JP4973364B2 - 成形品およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、繊維強化複合材料と熱可塑性樹脂部材とが接合されて形成された成形品における、前記繊維強化複合材料と前記熱可塑性樹脂部材との間の衝撃接着強さが改良された成形品、および、その製造方法に関する。
熱硬化性樹脂をマトリックス樹脂とする繊維強化複合材料は、力学特性、および、軽量性に優れた材料である。この繊維強化複合材料は、航空機や自動車などの構成部材をはじめとして、各種成形品の構成部材として、広く用いられている。
薄肉性、軽量性、および、剛性が要求される電気・電子機器、オフィスオートメーション機器、家電機器、医療機器などにおいては、比較的小型で複雑な形状を有する部品が、熱可塑性樹脂の射出成形により成形された熱可塑性樹脂部材により形成され、比較的単純な形状を有する部品が、繊維強化複合材料により形成され、これらの部品を接合により一体化してなる成形品が用いられるようになってきている。
繊維強化複合材料の適用用途拡大に伴い、当然ながら、要求される性能も用途に応じて、変わって来ている。とりわけ、携帯電話や小型モバイル製品などには、耐衝撃性が求められ、それに応じた成形品の設計も必要となって来る。
特許文献1、および、特許文献2には、耐衝撃性に優れる樹脂フレーム組立品が開示されている。この組立品は、機能部品と熱可塑性樹脂部材とが一体化されてなる成形品である。詳しくは、マレイミド系またはポリカーボネート系重合体/ビニル系重合体/ゴム状重合体/強化繊維からなる樹脂組成物でフレーム部材が、作製され、一方、同様の樹脂組成物に対し金属などをインサート成形した機能部品が作製され、次いで、これらの部品が、それぞれに用いられている樹脂同士の熱溶接により、接合されることにより、組み立てられた組立品およびその組立方法が、特許文献1、および、特許文献2に記載されている。
しかしながら、機能部品およびフレーム部材が耐衝撃性に優れるようにする技術は、開示されているが、機能部品とフレーム部材との接合に関する技術には、特別な配慮がなされていない。従って、機能部品とフレーム部材との接合強度は、十分なものではなく、一体化成形品として見た場合の成形品の耐衝撃性は、十分なものとは云えない。
特許文献3には、容易にかつ強固に別の部材と溶着可能な繊維強化複合材料積層体が開示され、この積層体とフレーム部材などを形成している熱可塑性樹脂部材との接合強度を高める接着技術、および、それにより形成される一体化成形品が記載されている。しかしながら、特許文献3に記載されている技術は、主として接着性を高めること、特にポリアミド樹脂材料との接着性を高めることを目的としており、一体化成形品の耐衝撃性は、十分なものとは云えない。
特開平11−138641号公報 特開平11−268130号公報 国際公開2004/060658号パンフレット
本発明は、特に耐衝撃性に優れた、繊維強化複合材料と熱可塑性樹脂部材とが接合されて一体化された成形品、および、その製造方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するための本発明の成形品は、次の通りである。
連続した強化繊維および熱硬化性マトリックス樹脂を含む繊維強化複合材料(I)と、該繊維強化複合材料(I)の少なくとも一部の表面に、熱可塑性樹脂(A)により接合され、一体化された熱可塑性樹脂部材(II)とからなる成形品であって、前記熱可塑性樹脂(A)と前記繊維強化複合材料(I)との接合面は、前記成形品の厚み方向の断面において、凹凸形状を有し、かつ、前記熱可塑性樹脂(A)の前記繊維強化複合材料(I)への最大含浸厚みhが、10μm以上であり、前記熱可塑性樹脂(A)の引張破断強度が、25MPa以上、引張破断伸度が、200%以上であり、前記繊維強化複合材料(I)と前記熱可塑性樹脂部材(II)との接合部の衝撃接着強さが3000J/m以上である成形品。
前記熱可塑性樹脂(A)の引張破断伸度が、350%以上であることが、好ましい。前記熱可塑性部材(II)の衝撃強度が、200J/m以上であることが、好ましく、300J/m以上であることが、更に好ましい。前記繊維強化複合材料(I)の衝撃強度が、500J/m以上であることが、好ましい。前記熱可塑性樹脂(A)の最小厚みtが、10μm乃至500μmであることが、好ましい。
前記熱可塑性樹脂(A)が、1種または2種以上のポリエステル樹脂からなり、該ポリエステル樹脂のうち少なくとも1種のポリエステル樹脂が、ハードセグメントに、ポリエチレンテレフタレート成分、および、ポリブチレンテレフタレート成分のうちの一方あるいは双方の成分を含み、ソフトセグメントを構成するジオール成分として、ポリテトラメチレングリコール成分を含む共重合ポリエステルであることが、好ましい。
前記ポリエステル樹脂のうちの少なくとも1種のポリエステル樹脂の片末端または両末端が、第1級アミノ基、エポキシ基、および、酸無水物基から選ばれた1種または2種の官能基構造を有していることが、好ましい。
前記ポリエステル樹脂のガラス転移温度Tgが、式0℃≦Tg≦80℃を満足していることが、好ましい。
前記ポリエステル樹脂の融点Tmが、式120℃≦Tm≦180℃を満足し、かつ、温度(Tm+10)℃における溶融粘度η1が、式500Pa・s≦η1≦2,000Pa・sを満足していることが、好ましい。前記ポリエステル樹脂の融点Tmが、式120℃≦Tm≦160℃を満足していることが、更に好ましい。また、前記ポリエステル樹脂の温度250℃における溶融粘度η2が、300Pa・s以下であることが、更に好ましい。
前記熱可塑性樹脂部材(II)が、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、および、熱可塑性エラストマー樹脂より選ばれた1種以上の樹脂組成物であることが、好ましい。
前記熱可塑性樹脂部材(II)の少なくとも一部が、電波透過性を有する部位(III)からなることが、好ましい。前記電波透過性を有する部位(III)の電界シールド性が、0dB乃至15dBであることが好ましい。前記電波透過性を有する部位(III)が、非導電性繊維で強化された部材で形成されていることが、好ましい。前記電波透過性を有する部位(III)が、含有量30重量%乃至70重量%のガラス繊維で強化された部材で形成されていることが、好ましい。
前記繊維強化複合材料(I)の実質厚みが、0.1mm乃至0.6mmであることが、好ましい。前記繊維強化複合材料(I)における前記連続した強化繊維が、炭素繊維であることが、好ましい。
前記繊維強化複合材料(I)における前記熱硬化性マトリックス樹脂が、エポキシ樹脂であることが、好ましい。
本発明の成形品は、電気・電子機器、オフィスオートメーション機器、家電機器、医療機器、自動車部品、航空機部品、または、建材における成形品として、好ましく用いられる。また、本発明の成形品は、パーソナルコンピュータ筐体、または、携帯電話筐体における成形品として、好ましく用いられる。
本発明の成形品において、フレーム部分が存在する場合、該フレーム部分が、前記熱可塑性樹脂部材(II)により形成され、前記熱可塑性樹脂部材(II)の少なくとも一部に、電波透過性を有する部位(III)が配置されていることが、好ましい。
前記熱可塑性部材(II)の少なくとも一部に、電波透過性を有する部位(III)を有する本発明の成形品の製造方法は、次の通りである。
電波透過性材料と熱可塑性樹脂とからなる前記電波透過性を有する部位(III)を成形する工程、前記繊維強化複合材料(I)と前記工程により成形された前記電波透過性を有する部位(III)とを、金型内にインサートする工程、および、前記工程により前記金型内にインサートされた前記繊維強化複合材料(I)と前記電波透過性を有する部位(III)に対し、前記熱可塑性樹脂部材(II)を含む残りの部位(IV)を射出成形する工程からなる成形品の製造方法。
前記電波透過性を有する部位(III)における前記熱可塑性樹脂と、前記熱可塑性樹脂部材(II)における熱可塑性樹脂とが、同種の樹脂であることが、好ましい。
本発明に係る成形品は、連続した強化繊維および熱硬化性マトリックス樹脂を含む繊維強化複合材料(I)と熱可塑性樹脂部材(II)とが強固に接合され、一体化された、耐衝撃性に優れた成形品である。本発明に係る成形品が用いられて成形された種々の機器および部品は、それらが受ける力学的負担が増大している使用環境において、簡単に破損することなく、使用され得る。特に、居室外で頻繁に使用されるようになって来ているノート型パーソナルコンピュータや携帯電話などの電気・電子機器は、本発明に係る成形品を用いてそれらの機体を形成することにより、それらの破損頻度を、著しく低減させることが可能となる。
本発明の成形品を、実施例を用いて、具体的に説明する。
本発明の成形品の一実施態様が、図1に示される。図1において、成形品1は、連続した強化繊維2および熱硬化性マトリックス樹脂3を含む繊維強化複合材料(I)と、繊維強化複合材料(I)の少なくとも一部の表面に、熱可塑性樹脂(A)により接合され、一体化された熱可塑性樹脂部材(II)とからなる。
熱可塑性樹脂(A)は、繊維強化複合材料(I)の連続した強化繊維2の間隙に含浸され、繊維強化複合材料(I)の熱硬化性マトリックス樹脂3と接合されている。すなわち、成形品1は、図1に示されるように、熱可塑性樹脂(A)の層中に、繊維強化複合材料(I)の強化繊維2の一部が含まれた構造を有している。熱可塑性樹脂(A)と繊維強化複合材料(I)の熱硬化性マトリックス樹脂3との接合面4は、成形品1の厚み方向の断面において、凹凸形状を有している。
接合面4が凹凸形状を有していることは、強化繊維2の一部の強化繊維が、その長手方向において、ある部分が、熱可塑性樹脂(A)により包埋され、それに続く他の部分が、熱硬化性マトリックス樹脂3により包埋されていることを意味する。この状態は、図1に示される断面においては、観察されないが、この断面に直角方向の断面を観察することにより、明確に把握することが出来る。
この構造において、強化繊維2は、熱可塑性樹脂(A)と繊維強化複合材料(I)との間の剥離を抑止するためのアンカー効果を奏している。その結果、熱可塑性樹脂(A)は、熱可塑性樹脂(A)により繊維強化複合材料(I)に接合され、一体化された熱可塑性部材(II)と繊維強化複合材料(I)との間の剥離の抑止の効果も奏している。
成形品1において、熱可塑性樹脂(A)のアンカー作用を高めるため、熱可塑性樹脂(A)の繊維強化複合材料(I)への最大含浸厚みhは、10μm以上とされている。成形品1におけるこの要件は、熱可塑性樹脂(A)と繊維強化複合材料(I)とが、強固に接合されていること、すなわち、強化繊維による強固なアンカー効果が発現されること意味する。最大含浸厚みhは、より好ましくは、20μm以上であり、更に好ましくは、30μm以上である。最大含浸厚みhの上限値は、特に制限されないが、1,000μm程度もあれば、実用上問題ない。
成形品1において、熱可塑性樹脂(A)の引張破断強度は、25MPa以上とされている。成形品1におけるこの要件は、熱可塑性樹脂(A)が接着剤自体として強固であること意味する。熱可塑性樹脂(A)の引張破断強度は、より好ましくは、30MPa以上、更に好ましくは、35MPa以上である。熱可塑性樹脂(A)の引張破断強度の上限値は、特に制限されないが、熱可塑性樹脂(A)であることを考慮すると、100MPa程度もあれば、実用上問題ない。
成形品1において、熱可塑性樹脂(A)の引張破断伸度は、200%以上とされている。成形品1におけるこの要件は、熱可塑性樹脂(A)が荷重を吸収して接着剤として有効に機能すること意味する。熱可塑性樹脂(A)の引張破断伸度は、より好ましくは、300%以上、更に好ましくは、350%以上である。熱可塑性樹脂(A)の引張破断伸度の上限値は、特に制限されないが、熱可塑性樹脂(A)であることを考慮すると、1,000%程度もあれば、実用上問題ない。
成形品1において、繊維強化複合材料(I)と熱可塑性樹脂部材(II)との接合部5の衝撃接着強さは、3,000J/m以上とされている。成形品1におけるこの要件は、成形品1に衝撃が加わった場合に、接合部5における剥離が抑止されること意味する。繊維強化複合材料(I)と熱可塑性樹脂部材(II)との接合部5の衝撃接着強さは、より好ましくは、4,000J/m以上、更に好ましくは、5、000J/m以上である。繊維強化複合材料(I)と熱可塑性樹脂部材(II)との接合部5の衝撃接着強さの上限値は、特に制限されないが、優れた衝撃接着強さを発揮する観点から、30,000J/m程度もあれば、実用上問題ない。
成形品1において、熱可塑性樹脂部材(II)の衝撃強度が、200J/m以上であることが好ましい。成形品1におけるこの要件は、成形品1に衝撃が加わった際にも、熱可塑性樹脂部材(II)が破壊することはなく優れた耐衝撃性を有していることを意味する。熱可塑性樹脂部材(II)の衝撃強度は、より好ましくは、300J/m以上であり、更に好ましくは、500J/m以上である。熱可塑性樹脂部材(II)の衝撃強度の上限値は、特に制限されないが、熱可塑性樹脂部材(II)であることを考慮すれば、1,000J/m程度もあれば、実用上問題ない。
熱可塑性樹脂部材(II)と熱可塑性樹脂(A)との境界は、明確である必要はない。例えば、同組成の熱可塑性樹脂が、それぞれに用いられていても良い。
成形品1において、繊維強化複合材料(I)の衝撃強度が300J/m以上であることが好ましい。成形品1におけるこの要件は、成形品1に衝撃が加わった際にも、繊維強化複合材料(I)が破壊することはなく優れた耐衝撃性を有していることを意味する。繊維強化複合材料(I)の衝撃強度は、より好ましくは、500J/m、更に好ましくは、700J/m以上である。繊維強化複合材料(I)の衝撃強度の上限値は、特に制限されないが、3,000J/m程度もあれば、実用上問題ない。
成形品1において、熱可塑性樹脂(A)の最小厚みtが、10μm乃至500μmであることが好ましい。成形品1におけるこの要件は、熱可塑性樹脂(A)による他の部材との接着のための接着層が、好ましく確保されることを意味する。熱可塑性樹脂(A)の最小厚みtは、より好ましくは、20μm乃至300μm、更に好ましくは、40μm乃至100μmである。
成形品1において、繊維強化複合材料(I)と熱可塑性樹脂部材(II)との接着強度が、25℃で12MPa以上であることが好ましい。成形品1におけるこの要件は、成形品全体の耐衝撃性が高められていることを意味する。繊維強化複合材料(I)と熱可塑性樹脂部材(II)との接着強度は、より好ましくは、15MPa以上、更に好ましくは、20MPa以上である。この接着強度の上限値は、特に制限はないが、40MPa程度もあれば、実用上問題ない。
成形品1における熱可塑性樹脂(A)が、1種または2種以上のポリエステル樹脂からなり、該ポリエステル樹脂のうち少なくとも1種のポリエステル樹脂が、ハードセグメントに、ポリエチレンテレフタレート成分、および、ポリブチレンテレフタレート成分のうちの一方あるいは双方の成分を含み、ソフトセグメントを構成するジオール成分として、ポリテトラメチレングリコール成分を含む共重合ポリエステルであることが好ましい。
この共重合ポリエステルは、ハードセグメントとして、芳香環型または脂環型の環式ジカルボン酸と下記の構造式1にて表されるジオールよりなるポリエステル成分とを、5重量%乃至80重量%含有し、ソフトセグメントとして、芳香環型または炭素数2乃至10のアルキレンジカルボン酸と下記の構造式1にて表されるジオールのうちRが直鎖アルキレンオキシドであるジオールよりなるポリエステル成分とを、20重量%乃至95重量%含有している共重合ポリエステルであることが好ましい。
構造式1: HO−R−OH
ここで、式中Rは、C2n(nは、2乃至10の整数)で表される直鎖または分岐構造をもつアルキレン基、あるいは、C2n4n(nは、1以上の整数)で表される直鎖アルキレンオキシド。
ポリエステル樹脂が、2種以上のポリエステル樹脂の混合物である場合は、少なくとも1種のポリエステル樹脂が、上記の構造の共重合ポリエステルであることが好ましい。
ハードセグメントを構成する芳香環型のジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、パラフェニレンジカルボン酸、スルホイソフタル酸ナトリウムなどがある。
ハードセグメントを構成する脂環型のジカルボン酸としては、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、4−メチル−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸などがある。
構造式1にて表されるジオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、ネオペンチルグリコール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物およびプロピレンオキサイド付加物、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、ダイマージオールなどがある。
ソフトセグメントを構成する炭素数2乃至10のアルキレンジカルボン酸としては、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、ダイマー酸などがある。
ハードセグメントの構造としては、工業的に多数利用されている樹脂成分であるポリエチレンテレフタレート成分、ポリブチレンテレフタレート成分のうちの1種または両方を含むのが好ましい。含有量としては、いずれか一方を含む場合も両方を含む場合も、その合計が10重量%乃至80重量%の範囲であることが好ましく、20重量%乃至70重量%の範囲であることが更に好ましい。
ジオール成分として、樹脂に柔軟性を持たせるために、ポリテトレメチレングリコールを含むことが好ましい。
更に、このポリエステル樹脂は、接着性を高める観点から、ポリエステル樹脂の片末端または両末端が、第1級アミノ基、エポキシ基および酸無水物基より選ばれる1種または2種の官能基構造を有していることが好ましい。これらの反応性官能基は、化学反応による共有結合の形成はもとより、水素結合や極性が高いことによる静電気的な力によって、各種材料との接着性を向上させるために好ましく作用する。ポリエステル樹脂が2種以上のポリエステル樹脂の混合物である場合は、少なくとも1種以上のポリエステル樹脂が、上記末端構造を有していることが好ましい。
ポリエステル樹脂は、単独で用いても構わないが、他の添加剤成分などを含む熱可塑性樹脂組成物としても良い。添加剤としては、無機充填材、難燃剤、導電性付与剤、結晶核剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、制振剤、抗菌剤、防虫剤、防臭剤、着色防止剤、熱安定剤、離型剤、帯電防止剤、可塑剤、滑剤、着色剤、顔料、染料、発泡剤、制泡剤およびカップリング剤などがある。
ポリエステル樹脂は、そのガラス転移温度Tgが、式0℃≦Tg≦80℃を満足していることが好ましい。ガラス転移温度Tgがこの範囲にあることで、室温付近での分子の運動性が抑止され、強固なポリエステル樹脂として、接着強度を高く発現させることが可能となる。ガラス転移温度Tgは、式10℃≦Tg≦80℃を満足していることが、より好ましく、式25℃≦Tg≦80℃を満足していることが、更に好ましい。
ここで、ポリエステル樹脂が2種以上の混合物である場合など、ガラス転移温度Tgが2つ以上存在する場合は、室温付近でのポリエステル樹脂の強度を評価する観点から、そのうちで最も低いガラス転移温度Tgを当該ポリエステル樹脂のガラス転移温度Tgとして取り扱うこととする。
ポリエステル樹脂は、その融点Tmが、式120℃≦Tm≦180℃を満足していることが、より好ましく、式120℃≦Tm≦160℃を満足していることが、更に好ましい。融点Tmをこの範囲とすることで、室温付近での接着強度はもとより、80℃を超えるような高温状態でも、優れた接着強度を発揮することが可能となる。更には、融点Tmがこの範囲であることで、溶着する際の温度が極めて高くなるということはなく、使用時の被着体の熱分解や熱変形などの問題もなく、また、プロセス的にも大きな負荷とはならない。
ここでポリエステル樹脂が2種以上の混合物である場合などで、融点Tmが2つ以上存在する場合は、ポリエステル樹脂を十分に溶融させたところで接着させるという観点から、最も高い融点Tmを当該ポリエステル樹脂の融点Tmとして取り扱うこととする。
ポリエステル樹脂は、温度(Tm+10)℃で、直径20mmのパラレルプレートによる発生トルク0.005Jにおける、その溶融粘度η1が、式500Pa・s≦η1≦2,000Pa・sを満足していることが好ましい。温度(Tm+10)℃における溶融粘度η1が上記範囲にあれば、被着体への接着剤の濡れ広がり性および接着剤の流出抑制に優れ、プロセス性および接着強度確保の両立が可能となる。溶融粘度η1は、好ましくは、600Pa・s乃至1,800Pa・sであり、より好ましくは、700Pa・s乃至1,600Pa・sである。
溶融粘度η1を上記範囲にするためには、ポリエステル樹脂の分子量を調整する方法や、2種類以上のジカルボン酸と2種類以上のジオールとを用いて共重合ポリエステルとして、分子鎖の規則性をコントロールし、結晶性を高めたり低めたりするなどにより、溶融粘度η1をコントロールすることが可能である。例えば、分子量を低くすることにより、溶融粘度η1を低下させることが可能であり、炭素数の多いジカルボン酸成分や炭素数の多いジオール成分などの柔軟性を発現することの出来る成分を原料としてポリエステル樹脂を作製すると、溶融粘度η1を低くすることが可能である。
溶融粘度η1に関しては、ポリエステル樹脂が2種以上の混合物である場合に2種類の溶融粘度η1の値が得られることはないので、特にポリエステル樹脂の種類を区別する必要はなく、混合物の粘度をそのまま測定して溶融粘度η1とする。
ポリエステル樹脂は、温度250℃で、直径20mmのパラレルプレートによる発生トルク0.005Jにおける、その溶融粘度η2が、300Pa・s以下であることが好ましい。溶融粘度η2がこの範囲にあることで、ポリエステル樹脂をシート状にプレス加工したりすることが容易となり、ポリエステル樹脂を接着剤として使用する際の施工プロセス面で非常に有効である。溶融粘度η2の下限値は、特に制限されないが、ポリエステル樹脂が高分子量体であることを考慮すると、溶融粘度η2は、通常は、1Pa・s以上となる。溶融粘度η2は、好ましくは、250Pa・s以下であり、より好ましくは、200Pa・s以下である。
溶融粘度η2を上記範囲にするためには、上記の溶融粘度η1を調整する手法と同じ手法が、用いられる。
成形品1を構成する熱可塑性樹脂部材(II)は、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、および、熱可塑性エラストマー樹脂より選ばれる1種以上の樹脂組成物で構成されていることが好ましい。
熱可塑性エラストマーとしては、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ポリ塩化ビニル系エラストマー、ウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマーなどがある。
耐衝撃性の観点から、より好ましい熱可塑性樹脂部材(II)の構成樹脂は、ポリカーボネート樹脂またはポリカーボネート樹脂とABS樹脂とのアロイ樹脂である。
これらの樹脂組成物には、耐衝撃性向上のために、他のエラストマーあるいはゴム成分を添加しても良い。また、成形品1の用途に応じ、適宜、他の充填材や添加剤を含有していても良い。充填材や添加剤としては、無機充填材、難燃剤、導電性付与剤、結晶核剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、制振剤、抗菌剤、防虫剤、防臭剤、着色防止剤、熱安定剤、離型剤、帯電防止剤、可塑剤、滑剤、着色剤、顔料、染料、発泡剤、制泡剤、カップリング剤などがある。
熱可塑性樹脂部材(II)は、熱可塑性樹脂単独で構成しても構わないが、熱可塑性樹脂部材(II)の強度を向上させ、成形品1の力学的特性を向上させる観点から、熱可塑性樹脂部材(II)は、強化繊維を含んでいても良い。強化繊維としては、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、芳香族ポリアミド繊維、ポリアラミド繊維、アルミナ繊維、炭化珪素繊維、ボロン繊維、玄武岩繊維などがある。これらの強化繊維は、単独または2種以上併用して用いられる。強化繊維を含む場合は、その繊維含有率は、5重量%乃至60重量%であることが好ましい。
熱可塑性樹脂部材(II)に、ポリカーボネート樹脂組成物、ポリカーボネート樹脂とABS樹脂とのアロイ樹脂組成物、熱可塑性エラストマー組成物のいずれかが使用されている場合、繊維強化複合材料(I)との接着性を高めるために、熱可塑性樹脂(A)は、これらの樹脂組成物と親和性の高いポリエステル樹脂であることが好ましい。
熱可塑性樹脂(A)を構成するポリエステル樹脂は、樹脂自体の強度確保と流動性確保のために、その数平均分子量が、10,000乃至30,000であることが好ましい。その数平均分子量は、より好ましくは、12,000乃至28,000、更に好ましくは、15,000乃至25,000である。
成形品1を構成する繊維強化複合材料(I)における連続した強化繊維2の形態としては、特に限定されず、多数本の強化繊維からなる強化繊維束、この繊維束から構成されたクロス、多数本の強化繊維が一方向に配列された強化繊維束(一方向性繊維束)、この一方向性繊維束から構成された一方向性クロスなど、それらを組み合わせたもの、これらを複数層配置したものなどがある。なかでも、基材の生産性の観点から、クロス、一方向性繊維束が、好ましく用いられる。
強化繊維束は、同一の形態の複数本の繊維から構成されていても、あるいは、異なる形態の複数本の繊維から構成されていても良い。一つの強化繊維束を構成する強化繊維数は、通常、300乃至48,000であるが、基材の製造を考慮すると、好ましくは、300乃至24,000であり、より好ましくは、1,000乃至12,000である。
連続した強化繊維2は、少なくとも一方向に、10mm以上の長さにわたり連続した強化繊維である。強化繊維2は、繊維強化複合材料(I)の長さ方向の全長にわたり、あるいは、繊維強化複合材料(I)の幅方向の全幅にわたり、連続している必要はなく、途中で分断されていても良い。
使用される強化繊維2の繊維素材としては、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、芳香族ポリアミド繊維、ポリアラミド繊維、アルミナ繊維、炭化珪素繊維、ボロン繊維、玄武岩繊維などがある。これらは、単独または2種以上併用して用いられる。これらの繊維素材は、表面処理が施されているものであっても良い。表面処理としては、金属の被着処理、カップリング剤による処理、サイジング剤による処理、添加剤の付着処理などがある。これらの繊維素材の中には、導電性を有する繊維素材も含まれている。繊維素材としては、比重が小さく、高強度、高弾性率である炭素繊維が、好ましく使用される。
成形品1において、繊維強化複合材料(I)の実質厚みが、0.1mm乃至0.6mmであることが、好ましい。
成形品1において、繊維強化複合材料(I)における熱硬化性マトリックス樹脂3としては、不飽和ポリエステル、ビニルエステル、エポキシ、フェノール(レゾール型)、ユリア・メラミン、ポリイミド、ビスマレイミド、シアネートエステルなどがあり、これらの共重合体、変性体、および、これらの少なくとも2種をブレンドした樹脂がある。衝撃性向上のために、エラストマーもしくはゴム成分が添加されていても良い。特に、エポキシ樹脂は、成形品の力学特性の観点から好ましい。更に、エポキシ樹脂は、その優れた力学特性を発現するために、熱硬化性マトリックス樹脂3の主成分として含まれていることが好ましく、具体的には、60重量%以上含まれていることが好ましい。
成形品1において、繊維強化複合材料(I)は、その少なくとも一部の表面または内部に、引裂強度が80N/mm以上である耐衝撃層を有することが好ましい。これにより、成形品1の耐衝撃性が、より向上する。繊維強化複合材料(I)が、その少なくとも一部の表面または内部に、耐衝撃層を有することで、衝撃が加わった際の繊維強化複合材料(I)の割れや、衝突物体の繊維強化複合材料(I)の貫通による破損が、抑制される。耐衝撃層の引裂強度は、より好ましくは、100N/mm以上であり、更に好ましくは、150N/mm以上である。
耐衝撃層を形成する材料は、特に制限されないが、軽量性や成形性の観点から、材料は樹脂であることが好ましい。耐衝撃層を形成する樹脂の例としては、耐衝撃性ポリエステル樹脂や耐衝撃性ポリアミド樹脂がある。
成形品1において、熱可塑性樹脂部材(II)の少なくとも一部が、電波透過性を有する部位(III)からなることが、好ましい。また、該電波透過性を有する部位(III)の電界シールド性が、0dB乃至15dBであることが、好ましい。
前記電波透過性を有する部位(III)が、非導電性繊維で強化された部材で形成されていることが、好ましい。また、前記電波透過性を有する部位(III)が、含有量30重量%乃至70重量%のガラス繊維で強化された部材で形成されていることが、好ましい。
成形品1がフレーム部分を有し、かつ、該フレーム部分が、前記熱可塑性樹脂部材(II)により形成され、該フレーム部分の少なくとも一部に、電波透過性を有する部位(III)が配置されていることが、好ましい。
成形品1は、電気・電子機器、オフィスオートメーション機器、家電機器、医療機器、自動車部品、航空機部品、または、建材において、好ましく用いられる。また、成形品1は、パーソナルコンピュータ筐体、または、携帯電話筐体において、好ましく用いられる。
成形品1が携帯電話筐体などの小型成形品に適用される場合は、軽量化する意味で、成形品1の熱可塑性樹脂部材(II)で形成されるフレーム部分(II)が、可能な範囲で少ないこと好ましい。ただし、フレーム部分(II)により繊維強化複合材料(I)を十分に接着支持できることが前提である。そのためには、繊維強化複合材料(I)とフレーム部分(II)との接合部分の投影面積が、繊維強化複合材料(I)の投影面積の5乃至75%であることが好ましい。より好ましくは、投影面積の10乃至60%で、更に好ましくは、投影面積の20乃至50%である。
成形品1が携帯電話筐体に適用される場合は、繊維強化複合材料(I)は、サイズが小さく軽量であることが好ましく、その最大投影面積が、10,000mm以下であることが好ましい。より好ましくは、8,000mm以下、更に好ましくは、6,000mm以下である。
成形品1において、繊維強化複合材料(I)と熱可塑性樹脂部材(II)を、熱可塑性樹脂(A)を介して、一体化成形する場合には、その一体化成形を行うための手法として、熱溶着、振動溶着、超音波溶着、レーザー溶着、インサート射出成形、アウトサート射出成形などが、好ましく使用され、成形サイクルの観点から、アウトサート成形、インサート成形が、好ましく使用される。
この明細書に登場する各種特性値の測定方法は、次の通りである。
(1)熱可塑性樹脂(A)の最大含浸厚みh:
最大含浸厚みhは、図1に示すように、熱可塑性樹脂(A)の層中に位置する強化繊維2のうちで、熱可塑性樹脂部材(II)に最も近い位置にある強化繊維2aと熱可塑性樹脂部材(II)から最も離れた位置にある強化繊維2bとの間の距離をもって定義される。最大含浸厚みhは、成形品から熱可塑性樹脂(A)を含む断面部分を5mm×5mmの大きさで切り出して試験片を作成し、得られた断面を光学顕微鏡にて画像撮影し、得られた画像より最大含浸厚みhを計測して求めた。画像撮影の倍率は、300倍とする。なお、光学顕微鏡に代えて、走査型電子顕微鏡(SEM)または透過型電子顕微鏡(TEM)を用いることも出来る。熱可塑性樹脂(A)が明確に観察出来ない場合は、観察のコントラストを強調するために、必要に応じ、染色しても良い。
(2)熱可塑性樹脂(A)の最小厚みt:
熱可塑性樹脂(A)の最小厚みtは、図1に示すように、熱可塑性樹脂部材(II)と繊維強化複合材料(I)との間に存在する熱可塑性樹脂(A)の厚みのうちの最小の厚みとして定義される。最小厚みtは、成形品から熱可塑性樹脂(A)を含む断面部分を5mm×5mmの大きさで切り出して試験片を作成し、得られた断面を光学顕微鏡にて画像撮影し、得られた画像より最小厚みtを計測して求める。画像撮影の倍率は、300倍とする。なお、光学顕微鏡に代えて、走査型電子顕微鏡(SEM)または透過型電子顕微鏡(TEM)を用いることも出来る。熱可塑性樹脂(A)が明確に観察出来ない場合は、観察のコントラストを強調するために、必要に応じ、染色しても良い。
(3)熱可塑性樹脂(A)の引張破断強度:
熱可塑性樹脂(A)の引張破断強度は、原則として、ISO527に規定されているサイズの試験片を成形品1から切り出し、規定に基づいて測定する。成形品1から規定サイズの試験片が取得でない場合は、別途、熱可塑性樹脂(A)を用いて、幅5mm、長さ20mmのフィルムを作成し、このフィルムを試験片として用いても良い。
(4)熱可塑性樹脂(A)の引張破断伸度:
熱可塑性樹脂(A)の引張破断伸度は、原則として、ISO527に規定されているサイズの試験片を成形品1から切り出し、規定に基づいて測定する。成形品1から規定サイズの試験片が取得でない場合は、別途、熱可塑性樹脂(A)を用いて、幅5mm、長さ20mmのフィルムを作成し、このフィルムを試験片として用いても良い。
(5)繊維強化複合材料(I)と熱可塑性樹脂部材(II)との接合部5の衝撃接着強さ:
繊維強化複合材料(I)と熱可塑性樹脂部材(II)との接合部5の衝撃接着強さは、成形品1から、図2に示すような繊維強化複合材料(I)と熱可塑性樹脂部材(II)とが接合一体化した部分を切り出し、ISO9653の規定に準拠して測定する。
図2に、使用に供する試験片21における寸法を示す。L1は、熱可塑性樹脂部材(II)の長さ、W1は、繊維強化複合材料(I)および熱可塑性樹脂部材(II)の幅、および、T1は、熱可塑性樹脂部材(II)の厚さである。試験片21は、可能な範囲で、これらの寸法が大きく取れる成形品1の部位より切り出す。切り出した試験片21の繊維強化複合材料(I)の厚さが薄い場合には、試験にそのまま供することが困難な場合がある。その場合は、図5に示すように、切り出した試験片51とアルミニウム板52とを、1液型エポキシ接着剤(住友スリーエム(株)製、EW2070)を用いて接合して、測定用試験片53とする。このとき、アルミニウム板52の厚さT3は、20mmとする。
後述の実施例においては、図5に示される形態の試験片を用い、L1=3mm、W1=3mm、T1=2mm、L2=40mm、および、T3=20mmとした。
試験は、熱可塑性樹脂部材(II)側にハンマーが当たるように試験片21あるいは53をセットし、ISO9653の規定に準拠して行う。ISO9653の規定に基づく測定方法で測定した衝撃吸収エネルギーを、接着面積で除して、衝撃接着強さとする。
このとき、試験後の破断試験片の繊維強化複合材料(I)と熱可塑性樹脂部材(II)との接合部で剥離が生じていることを確認し、衝撃接着強さが正しく測定出来ていることを確認する。熱可塑性樹脂部材(II)の母材破壊など、正しく衝撃接着強さが測定出来ていない場合は、接合面積の小さい試験片を準備するなどして、正しい衝撃接着強さが評価出来るように適宜調整する。なお、図2、図5における試験片21、53の図示においては、繊維強化複合材料(I)と熱可塑性樹脂部材(II)との間に介在している熱可塑性樹脂(A)の図示が省略されている。
(6)繊維強化複合材料(I)と熱可塑性樹脂部材(II)との接着強度:
繊維強化複合材料(I)と熱可塑性樹脂部材(II)との接着強度は、成形品1から、図3に示すような繊維強化複合材料(I)と熱可塑性樹脂部材(II)とが接合一体化した部分を試験片31として切り出し、原則として、ISO4587の規定に準拠して測定する。
図3において、試験片31におけるL3は、接着部の長さ、Mは、繊維強化複合材料(I)および熱可塑性樹脂部材(II)の接着部L3の長さを除いた長さ、W2は、繊維強化複合材料(I)および熱可塑性樹脂部材(II)の幅、および、T2は、繊維強化複合材料(I)および熱可塑性樹脂部材(II)の厚さを、それぞれ表す。試験片31の大きさは、原則として、ISO4587の規定に基づく大きさとするが、成形品1から、その大きさの試験片が取得出来ない場合は、可能な範囲で、各寸法が大きく取れる成形品1の部位より切り出した試験片を用いる。
取得された試験片31は、ISO4587の規定に基づき、ラップシェア引張試験に供される。これにより測定された接着破断加重を、接着面積10で除して、接着強度が算出される。
後述の実施例においては、図3に示される形態の試験片31において、L3=3mm、M=20mm、W2=10mm、および、T2=2mmとした。測定装置としては“インストロン”(登録商標)5565型万能材料試験機(インストロン・ジャパン(株)製)を使用した。引張試験は、雰囲気温度が調節可能な試験室において、25℃の雰囲気温度で行った。試験開始前に、試験片31は、試験室内において、少なくとも5分間、引張試験の負荷がかからない状態を維持し、また、試験片31に熱電対を配置して、雰囲気温度と同等になったことを確認した後に、引張試験を行った。引張試験は、引張速度1.27mm/分にて引っ張って行い、その最大荷重を接着面積で除した値を接着強度とした。また、試料数nは5とし、それらの平均値を接着強度とした。
(7)繊維強化複合材料(I)の衝撃強度(ノッチ付きIzod衝撃強度):
繊維強化複合材料(I)の衝撃強度(ノッチ付きIzod衝撃強度)は、原則として、ASTMD256の規定に準拠して測定する。ただし、成形品1から取得される試験片の大きさが足りない場合は、可能な範囲で、幅、厚み、長さが大きく取れる成形品1の部位より試験片を切り出して、測定を行う。
後述の実施例においては、成形品1の繊維強化複合材料(I)部分から、幅10mm、長さ64mm、厚さ1mmの板状部品を切り出し、ASTMD256に記載のノッチ形状加工を行い、試験片とした。この試験片を用いて、ASTMD256記載の方法で、衝撃強度試験を行った。試料数はnは5とし、それらの平均値をノッチ付きIzod衝撃強度とした。
(8)熱可塑性樹脂部材(II)の衝撃強度(ノッチ付きIzod衝撃強度):
熱可塑性樹脂部材(II)の衝撃強度(ノッチ付きIzod衝撃強度)は、原則として、ASTMD256の規定に準拠して測定する。ただし、成形品1から取得される試験片の大きさが足りない場合は、可能な範囲で、幅、厚み、長さが大きく取れる成形品1の部位より試験片を切り出して、測定を行う。なお、熱可塑性樹脂部材(II)の材料が特定出来ている場合は、別途、その材料を用いて、ASTMD256に規定されているサイズの試験片を成形して、それを用いて測定することが好ましい。
後述の実施例においては、成形品1の熱可塑性樹脂部材(II)部分から、幅10mm、長さ64mm、厚さ1mmの板状部品を切り出し、ASTMD256に記載のノッチ形状加工を行い、試験片とした。この試験片を用いて、ASTMD256記載の方法で、衝撃強度試験を行った。試料数はnは5とし、それらの平均値をノッチ付きIzod衝撃強度とした。
(9)ポリエステル樹脂のガラス転移温度Tg:
ポリエステル樹脂のガラス転移温度Tgは、ISO11357−2に記載の方法に基づき測定する。後述する実施例においては、示差走査熱量計として、Pyris 1 DSC(パーキンエルマー・インスツルメント社製示差走査熱量計)を用いて測定した。昇温速度は、10℃/分とし、DSC曲線が階段状変化を示す部分の中間点をガラス転移温度Tgとした。混合物などでTgが複数観測される場合は、最も低いガラス転移温度Tgをその組成物のガラス転移温度Tgとして採用した。
(10)ポリエステル樹脂の融点Tm:
ポリエステル樹脂の融点Tmは、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定する。後述の実施例においては、容量50μlの密閉型サンプル容器に、1mg乃至5mgの試料を詰め、昇温速度10℃/分で30℃の温度から350℃の温度まで昇温し、融点Tmを測定した。示差走査熱量計として、Pyris 1 DSC(パーキンエルマー・インスツルメント社製示差走査熱量計)を用いた。混合物などで融点Tmが複数観測される場合は、最も高い融点Tmをその組成物の融Tm点として採用した。
(11)ポリエステル樹脂の溶融粘度η1:
ポリエステル樹脂の溶融粘度η1の測定は、動的粘弾性測定装置を使用し、直径20mmのパラレルプレートを用い、平行平板間の距離1.0mm、測定周波数0.5Hz、発生トルク0.005Jの条件下で、所定の温度(温度(Tm+10)℃)において、ポリエステル樹脂成分の粘弾性測定を行い、溶融粘度η1を読み取る。後述の実施例においては、ポリエステル樹脂成分3gを用い、動的粘弾性測定装置として、ティー・エイ・インスツルメント社製動的粘弾性測定装置ARESを用いて測定した。
(12)ポリエステル樹脂の溶融粘度η2:
ポリエステル樹脂の溶融粘度η2の測定は、動的粘弾性測定装置を使用し、直径20mmのパラレルプレートを用い、平行平板間の距離1.0mm、測定周波数0.5Hz、発生トルク0.005Jの条件下で、所定の温度(250℃)において、ポリエステル樹脂成分の粘弾性測定を行い、溶融粘度η2を読み取る。後述の実施例においては、ポリエステル樹脂成分3gを用い、動的粘弾性測定装置として、ティー・エイ・インスツルメント社製動的粘弾性測定装置ARESを用いて測定した。
(13)ポリエステル樹脂の数平均分子量:
ポリエステル樹脂の数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)などの一般的な測定手段で測定する。ここで、ポリエステル樹脂が2種以上の混合物である場合など、数平均分子量の異なる、すなわち、数平均分子量の分布が2分布ある場合などは、ポリエステル樹脂の強度を評価する観点から、そのうちで最も低い数平均分子量の値を、当該ポリエステル樹脂の数平均分子量として取り扱うこととする。後述の実施例においては、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)として、WATERS社製GPC−244を用いた。
(14)耐衝撃層の引裂強度:
引裂強度は、原則として、ISO6383−1の規定に準拠して測定する。ただし、繊維強化複合材料(I)から取得される耐衝撃層の試験片の大きさが足りない場合は、可能な範囲で、幅、厚み、長さが大きく取れる繊維強化複合材料(I)の耐衝撃層部位より試験片を切り出して、測定を行う。なお、耐衝撃層の材料が特定出来ている場合は、別途、その材料を用いて、ISO6383−1に規定されているサイズの試験片を成形して、それを用いて測定することが好ましい。
(15)繊維強化複合材料(I)の貫通テスト:
繊維強化複合材料(I)から切り出した1辺の長さが30mm乃至100mmの正方形の試験片を用いて、その4辺を、5mm乃至20mmの範囲で、可能な限り広いクランプ幅で、拘束し、試験片が移動しないように支持する。試験片の片方の表面の中心部に、直径16mmの半球状の先端を有する重さ5kgの鋼製のストライカを、高さ75cmから落下させ、衝撃を与えた後に、試験片に貫通孔が開くか否かを確認する。後述の実施例では、30mm×30mmの大きさの試験片を、4辺ともに5mmの拘束幅で固定して、貫通テストを行った。
(16)電波透過性:
電波透過性は、アドバンテスト法に基づき測定する。携帯電話筐体から正方形の平板を切出して試験片とする。試験片の大きさは、可能な限り大きくとることが好ましい。試験片の大きさは、小さくても20mm×20mmであることが好ましい。試験片の大きさが確保できない場合、該当する材質部分を切り出して、厚みをフレーム部材と同厚みになるよう熱プレス成形などで再成形してから測定に供しても良い。熱などで変性してしまう、あるいは再成形が不可能な場合は、該当材料の組成を分析し、同等組成の材料を試験片形状に成形して測定に供しても良い。
試験にあたり、試験片を絶乾状態(水分率0.1%以下)とし、四辺に導電性ペースト(藤倉化成(株)製ドータイト)を塗布し、十分に導電性ペーストを乾燥させる。シールドボックス中に試験片を挟み込んで、スペクトラムアナライザーにて、周波数1GHzでの電波シールド性(単位:dB)を測定し、電磁波シールド性とする。電波シールド性が低いほど、電波透過性に優れている。後述の実施例においては、20mmx20mmx厚み1mmの試験片を用いた。
(17)繊維強化複合材料(I)の曲げ弾性率:
成形体1(携帯電話筐体61)より繊維強化複合材料(I)を切り出す。その際、リブ部、ヒンジ部、凹凸形状が付与されている部位は極力避け、これらの部位を含む場合は、これらの部位切削除去して試験に供する。試験片の切り出し方向は、少なくとも異なる角度2方向から切り出したものを試験片とする。好ましくは3方向、更に好ましくは4方向である。試験片それぞれの角度は、2方向切り出しの場合はそれぞれが90°異なり、3方向切り出しの場合はそれぞれが60°異なり、4方向切り出しの場合はそれぞれが45°異なるのが好ましい。
試験片の大きさは、ISO178の規定に従うことが好ましい。規定の大きさの試験片を確保出来ない場合や試験片の必要個数を確保できない場合などは、可能な範囲で大きな試験片を切り出して、測定に供する。最低でも幅5mm、長さ20mm程度の試験片を確保出来ることが好ましい。規格に沿った試験片が確保できない場合は、規格に対して幅、長さの比を一定に縮小したサイズの試験片を切り出し、厚みに関しては実質厚みのままとする。この場合、測定時のスパン(支点間距離)は、試験片の長さに比例縮小して決定する。試験片は3乃至5本用意し、測定に供する。その他の測定条件は、ISO178の規定に準拠する。
後述する実施例においては、図6および7に示す携帯電話筐体61の繊維強化複合材料(I)の部位より、0°方向および90°方向を試験片の長さの方向として、幅8mm、長さ30mmの試験片を切り出した。試験片の個数は、それぞれの方向において、各3個とした。測定装置としては“インストロン”(登録商標)5565型万能材料試験機(インストロン・ジャパン(株)製)を使用した。引張試験は、雰囲気温度が調節可能な試験室において、25℃の雰囲気温度で行った。試験開始前に、試験片は、試験室内において、少なくとも5分間、引張試験の負荷がかからない状態を維持し、また、試験片に熱電対を配置して、雰囲気温度と同等になったことを確認した後に、曲げ試験を行った。曲げ試験は、圧子の速度1.27mm/分にて行った。曲げ試験の結果から、試験片の曲げ弾性率を算出した。
以下、実施例に基づき、本発明を更に具体的に説明する。下記の実施例および比較例中に示される配合割合(%)は、別途特定している場合を除き、全て重量%に基づく値である。
実施例において用いられる一方向炭素繊維プリプレグの作成:
(1)使用原料:
(a)エポキシ樹脂
“エピコート(登録商標)”828、“エピコート(登録商標)”834、 “エピコート(登録商標)”1001(以上、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ジャパンエポキシレジン(株)製)、“エピコート(登録商標)”154(以上、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ジャパンエポキシレジン(株)製)。
(b)硬化剤
DICY7(ジシアンジアミド、ジャパンエポキシレジン(株)製)。
(c)硬化促進剤
3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチルウレア。
(d)熱可塑性樹脂
“ビニレック(登録商標)”K(ポリビニルフォルマール、チッソ(株)製)。
(e)炭素繊維
“トレカ(登録商標)”T700SC−12K−50C(引張強度4,900MPa、引張弾性率235GPa、繊維比重1.80)(東レ(株)製)。
(2)エポキシ樹脂を含むマトリックス樹脂の未硬化樹脂組成物(本実施例中では、エポキシ樹脂組成物と略す)の調整方法:
以下に示す原料を、以下に示す組成比および手順で、ニーダーで混合し、ポリビニルホルマールが均一に溶解したエポキシ樹脂組成物を得た。
(a)エポキシ樹脂組成物の原料(括弧内の数字は、組成比を示す)
“エピコート(登録商標)”828:(20)
“エピコート(登録商標)”834:(20)
“エピコート(登録商標)”1001:(25)
“エピコート(登録商標)”154:(35)
DICY7:(4)
3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチルウレア:(5)
“ビニレック(登録商標)”K:(5)
(b)手順
(b1)各エポキシ樹脂原料とポリビニルフォルマールとを150℃乃至190℃に加熱しながら、1時間乃至3時間攪拌し、ポリビニルフォルマールを均一に溶解した。
(b2)樹脂温度を55℃乃至65℃まで降温し、DICY7、および、3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチルウレアを加え、該温度で30分乃至40分間混練後、ニーダー中から取り出してエポキシ樹脂組成物を得た。
(3)炭素繊維一方向プリプレグの作製:
前記エポキシ樹脂組成物をリバースロールコータを用いて離型紙上に塗布して樹脂フィルムを作製した。樹脂フィルムの単位面積あたりのエポキシ樹脂組成物の塗布量は、31g/mとした。
次に、単位面積あたりの繊維重量が125g/mとなるようにシート状に一方向に整列させた炭素繊維“トレカ(登録商標)”T700SC−12K―50C(東レ株式会社製、引張強度4,900MPa、引張弾性率230GPa)に、前記樹脂フィルムを両面から重ね、加熱加圧してエポキシ樹脂組成物を炭素繊維の間隙に含浸させ、一方向プリプレグを作製した。
(実施例1)
(1)熱可塑性樹脂(A)の調整:
共重合ポリエステル樹脂(東レデュポン(株)製“ハイトレル”(登録商標)2551、融点164℃)と共重合ポリエステル樹脂(東レ(株)製“ケミット”(登録商標)R248、融点113℃)とを、JSW製TEX−30α型二軸押し出し機(スクリュー直径30mm、ダイス直径5mm、バレル温度200℃、回転数150rpm)を用いて、これらを十分混練した状態で、ガット状に、連続的に押し出し、これを冷却後、カッターで5mm長に切断して、ポリエステル樹脂を得た。このポリエステル樹脂を、温度200℃、圧力50MPaでプレス成形し、厚さ60μmのフィルムを得た。
(2)繊維強化複合材料(I)の作成、ならびに、熱可塑性樹脂(A)と繊維強化複合材料(I)との積層体の作成:
上に準備した一方向炭素繊維プリプレグを、所定の大きさ(300mm×300mm)のサイズにカットし、一辺に沿った方向を0°方向として、繊維方向が、下から上に向かい、0°、90°、0°・・・・0°、90°、0°となるように、15枚のプリプレグを積層した。この積層体は、繊維強化複合材料(I)の形成に用いられる。最後に、積層したプリプレグの上から、上記(1)で作製した熱可塑性樹脂(A)のフィルムをプリプレグ積層体と同様の大きさにカットしたものを1枚重ねて積層した。
次に、プレス金型に、該プリプレグ積層体をセットし、1MPaの圧力をかけながら、160℃の温度で30分間加熱硬化させて、プレス成形し、熱可塑性樹脂(A)と繊維強化複合材料(I)との積層体を得た。
(3)成形品の作成:
上記(2)で得られた熱可塑性樹脂(A)と繊維強化複合材料(I)との積層体を所定の大きさ(繊維強化複合材料(I)の最表層の繊維方向が0°の方向を280mm、最表層の繊維方向が90°の方向を210mmとする長方形)にカットした後、射出成形のインサート金型内にセットした。このとき、熱可塑性樹脂(A)が接着面に来るよう配置した。
続いて、熱可塑性樹脂部材(II)として、ポリカーボネート樹脂(日本GEP(株)製、レキサン141R、ノッチ付きIzod衝撃強度760J/m)ペレットを射出成形して、繊維強化複合材料(I)と一体化させ、図4に示すようなパーソナルコンピュータ筐体用成形品41を製造した。なお、図4において熱可塑性樹脂(A)の図示は、省略されている。
この成形品41において、繊維強化複合材料(I)と熱可塑性樹脂部材(II)とが一体化した部分から、衝撃接着強さおよび接着強度の測定用試験片を切り出した。測定結果は、表1に示される。
(実施例2)
(1)熱可塑性樹脂(A)の調整:
共重合ポリエステル樹脂(東レ(株)製“ケミット”(登録商標)Q1500、融点170℃)を、温度200℃、圧力50MPaでプレス成形し、厚さ60μmのフィルムを得た。
(2)繊維強化複合材料(I)の作成、ならびに、熱可塑性樹脂(A)と繊維強化複合材料(I)との積層体の作成:
上記(1)で作製した熱可塑性樹脂(A)のフィルムを用いた以外は、実施例1と同様にして、繊維強化複合材料(I)、ならびに、熱可塑性樹脂(A)と繊維強化複合材料(I)との積層体を得た。
(3)成形品の作成:
上記(2)で得られた繊維強化複合材料(I)と熱可塑性樹脂(A)との積層体を用いた以外は、実施例1と同様にして、図4に示すようなパーソナルコンピュータ筐体用成形品41を製造した。この成形品41の繊維強化複合材料(I)と熱可塑性樹脂部材(II)とが一体化した部分から、衝撃接着強さおよび接着強度の測定用試験片を切り出した。測定結果は、表2に示される。
(実施例3)
(1)熱可塑性樹脂(A)の調整:
実施例1と同様にして、熱可塑性樹脂(A)を調整した。
(2)繊維強化複合材料(I)の作成、ならびに、熱可塑性樹脂(A)と繊維強化複合材料(I)との積層体の作成:
実施例1と同様の方法で、繊維強化複合材料(I)、ならびに、熱可塑性樹脂(A)と繊維強化複合材料(I)との積層体を得た。
(3)成形品の作成:
熱可塑性樹脂部材(II)として、ガラス繊維/ポリカーボネート樹脂(日本GEP(株)製、レキサン3414R。ガラス繊維40重量%、ノッチ付きIzod衝撃強度215J/m)のペレットを用いた以外は、実施例1と同様にして、図4に示すようなパーソナルコンピュータ筐体用成形品41を得た。この成形品41の繊維強化複合材料(I)と熱可塑性樹脂部材(II)とが一体化した部分から、衝撃接着強さおよび接着強度の評価用試験片を切り出した。測定結果は、表3に示される。
(実施例4)
(1)熱可塑性樹脂(A)の調整:
実施例1と同様にして、熱可塑性樹脂(A)を調整した。
(2)繊維強化複合材料(I)の作成、ならびに、熱可塑性樹脂(A)と繊維強化複合材料(I)との積層体の作成:
上に準備した一方向炭素繊維プリプレグを、所定の大きさ(300mm×300mm)のサイズにカットし、一辺に沿った方向を0°方向として、繊維方向が、下から上に向かい、0°、90°、0°・・・・0°、90°、0°となるように、15枚のプリプレグを積層した。この積層体は、繊維強化複合材料(I)の形成に用いられる。積層したプリプレグの上から、上記(1)で作製した熱可塑性樹脂(A)のフィルムをプリプレグ積層体と同様の大きさにカットしたものを1枚重ねて積層した。
更に、積層したプリプレグの反対側の面に、上記(1)で作製した熱可塑性樹脂(A)のフィルムをプリプレグ積層体と同様の大きさにカットしたものを1枚重ねて積層し、その上に、耐衝撃層として、ポリエステル樹脂フィルム(東レ(株)製、“ルミラー”(登録商標)HT50、引裂強度270N/mm、厚み100μm)をプリプレグ積層体と同様の大きさにカットしたものを1枚重ねて積層した。
次に、プレス金型に、該プリプレグ積層体をセットし、1MPaの圧力をかけながら、160℃の温度で30分間加熱硬化させて、プレス成形し、熱可塑性樹脂(A)と繊維強化複合材料(I)との積層体を得た。
(3)成形品の作成:
上記(2)で得られた繊維強化複合材料(I)と熱可塑性樹脂(A)との積層体を用いた以外は、実施例1と同様にして、図4に示すようなパーソナルコンピュータ筐体用成形品41を製造した。この成形品41の繊維強化複合材料(I)と熱可塑性樹脂部材(II)とが一体化した部分から、衝撃接着強さおよび接着強度の測定用試験片を切り出した。また、繊維強化複合材料(I)の部分から、貫通テストの測定用試験片を切り出した。測定結果は、表4に示される。

(比較例1) (1)熱可塑性樹脂(A)の調整:
実施例1と同様にして熱可塑性樹脂(A)を調整した。
(2)繊維強化複合材料(I)の作成、ならびに、熱可塑性樹脂(A)と繊維強化複合材料(I)との積層体の作成:
実施例1と同様の方法で、繊維強化複合材料(I)、ならびに、熱可塑性樹脂(A)と繊維強化複合材料(I)との積層体を得た。
(3)成形品の作成:
熱可塑性樹脂部材(II)として、GF/ポリカーボネート樹脂(日本GEP(株)製、レキサン3412R。GF20重量%、ノッチ付きIzod衝撃強度100J/m)ペレットを用いた以外は、実施例1と同様にして、図4に示すようなパーソナルコンピュータ筐体用成形品を得た。この成形品の繊維強化複合材料(I)と熱可塑性樹脂部材(II)とが一体化した部分から、衝撃接着強さおよび接着強度の評価用試験片を切り出した。測定結果は、表5に示される。
(比較例2)
(1)熱可塑性樹脂(A)の調整:
実施例1と同様にして熱可塑性樹脂(A)を調整した。
(2)繊維強化複合材料(I)の作成、ならびに、熱可塑性樹脂(A)と繊維強化複合材料(I)との積層体の作成:
上に準備した一方向炭素繊維プリプレグを、所定の大きさ(300mm×300mm)のサイズにカットし、一辺に沿った方向を0°方向として、繊維方向が、下から上に向かい、0°、90°、0°・・・・0°、90°、0°となるように、15枚のプリプレグを積層した。この積層体は、繊維強化複合材料(I)の形成に用いられる。次に、プレス金型に、該プリプレグ積層体をセットし、1MPaの圧力をかけながら、160℃の温度で30分間加熱硬化させた後、その硬化板に上記(1)で作成した熱可塑性樹脂(A)を積層し、160℃の温度で1分間プレス成形して繊維強化複合材料(I)を得た。
(3)成形品の作成:
上記(2)で得られた繊維強化複合材料(I)と熱可塑性樹脂(A)との積層体を用いた以外は、実施例1と同様にして、図4に示すようなパーソナルコンピュータ筐体用成形品を製造した。この成形品の繊維強化複合材料(I)と熱可塑性樹脂部材(II)とが一体化した部分から、衝撃接着強さおよび接着強度の測定用試験片を切り出した。測定結果は、表6に示される。
(比較例3)
(1)熱可塑性樹脂(A)の調整:
共重合ポリエステル樹脂(東レ(株)製“ケミット”(登録商標)R99、融点75℃)を、温度120℃、圧力50MPaでプレス成形し、厚さ60μmのフィルムを得た。
(2)繊維強化複合材料(I)の作成、ならびに、熱可塑性樹脂(A)と繊維強化複合材料(I)との積層体の作成:
上記(1)で作製した熱可塑性樹脂(A)のフィルムを用いた以外は、実施例1と同様にして、繊維強化複合材料(I)、ならびに、熱可塑性樹脂(A)と繊維強化複合材料(I)との積層体を得た。
(3)成形品の作成:
上記(2)で得られた繊維強化複合材料(I)と熱可塑性樹脂(A)との積層体を用いた以外は、実施例1と同様にして、図4に示すようなパーソナルコンピュータ筐体用成形品41を製造した。この成形品41の繊維強化複合材料(I)と熱可塑性樹脂部材(II)とが一体化した部分から、衝撃接着強さおよび接着強度の測定用試験片を切り出した。測定結果は、表7に示される。
(比較例4)
(1)熱可塑性樹脂(A)の調整:
共重合ポリエステル樹脂(東レ(株)製“ケミット”(登録商標)K1089、融点135℃)と共重合ポリエステル樹脂(東レ(株)製“ケミット”(登録商標)R248、融点113℃)とを、JSW製TEX−30α型二軸押し出し機(スクリュー直径30mm、ダイス直径5mm、バレル温度200℃、回転数150rpm)を用いて、これらを十分混練した状態で、ガット状に、連続的に押し出し、これを冷却後、カッターで5mm長に切断して、ポリエステル樹脂を得た。このポリエステル樹脂を、温度200℃、圧力50MPaでプレス成形し、厚さ60μmのフィルムを得た。
(2)繊維強化複合材料(I)の作成、ならびに、熱可塑性樹脂(A)と繊維強化複合材料(I)との積層体の作成:
上記(1)で作製した熱可塑性樹脂(A)のフィルムを用いた以外は、実施例1と同様にして、繊維強化複合材料(I)、ならびに、熱可塑性樹脂(A)と繊維強化複合材料(I)との積層体を得た。
(3)成形品の作成:
上記(2)で得られた繊維強化複合材料(I)と熱可塑性樹脂(A)との積層体を用いた以外は、実施例1と同様にして、図4に示すようなパーソナルコンピュータ筐体用成形品41を製造した。この成形品41の繊維強化複合材料(I)と熱可塑性樹脂部材(II)とが一体化した部分から、衝撃接着強さおよび接着強度の測定用試験片を切り出した。測定結果は、表8に示される。
以上のように、実施例1乃至4においては、耐衝撃性に優れた成形品を製造することが出来たが、比較例1においては、熱可塑性樹脂部材(II)の耐衝撃性が悪く、接合部の衝撃接着強さを測定する際に、熱可塑性樹脂部材(良い)が母材破壊を起こして、成形品としては耐衝撃性の悪いものとなった。更に、実施例4では、繊維強化複合材料(I)が耐衝撃層を有することから、製造された成形品は、優れた耐貫通性を有していた。
一方、比較例2においては、熱可塑性樹脂(A)の最大含浸厚みhがないため、繊維強化複合材料(I)と熱可塑性樹脂部材(II)との間において、容易に剥離してしまい、耐衝撃性の極めて悪い成形品であった。比較例3においては、熱可塑性樹脂(A)の引張破断強度が低いため、成形品としては耐衝撃性の悪いものとなった。更に、比較例4においては、熱可塑性樹脂(A)の引張破断伸度が低いため、成形品としては耐衝撃性の悪いものとなった。比較例1乃至4において製造された成形品は、非常に高い耐衝撃性が必要とされる電気・電子機器筐体などへの適用は、困難であった。
(実施例5)
(1)熱可塑性樹脂(A)の調整:
共重合ポリエステル樹脂(東レデュポン(株)製“ハイトレル”(登録商標)2551、融点164℃)と共重合ポリエステル樹脂(東レ(株)製“ケミット”(登録商標)R248、融点113℃)とを、JSW製TEX−30α型ニ軸押し出し機(スクリュー直径30mm、ダイス直径5mm、バレル温度200℃、回転数150rpm)を用いて、これらを十分混練した状態で、ガット状に、連続的に押し出し、これを冷却後、カッターで5mm長に切断して、ポリエステル樹脂を得た。このポリエステル樹脂を、温度200℃、圧力50MPaでプレス成形し、フィルムを得た。
(2)繊維強化複合材料(I)の作成:
上に準備した一方向炭素繊維プリプレグを、所定の大きさ(300mm×300mm)のサイズにカットし、一辺に沿った方向を0°方向として、繊維方向が上から下に向かい、0°、90°、0となるように、3枚のプリプレグを積層した。最後に、積層したプリプレグの上から、上記(1)で作製した熱可塑性樹脂(A)のフィルムをプリプレグ積層体と同様の大きさにカットしたものを1枚重ねて積層した。
次に、プレス金型に、該プリプレグ積層体をセットし、1MPaの圧力をかけながら、160℃の温度で30分間加熱硬化させて、プレス成形し、繊維強化複合材料(I)を得た。
(3)携帯電話筐体の作成:
上記(2)で得られた繊維強化複合材料(I)を所定の大きさにカットした後、射出成形のインサート金型内にセットした。このとき、繊維強化複合材料(I)の熱可塑性樹脂(A)(熱接着用基材)の面が、接着面に位置するように配置した。熱可塑性樹脂部材(フレーム部分)(II)として、ポリカーボネート樹脂(日本GEP(株)製、レキサン141R)ペレットを射出成形して、繊維強化複合材料(I)と一体化させ、図6および7に示すような携帯電話筐体61を製造した。この携帯電話筐体61の種々の特性値の測定結果は、表9に示される。
(実施例6)
(1)熱可塑性樹脂(A)の調整:
実施例2の(1)と同様にして、フィルムを得た。
(2)繊維強化複合材料(I)の作成:
実施例2の(2)と同様にして、繊維強化複合材料(I)を得た。
(3)携帯電話筐体の作成:
熱可塑性樹脂部材(フレーム部分)(II)として、ガラス繊維/ポリカーボネート樹脂(日本GEP(株)製、レキサン3414R、ガラス繊維40重量%)のペレットを用いた以外は、実施例2と同様にして、図6および7に示すような携帯電話筐体61を製造した。この携帯電話筐体61の種々の特性値の測定結果は、表10に示される。
(比較例5)
(1)繊維強化複合材料(I)の作成:
熱可塑性樹脂(A)を使用しなかったことと、一方向炭素繊維プリプレグを所定の大きさ(300mm×300mm)のサイズにカットし、一辺に沿った方向を0°方向として、繊維方向が上から下に向かい、0°、90°、0、90°、0°90°、0°、90°、0°となるように、9枚のプリプレグを積層した以外は、実施例2の(2)と同様にして、繊維強化複合材料(I)を得た。
(2)携帯電話筐体の作成:
熱可塑性樹脂部材(フレーム部分)(II)として、GF/ポリカーボネート樹脂(日本GEP(株)製、レキサン3412R、GF20重量%)ペレットを予めフレーム形状に射出成形しておき、上記(1)で得られた繊維強化複合材料(I)とフレーム部分(II)とを、1液型エポキシ接着剤(住友スリーエム(株)製、EW2070)を用いて接合し、図6および7に示すような携帯電話筐体を製造した。この携帯電話筐体の種々の特性値の測定結果は、表11に示される。
(比較例6)
(1)繊維強化複合材料(I)の作成:
熱可塑性樹脂(A)を使用しなかったこと以外は、実施例2の(2)と同様にして繊維強化複合材料(I)を得た。
(2)携帯電話筐体の作成:
熱可塑性樹脂部材(フレーム部分)(II)として、GF/ポリカーボネート樹脂(日本GEP(株)製、レキサン3412R。GF20重量%)ペレットを予めフレーム形状に射出成形した。このとき、繊維強化複合材料(I)との接合部分面積が120mmとなるような金型を使用して成形した。上記(1)で得られた繊維強化複合材料(I)とフレーム部分(II)とを、1液型エポキシ接着剤(住友スリーエム(株)製、EW2070)を用いて接合し、図6および7に示すような携帯電話筐体を製造した。この携帯電話筐体の種々の特性値の測定結果は、表12に示される。
以上のように、実施例5乃至6においては、耐衝撃性に優れ、かつ薄肉で軽量性に優れた携帯電話筐体が製造出来た。しかし、比較例5においては、最大含浸厚みがなく、接着層が熱硬化性樹脂であるため耐衝撃性が悪く、さらには繊維強化複合材料(I)が肉厚となり、軽量性に劣り、かつ、内部部品との干渉が起こってしまった。また比較例6においても、最大含浸厚みがなく、接着層が熱硬化性樹脂であるため耐衝撃性が悪く、さらには接合部の割合が3%と小さかったため、携帯電話筐体のフレーム部分(II)が繊維強化複合材料(I)を十分に支持することが出来なくなり、容易に筐体が変形してしまう程、接合安定性に欠けるものとなった。
本発明の成形品は、耐衝撃性が求められる電気・電子機器、オフィスオートメーション機器、家電機器、医療機器、自動車部品、航空機部品または建材において、好ましく用いられる。
図1は、本発明の成形品の一実施形態の厚み方向の模式断面図である。 図2は、本発明の成形品の衝撃接着強さを測定する際の試験片の模式斜視図である。 図3は、本発明の成形品の衝撃接着強さおよび接着強度を測定する際の試験片の模式分解斜視図である。 図4は、本発明の成形品を用いたパーソナルコンピュータ筐体の一例の斜視図およびその一部の厚み方向の断面図である。 図5は、本発明の成形品の衝撃接着強さを測定する際の試験片の模式斜視図である。 図6は、本発明の成形品を用いた携帯電話筐体の一例の一部の斜視図である。 図7は、図6のS1−S1断面矢視図である。
符号の説明
1 成形品
2 強化繊維
2a 熱可塑性樹脂部材(II)に最も近い位置にある強化繊維
2b 熱可塑性樹脂部材(II)から最も離れた位置にある強化繊維
3 熱硬化性マトリックス樹脂
4 接合面
5 接合部
10 接着面積
21 試験片
41 パーソナルコンピュータ筐体用成形品
51 試験片
52 アルミニウム板
53 測定用試験片
61 携帯電話筐体
(I) 繊維強化複合材料
(II) 熱可塑性樹脂部材
(A) 熱可塑性樹脂

Claims (36)

  1. 連続した強化繊維および熱硬化性マトリックス樹脂を含む繊維強化複合材料(I)と、該繊維強化複合材料(I)の少なくとも一部の表面に、熱可塑性樹脂(A)により接合され、一体化された熱可塑性樹脂部材(II)とからなる成形品であって、前記熱可塑性樹脂(A)と前記繊維強化複合材料(I)との接合面は、前記成形品の厚み方向の断面において、凹凸形状を有し、かつ、前記熱可塑性樹脂(A)の前記繊維強化複合材料(I)への最大含浸厚みhが、10μm以上であり、前記熱可塑性樹脂(A)の引張破断強度が、25MPa以上、引張破断伸度が、200%以上であり、前記繊維強化複合材料(I)と前記熱可塑性樹脂部材(II)との接合部の衝撃接着強さが、3,000J/m以上である成形品。
  2. 前記熱可塑性樹脂(A)の引張破断伸度が、350%以上である請求項1に記載の成形品。
  3. 前記熱可塑性樹脂部材(II)の衝撃強度が、200J/m以上である請求項1に記載の成形品。
  4. 前記熱可塑性樹脂部材(II)の衝撃強度が、300J/m以上である請求項1に記載の成形品。
  5. 前記繊維強化複合材料(I)の衝撃強度が、500J/m以上である請求項1に記載の成形品。
  6. 前記繊維強化複合材料(I)の衝撃強度が、500J/m以上である請求項4に記載の成形品。
  7. 前記熱可塑性樹脂(A)の最小厚みtが、10μm乃至500μmである請求項4に記載の成形品。
  8. 前記熱可塑性樹脂(A)が、1種または2種以上のポリエステル樹脂からなり、該ポリエステル樹脂のうち少なくとも1種のポリエステル樹脂が、ハードセグメントに、ポリエチレンテレフタレート成分、および、ポリブチレンテレフタレート成分のうちの一方あるいは双方の成分を含み、ソフトセグメントを構成するジオール成分として、ポリテトラメチレングリコール成分を含む共重合ポリエステルである請求項1に記載の成形品。
  9. 前記熱可塑性樹脂(A)が、1種または2種以上のポリエステル樹脂からなり、該ポリエステル樹脂のうち少なくとも1種のポリエステル樹脂が、ハードセグメントに、ポリエチレンテレフタレート成分、および、ポリブチレンテレフタレート成分のうちの一方あるいは双方の成分を含み、ソフトセグメントを構成するジオール成分として、ポリテトラメチレングリコール成分を含む共重合ポリエステルである請求項4に記載の成形品。
  10. 前記ポリエステル樹脂のうち少なくとも1種のポリエステル樹脂の片末端または両末端が、第1級アミノ基、エポキシ基、カルボキシル基、および、酸無水物基から選ばれた1種または2種の官能基構造を有している請求項8に記載の成形品。
  11. 前記ポリエステル樹脂のうち少なくとも1種のポリエステル樹脂の片末端または両末端が、第1級アミノ基、エポキシ基、カルボキシル基、および、酸無水物基から選ばれた1種または2種の官能基構造を有している請求項9に記載の成形品。
  12. 前記ポリエステル樹脂のガラス転移温度Tgが、式0℃≦Tg≦80℃を満足している請求項8に記載の成形品。
  13. 前記ポリエステル樹脂のガラス転移温度Tgが、式0℃≦Tg≦80℃を満足している請求項9に記載の成形品。
  14. 前記ポリエステル樹脂の融点Tmが、式120℃≦Tm≦180℃を満足し、かつ、温度(Tm+10)℃における溶融粘度η1が、式500Pa・s≦η1≦2,000Pa・sを満足している請求項8に記載の成形品。
  15. 前記ポリエステル樹脂の融点Tmが、式120℃≦Tm≦160℃を満足し、かつ、温度(Tm+10)℃における溶融粘度η1が、式500Pa・s≦η1≦2,000Pa・sを満足している請求項9に記載の成形品。
  16. 前記ポリエステル樹脂の温度250℃における溶融粘度η2が、300Pa・s以下である請求項14に記載の成形品。
  17. 前記熱可塑性樹脂部材(II)が、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、および、熱可塑性エラストマー樹脂より選ばれた1種以上の樹脂組成物である請求項1に記載の成形品。
  18. 前記熱可塑性樹脂部材(II)が、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、および、熱可塑性エラストマー樹脂より選ばれた1種以上の樹脂組成物である請求項4に記載の成形品。
  19. 前記繊維強化複合材料(I)の少なくとも一部の表面または内部に、引裂強度が80N/mm以上である耐衝撃層を有する請求項1に記載の成形品。
  20. 前記熱可塑性樹脂部材(II)の少なくとも一部が、電波透過性を有する部位(III)からなる請求項1に記載の成形品。
  21. 前記電波透過性を有する部位(III)の電界シールド性が、0dB乃至15dBである請求項20に記載の成形品。
  22. 前記電波透過性を有する部位(III)が、非導電性繊維で強化された部材で形成されている請求項20に記載の成形品。
  23. 前記電波透過性を有する部位(III)が、含有量30重量%乃至70重量%のガラス繊維で強化された部材で形成されている請求項22に記載の成形品。
  24. 前記繊維強化複合材料(I)の実質厚みが、0.1mm乃至0.6mmである請求項1に記載の成形品。
  25. 前記繊維強化複合材料(I)における前記連続した強化繊維が、炭素繊維である請求項1に記載の成形品。
  26. 前記繊維強化複合材料(I)における前記連続した強化繊維が、炭素繊維である請求項4に記載の成形品。
  27. 前記繊維強化複合材料(I)における前記熱硬化性マトリックス樹脂が、エポキシ樹脂である請求項1に記載の成形品。
  28. 前記繊維強化複合材料(I)における前記熱硬化性マトリックス樹脂が、エポキシ樹脂である請求項4に記載の成形品。
  29. 前記成形品が、電気・電子機器、オフィスオートメーション機器、家電機器、医療機器、自動車部品、航空機部品、または、建材において用いられる成形品である請求項1に記載の成形品。
  30. 前記成形品が、電気・電子機器、オフィスオートメーション機器、家電機器、医療機器、自動車部品、航空機部品、または、建材において用いられる成形品である請求項4に記載の成形品。
  31. 前記成形品が、パーソナルコンピュータ筐体、または、携帯電話筐体において用いられる成形品である請求項29に記載の成形品。
  32. 前記成形品が、パーソナルコンピュータ筐体、または、携帯電話筐体において用いられる成形品である請求項30に記載の成形品。
  33. 前記成形品がフレーム部分を有し、かつ、該フレーム部分が、前記熱可塑性樹脂部材(II)により形成され、該フレーム部分の少なくとも一部に、電波透過性を有する部位(III)が配置されている請求項29に記載の成形品。
  34. 前記成形品がフレーム部分を有し、かつ、該フレーム部分が、前記熱可塑性樹脂部材(II)により形成され、該フレーム部分の少なくとも一部に、電波透過性を有する部位(III)が配置されている請求項30に記載の成形品。
  35. 電波透過性材料と熱可塑性樹脂とから電波透過性を有する部位(III)を成形する工程、前記繊維強化複合材料(I)と前記工程により成形された前記電波透過性を有する部位(III)とを金型内にインサートする工程、および、前記工程により前記金型内にインサートされた前記繊維強化複合材料(I)と前記電波透過性を有する部位(III)に対し、前記熱可塑性樹脂部材(II)を含む残りの部位(IV)を射出成形する工程からなる請求項20に記載の成形品の製造方法。
  36. 前記電波透過性を有する部位(III)における熱可塑性樹脂と、前記熱可塑性樹脂部材(II)における熱可塑性樹脂とが、同種の樹脂である請求項35に記載の成形品の製造方法。
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