JP6721954B2 - 非水電解質電池用正極活物質 - Google Patents

非水電解質電池用正極活物質 Download PDF

Info

Publication number
JP6721954B2
JP6721954B2 JP2015147624A JP2015147624A JP6721954B2 JP 6721954 B2 JP6721954 B2 JP 6721954B2 JP 2015147624 A JP2015147624 A JP 2015147624A JP 2015147624 A JP2015147624 A JP 2015147624A JP 6721954 B2 JP6721954 B2 JP 6721954B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
positive electrode
electrode active
active material
aqueous electrolyte
electrolyte secondary
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2015147624A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2017027881A (ja
Inventor
慎之介 市川
慎之介 市川
直明 藪内
直明 藪内
慎一 駒場
慎一 駒場
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tokyo University of Science
GS Yuasa International Ltd
Tokyo Denki University
Original Assignee
Tokyo University of Science
GS Yuasa International Ltd
Tokyo Denki University
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tokyo University of Science, GS Yuasa International Ltd, Tokyo Denki University filed Critical Tokyo University of Science
Priority to JP2015147624A priority Critical patent/JP6721954B2/ja
Publication of JP2017027881A publication Critical patent/JP2017027881A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6721954B2 publication Critical patent/JP6721954B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Description

本発明は、非水電解質電池用正極活物質及びそれを用いた非水電解質電池に関する。
現在、リチウムイオン二次電池に代表される非水電解質二次電池が、高エネルギー密度、高容量の電池として広く使用されている。より高い放電容量を得ることができる非水電解質二次電池用正極活物質が求められている。
リチウムバナジウム複合酸化物が知られている。例えば、LiVOは、1電子反応式から導かれる理論容量が298mAh/gである。
非特許文献1には、Li1.10.9を負極活物質として0.005〜1.5V(vs.Li/Li)の電位範囲で評価し、約200mAh/gの放電容量が得られたことが記載されている。
非特許文献2には、(1-x)LiVO・xLiTiOを正極活物質として評価し、X=0のとき、即ち、LiVOを正極活物質として用いた場合、25mAh/g程度の放電容量しか得られなかったことが記載されている(Fig.5等参照)。
Hyung Sun Kim and Byung Won Cho, Bull.Korean Chem.Soc., 2010, Vol.31, No 5, Page 1267-1269. Lianqi Zhang, Kazunori Takada, Narumi Ohta, Minoru Osada, Takayoshi Sasaki, J.Power Sources, 2007, Vol.174, Page 1007-1011.
上記非特許文献2に示されるように、従来のLiVOは、正極活物質として使用した場合、十分な放電容量が得られないという問題があった。
本発明は、空間群R3−m又はFm−3mに帰属可能な結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物を含む正極活物質であって、前記リチウム遷移金属複合酸化物を構成する遷移金属(Me)がVを含み、前記遷移金属に対する前記Vのモル比V/Meが2/3以上1以下であり、CuKα線を用いたエックス線回折図において回折角2θが44°付近に観測される回折ピークの半値幅が0.47°以上であることを特徴とする非水電解質二次電池用正極活物質である。
また、前記非水電解質二次電池用正極活物質を用いた非水電解質二次電池である。
本発明によれば、高い放電容量を備えた非水電解質二次電池用正極活物質及びこれを用いた非水電解質二次電池を提供できる。
本発明に係る非水電解質二次電池の一実施形態を示す外観斜視図 本発明に係る非水電解質二次電池を複数個集合して構成した蓄電装置を示す概略図 実施例及び比較例に係る非水電解質二次電池用正極活物質の半値幅と正極活物質質量あたりの放電容量の関係を示す図 実施例及び比較例に係る非水電解質二次電池用正極活物質のエックス線回折図 実施例及び比較例に係る非水電解質二次電池の放電カーブ 実施例及び比較例に係る非水電解質二次電池用正極のエックス線回折図 実施例及び比較例に係る非水電解質二次電池用正極活物質を負極として作動させた場合の放電カーブ
本発明の構成及び効果について、技術思想を交えて説明する。但し、作用機構については推定を含んでおり、その正否は、本発明を制限しない。なお、本発明は、その精神又は主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、後述の実施の形態若しくは実験例は、あらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、すべて本発明の範囲内である。
本発明に係る非水電解質二次電池用正極活物質が含有する前記リチウム遷移金属複合酸化物(以下「リチウムバナジウム複合酸化物」ともいう)は、例えば、次の組成式(1)として表記することができる。
Li1+xMe ・・・ (1)
(MeはVを含む遷移金属、2/3≦V/Me≦1、−0.2<x<1、0.8<y<1.2、AはLi、Me、O以外の元素、0≦p≦0.2)
本発明者らは、上記組成式(1)で表されるリチウムバナジウム複合酸化物を含有し、CuKα線を用いたエックス線回折図において回折角2θが44°付近に観測される回折ピークの半値幅が0.47°以上であるものを非水電解質二次電池用正極活物質として用いることにより、高い放電容量が得られることを見出し、本発明に至った。
本発明に係る非水電解質二次電池用正極活物質は、リチウムバナジウム複合酸化物を含有し、エックス線回折図において、空間群R3−m又はFm−3mに帰属可能な結晶構造を有する。LiVOは空間群R−3mに帰属可能なピークが観測されるが、例えばボールミルによる処理を行ったLiVOを充放電した場合、空間群Fm−3mに帰属可能なピークのみが観測されることがある。また、V以外の遷移金属元素を固溶させたリチウムバナジウム複合酸化物は空間群R−3m又はFm−3mに帰属可能なピークが観測されるが、後述する実施例に示すように、ボールミルによる処理を行ったものを充放電した場合、空間群Fm−3mに帰属可能なピークのみが観測されることがある。なお、本発明に係る非水電解質二次電池用正極活物質は、空間群R−3mに帰属可能なピークや空間群Fm−3mに帰属可能なピーク以外の回折ピークを含んでいてもよい。
なお、空間群「R−3m」「Fm−3m」における「−3」は3回回反軸の対称要素を表し、本来「3」の上にバー「−」を施して表記すべきものである。
後述する実施例には、代表的なリチウムバナジウム複合酸化物としてLiVO及びLi1.1Nb0.10.8、Li1.2Nb0.20.6、Li1.25Nb0.250.5を例示した。ここで、LiとVのモル比率は、任意に選択できる。
上記組成式(1)において、xの値は、0≦x≦0.3が好ましい。但し、高温雰囲気下においてLiが揮発しやすいことから、合成時にLi原料を目的とする組成比率よりも過剰に加えることが一般に行われること、充放電によってLiの組成比率が大きく変動すること、放電末状態では合成時よりもLiの組成比率が大きくなる可能性があることから、上記組成式(1)において、−0.20<x<1と表記した。
上記組成式(1)において、MeはVをモル比率で2/3以上含む。即ち、2/3≦V/Meとする。Meが含有するV以外の遷移金属元素としては、限定されない。Meが含有するV以外の遷移金属元素として、例えば、Nb、Fe、Mn、Ni、Mo及びWからなる群から選択される1種又は2種以上の元素とすることができる。Meが含有するV以外の遷移金属元素として、Nbを選択することにより、(1−a)LiVO・aLiNbOで表されるリチウムバナジウムニオブ複合酸化物が形成され、結晶構造中により多くのリチウムを含有するため、優れた放電容量を備えた正極活物質とすることができることから、好ましい。そして、2/3≦V/Me<1の範囲であれば、脱離・挿入可能なLi量及びVの価数変化から計算される理論容量がLiVOと同等以上であるため、好ましい。また、Meが含有するV以外の遷移金属元素として、Fe、Mn、Ni、Mo、Wを選択することで、リチウムを多く含有するLiFeO、LiMnO、LiNiO、LiMoO、LiWOとLiVOの複合酸化物が形成され、結晶構造中により多くのリチウムを含有するため、好ましい。さらに、Meが含有するV以外の遷移金属元素は上記に限定されず、リチウムを多く含有するLi1+b1−b(b>0)が形成可能な任意の遷移金属元素Mを選択してもよい。
任意元素Aとしては、本発明の効果を妨げない限りにおいて、限定されない。例えば、Na,Ca等のアルカリ金属又はアルカリ土類金属、Zn,In,Al等の元素であってもよい。
次に、本発明の非水電解質二次電池用正極活物質を製造する方法について説明する。
本発明の非水電解質二次電池用正極活物質は、基本的に、正極活物質を構成する金属元素(Li,Me)を、目的とするリチウムバナジウム複合酸化物の組成通りに含有するように原料を調整し、最終的にこの原料を焼成すること、によって得ることができる。但し、Li原料の量については、焼成中にLi原料の一部が消失することを見込んで、1〜5%程度過剰に含有させることが好ましく、3%程度過剰に含有させることがより好ましい。
目的とする組成を有するリチウムバナジウム複合酸化物を作製するための方法は、目的物が生成する方法であれば特に限定されないが、Li、Nb、Meのそれぞれの塩を混合・焼成するいわゆる「固相法」や、あらかじめNb、Meを一粒子中に存在させた共沈前駆体を作製しておき、これにLi塩を混合・焼成する「共沈法」、このほかにも、「蒸発乾固法」、「スプレードライ法」等が挙げられる。実施例に後述するように「固相法」を採用することにより、特別な装置を必要とせず、合成工程の簡易化が可能となり、活物質の合成コストを削減することができるので好ましい。焼成温度は、目的とするリチウムバナジウム複合酸化物が生成する温度であれば特に限定はされない。
本発明に係る非水電解質二次電池用正極活物質は、CuKα線を用いたエックス線回折図において回折角2θが44°付近に観測される回折ピークの半値幅(以下「FWHM(44°)」ともいう)が0.47°以上であることを特徴としている。本願明細書において、44°付近に1つのピークが観測される場合は該ピークの半値幅をFWHM(44°)とし、複数のピークが観測される場合は、全てのピークの半値幅の合計をFWHM(44°)とする。例えば、V及びNbを含有するリチウムバナジウム複合酸化物では、空間群R−3mに帰属可能な相とFm−3mに帰属可能な相の2相が存在することから、44°付近にそれぞれの相に対応する2つのピークが現れる。即ち、44°付近に観測されるピークは、空間群R−3mで104に指数付けされる回折ピーク、又は、空間群Fm−3mで200に指数付けされる回折ピークに対応する。これらのピークの一部、又は全てが重なって観測される場合もある。
例えば、リチウムバナジウム複合酸化物の結晶子サイズが小さいほど、FWHM(44°)の値は大きくなる傾向がある。
リチウムバナジウム複合酸化物を合成した時点で、FWHM(44°)の値が0.47°未満である場合、これを0.47°以上に調整する方法は、限定されない。例えば、ボールミル、ジェットミル、アトライター、ビーズミル等の粉砕機により機械力を付与する処理を行うこと等により、FWHM(44°)の値を大きくすることができる。後述する実施例では、リチウムバナジウム複合酸化物とアセチレンブラック(AB)を同時に投入してボールミル処理を行ったが、アセチレンブラック等の炭素材料を投入せず、リチウムバナジウム複合酸化物のみを投入してボールミル処理を行ってもよい。ボールミル処理は、不活性雰囲気中で行うことが好ましい。
FWHM(44°)を調整する意図の有無に関わらず、前述の方法で作製したリチウムバナジウム複合酸化物は、粉体を所定の形状で得るために粉砕機や分級機を用いることができる。例えば乳鉢、ボールミル、サンドミル、振動ボールミル、遊星ボールミル、ジェットミル、カウンタージェトミル、旋回気流型ジェットミル又は篩等が用いられる。粉砕時には水、アセトン、あるいはヘキサン等の有機溶剤を共存させた湿式粉砕を用いることもできる。分級方法としては、特に限定はなく、篩や風力分級機などが、乾式、湿式ともに必要に応じて用いられる。
また、本発明では、非水電解質二次電池用正極活物質の電子伝導性を補う目的でリチウムバナジウム複合酸化物の粒子の表面に、導電性物質を備えていても良い。導電性物質としては、リチウムバナジウム複合酸化物よりも電子伝導性に優れるならば、特に限定されない。例えば、金属、金属酸化物、アセチレンブラック等の黒鉛性炭素、カーボンナノチューブ、有機物の熱分解由来の炭素、導電性高分子等が挙げられるが、本発明においては、黒鉛性炭素が好ましい。
非水電解質二次電池用正極活物質の粒子の表面に導電性物質を備えるための方法としては、メカノフュージョン等のように、物理的に活物質粒子表面に導電性物質を圧着させる方法が好ましい。本発明では、後述の実施例に記載するように、非水電解質二次電池用正極活物質を焼成した後に、ボールミルによる粉砕工程を設けている。この工程に導電性物質を共存させることで、導電性物質を粒子の表面に備えることができる。
非水電解質二次電池用正極活物質の粒子の表面に導電性物質を備えるための方法としては、有機化合物の熱分解を利用する方法もある。この方法では、焼成後の非水電解質二次電池用正極活物質と有機化合物を混合して、不活性或いは還元雰囲気中において、有機物の熱分解温度を超えて加熱することにより、非水電解質二次電池用正極活物質の粒子の表面に炭素を被覆させることができる。但し、リチウムバナジウム複合酸化物に含まれる遷移金属の種類によっては、加熱中に金属まで還元されて、目的とするリチウムバナジウム複合酸化物の組成が変化する可能性があるため注意が必要である。
本発明に係る非水電解質二次電池用正極活物質の粉体は、平均粒子サイズ100μm以下であることが好ましい。特に、非水電解質蓄電素子の出力特性を向上させる目的で30μm以下であることが望ましい。また、リチウムバナジウム複合酸化物の一次粒子の大きさは、その平均が3μm以下であることが好ましい。
本発明に係る非水電解質二次電池の負極に用いる負極材料としては、限定されず、リチウムイオンを吸蔵・放出することのできる形態の負極材料であればどれを選択してもよい。例えば、Li[Li1/3Ti5/3]Oに代表されるスピネル型結晶構造を有するチタン酸リチウム等のチタン系材料;SiやSb,Sn系などの合金系材料;リチウム金属;リチウム−シリコン、リチウム−アルミニウム,リチウム−鉛,リチウム−スズ,リチウム−アルミニウム−スズ,リチウム−ガリウム等のリチウム合金;リチウム−チタンなどのリチウム複合酸化物;酸化珪素;リチウムを吸蔵・放出可能な合金;グラファイト、ハードカーボン、低温焼成炭素、非晶質カーボン等の炭素材料等が挙げられる。
負極材料の粉体は、平均粒子サイズ100μm以下であることが望ましい。粉体を所定の形状で得るためには粉砕機や分級機が用いられる。例えば乳鉢、ボールミル、サンドミル、振動ボールミル、遊星ボールミル、ジェットミル、カウンタージェトミル、旋回気流型ジェットミル又は篩等が用いられる。粉砕時には水、あるいはヘキサン等の有機溶剤を共存させた湿式粉砕を用いることもできる。分級方法としては、特に限定はなく、篩や風力分級機などが、乾式、湿式ともに必要に応じて用いられる。
以上、正極及び負極の主要構成成分である正極活物質及び負極材料について詳述したが、前記正極及び負極には、前記主要構成成分の他に、導電剤、結着剤、増粘剤、フィラー等が、他の構成成分として含有されてもよい。
導電剤としては、電池性能に悪影響を及ぼさない電子伝導性材料であれば限定されないが、通常、鱗状黒鉛,鱗片状黒鉛,土状黒鉛等の天然黒鉛;人造黒鉛;カーボンブラック;アセチレンブラック;ケッチェンブラック;カーボンウイスカー;炭素繊維;銅,ニッケル,アルミニウム,銀,金等の金属粉;金属繊維;導電性セラミックス材料等の導電性材料を1種又は2種以上を混合して用いることができる。
これらの中で、導電剤としては、電子伝導性及び塗工性の観点よりアセチレンブラックが望ましい。導電剤の添加量は、正極又は負極の総重量に対して0.1重量%〜50重量%が好ましく、特に0.5重量%〜30重量%が好ましい。特にアセチレンブラックを0.1〜0.5μmの超微粒子に粉砕して用いると必要量を削減できるため望ましい。これらの混合方法は、物理的な混合であり、その理想とするところは均一混合である。そのため、V型混合機、S型混合機、擂かい機、ボールミル、遊星ボールミルといったような粉体混合機を乾式、あるいは湿式で混合することが可能である。
前記結着剤としては、通常、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE),ポリフッ化ビニリデン(PVDF),ポリエチレン,ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂;エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー(EPDM),スルホン化EPDM,スチレンブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム等のゴム弾性を有するポリマーを1種又は2種以上の混合物として用いることができる。結着剤の添加量は、正極又は負極の総重量に対して1〜50重量%が好ましく、特に2〜30重量%が好ましい。
フィラーとしては、蓄電素子性能に悪影響を及ぼさない材料であれば何でも良い。通常、ポリプロピレン,ポリエチレン等のオレフィン系ポリマー、無定形シリカ、アルミナ、ゼオライト、ガラス、炭素等が用いられる。フィラーの添加量は、正極又は負極の総重量に対して添加量は30重量%以下が好ましい。
正極及び負極は、前記主要構成成分(正極活物質又は負極材料)を含有し、N−メチルピロリドン、トルエン等の有機溶媒又は水を分散溶媒とする塗布液を作製し、正極集電体又は負極集電体に塗布し、前記分散溶媒を加熱除去すること等により好適に作製される。前記塗布方法については、例えば、アプリケーターロールなどのローラーコーティング、スクリーンコーティング、ドクターブレード方式、スピンコーティング、バーコータ等の手段を用いて任意の厚さ及び任意の形状に塗布することが望ましいが、これらに限定されない。
本発明に係る非水電解質蓄電素子に用いる非水電解質が含有する非水溶媒は、限定されず、一般にリチウム電池等への使用が提案されている非水溶媒が使用可能である。非水電解質に用いる非水溶媒としては、例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、クロロエチレンカーボネート、ビニレンカーボネート等の環状カーボネート類;γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等の環状エステル類;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等の鎖状カーボネート類;ギ酸メチル、酢酸メチル、酪酸メチル等の鎖状エステル類;テトラヒドロフラン又はその誘導体;1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、1,4−ジブトキシエタン、メチルジグライム等のエーテル類;アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類;ジオキソラン又はその誘導体;エチレンスルフィド、スルホラン、スルトン又はその誘導体等の単独又はそれら2種以上の混合物等を挙げることができるが、これらに限定されない。
非水電解質に用いる電解質塩としては、例えば、LiClO,LiBF,LiAsF,LiPF,LiB(C,LiSCN,LiBr,LiI,LiSO,Li10Cl10,NaClO,NaI,NaSCN,NaBr,KClO,KSCN等のリチウム(Li)、ナトリウム(Na)又はカリウム(K)の1種を含む無機イオン塩、LiCFSO,LiN(CFSO,LiN(CSO,LiN(CFSO)(CSO),LiC(CFSO,LiC(CSO,(CHNBF,(CHNBr,(CNClO,(CNI,(CNBr,(n−C、NClO,(n−CNI,(CN−maleate,(CN−benzoate,(CN−phthalate、ステアリルスルホン酸リチウム、オクチルスルホン酸リチウム、ドデシルベンゼンスルホン酸リチウム等の有機イオン塩等が挙げられ、これらのイオン性化合物を単独、あるいは2種類以上混合して用いることが可能である。
さらに、LiPF又はLiBFと、LiN(CSOのようなパーフルオロアルキル基を有するリチウム塩とを混合して用いることにより、さらに電解質の粘度を下げることができるので、低温特性をさらに高めることができ、また、自己放電を抑制することができ、より望ましい。
また、非水電解質として常温溶融塩やイオン液体を用いてもよい。
非水電解質における電解質塩の濃度としては、高い蓄電素子特性を有する非水電解質蓄電素子を確実に得るために、0.1mol/L〜5mol/Lが好ましく、さらに好ましくは、0.5mol/L〜2.5mol/Lである。
セパレータとしては、優れた高率放電性能を示す多孔膜や不織布等を、単独あるいは併用することが好ましい。非水電解質電池用セパレータを構成する材料としては、例えばポリエチレン,ポリプロピレン等に代表されるポリオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレート等に代表されるポリエステル系樹脂;ポリフッ化ビニリデン;フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体;フッ化ビニリデン−パーフルオロビニルエーテル共重合体;フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体;フッ化ビニリデン−トリフルオロエチレン共重合体;フッ化ビニリデン−フルオロエチレン共重合体;フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロアセトン共重合体;フッ化ビニリデン−エチレン共重合体;フッ化ビニリデン−プロピレン共重合体;フッ化ビニリデン−トリフルオロプロピレン共重合体;フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体;フッ化ビニリデン−エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体等を挙げることができる。
セパレータの空孔率は強度の観点から98体積%以下が好ましい。また、充放電特性の観点から空孔率は20体積%以上が好ましい。
また、セパレータは、例えばアクリロニトリル、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、メチルメタアクリレート、ビニルアセテート、ビニルピロリドン、ポリフッ化ビニリデン等のポリマーと電解質とで構成されるポリマーゲルを用いてもよい。非水電解質を上記のようにゲル状態で用いると、漏液を防止する効果がある点で好ましい。
さらに、セパレータは、上述したような多孔膜や不織布等とポリマーゲルを併用して用いると、電解質の保液性が向上するため望ましい。即ち、ポリエチレン微孔膜の表面及び微孔壁面に厚さ数μm以下の親溶媒性ポリマーを被覆したフィルムを形成し、前記フィルムの微孔内に電解質を保持させることで、前記親溶媒性ポリマーがゲル化する。
前記親溶媒性ポリマーとしては、ポリフッ化ビニリデンの他、エチレンオキシド基やエステル基等を有するアクリレートモノマー、エポキシモノマー、イソシアナート基を有するモノマー等が架橋したポリマー等が挙げられる。該モノマーは、ラジカル開始剤を併用して加熱や紫外線(UV)を用いたり、電子線(EB)等の活性光線等を用いて架橋反応を行わせることが可能である。
図1に、本発明に係る非水電解質二次電池の一実施形態である矩形状の非水電解質二次電池1の概略図を示す。なお、同図は、容器内部を透視した図としている。図1に示す非水電解質二次電池1は、電極群2が電池容器3に収納されている。電極群2は、正極活物質を備える正極と、負極活物質を備える負極とが、セパレータを介して捲回されることにより形成されている。正極は、正極リード4’を介して正極端子4と電気的に接続され、負極は、負極リード5’を介して負極端子5と電気的に接続されている。
本発明に係る非水電解質二次電池の構成については特に限定されるものではなく、円筒型電池、角型電池(矩形状の電池)、扁平型電池等が一例として挙げられる。本発明は、上記の非水電解質二次電池を複数備える蓄電装置としても実現することができる。蓄電装置の一実施形態を図2に示す。図2において、蓄電装置30は、複数の蓄電ユニット20を備えている。それぞれの蓄電ユニット20は、複数の非水電解質二次電池1を備えている。前記蓄電装置30は、電気自動車(EV)、ハイブリッド自動車(HEV)、プラグインハイブリッド自動車(PHEV)等の自動車用電源として搭載することができる。
なお、本発明に係る非水電解質二次電池用正極活物質及びその合成に用いる原料は、三価のバナジウム(V)を含んでいるため、酸化されやすい。従って、活物質の合成工程や電極の作製工程は、窒素、アルゴン等の不活性雰囲気中で行うことが好ましい。
(実施例1)
(合成工程)
炭酸リチウム(LiCO)(ナカライテスク社製)及び三酸化二バナジウム(V)(高純度化学社製)をLi:Vのモル比が103:100となるように秤取し、直径5mmのジルコニア製ボール(商品名:YTZボール)が90g(約250個)入った内容積80mLのジルコニア製ポットに投入した。出発物質の投入量は約18gであった。このポットにさらにアセトン10mLを投入し、蓋をして、遊星型ボールミル(FRITSCH社製、型番pulverisette 5)にセットし、公転回転数300rpmで9分間回転し、1分間の休止を入れる操作を計6回繰り返した。この混合物を75℃で3時間以上乾燥することで、Li:Vのモル比が103:100である混合粉体を調製した。この混合粉体を、容量30mLのアルミナ製るつぼ(型番:1−7745−07)に載置し、卓上真空・ガス置換炉(型番:KDF75)に設置し、窒素気流中、常圧下、昇温速度10℃/minで常温から1050℃まで約100minかけて昇温し、1050℃で5min保持した後、室温まで自然放冷した。このようにして、組成式LiVOで表されるリチウムバナジウム複合酸化物を作製した。
(調整工程)
該リチウムバナジウム複合酸化物の粉末2.275gとアセチレンブラック(AB)0.700gをそれぞれ秤取し、直径5mmのジルコニア製ボール(商品名:YTZボール)が90g(約250個)入った内容積80mLのジルコニア製ポットに投入した。このポットにさらにアセトン10mLを投入し、大気中で蓋をして、遊星型ボールミル(FRITSCH社製、型番pulverisette 5)にセットし、公転回転数400rpmで9分間回転し、15分間の休止を入れる操作を計25回繰り返した。この粉体を75℃で3時間以上乾燥した。このようにして、実施例1に係る正極活物質とABの混合物を作製した。
(実施例2)
上記調整工程の遊星型ボールミルの処理において、公転回転数300rpmで9分粉砕混合した後に1分間の休止を入れる操作を計6回繰り返したことを除いては、実施例1と同一の手順で、実施例2に係る正極活物質とABの混合物を作製した。
(実施例3)
上記調整工程の遊星型ボールミルの処理において、公転回転数200rpmで9分粉砕混合した後に1分間の休止を入れる操作を計6回繰り返したことを除いては、実施例1と同一の手順で、実施例3に係る正極活物質とABの混合物を作製した。
(比較例1)
上記調整工程の遊星型ボールミルの処理において、公転回転数150rpmで9分粉砕混合した後に1分間の休止を入れる操作を計6回繰り返したことを除いては、実施例1と同一の手順で、比較例1に係る正極活物質とABの混合物を作製した。
(比較例2)
上記調整工程の遊星型ボールミルの処理において、公転回転数100rpmで9分粉砕混合した後に1分間の休止を入れる操作を計6回繰り返したことを除いては、実施例1と同一の手順で、比較例2に係る正極活物質とABの混合物を作製した。
(実施例4)
上記合成工程において、炭酸リチウム(LiCO)(ナカライテスク社製)、五酸化二ニオブ(Nb)(高純度化学社製)及び三酸化二バナジウム(V)(高純度化学社製)をLi:Nb:Vのモル比が113:10:80となるように秤取したことを除いては、実施例1の合成工程と同一の手順で、組成式Li1.1Nb0.10.8で表されるリチウムバナジウム複合酸化物を作製し、上記調整工程の遊星型ボールミルの処理において、公転回転数400rpmで9分粉砕混合した後に15分間の休止を入れる操作を計65回繰り返したことを除いては、実施例1の調整工程と同一の手順で、実施例4に係る正極活物質とABの混合物を作製した。
(実施例5)
上記調整工程の遊星型ボールミルの処理において、公転回転数400rpmで9分粉砕混合した後に15分間の休止を入れる操作を計25回繰り返したことを除いては、実施例4と同一の手順で、実施例5に係る正極活物質とABの混合物を作製した。
(実施例6)
上記調整工程の遊星型ボールミルの処理において、公転回転数300rpmで9分粉砕混合した後に1分間の休止を入れる操作を計6回繰り返したことを除いては、実施例4と同一の手順で、実施例6に係る正極活物質とABの混合物を作製した。
(実施例7)
上記調整工程の遊星型ボールミルの処理において、公転回転数150rpmで9分粉砕混合した後に1分間の休止を入れる操作を計6回繰り返したことを除いては、実施例4と同一の手順で、実施例7に係る正極活物質とABの混合物を作製した。
(比較例3)
上記調整工程の遊星型ボールミルの処理において、公転回転数100rpmで9分粉砕混合した後に1分間の休止を入れる操作を計6回繰り返したことを除いては、実施例4と同一の手順で、比較例3に係る正極活物質とABの混合物を作製した。
(実施例8)
上記合成工程において、炭酸リチウム(LiCO)(ナカライテスク社製)、五酸化二ニオブ(Nb)(高純度化学社製)及び三酸化二バナジウム(V)(高純度化学社製)をLi:Nb:Vのモル比が123:20:60となるように秤取したことを除いては、実施例6と同一の手順で、実施例8に係る正極活物質とABの混合物を作製した。
(実施例9)
上記合成工程において、炭酸リチウム(LiCO)(ナカライテスク社製)、五酸化二ニオブ(Nb)(高純度化学社製)及び三酸化二バナジウム(V)(高純度化学社製)をLi:Nb:Vのモル比が128:25:50となるように秤取したことを除いては、実施例6と同一の手順で、実施例9に係る正極活物質とABの混合物を作製した。
(エックス線回折測定)
エックス線回折装置(Rigaku社製、型名:MiniFlex II)を用いてエックス線回折測定を行った。線源はCuKα線、管電圧及び管電流はそれぞれ30kV及び15mAとし、回折エックス線は厚み30μmのKβフィルターを通り高速一次元検出器(型番:D/teX Ultra 2)にて検出される。サンプリング幅は0.01°、スキャンスピードは5°/min、発散スリット幅は0.625°、受光スリット幅は13mm(OPEN)、散乱スリット幅は8mm、ソーラースリットの軸発散角は5°とする。得られたエックス線回折図及びエックス線回折データについて、統合粉末X線解析ソフトウェア「PDXL」(Rigaku社製)を用いて解析を実施した。
その結果、実施例1〜3及び比較例1、2に係る正極活物質は、空間群R−3mに帰属可能なピークとLiVに帰属可能な弱い不純物ピークが観測された。実施例4〜9及び比較例3に係る正極活物質は、空間群Fm−3mに帰属可能なピークと空間群R−3mに帰属可能なピークが観測された。
(非水電解質二次電池の作製)
実施例1〜9及び比較例1〜3のそれぞれの正極活物質を用いて、以下の手順で非水電解質二次電池を作製し、電池特性を評価した。
正極活物質及びAB、並びに、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)が固形分換算で65:20:15の質量比で含有し、N−メチルピロリドン(NMP)を分散媒とするスラリーを調整した。前記スラリーを厚さ20μmのアルミニウム箔集電体の片面に塗布した。80℃のホットプレート上で60分乾燥して分散媒を蒸発させた後、ロールプレスを行うことで正極板を作製した。合剤層のプレス後の厚みは18μm、塗布重量は2.5mg/cmであった。
負極には、正極の単独挙動を観察するため、リチウム金属を用いた。このリチウム金属は、ニッケル箔集電体に密着させた。ただし、非水電解質二次電池の容量が十分に正極規制となるように調整した。
電解液として、エチレンカーボネート(EC)/ジメチルカーボネート(DMC)/エチルメチルカーボネート(EMC)の体積比が30:35:35である混合溶媒に、LiPFを1mol/Lの濃度で溶解させて用いた。セパレータとして、ポリプロピレン製の微孔膜を用いた。外装体には、ポリエチレンテレフタレート(15μm)/アルミニウム箔(50μm)/金属接着性ポリプロピレンフィルム(50μm)からなる金属樹脂複合フィルムを用いた。この外装体に、正極端子及び負極端子の開放端部が、外部に露出するように電極を収納した。前記金属樹脂複合フィルムの内面同士が向かい合った融着代を、注液孔となる部分を除いて、気密封止した。注液孔から、作製した電池が液不足とならない十分な量の上記電解液を、各電池に対して同じ量注液した後、電池を減圧しながら注液孔を熱封孔することでリチウム二次電池を作製した。
(充放電試験)
上記のようにして作製された非水電解質二次電池を、25℃に設定した恒温槽に移し、2サイクルの充放電を実施した。充電は定電流定電圧(CVCC)充電とし、放電は定電流(CC)放電とした。充電及び放電の定電流値は、正極板が含有する正極活物質の質量に対して10mA/gとした。充電上限電圧及び放電終止電圧は4.2V及び1.5Vとし、充電終止条件は、充電電流が2mA/gに減衰した時点又は充電上限電圧に到達してから3時間を経過した時点とした。各サイクルにおいて、充電後及び放電後に10分間の休止時間を設定した。2サイクル目の正極活物質質量あたりの放電容量を記録した。
2サイクル目の放電末の状態の電池をそれぞれアルゴン雰囲気を維持したグローブボックス中で解体して正極板を取り出し、ジメチルカーボネート(DMC)にて洗浄した後、十分に乾燥させ、エックス線回折測定用の試料ホルダーに正極板の状態のまま設置した。これを、アルゴン雰囲気を維持するための専用の装置(汎用雰囲気セパレータ)(Rigaku社製)に設置し、エックス線回折測定を行った。測定条件は、スキャンスピードを2°/minに変更したことを除いては、上記エックス線回折測定の条件と同一である。得られたエックス線回折図及びエックス線回折データについて、統合粉末X線解析ソフトウェア「PDXL」(Rigaku社製)を用いて解析を実施した。
その結果、実施例1に係る正極活物質は空間群Fm−3mに帰属可能なピークが観測され、実施例2、3及び比較例1に係る正極活物質は空間群R−3mに帰属可能なピークが観測され、比較例2に係る正極活物質は空間群R−3mに帰属可能なピークとLiVに帰属可能な弱い不純物ピークが観測された。実施例4、5、8、9に係る正極活物質は空間群Fm−3mに帰属可能な2相のピークが観測され、実施例6、7及び比較例3に係る正極活物質は空間群Fm−3mに帰属可能なピークと空間群R−3mに帰属可能なピークが観測された。
また、各実施例、比較例に係る正極活物質における充放電後のエックス線回折データを分割型擬Voigt関数でフィッティングすることで、Kα1によるFWHM(44°)の値を算出し、それが0.47°以上であるか否かの判定を行った。また、電極作製前に正極活物質の粉体の状態で測定したエックス線回折データを分割型擬Voigt関数でフィッティングすることで、Kα1によるFWHM(44°)の値を算出し、上記と同様の判定を行い、上記と同様の結果を得ることを確認した。
(実施例10)
上記調整工程における全ての操作をAr雰囲気中で行い、公転回転数300rpmで9分粉砕混合した後に15分間の休止を入れる操作を計65回繰り返したことを除いては、実施例1と同一の手順で、実施例10に係る正極活物質とABの混合物を作製した。この正極活物質について、上記と同一の測定及び充放電を行った。エックス線回折測定の結果、充放電前においては、空間群R−3mに帰属可能なピークとLiVに帰属可能な弱い不純物ピークが観測され、2サイクル充放電させた後の放電末の状態においては、空間群Fm−3mに帰属可能なピークが観測された。2サイクル目の放電末において算出したKα1によるFWHM(44°)の値は1.151°であり、2サイクル目の正極活物質質量あたりの放電容量は277.1mAh/gであった。このことから、上記調整工程は、不活性雰囲気中で行うことが好ましい。
表1、表2及び図3に、2サイクル目の放電末の状態において算出したKα1によるFWHM(44°)の値と2サイクル目の正極活物質質量あたりの放電容量を示す。
図4に、実施例2,10及び比較例1に係る正極活物質のエックス線回折図を代表して示す。図5に、実施例2,10及び比較例1に係る正極活物質の、2サイクル目の放電曲線を代表して示す。図6に、実施例2,10及び比較例1に係る正極板の2サイクル目放電末において測定されたエックス線回折図を代表して示す。
本発明者は、実施例2及び比較例2に係る正極活物質を用いて、負極活物質とみなして作動させたときの放電性能を比較した。ここで、実施例2に係る正極活物質を負極活物質として用いた場合を参考例1、比較例2に係る正極活物質を負極活物質として用いた場合を参考例2とする。非水電解質二次電池の作製手順は、アルミニウム集電体箔の代わりに銅集電体箔を用いたことを除いては上記実施例と同一であり、充放電試験条件は、充電下限電圧を0.0Vとし、放電終止電圧を2.0Vとしたことを除いては上記実施例と同一である。その結果、2サイクル目の活物質質量あたりの放電容量は、実施例2の材料を用いた参考例1に係る電池においては247.1mAh/g(ABの寄与分を除いて175.7mAh/g)であり、比較例2の材料を用いた参考例2に係る電池においては326.1mAh/g(ABの寄与分を除いて254.4mAh/g)であった。それぞれの放電カーブを図7に示す。この結果から、FWHM(44°)の値と負極活物質としての性能との関係は、正極活物質として評価した上記の知見とは正反対の傾向がみられることがわかった。
(符号の説明)
1 非水電解質二次電池
2 電極群
3 電池容器
4 正極端子
4’ 正極リード
5 負極端子
5’ 負極リード
20 蓄電ユニット
30 蓄電装置

Claims (3)

  1. 空間群R3−m又はFm−3mに帰属可能な結晶構造を有し、一般式(1)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物であって、CuKα線を用いたエックス線回折図において回折角2θが44°付近に観察される回折ピークの半値幅が0.47°以上である非水電解質二次電池用正極活物質。
    Li 1+x Me ・・・ (1)
    (MeはVを含む遷移金属、2/3≦V/Me≦1、−0.2<x<1、0.8<y<1.2、AはLi、Me、O以外の元素、0≦p≦0.2)
  2. 前記Meは、さらにNb、Fe、Mn、Ni、Mo又はWを含む請求項記載の非水電解質二次電池用正極活物質。
  3. 請求項1または2のいずれかに記載の非水電解質二次電池用正極活物質を用いた非水電解質二次電池。
JP2015147624A 2015-07-27 2015-07-27 非水電解質電池用正極活物質 Expired - Fee Related JP6721954B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015147624A JP6721954B2 (ja) 2015-07-27 2015-07-27 非水電解質電池用正極活物質

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015147624A JP6721954B2 (ja) 2015-07-27 2015-07-27 非水電解質電池用正極活物質

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017027881A JP2017027881A (ja) 2017-02-02
JP6721954B2 true JP6721954B2 (ja) 2020-07-15

Family

ID=57946524

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015147624A Expired - Fee Related JP6721954B2 (ja) 2015-07-27 2015-07-27 非水電解質電池用正極活物質

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6721954B2 (ja)

Families Citing this family (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN107104231A (zh) * 2016-02-19 2017-08-29 松下知识产权经营株式会社 正极活性物质以及电池
CN107104232B (zh) * 2016-02-19 2022-01-07 松下知识产权经营株式会社 正极活性物质和电池
EP3595058A1 (en) * 2017-03-06 2020-01-15 Panasonic Intellectual Property Management Co., Ltd. Positive electrode active material and battery
JP2019008990A (ja) * 2017-06-23 2019-01-17 株式会社豊田自動織機 正極活物質
JP7228773B2 (ja) * 2018-01-17 2023-02-27 パナソニックIpマネジメント株式会社 正極活物質、および、電池
JP7281772B2 (ja) * 2018-05-31 2023-05-26 パナソニックIpマネジメント株式会社 正極活物質およびそれを備えた電池
WO2020049792A1 (ja) * 2018-09-05 2020-03-12 パナソニックIpマネジメント株式会社 正極活物質およびそれを備えた電池
CN112088454A (zh) * 2018-09-05 2020-12-15 松下知识产权经营株式会社 正极活性物质和具备该正极活性物质的电池
WO2020049794A1 (ja) * 2018-09-05 2020-03-12 パナソニックIpマネジメント株式会社 正極活物質およびそれを備えた電池

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3017847B2 (ja) * 1991-04-25 2000-03-13 東芝電池株式会社 非水溶媒二次電池
JP3242751B2 (ja) * 1992-04-24 2001-12-25 富士写真フイルム株式会社 非水二次電池
JP3577780B2 (ja) * 1994-04-15 2004-10-13 ソニー株式会社 非水電解液二次電池用の正極活物質及び非水電解液二次電池
US8026003B2 (en) * 2003-08-21 2011-09-27 Samsung Sdi Co., Ltd. Negative active material for a non-aqueous electrolyte battery, and a non-aqueous electrolyte battery comprising the same
KR100570648B1 (ko) * 2004-01-26 2006-04-12 삼성에스디아이 주식회사 리튬 이차 전지용 음극 활물질, 그의 제조 방법 및 그를포함하는 리튬 이차 전지
JP5511128B2 (ja) * 2007-06-07 2014-06-04 三星エスディアイ株式会社 非水二次電池用負極材料及び非水二次電池

Also Published As

Publication number Publication date
JP2017027881A (ja) 2017-02-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6197029B2 (ja) 非水電解質蓄電素子用活物質
JP6721954B2 (ja) 非水電解質電池用正極活物質
KR102165664B1 (ko) 리튬 2차전지용 양극 활물질, 그 제조 방법 및 리튬 2차전지
JP6437856B2 (ja) 非水電解質蓄電素子用活物質
JP7147478B2 (ja) 非水電解質二次電池、及び非水電解質二次電池の製造方法
WO2012017811A1 (ja) 前駆体、前駆体の製造方法、活物質の製造方法及びリチウムイオン二次電池
JP2012038562A (ja) 前駆体、活物質の製造方法及びリチウムイオン二次電池
JP6583662B2 (ja) 非水電解質二次電池用正極活物質及び非水電解質二次電池
JP2012038561A (ja) 前駆体、前駆体の製造方法、活物質の製造方法及びリチウムイオン二次電池
JP2018107118A (ja) 非水電解質二次電池、及び非水電解質二次電池の製造方法
JP2016015298A (ja) リチウム二次電池用正極活物質、リチウム二次電池用電極、リチウム二次電池及び蓄電装置
JP6460575B2 (ja) リチウム二次電池用正極活物質、リチウム二次電池用電極、及びリチウム二次電池
JP2015115244A (ja) リチウム二次電池用正極、リチウム二次電池、バッテリーモジュール、及びバッテリーモジュールを搭載した自動車
US20220140334A1 (en) Positive active material for nonaqueous electrolyte secondary battery, positive electrode for nonaqueous electrolyte secondary battery, and nonaqueous electrolyte secondary battery
JP5686060B2 (ja) 非水電解質二次電池用正極活物質、非水電解質二次電池及び非水電解質二次電池の製造方法
JP6387054B2 (ja) リチウム二次電池用正極活物質、その製造方法及びリチウム二次電池
JP6746099B2 (ja) 非水電解質二次電池用活物質、非水電解質二次電池用活物質の製造方法、非水電解質二次電池用正極及び非水電解質二次電池
JP6420299B2 (ja) リチウム二次電池用正極活物質、その製造方法及びリチウム二次電池
JP7241162B2 (ja) 非水電解質二次電池用正極活物質、非水電解質二次電池用正極、及び非水電解質二次電池
JP2017117775A (ja) 非水電解質二次電池用負極活物質、非水電解質二次電池用負極、及び非水電解質二次電池
JP2016149328A (ja) リチウム二次電池用負極活物質、リチウム二次電池用負極、及びリチウム二次電池
JP2017059443A (ja) 非水電解質二次電池用正極活物質、非水電解質二次電池用正極、及び非水電解質二次電池
JP2017073235A (ja) 非水電解質二次電池用正極活物質、非水電解質二次電池用正極、及び非水電解質二次電池

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20150825

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20150914

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180420

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190604

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190723

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20191224

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200116

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200616

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200619

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6721954

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees