JP6752000B2 - 建築土木資材補強用複合シートおよび建築土木資材 - Google Patents

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本発明は、木材、コンクリート等の構造材表面に接着することで、構造材に対して補強効果を発揮できる建築土木資材補強用複合シート、およびそれを接合してなる建築土木資材に関する。建築土木資材補強用複合シートは、主に、建築土木分野で好適に用いられる。
アラミド繊維は、高強度、高弾性率、高耐熱性、非導電性、錆びないなどの高い機能性と、有機繊維特有のしなやかさと、軽量性を併せ持った合成繊維である。これらの特長から、自動車や自動二輪、および自転車用のタイヤ、自動車用歯付きベルト、コンベヤ等の補強材料として用いられている他、光ファイバーケーブルの補強やロープにも利用されている。さらに、防弾チョッキや、刃物に対して切れにくい性質を利用した作業用手袋や、作業服などの防護衣料、燃え難さを利用した消防服への応用も行われている。
建築土木分野においても、コンクリート、木材、鋼材等の補修・補強用途でアラミド繊維を用いた補強複合材が使用されている。
その背景として、コンクリートは、橋脚、高速道路の支柱、建物等のコンクリート構造物の主要構造材として利用されているが、長年の間にコンクリート構造物にひび割れを発生させ、構造物の劣化を加速させるという欠点がある。また、地震、地盤沈下、過荷重等により過大な力が加わった場合にも、コンクリート構造物にはひび割れ、崩壊等が生じる場合がある。前記の欠点を無くし、あるいは、予防的に強度不足を補強するため、コンクリート表面にエポキシ樹脂等の常温硬化型樹脂を塗布し、直ちに炭素繊維シートやアラミド繊維シートを貼り付け、さらに繊維シートの上からエポキシ樹脂等を塗布し、2日程度静置し、エポキシ樹脂等を硬化させる方法が知られている(例えば、特許文献1〜2参照)。
一方、既存の木造建築を接合金具や補強金具を用いて補強する場合には、金具が大型化することで補強工事が大掛かりなものとなるため、美観が損なわれるだけでなく、補強工事が容易でないという問題がある。そこで、木造建築物の柱、梁等に用いられる木材同士の接合部の表面、あるいは木材表面の長手方向の表面に、アラミド繊維等の強化繊維を縦横に配向してエポキシ樹脂で固めてシート状に成形した繊維強化シートを張り付けたり巻き付けたりする方法が提案されている(特許文献3参照)。
しかしながら、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を用いる方法では、エポキシ樹脂等が完全に硬化するまでの時間が長いため、繊維シートの貼り付けに要する手間、費用、時間が増大するという問題点が発生するだけでなく、その間にエポキシ樹脂等が剥離するという問題点が発生する。加えて、コンクリート構造物の被補強面と繊維シートとの間に噛み込んだエアが抜けにくく、密着性不十分となる問題を解消するため、通気性のある繊維シートを用いなければならない等の課題もある(特許文献2参照)。
特開平10−339040号公報 特開2002−106176号公報 特開平10−037483号公報
本発明は、前記従来の問題点に鑑みてなされたものであり、コンクリート、木材等の建築土木資材の補強材であって、高強度・高弾性率繊維の特性を活かすことができ、前記建築土木資材に設置する際の手間、費用、時間を大幅に節約することが可能な建築土木資材補強用複合シート、およびそれを接合させた建築土木資材を提供することを課題とする。
本発明は、アラミド繊維等の高強度・高弾性率繊維からなる布帛に、弾性率の低い熱可塑性材料を積層一体化し、複合シートとすることで、従来のエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を含浸させた繊維シートを用いる方法に比べて、大幅な時間短縮が可能になり、さらには靱性も向上するとの知見によりなされたものである。
すなわち、本発明は以下の通りである。
1)高強度・高弾性率繊維からなる布帛の少なくとも片面に、熱可塑性材料からなる弾性層を積層一体化してなる複合シートであって、前記高強度・高弾性率繊維の引張弾性率(MPa)に対する、前記熱可塑性材料の引張弾性率(MPa)の比が、1.0×10−6〜2.0×10−2の範囲にあり、前記複合シートにおいて弾性層が布帛の表層部に介入していることを特徴とする建築土木資材補強用複合シート。
2)前記高強度・高弾性率繊維からなる布帛が、一方向性織物、二方向性織物、三軸織物、多軸織物または一方向性シートであり、その目付が50〜1,000g/mの範囲で、厚みが0.1〜2mmの範囲である、前記1)に記載の建築土木資材補強用複合シート。
3)前記高強度・高弾性率繊維がアラミド繊維である、前記1)または2)に記載の建築土木資材補強用複合シート。
4)前記熱可塑性材料が、熱可塑性エラストマーである、前記1)〜3)のいずれかに記載の建築土木資材補強用複合シート。
5)前記熱可塑性エラストマーが、ポリエステルブロック共重合体(A)、ポリビニル樹脂(B)、およびシランカップリング剤(C)および酸化防止剤(D)を含み、前記ポリエステルブロック共重合体(A)100質量部に対して、ポリビニル樹脂(B)1〜30質量部、シランカップリング剤(C)0.01〜5.0質量部および酸化防止剤(D)0.01〜5.0質量部からなるポリエステルエラストマー樹脂組成物である、前記4)に記載の建築土木資材補強用複合シート。
6)前記ポリエステルブロック共重合体(A)は、ハードセグメント(a1)およびソフトセグメント(a2)を含み、前記ハードセグメント(a1)が、テレフタル酸および/またはジメチルテレフタレートと1,4−ブタンジオールから誘導されるポリブチレンテレフタレート単位と、イソフタル酸および/またはジメチルイソフタレートと1,4−ブタンジオールから誘導されるポリブチレンテレフタレート/イソフタレート単位からなる、前記5)に記載の建築土木資材補強用複合シート。
7)前記ポリエステルブロック共重合体(A)のソフトセグメント(a2)が、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール単位を構成成分とするものである、前記6)に記載の建築土木資材補強用複合シート。
8)前記熱可塑性材料からなる弾性層が建築土木資材表面と接着する、前記1)〜7)のいずれかに記載の建築土木資材補強用複合シート。
9)前記建築土木資材が、木材、コンクリートのいずれかである、前記8)に記載の建築土木資材補強用複合シート。
10)前記1)〜9)のいずれかに記載の建築土木資材補強用複合シートを接合させた建築土木資材。
本発明によれば、熱可塑性材料からなる弾性層を、熱溶着等により建築土木資材に接着できるため、熱硬化性樹脂を塗布したコンクリート表面に熱硬化性樹脂を含浸させた繊維シートを貼り付け、硬化させてコンクリートを補強・補修する方法に比べて、熱硬化性樹脂を塗布、含浸させる手間および硬化時間が不要であり、費用面、時間面で大幅な合理化を図ることが可能となる。例えば、概ね数分〜1時間のうちに所望の補強効果発現が期待できる。
高強度・高弾性率繊維の引張弾性率と、熱可塑性材料の引張弾性率との比を、一定範囲に制限することにより、複合シート自体に優れた靱性を付与することが出来、コンクリート、木材等の建築土木資材に対する補強効果も良好である。
本発明の建築土木資材補強用複合シートで用いる高強度・高弾性率繊維は、ASTM D 885に準じて測定した引張強力が15cN/dtex以上の高強力繊維で、かつ、該高強力繊維のASTM D 885に準じて測定した引張弾性率が350cN/dtex以上であるのがよい。このような繊維を用いることで、建築土木資材補強用複合シートを用いて補強した建築土木資材(被補強物)の変形を小さくすることが可能となる。
高強度・高弾性率繊維としては、アラミド繊維、全芳香族ポリエステル繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維、LCP(液晶ポリマー)繊維、炭素繊維等が挙げられる。ここで、アラミド繊維としては、ポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維(東レ・デュポン(株)製、商品名「ケブラー」)およびコポリパラフェニレン−3,4’−ジフェニルエーテルテレフタルアミド繊維(帝人テクノプロダクツ(株)製、商品名「テクノーラ」)等;全芳香族ポリエステル繊維としては、(株)クラレ製、商品名「ベクトラン」等;ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維としては、東洋紡(株)製、商品名「ザイロン」等;がある。これらの高強度・高弾性率繊維の中でも、耐熱性に優れている点より、アラミド繊維が好ましい。特に、熱可塑性エラストマー(特にポリエステル系熱可塑性エラストマー)との接着力に優れている点で、ポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維が好ましい。
前記の高強度・高弾性率繊維は、硬化性エポキシ化合物や、油剤、相溶化剤、静電防止剤、界面活性剤、平滑性向上剤等による処理を施したものでもよい。
高強度・高弾性率繊維の繊度は特に限定されないが、通常、50〜10,000dtex、好ましくは200〜6,500dtex、より好ましくは750〜3,500dtexのものを用いるのがよい。繊維の繊度が小さくなる程薄い布帛となり、繊度が大きくなる程厚い布帛となる。
布帛の形態としては、高強度・高弾性率繊維を一方向に配列させたいわゆるトウシートや、前記繊維糸状を一方向または二方向に配列させた一方向性織物や二方向性織物、三方向に配列させた三軸織物、多方向に配列させた多軸織物等が挙げられる。トウシートにおいては、弾性層との密着性を向上させるためにストランド間に適度の隙間を確保するように前記繊維を配列するとよい。織組織は、平織、綾織、斜文織等が挙げられる。
布帛の目付は、50〜1,000g/m、より好ましくは100〜500g/m、更に好ましくは150〜450g/mの範囲内のものを用いるのがよい。また、布帛の厚みは、好ましくは0.1〜2mm、より好ましくは0.2〜1.5mm、更に好ましくは0.2〜1mmである。目付が大きすぎると、弾性層との接着不良により、布帛と弾性層とが剥離するおそれがある。一方、目付が小さすぎると、建築土木資材補強用複合シートの強度や衝撃吸収性が不十分になるおそれがある。布帛は、通常1枚で使用すれがよいが、2枚以上を重ね合わせて使用してもよい。
熱可塑性材料は、高強度・高弾性率繊維からなる布帛において、当該繊維がばらばらにならないようにするバインダー的機能と、コンクリート、木材等の建築土木資材に接着して布帛が剥離するのを防止する機能を有している。また、高強度・高弾性率繊維が吸収した衝撃を緩衝する機能も有る。
熱可塑性材料からなる弾性層は、高強度・高弾性率繊維からなる布帛の少なくとも片面に設ければよく、両面に設けてもよく、用途に応じて適宜に設定できる。本発明の建築土木資材補強用複合シートは、前記弾性層と前記布帛とを公知の方法にて積層一体化することで作製される。
本発明の建築土木資材補強用複合シートでは、ASTM D 885に準じて測定した高強度・高弾性率繊維の引張弾性率(MPa)に対する、熱可塑性材料の引張弾性率(MPa)の比が、1.0×10−6〜2.0×10−2の範囲にあることが好ましい。高強度・高弾性率繊維は、その応力−ひずみ曲線(S−S曲線)は金属に似ている。前記の比が、1.0×10−6未満の場合には、建築土木資材補強用複合シートを適用した構造材が変形するおそれがある。特に地震等により過大な荷重や衝撃が加わった場合、弾性層において応力に対するひずみ(伸長率)の変化が小さくなることで、建築土木資材の変形を助長するおそれがある。反対に、前記の比が、2.0×10−2を超える場合には、熱可塑性材料の成形加工が難しくなる。高強度・高弾性率繊維の引張弾性率(MPa)と熱可塑性材料の引張弾性率(MPa)の比は、1.0×10−5〜1.0×10−2の範囲にあることが好ましく、さらに好ましくは1.0×10−4〜1.0×10−2の範囲にあることが望ましい。
熱可塑性材料としては、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー(TPE)等を用いることができる。熱可塑性材料としては、特に制限されるものではなく、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン−プロピレン共重合樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、ポリアミド樹脂、アイオノマー樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリ4弗化エチレン樹脂等の熱可塑性樹脂;ポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系、ポリイソプレン系等の熱可塑性エラストマー;またはこれらの共重合体樹脂や変性樹脂等、さらにはこれらの樹脂の中から、1種又は2種以上を組合せた熱可塑性樹脂組成物を用いることができる。
前記熱可塑性材料は、熱可塑性エラストマーであることが、弾性率の低い弾性層が得られる点で好ましい。
熱可塑性エラストマーの中でも、結晶性のポリマー鎖(ハードセグメント)と非晶性のポリマー鎖(ソフトセグメント)からなり、耐熱性、耐寒性、機械的性質(耐荷重性が大きい、強靭、屈曲疲労抵抗が大きい)、可撓性、弾性に優れることから、ポリエステル系のエラストマーをベースとすることが好ましく、本発明では高強度・高弾性率繊維や木材・コンクリート等の建築土木資材との接着性の観点から、ポリエステルブロック共重合体(A)、ポリビニル樹脂(B)、およびシランカップリング剤(C)および酸化防止剤(D)を含み、前記ポリエステルブロック共重合体(A)100質量部に対して、ポリビニル樹脂(B)1〜30質量部、シランカップリング剤(C)0.01〜5.0質量部および酸化防止剤(D)0.01〜5.0質量部を含有するポリエステルエラストマー樹脂組成物であることが好ましい。
前記ポリエステルブロック共重合体(A)とは、結晶性芳香族ポリエステル単位からなるハードセグメント(a1)と、脂肪族ポリエーテル単位および/または脂肪族ポリエステル単位からなるソフトセグメント(a2)とから構成される。
ハードセグメント(a1)は、好ましくは、芳香族ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体と、ジオールまたはそのエステル形成性誘導体から形成される。
芳香族ジカルボン酸の具体例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ナフタレン−2,7−ジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、ジフェニル−4,4’−ジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、5−スルホイソフタル酸、および3−スルホイソフタル酸ナトリウムなどが挙げられる。
本発明においては、上記酸成分を2種以上使用することが好ましく、例えばテレフタル酸とイソフタル酸、テレフタル酸とドデカンジオン酸、テレフタル酸とダイマー酸などの組み合わせが挙げられる。酸成分を2種以上使用することでハードセグメントの結晶化度を下げることができ、柔軟性を付与することも可能で、かつ他の熱可塑性樹脂との熱接着性も向上する。
ジオールの具体例としては、分子量400以下のジオール、例えば1,4−ブタンジオール、エチレングリコール、トリメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、デカメチレングリコールなどの脂肪族ジオール、1,1−シクロヘキサンジメタノール、1,4−ジシクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノールなどの脂環族ジオール、およびキシリレングリコール、ビス(p−ヒドロキシ)ジフェニル、ビス(p−ヒドロキシ)ジフェニルプロパン、2,2’−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパン、ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]スルホン、1,1−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]シクロヘキサン、4,4’−ジヒドロキシ−p−ターフェニル、および4,4’−ジヒドロキシ−p−クオーターフェニルなどの芳香族ジオールが好ましく、かかるジオールは、エステル形成性誘導体、例えばアセチル体、アルカリ金属塩などの形でも用い得る。
ポリエステルブロック共重合体(A)のハードセグメント(a1)は、好ましくは、テレフタル酸および/またはジメチルテレフタレートと1,4−ブタンジオールから誘導されるポリブチレンテレフタレート単位と、イソフタル酸および/またはジメチルイソフタレートと1,4−ブタンジオールから誘導されるポリブチレンイソフタレート単位とからなる。
ポリエステルブロック共重合体(A)のハードセグメント(a1)は、より好ましくは、テレフタル酸および/またはジメチルテレフタレートとイソフタル酸および/またはジメチルイソフタレートと1,4−ブタンジオールから誘導されるポリブチレンテレフタレート/イソフタレート単位からなる。
本発明に用いられるポリエステルブロック共重合体(A)のソフトセグメント(a2)は、脂肪族ポリエーテル単位および/または脂肪族ポリエステル単位から構成される。
構成単位である脂肪族ポリエーテルとしては、ポリ(エチレンオキシド)グリコール、ポリ(プロピレンオキシド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、ポリ(ヘキサメチレンオキシド)グリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合体、ポリ(プロピレンオキシド)グリコールのエチレンオキシド付加重合体、エチレンオキシドとテトラヒドロフランの共重合体グリコールなどが挙げられる。また、構成単位である脂肪族ポリエステルとしては、ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリエナントラクトン、ポリカプリロラクトン、ポリブチレンアジペート、ポリエチレンアジペートなどが挙げられる。これらの脂肪族ポリエーテルおよび/または脂肪族ポリエステルのなかで得られるポリエステルブロック共重合体の弾性特性からは、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、ポリ(プロピレンオキシド)グリコールのエチレンオキシド付加物、エチレンオキシドとテトラヒドロフランの共重合体グリコール、ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリブチレンアジペート、およびポリエチレンアジペートなどの使用が好ましく、これらの中でも特にポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、ポリ(プロピレンオキシド)グリコールのエチレンオキシド付加物、およびエチレンオキシドとテトラヒドロフランの共重合体グリコールの使用が好ましい。また、これらのソフトセグメントの数平均分子量としては共重合された状態において300〜6,000程度であることが好ましい。
本発明に用いられるポリエステルブロック共重合体(A)の融点は210℃未満であり、好ましくは200℃未満、さらに好ましくは190℃未満であることが、高強度・高弾性率繊維や木材・コンクリート等の建築土木資材との接着において有効である。
ここで、融点とは、示差走査熱量測定において、重合を完了したポリマーを室温から20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm)の観測後、Tm+20℃の温度で5分間保持した後、20℃/分の降温条件で室温まで一旦冷却した後、再度20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm)と定義する。
本発明に用いられるポリエステルブロック共重合体(A)のソフトセグメント(a2)の共重合量は、ハードセグメント(a1)とソフトセグメント(a2)の合計を100質量%としたとき、通常、20〜95質量%、好ましくは25〜90質量%であり、20%未満であるとポリエステルブロック共重合体(A)の融点が高くなり過ぎてしまい、異種成形体との接合が困難となり、95%を超える場合には結晶性が悪くなるため好ましくない。
本発明に用いられるポリエステルブロック共重合体(A)は、公知の方法で製造することができる。その具体例としては、例えば、ジカルボン酸の低級アルコールジエステル、過剰量の低分子量グリコールおよび低融点重合体セグメント成分を触媒の存在下エステル交換反応せしめ、得られる反応生成物を重縮合する方法、およびジカルボン酸と過剰量のグリコールおよび低融点重合体セグメント成分を触媒の存在下エステル化反応せしめ、得られる反応生成物を重縮合する方法などをとることが出来、この中でもジカルボン酸の低級アルコールジエステル、過剰量の低分子量グリコールおよび低融点重合体セグメント成分を触媒の存在下エステル交換反応せしめ、得られる反応生成物を重縮合する方法が好ましい。
本発明に用いられるポリビニル樹脂(B)は、ポリビニルアルコールとアルデヒド化合物とを塩酸等の酸触媒の存在下で脱水縮合(アセタール化)させて製造されたものである。
また、ポリビニルアルコール樹脂のアセタール化を、ブチルアルデヒドを主体とするアルデヒドで行って得られるポリビニルアセタール樹脂を特にポリビニルブチラール樹脂と呼ぶ。
ポリビニルアセタール樹脂としては、市販品を使用することができ、例えば、積水化学工業(株)製エスレックBL−1、BL−2、BX−L、BM−S、KS−3、KS−10、KS−1、KS−3、KS−5、BX−L等、電気化学工業(株)製デンカブチラール3000−1、3000−2、3000−4、4000−2等があり、これらに限定されるものではない。
ポリビニル樹脂(B)の配合量は、ポリエステルブロック共重合体(A)100質量部に対して、通常1〜30質量部であり、好ましくは3〜20質量部である。ポリビニル樹脂(B)をこのような配合量で用いることにより、接着強度を高めることができ、得られるポリエステルポリエステルエラストマー樹脂組成物の機械強度を高めることができる。
本発明に用いられるシランカップリング剤(C)は、好ましくは、1分子中にアミノ基、エポキシ基、ビニル基、アリル基、メタクリル基、スルフィド基等を有するもので、中でもエポキシ基を有するエポキシ系シランカップリング剤が好適に使用される。シランカップリング剤の具体例としては、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロキルエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトシシラン、3−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、ビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)ジスルフィド、ビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)テトラスルフィド、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アクリイルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン等があり、これらは1種単独または2種以上併用して使用することができる。
シランカップリング剤(C)の配合量は、ポリエステルブロック共重合体(A)100質量部に対して、通常0.01〜5.0質量部であり、好ましくは0.05〜3.0質量部であり、さらに好ましくは0.1〜1.5質量部である。シランカップリング剤(C)をこのような配合量で使用することにより、接着強度や引張破断伸びなどの機械的性質を向上でき、ブルーミングの発生を防ぐことができ、さらに、優れた熱安定性を有することができる。加えて、接着力をさらに向上させることができる。
本発明に用いられる酸化防止剤(D)としては、芳香族アミン系酸化防止剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、リン系酸化防止剤からなる群より選ばれた1種、または2種以上が挙げられ、中でも芳香族アミン系酸化防止剤が好適に使用される。
芳香族アミン系酸化防止剤の具体例としては、フェニルナフチルアミン、4,4’−ジメトキシジフェニルアミン、4,4’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、および4−イソプロポキシジフェニルアミンなどが挙げられるが、これらの中でもジフェニルアミン系化合物の使用が好ましい。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤の具体例としては、2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ヒドロキシメチル−2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−α−ジメチルアミノ−p−クレゾール、2,5−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、4,4’−ビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−4−メチル−6−t−ブチルフェノール、2,2’−メチレン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−メチレン−ビス(6−t−ブチル−o−クレゾール)、4,4’−メチレン−ビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルベンジル)スルフィド、4,4’−チオビス(6−t−ブチル−o−クレゾール)、2,2’−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,6−ビス(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゼンスルホン酸のジエチルエステル、2,2’−ジヒドロキシ−3,3’−ジ(α−メチルシクロヘキシル)−5,5’−ジメチル−ジフェニルメタン、α−オクタデシル−3(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、6−(ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−2,4−ビス−オクチル−チオ−1,3,5−トリアジン、ヘキサメチレングリコール−ビス[β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノール)プロピオネート]、N,N’−ヘキサメチレン−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロ桂皮酸アミド)、2,2−チオ[ジエチル−ビス−3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゼンホスホン酸のジオクタデシルエステル、テトラキス[メチレン−3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−ジ−t−ブチルフェニル)ブタン、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)イソシアヌレート、トリス[β−(3,5−ジ−t−ブチル−4ヒドロキシフェニル)プロピオニル−オキシエチル]イソシアヌレートなどが挙げられる。これらの中でも特にテトラキス[メチレン−3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンのような分子量が500以上のものの使用が好ましい。
イオウ系酸化防止剤とは、チオエーテル系、ジチオ酸塩系、メルカプトベンズイミダゾール系、チオカルバニリド系、およびチオジプロピオンエステル系などのイオウを含む化合物である。これらの中でも、特にチオジプロピオンエステル系化合物の使用が好ましい。
リン系酸化防止剤とは、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸誘導体、フェニルホスホン酸、ポリホスホネート、ジアルキルペンタエリスリトールジホスファイト、およびジアルキルビスフェノールAジホスファイトなどのリンを含む化合物である。これらの中でも、分子中にリン原子とともにイオウ原子も有する化合物、あるいは分子中に2つ以上のリン原子を有する化合物の使用が好ましい。
酸化防止剤(D)の合計配合量は、ポリエステルブロック共重合体(A)100質量部に対し、好ましくは0.05〜3質量部、さらに好ましくは0.1〜1.5質量部である。
本発明で使用される熱可塑性材料は、本発明の目的を損なわない程度で、耐光剤、耐加水分解改良剤、難燃剤、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、ワックス類、着色剤、可塑剤、離型剤、充填剤または結晶化促進剤等の添加剤を含有していてもよい。上記添加剤は、単独または複数の組合せで用いられてもよい。
本発明の建築土木資材補強用複合シートは、高強度・高弾性率繊維からなる布帛の片面に、熱可塑性材料からなる弾性層を形成し、弾性層と前記布帛とを積層一体化することで得られる。弾性層を積層する前に、予め布帛に対して接着前処理を施してもよい。接着前処理は、布帛の全体に対して行ってもよいし、一部、好ましくは積層面に対して行ってもよい。
かかる接着前処理としては、布帛を予め加熱する処理、コロナ放電処理、電子照射処理、紫外線照射処理、フレームプラズマ処理、大気圧プラズマ処理または低圧プラズマ処理等が挙げられる。接着前処理は、公知の手段を使用してよく、例えばコロナ放電装置による処理、温風加熱、ヒーターによる加熱等が挙げられる。これらの手段は、単独で用いてもよいし、2以上の手段を組み合せてもよい。このような接着前処理により、布帛の弾性層との積層面に一定以上の活性化点を生成し、弾性層との強固な接着が可能になる。
弾性層を積層一体化する方法は、特に限定されるものではなく、溶融した熱可塑性材料を直接布帛に積層して積層体とする方法、または、熱可塑性材料を適当な溶媒に溶解もしくは分散、懸濁させ、これを布帛表面に塗布する方法等を用いることができる。より好ましくは、前記の方法で得られた積層体をさらに、常圧下、加圧下または減圧下で、弾性層の融点あるいは軟化点以上の温度で加熱することにより、布帛の表層部に弾性層を軟化あるいは溶融させて介入させ、布帛と弾性層を接着、一体化させるのがよい。こうすることで、布帛と弾性層の耐剥離性が良好になる。
加熱成形方法としては、公知の手段を用いることができる。積層体の加熱温度は、弾性層を構成する熱可塑性材料の融点あるいは軟化点以上、かつ、高強度・高弾性率繊維の融点未満の温度であれば、特に限定されない。
本発明の建築土木資材補強用複合シートにおいて、弾性層の厚みは特に限定されるものではないが、補強した建築土木資材(被補強物)の変形を小さくするため、布帛の厚みと同等以上にすることが望ましい。また、溶着により建築土木資材に接着させる方法等を考慮すると、約5mm以下とすることが望ましい。弾性層のより好ましい厚みは、0.2〜4mm程度である。
本発明の建築土木資材補強用複合シートでは、熱可塑性材料からなる弾性層が、建築土木資材表面と接着、接合する。かかる建築土木資材としては、コンクリート、木材等の構造材を挙げることができる。接合方法は、溶融させた弾性層を直接建築土木資材表面に溶着させる方法が、建築土木資材補強用複合シートを構成する布帛と弾性層との引張弾性率を、適正範囲に保持できる点で好ましい。溶着方法としては、レーザー溶着、熱溶着、超音波溶着などの公知の方法を採用することができる。必要に応じて、接着剤を用いて弾性層を材料表面に接着させてもよいし、接着剤と溶着を併用してもよい。
建築土木資材補強用複合シートは、建設現場で木材、コンクリート等の建築土木資材に接着することで建築土木資材に対する補強効果が発現する。あるいは、建築土木資材補強用複合シートを木材、コンクリート等の建築土木資材に接着したものを建築土木資材とすることもできる。その具体例としては、例えば、建築土木資材補強用複合シートを、木材同士の接合部分に貼り付けまたは巻き付ける(例えば、特開平10−37483号公報の図1〜図2参照)方法、木材の表面の長手方向に配設する方法、柱材や耐震補強材の少なくとも一部に巻き付ける方法、複数の木質分割片の接着面に介装する方法、コンクリート表面に配設する方法、あるいは、木材やコンクリートの亀裂に配設する方法等がある。
次に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は以下の実施例にのみ限定されるものではない。
熱可塑性材料は以下を使用した。
(P−1)
ポリエステルブロック共重合体(A):東レ・デュポン(株)製 ハイトレル(R)4057N(融点163℃) 88.4質量%、
ポリビニル樹脂(B):積水化学工業(株)製 ポリビニルアセタール エスレックBX−L 10質量%、
シランカップリング剤(C):東レ・ダウコーニング(株)製 Z−6040 0.6質量%、
酸化防止剤(D):ケムチュラジャパン社製 ナウガード445 1.0質量%、
を、ドライブレンドし、二軸押出機を用いて210℃の温度設定で溶融混練した後ペレット化した(融点:163℃、引張弾性率:55MPa)
(P−2)
ポリエステルブロック共重合体(A):東レ・デュポン(株)社製 ハイトレル(R)2551(融点190℃) 88.4質量%、
ポリビニル樹脂(B):積水化学工業(株)製 ポリビニルブチラール エスレックBM−SZ 10質量%、
シランカップリング剤(C):東レ・ダウコーニング(株)製 Z−6040 0.6質量%、
酸化防止剤(D):ケムチュラジャパン社製 ナウガード445 1.0質量%、
を、ドライブレンドし、二軸押出機を用いて210℃の温度設定で溶融混練した後ペレット化した(融点:190℃、引張弾性率:220MPa)
(実施例1)
<建築土木補強用複合シート(X−1)の作製>
アラミド繊維(東レ・デュポン(株)製 ケブラー(R)29、引張弾性率70,500MPa、総繊度3,300dtex)を用いた平織織物(目付245g/m、織密度9本/in、厚さ約0.5mm)に、ポリエステルエラストマー樹脂組成物(P−1)を、押出ラミネーションにより片面に積層して、厚さ約0.7mmの建築土木資材補強用複合シート(X−1)を得た。
<建築土木資材への貼り付け>
長さ60mm×幅10mm×肉厚1.5mmの木材(桧材)を、下側210℃、上側60℃に設定した熱プレスの下側に配置し1分間放置し、貼り付け表面を予備加熱した。その後、予め作製した建築土木資材補強用複合シート(X−1)を縦横10mmの大きさに裁断し、木材の上に配置した。その後、1MPaの加重で30秒間プレスし、熱可塑性材料を溶融させて木材に接合させた。その後、木材と建築土木資材補強用複合シートとの接合体を、上側と下側を40℃に設定したプレスにて、1MPa×30秒間プレスして熱可塑性材料を固化させた。
(実施例2)
<建築土木補強用複合シート(X−2)の作製>
アラミド繊維を用いた平織織物の目付460g/m、織密度17本/in、厚さ約0.7mmとした以外は、実施例1と同様にして建築土木資材補強用複合シート(X−2)を得た。
<建築土木資材への貼り付け>
使用した建築土木資材補強用複合シートを(X−2)とした以外は、実施例1と同様にして建築土木資材へ貼り付けた。
(実施例3)
<建築土木補強用複合シート(X−3)の作製>
ポリエステル系熱可塑性エラストマーとして、(P−2)を用いた以外は実施例1と同様の方法で建築土木資材補強用複合シート(X−3)を得た。
<建築土木資材への貼り付け>
使用した建築土木資材補強用複合シートを(X−3)とした以外は、実施例1と同様にして建築土木資材へ貼り付けた。
(比較例1)
<建築土木補強用複合シート(Y−1)の作製>
アラミド繊維(東レ・デュポン(株)製ケブラー(R)29、引張弾性率70,500MPa、総繊度3,300dtex)を用いた平織織物(目付245g/m、織密度17本/in、厚さ約0.5mm)に、接着処理を行い、熱硬化性エポキシ樹脂(コニシ(株)製 ボンドE2500S)を、押出ラミネーションにより片面に積層して、厚さ約2mmの建築土木資材補強用複合シート(Y−1)を得た。
<建築土木資材への貼り付け>
長さ60mm×幅10mm×肉厚1.5mmの木材の接着面に、エポキシ系接着剤を塗布し、すぐさまアラミド繊維(東レ・デュポン(株)製ケブラー(R)29、引張弾性率70,500MPa、総繊度3,300dtex)を用いた平織織物(目付245g/m、織密度17本/in、厚さ約0.5mm)を貼り付け1日かけて硬化させた。
(比較例2)
<建築土木補強用複合シート(Y−2)の作製>
繊維材としてポリエステル繊維(融点:265℃、引張弾性率:90MPa、総繊度:3,300dtex)を用いた平織織物(目付245g/m、織密度17本/in、厚さ約0.5mm)を用いた以外は、実施例1と同様にして建築土木資材補強用複合シート(Y−2)を得た。
<建築土木資材への貼り付け>
使用した建築土木資材補強用複合シートを(Y−2)とした以外は、実施例1と同様にして建築土木資材へ貼り付けた。
[建築土木資材補強用複合シートの引張破断強度]
10mm×60mmにカットした各建築土木複合シートを、インストロン社製万能引張試験機を用いて、引張速度50mm/minの条件にて引張試験を行い、複合シートが破断した際の最大応力を求めた。
[建築土木資材補強用複合シートの耐衝撃靱性]
20mm×20mmにカットした各建築土木複合シートについて、高速衝撃試験器 島津HITS((株)島津製作所製)を用いて、試験速度10mm/s、ストライカー径1/2インチ、試験温度23℃の条件下で高速面衝撃試験を行い、試験後の複合シートの破壊形態について以下のように評価した。
延性破壊:割れ、抜けなどを生じず、破壊前に塑性変形を生じる破壊形態。
脆性破壊:割れ、抜けなどを生じ破片はシャープに割れて柔軟性の見られない破壊形態。
[建築土木資材との接合強度]
建築土木資材への貼り付け後、常温で1時間放置した試験片を用いて、建築土木資材の端と建築土木補強用複合シートの端を、インストロン社製万能引張試験機のチャックにはさみ、50mm/minの条件にて引張試験を行い、建築土木資材と建築土木補強用複合シートが剥がれる際の最大応力を求めた。
これら評価結果を表1に記載する。
Figure 0006752000
表1から明らかなように、本発明の建築土木資材用複合シートは、高い引張強度と優れた耐衝撃靭性を兼ね備え、かつ木材との貼り付け1時間後に高い接着力が発現する。一方、本発明範囲外の比較例1では、耐衝撃靭性試験において脆性破壊し、また木材との貼り付け1時間後では、期待される接着力が発現しなかった。また比較例2では、そもそも引張強度の低い複合シートしか得ることができなかった。
本発明の建築土木資材補強用複合シートは、シート貼り付け作業が簡単であり、費用、時間を大幅に削減することができる、コンクリート、木材等の補強材として、好適に利用できる。

Claims (10)

  1. 高強度・高弾性率繊維からなる布帛の少なくとも片面に、熱可塑性材料からなる弾性層を積層一体化してなる複合シートであって、前記高強度・高弾性率繊維の引張弾性率(MPa)に対する、前記熱可塑性材料の引張弾性率(MPa)の比が、1.0×10−6〜2.0×10−2の範囲にあり、前記複合シートにおいて弾性層が布帛の表層部に介入していることを特徴とする建築土木資材補強用複合シート。
  2. 前記高強度・高弾性率繊維からなる布帛が、一方向性織物、二方向性織物、三軸織物、多軸織物または一方向性シートであり、その目付が50〜1,000g/mの範囲で、厚みが0.1〜2mmの範囲である、請求項1に記載の建築土木資材補強用複合シート。
  3. 前記高強度・高弾性率繊維がアラミド繊維である、請求項1または2に記載の建築土木資材補強用複合シート。
  4. 前記熱可塑性材料が、熱可塑性エラストマーである、請求項1〜3のいずれかに記載の建築土木資材補強用複合シート。
  5. 前記熱可塑性エラストマーが、ポリエステルブロック共重合体(A)、ポリビニル樹脂(B)、およびシランカップリング剤(C)および酸化防止剤(D)を含み、前記ポリエステルブロック共重合体(A)100質量部に対して、ポリビニル樹脂(B)1〜30質量部、シランカップリング剤(C)0.01〜5.0質量部および酸化防止剤(D)0.01〜5.0質量部からなるポリエステルエラストマー樹脂組成物である、請求項4に記載の建築土木資材補強用複合シート。
  6. 前記ポリエステルブロック共重合体(A)は、ハードセグメント(a1)およびソフトセグメント(a2)を含み、前記ハードセグメント(a1)が、テレフタル酸および/またはジメチルテレフタレートと1,4−ブタンジオールから誘導されるポリブチレンテレフタレート単位と、イソフタル酸および/またはジメチルイソフタレートと1,4−ブタンジオールから誘導されるポリブチレンテレフタレート/イソフタレート単位からなる、請求項5に記載の建築土木資材補強用複合シート。
  7. 前記ポリエステルブロック共重合体(A)のソフトセグメント(a2)が、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール単位を構成成分とするものである、請求項6に記載の建築土木資材補強用複合シート。
  8. 前記熱可塑性材料からなる弾性層が建築土木資材表面と接着する、請求項1〜7のいずれかに記載の建築土木資材補強用複合シート。
  9. 前記建築土木資材が、木材、コンクリートのいずれかである、請求項8に記載の建築土木資材補強用複合シート。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載の建築土木資材補強用複合シートを接合させた建築土木資材。
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