<第1の実施の形態>
以下、エレベータの窓ガラス付きドアパネルおよびその組み立て方法の第1の実施の形態について、図1A乃至図4Dを参照しながら説明する。
まず図1A乃至図2により窓ガラス付きドアパネルが適用されたエレベータ乗場、および窓ガラス付きドアパネルの概要について説明する。
本明細書中、「上方」あるいは「下方」とは、エレベータの窓ガラス付きドアパネルをエレベータの乗り場等に通常の意味で設置した場合における、「上方」あるいは「下方」を意味する。
図2において、エレベータの乗場7には、両開き構造の乗場ドアとしてドアパネル10a,10bが設置されている。このドアパネル10a,10bには、透明なガラスからなる窓ガラス12が設けられている。参照番号8は、乗場呼び装置を示し、9は乗場呼びボタンである。
また図1A、図1Bおよび図2において、参照番号12は、窓ガラス付きドアパネル10a,10bで用いられる透明な窓ガラスを示している。また参照番号14は、窓ガラス付きドアパネル10a,10bの本体を構成する本体パネルを示している。
すなわち本実施の形態において、窓ガラス付きドアパネル10a,10bは、窓穴15を有する本体パネル14と、本体パネル14の裏面に窓穴15に対応して配置され、本体パネル14に接着剤25を介して接着された窓ガラス12と、本体パネル14の裏面に窓穴15を狭んで設けられ上下方向に延びるとともに鋼材からなる一対の縦補強部材16a,16bとを備えている。このうち一対の縦補強部材16a,16bは横断面コ字形の鋼製型材からなり、本体パネル14の裏面に接着剤25を介して固定されている。このようなエレベータのドアパネル10a,10bは、表側から乗客が観察するような構造を持つため、ドアパネル10a,10bの裏面についてはその意匠性は問われない。このため、窓ガラス12はドアパネル10a,10bの裏面のうち窓穴15に対応する位置にドアパネル10a,10bから突出するように配置されている。
また図3A乃至図3Cに示すように、各縦補強部材16a,16bに、窓ガラス12を本体パネル14との間で押さえるガラス押さえ部材24が設けられている。この場合、ガラス押さえ部材24は、第1上方ガラス押さえ部材24aおよび第2上方ガラス押さえ部材24bとからなる上方ガラス押さえ部材24a,24bと、下方ガラス押さえ部材24cとを有する。
上方ガラス押さえ部材24a,24bおよび下方ガラス押さえ部材24cは、いずれも縦補強部材16a,16bを絞り加工することにより縦補強部材16a,16bと一体に形成されている。
また上方ガラス押さえ部材24a,24bは窓ガラス12が接着剤25の剥離により落下する際、主としてその転倒を防止するものである。また下方ガラス押さえ部材24cは、窓ガラス12の下端を支持して窓ガラスの落下を防止するものである。また本体パネル14と上方ガラス押さえ部材24a,24bとの間に空間14Aが形成されている。そして窓ガラス12を第1上方ガラス押さえ部材24aと第2上方ガラス押さえ部材24bとの間から、すなわち第1上方ガラス押さえ部材24aの下方と第2上方ガラス押さえ部材24bの上方の間から本体パネル14と第1上方ガラス押さえ部材24aおよび第2上方ガラス押さえ部材24bとの間の空間14A内に挿入することが可能となっている。
次にこのような構成からなるエレベータの窓ガラス付きドアパネル10a,10bの組み立て方法について図4A乃至図4Dにより述べる。
まず図4Aに示すように、予め接着剤25が塗布された窓ガラス12を準備する。次に接着剤25が塗布された窓ガラス12を第1上方ガラス押さえ部材24aと第2上方ガラス押さえ部材24bとの間から本体パネル14と第1上方ガラス押さえ部材24aおよび第2上方ガラス押さえ部材24bとの間の空間14A内に挿入する(図4B参照)。
その後、本体パネル14と第1上方ガラス押さえ部材24aおよび第2上方ガラス押さえ部材24bとの間の空間14A内で、窓ガラス12を降下させ、窓ガラス12を下方ガラス押さえ部材24c上に載せ、窓ガラス12を下方ガラス押さえ部材24cにより支持する。このようにして空間14A内において窓ガラス12の上下方向の位置決めを行い、さらに空間14A内において窓ガラス12の左右方向位置を調整する。
このとき、窓ガラス12は本体パネル14の裏面において、窓穴15に対応する位置に配置される。その後、窓ガラス12を本体パネル14の裏面に接着剤25を介して接着する。このようにして本体パネル14と、本体パネル14の裏面に接着された窓ガラス12と、窓ガラス12を本体パネル14との間で押さえる上方ガラス押さえ部材24a,24bおよび下方ガラス押さえ部材24cとを有する窓ガラス付きドアパネル10a,10bを組み立てることができる。
以上のように本実施の形態によれば、本体パネル14の裏面に接着剤25を介して窓ガラス12を接着することができるため、本体パネル14の裏面に窓ガラス12を設けるためにボルト・ナット等を用いる必要がなく、組み立ての際の部品点数を削減することができる。
また本体パネル14の裏面上において、窓ガラス12を本体パネル14と、上方ガラス押さえ部材24a,24bおよび下方ガラス押さえ部材24cとの間で押さえることができる。このため接着剤25が剥離しても、本体パネル14の裏面から窓ガラス12が落下することはなく、安全な窓ガラス付きドアパネル10a,10bを得ることができる。
さらにまた、上方ガラス押さえ部材24a,24bと、下方ガラス押さえ部材24cは、縦補強部材16a,16bを絞り加工することにより、この縦補強部材16a,16bと一体に形成されている。このため上方ガラス押さえ部材24a,24bと下方ガラス押さえ部材24cを縦補強部材16a,16bと別体に設ける場合に比べて、上方ガラス押さえ部材24a,24bと下方ガラス押さえ部材24cを簡単に作製することができる。
<第2の実施の形態>
次に図5A乃至図6Dを参照して、エレベータの窓ガラス付きドアパネルおよびその組み立て方法の第2の実施の形態について説明する。
図5Aおよび図5Bに示すように、窓ガラス付きドアパネル10a,10bは、窓穴15を有する本体パネル14(図6A乃至図6D参照)と、本体パネル14の裏面に窓穴15に対応して配置され、本体パネル14に接着剤25を介して接着された窓ガラス12と、本体パネル14の裏面に窓穴15を狭んで設けられ上下方向に延びるとともに鋼材からなる一対の縦補強部材16a,16bとを備えている。このうち一対の縦補強部材16a,16bは横断面コ字形の鋼製型材からなり、本体パネル14の裏面に接着剤25を介して固定されている。
また各縦補強部材16a,16bに、窓ガラス12を本体パネル14との間で押さえるガラス押さえ部材24が設けられている。この場合、ガラス押さえ部材24は、上方ガラス押さえ部材24dと、下方ガラス押さえ部材24eとを有する。
上方ガラス押さえ部材24dおよび下方ガラス押さえ部材24eは、いずれも縦補強部材16a,16bを切り起こすことにより縦補強部材16a,16bと一体に形成されている。
また上方ガラス押さえ部材24dは窓ガラス12が接着剤25の剥離により落下する際、主としてその転倒を防止するものである。また下方ガラス押さえ部材24eは、窓ガラス12の下端を支持して窓ガラスの落下を防止するものである。また本体パネル14と上方ガラス押さえ部材24dおよび下方ガラス押さえ部材24eとの間に空間14Aが形成されている。そして窓ガラス12を上方ガラス押さえ部材24dと下方ガラス押さえ部材24eとの間から、本体パネル14と上方ガラス押さえ部材24dおよび下方ガラス押さえ部材24eとの間の空間14A内に挿入することが可能となっている。
次に上方ガラス押さえ部材24dおよび下方ガラス押さえ部材24eについて更に述べる。上述のように上方ガラス押さえ部材24dと下方ガラス押さえ部材24eは、いずれも縦補強部材16a,16bを切り起こして、縦補強部材16a,16bと一体に形成された押さえ片24Aからなる。上方ガラス押さえ部材24dは下方に延びる第1突起26dを有し、上方ガラス押さえ部材24dはこの第1突起26dにより窓ガラス12の転倒を防止することができる。また下方ガラス押さえ部材24eは上方へ延びる第2突起26eを有する。下方ガラス押さえ部材24eは、窓ガラス12の下端に当接してこの窓ガラス12を支持して窓ガラスの落下を防止するとともに、第2突起26eにより窓ガラス12の転倒を防止することができる。
また上方ガラス押さえ部材24dの第1突起26dの上下方向の長さl1は、下方ガラス押さえ部材24eの第2突起26eの上下方向の長さl2より長くなっており、このため上方ガラス押さえ部材24dの第1突起26dにより窓ガラス12の転倒を効果的に防ぐことができる。
次にこのような構成からなるエレベータの窓ガラス付きドアパネル10a,10bの組み立て方法について図6A乃至図6Dにより述べる。
まず図6Aに示すように、予め接着剤25が塗布された窓ガラス12を準備する。次に接着剤25が塗布された窓ガラス12を上方ガラス押さえ部材24dと下方ガラス押さえ部材24eとの間から本体パネル14と上方ガラス押さえ部材24dおよび下方ガラス押さえ部材24eとの間の空間14A内に挿入する(図6B参照)。
その後、本体パネル14と上方ガラス押さえ部材24dおよび下方ガラス押さえ部材24eとの間の空間14A内で、窓ガラス12を降下させ、窓ガラス12を下方ガラス押さえ部材24e上に載せ、窓ガラス12を下方ガラス押さえ部材24eにより支持する。このようにして空間14A内において窓ガラス12の上下方向の位置決めを行い、さらに空間14A内において窓ガラス12の左右方向位置を調整する。
このとき、窓ガラス12は本体パネル14の裏面において、窓穴15に対応する位置に配置される。その後窓ガラス12を本体パネル14の裏面に接着剤25を介して接着する。このようにして本体パネル14と、本体パネル14の裏面に接着された窓ガラス12と、窓ガラス12を本体パネル14との間で押さえる上方ガラス押さえ部材24dおよび下方ガラス押さえ部材24eとを有する窓ガラス付きドアパネル10a,10bを組み立てることができる。
以上のように本実施の形態によれば、本体パネル14の裏面に接着剤25を介して窓ガラス12を接着することができるため、本体パネル14の裏面に窓ガラス12を設けるためにボルト・ナット等を用いる必要がなく、組み立ての際の部品点数を削減することができる。
また本体パネル14の裏面上において、窓ガラス12を本体パネル14と、上方ガラス押さえ部材24dおよび下方ガラス押さえ部材24eとの間で押さえることができる。このため接着剤25が剥離しても、本体パネル14の裏面から窓ガラス12が落下することはなく、安全な窓ガラス付きドアパネル10a,10bを得ることができる。
さらにまた、上方ガラス押さえ部材24dと、下方ガラス押さえ部材24eは、縦補強部材16a,16bを切り起こすことによりこの縦補強部材16a,16bと一体に形成されている。このため上方ガラス押さえ部材24dと下方ガラス押さえ部材24eを縦補強部材16a,16bと別体に設ける場合に比べて、上方ガラス押さえ部材24dと下方ガラス押さえ部材24eを簡単に作製することができる。
<第3の実施の形態>
次に図7を参照して、エレベータの窓ガラス付きドアパネルおよびその組み立て方法の第3の実施の形態について説明する。
図7に示す第3の実施の形態は一対の縦補強部材16a,16bに設けられたガラス押さえ部材24の構成が異なるのみであり、他の構成は図5A乃至図6Dに示す第2の実施の形態と略同一である。図7に示す第3の実施の形態において、図5A乃至図6Dに示す第2の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
図7において、本体パネル14の裏面に窓穴15を挟んで上下方向に延びるとともに鋼材からなる一対の縦補強部材16a,16bが設けられている。一対の縦補強部材16a,16bは横断面コ字形の鋼製型材からなり、本体パネル14の裏面に接着剤25を介して固定されている。
また各縦補強部材16a,16bに、窓ガラス12を本体パネル14との間で押さえるガラス押さえ部材24が設けられている。この場合、ガラス押さえ部材24は、上方ガラス押さえ部材24dと、下方ガラス押さえ部材24eとを有する。
上方ガラス押さえ部材24dおよび下方ガラス押さえ部材24eは、いずれも縦補強部材16a,16bを切り起こすことにより縦補強部材16a,16bと一体に形成されている。
また上方ガラス押さえ部材24dは窓ガラス12が接着剤25の剥離により落下する際、主としてその転倒を防止するものである。また下方ガラス押さえ部材24eは、窓ガラス12の下端を支持して窓ガラスの落下を防止するものである。また本体パネル14と上方ガラス押さえ部材24dおよび下方ガラス押さえ部材24eとの間に空間14Aが形成されている。そして窓ガラス12を上方ガラス押さえ部材24dと下方ガラス押さえ部材24eとの間から、本体パネル14と上方ガラス押さえ部材24dおよび下方ガラス押さえ部材24eとの間の空間14A内に挿入することが可能となっている。
ところで上方ガラス押さえ部材24dと下方ガラス押さえ部材24eは、図7に示すように、いずれも縦補強部材16a,16bを切り起こして縦補強部材16a,16bと一体に形成された押さえ片24Aからなる。
このうち下方ガラス押さえ部材24eは上方へ突出する第2突起26eを有する。さらに下方ガラス押さえ部材24eは窓ガラス12の下端と当接して窓ガラス12の上下方向の位置決めを行う上下方向基準面27aと、窓ガラス12の側面と当接して、窓ガラス12の左右方向の位置決めを行う左右方向基準面27bとを有する。
次にこのような構成からなるエレベータの窓ガラス付きドアパネル10a,10bの組み立て方法について述べる。本実施の形態における窓ガラス付きドアパネル10a,10bの組み立て方法は図6A乃至図6Dに示す組み立て方法と略同一である。
まず図6Aに示すように、予め接着剤25が塗布された窓ガラス12を準備する。次に接着剤25が塗布された窓ガラス12を上方ガラス押さえ部材24dと下方ガラス押さえ部材24eとの間から本体パネル14と上方ガラス押さえ部材24dおよび下方ガラス押さえ部材24eとの間の空間14A内に挿入する(図6B参照)。
その後、本体パネル14と上方ガラス押さえ部材24dおよび下方ガラス押さえ部材24eとの間の空間14A内で、窓ガラス12を降下させ、窓ガラス12を下方ガラス押さえ部材24dの上下方向基準面27a上に載せ、窓ガラス12を下方ガラス押さえ部材24eにより支持する。このようにして空間14A内において窓ガラス12の上下方向の位置決めを行い、さらに窓ガラス12を下方ガラス押さえ部材24eの左右方向基準面27bに当接させて、空間14A内において窓ガラス12の左右方向位置を定める。
このとき、窓ガラス12は本体パネル14の裏面において、窓穴15に対応する位置に配置される。その後窓ガラス12を本体パネル14の裏面に接着剤25を介して接着する。このようにして本体パネル14と、本体パネル14の裏面に接着された窓ガラス12と、窓ガラス12を本体パネル14との間で押さえる上方ガラス押さえ部材24dおよび下方ガラス押さえ部材24eとを有する窓ガラス付きドアパネル10a,10bを組み立てることができる。
以上のように本実施の形態によれば、本体パネル14の裏面に接着剤25を介して窓ガラス12を接着することができるため、本体パネル14の裏面に窓ガラス12を設けるためにボルト・ナット等を用いる必要がなく、組み立ての際の部品点数を削減することができる。
また本体パネル14の裏面上において、窓ガラス12を本体パネル14と、上方ガラス押さえ部材24dおよび下方ガラス押さえ部材24eとの間で押さえることができる。このため接着剤25が剥離しても、本体パネル14の裏面から窓ガラス12が落下することはなく、安全な窓ガラス付きドアパネル10a,10bを得ることができる。
さらにまた、上方ガラス押さえ部材24dと、下方ガラス押さえ部材24eは、縦補強部材16a,16bを切り起こすことによりこの縦補強部材16a,16bと一体に形成されている。このため上方ガラス押さえ部材24dと下方ガラス押さえ部材24eを縦補強部材16a,16bと別体に設ける場合に比べて、上方ガラス押さえ部材24dと下方ガラス押さえ部材24eを簡単に作製することができる。
さらにまた、窓ガラス12を下方ガラス押さえ部材24eの上下方向基準面27a上に当接させることにより、窓ガラス12の上下方向の位置決めを行い、窓ガラス12を下方ガラス押さえ部材24eの左右方向基準面27bに当接させることにより、窓ガラス12の左右方向の位置決めを行う。このことにより、窓ガラス12を本体パネル14の裏面において、窓穴15に対応する位置に精度良く配置させることができる。
<第4の実施の形態>
次に図8Aおよび図8Bを参照して、エレベータの窓ガラス付きドアパネルおよびその組み立て方法の第4の実施の形態について説明する。
図8Aおよび図8Bに示す第4の実施の形態は、一対の縦補強部材16a,16bに設けられたガラス押さえ部材24の構成が異なるのみであり、他の構成は図1A乃至図4Dに示す第1の実施の形態と略同一である。図8Aおよび図8Bに示す第4の実施の形態において、図1A乃至図4Dに示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
図8Aおよび図8Bにおいて、本体パネル14の裏面に窓穴15を狭んで設けられ上下方向に延びるとともに鋼材からなる一対の縦補強部材16a,16bが設けられている。一対の縦補強部材16a,16bは横断面コ字形の鋼製型材からなり、本体パネル14の裏面に接着剤25を介して固定されている。
また各縦補強部材16a,16bに、窓ガラス12を本体パネル14との間で押さえるガラス押さえ部材24が設けられている。この場合、ガラス押さえ部材24は、第1上方ガラス押さえ部材24aおよび第2上方ガラス押さえ部材24bとからなる上方ガラス押さえ部材24a,24bと、下方ガラス押さえ部材24cとを有する。
上方ガラス押さえ部材24a,24bおよび下方ガラス押さえ部材24cは、いずれも縦補強部材16a,16bを切り起こすことにより縦補強部材16a,16bと一体に形成されている。
また上方ガラス押さえ部材24a,24bは窓ガラス12が接着剤25の剥離により落下する際、主としてその転倒を防止するものである。また下方ガラス押さえ部材24cは、窓ガラス12の下端を支持して窓ガラスの落下を防止するものである。
またガラス押さえ部材24の第1上方ガラス押さえ部材24aと第2上方ガラス押さえ部材24bは、縦補強部材16a,16bを切り起こすことにより形成された押さえ片24Aからなり、いずれも弾性をもっている。
また第1上方ガラス押さえ部材24aと第2上方ガラス押さえ部材24bの押さえ片24Aは、外方へ向かって湾曲状に突出した湾曲状外面24A1を有する。そして第1上方ガラス押さえ部材24aと第2上方ガラス押さえ部材24bの押さえ片24Aは、外方から力が加わると縦補強部材16a,16b側へ引っ込むようになっている。
次にこのような構成からなるエレベータの窓ガラス付きドアパネル10a,10bの組み立て方法について述べる。
まず、予め接着剤25が塗布された窓ガラス12を準備する。次に接着剤25が塗布された窓ガラス12を本体パネル14の裏面に配置する。
次に窓ガラス12を本体パネル14側へ押し付ける。このとき、第1上方ガラス押さえ部材24aおよび第2上方ガラス押さえ部材24bの押さえ片24Aは湾曲状外面24A1を有するために、窓ガラス12は第1上方ガラス押さえ部材24aおよび第2上方ガラス押さえ部材24bを乗り越え、その後本体パネル14側へ達する。このとき第1上方ガラス押さえ部材24aと第2上方ガラス押さえ部材24bが外方へ突出するよう元に戻り、窓ガラス12は第1上方ガラス押さえ部材24aおよび第2上方ガラス押さえ部材24bと、本体パネル14との間で挟持される。
同時に窓ガラス12は下方ガラス押さえ部材24c上に載って、下方ガラス押さえ部材24cにより支持される。このようにして窓ガラス12の上下方向の位置決めを行う。同時に窓ガラス12の側縁を第1上方ガラス押さえ部材24aと第2上方ガラス押さえ部材24bとにより押さえ、窓ガラス12の側縁を本体パネル14と、第1上方ガラス押さえ部材24aおよび第2上方ガラス押さえ部材24bとの間で挟持する。
このとき、窓ガラス12は本体パネル14の裏面において、窓穴15に対応する位置に配置される。その後窓ガラス12を本体パネル14の裏面に接着剤25を介して接着する。このようにして本体パネル14と、本体パネル14の裏面に接着された窓ガラス12と、窓ガラス12を本体パネル14との間で押さえる上方ガラス押さえ部材24a,24bおよび下方ガラス押さえ部材24cとを有する窓ガラス付きドアパネル10a,10bを組み立てることができる。
以上のように本実施の形態によれば、本体パネル14の裏面に接着剤25を介して窓ガラス12を接着することができるため、本体パネル14の裏面に窓ガラス12を設けるためにボルト・ナット等を用いる必要がなく、組み立ての際の部品点数を削減することができる。
また本体パネル14の裏面上において、窓ガラス12を本体パネル14と、上方ガラス押さえ部材24a,24bおよび下方ガラス押さえ部材24cとの間で押さえることができる。このため接着剤25が剥離しても、本体パネル14の裏面から窓ガラス12が落下することはなく、安全な窓ガラス付きドアパネル10a,10bを得ることができる。
さらにまた、上方ガラス押さえ部材24a,24bと、下方ガラス押さえ部材24cは、縦補強部材16a,16bを切り起こすことによりこの縦補強部材16a,16bと一体に形成されている。このため上方ガラス押さえ部材24a,24bと下方ガラス押さえ部材24cを縦補強部材16a,16bと別体に設ける場合に比べて、上方ガラス押さえ部材24a,24bと下方ガラス押さえ部材24cを簡単に作製することができる。
さらにまた第1上方ガラス押さえ部材24aおよび第2上方ガラス押さえ部材24bの押さえ片24Aは弾性的に縦補強部材16a,16bに取り付けられている。このため窓ガラス12を本体パネル14側へ押し付けるだけで窓ガラス12は第1上方ガラス押さえ部材24aおよび第2上方ガラス押さえ部材24bを乗り越えて、本体パネル14と、第1上方ガラス押さえ部材24aおよび第2上方ガラス押さえ部材24bとの間で窓ガラス12を挟持することができる。このように、窓ガラス12を本体パネル14側へ押し付けるだけで、ワンタッチで本体パネル14の裏面に取り付けることができる。
<第5の実施の形態>
次に図9を参照して、エレベータの窓ガラス付きドアパネルおよびその組み立て方法の第5の実施の形態について説明する。
図9に示す第5の実施の形態は、一対の縦補強部材16a,16bに設けられたガラス押さえ部材24の構成が異なるのみであり、他の構成は図1A乃至図4Dに示す第1の実施の形態と略同一である。図9に示す第5の実施の形態において、図1A乃至図4Dに示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
図9において、本体パネル14の裏面に窓穴15を狭んで設けられ上下方向に延びるとともに鋼材からなる一対の縦補強部材16a,16bが設けられている。このうち一対の縦補強部材16a,16bは横断面コ字形の鋼製型材からなり、本体パネル14の裏面に接着剤25を介して固定されている。
また各縦補強部材16a,16bに、窓ガラス12を本体パネル14との間で押さえるガラス押さえ部材24が設けられている。この場合、ガラス押さえ部材24は、第1上方ガラス押さえ部材24aおよび第2上方ガラス押さえ部材24bとからなる上方ガラス押さえ部材24a,24bと、下方ガラス押さえ部材24cとを有する。
上方ガラス押さえ部材24a,24bおよび下方ガラス押さえ部材24cは、いずれも縦補強部材16a,16bを切り起こすことにより縦補強部材16a,16bと一体に形成された押さえ片24Aを有する。
また上方ガラス押さえ部材24a,24bは窓ガラス12が接着剤25の剥離により落下する際、主としてその転倒を防止するものである。また下方ガラス押さえ部材24cは、窓ガラス12の下端を支持して窓ガラスの落下を防止するものである。また上方ガラス押さえ部材24a,24bと本体パネル14と上方ガラス押さえ部材24a,24bとの間に空間14Aが形成されている。そして窓ガラス12を第1上方ガラス押さえ部材24aと第2上方ガラス押さえ部材24bとの間から、すなわち第1上方ガラス押さえ部材24aの下方と第2上方ガラス押さえ部材24bの上方の間から本体パネル14と第1上方ガラス押さえ24aおよび第2上方ガラス押さえ部材24bとの間の空間14A内に挿入することが可能となっている。
またガラス押さえ部材24のうち、下方ガラス押さえ部材24cは、縦補強部材16a,16bを切り起こすことにより縦補強部材16a,16bと一体に形成されている。そして下方ガラス押さえ部材24cの押さえ片24Aは窓ガラス付きドアパネルの組み立て時に、切り欠き30内に指を入れて縦補強部材16a,16bから引き出され、外方へ突出するようになっている。このように縦補強部材16a,16bから押さえ片24Aを引き出すことにより、縦補強部材16a,16bに開口30aが形成される。
なお、ガラス押さえ部材24のうち、下方ガラス押さえ部材24cに加えて、第1上方ガラス押さえ部材24aおよび第2上方ガラス押さえ部材24bも、下方ガラス押さえ部材24cと同様に縦補強部材16a,16bから引き出して構成することもできる。
次にこのような構成からなるエレベータの窓ガラス付きドアパネル10a,10bの組み立て方法について図4A乃至図4Dにより述べる。
まず図4Aに示すように、予め接着剤25が塗布された窓ガラス12を準備する。次に接着剤25が塗布された窓ガラス12を第1上方ガラス押さえ部材24aと第2上方ガラス押さえ部材24bとの間から本体パネル14と第1上方ガラス押さえ部材24aおよび第2上方ガラス押さえ部材24bとの間の空間14A内に挿入する(図4B参照)。
その後、本体パネル14と第1上方ガラス押さえ部材24aおよび第2上方ガラス押さえ部材24bとの間の空間14A内で、窓ガラス12を降下させ、窓ガラス12を下方ガラス押さえ部材24c上に載せ、窓ガラス12を下方ガラス押さえ部材24cにより支持する。このようにして空間14A内において窓ガラス12の上下方向の位置決めを行い、さらに空間14A内において窓ガラス12の左右方向位置を調整する。
このとき、窓ガラス12は本体パネル14の裏面において、窓穴15に対応する位置に配置される。その後窓ガラス12を本体パネル14の裏面に接着剤25を介して接着する。このようにして本体パネル14と、本体パネル14の裏面に接着された窓ガラス12と、窓ガラス12を本体パネル14との間で押さえる上方ガラス押さえ部材24a,24bおよび下方ガラス押さえ部材24cとを有する窓ガラス付きドアパネル10a,10bを組み立てることができる。
以上のように本実施の形態によれば、本体パネル14の裏面に接着剤25を介して窓ガラス12を接着することができるため、本体パネル14の裏面に窓ガラス12を設けるためにボルト・ナット等を用いる必要がなく、組み立ての際の部品点数を削減することができる。
また本体パネル14の裏面上において、窓ガラス12を本体パネル14と、上方ガラス押さえ部材24a,24bおよび下方ガラス押さえ部材24cとの間で押さえることができる。このため接着剤25が剥離しても、本体パネル14の裏面から窓ガラス12が落下することはなく、安全な窓ガラス付きドアパネル10a,10bを得ることができる。
さらにまた、上方ガラス押さえ部材24a,24bと、下方ガラス押さえ部材24cは、縦補強部材16a,16bを絞り加工することによりこの縦補強部材16a,16bと一体に形成されている。このため上方ガラス押さえ部材24a,24bと下方ガラス押さえ部材24cを縦補強部材16a,16bと別体に設ける場合に比べて、上方ガラス押さえ部材24a,24bと下方ガラス押さえ部材24cを簡単に作製することができる。
さらにまたガラス押さえ部材24のうち、とりわけ下方ガラス押さえ部材24cについては、切り欠き30内に指を入れて縦補強部材16a,16bから引き出すことだけで簡単かつ容易に作製することができる。
なお、上記の実施の形態(第1の実施の形態〜第5の実施の形態)に記載された内容は、単なる例示であって、発明の範囲はこれに限定されない。