことができる。よって、安全性と利便性との両立を図ることができる。
(12)第1領域A1と第2領域A2とは離間して配置されており、両モード設定領域A3,A4の少なくとも一部、本実施形態では荷役モード設定領域A4の各モード設定領域A4a〜A4cは、第1領域A1と第2領域A2との間に配置されている。
かかる構成によれば、各モード設定領域A4a〜A4cが第1領域A1と第2領域A2との間に配置されているため、右手及び左手のどちらでも各モード設定領域A4a〜A4cに対して入力操作を行うことができる。これにより、切替操作の容易化を図ることができる。
また、荷役モード設定領域A4が第1領域A1と第2領域A2との間に配置されているため、誤って荷役モード設定領域A4に対して入力操作が行われる事態が生じにくい。これにより、誤操作の抑制を図ることができる。
(13)リモートCPU33は、操作モードが走行モードである場合には、第1領域A1に走行に関する画像を表示させる一方、操作モードが荷役モードである場合には、フォーク22の動作に関する画像を表示させる。かかる構成によれば、操作者が現在の操作モード(操作対象)を容易に確認できる。
特に、本実施形態では、操作モードに関わらず、共通の操作(具体的には第1操作)によって、フォークリフト20の遠隔操作態様が決定される。このため、タッチパネル31に対する操作が同一であっても操作モードが異なると、フォークリフト20が異なる動作を行うため、操作モードを正確に把握する必要がある。この点、本実施形態では、第1領域A1内に表示される画像が操作モードに応じて異なるため、第1領域A1内に表示される画像に基づいて操作モードを容易に確認できる。
また、本実施形態では、第1領域A1内への入力操作を契機とする第1操作の操作態様によってフォークリフト20の遠隔操作態様が決定されるため、第1領域A1内は、第2領域A2周辺等と比較して、操作者が特に注目し易い箇所であると言える。このような操作者が注目し易い箇所に操作モードを示唆する画像が表示されているため、操作者の見落としを抑制できる。
(14)タッチパネル31は長手方向及び短手方向を有する形状であり、両領域A1,A2は、タッチパネル31の長手方向に対向配置されている。かかる構成によれば、両領域A1,A2がタッチパネル31の長手方向に対向配置されているため、片手で両領域A1,A2に対する入力操作を行うことが困難である。これにより、遠隔操作装置30を両手で把持させることを促すことができる。また、誤って片手の複数の指がタッチパネル31に接触したとしても、両領域A1,A2の双方に対して入力操作が行われる事態は生じにくい。これにより、安全性の向上を図ることができる。
(15)遠隔操作装置30は、スマートフォン又はタブレット端末である。かかる構成によれば、既存の汎用品を用いてフォークリフト20の遠隔操作を実現できる。
(16)遠隔操作装置30を用いてフォークリフト20を遠隔操作するための遠隔操作プログラム40は、リモートCPU33にて遠隔操作制御処理を実行させる遠隔操作制御処理実行プログラム41を含む。遠隔操作制御処理は、両開始操作の有無を把握する処理と、両継続操作の有無を把握する処理と、両開始操作の双方が行われていると把握されたことに基づいて遠隔操作を開始する処理と、を有している。更に遠隔操作制御処理は、両継続操作の双方が行われていることを把握した場合には遠隔操作を継続する一方、両継続操作の少なくとも一方が行われていないことを把握した場合には遠隔操作を停止する処理を有している。これにより、(1)等の効果を奏する。
(第2実施形態)
本実施形態では、操作画像及び遠隔操作を行うための遠隔操作装置30に対する操作が第1実施形態と異なっている。その異なる点について以下に説明する。
本実施形態では、操作モードは、走行モードと荷役モードとの2種類である。リモートCPU33は、操作モードが走行モードである場合には走行モード画像G21を表示させ、操作モードが荷役モードである場合には荷役モード画像G22を表示させる。
図15に示すように、本実施形態の走行モード画像G21は、第1領域A11と、第2領域A12と、走行モード設定領域(走行モードアイコン)A21と、荷役モード設定領域(荷役モードアイコン)A22とを有している。走行モード画像G21においては、走行モード設定領域A21が強調表示されている。
第1領域A11内には、タッチパネル31の短手方向に対向配置された前進アイコンIc1及び後退アイコンIc2が表示されている。第2領域A12内には、タッチパネル31の長手方向に対向配置された左アイコンIc3及び右アイコンIc4が表示されている。
走行モード設定領域A21及び荷役モード設定領域A22は、互いにタッチパネル31の短手方向に対向配置されている。走行モード設定領域A21及び荷役モード設定領域A22は、第1領域A11におけるタッチパネル31の短手方向の両側に対してずれた位置であって、且つ、第2領域A12におけるタッチパネル31の長手方向の両側に対してずれた位置に配置されている。詳細には、走行モード設定領域A21及び荷役モード設定領域A22は、タッチパネル31の長手方向において両領域A11,A12の間であって且つタッチパネル31の短手方向において両領域A11,A12よりもタッチパネル31の両端側に配置されている。これにより、第1領域A11に接触している指が上下方向にスライドしても両モード設定領域A21,A22に指が接触しにくい。また、第2領域A12に接触している指が左右方向にスライドしても両モード設定領域A21,A22に指が接触しにくい。
図16に示すように、荷役モード画像G22は、第1領域A11と、第2領域A12と、走行モード設定領域A21と、荷役モード設定領域A22と、第3領域A13と、を有している。荷役モード画像G22においては、荷役モード設定領域A22が強調表示されている。
第1領域A11には、チルト動作を報知する表示と、第1上アイコンIc11及び第1下アイコンIc12とが表示されている。
第2領域A12には、リフト動作を報知する表示と、第2上アイコンIc13及び第2下アイコンIc14とが表示されている。
第3領域A13は、第1領域A11と第2領域A12との間であって、走行モード設定領域A21と荷役モード設定領域A22との間に配置されている。第3領域A13には、リーチ動作を報知する表示と、第3上アイコンIc15及び第3下アイコンIc16とが表示されている。
本実施形態では、リモートCPU33は、操作モードが走行モードである場合には、両継続操作の操作態様に基づいてフォークリフト20の走行に関する遠隔操作を行い、操作モードが荷役モードである場合には、両継続操作の操作態様に基づいてフォーク22に関する遠隔操作を行う。この点を含めて、本実施形態の遠隔操作制御処理について図17を用いて説明する。
なお、本実施形態の遠隔操作制御処理のステップS401,S404〜S408,S412,S414の処理は、第1実施形態の対応する処理と同様であるため、詳細な説明を省略する。
図17に示すように、リモートCPU33は、ステップS401の処理の実行後、ステップS402にて、第1開始操作の有無を把握する。本実施形態における第1開始操作とは、操作モードが走行モードである場合には、第1領域A11内に対する入力操作である。一方、操作モードが荷役モードである場合には、第1開始操作とは、3つの領域A11〜A13のうちいずれかの領域内に対する入力操作である。
また、リモートCPU33は、ステップS403にて第2開始操作の有無を把握する。本実施形態における第2開始操作とは、操作モードが走行モードである場合には、第2領域A12内に対する入力操作である。
一方、操作モードが荷役モードである場合には、第2開始操作とは、3つの領域A11〜A13のうち第1開始操作に対応する領域とは別の領域内に対する入力操作である。例えば、リモートCPU33は、ステップS402にて、第1領域A11内に対する入力操作に基づいて第1開始操作が行われていると判定した場合には、ステップS403では、第2領域A12内又は第3領域A13内に対する入力操作が行われているか否かを判定し、当該入力操作が行われている場合には第2開始操作が行われていると判定する。換言すれば、第1開始操作に対応する領域とは、第1開始操作が行われていると判定する契機となった入力操作が行われている領域である。
すなわち、3つの領域A11〜A13が設定されている荷役モードである場合、リモートCPU33は、3つの領域A11〜A13のうち少なくとも2つの領域内に対して入力操作が行われている場合には、両開始操作が行われていると判定する。一方、リモートCPU33は、3つの領域A11〜A13のうち1つの領域内に対してのみ入力操作が行われている場合又は3つの領域A11〜A13のうちいずれの領域内に対しても入力操作が行われていない場合には、両開始操作の少なくとも一方が行われていないと判定する。
なお、本実施形態では、3つの領域A11〜A13のうちいずれか1つが「特定領域」及び「第1領域」に対応し、それとは異なる領域が「第2領域」に対応する。
また、本実施形態では、リモートCPU33は、ステップS406の処理の実行後、ステップS415にて、遠隔操作が開始されたときの第2開始操作が行われた位置である第2開始位置P20を開始位置記憶部44に記憶させる。
続くステップS416では、リモートCPU33は、第2継続操作が行われている位置である第2継続操作位置の初期位置として、第2開始位置P20を追跡用記憶部45に記憶させて、第2継続操作位置の追跡を開始する。すなわち、本実施形態では、リモートCPU33は、第1継続操作位置に加えて、第2継続操作位置を追跡するように構成されている。この処理の具体的な内容については、第1実施形態における第1継続操作位置の追跡と同様であるため、詳細な説明を省略する。
なお、本実施形態では、開始位置記憶部44は、第1開始位置P10及び第2開始位置P20の双方を記憶しており、追跡用記憶部45は、第1継続操作位置及び第2継続操作位置の双方を記憶している。
リモートCPU33は、両開始操作の少なくとも一方が行われていないと把握されたことに基づいて、ステップS409にて、切替操作が行われているか否かを判定する。本実施形態における切替操作は、両モード設定領域A21,A22のいずれか一方に対する入力操作である。
リモートCPU33は、切替操作が行われていると把握された場合には、ステップS410に進み、操作モードを切り替える。詳細には、リモートCPU33は、走行モード設定領域A21内に対する入力操作があった場合には、操作モードを走行モードに設定する一方、荷役モード設定領域A22内に対する入力操作があった場合には、操作モードを荷役モードに設定する。そして、ステップS411では、リモートCPU33は、操作モードに対応した操作画像G10(詳細には走行モード画像G21又は荷役モード画像G22)を表示させる。
次に、本実施形態におけるステップS413の操作モード処理について説明する。
図18に示すように、リモートCPU33は、ステップS501では、第1継続操作の有無を把握する。第1継続操作は、第1開始操作が行われた領域の内外に関わらず、遠隔操作が開始されたときの第1開始操作から継続されるタッチパネル31に対する入力操作である。ステップS501の処理は、第1実施形態と同様である。
また、リモートCPU33は、ステップS502にて、第2継続操作の有無を把握する。本実施形態における第2継続操作は、遠隔操作が開始されたときの第2開始操作から継続されるタッチパネル31に対する入力操作である。本実施形態では、第2継続操作は、第2開始操作が行われた領域からはみ出した入力操作も含む。つまり、第2継続操作は、第2開始操作が行われた領域の内外に関わらず、遠隔操作が開始されたときの第2開始操作から継続されるタッチパネル31に対する入力操作である。
ステップS502の具体的な処理は、第1実施形態のステップS202と同様である。詳細には、リモートCPU33は、今回検知された複数の入力操作のうち追跡用記憶部45に記憶されている第2継続操作位置と最も近い位置にある入力操作を特定する。そして、リモートCPU33は、その特定された入力操作の位置と追跡用記憶部45に記憶されている第2継続操作位置(前回検知された第2継続操作位置)とが連続しているか否かを判定する。
つまり、本実施形態の第2継続操作とは、(A)タッチパネル31に対する入力操作があること、(B)今回検知された入力操作の位置と前回検知された第2継続操作位置とが規定範囲内にあること、(C)前回の第2継続操作の検知タイミングから今回の入力操作の検知タイミングまでの期間が特定期間以内であること、の3条件を満たす操作である。
リモートCPU33は、両者が連続していると判定する場合には、第2継続操作が行われていると判定するとともに、追跡用記憶部45に記憶されている第2継続操作位置を今回検知された入力操作の位置に更新する。
図18に示すように、リモートCPU33は、両継続操作が行われていると把握された場合には、ステップS503に進み、開始位置記憶部44及び追跡用記憶部45に記憶されている情報に基づいて、第1開始位置P10と第1継続操作位置との相対位置である第1相対位置を導出する。
続くステップS504では、リモートCPU33は、開始位置記憶部44及び追跡用記憶部45の記憶情報に基づいて、第2開始位置P20と第2継続操作位置との相対位置である第2相対位置を導出する。タッチセンサ32及びステップS503の処理を実行するリモートCPU33が「第1位置把握部」に対応し、タッチセンサ32及びステップS504の処理を実行するリモートCPU33が「第2位置把握部」に対応する。
その後、ステップS505にて、リモートCPU33は、現在の操作モードを把握する。リモートCPU33は、続くステップS506にて、遠隔操作信号SG1に、現在の操作モード及び両相対位置に対応した情報を設定し、その後ステップS507にて、リモート通信部36を用いて上記情報が設定された遠隔操作信号SG1を送信する。遠隔操作信号SG1を受信したフォークリフト20は、当該遠隔操作信号SG1に設定されている情報に対応した走行又はフォーク22の動作を行う。
詳細には、操作モードが走行モードである場合、リモートCPU33は、走行速度情報Dv及び加速度情報Dαに対して第1相対位置に対応した数値(走行速度及び加速度)を設定し、操舵角情報Dθに対して第2相対位置に対応した数値(操舵角)を設定する一方、荷役操作情報D2に対して「0」を設定する。これにより、両継続操作の操作態様に対応した走行アクチュエータ23の制御が行われる。
一例としては、リモートCPU33は、第1開始位置P10からの上下のスライド操作方向に基づいて前進か後退かを特定し、タッチパネル31の短手方向における第1開始位置P10と第1継続操作位置との距離に基づいて走行速度及び加速度を設定する。この点については、第1実施形態と同様である。
また、リモートCPU33は、第2開始位置P20からの左右のスライド操作方向に基づいて右旋回か左旋回かを特定し、タッチパネル31の長手方向における第2開始位置P20と第2継続操作位置との距離に基づいて操舵角の絶対値を設定する。例えば、第2継続操作位置が第2開始位置P20よりも右アイコンIc4側である場合、リモートCPU33は、右旋回に対応する操舵角を設定し、且つ、第2開始位置P20と第2継続操作位置との距離が大きいほど操舵角の絶対値を大きく設定する。
すなわち、本実施形態では、操作モードが走行モードである場合、第1領域A11側の手(左手)の操作によって前進又は後退が決定されるとともに速度制御が行われ、第2領域A12側の手(右手)の操作によって操舵角制御が行われる。これにより、遠隔操作装置30に対して第1回転操作を行うことなくフォークリフト20の走行に関する遠隔操作を行うことができる。
操作モードが荷役モードである場合、リモートCPU33は、ステップS506では、開始位置記憶部44の記憶情報に基づいて第1開始操作が行われた領域を特定し、当該第1開始操作が行われた領域に対応する荷役操作情報D2を特定する。そして、リモートCPU33は、その特定された荷役操作情報D2に第1相対位置に対応した数値を設定する。
例えば、第1開始操作が行われた領域が第1領域A11である場合、リモートCPU33は、チルト情報Dfcに第1相対位置に対応した数値(傾斜角度)を設定する。詳細には、リモートCPU33は、第1継続操作位置が第1開始位置P10よりも第1上アイコンIc11側である場合には、前方傾斜に対応する傾斜角度を設定する。また、リモートCPU33は、短手方向における両位置間の距離が大きくなるほど大きい傾斜角度を設定する。
更に、リモートCPU33は、開始位置記憶部44の記憶情報に基づいて第2開始操作が行われた領域を特定し、当該第2開始操作が行われた領域に対応する荷役操作情報D2を特定する。そして、リモートCPU33は、その特定された荷役操作情報D2に第2相対位置に対応した数値を設定する。すなわち、リモートCPU33は、両継続操作の操作態様に対応させて荷役アクチュエータ24を制御する。
例えば、第2開始操作が行われた領域が第2領域A12である場合、リモートCPU33は、リフト情報Dfaに第2相対位置に対応した数値(ストローク量)を設定する。詳細には、リモートCPU33は、第2継続操作位置が第2開始位置P20よりも第2上アイコンIc13側である場合には、上昇に対応するストローク量を設定する。また、リモートCPU33は、短手方向における両位置間の距離が大きくなるほど大きいストローク量を設定する。
また、例えば、第2開始操作が行われた領域が第3領域A13である場合、リモートCPU33は、リーチ情報Dfbに第2相対位置に対応した数値(ストローク量)を設定する。詳細には、リモートCPU33は、第2継続操作位置が第2開始位置P20よりも第3上アイコンIc15側である場合には、前方移動に対応するストローク量を設定する。また、リモートCPU33は、短手方向における両位置間の距離が大きくなるほど大きいストローク量を設定する。
すなわち、本実施形態のリモートCPU33は、両相対位置に応じて遠隔操作信号SG1に設定する数値を制御することにより、フォークリフト20の遠隔操作態様を制御する。
また、産業車両用遠隔操作システム10は、操作モードが荷役モードである場合、2種類の動作を実行可能となっている。これにより、例えばリフト動作とリーチ動作とを同時に行うことができる。
なお、操作モードが荷役モードである場合において、リフト動作、リーチ動作及びチルト動作のうち、第1継続操作に対応するフォーク22の動作が「第1動作」に対応し、第2継続操作に対応するフォーク22の動作が「第2動作」に対応する。
図18に示すように、リモートCPU33は、両継続操作の少なくとも一方が行われていないと把握された場合(ステップS501:NO又はステップS502:NO)には、ステップS508〜S511にて強制停止に係る処理を実行する。
詳細には、リモートCPU33は、ステップS508にて、開始位置記憶部44に記憶されている両開始位置P10,P20に関する情報を消去するとともに、追跡用記憶部45に記憶されている両継続操作位置に関する情報を消去する。
その後、リモートCPU33は、ステップS509〜S511の処理を実行する。ステップS509〜S511の処理は、第1実施形態のステップS208〜S210の処理と同様である。
以上詳述した本実施形態によれば、(1)〜(3),(8)〜(11),(13)〜(16)の効果に加えて、以下の作用効果を奏する。
(17)リモートCPU33は、両継続操作が行われていると把握した場合には、第1継続操作の操作態様及び第2継続操作の操作態様の双方に基づいてフォークリフト20を遠隔操作する。詳細には、リモートCPU33は、第1継続操作の操作態様及び第2継続操作の操作態様の双方に対応した情報が設定された遠隔操作信号SG1を送信することにより、両操作態様に対応したフォークリフト20の遠隔操作を行う。かかる構成によれば、第1継続操作の操作態様と第2継続操作の操作態様とを組み合わせることにより、フォークリフト20の遠隔操作を好適に行うことができる。
(18)リモートCPU33は、遠隔操作が開始されたときの第1開始操作が行われた位置(第1開始位置P10)と第1継続操作が行われている位置(第1継続操作位置)との相対位置である第1相対位置を把握する処理(ステップS503)を実行する。リモートCPU33は、遠隔操作が開始されたときの第2開始操作が行われた位置(第2開始位置P20)と第2継続操作が行われている位置(第2継続操作位置)との相対位置である第2相対位置を把握する処理(ステップS504)とを実行する。リモートCPU33は、両相対位置に基づいてフォークリフト20の遠隔操作態様を制御する。詳細には、リモートCPU33は、両相対位置に対応した情報が設定された遠隔操作信号SG1を送信することにより、両相対位置に対応したフォークリフト20の遠隔操作を行う。
かかる構成によれば、遠隔操作が開始されたときの第1開始操作から継続される一連の入力操作(スライド操作)と、遠隔操作が開始されたときの第2開始操作から継続される一連の入力操作(スライド操作)とによって、フォークリフト20を遠隔操作できる。
特に、本実施形態によれば、各入力操作の位置の絶対値自体は遠隔操作態様に対して影響を与えない。これにより、両開始操作を行う位置の自由度の向上や、その後の両継続操作の自由度の向上を図ることができるため、操作性の向上を図ることができる。
(19)第1継続操作は、第1領域A11の内外に関わらず、遠隔操作が開始されたときの第1開始操作から継続されるタッチパネル31への入力操作である。第2継続操作は、第2領域A12の内外に関わらず、遠隔操作が開始されたときの第2開始操作から継続されるタッチパネル31への入力操作である。
かかる構成によれば、第1継続操作について、第1領域A11外にはみ出すようなスライド操作が可能となっているため、第1継続操作の自由度を高くすることができる。また、所望の遠隔操作態様としようとするあまり、第1継続操作位置が第1領域A11外にはみ出した場合であっても、遠隔操作は継続される。これにより、操作性及び利便性の向上を図ることができる。
同様に、第2継続操作について、第2領域A12外にはみ出すようなスライド操作が可能となっているため、第2継続操作の自由度を高くすることができる。また、所望の遠隔操作態様としようとするあまり、第2継続操作位置が第2領域A12外にはみ出した場合であっても、遠隔操作は継続される。これにより、操作性及び利便性の向上を図ることができる。
(20)リモートCPU33は、操作モードが走行モードである場合には、第1継続操作の操作態様に基づいてフォークリフト20の前進又は後退が行われ且つ第2継続操作の操作態様に対応した操舵角になるように走行アクチュエータ23を制御する。かかる構成によれば、両継続操作によって、フォークリフト20を所望の方向に走行させることができる。
(21)リモートCPU33は、操作モードが荷役モードである場合には、第1継続操作の操作態様に基づいてリフト動作、リーチ動作又はチルト動作のいずれかである第1動作が行われ、且つ、第2継続操作の操作態様に基づいて、上記3つの動作のうち第1動作とは異なる第2動作が行われるように荷役アクチュエータ24を制御する。
かかる構成によれば、第1動作と第2動作とを同時に行わせることができる。これにより、例えばチルト動作を行いながらリフト動作を行う等といった、より自由度が高い遠隔操作を行うことができる。
(第3実施形態)
本実施形態では、強制停止に係る処理構成等が第1実施形態と異なっている。その異なる点について以下に詳細に説明する。
本実施形態における制御モードは、遠隔操作が可能な操作モードと遠隔操作が停止している停止中モードとの2種類であり、強制停止モードを有していない。このため、本実施形態では、図19に示すように、リモートCPU33は、ステップS101を否定判定した場合には、制御モードは操作モードであるとしてステップS604の操作モード処理を実行する。
また、本実施形態では、リモートCPU33は、ステップS106の実行後は、ステップS601にて、遠隔操作装置30を用いた遠隔操作の停止状態を解除することを指示する解除信号SG3を送信する。
解除信号SG3は、遠隔操作信号SG1と同様に、両通信部28,36間でやり取り可能な通信形式の信号である。解除信号SG3には、解除信号SG3であることを示す識別情報が設定されている一方、走行操作情報D1及び荷役操作情報D2は設定されていない。なお、解除信号SG3は、遠隔操作を開始することを指示する開始信号とも言える。
また、リモートCPU33は、ステップS109を否定判定する場合、又は、ステップS111の処理の実行後は、ステップS602及びステップS603にて、停止用情報が設定された遠隔操作信号SG1を送信するための処理を実行する。
本実施形態の操作モード処理について図20を用いて説明する。
図20に示すように、本実施形態の操作モード処理では、リモートCPU33は、ステップS205の処理の実行後、ステップS206にて、操作モード及び第1継続操作の操作態様に対応した遠隔操作信号SG1を送信する。当該遠隔操作信号SG1には、走行操作情報D1及び荷役操作情報D2に加えて、遠隔操作信号SG1であることを示す識別情報が含まれている。
また、リモートCPU33は、ステップS207の処理の実行後は、ステップS701にて強制停止を行うことを指示するための強制停止信号SG2を送信する処理を実行する。その後、リモートCPU33は、ステップS702にて、制御モードを操作モードから停止中モードに移行させて、本操作モード処理を終了する。
ここで、強制停止信号SG2とは、遠隔操作信号SG1と同様に、両通信部28,36間でやり取り可能な通信形式の信号である。強制停止信号SG2には、強制停止信号SG2であることを示す識別情報が設定されている一方、走行操作情報D1及び荷役操作情報D2は設定されていない。
なお、信号に設定されている識別情報が異なる点に着目すれば、遠隔操作信号SG1、強制停止信号SG2及び解除信号SG3とはそれぞれ、種類が異なる信号であるとも言える。
次に本実施形態の車両CPU25によるフォークリフト20の制御について説明する。
本実施形態において、フォークリフト20を制御する車両CPU25は、フォークリフト20を制御する車両制御モードとして、遠隔可動モード及び遠隔停止モードを有している。
遠隔可動モードは、リモート通信部36から送信された遠隔操作信号SG1が車両通信部28によって受信されたことに基づいて、遠隔操作信号SG1に対応させてフォークリフト20を制御する車両制御モードである。
遠隔停止モードは、リモート通信部36から送信された遠隔操作信号SG1が車両通信部28によって受信された場合であっても、遠隔操作信号SG1に対応したフォークリフト20の制御を行わない車両制御モードである。
車両通信部28がリモート通信部36からの信号を受信した場合、信号変換部29は受信信号を制御信号SGaに変換する。そして、車両CPU25には、信号変換部29によって変換された制御信号SGaが入力される。
ちなみに、信号変換部29は、受信信号に設定されている識別情報を制御信号SGaに対しても設定する。これにより、車両CPU25は、制御信号SGaに基づいて受信信号の種類を特定できる。
車両CPU25は、制御信号SGaが入力されることに基づいて、車両通信部28が受信した受信信号の種類を特定し、受信信号と車両制御モードとに対応させて遠隔操作の制御を行う車両制御処理を実行する。つまり、車両制御処理は、リモート通信部36から信号を受信する度に実行される。
なお、車両メモリ26の遠隔操作実行プログラムには、車両制御処理を実行するためのプログラムが記憶されている。車両CPU25は、上記プログラムを読み出すことにより、車両制御処理を実行する。
車両制御処理について図21を用いて説明する。なお、説明の便宜上、以下の説明では、制御信号SGaではなく、両通信部28,36間でやり取りされる信号に基づいて説明する。
図21に示すように、車両CPU25は、まずステップS801にて、現在の車両制御モードが遠隔可動モードであるか否かを判定する。車両CPU25は、現在の車両制御モードが遠隔可動モードである場合にはステップS802に進む。
ステップS802では、車両CPU25は、今回の車両制御処理の実行契機となった受信信号が遠隔操作信号SG1であるか否かを判定する。車両CPU25は、今回の受信信号が遠隔操作信号SG1である場合には、ステップS803にて、遠隔操作信号SG1(詳細には当該遠隔操作信号SG1を変換して得られる制御信号SGa)に設定されている走行操作情報D1及び荷役操作情報D2を把握する。
続くステップS804では、車両CPU25は、ステップS803にて把握された走行操作情報D1と荷役操作情報D2とに基づいて各アクチュエータ23,24を制御して、本車両制御処理を終了する。これにより、遠隔操作装置30を用いたフォークリフト20の遠隔操作が行われる。
一方、今回の受信信号が遠隔操作信号SG1でない場合には、車両CPU25は、ステップS805にて、今回の受信信号が強制停止信号SG2であるか否かを判定する。
車両CPU25は、受信信号が強制停止信号SG2でない場合には、そのまま本車両制御処理を終了する。
一方、受信信号が強制停止信号SG2である場合には、車両CPU25は、ステップS806に進み、フォークリフト20の動作を強制停止させる強制停止制御を行う。詳細には、車両CPU25は、フォークリフト20が走行中である場合には強制停止用減速度で減速させて停止させる一方、フォーク22が動作中である場合にはフォーク22を直ちに停止させる。
ちなみに、車両CPU25は、フォークリフト20の強制停止が完了するまで、詳細にはフォークリフト20の動作が停止するまで、ステップS806の処理を継続して実行する。すなわち、本実施形態では、車両通信部28が強制停止信号SG2を受信することによって強制停止制御が行われる。
強制停止制御の終了後(すなわちフォークリフト20の動作が停止した後)、車両CPU25は、ステップS807にて、車両制御モードを、遠隔可動モードから遠隔停止モードに移行させて本車両制御処理を終了する。
すなわち、車両制御モードが遠隔可動モードである状況において車両通信部28が強制停止信号SG2を受信した場合には、車両CPU25は、フォークリフト20を強制停止させるとともに、車両制御モードを遠隔可動モードから遠隔停止モードに移行させる。
車両CPU25は、車両制御モードが遠隔停止モードである場合、解除条件が成立しているか否かを判定し、解除条件が成立している場合には、車両制御モードを、遠隔停止モードから遠隔可動モードに移行させる。
詳細には、図21に示すように、車両CPU25は、車両制御モードが遠隔停止モードである場合にはステップS801を否定判定してステップS808に進み、今回の受信信号が解除信号SG3であるか否かを判定する。本実施形態の解除条件は、車両通信部28が解除信号SG3を受信することである。
車両CPU25は、今回の受信信号が解除信号SG3でない場合には、そのまま本車両制御処理を終了する。一方、車両CPU25は、今回の受信信号が解除信号SG3である場合には、ステップS809にて、車両制御モードを、遠隔停止モードから遠隔可動モードに移行させて、本車両制御処理を終了する。これにより、遠隔操作装置30を用いた遠隔操作が可能となる。
すなわち、車両CPU25は、車両制御モードが遠隔停止モードである状況において車両通信部28が解除信号SG3を受信したことに基づいて、車両制御モードを遠隔停止モードから遠隔可動モードに移行させる。換言すれば、車両CPU25は、強制停止が行われた後は解除信号SG3を受信するまで遠隔操作が停止された状態を維持する。
かかる構成によれば、車両通信部28が強制停止信号SG2を受信したことに基づいて、フォークリフト20の強制停止が行われるため、何らかの原因で強制停止信号SG2の受信後にリモート通信部36からの信号が途絶えたとしても、フォークリフト20を強制停止させることができる。
ちなみに、本実施形態では、遠隔停止モード中に遠隔操作信号SG1が受信された場合、ステップS803及びステップS804の処理が実行されることなく、本車両制御処理が終了する。このため、強制停止制御中に遠隔操作信号SG1に対応した遠隔操作は実行されない。すなわち、本実施形態のフォークリフト20は、車両制御モードが遠隔停止モードである場合には、遠隔操作信号SG1が受信された場合であっても当該遠隔操作信号SG1に対応した遠隔操作が行われないように規制されている。
また、本実施形態では、強制停止制御中にステップS803及びステップS804の処理が実行されることがない。このため、強制停止制御中に遠隔操作信号SG1に基づく遠隔操作が行われない。すなわち、車両CPU25は、強制停止制御中に遠隔操作信号SG1に基づく遠隔操作が行われないように構成されている。
ちなみに、車両CPU25は、強制停止制御中に、解除条件の成否、具体的には車両通信部28が解除信号SG3を受信したか否かを判定している。車両CPU25は、強制停止制御中に解除信号SG3を受信した場合には、強制停止制御の終了後に、ステップS807を実行することなく本車両制御処理を終了する、又は、ステップS807の処理の実行後に再度車両制御モードを遠隔停止モードから遠隔可動モードに移行させて本車両制御処理を終了する。
すなわち、本実施形態の車両CPU25は、強制停止制御中に車両通信部28が解除信号SG3を受信した場合には、強制停止制御を中止することなく継続して実行する。そして、車両CPU25は、強制停止制御の終了後における遠隔停止モードから遠隔可動モードへの移行処理を実行しない、又は、当該移行処理の実行後に遠隔停止モードから遠隔可動モードへの再移行処理を実行する。
ステップS803,S804の処理を実行する車両CPU25が「遠隔可動モード制御部」に対応し、ステップS806の処理を実行する車両CPU25が「強制停止制御部」に対応する。
以上詳述した本実施形態によれば、第1実施形態の効果に加えて、以下の作用効果を奏する。
(22)フォークリフト20の車両CPU25は、車両通信部28が遠隔操作信号SG1を受信したに基づいて当該遠隔操作信号SG1に対応させてフォークリフト20(各アクチュエータ23,24)を制御する遠隔可動モードを有している。車両CPU25は、遠隔可動モード中に車両通信部28が強制停止信号SG2を受信することに基づいて強制停止制御を行う。かかる構成において、フォークリフト20(車両CPU25)は、強制停止制御中に遠隔操作装置30による遠隔操作が行われないように構成されている。
遠隔操作装置30を用いてフォークリフト20を遠隔操作する構成においては、何らかの異常事態に迅速に対応できるように、遠隔操作装置30を用いてフォークリフト20の強制停止を行えるようにしておきたい場合がある。
この点、本実施形態によれば、車両通信部28が強制停止信号SG2を受信することによって、フォークリフト20が強制停止する。これにより、必要に応じて遠隔操作装置30のリモート通信部36が強制停止信号SG2を送信することにより、フォークリフト20を強制停止させることができるため、安全性の向上を図ることができる。
また、本実施形態によれば、リモート通信部36による強制停止信号SG2の送信後に、リモート通信部36から車両通信部28への定期的な信号の送信を行うことなく、フォークリフト20が強制停止する。これにより、車両通信部28の強制停止信号SG2の受信後に通信障害が発生したとしても、フォークリフト20を強制停止させることができる。
ここで、仮に第1継続操作中に一旦指をタッチパネル31から離してしまい、その後直ちに第1領域A11内に対する入力操作を再度行った場合、強制停止制御中に解除信号SG3及び遠隔操作信号SG1が送信される場合がある。この場合、強制停止を途中で止めて遠隔操作信号SG1に基づく遠隔操作が行われると、フォークリフト20の挙動が不安定になり易い。
これに対して、本実施形態によれば、強制停止制御中は遠隔操作信号SG1に基づく遠隔操作が行われないため、強制停止制御が継続して実行される。これにより、強制停止が途中で止まって遠隔操作が再度行われることを回避でき、フォークリフト20の挙動が不安定になることを抑制できる。
(23)車両CPU25は、遠隔可動モード中に車両通信部28が強制停止信号SG2を受信することに基づいて、強制停止制御を行う。車両CPU25は、強制停止制御中に、遠隔操作が可能となる解除条件が成立しているか否かを判定する。車両CPU25は、強制停止制御中に解除条件が成立した場合であっても強制停止制御を継続する。
そして、車両CPU25は、強制停止制御中に解除条件が成立していない場合には、強制停止制御の終了後、車両制御モードを遠隔可動モードから遠隔停止モードに移行させる。一方、車両CPU25は、強制停止制御中に解除条件が成立している場合には、強制停止制御の終了後、車両制御モードを遠隔可動モードに設定する。これにより、強制停止制御中に解除条件が成立している場合には、強制停止制御が終了してから再度遠隔操作が可能となる。これにより、強制停止制御中に解除条件が成立した(詳細には両開始操作が行われた)にも関わらず、強制停止制御後に遠隔操作が開始されないという不都合を抑制できる。
なお、上記各実施形態は以下のように変更してもよい。
○ 第2開始操作は、タッチパネル31に対する入力操作以外の操作であってもよい。
例えば、遠隔操作装置30に操作ボタンが設けられている場合には第2開始操作は、操作ボタンを操作することでもよい。この場合、遠隔操作装置30は、操作把握部として、操作ボタンの操作の有無を検知する検知部を有しているとよい。遠隔操作が開始されたときの第2開始操作から継続される第2継続操作とは、遠隔操作が開始されたときから引き続き上記操作ボタンを操作し続けることである。また、遠隔操作装置30の裏面に指を検知する指検知センサが設けられている構成においては、第2開始操作は、当該指検知センサを触ることでもよい。なお、操作ボタンは、開始操作及び継続操作のために用いられる専用ボタンでもよいし、他の用途にも用いられるボタンでもよい。
○ 上記のように、第2開始操作としてタッチパネル31に対する入力操作以外の操作が採用されている場合には、第1開始操作は、タッチパネル31全体のうちいずれかに対する入力操作であってもよい。すなわち、「特定領域」とは、タッチパネル31の全体を含む。また、かかる別例においては、第1継続操作は、(A)及び(C)の条件を満たす操作であってもよい。
○ 第1継続操作は、第1領域A1,A11内に対する入力操作に限定してもよい。詳細には、リモートCPU33は、第1継続操作位置が第1領域A1,A11外である場合に第1継続操作が行われていないと判定してもよい。
○ 第1継続操作の操作態様として、第1開始位置P10と第1継続操作位置との相対位置に代えて、第1継続操作位置そのものを採用してもよい。例えば、リモートCPU33は、走行モード時において、中央線Lよりも上方に対して入力操作が行われている場合には前進に対応した走行操作情報D1を設定する一方、中央線Lよりも下方に対して入力操作が行われている場合には後退に対応した走行操作情報D1を設定してもよい。
また、リモートCPU33は、第1開始位置P10ではなく、タッチパネル31内の規定位置と第1継続操作位置との相対位置に基づいて遠隔操作態様を制御してもよい。例えば、リモートCPU33は、走行モード時において、中央線Lから第1継続操作位置までの距離に基づいて、走行速度を決定してもよい。また、リモートCPU33は、最初に第1領域A1内への入力操作が行われ、その後第2領域A2内への入力操作が行われて遠隔操作が開始された場合、遠隔操作の開始時の入力操作位置である第1開始位置P10ではなく、最初に第1領域A1内への入力操作が行われた位置と第1継続操作位置とに基づいて遠隔操作態様を制御してもよい。
同様に、第2実施形態において、第2継続操作の操作態様として、第2開始位置P20と第2継続操作位置との相対位置に代えて、第2継続操作位置そのものを採用してもよい。
○ 操作画像G10の具体的なレイアウトについては任意であり、必要に応じて適宜変更してもよい。
例えば、第1領域A1,A11と第2領域A2,A12とを入れ替えてもよい。この場合、第1実施形態においては、右手の操作によってフォークリフト20に所望の動作を行わせることができる。
また、第1領域A1,A11と第2領域A2,A12とは短手方向に離間して配置されていてもよいし、両者が離間することなく連続していてもよい。但し、両手で操作させることを促す観点に着目すれば、両者は離間していた方が好ましい。
また、第1領域A1,A11内に表示される画像は、操作モードに関わらず同一であってもよい。
○ 第1実施形態において、第2継続操作は、第2領域A2の内外に関わらず、遠隔操作が開始されたときの第2開始操作(第2領域A2内に対する入力操作)から継続されるタッチパネル31に対する入力操作でもよい。換言すれば、第2操作は、遠隔操作が開始されるまでは第2領域A2内に制限され、遠隔操作が開始されてからは第2領域A2内に制限されないタッチパネル31に対する一連の入力操作でもよい。
○ リモートCPU33は、操作モードとして走行モードと荷役モードとを有し、フォークリフト20の走行制御とフォーク22の制御とを同時に行うことができないように構成されていたが、これに限られない。例えば、リモートCPU33は、フォークリフト20の走行制御とフォーク22の制御とを同時に行うことができるように構成されていてもよい。すなわち、両モードは必須ではない。
具体的には、リモートCPU33は、操作画像G10に、走行に関する操作アイコンとフォーク22の制御に関する操作アイコンとを表示させ、これらの操作アイコンに対する入力操作に対応する遠隔操作信号SG1を送信してもよい。
但し、操作の複雑化に伴う誤操作などを抑制する点に着目すれば、リモートCPU33は、フォークリフト20の走行制御とフォーク22の制御とを同時に行うことができないように構成されていた方が好ましい。
○ また、遠隔操作装置30は、フォークリフト20の走行とフォーク22の各動作とのうち所望の動作を1つ又は複数選択し、選択された動作が同時に実行可能に構成されていてもよい。
具体的には、リモートCPU33は、走行、リフト動作、リーチ動作及びチルト動作のうち1つ又は複数を選択させる選択画像を表示させる。そして、走行とリフト動作とが選択された場合には、リモートCPU33は、第1継続操作の操作態様に基づいて走行に関する遠隔操作を行い、第2継続操作の操作態様に基づいてリフト動作の遠隔操作を行う構成でもよい。
○ 第2実施形態において、第3領域A13を省略してもよい。この場合、リモートCPU33は、第2回転操作に基づいてリーチ動作を行わせる構成でもよい。例えば、リモートCPU33は、第2回転操作が把握された場合には、リーチ情報Dfbに第2回転操作の操作態様に対応した数値を設定してもよい。これにより、3種類の動作を同時に実行できる。なお、第3領域A13に代えて、第1領域A11又は第2領域A12を省略してもよい。
○ 第1実施形態では、タッチパネル31の短手方向における第1開始位置P10と第1継続操作位置との距離が大きくなるほど、走行速度、ストローク量又は傾斜角度が大きくなる構成であったが、これに限られない。フォークリフト20の遠隔操作態様は、第1開始位置P10と第1継続操作位置との相対位置に応じて制御されればよく、その具体的な設定態様については任意である。
○ 第1実施形態において、リモートCPU33は、タッチパネル31の長手方向における第1開始位置P10からのスライド操作方向及び当該長手方向における第1開始位置P10と第1継続操作位置との距離に基づいて操舵角を決定してもよい。この場合、リモートCPU33は、第1回転操作に基づいて操舵角を決定しなくてもよい。
○ 操作モード切替条件は、停止中モードである状況において切替操作が行われることであったが、これに限られない。例えば、操作モード切替条件は、制御モードに関わらず切替操作が行われることでもよい。
○ また、切替操作は、各モード設定領域A3,A4,A21,A22に対する入力操作に限られず任意であり、例えば遠隔操作装置30に操作モードの切替用ボタンが設けられている場合には当該切替用ボタンを操作することでもよいし、第2回転操作でもよい。
○ リモートCPU33は、両開始操作と切替操作との双方が行われたと把握した場合には、誤操作が行われていると判断して、操作モードの切り替え、及び、停止中モードから操作モードへの制御モードの移行の双方を禁止してもよい。
○ 遠隔操作信号SG1では、操作対象以外の情報については「0」が設定される構成であったが、これに限られず、例えば「null」であってもよい。
○ 第3実施形態では、強制停止制御後に車両制御モードが遠隔可動モードから遠隔停止モードに移行する構成であったが、これに限られず、車両制御モードの移行後に強制停止制御が行われてもよい。要は、フォークリフト20は、強制停止制御中において遠隔操作装置30を用いた遠隔操作が禁止(無効)となるように構成されていればよい。
○ 第3実施形態において、解除条件は、解除信号SG3の受信であったが、これに限られず、任意である。例えば、両通信部28,36間で通信可能な状態でフォークリフト20に設けられた遠隔操作開始スイッチが操作された場合等でもよい。
○ 第3実施形態において、車両CPU25は、強制停止制御中に車両通信部28が遠隔操作信号SG1を受信した場合には、当該遠隔操作信号SG1に対応する処理を実行しないことによって、遠隔操作が行われないように構成されていたが、これに限られない。例えば、信号変換部29は、強制停止制御中、遠隔操作信号SG1を制御信号SGaに変換しないように構成されていてもよい。この場合、車両CPU25は、そもそも遠隔操作信号SG1の受信を把握しない。
○ 第1実施形態において、リモートCPU33は、強制停止モード中に両開始操作が行われることに基づいて、制御モードを強制停止モードから操作モードに移行させてもよい。これにより、強制停止に係る制御が中止して、遠隔操作が再開される。同様に、第3実施形態において、車両CPU25は、強制停止制御中に解除信号SG3が受信されたことに基づいて、強制停止制御を中止して遠隔操作を再開してもよい。
○ 産業車両用遠隔操作システム10において遠隔操作装置30による遠隔操作を停止するための具体的な処理構成は任意である。例えば、第1及び第2実施形態のように、遠隔操作装置30が当該遠隔操作装置30に対する操作に関わらず停止に係る遠隔操作信号SG1を送信する構成でもよいし、第3実施形態のように、フォークリフト20が遠隔操作信号SG1に基づく動作を行わないように構成されていてもよいし、それ以外でもよい。
○ 産業車両は、フォークリフト20に限られず任意であり、例えば無人搬送車などであってもよい。また、走行以外の駆動対象物を有しない産業車両であってもよい。すなわち、走行とは異なる動作に用いられる動作駆動部は必須ではない。
○ 両通信部28,36間の通信方式は、無線通信に限られず有線通信であってもよい。
○ 姿勢検知部35は、遠隔操作装置30の厚さ方向が鉛直方向と交差又は直交している状態において第1回転操作を検知する一方、遠隔操作装置30の厚さ方向が鉛直方向と一致している状態では第1回転操作を検知しないものであってもよい。通常、タッチパネル31を視認するべく両手で遠隔操作装置30を把持した場合には、自ずと遠隔操作装置30の厚さ方向が鉛直方向と交差又は直交している状態となり易い。このため、遠隔操作装置30の厚さ方向が鉛直方向と一致している状態において第1回転操作が検知されなくても、問題が生じにくい。
○ リモートCPU33が、タッチパネル31の表示制御と、フォークリフト20の遠隔操作制御との双方を実行する構成であったが、これに限られず、リモートCPU33とは別に、タッチパネル31の表示制御を行う別の制御部(CPU)が設けられていてもよい。要は、遠隔操作装置30が全体として表示制御と遠隔操作制御とを実行するように構成されていればよい。
○ 産業車両用遠隔操作システム10は、遠隔操作プログラム40の起動中、常時遠隔操作が可能な状態となっていてもよいし、両継続操作の少なくとも一方が行われなくなったことに基づいて強制停止制御を実行しなくてもよい。すなわち、停止中モード及び強制停止モードを省略してもよく、「強制停止制御部」及び「遠隔操作制御部」は必須ではない。
○ 遠隔操作プログラム40は、車両メモリ26に記憶されていてもよい。この場合、リモートCPU33は、遠隔操作装置30に対する各種操作に関する情報(例えば遠隔操作装置30の姿勢やタッチパネル31に対する入力操作位置に関する情報)が設定された操作信号を車両通信部28に向けて定期的に送信する。車両CPU25は、上記操作信号に基づいて遠隔操作制御処理を実行することにより、遠隔操作態様及び制御モードを決定し、各アクチュエータ23,24を制御したり、決定された制御モード情報が設定された信号を遠隔操作装置30に向けて送信することにより遠隔操作装置30を制御したりしてもよい。かかる構成においては、車両CPU25が「遠隔操作制御部」に対応する。なお、上記操作信号に基づいて遠隔操作態様及び制御モードを決定する具体的な構成は、第1実施形態等で説明したとおりである。
○ 各実施形態と各別例とを適宜組み合わせてもよい。
次に、上記各実施形態及び各別例から把握できる技術的思想又は好適な一例について以下に記載する。
(イ)車両通信部を有する産業車両と、前記車両通信部と通信を行うリモート通信部を有し、前記産業車両を遠隔操作するのに用いられる遠隔操作装置と、前記遠隔操作装置に対して第1操作及び第2操作が行われている場合に前記産業車両の遠隔操作を行う一方、前記第1操作及び前記第2操作の少なくとも一方が行われていない場合には前記産業車両の遠隔操作を行わない遠隔操作制御部と、を備えていることを特徴とする産業車両用遠隔操作システム。
(ロ)車両通信部を有する産業車両と、前記車両通信部と通信を行うリモート通信部を有し、前記産業車両を遠隔操作するのに用いられる遠隔操作装置と、前記遠隔操作装置を用いた前記産業車両の遠隔操作の制御モードとして、前記遠隔操作装置に対する操作に対応した動作が行われるように制御する操作モードと、前記遠隔操作装置に対する操作に対応した動作が行われないように制限する制限モードと、を有する遠隔操作制御部と、を備え、前記遠隔操作制御部は、前記遠隔操作装置に対して第1操作及び当該第1操作とは異なる第2操作の双方が行われている場合には、前記制御モードを前記操作モードにする一方、前記第1操作及び前記第2操作の少なくとも一方が行われていない場合には、前記制御モードを前記制限モードにすることを特徴とする産業車両用遠隔操作システム。
なお、(イ),(ロ)における「第1操作」は、遠隔操作装置に対する操作であれば任意であり、例えば第1開始操作と第1継続操作とを含む一連の入力操作でもよい。同様に、「第2操作」は、遠隔操作装置に対する操作であれば任意であり、例えば第2開始操作と第2継続操作とを含む一連の入力操作でもよい。強制停止モード又は停止中モードが(ロ)の「制限モード」に対応する。
(ハ)前記遠隔操作装置はタッチパネルを備え、前記第1操作及び前記第2操作の少なくとも一方は、前記タッチパネルに対する入力操作である(イ)又は(ロ)に記載の産業車両用遠隔操作システム。
(ニ)フォーク及び車両通信部を有するフォークリフトと、操作が行われる操作部、及び、前記車両通信部と無線通信を行うリモート通信部を有し、前記フォークリフトを遠隔操作するのに用いられる遠隔操作装置と、前記遠隔操作装置を用いた前記フォークリフトの遠隔操作を制御する遠隔操作制御部と、を備えた産業車両用遠隔操作システムであって、前記遠隔操作制御部は、前記遠隔操作装置を用いた前記産業車両の遠隔操作を行う操作モードとして、前記操作部に対する操作態様に基づいて前記フォークリフトの走行に関する遠隔操作を行う一方、前記フォークに関する遠隔操作が禁止された走行モードと、前記操作部に対する操作態様に基づいて前記フォークに関する遠隔操作を行う一方、前記フォークリフトの走行に関する遠隔操作が禁止された荷役モードと、を有し、前記産業車両用遠隔操作システムは、前記遠隔操作装置に対して切替操作が行われることに基づいて、前記操作モードを前記走行モード又は前記荷役モードに切り替える操作モード切替部を備えていることを特徴とする産業車両用遠隔操作システム。
(ホ)車両通信部を有する産業車両と、前記車両通信部と無線通信を行うリモート通信部及びタッチパネルを有し、前記産業車両を遠隔操作するのに用いられる遠隔操作装置と、前記遠隔操作装置を用いた前記産業車両の遠隔操作を制御する遠隔操作制御部と、を備えた産業車両用遠隔操作システムであって、前記遠隔操作制御部は、前記タッチパネルに対して入力操作が行われている状態を維持しつつ前記入力操作が行われる位置が移動するスライド操作に基づいて、前記産業車両の遠隔操作態様を決定する決定部を備え、前記決定部は、前記スライド操作において最初に入力操作が行われた初期位置と、現在入力操作が行われている位置との相対位置に基づいて前記産業車両の遠隔操作態様を決定することを特徴とする産業車両用遠隔操作システム。
上記(ニ),(ホ)が示す技術的思想に着目すれば、遠隔操作を開始する条件として、第1開始操作及び第2開始操作の少なくとも一方を省略してもよいし、遠隔操作を継続する条件として、第1継続操作及び第2継続操作の少なくとも一方を省略してもよい。第1開始位置P10又は第2開始位置P20が(ホ)における「初期位置」に相当する。
なお、(イ)〜(ホ)は「産業車両用遠隔操作システム」であったが、(イ)〜(ホ)が示す主要な技術的思想は、「産業車両用遠隔操作システム」に限られず、「遠隔操作装置」、「産業車両用遠隔操作プログラム」及び「産業車両用遠隔操作方法」に対しても適用できる。