JP6719686B2 - エレベータのガイドレール加工装置 - Google Patents

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Description

この発明は、昇降路に設置された状態のガイドレールに対して加工を施すエレベータのガイドレール加工装置に関するものである。
従来のエレベータでは、工場に設置された専用の加工設備を用いて、複数本のガイドレールが効率良く高精度に加工され製造される(例えば、特許文献1参照)。
また、従来のエレベータガイドレールの研削装置では、かご上部に枠体が設置されている。枠体には、ガイドレールを研削するグラインダが設けられている。また、枠体のグラインダの上下には、それぞれ複数のローラが設けられている(例えば、特許文献2参照)。
さらに、従来のガイドレール清掃装置では、ガイドレールに接する複数の板状の清掃体が清掃体取り付け部材に取り付けられている。清掃体取り付け部材の上下には、それぞれ複数の駆動ローラが設けられている。これらの駆動ローラには、それぞれ減速機構を介してモータが接続されている(例えば、特許文献3参照)。
特開2003−285216号公報 特開平9−323873号公報 実開平2−15978号公報
従来のエレベータのリニューアル工事において、既設のかごを新設のかごと入れ換える場合がある。この場合、既設のかごに搭載されている既設の非常止め装置も、新設の非常止め装置に入れ換えられる。また、既設のガイドレールの案内面は、既設のかごに搭載されているガイド装置との長期間の接触により摩耗し、非常止め装置に対する摩擦係数が小さくなっていることがある。このため、既設のかごを新設のかごと入れ換える場合、既設のガイドレールも新設のガイドレールと入れ換えられる。
しかし、この場合、既設のガイドレールの撤去、新設のガイドレールの設置、及び新設のガイドレールの位置決め等に多大な手間がかかり、工期が長くなる。また、コストも高くなる。
これに対して、特許文献1に示された従来のガイドレールの加工設備は、あくまで新しいガイドレールを製造するための装置であり、工場に設置されている。このため、既設のガイドレールに加工を施そうとすると、昇降路からガイドレールを取り外し、工場に搬送して加工を施し、さらに昇降路に搬入し、再度据え付ける必要がある。従って、結局は工期が長くなる。
また、特許文献2の研削装置では、グラインダが枠体を介してかごに固定されている。このため、ガイドレールの継ぎ目の段差を削る加工など、部分的な加工は可能である。しかし、かごを走行させながらガイドレールの全体に渡って連続して加工を施そうとすると、かごの振動の影響を受け、均等な加工ができない。
さらに、特許文献3の清掃装置は、単に清掃体によりガイドレールの表面を清掃するものであり、ガイドレールの制動面に対して加工を施すことはできない。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、昇降路にガイドレールを設置したまま、ガイドレールの制動面に対して、連続して安定した加工を施すことができるエレベータのガイドレール加工装置を得ることを目的とする。
この発明に係るエレベータのガイドレール加工装置は、レールブラケットに固定されるブラケット固定部と、昇降体の昇降を案内する案内部とを有しているガイドレールに対して加工を施す装置であって、加工装置本体、及び加工装置本体をガイドレールに沿って移動させる上部接続体から、加工装置本体を昇降路内に吊り下げる吊り下げ部材を備え、案内部は、昇降体の非常停止時に非常止め装置が接する面である制動面と、ブラケット固定部とは反対側の端面である先端面とを有しており、吊り下げ部材は、可撓性を有する部材であり、加工装置本体は、制動面に加工を施す加工具と、上下方向に互いに間隔をおいて配置されている第1及び第2の先端面ローラとを有しており、加工装置本体をガイドレールに装着し、第1及び第2の先端面ローラを先端面に接触させた状態で、吊り下げ部材の加工装置本体への取り付け位置は、加工装置本体の重心を通る鉛直線上、又は鉛直線よりも先端面側に位置する。
この発明のエレベータのガイドレール加工装置は、加工装置本体をガイドレールに装着し、第1及び第2の先端面ローラを先端面に接触させた状態で、吊り下げ部材の加工装置本体への取り付け位置が、加工装置本体の重心を通る鉛直線上、又は鉛直線よりも先端面側に位置する。このため、昇降路にガイドレールを設置したまま、ガイドレールの制動面に対して、連続して安定した加工を施すことができる。
この発明の実施の形態1によるエレベータのリニューアル工事中の状態を示す構成図である。 図1のII−II線に沿うかごガイドレールの断面図である。 図1の加工装置本体の詳細な構成を示す斜視図である。 図3の加工装置本体を図3とは異なる角度から見た斜視図である。 図3の加工装置本体を図3及び図4とは異なる角度から見た斜視図である。 図3の加工装置本体を図3〜5とは異なる角度から見た斜視図である。 図3の加工装置本体をかごガイドレールにセットした状態を示す斜視図である。 図4の加工装置本体をかごガイドレールにセットした状態を示す斜視図である。 図5の加工装置本体をかごガイドレールにセットした状態を示す斜視図である。 図7の加工具とかごガイドレーとの接触状態を示す断面図である。 実施の形態1のガイドレール加工方法を示すフローチャートである。 図11のステップS5の状態を模式的に示す構成図である。 図11のステップS6の状態を模式的に示す構成図である。 図11のステップS8の状態を模式的に示す構成図である。 加工装置本体をかごガイドレールに装着した状態を模式的に示す側面図である。 加工装置本体の装着状態と加工安定性との関係を示す表である。 図16の実施例1の吊り下げ条件を模式的に示す側面図である。 図17の装着状態から制動面の加工を開始した状態を示す側面図である。 図17の装着状態からかごガイドレールを取り去った状態を示す側面図である。 図16の実施例2の吊り下げ条件を模式的に示す側面図である。 図20の装着状態から制動面の加工を開始した状態を示す側面図である。 図20の装着状態からかごガイドレールを取り去った状態を示す側面図である。 図16の実施例3の吊り下げ条件を模式的に示す側面図である。 図23の装着状態から制動面の加工を開始した状態を示す側面図である。 図23の装着状態からかごガイドレールを取り去った状態を示す側面図である。 図16の実施例4の吊り下げ条件を模式的に示す側面図である。 図26の装着状態から制動面の加工を開始した状態を示す側面図である。 図26の装着状態からかごガイドレールを取り去った状態を示す側面図である。 図16の実施例5の吊り下げ条件を模式的に示す側面図である。 図29の装着状態から制動面の加工を開始した状態を示す側面図である。 図29の装着状態からかごガイドレールを取り去った状態を示す側面図である。 図16の比較例1の吊り下げ条件を模式的に示す側面図である。 図32の装着状態から制動面の加工を開始した状態を示す側面図である。 図32の装着状態からかごガイドレールを取り去った状態を示す側面図である。 図16の比較例2の吊り下げ条件を模式的に示す側面図である。 図35の装着状態から制動面の加工を開始した状態を示す側面図である。 図35の装着状態からかごガイドレールを取り去った状態を示す側面図である。 図16の比較例3の吊り下げ条件を模式的に示す側面図である。 図38の装着状態から制動面の加工を開始した状態を示す側面図である。 図38の装着状態からかごガイドレールを取り去った状態を示す側面図である。 図16の比較例4の吊り下げ条件を模式的に示す側面図である。 図41の装着状態から制動面の加工を開始した状態を示す側面図である。 図41の装着状態からかごガイドレールを取り去った状態を示す側面図である。
以下、この発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1によるエレベータのリニューアル工事中の状態を示す構成図である。図において、昇降路1内には、一対のかごガイドレール2が設置されている。各かごガイドレール2は、複数本のレール部材を上下方向に継ぎ合わせて構成されている。また、各かごガイドレール2は、複数のレールブラケット9を介して昇降路壁に対して固定されている。
昇降体であるかご3は、一対のかごガイドレール2間に配置されている。また、かご3は、かごガイドレール2に沿って昇降路1内を昇降する。
かご3の上部には、懸架体4の第1の端部が接続されている。懸架体4としては、複数本のロープ又は複数本のベルトが用いられている。懸架体4の第2の端部には、図示しない釣合おもりが接続されている。かご3及び釣合おもりは、懸架体4により昇降路1内に吊り下げられている。
懸架体4の中間部は、図示しない巻上機の駆動シーブに巻き掛けられている。かご3及び釣合おもりは、駆動シーブを回転させることにより、昇降路1内を昇降する。昇降路1内には、図示しない一対の釣合おもりガイドレールが設置されている。釣合おもりは、釣合おもりガイドレールに沿って昇降路1内を昇降する。
かご3の下部には、非常止め装置5が搭載されている。非常止め装置5は、一対のかごガイドレール2を把持することにより、かご3を非常停止させる。
かご3の上部の幅方向両端部とかご3の下部の幅方向両端部とには、かごガイドレール2に接するガイド装置6がそれぞれ取り付けられている。各ガイド装置6としては、スライディングガイドシュー又はローラガイド装置が用いられている。
かご3の下方には、かごガイドレール2に対して加工を施す加工装置本体7が設けられている。図1では加工装置本体7を単なるボックスで示しているが、詳細な構成は後述する。
加工装置本体7は、吊り下げ部材8を介して、かご3の下部から昇降路1内に吊り下げられている。吊り下げ部材8としては、可撓性を有する紐状の部材、例えば、ロープ、ワイヤ又はベルトが用いられる。
かご3は、加工装置本体7の上方に位置しており、加工装置本体7をかごガイドレール2に沿って移動させる。即ち、実施の形態1の上部接続体は、かご3である。
ガイドレール加工装置100は、加工装置本体7及び吊り下げ部材8を有している。また、ガイドレール加工装置100は、昇降路1に設置された状態のかごガイドレール2に加工を施す際に使用されるもので、通常運転時には撤去される。
図2は、図1のII−II線に沿うかごガイドレール2の断面図である。かごガイドレール2は、ブラケット固定部2aと、案内部2bとを有している。ブラケット固定部2aは、レールブラケット9に固定される部分である。案内部2bは、ブラケット固定部2aの幅方向中央からかご3側へ直角に突出し、かご3の昇降を案内する。また、案内部2bは、かご3の非常停止時に非常止め装置5により把持される。
さらに、案内部2bは、互いに対向する一対の制動面2cと、先端面2dとを有している。先端面2dは、案内部2bのブラケット固定部2aとは反対側、即ちかご3側の端面である。一対の制動面2c及び先端面2dは、通常運転時にはガイド装置6が接する案内面として機能する。また、一対の制動面2cは、かご3の非常停止時に非常止め装置5が接する面である。
図3は、図1の加工装置本体7の詳細な構成を示す斜視図である。図4は、図3の加工装置本体7を図3とは異なる角度から見た斜視図である。図5は、図3の加工装置本体7を図3及び図4とは異なる角度から見た斜視図である。図6は、図3の加工装置本体7を図3〜5とは異なる角度から見た斜視図である。
加工装置本体7は、フレーム11、接続具12、加工具13、駆動装置14、第1のガイドローラ15、第2のガイドローラ16、第1の押付ローラ17、第2の押付ローラ18、第1の先端面ローラ19、及び第2の先端面ローラ20を有している。
フレーム11は、フレーム本体21とフレーム分割体22とを有している。接続具12、加工具13、駆動装置14、第1のガイドローラ15、第2のガイドローラ16、第1の先端面ローラ19、及び第2の先端面ローラ20は、フレーム本体21に設けられている。
第1の押付ローラ17及び第2の押付ローラ18は、フレーム分割体22に設けられている。
接続具12は、フレーム本体21の上端部に設けられている。接続具12には、吊り下げ部材8が接続される。
駆動装置14は、フレーム本体21の加工具13とは反対側に配置されている。また、駆動装置14は、加工具13を回転させる。駆動装置14としては、例えば電動モータが用いられている。
加工具13は、制動面2cに加工を施す。加工具13としては、例えば、外周面に多数の砥粒が設けられている円筒状の平形砥石が用いられるが、切削工具等を用いてもよい。加工具13の外周面を制動面2cに接触させた状態で加工具13を回転させることにより、制動面2cの少なくとも一部、即ち一部又は全面を削り取ることができる。これにより、例えば制動面2cの表面粗さを粗くし、非常止め装置5に対する制動面2cの摩擦係数をより適正な値にすることができる。
フレーム本体21には、図示しないカバーが設けられている。加工具13により制動面2cを加工する際には、加工屑が発生する。カバーは、加工屑が加工装置本体7の周囲に散乱することを防止する。
第1のガイドローラ15及び第2のガイドローラ16は、加工具13と並んでフレーム本体21に設けられている。吊り下げ部材8によりフレーム11を吊り下げた状態で、第1のガイドローラ15は加工具13の上方に配置され、第2のガイドローラ16は加工具13の下方に配置される。加工具13は、第1のガイドローラ15と第2のガイドローラ16との中間に配置されている。
第1のガイドローラ15及び第2のガイドローラ16は、加工具13とともに制動面2cに接することにより、加工具13の外周面を制動面2cに平行に接触させる。即ち、加工具13の幅方向全体で加工具13の外周面を制動面2cに均等に接触させる。
ガイドローラ15,16の制動面2cとの接触部である2本の線分と、加工具13の制動面2cとの接触部である1本の線分とは、1つの平面内に存在できるように設定されている。
第1の押付ローラ17は、第1のガイドローラ15との間に案内部2bを挟み込む。第2の押付ローラ18は、第2のガイドローラ16との間に案内部2bを挟み込む。即ち、加工具13、第1のガイドローラ15、及び第2のガイドローラ16が加工する側の制動面2cに接するとき、第1の押付ローラ17及び第2の押付ローラ18は、反対側の制動面2cに接する。
加工具13及びローラ15,16,17,18の回転軸は、互いに平行又はほぼ平行である。
第1の先端面ローラ19は、フレーム本体21の上端部に設けられている。第2の先端面ローラ20は、フレーム本体21の下端部に設けられている。即ち、第1及び第2の先端面ローラ19,20は、上下方向に互いに間隔をおいて配置されている。
フレーム分割体22は、ガイドローラ15,16と押付ローラ17,18との間に案内部2bを挟み込む挟み込み位置と、挟み込み位置よりも押付ローラ17,18がガイドローラ15,16から離れた解放位置との間で、フレーム本体21に対して直線的に移動可能になっている。
フレーム本体21には、フレーム本体21に対するフレーム分割体22の移動を案内する一対の棒状のフレームガイド23が設けられている。フレームガイド23は、フレーム分割体22を貫通している。
フレーム本体21の上下端部には、一対のロッド固定部24が設けられている。フレーム分割体22には、ロッド固定部24に対向する一対の対向部25が設けられている。各ロッド固定部24には、フレームばねロッド26が固定されている。各フレームばねロッド26は、対向部25を貫通している。
フレームばねロッド26には、フレームばね受け27が取り付けられている。フレームばね受け27と対向部25との間には、それぞれフレームばね28が設けられている。各フレームばね28は、フレーム分割体22を挟み込み位置へ移動させる力を発生している。
フレームばね28による押付ローラ17,18の加圧力は、加工装置本体7の重心位置の偏心によって、加工装置本体7が傾こうとする力に打ち勝ち、ガイドローラ15,16の外周面と制動面2cとの平行を維持できるような大きさに設定されている。
また、フレームばね28による押付ローラ17,18の加圧力は、加工具13を回転させながら加工装置本体7をかごガイドレール2に沿って移動させたときにも、ガイドローラ15,16の外周面と制動面2cとの平行を維持できるような大きさに設定されている。
フレーム本体21とフレーム分割体22との間には、図示しない解放位置保持機構が設けられている。解放位置保持機構は、フレームばね28のばね力に抗して、フレーム分割体22を解放位置に保持する。
加工具13及び駆動装置14は、加工位置と離隔位置との間でフレーム本体21に対して直線的に移動可能になっている。加工位置は、ガイドローラ15,16が制動面2cに接した状態で、加工具13が制動面2cに接する位置である。離隔位置は、ガイドローラ15,16が制動面2cに接した状態で、加工具13が制動面2cから離れる位置である。
上記のように、押付ローラ17,18は、制動面2cに対して直角の方向へ移動可能になっている。また、加工具13及び駆動装置14も、制動面2cに対して直角の方向へ移動可能になっている。
図4に示すように、駆動装置14は、平板状の可動支持部材29に取り付けられている。フレーム本体21には、一対の棒状の駆動装置ガイド30が固定されている。可動支持部材29は、駆動装置ガイド30に沿ってスライド可能になっている。これにより、加工具13及び駆動装置14は、フレーム本体21に対して直線的に移動可能になっている。
可動支持部材29とフレーム本体21との間には、加工具ばね31が設けられている。加工具ばね31は、加工具13及び駆動装置14を加工位置側へ移動させる力を発生する。加工具ばね31による加工具13の加圧力は、ビビリなどの不具合が発生しない大きさに設定されている。
フレーム本体21と可動支持部材29との間には、図示しない離隔位置保持機構が設けられている。離隔位置保持機構は、加工具ばね31のばね力に抗して、加工具13及び駆動装置14を離隔位置に保持する。
なお、図7は、図3の加工装置本体7をかごガイドレール2にセットした状態を示す斜視図である。図8は、図4の加工装置本体7をかごガイドレール2にセットした状態を示す斜視図である。図9は、図5の加工装置本体7をかごガイドレール2にセットした状態を示す斜視図である。
図10は、図7の加工具13とかごガイドレール2との接触状態を示す断面図である。加工具13の外周面の幅寸法は、制動面2cの幅寸法よりも大きい。これにより、加工具13は、制動面2cの幅方向の全体に接触している。
次に、図11は、実施の形態1のガイドレール加工方法を示すフローチャートである。加工装置本体7によりかごガイドレール2に加工を施す場合、まず図示しない制御装置及び電源をかご3に搬入する(ステップS1)。制御装置は、加工装置本体7を制御する装置である。また、ガイドレール加工装置100を昇降路1のピットに搬入する(ステップS2)。
続いて、かご3を昇降路1の下部に移動させておき、吊り下げ部材8を介して加工装置本体7をかご3に接続して昇降路1内に吊り下げる(ステップS3)。また、加工装置本体7を制御装置及び電源に接続する(ステップS4)。そして、加工装置本体7をかごガイドレール2にセットする(ステップS5〜S6)。
具体的には、図12に示すように、加工具13が離隔位置に保持され、フレーム分割体22が解放位置に保持された状態で、ガイドローラ15,16を一方の制動面2cに接触させる(ステップS5)。また、先端面ローラ19,20を先端面2dに接触させる。
この後、フレーム分割体22を挟み込み位置に移動させ(ステップS6)、図13に示すように、ガイドローラ15,16と押付ローラ17,18との間に案内部2bを挟み込ませる。
このようにして加工装置本体7をかごガイドレール2にセットした後、加工具13を回転させる(ステップS7)。そして、図14に示すように、加工具13及び駆動装置14を加工位置に移動させるとともに、かご3を定格速度よりも低速で最上階へ移動させる(ステップS8)。即ち、加工具13によって制動面2cに加工を施しながら、加工装置本体7をかごガイドレール2に沿って移動させる。かご3が最上階に到着すると、加工具13及び駆動装置14を離隔位置に移動させる(ステップS9)。また、加工具13の回転を停止させるとともに、かご3を停止させる(ステップS10)。
この後、かご3を最下階へ移動させながら、加工量の測定を行う(ステップS11)。この例では、かご3の上昇時のみ制動面2cに加工を施すので、かご3の下降時には、加工具13を制動面2cから離しておくのが好ましい。加工量の測定は、例えば、案内部2bの厚さ寸法を測定、又は制動面2cの表面粗さを測定することにより行う。
かご3が最下階に到着すると、加工量が予め設定した値に達していたかどうかを確認する(ステップS12)。加工量が不十分であった場合、ガイドローラ15,16と押付ローラ17,18との間に案内部2bを挟み込み、ステップS7〜12を再度実施する。加工量が十分であった場合、加工完了となる。
反対側の制動面2cに対して加工を施す場合、図3とは左右対称の加工装置本体7を用いるか、又は図3の加工装置本体7を上下反対向きに吊り下げればよい。後者の場合、フレーム本体21の下端部にも接続具12を追加すればよい。
上記の加工方法を残りのかごガイドレール2に対しても施すことにより、全ての制動面2cに加工を施すことができる。また、2台以上の加工装置本体7により2面以上の制動面2cに同時に加工を施すこともできる。
次に、実施の形態1のエレベータのリニューアル方法について説明する。実施の形態1では、既設のかごガイドレール2を残したまま、既設のかご3及び既設の非常止め装置5を新設のかご及び新設の非常止め装置に入れ換える。また、実施の形態1のリニューアル方法は、レール加工工程及び入れ換え工程を含む。
レール加工工程では、既設のかごガイドレール2の制動面2cの少なくとも一部を、上記のような加工装置本体7を用いて削り取る加工を施す。このとき、吊り下げ部材8を介して加工装置本体7を既設のかご3に接続し、既設のかご3の移動により加工装置本体7を既設のかごガイドレール2に沿って移動させる。
この後、入れ換え工程を実施する。入れ換え工程では、既設のかごガイドレール2を残したまま、既設のかご3及び既設の非常止め装置5を、新設のかご及び新設の非常止め装置に入れ換える。
以下、加工装置本体7の装着状態における吊り下げ条件と加工安定性との関係について説明する。ここでの装着状態とは、かごガイドレール2に加工装置本体7が装着され、先端面ローラ19,20の両方が先端面2dに接している状態である。また、吊り下げ条件とは、吊り下げ部材8の加工装置本体7への取り付け位置と、かご3と装着状態の加工装置本体7との間の吊り下げ部材8の傾きとの組み合わせである。
加工装置本体7の装着状態における吊り下げ条件の選択によって、加工装置本体7がかごガイドレールから離脱することなく、加工具13を制動面2cに当てたまま、かごガイドレール2のほぼ全長に渡って、制動面2cに安定して加工を施すことができる。
図15は、図1の加工装置本体7をかごガイドレール2に装着した状態を模式的に示す側面図である。この状態では、ガイドローラ15,16と押付ローラ17,18との間に、案内部2bが挟み込まれている。また、先端面ローラ19,20の両方が先端面2dに接している。
図15に示す装着状態では、吊り下げ部材8の加工装置本体7への取り付け位置、即ち加工装置本体7の吊り下げ位置Pは、加工装置本体7の重心gを通る鉛直線L1よりも、先端面2d側に位置している。また、吊り下げ部材8は、上方へ行くに従ってブラケット固定部2aに近付く方向へ傾斜している。
このような吊り下げ条件では、加工装置本体7がかごガイドレールから離脱することなく、かごガイドレール2のほぼ全長に渡って、制動面2cに安定して加工を施すことができる。
図16は、加工装置本体7の装着状態における吊り下げ条件と加工安定性との関係を示す表である。加工安定性について、「良好」とは、加工装置本体7がかごガイドレール2から離脱することがなく、かごガイドレール2のほぼ全長に渡って、制動面2cに安定して加工を施すことができることを示す。
「可」とは、「良好」よりも安定性に劣るが、かごガイドレール2のほぼ全長に渡って、制動面2cに安定して加工を施すことができることを示す。
「不可」とは、加工装置本体7が上昇し、加工が開始されると、加工装置本体7がかごガイドレール2から離脱し、加工ができなくなることを示す。
実施例1.
図17は、図16の実施例1の吊り下げ条件を模式的に示す側面図である。実施例1の吊り下げ条件では、吊り下げ位置Pは、鉛直線L1よりも先端面2d側に位置している。また、吊り下げ部材8は、鉛直である。
図18は、図17の装着状態から制動面2cの加工を開始した状態を示す側面図である。図19は、図17の装着状態からかごガイドレール2を取り去った状態を示す側面図である。図17の装着状態から、かごガイドレール2を取り去ると、吊り下げ部材8のかご3の下部への取り付け位置を通る鉛直線上に、吊り下げ位置Pと重心gとが重なるように、加工装置本体7の姿勢が変化する。
図19では、第1の先端面ローラ19は、先端面2dがあった位置よりも、若干ではあるがブラケット固定部2a側に位置している。また、各ガイドローラ15,16は、上端がブラケット固定部2aに近付くように傾いている。このような状態で、加工装置本体7の姿勢が安定する。
図19の姿勢に変化しようとする力は、図17の状態でも加工装置本体7に働いている。このため、かご3の上昇に伴って加工装置本体7が上昇すると、加工装置本体7には、重心位置の移動によってブラケット固定部2a側に移動しようとする力が働く。また、ガイドローラ15,16が、ブラケット固定部2a側に傾きながら回転することによっても、加工装置本体7には、ブラケット固定部2a側に移動しようとする力が働く。
これによって、図18に示す姿勢で加工装置本体7が上昇しながら、かごガイドレール2のほぼ全長に渡って制動面2cに加工が施される。従って、実施例1の吊り下げ条件では、加工安定性が「良好」となる。
実施例2.
次に、図20は、図16の実施例2の吊り下げ条件を模式的に示す側面図である。図21は、図20の装着状態から制動面2cの加工を開始した状態を示す側面図である。図22は、図20の装着状態からかごガイドレール2を取り去った状態を示す側面図である。
実施例2の吊り下げ条件では、吊り下げ位置Pは、鉛直線L1よりも先端面2d側に位置している。また、吊り下げ部材8は、上方へ行くに従ってブラケット固定部2aに近付く方向へ傾斜している。
この場合も、図22に示すように、かごガイドレール2を取り去った状態では、第1の先端面ローラ19が、先端面2dがあった位置よりも、ブラケット固定部2a側に位置している。また、各ガイドローラ15,16は、上端がブラケット固定部2aに近付くように傾いている。
図22の姿勢に変化しようとする力は、図20の状態でも加工装置本体7に働いている。このため、かご3の上昇に伴って加工装置本体7が上昇すると、加工装置本体7には、重心gの移動によってブラケット固定部2a側に移動しようとする力が働く。また、ガイドローラ15,16が、ブラケット固定部2a側に傾きながら回転することによっても、加工装置本体7には、ブラケット固定部2a側に移動しようとする力が働く。
これによって、図21に示す姿勢で加工装置本体7が上昇しながら、かごガイドレール2のほぼ全長に渡って制動面2cに加工が施される。従って、実施例2の吊り下げ条件では、加工安定性が「良好」となる。
実施例3.
次に、図23は、図16の実施例3の吊り下げ条件を模式的に示す側面図である。図24は、図23の装着状態から制動面2cの加工を開始した状態を示す側面図である。図25は、図23の装着状態からかごガイドレール2を取り去った状態を示す側面図である。
実施例3の吊り下げ条件では、吊り下げ位置Pは、鉛直線L1よりも先端面2d側に位置している。また、吊り下げ部材8は、上方へ行くに従ってブラケット固定部2aから離れる方向へ傾斜している。
この場合、図25の状態では、第1及び第2の先端面ローラ19,20の両方が先端面2dがあった位置から離れてしまう。但し、各ガイドローラ15,16は、上端がブラケット固定部2aに近付くように傾いている。
このため、かご3の上昇に伴って加工装置本体7が上昇すると、図23の状態では、重心gの移動によって、ガイドローラ15,16が、ブラケット固定部2a側に傾きながら回転する。これにより、加工装置本体7には、ブラケット固定部2a側に移動しようとする力が働く。
この場合、重心gの移動による力とガイドローラ15,16の回転による力とのバランスによって、加工装置本体7が、ブラケット固定部2a側に移動するか、先端面2d側に移動するかが決まる。
ガイドローラ15,16の回転による力は、各フレームばね28のばね力、即ちばね定数及び圧縮量を調整することで、調整することができる。このため、重心きgの移動による力よりも、ガイドローラ15,16の回転による力の方が大きくなるように、各フレームばね28のばね力を調整する。
これにより、加工装置本体7の上昇中に、加工装置本体7をブラケット固定部2a側へ移動させようとする力を、先端面2d側へ移動させようとする力よりも大きくすることができる。
これによって、図24に示す姿勢で加工装置本体7が上昇しながら、かごガイドレール2のほぼ全長に渡って制動面2cに加工が施される。従って、実施例3の吊り下げ条件では、加工安定性が「可」となる。
実施例4.
次に、図26は、図16の実施例4の吊り下げ条件を模式的に示す側面図である。図27は、図26の装着状態から制動面2cの加工を開始した状態を示す側面図である。図28は、図26の装着状態からかごガイドレール2を取り去った状態を示す側面図である。
実施例4の吊り下げ条件では、吊り下げ位置Pは、鉛直線L1上に位置している。また、吊り下げ部材8は、鉛直である。
この場合、図26の状態からかごガイドレール2を取り去っても、図28に示すように、加工装置本体7の姿勢が変化しない。このため、重心gの移動により生じる力はゼロになる。また、ガイドローラ15,16が進もうとする方向は、加工装置本体7の進行方向と同じである。
このため、かご3の上昇に伴って加工装置本体7が上昇したとき、加工装置本体7を先端面2d側へ移動させようとする力も、ブラケット固定部2a側へ移動させようとする力も発生しない。
従って、図27に示す姿勢で加工装置本体7が上昇しながら、かごガイドレール2のほぼ全長に渡って制動面2cに加工が施される。これにより、実施例4の吊り下げ条件では、加工安定性が「可」となる。
実施例5.
次に、図29は、図16の実施例5の吊り下げ条件を模式的に示す側面図である。図30は、図29の装着状態から制動面2cの加工を開始した状態を示す側面図である。図31は、図29の装着状態からかごガイドレール2を取り去った状態を示す側面図である。
実施例5の吊り下げ条件では、吊り下げ位置Pは、鉛直線L1上に位置している。また、吊り下げ部材8は、上方へ行くに従ってブラケット固定部2aに近付く方向へ傾斜している。
この場合、図29の状態からかごガイドレール2を取り去ると、図31に示すように、重心gの移動により、加工装置本体7がブラケット固定部2a側に移動する。加工装置本体7に傾きは生じないので、ガイドローラ15,16が進もうとする方向は、加工装置本体7の進行方向と同じである。
このため、図30の状態では、加工装置本体7は、重心gの移動により、ブラケット固定部2a側へ移動させようとする力を受けながら上昇することになる。
従って、図30に示す姿勢で加工装置本体7が上昇しながら、かごガイドレール2のほぼ全長に渡って制動面2cに加工が施される。即ち、実施例5の吊り下げ条件では、加工安定性が「良好」となる。
比較例1.
次に、図32は、図16の比較例1の吊り下げ条件を模式的に示す側面図である。図33は、図32の装着状態から制動面2cの加工を開始した状態を示す側面図である。図34は、図32の装着状態からかごガイドレール2を取り去った状態を示す側面図である。
比較例1の吊り下げ条件では、吊り下げ位置Pは、鉛直線L1上に位置している。また、吊り下げ部材8は、上方へ行くに従ってブラケット固定部2aから離れる方向へ傾斜している。
この場合、図32の状態からかごガイドレール2を取り去ると、図34に示すように、重心gの移動により、加工装置本体7がブラケット固定部2aとは反対側に移動する。加工装置本体7に傾きは生じないので、ガイドローラ15,16が進もうとする方向は、加工装置本体7の進行方向と同じである。
このため、図33の状態では、加工装置本体7は、重心gの移動により、ブラケット固定部2aとは反対側へ移動させようとする力を受けながら上昇することになる。
従って、加工装置本体7がかごガイドレール2から離脱することはないが、加工具13が制動面2cに部分的に接触することになる。即ち、比較例1の吊り下げ条件では、加工安定性が「不可」となる。
比較例2.
次に、図35は、図16の比較例2の吊り下げ条件を模式的に示す側面図である。図36は、図35の装着状態から制動面2cの加工を開始した状態を示す側面図である。図37は、図35の装着状態からかごガイドレール2を取り去った状態を示す側面図である。
比較例2の吊り下げ条件では、吊り下げ位置Pは、鉛直線L1よりもブラケット固定部2a側に位置している。また、吊り下げ部材8は、鉛直である。
この場合、図35の状態からかごガイドレール2を取り去ると、図37に示すように、重心gの移動により、加工装置本体7がブラケット固定部2a側に移動する。また、ガイドローラ15,16は、上端がブラケット固定部2aから離れるように傾く。
このため、図35の状態から加工装置本体7を上昇させると、重心gの移動による力のため、加工装置本体7は、ブラケット固定部2a側に移動させようとする力を受ける。一方、ガイドローラ15,16が進もうとする方向は、ブラケット固定部2aから離れる方向である。
この場合、重心gの移動による力とガイドローラ15,16の回転による力とのバランスによって、加工装置本体7が、ブラケット固定部2a側に移動するか、先端面2d側に移動するかが決まる。
しかし、通常の設定では、ガイドローラ15,16の回転による力の方が大きいため、加工装置本体7は、上昇中にかごガイドレール2から離脱してしまう。
これに対して、フレームばね28のばね力を小さくすれば、加工装置本体7のかごガイドレール2からの離脱を防止することはできる。しかし、この方法では、ガイドローラ15,16の外周面と制動面2cとの平行を保つことが難しくなるため、制動面2c全体を安定して加工することができない。即ち、比較例2の吊り下げ条件では、加工安定性が「不可」となる。
比較例3.
次に、図38は、図16の比較例3の吊り下げ条件を模式的に示す側面図である。図39は、図38の装着状態から制動面2cの加工を開始した状態を示す側面図である。図40は、図38の装着状態からかごガイドレール2を取り去った状態を示す側面図である。
比較例3の吊り下げ条件では、吊り下げ位置Pは、鉛直線L1よりもブラケット固定部2a側に位置している。また、吊り下げ部材8は、上方へ行くに従ってブラケット固定部2aに近付く方向へ傾斜している。
この場合、図38の状態からかごガイドレール2を取り去ると、図40に示すように、重心gの移動により、加工装置本体7がブラケット固定部2a側に移動する。また、ガイドローラ15,16は、上端がブラケット固定部2aから離れるように傾く。
このため、図38の状態から加工装置本体7を上昇させると、比較例2と同様に、加工装置本体7がかごガイドレール2から離脱する。即ち、比較例3の吊り下げ条件では、加工安定性が「不可」となる。
比較例4.
次に、図41は、図16の比較例4の吊り下げ条件を模式的に示す側面図である。図42は、図41の装着状態から制動面2cの加工を開始した状態を示す側面図である。図43は、図41の装着状態からかごガイドレール2を取り去った状態を示す側面図である。
比較例4の吊り下げ条件では、吊り下げ位置Pは、鉛直線L1よりもブラケット固定部2a側に位置している。また、吊り下げ部材8は、上方へ行くに従ってブラケット固定部2aから離れる方向へ傾斜している。
この場合、図41の状態からかごガイドレール2を取り去ると、図43に示すように、重心gの移動により、加工装置本体7がブラケット固定部2aとは反対側に移動する。また、ガイドローラ15,16は、上端がブラケット固定部2aから離れるように傾く。
このため、図41の状態から加工装置本体7を上昇させると、かごガイドレール2から離脱する。即ち、比較例4の吊り下げ条件では、加工安定性が「不可」となる。
このようなガイドレール加工装置100では、吊り下げ部材8を介して加工装置本体7が昇降路1内に吊り下げられている。また、吊り下げ部材8は、可撓性を有している。また、装着状態において、吊り下げ位置Pを、鉛直線L1上、又は鉛直線L1よりも先端面2d側に位置させる。これにより、昇降路1にかごガイドレール2を設置したまま、制動面2cに対して、連続して安定した加工を施すことができる。
また、吊り下げ部材8を介して加工装置本体7が吊り下げられているので、制動面2cの加工中にかご3の振動が加工装置本体7に伝わることを防止できる。これにより、加工不具合の発生を防止し、制動面2cを安定して加工することができる。
また、かごガイドレール2のほぼ全長に渡って、制動面2cを均等に加工することができる。
また、フレーム本体21に先端面ローラ19,20を設けたので、加工装置本体7をかごガイドレール2に沿って安定した姿勢でスムーズに移動させることができる。
また、加工具13により、制動面2cの少なくとも一部を削り取ることで、非常止め装置5に対する制動面2cの摩擦係数を、昇降路1にかごガイドレール2を設置したまま、より適正化することができる。
また、加工装置本体7をかご3から吊り下げるので、加工装置本体7を揚重する装置を別途用意する必要がない。また、かごガイドレール2の非常止め装置5が把持する領域に効率的に加工を施すことができる。また、昇降行程が長いエレベータにおいても、長い吊り下げ部材を用いることなく、かごガイドレール2のほぼ全長に渡って容易に加工を施すことができる。
また、加工装置本体7にガイドローラ15,16を設けたので、加工具13の外周面をより確実に制動面2cに平行に接触させることができ、削り残しを発生させずに、制動面2cに均等に加工を施すことができる。
また、ガイドローラ15,16と押付ローラ17,18との間に案内部2bを挟み込むので、加工具13の外周面をより安定して制動面2cに平行に接触させることができる。また、制動面2cに上下方向の傾きがあった場合にも、加工具13の外周面と制動面2cとの平行を維持することができる。
また、フレーム本体21に接続具12が設けられているので、接続具12に吊り下げ部材8を接続して昇降路1内に吊り下げた状態で、加工装置本体7をかごガイドレール2に沿って移動させることができる。
また、加工具13の上方に第1のガイドローラ15が配置され、加工具13の下方に第2のガイドローラ16が配置されている。このため、加工具13の外周面と制動面2cとの平行をより安定して維持することができる。これにより、かごガイドレール2の上下方向の傾き、曲がり、又はうねりがあった場合にも、加工具13の外周面と制動面2cとの平行を維持することができる。
また、第1及び第2のガイドローラ15,16の中間位置に加工具13が配置されている。このため、フレーム本体21に対する加工具13の移動方向を制動面2cに直角な方向とすることができる。これにより、加工具13を制動面2cに押し付ける力を安定させることができる。また、加工のムラ、即ち削り取る量の不均一が発生することがなく、安定した加工を施すことができる。
また、フレーム11をフレーム本体21とフレーム分割体22とに分割し、フレームばね28によりフレーム分割体22を挟み込み位置側へ移動させる力を発生させる。このため、簡単な構成により、ガイドローラ15,16と押付ローラ17,18との間に案内部2bを安定して挟み込むことができる。
また、加工具13及び駆動装置14を加工位置と離隔位置との間で移動可能とし、加工具ばね31により加工具13及び駆動装置14を加工位置側へ移動させる力を発生させる。このため、簡単な構成により、加工具13を安定して制動面2cに押し当て、安定した加工を施すことができる。また、加工具13を離隔位置に移動させることで、制動面2cを加工せずに加工装置本体7をかごガイドレール2に沿って移動させることもできる。
また、上記のようなエレベータのリニューアル方法では、既設のかごガイドレール2の制動面2cの少なくとも一部を削り取る加工を施した後、既設のかごガイドレール2を残したまま、既設のかご3及び既設の非常止め装置5を、新設のかご及び新設の非常止め装置に入れ換える。このため新設の非常止め装置に対する既設のかごガイドレール2の摩擦係数を昇降路1にかごガイドレール2を設置したまま、より適正化することができる。これにより、既設のかごガイドレール2を取り換えることなく、エレベータのリニューアルを実現することができ、工期を大幅に短縮することができるとともに、工事にかかる費用も大幅に削減することができる。
また、レール加工工程では、加工装置本体7を、吊り下げ部材8を介して昇降路1内に吊り下げ、加工具13を回転させながら、吊り下げ部材8を介して加工装置本体7をかごガイドレール2に沿って移動させる。また、吊り下げ部材8は、可撓性を有している。このため、かごガイドレール2のほぼ全長に渡って、制動面2cを安定して加工することができる。
また、加工装置本体7を既設のかご3を利用して移動させるので、加工時に発生する加工屑等が新設のかご及び新設の非常止め装置5に付着することを防止できる。
なお、加工具を制動面に安定して平行に当てることができれば、押付ローラは省略してもよい。
また、上記の例では、加工具及び押付ローラを制動面に押し付ける力をばねにより発生させたが、例えば、空圧シリンダ、油圧シリンダ、又は電動アクチュエータにより発生させてもよい。
また、接続具は、フレームに一体に形成してもよい。
また、上記の例では、既設のかごからガイドレール加工装置を吊り下げたが、新設のかごから吊り下げてもよい。即ち、上部接続体は、新設のかごであってもよい。
また、上記の例では、ガイドレール加工装置をかごから吊り下げたが、例えば、昇降路の上部に設置したウインチ等の揚重装置からガイドレール加工装置を吊り下げてもよい。即ち、上部接続体は、揚重装置であってもよい。この場合、ガイドレール加工装置の移動速度をより自由に設定することができる。
また、上記の例では、昇降体がかごであり、加工対象がかごガイドレールである場合を示した。しかし、この発明は、昇降体が釣合おもりであり、加工対象が釣合おもりガイドレールである場合にも適用できる。この場合、上部接続体は、釣合おもりであってもよい。例えば、かご及び釣合おもりの両方に非常止め装置が搭載されている場合には、かごガイドレール及び釣合おもりガイドレールの両方に加工を施せばよい。
また、上記の例では、リニューアル工事の際にガイドレールに加工を施した。しかし、例えば、新設のエレベータにおいて制動面の表面粗さを調整したい場合、又は既設のエレベータの保守時に制動面をリフレッシュしたい場合にも、この発明を適用できる。
また、この発明は、機械室を有するエレベータ、機械室レスエレベータ、ダブルデッキエレベータ、ワンシャフトマルチカー方式のエレベータなど、種々のタイプのエレベータに適用できる。ワンシャフトマルチカー方式は、上かごと、上かごの真下に配置された下かごとが、それぞれ独立して共通の昇降路を昇降する方式である。
1 昇降路、2 かごガイドレール、2a ブラケット固定部、2b 案内部、2c 制動面、2d 先端面、3 かご(昇降体、上部接続体)、7 加工装置本体、8 吊り下げ部材、13 加工具、15 第1のガイドローラ、16 第2のガイドローラ、17 第1の押付ローラ、18 第2の押付ローラ、19 第1の先端面ローラ、20 第2の先端面ローラ、100 ガイドレール加工装置。

Claims (4)

  1. レールブラケットに固定されるブラケット固定部と、昇降体の昇降を案内する案内部とを有しているガイドレールに対して加工を施すエレベータのガイドレール加工装置であって、
    加工装置本体、及び
    前記加工装置本体を前記ガイドレールに沿って移動させる上部接続体から、前記加工装置本体を昇降路内に吊り下げる吊り下げ部材
    を備え、
    前記案内部は、
    前記昇降体の非常停止時に非常止め装置が接する面である制動面と、
    前記ブラケット固定部とは反対側の端面である先端面と
    を有しており、
    前記吊り下げ部材は、可撓性を有する部材であり、
    前記加工装置本体は、
    前記制動面に加工を施す加工具と、
    上下方向に互いに間隔をおいて配置されている第1及び第2の先端面ローラと
    を有しており、
    前記加工装置本体を前記ガイドレールに装着し、前記第1及び第2の先端面ローラを前記先端面に接触させた状態で、前記吊り下げ部材の前記加工装置本体への取り付け位置は、前記加工装置本体の重心を通る鉛直線上、又は前記鉛直線よりも前記先端面側に位置するエレベータのガイドレール加工装置。
  2. 前記加工装置本体を前記ガイドレールに装着し、前記吊り下げ部材により前記上部接続体から前記加工装置本体を吊り下げ、前記第1及び第2の先端面ローラを前記先端面に接触させた状態で、前記吊り下げ部材は、鉛直、又は、上方へ行くに従って前記ブラケット固定部に近付く方向へ傾斜している請求項1記載のエレベータのガイドレール加工装置。
  3. 前記加工装置本体は、
    前記制動面に前記加工具とともに接することにより、前記加工具の外周面を前記制動面に平行に接触させるガイドローラ
    をさらに有している請求項1又は請求項2に記載のエレベータのガイドレール加工装置。
  4. 前記加工装置本体は、
    前記ガイドローラとの間に前記案内部を挟み込む押付ローラ
    をさらに有している請求項3記載のエレベータのガイドレール加工装置。
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