JP6727934B2 - スラリー組成物の製造方法 - Google Patents

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Description

本開示は、スラリー組成物の製造方法に関する。
無機顔料を含有するスラリー組成物は、シート状に成形されることにより、電子機器分野におけるセラミックス電子部品の製造に使用されている。とりわけ高度な電子機器分野におけるエレクトロセラミック部品の製造において、無機顔料を含有するスラリー組成物から製造される焼成前のセラミックス成形品であるセラミックシート(「グリーンシート」とも呼ばれる)が好適に用いられる。特に、バインダー樹脂を含むスラリー組成物中において無機顔料は凝集しやすく、電気信頼性向上の観点から、無機顔料の高い分散性が要求される。
特許文献1は、酸基に二塩基酸を有する構成単位及びポリエチレングリコール鎖を有する構成単位を含む3つの構成単位からなる無機顔料用高分子分散剤を開示する。特許文献2は、酸基を有する構成単位及びポリエチレングリコール鎖を有する構成単位を含む3つの構成単位からなる無機顔料用高分子分散剤を開示する。特許文献3は、ドクターブレード法を用いたシート成形装置において、装置に起因して発生する泡がスラリー中に残存することに対して脱泡を行い、グリーンシートのピンホールを防ぐことが開示されている。
特開2007−261911号公報 国際公開第2010/024186明細書 特開2012−179733号公報
エレクトロセラミックス部品の一種である積層セラミックコンデンサにおいては、電子機器の小型化、高性能化の要求に伴い、無機顔料の小粒径化やセラミックスシートの薄膜化が進められている。しかし、無機顔料の小粒径化やセラミックシートの薄膜化によって、無機粒子の良好な分散性が得られにくく電気信頼性が悪化するといった問題や、セラミックシートの強度(以下、「シート強度」ともいう)不足によるハンドリング性が悪化するといった問題が大きくなっている。
本開示は、無機顔料の良好な分散性を確保しつつ、セラミックシートのシート強度向上が可能なスラリー組成物及びその製造方法を提供する。
本開示は、非水系溶媒、無機顔料、及び分散剤を含有する混合液を、該混合液中の溶存酸素量が7mg/L以下となるように脱気処理する脱気工程を含み、前記分散剤は、共重合体である、スラリー組成物の製造方法に関しうる。
本開示は、非水系溶媒、無機顔料、及び分散剤を含有するスラリー組成物であって、前記分散剤が、共重合体であり、溶存酸素量が、7mg/L以下である、スラリー組成物に関しうる。
本開示によれば、無機顔料の良好な分散性を確保しつつ、セラミックシートのシート強度向上が可能なスラリー組成物及びその製造方法を提供できるという効果を奏しうる。
図1は、脱気処理された実施例1のスラリー組成物から形成されたセラミックシートの断面図の一例である。 図2は、脱気処理されていない参考例2のスラリー組成物から形成されたセラミックシートの断面図の一例である。
通常、無機顔料を含むスラリー組成物から形成されたセラミックシートの内部には、図2に示すように、目視では確認できない大きさの空隙、例えば、スラリー組成物中の50〜500nmの微細な気泡に起因すると考えられる空隙が存在する。そして、本発明者は、シートのさらなる薄膜化とシート強度の確保を両立するためには、セラミックシートの内部に存在する空隙を減少させることが重要であり、空隙を減少させるには、これまで問題となっていなかったスラリー組成物中の微細な気泡を除去することが重要であることを見出した。さらに、本発明者は、スラリー組成物の製造の際に、無機顔料、非水系溶媒、及び分散剤を含有する混合液を用い、該混合液を脱気処理することにより、非水系溶媒中において無機顔料の良好な分散性(以下、単に「分散性」ともいう)を実現でき、さらに、シート強度向上が可能なスラリー組成物を製造できることを見出した。本開示において、「無機顔料の良好な分散性を実現する」とは、無機顔料を一次粒子径の状態又はそれに近い状態に分散でき、さらに好ましくは、バインダー樹脂を添加しても、良好な分散性が維持できることをいう。本開示において、「シート強度の向上」とは、無機顔料を含むスラリー組成物から形成されたセラミックシートの破断応力が向上することをいう。
すなわち、本開示は、非水系溶媒、無機顔料、及び分散剤を含有する混合液を、該混合液中の溶存酸素量が7mg/L以下となるように脱気処理する脱気工程を含み、前記分散剤は、共重合体である、スラリー組成物の製造方法(以下、「本開示に係るスラリー製造方法」ともいう)に関する。本開示によれば、非水系溶媒中における無機顔料の良好な分散性を確保しつつ、セラミックシートのシート強度向上が可能なスラリー組成物を製造できうる。
本開示の効果が発現するメカニズムの詳細は不明であるが以下のことが推定される。
まず、本開示に係るスラリー製造方法に好適に用いられる無機顔料は、非常に微粒であり高度に凝集なく分散させるためには分散剤を加えて過酷な条件での撹拌処理が行われる。その際に前記微細な気泡が発生し、しかも微細な気泡がスラリー中に安定に存在することになる。通常、スラリー中の微細な気泡はセラミックシートの強度等の性能に影響しないことが当然に知られているが、本発明者によって、シートの薄膜化においては影響することが発見された。そして、本開示に係るスラリー製造方法における脱気工程では、マイルドな脱気処理によってスラリー組成物の状態を安定に維持しつつ、混合液中の溶存酸素量を低減できる、すなわち、微細な気泡を除去できると考えられる。そのため、本開示に係るスラリー製造方法により製造されたスラリー組成物を用いてセラミックシートを形成すると、セラミックシートの内部の空隙を減少させることができ、セラミックシートの強度が向上すると考えられる。さらに、本開示に係るスラリー製造方法によらずとも、溶存酸素量が7mg/L以下であるスラリー組成物を用いてセラミックシートを形成することで、セラミックシートの内部の酸素濃度が減少され、薄膜化したときの環境耐性が向上することにより、セラミックシートの強度が向上すると考えられる。
さらに、本開示における脱気処理の対象である混合液中の分散剤が、例えば、酸性基を有する化合物由来の構成単位(a)及び非イオン性基を有する化合物由来の構成単位(b)を含有する共重合体である場合、構成単位(a)が無機顔料表面に強く吸着し、構成単位(b)は無機顔料粒子間に強い立体的斥力をもたらすことで分散基として機能し、無機顔料粒子の良好な分散性を発現すると考えられる。そして、構成単位(a)の無機顔料表面に対する強い吸着は、無機顔料表面と共重合体との界面における剥離や破断も抑制するためシート強度が向上すると考えられるが、本開示の脱気工程ではマイルドな脱気処理を行うため、このシート強度の発現機構に対して悪影響を与えないことによるものと考えられる。
但し、これらは推定であって、本開示は、これらメカニズムに限定して解釈されなくてもよい。
[脱気工程]
本開示に係るスラリー製造方法は、非水系溶媒、無機顔料、及び分散剤を含有する混合液を、該混合液中の溶存酸素量が7mg/L以下となるように脱気処理する脱気工程を含む。本開示において「脱気処理」は、分散性向上及びシート強度向上の観点から、マイルドな脱気処理が好ましく、混合液中の溶媒を蒸発させない程度に脱気することがより好ましい。本開示において「溶媒を蒸発させない程度」とは、混合液の濃度(固形分濃度)が、脱気処理の前後で実質的に同じであることをいう。脱気処理としては、スラリー組成物中の溶存酸素量を7mg/L以下に低減できれば公知の脱気処理法を利用可能であり、減圧脱気処理、超音波処理等が挙げられる。減圧脱気処理の処理条件としては、例えば、温度80℃以下、系内圧80kPa以下で行うことが挙げられ、より具体的には、温度5〜80℃、系内圧5〜80kPa、処理時間5〜90分と設定できる。減圧脱気処理は、撹拌下で行ってもよい。超音波処理の処理条件としては、例えば、周波数10〜100Hz、出力50〜2000W、温度5〜80℃、処理時間5〜60分と設定することができる。
[非水系溶媒]
非水系溶媒の溶解度パラメータ(単位:[(MPa)1/2])は、無機顔料の分散性向上、及び分散剤との相溶性の観点から、好ましくは18以上、より好ましくは20以上、さらに好ましくは21以上であり、そして、好ましくは30以下、より好ましくは26以下である。本開示において、非水系溶媒の溶解度パラメータ(以下、「Sp2値」ともいう)は、Fedorsの方法[R.F.Fedors. Polym. Eng. Sci.,14,147(1974)]により計算された値をいう。前記Sp2値は、2種以上の非水系溶媒を用いて調整することができる。2種以上の非水系溶媒を含む混合溶媒のSp2値は、前記方法により求めることもできるが、簡便な方法として、混合溶媒の各成分の溶解度パラメータと体積分率とから計算して求めることもできる。例えば、トルエンとエタノールとを体積分率50:50で混合した場合、そのSp2値は、(18.3)×0.5+(26.2)×0.5=22.3となる。
非水系溶媒としては、キシレン(18.2)、酢酸エチル(18.2)、トルエン(18.3)、テトラハイドロフラン(18.5)、メチルエチルケトン(19.3)、アセトン(19.7)、ブチルセロソルブ(20.2)、2−プロパノール(23.5)、ジメチルホルムアミド(24.7)、1−プロパノール(24.9)、エタノール(26.2)、ジメチルスルホキシド(26.4)、1−ブタノール(28.7)、メタノール(29.7)等の有機溶媒から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。前記( )内の数値は、溶解度パラメータである。
[無機顔料]
一般に、無機顔料の表面は酸点及び塩基点の両者を有する。非水系溶媒中における酸点及び塩基点の量は、逆滴定法で求めることが可能である。逆滴定法とは、あらかじめ濃度が既知である塩基性試薬(又は酸性試薬)を一定の割合で無機顔料と混合し、十分に中和させた後、遠心分離機等で、固液分離させ、その上澄み液を滴定し、減少した塩基性試薬の量(又は酸性試薬の量)から酸量(又は塩基量)を求める方法である。本開示において塩基量及び酸量は下記により求められる。
(1)塩基量の求め方
約2gの無機顔料を精秤し、その質量をS(g)とする。前記精秤した無機顔料と、0.01N 酢酸−トルエン/エタノール(容量比 48/52)溶液30mLとを、ガラス製試料瓶に入れ、超音波洗浄器(Branson社製「1510J−MT」)で1時間分散処理し、分散液を得る。24時間静置後、前記分散液を遠心分離機(日立社製「CP−56G」)を用いて、25,000rpm、60分の条件で遠心分離する。分離した上層の液体部10mLを、フェノールフタレイン指示薬が添加されているトルエン/エタノール溶媒(容量比 2/1)20mLに加え、0.01N 水酸化カリウム−エタノール溶液にて中和滴定する。このときの滴定量をX(mL)、0.01N 酢酸−トルエン/エタノール(容量比 48/52)10mLを中和するのに必要な滴定量をB(mL)とすると、以下の式で、塩基量が求められる。
塩基量(μmol/g)=30×(B−X)/S
(2)酸量の求め方
約2gの無機顔料を精秤し、その質量をS(g)とする。前記精秤した無機顔料と、0.01N n−ブチルアミン−トルエン/エタノール(容量比 48/52)溶液30mLとを、ガラス製試料瓶に入れ、超音波洗浄器(Branson社製「1510J−MT」)で1時間分散処理し、分散液を得る。24時間静置後、前記分散液を遠心分離機(日立社製「CP−56G」)を用いて、25,000rpm、60分の条件で遠心分離する。分離した上層の液体部10mLを、ブロムクレゾールグリーン指示薬が添加されているトルエン/エタノール溶媒(容量比 2/1)20mLに加え、0.01N 塩酸−エタノール溶液にて中和滴定する。このときの滴定量をX(mL)、0.01N n−ブチルアミン−トルエン/エタノール(容量比 48/52)10mLを中和するのに必要な滴定量をB(mL)とすると、以下の式で、酸量が求められる。
酸量(μmol/g)=30×(B−X)/S
本開示における無機顔料としては、シート強度向上及び分散性向上の観点から、塩基性無機顔料が好ましい。塩基性無機顔料とは、上記定義の塩基量が上記定義の酸量よりも大きな値をもつ無機顔料をいう。塩基性無機顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化バリウム、酸化アルミニウム等の金属酸化物;炭酸マグネシウム、炭酸バリウム等の金属炭酸塩;ジルコン酸バリウム、ジルコン酸カルシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム等の複合酸化物;等が挙げられる、セラミックシートの特性を向上させる観点から、複合酸化物が好ましく、チタン酸バリウムがより好ましい。
本開示における無機顔料のBET比表面積に基づく平均粒径(以下、「BET換算粒径」ともいう)は、分散性向上の観点から、1nm以上が好ましく、5nm以上がより好ましく、10nm以上が更に好ましく、そして、同様の観点から、200nm以下が好ましく、150nm以下がより好ましく、125nm以下が更に好ましく、100nm以下が更に好ましい。無機顔料のBET換算粒径は、以下のようにして測定される。
無機顔料のBET比表面積に基づく平均粒径の測定方法
無機顔料のBET換算粒径は、無機顔料粒子を粒子径R(m)の球と仮定して、窒素吸着法により測定されたBET比表面積S(m2/g)、無機微粒子の密度ρ(g/cm3)を用いて、求めることができる。すなわち、BET比表面積は単位質量当たりの表面積であるので、表面積をA(m2)、粒子の質量をW(g)とすると、
S=A/W
=[4×π×(R/2)2]/[4/3×π×(R/2)3×ρ×106
=6/(R×ρ×106
の関係式が得られる。粒子径の単位をnmに変換すると、
R(nm)=6000/(S×ρ)
となり、BET換算粒径を求めることができる。例えば、チタン酸バリウム(密度6.0 g/cm3)のBET比表面積が5.0(m2/g)であれば、そのBET換算粒径は、200nmとなる。
本開示における混合液中の無機顔料の含有量(固形分)は、分散性向上の観点から、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上であり、そして、同様の観点から、好ましくは80質量%以下、より好ましくは70質量%以下である。
[分散剤]
本開示における混合液は、分散剤を含有する。本開示における分散剤は、共重合体である。共重合体は、例えば、後述の構成単位(a)及び後述の構成単位(b)から選ばれる少なくとも1つを含有することができ、さらに所望により、後述の構成単位(c)及びその他の構成単位から選ばれる少なくとも1つをさらに含有することができる。例えば、本開示における共重合体としては、構成単位(a)及び(b)を含む共重合体、並びに、構成単位(a)、(b)及び(c)を含む共重合体が挙げられる。本開示における共重合体を構成する各構成単位の配列は、ランダム、ブロック、又はグラフトのいずれでもよい。
本開示における共重合体の重量平均分子量は、シート強度向上及び分散性向上の観点から、1000以上であり、好ましくは2000以上、より好ましくは4000以上、更に好ましくは7000以上であり、そして、シート強度向上、分散性向上及び共重合体の製造容易性の観点から、50000未満であり、好ましくは40000以下、より好ましくは20000以下、更に好ましくは10000以下である。重量平均分子量は、実施例に記載の方法により測定できる。
本開示における混合液中の共重合体の含有量は、分散性向上の観点から、無機顔料100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.2質量部以上であり、そして、シート強度向上の観点から、無機顔料100質量部に対して、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下である。
[構成単位(a)]
本開示における共重合体が構成単位(a)を含む場合、構成単位(a)としては、分散性及びシート強度向上の観点から、酸性基を有する化合物(以下、「モノマー(a)」ともいう)由来の構成単位がより好ましい。構成単位(a)は、中和可能な酸性基を有することから、無機顔料表面との相互作用により、共重合体分子が無機顔料表面に選択的に強く吸着すると考えられる。本開示において、構成単位(a)とは、重合後の化学修飾によってモノマー(a)由来の構成単位となるものを含む概念である。前記化学修飾としては、カルボキシ基、リン酸基、スルホ基等の導入、加水分解、エステル化等が挙げられる。
構成単位(a)は、共重合体の分子設計及び製造容易性の観点から、モノマー(a)の重合により得られる構成単位が好ましい。
モノマー(a)としては、シート強度向上及び共重合体の製造容易性の観点から、エチレン性二重結合を有するモノマーが好ましく、構成単位(b)及び構成単位(c)を形成するモノマーと共重合可能なエチレン性二重結合を有するモノマーがより好ましく、一塩基酸、二塩基酸、無水二塩基酸及び二塩基酸モノエステルから選ばれる少なくとも1種がさらに好ましい。モノマー(a)は、単独でも、二種以上併用してもよい。
前記一塩基酸としては、シート強度向上及び共重合体の製造容易性の観点から、カルボキシル基を1つ有する化合物が好ましく、メタクリル酸及びアクリル酸から選ばれる少なくとも1種がより好ましい。
前記二塩基酸としては、シート強度向上及び共重合体の製造容易性の観点から、カルボキシ基を2つ有する化合物が好ましく、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸及びフマル酸から選ばれる少なくとも1種がより好ましい。
前記無水二塩基酸としては、例えば、2つのカルボキシ基を有する二塩基酸由来の酸無水物が挙げられ、シート強度向上及び共重合体の製造容易性の観点から、ジカルボン酸無水物が好ましく、無水マレイン酸、無水イタコン酸及び無水シトラコン酸から選ばれる少なくとも1種がより好ましい。
前記二塩基酸モノエステルとしては、例えば、前記二塩基酸が有する2つの酸基のうち1つの酸基がエステル化された構造を有するものが挙げられ、シート強度向上及び共重合体の製造容易性の観点から、2つのカルボキシ基のうち1つのカルボキシ基がアルコールでエステル化された構造を有するものが好ましく、マレイン酸、イタコン酸及びシトラコン酸から選ばれる少なくとも1種の二塩基酸とアルコールとのモノエステルがより好ましい。前記アルコールとしては、シート強度向上の観点から、脂肪族アルコールが好ましく、炭素数1以上8以下の脂肪族アルコールがより好ましく、炭素数1以上3以下の脂肪族アルコールが更に好ましく、メタノール及びエタノールから選ばれる少なくとも1種が更により好ましく、エタノールが更により好ましい。
前記二塩基酸モノエステルの具体例としては、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノプロピル、マレイン酸モノブチル、マレイン酸モノイソブチル、マレイン酸モノオクチル、マレイン酸モノ(2−エチルヘキシル)、マレイン酸モノラウリル、マレイン酸モノステアリル、マレイン酸モノイソステアリル、イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノエチル、イタコン酸モノプロピル、イタコン酸モノブチル、イタコン酸モノイソブチル、イタコン酸モノオクチル、イタコン酸モノ(2−エチルヘキシル)、イタコン酸モノラウリル、イタコン酸モノステアリル、イタコン酸モノイソステアリル、シトラコン酸モノメチル、シトラコン酸モノエチル、シトラコン酸モノプロピル、シトラコン酸モノブチル、シトラコン酸モノイソブチル、シトラコン酸モノオクチル、シトラコン酸モノ(2−エチルヘキシル)、シトラコン酸モノラウリル、シトラコン酸モノステアリル、シトラコン酸モノイソステアリル、フタル酸モノメチル、フタル酸モノエチル、フタル酸モノプロピル、フタル酸モノブチル、フタル酸モノオクチル、フタル酸モノ(2−エチルヘキシル)、フタル酸モノラウリル、フタル酸モノステアリル、フタル酸モノイソステアリル等が挙げられる。
本開示における共重合体の全構成単位中の構成単位(a)の含有量は、シート強度向上の観点から、1質量%以上が好ましく、3質量%以上がより好ましく、5質量%以上が更に好ましく、5質量%超が更により好ましく、8質量%以上が更により好ましく、12質量%以上が更により好ましく、そして、シート強度向上の観点から、66質量%未満が好ましく、60質量%以下がより好ましく、50質量%以下が更により好ましい。
[構成単位(b)]
本開示における共重合体が構成単位(b)を含有する場合、構成単位(b)としては、シート強度向上、分散性向上及び共重合体の製造容易性の観点から、例えば、下記式(I)で表される構成単位及び下記式(II)で表される化合物由来の構成単位から選ばれる少なくとも1種の構成単位(b)が挙げられ、下記式(I)で表される構成単位が好ましい。構成単位(b)は非イオン性基を有し、無機顔料粒子間に強い立体的斥力をもたらし、無機顔料粒子同士の凝集を抑制して高い分散性に寄与すると考えられる。
式(I)中、R1、R2、R3及びR5は同一又は異なり、水素原子、メチル基及びエチル基から選ばれる少なくとも1種を示し、R4は炭素数2以上4以下のアルカンジイル基を示し、X1は酸素原子及びNHから選ばれる少なくとも1種を示し、nは平均付加モル数を示し、1以上140以下である。シート強度向上、分散性向上及び共重合体への構成単位(b)の導入の容易性の観点から、R1及びR2は、水素原子及びメチル基から選ばれる少なくとも1種が好ましく、水素原子がより好ましく、R3は、水素原子及びメチル基から選ばれる少なくとも1種が好ましく、メチル基がより好ましい。R4は、同様の観点から、エタンジイル基及びプロパンジイル基から選ばれる少なくとも1種が好ましく、エタンジイル基又はエタンジイル基とプロパンジイル基との混合がより好ましく、エタンジイル基が更に好ましく、R5は、メチル基及びエチル基から選ばれる少なくとも1種が好ましく、メチル基がより好ましく、X1は、酸素原子が好ましい。nは、分散性向上の観点から、1以上であって、2以上が好ましく、10以上がより好ましく、20以上が更に好ましく、そして、シート強度向上の観点から、140以下であって、100以下が好ましく、50以下がより好ましく、25以下が更に好ましい。
11O(AO)m12 (II)
式(II)中、R11は炭素数1以上18以下の炭化水素基を示し、前記炭化水素基は直鎖状、分枝状及び環状のいずれの形態であってもよい。R11としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基等が挙げられ、シート強度向上、分散性向上及び共重合体への構成単位(b)の導入の容易性の観点から、炭素数1以上4以下の炭化水素基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基及びブチル基から選ばれる少なくとも1種がより好ましい。
式(II)中、R12は炭素数2以上5以下の不飽和炭化水素基を示し、前記不飽和炭化水素基は直鎖状及び分枝状のいずれの形態であってもよい。R12としては、例えば、ビニル基、アリル基、イソプロペニル基、1−プロペニル基、メタリル基、3−ブテニル基等が挙げられ、シート強度向上、分散性向上及び共重合体への構成単位(b)の導入の容易性の観点から、炭素数3以上4以下の不飽和炭化水素基が好ましく、アリル基及びメタリル基から選ばれる少なくとも1種がより好ましい。
式(II)中、AOは炭素数2以上4以下のオキシアルキレン基を示し、前記オキシアルキレン基は直鎖状及び分枝状のいずれの形態であってもよい。AOは1種であっても、2種以上であってもよい。AOが2種以上のとき、その付加形式はランダム状であっても、ブロック状であってもよい。AOとしては、例えば、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基等が挙げられる。AOは、シート強度向上、分散性向上及び共重合体への構成単位(b)の導入の容易性の観点から、オキシエチレン(EO)基、オキシプロピレン(PO)基、又は、オキシエチレン基とオキシプロピレン基との組み合わせ(EOPO)が好ましい。
式(II)中、mはオキシアルキレン基の平均付加モル数(AOが2種以上のとき、全てのAOに含まれるオキシアルキレン基の平均付加モル数の合計数)を示し、シート強度向上、分散性向上及び共重合体への構成単位(b)の導入の容易性の観点から、1以上100以下であり、好ましくは10以上60以下である。
構成単位(b)としては、非イオン性基を有するモノマー(以下、「モノマー(b)」ともいう)由来の構成単位や、重合後に非イオン性基を導入して得られる構成単位等が挙げられ、共重合体の製造容易性の観点から、モノマー(b)由来の構成単位が好ましい。非イオン性基としては、例えば、ポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基等のポリオキシアルキレン基が挙げられる。
モノマー(b)としては、シート強度向上、分散性向上及び構成単位(b)の導入の容易性の観点から、下記式(III)で表されるモノマー(以下、「モノマー(b1)」ともいう)及び上述の式(II)で表される化合物(以下、「モノマー(b2)」ともいう)から選ばれる少なくとも1種が好ましく、モノマー(b1)がより好ましい。モノマー(b)は、単独でも、二種以上併用してもよい。
式(III)中、R1、R2、R3、R4、R5、X1、及びnは、上述の式(I)で表される構成単位と同様とすることができる。
モノマー(b1)としては、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリ(エチレングリコール/プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、エトキシポリ(エチレングリコール/プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリルアミド、2−エトキシエチル(メタ)アクリルアミド、3−メトキシプロピル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。これらの中でも、シート強度向上及び分散性向上の観点から、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートが好ましく、メトキシポリエチレングリコールメタクリレートがより好ましい。本明細書において、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及びメタクリレートから選ばれる少なくとも1種を意味する。同様に、「(メタ)アクリルアミド」とは、アクリルアミド及びメタクリルアミドから選ばれる少なくとも1種を意味する。
モノマー(b2)としては、例えば、R11O(AO)mHで表されるポリオキシアルキレン誘導体にR12で示される不飽和炭化水素基が導入された化合物、R12O(AO)mHで表されるポリオキシアルキレン誘導体にR11で示される炭化水素基が導入された化合物等が挙げられる。
11O(AO)mHで表されるポリオキシアルキレン誘導体にR12で示される不飽和炭化水素基が導入された化合物は、例えば、ポリオキシアルキレンモノアルキルエーテルに水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物を加え、塩化アリル、臭化アリル、ヨウ化アリル、塩化メタリル、臭化メタリル等のモノハロゲン化不飽和炭化水素とのエーテル化反応により得られる。R12O(AO)mHで表されるポリオキシアルキレン誘導体にR11で示される炭化水素基が導入された化合物は、例えば、ポリオキシアルキレンモノアリルエーテル、又はポリオキシアルキレンモノメタリルエーテルに水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物を加え、塩化メチル、臭化メチル、塩化ブチル、臭化ブチル等のモノハロゲン化炭化水素とのエーテル化反応により得られる。
モノマー(b2)の具体例としては、ポリオキシエチレンアリルエーテル、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンアリルエーテル等が挙げられる。
本開示における共重合体の全構成単位中の構成単位(b)の含有量は、分散性向上の観点から、好ましくは4質量%超、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上、更に好ましくは20質量%以上であり、そして、シート強度向上の観点から、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下、更に好ましくは70質量%以下である。
[構成単位(c)]
本開示における共重合体が構成単位(c)を含む場合、構成単位(c)としては、例えば、式(IV)で表される構成単位が挙げられる。構成単位(c)は非極性基を有するため、無機顔料表面に吸着した共重合体が非水系溶媒中へ再溶出することを抑制すると考えられる。さらに、構成単位(c)はイオン性基を有さないため、無機顔料表面に共重合体を留めつつ、共重合体の分子形状の自由度を高めてより均一に無機顔料を被覆するものと考えられる。
式(IV)において、R6、R7、及びR8は同一又は異なり、水素原子、メチル基及びエチル基から選ばれる少なくとも1種を示し、X3は酸素原子及びNHから選ばれる少なくとも1種を示し、R9及びR10は炭素数1以上30以下の炭化水素基を示す。分散性向上及び共重合体への構成単位(c)の導入の容易性の観点から、R6及びR7は、水素原子及びメチル基から選ばれる少なくとも1種が好ましく、水素原子がより好ましく、X3は、酸素原子が好ましい。R8は、シート強度向上及び分散性向上の観点から、水素原子及びメチル基から選ばれる少なくとも1種が好ましく、水素原子がより好ましい。X2は、シート強度向上の観点からは、−C(=O)X39が好ましく、そして、分散性向上の観点からは、−R10が好ましい。R9は、シート強度向上及び分散性向上の観点から、脂肪族炭化水素基が好ましく、分岐鎖を有する脂肪族炭化水素基がより好ましい。R9の炭素数は、シート強度向上の観点から、1以上であって、5以上が好ましく、12以上がより好ましく、16以上が更に好ましく、そして、共重合体の製造容易性の観点から、22以下が好ましく、18以下がより好ましい。R9としては、メチル基、エチル基、ブチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、デシル基、ラウリル基、ミリスチル基、セチル基、ステアリル基、分岐ステアリル基、オレイル基、ベヘニル基、シクロヘキシル基、ベンジル基等が挙げられ、シート強度向上及び分散性向上の観点から、ステアリル基及び分岐ステアリル基から選ばれる少なくとも1種が好ましく、分岐ステアリル基がより好ましい。R10は、シート強度向上、分散性向上及び入手容易性の観点から、芳香族炭化水素基が好ましい。R10の炭素数は、シート強度の向上の観点から、1以上であって、5以上が好ましく、そして、共重合体の製造容易性の観点から、22以下が好ましく、18以下がより好ましい。R10としては、シート強度向上及び分散性向上の観点から、フェニル基がより好ましい。
構成単位(c)としては、例えば、非極性基を有するモノマー(以下、「モノマー(c)」ともいう)由来の構成単位、及び重合後に非極性基を導入して得られる構成単位等が挙げられ、共重合体の製造容易性の観点から、モノマー(c)由来の構成単位が好ましい。非極性基としては、例えば、アルキル基、アルキレン基、アリール基等の炭化水素基が挙げられる。
モノマー(c)としては、シート強度向上、分散性向上及び構成単位(c)の導入の容易性の観点から、式(V)で表されるモノマーが好ましい。
式(V)中、R6、R7、R8、R9、R10、及びX3は、上述の式(IV)で表される構成単位(c)と同様とすることができる。
モノマー(c)としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、分岐ステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート等のエステル化合物;ブチル(メタ)アクリルアミド、オクチル(メタ)アクリルアミド、ラウリル(メタ)アクリルアミド、ステアリル(メタ)アクリルアミド、ベヘニル(メタ)アクリルアミド等のアミド化合物;1−デセン、1−オクタデセン等のα―オレフィン;及びこれらのアルキル鎖が分岐しているもの;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、スチレン等が挙げられる。これらの中でも、シート強度向上及び分散性向上の観点から、メチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、分岐ステアリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート及びスチレンから選ばれる少なくとも1種が好ましく、分岐ステアリル(メタ)アクリレート及びスチレンから選ばれる少なくとも1種がより好ましい。
構成単位(c)の溶解度パラメータ(単位:[(MPa)1/2])は、共重合体の製造容易性の観点から、12.0以上が好ましく、14.5以上がより好ましく、15.0以上が更に好ましく、そして、シート強度向上の観点から、20.0以下が好ましく、17.0以下がより好ましく、16.2以下が更に好ましく、15.8以下が更により好ましい。本開示において、構成単位(c)の溶解度パラメータ(以下、「Sp1値」ともいう)とは、Hansenの方法により計算された値をいう。すなわち、前記Sp1値は、特開2004−196719号公報 段落[0013]に記載の、三次元溶解度パラメータから算出したδに相当する。各三次元溶解度パラメータは、DW.VanKrevelen、「Properties of Polymers.、3rd ed.、Elsevier、New York.、1990年、Ch.7」に記載された原子団のモル引力定数を用いて、構成単位(c)を構成する各原子団毎のモル引力定数を足し合わせることで計算できる。
本開示における共重合体が構成単位(c)を含有する場合、該共重合体の全構成単位中の構成単位(c)の含有量は、シート強度向上の観点から、5質量%以上が好ましく、10質量%超がより好ましく、15質量%以上が更に好ましく、そして、シート強度向上及び分散性向上の観点から、75質量%以下が好ましく、70質量%未満がより好ましく、65質量%以下が更に好ましく、55質量%以下が更により好ましい。
[その他の構成単位]
本開示における共重合体は、本開示の効果を損なわない範囲で、構成単位(a)、(b)及び(c)以外のその他の構成単位を含んでもよい。本開示における共重合体の全構成単位中、前記その他の構成単位の含有量は、本開示の効果を発現させる観点から、好ましくは10質量%以下、より好ましくは3質量%以下、更に好ましくは1質量%以下である。
[共重合体の製造]
本開示における共重合体は、例えば、モノマー(a)及びモノマー(b)を含むモノマー混合物、又はモノマー(a)、(b)及び(c)を含むモノマー混合液を溶液重合法で重合させる等、公知の方法で得ることができる。溶液重合に用いられる溶媒としては、トルエン、キシレン等の芳香族;エタノール、2−プロパノール等のアルコール;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン;テトラヒドロフラン、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル;等が挙げられる。溶液重合に用いられる溶媒の量は、モノマー全量100質量部に対し、好ましくは50質量部以上1000質量部以下である。本開示において、共重合体の全構成単位中の構成単位(a)の含有量は、重合に用いるモノマー全量に対するモノマー(a)の使用量の割合と見なすことができる。共重合体の全構成単位中の構成単位(b)の含有量は、重合に用いるモノマー全量に対するモノマー(b)の使用量の割合と見なすことができる。共重合体の全構成単位中の構成単位(c)の含有量は、重合に用いるモノマー全量に対するモノマー(c)の使用量の割合と見なすことができる。
[混合液中のその他の成分]
本開示における混合液は、本開示の効果を損なわない範囲で、前述の共重合体以外の分散剤を含有してもよい。さらに、本開示における混合液は、本開示の効果を損なわない範囲で、バインダー樹脂、帯電防止剤、可塑剤、潤滑剤、分散助剤等の低分子化合物等の添加剤を含有してもよく、シート強度向上の観点から、バインダー樹脂を含有することが好ましい。
前記バインダー樹脂としては、シート強度向上及びセラミックシートの性能向上の観点から、ポリビニルアセタール樹脂が好ましく、ポリビニルブチラール樹脂がより好ましい。前記ポリビニルアセタール樹脂のアセタール化度は、非水系溶媒への溶解性及びシート強度向上の観点から、55モル%以上が好ましく、65モル%以上がより好ましく、そして、セラミックシートの強度向上の観点から、80モル%以下が好ましく、75モル%以下がより好ましい。
本開示における混合液中のバインダー樹脂の含有量は、シート強度向上の観点から、無機顔料100質量部に対して、2質量部以上が好ましく、4質量部以上がより好ましく、6質量部以上が更に好ましく、そして、分散性向上の観点から、無機顔料100質量部に対して、20質量部以下が好ましく、15質量部以下がより好ましく、12質量部以下が更に好ましい。本開示に係るスラリー製造方法で得られるスラリー組成物が、上述の共重合体を含有することで、少ないバインダー樹脂量でもシート強度に優れるセラミックシートを得ることができる。
前記帯電防止剤としては、シートの剥離性向上の観点から、カチオン性の帯電防止剤が好ましい。前記カチオン性の帯電防止剤としては、例えば、アルキルイミダゾリン、アルキルイミダゾール等の含窒素複素環を有する化合物やイオン液体が挙げられる。本開示における混合液中の帯電防止剤の含有量は、シートの剥離性向上及びセラミックシートの性能向上の観点から、無機顔料100質量部に対して、好ましくは0.05質量部以上が、より好ましくは0.1質量部以上であり、そして、セラミックシートの剥離性を維持する観点から、無機顔料100質量部に対して、好ましくは2.0質量部以下、より好ましくは1.5質量部以下である。
[脱泡剤]
本開示における混合液は、シート強度向上の観点から、脱泡剤を含むことが好ましい。脱泡剤としては、例えば、オレフィン系脱泡剤、シリコーン系脱泡剤及びアクリル系脱泡剤から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。例えば、本開示における混合液は、少なくとも前記非水系溶媒、前記無機顔料、前記分散剤、及び前記脱泡剤を配合してなるものとすることができる。したがって、本開示における前記配合工程は、脱泡剤をさらに配合する工程を含むことができ、前記脱泡剤は、前記一次分散工程で配合されてもよいし、前記二次分散工程で配合されてもよいが、好ましくはセラミックシートを形成する直前に配合されるのがよい。
オレフィン系脱泡剤としては、例えば、オレフィン、α―オレフィン等のオレフィン誘導体を含むポリオレフィン等が挙げられ、オレフィン系脱泡剤の市販品としては、エボニック社製「Airex922」、共栄社化学社製「フローレンAC−2300C」等が挙げられる。
シリコーン系脱泡剤としては、オイル型、オイルコンパウンド型、溶液型、エマルジョン型、自己乳化型等が挙げられる。通常、オイル型は、溶剤や添加剤を含まない100%シリコーンオイルであり、オイルコンパウンド型は、シリコーンオイルにシリカ微粉末を配合したものであり、溶液型は、シリコーンオイルを溶媒で希釈したものである。エマルジョン型は、シリコーンオイルとシリカ微粉末とを含有するオイルコンパウンドと称される組成物を、乳化剤を用いて水に乳化したものである。そして、通常、シリコーンオイルとシリカ微粉末と変性シリコーンオイルとを含有し、水に加えて攪拌するだけで容易に乳化状態となるシリコーン系消泡剤が、自己乳化型シリコーン系消泡剤と称される。シリコーン系脱泡剤の市販品としては、エボニック社製「Airex991」、サンノプコ社製「ダッポーSN−359」、旭化学工業社製「Asahi Silicone AF105」等が挙げられる。
アクリル系脱泡剤としては、例えば、アクリル骨格やメタアクリル骨格を含むアクリル系樹脂及びビニル系樹脂等が挙げられる、アクリル系脱泡剤の市販品としては、共栄社化学社製「ポリフローNo.90」等が挙げられる。
本開示における混合液が脱泡剤を含む場合、混合液中の脱泡剤の含有量は、シート強度向上の観点から、共重合体100質量部に対して、0.01質量部以上が好ましく、0.1質量部以上がより好ましく、1.0質量部以上が更に好ましく、そして、同様の観点から、5.0質量部以下が好ましく、3.0質量部以下がより好ましく、1.5質量部以下が更に好ましい。
[混合液の調製(配合工程)]
本開示における混合液は、例えば、前記非水系溶媒、前記無機顔料、及び前記分散剤、並びに、必要に応じてその他の成分を配合することによって製造できる。例えば、本開示における混合液は、少なくとも前記非水系溶媒、前記無機顔料、及び前記分散剤を配合してなるものとすることができる。したがって、本開示に係るスラリー製造方法は、前記非水系溶媒、前記無機顔料、及び前記分散剤を配合する工程(以下、「配合工程」ともいう)をさらに含むことができる。前記配合は、例えば、ロールミル、ニーダー、エクストルーダ等の混練機、ディスパー、ホモミキサー、ジェットミル、サンドミル、ビーズミル、高圧ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー等の混合器を用いて行うことができる。前記配合工程における各成分の配合量は、上述の混合液中における各成分の含有量と同様とすることができる。
前記配合工程は、例えば、非水系溶媒に、分散剤の存在下で無機顔料を分散する一次分散工程と、前記一次分散工程で得られた分散液に、バインダー樹脂と、必要に応じて、帯電防止剤や可塑剤等のその他の成分と必要に応じて非水系溶媒とをさらに添加してこれらを混合する二次分散工程と、を含むことができる。
前記一次分散工程では、例えば、非水系溶媒、無機顔料、及び分散剤を、ジルコニアビーズ等と共に混合する。該混合には、例えば、ボールミル等を用いることができる。該ボールミルによる処理時間としては、例えば、24〜120時間とすることができる。一次分散工程で得られる分散液における無機顔料の濃度は、例えば、20〜80重量%とすることができる。
前記二次分散工程では、例えば、前記一次分散工程で得られた分散液、バインダー樹脂、その他の成分、及び濃度調整のための非水系溶媒を、前記一次分散工程で得られた分散液に含まれるジルコニアビーズと共に混合する。該混合には、例えば、ボールミル等を用いることができる。該ボールミルによる処理時間としては、例えば、0.5〜20時間とすることができる。そして、ボールミルによる処理後、ジルコニアビーズ等をろ過により取り除き、スラリー組成物を得ることができる。二次分散工程における非水系溶媒の添加量は、例えば、無機顔料の濃度が例えば10〜50重量%となるように決定することができる。
本開示における前記脱気工程は、前記一次分散工程の後に行ってもよいし、前記二次分散工程の後に行ってもよいが、本開示の効果を効果的に発現する観点から、セラミックシートを形成する工程の直前に行うことが好ましい。
[スラリー組成物]
本開示に係るスラリー製造方法によれば、非水系溶媒中における無機顔料の良好な分散性を確保しつつ、セラミックシートのシート強度向上が可能なスラリー組成物を得ることができる。本開示において、スラリー組成物中の各成分の含有量は、上述の混合液中の各成分の含有量と同様とすることができる。すなわち、本開示は、非水系溶媒、無機顔料、及び分散剤を含有するスラリー組成物であって、前記分散剤が、共重合体であり、溶存酸素量が、7mg/L以下である、スラリー組成物に関する。本開示におけるスラリー組成物は、セラミックシートの内部の酸素濃度が減少され、シート強度が向上したセラミックシートを形成可能な新しいスラリー組成物である。
本開示におけるスラリー組成物中の溶存酸素量は、シート強度向上の観点から、7mg/L以下であって、3mg/L以下が好ましく、2mg/L以下がより好ましく、1mg/L以下が更に好ましい。溶存酸素量は、例えば、溶存酸素測定装置(飯島電子工業社製の「B−506」)を用いて25℃下で測定することができる。
以下、実施例により本開示を説明する。以下の実施例において、「ポリアルキレングリコール(Xモル)」とする表記におけるXは、当該アルキレングリコールのアルキレンオキシド平均付加モル数を示す。重量平均分子量及びスラリー組成物の溶存酸素量、分散性の評価、シート強度の評価の測定は、以下の方法により行った。
1.共重合体の調製
表1に示す共重合体A1〜A6の調製には、下記原料を用いたSp値の記載のあるものは、該原料が重合により共重合体の構成単位となった場合の、Hansenの方法により計算された溶解度パラメータ(単位:[(MPa)1/2])である。
<モノマー(a)>
・無水マレイン酸:三井化学社製「ムスイマレインサン ペレット KG」
・MAA:メタクリル酸(三菱瓦斯化学社製「GE−110」)
<モノマー(b)>
・PEGMA23:メトキシポリエチレングリコール(23モル)メタクリレート(新中村化学工業社製「NK−エステル TM―230G」)
・PEGMA40:メトキシポリエチレングリコール(40モル)メタクリレート(新中村化学工業社製「NKエステル M−450G」)
・アリルエーテルEO:ポリオキシエチレンアリルエーテル(式(5)中、R11:メチル基、R12:アリル基、m:33)、日油社製「ブレンマー PKA-5010」(EO平均付加モル数:33)
・アリルエーテルEOPO:ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンアリルエーテル(式(5)中、R11:メチル基、R12:アリル基、m:32)、日油社製「ブレンマー PKA-5016」(EO平均付加モル数:16、PO平均付加モル数:16)
<モノマー(c)>
・i−SMA:分岐ステアリルメタクリレート(新中村化学工業社製「NKエステル S−1800M」)(Sp1値:15.7)
・St:スチレン(NSスチレンモノマー社製)(Sp1値:15.5)
・MMA:メチルメタクリレート(三菱瓦斯化学社製)(Sp1値:16.6)
<重合連鎖移動剤>
・MPD:3−メルカプト−1,2−プロパンジオール(旭化学工業社製「1−チオグリセロール」)
<重合開始剤>
・V−65B:2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬工業社製)
[共重合体A1の製造例]
還流管、攪拌装置、温度計及び窒素導入管を取り付けた1Lセパラブルフラスコに、初期仕込み用モノマー(a)である無水マレイン酸 6.75g、初期仕込み用モノマー(b)であるPEGMA23 31.5g、初期仕込み用モノマー(c)であるi-SMA 6.75g、MPD 2.25g及びエタノール(キシダ化学社製、試薬) 27.0gを仕込み、フラスコ内を撹拌しながら窒素置換し、80℃に加熱した。フラスコ内温度が80℃に到達後、V−65B 1.35g及びエタノール 12.15gの混合液をフラスコ内に添加した。その後、滴下用モノマー液(a)である無水マレイン酸 60.75g、滴下用モノマー液(b)であるPEGMA23 283.5g、滴下用モノマー液(c)であるi-SMA 60.75g、MPD 19.35g、V−65B 12.15g及びエタノール 243.0gの混合液を3時間かけてフラスコ内に滴下した。更に80℃で3時間熟成した後、室温まで冷却した。濃度調整のためにエタノールをフラスコ内に添加し、共重合体A1溶液を得た。
[共重合体A2〜A6の製造例]
表1に示した構成単位となるように初期仕込み用モノマー液(a)〜(c)、及び滴下用モノマー液(a)〜(c)を変更したこと、及び、共重合体の分子量を表1に示す値に調節するために、MPDの添加量を調節したこと以外は、前記共重合体A1と同様にして、共重合体A2〜A6溶液を製造した。
[重量平均分子量の測定]
共重合体の重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(以下「GPC」ともいう)法を用いて行った。すなわち、試料をN,N−ジメチルホルムアミドで希釈し、試料の固形分濃度0.3質量%の溶液を調製して試料溶液とし、その100μLを測定に供した。N,N−ジメチルホルムアミドに、リン酸とリチウムブロマイドをそれぞれ60mmol/Lと50mmol/Lの濃度となるように溶解した液を溶離液として、GPC〔装置:東ソー株式会社製「HLC−8120GPC」、検出器:示差屈折計(装置付属)、カラム:東ソー株式会社製「TSK−GEL α−M」×2本、カラム温度:40℃、溶離液流速:1mL/min〕により、測定した。標準物質としては、単分散ポリスチレン(東ソー株式会社製:分子量 5.26×102、1.02×105、8.42×106;西尾工業株式会社製:分子量 4.0×103、3.0×104、9.0×105)を用いた。
2.スラリー組成物の製造
表2に示す実施例1〜9、比較例1及び参考例1〜3のスラリー組成物を、以下の配合工程及び脱気工程を順に行うことにより製造した。
まず、無機顔料であるチタン酸バリウム粉末(BET比表面積 15m2/g、BET換算粒径 75nm) 36gと、分散剤である共重合体 0.36gと、直径1mmのジルコニアビーズ 50gと、ジルコニアビーズを除いた成分中のチタン酸バリウムの含有量が50質量%になる量のトルエン/エタノール混合溶媒(容積比:48/52)とを、容量100mLのポリエチレン製容器に入れ、卓上型ボールミル(アズワン社製「ビッグローター BR−2」)を用い、室温、120r/minの条件で96時間分散処理を行った(一次分散工程)。次いで、バインダー樹脂であるポリビニルブチラール樹脂(積水化学工業社製「エスレック BM−2」;ブチラール化度 68モル%、水酸基量 31モル%、分子量 約5万) 2.8gと、可塑剤であるジ−(2−エチルヘキシル)フタレート(花王社製「ビニサイザー 80」) 0.56gと、帯電防止剤であるアルキルイミダゾリン(花王社製「ホモゲノール L−95」) 0.2gと、チタン酸バリウムの含有量がスラリー組成物に対して30質量%になる量のトルエン/エタノール混合溶媒(容積比:48/52)とを、前記容器に加え、前記卓上型ボールミルを用い、室温、120r/minの条件で2時間分散処理を行い(二次分散工程)、実施例1〜9、比較例1及び参考例1〜3の混合液を得た。なお、実施例3及び6では、一次分散工程において、オレフィン系脱泡剤(エボニック社製「Airex922」) 0.11gを一次分散工程における混合液に対して配合した。各混合液中の無機顔料、共重合体及び脱泡剤の含有量を表2に示した。
そして、実施例1〜9の混合液を撹拌しながら、吸引ポンプにより系内圧50kPa、25℃にて1時間(実施例2では30分間)減圧処理し、脱気処理を行い(脱気工程)、その後、ジルコニアビーズを200メッシュナイロン濾過で取り除き、実施例1〜9のスラリー組成物を得た。一方、比較例1及び参考例1〜3の混合液については脱気処理を行うことなく、ジルコニアビーズを200メッシュナイロン濾過で取り除き、比較例1及び参考例1〜3のスラリー組成物を得た。実施例1〜9、比較例1及び参考例1〜3の各混合液の固形分濃度は、前記脱気処理の前後で、実質的に同じであった。
得られたスラリー組成物を用い、溶存酸素量、分散性の評価及びシート強度の評価を行った。結果を表2に示す。
[スラリー組成物中の溶存酸素量の測定]
スラリー組成物中の溶存酸素量(mg/L)は、溶存酸素測定装置(飯島電子工業社製の「B−506」)を用いて25℃下で測定した。
[スラリー組成物の分散性の評価(粒径の測定]
粒径測定装置として、光子相関法(動的光散乱法)の原理に基づく粒度分布測定機(シスメックス社製「ゼータサイザーナノZS」)を使用した。スラリー組成物 0.025gと、分散媒としてトルエン/エタノール混合溶媒(容積比:48/52) 2mLとを混合して得られた液をサンプルとし、光路長10mmの硝子セルに1.2mL採取し、測定部に入れて測定した。測定パラメータとして、粒子の屈折率、分散媒の屈折率及びサンプル粘度を入力した。例えば、無機顔料がチタン酸バリウムの場合、粒子の屈折率を2.40とした。分散媒の屈折率は1.423、サンプル粘度は0.752とした。散乱強度の頻度分布が90%となる粒径をD90とした。D90の値が小さいほど、分散性に優れると評価できる。
[シート強度の評価(破断応力の測定)]
フィルムアプリケーター(ギャップ50μm)を用い、シリコーン処理された離型フィルム(帝人デュポンフィルム社製「ピューレックス A31」)にスラリー組成物を塗工し、60℃にて16時間乾燥し、セラミックシートを成形した。乾燥後のセラミックシートの厚みは、2.0μmであった。得られたセラミックシートを、前記離型フィルムとともにスーパーダンベル(ダンベル社製「SDK−2493」)を取り付けたレバー式試料裁断機(ダンベル社製「SD型」)を用いて裁断して、離型フィルムを剥離したシートを試験片とし、引っ張り試験用治具を装着した卓上型精密試験機(島津製作所社製「オートグラフ EZ−Test」)を用いて、シートが破断した時の破断応力を測定した。破断応力の値が大きいほど、シート強度に優れると評価できる。シート強度の観点から、破断応力(単位:MPa)は、好ましくは20.0以上、より好ましくは25.0以上、更に好ましくは26.0以上、更に好ましくは27.0以上である。
表2に示すとおり、実施例1〜9のスラリー組成物は、分散性が良好であった。そして、実施例1〜9のスラリー組成物から得られたセラミックシートは、優れたシート強度を示していた。
さらに、実施例1及び参考例2のスラリー組成物を用いて形成されたセラミックシートを切断し、この断面を透過型電子顕微鏡(TEM、日本電子社製「JEM−2000」)を用いて観察した。実施例1のスラリー組成物から得られたセラミックシートでは、図1の矢印部分に示されるように、シート内部に空隙がほとんど確認されなかった。一方、参考例2のスラリー組成物から得られたセラミックシートでは、図2の矢印部分に示されるように、シート内部に複数の空隙が確認された。これらの断面観察の結果と、表2の実施例1と参考例2との結果を考慮すると、シート内部の空隙を減少させることが、シート強度の向上に有効であると考えられた。
本開示は、例えば、セラミックス電子部品の製造に関する分野に有用である。

Claims (7)

  1. 非水系溶媒、無機顔料、及び分散剤を含有する混合液を、該混合液中の溶存酸素量が7mg/L以下となるように脱気処理する脱気工程を含み、
    前記分散剤は、共重合体であり、
    前記無機顔料の平均粒径が、1nm以上150nm以下であり、
    前記脱気処理が、温度80℃以下、系内圧80kPa以下で行う減圧脱気である、スラリー組成物の製造方法。
  2. 前記共重合体が、酸性基を有する化合物由来の構成単位(a)を含む、請求項1に記載のスラリー組成物の製造方法。
  3. 前記構成単位(a)が、一塩基酸、二塩基酸、無水二塩基酸及び二塩基酸モノエステルから選ばれる少なくとも1種の化合物由来の構成単位である、請求項2に記載のスラリー組成物の製造方法。
  4. 前記共重合体が、下記式(I)で表される構成単位及び下記式(II)で表される化合物由来の構成単位から選ばれる少なくとも1つの構成単位(b)を含む、請求項1から3に記載のスラリー組成物の製造方法。
    [式(I)中、R1、R2、R3及びR5は同一又は異なり、水素原子、メチル基及びエチル基から選ばれる少なくとも1種を示し、R4は炭素数2以上4以下のアルカンジイル基を示し、X1は酸素原子及びNHから選ばれる少なくとも1種を示し、nは平均付加モル数を示し、1以上140以下である。]
    11O(AO)m12 (II)
    [式(II)中、R11は炭素数1以上18以下の炭化水素基を示し、R12は炭素数2以上5以下の不飽和炭化水素基を示し、AOは炭素数2以上4以下のオキシアルキレン基の1種又は2種以上を示し、mはオキシアルキレン基の平均付加モル数を示し、1以上100以下である。]
  5. 前記非水系溶媒、前記無機顔料、及び前記分散剤を配合する配合工程を含む、請求項1から4のいずれかに記載のスラリー組成物の製造方法。
  6. 前記無機顔料が、塩基性無機顔料である、請求項1からのいずれかに記載のスラリー組成物の製造方法。
  7. 非水系溶媒、無機顔料、及び分散剤を含有するスラリー組成物であって、
    前記分散剤が、共重合体であり、
    前記無機顔料の平均粒径が、1nm以上150nm以下であり、
    溶存酸素量が、7mg/L以下である、スラリー組成物。
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