JP7493439B2 - 繊維強化成形体の製造方法と繊維強化成形体 - Google Patents

繊維強化成形体の製造方法と繊維強化成形体 Download PDF

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Description

本発明は、芯材と該芯材の両面に積層された繊維補強材とからなる繊維強化成形体の製造方法と繊維強化成形体に関する。
近年、軽量化や機械強度の向上を目的として、炭素繊維やガラス繊維などの繊維基材と熱硬化性樹脂との複合材料から形成される繊維強化成形体が、様々な分野・用途に広く使用されている。
特に、自動車や鉄道、航空機などの輸送機器においては、低燃費化の要求が高く、車両や機体の軽量化による低燃費化の効果が高いため、軽量性に優れる繊維強化成形体が金属代替材料として期待されている。
繊維強化成形体の製造方法としては、繊維基材に熱硬化性樹脂を含浸させてプリプレグ化した後、プリプレグをオートクレーブや熱プレスなどを用いて成形する方法がある。
プリプレグを作製する際に繊維基材に含浸させる熱硬化性樹脂は、液状が一般的であるが、液状樹脂のポットライフの問題があり、さらに溶剤を使用する場合には、作業環境や大気汚染の問題がある。
これらの問題を解決する方法として、粉体樹脂を使用して作製したプリプレグが提案されている(特許文献1)。
特開2006-232915号公報
しかし、プリプレグを用いる製造方法では、液状樹脂または粉状樹脂の何れを使用する場合であっても、プリプレグ化する工程に大掛かりな設備が必要になること、プリプレグ化の工程管理が煩雑であることなどから、製造コストが高くなる問題がある。
また、従来のプリプレグは、使用までの保存中に常温でも硬化反応が徐々に進行するため、保存安定性が良くなく、保存されたプリプレグを使用して得られる成形体の品質に影響を与えることがある。
本発明は前記の点に鑑みなされたものであり、プリプレグを用いることなく、繊維強化成形体を製造可能な製造方法と、繊維強化成形体の提供を目的とする。
第1の手段は、樹脂発泡体に熱硬化性樹脂が含浸硬化した芯材と、繊維基材に前記熱硬化性樹脂が含浸硬化した繊維補強材とが積層一体化した繊維強化成形体の製造方法において、前記樹脂発泡体は、連続気泡構造を有する樹脂発泡体であり、前記連続気泡構造を有する樹脂発泡体と前記熱硬化性樹脂と前記繊維基材とで成形前積層体を形成し、前記成形前積層体を加熱圧縮することにより、前記熱硬化性樹脂を溶融し、溶融した該熱硬化性樹脂を、前記連続気泡構造を有する樹脂発泡体と前記繊維基材に含浸させ、硬化させることを特徴とする。
第2の手段は、連続気泡構造を有する樹脂発泡体に熱硬化性樹脂が含浸硬化した芯材と、繊維基材に前記熱硬化性樹脂が含浸硬化した繊維補強材とが積層一体化した繊維強化成形体であって、前記熱硬化性樹脂は、硬化反応開始温度Tb℃の粘度が2,000Pa・s以下であり、硬化反応開始温度Tb℃~190℃の範囲における最高粘度が1,000Pa・s以上であることを特徴とする。
本発明によれば、プリプレグを用いることなく繊維強化成形体を得ることができる。また、本発明によれば、凹凸形状に賦形した繊維強化成形体を得ることもできる。
本発明の第1実施形態に係る繊維強化成形体の断面図である。 図1の繊維強化成形体を製造する方法の一実施形態における積層及び加熱圧縮を示す断面図である。 図1の繊維強化成形体を製造する方法の他の実施形態における積層及び加熱圧縮を示す断面図である。 本発明の第2実施形態に係る繊維強化成形体の断面図である。 図4の繊維強化成形体を製造する方法の一実施形態における積層及び加熱圧縮を示す断面図である。 本発明の第3実施形態に係る繊維強化成形体の断面図である。 図6の繊維強化成形体を製造する方法の一実施形態における積層及び加熱圧縮を示す断面図である。 本発明の第4実施形態に係る繊維強化成形体の断面図である。 図8の繊維強化成形体を製造する方法の一実施形態における積層及び加熱圧縮を示す断面図である。 図8の繊維強化成形体を製造する方法の他の実施形態における積層及び加熱圧縮を示す断面図である。 各実施例及び各比較例に使用した粉体状の熱硬化性樹脂の種類、溶融開始温度、硬化反応開始温度等を示す表である。 各実施例及び各比較例の構成と物性値等を示す表である。 実施例1、6~15及び20~26と比較例1~4で使用した熱硬化性樹脂の粘度測定結果を示すグラフである。
本発明の実施形態について説明する。図1に示す第1実施形態の繊維強化成形体10は、樹脂発泡体に熱硬化性樹脂が含浸硬化した芯材11と、繊維基材に熱硬化性樹脂が含浸硬化した繊維補強材15とが積層一体化したものであり、本発明の繊維強化成形体の製造方法によって得られたものである。樹脂発泡体に含浸硬化した熱硬化性樹脂と、繊維基材に含浸硬化した熱硬化性樹脂とは、共通の熱硬化性樹脂である。
なお、繊維補強材15は、繊維強化成形体10の反りを防ぐため、芯材11の両面に積層されるのが好ましい。繊維補強材15の積層数は、芯材11の両面で各1層に限定されず、2層以上であってもよい。また、芯材11の両面で繊維補強材15の積層数が異なっていてもよい。
樹脂発泡体は、連続気泡構造を有する樹脂発泡体が用いられる。本発明において連続気泡構造を有する樹脂発泡体とは、主として連続気泡構造を有する樹脂発泡体を意味し、主として独立気泡構造を有する樹脂発泡体において、僅かに連続気泡構造が存在している樹脂発泡体ではない。
連続気泡構造を有する樹脂発泡体としては、特に限定されるものではないが、連続気泡構造を有する熱硬化性樹脂発泡体が好ましく、例えば、ウレタン樹脂発泡体又はメラミン樹脂発泡体を挙げることができる。繊維強化成形体10に難燃性が求められる場合、連続気泡構造を有する樹脂発泡体としては難燃性のものが好ましく、メラミン樹脂発泡体は好ましいものである。
繊維基材としては、ガラス繊維、アラミド繊維、バサルト繊維、炭素繊維などによる織物や不織布などがあり、特に限定されるものではないが、炭素繊維織物が軽量及び高剛性に優れるために好ましいものである。炭素繊維織物としては、繊維が一方向のみではない織り方のものが好ましく、例えば、縦糸と横糸で構成される平織、綾織、朱子織及び3方向の糸で構成される三軸織などが好適である。また、炭素繊維織物は、熱硬化性樹脂の含浸及び繊維強化成形体10の剛性の点から、目付量(繊維重さ)が50~600g/mのものが好ましい。
連続気泡構造を有する樹脂発泡体と繊維基材に含浸硬化した熱硬化性樹脂は、硬化反応開始温度Tb℃の粘度が2,000Pa・s以下が好ましく、1,500Pa・s以下がさらに好ましい。硬化反応開始温度Tb℃における粘度をこの範囲とすることにより、繊維強化成形体10の製造時に、溶融させた熱硬化性樹脂19を、連続気泡構造を有する樹脂発泡体及び繊維基材に十分に含浸させることができ、均一な物性を有する繊維強化成形体10を得ることができる。熱硬化性樹脂については、後述の繊維強化成形体10の製造方法において、さらに詳しく述べる。
繊維強化成形体10の曲げ弾性率(JIS K7074 A法)は、24GPa以上が好ましく、30GPa以上がさらに好ましい。
繊維強化成形体10の曲げ強度(JIS K7074 A法)は、300MPa以上が好ましく、380MPa以上がさらに好ましい。
図2は繊維強化成形体10の製造方法における一実施形態に関するものである。なお、以下の製造方法の説明では、同一名称の部材を複数位置に配置する場合、その上下位置関係を把握し易くするために「17A」のように数字とアルファベットを組み合わせた符号で示す。
図2に示す実施形態では、1枚の繊維基材17A上に連続気泡構造を有する樹脂発泡体13を配置し、その上に粉体状の熱硬化性樹脂19を配置し、さらにその上に繊維基材17Bを配置して成形前積層体を作製する。
なお、粉体状の熱硬化性樹脂19を配置する位置および配置箇所数は限定されないが、少なくとも樹脂発泡体13に接する位置に配置することが好ましい。
作製した成形前積層体を、加熱した金型60の下型61と上型62とで挟んで、加熱圧縮する。金型60は、電熱ヒーター等の加熱手段によって加熱圧縮時の温度Tc℃に加熱されている。
繊維強化成形体10の製造方法において使用する粉体状の熱硬化性樹脂19は、前記繊維強化成形体10で説明した熱硬化性樹脂であり、硬化反応開始温度Tb℃における粘度が2,000Pa・s以下であることが好ましく、1,500Pa・s以下であることがさらに好ましい。硬化反応開始温度Tb℃における粘度をこの範囲とすることにより、溶融させた熱硬化性樹脂19を、連続気泡構造を有する樹脂発泡体13及び繊維基材17A、17Bに十分に含浸させることができ、均一な物性を有する繊維強化成形体10を得ることができる。
さらに熱硬化性樹脂19は、硬化反応開始温度Tb℃~190℃の温度範囲において、最高粘度が、1,000Pa・s以上であるのが好ましい。最高粘度をこの範囲とすることにより、繊維強化成形体10の製造時に、溶融させた熱硬化性樹脂19を、連続気泡構造を有する樹脂発泡体13及び繊維基材17A、17Bに含浸させて十分に硬化させることができ、繊維強化成形体10の賦形性が良好であり、短時間で十分な強度が得られる。
熱硬化性樹脂19の溶融開始温度Ta℃と硬化反応開始温度Tb℃は、加熱圧縮時の温度Tc℃との関係において、[Tb+(Tb-Ta)/3]-10≦Tc≦[Tb+(Tb-Ta)/3]+20であるのが好ましい。熱硬化性樹脂の溶融開始温度Ta℃と硬化反応開始温度Tb℃及び加熱圧縮時の温度Tc℃が、この関係にあることにより、加熱圧縮時に熱硬化性樹脂19の溶融が良好になり、熱硬化性樹脂19が連続気泡構造を有する樹脂発泡体13及び繊維基材17A、17Bに含浸し易くなって、均一な物性を有する繊維強化成形体10を得ることができる。
熱硬化性樹脂19は、硬化反応開始温度Tb℃-溶融開始温度Ta℃の値が、40≦(Tb-Ta)≦70であるのが好ましい。(Tb-Ta)をこの範囲とすることにより、溶融した熱硬化性樹脂19を、連続気泡構造を有する樹脂発泡体13及び繊維基材17A、17Bに十分に含浸させることができ、均一な物性を有する繊維強化成形体10を得ることができる。
熱硬化性樹脂19は、溶融開始温度Ta℃が60~100℃にあるのが好ましい。熱硬化性樹脂19の溶融開始温度Ta℃をこの範囲とすることにより、加熱圧縮時の温調を容易に行うことができる。
前記の溶融開始温度Ta℃、硬化反応開始温度Tb℃、(Tb-Ta)の範囲、硬化反応開始温度Tb℃における粘度、最高粘度等を満たすことができる熱硬化性樹脂は、フェノール樹脂、フェノール樹脂とエポキシ樹脂との混合樹脂、フェノール樹脂とシアネート樹脂との混合樹脂、フェノール樹脂とシアネート樹脂とエポキシ樹脂との混合樹脂の群から選ばれるのが好ましい。フェノール樹脂は難燃性に優れるため、繊維強化成形体に優れた強度と難燃性を付与することができる。
なお、熱硬化性樹脂19には、熱硬化性樹脂の粘度、反応性に影響を与えない範囲において、顔料、抗菌剤、紫外線吸収剤などの各種粉体添加剤を添加してもよい。熱硬化性樹脂19の粉体形状としては、球状、針状、フレーク状などがあり、特に限定されるものではない。粉体状の熱硬化性樹脂19の粒径は、溶融し易さの点から、10~500μmが好ましい。
熱硬化性樹脂19の量は、式(A1)で規定される樹脂比率が50~80%であるのが好ましい。樹脂比率をこの範囲とすることにより、繊維強化成形体10を強度の高いものにできる。
Figure 0007493439000001
金型60による加熱圧縮時における成形前積層体の加圧(圧縮)は、熱硬化性樹脂19が溶融した後、連続気泡構造を有する樹脂発泡体13及び繊維基材17A、17Bに良好に含浸できるようにするため、2~20MPaが好ましい。また、成形前積層体の圧縮は、式(A2)で規定される圧縮率が200~5,000%となるように設定するのが好ましい。圧縮率をこの範囲とすることにより、繊維強化成形体10を強度の高いものにできる。
Figure 0007493439000002
金型60による成形前積層体の加熱圧縮時、金型60による成形前積層体の加熱によって熱硬化性樹脂19が溶融し、溶融した熱硬化性樹脂が、金型60による成形前積層体の圧縮によって、連続気泡構造を有する樹脂発泡体13及び繊維基材17A、17Bに含浸する。そして、連続気泡構造を有する樹脂発泡体13及び繊維基材17A、17Bに含浸した熱硬化性樹脂19が硬化することにより、繊維基材17A、17Bと、繊維基材17A、17B間の連続気泡構造を有する樹脂発泡体13とが、圧縮された状態で形状固定されて接着一体化し、下型61及び上型62の型面形状に賦形された図1の繊維強化成形体10が得られる。
図2に示した製造方法の実施形態では、粉体状の熱硬化性樹脂19は、連続気泡構造を有する樹脂発泡体13の一側(片面)のみに配置したが、樹脂発泡体13の両側に配置して繊維強化成形体10を製造してもよい。
粉体状の熱硬化性樹脂19を樹脂発泡体13の両側に配置して、繊維強化成形体10を製造する場合の一実施形態を、図3に示す。
図3に示す実施形態では、1枚の繊維基材17A上に粉体状の熱硬化性樹脂19Aを配置し、その上に連続気泡構造を有する樹脂発泡体13を配置し、その上に粉体状の熱硬化性樹脂19Bを配置し、さらにその上に繊維基材17Bを配置して成形前積層体を作製する。
作製した成形前積層体を、加熱した金型60の下型61と上型62とで挟んで、加熱圧縮し、下型61及び上型62の型面形状に賦形された図1の繊維強化成形体10を得る。連続気泡構造を有する樹脂発泡体13、繊維基材17A、17B、粉体状の熱硬化性樹脂19A、19B、樹脂比率、加熱、圧縮等の製造条件は、図2の製造実施形態で説明したとおりである。
図4に示す第2実施形態の繊維強化成形体20は、芯材11の両側にそれぞれ繊維補強材15が2層(2枚)積層された場合である。芯材11及び繊維補強材15は、第1実施形態の繊維強化成形体10で説明したとおりである。
なお、繊維補強材15が2層以上の繊維強化成形体においても、曲げ弾性率(JIS K7074 A法)は24GPa以上が好ましく、30GPa以上がさらに好ましい。また、曲げ強度(JIS K7074 A法)は300MPa以上が好ましく、380MPa以上がさらに好ましい。
第2実施形態の繊維強化成形体20の製造方法について、図5に示す一実施形態を説明する。
図5に示す実施形態では、2枚の繊維基材17A、17Bを積層し、その上に連続気泡構造を有する樹脂発泡体13を配置し、その上に粉体状の熱硬化性樹脂19を配置し、さらにその上に2枚の繊維基材17C、17Dを積層して成形前積層体を作製する。
作製した成形前積層体を、加熱した金型60の下型61と上型62とで挟んで、加熱圧縮し、下型61及び上型62の型面形状に賦形された図4の繊維強化成形体20を得る。金型60は、電熱ヒーター等の加熱手段によって加熱圧縮時の温度Tc℃に加熱されている。連続気泡構造を有する樹脂発泡体13、繊維基材17A~17D、粉体状の熱硬化性樹脂19、樹脂比率、加熱、圧縮等の製造条件は、図2の製造実施形態で説明したとおりである。
図6に示す第3実施形態の繊維強化成形体30について説明する。第3実施形態の繊維強化成形体30は、樹脂発泡体に熱硬化性樹脂が含浸硬化した芯材11と、繊維基材に熱硬化性樹脂が含浸硬化した繊維補強材15とが積層一体化したものであり、繊維強化成形体30の表面に凹部31と凸部33が形成されたものである。第3実施形態の繊維強化成形体30において、凹部31と凸部33が形成されていること以外は、第1実施形態の繊維強化成形体10と同様の構成からなる。
表面が凹凸形状の繊維強化成形体においても、曲げ弾性率(JIS K7074 A法)は24GPa以上が好ましく、30GPa以上がさらに好ましい。また、曲げ強度(JIS K7074 A法)は300MPa以上が好ましく、380MPa以上がさらに好ましい。
凹部31及び凸部33の凹凸形状は、前記の式(A2)で規定される圧縮率が200~5,000%の範囲内であれば、特に限定されるものではなく、例えば深さ、高さ、平面形状(直線状、曲線状)等が、繊維強化成形体30の用途等に応じて適宜決定される。また、凹凸の賦形は、繊維強化成形体の片面に限られず、両面に設けてもよい。
表面に凹凸が賦形された第3実施形態の繊維強化成形体30の製造方法について、図7に示す一実施形態を説明する。
図7に示す実施形態の製造方法では、1枚の繊維基材17A上に連続気泡構造を有する樹脂発泡体13を配置し、その上に粉体状の熱硬化性樹脂19を配置し、さらにその上に繊維基材17Bを配置して成形前積層体を作製する。
作製した成形前積層体を、加熱した金型70の下型71と、型面に凹部形成用突起73及び凸部形成用溝75が形成された上型72とで挟んで、加熱圧縮する。凹部形成用突起73は、繊維強化成形体30の凹部31を形成する部分であり、また凸部形成用溝75は、繊維強化成形体30の凸部33を形成する部分である。金型70は、電熱ヒーター等の加熱手段によって加熱圧縮時の温度Tc℃に加熱されている。連続気泡構造を有する樹脂発泡体13、繊維基材17A、17B、粉体状の熱硬化性樹脂19、樹脂比率、加熱、圧縮等の製造条件は、図2の製造実施形態で説明したとおりである。
成形前積層体は、金型70による加熱圧縮によって、上型72の型面に応じた凹凸形状に圧縮されると共に、熱硬化性樹脂19が溶融して連続気泡構造を有する樹脂発泡体13及び繊維基材17A、17Bに含浸する。そして、含浸した熱硬化性樹脂が硬化することにより、下型71及び上型72の型面形状に賦形された図6の樹脂成形体30を得る。
図8に示す第4実施形態の繊維強化成形体40は、芯材11の両側にそれぞれ繊維補強材15が2層(2枚)積層され、繊維強化成形体40の表面に凹部41と凸部43が形成されたものである。第4実施形態の繊維強化成形体40において、凹部41と凸部43が形成されていること以外は、第2実施形態の繊維強化成形体20と同様の構成からなる。
なお、表面に凹凸が形成され、繊維補強材15が2層以上の繊維強化成形体においても、曲げ弾性率(JIS K7074 A法)は24GPa以上が好ましく、30GPa以上がさらに好ましい。また、曲げ強度(JIS K7074 A法)は300MPa以上が好ましく、380MPa以上がさらに好ましい。
表面に凹凸が形成された第4実施形態の繊維強化成形体40の製造方法について、図9に示す一実施形態を説明する。
図9に示す実施形態の製造方法では、2枚の繊維基材17A、17Bを積層し、その上に連続気泡構造を有する樹脂発泡体13を配置し、その上に粉体状の熱硬化性樹脂19を配置し、さらにその上に2枚の繊維基材17C、17Dを積層して成形前積層体を作製する。
作製した成形前積層体を、加熱した金型70の下型71と、型面に凹部形成用突起73及び凸部形成用溝75が形成された上型72とで挟んで、加熱圧縮する。凹部形成用突起73は、繊維強化成形体40の凹部41を形成する部分であり、また凸部形成用溝75は、繊維強化成形体40の凸部43を形成する部分である。金型70は、電熱ヒーター等の加熱手段によって加熱圧縮時の温度Tc℃に加熱されている。連続気泡構造を有する樹脂発泡体13、繊維基材17A~17D、粉体状の熱硬化性樹脂19、樹脂比率、加熱、圧縮等の製造条件は、第2実施形態の繊維強化成形体20を製造する方法と同様である。
成形前積層体は、金型70による加熱圧縮によって、上型72の型面に応じた凹凸形状に圧縮されると共に、熱硬化性樹脂19が溶融して連続気泡構造を有する樹脂発泡体13及び繊維基材17A~17Dに含浸する。そして、含浸した熱硬化性樹脂が硬化することにより、下型71及び上型72の型面形状に賦形された図8の樹脂成形体40を得る。
なお、表面に凹凸形状を有する繊維強化成形体を製造する方法においても、粉体状の熱硬化性樹脂は、連続気泡構造を有する樹脂発泡体の一側に限られず、両側に配置してもよい。その場合の製造方法の一実施形態を、図10を用いて説明する。
図10に示す実施形態は、図8に示した表面に凹凸形状を有する第4実施形態の繊維強化成形体40の製造に関するものである。
図10の実施形態では、2枚の繊維基材17A、17Bを積層し、その上に粉体状の熱硬化性樹脂19Aを配置し、その上に連続気泡構造を有する樹脂発泡体13を配置し、その上に粉体状の熱硬化性樹脂19Bを配置し、さらにその上に2枚の繊維基材17C、17Dを積層して成形前積層体を作製する。
作製した成形前積層体を、加熱した金型70の下型71と、型面に凹部形成用突起73及び凸部形成用溝75が形成された上型72で挟んで、加熱圧縮する。連続気泡構造を有する樹脂発泡体13、繊維基材17A~17D、粉体状の熱硬化性樹脂19A、19B、樹脂比率、加熱、圧縮等の製造条件は、前記のとおりである。金型70による成形前積層体の加熱圧縮により、熱硬化性樹脂19A、19Bが溶融し、連続気泡構造を有する樹脂発泡体13及び繊維基材17A~17Dに含浸する。そして、含浸した熱硬化性樹脂が硬化することにより、下型71及び上型72の型面形状に賦形された図8の樹脂成形体40を得る。
図11に示す粉体状の熱硬化性樹脂を用いて、図12に示す各実施例及び各比較例の繊維強化成形体を作製した。
熱硬化性樹脂の粘度は、株式会社ユービーエム社製のレオメーター:Rheosol-G3000を用い、次の条件で測定した。
1)試料の0.4gをペレット(直径φ18mm、厚さ0.4mm程度)に成形し、成形したペレットを直径φ18mmのパラレルプレートで挟む。
2)昇温速度5℃/min、周波数1Hz、回転角(ひずみ)0.1deg、等速昇温下、40℃~200℃間に渡って、2℃間隔で動的粘度を測定した。図11における溶融開始温度(Ta)は最高粘度(硬化反応開始温度(Tb)以下の温度領域における最高粘度)を示す温度、硬化反応開始温度(Tb)は最低粘度を示す温度、最高粘度は硬化反応開始温度(Tb)~190℃の温度領域における最高粘度である。
各実施例及び各比較例の繊維強化成形体について、製品外観を判断し、成形体厚み(一般部、凸部、凹部)、芯材厚み(一般部、凸部、凹部)、圧縮率(一般部、凸部、凹部)、比重、重量、樹脂比率、曲げ強度、曲げ弾性率を算出あるいは測定した。
製品外観は、繊維強化成形体の表面に変形や樹脂の含浸不均一等からなる不具合が存在するか否かを目視で確認し、不具合が無い場合「〇」、厚みが均一にならない等、外観が若干悪い場合「△」、不具合がある場合「×」とした。
圧縮率は、前記の式(A2)を用いて算出した。
比重は、繊維強化成形体の重量と繊維強化成形体の体積から算出した。繊維強化成形体の体積は、繊維強化成形体の厚みと面積から算出した。
樹脂比率は、前記の式(A1)を用いて算出した。
なお、成形前の繊維基材と連続気泡構造を有する樹脂発泡体の重量は、次の式により算出した。
繊維基材の重量=目付量×繊維強化成形体の面積×繊維基材使用枚数
樹脂発泡体の重量=樹脂発泡体密度×繊維強化成形体の面積×成形前樹脂発泡体の厚み
曲げ強度及び曲げ弾性率は、JIS K7074 A法に基づいて測定した。
・実施例1
実施例1~実施例12は、図1に示した繊維強化成形体10及び図2の製造方法の例である。
実施例1では、繊維基材として、炭素繊維織物(帝人株式会社製、品名:W-3101、目付量:200g/m、厚み0.22mm)を、200×300mmに裁断したものを2枚用意した。裁断後の1枚当たりの繊維基材の重量は12gであった。また、連続気泡構造を有する樹脂発泡体として、厚み10mm、平面サイズ200×300mm(重量5.4g)に切り出したメラミン樹脂発泡体(BASF社製、品名:バソテクトG+、密度9kg/m)を用意した。
1枚の繊維基材上にメラミン樹脂発泡体を積層し、その上に、粉体状の熱硬化性樹脂として、以下の樹脂Aの65.0gを概ね均一に配置し、その上にもう1枚の繊維基材を配置し、成形前積層体を作製した。
樹脂Aは、フェノール樹脂、住友ベークライト株式会社製、品名:PR-50252、平均粒径30μmである。
樹脂A(実施例1、6-15、20-26)の粘度測定結果を、図13のグラフに示す。
次に150℃に加熱された金型の下型の成形面に、成形前積層体を配置し、その後に金型を閉じて10分間、圧力10MPaで加熱圧縮した。加熱により熱硬化性樹脂が溶融し、金型による圧力が加わることで、各層の繊維基材と樹脂発泡体に熱硬化性樹脂が含浸し、硬化反応が完了することにより、繊維基材に熱硬化性樹脂が含浸硬化した繊維補強材と、連続気泡構造を有する樹脂発泡体に熱硬化性樹脂が含浸硬化した芯材との積層一体品からなる繊維強化成形体を作製した。この繊維強化成形体を170×260mmにトリミングして実施例1の繊維強化成形体とした。
なお金型の下型と上型の間には、厚み1mmのSUS製スペーサを介在させて下型と上型間の間隔を1mmとして、成形前積層体の圧縮厚みを1mmに調製した。
実施例1の繊維強化成形体の数値及び物性値は、図12に示す通りである。主要な数値及び物性値を挙げると、圧縮率1,686%、比重1.35、樹脂比率70%、曲げ強度500MPa、曲げ弾性率45GPa、製品外観「〇」であり、外観が良好で、強度及び剛性が高く、軽量である。
・実施例2
粉体状の熱硬化性樹脂として、以下の樹脂Bを使用した以外、実施例1と同様にして実施例2の繊維強化成形体を作製した。
樹脂Bは、フェノール樹脂、住友ベークライト株式会社製、品名:PR-310、平均粒径30μmである。
実施例2の繊維強化成形体は、圧縮率1,686%、比重1.34、樹脂比率70%、曲げ強度400MPa、曲げ弾性率40GPa、製品外観「〇」であり、外観が良好で、強度及び剛性が高く、軽量である。
・実施例3
粉体状の熱硬化性樹脂として、樹脂Aと以下の樹脂Cを1:1の重量比で均一に混合した樹脂を使用し、金型温度を170℃とした以外、実施例1と同様にして実施例3の繊維強化成形体を作製した。
樹脂Cは、エポキシ樹脂、三菱ケミカル株式会社製、品名:jER-1001を乳鉢で粉砕して使用した。平均粒径は100μmである。
実施例3の繊維強化成形体は、圧縮率1,686%、比重1.35、樹脂比率70%、曲げ強度820MPa、曲げ弾性率50GPa、製品外観「〇」であり、外観が良好で、強度及び剛性が高く、軽量である。
・実施例4
粉体状の熱硬化性樹脂として、以下の樹脂Dと以下の樹脂Eを1:1の重量比で均一に混合した樹脂を使用し、金型温度を160℃とした以外、実施例1と同様にして実施例4の繊維強化成形体を作製した。
樹脂Dはフェノール樹脂、住友ベークライト株式会社製、品名:PR-50235Dを乳鉢で粉砕して使用した。平均粒径は90μmである。
樹脂Eはシアネート樹脂、三菱ガス化学株式会社製、品名:CYTESTER TAを乳鉢で粉砕して使用した。平均粒径は100μmである。
実施例4の繊維強化成形体は、圧縮率1,686%、比重1.35、樹脂比率70%、曲げ強度850MPa、曲げ弾性率52GPa、製品外観「〇」であり、外観が良好で、強度及び剛性が高く、軽量である。
・実施例5
粉体状の熱硬化性樹脂として、樹脂Dと樹脂Eと樹脂Cを1:1:1の重量比で均一に混合した樹脂を使用し、金型温度を170℃とした以外、実施例1と同様にして実施例5の繊維強化成形体を作製した。
実施例5の繊維強化成形体は、圧縮率1,686%、比重1.35、樹脂比率70%、曲げ強度860MPa、曲げ弾性率53GPa、製品外観「〇」であり、外観が良好で、強度及び剛性が高く、軽量である。
・実施例6
連続気泡構造を有する樹脂発泡体として、厚み6mm、平面サイズ200×300mm(重量3.2g)に切り出したメラミン樹脂発泡体(BASF社製、品名:バソテクトG+、密度9kg/m)を用いた以外は、実施例1と同様にして実施例6の繊維強化成形体を作製した。
実施例6の繊維強化成形体は、圧縮率971%、比重1.35、樹脂比率70%、曲げ強度510MPa、曲げ弾性率46GPa、製品外観「〇」であり、外観が良好で、強度及び剛性が高く、軽量である。
・実施例7
連続気泡構造を有する樹脂発泡体として、厚み2mm、平面サイズ200×300mm(重量1.1g)に切り出したメラミン樹脂発泡体(BASF社製、品名:バソテクトG+、密度9kg/m)を用いた以外は、実施例1と同様にして実施例7の繊維強化成形体を作製した。
実施例7の繊維強化成形体は、圧縮率257%、比重1.35、樹脂比率70%、曲げ強度420MPa、曲げ弾性率40GPa、製品外観「〇」であり、外観が良好で、強度及び剛性が高く、軽量である。
・実施例8
連続気泡構造を有する樹脂発泡体として、厚み20mm、平面サイズ200×300mm(重量10.8g)に切り出したメラミン樹脂発泡体(BASF社製、品名:バソテクトG+、密度9kg/m)を用いた以外は、実施例1と同様にして実施例9の繊維強化成形体を作製した。
実施例8の繊維強化成形体は、圧縮率3,471%、比重1.36、樹脂比率71%、曲げ強度450MPa、曲げ弾性率42GPa、製品外観「〇」であり、外観が良好で、強度及び剛性が高く、軽量である。
・実施例9
連続気泡構造を有する樹脂発泡体として、厚み28mm、平面サイズ200×300mm(重量15.1g)に切り出したメラミン樹脂発泡体(BASF社製、品名:バソテクトG+、密度9kg/m)を用いた以外は、実施例1と同様にして実施例9の繊維強化成形体を作製した。
実施例9の繊維強化成形体は、圧縮率4,900%、比重1.36、樹脂比率71%、曲げ強度400MPa、曲げ弾性率39GPa、製品外観「〇」であり、外観が良好で、強度及び剛性が高く、軽量である。
・実施例10
粉体状の熱硬化性樹脂として樹脂Aの48gを使用した以外は、実施例1と同様にして実施例10の繊維強化成形体を作製した。
実施例10の繊維強化成形体は、圧縮率2,074%、比重1.35、樹脂比率53%、曲げ強度410MPa、曲げ弾性率43GPa、製品外観「〇」であり、外観が良好で、強度及び剛性が高く、軽量である。
・実施例11
粉体状の熱硬化性樹脂として樹脂Aの70gを使用した以外は、実施例1と同様にして実施例11の繊維強化成形体を作製した。
実施例11の繊維強化成形体は、圧縮率1,415%、比重1.37、樹脂比率76%、曲げ強度400MPa、曲げ弾性率42GPa、製品外観「〇」であり、外観が良好で、強度及び剛性が高く、軽量である。
・実施例12
連続気泡構造を有する樹脂発泡体として、厚み10mm、平面サイズ200×300mm(重量18g)に切り出したウレタン樹脂発泡体(株式会社イノアックコーポレーション製、品名:MF-50、密度30kg/m)を用いた以外は、実施例1と同様にして実施例12の繊維強化成形体を作製した。
実施例12の繊維強化成形体は、圧縮率1,686%、比重1.35、樹脂比率70%、曲げ強度450MPa、曲げ弾性率40GPa、製品外観「〇」であり、外観が良好で、強度及び剛性が高く、軽量である。
・実施例13
実施例13は、連続起泡構造を有する樹脂発泡体の両側に粉体状の熱硬化性樹脂を配置する場合であり、図1に示した繊維強化成形体10及び図3の製造方法の例である。
メラミン樹脂発泡体の上下に粉体状の熱硬化性樹脂として樹脂Aの32.5gをそれぞれ概ね均一に配置した以外は、実施例1と同様にして実施例13の繊維強化成形体を作製した。
実施例13の繊維強化成形体は、圧縮率1,686%、比重1.35、樹脂比率70%、曲げ強度500MPa、曲げ弾性率44GPa、製品外観「〇」であり、外観が良好で、強度及び剛性が高く、軽量である。
・実施例14
実施例14は、連続気泡構造を有する樹脂発泡体の両側に繊維基材を各2枚積層する場合であり、図4に示した繊維強化成形体20及び図5の製造方法の例である。
繊維基材として、炭素繊維織物(帝人株式会社製、品名:W-3101、目付量:200g/m、厚み0.22mm)を、200×300mmに裁断したもの(裁断後の1枚当たりの繊維基材の重量は12g)を4枚用意し、2枚積層した繊維基材上にメラミン樹脂発泡体を積層し、その上に粉体状の熱硬化性樹脂として樹脂Aの57.0gを概ね均一に配置し、その上に残りの2枚の繊維基材を配置し、金型の下型と上型の間には、厚み1.5mmのSUS製スペーサを介在させた以外は、実施例1と同様にして実施例14の繊維強化成形体を作製した。
実施例14の繊維強化成形体は、圧縮率1,513%、比重1.40、樹脂比率62%、曲げ強度550MPa、曲げ弾性率48GPa、製品外観「〇」であり、外観が良好で、強度及び剛性が高く、軽量である。
・実施例15
実施例15~実施例19及び実施例22は、図6に示した表面に凹凸が形成された繊維強化成形体30(芯材両面の繊維補強層が各1)及び図7の製造方法の例である。
実施例15では、繊維基材として、炭素繊維織物(帝人株式会社製、品名:W-3101、目付量:200g/m、厚み0.22mm)を、200×300mmに裁断したものを2枚用意した。裁断後の1枚当たりの繊維基材の重量は12gであった。また、連続気泡構造を有する樹脂発泡体として、厚み10mm、平面サイズ200×300mm(重量5.4g)に切り出したメラミン樹脂発泡体(BASF社製、品名:バソテクトG+、密度9kg/m)を用意した。
1枚の繊維基材上にメラミン樹脂発泡体を積層し、その上に、粉体状の熱硬化性樹脂として、樹脂Aの65.0gを概ね均一に配置し、その上にもう1枚の繊維基材を配置し、成形前積層体を作製した。
次に150℃に加熱された金型の下型の成形面に、成形前積層体を配置し、その後に上型を重ねて金型を閉じ、10分間、圧力10MPaで加熱圧縮した。
金型の上型の型面には、凹部形成用突起(高さ1mm、幅10mm)と凸部形成用溝(深さ0.5mm、幅10mm)が、互いの間隔を100mmとして、型面の一端から他端まで形成されている。
金型の下型と上型の間には、厚み1mmのSUS製スペーサを介在させて下型と上型間の間隔を1mmとして、成形前積層体の圧縮厚みを1mmに調製した。
加熱圧縮時の加熱により熱硬化性樹脂が溶融し、金型による圧力が加わることで、各層の繊維基材と樹脂発泡体に熱硬化性樹脂が含浸し、硬化反応が完了することにより、繊維基材に熱硬化性樹脂が含浸硬化した繊維補強材と、連続気泡構造を有する樹脂発泡体に熱硬化性樹脂が含浸硬化した芯材との積層一体品からなる繊維強化成形体を作製した。繊維強化成形体の片面には、上型の凹部形成用突起により賦形された凹部と、凸部形成用溝により賦形された凸部を有する。この繊維強化成形体を170×260mmにトリミングして実施例15の繊維強化成形体とした。
実施例15の繊維強化成形体の数値及び物性値は、図12に示す通りである。主要な数値及び物性値を挙げると、凹凸のない一般部で厚み1.0mm、圧縮率1,329%、凸部で厚み2.0mm、圧縮率413%、凹部で厚み0.6mm、圧縮率4,900%、全体の比重1.35、樹脂比率70%、曲げ強度500MPa、曲げ弾性率46GPa、製品外観「〇」であり、外観が良好で、強度及び剛性が高く、軽量である。曲げ強度及び曲げ比率は、凹凸のない一般部について測定した。
・実施例16
粉体状の熱硬化性樹脂として樹脂Bを使用した以外は、実施例15と同様にして実施例16の繊維強化成形体を作製した。
実施例16の繊維強化成形体は、凹凸のない一般部で厚み1.0mm、圧縮率1,329%、凸部で厚み2.0mm、圧縮率413%、凹部で厚み0.6mm、圧縮率4,900%、全体の比重1.34、樹脂比率70%、曲げ強度410MPa、曲げ弾性率40GPa、製品外観「〇」であり、外観が良好で、強度及び剛性が高く、軽量である。
・実施例17
粉体状の熱硬化性樹脂として樹脂Aと樹脂Cを1:1の重量比で均一に混合した樹脂を使用し、金型温度を170℃とした以外は、実施例15と同様にして実施例17の繊維強化成形体を作製した。
実施例17の繊維強化成形体は、凹凸のない一般部で厚み1.0mm、圧縮率1,329%、凸部で厚み2.0mm、圧縮率413%、凹部で厚み0.6mm、圧縮率4,900%、全体の比重1.35、樹脂比率70%、曲げ強度820MPa、曲げ弾性率51GPa、製品外観「〇」であり、外観が良好で、強度及び剛性が高く、軽量である。
・実施例18
粉体状の熱硬化性樹脂として樹脂Dと樹脂Eを1:1の重量比で均一に混合した樹脂を使用し、金型温度を160℃とした以外は、実施例15と同様にして実施例18の繊維強化成形体を作製した。
実施例18の繊維強化成形体は、凹凸のない一般部で厚み1.0mm、圧縮率1,329%、凸部で厚み2.0mm、圧縮率413%、凹部で厚み0.6mm、圧縮率4,900%、全体の比重1.35、樹脂比率70%、曲げ強度860MPa、曲げ弾性率52GPa、製品外観「〇」であり、外観が良好で、強度及び剛性が高く、軽量である。
・実施例19
粉体状の熱硬化性樹脂として樹脂Dと樹脂Eと樹脂Cを1:1:1の重量比で均一に混合した樹脂を使用し、金型温度を170℃とした以外は、実施例15と同様にして実施例19の繊維強化成形体を作製した。
実施例19の繊維強化成形体は、凹凸のない一般部で厚み1.0mm、圧縮率1,329%、凸部で厚み2.0mm、圧縮率413%、凹部で厚み0.6mm、圧縮率4,900%、全体の比重1.35、樹脂比率70%、曲げ強度860MPa、曲げ弾性率53GPa、製品外観「〇」であり、外観が良好で、強度及び剛性が高く、軽量である。
・実施例20
実施例20は、図8に示した表面に凹凸が形成された繊維強化成形体40(芯材両面の繊維補強層が各2層)及び図9の製造方法の例である。
実施例15と同様の繊維基材を4枚用意し、2枚積層した繊維基材の上に、実施例15と同様の連続気泡構造を有する樹脂発泡体を積層し、その上に粉末状の熱硬化性樹脂として樹脂Aの57.0gを概ね均一に配置し、その上に残りの2枚の繊維基材を配置し、成形前積層体を作製し、厚み1.5mmのSUS製スペーサを用いた以外は、実施例15と同様にして実施例20の繊維強化成形体を作製した。
実施例20の繊維強化成形体は、凹凸のない一般部で厚み1.5mm、圧縮率706%、凸部で厚み2.5mm、圧縮率209%、凹部で厚み1.1mm、圧縮率2,173%、全体の比重1.40、樹脂比率62%、曲げ強度490MPa、曲げ弾性率42GPa、製品外観「〇」であり、外観が良好で、強度及び剛性が高く、軽量である。
・実施例21
実施例21は、図10に示すように連続気泡構造の樹脂発泡体の両側に粉体状の熱硬化性樹脂を配置して図8の繊維強化成形体を製造する例である。
実施例15と同様の繊維基材を4枚用意し、2枚積層した繊維基材の上に、粉体状の熱硬化性樹脂として樹脂Aの29gを配置し、その上に実施例15と同様の連続気泡構造を有する樹脂発泡体を積層し、その上に粉末状の熱硬化性樹脂として樹脂Aの29gを概ね均一に配置し、その上に残りの2枚の繊維基材を配置し、成形前積層体を作製し、厚み1.5mmのSUS製スペーサを用いた以外は、実施例15と同様にして実施例21の繊維強化成形体を作製した。
実施例21の繊維強化成形体は、凹凸のない一般部で厚み1.5mm、圧縮率706%、凸部で厚み2.5mm、圧縮率209%、凹部で厚み1.1mm、圧縮率2,173%、全体の比重1.40、樹脂比率62%、曲げ強度490MPa、曲げ弾性率42GPa、製品外観「〇」であり、外観が良好で、強度及び剛性が高く、軽量である。
・実施例22
実施例22は、実施例15における連続気泡構造を有する樹脂発泡体の種類を変更した例である。
連続気泡構造を有する樹脂発泡体として、厚み10mm、平面サイズ200×300mm(重量18g)に切り出したウレタン樹脂発泡体(株式会社イノアックコーポレーション製、品名:MF-50、密度30kg/mを使用した以外は、実施例15と同様にして実施例22の繊維強化成形体を作製した。
実施例22の繊維強化成形体は、凹凸のない一般部で厚み1.0mm、圧縮率1,329%、凸部で厚み2.0mm、圧縮率413%、凹部で厚み0.6mm、圧縮率4,900%、全体の比重1.35、樹脂比率70%、曲げ強度460MPa、曲げ弾性率38GPa、製品外観「〇」であり、外観が良好で、強度及び剛性が高く、軽量である。
・実施例23
連続気泡構造を有する樹脂発泡体の厚みを30mmした以外は、実施例1と同様にして実施例23の繊維強化成形体を作製した。
実施例23の繊維強化成形体は、圧縮率5,257%、製品外観「△」であった。
・実施例24
連続気泡構造を有する熱硬化性樹脂発泡体として、厚み1.5mm、平面サイズ200×300mm(重量18g)に切り出したウレタン樹脂発泡体(株式会社イノアックコーポレーション製、品名:MF-50、密度30kg/mを用いた以外は、実施例1と同様にして実施例24の繊維強化成形体を作製した。
実施例24の繊維強化成形体は、圧縮率168%、比重1.35、樹脂比率70%、曲げ強度300MPa、曲げ弾性率24GPa、製品外観「〇」であった。
・実施例25
樹脂比率が45%となるように粉体状の熱硬化性樹脂の使用量を調整した以外は、実施例1と同様にして実施例25の繊維強化成形体を作製した。
実施例25の繊維強化成形体は、圧縮率2,074%、比重1.33、樹脂比率45%、曲げ強度350MPa、曲げ弾性率28GPa、製品外観「△」であった。
・実施例26
樹脂比率が85%となるように粉体状の熱硬化性樹脂の使用量を調整した以外は、実施例1と同様にして実施例26の繊維強化成形体を作製した。
実施例26の繊維強化成形体は、圧縮率が1,686%、樹脂比率85%、製品外観「△」であった。
・比較例1
比較例1、2は、実施例1に対する比較例である。
比較例1では、粉体状の熱硬化性樹脂として以下の樹脂Fを使用し、金型温度を100℃とした以外は、実施例1と同様にして比較例1の繊維強化成形体を作製した。
樹脂Fは、フェノール樹脂、住友ベークライト株式会社製、品名:PR-50699、平均粒径30μmである。
樹脂F(比較例1、3)の粘度測定結果を、図13のグラフに示す。
比較例1の強化成形体は、圧縮率が1,686%であったが、熱硬化性樹脂の最低粘度が高く(反応が速く)、繊維基材に熱硬化性樹脂が含浸し難いため、繊維強化成形体を得られず、物性値等を測定できなかった。
・比較例2
粉体状の熱硬化性樹脂として、樹脂Aと樹脂Dを重量比1:2で均一に混合した樹脂を使用し、金型温度を160℃とした以外、実施例1と同様にして比較例2の繊維強化成形体を作製した。
樹脂A/樹脂D=1/2(比較例2、4)の粘度測定結果を、図13のグラフに示す。
比較例2の繊維強化成形体は、圧縮率が1,686%であったが、熱硬化性樹脂のTb~190℃の温度領域における最高粘度が低く、熱硬化性樹脂が硬化せず、脱型時に繊維強化成形体に変形を生じたため、物性値等を測定できなかった。
・比較例3
比較例3、4は、実施例15に対する比較例である。
比較例3では、粉体状の熱硬化性樹脂として樹脂Fを使用し、金型温度を100℃にした以外は、実施例15と同様にして比較例3の繊維強化成形体を作製した。
比較例3の繊維強化成形体は、熱硬化性樹脂の最低粘度が高く(反応が速く)、繊維基材及び連続気泡構造を有する樹脂発泡体に熱硬化性樹脂が含浸し難く、繊維強化成形体が得られず、物性値等を測定できなかった。
・比較例4
粉体状の熱硬化性樹脂として、樹脂Aと樹脂Dを重量比1:2で均一に混合した樹脂を使用し、金型温度を160℃とした以外、実施例15と同様にして比較例4の繊維強化成形体を作製した。
比較例4の繊維強化成形体は、熱硬化性樹脂のTb~190℃の温度領域における最高粘度が低く、熱硬化性樹脂が硬化しなかったため、脱型時に繊維強化成形体に変形を生じ、物性値等を測定できなかった。
このように、本発明によれば、プリプレグを用いることなく、繊維強化成形体を得ることができる。また、本発明によれば、凹凸形状に賦形した繊維強化成形体を得ることもできる。
本発明は、実施例に限定されず、発明の趣旨から逸脱しない範囲で変更可能である。
10、20、30、40 繊維強化成形体
11 芯材
13 連続気泡構造を有する樹脂発泡体
15 繊維補強材
17、17A~17D 繊維基材
19、19A、19B 粉体状の熱硬化性樹脂
31、41 凹部
33、43 凸部
60、70 金型
61、71 下型
62、72 上型
73 凹部形成用突起
75 凸部形成用溝

Claims (2)

  1. 樹脂発泡体に熱硬化性樹脂が含浸硬化した芯材と、繊維基材に前記熱硬化性樹脂が含浸硬化した繊維補強材とが積層一体化した繊維強化成形体の製造方法において、
    前記樹脂発泡体は、連続気泡構造を有し、
    前記連続気泡構造を有する前記樹脂発泡体と前記熱硬化性樹脂と前記繊維基材とで成形前積層体を形成し、
    前記成形前積層体を加熱圧縮することにより、前記熱硬化性樹脂を溶融し、溶融した該熱硬化性樹脂を、前記連続気泡構造を有する前記樹脂発泡体と前記繊維基材に含浸させ、硬化させ
    前記熱硬化性樹脂は、硬化反応開始温度Tb℃の粘度が2,000Pa・s以下であり、硬化反応開始温度Tb℃~190℃の範囲における最高粘度が1,000Pa・s以上である、繊維強化成形体の製造方法。
  2. 以下(1)~(3)のいずれか1つを満足する請求項1に記載の繊維強化成形体の製造方法。
    (1)前記熱硬化性樹脂は加熱前の状態が粉体である。
    (2)前記熱硬化性樹脂は、シアネート樹脂を含む。
    (3)前記成形前積層体は、連続気泡構造を有する前記樹脂発泡体と前記熱硬化性樹脂と前記繊維基材とを重ねて配置して形成する。
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