JP6726685B2 - モルタル組成物及びその製造方法、コンクリート構造体、並びにコンクリート躯体の下地調整方法 - Google Patents

モルタル組成物及びその製造方法、コンクリート構造体、並びにコンクリート躯体の下地調整方法 Download PDF

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Description

本発明は、モルタル組成物及びその製造方法、コンクリート構造体、並びにコンクリート躯体の下地調整方法に関する。
従来、コンクリート構造物に防食性を付与するために、コンクリート躯体上に防食材を塗布して硬化させることによって防食層を形成することが行われている。また、コンクリート躯体に段差、痘痕などが存在する場合、表面平滑性を確保するために、防食層を形成する前に、下地調整材をコンクリート躯体上に塗布して硬化させることによって下地層を形成することが行われている。コンクリート躯体の表面に下地層を形成する場合、防食材が硬化時に収縮するため、防食層が下地層から剥離し易くなり、防食層に浮きが生じることがある。この問題を防止するために、防食材の種類に応じて、適切な下地調整材が選択して用いられている。例えば、ビニルエステル樹脂を含む防食材を用いる場合、ビニルエステル樹脂を主成分とする下地調整材が用いられている。
近年、省資源及び環境保全の観点から、有機溶剤をなるべく含まない下地調整材に関心が向けられている。このような下地調整材としては、ビニルエステル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂などを用いたモルタル組成物が知られている(例えば、特許文献1及び2)。
しかしながら、上記のようなモルタル組成物は、所望の強度が発現するまでに時間を要する(養生期間が長くなる)という問題がある。早期強度発現性を確保するためには、モルタル組成物に配合されるセメントとして急硬性又は速硬性のセメントを選択して用いればよいが、このようなモルタル組成物から形成される下地層は、防食層に浮きが生じ易いと共に防食層との接着性も十分ではない。
また、養生期間を短くすると共に防食層との接着性を向上させるために、エマルジョン形態の混和剤をモルタル組成物に配合することも知られている(例えば、特許文献3)。
しかしながら、モルタル組成物に配合される混和剤の種類によっては、防食材の硬化反応が阻害され、下地層と防食層との接着性が十分に確保されないことがある。さらに、常温硬化が難しくなったり、作業性、早期強度発現性又は硬化性が低下したりすることもある。
特開2011−236108号公報 特開平9−208283号公報 特開2007−204333号公報
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであり、常温硬化が可能であり、作業性、早期強度発現性及び硬化性に優れると共に、防食層との接着性が良好な下地層を形成することができるモルタル組成物及びその製造方法、並びにコンクリート躯体の下地調整方法を提供することを目的とする。また、本発明は、上記のような特性を有する下地層を備えるコンクリート構造体を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記のような問題を解決すべく鋭意研究した結果、特定の成分を含有する水中油型エマルジョン組成物を硬化剤及び骨材と組み合わせることにより、下地調整材に適した特性が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の第(1)項〜第(13)項である。
(1)(メタ)アクリレート系エポキシ樹脂、重合性不飽和単量体、硬化促進剤、反応性界面活性剤及び水を含有する水中油型エマルジョン組成物と、硬化剤と、骨材とを含有することを特徴とするモルタル組成物。
(2)前記(メタ)アクリレート系エポキシ樹脂100質量部に対して、前記重合性不飽和単量体が1質量部〜200質量部、前記硬化促進剤が0.1質量部〜10質量部、前記反応性界面活性剤が1質量部〜50質量部、前記水が10質量部〜200質量部であることを特徴とする第(1)項に記載のモルタル組成物。
(3)前記水中油型エマルジョン組成物100質量部に対して、前記硬化剤が1質量部〜30質量部、前記骨材が5質量部〜300質量部であることを特徴とする第(1)項又は第(2)項に記載のモルタル組成物。
(4)前記反応性界面活性剤が、イオン性反応性界面活性剤及びノニオン性反応性界面活性剤からなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする第(1)項〜第(3)項のいずれか一項に記載のモルタル組成物。
(5)前記イオン性反応性界面活性剤がアニオン性反応性界面活性剤であることを特徴とする第(4)項に記載のモルタル組成物。
(6)前記重合性不飽和単量体が、アルキル(メタ)アクリレート、アルケニル(メタ)アクリレート、アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、アルコキシアルキル(メタ)アクリレート、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、アクリロニトリル、スチレン及びその誘導体、並びにこれら以外のビニル化合物からなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする第(1)項〜第(5)項のいずれか一項に記載のモルタル組成物。
(7)前記硬化促進剤が、金属アセチルアセテート、金属石鹸、バナジウム化合物、硫化金属及びアミンからなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする第(1)項〜第(6)項のいずれか一項に記載のモルタル組成物。
(8)前記硬化剤が、ケトンパーオキサイド類、ヒドロパーオキサイド類及びパーオキシエステル類からなる群から選択される少なくとも1種の過酸化物であることを特徴とする第(1)項〜第(7)項のいずれか一項に記載のモルタル組成物。
(9)前記(メタ)アクリレート系エポキシ樹脂が、ノボラック型エポキシ樹脂又はビスフェノールA型エポキシ樹脂とメタクリル酸とのエステル化合物であることを特徴とする第(1)項〜第(8)項のいずれか一項に記載のモルタル組成物。
(10)(メタ)アクリレート系エポキシ樹脂、重合性不飽和単量体、硬化促進剤及び反応性界面活性剤を混合した後、水を滴下して転相乳化することにより、水中油型エマルジョン組成物を得る工程と、
前記水中油型エマルジョン組成物に硬化剤及び骨材を配合して混合する工程と
を含むことを特徴とするモルタル組成物の製造方法。
(11)コンクリート躯体と、前記コンクリート躯体上に形成された下地層と、前記下地層上に形成された防食層とを有するコンクリート構造体であって、
前記下地層が、第(1)項〜第(9)項のいずれか一項に記載のモルタル組成物の硬化物であることを特徴とするコンクリート構造体。
(12)前記防食層が、(メタ)アクリレート系エポキシ樹脂、重合性不飽和単量体、硬化促進剤、反応性界面活性剤、硬化剤及び水を含有する水中油型エマルジョン組成物の硬化物であることを特徴とする第(11)項に記載のコンクリート構造体。
(13)第(1)項〜第(9)項のいずれか一項に記載のモルタル組成物をコンクリート躯体に塗布した後、0℃〜50℃で硬化させることを特徴とするコンクリート躯体の下地調整方法。
本発明によれば、常温硬化が可能であり、作業性、早期強度発現性及び硬化性に優れると共に、防食層との接着性が良好な下地層を形成することができるモルタル組成物及びその製造方法、並びにコンクリート躯体の下地調整方法を提供することができる。また、本発明によれば、上記のような特性を有する下地層を備えるコンクリート構造体を提供することができる。
本発明のモルタル組成物は、水中油型エマルジョン組成物と、硬化剤と、骨材とを含有する。また、水中油型エマルジョン組成物は、(メタ)アクリレート系エポキシ樹脂、重合性不飽和単量体、硬化促進剤、反応性界面活性剤及び水を含有する。
<(メタ)アクリレート系エポキシ樹脂>
本明細書において「(メタ)アクリレート系エポキシ樹脂」とは、エポキシ樹脂とα−β不飽和一塩基酸との反応物を意味する。より具体的には、1分子中にエポキシ基を2つ以上有するエポキシ樹脂と、α−β位に炭素−炭素二重結合を有する一塩基酸との反応物(エステル化合物)である。
1分子中にエポキシ基を2つ以上有するエポキシ樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ハロゲン化ビスフェノール型エポキシ樹脂、ハロゲン化ノボラック型エポキシ樹脂、シアヌレート型エポキシ樹脂、ダイマー酸変性エポキシ樹脂などが挙げられる。これらは、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、これらの中でも、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂及びハロゲン化ビスフェノール型エポキシ樹脂が好ましい。これらは、公知の方法によって製造してもよいし、市販品を用いてもよい。
ここで、「ビスフェノール型」としては、特に限定されないが、ビスフェノールA型、ビスフェノールAP型、ビスフェノールB型、ビスフェノールBP型、ビスフェノールC型、ビスフェノールE型、ビスフェノールF型、ビスフェノールG型などが好ましく、ビスフェノールA型がより好ましい。なお、「ビスフェノールA」とは2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、「ビスフェノールAP」とは1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、「ビスフェノールB」とは2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、「ビスフェノールBP」とはビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、「ビスフェノールC」とは2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、「ビスフェノールE」とは1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、「ビスフェノールF」とはビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、「ビスフェノールG」とは2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルフェニル)プロパンを意味する。
「ハロゲン化」としては、特に限定されないが、臭素化が好ましい。
1分子中にエポキシ基を2つ以上有するエポキシ樹脂の中でも本発明に適したエポキシ樹脂は、少なくとも分子の両末端にエポキシ基を1つずつ有しているエポキシ樹脂である。
また、エポキシ樹脂のエポキシ当量は、特に限定されないが、好ましくは130g/eq〜800g/eq、より好ましくは150g/eq〜600g/eq、さらに好ましくは150g/eq〜400g/eqである。
α−β不飽和一塩基酸としては、特に限定されないが、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸などが挙げられる。これらは、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、これらの中でも、アクリル酸及びメタクリル酸が好ましく、メタクリル酸がより好ましい。
エポキシ樹脂とα−β不飽和一塩基酸との反応は、特に限定されず、公知の方法に準じて行うことができる。具体的には、エポキシ樹脂のエポキシ基の当量とα−β不飽和一塩基酸の酸基(カルボキシル基)の当量とがほぼ同じになるようにエポキシ樹脂及びα−β不飽和一塩基酸を混合し、好ましくは安定剤の存在下及び空気雰囲気下で、好ましくは80℃〜150℃、より好ましくは90℃〜140℃、さらに好ましくは100℃〜140℃で、酸価が好ましくは30mgKOH/g以下、より好ましくは4mgKOH/g〜25mgKOH/g、さらに好ましくは6mgKOH/g〜20mgKOH/gになるまで反応させる方法を用いることができる。特に、酸価を上記の範囲に制御することにより、(メタ)アクリレート系エポキシ樹脂を用いて形成される水中油型エマルジョン組成物の安定性が高くなる。
エポキシ樹脂とα−β不飽和一塩基酸との反応に用いられる安定剤としては、特に限定されず、公知の重合禁止剤を用いることができる。重合禁止剤としては、特に限定されないが、例えば、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、トリメチルハイドロキノン、t−ブチルハイドロキノンなどのハイドロキノン化合物;フェノチアジン、ジステアリルチオジプロピオネートなどのチオエーテル化合物;ジアルキルジチオカルバミン酸銅(アルキル基は、メチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基)、酢酸銅、サリチル酸銅、チオシアン酸銅、硝酸銅、塩化銅、炭酸銅、水酸化銅、アクリル酸銅などの銅塩;ジアルキルジチオカルバミン酸マンガン(アルキル基は、メチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基)、ジフェニルジチオカルバミン酸マンガン、蟻酸マンガン、酢酸マンガン、オクタン酸マンガン、ナフテン酸マンガン、過マンガン酸マンガン、エチレンジアミン四酢酸などのマンガン塩などが挙げられる。これらは、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明で用いられる(メタ)アクリレート系エポキシ樹脂は、変性されたものであってもよい。変性の種類としては、特に限定されないが、例えば、ウレタン変性、フェノール変性、クレゾール変性、酸変性、酸無水物変性、酸ペンダント変性、リン酸ペンダント変性、シリコン変性、アリルエーテル変性、アセトアセチル化変性、部分エステル化変性などが挙げられる。
また、本発明で用いられる(メタ)アクリレート系エポキシ樹脂は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
<重合性不飽和単量体>
本明細書において「重合性不飽和単量体」とは、重合性不飽和基を有する単量体のことを意味する。重合性不飽和単量体は、本発明のモルタル組成物を常温で硬化させる際に、硬化物(下地層)の形成を容易にする効果を与える。なお、本明細書では、(メタ)アクリレート系エポキシ樹脂及び重合性不飽和単量体をまとめて「樹脂成分」と称することがある。
重合性不飽和単量体としては、特に限定されないが、例えば、アルキル(メタ)アクリレート、アルケニル(メタ)アクリレート、アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、アルコキシアルキル(メタ)アクリレート、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、アクリロニトリル、スチレン及びその誘導体、並びにこれら以外のビニル化合物などが挙げられる。これらは、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
アルキル(メタ)アクリレートとしては、特に限定されないが、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート及び2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。アルキル(メタ)アクリレートにおけるアルキル基の炭素数は、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜8、さらに好ましくは1〜6である。
アルケニル(メタ)アクリレートとしては、特に限定されないが、例えば、アリル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。アルケニル(メタ)アクリレートにおけるアルケニル基の炭素数は、好ましくは3〜10、より好ましくは3〜8、さらに好ましくは3〜6である。
アルキレングリコールジ(メタ)アクリレートとしては、特に限定されないが、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。アルキレングリコールジ(メタ)アクリレートにおけるアルキレングリコール部位の炭素数は、好ましくは2又は3、より好ましくは2である。
アルコキシアルキル(メタ)アクリレートとしては、特に限定されないが、例えば、メトキシエチル(メタ)アクリレート及びブトキシエチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。アルコキシアルキル(メタ)アクリレートにおいて、アルコキシ基の炭素数は、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜8、さらに好ましくは1〜5であり、アルキル基の炭素数は、好ましくは1〜5、より好ましくは1〜4、さらに好ましくは1〜3である。
ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートとしては、特に限定されないが、例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート及びジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートにおいて、ジアルキルアミノ基が有するアルキル基はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、アルキル基の炭素数は、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜5、さらに好ましくは1〜3である。また、ジアルキルアミノ基が置換しており、アクリロイルオキシ基の酸素原子へ結合しているアルキル基の炭素数は、好ましくは1〜5、より好ましくは1〜4、さらに好ましくは1〜3である。
スチレン誘導体としては、特に限定されないが、例えば、α−メチルスチレン、o−ジビニルベンゼン、m−ジビニルベンゼン及びp−ジビニルベンゼンなどが挙げられる。
ビニル化合物としては、特に限定されないが、例えば、酢酸ビニル及びプロピオン酸ビニルなどのビニルエステル;塩化ビニリデンなどのハロゲン化ビニル等が挙げられる。
上記の様々な重合性不飽和単量体の中でも、スチレン及びその誘導体、並びにアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートが好ましく、スチレン及びエチレングリコールジ(メタ)アクリレートがより好ましく、スチレン及びエチレングリコールジメタクリレートがさらに好ましく、スチレンが特に好ましい。
水中油型エマルジョン組成物における重合性不飽和単量体の含有量は、特に限定されないが、(メタ)アクリレート系エポキシ樹脂100質量部に対して、好ましくは1質量部〜200質量部、より好ましくは5質量部〜100質量部、さらに好ましくは10質量部〜80質量部、またさらに好ましくは15質量部〜60質量部、特に好ましくは20質量部〜55質量部である。特に、重合性不飽和単量体の含有量が1質量部以上であれば、常温で硬化させ易くなる。また、重合性不飽和単量体の含有量が200質量部以下であれば、硬化物(下地層)の強度が向上する。
<硬化促進剤>
硬化促進剤としては、特に限定されず、本発明のモルタル組成物に使用される硬化剤の種類に応じて選択すればよい。例えば、硬化剤が有機過酸化物である場合、有機過酸化物を還元し得る硬化促進剤が用いられる。硬化促進剤としては、特に限定されないが、銅アセチルアセテート、バナジウムアセチルアセテート、コバルトアセチルアセテート、マンガンアセチルアセテート、鉄アセチルアセテートなどの金属アセチルアセテート;ナフテン酸鉄、ナフテン酸コバルト、オクチル酸コバルト、オクチル酸マンガンなどの金属石鹸;五酸化二バナジウムなどのバナジウム化合物;硫化コバルト、硫化銅、硫化マンガン、硫化ニッケル、硫化鉄などの硫化金属;N,N−ジメチルアニリン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、エチレンジエタノールアミン、N,N−ジメチルトルイジンなどのアミンなどが挙げられる。これらは、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。特に、1種類を単独で用いる場合、上記の中でも金属石鹸が好ましく、オクチル酸コバルトがより好ましい。また、2種類を組み合わせて用いる場合、金属石鹸(特に、オクチル酸コバルト)とアミン類との組み合わせが好ましい。
水中油型エマルジョン組成物における硬化促進剤の含有量は、特に限定されないが、(メタ)アクリレート系エポキシ樹脂100質量部に対して、好ましくは0.1質量部〜10質量部、より好ましくは0.3質量部〜7質量部、さらに好ましくは0.3質量部〜5質量部、特に好ましくは0.3質量部〜3質量部である。特に、硬化促進剤の含有量が0.1質量部以上であれば、常温で硬化させ易くなる。また、硬化促進剤の含有量が10質量部以下であれば、硬化促進剤による効果が飽和することを防止するこができるため、製造コストを抑えることができる。
<反応性界面活性剤>
反応性界面活性剤は、本発明のモルタル組成物から形成される硬化物(下地層)の耐水性、耐酸性及び耐塩基性を向上させる成分である。そのため、非反応性界面活性剤を用いた場合、硬化物(下地層)の耐水性、耐酸性及び耐塩基性を向上させることができない。
ここで、本明細書において「反応性」とは、分子内にラジカル反応性の炭素−炭素二重結合を少なくとも1つ有することを意味する。逆に、「非反応性」とは、分子内にラジカル反応性の炭素−炭素二重結合を有さないことを意味する。
反応性界面活性剤としては、イオン性の反応性界面活性剤及びノニオン性(非イオン性)の反応性界面活性剤があり、これらの中から選択される少なくとも1種を用いることができるが、イオン性の反応性界面活性剤とノニオン性の反応性界面活性剤とを併用することが好ましい。
イオン性の反応性界面活性剤としては、アニオン性反応性界面活性剤、カチオン性反応性界面活性剤、両性反応性界面活性剤のいずれであってもよいが、乳化容易性の観点から、アニオン性反応性界面活性剤が好ましい。
アニオン性反応性界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、α−スルホ−ω−(1−アルコキシメチル−2−(2−プロペニルオキシ)エトキシ)−ポリ(オキシ−1,2−エタンジイル)アンモニウム塩[株式会社ADEKA製のアデカリアソープ(商標)SR−10,SR−1025など]、α−スルホ−ω−(1−(ノニルフェノキシ)メチル−2−(2−プロペニルオキシ)エトキシ)−ポリ(オキシ−1,2−エタンジイル)アンモニウム塩[株式会社ADEKA製のアデカリアソープ(商標)SE−10,SE−1025Aなど]、ポリオキシエチレンアルキルプロペニルフェニルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩[第一工業製薬株式会社製のアクアロン(商標)HS−10,HS−5,BC−10,BC−5など]、α−スルホナト−ω−{1−(アリルオキシメチル)−アルキルオキシ}ポリオキシエチレンアンモニウム塩[第一工業製薬株式会社製のアクアロン(商標)KH−10など]、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸アンモニウム塩[花王株式会社製のラテムル(商標)PD−104など]、アルキルアリルスルホ琥珀酸塩[花王株式会社製のラテムル(商標)S−180A,S−180など、三洋化成工業株式会社製のエレミノール(商標)JS−20など]が挙げられる。これらは、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、これらの中でも、硬化物(下地層)の耐水性、耐酸性及び耐塩基性の観点からは、α−スルホ−ω−(1−アルコキシメチル−2−(2−プロペニルオキシ)エトキシ)−ポリ(オキシ−1,2−エタンジイル)アンモニウム塩が好ましい。
ノニオン性反応性界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、α−ヒドロ−ω−(1−アルコキシメチル−2−(2−プロペニルオキシ)エトキシ)−ポリ(オキシ−1,2−エタンジイル))[株式会社ADEKA製のアデカリアソープ(商標)ER−10,ER−20,ER−30,ER−40]、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル[花王株式会社製のラテムル(商標)PD−420,PD−430,PD−450]、ポリオキシエチレンアルキルプロペニルフェニルエーテル[第一工業製薬株式会社製のアクアロン(商標)RN20,RN30,RN50]などが挙げられる。これらは、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、これらの中でも、硬化物(下地層)の耐水性、耐酸性及び耐塩基性の観点からは、α−ヒドロ−ω−(1−アルコキシメチル−2−(2−プロペニルオキシ)エトキシ)−ポリ(オキシ−1,2−エタンジイル))が好ましい。
また、上記で例示した以外にも、特開昭62−104802号公報、特開昭63−23725号公報及び特開昭63−240931号公報などに記載の公知のアニオン性反応性界面活性剤又はノニオン性反応性界面活性剤を用いることもできる。
イオン性の反応性界面活性剤(特に、アニオン性反応性界面活性剤)とノニオン性の反応性界面活性剤とを併用する場合、反応性界面活性剤の全体に占めるノニオン性の反応性界面活性剤の含有率は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上である。
水中油型エマルジョン組成物における反応性界面活性剤の含有量は、特に限定されないが、(メタ)アクリレート系エポキシ樹脂100質量部に対して、好ましくは1質量部〜50質量部、より好ましくは5質量部〜45質量部、さらに好ましくは10質量部〜40質量部、またさらに好ましくは15質量部〜38質量部、特に好ましくは15質量部〜36質量部である。特に、反応性界面活性剤の含有量が1質量部以上であれば、水中油型エマルジョン組成物の安定性が向上する。また、反応性界面活性剤の含有量が50質量部以下であれば、硬化物(下地層)が形成し易くなるとともに、硬化物(下地層)の耐水性、耐酸性及び耐塩基性も向上する。
水中油型エマルジョン組成物には、上記の反応性界面活性剤と共に非反応性界面活性剤を併用してもよい。非反応性界面活性剤を併用する場合、反応性界面活性剤100質量部に対して、好ましくは80質量部以下、より好ましくは50質量部以下、さらに好ましくは30質量部以下、特に好ましくは10質量部以下である。
非反応性界面活性剤としては、特に限定されないが、非反応性である公知のアニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤及びノニオン性界面活性剤を用いることができる。
非反応性のアニオン性界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、ラウリル硫酸ナトリウムなどの高級アルコール硫酸エステル塩;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルベンゼンスルホン酸塩;アルキルナフタレンスルホン酸塩;アルケニル琥珀酸カリウム;ジアルキルスルホ琥珀酸塩;半硬化牛脂肪酸カリウムなどの半硬化牛脂肪酸塩;アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムなどのアルキルジアリールエーテルジスルホン酸塩;ポリオキシエチレンアルキルエーテルの硫酸エステル塩などのポリオキシアルキレンアルキルエーテルの硫酸エステル塩;ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルの硫酸エステル塩などのポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテルの硫酸エステル塩;ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸ナトリウムなどのポリオキシアルキレンアルキルエーテル酢酸塩;ラウロイルサルコシンナトリウム、N−ラウロイルメチルタウリンナトリウム、N−ココイルメチルタウリンナトリウム、β−ナフタレンスルホン酸ナトリウムホルマリン縮合物などが挙げられる。
非反応性のカチオン性界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、ドデシルアンモニウムクロライドなどのアルキルアンモニウム塩などが挙げられる。
非反応性のノニオン性界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアシルエステル、ポリオキシエチレン水素添加ステロール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンラノリン、ポリオキシエチレンラノリンアルコール、ポリオキシエチレンラノリンアルコールエーテル、ポリオキシエチレンラノリン脂肪酸エステルなどが挙げられる。
上記の様々な非反応性界面活性剤は、単一の種類を用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
<水>
水としては、特に限定されないが、イオン交換水、蒸留水などの純水を用いることが好ましい。
水中油型エマルジョン組成物における水の含有量は、特に限定されないが、(メタ)アクリレート系エポキシ樹脂100質量部に対して、好ましくは10質量部〜200質量部、より好ましくは10質量部〜150質量部、さらに好ましくは10質量部〜100質量部、またさらに好ましくは10質量部〜70質量部、特に好ましくは10質量部〜50質量部である。特に、水の含有量が10質量部以上であれば、エマルジョン組成物が水中油型になり易くなると共に、エマルジョン組成物の安定性が向上する。また、水の含有量が200質量部以下であれば、常温で硬化させ易くなる。
<水中油型エマルジョン組成物におけるその他の成分>
水中油型エマルジョン組成物には、必要に応じて、水溶性高分子、充填材、補強材、顔料などの公知の各種添加剤を配合してもよい。特に、水溶性高分子を配合することにより、水中油型エマルジョン組成物における(メタ)アクリレート系エポキシ樹脂の安定性が向上する。
水溶性高分子としては、特に限定されないが、例えば、ポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドンが挙げられる。これらは、単一又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
充填材としては、特に限定されないが、例えば、水硬性ケイ酸塩材料、炭酸カルシウム類、消石灰、クレー、アルミナ粉、硅石粉、タルク、石英粉、硫酸バリウム、シリカパウダー、ガラス粉、ガラスビーズ、ガラスフィラー、ガラスフレーク、マイカ、水酸化アルミニウム、セルロースなどが挙げられる。これらの中でも、ガラス粉、フィラー及び石英粉が好ましい。また、これらは、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
補強材としては、ガラス繊維、カーボン繊維、アラミド繊維などが挙げられる。これらは、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
水中油型エマルジョン組成物におけるその他の成分の含有量は、本発明の効果を阻害しない範囲であれば特に限定されないが、(メタ)アクリレート系エポキシ樹脂100質量部に対して、好ましくは30質量部以下、より好ましくは20質量部以下、さらに好ましくは10質量部以下である。
<水中油型エマルジョン組成物の製造方法>
水中油型エマルジョン組成物の製造方法としては、水中油型エマルジョン組成物を調製することが可能な方法であれば特に限定されず、当該技術分野において公知の方法を用いることができる。その中でも、水中油型エマルジョン組成物の製造方法として、(メタ)アクリレート系エポキシ樹脂、重合性不飽和単量体、硬化促進剤及び反応性界面活性剤を混合した後、水を滴下して転相乳化する方法を用いることが好ましい。この方法では、この場合、水を一度に添加するのではなく、水を「滴下」することにより、連続相が油相であるW/O型(油中水型)エマルジョン組成物から、連続相が水であるO/W型(水中油型)エマルジョン組成物へとスムーズに変化させることができる。また、水を滴下することにより、分散相がより一層微細に分散された状態となり、水中油型エマルジョン組成物の安定性が高くなる。さらに、この水中油型エマルジョン組成物を用いたモルタル組成物から形成される硬化物(下地層)の耐水性、耐酸性及び耐塩基性も高くなる。
<硬化剤>
硬化剤としては、特に限定されないが、一般的に、不飽和ポリエステルや(メタ)アクリレート系エポキシ樹脂の硬化に使用される硬化剤を用いることができる。このような硬化剤としては、有機過酸化物が好ましく用いられる。有機過酸化物は、10時間半減期温度が30℃〜170℃であることが好ましい。有機過酸化物としては、特に限定されないが、例えば、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド及びメチルシクロヘキサノンパーオキサイドなどのケトンパーオキサイド類;t−ブチルヒドロパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイド及び2,5−ジメチルヘキサノン−2,5−ヒドロパーオキサイドなどのヒドロパーオキサイド類;t−ブチルパーオキシベンゾエイト及びt−ブチルパーオキシラウレートなどのパーオキシエステル類が挙げられる。これらは、単独又は2種以上を組わせて用いることができる。
モルタル組成物における硬化剤の含有量は、特に限定されないが、水中油型エマルジョン組成物100質量部に対して、好ましくは1質量部〜30質量部、より好ましくは3質量部〜25質量部、さらに好ましくは5質量部〜20質量部である。特に、硬化剤の含有量が1質量部以上であれば、モルタル組成物の硬化を十分に進行させることができる。また、硬化剤の含有量が30質量部以下であれば、モルタル組成物の硬化速度が早くなり過ぎることもないため、適切な可使時間を確保することができる。
<骨材>
骨材としては、特に限定されず、モルタルやコンクリートで使用されるものを用いることができる。骨材としては、特に限定されないが、例えば、砕石、砂岩、寒水石、大理石、石英、石灰石、硅砂、硅石、川砂などが挙げられる。また、軽量化の観点から、焼結頁岩、パーライト、シラスバルーン、ガラスバルーンなどの軽量骨材も用いることができる。これらの中でも、硅砂が好ましく、7号硅砂及び8号硅砂がより好ましい。また、骨材は、普通ポルトランドセメントなどのセメントと複合化して用いてもよい。
モルタル組成物における骨材の含有量は、特に限定されないが、水中油型エマルジョン組成物100質量部に対して、好ましくは5質量部〜300質量部、より好ましくは10質量部〜200質量部、さらに好ましくは20質量部〜150質量部、特に好ましくは30質量部〜100質量部である。特に、骨材の含有量が5質量部以上であれば、実用的な流動性を確保することができる。また、骨材の含有量が300質量部以下であれば、コテ付着量が少なくなり、作業性の低下を防止することができる。
<モルタル組成物におけるその他の成分>
モルタル組成物には、必要に応じて、所定の特性を得る観点から、充填材、補強材、顔料などの公知の各種添加剤を配合してもよい。これらの添加剤は、水中油型エマルジョン組成物におけるその他の成分と同じであっても異なっていてもよい。添加剤の配合は、各組成物の安定性を考慮して選択することが望ましい。例えば、添加剤の配合によって水中油型エマルジョン組成物の安定性が低下するような場合、添加剤はモルタル組成物に配合することが好ましい。
モルタル組成物にその他の成分を配合する場合、それらの含有量は、本発明の効果を阻害しない範囲であれば特に限定されない。例えば、モルタル組成物に充填材を配合する場合、モルタル組成物における充填材の含有量は、特に限定されないが、水中油型エマルジョン組成物100質量部に対して、一般に5質量部〜300質量部、好ましくは10質量部〜200質量部、より好ましくは20質量部〜150質量部、さらに好ましくは25質量部〜100質量部である。
<モルタル組成物の製造方法>
モルタル組成物の製造方法としては、特に限定されず、当該技術分野において公知の方法を用いることができる。例えば、モルタル組成物は、水中油型エマルジョン組成物に硬化剤及び骨材を配合して混合することによって製造することができる。
このようにして製造されるモルタル組成物は、常温硬化が可能であり、作業性、早期強度発現性及び硬化性に優れている。また、このモルタル組成物は、コンクリート躯体の下地調整材として用いた場合、防食層との接着性が良好な下地層を形成することができる。
<コンクリート躯体の下地調整方法>
本発明のコンクリート躯体の下地調整方法は、本発明のモルタル組成物を下地調整材として用いる。その下地調整方法としては、特に限定されず、当該技術分野において公知の方法に準じて行うことができる。具体的には、本発明のモルタル組成物をコンクリート躯体に塗布した後、硬化させればよい。
本発明のモルタル組成物は、常温硬化が可能であるため、加熱設備などは特に要求されない。本発明のモルタル組成物の硬化温度は、硬化速度の観点から、一般に0℃〜50℃、好ましくは5℃〜50℃、より好ましくは10℃〜50℃、さらに好ましくは15℃〜45℃、特に好ましくは15℃〜40℃である。
<コンクリート構造体>
本発明のコンクリート構造体は、コンクリート躯体と、コンクリート躯体上に形成された下地層と、下地層上に形成された防食層とを有する。
このコンクリート構造体において、下地層は、本発明のモルタル組成物の硬化物である。下地層は、上記のコンクリート躯体の下地調整方法にしたがって形成することができる。
防食層としては、特に限定されず、当該技術分野において公知のものを採用することができる。例えば、防食層は、ビニルエステル樹脂系のライニング材を用いて形成することができる。
また、防食層として、(メタ)アクリレート系エポキシ樹脂、重合性不飽和単量体、硬化促進剤、反応性界面活性剤、硬化剤及び水を含有する水中油型エマルジョン組成物を用いて形成してもよい。この水中油型エマルジョン組成物に用いられる各成分は、モルタル組成物に用いられる各成分と同じものを用いることができる。この水中油型エマルジョン組成物から形成される硬化物は、耐水性、耐酸性及び耐塩基性に優れており、防食層としての機能を有する。また、この水中油型エマルジョン組成物から形成される硬化物は、下地層の硬化物の樹脂マトリックスと同じであるため、下地層と防食層との接着性も良好である。
防食層の形成に用いられる水中油型エマルジョン組成物の各成分の含有量は、特に限定されず、モルタル組成物に用いられる水中油型エマルジョン組成物に準じて調整すればよい。具体的には、防食層の形成に用いられる水中油型エマルジョン組成物は、モルタル組成物に用いられる水中油型エマルジョン組成物100質量部に対して、硬化剤を0.5質量部〜30質量部、より好ましくは1質量部〜25質量部、さらに好ましくは1.5質量部〜20質量部、特に好ましくは2質量部〜10質量部配合すればよい。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は実施例によって何ら限定されるものではない。
<水中油型エマルジョン組成物の製造>
(合成例1)
反応容器に、ノボラック型エポキシ樹脂「EPICRON(商標)N−740」(エポキシ当量170〜190g/eq、DIC株式会社製)948g、メタクリル酸451g、ハイドロキノン1.2g、及びN,N−ジメチルベンジルアミン6gを仕込み、空気を吹き込みながら115・5℃で2時間反応させた。この反応で得られた(メタ)アクリレート系エポキシ樹脂(A−1)の酸価は10mgKOH/gであった。次いで、この(メタ)アクリレート系エポキシ樹脂(A−1)にハイドロキノン0.3g及びスチレン(重合性不飽和単量体)422gを加え、よく撹拌して溶解させた。このようにして得られた樹脂成分を樹脂成分(VE−1)と称する。なお、この樹脂成分における重合性不飽和単量体の配合割合は、(メタ)アクリレート系エポキシ樹脂(A−1)100質量部に対して30質量部である。
次に、(メタ)アクリレート系エポキシ樹脂(A−1)100質量部及びスチレン(重合性不飽和単量体)30質量部を含む樹脂成分(VE−1)に対して、硬化促進剤としてオクチル酸コバルト1.3質量部及びジメチルアニリン0.65質量部、反応性界面活性剤としてアニオン性反応性界面活性剤「アデカリアソープ(商標)SR−10」(株式会社ADEKA製)3.25質量部及びノニオン性反応性界面活性剤「アデカリアソープ(商標)ER−30」(株式会社ADEKA製)32.5質量部を加えて混合した後、水40質量部を100mL/hで滴下しながら攪拌して転相乳化させることにより、水中油型エマルジョン組成物(VEm−1)を得た。この水中油型エマルジョン組成物(VEm−1)において、界面活性剤の分離などは見られず、安定性が良好であった。
(合成例2)
スチレン422gの代わりにエチレングリコールジメタクリレート422gを用いたこと以外は合成例1と同様にして樹脂成分(VE−2)を調製した。次に、樹脂成分(VE−1)の代わりに樹脂成分(VE−2)を用いたこと以外は合成例1と同様にして水中油型エマルジョン組成物(VEm−2)を得た。この水中油型エマルジョン組成物(VEm−2)において、界面活性剤の分離などは見られず、安定性が良好であった。
(合成例3)
反応容器に、ビスフェノールA型エポキシ樹脂「アラルダイト(商標)AER−280」(エポキシ当量280g/eq、旭化成イーマテリアルズ株式会社製)1043g、メタクリル酸340g、ハイドロキノン0.4g、及びN,N−ジメチルベンジルアミン3.3gを仕込み、空気を吹き込みながら125・5℃で2時間反応させた。この反応で得られた(メタ)アクリレート系エポキシ樹脂(A−2)の酸価は10mgKOH/gであった。次いで、ハイドロキノン0.3g及びスチレン(重合性不飽和単量体)624.15gを加え、よく撹拌して溶解させた。このようにして得られた樹脂成分を樹脂成分(VE−3)と称する。なお、この樹脂成分における重合性不飽和単量体の配合割合は、(メタ)アクリレート系エポキシ樹脂(A−2)成分100質量部に対して45質量部である。
次に、(メタ)アクリレート系エポキシ樹脂(A−2)100質量部及びスチレン(重合性不飽和単量体)45質量部を含む樹脂成分(VE−1)に対して、硬化促進剤としてオクチル酸コバルト1.45質量部及びジメチルアニリン0.75質量部、反応性界面活性剤としてアニオン性反応性界面活性剤「アデカリアソープ(商標)SR−10」(株式会社ADEKA製)3.65質量部及びノニオン性反応性界面活性剤「アデカリアソープ(商標)ER−30」(株式会社ADEKA製)36.5質量部を加えて混合した後、水45質量部を100mL/hで滴下しながら攪拌して転相乳化させることにより、水中油型エマルジョン組成物(VEm−3)を得た。この水中油型エマルジョン組成物(VEm−3)において、界面活性剤の分離などは見られず、安定性が良好であった。
(合成例4)
スチレン624.15gの代わりにエチレングリコールジメタクリレート624.15gを用いたこと以外は合成例3と同様にして樹脂成分(VE−4)を調製した。次に、樹脂成分(VE−3)の代わりに樹脂成分(VE−4)を用いたこと以外は合成例3と同様にして水中油型エマルジョン組成物(VEm−4)を得た。この水中油型エマルジョン組成物(VEm−4)において、界面活性剤の分離などは見られず、安定性が良好であった。
上記の合成例1〜4で得られた水中油型エマルジョン組成物の組成を表1にまとめる。
Figure 0006726685
<モルタル組成物の製造>
(実施例1)
水中油型エマルジョン組成物(VEm−1)100質量部と、硬化剤としてベンゾイルパーオキサイド「ナイパー(商標)FF」(日油株式会社製)10質量部と、骨材として8号硅砂40質量部、充填材として「CRYSTALITE(商標)石英フィラー」(株式会社龍森製)50質量部とを攪拌機を用いて1500rpmで2分間混合することにより、モルタル組成物を得た。
(実施例2)
水中油型エマルジョン組成物(VEm−1)の代わりに水中油型エマルジョン組成物(VEm−2)を用いたこと以外は実施例1と同様にしてモルタル組成物を得た。
(実施例3)
水中油型エマルジョン組成物(VEm−2)の配合量を50質量部に変えたこと以外は実施例2と同様にしてモルタル組成物を得た。
(実施例4)
水中油型エマルジョン組成物(VEm−1)の代わりに水中油型エマルジョン組成物(VEm−3)を用いたこと以外は実施例1と同様にしてモルタル組成物を得た。
(実施例5)
水中油型エマルジョン組成物(VEm−1)の代わりに水中油型エマルジョン組成物(VEm−4)を用いたこと以外は実施例1と同様にしてモルタル組成物を得た。
(比較例1)
水中油型エマルジョン組成物(VEm−1)の代わりに樹脂成分(VE−1)を用いたこと、及び混合時間を1分間にしたこと以外は実施例1と同様にしてモルタル組成物を得た。
(比較例2)
水中油型エマルジョン組成物(VEm−1)の代わりに樹脂成分(VE−2)を用いたこと、及び混合時間を1分間にしたこと以外は実施例1と同様にしてモルタル組成物を得た。
(比較例3)
樹脂成分(VE−2)100質量部と、硬化剤としてベンゾイルパーオキサイド「ナイパー(商標)FF」(日油株式会社製)1質量部と、骨材として8号硅砂5質量部、充填材として「CRYSTALITE(商標)石英フィラー」(株式会社龍森製)4質量部とを攪拌機を用いて1500rpmで2分間混合することにより、モルタル組成物を得た。
(比較例4)
ビスフェノールA型エポキシ樹脂エマルジョン「アデカレジンEM−101−50」(株式会社ADEKA製)15質量部と、水溶性ポリアミン「フジキュアーFXI−919」(株式会社T&K TOKA製)15質量部と、8号硅砂25質量部と、7号硅砂25質量部と、6号硅砂25質量部と、普通ポルトランドセメント25質量部とを攪拌機を用いて1500rpmで2分間混合することにより、モルタル組成物を得た。
(比較例5)
アクリルエマルジョン「ポリゾール(商標)AE−1000」(昭和電工株式会社製)25質量部と、8号硅砂25質量部と、7号硅砂25質量部と、6号硅砂25質量部と、速硬セメント25質量部とを攪拌機を用いて1500rpmで2分間混合することにより、モルタル組成物を得た。
上記の実施例及び比較例で得られたモルタル組成物の組成を表2にまとめる。なお、表中の単位は、質量部である。
Figure 0006726685
上記の実施例及び比較例で得られたモルタル組成物について下記の評価を行った。
(可使時間)
モルタル組成物を23℃×65%RHの環境下で静置した。この評価において、すぐにゲル化してしまったものを×;30分程度で流動性が低下したものを△;30分程度経過しても流動性があったものを○;1時間程度経過しても流動性があったものを◎と表す。
(作業性)
モルタル組成物をスレート板上に金コテにて塗布し、金コテへのモルタル組成物の付着状況及びモルタル組成物の塗布性を評価した。この評価において、金コテにモルタル組成物が付着し、コテ塗り作業が困難であったものを×;金コテにモルタル組成物が付着するものの、コテ塗り作業が可能であったものを△;金コテにモルタル組成物が付着せず、コテ塗り作業も可能であったものを○;金コテにモルタル組成物が付着せず、コテ塗り作業が良好であったものを◎と表す。
(ダレ)
モルタル組成物をスレート板上に金コテにて3mm厚で塗布した後、スレート板を立てた状態で静置した。この評価において、ダレの発生があったものを×;ダレの発生がなかったものを○と表す。
(硬化性)
モルタル組成物を100mLのポリプロピレンカップに入れ、23℃×65%RHの環境下で24時間静置した。この評価において、表面及び内部ともに未硬化であったものを×;内部に未硬化の部分があったものの、表面が完全に硬化していたものを△;表面及び内部ともに完全に硬化していたものを○と表す。
(コンクリート躯体に対する接着性)
JISコンクリート歩道板(300mm×300mm×60mm)にモルタル組成物を1.0kg/m2の塗布量で金コテにて塗布した後、23℃×65%RHの環境下にて24時間養生することにより、モルタル組成物の硬化物を形成した。このようにして得られた試験体に40×40mmの金属製治具(引張用)をエポキシ系接着剤にて固定し、JISコンクリート歩道板に達するまで切り込みを入れた後、建研式接着力試験器を用いてJISコンクリート歩道板とモルタル組成物の硬化物との間の接着性を評価した。金属製治具は、JIS R 6252「研磨紙」に規定される研磨紙#150を用いて装着面の表層部を研磨したものを使用した。この評価において、接着力が2.0N/mm2未満であり、破壊箇所がモルタル組成物の硬化物であったものを×;接着力が2.0N/mm2以上であり、破壊箇所がJISコンクリート歩道板であったものを○と表す。
(防食層に対する接着性)
JISコンクリート歩道板(300mm×300mm×60mm)にモルタル組成物を1.0kg/m2の塗布量で金コテにて塗布した後、23℃×65%RHの環境下にて24時間養生することにより、モルタル組成物の硬化物(下地層)を形成した。
次に、水中油型エマルジョン組成物(VEm−2)100質量部に対して、硬化剤「328E」(t−ブチルパーオキシベンゾエート・クメンヒドロパーオキサイド;化薬アクゾ株式会社製)3質量部を添加して混合した。このようにして得られた水中油型エマルジョン組成物を500g/m2の塗布量で金コテにて下地層上に塗布した。塗布は、3層コート(1日1コートの間隔で塗布)とし、1mm以上の膜厚の防食層を形成した。防食層を形成してから3日以上の養生を行った後、得られた試験体に40×40mmの金属製治具(引張用)をエポキシ系接着剤にて固定し、JISコンクリート歩道板に達するまで切り込みを入れた。その後、簡易型引張試験器(テクノテスターRT−1000LD サンコーテクノ株式会社製)を用いて、下地層と防食層及びJISコンクリート歩道板との間の接着性を評価した。この評価において、接着力が2.0N/mm2未満であり、破壊箇所が下地層であったものを×;接着力が2.0N/mm2以上であり、破壊箇所がJISコンクリート歩道板であったものを○と表す。
(ピール剥離試験)
上記の「防食層に対する接着性」の評価と同様にして試験体を作製した後、得られた試験体を強制的に剥離させるピール剥離試験を行った。ピール剥離試験では、ピール面積を40mm×80mmとした。評価方法としてはピール剥離後の剥離箇所を目視にて観察した。この評価において、破壊箇所が全体的に下地層に確認されたものを×;破壊箇所が部分的に下地層に確認されたものを△;破壊箇所がJISコンクリート歩道板又は防食層に確認されたものを○と表す。
(硬化収縮抵抗性)
JISコンクリート歩道板(300mm×300mm×60mm)の代わりに5mmスレート板(300mm×200mm)を用い、防食層の形成領域を250mm×150mmとしたこと以外は上記の「防食層に対する接着性」の評価と同様にして試験体を作製した。防食層を形成してから23℃×65%RHの環境下で24時間以上の養生を行った後、強制的に防食層の硬化収縮を早めるために80℃の環境下でアフターキュアを24時間行った。その後、防食層の状態を目視にて観察した。この評価において、防食層が全体的に剥離していたものを×、防食層に部分的に浮きが発生していたものを△、防食層に変化がなかったものを○と表す。
上記の各評価結果を表3に示す。
Figure 0006726685
表3に示されているように、実施例1〜5のモルタル組成物は、全ての評価結果が良好であった。
これに対して比較例1及び2のモルタル組成物は、可使時間が短く、作業性も十分でなかった。また、比較例3のモルタル組成物は、作業性が十分でなく、ダレも発生した。さらに、比較例4及び5のモルタル組成物は、防食層に対する接着性が十分でない下地層を与えた。
なお、実施例1〜5で用いた水中油型エマルジョン組成物の代わりに比較例4及び5で用いたエマルジョンを用い、実施例1〜5と同じ組成を有するモルタル組成物についても調製したが、硬化反応が起こらなかったため、上記の評価は省略した。
以上の結果からわかるように、本発明によれば、常温硬化が可能であり、作業性、早期強度発現性及び硬化性に優れると共に、防食層との接着性が良好な下地層を形成することができるモルタル組成物及びその製造方法、並びにコンクリート躯体の下地調整方法を提供することができる。また、本発明によれば、上記のような特性を有する下地層を備えるコンクリート構造体を提供することができる。
なお、本国際出願は、2015年12月7日に出願した日本国特許出願第2015−238589号に基づく優先権を主張するものであり、この日本国特許出願の全内容を本国際出願に援用する。

Claims (13)

  1. (メタ)アクリレート系エポキシ樹脂、重合性不飽和単量体、硬化促進剤、反応性界面活性剤及び水を含有する水中油型エマルジョン組成物と、硬化剤と、骨材とを含有することを特徴とするモルタル組成物。
  2. 前記(メタ)アクリレート系エポキシ樹脂100質量部に対して、前記重合性不飽和単量体が1質量部〜200質量部、前記硬化促進剤が0.1質量部〜10質量部、前記反応性界面活性剤が1質量部〜50質量部、前記水が10質量部〜200質量部であることを特徴とする請求項1に記載のモルタル組成物。
  3. 前記水中油型エマルジョン組成物100質量部に対して、前記硬化剤が1質量部〜30質量部、前記骨材が5質量部〜300質量部であることを特徴とする請求項1又は2に記載のモルタル組成物。
  4. 前記反応性界面活性剤が、イオン性反応性界面活性剤及びノニオン性反応性界面活性剤からなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のモルタル組成物。
  5. 前記イオン性反応性界面活性剤がアニオン性反応性界面活性剤であることを特徴とする請求項4に記載のモルタル組成物。
  6. 前記重合性不飽和単量体が、アルキル(メタ)アクリレート、アルケニル(メタ)アクリレート、アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、アルコキシアルキル(メタ)アクリレート、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、アクリロニトリル、スチレン及びその誘導体、並びにこれら以外のビニル化合物からなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のモルタル組成物。
  7. 前記硬化促進剤が、金属アセチルアセテート、金属石鹸、バナジウム化合物、硫化金属及びアミンからなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のモルタル組成物。
  8. 前記硬化剤が、ケトンパーオキサイド類、ヒドロパーオキサイド類及びパーオキシエステル類からなる群から選択される少なくとも1種の過酸化物であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のモルタル組成物。
  9. 前記(メタ)アクリレート系エポキシ樹脂が、ノボラック型エポキシ樹脂又はビスフェノールA型エポキシ樹脂とメタクリル酸とのエステル化合物であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載のモルタル組成物。
  10. (メタ)アクリレート系エポキシ樹脂、重合性不飽和単量体、硬化促進剤及び反応性界面活性剤を混合した後、水を滴下して転相乳化することにより、水中油型エマルジョン組成物を得る工程と、
    前記水中油型エマルジョン組成物に硬化剤及び骨材を配合して混合する工程と
    を含むことを特徴とするモルタル組成物の製造方法。
  11. コンクリート躯体と、前記コンクリート躯体上に形成された下地層と、前記下地層上に形成された防食層とを有するコンクリート構造体であって、
    前記下地層が、請求項1〜9のいずれか一項に記載のモルタル組成物の硬化物であることを特徴とするコンクリート構造体。
  12. 前記防食層が、(メタ)アクリレート系エポキシ樹脂、重合性不飽和単量体、硬化促進剤、反応性界面活性剤、硬化剤及び水を含有する水中油型エマルジョン組成物の硬化物であることを特徴とする請求項11に記載のコンクリート構造体。
  13. 請求項1〜9のいずれか一項に記載のモルタル組成物をコンクリート躯体に塗布した後、0℃〜50℃で硬化させることを特徴とするコンクリート躯体の下地調整方法。
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