以下、本開示に係る自動分析装置の一実施の形態について、図面に基づき説明する。
図1は、本開示に係る自動分析装置の一実施例の概略全体構成図である。
図1において、自動分析装置1は、検体ディスク4と、試薬ディスク5と、反応ディスク6とを有する分析ユニット2と、これら各部を制御する制御ユニット3とを備えている。
検体ディスク4には、検体が封入された検体容器7がディスク周方向に沿って複数搭載される。試薬ディスク5は、装置内の試薬保管庫として、試薬が封入された試薬容器8等がディスク周方向に沿って複数搭載される。反応ディスク6には、試料(検体)と試薬を反応させて生成した反応液を生成する反応容器9がディスク周方向に沿って複数装着されている。
検体ディスク4は、複数の検体容器7が着脱可能に搭載される回動可能なディスク本体と、ディスク本体を回動してディスク本体の回動方向に沿って検体容器7を移動変位させるディスク回動機構とを有する。検体ディスク4は、その回動によって、搭載されている複数の検体容器7の中の一の検体容器7を、ディスクの周方向に沿った所定位置(検体吸引位置)に配置することができる。
試薬ディスク5は、複数の試薬容器8が着脱可能に搭載される回動可能なディスク本体と、ディスク本体を回動してディスク本体の回動方向に沿って試薬容器8を移動変位させるディスク回動機構と、ディスク本体に搭載された複数の試薬容器8を保冷する試薬保冷庫11とを有する。試薬保冷庫11は、ディスク本体に搭載された複数の試薬容器8を、ディスク本体が回動可能な状態で収容する。試薬保冷庫11には、保冷庫温度調整機構12が備えられている。保冷庫温度調整機構12は、試薬保冷庫11に形成された水循環エリアに冷水を循環供給させながら、試薬保冷庫11内の雰囲気を所望温度(例えば数℃)に保つ。試薬ディスク5は、その回動によって、保冷状態にある複数の試薬容器8の中の一の試薬容器8を、ディスクの周方向に沿った所定位置(試薬吸引位置)に配置することができる。なお、ここでは、試薬ディスク5に搭載される複数の試薬容器8の中には、例えば反応容器9の洗浄に用いる洗剤、反応槽14内の恒温水(反応槽循環水)の汚濁防止用(光透過性低下防止用)の洗剤、反応容器9内の反応液を希釈する希釈液等といった試薬以外の使用液を収容した試薬容器8も適宜含まれる。
反応ディスク6は、複数の反応容器9を保持する回動可能なディスク本体と、ディスク本体を回動してディスク本体の回動方向に沿って反応容器9を移動変位させるディスク回動機構と、ディスク本体に保持された複数の反応容器9を恒温状態に保つ反応槽14とを有する。反応槽14は、ディスク本体に搭載された複数の反応容器9を、ディスク本体が回動可能な状態で、槽内に貯留されている恒温水に浸漬させた状態で収容する。反応槽14には、反応槽温度調整機構15が備えられている。反応槽温度調整機構15は、槽内に貯留されている恒温水を循環させながら所望温度(例えば37℃)に保つ。反応ディスク6は、その回動によって、恒温状態にある複数の反応容器9の中の一の反応容器を、ディスクの周方向に沿った所定位置(検体分注位置、試薬分注位置等)に配置することができる。
また、自動分析装置1には、検体ディスク4と反応ディスク6との間、及び試薬ディスク5と反応ディスク6との間の装置上に位置させて、検体分注機構17、試薬分注機構21が設置されている。
検体分注機構17は、可動アーム18と、可動アーム18の先端側に設けられたピペットノズル(分注プローブ)からなる検体分注ノズル19(図3参照)と、シリンジ(シリンジポンプ)を備えた検体吸引・吐出機構部(図示省略)とを有する。可動アーム18は、その回動によって、検体ディスク4の周方向に沿った所定位置(検体吸引位置)と反応ディスク6の周方向に沿った所定位置(検体分注位置)とを通るアームの回動軌跡に沿って、アーム先端側に配置された検体分注ノズル19を移動変位させる。加えて、可動アーム18は、例えばそのアーム自体が回動軸方向に沿って移動変位自在になっており、アーム先端側の検体分注ノズル19をアームの回動軸方向に沿って進退変位(昇降変位)させることもできる。検体分注ノズル19は、検体吸引・吐出機構部と連通接続され、検体吸引・吐出機構部のシリンジの作動に応じて、ノズル筒先から検体をノズル内に吸引して吸入保持したり、ノズル内に吸入保持されている検体をノズル筒先から吐出する。また、検体吸引・吐出機構部には、検体分注ノズル19内を含み、吸引した検体が浸入する液流路部分を洗浄するノズル内洗浄機構部(図示省略)も備えられている。検体が浸入する分注ノズル内を含む液流路を洗浄した使用済みの洗浄水(検体分注ノズル内面洗浄水)は、検体吸引・吐出機構部によってノズル筒先から外部に排出される。
試薬分注機構21は、可動アーム22と、可動アーム22の先端側に設けられたピペットノズル(分注プローブ)からなる試薬分注ノズル23(図3参照)と、シリンジ(シリンジポンプ)を備えた試料吸引・吐出機構部(図示省略)とを有する。可動アーム22は、その回動によって、試薬ディスク5の周方向に沿った所定位置(試薬吸引位置)と反応ディスク6の周方向に沿った所定位置(試薬分注位置)とを通るアームの回動軌跡に沿って、アーム先端側に配置された試薬分注ノズル23を移動変位させる。加えて、可動アーム22は、例えばそのアーム自体が回動軸方向に沿って移動変位自在になっており、アーム先端側の試薬分注ノズル23をアームの回動軸方向に沿って進退変位(昇降変位)させることもできる。試薬分注ノズル23は、試料吸引・吐出機構部と連通接続され、試料吸引・吐出機構部のシリンジの作動に応じて、ノズル筒先から試薬,洗剤,又は希釈液等をノズル内に吸引して吸入保持したり、ノズル内に吸入保持されている試薬,洗剤,又は希釈液等をノズル筒先から吐出(放出)する。また、試料吸引・吐出機構部には、試薬分注ノズル23内を含み、試薬,洗剤,又は希釈液等が浸入する液流路部分を洗浄するノズル内洗浄機構部(図示省略)も備えられている。分注ノズル内を含む、試薬,洗剤,又は希釈液等が浸入する液流路を洗浄した使用済みの洗浄水(試薬分注ノズル内面洗浄水)は、試料吸引・吐出機構部によってノズル筒先から外部に排出される。
さらに、自動分析装置1における反応ディスク6のディスク周りには、これら検体分注機構17、試薬分注機構21とともに、それぞれによる作業位置をディスク周方向に沿って互いにずらして、撹拌機構25、測光系29、反応容器洗浄機構31が配置されている。
撹拌機構25は、可動アーム26と、可動アーム26の先端側に設けられた撹拌棒27(図3参照)とを有する。可動アーム26は、その回動によって、反応ディスク6の周方向に沿った所定位置(撹拌位置)と反応ディスク6外方の所定位置とを通るアームの回動軌跡に沿って、アーム先端側に配置された撹拌棒27を移動変位させる。加えて、可動アーム26は、例えばそのアーム自体が回動軸方向に沿って移動変位自在になっており、アーム先端側の撹拌棒27をアームの回動軸方向に沿って進退変位(昇降変位)させることもできる。撹拌機構25は、反応ディスク6のディスク周りの所定位置に配置された反応容器9内の反応液に撹拌棒27を浸漬させた状態で、撹拌棒27自体を反応液中で上下動変位若しくは回動させることにより、反応液の撹拌を行う。
測光系29は、反応ディスク6のディスク本体の回動よって移動変位する反応容器9が通過する測光位置を挟んで相対向して配置された光源(図示省略)と散乱光度計(図示省略)と有する。測光系29は、反応液が収容され、光源と散乱光度計との間の測光位置に位置する反応容器9に対して、光源から測定光を照射し、その散乱光を散乱光度計により測光する。測光系29は、反応ディスク6のディスク本体の間歇回転による回動変位によって反応容器9が測光位置に配置される毎に、容器内の反応液の散乱光を測定する。測光系29は、散乱光度計と同軸光軸上に又は別ポジションに、多波長吸光光度計を備えた構成であってもよい。
反応容器洗浄機構31は、反応ディスク6に装着された反応容器9を種々の分析での繰り返し使用を可能にするため、依頼項目の分析が終わった容器内の反応液を廃棄するとともに、新たな依頼項目の分析での使用に備えて容器内の洗浄を行う。反応容器洗浄機構31は、洗浄水供給機構(図示省略)に連通接続されて洗浄水を吐出可能な洗浄水吐出ノズル32(図3参照)と、洗浄排出機構(図示省略)に連通接続されて反応容器9内に貯留している洗浄水等を吸引可能な洗浄水吸引ノズル33(図3参照)とを有する。洗浄水吐出ノズル32、洗浄水吸引ノズル33は、反応ディスク6のディスク周りの所定位置(反応容器洗浄位置)に配置された反応容器9内に対して、図示せぬ駆動機構によってそれぞれ独立に進退自在(昇降自在)になっている。反応容器洗浄機構31は、洗浄水吐出ノズル32による反応容器9内への洗浄水の供給充填と、反応容器9内に充填された洗浄水(反応容器洗浄水)の洗浄水吸引ノズル33による吸引廃棄とを適宜回数繰り返しながら、反応容器9の容器内を洗浄する。その際、洗浄水吐出ノズル32、洗浄水吸引ノズル33は、容器内の液面変位に連動して進退され、反応容器9内に貯留された洗浄水によるノズルの汚染が防止できるようになっている。
また、自動分析装置1の装置上には、検体分注機構17の検体分注ノズル19の移動軌跡上の適宜位置、試薬分注機構21の試薬分注ノズル23の移動軌跡上の適宜位置、撹拌機構25の撹拌棒27の移動軌跡上の適宜位置に、検体分注ノズル洗浄槽35、試薬分注ノズル洗浄槽36、撹拌棒洗浄槽37が設けられている。各洗浄槽35,36,37には、洗浄水供給機構から供給される洗浄水を槽内に配置された洗浄対象物(検体分注ノズル19、試薬分注ノズル23、又は撹拌棒27)の外面に向けて吐出する洗浄水吐出口38(図3参照)と、槽内に貯まる使用済みの洗浄水(検体分注ノズル外面洗浄水、試薬分注ノズル外面洗浄水、又は撹拌棒外面洗浄水)を排出する洗浄水排出口39(図3参照)とが備えられている。各洗浄槽35,36,37は、槽内に配置された洗浄対象物(検体分注ノズル19、試薬分注ノズル23、撹拌棒27)の外面に付着している汚染物(検体、試薬、反応液等)を、洗浄水でため洗い及び/又は流し洗い可能になっている。
制御ユニット3は、インターフェース41を介して分析ユニット2を制御する制御装置42と、試料の分析に関する情報を記憶する記憶装置43と、情報や指示を入力するための入力装置44と、情報を表示するための表示装置45とを備えている。制御ユニット3は、分析ユニット2の上述した各部を制御装置42により次に述べるようにして作動制御して、試料測定を行わせる。
制御ユニット3は、依頼項目の分析パラメータにしたがって検体分注機構17に所定量の検体を吸入させ、検体分注ノズル19内に吸入保持する。制御ユニット3は、反応ディスク6の間歇回動により、洗浄済の反応容器9が検体分注機構17の検体吐出位置に配置されると、検体分注機構17に検体分注ノズル19内に吸入保持してある検体をこの反応容器9内に所定量だけ吐出させて検体の分注を行う。
制御ユニット3は、反応ディスク6の間歇回動により、検体の分注が済み、試薬の分注が済んでいない反応容器9が試薬分注機構21の試薬吐出位置に配置されるのにタイミングに合わせて、依頼項目の分析パラメータにしたがって、試薬ディスク5を回動変位させて分注する試薬の試薬容器8を試薬分注機構21の試薬吸入位置に配置し、試薬分注機構21に所定量の試薬を吸引させてノズル内に吸入保持する。制御ユニット3は、反応ディスク6の間歇回動により、検体の分注が済み試薬の分注が済んでいない反応容器9が試薬分注機構21の試薬吐出位置に配置されると、試薬分注機構21にノズル内に吸入保持してある試薬を反応容器9内に所定量だけ吐出させて試薬の分注を行う。それから、制御ユニット3は、反応ディスク6の間歇回動により、検体及び試薬の分注が済んだ反応容器9が撹拌機構25の撹拌位置に配置されると、生成された反応液(検体、試薬の混合液)の撹拌を行わせる。
一方で、制御ユニット3は、反応容器9に生成された反応液が分析依頼項目の分析パラメータで設定された分析タイミングになると、反応ディスク6の間歇回動により、その反応容器9を測光系29の測光位置に配置する。そして、反応容器9が測光系29の測光位置に配置されると、測光系29による検出出力を取り込んで反応液の吸光度の測定等を行い、検体の分析依頼項目の試料測定・分析結果を演算する。そして、記憶装置43にこの検体の分析依頼項目に対応させて、その試料測定・分析結果を記憶する。
また、制御ユニット3は、分析依頼項目の分析が済んだ反応液の反応容器9については、反応ディスク6の間歇回動により、反応容器洗浄機構31の洗浄位置に配置されると、新たな分析依頼項目の分析での使用に備えて、反応容器洗浄機構31に分析が済んだ反応液の廃棄及び容器内面の洗浄を行わせる。同様にして、制御ユニット3は、検体分注機構17の検体分注ノズル19、試薬分注機構21の試薬分注ノズル23、撹拌機構25の撹拌棒27についても、上述したようにして、検体の分注、試薬の分注、反応液の撹拌を終えると、それぞれ対応する洗浄槽35、36、37に検体分注ノズル19、試薬分注ノズル23、撹拌棒27を配置して、新たな検体分注作業、試薬分注作業、反応液の撹拌作業に備えてそれぞれの洗浄を行う。
このような自動分析装置1の分析ユニット2では、その稼働において、水は、後述の図4に示すように、
◇ 試薬ディスク5における試薬保冷庫11の試薬保冷循環水Wa、
◇ 反応ディスク6における反応槽14の反応槽循環水(恒温循環水)Wb、
◇ 検体分注機構17のノズル内洗浄機構部が、検体分注ノズル19内を含む、吸引した検体が浸入する液流路部分を洗浄する洗浄水Wci、
◇ 試薬分注機構21のノズル内洗浄機構部が、試薬分注ノズル23内を含む、吸引した試薬が浸入する液流路部分を洗浄する洗浄水Wdi、
◇ 反応容器洗浄機構31が、依頼項目の分析が終わった反応容器9の内面を洗浄する洗浄水We、
◇ 検体分注ノズル洗浄槽35で、検体分注機構17の検体分注ノズル19の外面を洗浄する洗浄水Wco、
◇ 試薬分注ノズル洗浄槽36で、試薬分注機構21の試薬分注ノズル23の外面を洗浄する洗浄水Wdo、
◇ 撹拌棒洗浄槽37で、撹拌機構25の撹拌棒27の外面を洗浄する洗浄水Wf、
として使用されている。
これに伴い、自動分析装置1の分析ユニット2では、後述の図2に示すように、
◆ 試薬ディスク5における試薬保冷庫11の試薬保冷性能維持のために試薬保冷循環水を交換する際には、それまで使用されていた試薬保冷循環水Waが、
◆ 反応ディスク6における反応槽14の恒温性能維持、及び測光系29の測定性能保障のために反応槽循環水を交換する際には、それまで使用されていた反応槽循環水Wbが、
◆ 検体分注機構17のノズル内洗浄機構部による検体分注ノズル19内の洗浄時には、検体分注ノズル内面洗浄水Wciが、
◆ 試薬分注機構21のノズル内洗浄機構部による試薬分注ノズル23内の洗浄時には、試薬分注ノズル内面洗浄水Wdiが、
◆ 反応容器洗浄機構31による反応容器9の内面洗浄時には、反応容器洗浄水Weが、
◆ 検体分注ノズル洗浄槽35での検体分注ノズル19の外面洗浄時には、検体分注ノズル外面洗浄水Wcoが、
◆ 試薬分注ノズル洗浄槽36での試薬分注ノズル23の外面洗浄時には、試薬分注ノズル外面洗浄水Wdoが、
◆ 撹拌棒洗浄槽37での撹拌棒27の外面洗浄時には、撹拌棒外面洗浄水Wfが、
それぞれ使用済みの洗浄水からなる汚染水として新たに生成される。
図2は、分析ユニットの各機構で使用された循環水並びに洗浄水に係り、各機構別で使用後の汚染レベルについての説明図である。
これら自動分析装置1の分析ユニット2の各機構で生成される汚染水W(Wa,Wb,Wci,Wco,Wdi,Wdo,We,Wf)は、各機構の洗浄対象物並びに洗剤の使用状況並びに応じて、例えば、水、洗剤が含まれる水溶液、試薬が含まれる水溶液、検体が含まれる水溶液に種別され、図2に示すようになる。
検体分注ノズル19の内面及び外面の洗浄には、通常、水(特に純水)Wが使用される。そのため、洗浄で使用された後の検体分注ノズル内面洗浄水Wciや検体分注ノズル外面洗浄水Wcoは、洗浄された検体が含まれた水溶液になる。
また、試薬分注ノズル23の内面及び外面の洗浄には、通常、水(特に純水)に加えて、分注した試薬の種類に応じてアルカリ性洗剤又は酸性洗剤も使用される。そのため、洗浄で使用された後の試薬分注ノズル内面洗浄水Wdiや試薬分注ノズル外面注洗浄水Wdoは、洗浄された試薬に加え、アルカリ性洗剤又は酸性洗剤が含まれた水溶液になる。さらに、試薬分注機構21を使用して、装置上の図示せぬ洗剤投入口から反応槽14内に反応槽用洗剤を注入する構成の自動分析装置1にあっては、反応槽用洗剤の注入で使用された後の試薬分注ノズル内面洗浄水Wdiや試薬分注ノズル外面注洗浄水Wdoは、反応槽用洗剤が含まれた水溶液になる。
また、反応液を撹拌する撹拌棒27の外面の洗浄には、通常、水(特に純水)に加えて、試薬成分を洗浄するために試薬の種類に応じたアルカリ性洗剤又は酸性洗剤も使用される。そのため、洗浄で使用された後の試薬分注ノズル内面洗浄水Wdiや試薬分注ノズル外面注洗浄水Wdfは、洗浄された検体や試薬に加え、アルカリ性洗剤又は酸性洗剤が含まれた水溶液になる。
また、交換された後の反応槽循環水Wbは、循環水として使用される水(特に純水)に加えて、槽内の洗浄のために加えられた反応槽洗剤が含まれた水溶液になる。なお、交換された後の反応槽循環水Wbに含まれる反応槽洗剤成分の濃度は、反応槽14内に貯留されている水の量(例えば、850ml)自体が多いので、大いに希釈されたものになる。
また、試薬保冷循環水には、反応槽循環水と同様に循環水として水(特に純水)が使用されるが、試薬保冷循環水は、反応槽循環水とは異なり、試薬保冷庫11の水循環エリアは外部に対して交換時以外は密閉された状態に保たれているため、交換の際には水循環エリアの洗浄のための洗剤は加えられない。そのため、交換された後の試薬保冷循環水Waには、検体、試薬に加え、洗剤成分も含まれない。
また、反応容器洗浄水Weは、反応液が検体と試薬との混合液であるため、洗浄で使用された後の反応容器洗浄水Weには、洗浄された検体成分及び試薬成分に加え、試薬成分を洗浄するためのアルカリ性洗剤又は酸性洗剤も含まれた水溶液になる。
そこで、自動分析装置1では、これら汚染水W(Wa,Wb,Wci,Wco,Wdi,Wdo,We,Wf)を、含有物質を基に、図2に示す汚染レベルとして分類している。分類分けの基準としては、検体を含有する場合は汚染レベルが高いレベル3とし、検体を含有せずに試薬又は洗剤を含有する場合は汚染レベルが低いレベル2とし、検体も試薬も含有せず主成分が水の場合はさらに汚染レベルが低いレベル1としている。その結果、検体分注ノズル外面洗浄水Wco、検体分注ノズル内面洗浄水Wci、撹拌棒外面洗浄水Wf、及び反応容器洗浄水Weはレベル3に、試薬分注ノズル外面洗浄水Wdo及び試薬分注ノズル内面洗浄水Wdiはレベル2に、反応槽循環水Wb及び試薬保冷循環水Waはレベル1に分類されることになる。
その上で、自動分析装置1には、これら汚染水W(Wa,Wb,Wci,Wco,Wdi,Wdo,We,Wf)を汚染レベル毎に別けて回収して再利用するための汚染水再利用システム50が設けられている。
図3は、自動分析装置に設けられた汚染水再利用システムのシステム構成図である。図中、図1において説明した構成要素については、同一符号を付して説明する。
汚染水再利用システム50は、汚染水を汚染レベル1〜3毎に別けて回収する汚染水貯水槽52(52-1〜3)と、汚染レベル1〜3毎の汚染水分離機構55(55-1〜3)と、汚染レベル1〜3毎の汚染水分離機構55それぞれにより分離された再利用可能な水(分離水)を貯留しておく分離水貯水槽57と、装置内又は外部の純水生成機構(図示せず)で生成された純水を貯留しておく純水貯水槽64と、分離水貯水槽57に貯留されている再利用可能な分離水を送水する分離水送水ポンプ66と、純水貯水槽64に貯留されている純水を送水する純水送水ポンプ68と、分離水送水ポンプから送水される分離水及び純水貯水槽から送水される純水を装置内の水を使用する各機構に供給制御する供給制御部70とを有する。
第1の汚染水貯水槽52-1は、第1の汚染水収集管路51-1を介して、試薬ディスク5の試薬保冷循環水の交換排出口(図示省略)と、反応ディスク6の反応槽循環水の交換排出口(図示省略)とにそれぞれ連通接続されている。第1の汚染水貯水槽52-1には、試薬ディスク5の試薬保冷循環水の交換時及び反応ディスク6の反応槽循環水の交換時に、汚染レベル1の汚染水として、使用済みの試薬保冷循環水Wa及び反応槽循環水Wbが回収されて貯留される。
第2の汚染水貯水槽52-2は、第2の汚染水収集管路51-2を介して、試薬分注ノズル洗浄槽36の洗浄水排出口39に連通接続されている。第2の汚染水貯水槽52-2には、試薬分注ノズル23の洗浄時に、汚染レベル2の汚染水として、使用済みの試薬分注ノズル外面洗浄水Wdo及び試薬分注ノズル内面洗浄水Wdiが回収されて貯留される。
第3の汚染水貯水槽52-3は、第3の汚染水収集管路51-3を介して、検体分注ノズル洗浄槽35及び撹拌棒洗浄槽37のそれぞれ洗浄水排出口39と、反応容器洗浄機構31の反応容器洗浄水排出口(図示省略)とにそれぞれ連通接続されている。第3の汚染水貯水槽52-3には、検体分注ノズル19及び撹拌棒27の洗浄時並びに反応容器9の洗浄時に、汚染レベル3の汚染水として、使用済みの検体分注ノズル外面洗浄水Wco及び検体分注ノズル内面洗浄水Wci、使用済みの撹拌棒外面洗浄水Wf、並びに使用済みの反応容器洗浄水Weが回収されて貯留される。
第1の汚染水貯水槽52-1は、開閉制御弁53-1が設けられた接続連通管路54-1を介して、第1の汚染水分離機構55-1と連通接続されている。第1の汚染水分離機構55-1は、例えばメッシュフィルタ等のろ過フィルタによって構成され、検体も試薬も含有せず主成分が水である汚染レベル1の汚染水を、再利用可能な水(分離水)と、反応槽洗剤や反応槽14の反応槽循環水に外部雰囲気から混入した塵埃を含有する再利用できない水(廃棄水)とに分離する。
第2の汚染水貯水槽52-2は、開閉制御弁53-2が設けられた接続連通管路54-2を介して、第2の汚染水分離機構55-2と連通接続されている。第2の汚染水分離機構55-2は、例えば膜分離機構によって構成され、検体を含有せずに試薬又は洗剤を含有する汚染レベル2の汚染水を、試薬及び洗剤が含有されていない再利用可能な水(分離水)と、除去された試薬及び洗剤を含有する再利用できない水(廃棄水)とに分離する。
第3の汚染水貯水槽52-3は、開閉制御弁53-3が設けられた接続連通管路54-3を介して、第3の汚染水分離機構55-3と連通接続されている。第3の汚染水分離機構55-3は、例えば蒸留分離機構によって構成され、汚染レベル3の汚染水を、検体、試薬及び洗剤が含有されていない再利用可能な水(分離水)と、除去された検体、試薬及び洗剤を含有する再利用できない水(廃棄水)とに分離する。
このようにして、各汚染水分離機構55(55-1〜3)で分離された再利用可能な水は、分離水収集管路56を介して、分離水貯水槽57に収集されて貯留される。また、各汚染水分離機構55(55-1〜3)で分離された再利用できない水は、廃棄水収集管路58を介して、廃棄水貯水槽59に収集されて貯留される。廃棄水貯水槽59に貯留された廃棄水は、例えば、試薬ディスク5の試薬保冷循環水の交換が行われる定期メンテナンス時等に、廃棄弁61を開弁して廃棄される。
そして、分離水貯水槽57に貯留されている再利用可能な分離水は、分離水送水ポンプ66の作動によって、供給制御部70を介して、装置内の水を使用する機構に供給制御される。また、純水貯水槽64に貯留されている純水は、純水送水ポンプ68の作動によって、装置内の水を使用する機構に供給制御される。
図示の例では、供給制御部70は、検体分注機構17のノズル内洗浄機構部(図示省略)及び試薬分注機構21のノズル内洗浄機構部(図示省略)に対しては、吸入した検体や試薬に対してのコンタミを防止するため、純水貯水槽64に貯留されている純水だけを検体分注ノズル内面洗浄水Wci、試薬分注ノズル内面洗浄水Wdiとして供給できる構成になっている。供給制御部70は、それ以外の、検体分注ノズル洗浄槽35、試薬分注ノズル洗浄槽36、撹拌棒洗浄槽37、反応ディスク6の反応槽14、試薬ディスク5の試薬保冷庫11に形成された水循環エリア、反応容器洗浄機構31の洗浄水吐出ノズル32に対しては、それぞれ検体分注ノズル外面洗浄水Wco、試薬分注ノズル外面洗浄水Wdo、撹拌棒外面洗浄水Wf、反応槽循環水Wb、試薬保冷循環水Waとして、純水貯水槽64に貯留されている純水だけではなく、分離水貯水槽57に貯留されている再利用可能な分離水も選択的に供給できる構成になっている。
そして、これら検体分注ノズル内面洗浄水Wci、試薬分注ノズル内面洗浄水Wdi、検体分注ノズル外面洗浄水Wco、試薬分注ノズル外面洗浄水Wdo、撹拌棒外面洗浄水Wf、反応槽循環水Wb、試薬保冷循環水Waは、制御ユニット3の制御装置43が、記憶装置43に記憶されている所定の手順にしたがって、汚染水再利用システム50の開閉制御弁53、汚染水分離機構55、分離水送水ポンプ66、純水送水ポンプ68、供給制御部70をそれぞれ作動制御して行う。
本実施例では、汚染水再利用システム50では、制御ユニット3の制御装置42が、所定の手順として、汚染水貯水槽52-1〜3にそれぞれ回収されて貯留される汚染レベル1〜3それぞれの汚染水の貯留状況に応じて開閉制御弁53-1〜3それぞれを開弁制御し、汚染レベル1〜3の汚染水をそれぞれ対応レベルの汚染水分離機構55-1〜3に供給制御することによって、汚染水分離機構55-1〜3それぞれを作動制御して再利用可能な分離水と再利用できない廃棄水とに分離させる。そして、制御装置42は、汚染水貯水槽52-1〜3にそれぞれ回収されて貯留される汚染レベル1〜3それぞれの汚染水の貯留状況、すなわち分離水貯水槽57に貯留されている又は貯留される分離水の貯留状況に応じて、分離水送水ポンプ66、純水送水ポンプ68、供給制御部70を作動制御して、検体分注ノズル洗浄槽35、試薬分注ノズル洗浄槽36、撹拌棒洗浄槽37、反応ディスク6の反応槽14、試薬ディスク5の試薬保冷庫11に形成された水循環エリア、反応容器洗浄機構31の洗浄水吐出ノズル32に対し、純水貯水槽64に貯留されている純水に替えて分離水貯水槽57に貯留されている分離水を供給制御する。このようにして、汚染水再利用システム50では、自動分析装置1の水を使用する各機構で一度に使用される水(消費水)を、検体分注ノズル外面洗浄水Wco、試薬分注ノズル外面洗浄水Wdo、撹拌棒外面洗浄水Wf、反応槽循環水Wb、試薬保冷循環水Waとして再利用できるようになっている。
図4は、自動分析装置の分析ユニットにおける、水を使用する各機構で一度に使用される消費水の種別毎の、容量割合、消費頻度、使用後における回収先の汚染水貯水槽、分離機構の種別の相互関係を示した関係表である。
図4では、試薬保冷循環水Waは、一度に2200mLが必要とされ、容量割合で、自動分析装置1全体で一度に使用される水全体の70%分に相当し、消費頻度として30日(ひと月)に1回の定期メンテナンス毎の交換で全量を交換するために必要とされることが示されている。また、交換された試薬保冷循環水Waは、汚染レベル1の汚染水として第1の汚染水貯水槽52-1に貯留され、ろ過フィルタによる第1の汚染水分離機構55-1で再利用可能な水と再利用できない水とに分離されることが示されている。
同様に、反応槽循環水Wbは、一度に850mLが必要とされ、容量割合で、自動分析装置1全体で一度に使用される水全体の27.5%分に相当し、消費頻度として、1日1回の装置電源のオンで全量を交換するために必要とされることが示されている。また、交換された反応槽循環水Wbは、汚染レベル1の汚染水として第1の汚染水貯水槽52-1に貯留され、ろ過フィルタによる第1の汚染水分離機構55-1で再利用可能な水と再利用できない水とに分離されることが示されている。
試薬分注ノズル外面洗浄水Wdo及び試薬分注ノズル内面洗浄水Wdiからなる試薬分注ノズル23の洗浄水は、1回の洗浄で10mLが必要とされ、容量割合で、自動分析装置1全体で一度に使用される水全体の0.3%分に相当し、消費頻度として、分析作動中の装置において略10秒毎に1回行われる試薬分注ノズル23の洗浄で必要とされることが示されている。また、洗浄後の試薬分注ノズル外面洗浄水Wdo及び試薬分注ノズル内面洗浄水Wdiは、汚染レベル2の汚染水として第2の汚染水貯水槽52-2に貯留され、膜分離による第2の汚染水分離機構55-2で再利用可能な水と再利用できない水とに分離されることが示されている。
検体分注ノズル外面洗浄水Wco及び検体分注ノズル内面洗浄水Wciからなる検体分注ノズル23の洗浄水は、1回の洗浄で10mLが必要とされ、容量割合で、自動分析装置1全体で一度に使用される水全体の0.3%分に相当し、消費頻度として、分析作動中の装置において略10秒毎に1回行われる検体分注ノズル23の洗浄で必要とされることが示されている。また、洗浄後の検体分注ノズル外面洗浄水Wco及び検体分注ノズル内面洗浄水Wciは、汚染レベル3の汚染水として第3の汚染水貯水槽52-3に貯留され、蒸留による第3の汚染水分離機構55-3で再利用可能な水と再利用できない水とに分離されることが示されている。
撹拌棒洗浄槽37での撹拌棒外面洗浄水Wfは、1回の洗浄で10mLが必要とされ、容量割合で、自動分析装置1全体で一度に使用される水全体の0.3%分に相当し、消費頻度として、分析作動中の装置において略10秒毎に1回行われる撹拌棒27の洗浄で必要とされることが示されている。また、洗浄後の撹拌棒外面洗浄水Wfは、汚染レベル3の汚染水として第3の汚染水貯水槽52-3に貯留され、蒸留による第3の汚染水分離機構55-3で再利用可能な水と再利用できない水とに分離されることが示されている。
反応容器洗浄機構31での反応容器洗浄水Weは、1つの反応容器6の洗浄で50mLが必要とされ、容量割合で、自動分析装置1全体で一度に使用される水全体の1.6%分に相当し、消費頻度として、分析作動中の装置において略10秒毎に1回行われる反応容器6の洗浄で必要とされることが示されている。また、洗浄後の反応容器洗浄水Weは、汚染レベル3の汚染水として第3の汚染水貯水槽52-3に貯留され、蒸留による第3の汚染水分離機構55-3で再利用可能な水と再利用できない水とに分離されることが示されている。
また、第1〜3の汚染水分離機構55-1〜3の間では、それぞれの汚染水の分離構造の違いから、汚染水の分離速度は、ろ過方式による第1の汚染水分離機構55-1よりも膜分離方式による第2の汚染水分離機構55-2が、膜分離方式による第2汚染水分離機構55-2よりも蒸留方式による第3の汚染水分離機構55-3が、分離処理時間が長くなり、それぞれの分離処理時間は、第1の汚染水分離機構55-1<第2の汚染水分離機構55-2<第3の汚染水分離機構55-3、の関係になる。
そこで、本実施例の汚染水再利用システム50では、所定の手順として、第3汚染水分離機構55-3と比べて分離処理時間が短くて済み、検体が含まれていない第1、第2の汚染水から第1の汚染水分離機構55-1、第2汚染水分離機構55-2によって分離された再利用可能な水(分離水)をベースにして、装置内における水を使用する機構に供給調整する。
また、第1、第2の汚染水が貯留される第1の汚染水貯水槽52-1、第2の汚染水貯水槽52-2それぞれの汚染水の貯留量に応じて、この分離水貯水槽57に貯留されている分離水の供給先を変更し、純水貯水槽64に貯留されている純水に替えて分離水貯水槽57に貯留されている分離水を使用する、装置内における水を使用する機構を調整する。
具体的には、汚染レベル1の汚染水が貯留される第1の汚染水貯水槽52-1の大きさ(容量)については、例えば容量割合が70%分である2200mLの試薬保冷循環水Waと容量割合が27.5%分である850mLの反応槽循環水Wbとを一度に貯留可能な大きさ(容量)よりも大きくなっている。そして、第1の汚染水貯水槽52-1には、自動分析装置1全体で一度に使用される水全体の27.5%(850mL=Wb)分以上に対応する汚染水が貯留されているか否かを検知するための液面センサ(液量センサ)72が設けられている。
また、汚染レベル2の汚染水が貯留される第2の汚染水貯水槽52-2の大きさ(容量)については、例えば1日の分析で生じる汚染レベル2の汚染水の総量よりも大きく、さらに自動分析装置1全体で一度に使用される水全体の量(3130mL=Wa+Wb+Wdo+Wdi+Wco+Wci+Wf+We)よりも大きな大きさ(容量)になっている。そして、第2の汚染水貯水槽52-2には、自動分析装置1全体で一度に使用される水全体の27.5%分(850mL=Wb)以上に対応する汚染水が貯留されているか否かを検知するための液面センサ(液量センサ)73と、自動分析装置1全体で一度に使用される水全体の97.5%(=27.5 %+70%=3050mL=Wa+Wb)分以上に対応する汚染水が貯留されているか否かを検知するための液面センサ(液量センサ)74が設けられている。
一方、汚染レベル3の汚染水が貯留される第3の汚染水貯水槽52-3の大きさは、例えば1日の分析で生じる汚染レベル3の汚染水の総量と第3の汚染水分離機構55-3の1日の処理能力とに基づいた大きさ(容量)になっている。
ここで、反応槽循環水Wbは、1日1回の装置電源のオンで全量が自動交換されるため、第1の汚染水貯水槽52-1には、その都度、自動分析装置1全体で一度に使用される水全体の27.5%分の量(850mL=Wb)のレベル1の汚染水が新たに貯留されることになる。そこで、本実施例の汚染水再利用システム50では、第1の汚染水貯水槽52-1に設けられた液面センサ72の検知出力より、自動分析装置1全体で一度に使用される水全体の27.5%分以上に対応する汚染水が貯留されるようになったときには、この液面センサ72の27.5%分以上の検知出力を第1の汚染水分離機構55-1の動作起点として開閉制御弁53-1を開弁し、第1の汚染水貯水槽52-1に貯留されているレベル1の汚染水を第1の汚染水分離機構55-1に供給開始する。これにより、本実施例では、第1の汚染水貯水槽52-1に貯留されたレベル1の汚染水の量に関して、自動分析装置1全体で一度に使用される水全体の27.5%分の量(850mL=Wb)が、第1の汚染水分離機構55-1においての再利用可能な水を分離する動作起点となっている。なお、この時開弁された開閉制御弁53-1は、第1の汚染水貯水槽52-1への次回の反応槽循環水Wb又は試薬保冷循環水Waの貯留に備えて、例えば自動分析装置1全体で一度に使用される水全体の97.5%分の量(3050mL=Wa+Wb)の処理に要する第1の汚染水分離機構55-1の処理時間を基に、制御装置42によって閉弁される。
このような動作起点により、第1の汚染水分離機構55-1で分離されたレベル1の汚染水由来の分離水は分離水貯水槽57に貯留される。そして、このような動作起点により、分離水貯水槽57に貯留されている分離水は、制御装置42によって分離水送水ポンプ66及び供給制御部70を作動制御し、
◇検体分注ノズル外面洗浄水Wco、
◇試薬分注ノズル外面洗浄水Wdo、
◇撹拌棒外面洗浄水Wf
として、検体分注ノズル洗浄槽35、試薬分注ノズル洗浄槽36、撹拌棒洗浄槽37それぞれに、純水に代えて供給される。これにより、これら検体分注ノズル洗浄槽35、試薬分注ノズル洗浄槽36、撹拌棒洗浄槽37では、第1の汚染水分離機構55-1で分離されたレベル1の汚染水由来の分離水が流入する分離水貯水槽57の分離水が、洗浄水Wco、Wdo、Wfとして使用されるようになり、洗浄水として利用される純水の節約をはかれる。
一方、試薬保冷循環水Waは、反応槽循環水Wbと同じレベル1の汚染水であっても、30日(ひと月)に1回の定期メンテナンス毎に全量が交換されるため、その都度、第1の汚染水貯水槽52-1には、自動分析装置1全体で一度に使用される水全体の70%分の量(2200mL=Wa)のレベル1の汚染水が新たに貯留されることになる。
ここで、試薬保冷循環水Waが交換された際には、その交換操作の設定入力等に基づいて、第1の汚染水分離機構55-1に自動分析装置1全体で一度に使用される水全体の27.5%分以上に対応する汚染水が貯留されるようになったときを動作起点として作動する第1の汚染水分離機構55-1に関係して、使用する水の供給源が分離水貯水槽57の分離水に切り替えられる装置内の機構を、
◇検体分注ノズル外面洗浄水Wco、
◇試薬分注ノズル外面洗浄水Wdo、
◇撹拌棒外面洗浄水Wf
に加えて、
◇反応槽循環水Wb、
◇反応容器洗浄水We
にも、純水に代えて供給される。そのために、例えば、制御装置42は、試薬保冷循環水Waの交換が設定された場合には、その後の液面センサ72の27.5%分以上の検知出力を基に、分離水送水ポンプ66及び供給制御部70を作動制御し、
◇反応槽循環水Wb、
◇反応容器洗浄水We
にも、純水に代えて分離水貯水槽57の分離水を供給制御する。
その後、制御装置42は、この反応槽循環水Wb及び反応容器洗浄水Weについての供給源の切替を、第1の汚染水貯水槽52-1に貯留されているレベル1の汚染水が、自動分析装置1全体で一度に使用される水全体の27.5%分の量(850mL=Wb)を切るまで、液面センサ72の検知出力を基に継続する。そして、制御装置42は、自動分析装置1全体で一度に使用される水全体の27.5%分の量(850mL=Wb)を切った場合には、再び試薬保冷循環水Waの交換操作が設定入力されるまでの間は、分離水貯水槽57からの反応槽循環水Wb及び反応容器洗浄水Weの供給は中止し、純水貯水槽64から反応槽循環水Wb及び反応容器洗浄水Weが必要なときに供給されるように、純水送水ポンプ68及び供給制御部70を作動制御する。
また、第1の汚染水貯水槽52-1に貯留されているレベル1の汚染水が、自動分析装置1全体で一度に使用される水全体の27.5%分の量(850mL=Wb)を切った後の、分離水貯水槽57からの検体分注ノズル外面洗浄水Wco、試薬分注ノズル外面洗浄水Wdo、及び撹拌棒外面洗浄水Wfの供給(特に供給停止)は、制御装置で、例えば27.5%分の量よりも少なくなったことが液面センサ72の検知出力から検出された後の検体分注ノズル19、試薬分注ノズル23、撹拌棒27それぞれの洗浄回数を管理することによって、供給制御することが可能である。
これに対し、第2の汚染水貯水槽52-2、第3の汚染水貯水槽52-3には、自動分析装置1の分析開始後は、10秒毎に汚染レベル2の汚染水、汚染レベル3の汚染水が貯留される。そこで、汚染水分離機構による分離速度が検体を含んでいないため再利用可能な水の分離速度が比較的速くなる汚染レベル2の汚染水が貯留される第2の汚染水貯水槽52-2には、自動分析装置1全体で一度に使用される水全体の27.5%(850mL=Wb)分以上に対応する汚染水が貯留されているか否かを検知するための液面センサ(液量センサ)73と、自動分析装置1全体で一度に使用される水全体の97.5%(3050mL=Wa+Wb)分以上に対応する汚染水が貯留されているか否かを検知するための液面センサ(液量センサ)74とが設けられている。
そして、汚染水再利用システム50では、液面センサ73の検知出力を基に自動分析装置1全体で一度に使用される水全体の27.5%(850mL=Wb)分以上に対応する汚染水が貯留されていないときには、反応槽循環水Wbに汚染レベル2の汚染水を再利用するための起点として、常時開弁状態の開閉制御弁53-2を介して、第2の汚染水貯水槽52-2に貯留されている汚染レベル2の汚染水は第2の汚染水分離機構55-2に供給され、この供給された汚染レベル2の汚染水の分離が第2の汚染水分離機構55-2によって行われる。そして、この間は、第2の汚染水分離機構55-2によって分離された再利用可能な水が流入する分離水貯水槽57に貯留されている分離水は、常時、反応容器洗浄水Weとして反応容器洗浄機構31に必要なときに供給される。
その後、汚染レベル2の汚染水の生成速度(発生速度)と第2の汚染水分離機構55-2の分離機構による分離処理時間との関係から、液面センサ73の検知出力を基に自動分析装置1全体で一度に使用される水全体の27.5%(850mL=Wb)分以上に対応する汚染水が第2の汚染水貯水槽52-2に貯留されていることが検出されると、第2の汚染水分離機構55-2で汚染レベル2の汚染水を分離して生成される再利用可能な水を、反応容器洗浄水Weに加えて、1日1回の装置電源のオン時に全量を交換する反応槽循環水Wbにも使用するための分離起点とする。ただし、装置電源のオン時に、自動分析装置1全体で一度に使用される水全体の27.5%(850mL=Wb)分以上に対応する汚染水が第2の汚染水貯水槽52-2に貯留されておらず、既に反応槽循環水Wbの交換が済んでいる場合には、第2の汚染水分離機構55-2で汚染レベル2の汚染水を分離して生成される再利用可能な水は、継続して反応容器洗浄水Weに使用される。
さらに、第2の汚染水貯水槽52-2において、液面センサ74の検知出力を基に自動分析装置1全体で一度に使用される水全体の97.5%(3050mL=Wa+Wb)分以上に対応する汚染水が第2の汚染水貯水槽52-2に貯留されていることが検出されると、第2の汚染水分離機構55-2で汚染レベル2の汚染水を分離して生成される再利用可能な水を、反応容器洗浄水We、反応槽循環水Wbに加えて、30日に1回の定期メンテナンス毎に全量が交換される試薬保冷循環水Waにも使用するための分離起点とする。ただし、試薬保冷循環水Waの交換が設定された場合に、自動分析装置1全体で一度に使用される水全体の97.5%分以上に対応する汚染水が第2の汚染水貯水槽52-2に貯留されておらず、既に反応槽循環水Wbの交換が済んでいる場合には、第2の汚染水分離機構55-2で汚染レベル2の汚染水を分離して生成される再利用可能な水は、継続して反応容器洗浄水Weに使用される。
その上で、汚染水再利用システム50では、上述した第2の汚染水貯水槽52-2に貯留されている第2の汚染水の貯留量に応じて、分離水貯水槽57に貯留されている分離水が、液面センサ73、74の検知出力を基にしたそれぞれ分離起点に達しているかに応じて、反応容器洗浄水We、反応槽循環水Wb、又は試薬保冷循環水Waとして純水に代えて供給される。
このように、本実施例では、反応槽循環水Wbの交換及び試薬保冷循環水Waの交換によって、その交換が行われた際に一時的に生成される汚染レベル1の汚染水は、第1の汚染水貯水槽52-1に貯留され、検体及び試薬が含まれていない汚染レベル1の汚染度合に応じた、分離処理時間が一番短い第1の汚染水分離機構55-1により、再利用可能な水に分離される。そして、その分離水は、
◇検体分注ノズル外面洗浄水Wco、
◇試薬分注ノズル外面洗浄水Wdo、
◇撹拌棒外面洗浄水Wf、
として、
◇反応槽循環水Wb、
◇反応容器洗浄水We
に対して、実質的な優先再利用がはかられている。
また、試薬分注ノズル23の洗浄毎に逐次生成される汚染レベル2の汚染水は、第2の汚染水貯水槽52-2に貯留され、検体が含まれていない汚染レベル2の汚染度合に応じた、分離処理時間が第1の汚染水分離機構55-1の次に短い第2の汚染水分離機構55-2により、再利用可能な水に分離される。そして、その分離水は、第1の汚染水分離機構55-1による分離水の再利用では洗浄水Wco、Wdo、Wfよりも優先度が低く、反応槽循環水Wbよりも容量割合が少ない、
◇反応容器洗浄水We、
として再利用される。
加えて、この第2の汚染水分離機構55-2による分離水の、反応容器洗浄水Weとしての再利用は、
◇反応槽循環水Wb、
◇試薬保冷循環水Wa
としての再利用に対して、実質的な優先がはかられる。
さらに、この反応容器洗浄水Weとしての再利用よりも実質的な再利用の優先度が低い
◇反応槽循環水Wb
◇試薬保冷循環水Wa、
との間でも、図4に示した容量割合が少なく、消費頻度が高い、
◇反応槽循環水Wb、
としての再利用が優先されるようになっている。
このように、本実施例では、検体が含まれている汚染レベル3に比して再利用可能な水の分離に比較的時間が掛からない汚染水の分離を、汚染レベルの違い、汚染水が生成される装置内の機構の違いに応じて、第1、第2の汚染水分離機構55-1、55-2により別々に行い、図4に示した容量割合及び消費頻度に配慮して、実質的な優先再利用先を異ならせた構成になっている。また、第1の汚染水分離機構55-1又は第2の汚染水分離機構55-2いずれによる分離水の再利用先も、図4に示した容量割合及び消費頻度に配慮して、優先度合も異ならせた構成になっている。これらにより、本実施例では、自動分析装置全体として、装置内の水を使用する各機構で使用された使用済み水の再利用を、より迅速にかつより効果的にはかることができる。
以上のように、本実施例の自動分析装置1は構成されるが、その汚染水再利用システム50の具体的な構成は図示した構成に限られるものではなく、装置内の水を使用する各機構で使用された各機構由来の使用済み水を、装置全体で、装置内の水を使用する各機構由来の汚染状態が異なる使用済み水毎にそれぞれ再利用可能な水と再利用不可能な廃棄水とに分離して、装置内の水を使用する該当機構で再利用可能な水を得ることができるものであれば、図示した構成に限られるものではなく、種々の変形例が可能である。例えば、図示の実施例では、再利用可能な水を1つの分離水貯水槽57に集めて貯留する構成としたが、分離機構毎にそれぞれ分離水貯水槽を設け、分離水貯水槽それぞれの分離水の貯留量を基に、分離水貯水槽それぞれの分離水の供給先を制御するようにしてもよい。また、各分離水貯水槽52−1、52−2それぞれの分離起点の管理は、液面センサ72、74によらずとも、制御装置42自身が実行された洗浄回数や交換を基に管理する構成としてもよい。また、分離水貯水槽57からの再利用先への分離水の供給管理は、分離水貯水槽57に液量センサを設けて、各分離水貯水槽52−1、52−2における使用済み水の貯留管理とは別個に行うようにしてもよい。