JP6627266B2 - 強化繊維複合積層体 - Google Patents
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Description
なお、本発明において、強化繊維の破断伸び率は、JIS K7161引張特性の試験法に準じた測定方法により測定される値である。
本積層体を構成するA1層及びA2層は、本積層体の実質的な表裏層として存在する層であり、A層は、強化繊維100質量部に対し、熱可塑性樹脂を50質量部以上、350質量部以下、特に70質量部以上、300質量部以下含有することが好ましい。また、A層は、強化繊維と熱可塑性樹脂を主成分としてこれらを合計で40質量%以上、特に45〜100質量%含有することが好ましい。A層の熱可塑性樹脂含有量が上記の範囲であることにより、十分量の強化繊維を確保して耐衝撃性を高めると共に、低線膨張性を確保することができる。
ただし、このA層中の強化繊維と熱可塑性樹脂の含有量割合において、「熱可塑性樹脂」には、A層が後述の耐衝撃性シートとして、耐衝撃改良剤含有樹脂シートを含む場合、この耐衝撃改良剤含有樹脂シート中の熱可塑性樹脂は含まれるが、耐衝撃性シートとして、耐衝撃有機繊維シートを含む場合、耐衝撃有機繊維シートに含有されるバインダー樹脂は含まれない。また、A層を構成する強化繊維シートがバインダー樹脂を含有する場合、この強化繊維シートに含有されるバインダー樹脂も含まれない。
また、このA層中の強化繊維と熱可塑性樹脂の含有量割合において、「強化繊維」には、A層が後述の耐衝撃性シートとして耐衝撃有機繊維シート又は織物状炭素繊維シートを含む場合、耐衝撃有機繊維シートに含まれる耐衝撃有機繊維や、織物状炭素繊維シートに含まれる炭素繊維も強化繊維に含むものとする。
後述のB層についても同様である。
A層に用いる強化繊維(以下、「強化繊維A」と称す場合がある。)としては特に限定されるものではなく、炭素繊維、ガラス繊維、ポリアリレート繊維、LCP繊維(液晶ポリエステル繊維)等が挙げられる。これらの強化繊維は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。この中でも低線膨張性と耐衝撃性の観点から、強化繊維AとしてはPAN系炭素繊維を用いることが好ましい。
ここで、強化繊維A及び後述の強化繊維Bの平均繊維長及び最大径は、後述する実施例の項に記載の方法で測定することができる。
A層に用いる熱可塑性樹脂は、特に限定されるものではないが、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂及びポリエステル系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂であることが好ましい。ポリカーボネート系樹脂やポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂を使用することで、成形性に優れると共に、耐熱性に優れた本積層体が得られる。これらの樹脂は1種を単独で使用しても良く、2種以上を混合して用いても構わない。
A層に用いるポリカーボネート系樹脂は、ホモポリマー及びコポリマーのいずれであってもよい。また、ポリカーボネート系樹脂は、分岐構造であっても、直鎖構造であってもよいし、さらに分岐構造と直鎖構造との混合物であってもよい。また、複数のポリカーボネート系樹脂を混合して用いてもよい。
なお、いわゆるポリエステルカーボネート樹脂(分子鎖中にエステル結合とカーボネート結合を両方有する樹脂)も、ポリカーボネート系樹脂に含む。
なお、ビスフェノールA以外のジオールを単独、又は、複数のジオールを併用したポリカーボネート系樹脂でも良く、芳香族ジオール、脂肪族ジオール、脂環式ジオールのいずれでも構わない。
A層に用いるポリアミド系樹脂としては、脂肪族ポリアミドが好ましく、ωアミノ酸の開環単独重合で得られるもの、異なるωアミノ酸の開環共重合で得られるもの、及びジアミンとジカルボン酸の共重合で得られるもの、が挙げられる。なお、芳香族ポリアミドや、芳香族−脂肪族ポリアミドを用いることもできる。
A層に用いるポリエステル系樹脂としては、耐熱性や成形性の観点から芳香族ポリエステル系樹脂が好ましく、具体的にはポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレートなどが挙げられる。
A層は、通常、上述の強化繊維Aのシート(強化繊維シート)と、熱可塑性樹脂シートとを各々作製し、これを積層することで作製される。その際、必要に応じて、強化繊維シート及び熱可塑性樹脂シートと共に耐衝撃性シートを積層して用いてもよい。
A層の作製に用いる強化繊維シートの作製方法は特に限定されるものではないが、強化繊維シートは、強化繊維マット、又は強化繊維ペーパーであることが好ましい。ここで、「強化繊維マット」と「強化繊維ペーパー」はいずれも繊維束を開繊・分散し、湿式法や乾式法で成形・抄紙して平膜状としたシートである。この強化繊維シートには前述の強化繊維Aの1種のみが含まれていてもよく、2種以上が含まれていてもよい。
A層を構成する熱可塑性樹脂シートの作製方法としては特に限定されず、Tダイキャスト法、カレンダー法、プレス法など、公知の溶融製膜方法を採用することができる。
本発明において、A層の作製には、耐衝撃性シート、即ち、衝撃を吸収して耐衝撃性を向上させるためのシートを用いてもよく、耐衝撃性シートを用いることにより、本積層体の耐衝撃性をより一層高めることができる。
耐衝撃性シートとしては、耐衝撃改良剤を含む樹脂シート、耐衝撃有機繊維シート、織物状炭素繊維シートなどを用いることができる。
耐衝撃改良剤を含む樹脂シートに用いる耐衝撃改良剤としては、通常熱可塑性樹脂において柔軟性の向上に用いられるゴム等を用いることができる。
耐衝撃有機繊維シートを構成する耐衝撃有機繊維、即ち、衝撃を吸収し耐衝撃性を向上させる有機繊維としては、アラミド繊維、高分子量ポリエチレン繊維、ポリアリレート繊維、PBO(ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール)繊維、PPS(ポリフェニレンサルファイド)繊維、ポリイミド繊維等が例示できる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
織物状炭素繊維シートとしては、平織や朱子織等の織物状炭素繊維シートが例示でき、中でも製造プロセス面の生産性の観点や耐衝撃のインパクトによるエネルギーを効率よく吸収し、材料の変形を抑制する事から平織(クロス)の織物状炭素繊維シートが好適に使用できる。
平織(クロス)とは、経糸(たていと)と緯糸(よこいと)を交互に浮き沈みさせて織ることにより得られるものである。
本積層体を構成するB層は、A1層(表層)とA2層(裏層)との間に設けられたコア層(中間層)として存在する層であり、B層は、強化繊維100質量部に対し、熱可塑性樹脂を10〜400質量部、好ましくは30〜300質量部、さらに好ましくは50〜200質量部含有することが好ましい。また、B層は、強化繊維と熱可塑性樹脂を主成分としてこれらを合計で30質量%以上、特に30〜100質量%含有することが好ましい。このB層の熱可塑性樹脂含有量が上記の範囲であることによって、本積層体について優れた低線膨張性を実現できる。
B層に用いる強化繊維(以下、「強化繊維B」と称す場合がある。)としては、強化繊維Aとして例示したものと同様のものの1種又は2種以上を用いることができるが、特に炭素繊維を用いることが好ましい。炭素繊維としては、ピッチ系炭素繊維、PAN系炭素繊維のいずれでも良く、これらを組み合わせて用いてもよいが、低線膨張性の観点からピッチ系炭素繊維が好ましい。ピッチ系炭素繊維としては、メソフェーズピッチ系炭素繊維と、等方性ピッチ系炭素繊維のいずれでもよいが、本積層体の機械強度や低線膨張性を向上する観点から、破断伸びが0.3〜0.7%のピッチ系炭素繊維がさらに好ましい。
B層に用いる熱可塑性樹脂は、特に限定されるものではないが、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂及びポリエステル系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂であることが好ましい。ポリカーボネート系樹脂やポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂を使用することで、成形性に優れると共に、耐熱性に優れた本積層体が得られる。これらの樹脂は1種を単独で使用しても良く、2種以上を混合して用いても構わない。本発明においてB層に用いるポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂としては、A層に用いる熱可塑性樹脂として前述したものをいずれも用いることができ、そのメルトマスフローレート(MFR)の好適範囲等についても同様である。
B層は、通常、上述の強化繊維Bのシート(強化繊維シート)と、熱可塑性樹脂シートとを各々作製し、これを積層することで作製される。その際、必要に応じて、強化繊維シート及び熱可塑性樹脂シート共に前述の耐衝撃性シートを積層して用いてもよい。
B層の作製に用いる強化繊維シートは、強化繊維Aの代りに強化繊維Bを用いること以外は、A層の作製に用いる強化繊維シートと同様に作製することができる。
B層を構成する熱可塑性樹脂シートは、前述したA層を構成する熱可塑性樹脂シートの作製方法と同様の方法で、同様の厚みに作製することができる。
また、B層を構成する熱可塑性樹脂シートは、前述の耐衝撃性シートとしての耐衝撃改良剤を含む樹脂シートに含まれる耐衝撃改良剤として例示した耐衝撃改良剤を含有していてもよく、その場合、耐衝撃改良剤の含有量は、熱可塑性樹脂に対して100質量%以下であることが好ましい。
本積層体は、本発明の特徴や効果を阻害しない範囲内で、A層及びB層以外の他の層を設けてもよい。
具体的には、本積層体はA1層/B層/A2層の積層構成であればよく、例えばA層のさらに外側に、印刷層などの意匠性を有する層や、防汚層などの表面保護層を設けることもできる。また、A層とB層の層間に、必要に応じて接着層などを設けることもできる。
本積層体は、前記の通り、A層を構成する強化繊維シート、熱可塑性樹脂シート及び必要に応じて用いられる耐衝撃性シートを作製し、また、B層を構成する強化繊維シート及び熱可塑性樹脂シートを作製し、これらを積層することで製造することができる。
ここで、強化繊維シートと熱可塑性樹脂シートは、適宜1〜複数枚の強化繊維シートと熱可塑性樹脂シートを交互に積層することが好ましい。強化繊維シートを複数枚用いる場合、複数枚の強化繊維シートは同一のものであっても、強化繊維の種類や厚み等が異なるものであってもよいが、同一であることが材料調達の利便性の観点より好ましい。熱可塑性樹脂シートについても同様である。
また、耐衝撃性シートを設ける場合、耐衝撃性シートは熱可塑性樹脂シート間に介在するように設けることが好ましい。
かかる範囲においてプレス成形することにより、低線膨張性と耐衝撃性とプレス成形性のバランスに優れた積層体を作製することができる。
本積層体の厚み(総厚み)は特に限定されないが、0.5mm以上、5.0mm以下であることが好ましく、0.75mm以上、4.0mm以下であることがさらに好ましく、1.0mm以上、3.0mm以下であることが特に好ましい。本積層体の厚みが0.5mm以上であれば、本積層体や、本積層体をプレス成形した製品が表面外観に優れる。また、本積層体の厚みが5.0mm以下であれば、本積層体がプレス成形性に優れる。
また、耐衝撃性シートにより形成される層の厚みは、A層の厚みDAに対して20〜50%程度であることが、低線膨張性と耐衝撃性の両立の上で好ましい。
実施例及び比較例における測定・評価は以下の方法・基準で行った。
日立ハイテクサイエンス社製TMA測定装置7100を用い、JIS K7197に準じて、作製した積層体について20℃から150℃までの線膨張率を測定し、線膨張係数を算出し、以下の基準で評価した。
◎:線膨張係数が1×10−5/℃以下
○:線膨張係数が1×10−5/℃より大きく3×10−5/℃以下
×:線膨張係数が3×10−5/℃より大きい
作製した積層体を、幅50mm、長さ150mmに切断し、デュポン衝撃試験装置の撃ち型(半径6.5mmの1/4型)と受け台(1/4用受け台)の間にセットし、落下錘(300g)を25mm間隔で順次落下させていき、サンプルの衝撃面の裏面表面が破壊する高さを求め、以下の基準で評価した。
○:破壊発生高さが100mm以上
△:破壊発生高さが100mm未満で75mmを超える
×:破壊発生高さが75mm以下
作製した積層体について、凹凸形状高さが10mmの段差のある賦形型を用いて、温度=240℃、圧力=2MPa、成形時間=15分の条件でプレス成形を行い、積層体の表面を目視で観察して、以下の基準で評価した。
○:表面に炭素繊維が露出せず、かつ、割れが生じていない状態
×:表面に炭素繊維が露出している状態、又は、賦形型の絞りに積層体が追従できず割れが生じている状態。
(1)熱可塑性樹脂
・ポリカーボネート樹脂(PC):カリバー301−30(住化スタイロン社製)、MFR(300℃、1.2kgf荷重)=30g/min
・ポリアミド樹脂(PA):UBEナイロン1022B(宇部興産社製)
・ピッチ系炭素繊維(C−1):ダイアリードK6371T(三菱樹脂(株)製)、メソフェーズピッチ系炭素繊維、破断伸び率=0.4%、繊維径=10μm
・PAN系炭素繊維(C−2):パイロフィルTR40(三菱レイヨン社製)、破断伸び率=2.0%、繊維径=7〜9μm
(3) 耐衝撃性シート用材料
・PAN系炭素繊維クロス:パイロフィルTR3110M(三菱レイヨン社製)、平織クロス、坪量=200g/cm2、繊維径=7〜9μm、フィラメント数=3000本
・ポリアリレート繊維:ベクトランHT(クラレ社製)、繊維長=10mm
・耐衝撃改良剤:メタブレンS2003(三菱レイヨン社製)、シリコーン・アクリルゴム
(1) 熱可塑性樹脂シートの作製
熱可塑性樹脂100質量部に対し、滑剤等を所定の割合で混合して、東洋精機(株)製のプラストグラフミキサーに供給し、温度=230℃、回転数=50rpm、混練時間=5分の条件で溶融混練し、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を2枚の金属板間に挟み込み、温度=230℃、圧力=2MPa、成形時間=15分の条件でプレス成形し、厚み100μmの熱可塑性樹脂シートを作製した。
以下、熱可塑性樹脂としてポリカーボネート樹脂を用いた熱可塑性樹脂シートを「PCシート」と称し、熱可塑性樹脂としてポリアミド樹脂を用いた熱可塑性樹脂シートを「PAシート」と称す。
(2−1) PAN系炭素繊維(C−2)シート
乾式法による不織布の作製方法を用い、PAN系炭素繊維(C−2)を気流中で浮遊・解繊した後にスクリーン上に吸引してシート化するエアレイ法で、坪量100g/m2、厚み5000μmで、バインダー樹脂(PVA樹脂繊維)含有量20質量%(対炭素繊維)炭素繊維シートを作製した。以下、この炭素繊維シートを「C−2シート」と称す。
ピッチ系炭素繊維(C−1)を、JIS P8220−1(2012年)に準じて、湿式抄紙法により離解機を用いて開繊・分散し、バインダー樹脂としてPVA繊維を炭素繊維に対して10質量%用いて抄紙して秤量(炭素繊維量)100g/m2、厚み3000μmの炭素繊維ペーパーを作製した。この時、離解機は、プロペラの回転数=3000rpm、回転時間=5秒の条件で運転した。以下、この炭素繊維ペーパーを「C−1シート」と称す。
(3−1) 耐衝撃改良剤含有樹脂シートの作製
ポリカーボネート樹脂100質量部に対し滑剤等を所定の割合で混合し、さらに耐衝撃改良剤(メタブレンS2030)を100質量部加え、東洋精機(株)製のプラストグラフミキサーに供給し、温度=230℃、回転数=50rpm、混練時間=5分の条件で溶融混練し、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を2枚の金属板間に挟み込み、温度=230℃、圧力=2MPa、成形時間=15分の条件でプレス成形し、厚み150μmの耐衝撃改良剤含有樹脂シートを作製した。以下、このシートを「ゴム含有PCシート」と称す。
ポリアリレート繊維(ベクトランHT)90質量%とバインダー繊維としてPVA繊維10質量%とを用いて、JIS P8220−1(2012年)に準じて、湿式抄紙法により離解機を用いて開繊・分散し、抄紙して秤量150g/m2、厚み200μmのポリアクリレート繊維ペーパーを作製した。この時、離解機は、プロペラの回転数=3000rpm、回転時間=20秒の条件で運転した。以下、このポリアクリレート繊維ペーパーを「PARシート」と称す。
[実施例1]
PCシート3枚とC−2シート4枚を、PCシート/C−2シート/PCシート/C−2シート/C−2シート/PCシート/C−2シートの順で積層してA層用積層シートとした。
このA層用積層シートで形成されるA層は、PAN系炭素繊維(C−2)100質量部に対して、ポリカーボネート樹脂を95質量部含むものである。
このB層用積層シートで形成されるB層は、ピッチ系炭素繊維(C−1)100質量部に対して、ポリカーボネート樹脂を41質量部含むものである。
PCシート3枚とゴム含有PCシート1枚とC−2シート4枚を、PCシート/ゴム含有PCシート/PCシート/C−2シート/C−2シート/C−2シート/C−2シート/PCシートの順で積層してA層用積層シートとした。
このA層用積層シートで形成されるA層は、PAN系炭素繊維(C-2)100質量部に対して、ポリカーボネート樹脂(PCシート中のポリカーボネート樹脂とゴム含有PCシート中のポリカーボネート樹脂の合計)を125質量部含むものである。
このB層用積層シートで形成されるB層は、ピッチ系炭素繊維(C-1)100質量部に対して、ポリカーボネート樹脂を20質量部含むものである。
PCシート3枚と、PAN系炭素繊維クロス1枚(以下「PANクロス」と称す。)と、C−2シート2枚を、PCシート/PCシート/PANクロス/C−2シート/PCシート/C−2シートの順で積層してA層用積層シートとした。
このA層用積層シートで形成されるA層は、PAN系炭素繊維(C-2)及びPANクロス中のPAN系炭素繊維の合計100質量部に対して、ポリカーボネート樹脂を93質量部含むものである。
このB層用積層シートで形成されるB層は、ピッチ系炭素繊維(C-1)100質量部に対して、ポリカーボネート樹脂を82質量部含むものである。
PCシート4枚とPARシート1枚とC−2シート2枚を、PCシート/PARシート/PCシート/C−2シート/PCシート/C−2シート/PCシートの順で積層してA層用積層シートとした。
このA層用積層シートで形成されるA層は、PAN系炭素繊維(C-2)とPARシート中のポリアリレート繊維の合計100質量部に対して、ポリカーボネート樹脂を140質量部含むものである。
PAシート3枚とC−2シート4枚を、PAシート/C−2シート/PAシート/C−2シート/C−2シート/PAシート/C−2シートの順で積層してA層用積層シートとした。
このA層用積層シートで形成されるA層は、PAN系炭素繊維(C−2)100質量部に対して、ポリアミド樹脂を93質量部含むものである。
このB層用積層シートで形成されるB層は、ピッチ系炭素繊維(C−1)100質量部に対して、ポリアミド樹脂を41質量部含むものである。
PCシート10枚と、C−1シート15枚をPC/PC/C−1/C−1/C−1/PC/C−1/C−1/C−1/PC/PC/C−1/C−1/C−1/PC/PC/C−1/C−1/C−1/PCC−1/C−1/C−1/PC/PCの順で積層して積層シートとした。この積層シートを、実施例1と同様の条件でプレス成形し、総厚みが1.6mmの積層体を作製した。
実施例1において、A層用積層シートに、C−2シートに代えてC−1シートを用い、B層用積層シートに、C−1シートに代えてC−2シートを用いたこと以外は、実施例1と同様にして積層体を作製した。
一方、本発明において特定する条件を満たさない比較例の積層体は、耐衝撃性に劣る。
作製した積層体の厚み方向の断面を、光学顕微鏡を用いて観察し、A層又はB層の視野を任意に50箇所観察し、全視野中に存在する炭素繊維束の最大径をC−2シート又はC−1シート部分の炭素繊維束の最大径とした。
<炭素繊維の平均繊維長>
作製した積層体の厚み方向の断面を、光学顕微鏡を用いて観察した。A層又はB層の視野を任意に50箇所観察し、全視野中に存在する炭素繊維の長さを1本ずつ測り、この総和の平均をC−2シート又はC−1シート部分の炭素繊維の平均繊維長とした。
繊維束の最大径=3mm
C−2シート:平均繊維長=40mm
繊維束の最大径=2mm
実施例2:A層の厚みDA0.65mmに対して100〜300μmの範囲
実施例3:A層の厚みDA0.5mmに対して200〜300μmの範囲
実施例4:A層の厚みDA0.55mmに対して100〜300μmの範囲
Claims (7)
- A1層/B層/A2層の順で積層してなる強化繊維複合積層体であって、
A1層、A2層、及びB層の全てが強化繊維と熱可塑性樹脂を含み、
A1層及びA2層の強化繊維として、炭素繊維を有し、
B層の強化繊維として、破断伸び率が0.3〜0.7%の炭素繊維を有し、
A1層及びA2層の強化繊維の破断伸び率が、B層の強化繊維の破断伸び率よりも1.0〜2.0%高く、
A1層及びA2層は、強化繊維100質量部に対し、熱可塑性樹脂を50質量部以上350質量部以下含有し、
B層は、強化繊維100質量部に対し、熱可塑性樹脂を10〜400質量部含有し、
A1層及び/又はA2層は、耐衝撃性シートが熱可塑性樹脂シート間に介在するように設けられている強化繊維複合積層体。 - 前記A1層、A2層及びB層の熱可塑性樹脂が、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、及びポリエステル系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂である、請求項1に記載の強化繊維複合積層体。
- 前記A1層及びA2層の強化繊維の破断伸び率が0.8%以上である、請求項1又は2に記載の強化繊維複合積層体。
- 前記耐衝撃性シートが、積層体表面に近い位置に積層されている、請求項1〜3のいずれかに記載の強化繊維複合積層体。
- 前記耐衝撃性シートが、樹脂100質量部に対して耐衝撃改良剤を10〜120質量部含む、請求項1〜4のいずれかに記載の強化繊維複合積層体。
- 前記耐衝撃性シートが、耐衝撃有機繊維シートである、請求項1〜5のいずれかに記載の強化繊維複合積層体。
- 前記耐衝撃性シートが、織物状炭素繊維シートである、請求項1〜5のいずれかに記載の強化繊維複合積層体。
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