JP5498389B2 - 耐衝撃性積層成形体およびその製造方法、ならびに耐衝撃材 - Google Patents

耐衝撃性積層成形体およびその製造方法、ならびに耐衝撃材 Download PDF

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Description

関連出願
本願は、日本国で2008年9月29日に出願した特願2008−249713の優先権を主張するものであり、その全体を参照により本出願の一部をなすものとして引用する。
本発明は、耐衝撃性に優れる積層成形体、特に強い衝撃を受けた場合であっても、衝撃吸収に優れ、材料の飛散を抑制する効果の高い積層成形体およびその製造方法、ならびに前記積層成形体を用いた耐衝撃材に関する。
自動車、鉄道、航空機などの高速移動物体は、その移動速度に由来した運動エネルギーによって、衝突の際には莫大な破壊力を発生し物体を破損させる。そして、物体の破損に伴って、破砕した破片が飛散し、その周囲に存在する物や人間などに甚大な被害を与える場合が少なくない。そのため、破壊に伴う物体の飛散を低減させることは、安全上、重要な課題である。
このような課題を解決するため、特許文献1には、構造破壊による衝撃を吸収し、材料の飛散防止を最小限に抑えることが可能な高機能コンポジットが開示されている。この文献には、アラミド繊維織物とアイオノマー樹脂とからなるソフトコンポジットに対して、炭素繊維平織り布帛とエポキシ樹脂とからなるハードコンポジットを接着せずに重ねて積層した場合、耐衝撃性試験において、ハードコンポジット部分に穴が開いたものの、ソフトコンポジット部分は、破れずにサンプルの飛散がなかった旨の記載がされている。
しかしながら、この高機能コンポジットでは、耐衝撃性の点でもいまだ不十分であるだけでなく、ハードコンポジットとソフトコンポジットとを非接着または軽度の接着で積層することにより衝撃力を高めているため、実用性に乏しい。
特開2007−283758(特許請求の範囲、段落番号[0024]−[0036])
本発明の目的は、高い耐衝撃性を有するだけでなく、破砕時の破片飛散防止効果に優れる耐衝撃性積層成形体を提供することにある。
本発明の別の目的は、一体性に優れるだけでなく、軽量化が可能である耐衝撃性積層成形体を提供することにある。
本発明のさらに別の目的は、このような耐衝撃性に優れる積層成形体を効率よく製造する方法を提供することにある。
本発明者らは、耐衝撃性成形体について検討したところ、軟質補強繊維としてサーモトロピック液晶ポリマー繊維を用いて形成した布帛に対して樹脂を適用した軟質複合体と、熱硬化性樹脂および硬質補強繊維で構成された硬質複合体とを組み合わせて積層一体化させると、積層成形体の耐衝撃性を向上することができること、さらには、軟質複合体と硬質複合体との一体性を保持しつつ、耐衝撃性を実現できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、硬質複合体マトリクスとして用いられる熱硬化性樹脂および硬質補強繊維で少なくとも構成された硬質複合体と、軟質複合体マトリクスとして用いられる樹脂および軟質補強繊維で少なくとも構成された軟質複合体とを積層一体化した積層成形体であって、前記軟質補強繊維は、少なくともサーモトロピック液晶ポリマー繊維を含むとともに、前記軟質複合体は、この軟質補強繊維から形成した布帛を備える積層成形体であり、この積層成形体は耐衝撃性に優れている。
この積層成形体において、サーモトロピック液晶ポリマー繊維は、マルチフィラメントを形成してもよく、例えば、単繊維繊度1〜15dtex程度であり、かつ総繊度100〜3000dtex程度のマルチフィラメントであってもよい。
軟質補強繊維の布帛は、サーモトロピック液晶ポリマー繊維に関して、一方向性織物、二方向性織物、三軸織物、および多軸織物から選択される一種であってもよい。また、軟質補強繊維の布帛は、目付が40〜300g/m程度であってもよいし、厚みが0.05〜2mm程度であってもよい。
本発明は、このような積層成形体を用いて形成される耐衝撃材も包含する。
また、本発明は、耐衝撃性積層成形体の製造方法も含み、前記製造方法は、
少なくともサーモトロピック液晶ポリマー繊維を含む軟質補強繊維を、一部または全部に用いて、布帛を形成する布帛形成工程と、
前記軟質補強繊維の布帛に対して、樹脂を含浸または積層することにより複合化して、軟質複合体を形成する複合化工程と、
前記軟質複合体に対して、熱硬化性樹脂および硬質補強繊維で少なくとも構成された硬質複合体を接着する接着工程と、を備えている。
前記製造方法では、樹脂が、シート状または布帛状の熱可塑性樹脂であってもよく、さらに、軟質複合体を形成する複合化工程は、
最外層を熱可塑性樹脂シートまたは布帛として、熱可塑性樹脂のシートまたは布帛と、軟質補強繊維の布帛とを交互に積層して、積層物を形成する積層工程と、
前記積層物を加熱・圧着させる圧着工程とを備えていてもよい。
なお、本明細書において、フィラメントとは連続長繊維を意味し、有限短繊維であるステープルと区別される。
本発明によれば、サーモトロピック液晶ポリマー繊維を含む軟質補強繊維から形成した布帛と樹脂とを組み合わせて軟質複合体を形成し、さらに硬質複合体と積層一体化することにより、積層成形体の耐衝撃性を向上し、強い衝撃を与えた場合であっても、物体の耐破損性を向上して、破砕物の飛散を防止することができる。
さらに、本発明の積層成形体は、耐衝撃性に優れるだけでなく、硬質複合体と軟質複合体との一体性に優れているため、積層成形体自身の耐久性を高めることができる。
本発明の耐衝撃性積層成形体は、硬質補強繊維と熱硬化性樹脂とで少なくとも構成された硬質複合体(硬質繊維含有複合体)と、軟質補強繊維と樹脂とで少なくとも構成された軟質複合体(軟質繊維含有複合体)とを積層一体化した積層成形体である。
[硬質複合体]
硬質複合体は、硬質複合体マトリクスとしての熱硬化性樹脂と、硬質補強繊維とを少なくとも含み、必要に応じて熱硬化性樹脂に対応する硬化剤、硬化促進剤、硬化触媒、さらに必要に応じて、相溶化剤、フィラー、染料や顔料等の着色剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤などの各種添加剤などを含有してもよい。
(熱硬化性樹脂)
熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂(ビスフェノールA型、ノボラック型、臭素化型、脂環式型など)、ビニルエステル系樹脂(ビスフェノールA型、ノボラック型、臭素化型など)、不飽和ポリエステル樹脂、架橋メタクリル系樹脂、フェノール系樹脂(ノボラック型、レゾール型)、尿素樹脂、メラミン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、フラン樹脂、シリコーン系樹脂などが挙げられる。これらの樹脂は、単独で、または二種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの熱硬化性樹脂のうち、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂などが好ましい。
(硬質補強繊維)
また、硬質補強繊維としては、炭素繊維、ガラス繊維等が用いられ、強度の観点から炭素繊維を含むのが好ましい。硬質補強繊維も、軟質補強繊維の項で述べたように、必要に応じて、前述した合成繊維や半合成繊維などを組み合わせてもよい。
硬質補強繊維は、熱硬化性樹脂の成形方法に合わせて長繊維または短繊維等のいずれも用いることができる。例えば、チョップドストランドとして、直接熱硬化性樹脂に混ぜ合わせて適用してもよいし、または、一旦織編物、不織布、ステッチングシート(例えば、ノンクリンプドファブリック)などの布帛状基材を形成し、その後基材に対して熱硬化性樹脂を含浸などして適用してもよい。なお、硬質複合体は、単数または複数の硬質補強繊維布帛を用いて形成してもよく、複数の硬質補強繊維布帛を用いる場合、それぞれの布帛の形状は、同じであってもよく、異なっていてもよい。
これらのうち、強度や弾性率を高める観点から、硬質補強繊維で織編物を形成して、熱硬化性樹脂に適用するのが好ましい。硬質補強繊維で織編物を形成する場合、硬質補強繊維は、通常、フィラメント糸(モノフィラメント、マルチフィラメント)や紡績糸などであり、これらのうち、耐衝撃性を高める観点から、マルチフィラメント糸が好ましい。
硬質補強繊維は、例えば、単繊維繊度が0.1〜600dtex程度、好ましくは0.25〜500dtex程度であってもよく、総繊維繊度が100〜5000dtex程度、好ましくは500〜3000dtex程度であってもよい。
硬質補強繊維を織編糸や繊維束とする織編物やステッチングシートの構造は、硬質補強繊維に関して、一方向性織物、二方向性織物、三軸織物、多軸織物、ノンクリンプドファブリックなどのいずれであってもよい。これらのうち、軽量化と耐衝撃性とを両立させる観点から、一方向性織物、二方向性織物およびノンクリンプドファブリックが好ましい。
例えば、一方向性織物および二方向性織物である場合、織物密度としては、緯糸密度および/または経糸密度が、8〜50本/2.5cm程度、10〜45本/2.5cm程度であってもよい。
硬質補強繊維で形成した布帛(織編物、ステッチングシートなど)の1枚当りの目付は、例えば50〜500g/m程度であってもよく、100〜400g/m程度が好ましい。また、布帛の1枚当りの厚みは、例えば、0.05〜2mm程度であってもよく、0.1〜1.5mm程度が好ましい。
硬質複合体において、熱硬化性樹脂100重量部に対する硬質補強繊維の割合は、硬質補強繊維の形状に応じて30重量部〜300重量部程度の幅広い範囲から選択でき、50重量部〜200重量部程度が好ましい。
硬質複合体の製造方法としては、例えば、ハンドレイアップ法、スプレイアップ法、SMC法、BMC法、RTM法、プレス法などが挙げられる。これらのうち、硬質補強繊維で形成した基材に対して、熱硬化性樹脂を含浸させるSMC法、RTM法などが好ましく用いられる。
[軟質複合体]
軟質複合体は、軟質複合体マトリクスとしての樹脂(例えば、熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂)と、軟質補強繊維とで少なくとも構成され、前記軟質補強繊維は、サーモトロピック液晶ポリマー繊維を含むとともに、この軟質補強繊維により布帛が形成されている。また、軟質複合体は、硬質複合体の項で述べた各種添加剤などを含有していてもよい。
(樹脂)
軟質複合体では、軟質補強繊維としてサーモトロピック液晶ポリマー繊維を用いるため、幅広い種類の樹脂を組み合わせることが可能であり、例えば、硬質複合体の項で記載した各種熱硬化性樹脂を組み合わせてもよく、熱可塑性樹脂を組み合わせてもよい。
熱可塑性樹脂としては、オレフィン系樹脂(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニル共重合体など)、ポリエステル系樹脂(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレートなど)、ポリアミド系樹脂(例えば、ポリアミド6、ポリアミド66などの脂肪族ポリアミド、脂環族ポリアミド、芳香族ポリアミドなど)、スチレン系樹脂(例えば、ポリスチレンなど)、(メタ)アクリル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アイオノマー樹脂(例えば、オレフィン系アイオノマー、フッ素系アイオノマーなど)、熱可塑性エラストマー(スチレン系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、塩化ビニル系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマーなど)などが挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は、単独でまたは組み合わせて用いてもよい。
これらのうち、サーモトロピック液晶ポリマーを含む軟質補強繊維との一体性に優れる観点から、熱可塑性エラストマー、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、アイオノマー樹脂などが好ましい。
スチレン系熱可塑性エラストマーとしては、SEP(スチレン/エチレン/プロピレン共重合体)、SEPS(スチレン/エチレン/プロピレン/スチレンブロック共重合体)、SEEPS(スチレン/エチレン/エチレン/プロピレン/スチレンブロック共重合体)、SBS(スチレン/ブタジエン/スチレンブロック共重合体)、SEBS(スチレン/エチレン/ブタジエン/スチレンブロック共重合体)、SIS(スチレン/イソプレン/スチレンブロック共重合体)などが挙げられる。これらのスチレン系熱可塑性エラストマーのうち、SEP、SEPS、SEEPS、SEBSなどが好ましい。
オレフィン系熱可塑性エラストマーは、ポリエチレンまたはポリプロピレンをハードセグメントをとし、SEBSやエチレン/プロピレン共重合体をソフトセグメントとして構成される。
ウレタン系熱可塑性エラストマーは、低分子グリコールとジイソシアネート類とで構成されるハードセグメント、および高分子ジオールとジイソシアネートとで構成されるソフトセグメントから構成される。
前記低分子グリコールとしては、例えば、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなどのC1−10ジオールなどが挙げられ、前記高分子ジオールとしては、ポリ(1,4−ブチレンアジペート)、ポリ(1,6−ヘキサンアジペート)、ポリカプロラクトン、ポリエチレングリコール、ポリプロレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコールなどが挙げられ、ジイソシアネートとしては、例えばトリレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどが挙げられる。
これらの熱可塑性樹脂のうち、耐衝撃性とサーモトロピック液晶ポリマーフィラメント(特に全芳香族ポリエステルフィラメント)との一体性に優れる観点から、スチレン系熱可塑性エラストマーが好ましい。
また、軟質補強繊維と組み合わせる熱硬化性樹脂としては、前記熱硬化性樹脂で記載した各種樹脂のうち、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂などが好ましい。また、軟質複合体マトリクスとして用いられる熱硬化性樹脂と、硬質複合体マトリクスとして用いられる熱硬化性樹脂とは、同種であるのが好ましい。
(軟質補強繊維)
本発明で熱可塑性樹脂と組み合わせて用いられる軟質補強繊維は、少なくともサーモトロピック液晶ポリマー繊維を含んでいればよい。
サーモトロピック液晶ポリマー繊維を形成するポリマーとしては、サーモトロピック液晶ポリエステルおよびサーモトロピック液晶ポリエステルアミドなどが挙げられ、これらのうちサーモトロピック液晶ポリエステル、特に全芳香族ポリエステルが好ましい。
例えば、全芳香族ポリエステル繊維を構成するポリアリレート系溶融異方性ポリマーは、芳香族ジオール、芳香族ジカルボン酸、芳香族ヒドロキシカルボン酸等より重合されて得られるポリマーであり、例えば、下記化1及び化2に示す構成単位の組合せからなるものである。
Figure 0005498389
Figure 0005498389
特に好ましくは、下記化3に示す(A)、(B)の反復構成単位からなる部分が80モル%以上である全芳香族ポリエステルであり、特に(B)の成分が3〜45モル%である全芳香族ポリエステルが最も好ましい。
Figure 0005498389
本発明にいう溶融異方性とは、溶融相において光学的異方性を示すことである。この特性は、例えば試料をホットステージにのせ、窒素雰囲気下で昇温加熱し、試料の透過光を観察することにより認定できる。
全芳香族ポリエステル繊維を構成するポリアリレート系溶融異方性ポリマーとして好ましいものは融点(以下、Mpと称す)が260〜360℃の範囲のものであり、さらに好ましくはMpが270〜350℃のものである。なお、Mpは示差走査熱量計(メトラー社DSC)により主吸熱ピークが現れる温度を測定することにより求められる。
なお、前記ポリアリレート系溶融異方性ポリマーには、本発明の効果を損なわない範囲内で、ポリエチレンテレフタレート、変性ポリエチレンテレフタレート、ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリエステルエーテルケトン、フッ素樹脂等の熱可塑性ポリマーを添加してもよい。
サーモトロピック液晶ポリマー繊維を含む軟質補強繊維から形成される布帛の形状としては、各種織編物、不織布、ステッチングシート(例えば、ノンクリンプドファブリック)などが挙げられる。積層成形体の耐衝撃性を高める観点から、布帛は、軟質補強繊維を織編糸や繊維束とする織編物やステッチングシートであるのが好ましい。
軟質補強繊維で織編糸や繊維束を形成する場合、織編糸または繊維束は、通常、フィラメント糸(モノフィラメント、マルチフィラメント)や紡績糸などであってもよいが、破砕物の飛散を防止する観点から、フィラメント糸として用いるのが好ましい。
例えば、サーモトロピック液晶ポリマーフィラメントは、以下のような紡糸方法により形成できる。サーモトロピック液晶ポリマーフィラメントは、ノズルを通過する時のせん断速度を10〜10sec−1とすると、紡糸時に著しい分子配向が生じるため、通常のポリエチレンテレフタレート紡糸原糸などに行われている紡糸後の延伸を行なわなくとも、紡糸原糸のままで強度8cN/dtex以上、弾性率400cN/dtex以上の繊維となる。本発明にいうせん断速度γは、円形ノズルの場合は次式により求めることが出来る。
γ=4Q/πr(sec−1
但し r:ノズルの半径(cm)
Q:単孔当たりのポリマー吐出量(cm/sec)
紡糸原糸は、熱処理することにより強度・弾性率を更に向上させることが可能である。熱処理は(Mp−80℃)〜Mpの温度条件で行なうのが好ましい。例えば、全芳香族ポリエステル繊維の融点は、熱処理温度を上げるに従い上昇するので、熱処理方法としては段階的に温度を上昇させながら熱処理する方法が好ましい。熱処理雰囲気としては、窒素、アルゴン等の不活性ガスや空気等の活性ガス、あるいはそれらを組み合わせた雰囲気などが好適に用いられる。また上記熱処理を減圧下で行っても何等差し支えない。
例えば、このようなサーモトロピック液晶ポリマーフィラメント、例えば全芳香族ポリエステル繊維は、(株)クラレから「ベクトラン(登録商標)」として上市されている。
液晶ポリマーフィラメントの強度は、例えば、10〜100cN/dtex程度、より好ましくは20〜80cN/dtex程度であってもよい。また、液晶ポリマーフィラメントの弾性率は、例えば、500〜2000cN/dtex程度、より好ましくは700〜1500cN/dtex程度であってもよい。
フィラメントから構成される織編糸は、単繊維繊度が500〜5000dtex程度のモノフィラメントであってもよいが、耐衝撃性と軽量性とを両立させる観点から、単繊維繊度1〜15dtexおよび総繊度1000〜3000dtexのマルチフィラメントであるのが好ましい。
また、サーモトロピック液晶ポリマーフィラメントには、必要に応じて、酸化チタンやカオリン、シリカ、酸化バリウム等の無機物、カーボンブラック、染料や顔料等の着色剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、各種添加剤を添加してもよい。
軟質補強繊維は、サーモトロピック液晶ポリマーフィラメント単独で形成してもよいが、必要に応じて、合成繊維や半合成繊維(セルロース系繊維など)を組み合わせて複合糸としてもよい。また、後述する一方向性織物のように、織編物を構成する織編糸の一部をサーモトロピック液晶ポリマーフィラメントを含む繊維で形成し、その他の部分をサーモトロピック液晶ポリマーフィラメントを含まない繊維で形成してもよい。
合成繊維としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂繊維(ポリエチレン、ポリプロピレンなど)、ポリアミド系繊維、ポリ塩化ビニル系繊維、ポリ塩化ビニリデン系繊維、ポリエステル系繊維、アクリル系繊維、ポリウレタン系繊維などが挙げられる。これらの繊維は二種以上組み合わせて使用してもよい。これらの繊維のうち、ポリオレフィン系繊維、ポリアミド系繊維、ポリエステル系繊維が好ましい。
軟質補強繊維が、サーモトロピック液晶ポリマーフィラメントと他の繊維とで構成される複合糸を形成する場合、その複合構造としては、均一構造、群構造、2層構造、3層構造のいずれであってもよい。
軟質補強繊維を織編糸や繊維束として用いた織編物やステッチングシートとしては、サーモトロピック液晶ポリマーフィラメント糸が、経糸または緯糸のいずれか一方向に配列した一方向性織物;サーモトロピック液晶ポリマーフィラメント糸が、経糸および緯糸の双方に配列した二方向性織物;サーモトロピック液晶ポリマーフィラメント糸が縦、横、斜めの三方向に配列した三軸織物;サーモトロピック液晶ポリマーフィラメント糸を四方向以上の多方向に配列した多軸織物;サーモトロピック液晶ポリマーフィラメント糸を編糸として用いた編物(たて編物、よこ編物など);サーモトロピック液晶ポリマーフィラメント糸を繊維束として用い、一方向に揃えられた繊維束を別の糸で留める一方向性ノンクリンプドファブリック;サーモトロピック液晶ポリマーフィラメント糸を繊維束として用い、複数の方向(例えば二方向)に揃えられた繊維束をそれぞれ積層して別の糸で留める多方向性ノンクリンプドファブリックなどのいずれであってもよい。これらのうち、軽量化と耐衝撃性とを両立させる観点から、一方向性織物、二方向性織物、一方向性ノンクリンプドファブリック、および二方向性ノンクリンプドファブリックが好ましい。なお、軟質複合体は、単数または複数の軟質補強繊維布帛を用いて形成してもよく、複数の軟質補強繊維布帛を用いる場合、それぞれの布帛の形状は、同じであってもよく、異なっていてもよい。
例えば、一方向性織物および二方向性織物である場合、織物密度としては、緯糸密度および/または経糸密度が、8〜50本/2.5cm程度、10〜45本/2.5cm程度であってもよい。
軟質補強繊維で形成した布帛の1枚当りの目付は、例えば、軽量性と耐衝撃性とを両立する観点から、例えば40〜300g/m程度であってもよく、100〜200g/m程度が好ましい。また、軟質補強繊維布帛の1枚当りの厚みは、例えば、0.05〜2mm程度であってもよく、0.1〜1.5mm程度が好ましい。
軟質補強繊維で形成した布帛と樹脂とは、溶融または溶解した熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂プレポリマーに、軟質補強繊維布帛を含浸することにより複合化してもよいし、軟質補強繊維で形成した布帛と、布帛状またはシート状の熱可塑性樹脂とを積層し、加熱して複合化してもよいし、または熱可塑性樹脂もしくは熱硬化性樹脂プレポリマーを含むエマルジョンを軟質補強繊維布帛に含浸、乾燥後、積層して加熱により複合化してもよい。簡便に軟質複合体を製造するためには、布帛状またはシート状の熱可塑性樹脂を用いるのが好ましい。
軟質複合体において、熱可塑性樹脂100重量部に対するサーモトロピック液晶ポリマー繊維の割合は、織編物の形状に応じて50重量部〜500重量部程度の幅広い範囲から選択でき、100重量部〜450重量部程度が好ましい。
[積層成形体]
本発明の耐衝撃性積層成形体の製造方法では、前記硬質複合体と軟質複合体とを積層して一体化させる。一体化の手段としては、硬質複合体と軟質複合体とが堅固に一体化される限り特に限定されず、積層成形体において、硬質複合体と軟質複合体とが面状に接着されていればよく、例えば、(i)硬質複合体と軟質複合体との間に、接着剤を塗布などして接着層を設け、硬質複合体と軟質複合体とを一体化させる方法、(ii)軟質複合体を構成する熱可塑性樹脂を加熱して溶融又は軟化させ、隣接する硬質複合体に接着させて、硬質複合体と軟質複合体とを一体化させる方法など、公知または慣用の方法が利用できる。
接着剤としては、例えば熱可塑性樹脂系接着剤(例えば、酢酸ビニル系接着剤、ポリビニルアルコール系接着剤、ポリビニルアセタール系接着剤、ポリ塩化ビニル系接着剤、アクリル系接着剤、ポリアミド系接着剤、セルロース系接着剤など)、熱硬化性樹脂系接着剤(ユリア系接着剤、メラミン系接着剤、フェノール系接着剤、エポキシ系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリウレタン系接着剤など)、ゴム系接着剤(クロロプレン系接着剤、ニトリル系接着剤、スチレン系接着剤、ブチルゴム系接着剤、ポリサルファイド系接着剤、シリコーン系接着剤など)などが挙げられる。これらの接着剤は、単独で、または二種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのうち、硬質複合体と軟質複合体との間で強固な接着が得られる観点から、熱硬化性樹脂系接着剤(特にエポキシ系接着剤、ポリウレタン系接着剤など)が好ましい。
硬質複合体と軟質複合体とは、実用化に耐えうるよう、一体化されているため、硬質複合体と軟質複合体との間における剥離強度(JIS K 6848に準拠する)は、10〜200N/25mm程度、好ましくは15〜180N/25mm程度であってもよい。
また、本発明の耐衝撃性積層成形体は、軽量であっても耐衝撃性が高く、例えば、その目付は2000〜4500g/m程度、好ましくは2500〜4000g/m程度であってもよい。また、耐衝撃性積層成形体の厚みは、0.5〜5mm程度、好ましくは1〜4mm程度であってもよい。
耐衝撃性積層成形体は、硬質複合体(H)と軟質複合体(S)を含む限り、その積層状態は限定されず、例えば、(S)/(H)、(S)/(H)/(S)などの積層状態であってもよい。
また、積層成形体は、積層構造を有する限り、全体としての形状は特に限定されず、2次元形状であっても、3次元形状であってもよい。
さらに、本発明の耐衝撃材は、前記耐衝撃性積層体を用いて形成されているため、少なくとも耐衝撃性積層成形体を含んでいる。耐衝撃材は、耐衝撃性積層体のみで構成されていてもよいし、耐衝撃性積層体と、それを配設した被着体とで構成されていてもよい。このような耐衝撃材としては、耐衝撃板;耐衝撃性壁パネル;ヘルメットや防弾衣類などが挙げられる。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明は本実施例により何等限定されるものではない。なお、実施例中における各種物性は、以下の方法によって求めたものである。
[対数粘度]
ポリマー試料をペンタフルオロフェノールに0.1質量%溶解し(60〜80℃)、60℃の恒温槽中で、ウベローデ型粘度計で相対粘度(ηrel)を測定し、次式によって計算した。
ηinh=ln(ηrel)/c
ここでcはポリマー濃度(g/dl)である。
[融点]
示差走査熱量計(メトラー社製DSC)で観察される主吸熱ピークのピーク温度を融点Mp(℃)とした。
[繊維強度、伸度、初期弾性率]
JIS L 1013に準拠して測定した。
[面衝撃試験方法]
落錘グラフィックインパクトテスター((株)東洋精機製作所製)を用い、JIS K−7211 プラスチック−硬質プラスチック パンクチャー衝撃試験方法に基づき、測定を実施した。測定条件としては、ストライカー径12.7mm、ホルダー径76mm、落下高さ100cm、ウェイト14.5kg、衝撃速度4.4m/秒にて実施した。また、試験後における実施例および比較例の積層体の状態を、目視により評価した。
[剥離強度 cN/25mm]
JIS K 6848に準拠して測定した。
(参考例1)
カーボンファイバー織物(東邦テナックス(株)製、「ベスファイト W−3101」平織、繊度2000dtex、緯糸密度12本/2.5cm、経糸密度12本/2.5cm、目付200g/m、厚さ0.25mm)を8枚積層し、L−RTM成形法にてビニルエステル樹脂積層板(目付3,000g/m、厚み2.1mm)を作成した。この積層板の樹脂付着量は47重量%であった。この積層板の面衝撃試験性能を表1に示す。
(実施例1)
(1)構成単位(A)と(B)が73/27(モル比)である全芳香族ポリエステルポリマーを用いた。このポリマーの物性は、ηinh=4.6dl/g、融点Mp=280℃であった。このポリマーを通常の溶融紡糸装置を用いて紡糸し、1670dtex/300フィラメントのマルチフィラメントを得た。このマルチフィラメントを窒素雰囲気中で280℃、20時間熱処理し、全芳香族ポリエステルポリマーフィラメント(強度26.3cN/dtex、伸度4.3%、初期弾性率610cN/dtex)を得た。
(2)このフィラメントを用いて、緯糸密度12本/2.5cm、経糸密度12本/2.5cmの平織物を作製した。この織物の目付は、167g/mであり、厚みは0.31mmであった。
(3)一方で、熱可塑性エラストマー((株)クラレ製、「SEPTON2002」)を溶融混練し、メルトブロー法により積層することにより、目付25g/mの不織布を作製した。
(4)上記(2)で作製した全芳香族ポリエステル平織物と、上記(3)で作製した熱可塑性エラストマー不織布とを、最外層を不織布として、平織物/不織布=1枚/2枚の割合で交互に積層し、総積層量を平織物/不織布=3/6枚とした。これを、参考例1のビニルエステル樹脂積層板の片面に配し、ビニルエステル積層板と平織物と不織布とを全体的に熱プレスして、積層一体化させた。プレス条件は、200℃で3分間予熱後、80kgf/cm下の圧力で、200℃×5分間保持し、厚み2.7mm、目付3,651g/mの積層成形体を得た。この積層成形体の面衝撃試験性能を表1に示す。また、この積層体において、硬質複合体と軟質複合体とは、手で双方を剥離することはできず、硬質複合体と軟質複合体との間における剥離強度は、20.3N/25mmであった。
(実施例2)
実施例1の(2)で得られた平織物に代えて、一方向性織物を使用した。一方向性織物は、実施例1の(1)で得られたフィラメントを緯糸とし、これを12本/2.5cmの密度となるようにガイドで規制しながら無撚り状態のフィラメントとして給糸した。熱可塑性エラストマーの水性エマルジョン((株)クラレ製「SEPTONエマルジョン」)中に浸漬後、熱風乾燥(120℃×1分+200℃×30秒)してプリプレグを作製した。これを3枚重ね、参考例1のビニルエステル樹脂積層板の片面に配し、ビニルエステル樹脂積層板とプリプレグ全体とを、実施例(4)と同じプレス条件により熱プレスすることで、積層一体化させた。得られた積層体は厚み2.6mm、目付3633g/mであった。この積層成形体の面衝撃試験性能を表1に示す。また、この積層体において、硬質複合体と軟質複合体とは、手で双方を剥離することはできなかった。
(比較例1)
実施例1の(2)で得られた平織物に代えて、構成繊維をアラミド繊維(東レ・デュポン(株)製、「ケブラー29」、1660dtex、強度20.3cN/dtex、伸度3.6%、初期弾性率406cN/dtex)とし、緯糸密度13本/2.5cm、経糸密度13本/2.5cmの平織物を使用する以外は、実施例1と同様にして、ビニルエステル樹脂積層板と、平織物および不織布とを積層・熱プレスして積層一体化させた。得られた積層成形体は、厚み2.6mm、目付3660g/mであった。この積層成形体の面衝撃試験性能を表1に示す。
(比較例2)
実施例2で用いられた全芳香族繊維の一方向性織物に代えて、構成繊維をアラミド繊維(東レ・デュポン(株)製、「ケブラー29」、1660dtex、強度20.3cN/dtex、伸度3.6%、初期弾性率406cN/dtex)とする一方向性織物を使用する以外は、実施例2と同様にして積層成形体を得た。得られた積層体は厚み2.6mm、目付3645g/mであった。この積層成形体の面衝撃試験性能を表1に示す。
(実施例3)
実施例1の(3)で得られた熱可塑性エラストマー不織布に代えて、アイオノマーフィルム(タマポリ(株)製、目付40g/m、厚み0.05mm)を用い、平織物/フィルム=1枚/1枚の割合で交互に積層し、総積層量を平織物/フィルム=3枚/3枚とする以外は、実施例1と同様にして、参考例1のビニルエステル樹脂積層板の片面に配し、ビニルエステル樹脂積層板と、平織物およびフィルムとを積層・熱プレスして積層一体化させた。得られた積層成形体は、厚み2.6mm、目付3621g/mであった。この積層成形体の面衝撃試験性能を表1に示す。また、この積層体において、硬質複合体と軟質複合体とは、手で双方を剥離することはできなかった。
(実施例4)
実施例3のアイオノマーフィルムに代えて、PETフィルム(日本マタイ(株)製「エルファンPH」、目付40g/m、厚み0.05mm)を用いるとともに、ビニルエステル樹脂積層板と、平織物およびフィルムとを熱プレスする温度を290℃とする以外は、実施例3と同様にして積層成形体を得た。得られた積層成形体は、厚み2.6mm、目付3618g/mであった。この積層成形体の面衝撃試験性能を表1に示す。また、この積層体において、硬質複合体と軟質複合体とは、手で双方を剥離することはできなかった。
(実施例5:参考例
実施例1(2)で得られた平織物を3枚積層し、参考例1と同様の方法でL−RTM成形法にて全芳香族ポリエステル織物のビニルエステル樹脂積層板(厚み0.6mm、目付750g/m)を作製した。次いで、参考例1で得られたカーボン織物のビニルエステル樹脂積層板の片面に、エポキシ系接着剤(ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ社製、「アラルダイト」)を塗布し、先に作製した全芳香族ポリエステル織物のビニルエステル樹脂積層板を重ねて接着させ、双方を積層一体化させた。得られた積層成形体は、厚み2.6mm、目付3780g/mであった。この積層成形体の面衝撃試験性能を表1に示す。また、この積層体において、硬質複合体と軟質複合体とは、手で双方を剥離することはできなかった。
(比較例3)
実施例5の平織物に代えて、比較例1で用いたアラミド繊維の平織物を用いる以外は実施例5と同様にして積層成形体を得た。得られた積層成形体は、厚み2.6mm、目付3625g/mであった。この積層成形体の面衝撃試験性能を表1に示す。
(実施例6)
参考例1で得られたビニルエステル積層体の片面に、実施例1(2)で得られた織物を3枚重ね、その織物の上から弾性接着剤(セメダイン(株)製、「セメダインスーパーX」)を塗布し、接着一体化させた。得られた積層成形体は、厚み2.4mm、目付3605g/mであった。この積層成形体の面衝撃試験性能を表1に示す。また、この積層体において、硬質複合体と軟質複合体とは、手で双方を剥離することはできず、硬質複合体と軟質複合体との間における剥離強度は、54.1N/25mmであった。
(比較例4)
実施例5の平織物に代えて、ポリ-p-フェニレンベンゾビスオキサゾール繊維(PBO繊維)の平織物を用いる以外は実施例5と同様にして積層成形体を得た。得られた積層成形体は、厚み2.5mm、目付3720g/mであった。この積層成形体の面衝撃試験性能を表1に示す。
(比較例5)
実施例5の平織物に代えて、高強度ポリエチレン繊維(高強度PE)の平織物を用いる以外は実施例5と同様にして積層成形体を得た。得られた積層成形体は、厚み2.5mm、目付3422g/mであった。この積層成形体の面衝撃試験性能を表1に示す。
(比較例6)
実施例5の平織物に代えて、参考例1のカーボン繊維の平織物を用いる以外は実施例5と同様にして積層成形体を得た。得られた積層成形体は、厚み2.8mm、目付4118g/mであった。この積層成形体の面衝撃試験性能を表1に示す。
Figure 0005498389
表1に示すように、サーモトロピック液晶ポリマーフィラメントを用いた実施例1〜6では、面衝撃試験において高い耐衝撃性を示し、最大衝撃力および全吸収エネルギーの双方で高い値を示した。そして、衝撃試験後の軟質複合体は、変形はしたものの、衝撃による貫通は発生しなかった。さらに、衝撃試験後の硬質複合体にバリが発生することも防止できた。また、硬質複合体と軟質複合体とは一体性が高く、両者は手で剥離することができなかった。
一方、軟質複合体においてアラミド繊維を用いた比較例1〜3では、面衝撃試験における耐衝撃性が実施例ほど高くなく、最大衝撃力および全吸収エネルギーの双方で低い値を示した。さらに、衝撃試験後の軟質複合体は衝撃により貫通し、硬質複合体にバリが発生した。さらに、軟質複合体においてPBO繊維を用いた比較例4、高強度ポリエチレン繊維を用いた比較例5、およびカーボン繊維を用いた比較例6においても、面衝撃試験における耐衝撃性が実施例ほど高くなく、最大衝撃力および全吸収エネルギーの双方で低い値を示した。
本発明の耐衝撃性複合体は、耐衝撃性に優れているため、衝撃板、自動車、鉄道、航空機などの高速移動物体や各種建造物などへ付加される耐衝撃材料として、またはヘルメットや防弾衣類などの構成材料として、有効に利用することができる。
以上のとおり、好適な実施例を説明したが、当業者であれば、本件明細書を見て、自明な範囲内で種々の変更および修正を容易に想定するであろう。したがって、そのような変更および修正は、請求の範囲から定まる発明の範囲内のものと解釈される。

Claims (10)

  1. 熱硬化性樹脂および硬質補強繊維で少なくとも構成された硬質複合体と、熱可塑性樹脂および軟質補強繊維で少なくとも構成された軟質複合体とを積層一体化した積層成形体であって、
    前記軟質補強繊維は、少なくともサーモトロピック液晶ポリマー繊維を含むとともに、
    前記軟質複合体は、この軟質補強繊維から形成した布帛を備え
    硬質複合体と軟質複合体との間の剥離強度が10〜200N/25mmである耐衝撃性積層成形体。
  2. 請求項1の積層成形体において、サーモトロピック液晶ポリマー繊維が、マルチフィラメントを形成する積層成形体。
  3. 請求項の積層成形体において、サーモトロピック液晶ポリマーフィラメントが、単繊維繊度1〜15dtexかつ総繊度100〜3000dtexのマルチフィラメントである積層成形体。
  4. 請求項1〜のいずれか一項の積層成形体において、軟質補強繊維の布帛が、サーモトロピック液晶ポリマー繊維に関して、一方向性織物、二方向性織物、三軸織物、多軸織物、およびノンクリンプドファブリックからなる群から選択される少なくとも一種である積層成形体。
  5. 請求項1〜のいずれか一項の積層成形体において、軟質補強繊維布帛は、布帛1枚当りの目付が40〜300g/mであり、且つ布帛1枚当りの厚みが、0.05〜2mmである積層成形体。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項の積層成形体において、硬質補強繊維が、所定の繊度を有して布帛を形成し、
    前記布帛は、一枚当たりの目付が50〜500g/m 、および/または一枚当たりの厚みが0.05〜2mmである積層成形体。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項の積層成形体を用いて形成される耐衝撃材。
  8. 少なくともサーモトロピック液晶ポリマー繊維を含む軟質補強繊維を、一部または全部に用いて、布帛を形成する布帛形成工程と、
    前記軟質補強繊維の布帛に対して、熱可塑性樹脂を含浸または積層することにより複合化して、軟質複合体を形成する複合化工程と、
    前記軟質複合体に対して、熱硬化性樹脂および硬質補強繊維で少なくとも構成された硬質複合体を接着する接着工程と、
    を備える請求項1〜6のいずれか一項に記載された積層成形体の製造方法。
  9. 請求項8の製造方法において、樹脂が、シート状または布帛状の熱可塑性樹脂である積層成形体の製造方法。
  10. 請求項9の製造方法において、軟質複合体を形成する複合化工程が、
    最外層を熱可塑性樹脂のシートまたは布帛として、熱可塑性樹脂のシートまたは布帛と、軟質補強繊維の布帛とを交互に積層して、積層物を形成する積層工程と、
    前記積層物を加熱・圧着させる圧着工程とを備える積層成形体の製造方法。
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