JP2018140528A - 樹脂成形体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
図1(A)に示されるように、本実施の形態に係る樹脂成形体の製造方法では、プレス成形前の基材として、矩形ブロック状の樹脂基材10が使用されている。樹脂基材10は強化繊維を含む熱可塑性樹脂を主組成としたコンポジット材料により形成されている。本実施の形態では、樹脂基材10にプレス成形を施して、樹脂基材10から図1(C)に示される樹脂成形体(成形品)20が成形されている。樹脂成形体20は、ここでは自動車等の車両のフロントサイドドアのインナパネルとして使用されている。
炭素繊維強化プラスチックは、複雑な形状を容易に作成可能であり、強度が高く、かつ、例えば金属材料に比べて軽く、車両のパネル材として最適である。また、炭素繊維強化プラスチックは車室内の意匠面(加飾面)としても使用可能である。
なお、強化繊維としては、炭素繊維に代えて、ガラス繊維(GF:Glass Fiber)、アラミド繊維、バサルト繊維、竹繊維、鉄等の金属繊維、セルロース繊維、ポリプロピレン繊維(自己補強タイプ)のいずれかの繊維が使用可能である。
第1被加圧成形面10Aに凹部12が形成されると、樹脂基材10の第1被加圧成形面10Aの中央部位において第1成形型36の第1加圧成形面38(図2参照)との接触が無くなる。つまり、樹脂基材10の一部(中間部位10F)から第1成形型36へ熱が奪われ難くなり、樹脂基材10の一部のプレス成形前の硬化を効果的に抑制することができる。同様に、第2被加圧成形面10Bに凹部14が形成されると、樹脂基材10の第2被加圧成形面10Bの中央部位において第2成形型32の第2加圧成形面34との接触が無くなる。従って、樹脂基材10の一部(中間部位10F)から第2成形型32へ熱が奪われ難くなり、樹脂基材10の一部のプレス成形前の硬化を効果的に抑制することができる。
本実施の形態に係る樹脂成形体の製造方法は以下の通りである。この製造方法は、図1(A)〜図1(C)を参照しつつ、図2〜図4を用いて説明する。
最初に、図1(A)及び図1(B)に示される樹脂基材10が形成される。樹脂基材10は、前述の通り、強化繊維を含む熱可塑性樹脂を主組成として形成されている。樹脂基材10は、図示を省略した混練機を用いて形成され、混練機から吐出後にプリフォーム用プレス機を用いて所定の形状、具体的には矩形ブロック状に成形される。さらに、プリフォーム用プレス機では、樹脂基材10の全体的な形状の成形と共に、樹脂基材10の上面側の第1被加圧成形面10Aの中央部位に凹部12が形成され、かつ、下面側の第2被加圧成形面10Bの中央部位に凹部14が形成される。このとき、樹脂基材10は例えば220℃〜260℃の温度範囲内に保温されている。
ここで、樹脂基材10の第2被加圧成形面10Bでは、凹部14が形成されているので、第2加圧成形面34との接触面積が小さくなり、かつ、中央部位において第2加圧成形面34との接触が無い。このため、樹脂基材10から第2成形型32への熱が奪われ難くなる。言い換えれば、樹脂基材10の第2被加圧成形面10Bにおいて、熱を奪われ冷却されたことにより形成される一部硬化領域10Dは凹部14の周囲だけになって、一部硬化領域10Dの面積(体積)を極力小さくすることができる。
加えて、加圧成形では、第2成形型32と第1成形型36との間に樹脂基材10が挟まれて、第1加圧成形面38及び第2加圧成形面34に沿って樹脂基材10が加圧されて流動する。樹脂基材10の凹部12と凹部14との間の中間部位10Fでは、最も厚さが厚くなり易い。本実施の形態では、樹脂基材10に凹部12及び凹部14が予め形成されているので、樹脂基材10の中間部位10Fの厚さは元々薄くされている。さらに、中間部位10Fが第1加圧成形面38、第2加圧成形面34のそれぞれに接触し、熱を奪われて硬化するタイミングが、凹部12及び凹部14を形成しているので、第1被加圧成形面10Aの周辺部位、第2被加圧成形面10Bの周辺部位のそれぞれに比して遅くなる。このため、第1加圧成形面38、第2加圧成形面34のそれぞれに沿って、樹脂基材10が均一な厚さによりスムーズに流動する。
本実施の形態に係る樹脂成形体の製造方法では、図1(A)及び図1(B)に示されるように、まず樹脂基材10が形成される。樹脂基材10は、強化繊維を含む熱可塑性樹脂を主組成とし、少なくとも第2被加圧成形面10Bの中央部位に凹部14を有する。次に、図2に示されるように、樹脂基材10の第2被加圧成形面10Bを第2成形型32の第2加圧成形面34に接触させて、第2加圧成形面34に樹脂基材10が配置される。そして、図3及び図4に示されるように、樹脂基材10が第2成形型32(及び第1成形型36)により加圧成形され、樹脂基材10から図1(C)に示される樹脂成形体20が形成される。
これにより、樹脂成形体20の厚さを均一に成形することができる。表現を代えれば、厚さを均一に成形することができるので、樹脂成形体20の成形精度を向上させることができる。
本実施の形態の第1変形例に係る樹脂成形体の製造方法では、図5(A)に示されるように、第1被加圧成形面10Aに凹部12Aを有し、第2被加圧成形面10Bに凹部14Aを有する樹脂基材10が使用されている。凹部12Aは、第1被加圧成形面10Aの一端から対向する他端まで延設された溝状とされている。同様に、凹部14Aは、第2被加圧成形面10Bの一端から対向する他端まで延設された溝状とされている。矢印C方向から見て、樹脂基材10はH型形状に形成されている。
また、第1変形例における樹脂基材10では、第1被加圧成形面10A、第2被加圧成形面10Bのそれぞれの面積が上記実施の形態における樹脂基材10に比べて小さくなる。このため、樹脂成形体20の厚さをより一層均一に成形することができる。
本実施の形態の第2変形例に係る樹脂成形体の製造方法では、図5(B)に示されるように、第1被加圧成形面10Aに凹部12Bを有し、第2被加圧成形面10Bに凹部14Bを有する樹脂基材10が使用されている。凹部12Bは、第1被加圧成形面10Aの一端から対向する他端まで延設された溝と、この溝と交差して第1被加圧成形面10Aの他の一端から対向する他の他端まで延設された溝とを有し、平面視において十字溝状とされている。同様に、凹部14Bは、凹部12Bと同様に、第2被加圧成形面10Bに形成された十字溝状とされている。矢印D方向、矢印E方向のいずれから見ても、樹脂基材10はH型形状に形成されている。
また、第2変形例における樹脂基材10では、第1変形例における樹脂基材10に比べて、第1被加圧成形面10A、第2被加圧成形面10Bのそれぞれの面積が更に小さくなる。このため、樹脂成形体20の厚さを更に均一に成形することができる。
本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。
例えば、上記実施の形態、第1変形例及び第2変形例では、樹脂基材の第1被加圧成形面、第2被加圧成形面のそれぞれに凹部が形成されているが、本発明では、成形型との接触時間が長くなる樹脂基材の下面側の第2被加圧成形面だけに凹部が形成されてもよい。
また、本発明では、平面視、底面視のそれぞれにおいて、樹脂基材の凹部の開口形状が、五角形以上の多角形状、円形状、楕円形状、若しくはこれらの形状を複数組み合わせた形状とされてもよい。
さらに、本発明は、フロントサイドドアのインナパネルを樹脂成形体とする製造方法に限定されるものではない。本発明は、例えば、リアサイドドア、バックドア等のインナパネル、又はフード、フロントサイドドア、リアサイドドア、バックドア等のアウタパネル、インストルメントパネル等の加飾パネルを樹脂成形体として、この樹脂成形体の製造方法に適用してもよい。
10A、20A 第1被加圧成形面
10B、20B 第2被加圧成形面
12、12A、12B、14、14A、14B 凹部
20 樹脂成形体
30 成形型
32 第2成形型
34 第2加圧成形面
36 第1成形型
38 第1加圧成形面
Claims (1)
- 強化繊維を含む熱可塑性樹脂を主組成とし、被加圧成形面の中央部位に凹部を有する樹脂基材を形成する工程と、
成形型の加圧成形面に前記被加圧成形面を接触させて前記加圧成形面に前記樹脂基材を配置し、当該樹脂基材を前記成形型により加圧成形して前記樹脂基材から樹脂成形体を形成する工程と、
を備えた樹脂成形体の製造方法。
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