以下、図面を参照し、本発明の一実施形態に係るトリガー式液体噴出器を説明する。
図1に示すように、本実施形態のトリガー式液体噴出器1は、液体を収容する容器体Aに装着され、液体を吸上げる縦供給筒部10を有する噴出器本体2と、噴出孔4が形成され、噴出器本体2に装着されたノズル部3と、を備えている。
本実施形態では、縦供給筒部10の中心軸線を軸線O1とし、この軸線O1に沿う方向を上下方向といい、上下方向に沿って容器体A側を下側、その反対側を上側という。また、上下方向から見て軸線O1に直交する一方向を前後方向といい、上下方向および前後方向の双方向に直交する方向を左右方向という。
噴出器本体2は、上下方向に延在する縦供給筒部10と、縦供給筒部10から前後方向に沿って延設され、内側が縦供給筒部10の内部に連通した射出筒部11と、を備え、左右方向から見た側面視でL字状に形成されている。
なお、前後方向のうち、縦供給筒部10から射出筒部11が延びる方向を前側あるいは前方といい、その反対方向を後側あるいは後方という。
縦供給筒部10は、外筒12と、外筒12内に嵌合された内筒13と、を備えている。外筒12は、大径部12aと、大径部12aの上方に配設され、かつ大径部12aよりも縮径した小径部12bと、大径部12aの上端部と小径部12bの下端部とを連結する環状連結部12cと、小径部12bの上端部を閉塞する天壁部12dと、を備えている。天壁部12dは、後述する吸込弁36の上方を覆っている。小径部12bの下端部は、環状連結部12cよりも下方に突出している。
内筒13は、外筒12の大径部12aが外嵌する大径部13aと、大径部13aの上方に配設され、かつ大径部13aよりも縮径した小径部13bと、大径部13aの上端部と小径部13bの下端部とを連結するフランジ部13cと、を備えている。小径部13bの上側の部分には、小径部13bよりもさらに外径の小さい縮径部13gが形成されている。縮径部13gの上端部のうち前側の部分には、切り欠き部13fが形成されている。
内筒13の小径部13b内には、容器体A内に配設され、かつ容器体Aの図示しない底部に下端開口が位置するパイプ15の上部が嵌合されている。内筒13のフランジ部13cは、外筒12の環状連結部12cとの間に隙間S1を確保した状態で、外筒12の環状連結部12cよりも下方に位置している。内筒13の大径部13aにおいて、外筒12の大径部12aから下方に突出した部分には、その径方向の外側に向けて突出する環状の鍔部13dが形成されている。
鍔部13dは、容器体Aの口部A1に装着(例えば螺着)される装着キャップ14の上端部内に配設され、装着キャップ14の上端部をその軸線回りに回転自在に係止する。鍔部13dは、装着キャップ14と容器体Aの口部A1における上端開口縁とにより上下方向に挟まれる。
なお、外筒12および内筒13で構成される縦供給筒部10の軸線O1は、容器体Aの容器軸に対して後側に偏心している。
内筒13の内周面のうちパイプ15の上端よりも上方に位置する部分には、内側に向けて突出する環状のテーパ筒部35が形成されている。テーパ筒部35は、下方に向かうに従って漸次縮径している。テーパ筒部35の内側には、テーパ筒部35の内周面に離反可能に着座する球状の吸込弁36が配設されている。吸込弁36は、内筒13内において、テーパ筒部35よりも上方に位置する空間と、テーパ筒部35よりも下方に位置する空間と、を連通および遮断する。
射出筒部11は、縦供給筒部10から前方に向けて突出し、後端部が縦供給筒部10における上端部の前側に接続されている。射出筒部11の内部は、外筒12に形成された吐出孔16、および内筒13における上端部の前側に形成された切り欠き部13fを通じて縦供給筒部10の内部に連通している。射出筒部11よりも下方に位置する部分には、前方に向けて突出するシリンダ用筒部40が外筒12と一体に形成されている。シリンダ用筒部40は、前方に向けて開口しているとともに、部分的に外筒12における環状連結部12cと一体に形成されている。
噴出器本体2は、液体を縦供給筒部10内から射出筒部11内を通じて噴出孔4側に向けて流通させるトリガー機構50を備える。トリガー機構50は、射出筒部11から下方に向けて延び、前方付勢状態で後方に揺動自在に配設されたトリガー部51と、トリガー部51の揺動に連動して前後方向に移動するピストン52と、ピストン52の移動に伴って内部が加圧および減圧するシリンダ53と、トリガー部51を前方に付勢する弾性板部54と、縦供給筒部10および射出筒部11の全体を、少なくとも上方および左右方向から覆うカバー体55と、を備えている。
シリンダ53は、縦供給筒部10から前方に突出し、後述の貫通孔66を通して縦供給筒部10内に連通する。シリンダ53は、前方に向けて開口する外筒部60と、外筒部60の後端開口部を塞ぐ後壁部61と、後壁部61の中央部分から前方に向けて突設されるとともに前端が閉塞されたピストンガイド62と、を備えている。
ピストンガイド62は、内側が後方に開口しており、この開口内にシリンダ用筒部40における後壁(外筒12の小径部12b)から前方に向けて突設された嵌合筒部41が嵌合されている。ピストンガイド62の前端壁には、この前端壁を貫通するガイド孔62aが設けられている。ピストンガイド62の外周面における後端部には、環状の凹部62bが形成されている。
外筒部60は、シリンダ用筒部40の内側に嵌合されている。シリンダ用筒部40の内周面と外筒部60の外周面とは、前後方向の両端部において密接している。その一方、シリンダ用筒部40の内周面と外筒部60の外周面との間のうち、前後方向の両端部同士の間に位置する中間部に、環状の隙間S2が確保されている。
外筒部60には、外筒部60の内側と隙間S2とを連通させる第1通気孔63が形成されている。外筒12の環状連結部12cには、隙間S2と、外筒12の環状連結部12cと内筒13のフランジ部13cとの間に画成された隙間S1と、を連通させる第2通気孔64が形成されている。さらに、内筒13のフランジ部13cには、隙間S1と、内筒13の大径部13aおよび装着キャップ14の内側と、を連通させる第3通気孔65が形成されている。
シリンダ53の後壁部61には、ピストンガイド62の上方に位置する部分に、前後方向に貫く貫通孔66が形成されている。後壁部61における貫通孔66の開口周縁部には、後方に向けて突出する突出筒部67が形成されており、この突出筒部67が、外筒12の小径部12bに形成された貫通孔内に嵌合されている。突出筒部67の後端部と、内筒13の縮径部13gにおける外周面と、の間には隙間S3が形成されている。貫通孔66は、隙間S3を通じて、射出筒部11内に連通している。吸込弁36は、容器体A内とシリンダ53内との連通およびその遮断を切替える。
ピストン52は、シリンダ53内に前後摺動自在に嵌合され、トリガー部51の後方への揺動に伴って後方に移動してシリンダ53内の液体を隙間S3および射出筒部11内へと供給する。ピストン52は、トリガー部51に連結される円柱状の連結部70と、連結部70よりも後方に位置し、連結部70よりも大径とされたピストン筒71と、を備え、全体として後方に開口した筒状に形成されている。
ピストン筒71は、後方に向けて開口し、かつ内部にピストンガイド62が挿入されるピストン本体部72と、ピストン本体部72の後端部からその径方向の外側に向けて突出し、かつ外筒部60の内周面に摺接する摺動筒部73と、を備えている。ピストン本体部72の後端部は、ピストンガイド62に前後方向に摺動自在に嵌合されている。これにより、シリンダ53内において、摺動筒部73よりも後側に位置する貯留室53a内に、縦供給筒部10内を流動した液体が導入される。
摺動筒部73は、前後方向の中央部から前方および後方に向かうに従って漸次拡径するテーパ状に形成され、前後方向の両端部に位置するリップ部73aが外筒部60の内周面に対して摺接する。ピストン52の連結部70は、後述する連結軸86を介してトリガー部51に連結されている。これにより、ピストン52は、トリガー部51とともに弾性板部54の付勢力によって前方に付勢されているとともに、トリガー部51の後方への揺動に伴って後方に移動してシリンダ53内に押し込まれる。
また、トリガー部51が最前方揺動位置(最前進位置)にあるときに、ピストン52の摺動筒部73は第1通気孔63を閉塞している。そして、トリガー部51の後方への揺動によってピストン52が所定量だけ後方移動したときに、摺動筒部73が第1通気孔63を開放する。これにより、容器体Aの内部は、第3通気孔65、隙間S1、第2通気孔64、隙間S2および第1通気孔63を通じて外部に連通する。
トリガー部51は、左右方向から見た側面視で後方に向けて凹状に湾曲する前面を有する主板部材80と、主板部材80の左右の側縁部から後方に向けて起立する一対の側板部材81と、を備えている。一対の側板部材81の上端部には、射出筒部11の側方に至るまで上方に延出し、射出筒部11を左右方向から挟み込む一対の連結板82が形成されている。一対の連結板82には、左右方向の外側に向けて回転軸部83が突設されている。
回転軸部83は、射出筒部11の上方を覆う上板部材84に設けられた軸受け部に回動可能に支持されている。これにより、トリガー部51は、回転軸部83を中心に前後方向に揺動可能とされている。トリガー部51には、主板部材80を前後方向に貫通する開口部51aが形成されているとともに、開口部51aの周縁部から後方に向けて延びるように連結筒85が形成されている。
連結筒85の内周面のうち後方側に位置する部分には、連結筒85の内側に向けて左右方向に沿って突出した一対の連結軸86が形成されている。これら連結軸86は、ピストン52の連結部70に形成された連結孔内に挿入されている。これにより、トリガー部51とピストン52とは、互いに連結されている。ピストン52の連結部70は、連結軸86に対してその軸線回りに回動可能とされ、かつ上下方向で所定量だけ移動可能に連結されている。これにより、トリガー部51の前後方向への揺動に伴って、ピストン52は前後移動可能とされている。
射出筒部11の上面には、水平板状の上板部材84が取り付けられている。上板部材84の左右両側には、左右方向から見た側面視で前方に凸の円弧状に形成され、かつ射出筒部11の下方まで延びる弾性板部54がそれぞれ一体的に形成されている。弾性板部54は、左右方向から見た側面視で同心の円弧状に形成され、前後に並ぶ一対の板ばねを備えている。一対の板ばねのうち、前側に位置する板ばねが主板ばね54aとされ、後側に位置する板ばねが副板ばね54bとされている。
主板ばね54aおよび副板ばね54bの下端部は、円弧状の折返し部54cを介して一体的に接続されている。折返し部54cには、下方に向けて係止片54dが突設されており、この係止片54dがトリガー部51における側板部材81に形成されたポケット部81aに上方から差し込まれて係合している。これにより、弾性板部54は、係止片54dおよびポケット部81aを介してトリガー部51を前方に向けて付勢している。
ピストン本体部72内は、ガイド孔62aおよびピストンガイド62内を通して嵌合筒部41内に連通している。嵌合筒部41内は、噴出器本体2に設けられた回収通路41aを通して容器体A内に連通する。回収通路41aは、外筒12の小径部12bの内周面と、内筒13の小径部13bの外周面と、の間に設けられている。回収通路41aは、第3通気孔65および内筒13の大径部13a内を通して容器体A内に連通する。これにより、トリガー部51を最初に操作する場合に、貯留室53a内の空気を容器体A内に効率よく排出することができる。
ノズル部3は、噴出器本体2の前方側に配置されている。図2に示されるように、ノズル部3は、射出筒部11に連結された連結筒部21を備えたノズル本体22と、連結筒部21の内側に前方付勢された状態で前後動可能に設けられた弁体23と、弁体23を前方付勢するコイルスプリング32と、噴出孔4より前方に位置し、かつこの噴出孔4を囲繞する筒状のノズル筒部33と、ノズル筒部33を開放自在に閉塞する蓋体34と、を備えている。
射出筒部11において前側部分の外周面には、筒状の連結部材19が嵌合されており、連結筒部21はこの連結部材19を介して射出筒部11に連結されている。連結部材19は、前後方向と直交する面に沿って延びる基板19aと、この基板19aの後面に後方に向けて突設され射出筒部11に嵌合された第1嵌合筒19bと、基板19aの前面に前方に向けて突設され外周面に連結筒部21が嵌合された第2嵌合筒19cと、基板19aの前面において第2嵌合筒19cの内側に前方に向けて突設されたシリンダ筒19dと、基板19aの前面においてシリンダ筒19dの内側に前方に向けて突設されたガイド突起19eと、を備えている。
これらのうち、第2嵌合筒19c、シリンダ筒19dおよびガイド突起19eはそれぞれ同軸に配置されている。さらに、基板19aのうち、射出筒部11の前端開口部と対向する位置に液体流出孔19fが形成され、この液体流出孔19fを通して射出筒部11内とシリンダ筒19d内とが連通している。また、基板19aには、第2嵌合筒19cとシリンダ筒19dとの間の隙間と、このトリガー式液体噴出器1の外部と、を連通する外気出入孔19gが形成されている。
ノズル本体22は、連結筒部21の内側に配置されるとともに弁体23の前端部23eが着座させられる環状の弁座板24を有する弁座部25と、弁座板24から後方に突出して連結筒部21の径方向内方に配置された摺動筒部30と、弁座部25の前側に配置されたノズルチップ28と、ノズルチップ28をその径方向外方から囲繞するキャップ装着筒部31と、連結筒部21を囲繞する外郭筒部29と、を備えている。なお、弁座板24、ノズルチップ28、摺動筒部30、キャップ装着筒部31および外郭筒部29は同軸に配置されている。
弁座部25は、弁座板24から後方に向けて突設された弁座摺動筒38をさらに備えている。弁座摺動筒38は、摺動筒部30と同軸に配置されるとともに、摺動筒部30よりも小径に形成されている。弁座摺動筒38には、その後端に向けて開口する連通孔38aが周方向に間隔をあけて複数形成されている。摺動筒部30は、第2嵌合筒19c内に嵌合されている。これにより、第2嵌合筒19cが、連結筒部21の内周面と摺動筒部30の外周面との間に固定状態で嵌合されている。
キャップ装着筒部31には、前端に噴出孔4が形成され後端が開放されたノズルキャップ26が嵌合されている。ノズルキャップ26は、キャップ装着筒部31にその径方向の内側から嵌合されている。ノズルチップ28の外周部には、前後方向における全長にわたって延在するノズル連通溝27が形成されている。ノズル連通溝27は、噴出孔4および弁座板24の内側に連通する。
弁体23は、第2嵌合筒19cの内側に、ガイド突起19eおよび弁座板24と同軸に配置されている。弁体23の前端部23eは、弁座板24に対して弁座摺動筒38内を前後方向に摺動可能に設けられている。弁体23は、前端が閉塞され後端が開放された筒状の弁本体23aと、この弁本体23aの外周面において長さ方向の中間部分に突設されたフランジ部23bと、このフランジ部23bの前面に前方に向けて突設されたシール筒部23cと、を備えている。
弁本体23aの前端部(弁体23の前端部23e)は、前端から後方に向かうに従い漸次拡径している。弁本体23aの後端部(弁体23の後端部)は、シリンダ筒19dの内周面に前後方向に摺動可能に嵌合されている。弁本体23aのうち、フランジ部23bの前側に連なる部分には、この弁本体23aの周方向に間隔をあけて複数の貫通孔23dが形成されている。
シール筒部23cは、前方に向かうに従い漸次拡径している。シール筒部23cは、弁座摺動筒38の外周面と摺動筒部30の内周面との間に配置され、摺動筒部30の内周面に前後方向に摺動可能に嵌合されている。シール筒部23c内は、弁体23が弁座板24に着座したとき、および弁座板24から離間したときの別を問わず常に、連通孔38aおよび貫通孔23dを通して弁本体23a内と連通する。
コイルスプリング32は、弁本体23aの内側に配置されている。コイルスプリング32の内側には、ガイド突起19eが挿入されている。コイルスプリング32は、弁体23を前方に付勢して弁体23の前端部23eを弁座板24に着座させる。
ノズル筒部33は、キャップ装着筒部31と一体で形成され、キャップ装着筒部31の前端縁から前方に延び、噴出孔4の周囲を囲う筒状に形成されている。ノズル筒部33は、基端部33aと、基端部33aよりも前方に設けられ、かつ外径が基端部33aより小さい先端部33bとを備えている。基端部33aの外径は、キャップ装着筒部31の外径と略等しい。先端部33bの外径は、基端部33aの外径よりも小さく、先端部33bと基端部33aとの間には段差部33cが形成されている。
ノズル筒部33の周壁部には、ノズル筒部33の内側に外気を導入する外気導入孔37が形成されている。外気導入孔37は、段差部33cよりも前方に配置された先端部33bの周壁部に形成されている。外気導入孔37は、ノズル筒部33の周方向に間隔をあけて複数形成されている。外気導入孔37は、ノズル筒部33の径方向の内側から外側に向けて、ノズル筒部33の前側に徐々に大きくなるように形成されている。
蓋体34は、ノズル本体22に、前方に向けて回動可能に連結されている。蓋体34は、ノズル筒部33の前端開口部を閉塞する本体部90と、本体部90を左右方向に延びる回動軸線L回りに回動自在に支持する回動軸部91と、本体部90から下方に突出した操作部92と、を備えている。本体部90は、外気導入孔37を閉塞する第1シール部93と、噴出孔4を閉塞する第2シール部94と、を備えている。
第1シール部93は、ノズル筒部33の周壁部に外嵌可能な有頂筒状に形成されている。第1シール部93の円筒部93aの内周面は、ノズル筒部33の基端部33aの外周面に径方向で接触している。なお、第1シール部93の円筒部93aの内周面は、ノズル筒部33の先端部33bの外周面とは隙間をあけて配置されている。また、ノズル筒部33の先端部33bは、蓋体34と非接触となっている。第1シール部93の円筒部93aの内径は、ノズル筒部33の基端部33aの外径よりも僅かに小さく設計されており、第1シール部93は僅かに弾性変形することでノズル筒部33の基端部33aに外嵌している。
第2シール部94は、第1シール部93のシール天壁部93bから後方に向けて突出するボス部94aと、ボス部94aを補強する補強リブ94bと、を備えている。ボス部94aは、第1シール部93が外気導入孔37を閉塞した状態で、ノズルキャップ26に前方から接触して噴出孔4を閉塞する。ボス部94aは、ノズル筒部33と同軸に配置された柱状に形成されている。補強リブ94bは、第1シール部93の周方向に間隔をあけて複数設けられている。補強リブ94bは、第1シール部93のシール天壁部93bから後方に向けて突出し、ボス部94aの外周面に連結されている。
回動軸部91は、本体部90の上端部の両側面から左右方向に突出して設けられており、ノズル本体22の外郭筒部29から前方に突出した左右一対の側壁部29aに形成された軸受孔に回動自在に支持されている。操作部92は、側壁部29aよりも下方に突出している。操作部92の両側面には、左右方向に係合片95が突出して形成されており、側壁部29aに形成された係合溝96(図3参照)に係合可能とされている。
以上の構成において、液体を噴出するときには、まず、蓋体34を前方に向けて回動させてノズル筒部33を開放する(図3参照)。その後、図1に示すトリガー部51を弾性板部54の付勢力に抗して後方に引くと、トリガー部51の後方移動に伴ってピストン52が後退するので、シリンダ53内(貯留室53a内)の液体を、貫通孔66内、隙間S3内、および射出筒部11内に導入することができる。このとき、吸込弁36が閉弁され縦供給筒部10内と射出筒部11内との連通が遮断されるとともに、射出筒部11内が加圧される。
射出筒部11内が加圧されると、図2に示す液体流出孔19fを通して弁体23における弁本体23aおよびシール筒部23cの各内部も加圧される。この際、シール筒部23cの内径は、弁本体23aの内径よりも大きくなっているので、これらシール筒部23cと弁本体23aとの受圧面積の差によって、弁体23には後方に向けた圧力が作用する。この圧力が所定圧以上になると、弁体23がコイルスプリング32の前方付勢力に抗して後退させられ、弁体23の前端部23eが弁座部25から離間することにより、射出筒部11の内部と噴出孔4とが連通し、噴出孔4から液体が噴出される。
噴出孔4から液体が噴出されると、噴出された液体に周囲の空気が同伴され、ノズル筒部33の内側が負圧となる。ノズル筒部33の内側が負圧になると、ノズル筒部33の周壁部に設けられた外気導入孔37からノズル筒部33の内側に外気が導入される。ノズル筒部33の内側に外気が導入されると、液体が、ノズル筒部33内で外気と混合されて発泡し、泡状となってノズル筒部33の前端開口部から噴出される。なお、噴出孔4からノズル筒部33内に噴出される液体は、霧状になっており、この霧状の液体がノズル筒部33内でノズル筒部33の内周面に衝突し、液体の流れが乱れることで外気と良好に撹拌されて泡状になる。
トリガー部51を引く操作を止めると、シリンダ53内(貯留室53a内)から縦供給筒部10内を通した射出筒部11内への液体の供給が停止される。このとき、コイルスプリング32の前方付勢力により弁体23が前進し、弁体23の前端部23eが弁座部25に着座してこれを閉塞し、射出筒部11の内部と噴出孔4との連通を遮断させる。そして、弾性板部54の弾性復元力によってトリガー部51が前方に付勢されて元の位置に復帰するので、これに伴ってピストン52が前進する。そのため、シリンダ53内(貯留室53a内)に負圧が生じ、この負圧によってパイプ15を通じて容器体A内の液体を縦供給筒部10に吸い上げることができる。すると、新たに吸い上げられた液体は、吸込弁36を押し上げて開弁させ、シリンダ53内(貯留室53a内)に導入される。これにより、次の噴射に備えることができる。
以上説明したように、本実施形態に係るトリガー式液体噴出器1では、噴出孔4から噴出された液体の発泡が、液体と外気との混合流体がノズル筒部33の内周面に衝突することにより発生する。本実施形態では、ノズル筒部33に着脱可能な蓋体34に、外気導入孔37を閉塞する第1シール部93が設けられている。このため、不使用時には、図2に示すように、蓋体34に設けられた第1シール部93によって外気導入孔37を閉塞することで、ノズル筒部33の内側の乾燥を防止できる。これによって、ノズル筒部33の内周面に付着した液体が固化し、噴射の繰り返しによって外気導入孔37を閉塞し、泡を形成する液体と外気のバランスが崩れてしまうことを防止できる。このため、泡質の低下を招くことなく安定して泡の吐出を行える。
したがって、本実施形態に係るトリガー式液体噴出器1によれば、液体を泡状にして安定して吐出できる。
また、本実施形態では、蓋体34に、第1シール部93が外気導入孔37を閉塞するとき、噴出孔4を閉塞する第1シール部93が設けられている。この構成によれば、第1シール部93によって外気導入孔37を閉塞すると同時に、第1シール部93によって噴出孔4を閉塞することで、噴出孔4の乾燥も防止できる。これによって、噴出孔4の近傍に付着した液体が固化し、噴射の繰り返しによって噴出孔4を閉塞し、泡を形成する液体と外気のバランスが崩れてしまうことを防止できるため、泡質の低下を招くことなく安定して泡の吐出を行える。
また、本実施形態では、第1シール部93は、ノズル筒部33の周壁部に外嵌可能な有頂筒状に形成されている。この構成によれば、有頂筒状の第1シール部93がノズル筒部33の周壁部に外嵌することで、外気導入孔37を径方向でシールすることができる。また、この構成によれば、外気導入孔37のシール性を、第1シール部93の内径の寸法で管理することができる。
また、本実施形態では、蓋体34は、ノズル本体22に対して左右方向に延びる回動軸線L回りに回動可能に支持されている。この構成によれば、蓋体34をノズル本体22に対して回動させることで、蓋体34をノズル筒部33から着脱できるため、蓋体34の着脱操作が容易になる。また、蓋体34がノズル本体22から分離することはないため、蓋体34の紛失等のおそれを防止することができる。
なお、本発明の技術的範囲は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、図4に示す別実施形態に係るトリガー式液体噴出器1Aのように、外気導入孔37を前後方向でシールする構成であってもよい。図4に示す第1シール部93は、ノズル筒部33の先端部33bに外嵌可能に形成されるとともに、ノズル筒部33の基端部33aと先端部33bとの間に形成される段差部33cに前方から接触可能な開口縁部93a1を有する有頂筒状に形成されている。すなわち、ノズル筒部33の先端部33bが、第1シール部93内に嵌合されている。第1シール部93の開口縁部93a1付近の内周面には、円筒部93aの開口端に向かうに従って漸次拡径するテーパ部93a2が形成されている。テーパ部93a2は、蓋体34の回動の際に、第1シール部93の開口縁部93a1がノズル筒部33の先端部33bに引っ掛かることを防止している。この構成によれば、有頂筒状の第1シール部93の開口縁部93a1がノズル筒部33の基端部33aと先端部33bとの間の段差部33cに前方から接触することで、外気導入孔37を前後方向でシールすることができる。
また、例えば、本実施形態では、蓋体34がノズル本体22に対して左右方向に延びる回動軸線L回りに回動可能に支持されている構成について説明したが、蓋体34がノズル本体22に対して上下方向に延びる回動軸線回りに回動可能に支持されている構成を採用してもよい。
また、蓋体34をノズル本体22に対して分離可能なキャップ部材から構成してもよい。
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。