JP4333487B2 - コンクリート構造体 - Google Patents

コンクリート構造体 Download PDF

Info

Publication number
JP4333487B2
JP4333487B2 JP2004167384A JP2004167384A JP4333487B2 JP 4333487 B2 JP4333487 B2 JP 4333487B2 JP 2004167384 A JP2004167384 A JP 2004167384A JP 2004167384 A JP2004167384 A JP 2004167384A JP 4333487 B2 JP4333487 B2 JP 4333487B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polymer
emulsion
layer
cement composition
concrete structure
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2004167384A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005344433A (ja
Inventor
則彦 澤邊
将典 大島
直樹 松野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ube Corp
Original Assignee
Ube Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ube Industries Ltd filed Critical Ube Industries Ltd
Priority to JP2004167384A priority Critical patent/JP4333487B2/ja
Publication of JP2005344433A publication Critical patent/JP2005344433A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4333487B2 publication Critical patent/JP4333487B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Aftertreatments Of Artificial And Natural Stones (AREA)
  • Curing Cements, Concrete, And Artificial Stone (AREA)

Description

本発明は、防水性に優れるポリマーセメント組成物の硬化物層に、粒子層(D1)又はワックスサスペンションの硬化物層(D2)を積層したタックの低減されたコンクリート構造体に関する。
コンクリート構造物の屋上、地下、ベランダなどに防水性を付与するため、樹脂エマルジョンなどにセメントを配合したポリマーセメント組成物が施工されている。
例えば、特許文献1には、炭素数4〜10のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートから選ばれた1種以上の単量体30〜98重量%、(メタ)アクリル酸0.1〜3重量%及びグリシジル(メタ)アクリレート0.1〜5重量%を必須構成単量体とし、かつガラス転移温度が−20℃以下である重合体がカチオン性又はノニオン性の界面活性剤により水に乳化分散されているエマルションと、無機質水硬性物質からなることを特徴とする防水材組成物が開示されている。
特許文献2には、ポリマー成分、セメント、骨材、減水剤及び保水剤の各成分を含有し、該ポリマー成分はガラス転移温度(Tg)が−5℃以下で、かつ−20℃を超えるアニオン−カチオン両性アルカリ硬化型アクリル−スチレン系合成樹脂エマルションからなり、セメントに対する該エマルションの樹脂固形分の重量%(P/C)は30〜80%であり、ポゾラン反応を起こす成分としてのシリカフューム微粒子(SiO含有量が90%以上で、平均粒子径が0.1〜0.2μm)をセメントに対して5〜20%含有することを特徴とするコンクリート防水用組成物が開示されている。
特許文献3には、建造物の表面に、下塗材として下記組成物(1)を施工した後、その塗膜表面上に防水材として下記組成物(2)を施工することを特徴とする湿潤面用防水工法が開示されている。
(1)全固形分を基準にして、1〜50重量%のエポキシ樹脂と5〜99重量%のセメントを含有し、かつこれらの合計量が40重量%以上である組成物。
(2)炭素数4〜10のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートから選ばれる1種以上の単量体、(メタ)アクリル酸及びグリシジル(メタ)アクリレートを必須構成単量体とし、かつガラス転移点は−20℃以下である重合体が、界面活性剤により水に乳化分散されているエマルションと、無機質水硬性物質とからなる組成物。
特許文献4には、建造物の表面に下記(1)からなる下塗材を施工し、その塗膜表面上に下記(2)からなる防水材を施工する防水施工法が開示されている。
(1)特定のアルキル(メタ)アクリレート、メチルアクリレート又はエチルアクリレート及び(メタ)アクリル酸を必須構成単量体とする重合体のエマルションと、無機質水硬性物質からなる組成物。
(2)特定のアルキル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート及びN−メチロール(メタ)アクリルアミド又はN−アルコキシメチル(メタ)アクリルアミドを必須構成単量体とし、かつTg点が−20℃以下である重合体のエマルションと、無機質水硬性物質からなる組成物。
特開平7−268167号公報 特開平11−116313号公報 特開平7−317094号公報 特開平7−292876号公報
コンクリート構造物に防水を付与するために、セメント及びエマルジョンを含むポリマーセメント組成物の硬化物層を設ける場合がある。このポリマーセメント組成物の必要な特性としては、組成物の塗膜の乾燥時間が1〜5時間程度で、施工性、接着性、不透水性、耐水性及び下地ひび割れ追従性などがあり、特に防水性能の面から重要な特性としては、コンクリートのひび割れに追従できる低温化での下地ひび割れ追従性を向上させることを挙げることが出来る。ポリマーセメント組成物の接着性及び低温化での下地ひび割れ追従性の性質を向上させる手段の一つとして、アクリル系樹脂などのエマルジョンを多量に添加する場合がある。しかしアクリル系樹脂などのエマルジョンを多量に添加すると、得られる硬化膜にタックが発生し、施工性に問題が起きる場合がある。
本発明は、接着性及び−10℃での下地ひび割れ追従性の性質に優れるポリマーセメント組成物の硬化物層をコンクリート上に施工して得られる構造体において、構造体表面のタックを低減させることを目的とした。
本発明の第一は、セメントコンクリート層(A)に、ポリマーセメント組成物の硬化物層(C)、粒子層(D1)の順に積層したコンクリート構造体であり、
(1)ポリマーセメント組成物がアルミナセメント及びエマルジョンを含む組成物であり、
(2−1)粒子層(D1)が、BET比表面積2m/g以上の粒子を含む層である
ことを特徴とするコンクリート構造体を提供することを目的とする。
本発明の第二は、セメントコンクリート層(A)に、ポリマーセメント組成物の硬化物層(C)、ワックスサスペンションの硬化物層(D2)の順に積層したコンクリート構造体であり、
(1)ポリマーセメント組成物がアルミナセメント及びエマルジョンを含む組成物であり、
(2−2)ワックスサスペンションが、パラフィンワックスサスペンション、フィシャートロプッシュワックスサスペンション及びオレフィンワックスサスペンションから選ばれる成分を1つ以上含むワックスサスペンションであることを特徴とするコンクリート構造体を提供することを目的とする。
本発明の第三は、セメントコンクリート層(A)に、プライマーの硬化物層(B)、ポリマーセメント組成物の硬化物層(C)、粒子層(D1)の順に積層したコンクリート構造体であり、
(1)ポリマーセメント組成物がアルミナセメント及びエマルジョンを含む組成物であり、
(2)プライマーがエマルジョンであり、
(3−1)粒子層(D1)が、BET比表面積2m/g以上の粒子を含む層である
ことを特徴とするコンクリート構造体を提供することを目的とする。
本発明の第四は、
セメントコンクリート層(A)に、プライマーの硬化物層(B)、ポリマーセメント組成物の硬化物層(C)、ワックスサスペンションの硬化物層(D2)の順に積層したコンクリート構造体であり、
(1)ポリマーセメント組成物がアルミナセメント及びエマルジョンを含む組成物であり、
(2)プライマーがエマルジョンであり、
(3−2)ワックスサスペンションが、パラフィンワックスサスペンション、フィシャートロプッシュワックスサスペンション及びオレフィンワックスサスペンションから選ばれる成分を1つ以上含むワックスサスペンションであることを特徴とするコンクリート構造体を提供することを目的とする。
本発明の第一から第四の好ましい態様を以下に示す。
ポリマーセメント組成物は、硬化後の40℃タック荷重が2500gf以上のポリマーセメント組成物であることが好ましい。
ポリマーセメント組成物は、硬化後の−10℃での下地ひび割れ伸び2mm以上のポリマーセメント組成物であることが好ましい。
ポリマーセメント組成物が、エマルジョンの固形分100質量部に対し、アルミナセメント3〜175質量部を含むことが好ましい。
ポリマーセメント組成物は、さらに充填材を含み、エマルジョンの固形分100質量部に対し、アルミナセメント3〜175質量部を含み、かつアルミナセメントと充填材との合計量20〜350質量部を含むことが好ましい。
エマルジョンが、アクリル系エマルジョンであることが好ましい。
エマルジョンが、ガラス転移温度0℃以下のエマルジョンであることが好ましい。
エマルジョンが、ガラス転移温度0℃以下のアクリル系エマルジョンであることが好ましい。
ポリマーセメント組成物は、乾燥時間が、1時間以上、かつ4時間45分以下であることが好ましい。
本発明のコンクリート構造体は、
接着性及び−10℃での下地ひび割れ追従性に優れるポリマーセメント組成物の硬化物層をコンクリート上に施工して得られる構造体において、構造体表面のタックを低減させ、作業性に優れ、歩行可能な表面を有するコンクリート構造体を得ることが出来る。
以下に、本発明の実施の形態を図面につき詳しく説明する。本発明は、これらの実施の形態のみに限定されるものではない。
図1は、本発明のコンクリート構造体の一例の断面をモデル的に示す図である。
コンクリート構造体1は、セメントコンクリート層2に、ポリマーセメント組成物の硬化物層3、粒子層4の順に積層されている。
コンクリート構造体1の施工の一例を示すと、
(1)コンクリート又はモルタルを屋上、床面又は壁に打設し、コテ、機械等で仕上げた後、コンクリート又はモルタルを硬化させてコンクリート層2を形成させ、(2)コンクリート層2表面に、ポリマーセメント組成物をローラー、コテ及びスプレーなどを用いる一般的方法で施工し、その後ポリマーセメント組成物を硬化させた硬化物層3を形成させ、
(3)ポリマーセメント組成物の硬化物層3表面に、粒子を散布などの方法で蒔くことにより粒子層(D1)4を設けることにより、コンクリート構造体1を得ることができる。
図2は、本発明のコンクリート構造体の一例の断面をモデル的に示す図である。
コンクリート構造体7は、セメントコンクリート層2に、ポリマーセメント組成物の硬化物層3、ワックスサスペンションの硬化物層5の順に積層されている。
コンクリート構造体7の施工の一例を示すと、
(1)コンクリート又はモルタルを屋上、床面又は壁に打設し、コテ、機械等で仕上げた後、コンクリート又はモルタルを硬化させてコンクリート層2を形成させ、(2)コンクリート層2表面に、ポリマーセメント組成物をローラー、コテ及びスプレーなどを用いる一般的方法で施工し、その後ポリマーセメント組成物を硬化させた硬化物層3を形成させ、
(3)ポリマーセメント組成物の硬化物層3表面に、ワックスサスペンション(ワックスサスペンションの希釈液又は希釈水溶液)をローラー及びスプレーなどを用いる一般的方法で塗布又は吹き付けを行い、その後ワックスサスペンションを硬化させた硬化物層(D2)5を形成させることにより、コンクリート構造体を得ることができる。
図3は、本発明のコンクリート構造体の一例の断面をモデル的に示す図である。
コンクリート構造体8は、セメントコンクリート層2に、プライマーの硬化物層6、ポリマーセメント組成物の硬化物層3、粒子層4の順に積層されている。
コンクリート構造体8の施工の一例を示すと、
(1)コンクリート又はモルタルを屋上、床面又は壁に打設し、コテ、機械等で仕上げた後、コンクリート又はモルタルを硬化させてコンクリート層2を形成させ、(2)コンクリート層2表面に、プライマー(エマルジョンの希釈液又は希釈水溶液)をローラー及びスプレーなどを用いる一般的方法で塗布又は吹き付けを行い、その後プライマーを硬化させた硬化物層6を形成させ、
(3)プライマーの硬化物層6表面に、ポリマーセメント組成物をローラー、コテ及びスプレーなどを用いる一般的方法で施工し、その後ポリマーセメント組成物を硬化させた硬化物層3を形成させ、
(4)ポリマーセメント組成物の硬化物層3表面に、粒子を散布などの方法で蒔くことにより粒子層(D1)4を設けることにより、コンクリート構造体を得ることができる。
図4は、本発明のコンクリート構造体の一例の断面をモデル的に示す図である。
コンクリート構造体9は、セメントコンクリート層2に、プライマーの硬化物層6、ポリマーセメント組成物の硬化物層3、ワックスサスペンションの硬化物層5の順に積層されている。
コンクリート構造体9の施工の一例を示すと、
(1)コンクリート又はモルタルを屋上、床面又は壁に打設し、コテ、機械等で仕上げた後、コンクリート又はモルタルを硬化させてコンクリート層2を形成させ、(2)コンクリート層2表面に、プライマー(エマルジョンの希釈液又は希釈水溶液)をローラー及びスプレーなどを用いる一般的方法で塗布又は吹き付けを行い、その後プライマーを硬化させた硬化物層6を形成させ、
(3)プライマーの硬化物層6表面に、ポリマーセメント組成物をローラー、コテ及びスプレーなどを用いる一般的方法で施工し、その後ポリマーセメント組成物を硬化させた硬化物層3を形成させ、
(4)ポリマーセメント組成物の硬化物層3表面に、ワックスサスペンション(ワックスサスペンションの希釈液又は希釈水溶液)をローラー、コテ及びスプレーなどを用いる一般的方法で塗布又は吹き付けを行い、その後ワックスサスペンションを硬化させた硬化物層(D2)5を形成させることにより、コンクリート構造体を得ることができる。
使用するポリマーセメント組成物は、硬化後の40℃タック荷重が、好ましくは2500gf以上、さらに好ましくは3000gf以上と大きな場合において、得られる硬化物表面はタックが大きく、そのため作業性が悪く、歩行に困難な表面を有する構造体となる。
本発明のコンクリート構造体は、タック荷重の大きなポリマーセメント組成物を使用しても、作業性に優れ、歩行可能な表面を有する構造体を得ることができる。
使用するポリマーセメント組成物は、硬化後の−10℃での下地ひび割れ伸びが、好ましくは2mm以上、さらに好ましくは2.5mm以上、特に好ましくは2.7mm以上と大きな場合において、得られる硬化物表面はタックが大きくなり、そのため作業性が悪く、歩行に困難な表面を有する構造体となる。
本発明のコンクリート構造体は、−10℃での下地ひび割れ伸びの大きなポリマーセメント組成物を使用しても、作業性に優れ、歩行可能な表面を有する構造体を得ることができる。
プライマーの硬化物層は、コンクリートとポリマーセメント組成物の硬化物層との接着強度を上げるための層である。
プライマーとして公知のエチレン−酢酸ビニル共重合体系エマルジョン、アクリル系樹脂エマルジョンなどの樹脂系エマルジョンを用い、これらの硬化物からなる層である。
プライマーの硬化物層は、ポリマーセメント組成物に含まれるエマルジョンと同じ樹脂成分を用いることが、プライマー層とポリマーセメント組成物の硬化物層との層間の接着強度が優れるために好ましい。
ポリマーセメント組成物は、コンクリート防水用、コンクリート床防水用、コンクリート屋上防水用などの防水用途に用いることが出来、コンクリートの被施工物表面に塗布したコンクリート構造体を得ることが出来る。
ポリマーセメント組成物は、攪拌容器にエマルジョンを所定量計量し、攪拌機でエマルジョンを攪拌しながら所定量のアルミナセメント、さらに必要に応じて充填材や添加剤などを添加し、数分間攪拌・混合して調整することができる。その際水の添加は、材料分離及び塗膜物性低下の面から行わないほうが好ましい。
アルミナセメント、充填材或いは添加剤などは、単独で添加しても良いし、予め他の数種と混合したものを添加しても良く、添加順序は特に選ばない。また、攪拌機は、一般的な固液攪拌機など撹拌機能を有するものを問題なく用いることが出来る。
ポリマーセメント組成物、プライマー又はワックスサスペンションは、ローラー及びスプレーなどを用いる一般的方法で被施工物表面に塗布など方法で施工して使用される。塗布などの施工膜の乾燥後に更に同じ操作を繰り返し、複数層の膜を形成させるのが好ましい。また、屋上などの施工でメッシュを層間に挟んだ構造とする場合には、乾燥後の塗膜の上にメッシュを置き、メッシュの上から塗布してメッシュを固定する工程を加える工法が採用できる。さらに、最外層に別組成物を塗布・乾燥させた保護層を形成させて仕上げることも可能である。
硬化物層(C)のポリマーセメント組成物として、コンクリートとの接着性や−10℃での下地ひび割れ伸びを改善を目的にエマルジョンの配合量の多いポリマーセメント組成物を使用する場合がある。ポリマーセメント組成物中に配合されるエマルジョン量が多いと、得られるポリマーセメント組成物のタックが大きくなる場合があり、そのため作業性が悪く、歩行に困難な表面を有する構造体を得る可能性が考えられる。
本発明のコンクリート構造体は、エマルジョンの配合量の多いポリマーセメント組成物を使用しても、作業性に優れ、歩行可能な表面を有する構造体を得ることができる。
硬化物層(C)のポリマーセメント組成物において、
エマルジョンの固形分100質量部に対し、アルミナセメントを好ましくは3〜175質量部、さらに好ましくは5〜150質量部、より好ましくは7〜120質量部、特に好ましくは10〜100質量部含むことにより、
(1)水和反応により組成物の乾燥を促進させ、硬化した塗膜(硬化物)の耐水性及び強度確保に優れ、
(2)エマルジョンの固形分100質量部に対し、アルミナセメントの含有量が、上記範囲より小さい場合は塗膜の乾燥時間、強度が不十分となり、また上記範囲より大きい場合ポットライフが短く、また粘度が上昇して作業性、施工性に支障を来す場合があり好ましくない。
硬化物層(C)のポリマーセメント組成物では、塗膜の乾燥時間が、1〜4.75時間、好ましくは1.5〜4.5、さらに好ましくは2〜4.5時間とすることができ、施工性に優れる。
硬化物層(C)のポリマーセメント組成物は、アルミナセメント及びエマルジョンを含むものであり、さらに充填材などを含むことが好ましい。
硬化物層(C)のポリマーセメント組成物において、エマルジョンの固形分100質量部に対し、アルミナセメントと充填材との合計量が、好ましくは20〜350質量部、さらに好ましくは35〜300質量部、より好ましくは55〜275質量部、特に好ましくは90〜250質量部を含むことが好ましい。
エマルジョンの固形分100質量部に対して、アルミナセメントと充填材との合計量の配合量が、上記範囲より大きい場合、得られるポリマーセメント組成物の粘度が高くなり施工性が低下するとともに、十分な下地ひび割れ追従性が得られないため好ましくなく、上記範囲より小さい場合、十分な下地ひび割れ追従性が得られるが、塗膜強度が低下すること、塗膜のタックが強くなるなど好ましくない。
アルミナセメントは、耐火物用、土木用、建築用などいずれの用途のアルミナセメントでも問題なく使用出来、アルミナの含有量も特に制限はなく用いることが出来る。
アルミナセメントは、鉱物組成が異なるものが数種知られ市販されているが、何れも主成分はモノカルシウムアルミネートであり、市販品はその種類によらず使用することができる。
充填材は、珪砂、スラグ粉、フライアッシュ、石灰石粉、タルク、カオリン、アルミナ粉、酸化チタン、水酸化アルミニウム、マイカ、パイロフィライトなどを添加して用いることが出来、これらの充填材を1種または2種以上用いることが出来る。特に珪砂の場合、表面精度の面から5〜7号の使用が好ましい。充填材は、粒子層(D1)に用いる粒子を用いることが出来る。
エマルジョンとは、合成樹脂エマルジョンであり、ポリ酢酸ビニルエマルジョン、エチレンと酢酸ビニルの共重合体エマルジョン、エチレン、酢酸ビニルと(メタ)クリル酸誘導体の共重合体マルジョン、エチレンと(メタ)クリル酸誘導体との共重合体エマルジョン、ポリ(メタ)クリル酸誘導体のエマルジョン、スチレンと(メタ)クリル酸誘導体との共重合体エマルジョン、ポリクロロプレンラテックス、酢酸ビニルと塩化ビニルの共重合体エマルジョン、スチレンとブタジエンの共重合体エマルジョン、アクリロニトリとブタジエンの共重合体エマルジョン、酢酸ビニルと(メタ)クリル酸誘導体のエマルジョンなどのエチレン、スチレン、酢酸ビニル、(メタ)クリル酸誘導体などを少なくとも1種含む合成樹脂のエマルジョンを用いることができる。(メタ)クリル酸誘導体は、アクリル酸及びメタクリル酸、これらのエステルなどの酸誘導体を意味する。エマルジョンとエマルションとは同じ意味である。
エマルジョンとしては、特にエチレン−酢酸ビニル共重合体エマルジョン、アクリル系樹脂エマルジョンなどの建築用途に開発された樹脂系エマルジョンを好ましく用いることができる。エマルジョンとしては、エチレン−酢酸ビニル共重合体エマルジョン及びアクリル系樹脂エマルジョンから選ばれる成分を、エマルジョン中少なくとも50質量%以上、さらに70質量%以上、特に90質量%以上含むエマルジョンを好ましく用いることができる。
エマルジョンに含まれるポリマー成分のガラス転移温度は、どのようなものでも用いることができるが、−10℃での下地ひび割れ追従性に優れる組成物としては好ましくは0℃以下、さらに好ましくは−60〜0℃、より好ましくは−50−10℃、特に好ましくは−45〜−25℃の範囲内を有するものであれば特に制限はなく用いることが出来る。
エマルジョンは、公知の製造方法により得られるものを用いることができ、例えば、乳化剤の存在下に、重合開始剤を用いて、水又は含水溶媒中で合成樹脂の原料となる重合性モノマーを乳化重合する方法などにより製造することができる。
乳化剤としては、公知のものを用いることができ、アニオン性、ノニオン性、カチオン性又は両性の界面活性剤やポリビニルアルコール等の保護コロイドなどを挙げることができる。
エマルジョンは、水又は含水溶媒を含まない粉末状の合成樹脂粒子を含み、粉末状の合成樹脂粒子を用いると、水又は含水溶媒を除いた全成分を一つのパッケージとすることができ、施工現場では水を添加するだけで使用できるので便利である。
重合開始剤としては、水又は含水溶媒中でラジカル重合できるものが好ましく、過酸化水素、過酢酸、過硫酸又はこれらのアンモニウム塩や硫酸塩等の水溶性の過酸化物やその塩などを挙げることができる。また、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、2,2’−アゾビスイソブチルニトリルなどの有機過酸化物、メタ亜硫酸ナトリウムやピロ亜硫酸ナトリウムなどの還元剤を併用することができる。
重合開始剤の使用量は、エマルジョンが製造できる範囲であれば適宜選択できる。
エマルジョンは、エマルジョン中に含まれる合成樹脂の固形分は適宜選択することができるが、エマルジョン100質量部中、30〜80質量部が好ましく、40〜60質量部がより好ましい。30質量部未満だと伸びが不足するおそれがあり、80質量部を越えると粘度が大きすぎて作業性が低下したり、塗膜を均一に形成できないおそれが考えられる。
エチレン−酢酸ビニル共重合体エマルジョンは、エチレンと酢酸ビニルとを共重合した公知のエマルジョンを用いることが出来る。
エチレン−酢酸ビニル共重合体エマルジョンに含まれるポリマー成分は、ガラス転移温度が好ましくは0℃以下、さらに好ましくは−60〜0℃、より好ましくは−50−10℃、特に好ましくは−45〜−25℃の範囲内を有するものであれば特に制限はなく用いることが出来る。
エチレン酢酸ビニル共重合体エマルジョンとしては、ポリビニルアルコール、セルロース誘導体などの水溶性高分子を乳化剤や保護コロイドとして用いる物を好ましく用いることが出来る。特にエチレン酢酸ビニル共重合体エマルジョンは、保護コロイドとしてポリビニルアルコールを用いたものが好ましい。
エチレン−酢酸ビニル共重合体エマルジョンの重合体成分において、酢酸ビニル含有量は、好ましくは30〜90質量%、さらに好ましくは50〜90質量%、特に好ましくは60〜86質量%が好ましい。
エチレン酢酸ビニル共重合体エマルジョン中のエチレン酢酸ビニル共重合体成分の含有量は、好ましくは40〜65質量%、さらに好ましくは45〜60質量%、特に好ましくは47〜60質量%である。
アクリル系樹脂エマルジョンとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレートなど(メタ)アクリレート化合物などを1種または2種以上を重合したもの、さらにこれらのモノマーと共重合可能なスチレン、酢酸ビニル、塩化ビニリデンなどのビニル化合物と共重合させたものを用いることが出来る。(メタ)アクリレートとは、メタクリレート及びアクリレートを意味する。
アクリル系樹脂エマルジョンは、エマルジョンに含まれるポリマー成分が、架橋していないポリマー、さらに好ましくはポリマー内又はポリマー間で架橋していないポリマーを用いることにより、伸びに優れるために好ましい。
アクリル系樹脂エマルジョンに含まれるポリマー成分は、ガラス転移温度が好ましくは0℃以下、さらに好ましくは−60〜0℃、より好ましくは−50−10℃、特に好ましくは−45〜−25℃の範囲内を有するものであれば特に制限はなく用いることが出来る。
アクリル系樹脂エマルジョンは、公知の乳化剤や保護コロイドを用いることができ、例えば、ポリビニルアルコール、セルロース誘導体などの水溶性高分子、非イオン界面活性剤、イオン性界面活性剤などの乳化剤や保護コロイドを用いることが出来る。
アクリル系樹脂エマルジョンは、公知のエマルジョンを用いることができ、アクリル系樹脂成分の含有量は特に制限がない。
ポリマーセメント組成物は、乾燥時間や流動性を調整するため、又は本発明の特性を損なわない範囲で添加剤を含むことが出来る。
添加剤としては、一般的に用いられる凝結遅延剤、凝結促進剤などの凝結速度調整剤、消泡剤、増粘剤、減水剤又は流動化剤などを挙げることが出来る。
本発明の防水用ポリマーセメント組成物は、硬化膜の強度を向上させる目的で、ガラス繊維、炭素繊維などの無機繊維や有機繊維を含むことができる。
ポリマーセメント組成物は、硬化膜の強度や防水性を向上させる目的で、消泡剤を含むことが好ましい。
消泡剤は、シリコン系、アルコール系、ポリエーテル、フッ素系などの合成物質または植物由来の天然物質など、公知のものを用いることが出来る。
消泡剤の添加量は、本発明の特性を損なわない範囲で添加することができ、アルミナセメント及びエマルジョンの固形分と、必要に応じて添加されるタルクや珪砂などの固形分との合計量100質量部に対して、2質量部以下、特に0.2質量部以下が好ましい。消泡剤の添加量は、上記より多く添加する場合、消泡効果の向上がみとめられない場合がある。
増粘剤は、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどのセルロース系、ゼラチン、ベクチンなどの蛋白質系、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコールなどの水溶性ポリマー系、ラテックス系などを用いることが出来、特にセルロース系などを用いることが出来る。
増粘剤の添加量は、本発明の特性を損なわない範囲で添加することができ、水硬性成分100質量部に対して0.01〜2質量部、さらに0.05〜1.5質量部、特に0.1〜1質量部含むことが好ましい。増粘剤の添加量が多くなると、流動性の低下を招く恐れがあり好ましくない。
凝結速度調整剤としては、凝結促進を行う成分である凝結促進剤、凝結遅延を行う成分である凝結遅延剤などを用いることが出来る。
凝結速度調整剤としては、凝結促進剤及び凝結遅延剤を併用して用いることが好ましい。凝結促進剤と凝結遅延剤を併用添加することで、例えば、30分以上の可使時間を可能とする流動保持性と、その後の速やかな硬化により、即日の軽歩行及び翌日の仕上材施工を可能とする速硬性・速乾性が確保できる。さらに、低温から高温の広範囲において上記の超速硬性、流動保持性及び優れた硬化体性状の両立が可能である。
凝結促進剤としては、公知の凝結促進剤を用いることが出来る。凝結促進剤の一例として、炭酸リチウム、塩化リチウム、硫酸リチウム、硝酸リチウム、水酸化リチウム、酢酸リチウム、酒石酸リチウム、リンゴ酸リチウム、クエン酸リチウムなどの有機酸などの、無機リチウム塩や有機リチウム塩などのリチウム塩を用いることが出来る。特に炭酸リチウムは、効果、入手容易性、価格の面から好ましい。
凝結促進剤としては、特性を妨げない粒径を用いることが好ましく、粒径は50μm以下にするのが好ましい。
特にリチウム塩を用いる場合、リチウム塩の粒径は50μm以下、さらに30μm以下、特に10μm以下が好ましく、粒径が上記範囲より大きくなるとリチウム塩の溶解度が小さくなるために好ましくなく、特に顔料添加系では微細な多数の斑点として目立ち、美観を損なう場合がある。
凝結遅延剤としては、公知の凝結遅延剤を用いることが出来る。凝結遅延剤の一例として、硫酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム及び酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、グリコール酸などのオキシカルボン酸、又はそのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩などを用いることが出来る。特に重炭酸ナトリウムや酒石酸ナトリウムは、効果、入手容易性、価格の面から好ましい。なお、添加量が多いと、流動性の低下、硬化不良を招き表面不良が生じることがあるので、注意が必要である。
凝結速度調整剤は、用いるポリマーセメント組成物に応じて、特性を損なわない範囲で適宜添加することができ、凝結促進剤及び凝結遅延剤の成分、添加量及び混合比率を適宜選択して、流動性、可使時間を調整することができる。
凝結速度調整剤は、流動性及び可使時間を調整に用いる場合、リチウム塩とナトリウム塩の合量が、水硬性成分100質量部に対して0.05〜5質量部、さらに0.1〜2質量部、特に0.3〜0.7質量部の範囲で添加することが好ましい。
減水剤は、ナフタレン系、メラミン系、ポリカルボン酸系などを用いることが出来、併用する増粘剤との最適な組合わせとなるのは、ポリカルボン酸系が好ましい。
減水剤の添加量は、本発明の特性を損なわない範囲で添加することができ、水硬性成分100質量部に対して0.01〜0.2質量部、さらに0.02〜0.2質量部、特に0.05〜0.2質量部が好ましい。
流動化剤とは、流動性を向上させる混和剤で公知の流動化剤を用いることが出来る。流動化剤の一例として、リグニン系、メラミン系、ポリカルボン酸系などを用いることが出来る。このうち流動性の向上効果が大きいポリカルボン酸系が好ましい。
流動化剤の添加量は、本発明の特性を損なわない範囲で添加することができ、水硬性成分100質量部に対して0.01〜1.0質量部、さらに0.02〜0.50質量部、特に0.05〜0.50質量部が好ましい。
粒子層(D1)の粒子としては、好ましくはBET比表面積が2m/g以上の粒子、さらに好ましくはBET比表面積が2.5m/g以上の粒子、特に好ましくはBET比表面積が3m/g以上の粒子である。
粒子層(D1)の粒子としては、珪砂、スラグ粉、フライアッシュ、石灰石粉、タルク、カオリン、アルミナ粉、酸化チタン、水酸化アルミニウム、マイカ、パイロフィライト、ゼオライト、シリカゲル、硫酸バリウム、ガラス、使用済みFCC触媒などの無機系の使用済みの触媒などの公知の無機粒子、ポリエチレン、ポリプロピレン、PMMA、ポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリスルホンなどの高分子粒子などの有機粒子などを用いることが出来る。高分子粒子は、架橋したもの、架橋していないものの双方を用いることが出来る。
粒子の使用方法(層の形成方法)及び使用量について、本発明の特性を損なわない範囲で適宜選択して用いることができる。粒子は、ポリマーセメント組成物の硬化物層(C)の上を、ほぼ均一に被うように用いることが好ましい。
粒子の80%重量累積粒径は、好ましくは100μm以下、さらに好ましくは80μm以下、より好ましくは60μm以下の粒子、特に好ましくは50μm以下の粒子であることが好ましい。
(1)粒子の80%重量累積粒径の測定:
粒子200gを16メッシュ(1000μm残留)、20メッシュ(850μm残留)、24メッシュ(710μm残留)、28メッシュ(600μm残留)、35メッシュ(425μm残留)、48メッシュ(300μm残留)、70メッシュ(212μm残留)、100メッシュ(150μm残留)、150メッシュ(106μm残留)、200メッシュ(75μm残留)、270メッシュ(53μm残留)の篩を用いて、振動篩機にて20分間振盪させ、分別した。各メッシュに残留する骨材の重量を測定し、残留量と篩の関係より得られる線分より、80%重量累積の粒径を求める。
硬化物層(D2)のワックスサスペンションとしては、パラフィンワックスサスペンション、オレフィンワックスサスペンション、フィッシャートロプシュワックスサスペンションなどの水分散型などの公知のワックスサスペンションを用いることが出来る。
パラフィンワックスサスペンションとしては、n−パラフィンを主成分とするパラフィンワックスのサスペンションを用いることが出来る。
オレフィンワックスサスペンションとしては、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなどの低中分子量のポリオレフィンのサスペンションを用いることが出来る。
ワックスサスペンションの使用方法(層の形成方法)及び使用量について、本発明の特性を損なわない範囲で適宜選択して用いることができる。ワックスサスペンションの硬化物層は、ポリマーセメント組成物の硬化物層(C)の上を、ほぼ均一に被うように用いることが好ましい。
本発明のコンクリート構造体の表面のタック荷重は、20℃の場合、好ましくは100gf以下、さらに好ましくは80gf以下、より好ましくは50gf以下、特に好ましくは35gf以下であり、
また40℃の場合、好ましくは200gf以下、さらに好ましくは150gf以下、より好ましくは100gf以下、特に好ましくは70gf以下である。
以下、本発明を実施例に基づき、さらに詳細に説明する。但し、本発明は下記実施例により制限されるものでない。
粒子層(D1)に使用する粒子のBET比表面積は、島津製作所製、流動式比表面積自動測定装置フローソーブ2300型を用い、室温20℃で測定する。
塗膜物性の評価は以下のように行う。
(1)タックの評価法1(引張荷重の測定): 5mm厚スレート板(50×150mm)に、予めプライマー(各実施例及び比較例と同じエマルジョンを用い、エマルジョンに水を添加し10倍に希釈した液)を0.4kg/mの量で塗布する。このスレート板のプライマー塗布面に、ポリマーセメント組成物を1.8kg/mの量で塗布し、20±3℃、湿度65±5%の条件で24時間養生後、塗膜表面に積層材料を塗布し、20±3℃、湿度65±5%の条件で24時間養生後試験体Aを得る。なお、積層材料は粉体及び液体とも通常の刷毛で塗布する。
タックは、20℃及び40℃、湿度60%の条件で、オートグラフ((株)東洋ボールドウイン製、TENSILON/UTM−I−2500)に直径20mmのステンレス製の円柱を取付け、円柱を1mm/分の速度で固定した試験体Aに2kgfの荷重で30秒間押し当て、その後円柱を上部に引き上げるさいの引張荷重を測定し、その荷重の最大値をタック荷重とする。
(2)タックの評価法2(歩行による評価): コテ仕上げのコンクリート表面に、プライマー(各実施例及び比較例と同じエマルジョンを用い、エマルジョンに水を添加し10倍に希釈した液)を0.4kg/mの量で塗布し1日放置する。翌日、プライマー塗布面に、さらにポリマーセメント組成物を市販の汎用ローラー[大塚刷毛製造(株)社製、ウーローラーB]で0.9kg/mの量で塗布し、試験体Cを得る。試験体Bに塗布した塗膜を、温度35±3℃、湿度55±5%、24時間の条件で硬化させ、硬化した塗面のうえを安全靴((株)シモン社製)で歩行し、靴底に感じる塗面のタック性を評価する。歩行した人は体重約60kgである。
タック(歩行評価)の評価基準を以下に示す。
◎:全く感じない、○:殆ど感じない、×:タックが強く歩行できない。
(3)下地ひび割れ追従性試験による伸びの評価法: 中央に切り込みを入れた5mm厚スレート板(50×150mm)に、予めプライマー(各実施例及び比較例と同じエマルジョンを用い、エマルジョンに水を添加し10倍に希釈した液)を0.4kg/mの量で塗布する。このスレート板のプライマー塗布面に、ポリマーセメント組成物を1.8kg/mの量で塗布し、20±3℃、湿度65±5%の条件で28日間養生し、試験体Dを得る。
試験体Dの伸びの測定は、測下地ひび割れ追従性の評価は、目視観察で塗膜に亀裂などの欠陥が生じる時の伸びを測定し、その伸びを下地ひび割れ追従性の伸び量とする。
(4)ガラス転移温度: ガラス板上にアクリル系樹脂エマルジョンを適量滴下し、60℃で16時間乾燥し、得られた質量が9.5〜10.5mgの範囲に入った乾燥塗膜を、示差走査熱量計(島津製作所社製、DSC−50)を用い、ガラス転移温度を測定した。
DSCの測定条件は、室温から150℃に10分間で昇温し、150℃を10分間保持した後に計算で得られた試料のTgより50℃低い温度まで下げ、再度150℃まで10分間で昇温するさいに、1回目のTgの測定を行う。次に1回目で測定したTgより50℃低い温度まで下げるさいに、2回目のTgの測定を行い、2回目のTgの値をガラス転移温度とした。
(5)BET比表面積:粒子の比表面積は、窒素吸着によるBET法で3点測定で行う。
実施例1、参考例2、実施例3〜6及び比較例1
(1)ポリマーセメント組成物の原料は、以下の物を用いた。
・エマルジョン:アクリル系樹脂エマルジョン(ポリマー固形分:55重量%、ガラス転移温度:−39℃、樹脂成分:メチルメタアクリレート 23重量%、2−エチルヘキシルアクリレート 44重量%、n−ブチルアクリレート 33重量%)。
・アルミナセメント:市販アルミナセメント(JIS・R−2511による第3種)。
・珪砂:市販6号珪砂。
(2)粒子層(D1)に使用する粒子は、表1に示す材料を用いた。
・FCC粉:石油改質用の使用済みFCC触媒。
(3)ワックスサスペンションは、以下の物を用いた。
・PS:パラフィンワックスサスペンション(フタバファインケミカル社製、商品名:フェニックスEW−1000、固形分50重量%)。
・FS:フィシャートロプッシュワックスサスペンション(フタバファインケミカル社製、商品名:FT−100、固形分45重量%)。
・OS:オレフィンワックスサスペンション(フタバファインケミカル社製、商品名:KSL245、固形分40重量%)。

(エマルジョン:アクリル系樹脂エマルジョンの合成法)
予め、容器にイオン交換水420部、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(花王社製、エマルゲン935)28部、メチルメタクリレート392部、2−エチルヘキシルアクリレート616部、n−ブチルアクリレート392部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート49部、メタクリル酸7部を秤量し、単量体乳化混合液を調整する。
攪拌機、還流冷却器、温度計、滴下装置及び窒素ガス導入管を備えた3Lの反応容器に、イオン交換水560部、アクアロン RN−20(第一工業製薬社製)7部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート11部、アクリルアミド7部を仕込み、窒素ガスで置換し、攪拌しながら内温が83℃になるまで加温する。
次に、5%過硫酸ナトリウム70部を添加して、約30分間初期重合を行う。
同温で、先に調整した単量体乳化混合液と5%過硫酸ナトリウム70部を同時に滴下しながら、5時間重合反応を行う。
滴下終了後、さらに1時間、83℃を保ったまま、攪拌を持続する。
その後、70℃まで温度を下げ、有機過酸化物と還元剤を用いて、未反応モノマーの重合を完結する。
その後、室温まで下げ、消泡剤、防腐剤、光安定剤、紫外線吸収剤を添加し、アンモニア水、イオン交換水でpH、不揮発分を調整し、エマルジョンを得る。
Figure 0004333487
(2)ポリマーセメント組成物の調製
2Lのポリ容器にエマルジョン、ワックスサスペンション、アルミナセメント及び珪砂を、表2に示す配合割合(合計1250g)で加え、0.15KW攪拌機を使用し1300rpmの条件下で3分間混合し、ポリマーセメント組成物を得た。
得られたポリマーセメント組成物は、塗膜表面に積層材料を塗布し、タック評価及び下地ひび割れ追従性の評価を行い、結果を表3に示す。
表2の配合割合は、エマルジョンは固形分量として、サスペンションは固形分量として配合した。
Figure 0004333487
Figure 0004333487
本発明のコンクリート構造体の断面をモデル的に示す図である。 本発明のコンクリート構造体の断面をモデル的に示す図である。 本発明のコンクリート構造体の断面をモデル的に示す図である。 本発明のコンクリート構造体の断面をモデル的に示す図である。
符号の説明
1,7,8,9:コンクリート構造体、
2:コンクリート層(A)、
3:ポリマーセメント組成物の硬化物層(C)、
4:粒子層(D1)、
5:ワックスサスペンションの硬化物層(D2)、
6:プライマーの硬化物層(B)。


Claims (5)

  1. セメントコンクリート層(A)に、ポリマーセメント組成物の硬化物層(C)、粒子層(D1)又はワックスサスペンションの硬化物層(D2)の順に積層したコンクリート構造体であり、
    (1)ポリマーセメント組成物は、アルミナセメント及びアクリル系樹脂エマルジョンを含む組成物であり、
    硬化後の−10℃での下地ひび割れ伸びが2mm以上であり、硬化後の40℃タック荷重が2500gf以上であるポリマーセメント組成物であり、
    アクリル系樹脂エマルジョンは、エマルジョンに含まれるポリマー成分が、ポリマー内又はポリマー間で架橋していないポリマーであり、ポリマー成分のガラス転移温度が、−45〜−25℃の範囲のポリマーであり、
    (2−1)粒子層(D1)が、BET比表面積2m/g以上且つ80%重量累積粒径が100μm以下である粒子を含む層であり、
    (2−2)ワックスサスペンションが、パラフィンワックスサスペンション、フィシャートロプッシュワックスサスペンション及びオレフィンワックスサスペンションから選ばれる成分を1つ以上含むワックスサスペンションであること
    を特徴とするコンクリート構造体。
  2. セメントコンクリート層(A)に、プライマーの硬化物層(B)、ポリマーセメント組成物の硬化物層(C)、粒子層(D1)又はワックスサスペンションの硬化物層(D2)の順に積層したコンクリート構造体であり、
    (1)ポリマーセメント組成物は、アルミナセメント及びアクリル系樹脂エマルジョンを含む組成物であり、
    硬化後の−10℃での下地ひび割れ伸びが2mm以上であり、硬化後の40℃タック荷重が2500gf以上であるポリマーセメント組成物であり、
    アクリル系樹脂エマルジョンは、エマルジョンに含まれるポリマー成分が、ポリマー内又はポリマー間で架橋していないポリマーであり、ポリマー成分のガラス転移温度が、−45〜−25℃の範囲のポリマーであり、
    (2−1)粒子層(D1)が、BET比表面積2m/g以上且つ80%重量累積粒径が100μm以下であるの粒子を含む層であり、
    (2−2)ワックスサスペンションが、パラフィンワックスサスペンション、フィシャートロプッシュワックスサスペンション及びオレフィンワックスサスペンションから選ばれる成分を1つ以上含むワックスサスペンションであること
    を特徴とするコンクリート構造体。
  3. コンクリート構造体は、コンクリート構造体の表面のタック荷重が、20℃の場合に35gf以下で、40℃の場合に70gf以下であること
    を特徴とする請求項1または請求項2に記載のコンクリート構造体。
  4. 粒子層(D1)の粒子はタルク粉であり、80%重量累積粒径が50μm以下で、かつBET比表面積が3m/g以上であること
    を特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のコンクリート構造体。
  5. ポリマーセメント組成物は、さらに充填材を含み、エマルジョンの固形分100質量部に対し、アルミナセメント3〜175質量部を含み、かつアルミナセメントと充填材との合計量20〜350質量部を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のコンクリート構造体。
JP2004167384A 2004-06-04 2004-06-04 コンクリート構造体 Expired - Fee Related JP4333487B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004167384A JP4333487B2 (ja) 2004-06-04 2004-06-04 コンクリート構造体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004167384A JP4333487B2 (ja) 2004-06-04 2004-06-04 コンクリート構造体

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005344433A JP2005344433A (ja) 2005-12-15
JP4333487B2 true JP4333487B2 (ja) 2009-09-16

Family

ID=35497068

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004167384A Expired - Fee Related JP4333487B2 (ja) 2004-06-04 2004-06-04 コンクリート構造体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4333487B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103184748A (zh) * 2013-03-20 2013-07-03 嘉兴市广兴工贸有限公司 地下建筑防水涂层

Families Citing this family (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2009117520A2 (en) 2008-03-19 2009-09-24 Hexion Specialty Chemicals, Inc. Modifier for concrete and cement formulations and methods of preparing the same
US8404040B2 (en) * 2009-07-07 2013-03-26 Momentive Specialty Chemicals Inc. Curing or sealing compositions for concrete and cement formulations and processes for using the same
KR101085883B1 (ko) 2009-09-25 2011-11-22 한국전력공사 콘크리트 크리프 시험 공시체 파라핀 코팅 장치
KR101703947B1 (ko) * 2016-04-28 2017-02-08 (주)정준건업 무기질 바닥 강화재 조성물을 이용한 바닥 시공방법
KR101981925B1 (ko) * 2017-11-06 2019-05-27 주식회사 삼명이엔씨 아민유도체 및 이온교환수지를 이용한 하수시설 보수용 내황산 모르타르 분체 조성물
JP7414291B2 (ja) * 2021-06-30 2024-01-16 六菱ゴム株式会社 開口開閉構造ならびに板状蓋設置方法
JP7443410B2 (ja) * 2022-03-31 2024-03-05 デンカ株式会社 鉄筋コンクリート構造物の断面修復構造および鉄筋コンクリート構造物の断面修復方法

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH03150280A (ja) * 1989-11-02 1991-06-26 Kubota Corp セメント製品の多彩色仕上げ方法
JPH0711744A (ja) * 1993-06-24 1995-01-13 Takenaka Komuten Co Ltd 複層系塗膜防水構造
JP3682107B2 (ja) * 1995-12-25 2005-08-10 東亞合成株式会社 塗膜防水工法
JP3515484B2 (ja) * 2000-05-19 2004-04-05 菊水化学工業株式会社 塗膜構造
JP4282982B2 (ja) * 2001-12-26 2009-06-24 旭化成ケミカルズ株式会社 樹脂モルタル用ラテックス及び樹脂モルタル組成物

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103184748A (zh) * 2013-03-20 2013-07-03 嘉兴市广兴工贸有限公司 地下建筑防水涂层

Also Published As

Publication number Publication date
JP2005344433A (ja) 2005-12-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US20130131220A1 (en) Emulsion or redispersible polymer powder of a polymer comprising a biomonomer, a process to prepare them, and the use thereof in building material compositions
JP2017521519A (ja) 柔軟型セメント系防水材用の、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート官能性モノマー単位を含む(メタ)アクリレートコポリマーの分散液
JP4599895B2 (ja) ポリマーセメント組成物
JP4595507B2 (ja) 防水用のポリマーセメント組成物及びその硬化物、並びにその製造方法
JP4826062B2 (ja) 高強度水硬性組成物
JP4333487B2 (ja) コンクリート構造体
JP2006347797A (ja) モルタル、これらを被覆した構造体並びに施工方法
JP4345511B2 (ja) 防水用ポリマーセメント組成物
JP4282982B2 (ja) 樹脂モルタル用ラテックス及び樹脂モルタル組成物
JP4466375B2 (ja) ポリマーセメント組成物及びそのコンクリート構造体
JP4449586B2 (ja) ポリマーセメント組成物
JP4428148B2 (ja) ポリマーセメント組成物
JP4561115B2 (ja) ポリマーセメント組成物及びそのコンクリート構造体
JP5031222B2 (ja) ポリマーセメント組成物、これらのモルタル、モルタルを被覆した構造体
JP2005239490A (ja) 下地調整材用水硬性組成物、及びこの下地調整材
JP4595392B2 (ja) ポリマーセメント組成物
JP4609186B2 (ja) ポリマーセメント組成物
JP4248949B2 (ja) セメント用水性樹脂分散体及びその組成物
JP4357929B2 (ja) コンクリート床構造体、およびその施工方法
JP4380306B2 (ja) コンクリート床構造体、及びその施工方法
JP4608955B2 (ja) ポリマーセメント組成物
CN116490479A (zh) 用于防水覆盖物的组合物
JP6163382B2 (ja) モルタル用ラテックス、モルタル組成物、及びモルタル硬化物
JP4810799B2 (ja) ポリマーセメント組成物
JP4462535B2 (ja) セメントモルタル用樹脂水分散体及びその組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060714

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20080522

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080527

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080725

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20081209

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090206

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20090602

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20090615

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120703

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees