JP6750101B2 - 積層体、加飾シートおよび成型体 - Google Patents

積層体、加飾シートおよび成型体 Download PDF

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Description

本発明は、加飾シート等に好適に利用される積層体、ならびに、この積層体を用いる加飾シートおよび成型体に関する。
可視光領域を反射する、いわゆる金属光沢のある加飾シートは、例えば、家電製品、事務機器、および、自動車部品等の成型品表面等に用いられている。
このような加飾シートとして、金属光沢の外観を付与するため、金属粒子を含有する樹脂シートが用いられている。しかしながら、重金属を使用することによる環境負荷の観点、および、携帯電話等の通信機器に使用する場合、電波障害を引き起こすリスクがある等の観点から代替品が望まれている。
これに対応して、例えば、特許文献1には、樹脂Aからなる層と、樹脂Bからなる層とを、それぞれ交互に5層以上積層した構造を含み、相対反射率が30%以上となる反射帯域を少なくとも1つ有する積層フィルムの表面に、スクラッチ加工が施された側の最表層の厚さが、スクラッチ加工の最大深さよりも厚くなるように、スクラッチ加工を施した樹脂シートが記載されている。
また、特許文献2には、第1のコレステリック規則性を有する樹脂層と、第2のコレステリック規則性を有する樹脂層と含む積層体を有し、第1のコレステリック規則性を有する樹脂層は、第1の円偏光を透過させ、第1の円偏光とは異なる偏光である第2の円偏光を反射させる層であり、第2のコレステリック規則性を有する樹脂層は、第1のコレステリック規則性を有する樹脂層を透過した第1の円偏光の少なくとも一部を反射するように配置される、加飾シートが記載されている。
特開2007−290360号公報 特開2010−111104号公報
これらの加飾シートでは、金属を用いることなく、金属光沢を実現している。
ここで、近年、このような加飾シートには、金属光沢感のみならず、角度を変えて観察した際に大きな明暗の変化が生じること、角度を変えて見た際における色味の変動が少ないこと等、色に深みを有することが要求されている。
しかしながら、従来の金属を用いない加飾シートでは、角度を変えて観察した際に色味が大きく変化する、角度を変えて観察しても明暗の変化が少ない等、色の深みに関しては、不十分な点も多く、さらなる改良が望まれている。
本発明の目的は、このような従来技術の問題点を解決することにあり、金属光沢感を有し、かつ、色の深みを有する加飾シートを得られる積層体、ならびに、この積層体を用いる加飾シートおよび成型体を提供することにある。
このような目的を達成するために、本発明は、以下の積層体、加飾シートおよび成型体を提供する。
[1] 着色透過層と、反射に波長選択性を有する反射層と、吸収層とを、この順番で備え、
吸収層は、着色透過層を透過した光を吸収するものであり、
反射層は、着色透過層を透過した光を反射する領域を有することを特徴とする積層体。
[2] 反射層が金属を含まない、[1]に記載の積層体。
[3] 反射層が、コレステリック液晶層および誘電体多層膜の少なくとも一方を有する、[1]または[2]に記載の積層体。
[4] 吸収層が無彩色である、[1]〜[3]のいずれかに記載の積層体。
[5] 吸収層が黒色である、[1]〜[4]のいずれかに記載の積層体。
[6] 吸収層の全光線透過率が10%以下である、[1]〜[5]のいずれかに記載の積層体。
[7] 反射層は、選択反射中心波長における透過率が70%以下である、[1]〜[6]のいずれかに記載の積層体。
[8] 反射層は、選択反射中心波長が互いに異なる複数の領域を同一面内に有する、[1]〜[7]のいずれかに記載の積層体。
[9] 反射層を、複数、有する、[1]〜[8]いずれかに記載の積層体。
[10] 反射層が、散乱型の反射層である、[1]〜[9]のいずれかに記載の積層体。
[11] 反射層が、正反射型の反射層である、[1]〜[9]のいずれかに記載の積層体。
[12] 着色透過層は、反射層の選択反射中心波長における透過率が50%以上である、[1]〜[11]のいずれかに記載の積層体。
[13] [1]〜[12]のいずれかに記載の積層体を有する、加飾シート。
[14] [1]〜[12]のいずれかに記載の積層体を有する、成型体。
本発明によれば、金属光沢感を有し、かつ、色の深みを有する加飾シートを実現可能な積層体、ならびに、この積層体を用いる、高い加飾性を有する加飾シートおよび成型体が提供される。
図1は、本発明の加飾シートの一例を概念的に示す図である。 図2は、本発明の加飾シートの別の例を概念的に示す図である。 図3は、本発明の加飾シートの別の例の反射層を概念的に示す図である。 図4は、図3に示す加飾シートの作用を説明するためのグラフである。
以下、本発明の積層体、加飾シートおよび成型体について、添付の図面に示される好適実施例を基に、詳細に説明する。
なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
また、本明細書において、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレートおよびメタクリレートの両方を表す表記であり、「(メタ)アクリロイル基」とは、アクリロイル基およびメタクリロイル基の両方を表す表記であり、「(メタ)アクリル」とは、アクリルおよびメタクリルの両方を表す表記である。
本発明において、可視光は、電磁波のうち、ヒトの目で見える波長の光であり、380〜780nmの波長領域の光を示す。非可視光は、380nm未満の波長領域または780nmを超える波長領域の光であり、赤外線(赤外光)とは780nmを超え、1mm以下の波長領域の光である。また、これに制限されるものではないが、可視光のうち、420〜490nmの波長領域の光は青色(B)光であり、495〜570nmの波長領域の光は緑色(G)光であり、620〜750nmの波長領域の光は赤色(R)光である。
図1に、本発明の積層体を利用する本発明の加飾シートの一例を概念的に示す。
図1に示す加飾シート10は、基材12と、吸収層14と、反射層16と、着色透過層18とを有して構成される。
図示例の加飾シート10において、吸収層14、反射層16および着色透過層18は、本発明の積層体20を構成するものである。本発明の積層体20は、着色透過層18、反射層16および吸収層14が、この順番で積層される。
加飾シート10(積層体20)は、通常、着色透過層18側が観察側(光入射側)となる。従って、本発明の積層体20は、加飾シート10の観察側から、着色透過層18、反射層16および吸収層14の順番で積層される。
吸収層14、反射層16および着色透過層18からなる積層体20において、吸収層14は、着色透過層18を透過する光を吸収するものであり、反射層16は、着色透過層18を透過した光(その一部)を反射するものである。
従って、着色透過層18が、赤色光を透過する場合には、反射層16は、赤色光を反射するものであり、吸収層14は、少なくとも赤色光を吸収する。この場合、積層体20(加飾シート10)は、赤色に観察される。
また、着色透過層18が、緑色光を透過する場合には、反射層16は、緑色光を反射するものであり、吸収層14は、少なくとも緑色光を吸収する。この場合、積層体20は、緑色に観察される。
さらに、着色透過層18が、青色光を透過する場合には、反射層16は、青色光を反射するものであり、吸収層14は、少なくとも青色光を吸収する。この場合、積層体20は、青色に観察される。
<<基材>>
加飾シート10において、基材12は、シート状物(板状物、フィルム状物)であり、吸収層14、反射層16および着色透過層18からなる本発明の積層体20を支持する支持体として作用する。
基材12としては、公知の各種の樹脂フィルムが好適に利用される。
具体的には、セルロース樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、(メタ)アクリル樹脂、スチレン樹脂、ポリオレフィン樹脂、塩化ビニル樹脂、アミド樹脂、イミド樹脂、スルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、エポキシ樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、および、ポリエーテルエーテルケトン樹脂などからなる樹脂フィルムが例示される。より具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、および、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂(ABS樹脂)等からなる樹脂フィルムが例示される。
また、シート状の基材12としては、金属製、セラミック製、紙製、木製、および、ガラス製等のシート状物も、利用可能である。
このようなシート状の基材12は、長尺なシート状物を巻回したロールから引き出して用いてもよく、カットシート状の基材12を用いてもよい。
また、シート状の基材12の厚さにも、特に制限はなく、本発明の積層体20を支持できる厚さを、基材12の形成材料等に応じて、適宜、設定すればよい。
また、本発明の加飾シートおよび積層体は、図示例の層構成に限定はされず、着色透過層18、反射層16および吸収層14が、この順番で積層されるものであれば、各種の層構成が利用可能である。
例えば、図2に概念的に示すように、シート状の基材12の一方の面に、反射層16および着色透過層18を積層し、基材12の他方の面に、吸収層14を積層した構成であってもよい。
本発明において、基材はシート状物に限定はされず、各種の成型品(物品)も利用可能である。
具体的には、シート状物で例示した材料等で成型される、衣類、履物、食器、文房具、建具、小間物、寝具、マット、壁紙、おもちゃ、運動用具、化粧品のパッケージ(外箱および容器)、カメラの筐体、車両の内装部品、および、車両の車体等が挙げられるが、これらに制限されない。
このような成型品を、本発明の積層体の基材として用いることにより、本発明の積層体を有する本発明の成型体が構成される。
なお、本発明の加飾シートおよび成型体において、例えばシート状物あるいは成型品等で構成される基材が黒色等であり、後述する吸収層14の作用を発現する場合には、吸収層14を設けずに、基材を吸収層14として用いてもよい。
言い換えれば、基材が後述する吸収層14の作用を発現する場合には、基材を本発明の積層体における吸収層としてもよい。
さらに、基材12は、ラビング等の配向処理を施されたものであってもよい。
<<吸収層>>
基材12の一方の表面には、吸収層14が設けられる。以下の説明では、加飾シート10の基材12側を『下』、逆の着色透過層18側を『上』とも言う。すなわち、基材12の上には、吸収層14が設けられる。
前述のように、吸収層14は、着色透過層18を透過する光を吸収する層である。例えば、着色透過層18が赤色光を透過する場合には、吸収層14は、赤色光を吸収する青色または緑色の層とすればよい。
後に詳述するが、本発明の積層体20は、このような吸収層14を有することにより、積層体20(加飾シート10および成型体)を観察した際における良好な金属光沢感、特に積層体20を正面から観察した場合の優れた金属光沢感を得られる。なお、積層体20を正面から観察した場合とは、積層体20を法線方向から観察した場合であり、言い換えれば、積層体20を着色透過層18の表面と直交する方向から観察した場合である。
前述のように、吸収層14は、着色透過層18を透過する光を吸収できればよく、例えば、着色透過層18が赤色光を透過する場合には、赤色光を吸収する青色または緑色の層とすればよい。
ここで、吸収層14は、着色透過層18を透過して、反射層16によって反射されなかった全ての光を吸収するのが好ましい。従って、吸収層14は、着色透過層18を透過可能な全ての波長域の光を吸収できるのが好ましい。
この点を考慮すると、吸収層14は彩度(色味)を有さない無彩色であるのが好ましく、黒色であるのがより好ましく、入射した可視光を全て吸収可能な黒色であるのがさらに好ましい。
吸収層14は、光透過性が低いのが好ましい。具体的には、吸収層14は、全光線透過率が10%以下であるのが好ましく、5%以下であるのがより好ましく、3%以下であるのがさらに好ましく、1%以下であるのが特に好ましい。
本発明において、全光線透過率は、日本電色工業社製のNDH5000およびSH−7000等の市販の測定装置を用いて、JIS K 7361に準拠して測定すればよい。
吸収層14の厚さには、特に制限はなく、吸収層14の形成材料等に応じて、吸収層14に入射した光を十分に吸収でき、かつ、必要な光透過性(遮光性)を得られる厚さを、適宜、設定すればよい。
吸収層14の厚さは、例えば本発明の積層体(加飾フィルム)を成形フィルムとして用いる場合には、成形性の観点から5〜500μmが好ましく、10〜200μmがより好ましい。
吸収層14は、目的とする色(波長帯域)の光を吸収する色素(顔料および染料等)を含む塗料を調製し、この塗料を塗布して、塗料を乾燥および/または硬化することで形成すればよい。あるいは、基材12に、色素を練り込むことで、前述のように、基材12を吸収層14として作用させてもよい。
吸収層14で利用可能な色素としては、カーボンブラック、金属酸化物、油煙、植物黒、骨炭、黒鉛、および、数種類の染料および顔料を混ぜ合わせることで無彩色に近付けたもの等が例示される。
基材12への塗料の塗布方法は、公知の方法が全て利用可能である。具体的には、噴霧(スプレー塗布)、浸漬塗布、ワイヤーバーおよびインクジェットなどの印刷法、刷毛塗り、ならびに、スピンコート等が例示される。
積層体20は、吸収層14の反射層16側の表面に配向膜を有してもよい。
配向膜は、液晶層等の配向に用いられる公知の材料が、各種、利用可能である。一例として、クラレポバールPVA103、PVA203およびPVA403(以上、クラレ社製)、ならびに、サンエバーSE−130、SE−410およびSE−150(以上、日産化学社製)等が例示される。
このような材料を利用する配向膜は、ラビングおよび延伸等の公知の処理によって、配向膜とすればよい。
<<反射層>>
吸収層14の上には、反射層16が設けられる。
反射層16は、着色透過層18を透過した光の一部を反射するものであり、反射に波長選択性を有する。
従って、着色透過層18が、赤色光を透過し、それ以外を吸収する場合には、反射層16は、赤色光を反射するものであり、赤色の領域(例えば650nm)に選択反射の中心波長(選択反射中心波長)を有する。
着色透過層18が、緑色光を透過し、それ以外を吸収する場合には、反射層16は、緑色光を反射するものであり、緑色の領域(例えば520nm)に選択反射中心波長を有する。
着色透過層18が、青色光を透過し、それ以外を吸収する場合には、反射層16は、青色光を反射するものであり、青色の領域(例えば445nm)に選択反射中心波長を有する。
このように、本発明の積層体20では、反射層16の少なくとも一部に、選択反射中心波長が可視光領域に位置する領域を有する。
また、反射層16は、反射する光の波長に、角度依存性を有する。
具体的には、光が正面から入射した場合には、設定された選択反射中心波長を中心に光を反射するが、光が斜めから入射した場合には、選択反射波長(選択反射中心波長)が短波長側に移動(シフト)する。すなわち、反射層16は、入射した光の角度に応じて、反射する光の色が短波長側に移動する。
積層体20がこのような反射層16を有することにより、反射層16が金属を含まなくても、金属光沢感を有する積層体20を得ることができる。
このような反射層16としては、コレステリック液晶相を固定してなる層、および、誘電体多層膜が例示される。
[コレステリック液晶相を固定してなる層]
本発明の積層体20において、反射層16としては、コレステリック液晶相を固定してなる層が好ましく利用される。なお、以下の説明では、『コレステリック液晶相を固定してなる層』を『コレステリック液晶層』とも言う。
コレステリック液晶層からなる反射層16は、単層でも複数層でもよい。
コレステリック液晶層は、コレステリック液晶相となっている液晶化合物の配向が保持されている層であれば特に制限されず、公知の層を用いることができる。
コレステリック液晶層としては、例えば、後述する重合性液晶化合物をコレステリック液晶相の配向状態としたうえで、光(例えば、紫外線等)の照射、または、加熱によって重合させた層が挙げられる。
なお、コレステリック液晶層においては、コレステリック液晶相の光学的性質が層中において保持されていればよく、層中の液晶化合物はもはや液晶性を示していなくてもよい。例えば、重合性液晶化合物は、硬化反応により高分子量化して、もはや液晶性を失っていてもよい。
コレステリック液晶層は、コレステリック液晶のらせん構造に由来した円偏光選択反射を示す。円偏光選択反射の中心波長λ(選択反射中心波長)は、コレステリック液晶相におけるらせん構造のピッチP(=らせんの周期)に依存し、コレステリック液晶層の平均屈折率nとλ=n×Pの関係に従う。そのため、このらせん構造のピッチを調節することによって、円偏光選択反射を示す波長を調整できる。
コレステリック液晶相のピッチは、例えば、後述する重合性液晶組成物中におけるキラル剤の種類、および/または、含有量に依存するため、これらを調整することによって所望のピッチを得ることができる。
なお、積層体20が、コレステリック液晶層からなる反射層16を2層有する場合には、コレステリック液晶層の選択反射波長は、同じでも異なってもよい。
また、コレステリック液晶層の選択反射する円偏光のセンスは、らせんのセンスに一致する。すなわち、らせんのセンスが右であるコレステリック液晶層は右円偏光を選択反射し、らせんのセンスが左であるコレステリック液晶層は左円偏光を選択反射する。
なお、積層体20が、コレステリック液晶層からなる反射層16を2層有する場合には、コレステリック液晶層のセンスは同一でも異なってもよい。
なお、らせんのセンスおよびピッチの測定方法については「液晶化学実験入門」日本液晶学会編 シグマ出版2007年出版、46頁、および「液晶便覧」液晶便覧編集委員会 丸善 196頁に記載される方法を用いることができる。
コレステリック液晶層が反射する円偏光の選択反射帯(反射層16)の半値幅Δλ(nm)は、Δλが液晶化合物の複屈折Δnと上記ピッチPに依存し、Δλ=Δn×Pの関係に従う。そのため、Δnを調整することにより、選択反射帯の幅を制御できる。Δnの調整は後述する重合性液晶化合物の種類、および/または、配向固定時の温度等により制御できる。
なお、コレステリック液晶層の選択反射の中心波長と半値幅は、下記の方法により求めることができる。
分光光度計UV3150(島津製作所)を用いてコレステリック液晶層の透過スペクトルを測定すると、選択反射領域に透過率の低下ピークがみられる。この最も大きいピーク高さの1/2の高さの透過率となる2つの波長のうち、短波側の波長の値をλ1(nm)、長波側の波長の値をλ2(nm)とすると、選択反射の中心波長と半値幅は下記式で表すことができる。
中心波長=(λ1+λ2)/2
半値幅=(λ2−λ1)
選択反射帯の半値幅は、通常、1種の材料では50〜150nm程度である。選択波長帯を広げるためには、ピッチPを変えた反射光の中心波長が異なるコレステリック液晶層を2種以上積層すればよい。または、1つのコレステリック液晶層内において、ピッチPを膜厚方向に対して緩やかに変化させることで制御波長域を広げることもできる。
コレステリック液晶層は液晶化合物を含有する液晶組成物を用いて作製できる。なかでも、より簡便にコレステリック液晶層を得られる点で、コレステリック液晶層は、重合性基を含有する液晶化合物(重合性液晶化合物)を含有する重合性液晶組成物を用いて作製されることが好ましい。
<重合性液晶組成物>
重合性液晶組成物としては、重合性液晶化合物を含有していれば特に制限されず、公知の重合性液晶組成物を用いることができる。
重合性液晶組成物は、重合性液晶化合物以外の成分として、例えば、溶剤、キラル剤、重合開始剤、配向制御剤、および、界面活性剤等を含有してもよい。以下では、重合性液晶組成物が含有する各成分について説明する。
(重合性液晶化合物)
重合性液晶化合物としては重合性基を含有する液晶化合物であれば特に制限されず、公知の重合性液晶化合物を用いることができる。
重合性液晶組成物中における重合性液晶化合物の含有量としては特に制限されないが、一般に、重合性液晶組成物の全固形分に対して、70〜95質量%が好ましい。
重合性液晶化合物は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。2種以上の重合性液晶化合物を併用する場合には、合計含有量が上記範囲内であることが好ましい。
重合性液晶化合物が含有する重合性基としては特に制限されず、公知の重合性基を用いることができる。
公知の重合性基としては、例えば、特開2002−129162号公報の0161〜0171段落に記載の重合性基を用いることができ、上記内容は本明細書に組み込まれる。 なお、重合性基としては、エチレン性不飽和二重結合基が好ましく、アクリロイル基、および、メタクリロイル基からなる群から選択される少なくとも1種がより好ましい。
重合性液晶化合物としては、例えば、以下の一般式(1)、または、一般式(3)で表される化合物が挙げられる。
一般式(1)中、A1は、炭素原子数2〜18のメチレン基を表し、このメチレン基中の1つのCH2または隣接していない2つ以上のCH2は、−O−で置換されてもよい;
1は、−CO−、−O−CO−または単結合を表し;
2は、−CO−またはCO−CH=CH−を表し;
1は、水素原子またはメチル基を表し;
2は、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜4の直鎖アルキル基、メトキシ基、エトキシ基、置換基を有していてもよい芳香環基、シクロヘキシル基、ビニル基、ホルミル基、ニトロ基、シアノ基、アセチル基、アセトキシ基、N−アセチルアミド基、アクリロイルアミノ基、N,N−ジメチルアミノ基、マレイミド基、メタクリロイルアミノ基、アリルオキシ基、アリルオキシカルバモイル基、アルキル基の炭素原子数が1〜4であるN−アルキルオキシカルバモイル基、N−(2−メタクリロイルオキシエチル)カルバモイルオキシ基、N−(2−アクリロイルオキシエチル)カルバモイルオキシ基、または下記式(1−2)で表される構造を表し;
1、L2、L3およびL4は各々独立して、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基、炭素原子数2〜5のアルコキシカルボニル基、炭素原子数2〜4のアシル基、ハロゲン原子または水素原子を表し、L1、L2、L3およびL4のうち少なくとも1つは水素原子以外の基を表す。
−Z5−T−Sp−P 式(1−2)
式(1−2)中、Pはアクリル基、メタクリル基、または、水素原子を表し;Z5は単結合、−COO−、−CONR1−(R1は水素原子またはメチル基を表す)または、−COS−を表し;Tは1,4−フェニレンを表し;Spは置換基を有していてもよい炭素原子数1〜12の2価の脂肪族基を表し、上記脂肪族基中の1つのCH2または隣接していない2以上のCH2は、−O−、−S−、−OCO−、−COO−またはOCOO−で置換されていてもよい。
一般式(3)中、A2、および、A3はそれぞれ独立して、炭素原子数2〜18のメチレン基を表し、上記メチレン基中の1つのCH2、または、隣接していない2つ以上のCH2は、−O−で置換されていてもよい;Z5は、−CO−、−OCO−、または、単結合を表し;Z6は、−CO−、−COO−、または、単結合を表し;R5、および、R6はそれぞれ独立して、水素原子またはメチル基を表し;L9、L10、L11、および、L12はそれぞれ独立して、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基、炭素原子数2〜5のアルコキシカルボニル基、炭素原子数2〜4のアシル基、ハロゲン原子、または、水素原子を表し、L9、L10、L11およびL12のうち少なくとも1つは水素原子以外の基を表す。
重合性液晶化合物としては上記以外にも、例えば、特開2014−198814号公報の0015〜0036段落に記載の液晶化合物を用いることができ、上記内容は本明細書に組み込まれる。
このような上記重合性液晶化合物としては、重合性液晶組成物がより優れた硬化性、特に、より短時間で硬化する点、および、重合性液晶化合物の結晶化が抑制される点で、アクリロイル基、および、メタクリロイル基からなる群から選択される少なくとも1種の重合性基を、1分子中に1個以上含有する液晶化合物1と、上記重合性基を、1分子中に2個以上含有する液晶化合物2と、を含有することが好ましい。
なかでも、得られるコレステリック液晶層がより短時間で硬化し、さらに、より優れた耐久性、および、より優れた強度を有する点で、液晶化合物1は、アクリロイル基、および、メタクリロイル基からなる群から選択される少なくとも1種の重合性基を、1分子中に2個以上含有することが好ましい。
なお、本明細書において、液晶化合物1と液晶化合物2とは、互いに異なる化合物を意図する。
重合性液晶組成物が互いに異なる重合性液晶化合物(液晶化合物1、および、液晶化合物2)を含有する場合、重合性液晶組成物中において、重合性液晶化合物が結晶化しにくい。上記重合性液晶組成物は、より優れた経時安定性を有する。また、上記重合性液晶組成物を用いて形成された重合性液晶組成物層は、形成後(例えば噴霧による形成後)から紫外線照射までの間の経時安定性により優れ、得られるコレステリック液晶層は、より優れた面状を有する。
重合性液晶組成物中における液晶化合物1の含有量としては特に制限されないが、一般に、重合性液晶組成物の全固形分に対して、5〜90質量%が好ましい。
重合性液晶組成物中における液晶化合物2の含有量としては特に制限されないが、一般に、重合性液晶組成物の全固形分に対して、5〜90質量%が好ましい。
(溶剤)
重合性液晶組成物は、溶剤を含有することが好ましい。
溶剤としては、重合性液晶組成物の各成分を溶解、または、分散させることができれば特に制限されず、公知の溶剤を用いることができる。溶剤としては水、および/または、有機溶剤が挙げられ、有機溶剤を含有することが好ましい。
重合性液晶組成物中における溶剤の含有量としては特に制限されないが、重合性液晶組成物の固形分が、1〜50質量%に調整されることが好ましく、1〜20質量%に調整されることがより好ましい、なかでも、部材上に重合性液晶組成物を噴霧してコレステリック液晶層を形成する場合には、1〜10質量%に調整されることが更に好ましい。
溶剤は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。2種以上の溶剤を併用する場合には、合計含有量が上記範囲内であることが好ましい。
有機溶剤としては、例えば、ブチルエーテル、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、プロピレンオキシド、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、1,3,5−トリオキサン、テトラヒドロフラン、アニソール、フェネトール、炭酸ジメチル、炭酸メチルエチル、炭酸ジエチル、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸ペンチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、γ−プチロラクトン、2−メトキシ酢酸メチル、2−エトキシ酢酸メチル、2−エトキシ酢酸エチル、2−エトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシエタノール、2−プロポキシエタノール、2−ブトキシエタノール、1,2−ジアセトキシアセトン、アセチルアセトン、ジアセトンアルコール、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、シクロヘキシルアルコール、酢酸イソブチル、メチルイソブチルケトン(MIBK)、2−オクタノン、2−ペンタノン、2−ヘキサノン、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールイソプロピルエーテル、エチレングリコールブチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、および、キシレン等が挙げられる。
溶剤の沸点としては特に制限されないが、部材に重合性液晶組成物を噴霧してコレステリック液晶層を形成する場合、より平滑なコレステリック液晶層を得られ、かつ、十分な作業時間を確保できる点で、溶剤の沸点としては35〜180℃が好ましく、55〜150℃がより好ましい。
なお、2種以上の溶剤を併用する場合は、併用する溶剤を混合した混合物の沸点を意図する。また、上記沸点とは、1気圧下における沸点を意図する。
溶剤の溶解パラメータとしては特に制限されないが、重合性液晶化合物をより溶解しやく、得られるコレステリック液晶層がより平滑である点で、7.5〜12が好ましく、8〜9がより好ましい。なお、溶解パラメータの単位は、(cal/cm31/2である。
・重合性液晶組成物の好ましい形態
重合性液晶組成物が、アクリロイル基、および、メタクリロイル基からなる群から選択される少なくとも1種の重合性基を、1分子中に1個以上含有する液晶化合物1と、重合性基を、1分子中に2個以上含有する液晶化合物2と、を含有し、溶剤の溶解パラメータが8〜9であり、かつ、沸点が55〜150℃であると、重合性液晶組成物を噴霧インキとして用いた場合により平滑で、より欠陥の少ないコレステリック液晶層を得ることができる。なお、噴霧インキとは、部材に噴霧して、部材上にコレステリック液晶層を形成するために用いる組成物を意図する。
(キラル剤(光学活性化合物))
重合性液晶組成物はキラル剤を含有してもよい。キラル剤はコレステリック液晶相のらせん構造を誘起し、コレステリック液晶相が得られやすい。キラル剤としては特に制限されず、公知のキラル剤を用いることができる。
重合性液晶組成物中におけるキラル剤の含有量としては特に制限されないが、一般に、重合性液晶化合物の全質量に対して、1〜15質量%が好ましい。
キラル剤は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。2種以上のキラル剤を併用する場合には、合計含有量が上記範囲内であることが好ましい。
公知のキラル剤としては、例えば、液晶デバイスハンドブック、第3章4−3項、TN(Twisted Nematic)、STN(Super-twisted nematic display)用カイラル剤、199頁、日本学術振興会第142委員会編、1989に記載された化合物、イソソルビド、および、イソマンニド誘導体等を用いることができる。
キラル剤は、一般に不斉炭素原子を含有するが、不斉炭素原子を含有しない軸性不斉化合物または面性不斉化合物もキラル剤として用いることができる。軸性不斉化合物、および、面性不斉化合物の例には、ビナフチル、ヘリセン、パラシクロファン、および、これらの誘導体等が挙げられる。
キラル剤は、重合性基を有していてもよい。キラル剤が重合性基を有する場合は、重合性キラル剤と重合性液晶化合物との重合反応により、重合性液晶化合物から誘導される繰り返し単位と、キラル剤から誘導される繰り返し単位とを有するポリマーを形成できる。この態様では、重合性キラル剤が有する重合性基は、重合性液晶化合物が有する重合性基と、同種の基であることが好ましい。従って、キラル剤の重合性基も、エチレン性不飽和基、エポキシ基、または、アジリジニル基が好ましく、エチレン性不飽和基がより好ましい。また、キラル剤は、液晶化合物であってもよい。
キラル剤が光異性化基を有する場合には、塗布、配向後に活性光線などのフォトマスク照射によって、発光波長に対応した所望の反射波長のパターンを形成できるので好ましい。光異性化基としては、フォトクロッミック性を示す化合物の異性化部位、アゾ基、アゾキシ基、または、シンナモイル基が好ましい。具体的な化合物として、特開2002−80478号公報、特開2002−80851号公報、特開2002−179668号公報、特開2002−179669号公報、特開2002−179670号公報、特開2002−179681号公報、特開2002−179682号公報、特開2002−338575号公報、特開2002−338668号公報、特開2003−313189号公報、および、特開2003−313292号公報等に記載の化合物を用いることができる。また、市販品としては、パリオカラーLC−756(BASF社製)等が挙げられる。
(重合開始剤)
重合性液晶組成物は重合開始剤を含有することが好ましい。
重合性液晶組成物中における重合開始剤の含有量としては、特に制限されないが、十分な硬化性を付与する点で、重合性液晶組成物の全固形分に対して、0.5〜10質量%が好ましく、1〜5質量%がより好ましい。
なお、重合開始剤は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。2種以上の重合開始剤を併用する場合には、合計含有量が上記範囲内であることが好ましい。
重合開始剤としては、特に制限されず公知の重合開始剤の中から適宜選択できる。例えば、感光性を有するもの(いわゆる、光重合開始剤)が好ましい。光重合開始剤以外に、熱重合開始剤を用いることができ、これらを併用することもできる。
光重合開始剤としては、重合性化合物の重合を開始する能力を有する限り、特に制限されず、公知の光重合開始剤を用いることができる。
光重合開始剤としては、例えば、紫外光領域から可視光領域に対して感光性を有するものが好ましい。また、光励起された増感剤と何らかの作用を生じ、活性ラジカルを生成する活性剤であってもよく、重合性化合物の種類に応じてカチオン重合を開始させるような開始剤であってもよい。
光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーベンゾイルベンゾエート類、α−アミロキシムエステル類、ホスフィンオキシド類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類、プロピオフェノン類、アゾ化合物、過酸化物類、2,3−ジアルキルジオン化合物類、ジスルフィド化合物類、フルオロアミン化合物類、ベンジル類、ベンゾイン類、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、メタロセン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル、ロフィンダイマー類、オニウム塩類、ボレート塩類、活性エステル類、活性ハロゲン類、無機錯体、クマリン類、および、アシルホスフィンオキシド類等が挙げられる。
光重合開始剤の具体例、および好ましい態様、市販品などは、特開2009−098658号公報の0133〜0151段落に記載されており、上記の内容は本明細書に組み込まれる。光重合開始剤の市販品としては、例えば、IRGACURE819(ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、BASF社製)等が挙げられる。
(増感剤)
重合性液晶組成物は増感剤を含有することが好ましい。増感剤としては特に制限されず、公知の増感剤を用いることができる。
重合性液晶組成物中における増感剤の含有量としては特に制限されず、一般に重合開始剤100質量部に対して、0.1〜20質量%が好ましい。
増感剤は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。2種以上の増感剤を併用する場合には、合計含有量が上記範囲内であることが好ましい。
増感剤としては、例えば、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、および、チオキサントンが挙げられる。市販の増感剤としては、日本化薬社製の商品名「KAYACURE」シリーズ等が挙げられる。
(配向制御剤)
重合性液晶組成物は、配向制御剤を含有してもよい。配向制御剤としては特に制限されず、公知の配向制御剤を用いることができる。
重合性液晶組成物中における配向制御剤の含有量としては特に制限されないが、一般に、重合性液晶組成物の全固形分に対して、0.05〜10質量%が好ましい。配向制御剤は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。2種以上の配向制御剤を併用する場合には、合計含有量が上記範囲内であることが好ましい。
配向制御剤としては、例えば、低分子の配向制御剤または高分子の配向制御剤を用いることができる。低分子の配向制御剤としては、例えば、特開2002−20363号公報の0009〜0083段落、特開2006−106662号公報の0111〜0120段落、および、特開2012−211306号公報の0021−0029段落の記載を参酌でき、この内容は本願明細書に組み込まれる。また、高分子の配向制御剤としては、例えば、特開2004−198511号公報の0021〜0057段落の記載、および、特開2006−106662号公報の0121〜0167段落を参酌でき、この内容は本願明細書に組み込まれる。
配向制御剤を用いることにより、例えば、より容易に、液晶化合物を層の表面と並行に配向したホモジニアス配向状態とすることができる。
(界面活性剤)
重合性液晶組成物は、界面活性剤を含有することが好ましい。界面活性剤としては特に制限されず、公知の界面活性剤を用いることができる。
重合性液晶組成物中における界面活性剤の含有量としては特に制限されないが、一般に、重合性液晶組成物の全固形分に対して、0.05〜10質量%が好ましく、なかでも部材上に重合性液晶組成物を噴霧してコレステリック液晶層を形成する場合には、2〜10質量%がより好ましい。重合性液晶組成物が含有する界面活性剤の含有量が2〜10質量%であると、重合性液晶組成物を噴霧して形成したコレステリック液晶層がより優れた面状を有する。なお、本明細書において、面状とは、面内の均一性(重合性液晶組成物のハジキが発生しないこと、および、面内の色ムラが発生しないこと)を意図する。
界面活性剤は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。2種以上の界面活性剤を併用する場合には、合計含有量が上記範囲内であることが好ましい。
界面活性剤としては、例えば、シリコ−ン系界面活性剤およびフッ素系界面活性剤が挙げられ、フッ素系界面活性剤が好ましい。
界面活性剤の具体例としては、特開2014−119605号公報の0082〜0090段落に記載の化合物、特開2012−203237号公報の0031〜0034段落に記載の化合物、特開2005−99248号公報の0092段落および0093段落に記載の化合物、特開2002−129162号公報の0076〜0078段落および0082〜0085段落に記載の化合物、ならびに、特開2007−272185号公報の0018〜0043段落に記載の化合物等が挙げられる。
このような重合性液晶組成物を用いる反射層の形成方法には、制限はなく、公知の方法が利用可能である。
例えば、重合性液晶組成物を調製して、吸収層14あるいは基材12(図2参照)に、前述の基材12への塗料の塗布で例示した噴霧等の公知の方法で重合性組成物を塗布し、必要に応じて乾燥した後、重合性液晶化合物をコレステリック液晶相の配向状態とし、その後、光照射または加熱によって、重合性組成物を重合させて形成すればよい。
[誘電体多層膜]
反射層16としては、誘電体多層膜も好適に利用可能である。
誘電体多層膜は、目的とする反射層16の選択反射中心波長に応じて、屈折率の異なる樹脂層等を複数層積層してなる公知の多層膜が、各種、利用可能である。
また、誘電体多層膜としては、東レ社製のピカサスシリーズ、日栄化工社製のアメイジングフィルムシリーズ、ホログラムサプライ社から販売されている「マジカルフィルム」、および、ダイクロイックフィルター類(TOKINA社製など)等の市販品も利用可能である。
本発明の積層体は、コレステリック液晶層と誘電体多層膜とによって複数層の反射層を有してもよい。
反射層16の光透過率には、特に制限はない。反射層16は、選択反射中心波長における透過率が70%以下であるのが好ましく、60%以下であるのがより好ましく、55%以下であるのがさらに好ましく、50%以下であるのが特に好ましい。
反射層16では、反射層16を透過する光以外は、全ての光を反射していると考えられる。従って、反射層16の選択反射中心波長における透過率を70%以上とすることにより、積層体20を観察した際に、目的とする色味の良好な金属光沢感を得られる。
選択反射中心波長における透過率は、分光光度計UV3150(島津製作所製)等の市販の測定装置を用いて測定すればよい。
反射層16は、散乱型の反射層であってもよく、正反射型の反射層であってもよい。
反射層16が正反射型の反射層である場合には、後述するように観察方向を変化した場合に、明暗の変化が非常に大きくなり、反射層16が散乱型の反射層である場合には、後述するように観察方向を変化した場合における明暗の変化が緩やかになる。
正反射型の反射層16は、前述のように、吸収層14の上に配向膜を形成して、配向膜の上に反射層16を形成することで、得ることができる。あるいは、反射層16の形成面にラビング等の処理を施して、反射層16の形成面を配向膜として作用させてもよい。
他方、散乱型の反射層16は、配向膜を設けずに反射層16を形成して、配向欠陥を多く含む反射層16とすることにより、得ることができる。また、散乱型の反射層16は、吸収層14の上に異方性を有さない樹脂層を形成し、この樹脂層の上に反射層16を形成することによっても、得ることができる。
本発明の積層体20においては。必要に応じて、反射層16に組み合わせて、光学的な作用を発現する各種の層を設けてもよい。
例えば、反射層16とλ/2板等の位相差層とを組み合わせて設けてもよい。この構成については、後に詳述する。
<<着色透過層18>>
積層体20において、反射層16の上には、着色透過層18が設けられる。
着色透過層18は、所定の色(波長帯域)の光を透過して、それ以外の色の光を吸収する層である。
前述のように、本発明の積層体においては、反射層16は、着色透過層18を透過した光を反射するものであり、吸収層14は、着色透過層18を透過した光を吸収する。従って、着色透過層18が赤色光を透過するものである場合には、反射層16は赤色光を反射し、吸収層14は赤色光を吸収する。反射層16に関しては、より具体的には、赤色光の帯域に選択反射中心波長を有する。
着色透過層18は、全光線透過率が50%以上であるのが好ましく、55%以上であるのがより好ましく、60%以上であるのがさらに好ましい。
また、着色透過層18は、反射層16の選択反射中心波長における透過率が50%以上であるのが好ましく、60%以上であるのがより好ましく、70%以上であるのがさらに好ましい。
着色透過層18が、全光線透過率50%以上、および/または、反射層16の選択反射中心波長における透過率50%以上を満たすことにより、積層体20の色の深みを好適に得られる、良好な金属光沢感が得られる等の点で好ましい。なお、色の深みに関しては、後に詳述する。
着色透過層18は、色素とバインダーとからなる層、市販のクリア塗料など、特定の波長帯域の光、特に可視光の特定の波長帯域の光を透過し、それ以外の波長の光を吸収する、公知のいわゆるカラーフィルターが、各種、利用可能である。
このような着色透過層18は、例えば、色素とバインダーとを有する塗料を調製して、調製した塗料を、前述の基材12への塗料の塗布で例示した噴霧等の公知の方法で反射層16に塗布し、その後、塗料を乾燥および/または硬化することで、形成すればよい。
また、着色透過層18は、カラーセロハン、クリアカッティングシート、および、カラー塩化ビニルシートなど、市販のカラーフィルターを利用してもよい。
<<積層体の作用>>
以下、積層体20の作用を説明することにより、本発明の積層体、加飾シートおよび成型体について、より詳細に説明する。
一例として、積層体20は、赤色に観察されるもので、着色透過層18は、赤色光を透過して、それ以外の色の可視光は吸収し、反射層16は、選択反射中心波長を赤色光領域(例えば、650nm)に有する前述のコレステリック液晶層からなるもので、赤色の右円偏光を反射し、吸収層14は、黒色で、着色透過層18の透過光を含む、全ての可視光を吸収する。
前述のように、積層体20は、通常、着色透過層18側が観察側であり、すなわち、光の入射側である。
まず、図1に矢印aで示すように、観察者Oが積層体20(加飾シート10)を正面から観察した場合、すなわち、光が正面から入射した場合には、積層体20に入射した可視光は、まず、着色透過層18に入射する。着色透過層18に入射した可視光は、赤色光のみが着色透過層18を透過し、それ以外の成分は、着色透過層18で吸収される。
着色透過層18を透過した光は、次いで、反射層16に入射する。反射層16に入射した光は、赤色光の右円偏光のみが反射層16によって反射され、それ以外の光は、反射層16を透過する。
反射層16を透過した光は、次いで、吸収層14に入射する。前述のように、吸収層14は、黒色である。従って、吸収層14に入射した可視光は、全て、吸収層14で吸収され、反射されることはない。
他方、反射層16によって反射された光は、再度、着色透過層18に入射する。反射層16が反射するのは、赤色光であり、着色透過層18は赤色光を透過するので、この赤色光が観察者に観察される。従って、観察者Oは、反射層16(コレステリック液晶層)のみで反射された赤色光のみを観察することになり、観察者Oには、金属光沢感を有する赤色の積層体20(加飾シート10)が観察される。
一方、図1に矢印bに示すように、観察者Oが積層体20を斜めから観察した場合、あるいは、観察者0が観察方向を変えずに加飾シート10を湾曲させて観察した場合には、積層体20は、正面から観察した場合とは、異なる見え方をする。
すなわち、観察者Oが、積層体20を、着色透過層18の表面の法線(表面と直交する線)に対して、角度を有する方向から観察した場合には、法線方向(正面)から観察した場合とは、異なる見え方をする。
観察者Oが積層体20を斜めから観察した、すなわち、光が積層体に斜めに入射した場合にも、同様に、可視光は、赤色光の成分のみが着色透過層18を透過し、それ以外の成分は、着色透過層18で吸収される。
着色透過層18を透過した光は、同様に、反射層16に入射する。反射層16に入射した光は、先と同様に、所定の波長帯域の右円偏光のみが反射され、それ以外の光は、反射層16を透過して、可視光は全て吸収層14で吸収される。
ここで、反射層16(コレステリック液晶層)は、反射波長(選択反射中心波長)に角度依存性を有し、光が斜めから入射した場合には、反射する光の波長が、短波長側に移動(シフト)する。
図示例においては、反射層16は、正面から光が入射した状態で赤色光の右円偏光を反射するように設定されているので、光が斜めから入射した場合には、反射層16によって反射される光は、波長の短い緑色光に近い波長の光となる。
前述のように、着色透過層18は赤色光のみを透過する。従って、反射層16に入射する光は、緑色光の成分は非常に少ない。すなわち、斜めに光が入射した場合には、反射層16によって反射される光成分は、大幅に少なくなる。加えて、コレステリック液晶層は、光が斜めから入射した場合には、反射効率が低下する。
従って、積層体20を斜めから観察した場合には、観察者Oによって観察される積層体20は、明度が大幅に低下する。
一方で、積層体20は、観察側の最上層に赤色光のみを透過し、他の可視光は吸収する着色透過層18を有する。
従って、積層体20によって反射されて、観察者Oに観察される光は、全て、赤色光である。すなわち、観察者Oが、どの方向から積層体20を観察した場合でも、観察される積層体20の色は赤色で、色味の変化は少ない。
すなわち、本発明の積層体20は、角度を変えて観察した際に大きな明暗の変化が生じ(明暗の視野角依存性が大きい)、しかも、角度を変えて観察した際における色味の変化が少ない(色味の視野角依存性が小さい)。
本発明は、これにより、色の深みを有し、かつ、金属光沢感を有する積層体20(加飾シート10および成型体)を実現している。
以上の作用は、反射層16にコレステリック液晶層を用いた場合のみならず、反射層16を誘電体多層膜で形成した場合等、反射に波長選択性を有する材料で反射層を形成した場合には、同様である。
本発明の積層体において、着色透過層18が無い場合には、全ての波長領域の可視光が反射層16に入射する。従って、斜めから観察した場合には、反射層16の選択反射波長の変化によって、例えば緑色光が観察されるなど、観察される色味が大きく変化してしまう。すなわち、着色透過層18が無い場合には、色味の視野角依存性が大きくなってしまう。また、反射波長は変動するが、斜めに入射した光も反射層16で反射されるため、反射層16が反射する光量は正面から観察した場合と同等になるので、明暗の変化も小さいすなわち、着色透過層18が無い場合には、明暗の視野角依存性が小さくなってしまう。
反射層16が無い場合には、どの方向から観察した場合にも、観察者には、着色透過層18の赤色のみが視認されるので、観察方向を変えても明暗の変化が少なく、また、金属光沢感も乏しい。すなわち、反射層16が無い場合には、明暗の視野角依存性が小さく、また、金属光沢感も乏しくなってしまう。
吸収層14が無い場合、および、吸収層14が着色透過層18を透過した光を吸収しない場合には、結果的に、着色透過層18を透過した光が、全て反射されて観察者に観察されるため、金属光沢感が乏しくなってしまう。
さらに、反射層16が、着色透過層18を透過した光を反射しない場合には、どの方向から観察した場合にも、常に、積層体は明度が低い状態で観察される。すなわち、反射層16が、着色透過層18を透過した光を反射しない場合には、明暗の視野角依存性が小さくなってしまう。
前述のように、本発明の積層体は、複数の反射層16を有してもよい。
例えば、反射層16をコレステリック液晶層で形成した場合には、反射層16は、右円偏光および左円偏光の、いずれか一方しか反射しない。これに応じて、選択反射中心波長が一致(略一致)する反射層16を2層形成し、1層が右円偏光を反射し、他の1層が左円偏光を反射するようにしてもよい。すなわち、各反射層で、コレステリック液晶層の螺旋のセンスを変えてもよい。これにより、所定の色の光の反射量を倍にでき、より金属光沢感に優れる積層体を得られる。
また、本発明の積層体は、前述のように、反射層16に位相差層等を組み合わせてもよい。一例として、例えば、同じコレステリック液晶層からなる同じ反射層を2層形成し、間に、λ/2板を設けてもよい。これにより、上方の反射層と下方の反射層とで、反射する円偏光の方向が逆になるので、同様に、所定の色の光の反射量を倍にでき、より金属光沢感に優れる積層体を得られる。
本発明の積層体において、反射層は、少なくとも一部に、可視領域に選択反射中心波長を有し、かつ、着色透過層を透過した光を反射する領域を有していればよい。従って、反射層は、一部に、着色透過層を透過した光を反射しない領域を有してもよい。
また、反射層は、選択反射中心波長が互いに異なる複数の領域を有してもよい。すなわち、反射層において、選択反射中心波長が互いに異なる複数の領域をパターニングして形成してもよい。これにより、観察方向に応じて、金属光沢感および色の深みを有すると共に、色および/または絵柄等が変化する積層体(加飾シートおよび成型体)を作製することができる。
図3に、このような反射層の一例を示す。
この反射層24は、領域IR、領域Rおよび領域Orの選択反射中心波長が互いに異なる、3つの領域を有する。図3に示すように、反射層24において、領域IR、領域Rおよび領域Orは、帯状で、帯の長手方向と直交する方向に、領域IR、領域Rおよび領域Orの順番で、繰り返し形成されている。
このような反射層24を用いる積層体において、着色透過層18および吸収層14は、前述の積層体と同じものであり、反射層24を用いる積層体は、例えば、図1に示す積層体20と同様、観察側から、着色透過層18、反射層24および吸収層14を有して構成される。
なお、この反射層24を用いる構成でも、本発明の積層体は、着色透過層18、反射層24および吸収層14を、この順番で有していればよい。従って、例えば、図2に示される構成のように、基材12一面に反射層24を有し、基材12の他方の面に吸収層14を有する構成でもよい。
図4に、反射層24を構成する各領域の選択反射波長特性、および、着色透過層18の波長に対する透過光量特性を、概念的に示す。図4において、横軸は波長[nm]であり、縦軸は、光量である。なお、縦軸は、着色透過層18に対しては透過光量を示し、反射層24の各領域に対しては反射光量を示す。
反射層24は、一例として、右円偏光を反射するコレステリック液晶層である。
図4に示すように、反射層24の領域IRは、赤色光の領域に近い赤外光に選択反射中心波長を有する領域である。反射層24の領域Rは、赤色光領域の中心部近傍に選択反射中心波長を有する領域である。さらに、反射層の領域Orは、赤色光領域の短波長の領域に選択反射中心波長を有する領域である。
また、着色透過層18は、図4に一点鎖線で示すように、赤色光および赤色光よりも長波長の光は透過し、それ以外の可視光は吸収するものである。
図1に矢印aで示すように、観察者Oが、反射層24を有する積層体を正面から観察した場合には、先の積層体20と同様、可視光は赤色光のみが透過し、さらに、赤外光が透過して、反射層24に入射する。
前述のように、反射層24の領域IRは、赤色光の領域に近い赤外光に選択反射中心波長を有する領域である。従って、積層体を正面から観察した場合、領域IRは、赤外光のみを反射し可視光を反射しないので、領域IRは影のような黒色(暗い赤色)に見える。
反射層24の領域Rは、赤色光領域の中心部近傍に選択反射中心波長を有する領域である。従って、積層体を正面から観察した場合、領域Rは赤色光領域の中心の波長の光を反射するので、領域Rは赤色の金属光沢が見える。
反射層の領域Orは、赤色光領域の短波長の領域に選択反射中心波長を有する領域である。従って、積層体を正面から観察した場合、領域Orは赤色光領域の短波長の光を反射するので、領域Orは橙色の金属光沢が見える。
なお、反射層24を透過した光は、先と同様、吸収層14に入射して吸収される。
すなわち、観察者Oが、反射層24を有する積層体を正面から観察した場合には、積層体は、領域IRが黒色で、領域Rが赤で、領域Orが橙色に近い赤色のストライプ状に観察される。
一方、図1に矢印bで示すように、反射層24を有する積層体を斜めから観察した場合にも、同様に、可視光は赤色光のみが透過し、さらに、赤外光が透過して、反射層24に入射する。
反射層24に斜めから観察した場合、すなわち、反射層24に斜めに光が入射した場合には、前述のように、反射層24による選択反射中心波長が、短波長側に移動する。
反射層24の領域IRは、赤色光の領域に近い赤外光に選択反射中心波長を有する領域である。従って、積層体を斜めから観察した場合、領域IRの選択反射中心波長は、図4に破線で示すように短波長側に移動して、赤色光の波長となる。その結果、正面からの観察では黒色(暗い赤色)に見えた領域IRは、斜めからの観察では赤色の金属光沢が見える。
反射層24の領域Rは、赤色光領域の中心部近傍に選択反射中心波長を有する領域である。従って、積層体を斜めから観察した場合、領域Rの選択反射中心波長は、図4に破線で示すように短波長側に移動して、赤色光の短波長に寄った波長となる。その結果、正面からの観察では赤色に見えた領域Rは、斜めからの観察では橙色の金属光沢が見える。
反射層の領域Orは、赤色光領域の短波長の領域に選択反射中心波長を有する領域である。従って、積層体を斜めから観察した場合、領域Orの選択反射中心波長は、図4に破線で示すように短波長側に移動して、赤色光よりも短波長の図4に一点鎖線で示す着色透過層18を透過しない波長となる。すなわち、積層体を斜めから観察した場合、領域Orが反射する光は、着色透過層18を透過しない。その結果、正面からの観察では橙色に見えた領域Orは、斜めからの観察では暗くなって黒色(暗い赤色)に見える。
すなわち、反射層24を有する積層体は、観察者Oが、反射層24を有する積層体を正面から観察した場合には、積層体は、領域IRが黒色(暗い赤色)で、領域Rが赤で、領域Orが橙色のストライプ状の絵柄に観察されるが、斜めから観察した場合には、積層体は、領域IRが赤で、領域Rが橙色で、領域Orが黒色(暗い赤色)のストライプ状の絵柄に観察される。
すなわち、選択反射中心波長が異なる、複数の領域を有する反射層24を備える積層体は、観察方向によって、色柄が変わる積層体となる。また、反射層24を備える積層体は、図1に示す積層体20と同様、いずれの領域も、金属光沢感を有し、さらに、前述のように、明暗の変化が大きく、色味の変化が少ない、色の深みを有するものである。
このような選択反射中心波長の異なる複数の領域を有する反射層24は、公知の各種の方法で形成可能である。
一例として、前述の積層体20の反射層16の形成において、重合性液晶組成物を吸収層14(基材12)に塗布した後、選択反射中心波長の異なる各領域に応じて、塗布した重合性液晶組成物をマスクで覆って光照射を行い、次いで、マスクを外して光照射を行うことにより、重合性液晶組成物が含有するキラル剤の螺旋誘起力(HTP:Helical Twisting Power)を領域毎に変更し、その後、重合性液晶化合物をコレステリック液晶相の配向状態とする方法が例示される。
この場合には、露光量が多い領域ほど、コレステリック液晶層の選択反射中心波長を長くできる。
選択反射中心波長の異なる複数の領域を有する反射層は、このようなストライプ状の領域を有する構成に限定されず、各種の構成が利用可能である。
例えば、反射層の半分の領域に領域IRと同様の選択反射中心波長を有するコレステリック液晶層からなる文字『A』型の領域を形成し、他方の半分に領域Orと同様の選択反射中心波長を有するコレステリック液晶層からなる文字『B』型の領域を形成する。
これにより、積層体を正面から観察した場合には、金属光沢感を有する橙色の『B』と暗い赤色の『A』が観察され(あるいは、『A』は観察されない)、斜めから観察した場合には、暗い赤色の『B』と金属光沢感を有する赤色の『A』が観察されるような、積層体を得られる。
以上、本発明の積層体、加飾シートおよび成型体について詳細に説明したが、本発明は、上述の例に限定はされず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変更を行なってもよいのは、もちろんである。
以下、本発明の具体的実施例を挙げ、本発明を、より詳細に説明する。
以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、および、処理手順などは、本発明の主旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
[重合性液晶組成物の調製]
以下の各成分を、表1に記載した組成で混合し、重合性液晶組成物1〜6を得た。
なお、各重合性液晶組成物は、固形分濃度が24質量%となるように、溶剤(トルエン、沸点:111℃、溶解パラメータ:8.9(cal/cm31/2。)で調製した。
なお、表1中の各数値は、重合性液晶組成物の全固形分に対する、各成分の含有量(質量部)である。
上記表1における各成分は、以下のとおりである。
(液晶化合物)
・液晶化合物A(下記式で表される化合物)

液晶化合物Aは、特開2014−198814号公報の0164段落を参照して合成した。
・液晶化合物B パリオカラーLC242(BASF社製)
・液晶化合物C(下記式で表される化合物)

・液晶化合物D(下記式で表される化合物)

・液晶化合物E(下記式で表される化合物)
・キラル剤a(下記式で表される化合物)

・キラル剤b(下記式で表される化合物)
・界面活性剤a(下記式で表される化合物)
・界面活性剤b(下記式で表される化合物)
・重合開始剤(IRGACURE907)
・増感剤(KAYACURE DETX−S)
[コレステリック液晶層の形成]
各重合性液晶組成物をPETフィルムに塗布して、PETフィルム上に重合性液晶組成物からなる層を形成した。
このPETフィルムを室温で2分間静置した。静置を行った後、PETフィルムをオーブンに入れて、90℃で2分間加熱して、液晶化合物をコレステリック液晶相に配向させた。
加熱後、PETフィルムをオーブンから取り出し、空気中において、重合性液晶組成物に500mJ/cm2の光を照射して、重合性液晶組成物層を硬化させて、コレステリック液晶層を得た。
得られたコレステリック液晶層について、分光光度計UV3150(島津製作所)を用いて、選択反射する円偏光の方向、および、選択反射中心波長[nm]を求めた。結果を表2に示す。
[実施例1]
基材として、無色透明なPETフィルム(東洋紡社製、コスモシャインA4100)を用意した。このPETフィルムは、一面が易接着処理を施された面で、他方の面は通常の平滑面である。
この基材の易接着面に、ワイヤーバーをつかって、膜厚が4μmになるように重合性液晶組成物1を塗布した。重合性液晶組成物を塗布した基材をオーブンに入れて、100℃で30秒加熱し、重合性液晶をコレステリック液晶相に配向させた。
基材をオーブンから取り出し、30℃、窒素下で500mJ/cm2の光を照射して、重合性液晶組成物1を硬化させて反射層(コレステリック液晶層)を作製した。反射層の厚さは、4μmであった。
形成した反射層を目視したところ、色合いは赤色であった。また、反射層(重合性液晶組成物1からなるコレステリック液晶層)の選択反射中心波長(650nm)における透過率を、分光光度計(島津製作所製、分光光度計UV3150)によって測定したところ、50%であった。
以下のようにして、混合物を調製した。
・ベンジルメタクリレート/メタクリル酸/ヒドロキシエチルメタクリレート共重合樹脂(モル比:69/13/18、酸価47、水酸基価65、質量平均分子量20,000)のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液(固形分50%)
58質量部
・C.I.Pigment Red 254(東京化成工業社製)
20質量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(溶剤)
150質量部
以上の成分を、サンドミルで一昼夜分散した。
次いで、調製じた分散物に、下記の感放射線性成分、熱重合防止剤、および、溶剤を添加して、混合することにより、混合物を得た。
・下記のアクリレートモノマー 23質量部
・2,6−ジ(トリクロロメチル)−S−トリアジン(光重合開始剤)
3質量部
・ハイドロキノンモノメチルエーテル(重合禁止剤) 0.01質量部
・3−エトキシエチルプロピレングリコールアセテート(溶剤)
70質量部
(アクリレートモノマー: ジペンタエリスリト−ルにエチレンオキシドを6個付加したヘキサアクリレ−ト・4−[o−ブロモ−p−N,N−ジ(エトキシカルボニル)アミノフェニル])
このようにして調製した混合物に、界面活性剤(竹本油脂社製、D6112W)を、組成物全質量に対して0.3質量%添加し、孔径5μmのフィルターで濾過することにより、着色透過層を形成するためのカラー塗料を得た。
このカラー塗料を形成した反射層上に塗布し、乾燥することで、厚さ3μmの着色透過層を形成した。
なお、基材と同じPETフィルムに、反射層の上に形成した着色透過層と全く同様にして、着色透過層を形成した。
この着色透過層に関して、最も透過率が低下する波長における透過率、および、反射層の選択反射中心波長における透過率を、分光光度計(島津製作所製、分光光度計UV3150)によって測定した。その結果、最も透過率が低下する波長における透過率(透過率A)は6%、反射層の選択反射中心波長における透過率(透過率B)は83%であった。
さらに、基材の反射層の形成面とは逆側の面に、吸収層として、厚さ100μmの黒色PETフィルム(東レ社製、ルミラー)を貼着した。
この黒色PETフィルムは、全光線透過率は0%である。また、基材と黒色PETフィルムとの貼着は、光学用粘着剤を用いて行った。
これにより、着色透過層、反射層および吸収層をこの順番で備える積層体を有する加飾シートを作製した。
この加飾シート(積層体)に光を当てて正面から目視観察すると、赤い金属光沢が観察された。また、加飾シートの半分を折り曲げ、約45°傾斜させると、金属光沢が減少して暗くなり、大きな明るさの変化が観察された。
[実施例2]
基材の表面に重合性液晶組成物1を用いて反射層を形成した後、さらに、重合性液晶組成物2を用いて同様に2層目の反射層を形成した以外には、実施例1と同様に、着色透過層、反射層および吸収層をこの順番で備える積層体を有する加飾シートを作製した。すなわち、この積層体は、選択反射中心波長が650nmで右円偏光を反射する反射層と、選択反射中心波長が同じく650nmで左円偏光を反射する反射層とを有する。
この加飾シート(積層体)に正面から光を当てて目視観察すると、選択反射中心波長が650nmの右および左円偏光を全て反射するため、実施例1にも増して強い赤い金属光沢が観察された。また、加飾シートの半分を折り曲げ、約45°傾斜させると、金属光沢が大きく減少して暗くなり、実施例1にも増して大きな明るさの変化が観察された。
[実施例3]
基材の通常の平滑面に、ラビング装置を用いてラビング処理を施し、ラビング処理を施した面に反射層を形成した以外は、実施例1と同様に、着色透過層、反射層および吸収層をこの順番で備える積層体を有する加飾シートを作製した。
[実施例4]
基材の通常の平滑面に、ラビング装置を用いてラビング処理を施し、ラビング処理を施した面に反射層を形成した以外は、実施例2と同様に、着色透過層、反射層および吸収層をこの順番で備える積層体を有する加飾シートを作製した。
[実施例5]
反射層を形成する重合性液晶組成物として、重合性液晶組成物3を用いた以外は、実施例1と同様に、着色透過層、反射層および吸収層をこの順番で備える積層体を有する加飾シートを作製した。
[実施例6]
反射層を形成する重合性液晶組成物として、重合性液晶組成物3および重合性液晶組成物4を用いた以外は、実施例2と同様に、着色透過層、反射層および吸収層をこの順番で備える積層体を有する加飾シートを作製した。
[実施例7]
基材の通常の平滑面に、ラビング装置を用いてラビング処理を施し、ラビング処理を施した面に反射層を形成した以外は、実施例5と同様に、着色透過層、反射層および吸収層をこの順番で備える積層体を有する加飾シートを作製した。
[実施例8]
基材の通常の平滑面に、ラビング装置を用いてラビング処理を施し、ラビング処理を施した面に反射層を形成した以外は、実施例6と同様に、着色透過層、反射層および吸収層をこの順番で備える積層体を有する加飾シートを作製した。
[実施例9]
反射層を形成する重合性液晶組成物として、重合性液晶組成物5を用い、着色透過層を形成する塗料に添加する色素を緑色色素(東京化成工業社製、Pigment Green7)とした以外は、実施例1と同様に、着色透過層、反射層および吸収層をこの順番で備える積層体を有する加飾シートを作製した。
[実施例10]
反射層を形成する重合性液晶組成物として、重合性液晶組成物6を用い、着色透過層を形成する塗料に添加する色素を青色色素(東京化成工業社製、Pigment Alpha Blue 15)とした以外は、実施例1と同様に、着色透過層、反射層および吸収層をこの順番で備える積層体を有する加飾シートを作製した。
[実施例11]
反射層を形成する際における重合性液晶組成物の塗布を、ワイヤーバーではなくスプレー塗布に変更した以外は、実施例1と同様に着色透過層、反射層および吸収層をこの順番で備える積層体を有する加飾シートを作製した。
[比較例1]
吸収層を有さない以外は、実施例1と同様に加飾シートを作製した。
[比較例2]
反射層を有さない以外は、実施例1と同様に加飾シートを作製した。
[比較例3]
着色透過層を有さない以外は、実施例1と同様に加飾シートを作製した。
[比較例4]
着色透過層を形成する塗料に添加する色素を緑色色素(東京化成工業社製、Pigment Green7)とした以外は、実施例1と同様に、着色透過層、反射層および吸収層をこの順番で備える積層体を有する加飾シートを作製した。
[比較例5]
着色透過層を形成する塗料に添加する色素を青色色素(東京化成工業社製、Pigment Alpha Blue 15)とした以外は、実施例1と同様に、着色透過層、反射層および吸収層をこの順番で備える積層体を有する加飾シートを作製した。
[評価]
作製した加飾シートに対して、観察角度を変えた際の明度の変化、観察角度を変えた際の色味の変化、および、金属光沢感を評価した。
<観察角度を変えた場合の明度の変化>
自動絶対反射率測定システム(JASCO社製、ARMN−735)を用いて、測定光を10°で入射して20°で検出した場合、および、測定光を40°で入射して50°で検出した場合における反射ピークの面積を算出して、『反射量』と定義した。なお、角度は、いずれも加飾シートの法線(シート面に直交する方向)に対する角度である。
この際における[(10°入射の時の反射量)/(50°入射の時の反射量)]の値を算出して、この値を観察角度を変えた場合の明度の変化の大きさとした。
色の深みという点では、観察方向を変更した際、すなわち、測定光の入射角を変更した際に、明度が大きく変化する方が好ましい。評価は、以下のとおりである。
A: 明度の変化が10以上
B: 明度の変化が5以上10未満
C: 明度の変化が2以上5未満
D: 明度の変化が2未満
<観察角度を変えた際の色味の変化>
観察角度を変えた場合の明度の変化の測定と同様の条件で測定を行い、それぞれの角度での測定における反射中心波長[nm]を求めた。なお、反射中心波長は、検出器が受光した各種の波長の光のうちの、光量が最大であった波長である。
この際における[(10°入射の時の反射中心波長)−(50°入射の時の反射中心波長)]の値を算出して、色味の変化の大きさとした。
色の深みという点では、観察方向を変更した際、すなわち、測定光の入射角を変更した際に、色味が大きく変化し過ぎない方が好ましい。評価は以下のとおりである。
A: 色味の変化が30nm未満
B: 色味の変化が30nm以上50nm未満
C: 色味の変化が50nm以上80nm未満
D: 色味の変化が80nm以上
<金属光沢感>
加飾シートを水平な台の上に置き、加飾シートの法線方向から白色LED(light emitting diode)を照射した状態で、さまざまな角度から加飾シートを観察し、金属光沢感が感じられるかを10名で判定した。評価は以下のとおりである。
A: 9〜10名が金属光沢ありと判断
B: 5〜8名が金属光沢ありと判断
C: 2〜4名が金属光沢ありと判断
D: 0〜1名が金属光沢ありと判断
結果を表3に示す。
なお、全ての加飾シートについて、実施例1と同様に、正面から目視観察した際の色、反射層を目視観察した際の色合い、反射層の選択反射中心波長における透過率、ならびに、着色透過層の最も透過率が低下する波長における透過率(透過率A)、および、反射層の選択反射中心波長における着色透過層の透過率(透過率B)を測定した。
結果を表3に併記する。
表3に示されるように、本発明の積層体を有する本発明の加飾シートは、良好な金属光沢感を有するのみならず、観察角度を変えた場合に大きな明暗の変化を生じ(明暗の角度依存性が大きい)、さらに、観察角度を変えた場合に生じる色味の変化が少ない(色味の視野角依存性が小さい)、良好な色の深みを有するものである。
なお、実施例のうち、基材のラビングを行った実施例3、4、7および8は、反射層が正反射型の積層体であり、それ以外のものは、反射層が散乱型の積層体である。積層体を観察しつつ、加飾シートを傾けて角度をつけてみたところ、正反射型の反射層を有する積層体は、小さい角度変化で明暗が大きく変化し、散乱型の反射層を有する積層体は、角度変化に対する明暗の変化は緩やかであったが、実施例に示されるように、明暗の変化量は、同等であった。
これに対し、吸収層を有さない比較例1は、金属光沢感が感じられない。反射層を有さない比較例2は、観察角度を変えた場合の明暗の変化が小さいため色の深みに劣り、また、金属光沢感も感じられない。着色透過層を有さない比較例3は、観察角度を変えた場合に、明暗の変化が小さく、かつ、色味の変化が大きいため、色の深みが感じられない。さらに、反射層が、着色透過層を透過した光を反射しない比較例4および比較例5は、金属光沢感が少ない上に、観察角度を変えた場合に、明暗の変化が小さく、かつ、色味の変化が大きいため、色の深みも感じられない。
[実施例12]
(重合性液晶組成物7の調製)
以下に示す成分をトルエンに溶解させ、固形分濃度が25質量%の重合性液晶組成物7を調製した。
液晶化合物A 90質量部
液晶化合物F 10質量部
キラル剤c 11質量部
界面活性剤a 4質量部
光ラジカル開始剤a 3質量部
重合禁止剤 1質量部
・液晶化合物A(下記式で表される化合物)

・液晶化合物F(下記式で表される化合物)
・キラル剤c(下記式で表される化合物)
・界面活性剤a(下記式で表される化合物)
・光ラジカル開始剤a: BASF社製 IRGACURE 819
・重合禁止剤: BASF社製 IRGANOX1010
基材として、厚さ100μmの無色透明なPETフィルム(東洋紡社製、コスモシャインA4100)を用意した。
この基材の一面に、ワイヤーバーをつかって重合性液晶組成物7を塗布した。
次いで、塗膜の一領域を覆うように、薄いグレーの領域と濃いグレーの領域とからなる光透過性のマスクをかぶせ、空気下、30℃で加熱を行いながら、塗膜に対して14mJ/cm2の露光を行った。その後マスクをはずして、空気下、30℃で加熱を行いながら、塗膜に対して15mJ/cm2で露光を行った。
塗膜の露光を行った基材をオーブンに入れて、100℃で秒加熱し、液晶化合物をコレステリック液晶相に配向させた。
基材をオーブンから取り出し、30℃、窒素下で500mJ/cm2の光を照射して、重合性液晶組成物7を硬化させてコレステリック液晶層を形成した。形成したコレステリック液晶層の厚さは5μmであった。
コレステリック液晶層側の表面(塗布面)を観察面として、このフィルムを分光光度計(島津製作所製、分光光度計UV3150)によって解析したところ、マスクの薄いグレーの領域を介して光を照射した部分では650nmの選択反射中心波長を有するパターン(赤色)が確認され、マスクの濃いグレーの領域を介して光を照射した部分では550nmの選択反射中心波長を有するパターン(緑色)が確認された。これにより、コレステリック液晶層内で、選択反射中心波長が互いに異なる2つの領域が形成されていることが確認された。
また、コレステリック液晶層側の観察面を目視したところ、金属光沢調の多色画像(赤色と緑色の色相を有する画像)が確認できた。
形成したコレステリック液晶層を反射層、PETフィルムを基材として、反射層の表面に、実施例1と同様に赤色色素を用いる着色透過層を形成し、さらに、基材の反射層とは逆側の面に、実施例1と同様に黒色PETフィルムを用いた吸収層を形成して、着色透過層、反射層および吸収層をこの順番で備える積層体を有する加飾シートを作製した。
作製した加飾シートを正面から観察すると、赤色の金属光沢を有する領域と、影のような黒い領域(暗い赤色領域)との2色を有するパターンが確認できた。一方、加飾シートを45°傾けると、加飾シートは全体的に暗くなり(暗い赤色になり)、パターンが認識できなくなった。また、何れの領域も、明暗の変化が大きく、色味の変化が少ない、色の深みの有するものであった。
[実施例13]
実施例12と同様に、PETフィルムに重合性液晶組成物7の膜を形成した後、塗膜の一領域を覆うように無色透明の領域、薄いグレーの領域および濃いグレーの領域の3つの領域で構成された光透過性のマスクをかぶせ、空気下、30℃で加熱を行いながら、塗膜に対して14mJ/cm2の露光を行った。その後、マスクを外して、空気下、30℃で加熱を行いながら、塗膜に対して15mJ/cm2で露光を行った。
その後、実施例12と同様にコレステリック液晶層を形成した。
コレステリック液晶層側の表面(塗布面)を観察面として、実施例12と同様に解析を行った結果、マスクの無色透明の領域を介して光を照射した部分では790nmの選択反射中心波長を有するパターン(赤外)が確認され、マスクの薄いグレーの領域を介して光を照射した部分では650nmの選択反射中心波長を有するパターン(赤色)が確認され、マスクの濃いグレーの領域を介して光を照射した部分では550nmの選択反射波長を有するパターン(緑色)が確認された。
これにより、コレステリック液晶層内で、選択反射中心波長が互いに異なる3つの領域が形成されていることが確認された。
また、コレステリック液晶層側の観察面を目視したところ、金属光沢調の多色画像(黒色と赤色と緑色の色相を有する画像)が視認された。
その後、コレステリック液晶層を反射層、PETフィルムを基材として、反射層の表面に、実施例1と同様に赤色色素を用いる着色透過層を形成し、さらに、基材の反射層とは逆側の面に、実施例1と同様に黒色PETフィルムを用いた吸収層を形成して、着色透過層、反射層および吸収層をこの順番で備える積層体を有する加飾シートを作製した。
作製した加飾シートを正面から観察すると、赤色の金属光沢を有する領域の両側に、影のような黒い2つの領域(暗い赤色領域)を有する、2色を有するパターンが確認できた。一方、加飾シートを45°傾けると、一方の黒色(暗い赤色領域)の領域が赤色の金属光沢になり、赤色の領域が黒色(暗い赤色領域)になって、端に金属光沢を有する赤色の領域を有し、残りが2領域分の黒色である、同じく黒色および赤色の2色を有するが、正面から観察した場合とは異なるパターンが確認できた。また、何れの領域も、明暗の変化が大きく、色味の変化が少ない、色の深みの有するものであった。
結果を下記の表4にまとめて示す。

以上の結果より、本発明の効果は明らかである。
車両の車体および内装等に好適に利用可能である。
10 加飾シート
12 基材
14 吸収層
16、24 反射層
18 着色透過層
20 積層体
IR、Or、R 領域

Claims (13)

  1. 所定の波長帯域の光を透過して、それ以外の光を吸収する着色透過層と、反射に波長選択性を有する反射層と、吸収層とを、この順番で備え、
    前記吸収層は、前記着色透過層を透過した光を吸収するものであり、
    前記吸収層は、無彩色であり、
    前記反射層は、前記着色透過層を透過した光を反射する領域を有することを特徴とする積層体。
  2. 前記反射層が金属を含まない、請求項1に記載の積層体。
  3. 前記反射層が、コレステリック液晶層および誘電体多層膜の少なくとも一方を有する、請求項1または2に記載の積層体。
  4. 前記吸収層が黒色である、請求項1〜のいずれか1項に記載の積層体。
  5. 前記吸収層の全光線透過率が10%以下である、請求項1〜のいずれか1項に記載の積層体。
  6. 前記反射層は、選択反射中心波長における透過率が70%以下である、請求項1〜のいずれか1項に記載の積層体。
  7. 前記反射層は、選択反射中心波長が互いに異なる複数の領域を同一面内に有する、請求項1〜のいずれか1項に記載の積層体。
  8. 前記反射層を、複数、有する、請求項1〜のいずれか1項に記載の積層体。
  9. 前記反射層が、散乱型の反射層である、請求項1〜のいずれか1項に記載の積層体。
  10. 前記反射層が、正反射型の反射層である、請求項1〜のいずれか1項に記載の積層体。
  11. 前記着色透過層は、前記反射層の選択反射中心波長における透過率が50%以上である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の積層体。
  12. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の積層体を有する、加飾シート。
  13. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の積層体を有する、成型体。
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