JP4736635B2 - 冷蔵庫 - Google Patents

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Description

本発明は、圧縮機を天面後方に載置した冷蔵庫に関するものである。
近年、冷蔵庫は地球環境保護の観点から更なる省エネルギー化が進むとともに、その使い勝手や収納性の向上が求められている。
従来のこの種の冷蔵庫は、最下部に配設された貯蔵室の庫外側後方領域に機械室を形成し、この機械室内に冷凍サイクルの圧縮機を収容するものが一般的であるが、このような構成であると、機械室に最下部の貯蔵室の収納スペースが侵害されて収納容積が減少し、また収納スペースの空間形状も機械室の突出部を除いた複雑な形状となって収納性がよくないものとなっていた。
このような従来からの収納性に関わる問題点を解消する目的のために、特許文献1に参照するように、断熱箱体の貯蔵室内最上部の後背部が下がるように窪ませた凹部を設け、その凹部に冷凍サイクルの圧縮機などの高圧側の構成部品を収納するという冷蔵庫が提案されている。
図7、図8は特許文献1に記載された従来の冷蔵庫の概略断面図及び概略斜視図を示すものである。
図7、8に示すように、断熱箱体1は上から順に、冷蔵室2、冷凍室3、野菜室4を有し、冷蔵室2の前面開口には、冷蔵室回転扉5を設けている。また、断熱箱体1の中央から下方部に位置する冷凍室3と野菜室4は収納性と使い勝手を考慮して、簡易に取り出しが行える引出し式の冷凍室引出し扉6と野菜室引出し扉7を設けてある。冷蔵室2の庫内には複数の収納棚8が設けられており、冷凍室3と野菜室4には上面開口形状の収納容器9a、9bが取り付けてある。この収納容器9a、9bは前後方向のレール(図示せず)に、ローラ前後方向へ移動可能に支持されている。
断熱箱体に設けた凹部10は、外箱上面11と外箱背面12に渡る天面後背部を冷蔵室2の最上部の後背部が下がるように窪ませた箇所である。凹部10はその左右が断熱箱体1の左右壁にて塞がれ上方及び背方に開放しており、この凹部10の開放部は、上板13部とこれにほぼ直角な背板14とからなる凹部カバー15にて覆われている。また、凹部カバー15はビスなどで断熱箱体1に取り外し可能に固定されている。
冷凍サイクルの構成機器である圧縮機16と凝縮器17は機械室ファン18と共に凹部10内に収まるように配設され、凹部カバー15にて覆われている。機械室ファン18は、凝縮器17を放熱するように配置されている。また、凹部カバー15の上板13と背板14には、圧縮機16の放熱のために複数の通風孔19が設けられている。
また、冷凍サイクルの構成機器である蒸発器20は冷凍室2の後背部に冷却ファン21と共に配設されており、最下部の貯蔵室である野菜室4は奥行き深く構成してある。
これにより、断熱箱体1の背面下部に圧縮機16や凝縮器17を収納するものと比較して、野菜室4の内容積を大きく、深く構成できる。
特開2001−99552号公報
しかしながら、上記従来の構成では、圧縮機や凝縮器を収納する凹部が冷蔵室庫内の天面奥部にでっぱり、冷蔵室の内容積が減少するとともに、冷蔵室のスッキリ感を阻害し、手狭な印象を与えるという課題を有していた。
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、前記凹部により生じる庫内のでっぱりを有効に活用することで、冷蔵室内容積の減少を最小限に抑え、冷蔵室の収納性ならびに意匠性を高めた冷蔵庫を提供することを目的とする。
上記従来の課題を解決するために、本発明の冷蔵庫は、外箱と内箱と前記外箱と前記内箱との間に設けた断熱材とよりなる断熱箱体と、前記断熱箱体の天面後方を庫内側に凹ませてなる機械室と、前記機械室内に収容した圧縮機とを有し、前記圧縮機は前記機械室内で左右いずれかに偏らせて前記機械室外殻に載置され、前記圧縮機とは反対側の前記機械室外殻の一部に機械室内側へ突出部を設け、かつ前記突出部と相対する庫内側に凹部を形成し、前記凹部を冷気通風経路としたものである。
これによって、前記段差部と相対する冷蔵室庫内天面部のでっぱりを、冷気通風経路として活用することができ、庫内への突出量を最小限に抑えた冷却用の冷気通風経路を冷蔵室に設けることができる。
本発明の冷蔵庫は、最下段の貯蔵室の内容積と奥行きを拡大するのに加え、冷蔵室庫内への突出量を最小限に抑えた冷却用の冷気通風経路を設けることができるため、冷蔵室内容積の減少を最小限に抑え、かつ冷蔵室の収納性を高めた冷蔵庫を提供することができる。また、冷気通風経路の冷蔵室庫内への突出量を最小限に抑えるため、庫内の圧迫感の低減など意匠性の向上した冷蔵庫を提供することができる。
請求項1に記載の発明は、外箱と内箱と前記外箱と前記内箱との間に設けた発泡断熱材とよりなる断熱箱体と、前記断熱箱体の天面後方を庫内側に凹ませてなる機械室と、前記機械室内に収容した圧縮機とを有し、前記圧縮機は前記機械室内で左右いずれかに偏らせて前記機械室外殻に載置され、前記圧縮機とは反対側の前記機械室外殻の一部に機械室内側へ突出部を設け、かつ前記突出部と相対する庫内側に凹部を形成し、前記凹部と前記凹部を覆うダクトカバーで冷気通風経路としたものであり、前記機械室と相対する冷蔵室庫内天面部のでっぱりを、冷気通風経路として活用することができ、庫内の容量を大きく減らすことなく、冷蔵室に冷気通風経路を設けることができる。また、冷気通風経路の冷蔵室庫内への突出量を最小限に抑えることができるため、庫内の圧迫感の低減など意匠性の向上した冷蔵庫を提供することができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記機械室外殻は前壁と底壁と両側壁とを有する断面略L字型に形成し、前記突出部を前壁の一部と底壁の一部に設けて、両突出部を連結し断面略L字型としたものであり、前記機械室と相対する冷蔵室庫内天面部のでっぱりの前面と下面に冷気通風経路としての凹部を形成することができるため、庫内の容量を大きく減らすことなく、冷蔵室庫内天面部のでっぱりの最上部まで冷気通風経路を設けることができる。また、冷気通風経路の冷蔵室庫内への突出量を最小限に抑えることができるため、庫内の圧迫感の低減など意匠性の向上した冷蔵庫を提供することができる。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記断面略L字型とした突出部と相対する庫内側に形成した冷気通風経路としての凹部を、略直線状に冷蔵室背面にも連続して形成したものであり、シンプルな構成の冷気通風経路を設けることができると共に、冷気通風経路としての凹部以外の部分に庫内もしくは庫外より凹部を設け制御基盤などの部品を配置することができるため、より容積効率の高い冷蔵庫を提供することができる。
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の発明において、前記機械室外殻を構成する前壁と底壁と両側壁とを一体構成としたものであり、部品のつなぎ目を少なくし発泡断熱材が洩れにくい構造にすると共に、部品点数の増加を抑制することができる。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、前記機械室外殻を構成する前壁と底壁と両側壁を樹脂で成形したものであり、形状の自由度を高めることができ、構成を簡素にすることができる。
請求項6に記載の発明は、請求項1から5のいずれか一項に記載の発明において、前記圧縮機とは反対側の機械室内側への突出部と相対して前記圧縮機を強制冷却するファンを設けたものであり、冷気通風経路のスペースを確保した余剰空間をファン設置スペースとして有効に活用できるためスペースファクターが高く、放熱効果の高い強制対流式の機械室を形成できる。
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の発明において、前記機械室は部分的に開口部を備えたカバーにより覆われ、前記機械室と前記カバーにより構成される空間を、前記ファンにより相対的に奥行き方向の浅い吸込み区画と前記圧縮機が配置される相対的に奥行き方向の深い吐出区画に区画形成したものであり、効果的にカバー内部の空気を循環させることができ、圧縮機および機械室内の放熱効果を高めることができる。
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の発明において、前記冷気通風経路を前記吸い込み区画に対向して配設したものであり、吸い込み区画には圧縮機が存在せず、低温冷気の流通する冷気通風経路に対しての機械室側からの熱漏洩が少なく冷却効率を損なうことが少ない。
請求項9に記載の発明は、請求項6から8のいずれか一項に記載の発明において、前記ファンを、前記圧縮機近傍に配設したものであり、強制的に圧縮機に風を送ることができ、圧縮機の冷却能力を高めることができる。
請求項10に記載の発明は、請求項6から9のいずれか一項に記載の発明において、前記ファンを、前記機械室の底壁突出部に配設したものであり、メカ摺動部が位置する圧縮機上部ならびにカバー上面部の空気を積極的に循環することで圧縮機上方ならびにカバー上面の温度を効果的に低減することができ、冷蔵庫天面に物を載せられても載置物の変色、腐敗などを引き起こすことなく保管することができる。
請求項11に記載の発明は、請求項1から10のいずれか一項に記載の発明において、前記断熱箱体の前面開口部に観音開き式の左右の扉を設け、前記左右のいずれかの扉の前方からの投影面内に前記圧縮機を収めるように配置したものであり、扉を閉めた際の衝撃によって圧縮機の内部機構が圧縮機外殻に衝突して異音を発生することを抑制することができ、圧縮機上部配置型の冷蔵庫で問題となりやすい騒音に関する不快感を使用者等が感じにくい。
以下、本発明による冷蔵庫の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における冷蔵庫の縦断面図であり、図2は同実施の形態における冷蔵庫の天面機械室周辺の分解斜視図である。図3、図4は同実施の形態における冷蔵庫の天面機械室の上面図、背面図である。図5、図6は、図4におけるA−A線、B−B線の断面図である。
図1から図6において、冷蔵庫本体30は複数の断熱区画に区分されている断熱箱体31と各断熱区画に設けられた扉にて構成されている。断熱箱体31はABSなどの樹脂体を真空成型した内箱32とプリコート鋼板などの金属材料を用いた外箱33とで構成された空間に発泡断熱材34を注入してなる断熱壁を備えている。発泡断熱材34はたとえば硬質ウレタンフォームやフェノールフォームやスチレンフォームなどが用いられる。発泡材としてはハイドロカーボン系のシクロペンタンを用いると、温暖化防止の観点でさらによい。
断熱箱体31は、複数の貯蔵室を形成し、上から冷蔵室40、製氷室41、野菜室42と冷凍室43の構成となっている。各断熱区画の前面開口にはそれぞれ断熱扉が図示しないガスケットを介して設けられている。上から冷蔵室の観音開き式扉40a,40b、製氷室扉41a、野菜室扉42a、冷凍室扉43aである。なお、製氷室41は断熱箱体31の全幅で構成せず、隣室を図示しない仕切り壁で区画した貯蔵室を形成しても構わない。
断熱箱体31は、天面後方部を一段低い段差状に窪ませた段差部となる機械室50を形成し、断熱箱体31の上方及び背方を開口している。機械室50は底面には冷凍サイクルの圧縮機52を機械室50の中央より左右いずれかに偏らせて載置し、機械室50の空間内の空気を循環させるための放熱ファン53を圧縮機52と所定の間隔をとって、その側方へ横並びにして載置し、圧縮機52に風を当てるような流れで循環するよう構成されている。また、圧縮機52には冷凍サイクルに冷媒を循環させるための吐出パイプ54と吸込パイプ55が接続されている。
次に、機械室50の構成について説明する。
機械室50は断熱箱体31の外郭である外箱33の天面後方を切り欠いて、その切り欠いた箇所に、前壁と左右両側壁と圧縮機52や放熱ファン53を載置するための底面を有した機械室外殻56を断熱箱体31の後方からはめ込むように形成されている。なお、機械室外殻56は前壁と左右両側壁と底面とを樹脂部品として一体で成形し、部品のつなぎ目を最小限にしたり、形状の自由度を高めたりすることができる。機械室外殻56には、圧縮機52の設置底面から段差状になった機械室50内側に一段突出した凸部120aと圧縮機52の設置部前壁面から段差状になった一段高い面を形成した凸部120bからなる略L字型の突出部120が形成される。なお、突出部120は必要に応じて、凸部120aだけで構成してもかまわない。
なお、外箱33を切り欠いて形成された機械室50は強度が弱くなるため、周辺には図示しない補強手段を設けることが一般的である。補強手段としては、機械室外殻56の左右両側面と外箱33との間に発泡断熱材34を注入すると効果は大きい。
また、機械室50には外部と区画するためのカバー60が設けられている。カバー60は、断熱箱体31に図示しないビスにて固定され、機械室50とカバー60とにより、圧縮機52や圧縮機52を空気対流により強制冷却する放熱ファン53を内包する空間61を形成する。カバー60には空間61内外に空気を行き来させるための、詳細は後述する開口部62、63が設けられている。
また、放熱ファン53は機械室50内側に一段突出した凸部120aに相対する機械室内に設定され、ファンカバー90の中にポリウレタンフォームなどの柔らかい緩衝部材(図示せず)を介して挿入固定され、このファンカバー90は、機械室外殻56が圧縮機52の設置底面から段差状になった一段高い底面を形成した凸部120aに略垂直になるよう配置構成される。すなわち、放熱ファン53を圧縮機52の上方へ設置することが可能となる。また、ファンカバー90の外周にはポリウレタンフォームなどの柔らかいシール部材91を介して、ファンカバー90と機械室外殻56及び機械室カバー60とを密着させるよう構成している。
このような構成によって、放熱ファン53の吐出側と吸込側を確実にシールして区画し、吐出側の区画である吐出区画93と吸込側の区画である吸込区画92を空間61に構成する。ここでは圧縮機52が吐出区画93に位置することになる。このため、吐出区画93の奥行きに対して吸込区画92の奥行きが所定範囲内で相対的に浅くても機械室50の形成においては支障がないものとなる。
また、圧縮機52は機械室50内において左右方向にずれた位置に配置されることになり、観音開き式の扉40aまたは40bの前方から見た投影面内に収まるように位置するよう構成される。
また、カバー60の、吸込区画92に位置する開口部62は、冷蔵庫本体30周辺の空気を空間61の中に吸い込むために利用される。一方、カバー60の、吐出区画93に位置する開口部63は、圧縮機52で放熱された空気を空間61の外へ排出するために利用される。
断熱箱体31の底面部には、その前方に冷凍サイクルの凝縮器100を、後方には蒸発器101で除霜された水を貯留するための蒸発皿102を配置構成している。両部品とも冷蔵庫本体30の内容積向上のため、高さを抑え小型で高効率なものを採用している。凝縮器100は代表的なものとしてスパラルフィンチューブ方式があり、外箱33の内側に熱伝達よく貼り付けられた配管や、各室断熱扉体間の仕切りに配設して防滴防止を行うための配管を組み合わせてもよい。なお、断熱箱体31の底面部の空気を循環させるための図示しないファンを設置することで、凝縮器100の能力、結露の防止はより効果がでる。
次に、断熱箱体31の貯蔵室側の構成を説明する。冷蔵室40は冷蔵保存のために凍らない温度を下限に通常1〜5℃で設定されている。庫内上方には、圧縮機52を収納するための機械室50が突出して形成され、食品などを整理して収納するための複数の棚105を設け、冷蔵室扉40aの内側にはペットボトルなどの飲料を収納できる複数のポケット106を設けている。最下段には肉魚などの保鮮性向上のための貯蔵ケース107を設け比較的低めの温度、たとえば−3〜1℃で設定されている。
製氷室41は、氷を生成して貯留するために通常−22〜−18℃で設定される。庫内は氷を生成するための製氷皿を備えた製氷機構121を設けていて、出来た氷を貯留する貯氷容器122を収容し、レール(図示せず)などで手前に引き出せるよう構成されている。
野菜室42は、冷蔵室40と同等もしくは若干高い温度設定の2℃〜7℃とすることが一般的で、低温にすれほど葉野菜の鮮度を長期間維持することが可能である。庫内は野菜などの食品を整理して収納できる野菜室容器110を収容し、レール(図示せず)などで手前に引き出せるよう構成されている。
冷凍室43は、冷凍保存のために通常−22〜−18℃で設定されているが、冷凍保存状態の向上のために、たとえば−30や−25℃の低温で設定されることもある。庫内は食品を整理して収納できる冷凍室容器111を収容し、レール(図示せず)などで手前に引き出せるよう構成されている。
野菜室42と冷凍室43の背面に冷却室112が設けられ、冷却室112は断熱性を有する第一の仕切壁113で野菜室42及び冷凍室43を仕切っている。野菜室42と冷凍室43は断熱性を有する第二の仕切壁114で仕切られている。冷却室112には、庫内の空気を熱交換する縦長の蒸発器101と、各貯蔵室に冷気を送るための冷却ファン115と、冷却時に蒸発器101に付着する霜を除霜する除霜装置116と、除霜された水を受ける水受け部117と、水受け部117から蒸発皿102に排水するよう構成されている。
機械室50の相対する庫内凸部50aには、冷気通風経路70が設けてあり、冷気通風経路70は吸込区画92と断熱壁を介して庫内外で対向するよう配置されている。
そして、吐出区画93の奥行きに対して吸込区画92の奥行きが所定範囲内で相対的に浅くても支障がないことを利用して、この奥行き寸法の相違を利用して冷気通風経路70を配設するものである。
冷気通風経路70は、機械室50に形成された凸部120a、120bに相対するよう内箱32に形成された凹部71とそれを覆うように庫内凸部50aに合せて階段状に形成されたダクトカバー72で構成されている。ダクトカバー72は図示しないビスまたは固定爪などで固定されている。ダクトカバー72には、冷気通風孔73が設けてあり、冷気通風孔73は冷蔵庫正面から見て前面に設けてある。また、凹部71は、冷蔵庫後方側の凹部71aと冷蔵庫上方側の凹部71bから成る。冷気通風経路70は冷蔵室内を通り、途中、冷気流量制御するダンパー74を介して、冷却ファン115および蒸発器101の位置する冷却室112と連結されている。なお、冷蔵室背面に配設された冷気通風経路70は、略直線状に凹部71とつながっており、冷気通風経路としての凹部以外の部分に庫内もしくは庫外より凹部を設け制御基盤などの部品を配置することができるため、より容積効率の高い冷蔵庫を提供することができる。
冷凍サイクルを動作させる制御基板130は、圧縮機52の下方の冷蔵庫本体背面部へ設けた基盤収納部131に収納され、取外し可能なカバーで密閉して配置されている。制御基板130はプリント基板上に電子部品を実装するので薄く板状の形状をしている。冷蔵室庫内の冷気通風経路70と基盤収納部131は、冷蔵室の平面断面上では、並んで配設され、ダクトカバー72は冷気通風経路70と基盤収納部131を含む冷蔵室背面の略全面を覆っている。
以上のように構成された冷蔵庫について、以下その作用について説明する。
まず、圧縮機52を断熱箱体31の天面後方の機械室50に載置して最下方の冷凍室43の後方領域には配置せず、冷却室112を冷凍室43とその上方の野菜室42の背面に配置し、蒸発器101と冷却ファン115を概ね冷凍室43と野菜室42の高さ範囲内で設け、蒸発器101を高さ方向に延長させ奥行き寸法を短縮することにより、冷却室112の厚みを薄くして庫内容積として寄与しない無効スペースを減少させ、野菜室42、冷凍室43の収納容積を増大し収納性を高めることができる。また断熱箱体31の天面後方の機械室50は使用者が手の届き難い、いわば無効スペースに近い空間であったため、その箇所に圧縮機52を位置させることは極めて冷蔵庫本体30の内容積をうまく活用できることになる。さらに野菜室42、冷凍室43を引出し式の貯蔵室としているので、野菜室容器110、冷凍室容器111の奥に収納された食品なども楽に出し入れできて使い勝手の向上も図れる。
ただし、断熱箱体31の天面後方の機械室50をコンパクトに形成し、最上方の冷蔵室40の庫内側への突出代を極力小さくしなければ、視覚的にも圧迫感や閉塞感を感じるものになってしまう。
したがって、冷蔵庫本体30の底面に冷凍サイクルの凝縮器100を配置して、機械室50には圧縮機52を冷却する放熱ファン53のみを配置し放熱を促進することが必要となり、この場合、機械室50の容積及び排熱風路をコンパクトに形成し、冷蔵室40への庫内側への突出代を抑制することができる。
さらに、圧縮機52を機械室50の右に偏らせて載置することで、機械室50の左側に凸部120を設けることができ、設けた凸部120に冷蔵室庫内側から凹部71を設け、冷気通風経路70として活用することができる。本実施の形態では、内箱面より凹んだ位置に冷気通風経路70を構成することが可能となるので、従来主であったダクトカバー面と内箱面の間に冷気通風経路を設けて必要に応じて断熱壁を配置していたものに比べて、ダクトカバー面と内箱面との空間をとる必要がなく、ダクトカバー面を内箱面とほぼ同じ位置に構成することができるので、冷蔵室の奥行きが狭くなるのを極力抑制し、庫内容積の拡大を図ると共に視覚的な圧迫感や閉塞感を抑制する事ができる。しかも、吐出区画93と吸込区画92の奥行き寸法の相違を利用して冷気通風経路70および放熱ファン53を配設するものであるので、不必要に機械室50の無効スペースを設けることがなく、冷気通風経路70のスペースを確保した余剰空間を放熱ファン53の設置スペースとして有効に活用できるためスペースファクターが高く、放熱効果の高い強制対流式の機械室50を形成できる。
また、吸込区画92には圧縮機52が存在せず、低温冷気の流通する冷気通風経路70に対しての機械室50側からの熱漏洩が少なく冷却効率を損なうことが少ない。
また、冷気通風経路70として使用する凹部71a、71bは、内箱32を部分的に凹ませて一体構成することにより、部品の接合面を無くし冷気洩れに対するシール材の使用量を減らすことができ、品質の安定化と部品点数の抑制をすることができる。
同様に、機械室50を構成する要素を機械室外殻56として、樹脂で成形することにより、形状の自由度を確保し、各要素を一体成形することにより、部品の接合面を無くし発泡断熱材34の洩れに対するシール材の使用量を減らすことができ、品質の安定化と部品点数の抑制をすることができる。また、凸部120a、凸部120bを機械室外殻56と一体構成することにより、機械室外殻部を折曲構成とすることができ、機械室外殻56の剛性が向上し、圧縮機52や放熱ファン53の振動や騒音の伝達を抑制することができる。
また、冷凍サイクルを動作させる制御基板130を圧縮機52の下方の冷蔵庫本体背面部に配設することで、冷蔵室庫内の冷気通風経路70と基盤収納部131は、冷蔵室の平面断面上では、並んで配設することができ、ダクトカバー72の庫内突出量を抑制し、庫内容積の拡大を図ると共に視覚的な圧迫感や閉塞感を抑制する事ができる。
次に、機械室50とカバー60とにより形成される空間61の風路構成に関して述べる。空間61は、圧縮機52や放熱ファン53を内包し、放熱ファン53により、吸込区画92と圧縮機52の位置する吐出区画93とに区画される。冷蔵庫本体30周辺の空気は、カバー60に設けられた吸込区画92側に位置する開口部62から空間61の内部へ吸い込まれ、放熱ファン53を通して吐出区画93へ送られ、圧縮機52を冷却した後、カバー60に設けられた吐出区画93側に位置する開口部63から空間61の外部へ放出される。放熱ファン53は、通常圧縮機52が運転しているときに運転されて放熱を促進することができる。また、放熱ファン53はファンカバー90を介して機械室外殻56およびカバー60と、シール部材91により簡易的に密着し、圧縮機52側を吐出区画93、その逆を吸込区画92として分割しているため圧縮機52を通った空気を空間61内で再び放熱ファン53が吸込むことがないので常に外気をそのまま圧縮機52へ送ることができ、圧縮機52の冷却効率を高めることができる。また、カバー60に設けられた開口部62,開口部63は、カバー60の左右両端に極力離して、背面側および上面側に開口しており、開口部63から放出された空気を再度開口部62から吸い込み難くしているため、圧縮機52の冷却効率を高めることができる。
また、放熱ファン53は、冷気通風経路70を構成する凸部120a上に配置構成することで、圧縮機52の温度が高い部分である圧縮機上方に直接風を当てることができ、効率良くかつ合理的に圧縮機52を冷却することで、圧縮機52の信頼性向上を図ることができる。また、同時にカバー60の上板の放熱も促進できるので、カバー60の周辺に物を載せられたときの温度影響も小さくて済む。また、冷気通風経路70を構成する凸部120a上に配置構成することで、放熱ファン53の取り付け位置を高くするための部品を必要としないため、部品点数を削減する事ができ、作業効率を向上させることができる。
また、放熱ファン53は必要に応じて風量を変化できるように回転数を可変できるようにすれば、圧縮機52が高温になりやすい外気温が高い場合や、冷蔵庫本体30がシステムキッチン枠などにより左右両側が囲われて放熱が阻害されるようなかたちで設置される場合や、圧縮機52が回転数可変型であり、その回転数が高い場合などには放熱ファン53を高い回転数に設定することでより放熱能力を大きくし、一方その逆では放熱ファン53を停止したり、低い回転数に設定することができるため、空間61のより効率のよい排熱ができるようになる。
なお、圧縮機52に放熱ファン53の風をあてるよう機械室51の風路を構成することが望ましいが、仮に圧縮機52が放熱ファン53の吸込区画93の中に配置されていても機械室51の排熱風路としての効果が損なわれることはない。
さらに、貯蔵室の扉の形態は本実施の形態の形態にとらわれるものではないが、本実施の形態のように最上部の冷蔵室40に観音開き式の扉40a,40bを設け、扉40a,40bのいずれかの前方からの投影面内に圧縮機52を収めるように配置すると、扉40aまたは40bを閉めた際の衝撃によって圧縮機52の内部機構が圧縮機外殻に衝突して異音を発生することを抑制することができ、圧縮機上部配置型の冷蔵庫で問題となりやすい騒音に関する不快感を使用者等が感じにくくすることができる、という効果も有するものである。
以上のように、本発明にかかる冷蔵庫は、人間の手が届きにくい場所、すなわち冷蔵庫の使用頻度の低い場所に、従来使用頻度の高い足元近くに配置していた冷却ユニットを配置することで、使用頻度の高い貯蔵室の収納量を拡大し、かつコンパクトな冷却ダクトにより、冷却ユニットにより減少する容積を最小限に抑えることが可能となるので、同様のレイアウトを有する他の冷却機器にも適用できる。
本発明の実施の形態1における冷蔵庫の縦断面図 同実施の形態における冷蔵庫の天面機械室周辺の分解斜視図 同実施の形態における冷蔵庫の天面機械室の上面図 同実施の形態における冷蔵庫の天面機械室の背面図 図4におけるA−A線の断面図 図4におけるB−B線の断面図 従来の冷蔵庫の概略断面図 従来の冷蔵庫の概略斜視図
符号の説明
31 断熱箱体
32 内箱
33 外箱
34 発泡断熱材
40a,40b 観音開き式扉
50 機械室
52 圧縮機
53 放熱ファン
56 機械室外殻
60 カバー
61 空間
70 冷気通風経路
71 凹部
92 吸込区画
93 吐出区画
120 突出部
130 制御基盤

Claims (11)

  1. 外箱と内箱と前記外箱と前記内箱との間に設けた発泡断熱材とよりなる断熱箱体と、前記断熱箱体の天面後方を庫内側に凹ませてなる機械室と、前記機械室内に収容した圧縮機とを有し、前記圧縮機は前記機械室内で左右いずれかに偏らせて前記機械室外殻に載置され、前記圧縮機とは反対側の前記機械室外殻の一部に機械室内側へ突出部を設け、かつ前記突出部と相対する庫内側に凹部を形成し、前記凹部と前記凹部を覆うダクトカバーで冷気通風経路としたことを特徴とする冷蔵庫。
  2. 前記機械室外殻は前壁と底壁と両側壁とを有する断面略L字型に形成し、前記突出部を前壁の一部と底壁の一部に設けて、両突出部を連結し断面略L字型としたことを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫。
  3. 前記断面略L字型とした突出部と相対する庫内側に形成した冷気通風経路としての凹部を、略直線状に冷蔵室背面にも連続して形成したことを特徴とする請求項2に記載の冷蔵庫。
  4. 前記機械室外殻を構成する前壁と底壁と両側壁とを一体構成としたことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の冷蔵庫。
  5. 前記機械室外殻を構成する前壁と底壁と両側壁を樹脂で成形したことを特徴とする請求項4に記載の冷蔵庫。
  6. 前記圧縮機とは反対側の機械室内側への突出部と相対して前記圧縮機を強制冷却するファンを設けたことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の冷蔵庫。
  7. 前記機械室は部分的に開口部を備えたカバーにより覆われ、前記機械室と前記カバーにより構成される空間を、前記ファンにより相対的に奥行き方向の浅い吸込み区画と前記圧縮機が配置される相対的に奥行き方向の深い吐出区画に区画形成したことを特徴とする請求項6に記載の冷蔵庫。
  8. 前記冷気通風経路を前記吸い込み区画に対向して配設したことを特徴とする請求項7に記載の冷蔵庫。
  9. 前記ファンを、前記圧縮機近傍に配設したことを特徴とする請求項6から8のいずれか一項に記載の冷蔵庫。
  10. 前記ファンを、前記機械室の底壁突出部に配設したことを特徴とする請求項6から9のいずれか一項に記載の冷蔵庫。
  11. 前記断熱箱体の前面開口部に観音開き式の左右の扉を設け、前記左右のいずれかの扉の前方からの投影面内に前記圧縮機を収めるように配置したことを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の冷蔵庫。
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