JP2018124431A - 加飾フィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】最表面に配置される第1の反射防止層と、第1のコレステリック液晶層と、第2のコレステリック液晶層と、第1の反射防止層とは反対側の最表面に配置される第2の反射防止層とをこの順に有し、第1のコレステリック液晶層および第2のコレステリック液晶層はそれぞれ、波長選択反射性を有し、第1のコレステリック液晶層は選択反射波長の右円偏光を反射し、第2のコレステリック液晶層は第1のコレステリック液晶層と同じ選択反射波長の左円偏光を反射する。
【選択図】図1
Description
すなわち、以下の構成により上記目的を達成することができることを見出した。
第1のコレステリック液晶層と、
第2のコレステリック液晶層と、
第1の反射防止層とは反対側の最表面に配置される第2の反射防止層とをこの順に有し、
第1のコレステリック液晶層および第2のコレステリック液晶層はそれぞれ、波長選択反射性を有し、
第1のコレステリック液晶層は選択反射波長の右円偏光を反射し、
第2のコレステリック液晶層は第1のコレステリック液晶層と同じ選択反射波長の左円偏光を反射する加飾フィルム。
(2) 第1のコレステリック液晶層および第2のコレステリック液晶層の厚みが、選択反射波長の5倍以上である(1)に記載の加飾フィルム。
(3) 第1の反射防止層および第2の反射防止層はそれぞれ、可視光の鏡面反射率が5%以下である(1)または(2)に記載の加飾フィルム。
(4) 第1のコレステリック液晶層および第2のコレステリック液晶層はそれぞれ、選択反射波長が異なる2以上の反射層を有する(1)〜(3)のいずれかに記載の加飾フィルム。
(5) 第1のコレステリック液晶層および第2のコレステリック液晶層がそれぞれ、選択反射波長が異なる2以上の反射領域を有し、
面方向に垂直な方向から見た際の、第1のコレステリック液晶層の反射領域の形成パターンと、第2のコレステリック液晶層の反射領域の形成パターンとが等しく、
かつ、面方向の同じ位置の第1のコレステリック液晶層の反射領域と、第2のコレステリック液晶層の反射領域との選択反射波長が同じである(1)〜(4)のいずれかに記載の加飾フィルム。
また、本明細書において、「直交」および「平行」とは、本発明が属する技術分野において許容される誤差の範囲を含むものとする。例えば、「直交」および「平行」とは、厳密な直交あるいは平行に対して±10°未満の範囲内であることなどを意味し、厳密な直交あるいは平行に対しての誤差は、5°以下であることが好ましく、3°以下であることがより好ましい。
また、「直交」および「平行」以外で表される角度、例えば、15°や45°等の具体的な角度についても、本発明が属する技術分野において許容される誤差の範囲を含むものとする。例えば、本発明においては、角度は、具体的に示された厳密な角度に対して、±5°未満であることなどを意味し、示された厳密な角度に対する誤差は、±3°以下であるのが好ましく、±1°以下であるのが好ましい。
本明細書において、「同じ」、「同一」または「等しい」などというとき、技術分野で一般的に許容される誤差範囲を含むものとする。また、本明細書において、「全部」、「いずれも」または「全面」などというとき、100%である場合のほか、技術分野で一般的に許容される誤差範囲を含み、例えば99%以上、95%以上、または90%以上である場合を含むものとする。
またこれに限定されるものではないが、可視光のうち、420nm〜490nmの波長域の光は、青色光であり、495nm〜570nmの波長域の光は、緑色光であり、620nm〜750nmの波長域の光は、赤色光である。
赤外光のうち、近赤外光は780nm〜2500nmの波長域の電磁波である。紫外光は波長10〜380nmの範囲の光である。
本明細書において、選択反射波長とは、対象となる物(部材)における透過率の極小値をTmin(%)とした場合、下記の式で表される半値透過率:T1/2(%)を示す2つの波長の平均値のことを言う。
半値透過率を求める式: T1/2=100−(100−Tmin)÷2
理論上は、ヘイズは、以下式で表される値を意味する。
(380〜780nmの自然光の散乱透過率)/(380〜780nmの自然光の散乱透過率+自然光の直透過率)×100%
散乱透過率は分光光度計と積分球ユニットを用いて、得られる全方位透過率から直透過率を差し引いて算出することができる値である。直透過率は、積分球ユニットを用いて測定した値に基づく場合、0°での透過率である。つまり、ヘイズが低いということは、全透過光量のうち、直透過光量が多いことを意味する。
屈折率は、波長589.3nmの光に対する屈折率である。
本明細書において、Re(λ)、Rth(λ)は、AxoScan OPMF−1(オプトサイエンス社製)において、波長λで測定した値である。AxoScanにて平均屈折率((Nx+Ny+Nz)/3)と膜厚(d(μm))を入力することにより、
遅相軸方向(°)
Re(λ)=R0(λ)
Rth(λ)=((Nx+Ny)/2−Nz)×d
が算出される。
なお、R0(λ)は、AxoScanで算出される数値として表示されるものであるが、Re(λ)を意味している。
また、ポリマーハンドブック(JOHN WILEY&SONS,INC)、各種光学フィルムのカタログの値を使用することもできる。主な光学フィルムの平均屈折率の値を以下に例示する:セルロースアシレート(1.48)、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.59)である。
最表面に配置される第1の反射防止層と、
第1のコレステリック液晶層と、
第2のコレステリック液晶層と、
第1の反射防止層とは反対側の最表面に配置される第2の反射防止層とをこの順に有し、
第1のコレステリック液晶層および第2のコレステリック液晶層はそれぞれ、波長選択反射性を有し、
第1のコレステリック液晶層は選択反射波長の右円偏光を反射し、
第2のコレステリック液晶層は第1のコレステリック液晶層と同じ選択反射波長の左円偏光を反射する加飾フィルムである。
以下に、本発明の加飾フィルムの好適な実施態様の一例について図面を参照して説明する。
図1に、本発明の加飾フィルムの一例の模式的な断面図を示す。
なお、本発明における図は模式図であり、各層の厚みの関係や位置関係などは必ずしも実際のものとは一致しない。以下の図も同様である。
図1に示すように、加飾フィルム10aは、第1の反射防止層16aと、粘着層18と、基材フィルム14と、第1のコレステリック液晶層12rと、粘着層18と、第2のコレステリック液晶層12lと、基材フィルム14と、粘着層18と、第2の反射防止層16bとをこの順に有する。
第1のコレステリック液晶層12rは、495nm〜570nmの波長域の光(すなわち、緑色光)の右円偏光を反射し、緑色光の左円偏光および他の波長域の光を透過する。
また、第2のコレステリック液晶層12lは、緑色光の左円偏光を反射し、緑色光の右円偏光および他の波長域の光を透過する。
第1のコレステリック液晶層12rおよび第2のコレステリック液晶層12lはそれぞれ、コレステリック液晶相を固定してなるものであり、特定の波長域の一方の方向の円偏光に対して波長選択反射性を有する。すなわち、第1のコレステリック液晶層12rと第2のコレステリック液晶層12lとは、選択反射波長が同じで、偏光方向が異なる光を反射する。
第1のコレステリック液晶層12rおよび第2のコレステリック液晶層12lは、反射光の偏光方向が異なる以外は同様の構成を有するので、以下においては、まとめてコレステリック液晶層として説明を行なう。
また、選択反射を示す選択反射帯域(円偏光反射帯域)の半値幅Δλ(nm)は、コレステリック液晶相の屈折率異方性Δnと螺旋のピッチPとに依存し、Δλ=Δn×Pの関係に従う。そのため、選択反射帯域の幅の制御は、Δnを調節して行うことができる。Δnは、コレステリック液晶相を形成する液晶化合物の種類およびその混合比率、ならびに、配向固定時の温度により調節できる。なお、コレステリック液晶相における反射率はΔnに依存することも知られており、同程度の反射率を得る場合に、Δnが大きいほど、螺旋ピッチの数を少なく、すなわち膜厚を薄く、することができる。
螺旋のセンスおよびピッチの測定法については「液晶化学実験入門」日本液晶学会編 シグマ出版2007年出版、46頁、および「液晶便覧」液晶便覧編集委員会 丸善 196頁に記載の方法を用いることができる。
従って、加飾フィルム10aにおいて、第1のコレステリック液晶層12r、ならびに、後述する図2の赤色右円偏光反射層22rRおよび緑色右円偏光反射層22rGは、右捩れのコレステリック液晶相を固定してなる層である。また、第2のコレステリック液晶層12l、ならびに、後述する図2の赤色左円偏光反射層22lRおよび緑色左円偏光反射層22lGは、左捩れのコレステリック液晶相を固定してなる層である。
なお、コレステリック液晶相の旋回の方向は、反射領域を形成する液晶化合物の種類または添加されるキラル剤の種類によって調節できる。
反射する光の波長領域を広くするには、選択反射波長λをずらした層を順次積層することで実現することができる。また、ピッチグラジエント法と呼ばれる層内の螺旋ピッチを段階的に変化させる方法で、波長範囲を広げる技術も知られており、具体的にはNature 378、467−469(1995)、特開平6−281814号公報、および、特許4990426号公報に記載の方法などが挙げられる。
コレステリック液晶層の厚みを上記範囲とすることで、コレステリック液晶層による選択反射波長における反射率を高くすることができる。反射率としては、第1のコレステリック液晶層と第2のコレステリック液晶層との合計での選択反射波長の反射率が90%以上となるのが好ましい。
基材フィルム14は、コレステリック液晶層を支持する支持体である。
基材フィルムとしては透明性を有し、支持性を有するフィルムであれば限定はなく、光学フィルムに用いられる種々の公知の基材フィルムが利用可能である。例えば、基材フィルムとしては、PETフィルム、TACフィルム、アクリル系樹脂フィルム等が挙げられる。
基材フィルムの厚みには限定はないが、透明性および支持性の観点から、20μm以上200μm以下が好ましく、30μm以上150μm以下がより好ましい。
第1の反射防止層16aおよび第2の反射防止層16bは、加飾フィルム10aの最表面に積層され、加飾フィルム10aと外部との界面での反射を抑制するものである。
なお、第1の反射防止層16aおよび第2の反射防止層16bは、配置位置が異なるのみで同じ構成を有するので、以下の説明においてはまとめて反射防止層として説明をおこなう。
例えば、微細な表面凹凸を形成した膜のほか、高屈折率層と低屈折率層を組み合わせた2層膜の構成、中屈折率層、高屈折率層、および低屈折率層を順次積層した3層膜構成の膜などが挙げられる。
構成例としては、下側から順に、高屈折率層/低屈折率層の2層のものや、屈折率の異なる3層を、中屈折率層(下層よりも屈折率が高く、高屈折率層よりも屈折率の低い層)/高屈折率層/低屈折率層の順に積層されているもの等があり、更に多くの反射防止層を積層するものも提案されている。中でも、耐久性、光学特性、コストや生産性等から、ハードコート層上に、中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層の順に有することが好ましく、例えば、特開平8−122504号公報、特開平8−110401号公報、特開平10−300902号公報、特開2002−243906号公報、特開2000−111706号公報等に記載の構成が挙げられる。また、膜厚変動に対するロバスト性に優れる3層構成の反射防止フィルムは特開2008−262187号公報に記載されている。また、各層に他の機能を付与させてもよく、例えば、防汚性の低屈折率層、帯電防止性の高屈折率層、帯電防止性のハードコート層、防眩性のハードコート層としたもの(例、特開平10−206603号公報、特開2002−243906号公報、特開2007−264113号公報等)等が挙げられる。
無機材料で形成される多層膜としては、基板側からZrO2層とSiO2層の合計光学的膜厚がλ/4、ZrO2層の光学的膜厚がλ/4、最表層のSiO2層の光学的膜厚がλ/4の、高屈折率材料層と低屈折率材料層とを交互に成膜する積層構造が例示される。ここで、λは設計波長であり、通常520nmが用いられる。最表層は、屈折率が低く、かつ反射防止層に機械的強度を付与できることからSiO2とすることが好ましい。
無機材料で反射防止層を形成する場合、成膜方法は例えば真空蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、CVD法、飽和溶液中での化学反応により析出させる方法等を採用することができる。
低屈折率層は、屈折率が1.30〜1.51であることが好ましい。1.30〜1.46であることが好ましく、1.32〜1.38が更に好ましい。
高屈折率層の屈折率は、1.65〜2.20であることが好ましく、1.70〜1.80であることがより好ましい。中屈折率層の屈折率は、低屈折率層の屈折率と高屈折率層の屈折率との間の値となるように調整される。中屈折率層の屈折率は、1.55〜1.65であることが好ましく、1.58〜1.63であることが更に好ましい。
反射防止層の膜厚は、特に限定されるものではないが、0.1〜10μmが好ましく、1〜5μmがより好ましく、2〜4μmが特に好ましい。
鏡面反射率は、反射防止層単体(反射防止フィルム)の裏面をサンドペーパーで粗面化した後に黒色インクで処理し、裏面反射をなくした状態で、表面側を、分光光度計(日本分光(株)製)を用いて、380〜780nmの波長領域において、入射角5°における鏡面分光反射率を測定しすることで得られる。結果には450〜650nmの鏡面反射率の算術平均値を用いた。
粘着層18は、第1のコレステリック液晶層12rと第2のコレステリック液晶層12lと間に配置され、第1のコレステリック液晶層12rと第2のコレステリック液晶層12lとを貼り合わせるものである。また、粘着層18は、第1の反射防止層16aと基材フィルム14との間に配置され、第1の反射防止層16aと基材フィルム14とを貼り合わせるものである。また、粘着層18は、第2の反射防止層16bと基材フィルム14との間に配置され、第2の反射防止層16bと基材フィルム14とを貼り合わせるものである。
粘着層18は、対象となる層(シート状物)を貼り合わせられる物であれば、公知の各種の材料からなるものが利用可能である。粘着層18としては限定はない。例えば、粘着層18は貼り合わせる際には流動性を有し、その後、固体になる、接着剤からなる層でもよい。あるいは、粘着層18は貼り合わせる際にゲル状(ゴム状)の柔らかい固体で、その後もゲル状の状態が変化しない、粘着剤からなる層でもよい。あるいは、粘着層18は接着剤と粘着剤との両方の特徴を持った材料からなる層でもよい。従って、粘着層18は、光学透明接着剤(OCA(Optical Clear Adhesive))、光学透明両面テープ、紫外線硬化型樹脂等、シート状物の貼り合わせに用いられる公知のものを用いればよい。
また、第2のコレステリック液晶層20lは、赤色光の左円偏光を反射し、赤色光の右円偏光および他の波長域の光を透過する赤色左円偏光反射層22lRと、緑色光の左円偏光を反射し、緑色光の右円偏光および他の波長域の光を透過する緑色左円偏光反射層22lGの2層が積層された構成を有する。
例えば、コレステリック液晶層が赤色光を反射する反射層と緑色光を反射する反射層の2層からなる場合には、加飾フィルムは、黄色(金色)の金属調の光沢を再現することができる。また、コレステリック液晶層が赤色光を反射する反射層と緑色光を反射する反射層と青色光を反射する反射層との3層からなる場合には、白色(銀色)の金属調を再現することができる。
具体的には、第1のコレステリック液晶層および第2のコレステリック液晶層が選択反射波長が異なる2以上の反射領域を有し、面方向に垂直な方向から見た際の、第1のコレステリック液晶層の反射領域の形成パターンと、第2のコレステリック液晶層の反射領域の形成パターンとが等しく、かつ、面方向の同じ位置の第1のコレステリック液晶層の反射領域と、第2のコレステリック液晶層の反射領域との選択反射波長が同じである構成としてもよい。
第1の反射防止層16aは、粘着層18を介して第1のコレステリック液晶層12rに積層され、第2の反射防止層16bは、粘着層18を介して第1のコレステリック液晶層12lに積層される構成としてもよい。あるいは、第1の反射防止層16aと第1のコレステリック液晶層12rとが直接積層され、第2の反射防止層16bと第2のコレステリック液晶層12lとが直接積層される構成としてもよい。
次に、コレステリック液晶層(反射層、反射領域)について説明する。
コレステリック液晶層は、コレステリック液晶相を固定して得ることができる。コレステリック液晶相を固定した構造は、コレステリック液晶相となっている液晶化合物の配向が保持されている構造であればよく、典型的には、重合性液晶化合物をコレステリック液晶相の配向状態としたうえで、紫外線照射、加熱等によって重合、硬化し、流動性が無い層を形成して、同時に、また外場や外力によって配向形態に変化を生じさせることない状態に変化した構造であればよい。なお、コレステリック液晶相を固定した構造においては、コレステリック液晶相の光学的性質が保持されていれば十分であり、液晶化合物はもはや液晶性を示していなくてもよい。例えば、重合性液晶化合物は、硬化反応により高分子量化して、もはや液晶性を失っていてもよい。
重合性液晶化合物を含む液晶組成物はさらに界面活性剤、キラル剤、重合開始剤等を含んでいてもよい。
重合性液晶化合物は、棒状液晶化合物であっても、円盤状液晶化合物であってもよいが、棒状液晶化合物であることが好ましい。
コレステリック液晶層を形成する棒状の重合性液晶化合物の例としては、棒状ネマチック液晶化合物が挙げられる。棒状ネマチック液晶化合物としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類およびアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が好ましく用いられる。低分子液晶化合物だけではなく、高分子液晶化合物も用いることができる。
キラル剤はコレステリック液晶相の螺旋構造を誘起する機能を有する。キラル化合物は、化合物によって誘起する螺旋の捩れ方向または螺旋ピッチが異なるため、目的に応じて選択すればよい。
キラル剤としては、特に制限はなく、公知の化合物(例えば、液晶デバイスハンドブック、第3章4−3項、TN(twisted nematic)、STN(Super-twisted nematic)用カイラル剤、199頁、日本学術振興会第142委員会編、1989に記載)、イソソルビド、イソマンニド誘導体を用いることができる。
キラル剤は、一般に不斉炭素原子を含むが、不斉炭素原子を含まない軸性不斉化合物あるいは面性不斉化合物もキラル剤として用いることができる。軸性不斉化合物または面性不斉化合物の例には、ビナフチル、ヘリセン、パラシクロファンおよびこれらの誘導体が含まれる。キラル剤は、重合性基を有していてもよい。キラル剤と液晶化合物とがいずれも重合性基を有する場合は、重合性キラル剤と重合性液晶化合物との重合反応により、重合性液晶化合物から誘導される繰り返し単位と、キラル剤から誘導される繰り返し単位とを有するポリマーを形成することができる。この態様では、重合性キラル剤が有する重合性基は、重合性液晶化合物が有する重合性基と、同種の基であることが好ましい。従って、キラル剤の重合性基も、不飽和重合性基、エポキシ基またはアジリジニル基であることが好ましく、不飽和重合性基であることがさらに好ましく、エチレン性不飽和重合性基であることが特に好ましい。
また、キラル剤は、液晶化合物であってもよい。
感光性キラル剤とは、光を吸収することにより構造が変化し、コレステリック液晶相の螺旋ピッチを変化させ得る化合物である。このような化合物としては、光異性化反応、光二量化反応、および、光分解反応の少なくとも1つを起こす化合物が好ましい。
光異性化反応を起こす化合物とは、光の作用で立体異性化または構造異性化を起こす化合物をいう。光異性化化合物としては、例えば、アゾベンゼン化合物、および、スピロピラン化合物などが挙げられる。
また、光二量化反応を起こす化合物とは、光の照射によって、二つの基の間に付加反応を起こして環化する化合物をいう。光二量化化合物としては、例えば、桂皮酸誘導体、クマリン誘導体、カルコン誘導体、および、ベンゾフェノン誘導体などが挙げられる。
Ar1とAr2で表されるアリール基は、置換基を有していてもよく、総炭素数6〜40が好ましく、総炭素数6〜30がより好ましい。置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、ヒドロキシル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、カルボキシル基、シアノ基、または、複素環基が好ましく、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、ヒドロキシル基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、または、アリールオキシカルボニル基がより好ましい。
一般式(III)中のL1および一般式(IV)中のL2は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、または、ヒドロキシル基を表し、炭素数1〜10のアルコキシ基、または、ヒドロキシル基が好ましい。
lは0、1〜4の整数を表し、0、1が好ましい。mは0、1〜6の整数を表し、0、1が好ましい。l、mが2以上のときは、L1とL2は互いに異なる基を表してもよい。
複素芳香環基としては、ピリジル基、ピリミジニル基、フリル基、および、ベンゾフラニル基などが挙げられ、この中でも、ピリジル基、または、ピリミジニル基が好ましい。
液晶組成物が重合性化合物を含む場合は、重合開始剤を含有していることが好ましい。紫外線照射により重合反応を進行させる態様では、使用する重合開始剤は、紫外線照射によって重合反応を開始可能な光重合開始剤であることが好ましい。光重合開始剤の例には、α−カルボニル化合物(米国特許第2367661号、同2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許第2448828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許第2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許第3046127号、同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許第3549367号明細書記載)、アクリジンおよびフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許第4239850号明細書記載)およびオキサジアゾール化合物(米国特許第4212970号明細書記載)等が挙げられる。
液晶組成物中の光重合開始剤の含有量は、重合性液晶化合物の含有量に対して0.1〜20質量%であることが好ましく、0.5質量%〜12質量%であることがさらに好ましい。
液晶組成物は、硬化後の膜強度向上、耐久性向上のため、任意に架橋剤を含有していてもよい。架橋剤としては、紫外線、熱、湿気等で硬化するものが好適に使用できる。
架橋剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等の多官能アクリレート化合物;グリシジル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテル等のエポキシ化合物;2,2−ビスヒドロキシメチルブタノール−トリス[3−(1−アジリジニル)プロピオネート]、4,4−ビス(エチレンイミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン等のアジリジン化合物;ヘキサメチレンジイソシアネート、ビウレット型イソシアネート等のイソシアネート化合物;オキサゾリン基を側鎖に有するポリオキサゾリン化合物;ビニルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアルコキシシラン化合物などが挙げられる。また、架橋剤の反応性に応じて公知の触媒を用いることができ、膜強度および耐久性向上に加えて生産性を向上させることができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
架橋剤の含有量は、3質量%〜20質量%が好ましく、5質量%〜15質量%がより好ましい。架橋剤の含有量が、3質量%未満であると、架橋密度向上の効果が得られないことがあり、20質量%を超えると、コレステリック液晶層の安定性を低下させてしまうことがある。
液晶組成物中には、必要に応じて、さらに界面活性剤、重合禁止剤、酸化防止剤、水平配向剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、色材、金属酸化物微粒子等を、光学的性能等を低下させない範囲で添加することができる。
有機溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、アルキルハライド類、アミド類、スルホキシド類、ヘテロ環化合物、炭化水素類、エステル類、エーテル類などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、環境への負荷を考慮した場合にはケトン類が特に好ましい。上述の単官能重合性モノマーなどの上述の成分が溶媒として機能していてもよい。
以下、加飾フィルムの作製方法について説明する。
さらに、感光性キラル剤が感光する波長の光を照射する露光装置を用いて、塗布層に露光処理を施し、露光した塗布層を形成する。露光した塗布層は、感光性キラル剤が感光し、その構造が変化する。
さらに、塗布層に対して加熱装置を用いて加熱処理(熟成処理)を施し、加熱した塗布層を形成する。塗布層中においては、液晶化合物が配向して、コレステリック液晶相が形成される。これにより、基材フィルムの上に第1のコレステリック液晶層が形成される。
実施例1として、図1に示すような構成の加飾フィルム10aを作製した。
下記に示す組成物を、25℃に保温された容器中にて、攪拌、溶解させ、第1のコレステリック液晶層となるコレステリック液晶インク液A(液晶組成物)を調製した。
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コレステリック液晶インク液A
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下記の液晶化合物1 0.8g
下記の液晶化合物2 0.2g
下記構造のキラル剤1 55.9mg
下記構造の水平配向剤1 0.2mg
下記構造の水平配向剤2 0.5mg
開始剤:IRGACURE 907 (BASF社製) 40mg
MEK(メチルエチルケトン) 1.6g
シクロヘキサノン 0.1g
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
下記に示す組成物を、25℃に保温された容器中にて、攪拌、溶解させ、第2のコレステリック液晶層となるコレステリック液晶インク液B(液晶組成物)を調製した。
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コレステリック液晶インク液B
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上記の液晶化合物1 0.8g
上記の液晶化合物2 0.2g
下記構造のキラル剤2 95mg
上記構造の水平配向剤1 0.2mg
上記構造の水平配向剤2 0.5mg
開始剤:IRGACURE 907 (BASF社製) 40mg
MEK(メチルエチルケトン) 1.6g
シクロヘキサノン 0.1g
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基材フィルムとして、厚み100μmの東洋紡(株)社製PET(ポリエチレンテレフタレート、コスモシャインA4100)フィルムを用いて、上記で調製したコレステリック液晶インク液Aを基材フィルム上にワイヤーバーで塗布した。塗布は乾燥後の塗布層の厚みが2〜5μm程度になるように調整して、室温にて行い、塗膜を形成した。
その後、90℃で1分間、防爆送風乾燥機SHH−202(エスペック社製)にて熱処理を実施した。
次に、窒素雰囲気下(酸素濃度500ppm以下)、室温で、加熱処理後の塗布層に一定時間UV照射を行い塗布層を硬化させて第1のコレステリック液晶層を形成した。露光量は200mJ/cm2とした。UV照射の光源としては、「EXECURE3000−W」(HOYA CANDEO OPTRONICS(株)社製)を用いた。
形成された第1のコレステリック液晶層は、選択反射波長が513nmで右円偏光を反射するものである。
形成された第2のコレステリック液晶層は、選択反射波長が513nmで左円偏光を反射するものである。
各基材フィルムの、コレステリック液晶層が形成された面の反対側の面に粘着層(MCS70:株式会社美舘イメージング製)を介して、反射防止層(MTAR−1、株式会社美舘イメージング社製)を貼合した。これにより、第1のコレステリック液晶層、基材フィルム、粘着層および反射防止層が積層された積層体1と、第2のコレステリック液晶層、基材フィルム、粘着層および反射防止層が積層された積層体2とを形成した。
次に、積層体1の第1のコレステリック液晶層と、積層体2の第2のコレステリック液晶層とを粘着層(MCS70:株式会社美舘イメージング製)を介して接着し、加飾フィルムを作製した。
コレステリック液晶インク液Aに代えて、下記のコレステリック液晶インク液Cを用いて第1のコレステリック液晶層を形成し、コレステリック液晶インク液Bに代えて下記のコレステリック液晶インク液Dを用いて第2のコレステリック液晶層を形成した以外は、実施例1と同様にして、加飾フィルムを作製した。
また、コレステリック液晶インク液Dは、キラル剤2の添加量を92.5mgとした以外はコレステリック液晶インク液Bと同様である。形成された第2のコレステリック液晶層は、選択反射波長が542nmで左円偏光を反射するものである。
反射防止層を有さない以外は実施例1と同様にして加飾フィルムを作製した。
第1のコレステリック液晶層側の反射防止層を有さない以外は実施例1と同様にして加飾フィルムを作製した。
反射防止層を有さない以外は実施例2と同様にして加飾フィルムを作製した。
(反射率)
各実施例および比較例で作製した加飾フィルムについて、波長と反射率との関係を測定した。
反射率は、自動絶対反射率測定システムARMN−735(日本分光株式会社製)および紫外可視分光光度計V−670(日本分光株式会社製)を用いて測定した。
選択反射波長での反射率、550〜800nmで最も低い反射率(以下、ベース反射率という)、および、選択反射波長の反射率とベース反射率との反射率差を表1に示す。
また、図3に実施例1の反射率と波長との関係を表すグラフを示す。
作製した加飾フィルムを第1のコレステリック液晶層側から観察し金属調の光沢の程度を目視により評価した。
評価は、10人による官能評価で行い、金属調の光沢が強いと評価した人数により評価した。
結果を表1に示す。
以上の結果より本発明の効果は明らかである。
12r、20r 第1のコレステリック液晶層
12l、20l 第2のコレステリック液晶層
14 基材フィルム
16a 第1の反射防止層
16b 第2の反射防止層
18 粘着層
22rR 赤色右円偏光反射層
22rG 緑色右円偏光反射層
22lR 赤色左円偏光反射層
22lG 緑色左円偏光反射層
Claims (5)
- 最表面に配置される第1の反射防止層と、
第1のコレステリック液晶層と、
第2のコレステリック液晶層と、
前記第1の反射防止層とは反対側の最表面に配置される第2の反射防止層とをこの順に有し、
前記第1のコレステリック液晶層および前記第2のコレステリック液晶層はそれぞれ、波長選択反射性を有し、
前記第1のコレステリック液晶層は選択反射波長の右円偏光を反射し、
前記第2のコレステリック液晶層は前記第1のコレステリック液晶層と同じ選択反射波長の左円偏光を反射する加飾フィルム。 - 前記第1のコレステリック液晶層および前記第2のコレステリック液晶層の厚みが、前記選択反射波長の5倍以上である請求項1に記載の加飾フィルム。
- 前記第1の反射防止層および前記第2の反射防止層はそれぞれ、可視光の鏡面反射率が5%以下である請求項1または2に記載の加飾フィルム。
- 前記第1のコレステリック液晶層および前記第2のコレステリック液晶層はそれぞれ、選択反射波長が異なる2以上の反射層を有する請求項1〜3のいずれか一項に記載の加飾フィルム。
- 前記第1のコレステリック液晶層および前記第2のコレステリック液晶層がそれぞれ、選択反射波長が異なる2以上の前記反射領域を有し、
面方向に垂直な方向から見た際の、前記第1のコレステリック液晶層の前記反射領域の形成パターンと、前記第2のコレステリック液晶層の前記反射領域の形成パターンとが等しく、
かつ、面方向の同じ位置の前記第1のコレステリック液晶層の前記反射領域と、前記第2のコレステリック液晶層の前記反射領域との選択反射波長が同じである請求項1〜4のいずれか一項に記載の加飾フィルム。
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- 2017-02-01 JP JP2017016649A patent/JP2018124431A/ja active Pending
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