JP6917795B2 - パテ用組成物、並びにこれを用いた構造体、移動体および鉄道車両 - Google Patents
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(1)[A]不飽和ポリエステル、
[B]重合性不飽和化合物、
[C]重合開始剤、および
[D]充填剤
を含有するパテ用組成物であって、
[B]重合性不飽和化合物が、
(B1)スチレン、並びに
(B2)グリシジル基、第2アミンおよび第3アミンからなる群より選択される少なくとも1種の基または構造と、エチレン性不飽和基とを含む化合物であることを特徴とするパテ用組成物、
(2)(B2)化合物のSP値が8以上12以下である前記(1)に記載のパテ用組成物、
(3)(B2)化合物が、グリシジルメタクリレート、N−ビニルピロリドン、およびジメチルアミノエチルアクリレートからなる群より選択される少なくとも1種である前記(1)または(2)に記載のパテ用組成物、
(4)[B]重合性不飽和化合物の含有量が、[A]不飽和ポリエステル100質量部に対して50質量部以上150質量部以下である前記(1)から(3)のいずれか1項に記載のパテ用組成物、
(5)(B1)スチレンと(B2)化合物とのモル比が、10:90以上80:20以下である前記(1)から(4)のいずれか1項に記載のパテ用組成物、
(6)前記(1)から(5)のいずれか1項に記載のパテ用組成物を用いて形成されたパテを有する構造体、
(7)前記(1)から(5)のいずれか1項に記載のパテ用組成物を用いて形成されたパテを有する移動体、並びに
(8)前記(1)から(5)のいずれか1項に記載のパテ用組成物を用いて形成されたパテを有する鉄道車両
に関する。
本発明のパテ用組成物は、[A]不飽和ポリエステル、[B]重合性不飽和化合物、[C]重合開始剤、および[D]充填剤を含有する。また、当該組成物は、本発明の効果を損なわない限り、[E]任意成分を含有してもよい。このように、当該パテ用組成物は、上記各成分を含有しているので、十分な密着性と優れたブリスタ抑制性とを付与することができる。これは、[B]重合性不飽和化合物が(B1)スチレンおよび(B2)化合物を有しているので、(B1)スチレンが有する疎水性と、(B2)化合物の特定の官能基による密着性とが相俟って、当該パテ用組成物が優れた密着性およびブリスタ抑制性を付与するものと推察される。以下、各成分について詳述する。
[A]不飽和ポリエステルは、得られるパテの主成分となるものである。[A]不飽和ポリエステルとしては、不飽和二塩基酸と多価アルコールとの重縮合物、またはこの重縮合物を変性したものである。なお、[A]不飽和ポリエステルは、単独で、または2種以上を組み合わせて用いてもよい。
[B]重合性不飽和化合物は、当該パテ用組成物を硬化させると共に、隣接する層との密着性を向上させる成分である。[B]重合性不飽和化合物は、(B1)スチレンおよび(B2)化合物で構成されている。なお、(B1)スチレンおよび(B2)化合物は、それぞれ単独で、または2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(B1)スチレンは、後述する(B2)化合物と共に当該パテ用組成物を硬化させる成分である。当該パテ用組成物が(B1)スチレンを含有していることで、パテ形成時の速乾性も期待することができる。
(B2)化合物は、グリシジル基、第2アミンおよび第3アミンからなる群より選択される少なくとも1種の基または構造と、エチレン性不飽和基とを含む化合物である。
[C]重合開始剤は、重合反応を開始し易くする成分である。当該パテ用組成物が[C]重合開始剤を含有することで、加熱や放射線照射等による硬化を容易に開始させることができる。
[D]充填剤は、パテの嵩を増す成分である。なお、[D]充填剤は、単独で、または2種以上を組み合わせて用いてもよい。
当該パテ用組成物は、本発明の効果を損なわない限り、硬化促進剤、重合禁止剤、着色剤、減粘剤等の粘度調節剤、脱泡剤、シランカップリング剤、パラフィン等の空気遮断剤、紫外線吸収剤、可塑剤、骨材、難燃剤、安定剤、補強材等を含有してもよい。なお、[E]任意成分は、それぞれ単独で、または2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、[E]任意成分の含有量は、それぞれの目的に応じて適宜選択することができる。
本発明のパテ用組成物は、[A]不飽和ポリエステル、[B]重合性不飽和化合物、[C]重合開始剤、[D]充填剤、および[E]任意成分を所定の割合で混合することにより調製することができる。
例えば、[A]不飽和ポリエステル、[B]重合性不飽和化合物、[D]充填剤、および[E]任意成分をあらかじめ配合した配合物を用い、硬化直前に[C]重合開始剤を上記配合物に配合して当該パテ用組成物を調製し、これを構造体上に塗布した後、所定の雰囲気、温度および時間を経ることで硬化したパテを得ることができる。上記雰囲気としては、通常大気である。上記温度としては、室温および加温のいずれであってもよいが、通常外気温が低い場合には加温、外気温が高い場合には室温で行われる。上記時間としては、上記温度および硬化度合いにより適宜決定することができる。なお、上記条件を変更しながら段階的に硬化させてもよい。
本発明の構造体は、当該パテ用組成物を用いて形成されたパテを有している。上述したように、当該パテ用組成物は、十分な密着性と優れたブリスタ抑制性とを付与することが可能なパテ用組成物を提供することができるので、密着性と良好な外観とが求められる固定物、移動体などの構造体表面の形成に好適に用いることができる。
本発明の移動体は、当該パテ用組成物を用いて形成されたパテを有している。上述したように、当該パテ用組成物は、十分な密着性と優れたブリスタ抑制性とを付与することが可能なパテ用組成物を提供することができるので、密着性と良好な外観とが求められる自動車、鉄道車両等の移動体表面の形成に好適に用いることができる。
本発明の鉄道車両は、当該パテ用組成物を用いて形成されたパテを有している。上述したように、当該パテ用組成物は、十分な密着性と優れたブリスタ抑制性とを付与することが可能なパテ用組成物を提供することができるので、密着性と良好な外観とが求められる機関車、客車等の鉄道車両表面の形成に好適に用いることができる。
パテ用組成物の調製に用いた各成分を以下に示す。
A−1:CN−703(ディーエイチ・マテリアル製、固形分約65%)
A−2:CN−705(ディーエイチ・マテリアル製、固形分約63%)
[B]重合性不飽和化合物
(B1)成分
B1−1:スチレン(和光純薬工業製、試薬特級)
(B2)成分
B2−1:N−ビニルピロリドン(日本触媒製、SP値11.4)
B2−2:グリシジルメタクリレート(和光純薬工業製、試薬特級、SP値9.8)
B2−3:ジメチルアミノエチルアクリレート(東京化成工業製、SP値9.2)
B2−4:N−ヒドロキシエチルアクリルアミド(東京化成工業製、SP値14.4)
B2−5:2−ヒドロキシエチルアクリレート(日本触媒製、SP値12.45)
B2−6:アクリルアミド(和光純薬工業製、和光1級、SP値14.2)
[C]重合開始剤
C−1:クメンハイドロパーオキサイド(日油製、型番:パークミルH−80)
C−2:ジアシルパーオキサイド(日油製、型番:ナイパーBW)
[D]充填剤
D−1:タルク(日本タルク製、型番:タルクSW、粒子径:平均12μm)
D−2:タルク(日本タルク製、型番:タルクMS、粒子径:平均14μm)
[E]任意成分
E−1:コバルト系促進剤(DIC製、RP−136)
E−2:アミン系促進剤(試薬:ジメチルアニリン)
[A]不飽和ポリエステルとして(A−1)を用い、この(A−1)から蒸留によりスチレンを取り除いて固形分が100%となるようにした。次いで、得られた(A−1)100部に(B1)成分として(B1−1)25質量部、(B2)成分として(B2−1)45質量部、[D]充填剤として(D−1)150質量部、並びに[E]任意成分として(E−1)2質量部および(E−2)0.5質量部を配合し、この配合物の高速ディソルバーで15分撹拌した。次いで、上記撹拌した配合物に[C]重合開始剤としての(C−1)1.5質量部を加えて十分に撹拌し実施例1のパテ用組成物を調製した。
配合する各成分の種類および配合量(質量部)を表1の通りとした以外は、実施例1と同様に操作して、各パテ用組成物を調製した。
密着性およびブリスタ抑制性を評価し、その結果を表2に示す。
各パテ用組成物を、アルミニウム板(合金番号:A6N01、サイズ:70mm×150mm×0.8mm)上に2mm厚で塗布し、25℃にて24時間放置することで硬化させてパテ板を得た。次いで、得られたパテ板を#400耐水ペ−パ−で軽く研磨し、アクリルウレタン樹脂系上塗り塗料(関西ペイント製、型名:レタンPG80ホワイトベース)を用いたスプレー塗装により塗膜が形成された塗装板を作製した。この際、25℃にて24時間乾燥させ、乾燥後の塗膜の膜厚が50μmになるように調整した。次いで、上記塗膜が形成された塗装板を用い、これを60℃の温水に72時間浸漬した後、40℃で24時間乾燥させ、クロスカット試験(JIS K 5600−5−6に準拠)を行って密着性を評価した。評価結果はJIS K 5600−5−6に準拠し、0〜5で評価した。
上述の[密着性]の項で説明した方法と同じ方法で作製した塗装板を用い、これを70℃の温水に100時間浸漬した後、温水を軽く拭き取って1時間以内に表面状態を観察した。このとき、ブリスタの発生が全く認められなければブリスタ抑制性は良好「A」、僅かに認められればやや不良「B」、容易に認められれば不良「C」とした。
Claims (7)
- [A]不飽和ポリエステル、
[B]重合性不飽和化合物、
[C]重合開始剤、および
[D]充填剤
を含有するパテ用組成物であって、
[B]重合性不飽和化合物が、
(B1)スチレン、並びに
(B2)第2アミンおよび第3アミンからなる群より選択される少なくとも1種の構造と、エチレン性不飽和基とを含む化合物であり、
前記(B2)化合物のSP値が8以上12以下であることを特徴とするパテ用組成物。 - (B2)化合物が、N−ビニルピロリドン、およびジメチルアミノエチルアクリレートからなる群より選択される少なくとも1種である請求項1に記載のパテ用組成物。
- [B]重合性不飽和化合物の含有量が、[A]不飽和ポリエステル100質量部に対して50質量部以上150質量部以下である請求項1または請求項2に記載のパテ用組成物。
- (B1)スチレンと(B2)化合物とのモル比が、10:90以上80:20以下である請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のパテ用組成物。
- 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のパテ用組成物を用いて形成されたパテを有する構造体。
- 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のパテ用組成物を用いて形成されたパテを有する移動体。
- 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のパテ用組成物を用いて形成されたパテを有する鉄道車両。
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