以下、図面を参照しつつ、本発明の各実施形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
<第1の実施形態>
第1の実施形態について、図1から図10を参照しながら説明する。
<冷蔵庫の全体構成>
先ず、第1の実施形態に係る冷蔵庫1の全体構成を説明する。図2には、冷蔵庫1の外観を示す。また、図3には、冷蔵庫1の内部構成を示す。また、図4には、冷蔵庫1に設けられた断熱箱体50の内部構成を示す。また、図10には、冷蔵庫1の扉スイッチ部分の構成を示す。
図2に示すように、冷蔵庫1は、上段に第1の冷蔵室(貯蔵室)11、中段右側に第2の冷蔵室12、下段に第1の冷凍室13、及び、中段左側に第2の冷凍室14を備えている。第1の冷蔵室11には、左右に分割された観音開きの冷蔵室扉11a及び11bが設けられている。第2の冷蔵室12には、引き出し式の冷蔵室扉12aが設けられている。第1の冷凍室13には、引き出し式の冷凍室扉13aが設けられている。第2の冷凍室14は、製氷室14aと中段冷凍室14bという2つの空間にさらに分割されている。製氷室14a及び中段冷凍室14bには、それぞれ引き出し式の扉が設けられている。
以上のように、本実施の形態に係る冷蔵庫1は、上段部、中段部、及び下段部に区分けされて、各貯蔵空間が設けられている。そして、冷蔵庫1の中段部に、第2の冷蔵室12及び第2の冷凍室14が、左右方向に並列に配置されている。ここで、左右方向とは、冷蔵庫1を設置面に載置した状態で、冷蔵庫1を正面から見て左右の方向(上下方向と直交する横方向)のことをいう。なお、本明細書中では、冷蔵庫1において、各種扉が設けられている面を冷蔵庫1の前面と呼び、該前面と対向している冷蔵庫1の面を背面と呼ぶ。また、冷蔵庫1の前面から背面への方向を前後方向と呼ぶ。
また、冷蔵庫1の第1の冷蔵室11内の左右両側面には、その上方前側部分に、冷蔵室扉11a及び11bの開閉を検知するための機械式の扉スイッチ(検知部)21がそれぞれ設けられている。扉スイッチ21は、冷蔵室扉11a及び11bの開閉状態を検知する。扉スイッチ21に関しては、従来公知の構成を適宜採用することができる。
本実施の形態では、冷蔵室扉11a及び11bが閉状態の場合には、各扉11a及び11bの側面によって、スイッチ部分が貯蔵室内の側壁の内部へ押し込まれるとともに、冷蔵室扉11a及び11bが開状態の場合には、スイッチ部分が側壁から突出するような構成の扉スイッチ21を採用している。例えば、上記構成の扉スイッチ21が、冷蔵室扉11aの開状態を検知すると、冷蔵庫1内の制御部(図示せず)は、第1の冷蔵室11内の照明を点灯するように制御する。
図10には、扉スイッチ21のスイッチ部分21aを示す。図10に示すように、本実施の形態では、扉スイッチ21は、冷蔵庫1の外周に設けられた断熱箱体50に設けられ、スイッチ部分21aが冷蔵庫1の側壁から突出するような構成を有している。また、後述するように、断熱箱体50内に設けられた真空断熱材には、扉スイッチ21に対応する位置に切り欠きが設けられている。そのため、真空断熱材51a、51bと扉スイッチ21とは干渉しない。
また、冷蔵庫1の上面における前方の左右両側には、冷蔵室扉11a及び11bを開閉可能に支持するヒンジ(扉の開閉機構)22がそれぞれ設けられている。ヒンジ22に関しては、従来公知の構成を適宜採用することができる。
また、冷蔵庫1の第1の冷蔵室11内の右側側面の下方には、使用者が冷蔵庫に対して入力を行うための操作部23が設けられている。使用者は、この操作部23から入力を行うことで、冷蔵庫1の運転状態などを変更することができる。例えば、使用者は、操作部23のボタンを操作して、各冷蔵室又は各冷凍室の運転モードを変更することができる。操作部23に関しては、従来公知の構成を適宜採用することができる。なお、ここで説明する操作部23の配置位置は一例であり、本発明はこれに限定はされない。
続いて、冷蔵庫1の内部の構成について、図1、図3及び図4を参照しながら説明する。
図3に示すように、冷蔵庫1の内部は、複数の貯蔵空間(例えば、第1の冷蔵室11、第2の冷蔵室12、第1の冷凍室13)に分割されている。上述したように、各貯蔵空間の前面(図3中の左側)には、開閉可能な扉(例えば、冷蔵室扉11b、冷蔵室扉12a、冷凍室扉13a)がそれぞれ設けられている。
冷蔵庫1の内部には、冷凍サイクルが設けられている。冷凍サイクルは、冷媒が流通する冷媒管(冷媒流路)を介して、圧縮機31、凝縮器(図示せず)、膨張器(図示せず)、及び、冷却器32が接続されて構成されている。
また、冷蔵庫1の内部には、制御部(図示せず)が設けられている。この制御部が、冷凍サイクルの運転の制御を行っている。すなわち、制御部が圧縮機31を駆動させることによって、冷凍サイクルの運転が開始され、サイクル内を冷媒が流通する。圧縮機31により圧縮された高温高圧の冷媒は、凝縮器で放熱しながら凝縮される。続いて、高温の冷媒は膨張器で膨張して低温低圧となり、蒸発器としての冷却器32に送られる。冷却器32に流入する冷媒は冷却室35内を流通する冷気と熱交換され、吸熱しながら蒸発して低温のガス冷媒となって圧縮機31に送られる。このように、冷媒が循環して冷凍サイクルが運転されるとともに、冷却器32と熱交換した気流によって冷気が生成される。
図3に示すように、冷却器32は、冷蔵庫1の背面側に設けられた冷却室35内に配置されている。冷却室35は、各貯蔵空間と、断熱箱体50との間に配置されている。冷却室35内には、冷却器32の他に、冷却ファン33が備えられている。冷却ファン33は、冷却室35と各貯蔵空間との間で空気を循環させるために設けられている。すなわち、冷却ファン33は、冷凍サイクルの運転時などに冷却器32によって生成された冷気を、各流路を経由して各貯蔵空間へ送出するとともに、各貯蔵室に供給された冷気を、冷却室35内へ戻す。また、図3に示すように、圧縮機31は、冷蔵庫1の底部の背面側に設けられた機械室30内に配置されている。
<断熱箱体の構成>
冷蔵庫1には、各貯蔵空間を周囲から断熱するための断熱構造として、断熱箱体50が設けられている。断熱箱体50は、冷蔵庫1の外周を覆うように設けられている。図3に示すように、断熱箱体50は、主として、外箱60と、内箱70と、真空断熱材51と、発泡断熱材56とを備えている。なお、図3では、断熱箱体50の内側に設けられた冷蔵庫の内部構成については、図示を省略している。
外箱60は、断熱箱体50の外周面を形成する。外箱60は、冷蔵庫1の外形も部分的に形成している。内箱70は、断熱箱体50の内周面を形成する。また、内箱70は、貯蔵空間(例えば、第1の冷蔵室11、第2の冷蔵室12、第1の冷凍室13)及び冷却室35との境界を形成している。
なお、断熱箱体50の底部の背面側には、機械室30を配置するための空間が形成されている。つまり、機械室30は、断熱箱体50の外側に配置される。これは、圧縮機31が運転されることにより、機械室30内の温度が上昇するためである。
上記の構成により、図3に示すように、機械室30と第1の冷凍室13とは、断熱箱体50によって隔離される。そのため、機械室30内で発生した熱が第1の冷凍室13へ流れ込むことを抑えることができる。
真空断熱材51及び発泡断熱材56は、外箱60と内箱70との間の空間内に設けられている。真空断熱材51は、薄いシート状または板状の断熱材である。真空断熱材51は、例えば、冷蔵庫1の側面、上面、底面、及び、背面にそれぞれ配置されている。本実施の形態では、冷蔵庫1の右側面に配置された真空断熱材を51a、左側面に配置された真空断熱材を51b、上面に配置された真空断熱材を51c、底面に配置された真空断熱材を51d、背面に配置された真空断熱材を51eとする。
真空断熱材51は、グラスウールやシリカ粉末等の微細空隙を有する芯材を、ガスバリア性を有する外被材(袋状体、例えばラミネートフィルム)で覆い、外被材の内部を減圧密封して形成される。真空断熱材は、その内部空間を高真空に保ち、気相を伝わる熱量を出来る限り小さくすることにより、高い断熱効果を実現することができる。真空断熱材51を構成する材料については、従来公知のものを用いることができる。
また、真空断熱材51内部の真空度を維持することで、長期にわたって高い断熱効果を維持することができる。真空断熱材内部の真空度を維持する方法としては、例えば、気体吸着剤又は水分吸着剤を芯材とともに外被材の中に入れ、真空断熱材内部を減圧密封する方法がある。これにより、真空包装後に芯材の微細空隙から真空断熱材中へ放出される残存水分、外気から外被材を透過して経時的に真空断熱材内へ浸透する水蒸気、及び、酸素等の大気ガスなどを、除去することが可能となる。
なお、気体吸着剤は水蒸気に対して親和性が高いため、気体吸着剤に接触する酸素や窒素等の混合ガスから水蒸気を完全に除去することが望まれる。そのため、真空断熱材には、気体吸着剤と水分吸着剤とを併せて配置することが好ましい。これにより、気体吸着剤から前もって水蒸気を除去することができる。
発泡断熱材56は、例えば、発泡ポリウレタン(硬質ウレタンフォームともいう)などで形成することができる。図4に示すように、本実施の形態の断熱箱体50では、外箱60側に真空断熱材51が配置され、箱体内のそれ以外の空間に発泡断熱材56が充填された構成となっている。このような構成により、貯蔵空間の形状等に応じて凹凸を有している内箱70の表面形状にとらわれることなく、広範囲にわたって真空断熱材51を配置することができる。なお、図3に示すように、各貯蔵空間を仕切る仕切り壁の内部にも、発泡断熱材56が充填されている。
但し、本発明の冷蔵庫において、断熱箱体の構成は、上記のようなものに限定はされない。上記以外の構成としては、例えば、内箱側に真空断熱材を配置し、断熱箱体内のそれ以外の空間に発泡断熱材が充填された構成としてもよい。
このような構成の断熱箱体50は、例えば次のように製造される。まず、真空断熱材51をあらかじめ外箱60に接着固定する。そして、外箱60と内箱70とを例えば接着固定する。その後、断熱箱体50の背面を上にした状態で、背面に形成された注入口より液体状の発泡断熱材の原料を注入する。発泡断熱材の原料は、外箱60と内箱70との間の空間内で発泡した後、硬化する。これにより、断熱箱体50の内部は、発泡断熱材56で充填された状態となる。
<真空断熱材の構成>
続いて、断熱箱体50内に設けられた真空断熱材51のより具体的な構成について説明する。図1には、断熱箱体50内の右側方部分に配置された真空断熱材51aを示す。図5には、断熱箱体50内の左側方部分に配置された真空断熱材51bを示す。なお、これらの図では、説明の便宜上、冷蔵庫1に設けられた扉スイッチ21及び機械室30なども併せて示している。
また、図6には、断熱箱体50内の上方部分に配置された真空断熱材51cを示す。図6では、説明の便宜上、冷蔵庫1に設けられたヒンジ22も併せて示している。また、図3には、断熱箱体50内の底部分に配置された真空断熱材51dを示す。
(側面の真空断熱材の構成について)
図1に示すように、右側面に設けられた真空断熱材51aには、冷蔵庫1の扉スイッチ21が配置されている部分と対応する箇所に、切欠き部52が形成されている。図1に示すように、切欠き部52は、矩形状の真空断熱材の左上方の角部を斜めに切断したような形状となっている。また、図1に示すように、真空断熱材51aには、機械室30と対応する箇所に、切欠き部53が形成されている。切欠き部53は、矩形状の真空断熱材の右下方の角部を斜めに切断したような形状となっている。切欠き部52及び53の切欠きの大きさは、対応する扉スイッチ21又は機械室30の大きさに合せて適宜決めることができる。
また、同様に、左側面に設けられた真空断熱材51bにも、冷蔵庫1の扉スイッチ21が配置されている部分と対応する箇所に、切欠き部52が形成されている。図5に示すように、切欠き部52は、矩形状の真空断熱材の右上方の角部を斜めに切断したような形状となっている。また、真空断熱材51bには、機械室30と対応する箇所に、切欠き部53が形成されている。図5に示すように、切欠き部53は、矩形状の真空断熱材の左下方の角部を斜めに切断したような形状となっている。
上述したように、扉スイッチ21は機械式のスイッチなどで構成されている。そのため、第1の冷蔵室11内の側面に扉スイッチ21を設置すると、側面から側壁の内部へ扉スイッチ21の構造(スイッチ部分21a)が入り込むことになる。したがって、扉スイッチ21を載置するためには、第1の冷蔵室11の側面から冷蔵庫1の側壁に対してある程度の奥行きが必要とされる。
このような構成の扉スイッチ21を有する冷蔵庫においては、扉スイッチ21に相当する部分を避けて断熱箱体50の形状を成形する必要がある。つまり、断熱箱体50の形状が制限される。この場合、発泡断熱材に関しては、液体状の発泡断熱材の原料を断熱箱体内に注入した後に、箱体の空間の形状に応じて所定の形状に成形することができる。一方、シート状の真空断熱材に関しては、内部を減圧状態に維持するために、グラスウールなどの芯材を袋状の外被材で覆う構成となっている。そのため、真空断熱材を複雑な形状に成形することは困難である。
そのため、図12に示すように、従来の冷蔵庫100においては、扉スイッチ121を避けるために、真空断熱材151を側面の上方には配置しない構成となっていた。しかし、このような構成では、発泡断熱材と比較してより断熱性能の高い真空断熱材の表面積が小さくなり、所望の断熱性能が得られないという問題があった。
これに対して、本実施の形態の冷蔵庫1では、左右両側面に設けられた真空断熱材51a及び51bにおいて、扉スイッチ21が配置されている部分と対応する箇所に、切欠き部52が形成されている。
上記の構成によれば、冷蔵庫1の周囲全体における真空断熱材51のカバー率を上昇させることができる。そのため、従来の冷蔵庫100と比較して、冷蔵庫1の断熱性能を向上させることができる。真空断熱材51のカバー率が上昇することによって、断熱箱体50全体の容積を小さくすることができる。
なお、本発明の冷蔵庫においては、左右両側面に設けられた真空断熱材51a及び51bに切欠き部52を設ける代わりに、扉スイッチ21と対応する位置の真空断熱材51aの厚さが、他の場所と比較して薄くなっていてもよい。すなわち、冷蔵庫の側面に配置された真空断熱材は、扉スイッチと対応する位置に、肉薄部を有していてもよい。
上記構成のように、扉スイッチ21と対応する位置の真空断熱材51aの厚さが、他の場所と比較して薄くなっていることで、冷蔵庫1の側面の扉スイッチ21の設置場所にも、真空断熱材51を配置することができる。したがって、冷蔵庫1の周囲全体における真空断熱材51のカバー率を上昇させることができる。そのため、従来の冷蔵庫100と比較して、冷蔵庫1の断熱性能を向上させることができる。真空断熱材51のカバー率が上昇することによって、内箱70と外箱60の間の厚みを減少させることができる。これにより、食品収納スペースを拡大した場合でも、冷却性能を維持することが可能となる。
さらに、本実施の形態の冷蔵庫1では、左右両側面に設けられた真空断熱材51a及び51bにおいて、機械室30が位置する領域と対応する箇所に、切欠き部53が形成されている。
上記の構成によれば、冷蔵庫1の周囲全体における真空断熱材51のカバー率をさらに上昇させることができる。そのため、従来の冷蔵庫100と比較して、冷蔵庫1の断熱性能をより向上させることができる。
なお、冷蔵庫1の右側面には、操作部23が設けられている。操作部23は、ある程度の奥行きを有している。そのため、図4に示すように、操作部23は、断熱箱体50の内箱70をえぐるようにして配置されている。そして、真空断熱材51aにおいて、操作部23が配置される位置と対応する箇所には、凹部55が設けられている。
すなわち、操作部23と対応する位置の真空断熱材51aの厚さは、真空断熱材51aの他の場所と比較して薄くなっている。これにより、操作部23に対応する位置にも真空断熱材51aを配置することができる。そのため、冷蔵庫1全体における真空断熱材51のカバー率をさらに上昇させることができる。
なお、本実施の形態では、冷蔵庫1の左右両側面の上方に扉スイッチが配置されている構成を例に挙げて説明した。しかし、本発明の冷蔵庫は、この構成に限定されない。例えば、本発明の冷蔵庫は、扉スイッチが冷蔵庫の左右両側面のうちの何れか一方に配置されている構成であってもよい。この場合には、扉スイッチが設けられている側面に配置されている真空断熱材にのみ、切欠き部52が形成されていればよい。なお、機械室30と対応する箇所に形成されている切欠き部53については、左右両側面の真空断熱材にそれぞれ設けられているのが好ましい。
また、本実施の形態では、冷蔵庫1の右側面に操作部が配置されている構成を例に挙げて説明した。しかし、本発明の冷蔵庫は、この構成に限定されない。例えば、冷蔵庫の左側面に操作部が配置されていてもよい。また、冷蔵庫1の上段の第1の冷蔵室11ではなく、中段の第2の冷蔵室12の側面に操作部が配置されていてもよい。これらの場合にも、本実施の形態と同様に、真空断熱材は、操作部と対応する位置において、他の場所と比較してその厚さが薄くなっていることが好ましい。
なお、本発明の冷蔵庫においては、操作部と対応する位置において、真空断熱材の厚さを他の場所と比較して薄くするという構成の代わりに、冷蔵庫1の貯蔵室内の側面の操作部と対応する位置に、切欠き部52・53とは別のさらなる切欠き部が形成されているという構成を採用してもよい。
この構成によれば、操作部の周辺には、真空断熱材を配置しつつ、操作部に対応する位置には切欠きが設けられていることで、冷蔵庫の側壁の厚さが増大することを抑えることができる。なお、真空断熱材の製造工程の複雑化を抑えるためには、操作部に対応する位置には、切欠き部よりも肉薄部が設けられていることが好ましい。
(上面の真空断熱材の構成について)
また、図6に示すように、断熱箱体50内の上方部分に配置された真空断熱材51cにおいては、扉のヒンジ(開閉機構)22が配置されている部分と対応する箇所に、切欠き部54が形成されている。切欠き部54は、矩形状の真空断熱材の前方左右両側の角部を斜めに切断したような形状となっている。
上記の構成によれば、冷蔵庫1の周囲全体における真空断熱材51のカバー率をさらに上昇させることができる。そのため、従来の冷蔵庫100と比較して、冷蔵庫1の断熱性能をより一層向上させることができる。
なお、本発明の冷蔵庫においては、上面に設けられた真空断熱材51cの前方左右両側の角部に切欠き部54を設ける代わりに、扉のヒンジ(開閉機構)22と対応する位置の真空断熱材51cの厚さが、他の場所と比較して薄くなっていてもよい。すなわち、冷蔵庫の側面に配置された真空断熱材は、扉のヒンジと対応する位置に、肉薄部を有していてもよい。
上記構成のように、扉のヒンジ22と対応する位置の真空断熱材51cの厚さが、他の場所と比較して薄くなっていることで、冷蔵庫1の上面のヒンジの設置場所にも、真空断熱材51を配置することができる。したがって、冷蔵庫1の周囲全体における真空断熱材51のカバー率を上昇させることができる。そのため、従来の冷蔵庫100と比較して、冷蔵庫1の断熱性能をより一層向上させることができる。
(切欠きの形成方法)
各真空断熱材51に形成された切欠き部52,53,54は、例えば以下のようにして形成することができる。
先ず、真空断熱材の芯材となるグラスウールなどを、切欠き部を有する所定形状に成形する。切欠き部の成形については、例えば、長方形あるいは正方形に成形されたシート状の芯材の角部分を切断することによって行うことができる。
以上のようにして所定形状に成形された芯材を、袋状の外被材の中へ入れる。図9には、外被材に覆われた真空断熱材51の一例の外観を示す。図9に示す真空断熱材51は、冷蔵庫1の側面に配置される真空断熱材である。図9に示すように、真空断熱材51は、切欠き部52及び53に対応する箇所の外被材の角部分が内側に折り曲げられた折り曲げ部52a及び53aを有している。このような折り曲げ部52a及び53aを形成することによって、切欠き部52及び53を有する真空断熱材51を得ることができる。
なお、真空断熱材51に形成される切欠き部の形状は、上記のような直線的に切り取られた形状に限定はされない。図7(a)及び図7(b)には、真空断熱材51に形成される切欠き部の他の形状の例を示す。図7(a)に示す真空断熱材51に形成される切欠き部252は、矩形状に切り取られた形状を有している。また、図7(b)に示す真空断熱材51に形成される切欠き部352は、曲線状に切り取られた形状を有している。
例えば、冷蔵庫の周囲の壁面に矩形状の構成部品が設けられている場合には、その構成部品の設置場所と対応する位置の真空断熱材51は、図7(a)に示すような切欠き部252を有していることが好ましい。また、冷蔵庫の周囲の壁面に円形状の構成部品が設けられている場合には、その構成部品の設置場所と対応する位置の真空断熱材51は、図7(b)に示すような切欠き部352を有していることが好ましい。
但し、図9に示すように、真空断熱材の外被材の角部分を折り曲げて切欠き部を形成する場合には、切欠き部52,53,54のように、角部分を直線的に切り取った形状とするのがよい。これにより、切欠き部を有する真空断熱材を容易に製造することができる。
(凹部の形成方法、厚みの調整方法)
真空断熱材51aに形成された凹部55は、凹部に相当する場所をプレスすることによって形成することができる。あるいは、凹部に相当する部分について、芯材となるグラスウールの枚数を減らしたり、グラスウールを切り抜いたりすることによって、凹部55を形成することもできる。
また、真空断熱材51aの厚みを調整する場合にも、上述のプレス加工、あるいは、グラスウールの枚数の変更を適宜利用することができる。さらには、外被材の内部に芯材と一緒に載置される気体吸着剤及び水分吸着剤の位置を調整することによって、特定の部分の厚みを厚くすることも可能である。
(底部分の断熱箱体及び真空断熱材の構成について)
続いて、断熱箱体50の底部分の構成、及び、底部分に配置される真空断熱材51dの構成について、図3及び図8を参照しながら説明する。図8(a)は、真空断熱材51dを上方から見た図である。図8(b)は、図8(a)の真空断熱材51dのZ1−Z1線の断面図である。
図3に示すように、断熱箱体50の底部の背面側には、機械室30を配置するための空間が形成されている。そのため、断熱箱体50の底部は、機械室30の形状に沿うように、冷蔵庫1の前後方向の中央部から後方へ向かって上方へ傾斜した外形を有している。つまり、断熱箱体50を構成する外箱60の底部は、冷蔵庫1の前後方向の中央部から後方へ向かって上方へ傾く立ち上がり部61を有している。立ち上がり部61には、発泡断熱材の原料を断熱箱体50内に注入した際に発生するガスを抜くためのガス抜き孔62が形成されている。
また、外箱60の立ち上がり部61と対向する内箱70の底部には、立ち上がり部61の形状に沿うような立ち上がり部71が形成されている。本実施の形態の内箱70には、ガス抜き孔は設けられていないが、本発明の冷蔵庫では、内箱70にガス抜き孔が設けられていてもよい。
また、断熱箱体50の底部に設けられた真空断熱材51dは、外箱60の立ち上がり部61の形状に沿って傾斜した傾斜部57を有している。すなわち、真空断熱材51dは、傾斜部57と平坦部58との境界の折り曲げ位置B(図8(a)参照)において、屈曲した形状を有している。
図3に示すように、立ち上がり部61には、冷蔵庫1の前後方向の中央部から後方へ向かって、2つの屈曲部63及び64がこの順に形成されている。屈曲部63は、断熱箱体50の内部空間を広げるように、外側へ折れ曲がっている。一方、屈曲部64は、断熱箱体50の内部空間を狭めるように、内側へ折れ曲がっている。
そして、真空断熱材51dの傾斜部57は、図3に示すように、外箱60の立ち上がり部61と、屈曲部64で部分的に接触している。なお、図8(a)では、真空断熱材51dにおける立ち上がり部61との接触部分を、接触部Aとして示す。図8(a)に示すように、接触部Aは、傾斜部57の上端部よりやや内側に位置している。
以上のような構成により、真空断熱材51dの傾斜部57と、外箱60の立ち上がり部61との間には、空間が形成される。そのため、断熱箱体50の製造時、液体状の発泡断熱材の原料を注入する前の段階において、真空断熱材51dによってガス抜き孔62が塞がれることがない。
また、真空断熱材51dの傾斜部57と外箱60の立ち上がり部61とが、屈曲部64で部分的に接触していることで、断熱箱体50の製造時に、断熱箱体50の底面の形状を安定化することができる。
もし、外箱の立ち上がり部に屈曲部が形成されていないと、真空断熱材の傾斜部の全面が、外箱の立ち上がり部の面に沿って貼り付けられる。この場合、屈曲した形状を有する真空断熱材51dのスプリングバックにより、比較的軟らかい金属板で形成されている外箱の底面部の形状が安定しないという問題が生じる。つまり、外箱の立ち上がり部が真空断熱材の重みによって、倒れてしまう。外箱の底面部の形状が不安定となると、発泡断熱材の漏れが生じるおそれがあるため、望ましくない。
これに対して、本実施の形態の断熱箱体50においては、真空断熱材51dの傾斜部57と外箱60の立ち上がり部61とが、屈曲部64で部分的に接触している。そのため、外箱60の底面部が、真空断熱材51dのスプリングバックの影響を受けることが少なくなる。したがって、本実施の形態の構成によれば、断熱箱体50の底面部の組み立てをより容易に行うことができる。
なお、真空断熱材51dにおいて、外箱60と接触する側の面には、図8(b)に示すように、凹部59が設けられていてもよい。
一般に、真空断熱材51dを外箱60に貼付する際には、回転式のロールコーターを用いて、真空断熱材51dの片側の全面に接着剤を塗布する。しかし、上記のような凹部59が設けられていると、ロールコーターを用いて真空断熱材51dの表面に接着剤を塗布した場合にも、凹部59には、接着剤が塗布されない。そのため、真空断熱材51dを外箱60に貼付する際に、作業者が凹部59を持つことで、作業者の手に接着剤が付着することを避けることができる。
以上より、真空断熱材51dに凹部59が設けられていることで、断熱箱体50組立時の作業性を改善することができる。
なお、真空断熱材51dには、上記のような凹部59の代わりに、接触部Aに対応する位置に凸部が形成されていてもよい。なお、この凸部における真空断熱材51dの厚さは、傾斜部57の厚さよりも大きく、平坦部58の厚さと同程度とするのがよい。このような凸部が形成されていることで、ロールコーターを用いて真空断熱材51dの表面に接着剤を塗布した場合に、傾斜部57においては凸部のみに接着剤が塗布されることになる。
なお、凸部は、例えば、外被材の内部に載置される気体吸着剤及び水分吸着剤によって、形成することもできる。つまり、外被材の中に、芯材とともに気体吸着剤及び水分吸着剤を入れる際に、凸部を形成したい位置に気体吸着剤及び水分吸着剤を配置するようにすればよい。これにより、プレス等の加工を施すことなく、凸部を形成することができる。
以上の構成によれば、真空断熱材51dを外箱60に貼付する際に、作業者が傾斜部57の凸部以外の場所を持つことで、作業者の手に接着剤が付着することを避けることができる。
<真空断熱材51dの他の構成例>
図8(c)及び図8(d)には、断熱箱体50の底部に設けられる真空断熱材の変形例を示す。図8(c)は、真空断熱材51’の上面図である。図8(d)は、図8(c)に示す真空断熱材51’のZ2−Z2線の断面図である。
図8(d)に示すように、真空断熱材51’の上面(接着剤が塗布されない面)には、凸部59’が形成されている。凸部59’は、反対の面に形成された凹部59と対応する位置に設けられている。
このような凸部59’が形成されていることで、断熱箱体50の製造時において、平坦部58側から液体状の発泡断熱材の原料を注入した際に、外箱60の立ち上がり部61の上方へ、発泡断熱材をスムーズに誘導することができる。
<効果>
以上のように、本実施形の態に係る冷蔵庫1の側面に設けられている真空断熱材51a・51bには、扉スイッチ21と対応する位置に切欠き部52が形成されている。したがって、断熱箱体の組み立てを行う場合に、扉スイッチが配置される場所を避けて真空断熱材を配置することができる。これにより、断熱箱体の厚みを増やすことなく、冷蔵庫のより多くの領域に真空断熱材を配置することが可能となる。
また、本実施の形態に係る冷蔵庫1の側面に設けられている真空断熱材51a・51bには、操作部23と対応する位置に凹部55が形成されている。したがって、断熱箱体の厚みを増やすことなく、操作部23が設けられる領域にも真空断熱材を配置することができる。これにより、冷蔵庫のより多くの領域に真空断熱材を配置することが可能となる。
また、本実施の形態に係る冷蔵庫1に設けられている断熱箱体50の底部において、外箱60は、冷蔵庫1の前後方向の中央部から後方へ向かって上方へ傾く立ち上がり部61を有している。さらに、冷蔵庫1の底部に配置された真空断熱材51dは、外箱60の形状に沿って傾斜した傾斜部57を有している。そして、外箱60の立ち上がり部61と真空断熱材51dの傾斜部57とは、接触部A(図8(a)参照)において部分的に接触している。また、接触部Aの下方において、立ち上がり部61と傾斜部57との間には空間が形成されている。
この構成によれば、断熱箱体50の製造時に、断熱箱体50の底面の形状を安定化することができる。また、立ち上がり部61と傾斜部57との間に空間が形成されていることで、真空断熱材51dによってガス抜き孔62が塞がれることを避けることができる。これにより、液体状の発泡断熱材の原料を注入する際に、スムーズにガス抜きを行うことができ、断熱箱体内の各部分に発泡断熱材を行き渡らせることができる。
<第2の実施形態>
続いて、本発明の第2の実施形態について説明する。第2の実施形態では、断熱箱体50の底部の構成が第1の実施形態とは異なっている。その他の構成については、基本的に第1の実施形態と同じ構成を適用することができる。そこで、第2の実施形態では、第1の実施形態とは異なる点のみを説明する。
上述した第1の実施形態では、断熱箱体50の底部を構成する内箱70の立ち上がり部71が、真空断熱材51dと接触していない構成であった。しかし、本発明においては、内箱の立ち上がり部と真空断熱材とは、部分的に接触していてもよい。
図11には、第2の実施形態に係る冷蔵庫1’の底部の構成を示す。図11に示すように、断熱箱体250の底部は、機械室の形状に沿うように、冷蔵庫1’の前後方向の中央部から後方へ向かって上方へ傾斜した外形を有している。つまり、断熱箱体250を構成する外箱260の底部は、冷蔵庫1’の前後方向の中央部から後方へ向かって上方へ傾く立ち上がり部261を有している。立ち上がり部261には、発泡断熱材の原料を断熱箱体250内に注入した際に発生するガスを抜くためのガス抜き孔262が形成されている。
また、外箱260の立ち上がり部261と対向する内箱270の底部には、立ち上がり部261の形状に沿うような立ち上がり部271が形成されている。
また、断熱箱体250の底部に設けられた真空断熱材251dは、外箱260の立ち上がり部261の形状に沿って傾斜した傾斜部257を有している。すなわち、真空断熱材251dは、傾斜部257と平坦部258との境界(折り曲げ位置)において、屈曲した形状を有している。
図11に示すように、立ち上がり部261には、冷蔵庫1’の前後方向の中央部から後方へ向かって、2つの屈曲部263及び264がこの順に形成されている。屈曲部263は、断熱箱体250の内部空間を広げるように、外側へ折れ曲がっている。一方、屈曲部264は、断熱箱体250の内部空間を狭めるように、内側へ折れ曲がっている。
また、図11に示すように、内箱270の立ち上がり部271には、屈曲部272が形成されている。屈曲部272は、断熱箱体250の内部空間を狭めるように、内側へ折れ曲がっている。
そして、真空断熱材251dの傾斜部257は、外箱260の立ち上がり部261と、屈曲部264で部分的に接触している(図11のA参照)。さらに、真空断熱材251dの傾斜部257は、内箱270の立ち上がり部271と、屈曲部272で部分的に接触している(図11のB参照)。
以上のような構成により、真空断熱材251dの傾斜部257は、2か所において断熱箱体250の内面と接触する。より具体的には、真空断熱材251dの傾斜部257は、断熱箱体250の外箱260及び内箱270とそれぞれ接触している。
上記のように、真空断熱材251dの傾斜部257が、断熱箱体250の外箱260及び内箱270とそれぞれ接触する構成の場合、断熱箱体250の組み立て時に、箱体内部における真空断熱材251dの位置合わせを容易に行うことができる。そのため、真空断熱材251dの傾斜部257は、外箱260の立ち上がり部271と、接触部において接着剤で結合されていなくてもよい。同様に、真空断熱材251dの傾斜部257と、内箱270の立ち上がり部271とは、接着剤で結合されていなくてもよい。
<第3の実施形態>
上述した第1及び第2の実施形態では、本発明の一例として、扉スイッチと対応する位置の真空断熱材に切欠き部が設けられている構成、操作部と対応する位置の真空断熱材の厚さが薄くなっている構成、及び、断熱箱体の底部分において、真空断熱材の傾斜部と外箱の立ち上がり部との間に空間が形成される構成を兼ね備えた冷蔵庫について説明した。
本発明の第3の実施形態に係る冷蔵庫では、これらの構成のうち、扉スイッチと対応する位置の真空断熱材に切欠き部が設けられている構成のみを備えていてもよい。このような冷蔵庫も、当然に本発明の範疇に含まれる。
<第4の実施形態>
本発明の第4の実施形態に係る冷蔵庫では、上述した第1及び第2の実施形態の冷蔵庫に含まれる構成のうち、操作部と対応する位置の真空断熱材の厚さが薄くなっている構成のみを備えていてもよい。このような冷蔵庫も、当然に本発明の範疇に含まれる。
<第5の実施形態>
本発明の第5の実施形態に係る冷蔵庫では、上述した第1及び第2の実施形態の冷蔵庫に含まれる構成のうち、真空断熱材の傾斜部と外箱の立ち上がり部との間に空間が形成される構成のみを備えていてもよい。このような冷蔵庫も、当然に本発明の範疇に含まれる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。また、本明細書で説明した異なる実施形態の構成を互いに組み合わせて得られる構成についても、本発明の範疇に含まれる。