JP2023160466A - 炭素繊維強化プラスチック板および炭素繊維強化プラスチック板の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 アルミニウムに相当する曲げ弾性率を有し、切削加工性も満たすと共に、コストを抑えることのできる、炭素繊維強化プラスチック板および炭素繊維強化プラスチック板の製造方法を提供する。【解決手段】 炭素繊維強化プラスチック板であって、ピッチ系炭素繊維織布および母材を有する第1炭素繊維強化プラスチック層と、PAN系炭素繊維織布および/またはPAN系炭素繊維不織布ならびに母材を有する第2炭素繊維強化プラスチック層と、ピッチ系炭素繊維織布および母材を有する第3炭素繊維強化プラスチック層と、が積層しており、前記炭素繊維強化プラスチック板の表面は、前記第1炭素繊維強化プラスチック層および前記第3炭素繊維強化プラスチック層が配置されており、前記第1炭素繊維強化プラスチック層の厚みと前記第3炭素繊維強化プラスチック層の厚みの比が4~6:6~4であり、前記炭素繊維強化プラスチック板の曲げ弾性率が70GPa~150GPaである、炭素繊維強化プラスチック板。【選択図】図1

Description

本発明は、炭素繊維強化プラスチック板および炭素繊維強化プラスチック板の製造方法に関する。
炭素繊維強化プラスチック(以下、「CFRP」とする場合がある)は、軽量で高い強度を有し、釣竿やゴルフクラブのシャフト等のスポーツ用途、自動車や航空機等の産業用途などの他、建築物の補強等の建設分野等にも幅広く用いられている。
このようなCFRPとして、例えば、特許文献1では、面内方向における放熱性及び剛直性が高いシートでありながら、屈曲性、可撓性に優れた炭素繊維強化樹脂シートが開示されている。
また、特許文献2では、加工性、加工後の平滑性および強度を満足することのできる、炭素繊維強化プラスチック板および炭素繊維強化プラスチック板の製造方法が開示されている。
特開2010-229238号公報 特開2020-199643号公報
例えば、プレス金型のダイセット部品や高速駆動する金型部品等として、アルミニウム製の部品が使用されている。アルミニウムは金属の中では軽量な金属であるが、これらのダイセット部品や金型部品においては、アルミニウム製の部品であっても人力で持ち運ぶことができないような重い部品があり、このような部品は運搬車や台車等で運搬する必要がある。また、部品を機械の一部としての設置する際にも、複数人でクレーン等を用いた設置作業を行う場合がある。そのため、アルミニウムよりも軽量なCFRPで部品を代替することができれば、運搬や設置作業を人力で容易に行うことができる。
ただし、アルミニウム製の部品をCFRP製の部品へ代替するためには、アルミニウムに相当する曲げ弾性率を有し、そして、寸法精度の高い部品を得るためには切削加工性も満たす必要がある。さらには、このような曲げ弾性率と切削加工性を満足したとしても、部品の加工前の状態であるCFRP板のコストが高いと、CFRP板は市場からは受け入れられない。
そこで、本発明は、アルミニウムに相当する曲げ弾性率を有し、切削加工性も満たすと共に、コストを抑えることのできる、炭素繊維強化プラスチック板および炭素繊維強化プラスチック板の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の炭素繊維強化プラスチック板は、ピッチ系炭素繊維織布および母材を有する第1炭素繊維強化プラスチック層と、PAN系炭素繊維織布および/またはPAN系炭素繊維不織布ならびに母材を有する第2炭素繊維強化プラスチック層と、ピッチ系炭素繊維織布および母材を有する第3炭素繊維強化プラスチック層と、が積層しており、前記炭素繊維強化プラスチック板の表面は、前記第1炭素繊維強化プラスチック層および前記第3炭素繊維強化プラスチック層が配置されており、前記第1炭素繊維強化プラスチック層の厚みと前記第3炭素繊維強化プラスチック層の厚みの比が4~6:6~4であり、前記炭素繊維強化プラスチック板の曲げ弾性率が70GPa~150GPaである。
本発明の炭素繊維強化プラスチック板は、順に、前記第1炭素繊維強化プラスチック層と、前記第2炭素繊維強化プラスチック層と、前記第3炭素繊維強化プラスチック層と、が積層した3層構造からなる積層体を備えてもよい。
本発明の炭素繊維強化プラスチック板は、炭素繊維強化プラスチック板の厚みに対する前記第1炭素繊維強化プラスチック層の厚みと前記第3炭素繊維強化プラスチック層の厚みの合計の割合が、10%~60%であってもよい。
本発明の炭素繊維強化プラスチック板は、前記第1炭素繊維強化プラスチック層において、炭素繊維織布の繊維体積含有率が40~60体積%であってもよく、前記第2炭素繊維強化プラスチック層において、炭素繊維織布および/または炭素繊維不織布の繊維体積含有率が40~60体積%であってもよく、前記第3炭素繊維強化プラスチック層において、炭素繊維織布の繊維体積含有率が40~60体積%であってもよい。
本発明の炭素繊維強化プラスチック板は、厚みが10mm~100mmであってもよい。
本発明の炭素繊維強化プラスチック板は、前記母材が熱硬化性樹脂であってもよい。
本発明の炭素繊維強化プラスチック板は、前記第1炭素繊維強化プラスチック層の厚みと前記第3炭素繊維強化プラスチック層の厚みの比が5:5であってもよい。
本発明の炭素繊維強化プラスチック板において、前記第1炭素繊維強化プラスチック層と前記第3炭素繊維強化プラスチック層は、同じピッチ系炭素繊維織布および同じ母材からなってもよく、炭素繊維織布の繊維体積含有率が同じであってもよい。
本発明の炭素繊維強化プラスチック板において、前記第1炭素繊維強化プラスチック層および前記第3炭素繊維強化プラスチック層の平面度は、100mmあたり0.005~0.05mmであってもよい。
また、上記課題を解決するために、本発明の炭素繊維強化プラスチック板の製造方法は、上記の炭素繊維強化プラスチック板の製造方法であって、母材を含浸させたピッチ系炭素繊維織布、PAN系炭素繊維織布および/またはPAN系炭素繊維不織布を硬化させる硬化工程を含む。
前記硬化工程後、前記第1炭素繊維強化プラスチック層および/または前記第3炭素繊維強化プラスチック層をフライス加工するフライス加工工程を含んでもよい。
本発明によれば、アルミニウムに相当する曲げ弾性率を有し、切削加工性も満たすと共に、コストを抑えることのできる、炭素繊維強化プラスチック板および炭素繊維強化プラスチック板の製造方法を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る炭素繊維強化プラスチック板の模式断面図である。 図1とは異なる態様の、本発明の一実施形態に係る炭素繊維強化プラスチック板の模式断面図である。 CFRP板の厚みに対する第1CFRP層の厚みと第3CFRP層の厚みの合計の割合に対する、曲げ弾性率の測定結果を示すグラフである。
以下、本発明に係る炭素繊維強化プラスチック板および炭素繊維強化プラスチック板の製造方法の一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、本発明は以下の例に限定されるものではない。
[炭素繊維強化プラスチック板]
本発明の炭素繊維強化プラスチック板は、第1炭素繊維強化プラスチック層と、第2炭素繊維強化プラスチック層と、第3炭素繊維強化プラスチック層と、が積層しており、前記炭素繊維強化プラスチック板の表面は、前記第1炭素繊維強化プラスチック層および前記第3炭素繊維強化プラスチック層が配置されている。
〈曲げ弾性率〉
本発明の炭素繊維強化プラスチック板の曲げ弾性率は、70GPa~150GPaである。70GPaは、アルミニウムに相当する曲げ弾性率であり、70GPa以上の曲げ弾性率の炭素繊維強化プラスチック板であれば、これを部品に加工することにより、アルミニウム製の部品をCFRP製の部品へ代替することができる。曲げ弾性率が70GPa未満の場合、強度が足りないため、アルミニウム製の部品をCFRP製の部品へ代替することができない。
また、150GPaは、本発明の積層構造を備える炭素繊維強化プラスチック板の曲げ弾性率の上限値である。例えば、単一層としてピッチ系炭素繊維織布および母材を有する炭素繊維強化プラスチック層のみを備える炭素繊維強化プラスチック板であれば、曲げ弾性率を150GPaとすることができるが、非常に高価な炭素繊維強化プラスチック板となってしまうため、アルミニウム製の部品をCFRP製の部品へ代替する方向へ市場が変化し難くなる。
(炭素繊維織布)
炭素繊維織布は、炭素繊維を糸とし、糸を縦横に組み合わせて織った織物である。炭素繊維は、軽くて強いという長所があり、例えば鉄と比較すると比重で1/4倍、比強度で10倍、比弾性率が7倍ある。その他にも、耐摩耗性、耐熱性、熱伸縮性、耐酸性、電気伝導性に優れる。例えば、アクリル繊維またはピッチを原料とし、原料を高温で炭化して作ることが可能であり、炭素繊維としては有機繊維の前駆体を加熱炭素化処理して得られる、質量比で90%以上が炭素で構成される繊維が挙げられる。
炭素繊維として、アクリル繊維を使った炭素繊維はPAN系(Polyacrylonitrile)炭素繊維、ピッチを使った炭素繊維はピッチ系(PITCH)炭素繊維と区分される。さらにピッチ系炭素繊維の場合、等方性ピッチ系炭素繊維からは汎用の炭素繊維が製造され、メソフェーズピッチ系からは高強度で高弾性率の炭素繊維が製造される。本発明では、強度に優れるPAN系炭素繊維および剛性に優れるピッチ系炭素繊維のいずれも使用する。
このような炭素繊維を織物とした炭素繊維織布としては、二方向高強度クロスといわれる。縦方向と横方向の二方向において高強度のものを使用することができる。繊維質量としては、縦50~200g/m、横50~200g/mのものを使用することができ、厚さが縦0.03~0.1mm、横0.03~0.1mmのものを使用することができる。
(炭素繊維不織布)
炭素繊維不織布は、炭素繊維を織らずニードルパンチ法等によって3次元に絡み合わせたシート状の布である。炭素繊維の詳細については、(炭素繊維織布)の項目において説明した内容と同様であるため、ここでは説明は省略する。
このような炭素繊維不織布としては、PAN系の炭素繊維を基本とし、質量300~1500g/m、厚みが3~15mmのものを使用することができる。また、炭素繊維へレイヨン繊維、アクリル繊維、可塑性樹脂繊維、その他各種繊維を所定比率で複合した混合繊維を用いることもできる。
(母材)
CFRP板において、母材は炭素繊維の間隙を充填する材料であり、合成樹脂や天然樹脂を用いることができる。CFRP板としての強度を確保する観点から、エポキシ樹脂やウレタン樹脂等の熱硬化性樹脂を母材として用いることができる。また、炭素繊維との相溶性の点から、ポリブチレンサクシネート(PBS)やポリフェニレンサルファイド(PPS)も用いることができる。
特に、母材としてエポキシ樹脂を使用する場合には、ビスフェノールAやビスフェノールFとエピクロルヒドリンとの共重合体を主剤とし、種々のポリアミンや無水フタル酸等の酸無水物を硬化剤として使用することができる。また、CFRP板に溶剤が含まれないよう、また、板としての痩せが生じないよう、無溶剤型の樹脂を使用することが好ましく、炭素繊維との複合の容易性の観点から、常温で固形の樹脂よりも液状の樹脂を用いることが好ましい。
エポキシ樹脂としては、具体的にはエポキシ当量150~300の液状無溶剤型のビスフェノールAを主剤とし、これと相溶し反応硬化可能なビスアミノ化合物を硬化剤として使用することができる。例えば、これらの主剤と硬化剤を混合後、ポットライフ以前に炭素繊維と複合化することで、CFRP板とすることができる。
〈第1炭素繊維強化プラスチック層〉
第1炭素繊維強化プラスチック層は、ピッチ系炭素繊維織布および母材を有する層である。炭素繊維として織布を採用し、母材と組み合わせた複合材料層とすることで強靭な層となるため、強化層としてCFRP板の強度を確保することができる。
第1炭素繊維強化プラスチック層において、炭素繊維織布の繊維体積含有率(Vf)が40~60体積%であることが好ましい。Vfが高いと、機械特性や物理特性に優れるという長所があるが、母材の量が少なくなるため、第1炭素繊維強化プラスチック層を形成することが困難となるおそれがある。また、Vfが高いと、靱性や表面平滑性に劣るおそれがある。一方で、Vfが低いと、母材の特性が優先的に発現してしまい、炭素繊維による強化向上効果が損なわれるおそれがある。これらの点を考慮して、第1炭素繊維強化プラスチック層の場合には、Vfを40~60体積%とすることで、CFRP板としての強度を十分に確保することができる。
第1炭素繊維強化プラスチック層の母材として、熱硬化性樹脂を使用することが出来る。
〈第2炭素繊維強化プラスチック層〉
第2炭素繊維強化プラスチック層は、PAN系炭素繊維織布および/またはPAN系炭素繊維不織布ならびに母材を有する層である。炭素繊維と母材と組み合わせて、複合材料層とする。ピッチ系炭素繊維織布よりも安価なPAN系炭素繊維織布および/またはPAN系炭素繊維不織布を用いることで、曲げ弾性率を70GPa~150GPaの範囲内としつつ、CFRP板のコストを抑えることができる。
なお、炭素繊維不織布は、炭素繊維織布と比べるとCFRP板とした場合の強度に劣るものの、炭素繊維強化プラスチック板の曲げ弾性率が70GPa~150GPaとなるのであれば、用いることができる。また、PAN系炭素繊維織布とPAN系炭素繊維不織布は、これらのいずれかのみを用いても良く、併用してもよい。
第2炭素繊維強化プラスチック層において、炭素繊維織布および/または炭素繊維不織布の繊維体積含有率(Vf)が40~60体積%であることが好ましい。Vfが高いと、機械特性や物理特性に優れるという長所があるが、母材の量が少なくなるため、第2炭素繊維強化プラスチック層を形成することが困難となるおそれがある。一方で、Vfが低いと、母材の特性が優先的に発現してしまい、炭素繊維による強化向上効果が損なわれるおそれがある。これらの点を考慮して、第2炭素繊維強化プラスチック層の場合には、Vfを40~60体積%とすることができる。
第2炭素繊維強化プラスチック層の母材として、熱硬化性樹脂を使用することが出来る。
〈第3炭素繊維強化プラスチック層〉
第3炭素繊維強化プラスチック層は、ピッチ系炭素繊維織布および母材を有する層である。炭素繊維として織布を採用し、母材と組み合わせた複合材料層とすることで強靭な層となるため、強化層としてCFRP板の強度を確保することができる。
第3炭素繊維強化プラスチック層において、炭素繊維織布の繊維体積含有率(Vf)が40~60体積%であることが好ましい。Vfが高いと、機械特性や物理特性に優れるという長所があるが、母材の量が少なくなるため、第3炭素繊維強化プラスチック層を形成することが困難となるおそれがある。また、Vfが高いと、靱性や表面平滑性に劣るおそれがある。一方で、Vfが低いと、母材の特性が優先的に発現してしまい、炭素繊維による強化向上効果が損なわれるおそれがある。これらの点を考慮して、第3炭素繊維強化プラスチック層の場合には、Vfを40~60体積%とすることで、CFRP板としての強度を十分に確保することができる。
第3炭素繊維強化プラスチック層の母材として、熱硬化性樹脂を使用することが出来る。
本発明の炭素繊維強化プラスチック板の具体例について、図1、2を用いて説明する。図1は本発明の一実施形態に係る炭素繊維強化プラスチック板100の模式断面図である。また、図2は、図1とは異なる態様の、本発明の一実施形態に係る炭素繊維強化プラスチック板110の模式断面図である。
炭素繊維強化プラスチック板100は、第1炭素繊維強化プラスチック層10と、第2炭素繊維強化プラスチック層20と、第3炭素繊維強化プラスチック層30が積層している。そして、炭素繊維強化プラスチック板100の表面は、第1炭素繊維強化プラスチック層10および第3炭素繊維強化プラスチック層30が配置されている。
すなわち、図1の炭素繊維強化プラスチック板100は、順に、第1炭素繊維強化プラスチック層10と、第2炭素繊維強化プラスチック層20と、第3炭素繊維強化プラスチック層30とが積層した3層構造からなる積層体60を備える。
ただし、本発明の炭素繊維強化プラスチック板は、図1に示す3層構造からなる積層体40に限定されない。例えば、図2に示す炭素繊維強化プラスチック板110のように、5層構造からなる積層体70を備えても良い。炭素繊維強化プラスチック板110の場合は、第1炭素繊維強化プラスチック層10と第2炭素繊維強化プラスチック層20との間に第4炭素繊維強化プラスチック層40が配され、第2炭素繊維強化プラスチック層20と第3炭素繊維強化プラスチック層30との間に第5炭素繊維強化プラスチック層50が配されている。
第4炭素繊維強化プラスチック層40および第5炭素繊維強化プラスチック層50は、第1炭素繊維強化プラスチック層10、第2炭素繊維強化プラスチック層20および第3炭素繊維強化プラスチック層30とは異なる層であってもよい。例えば、ピッチ系炭素繊維不織布および母材を有する炭素繊維強化プラスチック層や、PAN系炭素繊維不織布および母材を有する炭素繊維強化プラスチック層が挙げられる。
また、本発明の炭素繊維強化プラスチック板は、更なる層を備えることにより、6層以上の積層体を備えても良い。
第1炭素繊維強化プラスチック層10および第3炭素繊維強化プラスチック層30は、フライス加工等されたことで平滑性の高い表面を備えても良い。フライス加工後であれば、炭素繊維強化プラスチック板100、110の表面、すなわち第1炭素繊維強化プラスチック層10および第3炭素繊維強化プラスチック層30の表面の平滑性は、加工後よりも高くなっている。例えば、第1炭素繊維強化プラスチック層10および第3炭素繊維強化プラスチック層30の平面度は、100mmあたり0.005~0.05mmに調整することができる。
本発明の炭素繊維強化プラスチック板は、第1炭素繊維強化プラスチック層10および第3炭素繊維強化プラスチック層30が第2炭素繊維強化プラスチック層20を挟む構造となっている。第1炭素繊維強化プラスチック層10および第3炭素繊維強化プラスチック層30が、強化層として外側に配されることにより、そして、後述するようにこれらの層の厚みの比が4~6:6~4の範囲内であることにより、炭素繊維強化プラスチック板の曲げ弾性率を70GPa~150GPaにすることができる。
また、第2炭素繊維強化プラスチック層20は、PAN系炭素繊維織布やPAN系炭素繊維不織布を用いることにより切削加工性が悪く、フライス加工によってチッピングが生じて所望の平滑性を得られない場合がある。そこで、フライス加工によって平滑性を十分に確保できるよう、切削加工性に優れるピッチ系炭素繊維織布を用いる第1炭素繊維強化プラスチック層10および第3炭素繊維強化プラスチック層30を第2炭素繊維強化プラスチック層20よりも外側に配し、炭素繊維強化プラスチック板の表面に第1炭素繊維強化プラスチック層10および第3炭素繊維強化プラスチック層30を配置することで、フライス加工によって炭素繊維強化プラスチック板の表面の平滑性を満足させることができる。
本発明において、炭素繊維強化プラスチック板100の厚み100Hに対する第1炭素繊維強化プラスチック層10の厚み10Hと第3炭素繊維強化プラスチック層30の厚み30Hの合計の割合が、10%~60%であることが好ましい。この割合が10%~60%の範囲内であることにより、コストを抑えつつ、曲げ弾性率を70GPa~150GPaの範囲内にすることができる。
この割合が10%未満の場合、曲げ弾性率が70GPa未満になる場合がある。また、この範囲が60%を超えると、コストが高くなってアルミニウムの代替としてのCFRP板を提供することが困難となるおそれがある。
また、炭素繊維強化プラスチック板100の場合と同様の理由により、炭素繊維強化プラスチック板110の厚み110Hに対する第1炭素繊維強化プラスチック層10の厚み10Hと第3炭素繊維強化プラスチック層30の厚み30Hの合計の割合が、10%~60%であることが好ましい。
本発明において、第1炭素繊維強化プラスチック層10の厚みと第3炭素繊維強化プラスチック層30の厚みの比は、4~6:6~4である。炭素繊維強化プラスチック板の表面は、第1炭素繊維強化プラスチック層10および第3炭素繊維強化プラスチック層30が配置されており、これらの層の厚みに違いがありすぎると、これらの層の内部応力の差が大きくなることで、炭素繊維強化プラスチック板に反りが発生し、平滑な表面を有する炭素繊維強化プラスチック板が得られないおそれがある。また、これらの層の厚みに違いがありすぎると、第1炭素繊維強化プラスチック層10と第3炭素繊維強化プラスチック層30のうちで薄い方の層の強度が低下してしまい、炭素繊維強化プラスチック板としての曲げ弾性率が70GPa以上とならない場合がある。
特に、第1炭素繊維強化プラスチック層10の厚みと第3炭素繊維強化プラスチック層30の厚みの比が5:5であることにより、これらの層の内部応力の差がなくなる、または小さくなることで、炭素繊維強化プラスチック板に反りが発生せず、かつ、これらの層の強度もほぼ同じとなることで、炭素繊維強化プラスチック板としての曲げ弾性率を70GPa以上とすることが困難とならず、容易となる。
また、第1炭素繊維強化プラスチック層10と第3炭素繊維強化プラスチック層30は、同じピッチ系炭素繊維織布および同じ母材からなり、炭素繊維織布の繊維体積含有率が同じであってもよい。これらが同じであれば、第1炭素繊維強化プラスチック層10と第3炭素繊維強化プラスチック層30の内部応力の差がなくなる、または小さくなり、また、これらの層の強度もほぼ同じとなる。結果として、炭素繊維強化プラスチック板に反りが発生せず、炭素繊維強化プラスチック板の曲げ弾性率を70GPa以上とすることが容易となる。
特に、順に、第1炭素繊維強化プラスチック層と、第2炭素繊維強化プラスチック層と、第3炭素繊維強化プラスチック層と、が積層した3層構造からなる積層体であって、炭素繊維強化プラスチック板の厚みに対する第1炭素繊維強化プラスチック層の厚みと第3炭素繊維強化プラスチック層の厚みの合計の割合が、10%~60%であり、第1炭素繊維強化プラスチック層において、炭素繊維織布の繊維体積含有率が40~60体積%であり、第2炭素繊維強化プラスチック層において、炭素繊維織布および/または炭素繊維不織布の繊維体積含有率が40~60体積%であり、第3炭素繊維強化プラスチック層において、炭素繊維織布の繊維体積含有率が40~60体積%であり、母材が熱硬化性樹脂であり、第1炭素繊維強化プラスチック層の厚みと第3炭素繊維強化プラスチック層の厚みの比が5:5であり、第1炭素繊維強化プラスチック層と第3炭素繊維強化プラスチック層は、同じピッチ系炭素繊維織布および同じ母材からなり、炭素繊維織布の繊維体積含有率が同じである、炭素繊維強化プラスチック板であることが、より好ましい。特に、第1炭素繊維強化プラスチック層と第3炭素繊維強化プラスチック層を全く同じ材料を用いて全く同じ製法により製造することができるため、これらを異なる材料を用いる場合や異なる製法により製造する場合と比べて、製造の手間や負担が減り、製造コストを抑えることができることで炭素繊維強化プラスチック板としての製品価格を低くすることができる。
(その他の構成)
本発明の炭素繊維強化プラスチック板は、これまで説明した第1炭素繊維強化プラスチック層~第5炭素繊維強化プラスチック層に加え、他の構成を備えてもよい。例えば、第1炭素繊維強化プラスチック層、第2炭素繊維強化プラスチック層および第3炭素繊維強化プラスチック層を接着して積層する場合には、これらの層の間に母材との相性の良い樹脂系の接着剤層を備えることができる。また、第1炭素繊維強化プラスチック層や第3炭素繊維強化プラスチック層の表面に傷が発生したり、表面が汚染されないよう、炭素繊維強化プラスチック板を使用する直前まで表面を保護する保護層や保護フィルム等を備えてもよい。
本発明の炭素繊維強化プラスチック板としては、板の厚みが10mm~100mmであることが好ましい。本発明では、アルミニウム製の部品をCFRP製の部品へ代替することを目的としており、このような部品に加工するためには、加工前の状態の炭素繊維強化プラスチック板として、十分な厚みが必要であるからである。ただし、板の厚みを上記の範囲に限定されず、上記の範囲より厚みが薄くてもよく、上記の範囲より厚みが厚くてもよい。
[炭素繊維強化プラスチック板の製造方法]
次に、上記した本発明の炭素繊維強化プラスチック板について、その製造方法を説明する。
〈硬化工程〉
硬化工程は、母材を含浸させたピッチ系炭素繊維織布、PAN系炭素繊維織布および/またはPAN系炭素繊維不織布を硬化させる工程である。例えば母材が熱硬化性樹脂であれば、加熱させることで硬化させることができる。また、熱可塑性樹脂であれば、この樹脂を加熱溶融させた状態で、ピッチ系炭素繊維織布、PAN系炭素繊維織布および/またはPAN系炭素繊維不織布に含浸させた後に、常温まで冷却することで硬化させることができる。
製造手順としては、硬化工程の前に、ピッチ系炭素繊維織布、PAN系炭素繊維織布および/またはPAN系炭素繊維不織布を積層してから母材を含浸させて、その後に硬化工程を実施してCFRP板を製造してもよく、これらの織布と不織布のそれぞれに母材を含浸させてから硬化工程を実施して、例えば第1炭素繊維強化プラスチック層~第5炭素繊維強化プラスチック層を別個に製造し、これらを接着剤等で接合してCFRP板を製造してもよい。
なお、接着剤層があることによってCFRP板の強度が低下するおそれがある場合には、例えばVaRTM法により、これらの織布と不織布を積層してから母材を含浸させて、その後に室温硬化と加熱硬化を行うことにより、接着剤層が存在せず、第1炭素繊維強化プラスチック層~第5炭素繊維強化プラスチック層が直接積層したCFRP板を製造することができる。
〈フライス加工工程〉
本発明では、硬化工程後、第1炭素繊維強化プラスチック層および/または第3炭素繊維強化プラスチック層をフライス加工する工程を設けてもよい、CFRP板の表面平滑性を向上させるべく、例えば表面の平面度は100mmあたり0.005~0.05mmにする場合には、フライス加工を行えばよい。
(その他の工程)
本発明の炭素繊維強化プラスチック板の製造方法は、硬化工程やフライス加工工程に加え、他の構成を備えてもよい。例えば、上記した炭素繊維の織布と不織布を積層する工程や、積層した炭素繊維へ母材を含浸させる含浸工程が挙げられる。
以下、本発明について、実施例を用いてさらに具体的に説明するが、本発明は、実施例に何ら限定されるものではない。以下の実施例では、CFRP板を製造し、製造したCFRP板に対して曲げ弾性率の測定およびフライス加工による切削加工性の評価を行った。
[CFRP板の製造]
(実施例1)
金型(内部寸法:500×500×12mm)内にピッチ系炭素繊維織布(日本グラファイトファイバー株式会社製 PF-XN80-400を7層重ね、さらにPAN系炭素繊維織布(FORMOSA株式会社製 ECCF)を28層重ね、さらにピッチ系炭素繊維織布(日本グラファイトファイバー株式会社製 PF-XN80-400)を7層重ねて、ピッチ系-PAN系-ピッチ系の3層構造とした炭素繊維を金型に配置した。そして、エポキシ樹脂主剤(ハンツマン株式会社 Araldite LY3585)と硬化剤(ハンツマン株式会社 Aradur 3475)を質量比で100:21の割合で混合した樹脂を、80℃に加熱して密閉した金型内に注入した。そして、混合した樹脂の注入後、80℃で10分の加熱硬化を行った。これらの工程により、第1炭素繊維強化プラスチック層10と、第2炭素繊維強化プラスチック層20と、第3炭素繊維強化プラスチック層30が積層した3層構造からなる積層体を備える、実施例1の炭素繊維強化プラスチック板100を得た。
(比較例1)
金型(内部寸法:500×500×12mm)内にPAN系炭素繊維織布(FORMOSA株式会社製 ECCF)を42層重ね、単一層構造とした炭素繊維を金型に配置した。そして、エポキシ樹脂主剤(ハンツマン株式会社 Araldite LY3585)と硬化剤(ハンツマン株式会社 Aradur 3475)を質量比で100:21の割合で混合した樹脂を、80℃に加熱して密閉した金型内に注入した。そして、混合した樹脂の注入後、80℃で10分の加熱硬化を行った。これらの工程により、単一層からなる比較例1の炭素繊維強化プラスチック板を得た。
(比較例2)
金型(内部寸法:500×500×12mm)内にピッチ系炭素繊維織布(日本グラファイトファイバー株式会社製 PF-XN80-400)を28層重ね、単一層構造とした炭素繊維を金型に配置した。そして、エポキシ樹脂主剤(ハンツマン株式会社 Araldite LY3585)と硬化剤(ハンツマン株式会社 Aradur 3475)を質量比で100:21の割合で混合した樹脂を、80℃に加熱して密閉した金型内に注入した。そして、混合した樹脂の注入後、80℃で10分の加熱硬化を行った。これらの工程により、単一層からなる比較例2の炭素繊維強化プラスチック板を得た。
(比較例3)
金型(内部寸法:500×500×12mm)内にPAN系炭素繊維不織布(日本ポリマー産業株式会社 CFZ-500SE)を13層重ね、単一層構造とした炭素繊維を金型に配置した。そして、エポキシ樹脂主剤(ハンツマン株式会社 Araldite LY3585)と硬化剤(ハンツマン株式会社 Aradur 3475)を質量比で100:21の割合で混合した樹脂を、80℃に加熱して密閉した金型内に注入した。そして、混合した樹脂の注入後、80℃で10分の加熱硬化を行った。これらの工程により、単一層からなる比較例1の炭素繊維強化プラスチック板を得た。
[曲げ弾性率の測定]
実施例1、比較例1~3のCFRP板について、JIS K7074に基づき以下の条件にて曲げ試験を実施した。
試験片の寸法:100×15mm、厚み2mm
試験速度:5mm/分
支点間距離L:L=40×h(80mm)
圧子の半径R1:R1=5mm
支持台の半径R2:R2=2mm
曲げ弾性率:接線法
[フライス加工による切削加工性の評価]
製造した実施例1の炭素繊維強化プラスチック板100を3体使用し、第1炭素繊維強化プラスチック層10の表面に対し、第1炭素繊維強化プラスチック層10の厚さが10mmとなるまで、以下の条件によりフライス加工を行った。また、比較例1~3のCFRP板についても3体使用し、実施例1のCFRP板と同条件のフライス加工を行った。
(フライス加工条件)
装置:スクリューオン式汎用正面フライス(三菱マテリアル製)
カッタ型式:ASX44R10005D
インサート:SEGT13T3AGFN-JP HTi10
回転数:S=615min-1(V=193m/min)
送り速度:F=369mm/min
フライス加工後の実施例1、比較例1~4のCFRP板について、これらの表面の平面度(平面形体の幾何学的に正しい平面からの狂いの大きさ)を、3次元精密測定機(ZEISS社製 型番:UPMC 850)を用いて測定した。
表1に、CFRP板の構成、曲げ弾性率の測定値、切削加工性の評価結果、平面度の測定値、CFRP板の原価の評価結果について示す。表1の切削加工性の評価において、フライス加工により目視で加工面が均一な平面であると評価できる場合を〇、チッピングにより加工面に欠けが発生し、加工面が均一な平面でない場合を×、と評価した。また、表1の原価の評価において、市場において購入される程度にコストが安い場合を〇、市場において購入されない程度にコストが高い場合を×、と評価した。また、「CFRP板の厚みに対する第1CFRP層の厚みと第3CFRP層の厚みの合計の割合」の項目において、比較例1のCFRP板は第1CFRP層と第3CFRP層が存在せず、第2CFRP層のみからなる単一層のCFRP板に相当する板であることから、0%と表記した。同様に、比較例2のCFRP板は第2CFRP層が存在せず、第1CFRP層および第3CFRP層と同じ層からなる単一層のCFRP板に相当する板であることから、100%と表記した。
[結果]
実施例1においては、曲げ弾性率が70GPa以上の条件を満たし、フライス加工後の100mmあたりの平面度は0.033mmで平面性は非常に高く、また、切削加工性および原価の評価はいずれも〇の評価であった。そのため、実施例1の炭素繊維強化プラスチック板は、アルミニウムに相当する曲げ弾性率を有し、切削加工性も満たすと共に、コストを抑えることのできる、炭素繊維強化プラスチック板であることは明らかである。
一方で、比較例1~3においては、曲げ弾性率が70GPa以上の条件を満たない結果、切削加工性を満足しない結果、原価が高い、のいずれかが認められる結果となった。そのため、比較例1~3のCFRP板は、アルミニウム部品の代替として用いることのできないCFRP板であった。
[曲げ弾性率の測定 その2]
図3は、CFRP板100の厚み100Hに対する第1CFRP層10の厚み10Hと第3CFRP層30の厚み30Hの合計の割合を変化させたCFRP板100を作成し、そのCFRP板100の曲げ弾性率を測定した結果である。測定に用いたCFRP板は、上記の割合を変えた以外は全く同じ条件で作成した。X軸がCFRP板100の厚み100Hに対する第1CFRP層10の厚み10Hと第3CFRP層30の厚み30Hの合計の割合(式と符号で示すと、((10H+30H)/100H)×100(%))である。Y軸が上記と同条件により測定した曲げ弾性率の値である。
図3においてX軸が0%の場合は比較例1のCFRP板の曲げ弾性率の結果と対応し、X軸が100%の場合は比較例2のCFRP板の曲げ弾性率の結果と対応し、X軸が36%の場合は実施例1のCFRP板の曲げ弾性率の結果と対応する。
図3の結果より、炭素繊維強化プラスチック板の厚みに対する第1炭素繊維強化プラスチック層の厚みと第3炭素繊維強化プラスチック層の厚みの合計の割合が10%における曲げ弾性率が76GPaであり、この割合が60%における曲げ弾性率が140GPaであり、この割合が60%~100%の間では10GPaの増加したにすぎない。
よって、この割合が10%~60%の範囲内のCFRP板であれば、曲げ弾性率が70GPa以上であり、また、CFRP板の原価は表1の基準による〇の評価となるため、アルミニウム部品の代替として用いることのできるCFRP板であることがわかる。なお、この割合が60%を超えると、CFRP板の原価が高くなり、アルミニウム部品の代替として用いることができない場合がある。
〈まとめ〉
このように、本発明の炭素繊維強化プラスチック板であれば、加工性、加工後の平滑性および強度を満足することができる。そして、このような炭素繊維強化プラスチック板をより安価に提供することができる。そのため、例えばプレス金型のダイセット部品等に利用可能であり、従来のアルミニウム製プレートと比べると重量は半分以下で、高速駆動する金型部品等に用いる等すれば、位置決め精度を高めることができる。
10 第1炭素繊維強化プラスチック層
20 第2炭素繊維強化プラスチック層
30 第3炭素繊維強化プラスチック層
40 第4炭素繊維強化プラスチック層
50 第5炭素繊維強化プラスチック層
100 炭素繊維強化プラスチック板
110 炭素繊維強化プラスチック板
10H 第1炭素繊維強化プラスチック層10の厚み
20H 第2炭素繊維強化プラスチック層20の厚み
30H 第3炭素繊維強化プラスチック層30の厚み
100H 炭素繊維強化プラスチック板100の厚み
110H 炭素繊維強化プラスチック板110の厚み

Claims (11)

  1. 炭素繊維強化プラスチック板であって、
    ピッチ系炭素繊維織布および母材を有する第1炭素繊維強化プラスチック層と、
    PAN系炭素繊維織布および/またはPAN系炭素繊維不織布ならびに母材を有する第2炭素繊維強化プラスチック層と、
    ピッチ系炭素繊維織布および母材を有する第3炭素繊維強化プラスチック層と、が積層しており、
    前記炭素繊維強化プラスチック板の表面は、前記第1炭素繊維強化プラスチック層および前記第3炭素繊維強化プラスチック層が配置されており、
    前記第1炭素繊維強化プラスチック層の厚みと前記第3炭素繊維強化プラスチック層の厚みの比が4~6:6~4であり、
    前記炭素繊維強化プラスチック板の曲げ弾性率が70GPa~150GPaである、
    炭素繊維強化プラスチック板。
  2. 順に、前記第1炭素繊維強化プラスチック層と、前記第2炭素繊維強化プラスチック層と、前記第3炭素繊維強化プラスチック層と、が積層した3層構造からなる積層体を備える、請求項1に記載の炭素繊維強化プラスチック板。
  3. 炭素繊維強化プラスチック板の厚みに対する前記第1炭素繊維強化プラスチック層の厚みと前記第3炭素繊維強化プラスチック層の厚みの合計の割合が、10%~60%である、請求項1に記載の炭素繊維強化プラスチック板。
  4. 前記第1炭素繊維強化プラスチック層において、炭素繊維織布の繊維体積含有率が40~60体積%であり、
    前記第2炭素繊維強化プラスチック層において、炭素繊維織布および/または炭素繊維不織布の繊維体積含有率が40~60体積%であり、
    前記第3炭素繊維強化プラスチック層において、炭素繊維織布の繊維体積含有率が40~60体積%である、請求項1に記載の炭素繊維強化プラスチック板。
  5. 厚みが10mm~100mmである、請求項1に記載の炭素繊維強化プラスチック板。
  6. 前記母材が熱硬化性樹脂である、請求項1に記載の炭素繊維強化プラスチック板。
  7. 前記第1炭素繊維強化プラスチック層の厚みと前記第3炭素繊維強化プラスチック層の厚みの比が5:5である、請求項1に記載の炭素繊維強化プラスチック板。
  8. 前記第1炭素繊維強化プラスチック層と前記第3炭素繊維強化プラスチック層は、同じピッチ系炭素繊維織布および同じ母材からなり、炭素繊維織布の繊維体積含有率が同じである、請求項7に記載の炭素繊維強化プラスチック板。
  9. 前記第1炭素繊維強化プラスチック層および前記第3炭素繊維強化プラスチック層の平面度は、100mmあたり0.005~0.05mmである、請求項1に記載の炭素繊維強化プラスチック板。
  10. 請求項1に記載の炭素繊維強化プラスチック板の製造方法であって、
    母材を含浸させたピッチ系炭素繊維織布、PAN系炭素繊維織布および/またはPAN系炭素繊維不織布を硬化させる硬化工程を含む、炭素繊維強化プラスチック板の製造方法。
  11. 前記硬化工程後、前記第1炭素繊維強化プラスチック層および/または前記第3炭素繊維強化プラスチック層をフライス加工するフライス加工工程を含む、請求項10に記載の炭素繊維強化プラスチック板の製造方法。
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