JP2019038730A - 素地調整材 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐腐食性を有する新たな材料を使用した表面処理のための素地調整材を提供する。【解決手段】(メタ)アクリレート系エポキシ樹脂100質量部、重合性不飽和単量体1〜200質量部、硬化促進剤0.1〜10質量部、及び反応性界面活性剤1〜50質量部を含有する混合液に、水10〜200質量部を滴下して転相乳化させることにより得られる水系ビニルエステル樹脂と、無機粉体を含有する素地調整材。前記素地調整材は水系であるから、環境保全の観点で優れ、また、コテを使って厚膜施工が可能であるから、ハンドリング性に優れる。【選択図】なし

Description

本発明は、コンクリート表面処理用の水中油型エマルション形の防食材に関する。
下水道関連施設等では、排水中に含まれる硫酸塩が、硫酸塩還元菌によって分解されて硫化水素が発生する。その硫化水素は、前記の下水道施設等で用いられるコンクリート構造物の内壁表面に生息する硫黄細菌によって硫酸に変化する。硫酸がそのまま内壁表面に留まると、コンクリート構造物の内壁表面が硫酸酸性の雰囲気に晒されることとなり、コンクリートの腐食が発生する。一方、地下階にある商業ビル・ホテル等の厨房や水洗便所から排出される雑排水や汚水を一時的に貯留するビルピット等では、排水中に食品や油脂類から発生すると考えられている有機酸が多く含まれている。近年、耐硫酸性の高いライニング材が短期間で劣化する事例が多く見られている。そのため有機酸を含む排水施設では耐薬品性の高いビニルエステル樹脂や耐有機酸性のエポキシ樹脂などを選定せざるを得なくなっている。
コンクリート構造物の腐食が進むと、下水の漏洩のみならず、施設そのものの劣化や破損等に繋がることから、コンクリート構造物の腐食の抑制は課題となっている。このような状況下、すでに種々の腐食抑制方法が報告されている。例えば、耐酸性セメントを使用したモルタル、抗菌剤混入モルタル、及びスラグ超微粉混入モルタル等、モルタルの成分によって、耐腐食性を高める手法が知られているが、その耐酸性は充分に高いものではない。一方、耐酸性材料で防食被覆するライニング工法は、耐腐食性に高い効果はあるものの、施工欠陥を生じ易く、また、耐摩耗性に劣るために、長期間使用すると、表面が擦れて孔が開いてしまうという問題がある。
このように、コンクリート構造物は、主として耐久性向上の目的で、様々な腐食抑制材が試されている。その一つに、防水・防食材料があるが、近年、省資源及び環境保全の観点から、有機溶剤をなるべく使用しない、水系材料での防水・防食材料の開発が要望されている。
例えば、特許文献1には、水系合成樹脂エマルション及び有機フィラーを含有する水系樹脂組成物であって、不揮発分が65〜80質量%である厚膜施工用水系樹脂組成物が記載され、コンクリート構造物等の被処理面に該水系樹脂組成物を施工した塗膜が乾燥性に優れ、かつ、耐久性(例えば、耐水性、耐酸性及び耐塩基性等)にも優れること、及び、厚膜に施工するのに、セメント等の無機フィラーで粘性を調整できることが記載されている。
特許文献2には、(メタ)アクリレート系エポキシ樹脂100質量部、重合性不飽和単量体1〜200質量部、硬化促進剤0.1〜10質量部、反応性界面活性剤1〜50質量部、及び水10〜200質量部を含む水中油型エマルション組成物に硬化剤を添加してなる塗布液は、常温で容易に硬化させることができ、該塗布液をコンクリート等の被処理面に塗布した塗布膜は、耐水性、耐酸性及び耐塩基性に優れることが記載されている。
特開2011−57802号公報 国際公開第2014/181731号
しかしながら、従来のモルタルや水系樹脂組成物では、強度や接着性が必ずしも充分でなかった。また、耐酸性を向上させると、材料費が高くなるため、耐酸性がそれほど必要でない施設では、施工費が高くなるという問題がある。このため、コンクリート構造物の長期耐久性の観点、及びコスト低減の観点から、耐腐食性を有する新たな材料を使用した表面処理方法の開発が要望されている。
そこで、本発明は、耐腐食性を有する新たな材料を使用した表面処理のための素地調整材を提供することを課題としている。
本発明の素地調整材は、(メタ)アクリレート系エポキシ樹脂100質量部、重合性不飽和単量体1〜200質量部、硬化促進剤0.1〜10質量部、及び反応性界面活性剤1〜50質量部を含有する混合液に、水10〜200質量部を滴下して転相乳化させることにより得られる水系ビニルエステル樹脂と、無機粉体とを含有することを特徴とする。
前記反応性界面活性剤は、アニオン性反応性界面活性剤及びノニオン性反応性界面活性剤からなる群より選択される少なくとも一種であることが好ましい。
前記重合性不飽和単量体は、アルキル(メタ)アクリレート、アルケニル(メタ)アクリレート、アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、アルコキシアルキル(メタ)アクリレート、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、アクリロニトリル、スチレン及びその誘導体、並びにビニル化合物からなる群より選択される少なくとも一種であることが好ましい。
前記硬化促進剤は、金属アセチルアセテート、金属石鹸、バナジウム化合物、硫化金属及びアミンからなる群より選択される少なくとも一種であることが好ましい。
前記無機粉体は、酸化亜鉛、酸化チタン、炭酸カルシウム、珪酸、珪酸塩、カオリンクレー、酸化マグネシウム、サテンホワイト、酸化アルミ、タルク、マイカ、焼成クレー、水酸化アルミニウム、シリカ、高炉スラグ、フライアッシュ、シリカヒューム、セメント、珪砂、及びパーライトから選択される一種類以上であることが好ましい。
前記水系ビニルエステル樹脂及び前記無機粉体に加えて、さらに、室温で固体の粉状又は粒状の過酸化物を含有し、該過酸化物が過酸化ベンゾイル、ジアルキルパーオキサイド及びビステトラブチルシクロヘキシルパーオキサイドからなる群より選択される少なくとも一種であることが好ましい。
本発明の素地調整材は充分な耐腐食性を有する。上記素地調整材は水系であるから、環境保全の観点で優れ、また、コテを使って厚膜施工が可能であるから、ハンドリング性に優れる。
本発明の素地調整材は、(メタ)アクリレート系エポキシ樹脂100質量部、重合性不飽和単量体1〜200質量部、硬化促進剤0.1〜10質量部、及び反応性界面活性剤1〜50質量部を含有する混合液に、水10〜200質量部を滴下して転相乳化させることにより得られる水系ビニルエステル樹脂と、無機粉体を含有する。
〔素地調整材〕
[水系ビニルエステル樹脂]
(メタ)アクリレート系エポキシ樹脂は、1分子中にエポキシ基を2つ以上有するエポキシ樹脂に、α,β−不飽和プロトン酸を反応させて得られる樹脂である。
1分子中にエポキシ基を2つ以上有するエポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ハロゲン化ビスフェノール型エポキシ樹脂、ハロゲン化ノボラック型エポキシ樹脂、シアヌレート型エポキシ樹脂、ダイマー酸変性エポキシ樹脂等が挙げられる。これらの中でも、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ハロゲン化ビスフェノール型エポキシ樹脂が好ましく、少なくとも分子の両末端にエポキシ基を1つずつ有しているエポキシ樹脂が好ましい。
一方、α,β−不飽和プロトン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等が挙げられる。これらの中でも、アクリル酸、メタクリル酸が好ましく、メタクリル酸がより好ましい。
1分子中にエポキシ基を2つ以上有するエポキシ樹脂とα,β−不飽和プロトン酸とは、エポキシ基とカルボキシル基とがほぼ当量になるように混合し、重合禁止剤の存在下で、大気中で100〜140℃で反応させることにより、(メタ)アクリレート系エポキシ樹脂が得られる。酸価を前記範囲にすることで、エマルションの安定性が良好となり、かつ、耐水性を高く維持できる。
なお、(メタ)アクリレート系エポキシ樹脂は、例えば、ウレタン変性、フェノール変性、クレゾール変性、酸変性、酸無水物変性、酸ペンダント変性、リン酸ペンダント変性、シリコン変性、アリルエーテル変性、アセトアセチル化変性、部分エステル化変性等がされていてもよい。
重合性不飽和単量体は、水系ビニルエステル樹脂を常温で硬化する際、硬化塗膜の形成を容易にする効果がある。
このような重合性不飽和単量体の具体例としては、アルキル(メタ)アクリレート、アルケニル(メタ)アクリレート、アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、アルコキシアルキル(メタ)アクリレート、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、アクリロニトリル、スチレン及びその誘導体、並びにビニル化合物等が挙げられる。これらのうち、スチレン及びその誘導体、並びにアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートが好ましく、スチレン及びエチレングリコールジメタクリレートがより好ましく、スチレンが特に好ましい。
なお、上記の化合物は、沸点が200℃未満と低く、水系ビニルエステル樹脂を常温で硬化させるのに有利である。
重合性不飽和単量体の含有量は、(メタ)アクリレート系エポキシ樹脂100質量部に対して、通常1〜200質量部、好ましくは10〜80質量部、より好ましくは20〜55質量部である。重合性不飽和単量体の含有量が1質量部未満であると、水系ビニルエステル樹脂を常温で硬化する際、硬化塗膜の形成が困難となる。一方、200質量部を超えると、(メタ)アクリレート系エポキシ樹脂の機械的強度を損なう。
硬化促進剤には、上記水系ビニルエステル樹脂を常温で硬化する硬化剤、具体的には有機過酸化物を還元できるものが用いられる。具体的には、銅アセチルアセテート、バナジウムアセチルアセテート、コバルトアセチルアセテート、マンガンアセチルアセテート、及び鉄アセチルアセテート等の金属アセチルアセテート;金属石鹸;五酸化二バナジウム等のバナジウム化合物;硫化コバルト、硫化銅、硫化マンガン、硫化ニッケル、及び硫化鉄等の硫化金属;N,N−ジメチルアニリン及びN,N−ジメチルトルイジン等の芳香族アミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン及びトリブチルアミン等のトリアルキルアミン、並びにモノエタノールアミン、ジエタノールアミン及びトリエタノールアミン等のアルコールアミン等のアミン等が挙げられる。これらのうち、金属石鹸が好ましい。
硬化促進剤の含有量は、(メタ)アクリレート系エポキシ樹脂100質量部に対して、通常0.1〜10質量部、好ましくは0.3〜3質量部である。
反応性界面活性剤は、(メタ)アクリレート系エポキシ樹脂や重合性不飽和単量体等から界面活性剤が分離するのを抑制し、かつ、硬化塗膜の耐水性、耐酸性及び耐塩基性を高めるために用いられる。非反応性の界面活性剤では、硬化塗膜の耐水性、耐酸性及び耐塩基性が不充分である。「反応性」とは、ラジカル反応性を有することをいう。
反応性界面活性剤は、分子内に炭素−炭素二重結合を少なくとも1つ有するものである。このような反応性界面活性剤には、アニオン性反応性界面活性剤とノニオン性反応性界面活性剤とがあり、これらから選択される少なくとも一種を用いることが好ましい。アニオン性反応性界面活性剤とノニオン性反応性界面活性剤のいずれか一方を用いてもよいが、それらを併用することがより好ましい。
アニオン性反応性界面活性剤としては、例えば、α−スルホ−ω−(1−アルコキシメチル−2−(2−プロペニルオキシ)エトキシ)−ポリ(オキシ−1,2−エタンジイル)アンモニウム塩[(株)ADEKA製のアデカリアソープ(登録商標)SR−10、SR−1025等]、α−スルホ−ω−(1−(ノニルフェノキシ)メチル−2−(2−プロペニルオキシ)エトキシ)−ポリ(オキシ−1,2−エタンジイル)アンモニウム塩[(株)ADEKA製のアデカリアソープ(登録商標)SE−10、SE−1025A等]、ポリオキシエチレンアルキルプロペニルフェニルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩[第一工業製薬(株)製のアクアロン(登録商標)HS−10、HS−5、BC−10、BC−5等]、α−スルホナト−ω−{1−(アリルオキシメチル)−アルキルオキシ}ポリオキシエチレンアンモニウム塩[第一工業製薬(株)製のアクアロン(登録商標)KH−10等]、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸アンモニウム塩[花王(株)製のラテムル(登録商標)PD−104等]、アルキルアリルスルホ琥珀酸塩[花王(株)製のラテムル(登録商標)S−180A、S−180等、三洋化成工業(株)製のエレミノール(登録商標)JS−20]等が挙げられる。これらうち、硬化塗膜の耐水性、耐酸性及び耐塩基性の観点から、α−スルホ−ω−(1−アルコキシメチル−2−(2−プロペニルオキシ)エトキシ)−ポリ(オキシ−1,2−エタンジイル)アンモニウム塩[(株)ADEKA製のアデカリアソープ(登録商標)SR−10、SR−1025等]が好ましい。
ノニオン性反応性界面活性剤としては、例えば、α−ヒドロ−ω−(1−アルコキシメチル−2−(2−プロペニルオキシ)エトキシ)−ポリ(オキシ−1,2−エタンジイル)[(株)ADEKA製のアデカリアソープ(登録商標)ER−10、ER−20、ER−30、ER−40]、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル[花王(株)製のラテムル(登録商標)PD−420、PD−430、PD−450]、ポリオキシエチレンアルキルプロペニルフェニルエーテル[第一工業製薬(株)製のアクアロン(登録商標)RN20、RN30、RN50]等が挙げられる。これらのうち、硬化塗膜の耐水性、耐酸性及び耐塩基性の観点から、α−ヒドロ−ω−(1−アルコキシメチル−2−(2−プロペニルオキシ)エトキシ)−ポリ(オキシ−1,2−エタンジイル)[(株)ADEKA製のアデカリアソープ(登録商標)ER−10、ER−20、ER−30、ER−40]が好ましい。
アニオン性反応性界面活性剤とノニオン性反応性界面活性剤とを併用する場合、反応性界面活性剤中のノニオン性界面活性剤の含有率は、通常80質量%以上、好ましくは90質量%以上である。
反応性界面活性剤の含有量は、(メタ)アクリレート系エポキシ樹脂100質量部に対して、通常1〜50質量部、好ましくは15〜30質量部である。1質量部未満であると、エマルションの安定性が低下する。一方、50質量部を超える場合、硬化塗膜を形成し難くなり、かつ、硬化塗膜の耐水性、耐酸性及び耐塩基性が低下する。
なお、反応性界面活性剤と共に、非反応性である公知のアニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤及びノニオン性界面活性剤を併用してもよい。
上記水系ビニルエステル樹脂は、(メタ)アクリレート系エポキシ樹脂100質量部に対して、水を通常10〜200質量部、好ましくは10〜50質量部含有する。水の含有量が10質量部未満であると、エマルション組成物が水中油型になり難く、かつ、エマルションの安定性を保つことが困難である。一方、200質量部を超えると、常温で硬化させることが困難になる。水としては、イオン交換水、蒸留水等の純水が好ましい。
上記水系ビニルエステル樹脂は、必要に応じて、補強材、充填材、顔料、その他各種添加剤を含有していてもよい。例えば、水系ビニルエステル樹脂中に、ポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン等の水溶性高分子を添加すると、(メタ)アクリレート系エポキシ樹脂の安定性が向上する。
上記水系ビニルエステル樹脂中のこれらの成分の含有量は、(メタ)アクリレート系エポキシ樹脂100質量部に対して、通常10質量部以下である。
水系ビニルエステル樹脂は、例えば、上記した(メタ)アクリレート系エポキシ樹脂、重合性不飽和単量体、硬化促進剤及び反応性界面活性剤を混合した混合液中に、水を滴下して転相乳化させる方法により調製する。このとき、水を一度に添加せずに、滴下することで、油中水型(W/O;water in oil)型エマルションから、連続相が水である、いわゆる水中油型(O/W;oil in water)型エマルションへと変化する。また、水を滴下することによって、分散相がより一層微細に分散された状態となり、エマルションの安定性が高くなり、かつ、硬化塗膜の耐水性、耐酸性及び耐塩基性が高くなる。水の滴下速度は通常10〜300ml/h程度、好ましくは50〜150ml/hである。
なお、得られる水系ビニルエステル樹脂は、黄褐色液状である。
[無機粉体]
本発明の素地調整材は、上記した水系ビニルエステル樹脂を主剤とし、この主剤に無機粉体を添加することで、塗膜の強度や厚膜成型性を向上させる効果を発揮する。
無機粉体としては、酸化亜鉛、酸化チタン、炭酸カルシウム、珪酸、珪酸塩、カオリンクレー、酸化マグネシウム、サテンホワイト、酸化アルミニウム、タルク、マイカ、焼成クレー、水酸化アルミニウム、シリカ、高炉スラグ、フライアッシュ、シリカヒューム、セメント、珪砂、及びパーライトが好ましい。これらのうち、セメント、珪砂、高炉スラグ等がより好ましく、セメントはアルミナセメントが特に好ましい。これらは一種単独で用いてもよいし、二種以上を混合して用いてもよい。
水系ビニルエステル樹脂と無機粉体との配合比は(20℃、重量比)は、通常1〜2:0.5〜4、例えば2:3である。無機粉体の含有量が配合比を下回ると、塗膜の厚みをつけられなくなり、塗膜内部の乾燥が充分でなくなることがある。一方、上記配合比を上回ると、塗膜の強度が不充分となったり、コンクリート表面の凹凸を被覆できないことがある。
さらに、上記素地調整材は、上記無機粉体に加えて、粉体の過酸化物を含有することが好ましい。粉体の過酸化物を用いることで、上記素地調整材が二材構成となり、無機粉体と過酸化物とを予め混合してから使用できるため、取り扱いがしやすくなる。過酸化物は施工直前に水系ビニルエステル樹脂及び無機粉体の混合物中に添加してもよい。過酸化物には、例えば、過酸化ベンゾイル、ジアルキルパーオキサイド、ビステトラブチルシクロヘキシルパーオキサイド等が用いられる。なお、無機粉体と過酸化物との混合物は通常、茶灰色の粉体である。
過酸化物の含有量は、水系ビニルエステル樹脂100質量部に対して、通常1〜10質量部、好ましくは3〜8質量部である。
[素地調整材]
上記素地調整材は、上記の水系ビニルエステル樹脂を主剤とし、この主剤に無機粉体及び必要に応じて粉体の過酸化物を添加することで調製される。
上記素地調整材を用いることで、耐食性及び防腐性の格段に向上した塗布物を形成することができる。
[コンクリート構造物の防食工法]
本発明の素地調整材は、例えば、ビルピットのコンクリート壁面の塗装に好適に用いられる。上記素地調整材を塗布して、コンクリート壁表面の凹凸を被覆することで、その後に塗布する防食ライニング材、及び上塗り材の塗布を均一かつ容易にすることができる。
上記素地調整材を用いたコンクリート構造物の防食工法の一例は、まず、素地調整材をコンクリート構造物に塗布し、乾燥させて塗膜を形成する工程1と、防食ライニング材を工程1で形成させた塗膜上に塗布し、乾燥させる作業を1〜3回繰り返し行うことにより、厚さ0.35〜1.05mmの塗膜を形成させる工程2と、上塗り材を、工程2で形成させた塗膜上に塗布し、乾燥させる作業を1〜3回繰り返し行うことにより、厚さ0.35〜1.05mmの塗膜を形成させる工程3とを有する。
工程1では、素地調整材を、例えば、金ゴテ等を用いて、厚さ0.8〜1.2mmに塗布する。素地調整材による塗膜の硬化物比重(20℃、g/cm3)は、通常1.50〜1.70、例えば1.59である。
工程2では、防食ライニング材に硬化剤を添加した混合物を、金ゴテ等を用いて工程1で形成させた塗膜上に塗布し、1回塗布するごとに、塗布物を乾燥させて、合計の厚さが0.35〜1.05mm、具体的には0.4〜0.8mmの塗膜を形成する。
防食ライニング材には、上記素地調整材の構成成分である、水系ビニルエステル樹脂をそのまま使用してもよい。防食ライニング材には、塗膜の強度や耐衝撃性の観点から、水系ビニルエステル樹脂に加えて、通常、繊維を添加する。繊維の含有量は、水系ビニルエステル樹脂100容量部に対して、通常0.1〜3容量部、好ましくは0.5〜1.5容量部である。
繊維は、有機繊維及び無機繊維から選択される一種以上であることが好ましい。無機繊維としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、バサルト繊維、及び岩石繊維等が挙げられ、有機繊維としては、例えば、アラミド繊維、PBO繊維、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、ポリアリレート繊維、ビニロン繊維、アクリル繊維、ポリプロピレン繊維及びナイロン繊維等が挙げられる。さらに、これらの繊維のうち、繊維長が3〜10mmであるものがより好ましい。
さらに、防食ライニング材には、水系ビニルエステル樹脂及び繊維の他に、本発明の効果を損なわない範囲内で、酸化チタン及びカーボンブラック等の添加剤を添加してもよい。なお、得られる防食ライニング材は、例えば、灰色ペースト状である。
硬化剤としては、例えば、不飽和ポリエステル樹脂等、無色液状の通常の常温硬化剤を用いることができる。なお、防食ライニング材と硬化剤との混合比(重量比)は、通常100:1〜6、例えば100:3である。
防食ライニング材による塗膜の硬化物比重(20℃、g/cm3)は、通常1.00〜1.30、例えば1.14である。
工程3では、工程2で形成させた塗膜上に上塗り材を塗布する。上塗り材にも、防食ライニング材と同じ水系ビニルエステル樹脂及び硬化剤をそのまま使用することができる。上塗り材に用いる水系ビニルエステル樹脂の性状は、例えば、ペースト状である。上塗り材には、水系ビニルエステル樹脂以外に、本発明の効果を損なわない範囲内で、酸化チタン及びカーボンブラック等の添加剤を添加してもよい。
上塗り材による塗膜の硬化物比重(20℃、g/cm3)は、通常1.00〜1.30、例えば1.14である。
工程2及び3における、防食ライニング材及び上塗り材の1回の塗布量はそれぞれ0.1〜0.8kg/m2が好ましく、0.3〜0.6kg/m3がより好ましい。そして、工程2で形成させる塗膜と、工程3で形成させる塗膜との合計膜厚は0.35〜1.75mmとすることが好ましい。
以下、本発明を実施例に基づいてさらに具体的に説明するが、本発明は下記実施例により制限されるものではない。
〔実施例1〕素地調整材の調製
反応容器に、ノボラック型エポキシ樹脂「EPICRON(登録商標)N−740」(エポキシ当量=170〜190g/eq、DIC(株)製)948g、メタクリル酸451g、ハイドロキノン1.2g、及びN,N−ジメチルベンジルアミン6gを仕込み、空気を吹き込みながら115±5℃で2時間反応させて、(メタ)アクリレート系エポキシ樹脂(酸価=10mgKOH/g)を得た。次いで、ハイドロキノン0.3g及びスチレン600gを加え、よく攪拌して溶解させた。こうして得られた樹脂成分中の(メタ)アクリレート系エポキシ樹脂100質量部に対するスチレンの配合比率は30質量部であった。
前記樹脂成分100gに対して、オクチル酸コバルト1.0g、アニオン性反応性界面活性剤「アデカリアソープ(登録商標)SR−10」((株)ADEKA製)1.5g及びノニオン性反応性界面活性剤「アデカリアソープ(登録商標)ER−30」((株)ADEKA製)25gを加え、得られた混合液中に、水30gを100ml/hで滴下しながらよく撹拌することで、水系ビニルエステル樹脂を調製した。
得られた水系ビニルエステル樹脂6kgに、表1に示す配合比の無機粉体9kgを混合して素地調整材を得た。
Figure 2019038730
〔試験例1〕コンクリート平板への塗布試験
コンクリート平板に、金ゴテを用いて素地調整材を厚さ約1mmに塗布した後、素地調整材が充分に乾燥したのを確認後、防食ライニング材を1回の塗布量0.4kg/m2で2回重ね塗りをし、乾燥後、厚さ約0.7mmの塗膜を形成した。次いで、上塗り材を1回の塗布量0.4kg/m2で2回重ね塗りをし、乾燥後、厚さ約0.7mmの塗膜を形成した。
ここで、防食ライニング材は、実施例1で調製した水系ビニルエステル樹脂に、繊維(タフバインダ―(東レ(株)製))1.0vol%を混合調整後、水系ビニルエステル樹脂1kgに対し、硬化剤(パーメックS(日油(株)製))30gを添加して、よく攪拌することにより調製した。上塗り材は、実施例1で調製した水系ビニルエステル樹脂1kgに対し硬化剤(パーメックS(日油(株)製))30gを添加することにより調製した。
数日後、目視で観察したところ、塗布乾燥直後の灰色が概ね維持されており、コンクリート表面に白化、裂け目又は劣化は認められなかった。
[比較例1]
実施例1で調製した水系ビニルエステル樹脂に、表1に示す配合比の無機粉体を混合し、素地調整材として用いた。
金ゴテを用いて素地調整材を厚さ約1mmに塗布した後、素地調整材が充分に乾燥するよう養生したが、セメントを入れないと、塗布膜が厚くなると、内部の水分が残ったまま硬化してしまい白化等の不具合が生じることがわかった。
本発明の素地調整材は、商業ビル・ホテル等の厨房排水関連水槽、汚水、雑排水等ビルピット関連施設、下水道施設の防食ライニングに好適に用いられる。

Claims (6)

  1. (メタ)アクリレート系エポキシ樹脂100質量部、重合性不飽和単量体1〜200質量部、硬化促進剤0.1〜10質量部、及び反応性界面活性剤1〜50質量部を含有する混合液に、水10〜200質量部を滴下して転相乳化させることにより得られる水系ビニルエステル樹脂と、
    無機粉体を含有する、素地調整材。
  2. 前記反応性界面活性剤が、アニオン性反応性界面活性剤及びノニオン性反応性界面活性剤からなる群より選択される少なくとも一種である、請求項1に記載の素地調整材。
  3. 前記重合性不飽和単量体が、アルキル(メタ)アクリレート、アルケニル(メタ)アクリレート、アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、アルコキシアルキル(メタ)アクリレート、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、アクリロニトリル、スチレン及びその誘導体、並びにビニル化合物からなる群より選択される少なくとも一種である、請求項1又は2に記載の素地調整材。
  4. 前記硬化促進剤が、金属アセチルアセテート、金属石鹸、バナジウム化合物、硫化金属及びアミンからなる群より選択される少なくとも一種である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の素地調整材。
  5. 前記無機粉体が、酸化亜鉛、酸化チタン、炭酸カルシウム、珪酸、珪酸塩、カオリンクレー、酸化マグネシウム、サテンホワイト、酸化アルミニウム、タルク、マイカ、焼成クレー、水酸化アルミ、シリカ、高炉スラグ、フライアッシュ、シリカヒューム、セメント、珪砂、及びパーライトから選択される一種類以上である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の素地調整材。
  6. 前記水系ビニルエステル樹脂及び前記無機粉体に加えて、さらに、室温で固体の粉状又は粒状の過酸化物を含有し、該過酸化物が過酸化ベンゾイル、ジアルキルパーオキサイド及びビステトラブチルシクロヘキシルパーオキサイドからなる群より選択される少なくとも一種である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の素地調整材。
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