以下、一実施形態による断熱箱体を備える冷蔵庫について図面を参照して説明する。
図1に示すように、冷蔵庫10は、前面が開口した縦長矩形箱状の断熱箱体40内に、複数の貯蔵室を有して構成されている。以下の説明では、断熱箱体40の開口部401側すなわち図1において左側を冷蔵庫10の前側とし、開口部401と反対側すなわち図1において右側を冷蔵庫10の後側とする。また、冷蔵庫10を図1の姿勢で床面に設定した場合における重力方向に対する上下方向を、冷蔵庫10の上下方向とする。そして、図1の冷蔵庫を前側から見た場合における左右方向を、冷蔵庫10の左右方向とする。
図1に示すように、冷蔵庫10は、断熱箱体40を主体として構成されている。断熱箱体40は、内部に複数の貯蔵室を有している。冷蔵庫10は、貯蔵物を貯蔵するための複数の貯蔵室として、例えば冷蔵室11、野菜室12、製氷室13、図示しない小冷凍室、及び冷凍室14を備えている。開口部401は、各貯蔵室11、12、13、14の内部と外部とを連通させている。冷蔵室11は、断熱箱体40の最上段部に設けられている。野菜室12は、冷蔵室11の下方に設けられている。製氷室13及び図示しない小冷凍室は、野菜室12の下方にあって、左右に並べて設けられている。冷凍室14は、製氷室13及び図示しない小冷凍室の下方、つまり冷蔵庫10の最下部に設けられている。
冷蔵室11及び野菜室12は、いずれも冷蔵温度帯の貯蔵室であり、例えば1〜4℃のプラス温度帯に維持される。冷蔵室11と野菜室12との間は、合成樹脂製の仕切壁15により上下に仕切られている。冷蔵庫10は、冷蔵室扉16及び野菜室扉17を備えている。冷蔵室扉16は、断熱性を有し、冷蔵室11の前側に設けられている。冷蔵室扉16は、ヒンジ開閉式の扉であり、冷蔵室11の前面を開閉する。野菜室扉17は、断熱性を有し、野菜室12の前側に設けられている。野菜室扉17は、容器171が連結された引き出し式の扉であり、野菜室12の前面を開閉する。
製氷室13、図示しない小冷凍室、及び冷凍室14は、いずれも冷凍温度帯の貯蔵室であり、例えば−10〜−20℃のマイナス温度帯に維持される。野菜室12と、製氷室13及び図示しない小冷凍室との間は、断熱仕切壁41により上下に仕切られている。断熱仕切壁41は、断熱箱体40に一体的に設けられている。冷蔵庫10は、製氷室扉18、図示しない小冷凍室扉、及び冷凍室扉19を備えている。
製氷室扉18は、断熱性を有し、製氷室13の前側に設けられている。製氷室扉18は、容器181が連結された引き出し式の扉であり、製氷室13の前面を開閉する。図示しない小冷凍室扉は、断熱性を有し、小冷凍室の前側に設けられている。小冷凍室扉は、図示しない容器が連結された引き出し式の扉であり、図示しない小冷凍室の前面を開閉する。冷凍室扉19は、断熱性を有し、冷凍室14の前側に設けられている。冷凍室扉19は、容器191、192が連結された引き出し式の扉であり、冷凍室14の前面を開閉する。
冷蔵庫10は、各貯蔵室を冷却するための冷凍サイクルを備えている。冷凍サイクルは、例えば冷蔵用冷却器20、冷凍用冷却器21、圧縮機22、図示しない凝縮器などを含んで構成されている。冷蔵用冷却器20は、冷蔵温度帯の貯蔵室である冷蔵室11及び野菜室12を冷却するための冷気を生成する。冷凍用冷却器21は、冷凍温度帯の貯蔵室である製氷室13、図示しない小冷凍室、及び冷凍室14を冷却するための冷気を生成する。圧縮機22は、断熱箱体40の下部後ろ側に形成された機械室42に設けられている。
冷蔵庫10は、冷蔵用冷却器室23、冷気ダクト24、及び冷蔵用送風ファン25を備えている。冷蔵用冷却器室23は、冷蔵室11の下部の後方に設けられている。冷蔵用冷却器20及び冷蔵用送風ファン25は、冷蔵用冷却器室23内に設けられている。冷蔵用冷却器室23の一方側は、吸込み口231を介して野菜室12に連通し、他方側は、冷気ダクト24に連通している。冷気ダクト24は、冷蔵室11の背面に沿って上方へ延びており、冷蔵室11に連通する複数の吹出し口241を有している。冷蔵室11と野菜室12とは、図示しない連通口によって相互に連通している。
冷蔵用送風ファン25が駆動されると、図1の矢印で示すように、野菜室12内の空気が、吸込み口231から冷蔵用冷却器室23内に吸い込まれる。その吸い込まれた空気は、冷蔵用冷却器20を通過する際に冷却される。そして、冷蔵用冷却器20で冷却された冷気は、冷蔵用送風ファン25の送風作用によって、冷気ダクト24を通って複数の吹出し口241から冷蔵室11に吹き出される。これにより、冷蔵室11が冷蔵温度帯の温度に冷却される。そして、冷蔵室11内に吹き出された冷気の一部は野菜室12内にも供給される。これにより、野菜室12も、冷蔵温度帯の温度に冷却される。そして、冷蔵室11及び野菜室12を冷却した空気は、吸込み口231から再び冷蔵用冷却器室23へ吸い込まれる。このようにして、冷気の循環が行われる。
冷蔵庫10は、冷凍用冷却器室26及び冷凍用送風ファン27を備えている。冷凍用冷却器室26は、冷凍温度帯の貯蔵室、つまり製氷室13、図示しない小冷凍室、及び冷凍室14の後方に設けられている。冷凍用冷却器21及び冷凍用送風ファン27は、冷凍用冷却器室26内に設けられている。この場合、冷凍用冷却器21は、図4に示すように、冷凍用冷却器室26内において、左右方向の中心に対してやや左側寄りに偏って設けられている。冷凍用冷却器室26は、図1に示すように、吸込み口261及び吹出し口262を有している。吸込み口261は、冷凍用冷却器室26の下部に設けられ、冷凍室14に連通している。吹出し口262は、吸込み口261の上方に設けられ、製氷室13、図示しない小冷凍室、及び冷凍室14に連通している。
冷凍用送風ファン27が駆動されると、冷凍用冷却器21により生成された冷気が、各吹出し口262から製氷室13、図示しない小冷凍室、及び冷凍室14内に供給された後、吸込み口261から冷凍用冷却器室26内に戻されるといった循環を行う。これにより、製氷室13、図示しない小冷凍室、及び冷凍室14が冷凍温度帯の温度に冷却される。
冷蔵庫10は、制御装置31を備えている。制御装置31は、圧縮機22、冷蔵用送風ファン25、及び冷凍用送風ファン27などの駆動を制御することで、冷蔵庫の運転全般を制御する。この場合、制御装置31は、冷蔵室11の上方の天井部分に設けられている。また、冷蔵庫10は、排水樋28、排水管29、及び蒸発皿30を備えている。排水樋28は、冷凍用冷却器21の下方に設けられており、冷凍用冷却器21の除霜時に生じる除霜水を受けるためのものである。蒸発皿30は、機械室42において圧縮機22の上方に設けられている。排水管29は、排水樋28と蒸発皿30とを接続している。冷凍用冷却器21から生じた除霜水は、排水樋28に滴下され、排水管29を通って蒸発皿30に導かれる。そして、蒸発皿30に導かれた除霜水は、圧縮機22で生じる熱等に熱せられて蒸発する。
次に、断熱箱体40の具体的な構成について説明する。断熱箱体40は、図2及び図3に示すように合成樹脂製の内箱50と、金属製の外箱60と、を有している。内箱50は、断熱箱体40の内側を構成するものである。外箱60は、断熱箱体40の外側を構成するものである。内箱50は、前面に開口部401した箱状に形成され、その箱状の内側に各貯蔵室11〜14となる空間が形成されている。
外箱60は、複数枚の金属製の外板、この場合、図3に示すように、左板61、右板62、天井板63、底板64、及び背板65を組み合わせて構成されている。内箱50と外箱60との間には隙間が形成され、その隙間に、発泡断熱材43や真空断熱パネルなどの断熱材が設けられる。発泡断熱材43は、例えば発泡ウレタン等であり、充填時には流動性を有する液状で、充填後は発泡して固化する。また、真空断熱パネルは、柔軟性をほとんど有しない板状のものである。
具体的には、図3に示すように、左板61は、断熱箱体40の左外側面を構成するものであり、内箱50の左側面部に取り付けられる。そして、図1及び図4に示すように、左板61と内箱50との間に、第1左側部真空断熱パネル71、第2左側部真空断熱パネル72、及び発泡ウレタン43が設けられ、これにより、左側部断熱壁44が構成されている。第1左側部真空断熱パネル71は、断熱箱体40の庫内の左側面全体を覆うような大きさに形成されている。
第1左側部真空断熱パネル71は、左板61に、例えば両面テープやホットメルトなどによって接着されている。第2左側部真空断熱パネル72は、第1左側部真空断熱パネル71の庫内側の面つまり左板61と反対側の面に、例えば両面テープやホットメルトなどによって接着されている。この場合、第1左側部真空断熱パネル71と第2左側部真空断熱パネル72とは、材料や製造方法が同一でもよいし異なっていてもよい。例えば、第1左側部真空断熱パネル71よりも内箱50に近い位置に配置される第2左側部真空断熱パネル72について、その第2左側部真空断熱パネル72に使用される包袋を、第1左側部真空断熱パネル71に使用される包袋よりも強度の高い材質にしたり厚みの厚いものにしたりする。このようにして、第1左側部真空断熱パネル71と第2左側部真空断熱パネル72との強度を異なるものとしてもよい。
第2左側部真空断熱パネル72は、第1左側部真空断熱パネル71に比べて小さく形成されている。この場合、第2左側部真空断熱パネル72は、図4に示すように、上下及び前後方向において、冷凍用冷却器21の左側方を覆う程度の大きさに形成されている。すなわち、左側部断熱壁44において、冷凍用冷却器21の左側方に対応する部分は、2枚の真空断熱パネル71、72が設けられた2重構造になっている。このため、左側部断熱壁44において、冷凍用冷却器21の左側方に対応する部分、つまり冷凍用冷却器21と重なる部分は、他の部分に比べて断熱性能が高くなっている。
ここで、発泡ウレタン43を左側部断熱壁44に充填する際、液状の発泡ウレタン43が、左側部断熱壁44の後側から前側へ向かって注入される。この場合、図4に示すように、第2左側部真空断熱パネル72と内箱50との間の距離は、第2左側部真空断熱パネル72が設けられていない部分における第1左側部真空断熱パネル71と内箱50との間の距離と同等以上に設定されている。そのため、第2左側部真空断熱パネル72を第1左側部真空断熱パネル71に設けた構成であっても、第2左側部真空断熱パネル72が、液状の発泡ウレタン43の流動を妨げることを抑制し、効率よく発泡ウレタン43を充填することができる。
第1左側部真空断熱パネル71は、左板61側に複数の左溝部711を有している。左溝部711は、例えば第1左側部真空断熱パネル71の前部及び後部に2つ設けられ、上下方向へ延びるように形成されている。そして、冷凍サイクルの一部を構成する放熱パイプ32が、左溝部711と左板61との間に形成された空間内に収容されている。
この場合、第2左側部真空断熱パネル72は、左溝部711内を通る前後2つの放熱パイプ32のうち、後ろ側の放熱パイプ32の右側方を覆うようにして設けられている。つまり、第2左側部真空断熱パネル72は、左溝部711内を通る複数の放熱パイプ32のうち冷凍用冷却器21に近い放熱パイプ32の庫内側を覆うようにして設けられている。すなわち、左側部断熱壁44において、冷凍用冷却器21に近い放熱パイプ32に対応する部分は、2枚の真空断熱パネル71、72が設けられた2重構造になっている。つまり、放熱パイプ32と冷凍用冷却器21との間には、2枚の真空断熱パネル71、72が設けられている。このため、左側部断熱壁44において、冷凍用冷却器21に近い放熱パイプ32に対応する部分は、他の部分に比べて断熱性能が高くなっている。したがって、冷凍用冷却器21は、放熱パイプ32の放熱による影響をより受け難くなっている。
右板62は、断熱箱体40の右外側面を構成するものであり、図3に示すように、内箱50の右側面部に取り付けられる。そして、右板62と内箱50との間に、第1右側部真空断熱パネル73、第2右側部真空断熱パネル74、及び発泡ウレタン43が設けられ、これにより、右側部断熱壁45が構成されている。右側部断熱壁45は、左側部断熱壁44と左右対称である。すなわち、第1右側部真空断熱パネル73は、断熱箱体40の庫内の右側面全体を覆うような大きさに形成されている。
第1右側部真空断熱パネル73は、右板62に、例えば両面テープやホットメルトなどによって接着されている。第2右側部真空断熱パネル74は、第1右側部真空断熱パネル73の庫内側の面つまり右板62と反対側の面に、例えば両面テープやホットメルトなどによって接着されている。この場合、第1右側部真空断熱パネル73と第2右側部真空断熱パネル74とは、材料や製造方法が同一でもよいし異なっていてもよい。例えば、第1右側部真空断熱パネル73よりも内箱50に近い位置に配置される第2右側部真空断熱パネル74について、その第2右側部真空断熱パネル74に使用される包袋を、第1右側部真空断熱パネル73に使用される包袋よりも強度の高い材質にしたり厚みの厚いものにしたりする。このようにして、第1右側部真空断熱パネル73と第2右側部真空断熱パネル74との強度を異なるものとしてもよい。
第2右側部真空断熱パネル74は、第1右側部真空断熱パネル73に比べて小さく形成されている。この場合、第2右側部真空断熱パネル74は、図4に示すように、上下及び前後方向において、冷凍用冷却器21の右側方を覆う程度の大きさに形成されている。すなわち、右側部断熱壁45において、冷凍用冷却器21の右側方に対応する部分は、2枚の真空断熱パネル73、74が設けられた2重構造になっている。このため、右側部断熱壁45において、冷凍用冷却器21の右側方に対応する部分、つまり冷凍用冷却器21と重なる部分は、他の部分に比べて断熱性能が高くなっている。したがって、冷凍用冷却器21は、放熱パイプ32の放熱による影響をより受け難くなっている。
ここで、発泡ウレタン43を右側部断熱壁45に充填する際、液状の発泡ウレタン43が、右側部断熱壁45の後側から前側へ向かって注入される。この場合、図4に示すように、第2右側部真空断熱パネル74と内箱50との間の距離は、第2右側部真空断熱パネル74が設けられていない部分における第1右側部真空断熱パネル73と内箱50との間の距離と同等以上に設定されている。そのため、第2右側部真空断熱パネル74を第1右側部真空断熱パネル73に設けた構成であっても、第2右側部真空断熱パネル74が、液状の発泡ウレタン43の流動を妨げることを抑制し、効率よく発泡ウレタン43を充填することができる。
また、第1右側部真空断熱パネル73は、右板62側に複数の右溝部731を有している。右溝部731は、例えば第1右側部真空断熱パネル73の前部及び後部に2つ設けられ、上下方向へ延びるように形成されている。そして、冷凍サイクルの一部を構成する放熱パイプ32が、右溝部731と右板62との間に形成された空間内に収容されている。
この場合、第2右側部真空断熱パネル74は、右溝部731内を通る前後2つの放熱パイプ32のうち、後ろ側の放熱パイプ32の左側方を覆うようにして設けられている。つまり、第2右側部真空断熱パネル74は、右溝部731内を通る複数の放熱パイプ32のうち冷凍用冷却器21に近い放熱パイプ32の庫内側を覆うようにして設けられている。すなわち、右側部断熱壁45において、冷凍用冷却器21に近い放熱パイプ32に対応する部分は、2枚の真空断熱パネル73、74が設けられた2重構造になっている。つまり、放熱パイプ32と冷凍用冷却器21との間には、2枚の真空断熱パネル73、74が設けられている。このため、右側部断熱壁45において、冷凍用冷却器21に近い放熱パイプ32に対応する部分は、他の部分に比べて断熱性能が高くなっている。
天井板63は、断熱箱体40の上外側面を構成するものであり、図3に示すように、内箱50の天井面部に取り付けられる。そして、図1に示すように、天井板63と内箱50との間に、天井側真空断熱パネル75及び発泡ウレタン43が設けられ、これにより、天井部断熱壁46が構成されている。天井側真空断熱パネル75は、断熱箱体40の庫内の天井面全体を覆うような大きさに形成されている。天井側真空断熱パネル75は、内箱50の天井部又は天井板63に対して、例えば両面テープやホットメルトなどによって接着されている。
底板64は、断熱箱体40の下外側面を構成するものであり、図3に示すように、内箱50の底面部に取り付けられる。そして、図1及び図6に示すように、底板64と内箱50との間に、第1底部真空断熱パネル76、第2底部真空断熱パネル77、及び発泡ウレタン43が設けられ、これにより、底部断熱壁47が構成されている。この場合、第1底部真空断熱パネル76と第2底部真空断熱パネル77とは、材料や製造方法が同一でもよいし異なっていてもよい。底板64は、図6に示すように、大底面部641、小底面部642、及び接続部643を一体に有している。これら大底面部641、小底面部642、及び接続部643は、例えば1枚の金属製の板を曲げ加工することにより一体に形成されている。
大底面部641は、断熱箱体40の最下部に設けられた貯蔵室の底部を構成している。この場合、大底面部641は、冷凍室14の底部となっている。小底面部642は、大底面部641よりも上方に設けられ、冷凍用冷却器室26の底部を構成している。大底面部641の面積は、小底面部642の面積よりも大きい。接続部643は、大底面部641の後端部と、小底面部642の前端部とを接続している。すなわち、接続部643は、大底面部641の後端部から上方へ立ち上がり、かつ、小底面部642の前端部から下方へ立ち下がるように設けられている。
また、大底面部641は、凹部644及び外周部645を有している。凹部644は、大底面部641の中央部分を下方へ矩形に窪ますようにして形成されている。すなわち、凹部644は、底部断熱壁47の左右方向の中央側へ向かって後述するねじ穴649を避けるように下方へ突出させて形成されている。外周部645は、凹部644の上方にあって、凹部644の外周を囲むようにして形成されている。この場合、外周部645の前側縁部646は、外周部645の他の部分よりも若干低くなるように形成されている。
図1に示すように、第1底部真空断熱パネル76の庫内側つまり冷凍室14側の表面の高さ位置は、外周部645の冷凍室14側の表面の高さ位置と略同じか、又は第1底部真空断熱パネル76の表面の方がやや高い。すなわち、第1底部真空断熱パネル76の厚さ寸法は、凹部644と外周部645とで形成される段差の高さ寸法と同等か、又は第1底部真空断熱パネル76の厚さ寸法の方が大きい。
第1底部真空断熱パネル76は、矩形に形成され、凹部644の内部に収納されている。第1底部真空断熱パネル76は、凹部644の上面つまり冷蔵室11側の面に、例えば両面テープやホットメルトなどによって接着されている。第1底部真空断熱パネル76の外形は、凹部644よりも小さく形成されている。そのため、第1底部真空断熱パネル76の外周側と凹部644の外周側との間、つまり、凹部644と外周部645との境界部分と、第1底部真空断熱パネル76との間には、隙間471が形成されている。この第1底部真空断熱パネル76と凹部644の外周側との隙間471には、発泡ウレタン43が充填される。
図7に示すように、凹部644の後部において、第1底部真空断熱パネル76が設けられていない部分つまり外周部645と第1底部真空断熱パネル76との間部分には、複数の微小な穴647が形成されている。複数の穴647は、凹部644を貫いて、底部断熱壁47の内部と外部とを連通させている。この穴647の大きさは次のように設定されている。すなわち、底部断熱壁47の内部に充填される液状の発泡ウレタン43がその表面張力によって断熱箱体40の外部へ漏れ出ず、かつ、発泡ウレタン43が固化する際に生じるガスが断熱箱体40の外部へ排出されるように、穴647の大きさが設定されている。
断熱箱体40には、例えば次のようにして発泡ウレタン43が充填される。断熱箱体40は、詳細は図示しないが、発泡ウレタン43を各壁の内側に注入するための注入口を有している。この注入口は、断熱箱体40の後部に設けられている。断熱箱体40は、発泡ウレタンが注入される際に、前面の開口部401が下向きで、かつ、図示しない注入口が上向きになるように、図示しない作業台の上に配置される。そして、発泡前の液状の発泡ウレタン43が、図示しない注入口から断熱箱体40の壁部の内側に注入される。
液状の発泡ウレタン43は、下方つまり開口部401側から順に溜まっていき、壁部の内側で発泡する。その際、発泡ウレタン43が発泡することによってガスが生じる。このガスは、壁部内に蓄積されると壁部内の圧力が上昇するため、外部へ排出する必要がある。本実施形態において、発泡ウレタン43の充填の際に生じるガスは、断熱箱体40の後部に形成された穴647、つまり発泡ウレタン43を充填する際に上部に位置するように形成された穴647から外部へ排出される。
第2底部真空断熱パネル77は、第1底部真空断熱パネル76の上面に設けられている。すなわち、第2底部真空断熱パネル77は、第1底部真空断熱パネル76の貯蔵室側の面つまり冷凍室14側の面に設けられている。第2底部真空断熱パネル77は、図5に示すように、底部771と立ち上がり部772とを一体に有している。第2底部真空断熱パネル77は、例えば次のようにして形成される。すなわち、例えば1枚の真空断熱パネルに型が押し当てられて、底部771と立ち上がり部772との境界部分となる溝が形成される。そして、溝が形成された真空断熱パネルを、その溝に沿って折り曲げることで、板状の真空断熱パネルに折れ曲がった部分つまり底部771と立ち上がり部772との境界部分となる屈曲部774が形成される。これにより、第2底部真空断熱パネル77は、屈曲部774を介して底部771と立ち上がり部772とが一体に形成される。
底部771は、第1底部真空断熱パネル76よりも大きく、第1底部真空断熱パネル76の上方全体を覆っている。この場合、底部771は、第1底部真空断熱パネル76及び、外周部645の前側縁部646を除く部分に載置されている。そして、底部771の下面つまり冷蔵室11と反対側の面は、第1底部真空断熱パネル76の上面及び外周部645の前側縁部646を除く部分の少なくともいずれか一方に、両面テープはホットメルトなどによって接着されている。このように、断熱箱体40の底部、つまり冷凍室14の底部は、2枚の真空断熱パネル76、77が設けられ、断熱性能が高くなっている。
立ち上がり部772は、底部771の後部から上方へ立ち上がるように設けられている。立ち上がり部772は、図5に示すように、底板64の接続部643の前方を覆っている。つまり、立ち上がり部772は、機械室42の前面つまり冷凍室14側を覆っている。
底板64には、複数の樹脂発泡体、この場合第1樹脂発泡体661及び第2樹脂発泡体662が設けられている。樹脂発泡体661、662は、例えば断熱性及び柔軟性に優れたプラスティックフォームであり、いわゆるソフトテープと称されるものである。この場合、第1樹脂発泡体661は、図7に示すように、凹部644の前側部分に2個設けられている。断熱箱体40を組み立てる際、作業者は、第1底部真空断熱パネル76の前縁部を、第1樹脂発泡体661の後部に当てるようにして、第1底部真空断熱パネル76を凹部644に配置する。これにより、第1底部真空断熱パネル76の外周部分には、発泡ウレタン43を充填するために十分な隙間471が形成される。
すなわち、作業者は、第1底部真空断熱パネル76を第1樹脂発泡体66に当てながら凹部644内に配置することで、凹部644内における第1底部真空断熱パネル76の位置の決定を容易に行うことができる。したがって、第1樹脂発泡体661を設けることで、凹部644に対する第1底部真空断熱パネル76の位置決め作業が容易になる。また、第2樹脂発泡体662は、外周部645と接続部643とに複数個ずつ設けられている。この場合、第2樹脂発泡体662は、第2底部真空断熱パネル77と底板64との間に設けられる。
図5及び図6に示すように、第2底部真空断熱パネル77には、複数の第3樹脂発泡体663が設けられている。第3樹脂発泡体663も、上述した樹脂発泡体661、662と同様に、例えばソフトテープなどで構成されている。第3樹脂発泡体663は、内箱50の底面部と、第2底部真空断熱パネル77との間に配置される。これにより、内箱50と第2底部真空断熱パネル77との間には、図1に示すように、発泡ウレタン43が充填されるのに十分な隙間648が形成される。また、内箱50と第2底部真空断熱パネル77との間に第3樹脂発泡体663を設けたことにより、第2底部真空断熱パネル77は、内箱50の底部に接触し難くなる。これにより、第2底部真空断熱パネル77と内箱50とが接触して、第2底部真空断熱パネル77が損傷することを抑制することができる。
冷蔵庫10は、図1、図5、及び図6に示すように、脚支持部材67及び脚部材68を備えている。脚支持部材67及び脚部材68は、それぞれ断熱箱体40の底面の前部の左右両側に2個ずつ設けられている。脚部材68は、例えば金属製の板を折り曲げて形成されている。断熱箱体40の底部から下方へ突出するように設けられ、その突出する長さを調整できるように構成されている。冷蔵庫10の使用者は、冷蔵庫10が設置される設置面の状態に合わせて前部の左右両側に設けられた脚部材68の突出長さ調整することで、冷蔵庫10の左右及び前後方向への傾きを調整することができる。
具体的には、脚支持部材67は、図6、図10及び図11に示すように、例えば金属の板材を折り曲げて加工することによって、全体として前後方向に長い形状に構成されている。脚支持部材67は、脚部材68が取り付けられて脚部材68を支持する。脚支持部材67は、2個の通し穴部671と、1個のねじ穴部672とを有している。通し穴部671は、脚支持部材67の中央部及び後部に設けられ、脚支持部材67を上下方向に貫いて形成されている。ねじ穴部672は、脚支持部材67の前部、つまり2個の通し穴部671よりも前側に形成されている。ねじ穴部672は、脚支持部材67を上下方向へ向かって貫くねじ穴である。つまり、ねじ穴部672の内側には雌ねじが形成されている。
また、底板64には、左右両側にそれぞれ2個ずつのねじ穴649が形成されている。このねじ穴649は、脚支持部材67を底板64に取り付けるための取付部である。ねじ穴649は、大底面部641の外周部645の前部を上下方向へ向かって貫くねじ穴である。つまり、ねじ穴649の内側には雌ねじが形成されている。第2底部真空断熱パネル77の底部771には、面取り部773が形成されている。面取り部773は、ねじ穴649を避けるために、底部771の前部の左右両側の角部を切り落とすように形成されている。この面取り部773により、第2底部真空断熱パネル77は、ねじ穴649を底部断熱壁47の中央側へ避けるように形成されている。
図6に示すように、ねじ69が、脚支持部材67の下方から通し穴部671に通されて、底板64のねじ穴649にねじ込まれる。これにより、脚支持部材67は、底板64の下面から下方へ突出するようにして、断熱箱体40の底部に取り付けられる。なお、ねじ穴649を、雌ねじが形成されていない通し穴とし、ねじ69と図示しないナットを用いて脚支持部材67を断熱箱体40の底部に取り付けてもよい。図1に示すように、底板64の凹部644と脚支持部材67とは、凹部644及び脚支持部材67の突出方向、つまり凹部644及び脚支持部材67の厚み方向において少なくとも一部、この場合略全部が重なっている。この場合、脚支持部材67の厚み方向の寸法とは、図1及び図10の符号Lで示すように、脚支持部材67に対して脚部材68が取り付けられる方向、つまり脚支持部材67の上下方向の寸法を意味している。
脚部材68は、図6に示すように、脚部材681とねじ部682とを有している。脚部材681は、例えば円柱形であって、冷蔵庫10の設置面に接触する部分である。ねじ部682は、脚部材681の中央部分から上方へ向かって延びる棒状であり、その棒状の外周部には雄ねじが形成されている。脚部材68は、ねじ部682を脚支持部材67のねじ穴部672にねじ込むことで、脚支持部材67に取り付けられる。使用者は、ねじ穴部672に対するねじ部682のねじ込み量を増減することで、脚部材68の突出量を調整し、これにより、冷蔵庫10の前後方向及び左右方向の傾きを調整することができる。この場合、底板64の凹部644の下面つまり外側の表面の高さ位置は、脚支持部材67の下面の高さ位置と同等に設定されている。
背板65は、断熱箱体40の後外側面を構成するものであり、図3に示すように、内箱50の背面部に取り付けられる。そして、図1及び図4等に示すように、背板65と内箱50との間に、第1背部真空断熱パネル78、第2背部真空断熱パネル79、及び発泡ウレタン43が設けられ、これにより、背部断熱壁48が構成されている。背板65は、全体として板状に形成されている。そして、図1及び図4に示すように、背板65の周囲の辺部は、左板61、右板62、天井板63、底板64のそれぞれの後縁部に接続されている。
図8に示すように、第1背部真空断熱パネル78は、背板65よりも一回り小さく上下方向へ長い一枚の矩形板状であって、断熱箱体40の庫内の背面の略全体を覆うような大きさに形成されている。第1背部真空断熱パネル78は、背板65の内側面つまり貯蔵室側の面に、例えば両面テープやホットメルトなどによって接着されている。
また、第1背部真空断熱パネル78は、図4に示すように、背板65側に背溝781を有している。背溝781は、例えば第1背部真空断熱パネル78の左右両側に2つ設けられ、上下方向へ延びるように形成されている。そして、冷凍サイクルの一部を構成する放熱パイプ32が、背溝781と背板65との間に形成された空間内に収容されている。すなわち、冷凍用冷却器21と放熱パイプ32との間には、2枚の真空断熱パネル78、79が設けられている。したがって、冷凍用冷却器21は、放熱パイプ32の放熱による影響をより受け難くなっている。
第2背部真空断熱パネル79は、第1背部真空断熱パネル78に比べて小さく、また、第1背部真空断熱パネル78よりも薄く形成されている。第2背部真空断熱パネル79は、第1背部真空断熱パネル78の庫内側の面に、例えば両面テープやホットメルト等によって接着されている。この場合、第1背部真空断熱パネル78と第2背部真空断熱パネル79とは、材料や製造方法が同一でもよいし異なっていてもよい。
第2背部真空断熱パネル79は、冷凍温度帯の貯蔵室つまり製氷室13、図示しない小冷凍室、及び冷凍室14の後方の一部を覆うように設けられている。この場合、第2背部真空断熱パネル79は、図8に示すように、上下方向及び左右方向において、冷凍用冷却器21の後方全体を覆う大きさに形成されている。つまり、第2背部真空断熱パネル79は、冷凍用冷却器室26の後方に位置し、冷凍用冷却器21の後方全体を覆っている。なお、第2背部真空断熱パネル79は冷凍温度帯の各貯蔵室に跨って配置されていなくてもよく、冷凍室14の後方の一部のみを覆うなどしてもよい。
本実施形態では、冷凍用冷却器21は、左右方向の一方寄り、この場合、冷蔵庫10の前側から見て左寄りに配置されている。そのため、第2背部真空断熱パネル79も、冷凍用冷却器21に合わせて一方寄りこの場合左寄りに配置されている。このように、背部断熱壁48において、冷凍用冷却器21の後方に対応する部分は、2枚の真空断熱パネル78、79が設けられた2重構造になっている。このため、背部断熱壁48において、冷凍用冷却器21の後方に対応する部分、つまり冷凍用冷却器21と重なる部分は、他の部分に比べて断熱性能が高くなっている。そのため、冷凍用冷却器21は、後方からの熱の影響をより受け難くなっている。
また、図4及び図9に示すように、第2背部真空断熱パネル79の庫内側つまり内箱50側の面には、薄板80が設けられている。薄板80は、第2背部真空断熱パネル79が内箱50に直接接触することを防ぎ、これにより第2背部真空断熱パネル79を破損から防ぐための保護部材として機能する。すなわち、薄板80は、第2背部真空断熱パネル79に対して発泡ウレタン43が流動する側の面に設けられている。薄板80は、例えば発泡ポリエチレン製で、外部からの荷重によって若干の変形が可能な板材である。薄板80は、例えば外部から衝撃が加えられた場合に変形することで、その衝撃をある程度吸収することができる。薄板80は、例えば両面テープなどによって、第2背部真空断熱パネル79に接着されている。薄板80は、第2背部真空断熱パネル79と同等の大きさであり、第2背部真空断熱パネル79の庫内側の面つまり内箱50側の面の略全体を覆っている。なお、薄板80は第2背部真空断熱パネル79に接着するのではなく、内箱50側に接着しても良い。
背部断熱壁48において、背部真空断熱パネル78、79の2重構造にすることで、第2背部真空断熱パネル79と内箱50との距離が短くなる。すると、第2背部真空断熱パネル79と内箱50とが接触して第2背部真空断熱パネル79が破損するおそれが生じる。そこで、内箱50と第2背部真空断熱パネル79との間に薄板80を設けることで、第2背部真空断熱パネル79が内箱50に接触して破損することを防止することができる。
上記実施形態の冷蔵庫10において、断熱箱体40は、貯蔵室の底部を構成する底部断熱壁47と、底部断熱壁47の開口部401側の両側方にあって、底部断熱壁47から下方つまり貯蔵室と反対側へ突出するように設けられる脚部材68と、底部断熱壁47に設けられ脚部材68が取り付けられる脚支持部材67と、を有している。底部断熱壁47は、断熱箱体40の内側を構成する内箱50と、断熱箱体40の底部の外側を構成する底板64と、内箱50と底板64との間において底板64側に設けられた第1底部真空断熱パネル76と、内箱50と底板64との間において第1底部真空断熱パネル76の内箱50側にあって、第1底部真空断熱パネル76を覆うようにして設けられた第2底部真空断熱パネル77と、を有している。底板64は、脚支持部材67が取り付けられる取付部つまりねじ穴649と、ねじ穴649を底部断熱壁47の中央側へ避けるとともに脚支持部材67の厚み方向において少なくとも一部が重なるように下方へ突出させて形成され第1底部真空断熱パネル76を収容する凹部644と、を有している。そして、第2底部真空断熱パネル77は、ねじ穴649を避けるように、この場合、底部断熱壁47の中央側へ避けるように形成されている。
ここで、脚支持部材67が取り付けられる取付部つまりねじ穴649からは、脚支持部材67を取り付けるためのねじ69が突出する。この場合、真空断熱パネルとねじ69とが接触すると、真空断熱パネルが破損するおそれがある。そのため、底部断熱壁47内に設けられる真空断熱パネルは、取付部649との干渉を避けるため、取付部649を避けた形状にする必要がある。この場合、その真空断熱パネルを取付部649の上方に逃げるように構成すると、底部断熱壁47の厚みが増すことになり、冷蔵庫10の庫内容積を圧迫することになる。一方、その真空断熱パネルを取付部649の内側つまり底部断熱壁47の中央方向に逃げるように構成すると、真空断熱パネルが小さくなり、その結果、断熱性能の低下に繋がる。
そこで、本実施形態において、底板64には、凹部644が形成されている。この凹部644は、ねじ穴649を底部断熱壁47の中央側へ避けるとともに脚支持部材67の厚み方向において少なくとも一部が重なるように下方へ突出させて形成されている。そして、第1底部真空断熱パネル76は、この凹部644内に収容され、第2底部真空断熱パネル77は、ねじ穴649を底部断熱壁47の中央側へ避けるように形成されて、第1底部真空断熱パネル76の貯蔵室側を覆っている。
これによれば、第1底部真空断熱パネル76及び第2底部真空断熱パネル77は、ねじ穴649を避けて形成されている。そのため、ねじ穴649から突き出たねじ等によって底部真空断熱パネル76、77が破損することを防止することができる。また、底部断熱壁47は、第1底部真空断熱パネル76と第2底部真空断熱パネル77とを設けた2重構造になっているため、1枚の真空断熱パネルで構成した場合に比べて断熱性能を高くすることができる。更に、第1底部真空断熱パネル76を収容する凹部644は、脚支持部材67の厚み方向において少なくとも一部が重なるように下方へ突出して形成されている。そのため、底部断熱壁47に2枚の真空断熱パネル76、77を設けたとしても、底部断熱壁47の厚みを抑制することができ、その結果、庫内容積の圧迫を抑制することができる。これらの結果、冷蔵庫10は、庫内容積の維持や底部断熱壁47内に設けた真空断熱パネル76、77の安全性を確保しつつ断熱性能が向上され、ひいては消費電力量を低減することができる。
凹部644内において第1底部真空断熱パネル76の外周部に発泡断熱材43が充填されている。これによれば、第1底部真空断熱パネル76の外周部分が、断熱性を有する発泡断熱材43によって埋められている。したがって、底部断熱壁47の断熱性能をさらに向上させることができる。
第2底部真空断熱パネル77は、第1底部真空断熱パネル76よりも厚く、すなわち断熱性能が高く設定されている。これによれば、底部断熱壁47全体としての断熱性能をより高いものにすることができる。
底板64には、底部断熱壁47の内側と外側とを連通する穴647が形成されている。これによれば、底部断熱壁47内に注入された液状の発泡ウレタン43が発泡して固化する際に発生するガスを、この穴647から外部に排出させることができる。これにより、底部断熱壁47内の内圧がこのガスによって増大し、底部断熱壁47が変形等することを防ぐことができる。
そして、この穴647は、凹部644内において開口部401と反対側であって第1底部真空断熱パネル76が設けられていない部分に、つまり後部の隙間648部分に設けられている。これにより、断熱箱体40に発泡ウレタン43を充填する際、断熱箱体40は、開口部401を下側にして配置されることから、穴647を上側に位置させることができる。この場合、断熱箱体40に注入された液状の発泡ウレタン43は、開口部401側つまり下側、すなわち穴647と反対側から溜まる。そのため、発泡ウレタン43が注入される最終段階まで、穴647がその発泡ウレタン43によって塞がれることを防ぐことができる。その結果、発泡ウレタン43の充填の際に生じるガスを効率よく排出することができる。
また、冷蔵庫10は、冷蔵温度帯の貯蔵室として冷蔵室11及び野菜室12を備え、冷凍温度帯の貯蔵室として製氷室13、図示しない小冷凍室、及び冷凍室14を備えている。この場合、冷蔵温度帯の貯蔵室と冷蔵温度帯の貯蔵室とは、温度帯が異なるため、背部断熱壁48のうちその貯蔵室に対応する部分に要求される断熱性能も異なる。つまり、背部断熱壁48において、冷蔵温度帯の貯蔵室11、12を形成する部分よりも、冷凍温度帯の貯蔵室13、14を形成する部分の方が、高い断熱性能が要求される。この場合、背部断熱壁48の断熱性能を、冷蔵温度帯の貯蔵室11、12に要求される断熱性能に適合させると、冷凍温度帯の貯蔵室13、14で要求される断熱性能を満たすことができない。一方、背部断熱壁48の断熱性能を、冷凍温度帯の貯蔵室13、14で要求される断熱性能に適合させると、過剰となり、ひいてはコスト増大に繋がる。
そこで、本実施形態の冷蔵庫10の断熱箱体40において、背部断熱壁48は、冷蔵温度帯の貯蔵室(この場合、冷蔵室11及び野菜室12)と、冷凍温度帯の貯蔵室(この場合、製氷室13、図示しない小冷凍室、及び冷凍室14)と、の両方を覆う第1背部真空断熱パネル78と、冷凍温度帯の貯蔵室(この場合、製氷室13、図示しない小冷凍室、及び冷凍室14)の少なくとも一部を覆う第2背部真空断熱パネル79と、有している。これによれば、背部断熱壁48において、より高い断熱性能が要求される冷凍温度帯の貯蔵室13、14に対応する部分を、真空断熱パネル78、79の2重構造にして断熱性能を高めている。一方、背部断熱壁48において、それほど高い断熱性能が要求されない冷蔵温度帯の貯蔵室11、12に対応する部分は、1枚の真空断熱パネル78で構成している。これにより、背部断熱壁48を、各温度帯に適した断熱性能にすることができ、その結果、断熱箱体40全体としての断熱性能を向上させて消費電力量を削減しつつ、コストの増大を抑制することができる。
第1背部真空断熱パネル78は、第2背部真空断熱パネル79よりも厚く、すなわち断熱性能が高く設定されている。これによれば、背部断熱壁48を、全体としてより断熱性能の高いものにすることができる。
第2背部真空断熱パネル79は、冷凍用冷却器21の開口部401と反対側つまり後方を覆っている。これによれば、背部断熱壁48において、より低温に冷却されて高い断熱性能が必要となる冷凍用冷却器21の後方を、2枚の真空断熱パネル78、79を設けた2重構造にして、他の部分より断熱性能を高くすることができる。このように、背部断熱壁48は、高い断熱性能が必要な部分について、その部分の断熱性能を局所的に増大させている。これにより、断熱箱体40全体としての断熱性能を向上させて消費電力量を削減しつつ、コストの増大を抑制することができる。
第2背部真空断熱パネル79の内箱50側に、薄板80が設けられている。薄板80は、第2背部真空断熱パネル79が内箱50に直接接触することを防ぐ保護部材として機能する。これによれば、第2背部真空断熱パネル79が内箱50に接触して破損することを防止することができる。
また、冷蔵庫10の断熱箱体40は、開口部401に対して左右側方の壁部を構成する左側部断熱壁44及び右側部断熱壁45を有している。左側部断熱壁44は、貯蔵室の左側方を覆う第1左側部真空断熱パネル71と、第1左側部真空断熱パネル71より小さく、冷凍用冷却器21の左側方を覆う第2左側部真空断熱パネル72と、を有している。右側部断熱壁45は、貯蔵室の右側方を覆う第1右側部真空断熱パネル73と、第1右側部真空断熱パネル73より小さく、冷凍用冷却器21の右側方を覆う第2右側部真空断熱パネル74と、を有している。
これによれば、左側部断熱壁44において、より低温に冷却されて高い断熱性能が必要となる冷凍用冷却器21の左側方を、2枚の真空断熱パネル71、72を設けた2重構造にして、他の部分より断熱性能を高くすることができる。同様に、右側部断熱壁45において、より低温に冷却されて高い断熱性能が必要となる冷凍用冷却器21の右側方を、2枚の真空断熱パネル73、74を設けた2重構造にして、他の部分より断熱性能を高くすることができる。このように、左側部断熱壁44及び右側部断熱壁45は、高い断熱性能が必要な部分について、その部分の断熱性能を局所的に増大させている。断熱箱体40全体としての断熱性能を向上させて消費電力量を削減しつつ、コストの増大を抑制することができる。
第1左側部真空断熱パネル71は、第2左側部真空断熱パネル72よりも厚く、すなわち断熱性能が高く設定されている。同様に、第1右側部真空断熱パネル73は、第2右側部真空断熱パネル74よりも厚く、すなわち断熱性能が高く設定されている。これによれば、左側部断熱壁44及び右側部断熱壁45を、全体としてより断熱性能の高いものにすることができる。
第2底部真空断熱パネル77(第2真空断熱パネル)は、板状の真空断熱パネルを折り曲げるようにして形成された屈曲部774を有している。ここで、第2底部真空断熱パネル77の製造時の折り曲げ性を良くするために、第2底部真空断熱パネル77を薄く形成することが考えられる。この場合、第2底部真空断熱パネル77を薄くして折り曲げ性を向上させた代わりに、その薄くした分だけ第2底部真空断熱パネル77の断熱性能が犠牲になる。そこで、本実施形態において、第1底部真空断熱パネル76(第1真空断熱パネル)は、屈曲部774を避けた位置に配置されている。これにより、第2底部真空断熱パネル77について、断熱性能を犠牲にして折り曲げ性能を向上させたとしても、底部断熱壁47としては十分な断熱性能を確保することができる。
なお、上記実施形態において、2重構造となる2枚の真空断熱パネルの断熱性能を異ならせる方法としては、真空断熱パネルの厚みを厚くする方法に限られず、芯材の材料に有機材料を使用する方法や、芯材に使用する繊維材料の径を変更する方法などを採用してもよい。
脚支持部材67は、ねじ69によって底板64に取り付けられる構成に限らない。例えば、脚支持部材67の一部と、底板64に形成された穴等とが係止することで、脚支持部材67が底板64に取り付けられる構成でもよい。
発泡断熱材43は、発泡ウレタンに限られず、発泡ウレタンと同様の性能を有する断熱材であればよい。
保護部材は、薄板80に限られず、例えばいわゆるソフトテープ等でもよい。
各貯蔵室の数及び配置は、上記実施形態のものに限られない。例えば、冷蔵庫10の最上部に冷蔵室つまり冷蔵温度帯の貯蔵室を設け、冷蔵庫10の最下部に野菜室つまり冷蔵温度帯の貯蔵室を設け、これら冷蔵室と野菜室との間に冷凍温度帯の貯蔵室を設ける構成でもよい。
上記実施形態の冷蔵庫10は、冷蔵温度帯の貯蔵室を冷却するための冷蔵用冷却器20と、冷凍温度帯の貯蔵室を冷却するための冷凍用冷却器21との2つの冷却器を備えていたが、この構成に限られない。例えば、1つの冷却器を用いて、冷蔵温度帯の貯蔵室と冷凍温度帯の貯蔵室とを冷却する構成でもよい。
外箱60は、左板61、右板62、天井板63、及び底板64を組み合わせて構成されているが、これに限られない。例えば、1枚の板を折り曲げることによって複数の各板を一体に構成してもよい。
各断熱壁ついて、2枚の真空断熱パネルを有する2重構造を例に説明を行ったが、真空断熱パネルの枚数は2枚に限られず、3枚以上の複数の真空断熱パネルを重ねて設けて断熱壁を構成してもよい。
以上、本発明の一実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。