JP4248949B2 - セメント用水性樹脂分散体及びその組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は土木・建築分野において使用されるセメント用水性樹脂分散体、及びその組成物に関するものであり、例えば建築物の補修材、床材、防水材、保護材、防食材、仕上げ材、薄塗り材、接着剤等に使用されるものである。
詳細には水性樹脂分散体、セメント、充填材を含有する樹脂セメントモルタル組成物において、良好な配合安定性、コテ塗り作業性、シマリ性(樹脂セメントモルタル組成物のシマリ時間が長い)を与える水性樹脂分散体である。さらには、本発明の樹脂セメントモルタル組成物はセメントの硬化遅延がなく、かつその樹脂セメントモルタル硬化物も下地コンクリートに対する良好な密着性を与えるため、下地コンクリートへの追随性が良好であるとともに、耐環境特性、耐水性をも良好である。
【0002】
【従来の技術】
従来からセメントモルタルの物性改良を目的に、セメントモルタルに水性樹脂分散体の配合が用いられてきた。水性樹脂分散体を配合することにより、下地コンクリートへの密着性の向上、セメントモルタル硬化物のひび割れ解消、またセメントモルタル硬化物の耐水性、耐薬品性の向上、中性化防止、耐磨耗性向上が図られてきた。セメントモルタルに使用される水性樹脂分散体としては、エチレン−酢ビ系エマルジョン、スチレン−ブタジエン系ラテックス、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル系エマルジョン、(メタ)アクリル酸エステル系エマルジョン等が使われている。その中でも、耐久性、耐環境特性、耐薬品性、耐水性、耐候性等が求められる用途においては、水性樹脂分散体としてスチレン−(メタ)アクリル酸エステル系エマルジョン、(メタ)アクリル酸エステル系エマルジョンが特に使用されている。
【0003】
近年、現場作業での効率化が求められている中で、樹脂セメントモルタルの作業性向上も強く求められている。しかしながら、従来のスチレン−(メタ)アクリル酸エステル系エマルジョン、(メタ)アクリル酸エステル系エマルジョンをセメントモルタルに配合すると、コテ塗り性が低下し時間当たりの作業面積が少なくなる、またセメントモルタルの硬化を遅延させるため、次の作業への移行に時間がかかり工程全体のスケジュールを伸ばす等の問題点を有しており、改善が要望されて来た。
【0004】
これに対して、特開昭54−43285号公報ではノニオン系乳化剤存在下特定量メタクリル酸を含む単量体組成物を乳化重合し、次いでカルボキシル基を持つ単量体を含まない単量体組成物を乳化重合して得られるエマルジョンをセメント用に用いる技術が開示されている。本開示技術ではセメントモルタルにエマルジョンを配合した時の混和性(配合性)の改良、及びセメント水和速度の遅延に対する改良が記載されているが、現在求められているセメント硬化性に関しては充分ではない。
【0005】
さらに、特開平10−251313号公報ではカルボキシル基を有する不飽和単量体とアクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルから選ばれる不飽和単量体であって、ガラス転移温度が220〜270Kである混合物を、エチレン性不飽和結合とポリオキシアルキレン基とを有する分子を含む乳化剤を用いて乳化重合して得られるポリマーエマルジョンの技術の開示がある。本開示技術においても、セメントモルタルとの混和性、及びセメントモルタル硬化物のコンクリートへの付着性は向上するものの、コテ塗り性、かつセメントの硬化遅延に対しては効果改善が充分ではない。
【0006】
【特許文献1】
特開昭54−43285号公報
【特許文献2】
特開平10−251313号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、セメント、充填材を含有する樹脂セメントモルタル組成物において、配合安定性が良好であり、コテ塗り性に問題がなく、シマリ性も充分に与える水性樹脂分散体であり、さらにはセメントの硬化も遅延なく進行し、下地コンクリートへの密着性が良好で、かつ下地コンクリートへの追随性も良好で、耐環境性、耐水性が良好である樹脂セメントモルタル組成物を提供することを目的とする。
【0008】
【問題を解決するための手段】
本発明者は、特定の単量体組成物から得られる水性樹脂分散体であって、その水性樹脂分散体のカルボキシル基の分布が一定範囲にあることによって、水性樹脂分散体、セメント、充填材との組み合わせにおける前記課題を解決するために有効であることを見いだし、本発明をなすに至った。
すなわち、本発明は、
1.エチレン性不飽和モノカルボン酸単量体(a)0.5〜6質量%、(a)と共重合可能なその他のビニル系単量体(b)94〜99.5質量%とを含む単量体組成物を乳化重合して得られる水性樹脂分散体(1)であって、水性樹脂分散体(1)のカルボキシル基の分布が水層に5〜25%(当量比)、水性樹脂分散体粒子表面に20〜40%(当量比)であることを特徴とするセメント用水性樹脂分散体であり、
2.セメント(2)100質量部に対して、充填材(3)が5〜600質量部、及び発明の第1の水性樹脂分散体(1)0.5〜100質量部(固形分)を含む樹脂セメントモルタル組成物である。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明について、以下に具体的に説明する。
本発明の水性樹脂分散体は、エチレン性不飽和モノカルボン酸単量体(a)0.5〜6質量%、(a)と共重合可能なその他のビニル系単量体(b)94〜99.5質量%とを含む単量体組成物を乳化重合して得られる水性樹脂分散体(1)であって、水性樹脂分散体(1)のカルボキシル基の分布が、水層中に存在するカルボキシル基含有物のカルボキシル基量が当量比で5〜25%であり、水性樹脂分散体粒子表面に存在するカルボキシル基量が当量比で20〜40%である
(但し、前記水層中に存在するカルボキシル基含有物のカルボキシル基量の当量比及び水性樹脂分散体粒子表面に存在するカルボキシル基含有物のカルボキシル基量の当量比はそれぞれ以下に定義する通りのものである。
水層中に存在するカルボキシル基含有物のカルボキシル基量の当量比:(A/D)×100
水性樹脂分散体粒子表面に存在するカルボキシル基量の当量比:(C/D)×100
ここで、A、C、Dは以下で定義されるものである。
A:水性樹脂分散体を20%に希釈し、遠心分離機にかけ粒子相と水層を分離した後、水層を酸塩基滴定して定量されるカルボキシル基量の当量値
C:水性樹脂分散体粒子表面に存在するカルボキシル基含有物のカルボキシル基量であり、水性樹脂分散体を20%に希釈した後、水性樹脂分散体そのものを酸塩基滴定して定量されるカルボキシル基量の当量値Bから水層中に存在するカルボキシル基含有物のカルボキシル基量の当量値Aを引いた値(B−A)
D:仕込みから計算された水性樹脂分散体の全カルボキシル基量(当量値)
また、前記当量値は水性樹脂分散体の固形分換算値である)
【0010】
本発明の水性樹脂分散体(1)でエチレン性不飽和モノカルボン酸単量体(a)を用いることによりセメントモルタルとの配合性、下地コンクリートへの密着性に問題がない。
本発明の水性樹脂分散体(1)に用いられるエチレン性不飽和モノカルボン酸単量体(a)としては例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸のモノエステル、フマル酸のモノエステル、イタコン酸のモノエステルなどが挙げられる。好ましくはアクリル酸、メタクリル酸である。
エチレン不飽和モノカルボン酸単量体(a)は、単量体組成物中0.5〜6質量%である。0.5質量%以上でセメントモルタルとの配合性に問題がなく、6質量%以下で下地コンクリートへの密着性、セメント硬化に問題がない。好ましくは1〜5質量%である。
【0011】
本発明の水性樹脂分散体(1)で用いられる(a)と共重合可能なその他のビニル系単量体(b)としては、例えば(イ)芳香族ビニル単量体、(ロ)(メタ)アクリル酸エステル単量体、(ハ)アミド基含有ビニル単量体、(ニ)ヒドロキシル基含有ビニル単量体、(ホ)エチレン性不飽和ジカルボン酸単量体、(ヘ)エポキシ基含有ビニル単量体、(ト)メチロール基含有ビニル単量体、(チ)アルコキシメチル基含有ビニル単量体、(リ)シアノ基含有ビニル単量体、(ヌ)ラジカル重合性の二重結合を2個以上有しているビニル系単量体、(ル)加水分解性シリル基を有するビニル系単量体などが挙げられる。
【0012】
(イ)芳香族ビニル単量体としては、例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレンなどが挙げられる。好ましくはスチレンである。
(ロ)(メタ)アクリル酸エステル単量体としては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ラウリルアクリレート、ベンジルアクリレート、フェニルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルアクリレート、ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニルメタクリレート等が挙げられる。好ましくは、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレートである。
【0013】
(ハ)アミド基含有ビニル単量体としては、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−メチレンビスアクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド、ダイアセトンメタクリルアミド、マレイン酸アミド、マレイミド等を挙げることができる。好ましくはアクリルアミド、メタクリルアミドである。
(ニ)ヒドロキシル基含有ビニル単量体としては、例えば、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート、ポリエチレングリコールメタクリレート等が挙げられる。好ましくはヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレートである。
【0014】
(ホ)エチレン性不飽和ジカルボン酸単量体としては、例えば、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸が挙げられる。好ましくはイタコン酸である。
(ヘ)エポキシ基含有ビニル単量体としては、例えば、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル、メチルグリシジルアクリレート、メチルグリシジルメタクリレートなどが挙げられる。好ましくはグリシジルメタクリレートである。
【0015】
(ト)メチロール基含有ビニル単量体としては、例えば、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、ジメチロールアクリルアミド、ジメチロールメタクリルアミドなどが挙げられる。
(チ)アルコキシメチル基含有ビニル単量体としては、例えば、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−メトキシメチルメタクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、N−ブトキシメチルメタクリルアミドなどが挙げられる。(リ)シアノ基含有ビニル単量体としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどが挙げられる。
【0016】
(ヌ)ラジカル重合性の二重結合を2個以上有しているビニル系単量体としては、例えば、ジビニルベンゼン、ポリオキシエチレンジアクリレート、ポリオキシエチレンジメタクリレート、ポリオキシプロピレンジアクリレート、ポリオキシプロピレンジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ブタンジオールジアクリレート、ブタンジオールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレートなどが挙げられる。
【0017】
(ル)加水分解性シリル基を有するビニル系単量体としては、例えばビニルシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
【0018】
また、上記単量体に加えて、本発明の水性樹脂分散体に要求される様々な品質・物性を改良するために、上記以外の単量体成分を使用することもできる。それらの単量体としては、上記の単量体と共重合可能なその他のビニル系単量体(ヲ)が使用できる。例えば、アミノ基、スルホン酸基、リン酸基などの官能基を有する各種のビニル系単量体、さらには酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、ビニルピロリドン、メチルビニルケトン、ブタジエン、エチレン、プロピレン、塩化ビニル、塩化ビニリデンなども所望に応じて使用できる。
【0019】
(a)と共重合可能なその他のビニル系単量体(b)は、単量体組成物中94〜99.5質量%である。94質量%以上でセメントモルタルとの配合性に問題がなく、99.5質量%以下でセメント硬化に問題がない。好ましくは95〜99質量%である。
【0020】
本発明の水性樹脂分散体(1)は通常の乳化重合法によって得られる。乳化重合の方法に関しては特に制限はなく、従来公知の方法を用いることができる。すなわち、水性媒体中で単量体組成物、界面活性剤、ラジカル重合開始剤および必要に応じて用いられる連鎖移動剤等の他の添加剤成分などを基本組成成分とする分散系において、単量体組成物を重合する方法である。乳化重合に際しては、供給する単量体組成物の組成を全重合過程で一定にする方法や重合過程で逐次、あるいは連続的に変化させることによって、生成するエマルジョン粒子の形態的な組成変化を与える方法など所望に応じてさまざまな方法が利用できる。
【0021】
本発明で用いられるラジカル重合開始剤としては、熱または還元性物質によりラジカル分解して単量体の付加重合を開始させるものであり、無機系開始剤および有機系開始剤のいずれも使用できる。このようなものとしては、水溶性、油溶性の重合開始剤が使用できる。水溶性の重合開始剤としては例えばペルオキソ二硫酸塩、過酸化物、水溶性のアゾビス化合物、過酸化物−還元剤のレドックス系などが挙げられ、ペルオキソ二硫酸塩としては例えばペルオキソ二硫酸カリウム(KPS)、ペルオキソ二硫酸ナトリウム(NPS)、ペルオキソ二硫酸アンモニウム(APS)などが挙げられ、過酸化物としては例えば過酸化水素、t−ブチルハイドロパーオキサイド、t―ブチルパーオキシマレイン酸、コハク酸パーオキシド、過酸化ベンゾイルなどが挙げられ、水溶性アゾビス化合物としては、例えば2,2−アゾビス(N−ヒドロキシエチルイソブチルアミド)、2、2−アゾビス(2−アミジノプロパン)2塩化水素、4,4−アゾビス(4−シアノペンタン酸)などが挙げられ、過酸化物−還元剤のレドックス系としては、例えば先の過酸化物にナトリウムスルホオキシレートホルムアルデヒド、亜硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、ヒドロキシメタンスルフィン酸ナトリウム、L−アスコルビン酸、およびその塩、第一銅塩、第一鉄塩などの還元剤を重合開始剤に組み合わせて用いることもできる。
ラジカル重合開始剤の量としては、単量体組成物100質量部に対して、ラジカル重合開始剤0.05〜1質量部を用いることができる。
【0022】
本発明で用いられる界面活性剤は、一分子中に少なくとも一つ以上の親水基と一つ以上の親油基を有する化合物を指す。界面活性剤としては、例えば非反応性のアルキル硫酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルフォン酸塩、アルキルナフタレンスルフォン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルフォン酸塩、ナフタレンスルフォン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル硫酸エステル塩、脂肪酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩などのアニオン性界面活性剤が挙げられ、また非反応性のポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアルカノールアミド、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルなどのノニオン性界面活性剤が挙げられる。
【0023】
これらのほかに親水基と親油基を有する界面活性剤の化学構造式の中にエチレン性2重結合を導入した、いわゆる反応性界面活性剤を用いても良い。
反応性界面活性剤の中でアニオン性界面活性剤としては、例えばスルホン酸基、スルホネート基又は硫酸エステル基及びこれらの塩を有するエチレン性不飽和単量体であり、スルホン酸基、又はそのアンモニウム塩かアルカリ金属塩である基(アンモニウムスルホネート基、又はアルカリ金属スルホネート基)を有する化合物であることが好ましい。例えばアルキルアリルスルホコハク酸塩(例えば三洋化成(株)エレミノール(商標)JS−2、JS−5、例えば花王(株)製ラテムル(商標)S−120、S−180A、S−180等が挙げられる)、例えばポリオキシエチレンアルキルプロペニルフェニルエーテル硫酸エステル塩(例えば第一工業製薬(株)製アクアロン(商標)HS−10等が挙げられる)、例えばα−〔1−〔(アリルオキシ)メチル〕−2−(ノニルフェノキシ)エチル〕−ω−ポリオキシエチレン硫酸エステル塩(例えば旭電化工業(株)製アデカリアソープ(商標)SE−1025N等が挙げられる)、例えばアンモニウム=α−スルホナト−ω−1−(アリルオキシメチル)アルキルオキシポリオキシエチレン(例えば第一工業製薬(株)製アクアロンKH−10などが挙げられる)など、スチレンスルホン酸塩が挙げられる。
【0024】
また、反応性界面活性剤でノニオン性界面活性剤としては、例えばα−〔1−〔(アリルオキシ)メチル〕−2−(ノニルフェノキシ)エチル〕−ω−ヒドロキシポリオキシエチレン(例えば旭電化工業(株)製アデカリアソープNE−20、NE−30、NE−40等が挙げられる)、例えばポリオキシエチレンアルキルプロペニルフェニルエーテル(例えば第一工業製薬(株)製アクアロンRN−10、RN−20、RN−30、RN−50等が挙げられる)などが挙げられる。
界面活性剤の量としては、単量体組成物100質量部に対してアニオン界面活性剤0.1〜3質量部、ノニオン界面活性剤0.1〜30質量部を用いることができる。
【0025】
連鎖移動剤としては、n−ブチルメルカプタン、t−ブチルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ラウリルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタンなどのメルカプタン類、テトラメチルチウラジウムジスルフィドなどのジスルフィド類、四塩化炭素などのハロゲン化誘導体、α−メチルスチレンダイマーなどが挙げられ、単独または2種以上組み合わせて用いることができる。好ましくはn−ドデシルメルカプタンである。
連鎖移動剤の量としては、単量体組成物100質量部に対して連鎖移動剤0〜1質量部を用いることができる。
この乳化重合における重合温度は、通常60〜100℃の範囲で選ばれるが、レドックス重合法等により、より低い温度例えば20〜40℃で重合を行っても良い。
【0026】
本発明の水性樹脂分散体(1)の粒子径は特に限定されない。粒子径コントロール方法は例えば、シードラテックス、界面活性剤の使用割合などによって調整することができ、一般にそれらの使用割合を高くするほど生成するラテックスの平均粒子径は小さくなり、その逆は平均粒子径が大きくなる傾向がある。なお、シードラテックスの重合は、本発明のラテックスの重合に先だって同一反応容器で行っても、異なる反応容器で重合したシードラテックスを用いても良い。好ましい粒子径は50〜400nmである。
【0027】
本発明の水性樹脂分散体(1)は、長期の分散安定性を保つため、アンモニア、ジメチルアミノエタノールなどのアミン類、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の塩基性アルカリ金属化合物等を用いてpH5〜12の範囲に調整することが好ましい。また、水性樹脂分散体(1)の固形分としては、30〜70質量%であることが好ましい。
本発明において、カルボキシル基含有物の分布が性能発現のために特に重要である。すなわち、水層中に存在するカルボキシル基含有物のカルボキシル基量と、水性樹脂分散体粒子表面に存在するカルボキシル基含有物のカルボキシル基量の比率が重要である。水性樹脂分散体(1)のカルボキシル基の分布は、水層に5〜25%(当量比)、水性樹脂分散体粒子表面に20〜40%(当量比)である。
【0028】
水層中に存在するカルボキシル基含有物のカルボキシル基量は、次のように定義される。すなわち、水性樹脂分散体を20%に希釈し、遠心分離機にかけ粒子相と水層を分離した後、水層を酸塩基滴定して定量されるカルボキシル基量(当量)とする。これを(A)とする[(A)は水性樹脂分散体固形分換算]。また、水層と粒子表面に存在するカルボキシル基量は、次のように定義される。すなわち、水性樹脂分散体を20%に希釈した後、水性樹脂分散体そのものを酸塩基滴定して定量されるカルボキシル基量(当量)とする。これを(B)とする[(B)も水性樹脂分散体固形分換算]。粒子表面に存在するカルボキシル基量は(B)から(A)を引いた値とし、これを(C)とする。
【0029】
水性樹脂分散体の全カルボキシル基量(当量)は、仕込みから計算された(D)とする[(D)も水性樹脂分散体固形分換算]。水層中のカルボキシル基の分布は(A)/(D)をパーセントで表し、粒子表面のカルボキシル基量は(C)/(D)をパーセントで表す。
本発明の水性樹脂分散体(1)のカルボキシル基の分布において水層に5〜25%(当量比)であり、5%以上でセメントモルタルとの配合安定性に問題なく、25%以下でセメント硬化に問題がない。また水性樹脂分散体粒子表面に20〜40%(当量比)であり、20%以上でセメントモルタルとの配合安定性、下地コンクリートへの密着性に問題がなく、40%以下でセメント硬化に問題がない。好ましくは、水性樹脂分散体(1)のカルボキシル基の分布は、水層に10〜20%(当量比)、水性樹脂分散体粒子表面に25〜35%(当量比)である。
カルボキシル基の定量に用いる酸塩基滴定において、水性樹脂分散体のサンプルはあらかじめカチオン性イオン交換樹脂にかける。ついで攪拌下に水酸化カリウム水溶液で滴定し、電気伝導度曲線を描き、屈曲点よりカルボキシル基の量を求める。
【0030】
本発明の水性樹脂分散体(1)のカルボキシル基の分布を達成するための処方は特に限定されない。例えば、重合後の水性樹脂分散体から限外ろ過等を用いて水層成分をコントロールし、カルボキシル基分布が本発明の範囲にあればよい。また乳化重合時に本発明の範囲となるよう処方からの達成でもよい。乳化重合時にカルボキシル基分布をコントロールさせる方法としては、例えば乳化重合時に単量体組成物を2段以上で添加し、かつ各段におけるエチレン性不飽和モノカルボン酸単量体割合をコントロールさせることである。たとえば、1段目の単量体組成物中に使用するエチレン性不飽和モノカルボン酸単量体量が全エチレン性不飽和モノカルボン酸単量体の60%以上を存在させて乳化重合を行い、次いで残りの段で残りのエチレン性不飽和モノカルボン酸単量体を使用して乳化重合するものである。1段目の単量体組成物中に使用するエチレン性不飽和モノカルボン酸単量体の量が全エチレン性不飽和モノカルボン酸単量体の60%以上でセメントモルタルとの配合安定性、セメントの硬化に問題がない。乳化重合時にカルボキシル基分布をコントロールさせる方法として好ましいのは、1段目の単量体組成物中に存在するエチレン性不飽和モノカルボン酸単量体量の量が全エチレン性不飽和モノカルボン酸単量体の80質量%以上である。
【0031】
乳化重合を2段以上で行う際、1段目の単量体組成物は全単量体組成物に対して50〜90質量%であり、最終段の単量体組成物は全単量体組成物に対して10〜50質量%である。1段目の単量体組成物は全単量体組成物に対して50質量%以上で下地コンクリートへの密着性に問題がなく、90質量%以下でセメントモルタルとの配合性に問題がない。好ましくは、乳化重合は2段で行うことである。
【0032】
本発明において、乳化重合を2段で行う際の好ましい組成は、例えば以下の通りである。
1段目の使用される単量体組成物中、エチレン性不飽和モノカルボン酸単量体が2〜8質量%、芳香族ビニル単量体が20〜60質量%、(メタ)アクリルエステル単量体が30〜70質量%、これ以外のビニル系単量体が0〜20質量%である。エチレン性不飽和モノカルボン酸単量体が2質量%以上で下地コンクリートへの密着性に問題がなく、8質量%以下でセメントの硬化に問題がない。芳香族ビニル単量体が20質量%以上で耐久性に問題がなく、60質量%以下で下地コンクリートへの密着性に問題がない。(メタ)アクリル酸エステル単量体が30質量%以上で下地コンクリートへの密着性に問題がなく、70質量%以下で耐水性に問題がない。
【0033】
2段目に使用される単量体組成物中、エチレン性不飽和モノカルボン酸単量体が0.5〜3質量%、芳香族ビニル単量体が0〜60質量%、(メタ)アクリル酸エステル単量体が70〜99.5質量%、これ以外のビニル系単量体が0〜20質量%である。エチレン性不飽和モノカルボン酸単量体が0.5質量%以上で下地コンクリートへの密着性に問題がなく、3質量%以下でセメントの硬化に問題がない。(メタ)アクリル酸エステル単量体が70質量%以上で耐久性に問題がなく、99.5質量%以下で耐水性に問題がない。
【0034】
本発明の水性樹脂分散体(1)には性能を向上させるために、以下の材料を配合してもよい。例えば、水溶性樹脂、溶剤、可塑剤、消泡剤、増粘剤、レベリング剤、分散剤、カップリング剤、着色剤、耐水化剤、潤滑剤、pH調整剤、防腐剤、無機顔料、有機顔料、界面活性剤、架橋剤、例えばエポキシ系化合物、多価金属化合物、イソシアネート系化合物などが挙げられる。
【0035】
本発明に用いられるセメント(2)としては、例えばJIS R5210(ポルトランドセメント)、R5211(高炉セメント)、R5212(シリカセメント)、R5213(フライアッシュセメント)に規定されている、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、耐硫酸塩ポルトランドセメント、高炉セメント、シリカセメント、フライアッシュセメントが使用でき、また社団法人セメント協会が、セメントの常識(1994年3月発行)に記載している、特殊セメント、白色ポルトランドセメント、セメント系固化材、アルミナセメント、超速硬セメント、コロイドセメント、湯井セメント、地熱井セメント、膨張セメント、その他特殊セメント等種々のセメントを使用できる。
【0036】
本発明に用いられる充填材(3)としては、一般的にセメントモルタルに用いられる砂、珪砂、寒水砂、天然及び人工軽量骨材等が使用でき、また無機または有機の顔料等も用いることができ例えば、無機顔料ではマグネシウム、カルシウム、亜鉛、バリウム、チタン、アルミニウム、アンチモン、鉛などの各種金属酸化物、水酸化物、硫化物、炭酸塩、硫酸塩または珪酸化合物などが挙げられる。具体的には例えば、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、二酸化チタン、水酸化アルミニウム、シリカ、石膏、バライト粉、アルミナホワイト、サチンホワイトなどである。有機顔料ではポリスチレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニルなどの固体高分子微粉末などが挙げられる。
【0037】
本発明におけるその使用量はセメント(2)100質量部に対して充填材(3)が5〜600質量部、本発明の水性樹脂分散体(1)0.5〜100質量部(固形分)である。充填材5質量部以上で、接着強さの増加と、乾燥に伴うひび割れに問題ない。一方、600質量部以下で、接着強さに問題がない。好ましくは50〜500質量部の範囲である。
また、本発明のラテックス(1)0.5質量部以上でひび割れ、下地コンクリートへの接着性に問題がなく、100質量部以下で接着性、セメントモルタルとの配合安定性に問題ない。好ましくは1〜80質量部の範囲である。さらに好ましくは2〜50質量部の範囲である。
【0038】
本発明の樹脂セメントモルタル組成物の配合法は特に限定されない。水性樹脂分散体、セメント、充填材を一緒に混合しても良く、順次混合してもよい。
本発明の樹脂セメントモルタル組成物の塗布方法は特に限定されない。コテ塗り、ウールローラー塗り、マスチックローラー塗り、スプレー塗布、ロールコーター塗布等いずれでもよい。
本発明の樹脂セメントモルタル組成物は、上記の成分に限定されるものではなく、他のいかなる成分を添加するようにしても良い。例えば、減水剤及び流動化剤(ポリカルボン酸系、メラミンスルホン酸系、ナフタリンスルホン酸系、リグニンスルホン酸系など)、収縮低減剤(グリコールエーテル系、ポリエーテル系等)、耐寒剤(塩化カルシウム、珪酸塩等)、防水剤(ステアリン酸、シリコン系等)、防錆剤(リン酸塩、亜硝酸塩等)、粘度調整剤(メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルアルコール等)、凝結調整剤(リン酸塩等)、膨張剤(エトリンガイト系、石灰系等)、着色剤(酸化鉄、酸化クロム等)、消泡剤(シリコン系、鉱油系等)、補強材(鋼繊維、ガラス繊維、合成繊維等)、界面活性剤(アニオン、ノニオン、カチオン系等)、さらには増粘剤、レベリング剤、成膜助剤、溶剤、可塑剤、分散剤、耐水化剤、潤滑剤等が挙げられる。
【0039】
また、本発明の樹脂セメントモルタル組成物に本発明の水性樹脂分散体以外のエマルジョン、ラテックスを配合してもよい。例えば、酢酸ビニルエマルジョン、エチレン-酢酸ビニルエマルジョン、ウレタンエマルジョン、スチレン-ブタジエンラテックス、アクリロニトリル-ブタジエンラテックスなどが挙げられる。さらに、再乳化型の粉末樹脂をも配合してもよい。
本発明の樹脂セメントモルタル組成物の用途は特に限定されるものではない。例えば、建築物の防水材、補修材、養護材、仕上げ材、下地調整材、タイル接着用、防錆、グラウト用、パテ用、セルフレベリング床用、耐磨耗性床用、基礎コンクリート部の被覆材、デッキカバリング用、弾性モルタル用、塗料用、防食用、成型品用などが挙げられる。
【0040】
【実施例】
本発明を実施例に基づいて説明する。本発明の実施様態は、これらによって限定されるものではない。なお。例中の部数は、すべて有り姿での部数(即ち、水性樹脂分散体は水を含有したそのものの部数である)を示した。また、「部」は特に断らない限り「質量部」を示すものである。
【0041】
各特性は次ぎのようにして求めた。
(1)水性樹脂分散体のカルボキシル基分布の測定
1)水性樹脂分散体を固形分20%に調整した。
2)20%固形分の水性樹脂分散体を5g精秤し(この時の質量S1[g])、次いで5%濃度のノニオン乳化剤を5g追加、最後に蒸留水で50mlにした。
このサンプルを0.5Nの水酸化カリウム水溶液で中和滴定を実施した。この時の滴定量T1[ml]。
(表層+水相)のカルボキシル基量(B)=(0.5×T1)/(S1×0.2) [meq/g−固形分水性樹脂分散体]
3)20%固形分の水性樹脂分散体を遠心分離機を用いて、水相を分離する。回転数は26000rpm、回転時間は4時間とした。
水相部の固形分を測定する。この時の固形分をN1[%]。
4)分離した水相部20gを精秤し(この時の質量をS2[g])、蒸留水で50mlにした。このサンプルを0.5Nの水酸化カリウム水溶液で中和滴定を実施した。この時の滴定量T2[ml]。
水相のカルボキシル基量(A)=(0.5×T2)×W1/(N1×S1)
[meq/g−固形分水性樹脂分散体]
ここでW1は次式より求める。
W1=(N1/20)×(80/(100−N1))
5)表層のカルボキシル基量(C)=(B)−(A)
6)全カルボキシル基量(D)=(仕込みカルボン酸質量部/カルボキシル基1個あたりの分子量)×1000/全単量体の質量部 [meq/g−固形分水性樹脂分散体]
7)水相のカルボキシル基の分布=(A)×100/(D)[%]
表層のカルボキシル基の分布=(C)×100/(D)[%]
【0042】
(2)樹脂セメントモルタルの作業性
JIS A 1171−2000(ポリマーセメントモルタルの試験方法)の5.ポリマーセメントモルタルの調整方法の手練りによる方法に準拠し、樹脂セメントモルタルを調整した。
a.コテ塗り性:表、表3に示す樹脂セメントモルタル組成物を調整した後、コテ離れ、コテ伸び等を総合して評価した。5段階評価とし、4以上を合格とした。
5:良好
3:やや不良
1:不良
b.粘度変化:表、表3に示す樹脂セメントモルタルを調整した後、その後、20℃に放置し2時間以上攪拌可能な時を合格とした。
【0043】
(3)樹脂セメントモルタル硬化物の曲げ・圧縮強さ
JIS A 1171−2000(ポリマーセメントモルタルの試験方法)の7.2曲げ強さ圧縮強さ試験に準拠して測定を行った。
(4)樹脂セメントモルタル硬化物の接着強さ
JIS A 1171−2000(ポリマーセメントモルタルの試験方法)の7.2接着強さ試験に準拠して測定を行った。
(a)常態接着:但し、養生条件は水中養生後の放置日数は7日とし、接着強さを測定した。
(b)耐水接着:常態接着用の試験サンプルを、20℃の水中に24時間浸漬し、湿潤状態のまま接着強さを測定した。
(5)樹脂セメントモルタル硬化物の接着耐久性
JIS A 1171−2000(ポリマーセメントモルタルの試験方法)の7.9接着耐久性試験に準拠して測定を行った。
但し、常態接着用の試験サンプルを用い、かつサイクル回数は20回とした。
【0044】
表1に示す単量体組成物を用いて水性樹脂分散体を得た。具体的方法は以下の通りである。
表1に示す1段目単量体組成物に、エマルゲン150(花王(株)製、ポリオキシエチレンアルキルエーテル)の20%水溶液160質量部、エマールD−3−D(花王(株)製、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム)の25%水溶液3.2質量部、ペルオキソ二硫酸アンモニウム2.4質量部、水500質量部を添加し、ホモミキサーで攪拌を行いプレ乳化液を作製した。
【0045】
また、別途2段目単量体組成物のプレ乳化液を次のように作製した。2段目単量体組成物に、エマルゲン150の20%水溶液125部、エマールD−3−Dの25%水溶液0.8質量部、ペルオキソ二硫酸アンモニウム0.6質量部、水260質量部を添加し、ホモミキサーで攪拌を行いプレ乳化液を作製した。
別に攪拌装置と温度調節用ジャケットを取り付けた重合容器に、シード粒子の水性分散体(粒子径45nm、スチレン/メチルメタクリレート系重合体、固形分濃度34%)16部、水450質量部を仕込み、内温を80℃に昇温し、次いでペルオキソ二硫酸アンモニウム0.2質量部を水20質量部に溶解した水溶液を添加した。ペルオキソ二硫酸アンモニウム水溶液添加5分後、前記1段目プレ乳化液を2.5時間かけて一定流速で添加した。同温度で0.5時間重合を続けた。次いで、2段目プレ乳化液を1時間かけて一定流速で添加した。同温度で1.0時間重合を続けた。
【0046】
その後、冷却し、10%濃度の水酸化ナトリウム水溶液を添加して、pH8に調整した。次いで、200メッシュの金網を用いてろ過を行い、固形分が45%となるよう水を配合し、水性樹脂分散体を得た。
【0047】
【表1】
Figure 0004248949
【0048】
[実施例1〜6]
表2に記載の樹脂セメントモルタル組成物を調整し、a.作業性、b.硬化物の曲げ強さ圧縮強さ、c.常態接着強さ、耐水接着強さ、d.硬化物の耐久性の評価を行った。評価結果を表2に示す。
使用した原材料は、以下の通りである。
セメント:普通ポルトランドセメント(太平洋セメント株式会社製)
充填材:JIS R 5201 10.2記載の標準砂
【0049】
【表2】
Figure 0004248949
【0050】
[比較例1〜2]
表3に記載の樹脂セメントモルタル組成物を調整し、a.作業性、b.硬化物の曲げ強さ圧縮強さ、c.常態接着強さ、耐水接着強さ、d.硬化物の耐久性の評価を実施例と同様に行った。評価結果を表3に示す。
表3から分るように、比較例1では作業性が不良であり、2では耐水接着強さ、耐久性が不良である。
【0051】
【表3】
Figure 0004248949
【0052】
【発明の効果】
本発明の水性樹脂分散体はセメントモルタルへの配合性、コテ塗り性、シマリ性に問題なく、かつセメントの硬化遅延がなく、下地コンクリートへの密着性、追随性が良好で、耐水性、耐環境特性も優れた効果を有する。

Claims (2)

  1. エチレン性不飽和モノカルボン酸単量体(a)0.5〜6質量%、(a)と共重合可能なその他のビニル系単量体(b)94〜99.5質量%とを含む単量体組成物を乳化重合して得られる水性樹脂分散体(1)であって、水性樹脂分散体(1)のカルボキシル基の分布が、
    水層中に存在するカルボキシル基含有物のカルボキシル基量が当量比で5〜25%であり、
    水性樹脂分散体粒子表面に存在するカルボキシル基量が当量比で20〜40%である
    ことを特徴とするセメント用水性樹脂分散体。
    (但し、前記水層中に存在するカルボキシル基含有物のカルボキシル基量の当量比及び水性樹脂分散体粒子表面に存在するカルボキシル基含有物のカルボキシル基量の当量比はそれぞれ以下に定義する通りのものである。
    水層中に存在するカルボキシル基含有物のカルボキシル基量の当量比:(A/D)×100
    水性樹脂分散体粒子表面に存在するカルボキシル基量の当量比:(C/D)×100
    ここで、A、C、Dは以下で定義されるものである。
    A:水性樹脂分散体を20%に希釈し、遠心分離機にかけ粒子相と水層を分離した後、水層を酸塩基滴定して定量されるカルボキシル基量の当量値
    C:水性樹脂分散体粒子表面に存在するカルボキシル基含有物のカルボキシル基量であり、水性樹脂分散体を20%に希釈した後、水性樹脂分散体そのものを酸塩基滴定して定量されるカルボキシル基量の当量値Bから水層中に存在するカルボキシル基含有物のカルボキシル基量の当量値Aを引いた値(B−A)
    D:仕込みから計算された水性樹脂分散体の全カルボキシル基量(当量値)
    また、前記当量値は水性樹脂分散体の固形分換算値である)
  2. セメント(2)100質量部に対して、充填材(3)が5〜600質量部、及び請求項1の水性樹脂分散体(1)0.5〜100質量部(固形分)を含む樹脂セメントモルタル組成物。
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